図1は、ゲーム機100の斜視図である。
ゲーム機100は、筐体102の前に着座したプレイヤーによって使用される。筐体102の上面には、正面モニター104が設置されている。正面モニター104の両脇には、スピーカー106が設置されている。筐体102の上板には、カード配置パネル108が埋め込まれている。さらに、筐体102の上板には、押しボタンスイッチ114と発光ダイオード116も設置されている。尚、図1で示した筐体102は、外装のカバーを示している。また、「筐体102の前方」とは、筐体102の正面方向、つまりプレイヤーの方を指すものとする。反対に「筐体102の後方」とは、筐体102の背面方向、つまり正面モニター104の裏側の方を指すものとする。プレイヤーとの対面関係を基準とするからである。一方、「カード配置パネル108の前方」とは、正面モニター104の方を指し、「カード配置パネル108の後方」とは、プレイヤーの方を指すものとする。カード配置パネル108に表示される画像の向きを基準とするからである。
以下では、ゲーム機100による中国古代の戦闘シミュレーションゲームを例示する。このゲームでは、プレイヤー側の陣営と相手側の陣営が対戦する。コンピュータ対戦の場合には、ゲーム機100が自動的に相手側陣営の動きを決める。ユーザ同士の対戦の場合には、別のプレイヤーの操作によって相手側陣営の動きが決まる。
両陣営には、それぞれ複数の武将が加わる。武将は、自らの部隊を率いて敵と戦う。つまり、複数の部隊が入り乱れて、戦闘が繰り広げられる。プレイヤーが参戦させる武将は、プレイヤーが使用するトレーディングカード200によって決まる。トレーディングカード200の表面には、武将のイラスト、名前や特性情報などが描かれている。
カード配置パネル108の表面は、プレイ操作における戦場に相当する。プレイヤーは、武将を示すトレーディングカード200を保持している。プレイヤーは、参戦させる武将のトレーディングカード200をカード配置パネル108に載置する。また、トレーディングカード200の位置を変えることによって、武将が率いる部隊を任意のところへ移動させることができる。
戦場の様子は、正面モニター104に表示される。カード配置パネル108におけるトレーディングカード200の中心位置に相当する場所には、武将のキャラクタが表示される。また、武将の周辺には20名程度の兵士が描かれる。トレーディングカード200をスライドさせると、正面モニター104に表示される戦場で武将が移動する。また、それに伴って部隊の兵士も移動する。両陣営の部隊同士が接近すると、戦いが起きる。
このように、カード配置パネル108の上で、プレイヤーがトレーディングカード200を動かすことによって、プレイ操作が行われる。そのため、ゲーム機100は、トレーディングカード200の裏面を撮影し、裏面に描かれているパターンを解析してトレーディングカード200の種類、位置、向きおよび傾斜などを検出する。
この例で、プレイヤーが、トレーディングカード200aの前端をカード配置パネル108に接触させながら、右手でトレーディングカード200aの後部を持ち上げているものとする。そのため、トレーディングカード200aは、前方へ傾斜している。また、プレイヤーは、さらにトレーディングカード200bの右端をカード配置パネル108に接触させながら、左手でトレーディングカード200bの左側を持ち上げているものとする。そのため、トレーディングカード200bは、右側へ傾斜している。図示しない例として、反対にトレーディングカード200が後方へ傾斜する場合や左側へ傾斜する場合もある。また、トレーディングカード200を傾斜させずに、全体をカード配置パネル108に接させる場合もある。なお、「カード200の前方」は、カード200の表面に描かれたキャラクタの頭部方向や文字の上方と一致する。反対に、「カード200の後方」は、カード200に描かれたキャラクタの足元方向や文字の下方と一致する。つまり、カード200の表面に描かれた画像の向きを基準とする。したがって、「トレーディングカード200の前方傾斜」の場合、カード200の後方がカード200の前方よりも高くなる。反対に、「トレーディングカード200の後方傾斜」の場合、カード200の前方がカード200の後方よりも高くなる。
プレイ中において、ゲーム機100は各トレーディングカード200の検出結果を用いて戦闘シミュレーションの表示画像を作成し、正面モニター104に表示させる。また、ゲーム機100は、戦場の音声をスピーカー106から出力させる。
図2は、ゲーム機100の側断面図である。ゲーム機100がトレーディングカード200の裏面を撮影する仕組みについて説明する。
赤外光を用いてトレーディングカード200の裏面を撮影する。そのため、筐体102の内側にある赤外線ライト184は、カード配置パネル108に向けて赤外光を照射する。筐体102の内側にある撮影装置110は、赤外光を捉えて載置面の映像(以下、「パネル画像」という)を生成する。撮影装置110は、鏡板182における反射を利用して、トレーディングカード200の載置面を下方から撮影する。但し、撮影装置110は、鏡板182を用いず下方から直接載置面を撮影してもよい。
図3は、トレーディングカード200の裏面例を示す図である。
トレーディングカード200の中央にはコードパターン301が印刷されている。コードパターン301内の黒い部分は、例えば炭素等の赤外光を吸収する物質を原料に含むインクで印刷されている。白い部分は、赤外光を反射する上記の炭素等の赤外光を吸収する物質を含まないインクで印刷されている。また、トレーディングカード200の右上端には、右上の基準マーカ303が印刷され、同じく左上端には、左上の基準マーカ305が印刷され、同じく右下端には、右下の基準マーカ307が印刷され、同じく左下端には、左下の基準マーカ309が印刷されている。基準マーカ303~309も、コードパターン301の場合と同様に赤外光を吸収するインクと赤外光を反射するインクとで印刷されている。何も印刷されていないところは、白地のままであり赤外光を反射する。コードパターン301には、所定の図形化ルールにしたがってデータが埋め込まれている。コードパターン301の図形は、埋め込まれているデータによって異なるが、コードパターン301の場所は一定である。
図4は、パネル画像の例を示す図である。
上述のとおり、パネル画像は、撮影装置110によって撮影された映像である。なお、パネル画像には、歪曲収差の補正が施される。歪曲収差とは、レンズの光学的な特性によって生じる歪みである。この歪みを正すことによって、映像が被写体と相似になる。
図示したパネル画像には、トレーディングカード200aを下方から写したカード裏面画像400aと、トレーディングカード200bを下方から写したカード裏面画像400bとが含まれる。この図では、説明の便宜のためにカード裏面画像400aとカード裏面画像400b以外の範囲を白色で表しているが、実際には反射光が生じないので黒色となる。
カード裏面画像400aとカード裏面画像400bは、若干歪みを伴い台形に写る。この歪みは、歪曲収差によるものではなく、撮影装置110とトレーディングカード200の裏面との距離に起因する。つまり、撮影装置110から離れた部分は小さく写るという現象による歪みである。
図5は、前方傾斜のカード裏面画像400aに写る基準マーカ303a~309aの配置を示す図である。コードパターン301は、省略する。
カード裏面画像400aの基準マーカ303a~309aは、台形の頂点に相当する。トレーディングカード200aの前端は、カード配置パネル108に接しているので、右上の基準マーカ303aと左上の基準マーカ305aを結ぶ線分(以下、「前辺」という)の距離(以下、「前辺距離」という)は、トレーディングカード200を平らに置いた場合の前辺距離とほぼ一致する。これに対して、トレーディングカード200aの後端は、カード配置パネル108から離れているので、右下の基準マーカ307aと左下の基準マーカ309aを結ぶ線分(以下、「後辺」という)の距離(以下、「後辺距離」という)は、トレーディングカード200を平らに置いた場合の後辺距離よりも短い。
また、前辺と後辺との間隔(以下、「縦間隔」という)も、トレーディングカード200を平らに置いた場合の縦間隔よりも短い。縦間隔は、前辺の中点311aと後辺の中点313aの距離として求められる。なお、前辺の中点311aと後辺の中点313aを結ぶ線分(以下、「縦中心線分」という)の中点が、カード裏面画像400aの中心位置319aである。カード裏面画像400aの中心位置319aは、右上の基準マーカ303aと右下の基準マーカ307aを結ぶ線分(以下、「右辺」という)の中点315aと、左上の基準マーカ305aと左下の基準マーカ309aを結ぶ線分(以下、「左辺」という)の中点317aを結ぶ線分(以下、「横中心線分」という)の中点でもある。また、縦中心線分と横中心線分の交点は、カード裏面画像400aの中心位置319aである。そして、後辺の中点313aから前辺の中点311aへ向かう方向が、トレーディングカード200aのカード方向を示す。カード方向は、トレーディングカード200aの前方を指す。
さらに前辺付近と後辺付近では、白色部分の明度の差が生じる。前辺付近の白色部分の明度は高く、後辺付近の白色部分の明度は低くなる。これは、前辺付近の方が後辺付近よりも受ける光の量が多く、反射光が強くなるからである。また、後辺付近から撮影装置110へ向かう反射光は、遠い分だけ広がりが大きく届きにくい。端的に言えば、撮影装置110から離れた部分の方が暗く写るということである。
なお、トレーディングカード200が後方に傾斜する場合には、前辺と後辺の関係が前方傾斜の場合と逆になる。縦間隔が短くなる点では、前方傾斜と後方傾斜は同様になるが、前辺距離と後辺距離の長短が異なる。後方傾斜の場合には、後辺距離が前辺距離よりも長くなる。また、後辺付近の方が前辺付近よりも明るくなる。したがって、前辺付近と後辺付近の明度差についても、前方傾斜と後方傾斜では異なる。
傾斜角について説明する。傾斜しない場合の縦間隔をLcで表し、前方傾斜の場合の縦間隔をLfで表し、水平面とトレーディングカード200がなす前方傾斜角をθfで表すと、「θf=arccos(Lf/Lc)」の関係が成り立つ。arccosは、cosの逆関数である。Lcは、定数であり、Lfとθfは、前方傾斜の程度に応じて決まる変数である。また、後方傾斜の場合の縦間隔をLbで表し、水平面とトレーディングカード200がなす後方傾斜角をθbで表すと、「θb=arccos(Lb/Lc)」の関係が成り立つ。Lbとθbは、後方傾斜の程度に応じて決まる変数である。参考として、後方傾斜ではピッチ角が正となり、前方傾斜ではピッチ角が負となる。つまり、後方傾斜角θbは、ピッチ角と一致するが、前方傾斜角θfは、ピッチ角と正負が逆になる。ピッチ角は、例えば航空機が機首を上げたときの回転において正を示すように向きが定義されている。
上述の前方傾斜と後方傾斜では、前辺と後辺が台形の底辺(平行な対辺)になるが、右側傾斜と左側傾斜では、右辺と左辺が台形の底辺になる。
図6は、右側傾斜のカード裏面画像400bに写る基準マーカ303~309の配置を示す図である。
トレーディングカード200bの表面から見た右端は、カード配置パネル108に接しているので、裏面から見た左辺の距離(以下、「左辺距離」という)は、トレーディングカード200を平らに置いた場合の左辺距離とほぼ一致する。これに対して、トレーディングカード200bの表面から見た左端は、カード配置パネル108から離れているので、裏面から見た右辺の距離(以下、「右辺距離」という)は、トレーディングカード200を平らに置いた場合の右辺距離よりも短い。
また、右辺と左辺との間隔(以下、「横間隔」という)も、トレーディングカード200を平らに置いた場合の横間隔よりも短い。横間隔は右辺の中点315bと左辺の中点317bの距離として求められる。また、カード裏面画像400bの中心位置319bは、縦中心線分の中点、横中心線分の中点であり、さらに縦中心線分と横中心線分の交点でもある。そして、後辺の中点313bから前辺の中点311bへ向かう方向が、トレーディングカード200bのカード方向を示す。
さらに左辺付近の明度は高く、右辺付近の明度は低くなる。また、トレーディングカード200が左側に傾斜する場合には、右辺と左辺の関係が前方傾斜の場合と逆になる。横間隔が短くなる点では、右側傾斜と左側傾斜は同様であるが、左側傾斜の場合には、右辺距離が左辺距離よりも長くなる。さらに、左側傾斜の場合には、右辺付近の白色部分が左辺付近の白色部分よりも明るくなる。
傾斜しない場合の横間隔をWcで表し、右側傾斜の場合の横間隔をWrで表し、水平面とトレーディングカード200がなす右側傾斜角をφrで表すと、「φr=arccos(Wr/Wc)」の関係が成り立つ。Wcは、定数であり、Wrとφrは、右側傾斜の程度に応じて決まる変数である。さらに、左側傾斜の場合の横間隔をWlで表し、水平面とトレーディングカード200がなす左側傾斜角をφlで表すと、「φl=arccos(Wl/Wc)」の関係が成り立つ。Wlとφlは、左側傾斜の程度に応じて決まる変数である。参考として、右側傾斜ではロール角が正となり、左側傾斜ではロール角が負となる。つまり、右側傾斜角φrは、ロール角と一致するが、左側傾斜角φlは、ロール角と正負が逆になる。ロール角は、例えば航空機の右翼が下がったときの回転において正を示すように向きが定義されている。
なお、いずれかの方向へ傾斜している場合には、カード裏面画像400が台形に歪むので、台形歪みを補正してからコードパターン301の解析を行う。
続いて、トレーディングカード200を傾斜させる操作による戦闘シミュレーションへの作用について説明する。以下では、前方傾斜角θf、後方傾斜角θb、右側傾斜角φrおよび左側傾斜角φlについて、最大45度まで検出するものとする。
プレイヤーは、トレーディングカード200を前方または後方へ傾斜させることによって部隊の攻守バランスを変えることができる。トレーディングカード200を後方へ傾斜させると、攻撃力を強めることができる。後方傾斜角θbが大きいほど攻撃力が強まる。ただし、それに伴って守備力は弱まる。攻撃力を強めると、たとえば部隊の兵士のうち攻めに加わる者の割合が多くなる。あるいは、頻繁に攻撃アクションを行うようになる。ゲーム中のシーンとして敵の部隊にダメージを与えたいときには、トレーディングカード200の頭を持ち上げる構えをとることによって、敵の部隊に襲い掛かる感覚を味わえる。なお、後方傾斜角θbが45度を超えたときには、最大の攻撃力が維持される。
反対にトレーディングカード200を前方へ傾斜させると、守備力を強めることができる。前方傾斜角θfが大きいほど守備力が強まる。ただし、それに伴って攻撃力は弱まる。守備力を強めると、たとえば部隊の兵士のうち防御に加わる者の割合が多くなる。あるいは、頻繁に守備アクションを行うようになる。ゲーム中のシーンとして敵の部隊からの攻撃に抗したいときには、トレーディングカード200の尻を持ち上げる構えをとることによって、敵の部隊を迎え撃つ感覚を味わえる。なお、前方傾斜角θfが45度を超えたときには、最大の守備力が維持される。
また、プレイヤーは、トレーディングカード200を右側または左側へ傾斜させることによって部隊が使用する武器アイテムを変更することができる。トレーディングカード200を右側へ傾斜させると、攻撃アイテムを切り替えられる。たとえば、攻撃アイテムの種類として、弓矢、槍および剣などがあるものとする。トレーディングカード200を右側へ傾けたときの右側傾斜角φrの最大値によって攻撃アイテムの種類が切り替わる。最大角が1度~15度の範囲内であれば部隊の兵士は弓矢を放ち、16度~30度の範囲内であれば槍を突き、31度~45度の範囲内であれば剣を振るう。たとえば、敵の部隊との距離が離れているときは弓矢を使用し、近づいてきたら槍に変え、さらに入り乱れるときは剣に変える。このようにすれば、合戦状況に応じて敵にダメージを与えやすくなる。なお、右側傾斜角φrの最大値が45度を超えた場合には、攻撃アイテムの種類は切り替わらない。
反対にトレーディングカード200を左側へ傾斜させると、守備アイテムを切り替えられる。たとえば、守備アイテムの種類として、煙幕、楯および甲冑などがあるものとする。トレーディングカード200を左側へ傾けたときの左側傾斜角φlの最大値によって守備アイテムの種類が切り替わる。最大角が1度~15度の範囲内であれば部隊の兵士は煙幕を発生させ、16度~30度の範囲内であれば楯を持ち、31度~45度の範囲内であれば甲冑を身に着ける。たとえば、敵の部隊が弓矢を仕掛けてきたときには煙幕で的を絞らせず、槍を突いてきたときには楯ではねのけ、剣を振るってきたときには甲冑で身を守るようにする。このようにすれば、ダメージを受けにくいように対処できる。なお、左側傾斜角φlの最大値が45度を超えた場合には、守備アイテムの種類は切り替わらない。
図7は、ゲーム機100のハードウェア構成例を示す図である。
この例におけるゲーム機100は、制御装置140を備える。制御装置140は、CPU(Central Processing Unit)142、メモリ144、入出力I/F(インターフェース)146、グラフィック表示回路148、サウンド回路150および光源制御回路152を有する。
入出力I/F146は、撮影装置110、押しボタンスイッチ114および発光ダイオード116を制御する。
グラフィック表示回路148は、グラフィック画像を正面モニター104に表示させる。サウンド回路150は、アンプ164とスピーカー106を用いて音を出力させる。光源制御回路152は、赤外線ライト184を制御する。
図8は、制御装置140のモジュール構成例を示す図である。
制御装置140の各構成要素は、CPUおよび各種コプロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
制御装置140は、ユーザインタフェース処理部130、データ処理部132およびデータ格納部136を含む。
ユーザインタフェース処理部130は、正面モニター104、スピーカー106、撮影装置110、押しボタンスイッチ114および発光ダイオード116等を介したユーザインタフェース処理を担当する。データ格納部136は各種データを格納する。データ処理部132は、ユーザインタフェース処理部130で入力したデータおよびデータ格納部136に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部132は、ユーザインタフェース処理部130およびデータ格納部136のインターフェースとしても機能する。
ユーザインタフェース処理部130は、ユーザによる操作入力を受け付ける入力部120と、ユーザへの情報提示を行う出力部122とを含む。入力部120は、撮影装置110からパネル画像を取得する映像取得部170と、押しボタンスイッチ114の操作を受け付ける受付部124とを含む。出力部142は、正面モニター104にグラフィック画像を表示させる画像出力部126を含む。
データ処理部132は、映像解析部172とゲーム進行部174とを含む。映像解析部172は、パネル画像を解析して、トレーディングカード200の種類、位置、向きおよび傾斜などを検出する。ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の種類、位置、向きおよび傾斜などを随時取得して、プレイヤー操作の情報として用いる。ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の種類、位置、向きおよび傾斜のうち、一部のみを用いてもよい。
映像解析部172は、歪曲収差補正部210、カード裏面検出部212、カード方向判定部214、傾斜向き判定部216、傾斜角算出部218、中心位置算出部220、台形歪み補正部222およびパターン解析部224を含む。
歪曲収差補正部210は、撮影装置110によって撮影された映像(元のパネル画像)に対して歪曲収差の補正を施す。カード裏面検出部212は、歪曲収差を補正されたパネル画像からカード裏面画像400を検出する。カード方向判定部214は、カード裏面画像400に基づいてトレーディングカード200の前方を指すカード方向を判定する。傾斜向き判定部216は、カード裏面画像400に基づいてトレーディングカード200の傾斜向きを判定する。傾斜角算出部218は、カード裏面画像400に基づいてトレーディングカード200の傾斜角を算出する。中心位置算出部220は、カード裏面画像400に基づいてトレーディングカード200の中心位置を算出する。台形歪み補正部222は、カード裏面画像400における台形歪みを補正する。パターン解析部224は、台形歪みを補正されたカード裏面画像400のコードパターン301を解析して、コードパターン301に埋め込まれているデータ(以下、「埋め込みデータ」という)を得る。
データ格納部136は、解析情報記憶部230と部隊パラメータ記憶部250とを含む。
解析情報記憶部230は、パネル画像を解析して得られた情報を記憶する。解析情報記憶部230については、図9に関連して後述する。部隊パラメータ記憶部250は、部隊に関するパラメータを記憶する。部隊パラメータ記憶部250については、図10に関連して後述する。
図9は、解析情報記憶部230のデータ構成図である。
解析情報記憶部230は、映像解析部172が解析を行ったトレーディングカード200毎のレコードを記憶する。各レコードは、カード認識番号、カード方向、傾斜向き、傾斜角、中心位置および埋め込みデータなどを対応付ける。
カード認識番号は、そのトレーディングカード200を最初に解析したときに割り振られる。この例では、第1レコードに相当するトレーディングカード200aが先に認識され、第2レコードに相当するトレーディングカード200bがその後に認識されたものとする。
カード方向は、たとえばカード配置パネル108の前方を0度として右回りの角度で表される。カード方向は、戦場における部隊の向きに対応する。傾斜向きは、「前方傾斜」、「後方傾斜」、「右側傾斜」、「左側傾斜」あるいは「傾斜無し」を示す。傾斜向きが「前方傾斜」であれば、傾斜角には前方傾斜角θfが設定され、傾斜向きが「後方傾斜」であれば、傾斜角には後方傾斜角θbが設定される。また、傾斜向きが「右側傾斜」であれば、傾斜角には右側傾斜角φrが設定され、傾斜向きが「左側傾斜」であれば、傾斜角には左側傾斜角φlが設定される。傾斜向きが「傾斜無し」のときは、傾斜角が0度である。したがって、0度を設定してもよいし、無効値を設定してもよい。
中心位置は、カード配置パネル108の上面で想定される座標系に従ってトレーディングカード200の中心位置を表わす。中心位置は、戦場における武将の位置に対応する。埋め込みデータには、トレーディングカード200の種類を示すカードIDが含まれる。この例では、カードIDは武将IDを兼ねる。埋め込みデータに、ヒットポイント(図10参照)の初期値、攻守比率の初期値、攻撃アイテムの初期値、守備アイテムの初期値など武将や部隊の特性を示すデータが含まれてもよい。
図10は、部隊パラメータ記憶部250のデータ構成図である。
部隊パラメータ記憶部250は、映像解析部172で解析されたトレーディングカード200毎のレコードを記憶する。各レコードは、カード認識番号、武将ID(カードID)、武将名、ヒットポイント、攻守比率、攻撃力、守備力、攻撃アイテムおよび守備アイテムなどを対応付ける。
カード認識番号は、解析情報記憶部230(図9)のレコードとの紐づけに用いられる。武将IDは、トレーディングカード200から得られる埋め込みデータ内のカードIDに相当する。武将名は、武将IDに対応して特定される。ヒットポイントは、部隊を成す兵士たちの体力に相当し、部隊の攻撃力と守備力の基礎となる。攻守比率は、攻守のバランスを示す。この例では、攻守比率は、攻撃係数Ca:守備係数Cdの比で表される。攻撃係数Caと守備係数Cdの合計は、一定(この例では、1)である。攻撃力は、ヒットポイントに攻撃係数Caを乗じた値である。守備力は、ヒットポイントに守備係数Cdを乗じた値である。攻撃アイテムは、兵士たちが使用する攻撃用の武具を表す。攻撃アイテムには、複数の候補のいずれかが設定される。この例では、攻撃アイテムの種類として弓矢、槍および剣などがあるので、「弓矢」、「槍」および「剣」などが攻撃アイテムの候補に相当する。守備アイテムは、兵士たちが使用する防御用の武具を表す。守備アイテムには、複数の候補のいずれかが設定される。この例では、守備アイテムの種類として煙幕、楯および甲冑などがあるので、煙幕、楯および甲冑などが守備アイテムの候補に相当する。
なお、敵の部隊に与えるダメージは、たとえばプレイヤーの部隊の攻撃力から敵の部隊の守備力を引いた差を基準として求められる。また、プレイヤーの部隊が受けるダメージは、たとえば敵の部隊の攻撃力からプレイヤーの部隊の守備力を引いた差を基準として求められる。プレイヤーは、このようなダメージの大きさを考えながら、自らの部隊の被害をある程度覚悟して敵の部隊にダメージを与えるために攻撃力を優先するという戦術や、援軍を待ったり、陽動作戦として相手を引きつけておいたり、などのために守備に徹する戦術など、多様な展開を楽しめるようになる。
図11は、映像解析処理過程を示すフローチャートである。
ゲーム進行部174がゲームを進行させている間、映像取得部170と映像解析部172は図示した処理を継続的に実行する。つまり、映像取得部170と映像解析部172による処理は、ゲーム進行部174による処理と並行して実行される。
映像取得部170は、撮影装置110から映像(元のパネル画像)を取得する(S10)。歪曲収差補正部210は、映像(元のパネル画像)に対する歪曲収差の補正処理を行う(S12)。カード裏面検出部212は、歪曲収差を補正されたパネル画像からカード裏面画像400を検出する(S14)。カード裏面画像400は、複数検出されることがある。複数のカード裏面画像400が検出された場合には、各カード裏面画像400についてS16~S26の各処理を行う。
カード方向判定部214は、図5および図6に関連して説明したとおり、カード裏面画像400からトレーディングカード200のカード方向を判定する(S16)。具体的には、カード方向判定部214は、たとえば後辺の中点313と前辺の中点311を特定し、後辺の中点313から前辺の中点311へ向かう方向をカード方向とする。あるいは、中心位置319から前辺の中点311へ向かう方向をカード方向としてもよいし、後辺の中点313から中心位置319へ向かう方向をカード方向としてもよい。いずれの方法でも、カード方向は同じになる。
傾斜向き判定部216は、図5および図6に関連して説明したとおり、カード裏面画像400からトレーディングカード200の傾斜向きを判定する(S18)。たとえば、傾斜向き判定部216は、距離差によって傾斜向きを判定する。傾斜向き判定部216は、後辺距離が前辺距離よりも短い場合には、前方傾斜であり(図5参照)、逆に前辺距離が後辺距離よりも短い場合には、後方傾斜であると判定する。また、傾斜向き判定部216は、右辺距離が左辺距離よりも短い場合には、右側傾斜であり(図6参照)、逆に左辺距離が右辺距離よりも短い場合には、左側傾斜であると判定する。
傾斜向き判定部216は、白色部分の明度差によって傾斜向きを判定してもよい。具体的には、傾斜向き判定部216は、前辺付近の白色部分の明度が後辺付近の白色部分の明度よりも高い場合には、前方傾斜であり(図5参照)、逆に後辺付近の白色部分の明度が前辺付近の白色部分の明度よりも高い場合には、後方傾斜であると判定してもよい。また、傾斜向き判定部216は、左辺付近の白色部分の明度が右辺付近の明度よりも高い場合には、右側傾斜であり(図6参照)、逆に右辺付近の白色部分の明度が左辺付近の白色部分の明度よりも高い場合には、左側傾斜であると判定してもよい。
傾斜角算出部218は、図5および図6に関連して説明したとおり、傾斜向きに応じて傾斜角を算出する(S20)。具体的には、前方傾斜のとき、傾斜角算出部218は、「θf=arccos(Lf/Lc)」の式に従って、前方傾斜角θfを算出する(図5の説明を参照)。後方傾斜のとき、傾斜角算出部218は、「θb=arccos(Lb/Lc)」の式に従って、後方傾斜角θbを算出する。また、右側傾斜のとき、傾斜角算出部218は、「φr=arccos(Wr/Wc)」の式に従って、右側傾斜角φrを算出する(図6の説明を参照)。左側傾斜のとき、傾斜角算出部218は、「φl=arccos(Wl/Wc)」の式に従って、左側傾斜角φlを算出する。
中心位置算出部220は、図5および図6に関連して説明したとおり、トレーディングカード200の中心位置を算出する(S22)。具体的には、中心位置算出部220は、縦中心線分の中点(横中心線分の中点、あるいは縦中心線分と横中心線分の交点)を特定して、トレーディングカード200の中心位置とする。
台形歪み補正部222はカード裏面画像400における台形歪みを補正し(S24)、パターン解析部224は、台形歪みが補正されたカード裏面画像400のコードパターン301を解析して、埋め込みデータを得る(S26)。
新たなトレーディングカード200が検出された場合には、解析情報記憶部230と部隊パラメータ記憶部250に新たなレコードが追加される。反対に、既検出のトレーディングカード200が検出されなくなった場合には、解析情報記憶部230と部隊パラメータ記憶部250からそのトレーディングカード200に対応するレコードが削除される。解析情報記憶部230のレコードには、検出されたカード方向、傾斜向き、傾斜角、中心位置および埋め込みデータが設定される。このあとS10に戻って、上述した処理を繰り返す。
図12は、ゲーム進行処理過程を示すフローチャートである。
ゲーム進行部174は、戦闘場面の展開処理を実行する(S30)。具体的には、ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の中心位置に相当する場所に向けて、実際の進軍のイメージを再現するスピードで将軍と部隊を移動させる。ゲーム進行部174は、原則としてトレーディングカード200のカード方向に対応する方位に部隊を向かせる。ゲーム進行部174は、トレーディングカード200による部隊が敵の部隊と対峙したとき、戦闘の演出を開始する。ゲーム進行部174は、トレーディングカード200による部隊のパラメータと、敵の部隊のパラメータとに基づいて戦況を変化させる。ゲーム進行部174は、将軍と部隊の配置を表す俯瞰画像や、戦闘の様子を表すアップ画像のようなグラフィック画像を随時生成し、画像出力部126は、これらグラフィック画像を正面モニター104に表示させる。ゲーム進行部174は、コンピュータ対戦の場合、敵の部隊のパラメータを自動的に変化させる処理も行う。
トレーディングカード200に関する解析情報はプレイヤーの操作によって任意に変化するので、それに応じて随時部隊のパラメータを更新する必要がある。そのため、ゲーム進行部174は、割込み的に部隊のパラメータを更新させる処理を行う。この例では、一定間隔(プレイヤーが意識しないぐらいの短い時間)で戦闘場面の展開処理に割り込んで、各トレーディングカード200に関してS32からS44の処理を行うものとする。なお、S32からS44の処理を、割込み以外の方法で戦闘場面の展開処理と並行に実行するようにしてもよい。
傾斜向きが「後方傾斜」である場合に(S32のY)、ゲーム進行部174は、後方傾斜角θbに応じて攻守比率を変更する。「後方傾斜」であれば「傾斜無し」のときよりも攻撃係数Caが大きくなり、守備係数Cdが小さくなる(S34)。具体的には、ゲーム進行部174は、「Ca=0.5+θb/90」の式にしたがって攻撃係数Caを算出する。たとえば、後方傾斜角θbが9度であれば、攻撃係数Caは0.6になる。後方傾斜角θbが最大の45度であれば、攻撃係数Caは1.0になる。また、ゲーム進行部174は、「Cd=0.5-θb/90」の式にしたがって守備係数Cdを算出する。後方傾斜角θbが9度のとき、守備係数Cdは0.4になる。後方傾斜角θbが最大の45度であれば、守備係数Cdは0になる。算出された攻撃係数Ca:守備係数Cdの比が攻守比率として部隊パラメータ記憶部250のレコードに設定される。そして、タイムアウトや勝敗の決着などの終了条件に合致しなければ(S50のN)、S30の処理に移ってこの攻守比率が適用される。
傾斜向きが「前方傾斜」である場合に(S36のY)、ゲーム進行部174は、前方傾斜角θfに応じて攻守比率を変更する。「前方傾斜」であれば「傾斜無し」のときよりも守備係数Cdが大きくなり、攻撃係数Caが小さくなる(S38)。具体的には、ゲーム進行部174は、「Cd=0.5+θf/90」の式にしたがって守備係数Cdを算出する。たとえば、前方傾斜角θfが9度であれば、守備係数Cdは0.6になる。前方傾斜角θfが最大の45度であれば、守備係数Cdは1.0になる。また、ゲーム進行部174は、「Ca=0.5-θf/90」の式にしたがって攻撃係数Caを算出する。前方傾斜角θfが9度のとき、攻撃係数Caは0.4になる。前方傾斜角θfが最大の45度であれば、攻撃係数Caは0になる。算出された攻撃係数Ca:守備係数Cdの比が攻守比率として部隊パラメータ記憶部250のレコードに設定される。そして、終了条件に合致しなければ(S50のN)、S30の処理に移ってこの攻守比率が適用される。
傾斜向きが「右側傾斜」である場合に(S40のY)、ゲーム進行部174は、右側傾斜角φrを時系列に記録する。プレイヤーが攻撃アイテムを切り替えようとして、トレーディングカード200の左縁を素早く持ち上げて戻すまでの時間内に、S40のステップを何度も通る。したがって、「右側傾斜」が始まってから終わるまでの間に、右側傾斜角φrの値が多数蓄積される。ゲーム進行部174は、「右側傾斜」が終わったタイミングで、最大の右側傾斜角φrを特定する。そして、ゲーム進行部174は、最大の右側傾斜角φrが所定範囲に含まれている場合に、その所定範囲に対応する種類の攻撃アイテムを特定する。具体的には、最大の右側傾斜角φrが1度~15度の範囲内であれば攻撃アイテムを「弓矢」にする。同じく16度~30度の範囲内であれば攻撃アイテムを「槍」にする。同じく31度~45度の範囲内であれば攻撃アイテムを「剣」にする(S42)。そして、終了条件に合致しなければ(S50のN)、S30の処理に移ってこの攻撃アイテムが適用される。
傾斜向きが「左側傾斜」である場合に(S44のY)、ゲーム進行部174は、左側傾斜角φlを時系列に記録する。ゲーム進行部174は、「左側傾斜」が終わったタイミングで、最大の左側傾斜角φlを特定する。そして、ゲーム進行部174は、最大の左側傾斜角φlが所定範囲に含まれている場合に、その所定範囲に対応する種類の防御アイテムを特定する。具体的には、最大の左側傾斜角φlが1度~15度の範囲内であれば防御アイテムを「煙幕」にする。同じく16度~30度の範囲内であれば防御アイテムを「楯」にする。同じく31度~45度の範囲内であれば防御アイテムを「甲冑」にする(S46)。そして、終了条件に合致しなければ(S50のN)、S30の処理に移ってこの防御アイテムが適用される。
傾斜向きが「傾斜なし」であれば(S44のN)、ゲーム進行部174は、攻撃係数Caと守備係数Cdを所定の標準値とする(S48)。この例では、攻守比率を0.5:0.5とする。そして、終了条件に合致しなければ(S50のN)、S30の処理に移ってこの攻守比率が適用される。攻撃アイテムと守備アイテムに関しては、現状のままである。
そして、終了条件に該当すると判定すると(S50のY)、ゲーム進行部174は、ゲーム進行処理を終える。最後に、画像出力部126は、ゲームのプレイ結果を表示させる。
[変形例]
基準マーカ303~309は、すべて異なる形状である必要はない。たとえば、基準マーカ303と305が同じ形状であり、さらに基準マーカ307と309が同じ形状であっても、基準マーカ303~309の位置関係に基づいて四端を特定することは可能である。実施形態では、基準マーカ303~309で想定される四角形の歪みに基づく解析方法を示したが、基準マーカ303~309以外の図形で想定される四角形の歪みに基づいて解析を行ってもよい。また、四角形以外の基準形の歪みによって解析を行ってもよい。
カード方向が、トレーディングカード200の前方以外の所定方向を指すものと定めてもよい。たとえば、右打ちの野球選手のトレーディングカード200の場合、右打席に入ったときに選手の左方向から投球が来るので、トレーディングカード200の左方向をカード方向と定めてもよい。
コードパターン301は、たとえばQRコード(登録商標)やバーコードのように既存の2次元図形コードでもよい。
武将は、キャラクタの例である。武将以外のキャラクタについて上述の実施形態や変形例を適用してもよい。また、カードIDがキャラクタIDを兼ねなくてもよい。たとえば、カードIDとキャラクタIDの対応関係を紐づけ記憶部(不図示)に定めておき、ID特定部(不図示)において、対応関係に従ってカードIDからキャラクタIDを特定する処理を行うようにしてもよい。
傾斜向き判定部216は、実施形態で説明した距離差による判定と、明度差による判定とを組み合わせてもよい。たとえば、距離差によって前方傾斜と後方傾斜を判定し、明度差によって右側傾斜と左側傾斜を判定してもよい。あるいは、明度差によって前方傾斜と後方傾斜を判定し、距離差によって右側傾斜と左側傾斜を判定してもよい。また、距離差による傾斜の条件と明度差による傾斜の条件の両方を満たす場合に、傾斜していると判定するようにしてもよい。
実施形態では幾何的に傾斜向きと傾斜角を算出する例を示したが、画像パターンのマッチングによって傾斜向きと傾斜角を特定するようにしてもよい。この場合には、画像パターンとして、カード裏面画像400のうちコードパターン301を除く範囲に相当する画像を使用する。各傾斜向きについて、想定した複数の傾斜角に対する各画像パターンを用意しておく。たとえば、画像パターン記憶部(不図示)において、傾斜向きが「前方傾斜」であって前方傾斜角θfが1度から45度までの所定度(たとえば、1度)おきの各条件に対応する画像パターン、傾斜向きが「後方傾斜」であって後方傾斜角θbが1度から45度までの所定度(たとえば、1度)おきの各条件に対応する画像パターン、傾斜向きが「右側傾斜」であって右側傾斜角φrが1度から45度までの所定度(たとえば、1度)おきの各条件に対応する画像パターン、傾斜向きが「左側傾斜」であって左側傾斜角φlが1度から45度までの所定度(たとえば、1度)おきの各条件に対応する画像パターン、および「傾斜なし」に対応する画像パターンを記憶しておく。そして、傾斜向き判定部216および傾斜角算出部218の代わりとなるパターンマッチング部(不図示)が、カード裏面画像400のうちコードパターン301を除く範囲において、これらの画像パターンのぞれぞれと比較を行い、近似度を算出する。そして、最も近似度が高い画像パターンに対応する傾斜向きと傾斜角を特定する。
実施形態では、右側傾斜角φrの最大値によって攻撃アイテムの種類を決める例を示したが、ゲーム進行部174は、一定時間以上保持された右側傾斜角φrによって攻撃アイテムの種類を決めるようにしてもよい。1度~15度の範囲内で右側傾斜角φrが所定時間(たとえば、2秒間)保持されると攻撃アイテムが「弓矢」になり、同じく16度~30度の範囲内で保持されると「槍」になり、同じく31度~45度の範囲内で保持されると「剣」になるように切り替えを行ってもよい。左側傾斜角φlによって守備アイテムを切り替える場合も同様である。
ゲーム進行部174は、右側傾斜角φrが基準値を超えたタイミングで、トグル式によって攻撃アイテムの種類を切り替えてもよい。たとえば、プレイヤーがトレーディングカード200を右側へ起こす操作を繰り返すと、「弓矢」、「槍」、「剣」、「弓矢」・・・の順番で循環するようにしてもよい。左側傾斜角φlによって守備アイテムを切り替える場合も同様である。
ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の傾斜向きと移動を組み合わせて、ゲーム中のイベントやコマンドを発生させてもよい。トレーディングカード200の移動は、中心位置の変化によって算出される。たとえば、所定値以上の後方傾斜角のトレーディングカード200が一定距離以上前進したと判定した場合に、スピーカー106から雄叫びを出力させてもよい。所定値以上の前方傾斜角のトレーディングカード200が一定距離以上前進したと判定した場合に、スピーカー106から地鳴り音を出力させてもよい。所定値以上の後方傾斜角のトレーディングカード200が一定距離以上後進したと判定した場合に、落雷が起きるようにしてもよい。所定値以上の前方傾斜角のトレーディングカード200が一定距離以上後進したと判定した場合に、洪水が起きるようにしてもよい。
ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の傾斜向きと水平回転を組み合わせて、ゲーム中のイベントやコマンドを発生させてもよい。トレーディングカード200の水平回転は、カード方向の変化によって算出される。たとえば、所定値以上の後方傾斜角のトレーディングカード200のカード方向が所定基準(たとえば、180度)以上回転したときに、風が吹くようにしてもよい。所定値以上の前方傾斜角のトレーディングカード200のカード方向が所定基準以上回転したときに、地割れが起きるようにしてもよい。
ゲーム進行部174は、弓から放たれる矢や大砲から打ち出される玉などのような発射物の発射角度を、トレーディングカード200の傾斜角で特定するようにしてもよい。たとえば、低く打ち出す態様で、後方傾斜角θbを発射角度としてもよい。この仕様では、トレーディングカード200を平らにおけば水平前方に発射される。あるいは、高く打ち出す態様で、前方傾斜におけるトレーディングカード200の表面の垂線が水平面となす角を発射角度としてもよい。この仕様では、トレーディングカード200を平におけば真上に発射される。プレイヤーは発射角を調整することによって、大砲で城壁を超えて陣内を直接攻撃したり、あるいは城壁そのものを破壊して入城を図ったりなどの攻撃方法を選んで楽しむことができる。
ゲームの種類は、戦闘シミュレーションに限らない。たとえば、スポーツシミュレーションに上述の実施形態や変形例を適用してもよい。
テニスや卓球などのようにラケットを使って球を打ち返すゲームにおいて、ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の傾斜向きによって球の回転方向を決めてもよい。たとえば、後方傾斜のときにドライブがかかり、前方傾斜のときにカットがかかるようにしてもよい。また、トレーディングカード200の傾斜角と移動速度に応じて回転速度と打球速度が決まるようにしてもよい。ゴルフのクラブのように複数の用具を使い分ける場合に、傾斜角によって用具(たとえば、ゴルフクラブの番手)が切り替わるようにしてもよい。右打ちのゴルフプレイヤーの場合、右側傾斜のときに打球がスライスし、左側傾斜のときに打球がフックするようにしてもよい。サッカーゲームにおいて、キックするボールの回転方向と回転速度をトレーディングカード200の傾斜向きと傾斜角度で決めてもよい。野球ゲームにおいて、ピッチャーが投げる変化球種と変化程度を傾斜向きと傾斜角度できめてもよい。
格闘シミュレーションゲームに上述の実施形態や変形例を適用してもよい。
ゲーム進行部174は、傾斜向きによって選手が繰り出す打撃の種類を決め、トレーディングカード200を押し出すタイミングで打撃動作を行うようにしてもよい。たとえば、トレーディングカード200を後方傾斜させて押し出せばハイキックが放たれ、前方傾斜させて押し出せばローキックが放たれるようにしてもよい。また、キックを放つ前に、左右の傾きでキックする足を選択できるようにしてもよい。たとえば、トレーディングカード200を右側傾斜させると右足が選択され、左側傾斜させると左足が選択されるようにする。つまり、左側傾斜と前方傾斜の押し出しを連続して行えば、左足のローキックが放たれる。また、右側傾斜と後方傾斜の押し出しを連続して行えば、右足のハイキックが放たれる。あるいは、トレーディングカード200が押し出されることなく後方傾斜あるいは前方傾斜を検出したタイミングで、キックが放たれるようにしてもよい。つまり、左側傾斜と前方傾斜を連続して行えば、左足のローキックが放たれる。また、右側傾斜と後方傾斜を連続して行えば、右足のハイキックが放たれる。
他にも、金魚すくいゲームで、トレーディングカード200をポイに見立てて、金魚をすくって椀に入れる操作を行うこともできる。また、調理ゲームで、トレーディングカード200をヘラに見立てて、ヘラで焼きそばやお好み焼きなどを調理する操作を行うこともできる。このように、ゲーム進行部174は、トレーディングカード200のカード方向、位置、傾斜向きおよび傾斜角によってゲーム中で使用される器具の方向、位置、傾斜向きおよび傾斜角を特定し、器具の方向、位置、傾斜向きおよび傾斜角に応じたシミュレーションを行うようにしてもよい。ゲーム進行部174は、トレーディングカード200のカード方向、位置、傾斜向きおよび傾斜角のうち、一部のみを使用してもよい。
[カード傾斜による効果期間]
トレーディングカード200を傾斜させることで所定の継続的な効果を発揮させる処理について説明する。
トレーディングカード200を傾斜させることで、体力強化、魔法や変身などのような継続的な効果を発揮させるようにしてもよい。ゲーム進行部174の処理としては、たとえば体力強化の効果を発揮させる期間において、体力値のような連続的パラメータの値を増加させ、その期間を過ぎると元の値に戻す。あるいは、魔法の効果を発揮させる期間において、適用フラグをONにし、その期間を過ぎるとOFFに戻す。あるいは変身の効果を発揮させる期間において、変身キャラクタIDのような選択的パラメータを設定し、その期間を過ぎると変身キャラクタIDをクリアする。このような制御方法によれば、キャラクタを一時的に強化するための特殊なコマンドを、カードを傾けるという直感的な操作により実現できる。なお、連続的パラメータの値の増加方法は、所定値を加えてもよいし、1より大きい所定割合を乗じてもよいし、傾斜角に応じて増加値を決めるようにしてもよい。
継続的な効果を発揮させる期間の決め方について、4つの例を示す。
第1例として、「傾斜状態が継続している間」を効果発揮期間とする方式が考えられる。つまり、ゲーム進行部174は、傾斜角算出部218が所定値(たとえば、10度)より大きい傾斜角を検出した時点から、所定値以下の傾斜角を検出する時点までの間、ずっと効果を持続させるようにする。たとえば、10秒間カードを傾けていれば、その10秒間において体力が強化され、20秒間カードを傾けていれば、その20秒間において体力が強化される。プレイヤーは、トレーディングカード200の傾きを維持するという難易度の高い操作を続けることでキャラクタの強化というメリットを享受できる。
第2例として、「傾斜の開始から一定時間が経過するまでの間」を効果発揮期間とする方式が考えられる。つまり、ゲーム進行部174は、傾斜角算出部218が所定値(たとえば、10度)より大きい傾斜角を検出した時点から、一定時間(たとえば、15秒)が経過する時点までの間、効果を持続させるようにする。たとえば、10秒間カードを傾けていた場合でも、20秒間カードを傾けていた場合でも、カードを傾け始めてから15秒間だけ体力が強化され、15秒が過ぎると体力は元に戻る。なお、一定時間の経過に関して、残り時間をカウントダウンする音声や画像を出力するカウントダウン出力部(不図示)を設けるようにしてもよい。第2例では、効果期間を均等化することができる。また、傾斜を維持する必要がないので、その間に他の操作を行うことも可能である。
第3例として、「傾斜状態が継続している間」または「傾斜の開始から一定時間が経過するまでの間」の早く終了する方を効果発揮期間とする方式が考えられる。つまり、ゲーム進行部174は、傾斜角算出部218が所定値(たとえば、10度)より大きい傾斜角を検出した後、一定時間(たとえば、15秒)が経過する前に、所定値以下の傾斜角を検出すれば、その検出時点で効果が切れる。また、傾斜角算出部218が所定値より大きい傾斜角を検出した後、所定値以下の傾斜角を検出することなく、一定時間が経過すれば、その経過時点で効果が切れる。たとえば、10秒間カードを傾けていた場合には、その10秒間において体力が強化されるが、20秒間カードを傾けていた場合には、15秒間しか体力が強化されない。第3例では、必要以上に傾斜させつづけることは無駄であり、また傾斜の維持が短すぎると十分な効果を得られない。そのため、プレイヤーの時間感覚を競う楽しみ方ができる。
第4例として、「傾斜状態が継続している間」に一定時間を加えて効果発揮期間とする方式が考えられる。つまり、ゲーム進行部174は、傾斜角算出部218が所定値(たとえば、10度)より大きい傾斜角を検出した時点から、所定値以下の傾斜角を検出した後に一定時間(たとえば、15秒)が経過する時点までの間、効果を持続させるようにする。たとえば、10秒間カードを傾けていれば、傾け始めてから25秒間において体力が強化され、20秒間カードを傾けていれば、傾け始めてから35秒間において体力が強化される。第4例では、付加された期間において効果を維持しながら、他の操作を行うことができる。
このようにすれば、トレーディングカードゲームの進行に関して、トレーディングカード200の傾斜によって、効果内容に応じた適切な効果期間を設定できるようになる。
[玉の打ち返し]
たとえば、敵側から転がってくる大玉をこん棒のような打撃具で打ち返す操作を、トレーディングカード200を使って行うことが考えられる。プレイヤーは、仮想空間である戦場の敵領域から味方領域へ向かっている大玉の移動速度と移動方向を感知して、味方領域における到達地点を予測して、カード配置パネル108における到達地点に相当する位置へトレーディングカード200をスライドさせる。ゲーム進行部174は、カード配置パネル108におけるトレーディングカード200の水平の回転方向、回転速度および傾斜角に基づいて、仮想空間(戦場)における大玉の打ち返し方向、打ち返し速度およち打ち返し角を算出する。
トレーディングカード200が傾けられていない場合には、大玉は水平に打ち返される。トレーディングカード200が大玉をすくう姿勢であれば、大玉は斜め上方に向けて打ち返される。反対に、トレーディングカード200が大玉にかぶさる姿勢であれば、大玉は斜め下方に向けて打ち返される。このとき、トレーディングカード200の姿勢は、トレーディングカード200の向きに関わらず、カード配置パネル108を基準として定まる。したがって、トレーディングカード200の表面のキャラクタ画像がどちら方を向いていても、打ち返し方は同じになる。
詳しく言うと、前方から転がってくる大玉を前方傾斜のトレーディングカード200で打ち返せば、大玉は斜め上方に飛ぶ。また、右側から転がってきた大玉を右側傾斜のトレーディングカード200で打ち返し、あるいは左側から転がってきた大玉を左側傾斜のトレーディングカード200で打ち返した場合も、同様に大玉は斜め上方に飛ぶ。もしもトレーディングカード200の向きが逆さまであれば、転がってくる大玉をトレーディングカード200の後方から受けることになるが、トレーディングカード200の頭を持ち上げて後方傾斜にすれば、大玉は打ち上げられる。
同様に、前方から転がってくる大玉を後方傾斜のトレーディングカード200で打ち返せば、大玉は斜め下方に飛ぶ。また、右側から転がってきた大玉を左側傾斜のトレーディングカード200で打ち返し、あるいは左側から転がってきた大玉を右側傾斜のトレーディングカード200で打ち返した場合も、同様に大玉は斜め下方に飛ぶ。もしもトレーディングカード200の向きが逆さまであれば、転がってくる大玉をトレーディングカード200の後方から受けることになるが、トレーディングカード200の尻を持ち上げて前方傾斜にすれば、大玉は打ち下げられる。
ゲーム進行部174は、打ち返す高さ角度について、上述した矢や大砲などの発射物の発射角度の場合と同様に、トレーディングカード200の傾斜角で特定するようにしてもよい。ゲーム進行部174は、打ち返し速度を、トレーディングカード200の回転速度に応じて決めてもよい。たとえば、トレーディングカード200を速く回せば、打ち返し速度が高くなり、トレーディングカード200を遅く回せば、打ち返し速度が低くなる。あるいは、打ち返し速度を、トレーディングカード200のスライド速度に応じて決めてもよい。たとえば、トレーディングカード200を速くスライドさせれば、打ち返し速度が高くなり、トレーディングカード200を遅くスライドさせれば、打ち返し速度が低くなる。このような制御方法によれば、トレーディングカード200をラケットやフリッパーなどの打撃具のように使用できるため、ユーザは打撃の強度や角度を柔軟に調整しやすくなる。
この方式を、たとえば野球ゲームにおける打撃に適用してもよい。トレーディングカード200が傾けられていない場合には、打球はライナーになる。トレーディングカード200が投球をすくう姿勢であれば、打球はフライになる。反対に、トレーディングカード200が投球にかぶさる姿勢であれば、打球はゴロになる。既存のゲームに限らず、3次元空間で行われるピンボールのシミュレーションゲームのような未知のゲームなどに適用してもよい。この場合、トレーディングカードの200の操作でピンボールのフリッパーを動かす。動いているボールを一旦受け止め、ボールをフリッパーの縁に転がし、狙った方向へタイミングを見計らいボールを弾くなどの動作を、トレーディングカード200の操作で行う。
上述した大玉や野球のボールは、移動物体の例である。球状以外の移動物体を打ち返すようにしてもよい。
このようにすれば、移動物体を打ち返す場面を含むトレーディングカードゲームに関して、打ち返される移動物体の軌道を簡単な操作で指示できるようになる。
[透明キャラクタの可視化]
透明人間のように目視できない想定のキャラクタや透明武器のように目視できない想定のアイテムなどを可視化できる範囲を、トレーディングカード200で操作するようにしてもよい。このようにすれば、謎解き要素を加味してゲームの趣向を高めることができる。
ゲーム進行部174が制御するゲームの場面として、仮想空間である戦場に透明な敵兵が存在し、正面モニター104の画面にはその姿が表示されていないものとする。このとき、プレイヤーは敵兵を直接認識することはできない。ただし、物音がしたり、周辺の草木が揺れたりすることなどで、敵兵が近くにいることを感知できる。気配を察知した味方キャラクタは、透明な敵兵を可視化できるスコープを使って周囲を捜索する。スコープは、透明対象を映し出す特殊光を所定広さの範囲に照射するツールである。
味方キャラクタが透明の敵兵と対峙した状態、つまり正面にいるはずの敵兵が画面表示されていない場面で、ゲーム進行部174は、正面方向を向いている味方キャラクタのトレーディングカード200が前方に傾斜したと判定すると、スコープの特殊光を下向きに放射させ、照射範囲に入った敵兵の下半身を画面に表示する。また、ゲーム進行部174は、トレーディングカード200が後方に傾斜したと判定すると、スコープの特殊光を上向きに放射させ、照射範囲に入った敵兵の上半身を画面に表示する。つまり、スコープの照射範囲に入った部分だけが可視化される。
また、ゲーム進行部174は、トレーディングカード200が右側に傾斜したと判定すると、スコープの特殊光を右向きに放射させ、照射範囲に入った敵兵の左手の武器を画面に表示させる。また、ゲーム進行部174は、味方キャラクタのトレーディングカード200が左側に傾斜したと判定すると、スコープの特殊光を左向きに放射させ、照射範囲に入った敵兵の右手の武器を画面に表示する。
また、壁の向こう側で待ち伏せる敵兵のような隠れキャラクタや地中に埋蔵されている宝物のような隠れアイテムなどを、透視する演出を行うようにしてもよい。この場合には、味方キャラクタは、所定広さの範囲で壁や地面を透視できるスコープを所持している。プレイヤーは、透明対象を映し出す場合と同様の操作で、スコープを使って壁や地面を透かして見える範囲を変えることができる。
ゲーム進行部174は、特殊光の照射範囲や透視範囲のような可視化領域を、トレーディングカード200の傾斜角に応じて連続的に移せるようにしてもよいし、トレーディングカード200の傾斜角のレンジに応じて、表示画面を分割するブロックを単位とする可視化領域の切り替えを行うようにしてもよい。
このようにすれば、見えないキャラクタやアイテムが登場するトレーディングカードゲームに関して、トレーディングカード200の簡単な操作によって、見えないキャラクタやオブジェクトを探索する楽しみを味わえるようになる。
[職業の選択]
ゲーム進行部174は、トレーディングカード200を傾斜させる操作に基づいて、トレーディングカード200で操るキャラクタやアイテムの種類や特性を設定するようにしてもよい。
ゲームが開始される前に、プレイで使用する複数のトレーディングカード200をカード配置パネル108上に並べて、それぞれを傾斜させることによってキャラクタやアイテムの初期設定を行う。
たとえばトレーディングカード200のキャラクタがゲーム中に間者(スパイ)として偽装する職業(キャラクタの種類や特性の例)を選択する。前方に傾斜させると「農民」が選択され、右側に傾斜させると「職人」が選択され、左側に傾斜させると「商人」が選択され、後方に傾斜させると「芸人」が選択される。このように、トレーディングカード200を傾ける方向によってキャラクタの種類を示す選択的パラメータを切り替えられるようする。トレーディングカード200を傾けることによって、キャラクタの職業を転じさせる感覚(選択肢を転じさせる感覚)を味わえる。
さらに、傾斜角度によって、傾斜方向で定まる職業(大分類、つまり上位の選択的パラメータの例)における職種(大分類中の小分類、つまり下位の選択的パラメータの例)を決めるようにしてもよい。右側に傾斜させることによって「職人」を選択するときに、最大角が1度~15度の範囲内であれば「大工」が選択され、最大角が16度~30度の範囲内であれば「染物師」が選択され、最大角が31度~45度の範囲内であれば「炭焼き師」が選択される。このとき、最大角に代えて、所定時間以上保持する角度によって職種を選択するようにしてもよい。大分類の選択と小分類の選択を、一連の操作で行えるので、迅速かつ便利である。
さらに、傾斜角度によって、傾斜方向で定まる職業(主たる選択の例)で使用する楽器(付属的な選択の例)を決めるようにしてもよい。後方に傾斜させることによって「芸人」を選択するときに、最大角が1度~15度の範囲内であれば「笛」が選択され、最大角が16度~30度の範囲内であれば「太鼓」が選択され、最大角が31度~45度の範囲内であれば「三味線」が選択される。このとき、最大角に代えて、所定時間以上保持する角度によって楽器を選択するようにしてもよい。楽器は、選択されたキャラクタの種類や特性(上位の選択的パラメータの例)に関する下位の選択的パラメータの例である。主たる選択と付属的な選択を、一連の操作で行えるので、迅速かつ便利である。
また、傾斜角度によって、傾斜方向で定まる職業(主たる選択の例)の特性を示す下位の連続的パラネータ(付属的な値設定の例)を変化させるようにしてもよい。たとえば、左側に傾斜させることによって「商人」を選択するときに、傾斜角度が大きくなるにつれて、連続的に「商人」の持ち金が多くなるようにする。持ち金は、選択されたキャラクタの種類や特性(上位の選択的パラメータの例)に関する下位の連続的パラメータの例である。主たる選択と付属的な値設定を、一連の操作で行えるので、迅速かつ便利である。
上述の例では、傾斜の方向で職業(キャラクタの種類や特性の例)を選択する例を示したが、傾斜の方向で武器(アイテムの種類や特性の例)を選択するようにしてもよい。さらに、傾斜角度によってその武器(上位の選択的パラメータの例)の小分類(下位の選択的パラメータの例)や大きさ(下位の連続的パラメータの例)のように、さらに詳しい設定をできるようにしてもよい。
ゲーム進行部174は、ゲームが開始される前に限らず、ゲーム中のシーンの切れ目などで、キャラクタの選択的パラメータや連続的パラメータを設定するようにしてもよい。同様に、ゲーム進行部174は、ゲーム中のシーンの切れ目などで、アイテムの選択的パラメータや連続的パラメータを設定するようにしてもよい。たとえば、開戦前に戦場や敵の状況に応じて有利な武器を設定し直すことが考えられる。傾斜の方向で武器として「弓矢」を選択し直し、傾斜角度に応じて「弓の強さ」を調整できるようにしてもよい。傾斜角を大きくして「弓の強さ」を高めれば、体力の消費は大きいが、遠くまで矢を届かせられる。敵との距離が長い戦況であれば、その方が有利である。あるいは、傾斜の方向で武器として「剣」を選択し直し、傾斜角度に応じて「短剣」、「長剣」または「両刃」を調整できるようにしてもよい。たとえば、森の中で戦う状況になれば、木の枝などが邪魔になりにくい「短剣」が有利である。
このようにすれば、ユーザが行う設定に基づいて進行するトレーディングカードゲームに関して、多様な設定を簡単な操作で楽しみながら行えるようになる。
[傾斜方向による方法や装備の選択]
前方傾斜、後方傾斜、右側傾斜および左側傾斜の4つの傾斜方向の選択によって、攻撃方法や守備方法を選択するようにしてもよい。
ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の傾斜方向に対応する攻撃方法や守備方法を選択し、その攻撃方法や守備方法を実施する。たとえば、敵部隊と対峙した状態で、将軍のキャラクタのトレーディングカード200を後方傾斜させた場合に、敵部隊を取り囲み、反対にトレーディングカード200を前方傾斜させた場合に、一機に敵部隊へ攻め込むというように作戦としての攻撃方法を選択することが考えられる。あるいは、敵部隊と対峙した状態で、将軍のキャラクタのトレーディングカード200を後方傾斜させた場合に、矢を仕掛け、反対にトレーディングカード200を前方傾斜させた場合に、槍で突くというように、手段としての攻撃方法を変えることも考えられる。
前方傾斜、後方傾斜、右側傾斜および左側傾斜の4つの傾斜方向の選択によって、攻撃用の装備や守備用の装備(アイテムの例)を選択するようにしてもよい。
このようにすれば、ユーザが選択した方法や装備などによって進行するトレーディングカードゲームに関して、方法や装備などの選択をトレーディングカード200の簡単な操作で迅速に行えるようになる。
[傾斜カードの組み合わせ姿勢]
傾斜させた2枚のトレーディングカード200を組み合わせて、立体的な形をつくったときに、特定のコマンドを発行するようにしてもよい。
図13(A)は、2枚のトレーディングカードによる山型の形態を示す図である。図13(B)は、山型と認められない形態を示す図である。
図13(A)に示すように、たとえば、左手ではキャラクタAのトレーディングカード200を後方に傾斜させ、右手ではキャラクタBのトレーディングカード200を後方に傾斜させ、両トレーディングカード200を向き合わせて上端同士が接する山型を作ったときに、キャラクタAとキャラクタBが合体した合体キャラクタCが出現するようにする。図13(B)に示すように、上端同士が接していない場合は山型として認められない。
具体的な処理としては、ゲーム進行部174が、キャラクタAのトレーディングカード200の向きとキャラクタBのトレーディングカード200の向きが反対であり(向きの差が180度であり)、キャラクタAのトレーディングカード200とキャラクタBのトレーディングカード200がともに後方に傾斜し、キャラクタAのトレーディングカード200とキャラクタBのトレーディングカード200の傾斜角が一致し、キャラクタAのトレーディングカード200とキャラクタBのトレーディングカード200の中心位置の間の距離が、トレーディングカード200の縦長×cos(傾斜角)であるときに、2枚のトレーディングカード200の上端が接した山型が作られたと判定する。図13(A)では、トレーディングカード200の中心位置の間の距離が、トレーディングカード200の縦長×cos(傾斜角)であるが、図13(B)では、トレーディングカード200の中心位置の間の距離が、トレーディングカード200の縦長×cos(傾斜角)より長くなる。
2枚のトレーディングカード200の上端が接した山型が作られたと判定すると、ゲーム進行部174は、キャラクタAおよびキャラクタBに代えて、合体キャラクタCを出現させ、戦場を表現する画面に合体キャラクタCの姿を表示する。ゲーム進行部174は、山型を崩さずにキャラクタAのトレーディングカード200とキャラクタBのトレーディングカード200がスライドされたとき、そのスライドに応じて合体キャラクタCを仮想空間(戦場)で移動させ、画面に戦場を歩く合体キャラクタCの様子を表示する。
ゲーム進行部174は、2枚のトレーディングカード200が横並びで山型をつくったことを検出して、合体キャラクタを出現させてもよい。ゲーム進行部174は、山型に代えて、谷型を検出してもよい。また、ゲーム進行部174は、合体キャラクタの出現に代えて、特定のコマンド(たとえば、二人のキャラクタの周りの敵を倒す衝撃波)を発行させたり、特定のアイテム(たとえば、二人のキャラクタを敵からの攻撃から守る防御シールド)を登場させたりしてもよい。また、ゲーム進行部174は、山型あるいは谷型におけるトレーディングカード200の傾斜角に応じて、選択的パラメータ(たとえば、合体キャラクタCが使用する武器の種類)や連続的パラメータ(たとえば、合体キャラクタCの攻撃力)を設定し、あるいは変更してもよい。
トレーディングカード200のキャラクタの組み合わせに応じて、合体キャラクタを特定するようにしてもよい。合体キャラクタは、元となる2体のキャラクタの特徴をそなえるようにしてもよい。
このようにすれば、複数枚のトレーディングカード200を使用するトレーディングカードゲームに関して、両手のトレーディングカード200を使った特別な操作感を楽しめる。自らがキャラクタの合体を具現化している感覚を味わえる面もある。
[カード傾斜によるコマンド入力]
プレイヤーがトレーディングカード200を傾斜させることによって、その傾斜のさせ方に応じたコマンド入力が行われるようにしてもよい。
たとえば傾斜の方向によって、特定のコマンドが入力される。ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の前方傾斜を検出した場合にコマンドAが入力されたものとして、コマンドAを実行する。同様に、トレーディングカード200の後方傾斜を検出した場合にコマンドBが入力されたものとして、コマンドBを実行する。トレーディングカード200の右側傾斜を検出した場合にコマンドCが入力されたものとして、コマンドCを実行する。さらに、トレーディングカード200の左側傾斜を検出した場合にコマンドDが入力されたものとして、コマンドDを実行する。
あるいは、傾斜角の範囲によって、特定のコマンドが入力される。ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の傾斜角が1~15度の場合にコマンドEが入力されたものとして、コマンドEを実行する。同様に、トレーディングカード200の傾斜角が16~30度の場合にコマンドFが入力されたものとして、コマンドFを実行する。さらに、トレーディングカード200の傾斜角が31~45度の場合にコマンドGが入力されたものとして、コマンドGを実行する。傾斜角範囲の判断は、上述のとおり最大角で行ってもよいし、一定時間保持されたことで行ってもよい。傾斜角の範囲によって定まるコマンドは、傾斜方向に関わらなくてもよいし、傾斜方向によって異なるものでもよい。つまり、傾斜方向と傾斜角の範囲の組み合わせに応じて、コマンドが定まるようにしてもよい。
トレーディングカード200を繰り返し傾斜させることによって、コマンド入力が行われるようにしてもよい。ゲーム進行部174は、複数回の傾斜方向の連続パターンによって、コマンドを特定してもよい。たとえば、ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の前方傾斜を検出し、続けて右側傾斜を検出し、さらに左側傾斜を検出した場合に、コマンドHが入力されたものとして、コマンドHを実行する。また、同様に、トレーディングカード200の後方傾斜を検出し、続けて左側傾斜を検出し、さらに右側傾斜を検出した場合に、コマンドIが入力されたものとして、コマンドIを実行する。このような操作は複雑であるので、特殊な効果を奏するコマンドの入力に用いてもよい。
このようにすれば、トレーディングカードゲームに関して、トレーディングカード200を持ったままいろいろなコマンドを入力することができる。愛着のあるトレーディングカード200を手にしたまま、いろいろな展開を起こすことで強い没入感を味わえるという面もある。
[放ち出しアクションの操作]
離れた場所にいる敵を攻撃する手段として、上述した弓矢や大砲の他に、高いところから岩を転がすことなども考えられる。これらのように損傷効果のある武器を敵に向けて放ち出す場合のアクションを、トレーディングカード200を傾けることによって行うようにしてもよい。
戦場内の丘の上に置かれている岩のところへキャラクタを移動させると、キャラクタは任意の方向に向けて岩を押し出すアクションを行って、岩を下方へ転がすことができる。プレイヤーが丘に相当するカード配置パネル108上の位置にトレーディングカード200をスライドさせると、ゲーム進行部174は、それに合わせて仮想空間のキャラクタを丘の方へ移動させ、その様子を画面に表示する。この段階で、トレーディングカード200はキャラクタの動きに関する操作手段として使用されている。つまり、ゲーム進行部174は、このトレーディングカード200に関して通常のキャラクタ操作モードで動作している。
キャラクタが岩のところへ達すると、ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の向き、傾斜方向および傾斜角によって、岩の押し出しアクションの操作を受け付ける。つまり、キャラクタの位置が岩の周辺領域に含まれる場合には、ゲーム進行部174は、このトレーディングカード200に関して一時的な放ち出し操作モードで動作する。
岩の押し出しアクションは、前方傾斜、後方傾斜、右側傾斜および左側傾斜のいずれで行ってもよい。ゲーム進行部174が所定の傾斜角以上の前方傾斜を検出した場合には、トレーディングカード200の前方に向けて岩が動き出して、その方向へ転がり落ちる。同様に、所定の傾斜角以上の後方傾斜を検出した場合には、トレーディングカード200の後方に向けて岩が動き出して、その方向へ転がり落ちる。所定の傾斜角以上の右側傾斜を検出した場合には、トレーディングカード200の右側に向けて岩が動き出して、その方向へ転がり落ちる。また、所定の傾斜角以上の左側傾斜を検出した場合には、トレーディングカード200の左側に向けて岩が動き出して、その方向へ転がり落ちる。つまり、トレーディングカード200がどちらを向いているかに関わらず、ゲーム進行部174は、テコを使って岩を押し出すイメージで持ち上げられた一辺の反対側へ岩が落ちていくように、仮想空間における岩の動きを制御して、その様子を画面に表示する。
ゲーム進行部174は、傾斜させるときの角速度によって、岩の初速度を決めるようにしてもよい。たとえば、早く傾けたときには、岩の初速度が高く、ゆっくり傾けたときには、岩の初速度が低くなるようにする。これは、ゲーム進行部174が、傾斜の角速度に応じて連続的パラメータを設定する例である。
なお、ゲーム進行部174が、傾斜の角速度のレンジに応じて選択的パラメータを設定するようにしてもよい。たとえば、傾斜の角速度が低い範囲内であれば、転がる岩が赤色になり、傾斜の角速度が中間の範囲内であれば、転がる岩が緑色になり、傾斜の角速度が高い範囲内であれば、転がる岩が青色になる。
岩が動き出したタイミングで、ゲーム進行部174は、放ち出し操作モードからキャラクタ操作モードに戻り、元通りトレーディングカード200の操作でキャラクタを動かせるようにする。
ここでは、岩の押し出しをトレーディングカード200の操作で行う例を示したが、弓矢の放ち出しや大砲の打ち出しに関しても、仮想物体の放ち出しとして同様に処理してもよい。なお、弓矢や大砲のように空中を飛ぶ仮想物体に関しては、傾斜角によって発射角度を決めてもよい。
この例における岩は一種のアイテムであるので、アイテムを操作するという意味で、放ち出し操作モードはアイテム操作モードの例に当たる。この例を一般的にとらえれば、ゲーム進行部174は、キャラクタがアイテムの周辺領域外にいるときには、トレーディングカード200の位置、向き、傾斜方向および傾斜角の全部または一部に基づいてキャラクタの動きを制御するキャラクタ操作モードで動作し、キャラクタがアイテムの周辺領域内にいるときには、トレーディングカード200の位置、向き、傾斜方向および傾斜角の全部または一部に基づいてアイテムの動きを制御するアイテム操作モードで動作することを意味する。
このようにすれば、キャラクタに仮想物体の放ち出しをさせる場面を含むトレーディングカードゲームに関して、簡単な操作で、いろいろな放ち出しの仕方を楽しむことができる。また、キャラクタの制御と放ち出しの制御をスムーズに切り替えることができるという面もある。
[魔法の消費量]
魔法のように特別な効果を発揮させる場合、キャラクタのヒットポイントを消費する。プレイヤーがトレーディングカード200の傾斜させることによって魔法をかける場合に、ゲーム進行部174は、傾斜角に応じてヒットポイントの消費量を決めるようにしてもよい。
プレイヤーがトレーディングカード200を特定方向に傾斜させると、瞬発的な魔法をかけられるものとする。たとえば、ゲーム進行部174が前方傾斜を検出すると、目前の敵兵を吹き飛ばす魔法を演出する。ゲーム進行部174は、検出した傾斜角が大きければ、ヒットポイントの消費量を大きく設定し、魔法がよく効く演出(たとえば、敵兵が遠くまで飛ぶ)を行う。この場合、ヒットポイントが大きく減少する。反対に、ゲーム進行部174は、検出した傾斜角が小さければ、ヒットポイントの消費量を小さく設定し、魔法がわずかしか効かない演出(たとえば、敵兵が近くに飛ぶ)を行う。この場合、ヒットポイントの減少は抑えられる。
あるいは、プレイヤーがトレーディングカード200を特定方向に傾斜させると、継続的な魔法をかけられるものとする。たとえば、ゲーム進行部174が後方傾斜を検出すると、キャラクタが巨大化する魔法を演出する。ゲーム進行部174は、検出した傾斜角が大きければ、時間当たりのヒットポイントの消費量(消費レート)を大きく設定し、魔法がよく効く演出(たとえば、キャラクタの体が2倍の大きさになる)を行う。この場合、ヒットポイントが減少するペースが速い。反対に、ゲーム進行部174は、検出した傾斜角が小さければ、時間当たりのヒットポイントの消費量(消費レート)を小さく設定し、魔法がわずかしか効かない演出(たとえば、キャラクタの体が1.3倍の大きさになる)を行う。この場合、ヒットポイントの減少ペースは抑えられる。
このようにすれば、魔法のように特別な効果を発揮させる場面を含むトレーディングカードゲームに関して、効果の度合いを調整して状況に適した効果の活かし方を選ぶというプレイの多様性が生まれる。
[攻撃範囲の調整]
トレーディングカード200の傾斜角に応じて、弓矢や大砲などの攻撃範囲を調整できるようにしてもよい。
トレーディングカード200の後方傾斜をさせると味方の兵士達が弓矢を射るものとする。ゲーム進行部174は、後方傾斜を検出してその傾斜角に応じて、矢が到達する範囲を特定する。傾斜角は、最大角でもよいし、一定時間保持された角度でもよい。矢が向かう発射方向は、トレーディングカード200の向きによって決定される。傾斜角が小さいと、射程距離が短くなるが、命中精度は高くなる。反対に、傾斜角が大きいと、射程距離が長くなるが、命中精度は低くなる。つまり、ゲーム進行部174は、傾斜角に正相関する(たとえば、正比例する)射程距離を決め、発射方向へ射程距離だけ離れた位置を基準点とする。そして、基準点を中心とし、傾斜角に正相関する(たとえば、正比例する)半径で定まる円の内側を攻撃範囲とする。ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の向きと傾斜角で決まる攻撃範囲を、高輝度や特定色の装飾などで画面に表示する。
プレイヤーは、攻撃範囲が表示された画面を見ながら、トレーディングカード200の向きと傾斜角を調整する。そして、ゲーム進行部174は、後方傾斜を検出した時点から一定時間が経過したタイミングで、味方の兵士達が多数の矢を射るように制御する。放たれた各矢は、攻撃範囲内で均等に分布するように到達する。近くの攻撃範囲では、矢が密に分布するので、矢が刺さる確率が高く敵兵達のダメージは大きい。一方、遠くの攻撃範囲では、矢が疎に分布するので、矢が刺さる確率が低く敵兵達のダメージは小さい。
このようにすれば、広い領域の一部を攻撃する場面を含むトレーディングカードゲームに関して、簡単な操作で攻撃範囲を調整できる。また、飛翔イメージを膨らませて攻撃成果を高める楽しみを味わえるという面もある。
[カード傾斜による表示倍率の調整]
トレーディングカード200を傾けることによって、表示倍率を調整するようにしてもよい。その場合にゲーム進行部174は、傾斜角に応じて表示倍率を決めるようにしてもよい。ゲーム進行部174は、傾斜角に応じて表示対象の範囲を決めるようにしてもよい。一般的に、表示倍率が高ければ、仮想空間における表示対象は大きく映し出されるが、表示される範囲は狭くなる。反対に、表示倍率が低ければ、仮想空間における表示対象は小さく映し出されるが、表示される範囲は広くなる。
ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の前方傾斜を検出すると、傾斜角に正相関する(たとえば、正比例する)ように表示倍率を高めて狭角の視覚イメージを拡大した画面を表示する。たとえば、草むらで虫を観察するように近くを見る場合に前方傾斜させれば、草むらに接近し小さな虫を見つけやすい。平原の動物を観察するように遠くを見る場合に前方傾斜させれば、遠くの景色を拡大し離れている動物を見分けやすい。
ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の後方傾斜を検出すると、傾斜角に負相関する(たとえば、負比例する)ように表示倍率を低めて広角の視覚イメージを縮小した画面を表示する。たとえば、草むらで虫を観察するように近くを見る場合に後方傾斜させれば、後ろに引いた状態で見た草むら全体の画像が表示される。平原の動物を観察するように遠くを見る場合に後方傾斜させれば、平原の左右を広々と見渡した画像が表示される。
このようにすれば、表示倍率の変更が可能な場面を含むトレーディングカードゲームに関して、表示倍率の調整を簡単な操作で行える。また、トレーディングカード200を虫眼鏡や望遠鏡などの道具に見立てて、覗き込む感覚を楽しめるという面もある。
[サッカーのボールコントロール]
サッカーゲームにおいて、カード配置パネル108上のトレーディングカード200を前方へスライドさせることによって、サッカー選手がパスやシュートを蹴り出すようにしてもよい。
たとえば、ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の向きによって目標(味方選手やゴール)の方向を決定し、スライド幅によって目標までの距離を決め、スライドの速さによってボールの速さを決める。スライド幅が短ければ、ゲーム進行部174は、近くの選手へのショートパスを選択し、スライド幅が長ければ、サイドチェンジなどのロングパスやロングシュートを選択する。
また、ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の傾きによってボールの蹴り出しの高さ角度を決めるようにしてもよい。トレーディングカード200のキャラクタであるサッカー選手がボールをキープしている状態あるいはフリーキックのシーンで、ゲーム進行部174が、前方に大きく傾斜したトレーディングカード200が前方へ押し出されたと判定した場合には、蹴り出し高さ角(連続的パラメータの例)が大きい軌道でボールの移動を描く。一方、前方へ押し出されたトレーディングカード200の前方の傾斜角が小さければ、ゲーム進行部174は、蹴り出し高さ角が小さい軌道でボールの移動を描く。
さらに、サッカー選手に向けてボールが飛んできたときに、トレーディングカード200を後方に傾斜させることによってボールをトラッピングするようにしてもよい。
ゲーム進行部174は、飛んでくるボールがサッカー選手の位置に到達するタイミングに合わせて、トレーディングカード200の後方傾斜を検出すると、サッカー選手がトラッピングする画像を生成して表示する。そのとき、後方の傾斜角が1~15度であれば、足でトラッピングし、後方の傾斜角が16~30度であれば、腿(もも)でトラッピングし、後方の傾斜角が31~45度であれば、胸でトラッピングするようにしてもよい。たとえば、低いボールに対しては足でトラッピングすると成功し、高いボールに対しては胸でトラッピングすると成功するようにしてもよい。このときのトラッピングする身体部位は、選択的パラメータの例である。
このようにすれば、球技のシミュレーションを行うトレーディングカードゲームに関して、パス、シュートやトラッピングなどのボール扱いについてのいろいろな指示を、トレーディングカード200の傾きを含む操作で簡単に行うことができる。3次元的なボール扱いをトレーディングカード200の傾きなどで疑似的に行う感覚を味わえるという面もある。
[メッセージの入力]
複数のメンバーがグループをつくり、グループ同士で対戦するゲームの場合、メンバー間でメッセージを送り合う。トレーディングカード200の傾斜操作によって、このときのメッセージを入力するようにしてもよい。
ゲーム進行部174は、画面に4つのメッセージ候補を表示して、その中から仲間のメンバーに送るメッセージを、プレイヤーに選択させるものとする。たとえば、メッセージA「総攻撃を仕掛ける」を上方に表示し、メッセージB「挟み撃ちにする」を右方に表示し、メッセージC「籠城する」を左方に表示し、メッセージD「退却する」を下方に表示する。ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の前方傾斜を検出するとメッセージAを選択して、仲間のメンバーに送る。同様に、右側傾斜を検出するとメッセージBを選択して送り、左側傾斜を検出するとメッセージCを選択して送り、後方傾斜を検出するとメッセージDを選択して送る。
また、トレーディングカード200の傾斜操作によって1文字ずつを入力するようにしてもよい。
図14は、文字入力画面図である。
入力部120の文字入力部(不図示)は、画面に表示されたア行~ワ行の各行に対応する10個のマスにおいて表示されるア段~オ段の文字を候補として、その中から選択された文字を入力する。たとえば、文字入力部は、トレーディングカード200のスライドに応じて移動するカーソルがカ行のマス内に入ったと判定したときに、中心にア段文字「カ」を表示し、左方にイ段文字「キ」を表示し、上方にウ段文字「ク」を表示し、右方にエ段文字「ケ」を表示し、さらに下方にオ段文字「コ」を表示する。そして、文字入力部は、トレーディングカード200が傾斜していなければ、「カ」を候補として強調表示する。同様に、トレーディングカード200が左側傾斜していれば、「キ」を候補として強調表示し、トレーディングカード200が前方傾斜していれば、「ク」を候補として強調表示し、トレーディングカード200が右側傾斜していれば、「ケ」を候補として強調表示し、トレーディングカード200が後方傾斜していれば、「コ」を候補として強調表示する。そして、押しボタンスイッチ114が押されたタイミングで、強調表示されている文字が入力される。
別の文字入力方式として、押しボタンスイッチ114が押される度に、ア行~ワ行を循環して各行を切り替えて表示し、トレーディングカード200の傾斜方向でア段~オ段を選択するようにしてもよい。
このようにすれば、メッセージや文字の入力を伴うトレーディングカードゲームに関して、入力手段としてトレーディングカード200を使えるようになる。手に持っているトレーディングカード200のキャラクタが、仲間へのメッセージを発しているように想像して、連帯的な趣向が高まるという面がある。
[予測タイミングに合わせた傾斜操作]
仮想空間において飛来するオブジェクトの動きに合わせてトレーディングカード200を傾斜させることをゲームの成果として競うようにしてもよい。
たとえば、味方の城の窓をめがけて、敵側から火矢が飛来する場面を想定する。プレイヤーが操作するトレーディングカード200のキャラクタである守備兵は、窓の前のバルコニーに構えて火矢を迎え撃つ。
城の窓は、左側、中央および右側に3つある。次々と放たれる火矢は、3つの窓のいずれかを目掛けて飛んでくる。これに対して、守備兵は、バルコニーを移動して桶の水を撒いて飛来する火矢を消そうとする。火矢が到達する窓の前に立って、火矢が到達するタイミングに合わせて水を撒けば、火矢は消える。ただし、火矢が到達する窓の前にいなければ、火矢を消せない。また、火矢が到達するタイミングとずれて水を撒いても、火矢を消せない。トレーディングカード200を傾斜させる操作で、守備兵が水を撒く動作を行うようにする。
ゲーム進行部174は、自動的な処理として、次々に敵側から火矢を発射させる。具体的には、ゲーム進行部174は、周期的に標的とする窓を決めて、標的とした窓を目掛けて飛来する火矢を画面に表示する。
ゲーム進行部174は、プレイヤーの操作による処理として、スライドしたトレーディングカード200の位置に応じて、守備兵がバルコニー内を移動する様子を画面に表示する。
ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の所定傾斜角を超える前方傾斜を検出すると、守備兵が桶の水を撒く様子を画面に表示する。このタイミングで守備兵の近くに到達する火矢があれば、ゲーム進行部174は、その火矢を画面から消去する。消去されない火矢があれば、ゲーム進行部174は、その火矢が窓の中に入っていく様子を画面に表示する。水を撒いた後に、ゲーム進行部174が、トレーディングカード200の前方傾斜の解消を検出すると、守備兵が桶に水をすくう様子を画面に表示する。つまり、トレーディングカード200を一旦水平にすると、次の前方傾斜で水を撒けるようになる。
火矢を消去させた場合には、ゲーム進行部174は、成功と判断して獲得ポイントを加算する。火矢を消去できなかった場合には、ゲーム進行部174は、失敗と判断して獲得ポイントを減算する。
上述の例は、1枚のトレーディングカード200を使って、一人の守備兵を操る想定で説明したが、複数枚のトレーディングカード200を使うようにしてもよい。3枚のトレーディングカード200を使えば、一人の守備兵にそれぞれ1つの窓を担当させることができる。したがって、プレイヤーは、トレーディングカード200をスライドさせる操作を行わなくてもよい。その代わり、プレイヤーは、飛来する火矢が到達する窓を予測して、その窓を担当する守備兵のトレーディングカード200を選んで傾斜させる操作を行う。
まとめると、ゲーム進行部174は、画面上の特定位置(窓)と特定タイミング(火矢が到達するタイミング)をプレイヤーに予測させる動画を画面に表示する。ゲーム進行部174は、プレイヤーの操作によるトレーディングカード200の傾斜を検出する。また、ゲーム進行部174は、傾斜検出のタイミングが特定タイミングと近く(差分が所定値以下)、且つトレーディングカード200のカード配置パネル108上の位置が画面上の特定位置の近傍(差分が所定値以下)に相当すると判定した場合に、成功と判定する。
また、ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の向きが火矢の飛来方向と一致または近いことを条件に加えて、成功と判定するようにしてもよい。上述の例で言えば、ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の向きに相当する仮想空間の方向へ守備兵が水を撒くようにする。そして、飛んでくる火矢の方にめがけて水を撒くことで、火矢が消えるというルールとする。
なお、火矢と火矢に対して撒かれる水の関係は、投石と投石を打ち返すこん棒の関係などに置き換えてもよい。火矢や投石は、プレイヤーの方へ移動する飛来オブジェクトの例である。水やこん棒は、飛来オブジェクトを特定位置で消滅させる打消しオブジェクトの例である。打消しオブジェクトは、必ずしも表示しなくてよい。
このようにすれば、トレーディングカードゲームにおいて、プレイヤーによる動的な予測力と機敏な反応力を競うゲームを実現できる。また、手に持っているトレーディングカード200のキャラクタに、火矢を消させたり、投石を打ち返させたりなどのクリアアクションを行わせている感覚を楽しめるという面もある。
[傾斜角度・傾斜方向の補助的表示]
検出しているトレーディングカード200の傾斜角度を示す角度グラフや棒グラフなどを画面に表示する傾斜角度表示部(不図示)を設けるようにしてもよい。傾斜角度表示部は、たとえば攻撃アイテムの「矢」、「楯」および「剣」のような各選択的パラメータに対応する角度範囲を識別する部位を表示してもよい。角度グラフであれば、各選択的パラメータに対応する角度範囲を示す弧を、その選択的パラメータに対応する色や装飾などで表す。棒グラフであれば、各選択的パラメータに対応する角度範囲を示す幅を、その選択的パラメータに対応する色や装飾などで表す。そのようにすれば、「もう少しトレーディングカードを起こせば、攻撃アイテムが『楯』から『剣』に切り替わる。」とか、「もっとトレーディングカードを寝かせないと、攻撃アイテムが『楯』から『矢』に切り替わらない。」とか傾斜角の調整の目安が得られるので、プレイヤーが目標とする選択的パラメータを選ぶためのカード傾斜操作をしやすくなる。
また、検出しているトレーディングカード200の傾斜方向を画面に示す傾斜方向表示部(不図示)を設けるようにしてもよい。傾斜方向表示部は、たとえばトレーディングカード200の傾斜方向を示す矢印や三角形などを表示してもよい。矢印や三角形とともに、たとえば職業の「農民」「職人」「商人」あるいは「芸人」などの各選択的パラメータの名称や識別マークを表示してもよい。あるいは、矢印や三角形を省いて、傾斜方向を示す位置関係で選択的パラメータの名称や識別マークを配置して表示し、現在検出されている傾斜方向に対応する名称や識別マークを縁取り、拡大や太文字などで強調表示するようにしてもよい。傾斜方向表示部は、たとえば画面内の基準点の上方に「農民」と表示し、右方に「職人」と表示し、左方に「商人」と表示し、さらに下方に「芸人」と表示する。そして、傾斜方向表示部は、トレーディングカード200の前方傾斜を検出すれば、「農民」を縁取り、拡大や太文字などで強調表示する。同様に、右側傾斜を検出すれば「職人」を強調表示し、左側傾斜を検出すれば「商人」を強調表示し、後方傾斜を検出すれば「芸人」を強調表示する。
このように、検出されている傾斜角度や傾斜方向をわかりやすく補助的に表示すれば、トレーディングカード200の傾斜操作に不慣れなプレイヤーも戸惑うことなく、その操作に馴染みやすくなる。
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。