JP7490386B2 - 回転角度検出装置 - Google Patents

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本発明は、回転角度検出装置に関するものである。
一般的に、回転角度検出装置における回転軸の回転角度は、360°未満(すなわち、回転軸の回転量が1回転未満)とされているものが多いが、回転軸を360°以上(例えば、2から10回転、あるいはそれ以上)回転させる事が可能な回転角度検出装置も知られている。このような回転角度検出装置は、多回転型の回転角度検出装置と呼ばれており、多回転型の回転角度検出装置の多くは、回転機構部分に減速ギヤが内蔵されており、回転軸の回転を大きな減速比により減速して検出部に伝える構造となっている。
例えば、特許文献1には、シャフトとシャフトの回転を減速するための4つの平歯車からなる減速機構とを備え、減速したシャフトの回転角度を電圧値に変換するポテンショメータが開示されている。
また、特許文献2には、スクリューと、スクリューと一体に回転するウォームギヤと、ウォームギヤに噛合する歯車と、歯車と共に回転するインジケータと、を備えたポテンショメータが開示されている。
特開2014-167427号公報 実開昭57-37205号公報
しかしながら、特許文献1に記載された多回転型のポテンショメータでは、複数の平歯車を組み合わせた減速装置を使用しており、大きな減速比を得るためには小型でピッチサイズの小さい精密な歯車と軸受け部が必要となることから、コストが嵩むという問題がある。また、歯車を多段にしているため歯車の回転軸方向(奥行き方向)を長くすることが必要となり、装置自体の薄型化が難しいという問題もある。
また、特許文献2に記載された多回転型のポテンショメータでは、ウォームギヤを使用しているため、ウォームギヤの回転軸と角度検出機構の回転軸の配置が直交する形となり、その結果としてポテンショメータが大型となり、ポテンショメータの取り付け面を大きくしなければならないという問題がある。また精密な歯車加工が必要であるためにコストが掛かるという問題もある。
本発明の目的は、コストを低減し、かつ、薄型化することが可能な多回転型の回転角度検出装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明の回転角度検出装置は、筐体と、前記筐体に回転可能に配置される回転軸と、前記回転軸と一体に回転するように配置される回転体と、前記回転軸と同心に配置され、前記筐体に固定して配置される第1の冠歯車と、前記回転軸と同心に配置され、前記第1の冠歯車の歯数と異なる歯部を有し、前記筐体に回転可能に配置される第2の冠歯車と、前記回転体における前記回転軸から径方向に離間した位置に回転可能に配置され、前記第1の冠歯車および前記第2の冠歯車の両者に噛合する駆動歯車と、前記第2の冠歯車の回転角度を検出する検出部と、を有する。
本発明の回転角度検出装置によれば、コストを低減出来、且つ、薄型化を実現することができる。
本発明の実施の形態に係る回転角度検出装置の外観図 本発明の実施の形態に係る回転角度検出装置の構成を示す分解斜視図 本発明の実施の形態に係る回転角度検出装置の断面図 本発明の実施の形態に係る回転角度検出装置の検出部を説明する分解斜視図 本発明の実施の形態に係る第1の冠歯車の外観図と断面図 本発明の実施の形態に係る第2の冠歯車の外観図と断面図 本発明の実施の形態に係る第1の冠歯車の歯部と第2の冠歯車の歯部の位置関係を説明するための平面図 本発明の実施形態に係るシャフトの回転数と出力レベルの関係を示すグラフ
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る回転角度検出装置100の全体構成を示す外観図であり、図1Aはその平面図、図1Bは正面図である。また、図2は、回転角度検出装置100の詳細な構成を示す分解斜視図であり、図3は、図1AにおけるA-A線断面図である。
図1から図3に示すように、回転角度検出装置100は、筐体であるケース4の内部に、回転を伝えるためのシャフト1と、シャフト1の回転を減速させる減速機構を構成する駆動歯車11、外側冠歯車5(第1の冠歯車に相当)、内側冠歯車13(第2の冠歯車に相当)が配置されている。また、ケース4の内部には、更に磁石10、磁気センサ8が実装された回路基板7が配置されている。磁石10は内側冠歯車13の中央部下面に取り付けられている。回路基板7には磁気センサ8に電源電圧を供給するとともに、検出したシャフト1の回転変位量に応じた出力値を出力するためのリード線6が取付けられている。
ケース4は樹脂材料により形成されており、全体形状は上底を持つ概略円筒形状とされている。換言すると、ケース4は、上底となる円板部4bと、円板部4bから下方向に延びる円筒部4cとを備え、下底が開放された有底円筒形状をなす。
円板部4bは円板形状の外形を有し、その中心部には貫通穴4aが形成されている。円筒部4cは、筒状の外形を有する。ケース4の円筒部4cの内側は空間部4dとされており、この空間部4dに上述した各部材が収容されている(図3参照)。
またケース4には、貫通穴4aを取り囲む位置に取付用ネジ3が形成されている。取付用ネジ3は、貫通穴4aの周縁から円板部4bに対して垂直方向であって且つ外方向に立設するように形成された円筒形状の筒体である。
取付用ネジ3は金属製の円柱部材を中空状に加工した円筒状の部材(円筒体)であり、中空部分はシャフト1を受けるための円形の貫通孔3aとなっている。また、取付用ネジ3の外周面には、回転角度検出装置100を図示しないパネル等の被取付部に取り付ける際に、被取付部に対して回転角度検出装置100をナットにより固定するための雄ネジが形成されている。取付用ネジ3は、ケース4の円板部4bの中央部(貫通穴4aと対応する位置)にインサート成形によりケース4と一体となるように形成されている。
シャフト1は、金属または樹脂により形成されており、一端部(図1B及び図2において上側の部分)には、操作用のつまみ(不図示)を装着する際に回り止めとなるようにDカット部1aが形成されている。また、シャフト1の中央部付近の外周面には、後述するEリング2を装着するための、円環状の溝1bが形成されている。溝1bは、シャフト1の一端部をケース4外に突出させた状態でシャフト1をケース4に組み込んだ際にケース4外に位置する溝1bにEリング2を挿入してシャフト1の軸方向の移動を規制した状態でシャフト1をケース4に対して回転可能に保持する役割を果たす。
また、シャフト1の他端部(図1B及び図2において下側の部分)には、円環形状のロータ12がシャフト1と一体的に回転するようにインサート成形よりシャフト1に取り付けられている。ロータ12の外周面12aには、円周方向に突出する支持軸14がロータ12と一体的に形成されており、この支持軸14には後述する駆動歯車11が回転可能な状態で装着される。
支持軸14は金属又は樹脂からなり、インサート成形によりロータ12と一体に形成されている。
駆動歯車11は、例えば10歯からなるピニオンギヤであり、樹脂により形成されたものである。なお、ピニオンギヤの歯数は10に限定されるものではない。
外側冠歯車5は、図2及び図5Aに示すような円盤形状であり、その上面(図2における上側の面)の外縁近傍部分には、例えば36個の歯が形成された歯部5aが円環状に形成されており、いわゆる、フェースギヤのような形状とされている。
図5Bは、図5AにおけるB-B線断面図であり、外側冠歯車5において歯部5aが形成されている領域の内側には、図5Bに示すように円環状の座ぐり部5bが形成され、更に座ぐり部5bの内側には円形形状の貫通穴5cが形成されている。この座ぐり部5bと貫通穴5cには、グリース15が塗布された後、内側冠歯車13が組み込まれる。その際、内側冠歯車13の下面に形成された後述する突起13bが貫通穴5cの嵌め込まれる形で両者は相対回転が可能な状態で組み付けられる。なお、外側冠歯車5の下面には円盤状の凹部5dが更に形成されており、ケース4に回路基板7を組み込んだ際に回路基板7に実装された磁気センサ8が位置する空間がこの凹部5dにより確保されるようになっている。
内側冠歯車13は、図2及び図6Aに示すよう円盤形状であり、かつ、その外径が外側冠歯車5における座ぐり部5bの内径とほぼ等しくなる大きさとされており、外側冠歯車5の座ぐり部5b内に対して相対的に回転することが可能な程度のクリアランスを持って組み付けられる。内側冠歯車13も外側冠歯車5と同様に樹脂により成形されている。また、その上面(図2における上側の面)の外縁部分には、例えば35個の歯が形成された歯部13aが円環状に形成されており、いわゆるフェースギヤのような形状とされている。
図6Bは、図6AにおけるC-C線断面図であり、内側冠歯車13の歯部13aが形成された面とは反対側の面である内側冠歯車13の下面には、図6Bに示すように円環形状の突起13bが形成されているとともに、突起13bの内側は磁石10を収納するための円柱状の空間13cとなっている。磁石10は、空間13c内に配置されて、例えば接着剤(図示せず)で固定される。
外側冠歯車5の歯部5aと内側冠歯車13の歯部13aとは、組み付けられた状態においてほぼ同一平面上に位置するように構成されており、歯部5aと歯部13aとは駆動歯車11に同時に噛合う。
磁石10としては、円盤形状のネオジウム磁石やサマリウムコバルト磁石等が用いられる。磁石10は、図4に矢印で示すように径方向に着磁されている。この磁石10は、内側冠歯車13の回転軸Mの中心に配置される。内側冠歯車13が回転することで磁石10も一体的に回転する。すなわち、シャフト1の回転の動きに合わせて、磁界(N極とS局を結ぶ線)の向きが変化する。
磁気センサ8は、図4に示すように磁気センサ8上に配置された磁石10の磁界の向きを検出するものであり、例えば磁気抵抗素子やホール素子、あるいはこれらを含むIC等が使用される。この磁気センサ8は、磁石10の回転による磁界の角度変化を検出し、その検出値を電気信号として回路基板7及びリード線6を通して出力する。
回路基板7には、磁気センサ8の駆動等を行うための図示しない制御回路が形成されているとともに磁気センサ8が実装されており、また回路基板7には磁気センサ8からの信号を出力するためのリード線6が、例えば半田付けにより電気的に接続されている。なお、必要に応じ、バイパスコンデンサやアンプ回路を搭載あるいは形成しても良い。回路基板7は、ケース4内の空間部における外側冠歯車5の下面に組付けられ、回路基板7の裏面側は接着剤9によりケース4に固定される。(図2及び図3参照)
次に、本実施の形態における回転角度検出装置の動作を説明する。シャフト1に取り付けられた駆動歯車11は、外側冠歯車5の歯部5aと内側冠歯車13の歯部13aの両者に噛み合っている。また外側冠歯車5はケース4に固定されているのに対して、内側冠歯車13は外側冠歯車5に対して回転可能とされている。
この構造により、シャフト1が回転することによって駆動歯車11が歯部5a及び歯部13aの両者に噛合いながら転動してゆくと、駆動歯車11は不動とされている外側冠歯車5の歯部5a上を転動しながら同時に歯部13aと噛合っていることにより内側冠歯車13をシャフト1の回転方向と逆の方向へ微少量ずつ回転させることになる。
図7A、図7B、図7Cは、この動作を具体的に説明するために外側冠歯車5の歯部5aと内側冠歯車13の歯部13aとの相対的な位置関係の変化を示したものであり、図7A中の矢印で示す位置を、説明の便宜上、内側冠歯車13の初期位置とする。
これに対して、図7Bは、シャフトが初期位置から180度回転した時に内側冠歯車13が外側冠歯車5に対してどの位置にあるのかを示した図である。また、図7Cは、シャフトが360度、すなわち1回転した時に内側冠歯車13が外側冠歯車5に対してどの位置にあるのかを示した図である。
図7Aに示すように、初期状態では、外側冠歯車5と内側冠歯車13の両者と駆動歯車11とが噛み合っている位置(矢印Xで示す位置)において、外側冠歯車5と内側冠歯車13の歯は同一線上に揃っている。
次に、シャフトを180°回転させると、図7Bに示すよう、外側冠歯車5と内側冠歯車13の歯は、180°の位置で同一線上に揃う。
さらに、シャフトを180°回転させて初期位置に戻ると、図7Cに示すよう、外側冠歯車5と内側冠歯車13は、初期位置で直線上に揃う。但し、内側冠歯車13は歯数が35であるのに対して外側冠歯車5は歯数が36であること、すなわち内側冠歯車13の歯数が1つ少ないためにシャフト1の1回転に対して歯車の1歯分(約10.3°)だけ回転がずれる。
つまり、シャフトが1回転する度に、内側冠歯車13はシャフトの回転とは逆方向に歯車1歯分(約10.3°)だけ回転することになる。
内側冠歯車13が回転すると、それに応じて内蔵している磁石10の磁界の向きが変化するので、この変化量を、磁気センサ8により検出することで、角度の変化を検出することができる。この時、シャフト1の回転軸と磁石10の中心、および磁気センサ8の中心が一致していることが望ましい。
この磁気の変化量は、磁気センサ8によって電圧値に変換され、リード線6により外部へ出力される。
次に、シャフト1の回転数と出力レベルの関係を、図8を用いて説明する。図8は、シャフト1の回転数と磁気センサ8の出力レベルとの関係を示したグラフである。横軸はシャフト1の回転数であり、縦軸は磁気センサ8の出力を、初期位置(0回転)における出力レベルを0%とし、35回転が終了した位置(すなわち、磁気センサ8が360度回転したときの位置)における出力レベルを100%として表示したものである。
すなわち、シャフト1を1回転させる毎に内側冠歯車が約10.3°ずつ回転し、35回転目で360°に到達する。磁気センサ8の出力についても、シャフト1を回転させる度に上昇し、35回転目で出力レベルは100%となる。シャフト1の回転数と出力レベルの関係は直線的に変化する。
本実施の形態によれば、シャフト1の回転数および回転位置に応じて磁気センサ8の出力レベルが直線的に変化するので、シャフト1の回転数および回転位置を精度良く検出することができる。
また、シャフト1の回転の減速機構として冠歯車を用いていることから、低コストで回転角度検出装置の薄型化を実現することが可能となる。
なお、本発明は、部材の種類、配置、歯車の数等は前述の実施の形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
また、本発明の回転角度検出装置は、定電圧電源の電圧調整や、計測器の原点調整等で広く利用することができることは勿論である。
その他、上記実施の形態は、何れも本発明の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明は回転角度検出装置に用いて好適である。
1 シャフト
2 Eリング
3 取付用ネジ
4 ケース
4a 貫通穴
4b 円板部
4c 円筒部
4d 空間部
5 外側冠歯車
5a 歯部
5b 座ぐり部
5c 貫通穴
6 リード線
7 回路基板
8 磁気センサ
9 接着剤
10 磁石
11 駆動歯車
12 ロータ
12a 外周面
13 内側冠歯車
13a 歯部
13b 突起
13c 空間
14 支持軸
15 グリース
100 回転角度検出装置

Claims (2)

  1. 筐体と、
    前記筐体に回転可能に配置される回転軸と、
    前記回転軸と同心に配置され、前記回転軸と一体に回転するように配置される回転体と、
    前記回転体の外周面に形成され、前記回転体の円周方向に突出する支持軸と、
    前記回転軸と同心に配置され、前記筐体に固定して配置される第1の冠歯車と、
    前記第1の冠歯車の内側に前記回転軸と同心に配置され、前記第1の冠歯車の歯数よりも少ない歯数を有し、前記筐体に回転可能に配置される第2の冠歯車と、
    前記支持軸に支持されて、前記回転体における前記回転軸から径方向に離間した位置に回転可能に配置され、前記第1の冠歯車および前記第2の冠歯車の両者に噛合するピニオンギヤと、
    前記第2の冠歯車の歯部が形成された面とは反対側の面である下面側の、前記第2の冠歯車の回転軸の中心位置に固定された磁石と、
    前記磁石下に配設され、前記磁石の磁界の向きを検出する磁気センサと、
    を有する、
    回転角度検出装置。
  2. 前記第1に冠歯車の1つの歯と、
    前記第2の冠歯車の1つの歯と、
    を同一線上に配置した状態で、前記ピニオンギヤと、
    を噛合いさせて回転させる、
    請求項1に記載の回転角度検出装置。
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