JP7490806B2 - 放圧機構、電池セル、電池、電力消費装置及びその製造方法 - Google Patents

放圧機構、電池セル、電池、電力消費装置及びその製造方法 Download PDF

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Description

本出願は、電池分野に関し、具体的に、放圧機構、電池セル、電池、電力消費装置及びその製造方法に関する。
電池は、例えば過充電、金属導体による極板の突き刺し及びヒートボックステストなどの場合に、内部に熱量、ガスが速やかに蓄積され、それによって内部の気圧が増加するという課題があり、それが著しい場合は、電池の膨張と爆発を招くこともある。
そのため、電池には、一般的には、放圧機構が設置され、電池内部の気圧又は温度がある程度以上増加すると、放圧機構は速やかに開き、内部ガスも放圧機構を介して放出され、それによって電池の爆発を回避する。従来技術において、電池が正常作動状態にあっても、電池内部の気圧が放圧機構の設計作動圧力よりも小さく、放圧機構が故障する場合があり、放圧機構の使用寿命が減少し、電池の安全性能に影響を与える。
本出願の実施例は、気圧が比較的に小さい場合に放圧機構が故障することを防止し、放圧機構の使用寿命を保証し、電池の安全性能を向上させることができる放圧機構、電池セル、電池、電力消費装置及び放圧機構の製造方法を提供する。
第一の方面によれば、電池セルのケースプレートに設置される放圧機構を提供した。前記放圧機構は、前記ケースプレートに接続されるように前記放圧機構の外周領域に位置する接続部と、その一端部が前記接続部に接続され、他端部が電池セル内部の方向に傾斜して延出する第一の部分と、前記第一の部分の前記延出した端部に設置される薄肉部と、その外縁領域が前記薄肉部に接続され、前記外縁領域が前記電池セル内部から乖離する方向に傾斜して延びる第二の部分とを含み、前記電池セル内部気圧が第一の所定値よりも小さい場合、前記薄肉部は、前記第一の部分及び/又は前記第二の部分によって押圧される。
本出願の実施例の放圧機構では、電池セル内部の気圧の作用で、電池セル内部の方向に傾斜して延出する第一の部分、及び外縁領域が電池セル内部から乖離する方向に傾斜して延びる第二の部分は、電池セル内部から乖離する方向に移動するか、又は電池セル内部から乖離する方向に移動する傾向がある。そのため、電池セル内部の気圧又は温度が比較的に小さく、具体的には、第一の所定値よりも小さい場合、放圧機構の電池セル内部の一側の輪郭には、周長が減少し、放圧機構中心へ収縮する傾向があり、薄肉部が第一の部分及び/又は第二の部分によって押圧されるため、薄肉部の割れを抑制することによって、気圧が比較的に小さい場合での放圧機構のクリープ故障を防止し、放圧機構の寿命を効果的に延長する。
いくつかの実施例では、電池セル内部の気圧が第一の所定値以上である場合、第一の部分は、電池セル内部の方向に延出した状態から電池セル内部から乖離する方向に延出した状態に変わり、薄肉部は、前記第一の部分及び/又は前記第二の部分によって引っ張られ、薄肉部の割れを促進し、急速な放圧を実現し、電池が爆発することを効果的に回避する。
いくつかの実施例では、前記第二の部分は、電池セル内部から乖離する方向に突出する形状を有し、このような形状の第二の部分は、電池セル内部気圧の作用で、電池セル内部から乖離する方向への移動幅が比較的に小さく、第一の部分に対して効果的な支持役割を果たす。
いくつかの実施例では、第二の部分は、外縁領域と、中間領域とを含み、中間領域は、放圧機構を設置するケースプレートの部位に略平行である。第二の部分の中間領域は、放圧機構を設置するケースプレートの部位に略平行であるため、第二の部分に過激な変形が生じることがなく、それによって第二の部分に割れが発生しにくく、薄肉部以外の位置から作動するリスクを低減させることができる。
いくつかの実施例では、第二の部分は、電池セル内部から乖離する方向に突出する高さが、前記接続部の高さを超えない。第二の部分の電池セル内部から乖離する方向に突出する高さが高すぎると、電池セルの体積が増加し、体積エネルギー密度が低下してしまう。
いくつかの実施例では、第一の部分の厚さは、第二の部分の厚さ以下である。第二の部分が相対的に厚いが、第一の部分が相対的に薄いため、電池セル内部の気圧又は温度が第一の所定値以上まで増加すると、第一の部分は、電池セル内部から乖離する方向に延出した状態に容易かつ迅速に変わり、比較的に大きい変形が生じ、それによって薄肉部をよりよく引っ張り、薄肉部の割れを促進し、急速な放圧を実現し、電池が爆発することを回避する。
いくつかの実施例では、電池セル内部の温度又は気圧が第二の所定値以上である場合、薄肉部は、前記電池セル内圧が前記放圧機構を介して逃すように作動する。即ち、第二の所定値は、放圧機構の爆破圧力又は温度であり、電池セル内部の温度又は気圧が第二の所定値以上である場合、薄肉部が作動して放圧機能を実現する。
いくつかの実施例では、前記第一の部分には、薄肉領域が設置される。薄肉領域を設置することは、第一の部分が気圧の作用で変形しやすくなる。放圧機構のサイズが比較的に小さく、第一の部分全体を十分に薄くすることが容易でない場合、薄肉領域を設置することで、第一の部分の変形を容易に実現し、薄肉部作動を促進することができる。
いくつかの実施例では、前記第二の部分は、前記電池セル内部の方向に突起する少なくとも一つの第一の突起領域と、電池セル内部から離れる方向に突起する少なくとも二つの第二の突起領域とを含む。第二の領域の形状は、起伏のある波形状であり、それによって第二の部分の全体の強度を増加させ、第一の部分及び/又は第二の部分の薄肉部に対する押圧効果を向上させ、薄肉部の割れを抑制し、放圧機構の寿命を延長するのに寄与する。
いくつかの実施例では、前記接続部は、環状であり、二つの直線部と、二つの前記直線部の端部にそれぞれ接続される二つの円弧状部とを含む。即ち、放圧機構の輪郭は、トラック形状であり、これは、比較的に大きい排気面積を実現することができ、放圧に有利となる。
いくつかの実施例では、前記薄肉部の少なくとも一部の領域の厚さは、前記第一の部分と第二の部分の厚さよりも小さい。即ち、薄肉部の一部の厚さは、薄くなっていないため、薄肉部が作動するとき、第二の部分が気流などの排出物に伴って飛び出すことはない。
いくつかの実施例では、前記薄肉部は、凹溝である。凹溝構造は、プレス成形されてもよく、製造が容易である。
第二の方面によれば、本出願は、電池セルを提供した。前記電池セルは、第一の方面による放圧機構を含む。
第三の方面によれば、本出願は、電池を提供した。前記電池は、第二の方面による電池セルを含む。
第四の方面によれば、本出願は、電力消費装置を提供した。前記電力消費装置は、第三の方面による電池を含み、この電池は、電気エネルギーを提供するために用いられる。
第五の方面によれば、放圧機構の製造方法を提供した。前記製造方法は、接続部を提供し、それを、前記ケースプレートに接続されるように前記放圧機構の外周領域に設置することと、第一の部分を提供し、その一端部を前記接続部に接続し、他端部を電池セル内部の方向に傾斜して延出することと、薄肉部を提供し、それを前記第一の部分の前記延出した端部に接続することと、第二の部分を提供し、その外縁領域を前記薄肉部に接続し、前記外縁領域を前記電池セル内部から乖離する方向に傾斜して延びさせることとを含み、そのうち、前記電池セル内部気圧が第一の所定値よりも小さい場合、前記薄肉部は、前記第一の部分及び/又は前記第二の部分によって押圧される。
上記の説明は、本出願の技術案の概説に過ぎず、本出願の技術手段をより明確に理解するために、明細書の内容に従って実施することができ、且つ本出願の上記と他の目的、特徴と利点をより分かりやすくするために、以下では、本出願の具体的な実施の形態を特に列挙する。
以下の好ましい実施の形態に対する詳細な記述を読むことによって、当業者にとって、様々な他の利点及び有益点が明らかになる。図面は、好ましい実施の形態を示すためにのみ使用され、本出願に対する制限とは考えられない。そして全ての図面において、同じ図面符号で同じ部品を示す。図面において、
本出願のいくつかの実施例の車両の構造概略図である。 本出願のいくつかの実施例の電池の構造概略図である。 本出願のいくつかの実施例の電池セルの分解図である。 本出願のいくつかの実施例のエンドキャップにおける正面図である。 図4のa-a断面図である。 本出願のいくつかの実施例の放圧機構の斜視図である。 図6の放圧機構の図である。 図7のb-b断面図である。 図8における領域X1の拡大図である。 電池セル内部の気圧又は温度が第一の所定値よりも小さい場合の放圧機構の斜視図である。 放圧機構の断面図である。 図11の領域X2の拡大図である。 電池セル内部の気圧又は温度が第一の所定値以上に上がり、第二の部分が上方に突出する状態になった時の斜視図である。 放圧機構の断面図である。 図14の領域X3の拡大図である。 電池セル内部の気圧又は温度が第二の所定値以上に上がり、放圧機構が破裂する直前の斜視図である。 放圧機構の断面図である。 図17の領域X4の拡大図である。 本出願のいくつかの実施例の放圧機構において、領域X1に対応する部分の拡大図であり、放圧機構の一つの変形例を示す。 従来技術の放圧機構の初期状態である。 図20における領域X5の拡大図である。 従来技術の放圧機構が比較的に低い気圧での状態である。 図22における領域X6の拡大図である。 従来技術における放圧機構が割れた状態を示す。 図24の中間領域X7の拡大図である。 本出願の別の実施例の放圧機構の局所拡大図である。 本出願のさらに別のいくつかの実施例の放圧機構の斜視図である。 図27の放圧機構の図である。 放圧機構の断面図である。 本出願のいくつかの実施例の放圧機構の製造方法の例示的なフローチャートである。
以下は、図面を結び付けながら本出願の技術案の実施例を詳細に記述する。以下の実施例は、本出願の技術案をより明確に説明するためにのみ使用されるため、例としてのみ使用され、これによって本出願の保護範囲を制限することができない。
特に定義がない限り、本出願で使用される全ての技術と科学用語は、当業者が通常理解している意味と同じであり、本出願において、出願の明細書に使用される用語は、具体的な実施例を記述するためにのみ使用され、本出願を制限することを意図するものではない。本出願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面の説明における用語である「含む」と「を有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものである。本出願の明細書と特許請求の範囲又は上記図面における用語である「第一」、「第二」などは、特定の順序又は主従関係を記述するためではなく、異なる対象を区別するために用いられる。
本出願で「実施例」に言及することは、実施例を結び付けて記述された特定の特徴、構造又は特性が、本出願の少なくとも一実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書における各位置にこのフレーズが現れることは、必ずしもいずれも同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と排他的に独立した実施例又は代替の実施例でもない。当業者は、本出願に記述された実施例が他の実施例と結び付けることが可能であると明示的且つ非明示的に理解している。
本出願の記述において、説明すべきこととして、特に明確に規定又は限定しない限り、用語である「取り付ける」、「繋がる」、「接続」、「装着」は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続してもよく、取り外し可能に接続してもよく、又は一体に接続されてもよく、直接に繋がってもよく、中間媒体を介して間接的に繋がってもよく、二つの素子内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて、本出願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
本出願における用語である「及び/又は」は、関連対象の関連関係を記述するものに過ぎず、三つの関係が存在し得ることを表し、例えば、A及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBの三つのケースを含むことを表してもよい。また、本出願における文字である「/」は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを示す。
本出願に現れる「複数」とは、二つ以上(二つを含む)であり、同様に、「複数組」とは、2組以上(2組を含む)であり、「複数枚」とは、2枚以上(2枚を含む)である。
本出願では、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池などを含んでもよく、本出願の実施例は、これについて限定されない。電池セルは、円柱体、扁平体、直方体又は他の形状などを呈することができ、本出願の実施例は、これについても限定されない。電池セルは、一般的に、パッケージング方式で柱形電池セル、直方体角型電池セル及び軟質バッグ電池セルという三種類に分けるが、本出願の実施例は、これについても限定されない。
本出願の実施例でいう電池とは、高い電圧及び容量を提供するための一つ又は複数の電池セルを含む単一の物理モジュールである。例えば、本出願でいう電池は、電池モジュール又は電池パックなどを含んでもよい。電池は、一般的に、一つ又は複数の電池セルをパッケージングするための筐体を含む。筐体は、液体又は他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を与えることを回避することができる。
電池セルは、正極板及び負極板と、セパレータから構成される電極コンポーネントと、電解液と、を含む。電池セルは、主に金属イオンが正極板と負極板との間で移動することによって作動する。正極板は、正極集電体と、正極活物質層と、を含み、正極活物質層は、正極集電体の表面に塗布されており、正極活物質層がコーティングされていない集電体は、正極活物質層がすでに塗布された集電体から突出し、正極活物質層がコーティングされていない集電体は、正極タブとされる。リチウムイオン電池を例にして、正極集電体の材料は、アルミニウムであってもよく、正極活物質は、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極板は、負極集電体と、負極活物質層と、を含み、負極活物質層は、負極集電体の表面に塗布されており、負極活物質層がコーティングされていない集電体は、負極活物質層がすでに塗布された集電体から突出し、負極活物質層がコーティングされていない集電体は、負極タブとされる。負極集電体の材料は、銅であってもよく、負極活物質は、炭素又はシリコンなどであってもよい。大電流を流しても溶断が生じないように、正極タブの数は、複数積層されており、負極タブの数は、複数であり、且つ積層されている。セパレータの材質は、PP又はPEなどであってもよい。なお、電極コンポーネントは、巻回型構造であってもよく、積層型構造であってもよく、本出願の実施例は、それに限らない。
電池技術の発展は、多方面の設計要素、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電レートなどの性能パラメータを同時に考慮する必要があり、また、電池の安全性を考慮する必要もある。
電池セルにとっては、主なセキュリティ上の危険性は、充電及び放電過程に由来し、同時に、適切な環境温度設計があり、不必要な損失を効果的に回避するために、電池セルに対して少なくとも三重の保護対策があるのが一般的である。具体的には、保護対策は、スイッチ素子、適当なセパレータ材料及び放圧機構の選択を少なくとも含む。スイッチ素子とは、電池セル内の温度又は抵抗が一定の閾値に達したときに電池の充電又は放電を停止させる素子である。セパレータは、正極板と負極板とを隔離するために用いられ、温度が一定の数値まで上昇したときに、それに付着したマイクロメートルオーダー(ひいてはナノメートルオーダー)の微細孔を自動的に溶解することができ、それによって金属イオンがセパレータ上を通過できず、電池セルの内部反応を終了させる。
放圧機構とは、電池セルの内圧又は温度が所定の閾値に達したときに、内圧又は温度を逃がすように作動する素子又は部品である。この閾値の数値は、設計需要によって異なり、電池セルにおける正極極板、負極極板、電解液及びセパレータのうちの一つ又は複数の材料に依存する。放圧機構は、例えば、防爆弁、ガス弁、放圧弁又は安全弁などの形式を採用してもよく、具体的には、感圧又は感温の素子又は構造を採用してもよい。電池セルの内圧又は温度が所定の閾値に達したときに、放圧機構が動作するか、又は放圧機構に設けられた薄肉構造が破壊されて割れ、それによって内圧又は温度を逃がすための開口又はチャンネルが形成される。
本出願でいう「作動」とは、放圧機構が動作するか、又は一定の状態にアクティブ化され、それによって電池セルの内圧及び温度を逃がすことである。放圧機構による動作は、放圧機構のうちの少なくとも一部が破裂されること、破砕されること、引き裂かれること、又は開放されることなどを含んでもよいが、それらに限らない。放圧機構は、作動するときに、電池セルの内部の高温高圧物質を排出物として作動部位から外に排出させることができる。このように、制御可能な圧力又は温度の場合に、電池セルに放圧及び減温度を発生させることによって潜在的なより深刻な事故の発生を回避することができる。
本出願でいう電池セルからの排出物は、電解液、溶解又は分裂された正負極極板、セパレータの破片、反応による高温高圧ガス、火炎などを含むが、それらに限らない。
電池セル上の放圧機構は、電池の安全性に重要な影響を与える。例えば、短絡、過充電などの現象が発生した場合、電池セル内部に熱暴走が発生して圧力又は温度の急激上昇を招くおそれがある。このような場合に、電池セルの爆発、発火を防止するために、放圧機構作動によって内圧及び温度を外に放出することができる。
電池セルが正常作動するとき、電池セル内部にも一定の気圧が放圧機構に印加され、この気圧は、設計された初期作動気圧の下限を下回っているが、気圧の持続作用及び電池セル内部温度の作用で、放圧機構の粒界にすべりが生じ、結晶粒が粒界に沿って拡散し、最終的に放圧機構を構造上で薄くし、放圧機構の耐圧力能力が低減し、放圧機構が設定の作動圧力よりも小さい作用で破裂が発生して故障を招いてしまうという可能性がある。
これに鑑み、本出願は、放圧機構を提供する。この放圧機構は、一端部が電池セル内部の方向に傾斜して延出する第一の部分と、電池セル内部の方向に突出する形状を有する第二の部分と、を含む。電池セル内部の気圧及び温度の作用で、第二の部分及び第一の部分は、電池セル内部から乖離する方向に移動する傾向がある。そのため、電池セル内部の気圧又は温度が比較的に小さく、具体的には、第一の所定値よりも小さい場合、放圧機構の電池セル内部の一側の輪郭には、周長が減少し、放圧機構中心へ収縮する傾向があり、薄肉部が第一の部分及び/又は第二の部分によって押圧され、薄肉部の割れを抑制し、気圧が比較的に小さい場合での放圧機構の割れを防止し、放圧機構の寿命を効果的に延長する。
ここで、第一の所定値を、第一の部分及び/又は第二の部分が薄肉部を押圧する状態から薄肉部を引っ張る状態に変わる気圧又は温度値と定義する。
本出願の実施例に記述された技術案は、電池を使用する様々な装置、例えば、携帯電話、携帯型機器、ノートパソコン、電気バイク、電気玩具、電気工具、電気車両、船舶と宇宙船などに適用でき、例えば、宇宙船は、飛行機、ロケット、スペースシャトルと宇宙飛行船などを含む。
理解すべきこととして、本出願の実施例に記述された技術案は、上述した機器に適用できるだけでなく、電池を使用する全ての機器にも適用可能である。しかし、記述を簡潔にするために、以下の実施例は、いずれも電気車両を例にして説明する。
次に、本出願の具体的な実施例を詳細に説明する。
図1は、本出願の一実施例の車両800の構造概略図である。車両800は、ガソリン自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリット自動車又はレンジエクステンダー自動車などであってもよい。車両の内部には、モータ400、コントローラ300及び電池500が設置されてもよく、コントローラ300は、電池500がモータ400に給電するように制御するためのものである。例えば、車両の底部又は先頭又は後尾に電池500が設置されてもよい。電池500は、車両への給電に用いられてもよく、例えば、電池500を車両の操作電源とすることができ、車両800の回路システムに用いられ、例えば、車両800の始動、ナビゲーション及び運行時の作動電力需要に用いられる。本出願の別の実施例において、電池500は、車両800の操作電源として用いることができるだけでなく、車両800の駆動電源として、ガソリン又は天然ガスの代わりに、又はその一部の代わりに車両800に駆動動力を提供することもできる。
異なる電力使用需要を満たすために、電池は、複数の電池セルを含んでもよく、そのうち、複数の電池セル同士は、直列接続又は並列接続又は直並列接続されてもよく、直並列接続されるとは、直列接続と並列接続の混合である。電池は、電池パックと呼ばれてもよい。選択的に、複数の電池セルは、先に直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールがさらに直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池を構成してもよい。つまり、複数の電池セルは、電池を直接構成してもよく、先に電池モジュールを構成してから、電池モジュールが電池を構成してもよい。
図2は、本出願の一実施例の電池500の構造概略図である。電池500は、複数の電池セル1を含んでもよい。電池500は、筐体600(又はカバーと呼ばれる)をさらに含んでもよく、筐体600は、中空構造であり、複数の電池セル1は、筐体600内に収容される。図2に示すように、筐体600は、第一のハウジング601と、第二のハウジング602と、を含んでもよく、第一のハウジング601及び第二のハウジング602は、互いに係合される。第一のハウジング601及び第二のハウジング602の形状は、複数の電池セル1を組み合わせた形状に応じて決定でき、第一のハウジング601及び第二のハウジング602は、いずれも一つの開口を有する。例えば、第一のハウジング601及び第二のハウジング602は、いずれも中空直方体であり、かつそれぞれの一つの面が開口面であってもよく、第一のハウジング601の開口と、第二のハウジング602の開口とが対向して設けられ、そして第一のハウジング601と、第二のハウジング602とが互いに係合して、閉鎖されたチャンバを有する筐体を形成する。複数の電池セル1は、互いに並列接続又は直列接続又は直並列接続されて組み合わせた後、第一のハウジング601と、第二のハウジング602とが互いに係合して形成した筐体内に置かれる。
異なる電力需要に応じて、電池セル1の数を任意の数値に設定してもよい。複数の電池セル1を直列接続、並列接続又は直並列接続することにより、比較的に大きい容量又はパワーを実現することができる。各電池500に含まれる電池セル1の数は、比較的に多い可能性があるため、取り付けを容易にするために、電池セル1をグループ化して設置し、各グループの電池セル1が電池モジュールを構成してもよい。電池モジュールに含まれる電池セル1の数は、限定されず、需要に応じて設けてもよい。例えば、電池は、複数の電池モジュールを含んでもよく、これらの電池モジュールは、直列接続、並列接続又は直並列接続の方式によって接続されることができる。
図3は、電池セル1の分解図である。図4は、本出願のいくつかの実施例のエンドキャップ10の上面図である。図5は、図4における直線a-aにおける矢印A方向に沿った断面図である。
図3に示すように、電池セル1は、ケースプレート50及びケースプレート50内に設置された電極コンポーネント40を含み、ケースプレート50は、エンドキャップ10と、ケース20と、を含み、ケース20は、開口を有し、電極コンポーネント40は、ケース20の開口を介してケース20に設置される。電極コンポーネント40は、本体部41と、タブ42と、を含み、タブ42は、本体部41から延びる。本体部41は、正極極板と、負極極板と、セパレータと、を含む。本体部41は、正極極板、セパレータ及び負極極板を捲回することで形成される巻回型構造であってもよく、正極極板、セパレータ及び負極極板を積層して配置することで形成される積層式構造であってもよい。正極タブ421及び負極タブ422は、本体部41の同一側に位置されてもよく、それぞれ、本体部41の対向する両側に位置されてもよい。図3では、正極タブ421と負極タブ422とが本体部41の同一側に位置する場合を例示した。エンドキャップ10は、ケース20の開口を覆い、電極コンポーネント40と電解質とを収容するための密閉空間を形成し、電解質は、電解液であってもよい。図3、図4及び図5に示すように、いくつかの実施例として、放圧機構100は、エンドキャップ10の略中間部位に設置されるが、電極コンポーネントの設置方式及び位置の相違によって、放圧機構100をケースプレート50の他の位置に設置してもよい。エンドキャップ10には、二つの電極端子30がさらに設置され、電極端子30は、タブ42に電気的に接続され、電池セル1の電気エネルギーを出力するために用いられるか、又は外部電源に接続されて電池セルに対して充電を行うために用いられる。放圧機構100は、二つの電極端子30の間に位置している。電池セル1は、接続部材60をさらに含み、電極端子30及びタブ42は、接続部材60を介して電気的に接続される。
図6は、本出願のいくつかの実施例の放圧機構100の斜視図である。図7は、放圧機構100の電池セル内部に向けた側の図である。図8は、図7における直線b-bにおける矢印Bに沿った方向の断面図である。図9は、図8における領域X1の拡大図である。
図6から図9は、放圧機構100の初期状態、即ち圧力が印加されない状態を示す。
図6から図9に示すように、放圧機構100は、接続部101と、第一の部分102と、薄肉部103と、第二の部分104と、を含む。接続部101は、図3、図4、図5におけるエンドキャップ10に接続されるように、放圧機構100の外周領域に位置する。一実施例として、例えば、図7に示すように、接続部101は、二つの直線部1011と、二つの直線部1011の端部にそれぞれ接続された二つの円弧状部1012と、を含み、全体としてトラック状をなしている。図9に示すように、第一の部分102の一端部は、接続部101に接続され、他端部は、電池セル1内部の電極コンポーネント40の方向、即ち図3における下向きの方向に傾斜して延出している。この第一の部分102の延出した端部に薄肉部103が接続される。図6及び図8に示すように、第二の部分104の外縁領域1041は、薄肉部103に接続され、外縁領域1041は、電池セル1内部から乖離する方向に傾斜して延びている。電池セル1内部の気圧又は温度が第一の所定値よりも小さい場合、薄肉部103は、第一の部分102及び/又は第二の部分104によって押圧される。
図9に示すように、第一の部分102は、接続部101よりも電池セル1の内側に全体的に近い。第一の部分102の延出部分の形状は、特に限定されるものではなく、本実施例では、図9に示すように、第一の部分102は、電池セル1内部に略直線方向に沿って延出しているが、第一の部分102は、円弧状で、曲線形状で延出してもよい。
薄肉部103は、第一の部分102と第二の部分104との間、即ち、第一の部分102の延出した端部に位置している。薄肉部103の強度は、第一の部分102及び第二の部分104よりも小さく、放圧ときに、薄肉部103は、放圧を作動させる。
図6、図7及び図8に示すように、第二の部分104は、放圧機構100における面積が最も大きい部分であり、放圧機構100の中部に位置し、外縁領域1041と、中間領域1042(図8参照)と、を含み、外縁領域1041の一端部は、薄肉部103に接続され、他端部は、中間領域1042に接続され、外縁領域1041は、電池セル1内部から乖離する方向に傾斜して延びている。第二の部分104は、電池セル1内部から乖離する方向に突出する形状を有し、例えば、第二の部分104は、電池セル1内部から乖離する方向に突出するアーチ形状であるが、不規則な突出形状であってもよい。図8に示すように、中間領域1042は、放圧機構100を設置するエンドキャップ10と略平行である。
中間領域1042は、エンドキャップ10に略平行であるため、第二の部分104に過激な変形が生じることがなく、それによって第二の部分104に割れが発生しにくく、薄肉部103以外の位置から作動するリスクを低減させることができる。
図8に示すように、第二の部分104は、電池セル1内部から乖離する方向に突出する高さが、接続部101の高さを超えない。例えば、第二の部分104は、電池セル1内部から乖離する方向に突出する高さが、接続部101の高さと同じであり、即ち、図8では、中間領域1042は、接続部101と同一平面上に位置している。第二の部分104の電池セル内部から乖離する方向に突出する高さが高すぎると、電池セル1の体積が増加し、電池セル1体積エネルギー密度が低下してしまう。
図10から図18は、本出願の実施例の放圧機構100の異なる気圧又は温度での状態を示す。
図10は、放圧機構100の電池セル1内部の気圧又は温度が第一の所定値よりも小さい場合の斜視図である。図11は、放圧機構100の断面図であり、切断位置及び観察視角は、図8と同様であり、図8における説明を参照されたい。図12は、図11における領域X2の拡大図である。
電池セル1が正常作動するとき、電池セル1内部の気圧又は温度が比較的に低い。以下では、気圧を例にして説明する。電池セル1内部の気圧は、放圧機構100に持続的に作用して、第一の部分102、薄肉部103及び第二の部分104を上方に移動させるか、又は上方に移動させる傾向があり、第一の部分102は、輪郭の周長が減少し、中心へ収縮する傾向がある。
具体的には、図11及び図12に示すように、第一の部分102は、電池セル1の内部に向けて傾斜しているため、薄肉部103の位置が接続部101よりも電池セルの内部に近く、つまり薄肉部103の位置が放圧機構100とエンドキャップ10との固定点の位置よりも電池セルの内部に近い。そして、第一の部分102の一端部が接続部101による拘束を受けるため、気圧の作用で、第一の部分102の電池セル1内部に突出した端部は、図12における矢印方向に沿って薄肉部103を押圧することによって、薄肉部103の割れを抑制し、電池セル1が正常作動するときに放圧機構100のクリープ故障を防止し、放圧機構の寿命を効果的に延長する。別の方面では、図12に示すように、第二の部分104は、第一の部分102と薄肉部103とを支持することによって、薄肉部103を効果的に押圧する。
図13は、電池セル1内部の気圧又は温度が第一の所定値以上に上がり、第一の部分102が電池セル1内部方向に延出した状態から上方に反転して電池セル1内部から乖離する方向に延出する過程状態図を示す。図14は、放圧機構100の断面図であり、切断位置及び観察視角は、図8及び図11と同様である。図15は、図14における領域X3の拡大図である。
図13から図15に示すように、電池セル1内部の気圧又は温度が上昇し、第一の所定値以上に達するときに、第一の部分102、薄肉部103及び第二の部分104は、全体的に上方に移動し続け、そのうち、第一の部分102は、比較的に大きい変形が生じ、電池セル1内部方向に延出した状態から上方に反転して、電池セル1内部から乖離する方向に延出した状態に変わる。より具体的には、第一の部分102における薄肉部103に隣接する部分は、電池セル1内部から乖離する方向に延出した状態に変わり、接続部101に隣接する部分は、接続部101による拘束を受け、移動が比較的に小さい。第一の部分102の反転が完了した後、第一の部分102は、全体が電池セル1内部から乖離する方向に延出した状態に基本的に変わり、第一の部分102は、図12に示す薄肉部103を押圧する状態から薄肉部103を引っ張る状態に変わり、薄肉部103の割れを促進し、急速な放圧を実現するのに寄与する。他方では、第二の部分104は、気圧の作用で、上方に移動し、薄肉部103を引っ張り、薄肉部103の割れを促進し、急速な放圧を実現するのに寄与する。
ここで、第二の所定値を定義するときに、放圧機構100の所定放圧温度又は圧力値を示す。即ち、電池セル1内部の温度又は圧力値が第二の所定値に達すると、放圧機構100が作動し、例えば、薄肉部103が割れ、電池セル1内圧が放圧機構100を介して逃がす。
図16は、電池セル1内部の気圧又は温度が第二の所定値以上に上がり、放圧機構100が破裂する直前の斜視図である。図17は、放圧機構100の断面図であり、切断位置及び観察視角は、図8、図11及び図14と同様である。図18は、図17における領域X4の拡大図である。
図16から図18に示すように、電池セル1内部の気圧又は温度が第二の所定値に達するとき、第一の部分102、薄肉部103及び第二の部分104は、全体的に上方に移動拡大し続け、薄肉部103へより大きな引っ張り力を印加し、薄肉部103を破裂させ、電池セル1内部の圧力が放出される。
図19は、図9における放圧機構100の一つの変形例を示す。
図19に示すように、いくつかの実施例では、第一の部分102の厚さは、第二の部分104の厚さ以下である。
第一の部分102は相対的に薄いが、第二の部分104が相対的に厚いため、電池セル1内部の気圧又は温度が増加すると、比較的に薄い第一の部分102は、電池セル1内部から乖離する方向に延出した状態へとより容易かつより迅速に変わり、比較的に大きい変形が生じ、比較的に厚い第二の部分104は、比較的に小さい変形が生じ、薄肉部103と第一の部分102とを支持することによって、第一の部分102が薄肉部103をより効果的に引っ張り、薄肉部103の割れを促進し、急速な放圧を実現し、電池が爆発することを効果的に防止する。
比較例として、以下では、従来技術の放圧機構を説明する。
図20は、従来技術の放圧機構の断面図であり、切断位置と観察視角は、図8と同様である。図21は、図20における領域X5の拡大図である。
図20から図21は、放圧機構200の初期状態、即ち圧力が印加されない状態を示す。
図20及び図21に示す従来技術の放圧機構200は、接続部201と、第一の部分202と、薄肉部203と、第二の部分204と、を含む。放圧機構200の輪郭形状は、本出願の放圧機構100と略同じように設置される。図20に示すように、第一の部分202及び第二の部分204は、接続部201と同一平面に位置し、放圧機構200の第一の部分202は、電池セル内部に延出しておらず、第二の部分204は、電池セル1内部から乖離する方向に延びる形状を有していない。
図22は、従来技術の放圧機構200が比較的に低い気圧の作用での状態(切断位置及び観察視角は、図20と同様である)を示す。図23は、図22における領域X6の拡大図である。
放圧機構200は、電池セルが正常作動するときに、電池セル内部気圧作用を受け、このとき、第一の部分202及び第二の部分204は、電池セル内部から離れる方向に移動し、電池セル内部気圧の持続作用で、第一の部分202及び第二の部分204は、それぞれ、図23における矢印方向に沿って薄肉部203に対して持続的な引っ張りを行い、そのため薄肉部203は、電池セルが正常作動するとき、比較的に小さい気圧の作用で割れる可能性がある。
図24は、従来技術における放圧機構が割れた状態(切断位置及び観察視角は、図20と同様である)を示す。図25は、図24の中間領域X7の拡大図である。
放圧機構200は、電池セル内部気圧作用を長期間受け、第一の部分202及び第二の部分204は、上方に移動し続け、薄肉部203が第一の部分202及び第二の部分204の引っ張りを持続的に受けるため、クリープが生じ、薄肉部203は、電池セルが正常作動する状態で破裂し、クリープ故障が発生してしまう。
図26は、本出願の他の実施例の放圧機構の断面図の局所拡大図(切断位置及び観察視角は、図8と同様である)である。
図26に示すように、第一の部分102には、薄肉領域1023が設置され、この薄肉領域1023の厚さは、第一の部分102における他の領域の厚さよりも小さい。いくつかの実施例では、薄肉領域1023は、電池セル1内部方向に開口する環状凹溝である。
放圧機構100のサイズが比較的に小さい場合、気圧又は温度が第一の所定値以上であるときに、第一の部分102が電池セル1内部から乖離する方向に延出した状態に変わることを保証することを可能にするために、第一の部分102を十分に薄く設置する必要があり、それによって薄肉部103の割れを促進し、大サイズの放圧機構と同様の放圧効果を実現させる。しかし、製造機器及び製造プロセスの制限を受け、第一の部分102を十分に薄くすることは困難である。このため、第一の部分102が気圧の作用で変形が生じやすく、電池セル1内部から乖離する方向に延出した状態に変わるように、第一の部分102に薄肉領域1023を設けてもよい。
本出願の薄肉領域1023は、上記構造に限らず、電池セル1内部から乖離する方向に開口する環状凹溝であってもよく、第一の部分102の上表面及び下表面に、いずれも環状凹溝を設けてもよい。なお、薄肉領域1023形状は、特に限定されるものではなく、環状ではなく、円弧状、直線状又は他の形状であってもよい。気圧を均一に耐えることを保証するために、第一の部分102上に薄肉領域1023を対称的に設置することが好ましい。なお、薄肉領域1023の数も特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜設置してもよい。
図27は、本出願の他の実施例の放圧機構100の電池セル1内部に向けた方向の側の斜視図である。図28は、図27の放圧機構100の電池セル1内部から乖離する方向の側の図である。図29は、図28における直線d-dにおける矢印D方向に沿った断面図である。
いくつかの実施例では、図27から図29に示すように、第二の部分104は、電池セル1内部の方向に突起する少なくとも一つの第一の突起領域1041と、電池セル1内部から離れる方向に突起する少なくとも二つの第二の突起領域1042とを含む。図29に示すように、二つの第二の突起領域1042は、薄肉部103にそれぞれ繋がり、第一の突起領域1041は、二つの第二の突起領域1042の間にあり、第二の部分104は、全体として波形状をなして、それによって第二の部分104の強度を増加させ、第一の部分102と薄肉部103とに対してより良好な支持効果を果たし、気圧又は温度が第一の所定値よりも小さい場合、第一の部分102の薄肉部103に対する押圧効果を向上させ、薄肉部103の割れを抑制し、放圧機構100の寿命を延長することができる。例えば、図6から図8に示す放圧機構100の第二の部分104に対してプレスを行うことにより、図27及び図28に示す「X」形状の折り曲げ部1043を形成し、それによって電池セル1内部方向に突起する一つの第一の突起領域1041と、電池セル1内部から離れる方向に突起する第一の突起領域1041両側の二つの第二の突起領域1042と、を形成する。
第一の突起領域1041及び第二の突起領域1042は、他の方式によって形成してもよく、例えば、金型の形状を設けることにより、第一の突起領域1041と第二の突起領域1042とを有する第二の部分104を直接鋳造する。
第一の突起領域1041及び第二の突起領域1042の数、形状は、特に限定されるものではなく、電池セル1内部の方向に突起する少なくとも一つの第一の突起領域1041と、電池セル1内部から離れる方向に突起する少なくとも二つの第二の突起領域1042とを介して形成された略波形状の第二の部分104であれば、第二の部分104の強度を向上させる効果を得ることができる。
いくつかの実施例では、図28に示すように、接続部101は、環状の板状構造であり、例えば溶接方式によってエンドキャップ10に接続されてもよい。溶接の位置は、エンドキャップ10の外側にあってもよく、第一の部分102がエンドキャップ厚さを超えて延びる場合、溶接の位置は、エンドキャップ10の内側にあってもよい。接続部101は、二つの直線部1011と、二つの直線部1011の端部にそれぞれ接続される二つの円弧状部1012と、を含む。二つの直線部1011は、互いに略平行であり、二つの直線部1011と二つの円弧状部1012とからなる接続部101は、全体として環状トラック形状をなしている。
一般的な円形形状の防爆片に比べて、本実施例の接続部101は、環状トラック状をなしており、長さ・幅が同じである放圧機構100の場合、放圧時の排気面積がより大きく、ガスをより速く排出することができる。
いくつかの実施例では、エンドキャップ10上での放圧機構100の設置方式は、図4に示すように、放圧機構100が二つの電極端子30の間に位置することであり、直線部に比べて、二つの円弧状部は、放圧機構100両側の電極端子30にそれぞれ近く、より具体的には、二つの円弧状部1012の円弧状中点の結線は、二つの電極端子30の結線と同じ直線にある。例えば、二つの円弧状部1012の円弧状中点の結線と二つの電極端子30の結線は、いずれも図4に示すa-a断線にある。このように、他の設置方向に比べて、放圧機構100は、応力作用を受けて発生する変形が最大となる。無論、放圧機構100は、図3に示すように、直線部が電極端子30に近い方式に設置してもよい。
いくつかの実施例では、薄肉部103の少なくとも一部の領域の厚さは、第一の部分102及び第二の部分104の厚さよりも小さく、即ち、薄肉部103の一部の厚さは、第一の部分102及び第二の部分104の厚さよりも小さく、他の部分の厚さは、第一の部分102及び/又は第二の部分104の厚さ以上であってもよい。
薄肉部103の一部の厚さが減少していないため、薄肉部103が破裂した場合、第二の部分104は、気流などの排出物に伴って飛び出すことはない。
いくつかの実施例では、薄肉部103は、凹溝構造であり、例えば、薄肉部103は、電池セル1内部から離れる側に開口する環状凹溝である。この環状凹溝構造は、複数の断続的な凹溝を含んでもよく、即ち、薄肉部103の一部の領域の厚さが第一の部分102及び第二の部分104の厚さよりも小さいことを満たす。
薄肉部103は、凹溝構造であり、薄肉部103の厚さと強度が第一の部分102及び第二の部分104よりも小さいため、薄肉部103が割れやすい。
しかし、薄肉部103は、凹溝構造に限らず、薄肉部103の強度が第一の部分102及び第二の部分104よりも十分に小さい構造であればよい。例えば、薄肉部103は、化学処理によって薄肉部103を軟化させて強度を低下させた構造であってもよい。
以上では、本出願の実施例の放圧機構100を説明した。
本出願の別の方面によれば、上記の電池セル1を含む電池500をさらに提供する。
本出願のまた別の方面によれば、電力消費装置をさらに提供する。この電力消費装置は、電気エネルギーを提供するための上記の電池500を含む。選択的に、電力消費装置は、図1に示す車両800であってもよく、船舶又は宇宙船であってもよい。
本出願は、放圧機構の製造方法をさらに提供した。
図30は、本出願の一実施例の放圧機構100の製造方法のフローチャートを示す。
図30に示すように、本実施例の製造方法は、接続部101を提供し、それを、ケースプレートに接続されるように放圧機構100の外周領域に設置するステップS1と、第一の部分102を提供し、その一端部を接続部101に接続し、他端部を電池セル内部の方向に傾斜して延出するステップS2と、薄肉部103を提供し、それを第一の部分102の上記延出した端部に接続するステップS3と、第二の部分104を提供し、外縁領域を電池セル1内部から乖離する方向に傾斜して延びさせ、その外縁領域を薄肉部103に接続させるステップS4と、を含み、そのうち、電池セル内部の気圧又は温度が第一の所定値よりも小さい場合、薄肉部103は、第一の部分102及び/又は第二の部分104によって押圧される。
より具体的には、上記接続部101、第一の部分102及び第二の部分104は、金属材料を用いて金型を介して一体成形されるとともに、第一の部分102と第二の部分104との間に接続部101と平行な接続ステージが形成される。金属材料としては、例えば、アルミニウム箔、銅箔などである。このとき、接続ステージにて、プレス又は切削などの方式によって凹溝状の薄肉部103を形成し、図6に示す放圧機構100を得る。適当な材料の選択、第一の部分102の厚さの設定、第一の部分102の延出した長さ、第二の部分104の面積、第二の部分104の厚さ、薄肉部103の厚さなどパラメータを介して、電池セル内部の気圧又は温度が第一の所定値よりも小さい場合に、薄肉部103が第一の部分102、第二の部分104によって押圧される効果を実現することができる。具体的なパラメータの設計は、放圧機構のサイズなどに応じて適切に設定されており、本出願は、ここでこれ以上説明しない。
一つの好ましい実施例では、第二の部分104が電池セル1内部から乖離する方向に突出する形状を有するように設置する。例えば、これは、成形金型に対して形状の調整を行うことで実現できる。
一つの好ましい実施例では、第一の部分102の厚さが第二の部分104の厚さ以下となるように設置する。例えば、これは、成形金型に対して形状の調整を行うことで実現できる。
一つの好ましい実施例では、第一の部分102には、第一の部分102の変形に有利となるように、図26に示す薄肉領域1023が設置される。薄肉領域1023は、第一の部分102に対してプレス又は切削を行うなどの方式で形成されてもよく、金型の形状を設定して第一の部分102と一体成形されてもよい。
一つの好ましい実施例では、第二の部分104が、電池セル1内部の方向に突起する少なくとも一つの第一の突起領域1041と、電池セル1内部から離れる方向に突起する少なくとも二つの第二の突起領域1042と、を含むように設置する。第一の突起領域1041及び第二の突起領域1042は、第二の部分104上にプレスの方式によって「X」状凹溝を設置することにより自然形成されてもよく、金型の形状を設定して第二の部分104と一体成形されてもよい。
説明すべきこととして、以上の各実施例が本出願の技術案を説明するためにのみ使用されるが、それに限定されるものではない。前記各実施例を参照しながら本出願を詳細に説明したが、当業者は、依然として前記各実施例に記載された技術案を修正し、又はその一部又は全ての技術特徴に同等の置き換えを行うことができるが、これらの修正又は置き換えは、該当する技術案の本質を本出願の各実施例の技術案の範囲から逸脱させるものではなく、それらがいずれも本出願の請求項と明細書の範囲に含まれるべきであると理解すべきである。特に、構造的な衝突がない限り、各実施例に言及された各技術特徴は、いずれも任意の方式で組み合わせられてもよい。本出願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、請求項の範囲内に含まれる全ての技術案を含む。
1 電池セル
10 エンドキャップ
20 ケース
30 電極端子
40 電極コンポーネント
41 本体部
42 タブ
421 正極タブ
422 負極タブ
50 ケースプレート
60 接続部材
100 放圧機構
101 接続部
102 第一の部分
103 薄肉部
104 第二の部分
1023 薄肉領域
1041 第一の突起領域
1042 第二の突起領域
1043 折り曲げ部
1011 直線部
1012 円弧状部
200 比較例の放圧機構
201 接続部
202 第一の部分
203 薄肉部
204 第二の部分
300 コントローラ
400 モータ
500 電池
600 筐体
601 第一のハウジング
602 第二のハウジング
800 車両

Claims (16)

  1. 電池セルのケースプレートに設置される放圧機構であって、
    前記ケースプレートに接続されるように前記放圧機構の外周領域に位置する接続部と
    方の端部が前記接続部に接続され、全体として前記接続部から電池セル内部の方向に傾斜して延出する第一の部分と、
    前記第一の部分における延出した前記端部に設置される薄肉部と、
    その外縁領域が前記薄肉部に接続され、前記外縁領域が前記電池セル内部から乖離する方向に傾斜して延びる第二の部分と、
    を含み、
    前記電池セル内部気圧が第一の所定値よりも小さい場合、前記薄肉部は、前記第一の部分及び/又は前記第二の部分によって押圧され、
    前記第一の部分の厚さは、前記第二の部分の厚さ未満であり、
    前記第一の部分には、電池セル内部方向に開口した環状凹溝が設けられている、
    放圧機構。
  2. 電池セル内部の気圧が前記第一の所定値以上である場合、前記第一の部分は、電池セル内部の方向に延出した状態から、電池セル内部から乖離する方向に延出した状態に変わり、前記薄肉部は、前記第一の部分及び/又は前記第二の部分によって引っ張られる、請求項1に記載の放圧機構。
  3. 前記第二の部分は、電池セル内部から乖離する方向に突出する形状を有する、請求項1又は2に記載の放圧機構。
  4. 前記第二の部分は、外縁領域と、中間領域と、を含み、前記中間領域は、前記放圧機構を設置する前記ケースプレートの部位に略平行である、請求項1から3のいずれか1項に記載の放圧機構。
  5. 前記第二の部分は、前記電池セル内部から乖離する方向に突出する高さが、前記接続部の高さを超えない、請求項3又は4に記載の放圧機構。
  6. 前記電池セル内部の温度又は気圧が第二の所定値以上である場合、前記薄肉部は、前記電池セル内圧が前記放圧機構を介して逃すように作動する、請求項1からのいずれか1項に記載の放圧機構。
  7. 前記第二の部分は、前記電池セル内部の方向に突起する少なくとも一つの第一の突起領域と、電池セル内部から離れる方向に突起する少なくとも二つの第二の突起領域と、を含む、請求項1からのいずれか1項に記載の放圧機構。
  8. 前記接続部は、環状であり、二つの直線部と、当該二つの前記直線部の端部にそれぞれ接続される二つの円弧状部と、を含む、請求項1からのいずれか1項に記載の放圧機構。
  9. 前記薄肉部の少なくとも一部の領域の厚さは、前記第一の部分及び前記第二の部分の厚さよりも小さい、請求項1からのいずれか1項に記載の放圧機構。
  10. 前記薄肉部は、凹溝である、請求項1からのいずれか1項に記載の放圧機構。
  11. 請求項1から1のいずれか1項に記載の放圧機構を含む、電池セル。
  12. 請求項1に記載の電池セルを含む、電池。
  13. 電気エネルギーを提供するための、請求項1に記載の電池を含む、電力消費装置。
  14. 放圧機構の製造方法であって、
    接続部を提供し、当該接続部を、電池セルのケースプレートに接続されるように前記放圧機構の外周領域に設置することと、
    第一の部分を提供し、当該第一の部分の一方の端部を前記接続部に接続し、全体として前記接続部から電池セル内部の方向に傾斜して延出することと、
    薄肉部を提供し、当該薄肉部を前記第一の部分における延出した前記端部に接続することと、
    第二の部分を提供し、当該第二の部分の外縁領域を前記薄肉部に接続し、前記外縁領域を前記電池セル内部から乖離する方向に傾斜して延びさせることと、
    を含み、
    前記電池セル内部気圧が第一の所定値よりも小さい場合、前記薄肉部は、前記第一の部分及び/又は前記第二の部分によって押圧され、
    前記第一の部分の厚さは、前記第二の部分の厚さ未満であり、
    前記第一の部分には、電池セル内部方向に開口した環状凹溝が設けられている、
    ことを特徴とする放圧機構の製造方法。
  15. 前記第二の部分が、電池セル内部から乖離する方向に突出する形状を有するように設置する、請求項1に記載の製造方法。
  16. 前記第二の部分が、前記電池セル内部の方向に突起する少なくとも一つの第一の突起領域と、電池セル内部から離れる方向に突起する少なくとも二つの第二の突起領域と、を含むように設置される、請求項14または5に記載の製造方法。
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