JP7488949B2 - ソフトカプセル剤 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 2022年9月22日 ソフトカプセル剤を掲載したチラシの頒布と試供品の提供
特許法第30条第2項適用 2022年9月28日 ソフトカプセル剤を掲載したチラシの頒布と試供品の提供
本発明は、内容液として、健康増進に寄与する油が充填されているソフトカプセル剤に関する。
一定量の健康増進に寄与する成分を含む内容液をユーザが容易に摂取できるようにすべく、ソフトカプセル剤が広く用いられている。そのソフトカプセル剤は、皮膜により一定容積の内部空間(密閉空間)を区画し、その内部空間に内容液を充填したものとなっており、その内容液は、一般に、健康増進に寄与する内包油に対して、同じく健康増進に寄与する機能性を有する機能性食品材料を溶解したものとなっている。これにより、体内での機能性食品材料の吸収性に関し、内包油が、弱い脂溶性の機能性食品材料を助ける。このようなソフトカプセル剤は、近時、改良が進み、特許文献1に示すように、ソフトカプセル剤同士の相互付着、容器への付着等を改善すべく、ソフトカプセル剤の皮膜中に常温で固体の疎水性物質を配合したものが提案されている。これにより、このソフトカプセル剤における皮膜中に均一に分散した疎水性物質のうち、皮膜表面に露出した微細な疎水性物質の粒子がその皮膜表面を被覆することになり(皮膜表面機能改善)、その疎水性物質の被覆層が、ソフトカプセル剤同士の相互付着、容器へのソフトカプセル剤の付着等を抑制することになる。
特許第3253948号公報
ところで、ソフトカプセル剤については、ユーザの飲用時の負担を軽減する観点から、そのカプセルサイズを飲み易い大きさとすると共に、そのソフトカプセル剤の摂取粒数を極力少なくしたい要望がある。その一方で、ソフトカプセル剤の内包油中に溶解される機能性食品材料の含有量を増やし、1粒のソフトカプセル剤からの機能性食品材料の摂取量を高めたい要望もある。
しかし、上記のように、ソフトカプセル剤の大きさを飲み易い大きさに維持することとした場合、皮膜が囲む内部空間(密閉空間)に収容できる内包油が一定量となり、その内包油に溶解できる機能性食品材料の量に上限があることから、その溶解上限を超えて機能性食品材料を内包油に溶解させること(増量化を図ること)はできない。
他方で、ソフトカプセル剤内の内包油に乳化剤を添加して内包油の粘性を調整し、その内包油を、機能性食品材料が分散した懸濁液とすれば、ソフトカプセル剤のカプセルサイズ(内容積)を大きくしなくても、ソフトカプセル剤内に機能性食品材料を、内包油に対する溶解上限を超えて含有(分散)させることができる。しかし、このようにした場合には、乳化剤及び機能性食品材料(懸濁するもの)の添加により内包油の含有量の一部がそれら乳化剤等に置き換わることになり、ソフトカプセル剤内の内包油の収容量が減少することになる。このため、このようなソフトカプセル剤を用いた場合には、内包油が、健康寄与に関し、単独で有用な働きをするだけでなく、機能性食品材料の体内での吸収性を高める有用な働きをするにもかかわらず、その内包油のユーザ摂取量は減少することになる。
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、カプセルサイズを増大させなくても、健康増進に寄与する機能性食品材料の含有量を、健康増進に寄与する内包油に対する溶解上限を超えて増量させることができ、しかもその際、内包油の量が減少しないようにすることができるソフトカプセル剤を提供することにある。
前記目的を達成するため本発明にあっては、次の(1)~(9)の構成とされている。
(1)皮膜が、外部に対して内部空間を区画し、該皮膜で区画した内部空間内に、内包油として、健康増進に寄与する油が充填されているソフトカプセル剤において、
前記皮膜中に、健康増進に寄与する機能性食品材料が含有されている構成とされている。
この構成によれば、皮膜中に機能性食品材料が含有されていることから、ソフトカプセル剤の大きさ(カプセルサイズ)が維持されていても、そのソフトカプセル剤において、機能性食品材料を、内包油に対する溶解上限を超えて(無関係に)含有させることができ、機能性食品材料の含有量の増量化を図ることができる。しかもこの際、内包油を、乳化剤を用いることにより、機能性食品材料を分散させた懸濁液として、機能性食品材料の含有量の増量を図る必要もないことから、内包油の一部が乳化剤等に置き換わることもなくなり、皮膜が囲む内部空間に充填される内包油の量を、その本来の量(乳化剤を添加する前の量)よりも減少しないようにすることができる。
また、皮膜中に機能性食品材料を含有させることができることから、通常の大きさのソフトカプセル剤の下での内包油に対する機能性食品材料の溶解上限を適切な含有量として、その機能性食品材料の含有量を基準とするときには、内包油に溶解する機能性食品材料を皮膜中に含有させることにより減少させることができ、その内包油からの機能性食品材料の減少分だけ、当該ソフトカプセル剤の大きさを小粒化することができる。勿論このとき、当該ソフトカプセル剤における機能性食品材料の全体含有量に変化がないことから、内包油の量は、当該ソフトカプセル剤における機能性食品材料の全体含有量に対応した状態が維持され、内包油の量が減少することはない。この結果、ソフトカプセル剤の飲み易さを向上させることができる。
(2)前記(1)の構成の下で、
前記健康増進に寄与する機能性食品材料の配合割合が、前記皮膜100質量部に対して、2~10質量部である構成とされている。
この構成によれば、機能性食品材料を皮膜中に含有させて、機能性食品材料の含有量の増量を図ることができる一方で、本発明者が得た知見に基づき、皮膜中に機能性食品材料を所定量含有させることにより、皮膜の品質を所望品質に維持することができる。ここで、機能性食品材料の配合割合を、皮膜100質量部に対して2~10質量部としているのは、下限「2質量部」未満では、機能性食品材料の含有量の増量効果を十分に得ることができない一方で、上限「10質量部」を超えたのでは、皮膜の弾力性(可塑性)が低下して、製造過程において、カプセル成形用の型面から剥離しにくくなり、カプセルの成形に支障が出始めるおそれがあるからである。
(3)前記(1)の構成の下で、
前記健康増進に寄与する機能性食品材料が、ゴマリグナンである構成とされている。
この構成によれば、機能性食品材料として、特に好ましいものの含有量の増量を図ることができる。
(4)前記(1)の構成の下で、
前記健康増進に寄与する機能性食品材料が、乳酸菌及び麹菌からなる群より選ばれる少なくとも1種である構成とされている。
この構成によれば、機能性食品材料として、好ましいものの含有量の増量を図ることができる。
(5)前記(2)の構成の下で、
前記健康増進に寄与する機能性食品材料が、固形状のゴマリグナンとされ、
前記皮膜の表面粗度が、該皮膜中に前記ゴマリグナンが含有されていることにより、2μm~100μmの深さをもって形成されている構成とされている。
この構成においては、本発明者が得た知見に基づき、皮膜中に含有される固形状のゴマリグナンによって、ユーザの飲用等に影響(違和感)を与えない範囲の下で、皮膜表面の粗度(凹凸)が、滑り性、接触面積低減等の観点から設定されることになり、当該ソフトカプセル剤同士、当該ソフトカプセル剤と容器との相互付着等を抑制することができる。この場合、皮膜の表面粗度の深さ(凹部底面と凸部頂面との間の長さ)が2μm~100μmとされているのは、下限の「2μm」未満では、皮膜の表面に付着抑制の観点から有効な粗度を十分に形成できない一方、上限「100μm」を超えた場合には、皮膜の基本厚みに対して変形率が高くなり、ユーザの飲用時に影響(違和感)を与えるからである。
(6)前記(2)の構成の下で、
前記健康増進に寄与する機能性食品材料が、固形状のゴマリグナンとされ、
前記ゴマリグナンの粒子径が、2μm~500μmとされている構成とされている。
この構成によれば、本発明者が得た知見に基づき、皮膜中に含有される固形状のゴマリグナンの粒度分布を所定範囲に調整することにより、ユーザの飲用等に影響(違和感)を与えない範囲の下で、当該皮膜表面の粗度(凹凸)を滑り性、接触面積低減等の観点から設定することができ、ソフトカプセル剤同士の相互付着等を抑制することができる。この場合、ゴマリグナンの粒子径を2μm~500μmとしているのは、下限「2μm」未満では、皮膜の表面に付着抑制の観点から有効な粗度を十分に得ることができない一方、上限「500μm」を超えた場合には、その値が、皮膜の肉厚(例えば200μm~800μm)に対してそれほど離れていない値となり、その粒子径が、製造時に皮膜接合部に介在されたときには、その皮膜接合部の結合力を弱め、皮膜強度を低下させるからである。
(7)前記(1)の構成の下で、
前記内包油が、胡麻油、魚油、藻類油、米胚芽油、米油、荏胡麻油、亜麻仁油、オリーブ油、ターメリックオイル及びクリルオイルからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものである構成とされている。
この構成によれば、内包油として、機能性食品材料との同時摂取によりその体内での吸収を高めるものが用いられることになり、当該ソフトカプセル剤において、内包油として好ましいものを用いることができる。
(8)前記(1)~(7)のいずれかにおいて、
外形が15mm以下の最大直径とされ、長径DLと短径DSとの比DL/DSが1.8以下とされ、
全体重量が560mg以下である構成とされている。
この構成によれば、飲み易い大きさ(カプセルサイズ)のソフトカプセル剤を具体的に提供でき、その飲み易い大きさの下で、機能性食品材料の含有量の増量を図ることができる。
(9)前記(6)の構成の下で、
前記ゴマリグナンの粒度分布は、前記2μm~500μmの範囲において、2つの異なる粒子径の存在割合が他の粒子径の存在割合に比して突出したピーク値を示す構成とされている。
この構成によれば、本発明者が得た知見に基づき、ピーク値を示す代表的な2種類の異なる径の粒子を皮膜中に混入することにより、皮膜表面に、滑り、接触面積低減等の観点から、めりはりのある有効な凹凸(粗度)を生じさせることができる。
本発明によれば、カプセルサイズを増大させなくても(皮膜が囲む内部空間に充填される内包油の量を増量させなくても)、健康増進に寄与する機能性食品材料の含有量を、健康増進に寄与する内包油に対する溶解上限を超えて増量させることができ、しかもその際、内包油の量が減少しないようにすることができるソフトカプセル剤を提供できる。
実施形態に係るソフトカプセル剤の外観を示す拡大写真図。 実施形態に係るソフトカプセル剤を説明する概念図。 一般的なソフトカプセル剤の中身を説明する説明図。 一般的なソフトカプセル剤よりもセサミン量の増量を図るために、ソフトカプセル剤において乳化剤を用いた場合の中身を説明する説明図。 実施形態に係るソフトカプセル剤の中身を説明する説明図。 実施形態に係るソフトカプセル剤の皮膜の状況を示す顕微鏡写真図(倍率100)。 実施形態に係るソフトカプセル剤の皮膜表面を概念的に示す概念図。 図7に示すソフトカプセル剤同士が接触した状態を概念的に示す概念図。 実施形態に係る製造工程を示す工程図。 ソフトカプセル剤の製造工程のうち、中身充填及びカプセル成形工程を説明する説明図。 比較例及び実施例1~6に係るソフトカプセル剤の構成成分及びその各量を示す図。 比較例及び実施例1~6に係るソフトカプセル剤の強度試験の結果を示す図。 比較例及び実施例1~6に係るソフトカプセル剤の付着評価試験(1)~(3)の結果を示す図。 実施例1~6に係るソフトカプセル剤における皮膜中に混入されたセサミン粉末の粒度分布を示す図。 実施例7~9に係るソフトカプセル剤の構成成分及びその各量を示す図。 実施例10~13に係るソフトカプセル剤の構成成分及びその各量を示す図。
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1、図2において、符号1は、本実施形態に係るソフトカプセル剤を示す。このソフトカプセル剤1は、皮膜2がそのソフトカプセル剤1の外形を形成しつつ内部に内部空間3(密閉空間)を区画しており、その内部空間3内には内容液4が充填されている。
前記皮膜2は、ゲル化剤としての皮膜基剤、可塑剤等を用いることにより形成されている。皮膜基剤には豚皮由来のゼラチン及び多糖類からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が用いられ、可塑剤には、グリセリン、ソルビトール等が用いられる。皮膜2は、一定の基本厚み(例えば200μm~800μm)をもって球形、楕円体等、種々の外形を形成することになっており、その大きさ(カプセルサイズ)及び内容量は、飲み易さを考慮に入れて、適宜決められる。
具体的には、上記外形が15mm以下の最大直径とされ、長径DLと短径DSとの比DL/DSが1.8以下とされ、ソフトカプセル剤1の全体重量(内容液4(後述の内包油を少なくとも含んだもの)及び後述の皮膜2中の機能性食品材料(セサミン)7を含む全体重量)が560mg以下である構成とされている。本実施形態においては、図2に示すように、ソフトカプセル剤1の外形が楕円体とされて、その長径DLが15mm、短径DSが10mmとされ、全体重量が560mgとされている。この長径DLを15mm以下、短径DSを10mm以下、全体重量を560mg以下とすればするほど、飲み易さが増すことになる。これらの下限値は、現実には製造上の理由から勿論存在するが、飲み易さの観点から、製造可能である限り、その値は小さいほど好ましい。
前記内容液4には、本実施形態においては、図2に示すように、健康増進に寄与する内包油5と、該内包油5に溶解されて健康増進に寄与する機能性食品材料7とからなるものが用いられている。具体的には、内包油5としては、胡麻油、魚油、藻類油、米胚芽油、米油、荏胡麻油、亜麻仁油、オリーブ油、ターメリックオイル及びクリルオイルからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものが用いられている。機能性食品材料7としては、ゴマリグナン、乳酸菌、及び麹菌からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものが用いられ、そのうち、ゴマリグナンには、セサミン、エピセサミン、セサミノール類、セサモリン及びセサモールからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が含まれる。この機能性食品材料7の内包油5に対する溶解量は、内包油5に対する溶解上限にできるだけ近づけられており、ソフトカプセル剤1の内部空間3において機能性食品材料7の含有量が極力、大きくなるように設定されている。
前記皮膜2中には、図2に示すように、常温で固形状の機能性食品材料7が含有されている。本実施形態においては、その機能性食品材料7は、内包油5に溶解されている前記機能性食品材料7と同じものとされている。皮膜2が囲む一定容量の内部空間3に充填される内包油5の本来の充填量(機能性食品材料7をほぼ溶解上限まで溶解させつつ内部空間3に充填される量)を減少させないようにしつつ、機能性食品材料7を、内包油に対する溶解上限を超えて含有させ、その機能性食品材料7の含有量の増量を図るためである。この場合、機能性食品材料7は、粉末状の下で、皮膜2中にその全体に亘って分散されており、その機能性食品材料7として、本実施形態においては、ゴマリグナン、より具体的には、そのゴマリグナンの中でもセサミン(以下、符号7を用いる)が用いられている。
上記内容を具体的に図3~図5により説明する。図3は、市販されている一般的なソフトカプセル剤1における中身の状態を概念的に示すものである。このソフトカプセル剤は、皮膜120mgの下で内部空間3を形成してその内部空間3に充填物200mgを充填できるように設計されている。そしてそのような構造の下で、内包油として精製魚油を用い、その精製魚油に対するセサミン(機能性食品材料)7の溶解限度(上限)が2.5wt%であるとして、内部空間3に、精製魚油195mgと共に、セサミン5mgが充填されている。このような図3に示すソフトカプセル剤1と同じ大きさを維持しつつ、セサミンの含有量を増量させる方法として、内包油(精製魚油)に対して乳化剤を用いることにより(内容量の10~20%)、セサミンを分散させた懸濁液とすることが知られている。この方法を用いて、図3に示すソフトカプセル剤1に比して、セサミンを5mg増量して10mgとするには、図4に示すように、セサミンの増量分5mgに加えて、乳化剤20mgを加えなければならない。このため、一定内容量の内部空間3においては、精製魚油の一部をセサミンの増量分及び乳化剤分に置き換えなければならず、精製魚油は、195mg(図3のソフトカプセル剤における精製魚油量)から170mgになり、図3のソフトカプセル剤1に比して25mg減少することになる。このため、この精製魚油の減少は、健康寄与に関し、単独での有用な働きを低下させるだけでなく、セサミンの体内での吸収性を高める有用な働きを低下させることになる。
これに対して、本実施形態に係るソフトカプセル剤1においては、図5に示すように、皮膜2中にセサミン7を含有させることから、図3に示すソフトカプセル剤に比して、セサミンの含有量を、その皮膜2中に含有させた分だけ増量することができる。具体的には、図5に示すように、内部空間3には、図3に示すソフトカプセル剤と同様、精製魚油195mgと、その精製魚油に溶解するセサミン5mgとを含有させることができる一方で、皮膜2中にセサミン5mgを含有させることができる。このため、図5に示すソフトカプセル剤については、図3に示すソフトカプセル剤に比して、精製魚油量を減らすことなく、セサミンの含有量の増量を図ることができる。図6は、皮膜2中にセサミン7を添加した状態を示す顕微鏡写真図(倍率100)である。
前記皮膜2中におけるセサミン7の配合割合は、前記皮膜100質量部に対して、2~10質量部とされている。本発明者が得た知見に基づき、皮膜2中にセサミン7を含有させても、皮膜2の品質を所望品質に維持するためである。この場合、皮膜100質量部に対して「2質量部」以上としているのは、「2質量部」未満では、セサミン7の含有の増量効果を期待以上には得ることができないからであり、皮膜100質量部に対して「10質量部」以下としているのは、「10質量部」を超えたのでは、皮膜2の弾力性(可塑性)が低下して、製造過程において、皮膜2がカプセル成形用の型面(後述の一対の各ダイロール12(図10参照))から剥離しにくくなり、カプセルの成形に支障が出始めるおそれがあるからである。
もっとも、セサミン7の含有の増量効果については、皮膜100質量部に対してセサミン「0.1質量部」以上であれば、多少なりとも認めることができ、製造過程においてカプセル成形用の型面(一対の各ダイロール12(図10参照))から剥離しにくくなる問題については、皮膜100質量部に対してセサミン「20質量部」くらいまでは、いくらかの不良品の発生は否めないもののカプセルの製造は可能である。このため、皮膜2中におけるセサミン7の配合割合として、皮膜100質量部に対してセサミンを「0.1~20質量部」とすることができ、それよりも、セサミン7含有の増量効果及び生産性を高めるのであれば、皮膜100質量部に対してセサミンを「1~15質量部」とすることもできる。
前記皮膜2の表面2Sは、その全表面に亘って、該皮膜2中への前記セサミン7の混入によって、凹凸面8として形成されている。この凹凸面8の凹凸深さde(凹部底面と凸部頂面との間の長さ)については、2μm~100μmとすることが好ましい。本発明者が得た知見に基づき、皮膜2中に含有される固形状のセサミン7によって、ユーザの飲用等に影響(違和感)を与えない範囲の下で、皮膜表面2Sの粗度(凹凸)を、滑り性、接触面積低減等の観点から有効なものに設定して、ソフトカプセル剤1同士、ソフトカプセル剤1と容器との相互付着等を抑制できるからである。図2,図7は、皮膜2中へのセサミン7の混入によって、滑り性、接触面積低減等の観点から、皮膜表面2Sに有効な粗度(凹凸面8)が形成された状態を概念的に示しており、図8は、そのような有効な粗度を有する皮膜表面2S同士(ソフトカプセル剤1同士)が接触しても、接触面積が低減される結果、滑り現象が生じ易くなると共に、互いの付着が抑制されることを示している。この場合、凹凸面8の凹凸深さdeを「2μm」以上としているのは、「2μm」未満では、ソフトカプセル剤1同士の相互付着等を抑制する効果が十分に得られないからであり、凹凸面8の凹凸深さdeを「100μm」以下としているのは、「100μm」を超えた場合には、皮膜2の基本厚み(皮膜2表面に凹凸がないとした場合の厚み)に対して変形率が高くなり、ユーザの飲用時に影響(違和感)を与えるからである。
もっとも、ソフトカプセル剤1同士の相互付着等抑制効果については、凹凸面8の凹凸深さdeが「0.01μm」以上であれば、多少なりとも認めることができ、ユーザの飲用時の影響(違和感)については、凹凸面8の凹凸深さdeが「250μm」くらいまでは、ユーザ飲用時にユーザに多少の違和感を与えることは否めないものの全く許容できないものではない。このため、この凹凸面8の凹凸深さdeを、「0.01μm~250μm」とすることが可能であり、それよりも、ソフトカプセル剤1同士の相互付着等抑制効果及びユーザ飲用時の違和感抑制効果を高めるのであれば、凹凸面8の凹凸深さdeを「0.1μm~200μm」とし、さらに上記両効果を高めるのであれば、凹凸面8の凹凸深さdeを「1μm~150μm」とすることもできる。
前記皮膜2中に含有されるセサミンの粒子径が、2μm~500μmとされている。本発明者が得た知見に基づき、ユーザの飲用等に影響(違和感)を与えない範囲の下で、皮膜2の表面粗度(凹凸)を滑り性、接触面積低減等の観点から有効なものに設定して、ソフトカプセル剤1同士の相互付着等を抑制すると共に、皮膜接合部2C(図1参照)の結合力の低下を抑えて皮膜強度の低下を抑制するためである。ここで、セサミンの粒子径を「2μm」以上としているのは、「2μm」未満では、皮膜表面2Sに付着抑制の観点から有効な粗度(凹凸)が得られず、ソフトカプセル剤1同士の相互付着等を抑制する効果が十分に得られないからであり、また、製造工程(後述の皮膜溶液調製工程)においてセサミン(粉末)の飛散等で製造における収率が悪くなるからでもある。また、セサミンの粒子径を「500μm」以下としているのは、その「500μm」を超える値が、皮膜2の肉厚(例えば200μm~800μm)に対してそれほど離れていない値となり、その「500μm」を超える値のセサミンが、製造工程(後述の中身充填及びカプセル成形工程)において、皮膜シートと皮膜シートとの接合部である皮膜接合部2C(図1参照)に介在されたときには、その皮膜接合部2Cの結合力が弱まり、皮膜強度を低下させるからである。このため、セサミンの粒子径が「500μm」以下とされて、割れの発生、液漏れが生じることが未然に防がれている。
もっとも、皮膜2における表面粗度(凹凸)の形成効果については、セサミンの粒子径が「1μm」以上あれば、多少なりとも認めることができ、皮膜強度の低下についての問題については、セサミンの粒子径が「600μm」くらいまでは、多少の皮膜強度の低下が認められるものの全く受け入れられないものではない。このため、セサミンの粒子径を「1μm~600μm」とすることが可能であり、それよりも、皮膜2における表面粗度(凹凸)の形成効果を高めるのであれば、セサミンの粒子径を「2μm~500μm」とすることもできる。
セサミンの粒子径は、上記粒子径の2μm~500μm範囲のうちでも、粒径10μm~200μmの粒子径が好ましく、さらには、粒子径100μmを中心として50μm~150μm付近のセサミンの粒子径がより好ましい。粒子径100μmの粉末であれば、その粉末を、ソフトカプセル剤1の製造工程において、皮膜2の構成成分を溶解させた皮膜溶液を貯留する原料タンク内で沈降することなく均一に分散させることができ、成形されたソフトカプセル1粒当たりのセサミンの含有量を均一とすることができるからである。勿論この場合にも、皮膜2の表面に、付着性を低減させる有効な凹凸(粗度)を形成して、ソフトカプセル剤1同士の付着等を抑制することができ、さらには、ソフトカプセル剤1の皮膜接合部2Cの結合力が損なわれることを防止できる。
上記ソフトカプセル剤1は、図9に示す各工程を経ることにより製造される。この場合、その製造に当たって、図10に示すように、ロータリー・ダイ式自動カプセル製造機10が用いられ、機能性食品材料7として、セサミン粉末が用いられる。
先ず、図9に示すように、セサミン粉末を加えた皮膜溶液が調製される(皮膜溶液調製工程)。この皮膜溶液調製工程においては、基本的に、皮膜2を構成する成分(皮膜基剤)としての粉末状原料(動物由来皮膜2においてはゼラチン粉末、植物由来皮膜2においてはカラギーナン等)と液状原料(水、グリセリン等)とが混合されるが、その際、セサミン粉末も混合される。勿論この場合、皮膜2を構成する成分のうち、上記粉末状原料とセサミン粉末とを混合した後、それらを液状原料に加えてもよいし、予めセサミン粉末以外の構成成分で調製された皮膜溶液に、セサミン粉末を加えて撹拌してもよい。この調製された皮膜溶液は、ヒーターによって温められている原料タンク内に収容される。このとき、粉末状のセサミンは、前述の皮膜2内部に配合すべき割合、粒子径等を踏まえた上で、原料タンク内の皮膜溶液中で沈降することなく均一に分散されている。
次に、図9に示すように、原料タンク内の皮膜溶液を用いて、皮膜シートが作製される(皮膜シート作製工程)。この皮膜シート作製工程においては、具体的には、原料タンク内の皮膜溶液が、供給ホースによってスプレダーボックス内に供給され、そのスリット状の吐出孔から吐出される。その吐出孔から吐出される皮膜溶液は、その下方に位置する冷却ドラムによって冷却され、これにより、帯状の皮膜シートが連続して形成される。この皮膜シートには、前記皮膜溶液調製工程において混入されたセサミン粉末が含まれており、そのような皮膜シートは二枚同時に並行して作製される。
次に、上記二枚の連続する皮膜シートは、図9、図10に示すように、中身充填及びカプセル成形工程に同時に供給される。中身充填及びカプセル成形工程においては、上記二枚の連続する皮膜シート11が、一対のダイロール12に拝み合わせた状態で送り込まれ、その上方に位置するノズル13から所定のタイミングで、あらかじめ調合されていた内容液4(機能性成分を含む常温で液体の内包油)が供給される。ダイロール12の周面には多数のカプセル成形凹部と、このカプセル成形凹部の周縁部に形成されている成形突起とが設けられており、これらの近接・離反作用によって、カプセル成形凹部に供給された二枚の皮膜シート11及び内容液4は、次々と、内容液4を包むカプセル剤として成形され、それらは、一次製品として連続的に取り出される。このとき、皮膜2に対するセサミンの混入量調整により、成形された皮膜2がダイロール12から的確に剥離される。このように成形された一次製品は、セサミン粉末を含む二枚の皮膜シート11で内容液4(機能性成分を含む常温で液体の油)を包むものとなる。
次に、図9に示すように、上記一次製品が乾燥される(乾燥工程)。この乾燥工程により、一次製品の皮膜2は、適度な弾力性と強度を保持する水分量(目安として7%~10%)となり、市販品としての二次製品となる。この乾燥工程における乾燥方法については、特に限定する必要はなく、タンブラー式乾燥機、棚式乾燥機、さらには、それら両方の乾燥機を適宜、用いることができる。
尚、乾燥後の皮膜2における1カプセル当りの含水量は、製造ロットの違いによって、あるいは同一ロットにおいても、差異が生じるものとなる。しかし、セサミン粉末の含有量は、一次製品の段階で決定しており、乾燥後の皮膜2の含水量に左右されるものではない。したがって、本発明の目的である、所望量のセサミンと、機能性成分を含む常温で液体の油とを、同時に摂取するソフトカプセル剤1としての機能においては、乾燥後の僅かな皮膜2の含水量の差異は、求める効果に直接的な影響を及ぼさない。そのことから、皮膜2の含水量を適宜調整した結果として、乾燥後の皮膜2含水率が低くなり、相対的にセサミン含有率が高くなることもあるが、含有量が所望量であって、内容物の品質を保持する機能を有していれば、乾燥後皮膜2に10重量%を超えるセサミンが含有されていてもよい。
上述の内容を裏付けるために、比較例に係るソフトカプセル剤と、実施例に係るソフトカプセル剤1とを作製し、その両ソフトカプセル剤について各種試験を行った。
(1)試験サンプルの作製
比較例に係るソフトカプセル剤及び実施例に係るソフトカプセル剤1の作製に当たっては、前述の製造方法(図9参照)を用いた。
(1-1)比較例に係るソフトカプセル剤の作製
比較例に係るソフトカプセル剤の作製においては、皮膜構成材料として、図11に示すように、ゼラチン10.00kg、グリセリン3.80kg、逆浸透膜水(以下、RO水)7.30kgを用意し、それらを混ぜ合わせることにより作られた皮膜溶液から、セサミン粉末が含有されない皮膜シートを、二枚同時に並行して作製した。そしてその二枚の皮膜シートを一対のダイロールに送り込みつつ、その二枚の皮膜シート間に所定のタイミングで内容液4を供給することにより、次々と、内容液4を包むソフトカプセル剤を成形した。このとき、内容液4としては、内包油としての精製胡麻油と、その精製胡麻油にその溶解限度まで溶解されたセサミン粉末とからなるものを用い、そのソフトカプセル剤内に充填される合計量を200mgとした。このソフトカプセル剤は、前述した如く乾燥工程を経ることになるが、皮膜2中にはセサミン粉末が含有されていないことから、乾燥後の皮膜2中のセサミン粉末の割合(皮膜2全体に対するセサミン粉末の割合)は0wt%となる(図11の上段参照)。
(1-2)実施例1~5に係るソフトカプセル剤1の作製
実施例1~5については、皮膜構成材料に関し、比較例と同一のものを同一量だけ用意すると共に、各実施例に応じた量(実施例の番号が大きくなるに従って添加量が多くなる量)のセサミンを用意し、その皮膜構成材料により皮膜シートを作成した。そしてその二枚の皮膜シートを一対のダイロールに送り込みつつ、その二枚の皮膜シート間に所定のタイミングで内包油としてのサフラワー油200mgだけを供給することにより、次々と、サフラワー油を包むカプセル剤を成形した。このソフトカプセル剤も、乾燥工程を経ることになるが、その乾燥後においては、各実施例に係る皮膜2中のセサミンの割合は、皮膜溶液中におけるセサミン粉末の割合より多少、増加することになる(図11の上段参照)。
(1-3)実施例6に係るソフトカプセル剤1の作製
実施例6に係るソフトカプセル剤1の作製に当たっては、皮膜構成材料については、実施例1~5における皮膜構成材料と同一のものを用いつつ、その仕込量だけを変え、内容液4については、比較例に係るソフトカプセル剤の場合同様、内包油としての精製胡麻油と、その精製胡麻油にその溶解限度まで溶解されたセサミン粉末とからなるものを用い、そのソフトカプセル剤1内に充填される合計量を200mgとした。乾燥工程を経たソフトカプセル剤1における皮膜2中のセサミンの割合については、その乾燥工程の乾燥により、5wt%とした(図11の上段参照)。
尚、実施例6に係るソフトカプセル剤1における皮膜構成材料の仕込量が、比較例及び実施例1~5と異なることから、これら全てにおいて比較可能とすべく、皮膜構成材料の仕込量が、ゼラチン100質量部を基準にして、他の皮膜構成材料量がどのようになるかを示したものを図11に書き添えた。
(2)強度試験
(2-1)比較例及び実施例1~6に係るソフトカプセル剤について強度試験を行った。強度試験は、ソフトカプセル剤を2枚の板で挟み、その一方の板から10kgの力を加え、ソフトカプセル剤1の破体(皮膜2の破れ、液漏れ)の有無を確認するもので、試験に当たっては、10粒のソフトカプセル剤1について試験し、その破体した数量を数えた。
(2-2)強度試験の結果
図12に示すように、比較例及び実施例1~6に係るソフトカプセル剤のいずれについても、破体の数量は、0となり、乾燥後の皮膜2中のセサミン粉末割合が10wt%(皮膜100質量部に対してセサミン粉末10質量部)であっても、強度上、問題は生じなかった。しかしながら、乾燥後において、皮膜2全体に対してセサミン粉末が10wt%を超えることになるものについては、皮膜2の弾力性(可塑性)が低下して、製造過程(中身充填及びカプセル成形工程)において、成形品の脱離時に、成形品の皮膜2がカプセル成形用の型面(一対の各ダイロール12)から剥離しにくくなり、カプセルの成形に支障が出始めることとなった。このため、乾燥後において、セサミン粉末の混入量が上記10wt%を超えて増大するものについては、ソフトカプセル剤1の割れ、変形が多くなると推測されることから、実験(実施例)は、乾燥後において、皮膜2全体に対するセサミン粉末の混入量が10wt%になるものまでとした。
(3)付着評価試験
(3-1)比較例及び実施例1~6に係るソフトカプセル剤について付着評価試験として付着評価試験(1)~(3)を行った。付着評価試験は、ペット容器(60ml容、口内径×胴径×全高:Φ28.5×Φ40×76mm)にソフトカプセル剤を入れ、設定温度の下で任意時間経過後に、ペット容器を逆さまにして、落下したソフトカプセル剤数を計数し、それに基づきソフトカプセル剤の落下率を求めるものであり、付着評価試験(1)~(3)においては、具体的に、次の内容のものを行った。
付着評価試験(1):ペット容器に30粒のソフトカプセル剤を入れた上で、40℃の下で6時間経過させた後、25℃の下で1時間経過させ、その経過後にペット容器を逆さまにし、そのときに落下するソフトカプセル剤の落下率を求めた。
付着評価試験(2):ペット容器に30粒のソフトカプセル剤を入れて、40℃の下で6時間経過させた後、一度カプセルを崩し、その後、25℃の下で24時間経過させ、その経過後にペット容器を逆さまにし、そのとき落下するソフトカプセル剤の落下率を求めた。
付着評価試験(3):ペット容器に50粒のソフトカプセル剤を入れて、40℃の下で24時間経過させた後、一度カプセルを崩し、その後、25℃の下で24時間経過させ、その経過後にペット容器を逆さまにし、そのとき落下するソフトカプセル剤の落下率を求めた。
(3-2)付着評価試験(1)の結果
図13に示すように、実施例に係るソフトカプセル剤1の落下率は、実施例1(乾燥後において、皮膜2全体に対してセサミン粉末が2wt%となるもの)が比較例に係るソフトカプセル剤の落下率に比して高くなり、その他の実施例(実施例2~6)については、皮膜2全体に対するセサミン粉末の混入量が大きくなるものほど、落下率も高くなる傾向を示した。
(3-3)付着評価試験(2)の結果
図13に示すように、実施例に係るソフトカプセル剤1の落下率は、比較例に係るソフトカプセル剤の落下率に比して十分に高く、皮膜2全体に対するセサミン粉末の混入量が最も少ない実施例でも、その落下率は十分に高い値を示した。
(3-4)付着評価試験(3)の結果
図13に示すように、実施例に係るソフトカプセル剤1の落下率は、比較例に係るソフトカプセル剤の落下率に比して十分に高く、しかも、皮膜2全体に対するセサミン粉末の混入量が大きくなる実施例ほど、落下率も高くなる傾向を示した。
この場合、上記各実施例に係るソフトカプセル剤1における凹凸面8の凹凸深さdeを顕微鏡写真から測定した。それによると、既に述べた如く、2μm~100μm(凹部底面と凸部頂面との間の長さ)なる値が得られた。この範囲の値は、上記実施例の結果から、付着抑制効果に貢献しているものと考えられる。また、上記各実施例に用いられるセサミン粉末の粒度分布を測定したところ、図14に示すように、2μm~500μmであることを示した。しかも、粒度分布は、2つの異なる粒子径の下で存在割合のピーク値(頻度)を示し、そのピーク値は、粒子径の大きい方が小さい方よりも大きく、その両者の粒子径は、10倍の違いがあった。このピーク値を示す代表的な2種類の異なる径の粒子が皮膜中に混入していることが、皮膜2表面において、滑り、接触面積低減等の観点から、めりはりのある有効な凹凸(粗度)を生じさせることに役立っていると推測される。
(4)比較例に係るソフトカプセル剤と実施例6に係るソフトカプセル剤1との比較
実施例6に係るソフトカプセル剤1は、比較例に係るソフトカプセル剤に比して、皮膜構成材料については、セサミン粉末を含んでいる点だけが相違し、ゼラチン100質量部を基準とした他の皮膜構成材料の配合割合は同じとされている。また、内容液4については、いずれも、内包油としての精製胡麻油と、その精製胡麻油にその溶解限度まで溶解されたセサミン粉末とからなるものを用い、そのソフトカプセル剤1内に充填される合計量を200mgとされている(図11参照)。つまり、比較例に係るソフトカプセル剤と実施例6に係るソフトカプセル剤1とは、皮膜2中にセサミン粉末が含有されているか否かだけが相違している。この両者の比較から、実施例6に係るソフトカプセル剤1には、比較例に係るソフトカプセル剤に比して、強度を確保しつつセサミン含有量の増量を図ること及び付着抑制効果を発揮できることについて優位性が見られる。
前述の実施例1~6に加えて、図15に示すように、実施例7~9に示すソフトカプセル剤1を作製した。各実施例7~9の作製に当たっては、皮膜構成材料及び仕込量を前記実施例6と同じ内容にする一方(皮膜2全体に対するセサミン粉末の乾燥後の割合が5wt%)、皮膜2に囲まれる内部空間3に充填される内包油(200mg)だけをそれぞれ異ならせた。具体的には、内包油に関しては、実施例7においてはDHA含有精製魚油134mg及びEPA含有精製魚油66mg、実施例8においては荏胡麻油100mg及び亜麻仁油100mg、実施例9においては米油100mg及び米胚芽油100mgとした。製造(作製)方法については、前述の実施例1~6で使用された方法(図9参照)を用いた。この結果、実施例7~9のいずれについても、ソフトカプセル剤を的確に成形でき、セサミン粉末を含有する皮膜2が形成する内部空間3に、各実施例における内包油を適正に充填できた。
さらに、図16に示すように、実施例10~13に示すソフトカプセル剤1を作製した。各実施例10~13に示すソフトカプセル剤1の作製に当たっては、前述の実施例1,5に対して、その皮膜構成材料中のセサミン粉末に代えて乳酸菌粉末又は麹菌粉末を用いた点だけを変更点とし、各皮膜構成材料の仕込量、皮膜2に囲まれる内部空間3に充填される内包油(200mg)については、実施例1,5と同じ内容とした。具体的には、セサミン粉末に代えて、実施例10では、実施例1のセサミン粉末0.32kgに代えて乳酸菌粉末0.32kg、実施例11では、実施例5のセサミン粉末1.70kgに代えて乳酸菌粉末1.70kg、実施例12では、実施例1のセサミン粉末0.32kgに代えて麹菌粉末0.32kg、実施例13では、実施例5のセサミン粉末1.70kgに代えて麹菌粉末1.70kgを用いた。製造(作製)方法については、前述の実施例1~6で使用された方法(図9参照)を用いた。この結果、実施例10~13のいずれについても、ソフトカプセル剤を的確に成形でき、セサミン粉末を含有する皮膜2が形成する内部空間3に、各実施例における内包油であるサフラワー油を適正に充填できた。
尚、実施例10~13についても、他の実施例に係るソフトカプセル剤1との比較を可能とすべく、皮膜構成材料の仕込量が、ゼラチン100質量部を基準にして、他の皮膜構成材料量がどのようになるかを示したものを図16に書き添えた。
以上形態について説明したが本発明においては、次の態様を包含する。
(1)ソフトカプセル剤1の皮膜2は、セサミン粉末を含んだ状態で、求める品質保持力を有していれば、その皮膜2の構成材料を限定する必要がないこと。例えば、皮膜2の構成材料(皮膜基剤)として、植物由来のカラギーナン、デンプンを用いること。
(2)皮膜2中に含有される機能性食品材料7と、内容液4中に溶解される機能性食品材料7とを、異なるものとすること。
(3)皮膜2が囲む内部空間3に内包油5だけを充填し、その内包油5に機能性食品材料(セサミン)7を溶解させないこと。
(4)通常の大きさのソフトカプセル剤の下での内包油5に対する機能性食品材料7の溶解上限を適切な含有量として、その機能性食品材料7の含有量を基準とするときには、本構造(皮膜2中に機能性食品材料7を含有させる構造)を利用して、内包油5に溶解する機能性食品材料7を皮膜2中に含有させることにより減少させ、その内包油5からの機能性食品材料7の減少分だけ、ソフトカプセル剤の大きさを小粒化すること。勿論このとき、当該ソフトカプセル剤における機能性食品材料7の全体含有量に変化がないことから、内包油5の量は、当該ソフトカプセル剤における機能性食品材料7の全体含有量に対応した状態が維持される。
(5)内包油5としての胡麻油には、精製胡麻油だけでなく、焙煎胡麻油、さらには精製胡麻油と焙煎胡麻油とを混合(ブレンド)したもの等、種々のものを含むこと。
本発明は、カプセルサイズを増大させなくても(皮膜2が囲む内部空間3に充填される内包油5の量を増大させなくても)、健康増進に寄与する機能性食品材料7の含有量を、健康増進に寄与する内包油5に対する溶解上限を超えて増量させることができ、しかもその際、内包油5の量が減少しないようにすることに利用できる。
1 ソフトカプセル剤
2 皮膜
2S 皮膜表面
3 内部空間
4 内容液
5 内包油
7 機能性食品材料(セサミン)
8 凹凸面

Claims (10)

  1. 皮膜が、外部に対して内部空間を区画し、該皮膜で区画した内部空間内に、内包油として、健康増進に寄与する油が充填されているソフトカプセル剤において、
    前記皮膜中に、健康増進に寄与する機能性食品材料が含有され、
    前記健康増進に寄与する機能性食品材料が、ゴマリグナンである、
    ことを特徴とするソフトカプセル剤。
  2. 請求項1において、
    前記ゴマリグナンの配合割合が、前記皮膜100質量部に対して、2~10質量部である、
    ことを特徴とするソフトカプセル剤。
  3. 請求項2において、
    前記ゴマリグナンが、固形状とされ、
    前記皮膜の表面粗度が、該皮膜中に前記ゴマリグナンが含有されていることにより、2μm~100μmの深さをもって形成されている、
    ことを特徴とするソフトカプセル剤。
  4. 請求項2において、
    前記ゴマリグナンが、固形状とされ、
    前記ゴマリグナンの粒子径が、2μm~500μmとされている、
    ことを特徴とするソフトカプセル剤。
  5. 請求項4において、
    前記ゴマリグナンの粒度分布は、前記2μm~500μmの範囲において、2つの異なる粒子径の存在割合が他の粒子径の存在割合に比して突出したピーク値を示す、
    ことを特徴とするソフトカプセル剤。
  6. 請求項1において、
    前記内包油が、胡麻油、魚油、藻類油、米胚芽油、米油、荏胡麻油、亜麻仁油、オリーブ油、ターメリックオイル及びクリルオイルからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものである、
    ことを特徴とするソフトカプセル剤。
  7. 請求項1において、
    前記ゴマリグナンの配合割合が、前記皮膜100質量部に対して、0.1~20質量部である、
    ことを特徴とするソフトカプセル剤。
  8. 請求項7において、
    前記ゴマリグナンが、固形状とされ、
    前記皮膜の表面粗度が、該皮膜中に前記ゴマリグナンが含有されていることにより、0.01μm~250μmの深さをもって形成されている、
    ことを特徴とするソフトカプセル剤。
  9. 請求項7において、
    前記ゴマリグナンが、固形状とされ、
    前記ゴマリグナンの粒子径が、1μm~600μmとされている、
    ことを特徴とするソフトカプセル剤。
  10. 請求項1~9のいずれか1項において、
    外形が15mm以下の最大直径とされ、長径DLと短径DSとの比DL/DSが1.8以下とされ、
    全体重量が560mg以下である、
    ことを特徴とするソフトカプセル剤。
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