以下、図面を参照しながら、X線診断装置の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合のみ行うこととする。
〔第1実施形態〕
まず、図1に基づき、第1実施形態に係るX線診断装置1の構成を説明する。この図1が示すように、X線診断装置1は、スタンド10と、X線管保持装置12と、高電圧発生器14と、X線検出器16と、処理回路18と、ディスプレイ20と、入力回路22と、記憶回路24と、移動機構26を備えて構成されている。また、本実施形態に係るX線管保持装置12は、X線管12aと、X線絞り器12bを備えて構成されている。
スタンド10の前には、立位の状態の被検体Pが位置する。本実施形態に係るX線診断装置1では、スタンド10のX線検出器16と、X線管保持装置12のX線管12aとを用いた1回のX線撮影で、立位の被検体Pを部分的に撮影可能である。このスタンド10に保持されたX線検出器16は、移動機構26の駆動に伴って、X線管保持装置12と連動して、上下に移動可能に構成されている。このため、異なる複数の撮影位置でX線撮影を行って、異なる複数のX線画像を撮影することが可能である。すなわち、本実施形態に係るX線診断装置1では、複数のX線画像を合成して、トモシンセシス撮影や長尺撮影のX線画像の撮影が可能となる。
X線管保持装置12は、X線管12aとX線絞り器12bとを保持している。X線管保持装置12が保持するX線管12aは、処理回路18の制御の下、高電圧発生器14から高電圧とフィラメント電流とが供給され、これらに基づき、X線を発生させる。X線管保持装置12が保持するX線絞り器12bは、X線管12aが発生したX線の絞りを行い、被検体Pに照射するX線の範囲を制御する。すなわち、X線絞り器12bの絞りを絞ることにより、X線の照射範囲を狭くすることができ、逆に、X線絞り器12bの絞りを開くことにより、X線の照射範囲を広くすることができる。X線絞り器12bの絞り具合は、例えば、ユーザからの指示に基づいて、又は、処理回路18の能動的な制御処理に基づいて、処理回路18からの制御信号により制御される。
高電圧発生器14は、処理回路18からの制御信号に基づいて、X線条件に応じた高電圧とフィラメント電流とを発生させて、X線管保持装置12のX線管12aに供給し、X線管12aにX線を発生させる。
X線検出器16は、例えば、2次元に配列された複数の画素を有する平面検出器(FPD:Flat Panel Detector)から構成されている。各画素は、被検体Pを透過したX線管12aからのX線を検出し、この検出されたX線を電気信号に変換して、さらにデジタル信号に変換する。このデジタル信号は、処理回路18に出力される。
処理回路18は、このX線診断装置1の全体的な制御を行う制御回路である。また、各種の演算行う演算回路でもある。例えば、本実施形態に係る処理回路18は、X線撮影機能18aと、異常検出機能18bと、代替画像取得機能18cと、表示画像生成機能18dとを有する。X線撮影機能18aは、本実施形態におけるX線撮影部を構成しており、異常検出機能18bは本実施形態における異常検出部を構成しており、代替画像取得機能18cは本実施形態における代替画像取得部を構成しており、表示画像生成機能18dは本実施形態における表示画像生成部を構成している。
図1における実施形態においては、X線撮影機能18aと、異常検出機能18bと、代替画像取得機能18cと、表示画像生成機能18dにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路24のプログラム記憶回路24aに格納されている。処理回路18は、プログラムを記憶回路24のプログラム記憶回路24aから読み出し、実行することにより、各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。言い換えると、各プログラムを読み出した状態の処理回路は、図1の処理回路18内に示された各機能を有することとなる。なお、図1においては単一の処理回路にて、X線撮影機能18aと、異常検出機能18bと、代替画像取得機能18cと、表示画像生成機能18dとが実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路18を構成して、各プロセッサがプログラムを実行することにより、これらの機能を実現するものとしてもよい。
ディスプレイ20は、各種の画像や情報を表示する。例えば、ディスプレイ20は、処理回路18によって生成された医用画像(X線画像)や、ユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を表示する。特に、本実施形態においては、処理回路18の表示画像生成機能18dで生成された長尺のX線画像を表示する。本実施形態においては、ディスプレイ20は、例えば、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等によって構成される。
入力回路22は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路18に出力する。例えば、入力回路22は、マウス、キーボード、トラックボール、手動スイッチ、フットスイッチ、ジョイスティック、ボタン等によって実現される。また、入力回路22は、タッチパネルで構成されたディスプレイ20によっても実現される。
記憶回路24は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。本実施形態に係る記憶回路24は、例えば、プログラム記憶回路24aと、画像記憶回路24bとを備えて構成される。プログラム記憶回路24aは、上述したように、処理回路18等で実行される各種プログラムが格納されている。画像記憶回路24bには、各種の画像に関するデータが格納されている。本実施形態においては、画像記憶回路24bには、例えば、X線検出器16で検出されたX線に基づいて生成されたX線画像が格納される。また、画像記憶回路24bには、例えば、撮影された複数のX線画像に基づいて、処理回路18により生成された表示画像が格納される。
上述のように、本実施形態においては、処理回路18は、例えば、プロセッサにより構成される。ここで、プロセッサという文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサがASICである場合、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素の1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
移動機構26は、スタンド10のX線検出器16と、X線管保持装置12とを同期させて移動させる機構である。移動機構26は、被検体Pを複数の撮影位置からX線撮影を行い、本実施形態において長尺撮影やトモシンセシス撮影を実現させる。移動機構26は、例えば、X線検出器16及びX線管保持装置12を機械的に支持しつつ、両者の同期した移動を実現するための駆動部などによって構成される。
この図1においては、立位の被検体PのX線撮影を行うX線診断装置1の構成を例示的に説明したが、仰臥位や背臥位のX線撮影を行うX線診断装置1の構成も、被検体Pの体位の違いを除いて、また、X線検出器16及びX線管保持装置12の移動方向の違いを除いて、この図1に示すX線診断装置1の構成と実質的に同等である。
以上が、本実施形態におけるX線診断装置1に関する全体構成であるが、次に、本実施形態におけるX線診断装置1が実行するX線画像の連続撮影に関して説明する。
図2は、X線診断装置1による連続したX線撮影において、異常が検出された場合に、その異常画像に代替される代替画像の取得動作を説明する図である。この図2においては、X線診断装置1のX線管保持装置12の移動を模式的に示しており、説明の簡便のため他の構成要素や被検体Pなどの図示は省略している。
図2に示すように、トモシンセシス撮影や長尺撮影などでは、X線管保持装置12は、連続的にX線撮影を行う始点(図2においては左端側)から終点(図2においては右端側)に移動しながら、複数の撮影位置からX線を照射する。そして、得られた被検体Pの複数のX線画像の撮影を再構成することで、トモシンセシス撮影や長尺撮影による診断用のX線画像が生成される。本実施形態においては、連続的に複数のX線撮影を行うためにX線管保持装置12が移動する方向を、順方向と定義する。
なお、図2では5カ所の撮影位置からのX線撮影が図示されているが、X線診断やX線撮影の目的により、5カ所未満の撮影位置、又は、5カ所より多い撮影位置にてX線撮影が行われるようにしてもよい。つまり、撮影回数や撮影位置は任意に選択されるべきであり、5カ所の撮影位置に限定されない。
図2では、複数のX線撮影における4回目の撮影位置にて、異常検出機能18bにより異常が検出された例について図示している。異常検出機能18bにおいて検出される異常とは、例えば、X線撮影を行った際のX線管12aの放電に関する情報に基づく異常(例えば、高電圧発生器14が発生させるX線条件に応じた管電圧やフィラメント電流などの異常値)や、生成されたX線画像の異常(X線画像の明暗、前後のX線画像の比較により検出された異常)などが挙げられる。
異常が検出された4回目の撮影位置におけるX線撮影にて、撮影されたX線画像は異常画像である。このような異常画像を含んでいる複数のX線画像に基づいて表示画像を生成すると、得られる表示画像の画像品質に悪影響を及ぼす。そこで、本実施形態に係るX線診断装置1においては、異常画像の代替となる代替画像を取得する。
このため、本実施形態においては、X線撮影において異常を検出した時点で、X線管保持装置12は異常画像の撮影位置まで戻り、再度、X線撮影を行うことにより、異常画像に代替される代替画像を取得する。この図2の例においては、異常検出機能18bが異常を検出した4回目の撮影位置で、X線管保持装置12は再度撮影を行う。このため、異常が検出された時点で、処理回路18の代替画像取得機能18cは、X線管保持装置12を4回目のX線照射を行った撮影位置まで戻す。そして、この撮影位置でX線管12aによるX線照射を行うことで再撮影を行い、新たに得られたX線画像を代替画像として取得する。本実施形態では、X線管保持装置12を再びX線撮影を行うために戻す移動の方向を、逆方向と定義する。
次に、図3に基づいて、本実施形態に係るX線診断装置1における各撮影位置と経過時間の関係について説明する。この図3は、X線管保持装置12のX線管12aがX線を照射する各撮影位置と、X線管保持装置12の移動開始後の経過時間との関係を表すヒストグラムを示す図である。図3では、縦軸が撮影位置Yを示し、横軸が時間tを示している。また、図3の例では、6カ所の撮影位置Ya~Yfがある場合のX線管保持装置12の撮影動作を示している。
また、図中の記号である、マル印(●)は、その時間の撮影位置において撮影されたX線画像は正常画像であることを示し、バツ印(×)は、その時間の撮影位置において撮影されたX線画像は異常画像であることを示している。図3の例では、時間t3の撮影位置Ycにおいて撮影されたX線画像が異常画像であることを図示している。
撮影位置Ycにおいて撮影されたX線画像が異常画像になってしまったことから、本実施形態では、撮影位置Ycにおいて再度、X線撮影を行って代替画像を取得する。したがって、処理回路18の代替画像取得機能18cは、X線管保持装置12の順方向への移動を連続撮影の途中で停止させる。この停止をさせた時間はt3とt4の間であり、場所は撮影位置Ycと撮影位置Ydの間である。すなわち、図3において、それまで右肩上がりだった線が下に折れ曲がった頂点が、X線管保持装置12を停止させた時間と位置を表している。
順方向への移動を停止した後、X線管保持装置12は逆方向に移動して、撮影位置Ycまで戻る。そして、撮影位置YcにてX線管12aはX線照射を行うことで、再びX線撮影を行う。図3の例では、時間t4の撮影位置Ycにおいて撮影されたX線画像は正常画像であり、代替画像が取得されたことを示している。これ以降、X線管保持装置12は、再び順方向への移動を開始し、時間t5、t6、及びt7で、それぞれ、撮影位置Yd、Ye、及びYfを通過し、これら撮影位置Yd、Ye、及びYfにおいて、それぞれ、X線撮影を行う。この図3の例においては、これら撮影位置Yd、Ye、及びYfで行われたX線撮影は、いずれも正常画像であったことを示している。
図4は、本実施形態に係るX線診断装置1による画像撮影処理の一連の流れを説明するフローチャートを示す図である。この画像撮影処理は、X線診断装置1により、例えば、被検体Pのトモシンセシス撮影や長尺撮影などを行う際に、実行される処理である。
この画像撮影処理が開始されると、処理回路18は、X線管保持装置12を、連続的なX線撮影を行う始点(図2においては、左端側)から終点(図2においては、右端側)へ向けて移動を開始させる(ステップS10)。つまり、X線管保持装置12を順方向に移動させる。このステップS10におけるX線管保持装置12の移動は、処理回路18のX線撮影機能18aにより実行される。
そして、処理回路18は、撮影位置に到達したか否かを判断する(ステップS12)。撮影位置に到達していない場合(ステップS12:No)には、X線管保持装置12の順方向への移動を継続して待機する。このステップS12における撮影位置に到達したか否かの判断は、処理回路18のX線撮影機能18aにより実行される。
X線管保持装置12が撮影位置に到達した場合(ステップS12:Yes)には、処理回路18は、X線管12a及びX線検出器16を用いてX線画像の撮影を行う(ステップS14)。つまり、処理回路18は、X線撮影を行い、X線画像を取得する。このステップS14におけるX線画像の撮影は、処理回路18のX線撮影機能18aにより実行される。
次に、処理回路18は、この撮影位置におけるX線撮影において、異常が検出されたか否かを判断する(ステップS16)。すなわち、ステップS14で撮影されたX線画像が、正常画像であるのか、異常画像であるのかを判断する。X線撮影における異常の有無は、処理回路18の異常検出機能18bにより判断される。
このステップS16において、X線撮影において異常検出機能18bが異常を検出した場合(ステップS16:Yes)、処理回路18は、X線管保持装置12の順方向への移動を停止させて逆方向への移動を開始させ、異常画像を撮影した撮影位置までX線管保持装置12を戻す(ステップS18)。このステップS18における、X線管保持装置12を戻す処理は、処理回路18の代替画像取得機能18cにより実行される。
X線管保持装置12が、異常画像を撮影した撮影位置まで戻った後、処理回路18は、再度のX線照射によるX線撮影を行うことにより、代替画像を取得する(ステップS14)。このステップS14における代替画像の撮影処理は、処理回路18の代替画像取得機能18cにより実行される。
一方、上述したステップS16において、X線撮影の際に異常検出機能18bが異常を検出しなかった場合(ステップS16:No)、処理回路18は、ステップS14でX線撮影を行った撮影位置が、この一連の連続撮影における最後の撮影位置であるか否かを判断する(ステップS20)。最後の撮影位置ではなかった場合(ステップS20:No)には、処理回路18は、X線管保持装置12の順方向への移動を継続させ、上述したステップS12に戻り、X線管保持装置12が次の撮影位置に到達したか否かの判断を行う。すなわち、上述したステップS12以降の処理を繰り返す。このステップS20における最後の撮影位置であるか否かの判断は、処理回路18のX線撮影機能18aにより実行される。
一方、ステップS20において、ステップS14におけるX線撮影の撮影位置が、この一連の連続撮影における最後の撮影位置であった場合(ステップS20:Yes)には、処理回路18は、X線管保持装置12の移動を終了させ(ステップS22)、この複数のX線撮影を行う一連の処理を終了する。これにより、本実施形態に係るX線診断装置1による画像撮影処理が終了する。なお、ステップS22におけるX線管保持装置12の移動を終了させる処理は、処理回路18のX線撮影機能18aにより実行される。
画像撮影処理で撮影された複数のX線画像は、例えば、画像記憶回路24bに順次記憶され保持される。X線撮影の際に異常が検出された場合には、この画像記憶回路24bに記憶された複数のX線画像には、再撮影をした代替画像を含んでいる。本実施形態においては、画像記憶回路24bに記憶されている複数のX線画像を、処理回路18の表示画像生成機能18dが読み出して、これら複数のX線画像に基づいて、表示画像を生成する。例えば、画像撮影処理で行われた連続撮影がトモシンセシス撮影の場合、複数のX線画像を再構成することにより、1枚の表示画像を生成する。また、画像撮影処理で行われた連続撮影が長尺撮影である場合、複数のX線画像を結合することにより、1枚の表示画像を生成する。生成された表示画像は、例えば、ディスプレイ20に表示され、表示画像に基づいた診断が行われる。
以上のように、本実施形態に係るX線診断装置1においては、X線画像の連続撮影中に異常を検出した時点で、その異常が検出されたX線撮影の撮影位置まで、X線管保持装置12を戻して、再度、X線撮影を行うことにより、代替画像を取得することとした。このため、異常画像を含んだ状態の診断に適さない表示画像が生成されてしまうのを回避することができる。すなわち、異常画像に代替される代替画像を用いて表示画像を生成することができるので、異常画像の影響を排除して、診断に適した表示画像を得ることができる。
また、異常を検出した時点で代替画像の撮影を行うので、診断に適する正常な表示画像を得るために、改めて連続撮影全体をやり直す必要がなくなり、結果として、被検体Pの不要被ばくを低減することができるとともに、X線画像の撮影に要する時間を短縮することができる。
〔変形例〕
上述した第1実施形態においては、異常検出機能18bがX線撮影の際に異常が発生したか否かを判断するために所定の時間が必要であることを前提としている。このため、異常が発生した場合でもX線管保持装置12は、その異常が検出されるまでに、所定の距離を順方向に向かって進行してしまう。したがって、代替画像を再度撮影するためには、この移動した距離を戻る必要がある。一方で、異常検出機能18bは、X線撮影の際に異常が発生した場合に、その異常を直ちに検出可能な態様も想定される。この異常検出に要する時間は、異常検出機能18bの処理能力等の仕様に依存するに過ぎない。そこで、第1実施形態の変形例に係るX線診断装置1では、異常検出機能18bがX線撮影の際の異常を直ちに検出できるようにすることで、X線管保持装置12の逆方向への移動を不要にしている。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
図5は、X線管保持装置12のX線管12aがX線を照射する各撮影位置と、X線管保持装置12の移動開始後の経過時間との関係を表すヒストグラムを示す図であり、上述した第1実施形態の図3に対応する図である。この図5の例においても、時間t3における撮影位置Ycで撮影されたX線画像は、バツ印(×)であるため異常画像であったことを示している。本変形例においては、異常検出機能18bはX線撮影において異常が発生した場合に、その異常を直ちに検出することができ、このため、X線撮影に異常が発生した時点で、X線管保持装置12は順方向への移動を即時に停止する。図5の例においては、撮影位置Ycにて異常が検出され、X線管保持装置12は撮影位置Ycから移動せず、再撮影が可能になるまで撮影位置Ycにて停止する。
X線管保持装置12の移動が停止した後、X線診断装置1は、高電圧発生器14からX線管12aに高電圧とフィラメント電流を供給する等の再撮影のための必要な準備を行う。そして、準備が整った時間t4にて、再度、X線管12aがX線照射を行って、X線画像の撮影を行う。そして、時間t4において撮影されたX線画像は、マル印(●)であるため、撮影されたX線画像は正常画像である。つまり、時間t4において、代替画像の取得に成功したことを示している。このため、X線管保持装置12は順方向への移動を再開し、残りの各撮影位置においてX線画像の撮影を行う。すなわち、時間t5、t6、及びt7における、それぞれの撮影位置Yd、Ye、及びYfにおいてX線撮影を行う。図5の例においては、これら撮影位置Yd、Ye、及びYfで撮影されたX線画像は、いずれも正常画像であったことを示している。
図6は、第1実施形態の本変形例に係るX線診断装置1による画像撮影処理の一連の流れを説明するフローチャートを示す図である。第1実施形態と同様に、この画像撮影処理は、例えば、被検体Pのトモシンセシス撮影や長尺撮影などを行うために、連続したX線撮影をする際に実行される処理である。
画像撮影処理が開始され、X線管保持装置12の順方向への移動を開始して、X線管保持装置12によるX線照射によるX線画像の撮影を行うことや、異常検出機能18bにより異常が検出されるまでの各動作は第1実施形態と同様である(ステップS10乃至ステップS16)。但し、本変形例では、ステップS16より後の処理が、上述した第1実施形態と異なっている。
すなわち、ステップS16において、X線撮影に異常が検出された場合(ステップS16:Yes)、すなわち、X線撮影された画像が異常画像であった場合には、処理回路18の代替画像取得機能18cは、その撮影位置においてX線管保持装置12の移動を一時停止させる(ステップS30)。そして、上述したステップS14に戻る。
このステップS14に戻ると、処理回路18の代替画像取得機能18cは、X線画像の再撮影に必要な準備を行い、その撮影位置において、X線管12aによる再度のX線照射を行い、代替画像であるX線画像を撮影する(ステップS14)。そして、新たに撮影したX線画像が異常画像でなければ(ステップS16:No)、正常な代替画像が取得できたことになることから、処理回路18のX線撮影機能18aは、X線管保持装置12の順方向の移動を再開する(ステップS32)。
次に、上述した第1実施形態のステップS20と同様に、処理回路18のX線撮影機能18aは、ステップS14でX線撮影を行った撮影位置が、この一連の連続撮影における最後の撮影位置であるか否かを判断する(ステップS20)。ステップS14でX線撮影を行った撮影位置が最後の撮影位置でなかった場合(ステップS20:No)には、上述したステップS12に戻り、次の撮影位置にまで移動を継続して、X線撮影を繰り返す。一方、ステップS14でX線撮影を行った撮影位置が最後の撮影位置であった場合(ステップS20:Yes)には、処理回路18のX線撮影機能18aは、X線管保持装置12の移動を終了させる(ステップS22)。
以上のように、第1実施形態における本変形例によれば、各撮影位置において撮影されたX線画像が異常画像である場合は、X線管保持装置12の順方向への移動を、その場で停止させることができる。このため、X線管保持装置12を再撮影すべき撮影位置に戻らせなくとも、異常が発生した撮影位置において再撮影が可能となる。したがって、第1実施形態よりも、異常が検出された場合の代替画像を取得するのに要する時間を短くすることができる。
〔第2実施形態〕
上述した第1実施形態に係るX線診断装置1においては、X線撮影の際に異常が検出された場合には、その異常を検出した時点で異常画像の代替となる代替画像を取得するようにしたが、第2実施形態に係るX線診断装置1では、X線撮影の際に異常を検出した場合でも、連続撮影の途中では代替画像の取得のためのX線画像の再撮影は行わないようにする。すなわち、X線管保持装置12の順方向への移動を途中で停止させず、最後の撮影位置におけるX線撮影まで行った後に、X線撮影の異常を検出した撮影位置まで戻り、再撮影を行う。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
図7及び図8は、第1実施形態における図2と同様に、第2実施形態に係るX線診断装置1によるX線撮影の動作の説明図を示している。まず、本実施形態に係るX線撮影と、異常が検出されたX線撮影による異常画像に代替される代替画像の撮影を、図7及び図8に基づいて説明する。
図7においては、複数のX線撮影のうち、4回目の撮影位置におけるX線撮影にて異常が検出された場合について図示している。異常検出機能18bにより異常が検出された場合、処理回路18の代替画像取得機能18cは、異常が検出された撮影位置を記憶する。一方で、X線管保持装置12は、そのまま5回目以降の撮影位置へ移動を継続し、最後の撮影位置に到達するまでX線画像の撮影を継続する。
X線管保持装置12が最後の撮影位置まで到達した後、処理回路18の代替画像取得機能18cは、図8に示すように、異常が検出されたX線撮影の撮影位置までX線管保持装置12を戻し、代替画像の撮影を行う。この図8の例においては、一連のX線撮影が終了した位置から4回目の撮影位置まで、X線管保持装置12を逆方向に移動して、代替画像を取得する。
図9は、X線管保持装置12のX線管12aがX線を照射する各撮影位置と、X線管保持装置12の移動開始後の経過時間との関係を表すヒストグラムを示す図であり、上述した第1実施形態の図3に対応する図である。この図9においては、第1実施形態と同様に、図中の記号である、マル印(●)は正常画像を示し、バツ印(×)は異常画像を示しているが、さらに図9においては、横線(-)は撮影しないことを示している。したがって、図9においては、時間t3の撮影位置Ycで撮影されたX線画像が異常画像であり、それ以外の時間t1乃至t2及び時間t4乃至t6において、撮影位置Ya乃至Yb及び撮影位置Yd乃至Yfでそれぞれ撮影されたX線画像は、正常画像であることを示している。
図9では、撮影位置Yfが最後の撮影位置であるため、この撮影位置YfでX線画像の撮影が終了したのちに、X線管保持装置12は、異常画像が撮影された撮影位置である撮影位置Ycに戻る。その場合、撮影位置Yf乃至Ydを経由することになるが、撮影位置Yf乃至Ydにおいて撮影されたX線画像は正常画像であるため、再度のX線画像の撮影は行わない。
時間t7乃至t9に対応する撮影位置Yf乃至YcにおいてはX線撮影を行わないことから、横線(-)が示されている。そして、時間t10において、X線管保持装置12が撮影位置Ycに到達する。撮影位置Ycに到達後、X線管保持装置12は、X線管12aによるX線照射を行って、X線画像を撮影する。図9の例においては、時間t10で撮影したX線画像は、正常画像であり、これが代替画像となる。
次に、図10に基づいて、本実施形態におけるX線診断装置1が実行する画像撮影処理について説明する。この図10は、本実施形態に係るX線診断装置1による画像撮影処理の一連の流れを説明するフローチャートを示す図である。この図10の画像撮影処理において、X線管保持装置12が順方向に移動を開始し(ステップS40)、撮影位置においてX線撮影を行い(ステップS42及びステップS44)、最後の撮影位置に到達したか否かの判断を行う処理(ステップS46)は、第1実施形態の図4におけるステップS10乃至ステップS14と同様である。
但し、本実施形態においては、上述のように、連続した一連のX線撮影の途中で、処理回路18のX線撮影機能18aが、X線撮影に異常を検出したとしても、X線管保持装置12の順方向への移動は停止させずに、最後の撮影位置までX線撮影を継続する。このため、最後の撮影位置に到達するまで、ステップS42からステップS46の処理を繰り返す(ステップS46:Yes)。そして、処理回路18のX線撮影機能18aは、ステップS44で撮影したX線画像が最後の撮影位置であった場合(ステップS46:Yes)には、X線管保持装置12に移動を終了する(ステップS48)。
次に、処理回路18の異常検出機能18bは、各撮影位置において、撮影されたX線画像に異常画像が存在するか否かを判断する(ステップS50)。例えば、X線撮影の際に異常を検出した場合には、処理回路18の異常検出機能18bは、その撮影位置を記憶しておく。なお、処理回路18の異常検出機能18bが、X線画像に基づいて、X線撮影の際に異常が発生したか否かを判断する場合には、必ずしも、異常を検出した撮影位置を記憶しておく必要はない。このステップS50において、例えば、画像記憶回路24bに記憶されているX線画像に基づいて、X線撮影の際に異常が発生したか否かを判断すればよい。
処理回路18の異常検出機能18bが異常画像は存在しないと判断した場合(ステップS50:No)、本実施形態におけるX線診断装置1による画像撮影処理は終了する。一方で、処理回路18の異常検出機能18bが、各撮影位置において撮影したX線画像に異常画像が存在すると判断した場合(ステップS50:Yes)には、処理回路18の代替画像取得機能18cは、異常が検出されたX線画像を撮影した撮影位置まで、X線管保持装置12を移動させる(ステップS52)。すなわち、処理回路18の代替画像取得機能18cは、X線管保持装置12を逆方向に移動させ、異常画像を撮影した撮影位置までX線管保持装置12を戻す。
そして、処理回路18の代替画像取得機能18cは、X線管保持装置12のX線管12aにX線を照射させ、X線撮影を行う(ステップS54)。なお、再度行ったX線撮影においても異常が検出された場合は、その撮影位置で正常な代替画像が撮影されるまで、ステップS50乃至ステップS54の各動作を繰り返す。また、複数の撮影位置でX線撮影の異常が検出された場合でも、そのすべての撮影位置で正常な代替画像が取得できるまで、ステップS50乃至ステップS54の各動作を繰り返す。そして、すべての撮影位置で撮影したX線画像が、正常画像となった場合(ステップS50:No)、本実施形態によるX線診断装置1による画像撮影処理は終了する。
なお、処理回路18の異常検出機能18bがX線撮影で異常が発生した否かを判断するタイミングや、その判断結果をどのような態様で記憶して保持しておくかは任意である。例えば、上述した画像撮影処理において、ステップS44のX線撮影の都度、処理回路18の異常検出機能18bは異常が発生したか否かを判断して、その判断結果を記憶しておくようにしてもよい。この場合、ステップS50では、その判断結果の中に、X線撮影で異常が検出されたことを示す判断結果が存在するか否かを判断する。
或いは、処理回路18の異常検出機能18bは、ステップS44におけるX線撮影の都度、管電圧に関する情報や、フィラメント電流に関する情報などを含むX線管12aの放電に関する情報をデータとして記憶しておく。そして、ステップS50において、処理回路18の異常検出機能18bは、この記憶している情報に基づいて、各撮影位置におけるX線撮影で異常が発生したか否かを判断してもよい。この場合でも、処理回路18の異常検出機能18bは、撮影したX線画像に基づく画像解析も利用して、各撮影位置のX線撮影で異常が発生したか否かを総合的に判断してもよい。
以上のように、本実施形態に係るX線診断装置1によれば、連続したX線画像の撮影において、X線撮影において異常が検出された場合でも、X線管保持装置12は順方向への移動を継続して各撮影位置におけるX線画像を撮影する。そして、最後の撮影位置における撮影が終了した後に、X線撮影に異常が検出された異常画像の代替となる代替画像を撮影するようにした。このため、移動機構26の特性として、X線撮影の異常を検出する都度停止したり、逆方向に戻ったりすると、X線管保持装置12の移動にむしろ時間を要してしまうような場合でも、効率的に代替画像の撮影を行うことができる。また、移動機構26の特性として、頻繁な停止や逆方向への移動が故障に繋がる恐れがあるような場合でも、故障の発生確率を低く抑えつつ、代替画像の取得を実現できる。
〔変形例〕
上述した第2実施形態においては、異常画像の代替画像を得るために、異常画像を撮影した撮影位置まで戻って、再度、X線撮影を行うこととしたが、このように再度、X線撮影するのではなく、前後のX線画像を用いて補間画像を生成し、この補間画像を代替画像とすることもできる。そこで、第2実施形態の変形例として、異常画像の代替画像として補間画像を用いるX線診断装置1について説明する。なお、以下では、上述した第2実施形態と異なる部分を説明する。
第2実施形態の変形例では、検出された異常画像の枚数が少数である場合には、その前後のX線画像で異常画像の代替となる代替画像が生成可能であること前提としている。すなわち、異常画像の1つ前のX線撮影によって得られたX線画像と、この異常画像の1つ後のX線撮影によって得られたX線画像とに基づいて、補間画像を生成し、この補間画像を代替画像とする。ここで、補間画像とは、異常画像が検出された前後のX線画像に対して、補間処理や画像処理を行うことによって生成された新たなX線画像である。
したがって、補間画像を代替画像として用いることができるような場合には、X線管保持装置12を異常画像が撮影された撮影位置に戻して再撮影する必要がなくなる。本変形例においては、例えば、処理回路18のX線撮影機能18aが、画像記憶回路24bに、一連の連続したX線撮影のX線画像を格納する。このため、処理回路18の代替画像取得機能18cは、画像記憶回路24bに記憶された異常画像の前後に撮影されたX線画像を読み出し、補間処理や画像処理を行うことによって、補間画像を生成する。
上述した図7を例として用いると、X線管保持装置12による4回目のX線撮影により撮影されたX線画像が異常画像であるので、本変形例では、3回目及び5回目のX線撮影による2枚のX線画像を用いて、4回目のX線撮影の補間画像を生成する。そして、生成された補間画像を代替画像として利用することにより、図8に示すような、再度のX線撮影は行わない。
なお、この変形例においては、異常画像を必ずしも補間画像で代替できるとは限らない。例えば、異常画像の次に撮影したX線画像も異常画像であるような場合もあり得る。或いは、異常画像が、連続する複数のX線撮影の最初のX線画像であったり、最後のX線画像であったりするような場合には、そもそも異常画像を補間しようがない。このように、異常画像を代替する補間画像を生成できないような場合には、上述した第2実施形態と同様に、再度、X線管保持装置12を異常が検出された撮影位置まで戻して、再度のX線撮影を行う必要がある。
次に、第2実施形態の本変形例に係るX線診断装置1が実行する画像撮影処理の一連の流れを、図11に示すフローチャートに基づいて説明する。この図11に示す画像撮影処理においては、画像撮影処理が開始され、X線管保持装置12が移動を開始(ステップS40)してから、最後の撮影位置における撮影終了後に異常画像の存在を確認する(ステップS50)までの処理は、第2実施形態と同様である。
そして、ステップS50において、撮影されたX線画像に異常画像が存在する場合(ステップS50:Yes)には、処理回路18の代替画像取得機能18cは、その異常画像を補完することが可能であるか否かを判断する(ステップS60)。すなわち、異常画像の前後のX線画像を用いて、異常画像を代替する補完画像の生成が可能であるかどうかを判断する。
異常画像が補間可能と判断した場合(ステップS60:Yes)には、処理回路18の代替画像取得機能18cは、前後のX線画像から補完画像を生成して、この補完画像を異常画像の代替画像とした上で、この画像撮影処理は終了する。一方で、補間可能ではないと判断された場合(ステップS60:No)には、第2実施形態と同様に、処理回路18の代替画像取得機能18cは、異常が検出されたX線画像を撮影した撮影位置まで、X線管保持装置12を戻した上で(ステップS52)、X線撮影を再び行う(ステップS54)。
そして、補間画像又は再撮影による異常画像の代替画像が取得出来るまで、ステップS50、ステップS60及びステップS52の処理を繰り返す。そして、異常画像が存在しなくなった場合(ステップS50:Yes)、又は、異常画像があっても補間画像で補間できる場合(ステップS60:Yes)には、本変形例による画像撮影処理は終了する。
以上のように、本変形例に係るX線診断装置1によれば、異常画像が撮影された場合でも、その異常画像の前後のX線画像に基づいて補間画像を生成できる場合には、再撮影を行うことなく、補間画像を代替画像として用いることとした。このため、X線撮影に異常が発生したとしても、再撮影に要する時間を省くことができ、被検体Pの被ばく量も低減することができる。
〔第3実施形態〕
上述した第2実施形態に係るX線診断装置1においては、X線撮影において異常が検出された場合でも、それ以降の各撮影位置におけるX線撮影を継続して行っていたが、第3実施形態に係るX線診断装置1においては、X線撮影において異常が検出された場合、それ以降の各撮影位置におけるX線撮影を停止し、X線管保持装置12は最後の撮影位置まで移動した上で、異常が検出された撮影位置まで戻りながら、X線撮影を行うようにしている。以下、上述した第1実施形態及び第2実施形態と異なる部分を説明する。
図12及び図13は、第3実施形態に係るX線診断装置1によるX線撮影の動作を説明する説明図を示しており、上述した第2実施形態における図7及び図8にそれぞれ対応している。これら図12及び図13においても、上述した第2実施形態と同様に、4回目の撮影位置におけるX線撮影において異常が検出された場合を例示している。
まず、図12に示すように、本実施形態に係るX線診断装置1では、連続する複数のX線撮影の途中でX線撮影に異常が検出された場合でも、第2実施形態と同様に、X線管保持装置12は停止することなく最後の撮影位置まで移動する。一方で、本実施形態に係るX線診断装置1では、異常が検出された撮影位置である4回目以降の撮影位置、すなわち5回目から7回目の撮影位置においては、X線画像を撮影しない。すなわち、X線管保持装置12のX線管12aは、異常が検出された以降、X線管保持装置12が最後の撮影位置に移動するまでX線照射を行わない。
このため、X線管保持装置12が移動している間に、X線診断装置1は再撮影に必要な準備を行うことができる。例えば、再撮影に必要な管電圧やフィラメント電流などを高電圧発生器14が発生させ、X線管保持装置12のX線管12aに供給することができる。
X線管保持装置12が最後の撮影位置に到達し、X線診断装置1が再撮影を行う準備が整った後に、X線管保持装置12は、これまで移動して来た方向と逆方向に向けて移動を開始する。図13の例においては、最後の撮影位置から4回目の撮影位置に向けた方向に移動を開始する。
そして、X線管保持装置12は、逆方向に移動しながら、各撮影位置でX線撮影を行う。図13の例においては、最後の撮影位置から、異常が検出された4回目の撮影位置に至るまで、連続した4回のX線照射を行う。これにより、異常画像が検出された撮影位置における代替画像と、撮影を行っていない撮影位置におけるX線画像を取得することが出来る。
次に、図14のヒストグラムを用いて、本実施形態における、撮影位置と経過時間の関係を説明する。この図14においては、第2実施形態と同様に、マル印(●)が正常画像、バツ印(×)が異常画像、横線(-)が撮影しないことを示している。図14の例では、時間t1及びt2に撮影位置Ya及びYbにて撮影されたX線画像は正常画像であり、時間t3の撮影位置Ycにて撮影されたX線画像は異常画像である。
本実施形態においては、異常画像を検出した以降の撮影位置では撮影を行わない。したがって、時間t4乃至t6における撮影位置Yd乃至Yfでは、横線(-)が図示されている。つまり、X線管保持装置12が最後の撮影位置Yfまで到達した時点では、異常が検出された撮影位置Ycと、それ以降の撮影位置Yd乃至YfにおけるX線画像は、取得されていない。
このため、X線管保持装置12は、最後の撮影位置Yfに到達した後、これまでと逆方向に進み、撮影位置Yf、撮影位置Ye、撮影位置Yd、撮影位置Ycの順に、X線撮影を行う。つまり、異常画像が撮影された撮影位置まで戻りながら、X線撮影を行う。そして、いずれの撮影位置においても正常画像が撮影されたため、表示画像を生成するのに必要なすべてのX線画像が取得されたことが示されている。
次に、図15に基づいて、本実施形態に係るX線診断装置1による画像撮影処理を説明する。この図15は、本実施形態に係るX線診断装置1が実行する画像撮影処理の一連の流れを説明するフローチャートを示す図である。この図15において、画像撮影処理が開始されて、X線管保持装置12が移動を開始し(ステップS10)、撮影位置においてX線画像を撮影し(ステップS12及びステップS14)、X線撮影で異常が発生したか否かを判断する処理(ステップS16)までは、上述した第1実施形態と同様である。
そして、ステップS16において、処理回路18の異常検出機能18bが、ステップS14で撮影したX線画像が異常画像ではない、つまり正常画像であると判断した場合(ステップS16:No)には、処理回路18のX線撮影機能18aは、ステップS14におけるX線撮影が最後の撮影位置であるか否かを判断する(ステップS70)。そして、ステップS14におけるX線撮影が最後の撮影位置であった場合(ステップS70:Yes)には、この画像撮影処理を終了する。
一方、ステップS14におけるX線撮影が最後の撮影位置でなかった場合(ステップS70:No)には、上述したステップS12に戻り、X線管保持装置12の順方向への移動を継続する。
これに対して、ステップS16において、処理回路18の異常検出機能18bが、ステップS14で撮影したX線画像が異常画像であると判断した場合(ステップS16:Yes)には、処理回路18のX線撮影機能18aは、X線画像の撮影を停止させる(ステップS72)。そして、処理回路18のX線撮影機能18aは、X線画像の撮影は停止させたまま、X線管保持装置12を最後の撮影位置まで移動する(ステップS74)。
そして、最後の撮影位置に到達した後、処理回路18の代替画像取得機能18cは、X線管保持装置12の移動方向を反転させ、逆方向への移動を開始させる(ステップS76)。上述したように、再撮影に必要な準備については、ステップS72乃至ステップS76までの間に行っておくことができる。すなわち、ステップS76にて、X線管保持装置12が移動を開始するまでに、X線管12aを撮影できる状態にすることができる。
そして、撮影をしていない撮影位置に到達したか否かの判断(ステップS78)を行い、撮影位置に到達した場合にX線撮影(ステップS80)を行い、撮影したX線画像が異常画像であるか否かの判断(ステップS82)を行い、その撮影位置が最後の撮影位置であるか否かの判断(ステップS84)を行う。これらステップS78乃至ステップS84は、上述したステップS12乃至ステップS70と同様である。そして、ステップS84において、最後の撮影位置と判断された場合、つまり、異常画像が撮影された撮影位置でX線撮影を行った場合、この画像撮影処理は終了する。
以上のように、本実施形態に係るX線診断装置1よれば、異常検出機能18bがX線撮影において異常を検出した場合、それ以降のX線撮影を停止し、X線管保持装置12が最後の撮影位置に到達した後に、複数のX線撮影における最後の撮影位置から、異常画像の撮影位置まで戻りながら、X線撮影を行うこととした。このため、異常を検出した撮影位置から最後の撮影位置までX線管保持装置12が移動している間に、X線管12aにおける次のX線撮影の準備をすることができ、X線撮影を再び行う際の時間を短縮することができる。
〔第4実施形態〕
第4実施形態においては、X線撮影の際に異常が検出された場合、その撮影位置で再びX線撮影をするのではなく、異常画像の次のX線撮影の撮影位置におけるX線撮影の絞り開度を調整し、異常画像の撮影領域を包含するようにX線撮影を行うようにしている。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
図16は、本実施形態に係るX線診断装置1によるX線撮影の動作を説明する説明図であり、上述した第1実施形態における図2に対応する図である。この図16に示すように、本実施形態に係るX線診断装置1においては、処理回路18のX線撮影機能18aは、X線撮影において異常が検出された場合でも、X線管保持装置12の移動を継続させる。
そして、次の撮影位置において、処理回路18の代替画像取得機能18cは、異常画像の撮影領域を包含するように、X線絞り器12bの絞りの開度を調整する。すなわち、図16の例においては、4回目の撮影位置におけるX線撮影の際に異常が発生しているので、5回目の撮影位置において、本来の撮影領域である5回目の撮影領域に加えて、4回の撮影位置における撮影領域を包含するように、X線絞り器12bの絞りを調整する。そして、この調整を終えた後、X線撮影を行うことにより、異常が発生した撮影位置の撮影領域を包含するX線画像が代替画像として取得される。
異常が検出された撮影領域を包含するX線画像の撮影を終えた後、X線管保持装置12が、さらに次の6回目の撮影位置に到達する前に、処理回路18のX線撮影機能18aは、X線絞り器12bの絞り開度を当初の設定に戻す。その後、X線管保持装置12は最後の撮影位置に向けて移動を継続し、各撮影位置においてX線照射を行うことでX線画像を撮影する。
図17は、本実施形態に係るX線診断装置1におけるX線画像の連続撮影において、各撮影位置における撮影領域とX線絞り器12bの絞りとの関係を模式的に表した模式図である。すなわち、図17においては、図中の上方から下方に向けて、X線撮影が連続的に行われることを表している。
この図17では、撮影位置Yaから撮影位置Ylの全部で12カ所の撮影位置があり、X線撮影の異常が、撮影位置Yfで発生した事例を示している。この場合、本実施形態に係るX線診断装置1においては、異常が発生した撮影位置Yfの次の撮影位置である撮影位置Ygにて、X線絞り器12bの絞りが調整される。すなわち、撮影位置Ygでは、X線絞り器12bの絞りを開いて、前の撮影領域である撮影位置Yfの撮影領域を包含するように、撮影領域を設定する。つまり、撮影位置Ygでは、撮影位置Ygの本来の撮影領域と、前の撮影位置Yfの撮影領域との双方を含むX線撮影を行う。このように撮影されたX線画像が、異常が検出された撮影位置Yfの代替画像となり、撮影位置YgのX線画像ともなる。
そして、異常画像が撮影されたしまった撮影領域を含む広い撮影領域の撮影が完了した後、処理回路18のX線撮影機能18aは、X線絞り器12bの絞り開度を当初に設定された開度に戻し、最後の撮影位置Ylに至るまで、当初の絞り開度にてX線画像の撮影を行う。
図18は、撮影位置と経過時間の関係を示すヒストグラムであり、上述した第1実施形態の図3に対応する図である。この図18においては、第1実施形態と同様に、図中の記号である、マル印(●)は正常画像を示し、バツ印(×)は異常画像を示し、三角印(▲)は、その撮影位置では異常画像を包含する広い領域の正常画像が撮影されたことを示している。
この図18の例においては、時間t1乃至t2、t5乃至t6の撮影位置Ya乃至Yb、Ye乃至Yfで撮影されたそれぞれのX線画像は正常画像であることを図示しており、時間t3の撮影位置Ycで撮影されたX線画像は異常画像であることを図示している。そのため、異常が検出された撮影位置Ycで撮影すべきであった撮影領域を包含するように、撮影位置Ydでは、X線撮影が行われる。
次に、図19に基づいて、本実施形態に係るX線診断装置1が実行する画像撮影処理について説明する。図19は、本実施形態に係るX線診断装置1が実行する画像撮影処理の一連の流れを説明するフローチャートを示す図である。この図19の画像撮影処理においては、X線管保持装置12が移動を開始し(ステップS10)、撮影位置においてX線管保持装置12が撮影を行い(ステップS12及びステップS14)、X線撮影の際に異常が発生したか否かの判断をする処理(ステップS16)までは、第1実施形態と同様である。
そして、ステップS16において、処理回路18の異常検出機能18bが、X線撮影において異常を検出した場合(ステップS16:es)には、処理回路18の代替画像取得機能18cは、X線絞り器12bの絞り開度を調整する(ステップS80)。すなわち、上述のように、異常が検出された次の撮影位置において撮影するX線画像の撮影領域に、異常画像の撮影領域が包含されるように、X線絞り器12bを調整する。
そして、X線絞り器12bの絞り開度の調整が完了した後、上述したステップS14に戻り、次の撮影位置においてX線画像の撮影を実施する(ステップS14)。これにより、処理回路18の代替画像取得機能18cは、前の撮影位置で撮影されるべきであった撮影領域の代替画像を取得することができる。また、処理回路18のX線撮影機能18aは、この撮影により、本来撮影すべき撮影領域のX線画像も取得できる。
一方で、ステップS16において、処理回路18の異常検出機能18bが異常を検出しなかった場合(ステップS16:No)には、撮影を行った撮影位置が最後の撮影位置か否かを判断し(ステップS20)、最後の撮影位置でなかった場合(ステップS20:No)には上述したステップS12に戻り、最後の撮影位置であった場合(ステップS20:Yes)には、X線管保持装置12の移動を終了する(ステップS22)。これらステップS20及びステップS22の処理は、上述した第1実施形態と同様である。
以上のように、本実施形態に係るX線診断装置1によれば、異常画像が撮影された場合には、その次のX線撮影の撮影位置におけるX線撮影の絞り開度を調整して、異常画像にける撮影領域を包含するように、次のX線撮影の撮影を行うこととした。このため、被検体Pの被ばく量の増加を極力抑制して、代替画像を取得することができる。また、X線撮影の回数を増加させないため、X線撮影に異常が発生した場合の撮影時間を、異常が発生しなかった場合の撮影時間と同等とすることができる。
〔第5実施形態〕
第5実施形態においては、トモシンセシス撮影や長尺撮影などの連続撮影において異常が検出された場合に、この連続撮影に先立ち撮影した透視画像から、異常画像における撮影領域を切り出し、この切り出した透視画像を代替画像として用いて、表示画像を生成するようにしている。以下、上述した第2実施形態と異なる部分を説明する。
図20及び図21は、本実施形態に係るX線診断装置1によるX線撮影の動作を説明する説明図であり、上述した第2実施形態における図7及び図8に対応する図である。本実施形態に係るX線撮影と、異常が発生したX線撮影による異常画像に代替される代替画像の取得手法を、図20及び図21に基づいて説明する。
図20に示すように、トモシンセシス撮影や長尺撮影などを行う場合には、被検体Pのポジショニングを決定するために、透視撮影を行うことがある。すなわち、この透視撮影を行うことにより、被検体Pに対する撮影位置や、撮影領域、撮影の回数などを決定する。この透視撮影では、例えば、X線管12aから弱いX線照射を行い、被検体Pの骨の位置や臓器のおよその位置を確認する。X線診断装置1に仕様によっては、この透視撮影の際の画像、つまり透視画像が、例えば、画像記憶回路24bに格納されて保持される。そこで、本実施形態に係るX線診断装置1においては、この画像記憶回路24bに格納されている透視画像を利用して、異常画像の代替画像を生成する。
図21に示す例では、第2実施形態の図7と同様に、複数のX線照射のうち、4回目の撮影位置におけるX線撮影にて、異常検出機能18bにより異常が検出されている。本実施形態では、異常が検出された場合においても、X線管保持装置12は5回目以降の撮影位置へ移動を継続し、最後の撮影位置に到達するまでX線画像の撮影を継続する。そして、最後の撮位置におけるX線撮影を終えた後に、画像記憶回路24bに記憶されている透視画像を用いて、4回目の撮影位置における代替画像を取得する。
図22は、本実施形態に係るX線診断装置1におけるX線画像の連続撮影において、各撮影位置において撮影されたX線画像と、画像記憶回路24bに記憶されている透視画像との位置的な対応関係を模式的に表した模式図である。この図22において、左側が連続撮影により撮影されたX線画像の模式図であり、右側が連続撮影に先立ち被検体Pのポジショニングのため撮影された透視画像の模式図である。
この図22においては、透視画像において撮影した撮影領域が、連続撮影により撮影された撮影領域と等しくなるように、透視画像を図示している。図の左側に示す連続撮影の撮影領域においては、第2実施形態の図17と同様に、撮影位置Yaから撮影位置Ylの12カ所の撮影位置があり、X線撮影の異常が、撮影位置Yfで発生した事例を示している。このため、本実施形態においては、連続撮影のすべてが終了した後に、撮影位置Yfで撮影されたX線画像、すなわち、異常画像を、透視画像から切り出した代替画像で置き換える。つまり、異常画像の撮影領域と同じ撮影領域を、透視画像から切り出して、この切り出した透視画像を代替画像として用いて、表示画像を生成する。
一般に、透視画像から切り出した画像の画質は、連続撮影されたX線画像の画質よりも、劣ることが多い。このため、切り出した透視画像をそのまま代替画像とするのではなく、画質調整をしてから代替画像とするようにしてもよい。すなわち、連続撮影されたX線画像における異常画像の前のX線画像と異常画像の後のX線画像の画質に、切り出した透視画像の画質を合わせる画像処理を行い、この処理後の画像を代替画像としてもよい。
図23は、撮影位置と経過時間との関係を示すヒストグラムであり、上述した第1実施形態の図3に対応する図である。この図23においては、第1実施形態と同様に、図中の記号である、マル印(●)は正常画像を示し、バツ印(×)は異常画像を示している。本実施形態においては、透視画像から異常画像の代替となる代替画像を切り出すため、X線管保持装置12による再撮影は行わない。図23が示す例では、時間t3の撮影位置Ycにおいて異常画像が撮影されるが、その場合でも、最後の撮影位置である撮影位置Yfにおいて撮影が完了し、X線管保持装置12は移動を停止する。
次に、図24に基づいて、本実施形態に係るX線診断装置1が実行する画像撮影処理について説明する。図24は、本実施形態に係るX線診断装置1が実行する画像撮影処理の一連の流れを説明するフローチャートを示す図である。画像撮影処理が開始されると、処理回路18のX線撮影機能18aは、連続撮影に先立ち、被検体Pのポジショニングのために、透視画像を撮影する(ステップS90)。すなわち、X線管保持装置12のX線管12aからX線が照射され、トモシンセシス撮影や長尺撮影における撮影領域を包含するような透視画像が生成され、これが画像記憶回路24bに記憶される。
次に、処理回路18のX線撮影機能18aは、連続撮影を開始するためにX線管保持装置12の順方向への移動を開始し(ステップS40)、複数のX線撮影を最後の撮影位置まで連続的に行い、X線管保持装置12の移動を終了する(ステップS48)。これらステップS40からステップS48までの処理は、上述した第2実施形態と同様である。
そして、ステップS50において、上述した第2実施形態と同様に、連続撮影されたX線画像の中に異常画像があるか否かを判断する(ステップS50)が、異常画像があった場合(ステップS50:Yes)には、処理回路18の代替画像取得機能18cは、透視画像で補間をする(ステップS92)。すなわち、処理回路18の代替画像取得機能18cは、画像記憶回路24bから透視画像を読み出して、異常画像の撮影領域と同じ領域を透視画像から切り出す。処理回路18の代替画像取得機能18cは、この切り出した透視画像を代替画像として用いる。或いは、処理回路18の代替画像取得機能18cは、この切り出した画像を上述した画質を調整する画像処理を行った上で、代替画像として用いる。
ステップS50において、連続撮影されたX線画像の中に異常画像がなかった場合、又は、すべての異常画像を代替画像で代替し終えた場合(ステップS50:No)には、この画像撮影処理を終了する。そして、処理回路18の表示画像生成機能18dは、連続撮影された複数のX線画像、或いは、代替画像が含まれている複数のX線画像に基づいて、表示画像を生成する。
以上のように、本実施形態に係るX線診断装置1によれば、X線撮影の際に異常が検出された場合でも再撮影を行うことなく、透視画像から補間画像である代替画像を取得するようにした。そのため、再撮影による被検体Pへの新たな被ばくを回避することができるとともに、再撮影を行うための時間を不要にすることができる。
〔第6実施形態〕
第6実施形態に係るX線診断装置1においては、連続撮影により撮影された複数のX線画像から生成された表示画像に基づいて、ユーザが、X線撮影の際に異常が発生した異常画像の範囲をX線診断装置1に入力し、X線診断装置1は、入力された異常画像の撮影領域について、再度、X線撮影を行う。以下、上述した第2実施形態と異なる部分を説明する。
図25及び図26は、第2実施形態における図7及び図8と同様に、第2実施形態に係るX線診断装置1によるX線撮影の動作の説明図を示している。この図25及び図26においても、上述した第2実施形態と同様に、連続撮影の途中の撮影位置において異常があった場合、最後の撮影位置におけるX線撮影が終わった後に、その異常があった撮影位置で再撮影を行う。
但し、上述した第2実施形態では、異常の発生を異常検出機能18bにてX線診断装置1が自律的に検出して再撮影を行っていたが、本実施形態では、連続撮影が終了した後、処理回路18の表示画像生成機能18dにより表示画像を生成し、この表示された表示画像に基づいて、ユーザが異常画像の範囲を入力回路22を介して入力することにより、異常画像の撮影領域における再撮影が行われる。このため、本実施形態においては、処理回路18の異常検出機能18bは、省略することもできる任意の機能である。換言すれば、このような態様では、処理回路18は異常検出機能18bに代えて、ユーザに異常画像の範囲を入力させる異常画像範囲入力機能を備えていると言える。
一方で、処理回路18が異常検出機能18bを備えていても、この異常検出機能18bにより異常が検出されずとも、実は、正常なX線撮影が行われていない場合もある。これは、ユーザが、ディスプレイ20に表示された表示画像を見て、初めて判明する。そこで、本実施形態では、ユーザがディスプレイ20に表示された表示画像に基づいて、異常画像を見極めて、X線診断装置1に再撮影を指示する。図26では、ユーザが入力した異常画像の範囲に基づいて、再撮影を行っているX線管保持装置12を示している。このような態様では、処理回路18の異常検出機能18bは、ユーザに異常画像の範囲を入力させる異常画像範囲入力機能を備えていると言える。
図27は、撮影位置と経過時間の関係を示すヒストグラムであり、上述した第2実施形態の図9に対応する図である。この図27においても、時間t3の撮影位置Ycで撮影されたX線画像が異常画像であることが図示されている。本実施形態においては、この撮影位置Ycで撮影されたX線画像が異常画像であることが、ディスプレイ20に表示された表示画像に基づいて、ユーザが異常画像の範囲をX線診断装置1に入力することにより、特定される。
このユーザの入力に基づいて、X線管保持装置12は異常画像と判定された撮影領域に対応する撮影位置へ移動し、X線管12aがX線を照射し再撮影を行う。図27が示す例では、異常画像に対応する撮影位置は撮影位置Ycであるので、撮影位置YcでX線撮影を行う。その一方で、正常画像に対応する撮影位置である撮影位置Yf乃至Ydでは再撮影は行わず、X線管保持装置12は単に通過するだけである。
次に、図28に基づいて、本実施形態におけるX線診断装置1が実行する画像撮影処理について説明する。この図28は、X線診断装置1が実行する画像撮影処理の一連の流れを説明するフローチャートを示す図である。この図28に示すように、画像撮影処理が開始され、最後の撮影位置までX線画像の撮影をするまでの動作は、第2実施形態と同様である(ステップS40乃至ステップS48)。
ステップS48にてX線管保持装置12の移動が終了すると、処理回路18の表示画像生成機能18dは、ユーザへ表示する表示画像を生成し、表示する(ステップS100)。すなわち、連続撮影された複数のX線画像に基づいて表示画像を生成する。上述したように、例えば、連続撮影がトモシンセシス撮影の場合、複数のX線画像を再構成することにより、1枚の表示画像を生成する。また、連続撮影が長尺撮影である場合、複数のX線画像を結合することにより、1枚の表示画像を生成する。そして、生成された表示画像を、例えば、ディスプレイ20に表示する。このディスプレイ20に表示される表示画面の一例が、異常画像確認画面W10として、図29に例示されている。
この図29に示すように、この異常画像確認画面W10においては、生成された表示画像とともに、「再度撮影が必要なコマがありましたら、該当するコマをタッチして下さい」というメッセージが表示される。つまり、本実施形態では、この異常画像確認画面W10に表示された表示画像に基づいて、ユーザは異常画像があるか否かを判断し、もし異常画像がある場合には、その範囲を入力することができる。図29の例では、表示画像として、被検体Pの脚部の長尺画像がコマ毎に表示されている。
次に、図28に示すように、処理回路18の異常検出機能18bは、この異常画像確認画面W10において、異常画像が存在しない旨が入力されたか否かを判断する(ステップS102)。すなわち、異常画像確認画面W10の表示画像を見たユーザが異常画像は存在しないと判断した場合には、異常画像確認画面W10における「終了」ボタンをタッチする。図28に示すように、この「終了」ボタンがタッチされた場合、つまり異常画像が存在しない旨が入力された場合(ステップS102:Yes)には、この画像撮影処理は終了する。
一方、図28に示すように、異常画像が存在しない旨が入力されない場合(ステップS102:No)には、処理回路18の異常検出機能18bは、ユーザに、異常画像の位置を指定させる(ステップS104)。すなわち、図29の異常画像確認画面W10に表示された表示画像において、異常画像の撮影領域をユーザにタッチさせて、再撮影の撮影位置を入力させる。このため、この異常画像確認画面W10における表示画像が、本実施形態における異常画像範囲入力手段を構成している。
図29の例においては、長尺画像の表示画像に斜線が引かれているコマが異常画像であることを表している。このため、ユーザはこの斜線が引かれているコマをタッチすることにより、異常検出機能18bは異常を検出し、代替画像取得機能18cは斜線部のコマに対応する撮影位置を特定する。
次に、図28に示すように、処理回路18の代替画像取得機能18cは、ユーザに指定された異常画像の範囲に対応する撮影位置まで、X線管保持装置12を移動させ(ステップS106)、再度、X線撮影を行う(ステップS108)。このX線撮影により、ユーザが指定した異常画像を代替する代替画像が取得される。そして、上述したステップS102からを繰り返す。
以上のように、本実施形態に係るX線診断装置1においては、連続撮影により得られた複数のX線画像に基づいて表示画像を生成し、この表示された表示画像に基づいて、ユーザに異常画像の範囲を入力させることとした。このため、X線撮影の際に発生した異常の程度にかかわらず、最終的に得られた診断用の表示画像に基づいて、異常画像の有無をユーザが判断することができる。これにより、より診断に適した表示画像を得ることができる。
なお、このユーザによる異常画像の範囲を入力する機能は、上述した各実施形態のいずれのX線診断装置1にも、付加的に設けることができる。つまり、本実施形態は、上述した第1実施形態乃至第5実施形態のいずれに対しても、その変形例とすることができる。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。