以下、本発明の好ましい実施形態が、適宜図面が参照されながら説明される。なお、本実施形態は、本発明に係るワイヤ掛数切換装置を備えたクレーンの一態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様が変更されてもよいことは言うまでもない。
図1は、本発明の一実施形態に係るクレーン10が採用された作業車11の側面図である。図1は、作業車11及びクレーン10を模式的に示している。以下、図1が示す状態を基準として、作業車11の前後方向が定義される。つまり、図1の紙面左側が前方で、図1の紙面右側が後方である。また、作業車11を後方から見たときの右側及び左側に基づいて左右方向が定義される。つまり、図1の紙面手前から奥へ向かう方向が右で、図1の紙面奥から手前へ向かう方向が左である。また、前後方向及び左右方向に直交する方向が上下方向と定義される。
[作業車]
図1が示すように、作業車11は、典型的にはクレーン車両である。本実施形態では、作業車11は、走行用エンジンや操舵機構を含む自走装置と、油圧ポンプを含むアクチュエータ駆動装置と、アウトリガ装置15を含む接地安全装置とを備えている。
[クレーン]
図1が示すように、クレーン10は、旋回台13及びブーム装置14を備えている。旋回台13は、作業車11に搭載されている。旋回台13は、旋回用アクチュエータ(不図示)を介して作業車11に対して旋回する。
ブーム装置14は、後述するように長手方向101に伸縮自在となっている。ブーム装置14は、起伏シリンダ18を介して旋回台13に対して起伏可能な状態で連結されている。旋回台13に吊荷用ウインチ16が設けられている。吊荷用ウインチ16は、ドラム及び所要の長さの吊荷用ワイヤ17を備えている。吊荷用ワイヤ17は、ドラムに巻き込まれて保持されている。ドラムから引き出された吊荷用ワイヤ17は、ワイヤ掛数切換装置28に巻き掛けられ、吊り下げられている。吊荷用ワイヤ17の先端にフックブロック60が接続されている。フックブロック60に設けられたフック61に吊荷が吊された状態で吊荷用ウインチ16が作動すると、ドラムが駆動されて吊荷用ワイヤ17がドラムから繰り出されあるいは巻き取られ、いわゆる吊荷作業が行われる。
[旋回台]
図1が示すように、旋回台13は、上記旋回用アクチュエータ(典型的にはターンテーブル及び油圧モータ)を介して作業車11に連結されている。図示されていないが、旋回台13に、上記アクチュエータ駆動装置が配置されており、また、カウンターウエイト等も搭載可能とされている。
[ブーム装置]
図1が示すように、ブーム装置14は、テレスコピック構造を備え、ブーム本体25と、ブーム本体25を伸縮動作させる伸縮シリンダ(不図示)とを備えている。ブーム本体25は、特許請求の範囲に記載された「ブーム」の一例である。ブーム本体25は、複数のブームを備えている。複数のブームは、トップブーム21、中間ブーム22、及びベースブーム23である。複数のブームは、いわゆる閉断面を有する筒状部材からなり、いわゆる入れ子状に組み立てられている。ベースブーム23の収容空間に中間ブーム22が挿入されて収容され、中間ブーム22の収容空間にトップブーム21が挿入されて収容される。ベースブーム23に対して中間ブーム22が長手方向101にスライド自在となっており、かかる関係は、中間ブーム22とトップブーム21との間にも同様に成立している。
ベースブーム23の基端部は、旋回台13に連結されている。ベースブーム23の基端部は、図示されていない起伏中心ピンを介して旋回台13に回動可能に支持されている。起伏シリンダ18は、同図が示すように旋回台13とベースブーム23との間に介在されている。起伏シリンダ18が伸縮することにより、ベースブーム23ひいてはブーム本体25が起伏動作する。
[ワイヤ掛数切換装置]
図1が示すワイヤ掛数切換装置28は、吊荷作業におけるワイヤ掛数(吊荷用ワイヤ17の掛け数)を切り換える装置である。
図1が示すように、ワイヤ掛数切換装置28は、固定シーブブロック40と、遊動シーブブロック50と、フックブロック60と、連結機構70(図3(C)参照)とを備えている。
[固定シーブブロック]
図1が示すように、固定シーブブロック40は、トップブーム21の先端部20に固定されている。先端部20は、特許請求の範囲に記載された「ブーム先端部」の一例である。図2が示すように、固定シーブブロック40は、トップブーム21が中間ブーム22の収容空間に挿入された状態において、中間ブーム22の外部に位置している。
図2が示すように、固定シーブブロック40は、上下に延びた第1部分41と、第1部分41の下端部から所定方向(図2では前方斜め下)に延びた第2部分42とを備えている。第1部分41は、先端部20に固定されている。
図2及び図3(A)が示すように、固定シーブブロック40は、シーブ43、44、45、46、47を回転可能に支持している。詳細には、図3(A)が示すように、固定シーブブロック40は、左右方向に対向する一対の板状部材48を備えている。シーブ43、44、45、46、47は、一対の板状部材48の間において、一対の板状部材48によって回転可能に支持されている。なお、図3(A)では、一対の板状部材48によって軸39を中心として回転可能に支持されたシーブ44、45、46のみが示されており、シーブ43、47は省略されている。軸39の両端は、一対の板状部材48と連結されている。図2が示すように、シーブ43の軸37及びシーブ47の軸38も、一対の板状部材48と連結されている。
図2が示すように、シーブ43は、第1部分41の一端部によって支持されている。第1部分41の一端部は、ブーム本体25の長手方向101が水平方向であるときの第1部分41の上端部である(図2参照)。シーブ44、45、46は、第1部分41の他端部(図2では下端部)によって支持されている。図3(A)が示すように、シーブ44、45、46は、左右方向に並んで配置されている。左右方向において、シーブ46は、シーブ44、45の間に配置されている。シーブ46の直径は、シーブ44、45の直径より短い。図2が示すように、シーブ47は、第2部分42によって支持されている。
吊荷用ウインチ16のドラムから延びた吊荷用ワイヤ17が、シーブ43、44、45、46、47に掛け回されている。なお、吊荷用ワイヤ17のシーブ43、44、45、46、47への掛け回しは、後に詳細に説明される。
シーブ44、45は、特許請求の範囲に記載された「第1シーブ」の一例である。シーブ46は、特許請求の範囲に記載された「第3シーブ」の一例である。シーブ47は、特許請求の範囲に記載された「第4シーブ」の一例である。
固定シーブブロック40は、回転体49を備えている。回転体49は、第1部分41によって回転可能に支持されている。回転体49は、シーブ43との間に、吊荷用ワイヤ17を挟持する。
固定シーブブロック40は、平板状の回動部材36を備えている。回動部材36は、連結部材35を介して軸39と連結されており、軸39周りに回動可能である。回動部材36の下面34は、ブーム本体25の起伏角度にかかわらず、回動部材36の自重によって鉛直下方を向いている。
[遊動シーブブロック]
図1が示すように、遊動シーブブロック50は、吊荷用ワイヤ17を介して固定シーブブロック40と連結されている。遊動シーブブロック50は、固定シーブブロック40から吊荷用ワイヤ17によって吊り下げられている。遊動シーブブロック50は、固定シーブブロック40の下方に位置する。
図2及び図3(A)が示すように、遊動シーブブロック50は、左右方向に対向した一対の板状部材51と、シーブ52、53とを備えている。シーブ52、53は、特許請求の範囲に記載された「第2シーブ」の一例である。
シーブ52、53は、一対の板状部材51の間に位置している。シーブ52、53は、一対の板状部材51によって軸54周りに回転可能に支持されている。軸54の両端は、一対の板状部材51と連結されている。
一対の板状部材51は、シーブ52、53よりも下方において貫通孔55を2つずつ有している。図2が示すように、各板状部材51が有する2つの貫通孔55は、前後方向に並んで形成されている。図3(A)が示すように、各板状部材51の前側の貫通孔55は、互いに左右方向に対向している。各板状部材51の後側の貫通孔55は、互いに左右方向に対向している。
なお、一対の板状部材51は、板状部材56によって繋がれている。
[フックブロック]
図1が示すように、フックブロック60は、吊荷用ワイヤ17を介して固定シーブブロック40と連結されている。フックブロック60は、固定シーブブロック40から吊荷用ワイヤ17によって吊り下げられている。つまり、フックブロック60は、固定シーブブロック40の下方に位置する。フックブロック60は、遊動シーブブロック50より前方に位置する。上下方向に沿った視線において、フックブロック60と遊動シーブブロック50とは、重複していない。
図2及び図3(B)が示すように、フックブロック60は、一対の板状部材62と、板状部材63、64と、フック61とを備えている。
図3(B)が示すように、一対の板状部材62は、左右方向に対向している。板状部材63は、一対の板状部材62を繋いでいる。板状部材64は、一対の板状部材62の間に位置している。板状部材64は、板状部材63に繋がれている。
一対の板状部材62、及び板状部材64は、貫通孔65を2つずつ有している。図2が示すように、各板状部材62及び板状部材64が有する2つの貫通孔65は、前後方向に並んで形成されている。図3(B)が示すように、各板状部材62及び板状部材64の前側の貫通孔65は、左右方向に沿って並んでいる。各板状部材62及び板状部材64の後側の貫通孔65は、左右方向に沿って並んでいる。
図2及び図3(B)が示すように、フック61は、一対の板状部材62によって軸66周りに回動可能に支持されている。
[連結機構]
図3(C)が示すように、連結機構70は、遊動シーブブロック50に設けられた貫通孔55と、フックブロック60に設けられた貫通孔65と、連結ピン71とで構成されている。
連結ピン71は、棒状の部材である。以下に詳述するように、連結ピン71は、貫通孔55、65に挿通可能である。図3(A)が示すように、遊動シーブブロック50の下部には、シーブ52、53が存在していない空間が形成されている。フックブロック60の上部が、この空間に挿入可能である。フックブロック60の上部が遊動シーブブロック50の下部に挿入された状態において、貫通孔55と貫通孔65とが左右方向に並んだ状態となる。この状態において、図3(C)が示すように、連結ピン71が貫通孔55、65に挿入される。これにより、遊動シーブブロック50とフックブロック60とは連結される。なお、連結ピン71が抜かれることにより、遊動シーブブロック50とフックブロック60とは連結解除される。
なお、本実施形態において、連結ピン71は2本設けられている。連結ピン71の一方は、前側の貫通孔55、65に挿通される。連結ピン71の他方は、後側の貫通孔55、65に挿通される。
[吊荷用ワイヤの掛け回し]
図1が示すように、吊荷用ウインチ16のドラムから延び出た吊荷用ワイヤ17は、ベースブーム23の基端部からトップブーム21の先端部へ向けて長手方向101に沿って延びている。図1及び図2が示すように、吊荷用ワイヤ17は、トップブーム21の先端部20においてシーブ43に掛け回されている。
図2が示すように、シーブ43から延び出た吊荷用ワイヤ17(吊荷用ワイヤ171)は、シーブ44に掛け回されている(図3(A)参照)。図3(A)が示すように、シーブ44から延び出た吊荷用ワイヤ17(吊荷用ワイヤ172)は、シーブ52に掛け回されている。シーブ52から延び出た吊荷用ワイヤ17(吊荷用ワイヤ173)は、シーブ45に掛け回されている。シーブ45から延び出た吊荷用ワイヤ17(吊荷用ワイヤ174)は、シーブ53に掛け回されている。以上より、吊荷用ワイヤ17は、第1シーブ(シーブ44、45)及び第2シーブ(シーブ52、53)に交互に掛け回されている。
図3(A)が示すように、シーブ53から延び出た吊荷用ワイヤ17(吊荷用ワイヤ175)は、シーブ46に掛け回されている。シーブ46から延び出た吊荷用ワイヤ17(吊荷用ワイヤ176)は、シーブ47に掛け回されている(図2参照)。図2が示すように、シーブ47から延び出た吊荷用ワイヤ17(吊荷用ワイヤ177)は、フックブロック60に接続されている。つまり、シーブ46から延び出たワイヤが、シーブ47を介して、フックブロック60に接続されている。
上述したように、シーブ47は、第2部分42によって支持されている。一方、シーブ44、45、46は、第1部分41によって支持されている。つまり、シーブ47は、シーブ44、45、46から離反した位置に設けられている。これにより、シーブ47から延び出た吊荷用ワイヤ177と、シーブ44、45、46から下方へ延びた吊荷用ワイヤ172~176とは、互いに離反した位置となる。その結果、吊荷用ワイヤ177と、吊荷用ワイヤ172~176との干渉の可能性を低くすることができる。
以上のように、吊荷用ワイヤ17が各シーブに掛け回されていることにより、遊動シーブブロック50及びフックブロック60が共に空中にある状態(図1参照)で、吊荷用ワイヤ17のドラムからの繰り出しやドラムへの巻き取りが実行されたとき、遊動シーブブロック50がフックブロック60に対して相対的に変位(上昇や下降)する。このとき、遊動シーブブロック50及びフックブロック60のいずれが優先的に移動するかについては、後述される。
[掛け数と質量との関係]
遊動シーブブロック50の吊荷用ワイヤ17の掛け数nと、フックブロック60の質量m(kg)と、遊動シーブブロック50の質量M(kg)との間には、下記の(式1)の関係が満たされている。
遊動シーブブロック50の吊荷用ワイヤ17の掛け数nは、遊動シーブブロック50と固定シーブブロック40との間に掛けられた吊荷用ワイヤ17の本数である。本実施形態では、図3(A)が示すように、遊動シーブブロック50と固定シーブブロック40との間に掛けられた吊荷用ワイヤ17は、4本(吊荷用ワイヤ172、173、174、175)である。よって、本実施形態において、遊動シーブブロック50の吊荷用ワイヤ17の掛け数nは4である。なお、遊動シーブブロック50の吊荷用ワイヤ17の掛け数nは4に限らない。例えば、遊動シーブブロック50が1つのシーブのみを備えている場合、当該1つのシーブから固定シーブブロック40へ延びる吊荷用ワイヤ17は、2本である。この場合、遊動シーブブロック50の吊荷用ワイヤ17の掛け数nは2である。
以下、上記の(式1)の導出が説明される。図1が示すように、遊動シーブブロック50及びフックブロック60が共に空中にある状態で、ドラムから吊荷用ワイヤ17が繰り出されたときにフックブロック60が遊動シーブブロック50よりも優先的に下降するように、且つ、ドラムへ吊荷用ワイヤ17が巻き取られたときに遊動シーブブロック50がフックブロック60よりも優先的に上昇するように、フックブロック60の質量m(kg)と、遊動シーブブロック50の質量M(kg)とが決定される。
図1が示す状態において、下記の(式2)が示す運動方程式が成立する。
(式2)において、T(N)は吊荷用ワイヤ17の張力であり、α(m/s
2)はフックブロック60の加速度であり、g(m/s
2)は重力加速度である。(式2)は、αとTについての連立方程式である。(式2)の連立方程式を解いてフックブロック60の加速度αを求めると、下記の(式3)のようになる。
ここで、図1が示すように、遊動シーブブロック50及びフックブロック60が共に空中にある状態で、ドラムから吊荷用ワイヤ17が繰り出されたときにフックブロック60が遊動シーブブロック50よりも優先的に下降し、且つ、ドラムへ吊荷用ワイヤ17が巻き取られたときに遊動シーブブロック50がフックブロック60よりも優先的に上昇するためには、フックブロック60の加速度α
が正の数である必要がある。つまり、(式3)に記載のように、α>0である必要がある。(式3)を構成するα以外の要素であるn、m、M、gは全て正の数である。そのため、α>0を満たすためには、(式3)の分子の括弧内がゼロより大きい必要がある。つまり、nm-M>0を満たす必要がある。この式を変形すると(式1)となる。なお、(式2)、(式3)において、乗算の記号「×」の記載は省略されている。
以上のようにして導出された(式1)の関係が満たされているため、図1が示すように、遊動シーブブロック50及びフックブロック60が共に空中にある状態で、ドラムから吊荷用ワイヤ17が繰り出されたときにフックブロック60が遊動シーブブロック50よりも優先的に下降し、且つ、ドラムへ吊荷用ワイヤ17が巻き取られたときに遊動シーブブロック50がフックブロック60よりも優先的に上昇する。
[吊荷用ワイヤの掛け数の切換動作]
以下、図4~図6が参照されつつ、吊荷用ワイヤ17の掛け数の切換動作が説明される。本実施形態に係るクレーン10において、吊荷用ワイヤ17の掛け数は、1本と5本とで切換可能である。
フックブロック60が遊動シーブブロック50と連結されているとき(図3(C)参照)、図4(A)が示すように、フックブロック60及び遊動シーブブロック50と、固定シーブブロック40とは、5本の吊荷用ワイヤ17によって連結されている。このときの吊荷用ワイヤ17の掛け数は5本である。
一方、図1が示すように、フックブロック60が遊動シーブブロック50と連結されていないとき、フックブロック60と固定シーブブロック40とは、1本の吊荷用ワイヤ17によって連結されている。このときの吊荷用ワイヤ17の掛け数は1本である。
最初に、吊荷用ワイヤ17の掛け数が、5本から1本へ切り換えられるときの動作が説明される。
遊動シーブブロック50とフックブロック60とが連結された状態において、吊荷用ワイヤ17がドラムから繰り出される。これにより、フックブロック60が、遊動シーブブロック50と一体に下降する。吊荷用ワイヤ17のドラムから繰り出しは、図4(A)が示すように、フックブロック60が地面に接するまで実行される。
次に、連結ピン71(図3(C)参照)が、作業者によって貫通孔55、65から抜かれる。これにより、図4(B)が示すように、遊動シーブブロック50とフックブロック60との連結が解除される。
次に、吊荷用ワイヤ17がドラムに巻き取られる。これにより、図5(A)が示すように、遊動シーブブロック50が上昇する。(式1)の関係が満たされているために、遊動シーブブロック50がフックブロック60よりも優先的に上昇するからである。
図5(B)が示すように、遊動シーブブロック50が下方から回動部材36の下面34に当接すると、遊動シーブブロック50の上昇は停止する。なお、上述したように、下面34は、ブーム本体25の起伏角度にかかわらず、回動部材36の自重によって鉛直下方を向いている。そのため、下面34に当接した遊動シーブブロック50の姿勢も、ブーム本体25の起伏角度にかかわらず同一姿勢(図3が示すように一対の板状部材51が上下方向に沿って延びた姿勢)である。
図5(B)が示す状態において、吊荷用ワイヤ17がドラムに巻き取られると、図6(A)が示すように、フックブロック60が上昇する。(式1)の関係が満たされているために、本来、遊動シーブブロック50がフックブロック60よりも優先的に上昇するのであるが、遊動シーブブロック50は回動部材36に遮られて上昇できないために、フックブロック60が上昇するのである。遊動シーブブロック50が下方から回動部材36に当接し且つフックブロック60が空中に位置する状態において、吊荷用ワイヤ17がドラムから繰り出されると、フックブロック60が下降する。(式1)の関係が満たされているために、フックブロック60が遊動シーブブロック50よりも優先的に下降するからである。
以上のように、遊動シーブブロック50が下方から回動部材36の下面34に当接した状態において、吊荷用ワイヤ17のドラムからの繰り出しによってフックブロック60が下降し、吊荷用ワイヤ17のドラムへの巻き取りによってフックブロック60が上昇する。このとき、フックブロック60と固定シーブブロック40とは、1本の吊荷用ワイヤ17によって連結されている。つまり、吊荷用ワイヤ17の掛け数は1本である。すなわち、遊動シーブブロック50とフックブロック60との連結が解除されており、遊動シーブブロック50が下方から回動部材36の下面34に当接した状態において、クレーン10は、吊荷用ワイヤ17の掛け数が1本のものとして機能する。
次に、吊荷用ワイヤ17の掛け数が、1本から5本へ切り換えられるときの動作が説明される。
図6(A)が示すように、遊動シーブブロック50とフックブロック60との連結が解除され、且つ、遊動シーブブロック50が下方から回動部材36の下面34に当接した状態において、吊荷用ワイヤ17がドラムから繰り出されると、フックブロック60が単体で下降する。吊荷用ワイヤ17のドラムから繰り出しは、図5(B)が示すように、フックブロック60が地面に接するまで実行される。
図5(B)が示すように、フックブロック60が地面に当接すると、フックブロック60の下降は停止する。この状態において、吊荷用ワイヤ17がドラムから繰り出されると、図5(A)が示すように、遊動シーブブロック50が下降する。(式1)の関係が満たされているために、本来、フックブロック60が遊動シーブブロック50よりも優先的に下降するのであるが、フックブロック60は地面に遮られて下降できないために、遊動シーブブロック50が下降するのである。
図4(B)が示すように、遊動シーブブロック50が地面付近にまで下降すると、作業者によってフックブロック60の上部が遊動シーブブロック50の下部に挿入される。このとき、貫通孔55と貫通孔65とが左右方向に並んだ状態とされる。次に、連結ピン71(図3(C)参照)が作業者によって貫通孔55、65に挿通される。これにより、遊動シーブブロック50とフックブロック60とが連結される(図4(A)参照)。
図4(A)が示す状態において、吊荷用ワイヤ17がドラムに巻き取られると、フックブロック60は遊動シーブブロック50と一体に上昇する(図6(B)参照)。図6(B)に示される状態において、吊荷用ワイヤ17がドラムから繰り出されると、フックブロック60は遊動シーブブロック50と一体に下降する。このとき、フックブロック60及び遊動シーブブロック50と固定シーブブロック40とは、5本の吊荷用ワイヤ17によって連結されている。つまり、吊荷用ワイヤ17の掛け数は5本である。すなわち、遊動シーブブロック50とフックブロック60とが連結された状態において、クレーン10は、吊荷用ワイヤ17の掛け数が5本のものとして機能する。
[実施形態の作用効果]
フックブロック60が遊動シーブブロック50に連結されているとき、ワイヤ掛け数は、シーブ44、45及びシーブ52、53間の吊荷用ワイヤ17の本数と、シーブ47及びフックブロック60間の吊荷用ワイヤ17の本数との合計となる。一方、フックブロック60が遊動シーブブロック50に連結されていないとき、ワイヤ掛け数は、シーブ47及びフックブロック60間の吊荷用ワイヤ17の本数となる。このように、フックブロック60と遊動シーブブロック50との連結の有無により、ワイヤ掛け数が簡単に切り替わる。
(式1)が成立する限り、フックブロック60が遊動シーブブロック50に連結されておらず、且つ、遊動シーブブロック50が下方から先端部20に当接している状態で、吊荷用ワイヤ17が繰り出し或いは巻き取られた場合、遊動シーブブロック50が先端部20に当接したまま、フックブロック60が上下動する。つまり、本実施形態では、遊動シーブブロック50を先端部20に当接した状態に維持するための複雑な機構が不要である。
また、(式1)が成立する限り、フックブロック60が遊動シーブブロック50に連結されておらず、且つ、フックブロック60が接地された状態で、吊荷用ワイヤ17が繰り出されると、遊動シーブブロック50は下方へ移動する。
また、上記実施形態によれば、第1シーブ(上記実施形態ではシーブ44、45)及び第2シーブ(上記実施形態ではシーブ52、53)の数を増やすことでワイヤ掛け数が増える。
また、上記実施形態によれば、シーブ46とシーブ47が離反しているため、シーブ46の真下に位置する遊動シーブブロック50と、シーブ47の真下の位置するフックブロック60とが干渉する可能性が低くなる。
[変形例1]
上記実施形態では、連結機構は、遊動シーブブロック50に設けられた貫通孔55と、フックブロック60に設けられた貫通孔65と、連結ピン71とで構成されていた。しかし、連結機構の構成は、上記実施形態のような連結ピン71を備えた構成に限らず、公知の種々の構成が採用可能である。
例えば、図7及び図8が示すように、連結機構は、係合部81と、固定爪82と、固定解除部材83と、コイルバネ84とを備えるものであってもよい。係合部81は、特許請求の範囲に記載された「第1係合部」の一例である。コイルバネ84は、特許請求の範囲に記載された「弾性部材」の一例である。なお、以下では、上記実施形態と同構成の部分には上記実施形態と同じ符号が付された上でその説明が省略され、上記実施形態と異なる構成の部分が説明される。
図7が示すように、係合部81は、遊動シーブブロック50の一対の板状部材51の間の空間のうち、シーブ52、53より下方の部分である。フックブロック30の上部が、係合部81に対して挿入及び脱抜可能である。つまり、係合部81は、挿入されたフックブロック30が占める空間である。具体的には、係合部81は、図7において仮想破線72で囲まれた空間である。フックブロック30の上部が係合部81に挿入されることによって、フックブロック30及び係合部81は係合する。
固定爪82は、一対の板状部材51や板状部材56等によって、一対の板状部材51の対向方向(左右方向)に沿ってスライド自在に支持されている。固定爪82は2つ設けられている。各固定爪82は、一対の板状部材51の各々とコイルバネ84を介して連結されている。2つの固定爪82は、左右方向に対向している。
固定爪82は、その先端部が係合部81に進入した進入位置(図7及び図8(A)が示す位置)と、係合部81から退避した退避位置(図8(B)が示す位置)とに移動可能である。つまり、固定爪82は、係合部81に対して進退可能である。固定爪82は、係合部81に常時進入するようにコイルバネ84に付勢されている。換言すると、各固定爪82は、コイルバネ84によって自身と対向する相手方の固定爪82に近づく向き、つまり退避位置から進入位置へ向かう所定向き106の付勢力を受けている。
固定爪82は、その先端部の下面に傾斜面85を有している。傾斜面85は、特許請求の範囲に記載された「抗力面」の一例である。傾斜面85は、自身と対向する相手方の固定爪82から離れる向き、つまり進入位置から退避位置へ向かう反所定向き107に向かうに従って下方へ向かうように傾斜している。
固定解除部材83は、遊動シーブブロック50に設けられている。固定解除部材83は、歯車機構を備えている。歯車機構は、第1ラックギヤ86と、ピニオンギヤ87と、第2ラックギヤ88とを備えている。
第1ラックギヤ86は、一対の板状部材51や板状部材56等によって、遊動シーブブロック50に対して上下方向に沿ってスライド自在に支持されている。第1ラックギヤ86は、図8(A)が示す上位置と、図8(B)が示す下位置とにスライド可能である。第1ラックギヤ86は、不図示の付勢部材(例えばコイルバネ)によって上位置へ付勢されている。第1ラックギヤ86が上位置のとき、第1ラックギヤ86の上端部は、遊動シーブブロック50よりも上方へ突出している。第1ラックギヤ86は、各固定爪82に対応して設けられている。つまり、第1ラックギヤ86は、2つ設けられている。各第1ラックギヤ86の反所定向き107を向く面89には、ギヤが形成されている。
ピニオンギヤ87は、一対の板状部材51や板状部材56等によって、回転可能に支持されている。ピニオンギヤ87は、各第1ラックギヤ86及び各固定爪82に対応して設けられている。つまり、ピニオンギヤ87は、2つ設けられている。各ピニオンギヤ87は、対応する第1ラックギヤ86と噛合している。
第2ラックギヤ88は、固定爪82と一体化されている。第2ラックギヤ88は、各固定爪82の上面に形成されたギヤである。各第2ラックギヤ88は、対応するピニオンギヤ87と噛合している。
変形例1では、ブーム装置14は、フックブロック60の代わりにフックブロック30を備えている。フックブロック30は、2つの凹部31を備えている。2つの凹部31は、反所定向き107を向く2つの側面33の各々に1つずつ形成されている。なお、変形例1において、フックブロック30の質量はm(kg)である。
変形例1では、シーブ46から延び出た吊荷用ワイヤ17(吊荷用ワイヤ176)は、図7が示すように、フックブロック30に接続されている。つまり、変形例1では、吊荷用ワイヤ176は、シーブ47(図1参照)に掛け回されることなく、遊動シーブブロック50における一対の板状部材51の間を通って、フックブロック30に接続されている。この場合、固定シーブブロック40は、シーブ47を備えていなくてもよい。
以下、図9~図12が参照されつつ、変形例1における吊荷用ワイヤ17の掛け数の切換動作が説明される。変形例1に係るクレーン10において、吊荷用ワイヤ17の掛け数は、上記実施形態と同様に1本と5本とで切換可能である。つまり、フックブロック30が遊動シーブブロック50と連結されているときの吊荷用ワイヤ17の掛け数は5本であり、フックブロック30が遊動シーブブロック50と連結されていないときの吊荷用ワイヤ17の掛け数は1本である。
最初に、吊荷用ワイヤ17の掛け数が、5本から1本へ切り換えられるときの動作が説明される。
フックブロック30が遊動シーブブロック50と連結されているとき、図8(A)が示すように、進入位置の固定爪82が、係合部81と係合したフックブロック30の凹部31へ進入している。これにより、固定爪82とフックブロック30とが係合し、フックブロック30と遊動シーブブロック50とは連結される。
遊動シーブブロック50とフックブロック30とが連結された状態(図8(A)に示される状態)において、吊荷用ワイヤ17がドラムへ巻き取られる。吊荷用ワイヤ17のドラムへの巻き取りにより、図9(A)が示すように、フックブロック30が、遊動シーブブロック50と一体に上昇する。吊荷用ワイヤ17のドラムへの巻き取りは、図9(B)が示すように、遊動シーブブロック50が下方からトップブーム21の先端部20(詳細には、回動部材36の下面34)に当接するまで実行される。
遊動シーブブロック50が下方から回動部材36の下面34に当接する直前に、上位置の第1ラックギヤ86(図8(A)参照)の上端部が下面34に当接する。これにより、第1ラックギヤ86は、下面34に押されて、遊動シーブブロック50に対して上位置から下位置へスライドする(図8(B)参照)。第1ラックギヤ86の下方へのスライドにより、ピニオンギヤ87が回転する。ピニオンギヤ87の回転により、固定爪82は、コイルバネ84の付勢力に抗して進入位置から退避位置へ移動する(図8(B)参照)。つまり、固定解除部材83は、第1ラックギヤ86の下方へのスライドを固定爪82の反所定向き107へのスライドに変換し、フックブロック30に係合した固定爪82を係合部81から退避させる。これにより、固定爪82とフックブロック30との係合が解除され、フックブロック30と遊動シーブブロック50との連結が解除される。つまり、フックブロック30は、遊動シーブブロック50に対して相対的に変位可能となる。その後、フックブロック30が下方から回動部材36の下面34に当接する(図9(B)参照)。
図9(B)が示す状態において、吊荷用ワイヤ17がドラムから繰り出されると、遊動シーブブロック50は移動せずに、フックブロック30のみが下降する(図10(A)参照)。(式1)の関係が満たされているために、フックブロック30が遊動シーブブロック50よりも優先的に下降するからである。図10(A)が示す状態において、吊荷用ワイヤ17がドラムに巻き取られると、遊動シーブブロック50は移動せずに、フックブロック30のみが下降する。(式1)の関係が満たされているために、本来、遊動シーブブロック50がフックブロック30よりも優先的に上昇するのであるが、遊動シーブブロック50は回動部材36に遮られて上昇できないために、フックブロック30が上昇するのである。
以上のように、遊動シーブブロック50が下方から回動部材36の下面34に当接した状態において、吊荷用ワイヤ17のドラムからの繰り出しによってフックブロック30が下降し、吊荷用ワイヤ17のドラムへの巻き取りによってフックブロック30が上昇する。このとき、フックブロック30と固定シーブブロック40とは、1本の吊荷用ワイヤ17によって連結されている。つまり、吊荷用ワイヤ17の掛け数は1本である。すなわち、遊動シーブブロック50とフックブロック30との連結が解除されており、遊動シーブブロック50が下方から回動部材36の下面34に当接した状態において、クレーン10は、吊荷用ワイヤ17の掛け数が1本のものとして機能する。
次に、吊荷用ワイヤ17の掛け数が、1本から5本へ切り換えられるときの動作が説明される。
図10(A)が示す状態において、吊荷用ワイヤ17がドラムから繰り出される。これにより、フックブロック30が下降する。吊荷用ワイヤ17のドラムから繰り出しは、図10(B)が示すように、フックブロック30が地面に接するまで実行される。
フックブロック30が地面に接すると、フックブロック30の下降は停止する。この状態において、吊荷用ワイヤ17がドラムから繰り出されると、図11(A)が示すように、遊動シーブブロック50が下降する。(式1)の関係が満たされているために、本来、フックブロック30が遊動シーブブロック50よりも優先的に下降するのであるが、フックブロック30は地面に遮られて下降できないために、遊動シーブブロック50が下降するのである。吊荷用ワイヤ17のドラムからの繰り出しは、図11(B)が示すように、遊動シーブブロック50が上方からフックブロック30に係合するまで実行される。
遊動シーブブロック50が上方からフックブロック30に近づくと、図12(A)が示すように、進入位置の固定爪82の傾斜面85が上方からフックブロック30の上面32に当接する。すると、傾斜面85は、上面32から反所定向き107の外力を受ける。この外力によって、固定爪82は、コイルバネ84の付勢力に抗して進入位置から退避位置へ移動する。
これにより、遊動シーブブロック50が更に下降することによって、フックブロック30の上部が係合部81に挿入される。このとき、退避位置の固定爪82は、コイルバネ84の付勢力によって、フックブロック30の側面33に当接している(図12(B)参照)。
遊動シーブブロック50が更に下降して、固定爪82が凹部31と同じ高さとなって所定向き106に対向するようになると、固定爪82がコイルバネ84の付勢力によって退避位置から進入位置へ移動して凹部31に係合する(図8(A)参照)。これにより、フックブロック30が係合部81と係合した状態、換言するとフックブロック30と遊動シーブブロック50とが連結した状態となる。
図11(B)が示す状態において、吊荷用ワイヤ17がドラムに巻き取られると、フックブロック30は遊動シーブブロック50と一体に上昇する(図9(A)参照)。図9(A)に示される状態において、吊荷用ワイヤ17がドラムから繰り出されると、フックブロック30は遊動シーブブロック50と一体に下降する。このとき、フックブロック30及び遊動シーブブロック50と固定シーブブロック40とは、5本の吊荷用ワイヤ17によって連結されている。つまり、吊荷用ワイヤ17の掛け数は5本である。すなわち、遊動シーブブロック50とフックブロック30とが連結された状態において、クレーン10は、吊荷用ワイヤ17の掛け数が5本のものとして機能する。
変形例1によれば、遊動シーブブロック50とフックブロック30との連結及びその解除が自動化できる。
特許文献1、2に開示されたクレーンでは、シーブユニットが下方から定滑車機構に押し付けられることでシーブユニットが定滑車機構に連結され、シーブユニットが更に定滑車機構に押し付けられることで定滑車機構との連結が解除される。つまり、シーブユニットの定滑車機構への連結と、当該連結の解除とが、双方ともにシーブユニットの下方からの定滑車機構への押し付けによって実行される。そのため、定滑車機構との連結と当該連結の解除とを判別することが容易ではない。当該判別を容易とするために、センサなどが設けられる必要がある。
これに対して、変形例1では、フックブロック30の遊動シーブブロック50への連結は、遊動シーブブロック50が上方からフックブロック30へ当接することによって実行可能であり、フックブロック30の遊動シーブブロック50との連結の解除は、フックブロック30と連結された遊動シーブブロック50が下方から先端部20へ当接することによって実行可能である。そのため、センサなどを設けることなく、フックブロック30の遊動シーブブロック50への連結と当該連結の解除との判別が容易である。
[変形例2]
上記実施形態では、図2が示すように、シーブ46(図3(A)参照)から延び出た吊荷用ワイヤ176がシーブ47に掛け回され、シーブ47から延び出た吊荷用ワイヤ177が遊動シーブブロック50の外側を通って、フックブロック60に接続されていた。一方、変形例1では、図7が示すように、吊荷用ワイヤ176は、シーブ47(図9参照)に掛け回されることなく、遊動シーブブロック50における一対の板状部材51の間を通って、フックブロック30に接続されていた。もちろん、図2が示す上記実施形態においても、吊荷用ワイヤ176が、シーブ47に掛け回されることなく、遊動シーブブロック50における一対の板状部材51(図3(A)参照)の間を通って、フックブロック60に接続されていてもよい。そして、吊荷用ワイヤ176が、遊動シーブブロック50における一対の板状部材51の間を通って、フックブロック30、60に接続されている構成の場合、遊動シーブブロック50は、図13及び図14が示すように、ガイドシーブ130及び対向シーブ131を備えていてもよい。
なお、以下の変形例2の説明では、上記実施形態と同構成の部分には上記実施形態と同じ符号が付された上でその説明が省略され、上記実施形態と異なる構成の部分が説明される。また、以下の変形例2の説明では、上記実施形態の遊動シーブブロック50がガイドシーブ130及び対向シーブ131を備えた構成が説明されるが、変形例1の遊動シーブブロック50がガイドシーブ130及び対向シーブ131を備えていてもよい。
図13及び図14が示すように、変形例2の遊動シーブブロック50は、ガイドシーブ130、対向シーブ131、軸132、及び軸133を備えている。
軸132、133は、左右方向(軸54が延びている方向)に対向した一対の板状部材51の間において左右方向に延びている。つまり、軸132、133は、軸54と平行である。軸132、133の右端は、一対の板状部材51のうち右側の板状部材51に固定されている。軸132、133の左端は、一対の板状部材51のうち左側の板状部材51に固定されている。軸132、133は、前後方向に対向している。軸132は、軸133より前方に位置している。軸132は、シーブ52、53より前方に位置している。軸133は、シーブ52、53の前端と軸54との間に位置している。左右方向は、特許請求の範囲に記載された「第2シーブの軸方向」の一例である。一対の板状部材51は、特許請求の範囲に記載された「一対の支持部材」の一例である。
ガイドシーブ130は、軸132によって軸132周りに回転可能に支持されている。つまり、ガイドシーブ130は、一対の板状部材51によって軸132周りに回転可能に支持されている。対向シーブ131は、軸133によって軸133周りに回転可能に支持されている。つまり、対向シーブ131は、一対の板状部材51によって軸133周りに回転可能に支持されている。
なお、ガイドシーブ130及び対向シーブ131が、一対の板状部材51によって回転可能に支持される構成は、上記の構成に限らず、公知の種々の構成が採用可能である。例えば、ガイドシーブ130及び対向シーブ131がそれぞれ軸132、133と一体に構成されており、軸132、133の左右両端部が、一対の板状部材51に形成された貫通孔を貫通することによって、ガイドシーブ130及び対向シーブ131が、一対の板状部材51によって回転可能に支持されていてもよい。
図14及び図15が示すように、シーブ46から延び出ておりシーブ47に掛け回されることなくフックブロック60に接続される吊荷用ワイヤ176は、一対の板状部材51の間において、ガイドシーブ130及び対向シーブ131によって挟持されている。図14が示すように、ガイドシーブ130の後端と、対向シーブ131の前端との間に、所定の隙間Gが形成されている。所定の隙間Gは、吊荷用ワイヤ176の直径未満に設定されている。これにより、ガイドシーブ130及び対向シーブ131によって挟持された吊荷用ワイヤ176が、ガイドシーブ130及び対向シーブ131の間から抜け出ることが防止されている。
図15が示すように、ガイドシーブ130は、シーブ52、53より左方に位置している。図15において、対向シーブ131はガイドシーブ130の紙面奥側に位置しており見えていないが、対向シーブ131も、シーブ52、53より左方に位置している。
変形例2において、固定シーブブロック40は、シーブ44、45、46を備えているが、シーブ47(図1参照)を備えていない。また、シーブ44、45、46の左右方向の配置順序が、上記実施形態及び変形例1とは異なる。すなわち、上記実施形態及び変形例1では、右からシーブ44、46、45の順序で配置されていた(図3(A)及び図7参照)が、変形例2では、右からシーブ44、45、46の順序で配置されている(図15参照)。また、上記実施形態及び変形例1では、シーブ46の直径は、シーブ44、45の直径より短い(図3(A)及び図7参照)が、変形例2では、シーブ46の直径は、シーブ44、45と同直径である(図15参照)。
以下、図15が参照されつつ、変形例2における吊荷用ワイヤ17の掛け回しが説明される。
シーブ43(図1参照)から延び出た吊荷用ワイヤ17(吊荷用ワイヤ171)は、シーブ44に掛け回されている。シーブ44から延び出た吊荷用ワイヤ17(吊荷用ワイヤ172)は、シーブ52に掛け回されている。シーブ52から延び出た吊荷用ワイヤ17(吊荷用ワイヤ173)は、シーブ45に掛け回されている。シーブ45から延び出た吊荷用ワイヤ17(吊荷用ワイヤ174)は、シーブ53に掛け回されている。シーブ53から延び出た吊荷用ワイヤ17(吊荷用ワイヤ175)は、シーブ46に掛け回されている。
シーブ46から延び出た吊荷用ワイヤ17(吊荷用ワイヤ176)は、一対の板状部材51の間を通って、フックブロック60に接続されている。吊荷用ワイヤ176は、一対の板状部材51の間において、ガイドシーブ130及び対向シーブ131の間を通る(図14参照)。つまり、吊荷用ワイヤ176は、ガイドシーブ130及び対向シーブ131に掛けられている。また、ガイドシーブ130は、吊荷用ワイヤ176に対してシーブ52、53の反対側に位置している。
シーブ46から延び出てフックブロック60に接続される吊荷用ワイヤ176が、一対の板状部材62の間から外側へ出てしまうことが、ガイドシーブ130によって防止可能である。
シーブ46から延び出てフックブロック60に接続される吊荷用ワイヤ176が、ガイドシーブ130に掛けられている。そのため、遊動シーブブロック50とフックブロック60とが連結されていないときであっても、吊荷用ワイヤ176を安定させることができるため、吊荷用ワイヤ176及びフックブロック60の揺れを軽減することができる。
ガイドシーブ130及び対向シーブ131がシーブ46から延び出てフックブロック60に接続される吊荷用ワイヤ176を挟持しているため、対向シーブ131を備えていない構成よりも吊荷用ワイヤ176を更に安定させることができる。
なお、遊動シーブブロック50は、対向シーブ131を備えていなくてもよい。この場合、吊荷用ワイヤ176は、ガイドシーブ130及び対向シーブ131によって挟持されない。しかし、吊荷用ワイヤ176の前方への移動をガイドシーブ130によって規制することができる。
また、ガイドシーブ130及び対向シーブ131の左右方向の位置は、図15が示す位置に限らない。例えば、ガイドシーブ130及び対向シーブ131は、左右方向においてシーブ52と同位置であってもよい。この場合、遊動シーブブロック50が対向シーブ131を備えていない構成であっても、ガイドシーブ130及びシーブ52が前後方向に対向しているため、吊荷用ワイヤ176の前方への移動をガイドシーブ130によって規制し、吊荷用ワイヤ176の後方への移動をシーブ52によって規制することができる。
つまり、シーブ46から延び出てフックブロック60に接続される吊荷用ワイヤ176を、ガイドシーブ130及びシーブ52によって挟持することができる。これにより、吊荷用ワイヤを安定させることができる。
また、ガイドシーブ130は、吊荷用ワイヤ176に対してシーブ52、53の反対側に位置していなくてもよい。例えば、ガイドシーブ130は、シーブ52、53と同軸上に位置していてもよい。
[変形例3]
上記実施形態及び変形例1では、フックブロックにおける吊荷用ワイヤとの接続箇所は固定されていた。しかし、以下に詳述するように、フックブロックにおける吊荷用ワイヤとの接続部分が、移動可能に構成されていてもよい。
なお、以下の変形例3の説明では、上記実施形態と同構成の部分には上記実施形態と同じ符号が付された上でその説明が省略され、上記実施形態と異なる構成の部分が説明される。また、以下の変形例3の説明では、上記実施形態のフックブロック60における吊荷用ワイヤ17との接続箇所が移動可能な構成が説明されるが、変形例1のフックブロック30における吊荷用ワイヤ17との接続箇所が移動可能に構成されていてもよい。
図17及び図18が示すように、変形例3のフックブロック60は、軸140と、スライダ141と、接続板142と、凸部143と、スペーサ144と、ピン145と、を備えている。接続板142は、特許請求の範囲に記載された「接続部」の一例である。スペーサ144は、特許請求の範囲に記載された「保持部」の一例である。
軸140は、一対の板状部材62の間において左右方向に延びている。軸140の右端は、一対の板状部材62のうち右側の板状部材62に固定されている。軸140の左端は、一対の板状部材62のうち左側の板状部材62に固定されている。一対の板状部材62は、特許請求の範囲に記載された「一対の板部材」の一例である。
スライダ141は、円筒形状の部材である。スライダ141は、軸140に外嵌されている。スライダ141は、軸140よりも左右方向に長さL(図17参照)だけ短い。これにより、スライダ141は、一対の板状部材62の間を、軸140に対して左右方向に長さLだけ相対移動可能である。つまり、スライダ141は、一対の板状部材62の間を、図17が示す右位置と、図19が示す左位置とに左右方向に移動可能である。スライダ141が右位置のとき、スライダ141の右端が右側の板状部材62の左面に当接している。スライダ141が左位置のとき、スライダ141の左端が左側の板状部材62の右面に当接している。右位置は、特許請求の範囲に記載された「第1位置」の一例である。左位置は、特許請求の範囲に記載された「第2位置」の一例である。
図17及び図18が示すように、接続板142は、スライダ141に固定されている。詳細には、スライダ141の外周面に溝(不図示)が形成されており、接続板142は、当該溝に嵌め込まれることによってスライダ141に固定されている。これにより、接続板142は、一対の板状部材62の間においてスライダ141と一体に右位置(図17参照)及び左位置(図19参照)に移動可能である。なお、接続板142がスライダ141に固定される手段は、上記手段に限らず、例えば接続板142とスライダ141とが一体成型されていてもよい。
図17が示すように、接続板142は、スライダ141の外周面から軸140の径方向(図17では上方向)に突出している。接続板142における当該外周面から突出した部分に、左右方向への貫通孔146が形成されている。図15が示すように、シーブ46から延び出た吊荷用ワイヤ176が貫通孔146(図17参照)に挿通されて接続板142に接続される。つまり、吊荷用ワイヤ17がフックブロック60に接続される。
図17が示すように、スライダ141が右位置のとき、接続板142は、左右方向において一対の板状部材62の中間に位置している。図19が示すように、スライダ141が左位置のとき、接続板142は、一対の板状部材62の間における左寄りの位置(左側の板状部材62との左右方向の間隔が、右側の板状部材62との左右方向の間隔より短い位置)に位置している。
図18が示すように、凸部143は、一対の板状部材62の各々に2つずつ設けられている。右側の2つの凸部143は、右側の板状部材62の左面から左方へ突出している。左側の2つの凸部143は、左側の板状部材62の右面から右方へ突出している。右側の2つの凸部143は前後方向に対向しており、左側の2つの凸部143も前後方向に対向している。
図17が示すように、各凸部143は、軸140より上方に位置している。図18が示すように、各凸部143は、前後方向への貫通孔147を有する。
図17及び図19が示すように、スペーサ144は、軸140における141と一対の板状部材62との間の隙間に嵌め込まれるものである。スペーサ144は、スライダ141及び接続板142を左位置及び右位置のいずれかに選択的に保持する。
図20が示すように、スペーサ144は、一対の側板73と、平板74とを備えている。
一対の側板73は、間隔を空けて配置されている。当該間隔は、軸140(図17参照)の直径と同一である。なお、当該間隔は、軸140の直径より僅かに小さくてもよい。
平板74は、一対の側板73の間に位置している。平板74の一端は、一対の側板73の一方と接続されている。平板74の他端は、一対の側板73の他方と接続されている。一対の側板73は、平板74から一方側に突出した第1部分731と、平板74から他方側に突出した第2部分732とで構成されている。一対の側板73は、第1部分731に貫通孔75を有する。
スペーサ144は、以下に詳述するようにして、フックブロック60に対して着脱される。
最初に、スライダ141及び接続板142が右位置(図17参照)または左位置(図19参照)へ移動される。ここでは、スライダ141及び接続板142が右位置に移動された場合(図17参照)が説明される。
次に、図17が示すように、スペーサ144が上方から軸140に嵌め込まれる。スペーサ144は、軸140のうちスライダ141と左側の板状部材62との間の部分(換言すると、左右方向においてスライダ141が位置しておらず、軸140が露出している部分)に嵌め込まれる。また、スペーサ144は、一対の側板73が前後から軸140を挟み且つ第2部分732が下に位置する姿勢で、上方から軸140に嵌め込まれる。これにより、スペーサ144は、一対の側板73の第2部分732が前後から軸140を挟み、且つ平板74が上方から軸140に当接した姿勢となる。ここで、スペーサ144が当該姿勢のときの第2部分732の左右方向の長さは、長さLと同一である。よって、スペーサ144が軸140に嵌め込まれることにより、スライダ141及び接続板142の左方への移動が規制され、スライダ141及び接続板142は右位置に保持された状態となる。
図18が示すように、スペーサ144が軸140に嵌め込まれた状態において、第1部分731の貫通孔75と凸部143の貫通孔147とが、前後方向に対向している。また、貫通孔75の直径と貫通孔147の直径と略同一である。そして、棒状のピン145が、貫通孔75と貫通孔147とに挿通される。これにより、スペーサ144がフックブロック60に固定される。
なお、図19が示すように、スライダ141が左位置に移動された場合、スペーサ144は、軸140のうちスライダ141と右側の板状部材62との間の部分に嵌め込まれる。これにより、スライダ141及び接続板142の右方への移動が規制され、スライダ141及び接続板142は左位置に保持された状態となる。
上記実施形態(図3(A)参照)や変形例1(図7参照)のように、固定シーブブロック40及び遊動シーブブロック50において掛け回された吊荷用ワイヤ17が、固定シーブブロック40の3つのシーブ44、45、46のうち左右方向の中央に配置されたシーブ46からフックブロックへ向けて延び出る構成の場合、図16が示すように、スライダ141及び接続板142が右位置に保持されることによって、フックブロック60の接続板142は、固定シーブブロック40のシーブ46(3つのシーブ44、45、46のうち左右方向の真ん中に位置するシーブ)の真下に位置する。この場合、シーブ46から延び出た吊荷用ワイヤ17は、鉛直下方へ延びてフックブロック60の接続板142に接続される。
一方、変形例2のように、固定シーブブロック40及び遊動シーブブロック50において掛け回された吊荷用ワイヤ17が、固定シーブブロック40の3つのシーブ44、45、46のうち最も左に配置されたシーブ46からフックブロックへ向けて延び出る構成の場合、図15が示すように、スライダ141及び接続板142が左位置に位置することによって、フックブロック60の接続板142は、固定シーブブロック40のシーブ46(3つのシーブ44、45、46のうち最も左に位置するシーブ)の真下に位置する。この場合も、シーブ46から延び出た吊荷用ワイヤ17は、鉛直下方へ延びてフックブロック60の接続板142に接続される。
つまり、固定シーブブロック40及び遊動シーブブロック50における吊荷用ワイヤ17の各シーブへの掛け回し順序に応じて、スライダ141及び接続板142の位置を変えることによって、フックブロック60の接続板142を、フックブロック60へ向けて延び出る吊荷用ワイヤ17が掛け回されるシーブ46の真下に位置させることができる。
なお、フックブロック60は、接続板142が左右方向において3つ以上の位置に移動可能に構成されていてもよい。例えば、接続板142は、左右方向における一対の板状部材62の中間の位置と、一対の板状部材62の間における左寄りの位置とに加えて、一対の板状部材62の間における右寄りの位置(右側の板状部材62との左右方向の間隔が、左側の板状部材62との左右方向の間隔より短い位置)に移動可能であってもよい。
また、接続板142を左位置及び右位置などの各位置に保持するための構成は、スペーサ144に限らない。例えば、軸140と接続板142とが一体成型された一体成型部材が複数準備され、各一体成型部材の接続板142の左右方向は異なる位置である。そして、当該一体成型部材が、フックブロックに選択的に取り付けられることによって、接続板142の位置が変更されてもよい。この場合、複数の一体成型部材が、特許請求の範囲に記載された「接続部」であるとともに「保持部」でもある。
変形例3によれば、シーブ46の位置に応じて接続板142の位置を変えることで、接続板142の位置をシーブ46の真下とすることができる。これにより、遊動シーブブロック50とフックブロック60とが連結した状態において、シーブ46から延び出てフックブロック60に接続される吊荷用ワイヤ17を上下方向に沿った状態とすることができる。
また、変形例3によれば、シーブ46の位置に応じて接続板142の位置を変えることで、遊動シーブブロック50とフックブロック60との位置ずれを是正することができる。これにより、遊動シーブブロック50とフックブロック60とが連結時に互いに干渉して当該連結が阻害されることを防止できる。
また、変形例3によれば、スペーサ144を用いた簡易な構成で、接続板142を右位置または左位置に保持する機能を実現可能である。
[変形例4]
図13及び図14が示すように、遊動シーブブロック50は、ストッパ160を備えていてもよい。ストッパ160は、遊動シーブブロック50と連結されるフックブロックに上方から当接することによって、フックブロックを後述する連結位置に位置決めするものである。
ストッパ160は、一対の板状部材51の各々に設けられている。詳細には、ストッパ160は、右側の板状部材51の左面と、左側の板状部材51の右面とに2つずつ設けられている。各面の2つのストッパ160は、前後方向に間隔を空けて形成されている。各ストッパ160は、前後方向に延びている。各ストッパ160は、シーブ52、53より下方且つ一対の板状部材51の下端より上方に位置している。なお、ストッパ160の具体的形状は、フックブロックを連結位置に位置決めするものであれば、上述した形状に限らない。
変形例4によれば、遊動シーブブロック50に連結されているときのフックブロック60の位置を安定させることができる。
[変形例5]
図13が示すように、遊動シーブブロック50が案内アーム110を備え、且つ、図17及び図21が示すように、フックブロック60が突起120を備えていてもよい。
なお、以下の変形例5の説明では、上記実施形態と同構成の部分には上記実施形態と同じ符号が付された上でその説明が省略され、上記実施形態と異なる構成の部分が説明される。また、以下の変形例5の説明では、フックブロック60が突起120を備えた構成が説明されるが、変形例1のフックブロック30が突起120を備えていてもよい。
図13が示すように、案内アーム110は、回動軸111と、一対の回動片112とを備える。
回動軸111は、一対の板状部材51によって回転可能に支持されている。詳述すると、一対の板状部材51は前下端部に左右方向に沿った貫通孔を有しており、回動軸111は当該貫通孔に貫通されている。
図15が示すように、回動軸111は、シーブ52、53の軸54と平行に、つまり左右方向に延びている。回動軸111の右端部は、右側の板状部材51より右方へ僅かに突出している。回動軸111の左端部は、左側の板状部材51より左方へ僅かに突出している。
図13及び図15が示すように、一対の回動片112は、回動軸111の右端部及び左端部に固定されている。これにより、案内アーム110は、一対の回動片112が回動軸111周りに回動可能に一対の板状部材51によって支持されている。一対の回動片112は、左右方向に対向している。一対の回動片112は、同方向へ延びている。変形例5では、一対の回動片112は、外部から案内アーム110に力が付与されていない状態において、自重によって垂下している。このとき、一対の回動片112は、一対の板状部材51から下方へ突出している。一対の回動片112は、回動先端部113に凹部114を有している。凹部114は、特許請求の範囲に記載された「第2係合部」の一例である。
図17が示すように、フックブロック60は、2つの突起120を備えている。一方の突起120は、左側の板状部材62の左面から左方へ突出している。他方の突起120は、右側の板状部材62の右面から右方へ突出している。突起120は、特許請求の範囲に記載された「被係合部」の一例である。なお、変形例5において、突起120は軸140と同軸上に位置しているが、突起120の位置は軸140と同軸上に限らない。
以下、変形例5における遊動シーブブロック50とフックブロック60との連結動作の例が説明される。なお、本例において、遊動シーブブロック50は、変形例2のガイドシーブ130及び対向シーブ131と、変形例4のストッパ160とを備えている。
図22が示すように、遊動シーブブロック50及びフックブロック60が、先端部20(図1参照)から吊り下げられた状態において、案内アーム110には外部から力が付与されていない。そのため、案内アーム110の回動片112は自重によって垂下している。このとき、回動片112の回動先端部113は、突起120の真上に位置する。なお、当該状態において、回動片112の回動先端部113は、突起120の真上から外れた位置であってもよい。
フックブロック60が接地された状態で、吊荷用ワイヤ17がドラムから繰り出されると、遊動シーブブロック50が下降してフックブロック60へ近づく。ここで、ガイドシーブ130及び対向シーブ131は、遊動シーブブロック50の前部に設けられている。そのため、図22が示すように、フックブロック60は、遊動シーブブロック50に対して前方へシフトした位置にある。
図22が示す状態において、吊荷用ワイヤ17がドラムから繰り出されると、遊動シーブブロック50が下降して、回動片112の回動先端部113が上方からフックブロック60の突起120に当接する。このとき、突起120が回動先端部113に形成された凹部114と係合する(図23参照)。なお、回動片112の回動先端部113が、突起120の真上から外れた位置である場合、例えば、作業者によって突起120と凹部114とが移動されて係合される。
図23が示す状態において、吊荷用ワイヤ17がドラムから繰り出されると、遊動シーブブロック50が下降する。ここで、案内アーム110の回動軸111は、回動先端部113より前方に位置する。よって、このとき、回動片112は、回動先端部113が後方へ移動する向き、つまり矢印102の向きに回動する。回動片112の回動に連動して、遊動シーブブロック50が前方へスライドする。つまり、遊動シーブブロック50は、前方斜め下方に下降する。遊動シーブブロック50は、前方へスライドすることにより、フックブロック60の真上に位置するようになる。この状態で、遊動シーブブロック50が下降することにより、フックブロック60の上部が遊動シーブブロック50の下部に挿入される(図24参照)。
図24が示すように、遊動シーブブロック50の下部に挿入されて連結されたフックブロック60の一対の板状部材51の上端511が、下方から遊動シーブブロック50のストッパ160に当接して、フックブロック60が図24に示される位置(連結位置)に位置決めされる。これにより、フックブロック60が下方から遊動シーブブロック50のシーブ52、53に干渉することが防止される。なお、遊動シーブブロック50及びフックブロック60が連結するための機構は、上記実施形態や変形例1の機構が採用される。
連結位置は、フックブロック60が遊動シーブブロック50と連結されるときの位置である。例えば、変形例5では、図24が示すように、フックブロック60が連結位置のとき、フックブロック60の前後方向の中央は遊動シーブブロック50の前後方向の中央と同位置であり、フックブロック60の左右方向の中央は遊動シーブブロック50の左右方向の中央と同位置であり、シーブ46から延び出た吊荷用ワイヤ17は、鉛直下方へ延びてフックブロック60の接続板142に接続されている。なお、連結位置は、図24が示すような位置に限らない。
以上のようにして、案内アーム110は、フックブロック60と係合した状態で回動することによってフックブロック60を遊動シーブブロック50との連結位置へ案内する。
また、上述したように、案内アーム110の回動軸111は、図22に示される回動先端部113より前方に位置する。一方、連結位置(図24に示されるフックブロック60の位置)は、図22に示される回動先端部113より後方に位置する。つまり、回動軸111は、案内アーム110が自重によって垂下した状態で回動先端部113(図22に示される回動先端部113)に対して連結位置の反対側に位置している。
なお、上述した構成では、案内アーム110が回動片112の回動先端部113に凹部114を有し、フックブロック60が突起120を有することによって、案内アーム110とフックブロック60とが係合したが、案内アーム110とフックブロック60とが係合するための構成はこれに限らない。例えば、上述した構成とは逆に、案内アーム110が回動片112の回動先端部113に突起120を有し、フックブロック60が凹部114を有することによって、案内アーム110とフックブロック60とが係合してもよい。この場合、突起120が特許請求の範囲に記載された「第2係合部」に相当し、凹部114が特許請求の範囲に記載された「被係合部」に相当する。
また、案内アーム110は、自重によって垂下するものに限らず、例えばバネによって図22が示す位置へ付勢されていてもよい。
変形例5によれば、案内アーム110をフックブロック60に係合させて回動させるだけで、フックブロック60を遊動シーブブロック50との連結位置へ案内することができる。
また、変形例5によれば、回動軸111が凹部114に対して連結位置の反対側に位置している。そのため、凹部114と突起120とが係合した状態で、遊動シーブブロック50及びフックブロック60を近づけることで、フックブロック60が連結位置に近づく向きへ案内アーム110を回動させることができる。
また、変形例5によれば、遊動シーブブロック50及びフックブロック30が先端部20から吊り下げられた状態において、案内アーム110の回動片112の凹部114は、フックブロック60の突起120の真上に位置している。そのため、遊動シーブブロック50及びフックブロック60を互いに上下方向に相対移動させて近づけるだけで、案内アーム110の回動片112の凹部114とフックブロック60の突起120とを係合させることができる。
[その他の変形例]
上記実施形態及び変形例1において、第1シーブは2つのシーブ44、45であり、第2シーブは2つのシーブ52、53であった。つまり、第1シーブ及び第2シーブは複数且つ同数であった。しかし、第1シーブ及び第2シーブの数は、3つ以上であってもよいし、1つであってもよい。また、第1シーブの数と第2シーブの数とは異なっていてもよい。
例えば、第1シーブ及び第2シーブがそれぞれ3つのシーブである場合、遊動シーブブロック50と固定シーブブロック40との間に掛けられた吊荷用ワイヤ17は、6本である。つまり、遊動シーブブロック50の吊荷用ワイヤ17の掛け数nは6である。よって、フックブロック60が遊動シーブブロック50と連結されているときに、フックブロック60及び遊動シーブブロック50と、固定シーブブロック40とは、7本の吊荷用ワイヤ17によって連結されている。このときの吊荷用ワイヤ17の掛け数は7本である。以上より、この場合、クレーン10において、吊荷用ワイヤ17の掛け数は、1本と7本とで切換可能である。
上記実施形態において、固定シーブブロック40は、シーブ47を備えていなくてもよい。この場合、上記実施形態においても、変形例1と同様に、シーブ46から延び出た吊荷用ワイヤ17(吊荷用ワイヤ176)は、シーブ47を介することなくフックブロック30に接続される。
変形例1において、シーブ46から延び出た吊荷用ワイヤ17(吊荷用ワイヤ176)は、シーブ47を介してフックブロック30に接続されてもよい。