JP7487581B2 - ロータコアの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ロータコアの製造方法に関する。
従来、ロータコアの磁石収容部に樹脂を注入するとともに注入された樹脂を硬化するロータコアの製造方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、複数の鉄心片が積層された回転子積層鉄心(積層コア)に形成された磁石挿入孔(磁石収容部)に樹脂を注入するとともに、磁石挿入孔に注入された樹脂を硬化させることにより、磁石挿入孔の内部に挿入された永久磁石を固定する樹脂封止方法(ロータコアの製造方法)が開示されている。上記特許文献1の樹脂封止方法では、磁石挿入孔に樹脂を注入する機能と、磁石挿入孔に注入された樹脂を硬化させる機能と、を備えた樹脂封止装置が用いられている。すなわち、上記特許文献1の樹脂封止方法では、同一の樹脂封止装置により、樹脂を注入する工程と樹脂を硬化させる工程とが連続して行われている。
特許第3786946号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されている樹脂封止方法(ロータコアの製造方法)では、上記のように、同一の樹脂封止装置により樹脂を注入する工程と樹脂を硬化させる工程とが連続して行われているので、樹脂を注入する工程および樹脂を硬化させる工程が行われる間、1つの積層コアに対して1つの樹脂封止装置が占有される。この場合、樹脂封止装置において、樹脂を注入する工程が完了した積層コアに対して、樹脂を硬化させる工程が完了するまで、次の積層コアに対する樹脂を注入する工程を開始することができない。このため、上記特許文献1に記載されている樹脂封止方法では、ロータコアを生産する際に、製造時間が比較的長くなるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ロータコアを生産する際に、製造時間を短縮することが可能なロータコアの製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるロータコアの製造方法は、樹脂を注入する装置において、複数の電磁鋼板が積層された積層コアの磁石が収容された磁石収容部に溶融した樹脂を注入する樹脂注入工程と、樹脂注入工程が終了した積層コアを、樹脂を注入する装置から樹脂を硬化する装置に搬送する搬送工程と、樹脂を硬化する装置において磁石収容部に注入された樹脂を硬化する樹脂硬化工程と、を備え、樹脂注入工程が完了した積層コアである第1ワークが樹脂硬化工程にある樹脂硬化期間と、第1ワークよりも後に製造が開始された積層コアである第2ワークが樹脂注入工程にある樹脂注入期間とが、オーバラップするように構成されており、樹脂注入工程に加えて搬送工程および樹脂硬化工程においても、積層コアが治具により押圧された状態で行われるように構成されている
この発明の一の局面におけるロータコアの製造方法では、上記のように、樹脂注入工程が完了した積層コアである第1ワークが樹脂硬化工程にある樹脂硬化期間と、第1ワークよりも後に製造が開始された積層コアである第2ワークが樹脂注入工程にある樹脂注入期間とが、オーバラップするように構成されている。これにより、既に樹脂注入工程が終了した第1ワークに対して樹脂硬化工程を行うのと同時に、第1ワークよりも後に製造が開始された第2ワークに対して樹脂注入工程を行うことができる。すなわち、同一の装置により磁石収容部への樹脂の注入と樹脂の硬化とが連続して行われている場合と比較して、単位時間当たりの積層コアの生産数を向上させることができる。その結果、ロータコアを生産する際に、製造時間を短縮することができる。
本発明によれば、上記のように、ロータコアを生産する際に、製造時間を短縮することができる。
第1実施形態によるロータコアの構成を示す平面図である。 第1実施形態による積層コアが治具により押圧された状態を示す断面図である。 第1実施形態によるロータコアの製造システムの構成を示す概略図である。 第1実施形態によるロータコアの製造方法におけるタイムチャートを示す図である。 第1実施形態による樹脂注入装置の構成を示す断面図である。 第1実施形態によるロータコアの製造方法を示すフロー図である。 第2実施形態によるロータコアの製造システムの構成を示す概略図である。 第2実施形態によるロータコアの製造方法におけるタイムチャートを示す図である。 第1実施形態の第1変形例によるロータコアの製造方法におけるタイムチャートを示す図である。 第1実施形態の第2変形例によるロータコアの製造方法におけるタイムチャートを示す図である。 比較例によるロータコアの製造方法におけるタイムチャートを示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1~図6を参照して、第1実施形態によるロータコア1の製造システム100およびロータコア1の製造方法について説明する。
以下の説明では、ロータコア1の軸方向、径方向および周方向を、それぞれ、Z方向、R方向およびC方向とする。また、軸方向(Z方向)の一方側および他方側を、それぞれ、Z1側およびZ2側とする。また、径方向(R方向)の内側(内径側)および外側(外径側)を、それぞれ、R1側およびR2側とする。なお、ロータコア1の製造システム100では、ロータコア1の軸方向(Z方向)は、上下方向となる。したがって、Z1側およびZ2側を、それぞれ、上方側および下方側とする。
(ロータコアの構造)
まず、図1を参照して、第1実施形態のロータコア1の構造について説明する。
図1に示すように、ロータコア1は、ロータ2に設けられている。ロータ2は、ステータ3と共に、回転電機4の一部を構成する。回転電機4は、たとえば、モータ、ジェネレータ、または、モータ兼ジェネレータである。ロータ2およびステータ3は、それぞれ、円環状に形成されている。そして、ロータ2は、ステータ3の内径側(R1側)にステータ3に対向するように配置されている。すなわち、回転電機4は、インナーロータ型の回転電機として構成されている。また、ロータ2の内径側(R1側)には、シャフト5が配置されている。シャフト5は、ギア等の回転力伝達部材を介して、エンジンや車軸に接続されている。
ステータ3は、ステータコア3aと、ステータコア3aに配置されたコイル3bと、を含む。ステータコア3aは、たとえば、複数の電磁鋼板(珪素鋼板)がZ方向に積層されており、磁束を通過可能に構成されている。コイル3bは、外部の電源部に接続されており、電力(たとえば、3相交流の電力)が供給されるように構成されている。そして、コイル3bは、電力が供給されることにより、磁界を発生させるように構成されている。また、ロータ2およびシャフト5は、コイル3bに電力が供給されない場合でも、エンジン等の駆動に伴って、ステータ3に対して回転するように構成されている。なお、図1では、コイル3bの一部のみを図示しているが、コイル3bは、ステータコア3aの全周に亘って配置されている。
図2に示すように、ロータコア1は、複数の電磁鋼板1aがロータコア1の回転軸線A(図1参照)に沿った方向(Z方向)に積層された積層コア1bを備える。積層コア1bは、電磁鋼板1aの積層方向(Z方向)に延びる貫通孔部からなる磁石収容部1cを有する。図1に示すように、磁石収容部1cは、積層コア1bに複数(32個)設けられている。磁石収容部1cは、ロータコア1のうちの外径側(R2側)の部分に配置されている。なお、図1では、互いに隣接する2つの磁石収容部1cが、V字状に配置されている例を示しているが、磁石収容部1cの配置は、これに限られない。また、図2では、後述する治具60に配置された状態の積層コア1bを示している。
ロータコア1は、磁石1dを備える。磁石1dは、積層コア1bの磁石収容部1cに収容されている。磁石1dは、永久磁石である。磁石1dは、Z方向に直交する断面が長方形形状を有している。たとえば、磁石1dは、磁化方向(着磁方向)が短手方向となるように構成されている。
図2に示すように、ロータコア1は、積層コア1bの磁石収容部1cに充填されている樹脂1eを備える。樹脂1eは、磁石収容部1cに配置されている磁石1dを固定するように磁石収容部1cに充填されている。具体的には、磁石収容部1cに磁石1dが配置(挿入)された状態で、磁石収容部1cに溶融した樹脂1eが注入されるとともに、樹脂1eが硬化されることにより、磁石1dが磁石収容部1cに固定されている。すなわち、回転電機4は、埋込永久磁石型モータ(IPMモータ:Interior Permanent Magnet Motor)として構成されている。
樹脂1eは、第1温度T1(たとえば、50℃)において溶融するとともに第1温度T1よりも高い第2温度T2(たとえば、120℃)において硬化する材料(熱硬化性樹脂)により構成されている。すなわち、樹脂1eは、第1温度T1よりも低い常温において固形状(フレーク状、ペレット状、または、粉状など)である。また、樹脂1eは、常温から加熱されて、樹脂1eの温度が第1温度T1以上になると溶融する。また、樹脂1eは、第1温度T1以上でかつ第2温度T2未満の状態では、溶融状態を維持する(硬化しない)。そして、樹脂1eは、第2温度T2以上の温度に加熱されることにより、硬化する。
樹脂1eは、たとえば、特開2019-89871号公報に記載されているような合成樹脂材が用いられる。すなわち、樹脂1eは、結晶性ラジカル重合性化合物と、無機充填剤と、シランカップリング剤と、ラジカル重合開始剤と、を含む。
(ロータコアの製造システム)
次に、図3および図4を参照して、第1実施形態のロータコア1の製造システム100について説明する。
図3に示すように、ロータコア1の製造システム100は、組立装置10と、予熱用加熱装置20と、樹脂注入装置30と、硬化用加熱装置40と、搬送用コンベア50と、治具60と、を備える。なお、組立装置10と、予熱用加熱装置20と、樹脂注入装置30と、硬化用加熱装置40とは、互いに別個の装置である。また、組立装置10と、予熱用加熱装置20と、樹脂注入装置30と、硬化用加熱装置40とは、互いに離れて配置されている。また、組立装置10と、予熱用加熱装置20と、樹脂注入装置30と、硬化用加熱装置40とは、各々、1台ずつ設けられている。なお、樹脂注入装置30および硬化用加熱装置40は、それぞれ、特許請求の範囲の「樹脂を注入する装置」および「樹脂を硬化する装置」の一例である。
組立装置10は、治具60に積層コア1bを配置する(組み付ける)ように構成されている。また、組立装置10は、磁石1d(図2参照)を磁石収容部1c(図2参照)に配置(挿入)するように構成されている。
予熱用加熱装置20は、積層コア1bを加熱することにより予熱するように構成されている。具体的には、予熱用加熱装置20は、治具60に配置された状態の積層コア1bを、第1温度T1(たとえば、50℃)以上でかつ第2温度T2(たとえば、120℃)未満で加熱することにより予熱するように構成されている。
樹脂注入装置30は、磁石収容部1c(図2参照)に溶融した樹脂1e(図2参照)を注入するように構成されている。具体的には、樹脂注入装置30は、治具60に積層コア1bが配置された状態で、かつ、磁石収容部1cに磁石1d(図2参照)が配置された状態で、磁石収容部1cに、第1温度T1以上で溶融した樹脂1eを注入するように構成されている。すなわち、ロータコア1の製造システム100では、樹脂注入装置30は、樹脂1eを、樹脂1eが硬化しない温度に維持した状態で磁石収容部1cに注入するように構成されている。なお、樹脂注入装置30の詳細な構成については、後述する。
図3に示すように、硬化用加熱装置40は、積層コア1bを加熱することによって、磁石収容部1c(図2参照)に注入された樹脂1e(図2参照)を硬化するように構成されている。具体的には、硬化用加熱装置40は、磁石収容部1cに樹脂1eが注入された状態の積層コア1bを、樹脂1eが硬化する温度である第2温度T2以上で加熱することによって、磁石収容部1cに注入された樹脂1eを硬化するように構成されている。すなわち、ロータコア1の製造システム100では、硬化用加熱装置40は、磁石収容部1cに注入された樹脂1eを、樹脂1eが硬化する温度に加熱することによって硬化するように構成されている。また、硬化用加熱装置40は、磁石収容部1cに注入された樹脂1eを、樹脂注入装置30による樹脂1eの注入が行われる際の樹脂1eの温度よりも高く、かつ、樹脂1eが硬化する温度に加熱することにより硬化するように構成されている。
搬送用コンベア50は、ロータコア1の製造システム100において、積層コア1bを搬送するように構成されている。具体的には、搬送用コンベア50は、組立装置10において治具60に配置されるとともに磁石収容部1c(図2参照)に磁石1d(図2参照)が配置された状態の積層コア1bを、組立装置10から予熱用加熱装置20に搬送する。また、搬送用コンベア50は、予熱用加熱装置20において第1温度T1以上でかつ第2温度T2未満で加熱することにより予熱された状態の積層コア1bを、予熱用加熱装置20から樹脂注入装置30に搬送する。また、搬送用コンベア50は、樹脂注入装置30において磁石収容部1cに第1温度T1以上で溶融した樹脂1eが注入された状態の積層コア1bを、樹脂注入装置30から硬化用加熱装置40に搬送する。
治具60は、ロータコア1の製造システム100において、積層コア1bを押圧した状態を維持するために設けられている。具体的には、組立装置10において治具60に積層コア1bが配置された後、硬化用加熱装置40において磁石収容部1cに注入された樹脂1eの硬化が終了するまで、積層コア1bは、治具60に押圧された状態となっている。すなわち、ロータコア1の製造システム100では、樹脂注入装置30による磁石収容部1cへの樹脂1eの注入時に、積層コア1bを押圧するように構成されている。また、樹脂注入装置30による磁石収容部1cへの樹脂1eの注入が終了した後、樹脂注入装置30による樹脂1eの注入が完了した積層コア1bは、治具60に押圧された状態のまま、硬化用加熱装置40に搬送されるとともに硬化用加熱装置40による樹脂1eの硬化が行われるように構成されている。また、搬送用コンベア50は、治具60と、治具60に押圧された状態の積層コア1bとを、セットで、樹脂注入装置30と硬化用加熱装置40との間で搬送するように構成されている。なお、治具60の詳細な構成については、後述する。
ここで、ロータコア1の製造システム100では、ロータコア1の製造が流れ作業によって行われるように構成されている。すなわち、ロータコア1の製造システム100では、樹脂注入装置30による磁石収容部1c(図2参照)への樹脂1e(図2参照)の注入と、硬化用加熱装置40による樹脂1eの硬化とが、並行して行われるように構成されている。
具体的には、図4に示すように、1台目の積層コア1b(ワーク1)に対する樹脂注入装置30における樹脂1eの注入(以下、「樹脂注入」とする)が終了した後、ワーク1が樹脂注入装置30から取り外される。そして、ワーク1が樹脂注入装置30から取り外されると、即座に2台目の積層コア1b(ワーク2)が樹脂注入装置30に取り付けられる。そして、ワーク1に対する樹脂注入装置30から硬化用加熱装置40への搬送(以下、「搬送」とする)が行われるとともに、ワーク2に対する樹脂注入が行われる。ワーク2は、ワーク1に対する樹脂注入が終了した後、樹脂注入が開始される積層コア1bである。なお、ワーク2は、ワーク1よりも後にロータコア1の製造システム100による製造(組立装置10による治具60への積層コア1bの配置)が開始された積層コア1bである。
ワーク2に対する樹脂注入が終了した後、ワーク2が樹脂注入装置30から取り外される。そして、ワーク2が樹脂注入装置30から取り外されると、即座に3台目の積層コア1b(ワーク3)が樹脂注入装置30に取り付けられる。そして、ワーク2に対する搬送が行われるとともに、ワーク3に対する樹脂注入が行われる。ワーク3は、ワーク2に対する樹脂注入が終了した後、樹脂注入が開始される積層コア1bである。なお、ワーク3は、ワーク2よりも後にロータコア1の製造システム100による製造が開始された積層コア1bである。このように、ロータコア1の製造システム100では、既に樹脂注入が終了した積層コア1bに対して搬送が行われている間に、後からロータコア1の製造システム100による製造が開始された積層コア1bに対する樹脂注入が行われる。
また、ワーク1に対する搬送が終了した後、ワーク2に対する搬送が行われている間に、ワーク1に対する硬化用加熱装置40における樹脂1eの硬化(以下、「加熱硬化」とする)が行われる。すなわち、ワーク1に対する加熱硬化が行われている間に、ワーク3に対する樹脂注入が行われる。このように、ロータコア1の製造システム100では、既に樹脂注入が終了した積層コア1bに対する加熱硬化が行われている間に、後からロータコア1の製造システム100による製造が開始された積層コア1bに対する樹脂注入が行われる。
なお、第1実施形態では、樹脂注入装置30による樹脂注入期間P1の長さtと、硬化用加熱装置40による樹脂硬化期間P2の長さtとは、互いに異なる。また、樹脂硬化期間P2の長さtは、樹脂注入期間P1の長さtよりも長い。具体的には、ロータコア1の製造システム100では、樹脂注入の時間(樹脂注入期間P1の長さt)、搬送の時間(搬送期間P3の長さt)および加熱硬化の時間(樹脂硬化期間P2の長さt)は、それぞれ、10秒、10秒および60秒である。すなわち、加熱硬化の時間は、樹脂注入の時間よりも長い。また、搬送の時間は、樹脂注入の時間と等しい。
これにより、ロータコア1の製造システム100では、ワーク1に対する樹脂注入、搬送および加熱硬化の合計時間(ワーク1の樹脂注入が開始されてから加熱硬化が終了するまでの時間)は、80秒となる。また、ワーク2に対する樹脂注入および搬送は、それぞれ、ワーク1に対する樹脂注入および搬送が終了した直後に行われるものの、ワーク2に対する搬送が終了した時点では、ワーク1に対する加熱硬化が開始されて10秒しか経過していない。したがって、ワーク2に対する加熱硬化は、ワーク1に対する加熱硬化が終了するまで(ワーク1の樹脂注入が開始されてから80秒が経過するまで)待機した後に行われる。これにより、ワーク1に対する樹脂注入が開始されてからワーク2に対する加熱硬化が終了するまでの時間は、ワーク1に対する樹脂注入、搬送および加熱硬化の合計時間(80秒)と、ワーク2に対する加熱硬化の時間(60秒)との和(140秒)となる。同様に、ワーク1に対する樹脂注入が開始されてからワーク3に対する加熱硬化が終了するまでの時間は、ワーク1に対する樹脂注入、搬送および加熱硬化の合計時間(80秒)と、ワーク2に対する加熱硬化の時間(60秒)と、ワーク3に対する加熱硬化の時間(60秒)との和(200秒)となる。したがって、ロータコア1の製造システム100では、ワーク1に対する加熱硬化が終了した後、加熱硬化の時間(60秒)が経過する毎に、後続の積層コア1bの加熱硬化が終了する。
ロータコア1の製造システム100における、ワーク1が樹脂注入を開始されてからX台の積層コア1bの加熱硬化が終了するまでの時間tは、t=(t+t+t)+t(X-1)という関係式で表すことができる。たとえば、ワーク1が樹脂注入を開始されてから120個の積層コア1bの加熱硬化が終了するまでの時間t120は=(10秒+10秒+60秒)+60秒(120-1)=7220秒となる。
(比較例)
次に、図11を参照して、比較例について説明する。
図11に示すように、樹脂注入と加熱硬化とが同一の装置によって連続して行われる場合、ワーク1に対する樹脂注入および加熱硬化が終了した後、ワーク2に対する樹脂注入および加熱硬化が行われる。そして、ワーク2に対する樹脂注入および加熱硬化が終了した後、ワーク3に対する樹脂注入および加熱硬化が行われる。このように、比較例における装置では、積層コア1bに対する樹脂注入および加熱硬化の両方が終了した後、後から製造が開始された積層コア1bに対する樹脂注入および加熱硬化の両方が行われる。なお、比較例では、樹脂注入の時間および加熱硬化の時間を、ロータコア1の製造システム100と同様に、それぞれ、10秒および60秒とした。
これにより、比較例では、ワーク1に対する樹脂注入および加熱硬化の合計時間(ワーク1の樹脂注入が開始されてから加熱硬化が終了するまでの時間)は、70秒となる。また、ワーク2に対する樹脂注入はワーク1に対する加熱硬化が終了した後に開始される。これにより、ワーク1に対する樹脂注入が開始されてからワーク2に対する加熱硬化が終了するまでの時間は、ワーク1に対する樹脂注入および加熱硬化の合計時間(70秒)と、ワーク2に対する樹脂注入および加熱硬化の合計時間(70秒)との和(140秒)となる。同様に、ワーク1に対する樹脂注入が開始されてからワーク3に対する加熱硬化が終了するまでの時間は、ワーク1に対する樹脂注入および加熱硬化の合計時間(70秒)と、ワーク2に対する樹脂注入および加熱硬化の合計時間(70秒)と、ワーク3に対する樹脂注入および加熱硬化の合計時間(70秒)との和(210秒)となる。したがって、比較例では、ワーク1に対する加熱硬化が終了した後、樹脂注入および加熱硬化の合計時間(70秒)が経過する毎に、後続の積層コア1bの加熱硬化が終了する。
比較例における、ワーク1が樹脂注入を開始してからX台の積層コア1bの加熱硬化が終了するまでの時間tX1は、tX1=(t+t)×Xという関係式で表すことができる。たとえば、ワーク1が樹脂注入を開始してから120個の積層コア1bの加熱硬化が終了するまでの時間t120は=(10秒+60秒)×120=8400秒となる。
(ロータコアの製造システムと比較例との対比)
上記のように、ロータコア1の製造システム100は、後続の積層コア1bの加熱硬化が終了するまでの時間が、比較例と比較して1個当たり10秒短くなっている。したがって、ロータコア1の製造システム100は、比較例と比較して、生産性(単位時間当たりの積層コア1bの生産数)を向上させることができる。
(治具の詳細な構成)
次に、図2を参照して、本実施形態の治具60の詳細な構成について説明する。なお、以下の説明では、治具60に積層コア1bが配置された状態の治具60の構造について説明する。
図2に示すように、治具60は、上方プレート61と、押圧ばね62と、押圧プレート63と、下方プレート64と、断熱部材65と、位置決めプレート66と、クランプ部材67と、を含む。なお、上方プレート61、押圧プレート63、下方プレート64および位置決めプレート66の各々は、SUS(ステンレス)製である。
上方プレート61は、Z方向から見て、中心部に貫通孔61aを有し、円環状に形成されている。また、上方プレート61は、複数の樹脂注入孔61bを含む。樹脂注入孔61bは、後述する樹脂注入装置30(図5参照)の金型ノズル122(図5参照)が挿入可能に設けられている。また、樹脂注入孔61bは、Z方向から見て、複数(32個)の磁石収容部1cの各々とオーバラップするように設けられている。
なお、予熱用加熱装置20(図3参照)に設けられる図示しない誘導加熱コイルは、上方プレート61の貫通孔61a、および、押圧プレート63の貫通孔63aの各々を介して、積層コア1bの内径側(R1側)に挿入される。また、硬化用加熱装置40(図3参照)に設けられる図示しない誘導加熱コイルも、同様に、上方プレート61の貫通孔61a、および、押圧プレート63の貫通孔63aの各々を介して、積層コア1bの内径側(R1側)に挿入される。
押圧ばね62は、上方プレート61と押圧プレート63との間に設けられている。押圧ばね62は、Z方向から見て、R方向に沿って、等角度間隔に複数設けられている。治具60では、押圧ばね62は、複数(4つ)設けられている。複数(4つ)の押圧ばね62の各々は、治具60に積層コア1bが配置された状態で、上方側(Z1側)から見て、積層コア1bとオーバラップする位置に設けられている。
押圧プレート63は、積層コア1bの上端面1fに配置されている。押圧プレート63は、押圧ばね62の付勢力により、積層コア1bの上端面1fを押圧するように設けられている。
押圧プレート63は、Z方向から見て、中心部に貫通孔63aを有し、円環状に形成されている。また、押圧プレート63は、複数の樹脂注入孔63bを含む。複数の樹脂注入孔63bは、上方側(Z1側)から見て、上方プレート61の複数の樹脂注入孔61bとオーバラップする位置に設けられている。なお、複数の樹脂注入孔63bは、樹脂注入装置30(図5参照)の金型ノズル122(図5参照)が挿入可能に設けられている。
下方プレート64は、積層コア1bの下端面1gと接触している。すなわち、積層コア1bは、下方プレート64に配置(載置)されている。下方プレート64は、Z方向から見て、中心部に貫通孔64aを有し、円環状に形成されている。また、下方プレート64は、複数(3つ)の切り欠き部64bを含む。複数の切り欠き部64bは、貫通孔64aの内周縁において、略等角度間隔で設けられている。複数の切り欠き部64bの各々には、L字状の位置決め部64cが設けられている。複数の位置決め部64cにより、下方プレート64に対する積層コア1bのR方向およびC方向の位置が決められる。位置決め部64cは、締結ボルト64dにより、下方プレート64に固定(締結)されている。
断熱部材65は、下方プレート64と位置決めプレート66との間に挟まれるように設けられている。断熱部材65は、Z方向から見て、中心部に貫通孔65aを有し、円環状に形成されている。また、断熱部材65は、樹脂製である。
位置決めプレート66は、下方プレート64の下方側(Z2側)に設けられている。位置決めプレート66は、組立装置10、予熱用加熱装置20、樹脂注入装置30および硬化用加熱装置40における治具60の位置決めに用いられる。
クランプ部材67は、U字形状を有しており、上方プレート61と下方プレート64とを挟み込むように設けられている。これにより、上方プレート61と下方プレート64とが、積層コア1bを挟むとともに押圧した状態となる。すなわち、積層コア1bは、治具60に押圧された状態となる。クランプ部材67は、複数(4つ)設けられている。複数(4つ)のクランプ部材67は、Z方向から見て、C方向に沿って、略等角度間隔(すなわち90度間隔)に設けられている。
(樹脂注入装置の詳細な構成)
次に、図5を参照して、樹脂注入装置30の詳細な構成について説明する。
図5に示すように、樹脂注入装置30は、可塑化ユニット110と、金型ノズル122と、を備える。
可塑化ユニット110は、可塑化シリンダ111を含む。可塑化シリンダ111は、筒形状を有する。可塑化シリンダ111の根元側には、樹脂投入口112が設けられている。そして、固形状(フレーク状、ペレット状、または、粉状など)の樹脂1eが、樹脂投入口112から可塑化シリンダ111の内部に投入される。
可塑化シリンダ111の外側には、加熱装置113が設けられている。加熱装置113は、可塑化シリンダ111の内部に投入された樹脂1eの温度が第1温度T1となるように可塑化シリンダ111を加熱する。なお、樹脂1eは、後述するスクリュー部114において回転することによっても加熱される。これにより、可塑化シリンダ111の内部に投入された樹脂1eが溶融するとともに、溶融した状態が維持される。
可塑化シリンダ111の内部には、スクリュー部114が設けられている。スクリュー部114は、図示しない駆動装置によって回転される。スクリュー部114は、筒形状の可塑化シリンダ111の中心軸線を回転軸線として回転する。そして、スクリュー部114が回転されることにより、溶融した樹脂1eが、可塑化シリンダ111の先端側に移送される。
可塑化ユニット110は、マニホールド部115を含む。マニホールド部115は、可塑化シリンダ111の先端側に設けられている。マニホールド部115には、シリンダ116aとピストン116bとを有するプランジャ部116が設けられている。シリンダ116aは、円筒状に形成されている。可塑化シリンダ111の内部とシリンダ116aの内部とは、Z方向に延びるマニホールド内流路115aによって接続されている。シリンダ116aの内部は、Z方向に延びるマニホールド内流路115aの略中央部において、マニホールド内流路115aと接続されている。
ピストン116bは、シリンダ116aの軸方向から見て、円形状の外周面を有する。ピストン116bは、シリンダ116aの内部を、シリンダ116aの軸方向に移動するように構成されている。ピストン116bが後退(マニホールド内流路115aとは反対側に移動)することにより、マニホールド内流路115aを流通する溶融された樹脂1eがシリンダ116aの内部に充填される。また、ピストン116bが前進(マニホールド内流路115a側に移動)されることにより、シリンダ116aに充填された樹脂1eがマニホールド内流路115aに射出される。マニホールド内流路115aに射出された樹脂1eは、マニホールド内流路115aの先端側(Z2側)に設けられる射出ノズル117に向かって流動する。
射出ノズル117は、ピストン116bが前進することによりシリンダ116aからマニホールド内流路115aに射出された樹脂1eを、可塑化ユニット110の下方側(Z2側)に配置された金型部120に供給するように構成されている。なお、マニホールド部115も可塑化シリンダ111と同様に、マニホールド部115の内部に収容された樹脂1eの温度が第1温度T1となるように加熱されている。
マニホールド内流路115aには、射出バルブピン118が設けられている。そして、射出ノズル117から樹脂1eが押し出される時には、射出バルブピン118は、開状態となる。一方、射出ノズル117から樹脂1eが押し出されない時には、射出バルブピン118は、閉状態となる。なお、図5は、射出バルブピン118が閉状態である場合を示している。
金型部120は、可塑化ユニット110から樹脂1eが供給されるように構成されている。金型部120の内部には、樹脂1eが流動する流路121が設けられている。流路121は、積層コア1b側に向かって、複数の金型内流路121aに分岐されている。そして、金型内流路121aの各々と接続された流路121の積層コア1b側(Z2側)の金型ノズル内流路121bは、積層コア1bの磁石収容部1cに対応する位置に設けられている。
金型部120には、金型ノズル122が設けられている。金型ノズル122は、流路121(金型ノズル内流路121b)の先端側に設けられている。磁石収容部1cに樹脂1eを注入する際には、金型部120の(流路121の先端側とは反対側の端部に設けられた)孔部120aに、可塑化ユニット110の射出ノズル117の先端(Z2側の端部)が接続される。そして、金型部120の孔部120aに射出ノズル117の先端が接続された状態で、流路121内に収容された樹脂1eが、射出ノズル117を介してピストン116bによって金型部120に供給される樹脂1eに押し出されることにより、金型部120の金型ノズル122から、積層コア1bの磁石収容部1cに注入される。
また、金型ノズル内流路121bには、金型バルブ123が設けられている。そして、金型ノズル122から樹脂1eが押し出される時には、金型バルブ123は、開状態となる。一方、金型ノズル122から樹脂1eが押し出されない時には、金型バルブ123は、閉状態となる。なお、金型バルブ123は、金型バルブピン123aを含む。金型バルブピン123aが金型ノズル122の先端122aを塞ぐことにより、金型ノズル122からの樹脂1eの射出が塞き止められる。
また、金型部120の外側には、金型温調装置124が設けられている。金型温調装置124は、金型部120の内部に収容された樹脂1eの温度が第1温度T1となるように金型部120を加熱する。
(ロータコアの製造方法)
次に、図6を参照して、ロータコア1の製造方法について説明する。
まず、図6に示すように、積層コア1bを準備する工程(準備工程S1)が行われる。具体的には、複数の電磁鋼板1a(図2参照)が積層されることによって、積層コア1b(図2参照)が形成される。この際、プレス加工によって、電磁鋼板1aの積層方向(Z方向)に延びる磁石収容部1c(図2参照)が積層コア1bに形成される。
次に、組立装置10において、積層コア1bを治具60に配置する工程(配置工程S2)が行われる。具体的には、図2に示すように、まず、下方プレート64に積層コア1bが配置(載置)される。次に、下方プレート64に積層コア1bが配置された状態で、磁石収容部1cに磁石1dが配置される。そして、下方プレート64と上方プレート61とがクランプ部材67によりクランプ(連結)されるとともに、押圧プレート63により積層コア1bの上端面1fが押圧される。なお、ロータコア1の製造方法では、配置工程S2において、治具60に積層コア1bが配置された後、加熱硬化工程S8が終了するまで、積層コア1bは、治具60に押圧された状態となっている。
次に、図6に示すように、積層コア1bを、組立装置10から予熱用加熱装置20に搬送する工程(搬送工程S3)が行われる。
次に、予熱用加熱装置20において、積層コア1bを予熱する工程(予熱工程S4)が行われる。具体的には、予熱用加熱装置20において、治具60(図2参照)に配置された状態の積層コア1b(図2参照)が、第1温度T1以上かつ第2温度T2未満で加熱されることにより予熱される。
次に、積層コア1bを、予熱用加熱装置20から樹脂注入装置30に搬送する工程(搬送工程S5)が行われる。
次に、樹脂注入装置30において、積層コア1bの磁石収容部1cに溶融した樹脂1eを注入する工程(樹脂注入工程S6)が行われる。具体的には、図5に示すように、可塑化シリンダ111の外側に設けられた加熱装置113およびスクリュー部114による回転により、可塑化シリンダ111の内部に投入された樹脂1eの温度が第1温度T1となるように可塑化シリンダ111が加熱される。これにより、可塑化シリンダ111の内部に投入された樹脂1eが溶融される。そして、シリンダ116a内を移動するピストン116bを後退させることにより、可塑化シリンダ111において溶融された樹脂1eがシリンダ116aに充填される。そして、シリンダ116aに充填された樹脂1eが、ピストン116bを前進させることによりシリンダ116aから射出される。そして、シリンダ116aから射出された樹脂1eが、磁石1dが配置された磁石収容部1cに注入される。なお、樹脂注入装置30では、可塑化シリンダ111において溶融された樹脂1eは、磁石収容部1cに注入されるまで、溶融された状態が維持される。すなわち、第1実施形態では、樹脂注入工程S6は、樹脂1eを、樹脂1eが硬化しない温度に維持した状態で磁石収容部1cに注入する工程である。
なお、樹脂注入工程S6では、上述したように、積層コア1bは、治具60に押圧された状態となっている。すなわち、第1実施形態では、樹脂注入工程S6は、積層コア1bが治具60により押圧された状態で、樹脂1eを磁石収容部1cに注入する工程である。
次に、図6に示すように、積層コア1bを、樹脂注入装置30から硬化用加熱装置40に搬送する工程(搬送工程S7)が行われる。なお、搬送工程S7では、樹脂注入工程S6と同様に、積層コア1bは、治具60に押圧された状態となっている。すなわち、第1実施形態では、搬送工程S7は、樹脂注入工程S6が終了した積層コア1bを、治具60に押圧された状態のまま、硬化用加熱装置40に搬送する工程である。また、搬送工程S7は、治具60と、治具60に押圧された状態の積層コア1bとを、セットで、樹脂注入装置30と硬化用加熱装置40との間で搬送する工程である。なお、搬送工程S7は、特許請求の範囲の「搬送工程」の一例である。
次に、硬化用加熱装置40において、磁石収容部1cに注入された樹脂1eを硬化する工程(加熱硬化工程S8)が行われる。具体的には、磁石収容部1cに樹脂1eが注入された状態の積層コア1bが、樹脂1eが硬化する第2温度T2以上で加熱されることによって、磁石収容部1c内の樹脂1eが硬化される。すなわち、第1実施形態では、加熱硬化工程S8は、磁石収容部1cに注入された樹脂1eを、樹脂1eが硬化する温度に加熱することによって硬化する工程である。また、加熱硬化工程S8は、磁石収容部1cに注入された樹脂1eを、樹脂注入工程S6が行われる際の樹脂1eの温度よりも高く、かつ、樹脂1eが硬化する温度に加熱することによって硬化する工程である。なお、加熱硬化工程S8は、特許請求の範囲の「樹脂硬化工程」の一例である。
なお、加熱硬化工程S8では、樹脂注入工程S6および搬送工程S7と同様に、積層コア1bは、治具60に押圧された状態となっている。すなわち、第1実施形態では、加熱硬化工程S8は、治具60に押圧された状態のまま硬化用加熱装置40に搬送された積層コア1bの磁石収容部1cに注入された樹脂1eを硬化する工程である。
上述したように、ロータコア1の製造システム100では、既に樹脂注入(樹脂注入工程S6)が終了した積層コア1bに対して加熱硬化(加熱硬化工程S8)が行われている間に、後からロータコア1の製造システム100による製造が開始された積層コア1bに対する樹脂注入(樹脂注入工程S6)が行われる。すなわち、第1実施形態では、樹脂注入工程S6が完了した積層コア1bである第1ワークが加熱硬化工程S8にある樹脂硬化期間P2と、第1ワークよりも後にロータコア1の製造システム100による製造が開始された積層コア1b(第1ワークよりも後に樹脂注入が開示される積層コア1b)である第2ワークが樹脂注入工程S6にある樹脂注入期間P1とが、オーバラップするように構成されている。
[第2実施形態]
次に、図7および図8を参照して、第2実施形態によるロータコア1の製造システム200およびロータコア1の製造方法について説明する。
図7に示すように、ロータコア1の製造システム200は、第1実施形態と同様に、組立装置10と、予熱用加熱装置20と、樹脂注入装置30と、硬化用加熱装置40と、搬送用コンベア50と、治具60と、を備える。
ここで、ロータコア1の製造システム200では、樹脂注入装置30による樹脂注入期間P1(樹脂1eの注入期間)の長さtおよび硬化用加熱装置40による樹脂硬化期間P2の長さtの各々に応じた台数の樹脂注入装置30および硬化用加熱装置40が設けられている。すなわち、第2実施形態のロータコア1の製造方法では、樹脂注入期間P1の長さtおよび樹脂硬化期間P2の長さtの各々に応じた台数の樹脂注入装置30および硬化用加熱装置40を用いて樹脂1eの注入および樹脂1eの硬化を行うように構成されている。
詳細には、ロータコア1の製造システム200では、1台の樹脂注入装置30に対して、樹脂注入装置30による樹脂注入期間P1の長さtに対する硬化用加熱装置40による樹脂硬化期間P2の長さtの割合に応じた複数台の硬化用加熱装置40が設けられている。すなわち、第2実施形態のロータコア1の製造方法では、1台の樹脂注入装置30に対して、樹脂注入期間P1の長さtに対する樹脂硬化期間P2の長さtの割合に応じた複数台の硬化用加熱装置40を用いて樹脂1eの注入および樹脂1eの硬化を行うように構成されている。
具体的には、ロータコア1の製造システム200では、第1実施形態と同様に、組立装置10と、予熱用加熱装置20と、樹脂注入装置30とは、各々、1台ずつ設けられている。一方、ロータコア1の製造システム200では、第1実施形態と異なり、硬化用加熱装置40が6台設けられている。6台の硬化用加熱装置40を、それぞれ、硬化用加熱装置40a、硬化用加熱装置40b、硬化用加熱装置40c、硬化用加熱装置40d、硬化用加熱装置40eおよび硬化用加熱装置40fとする。
図8に示すように、ロータコア1の製造システム200では、ワーク2に対する搬送が終了した後、硬化用加熱装置40bによるワーク2に対する加熱硬化が、硬化用加熱装置40aによるワーク1に対する加熱硬化と並行して行われる。また、ワーク3に対する搬送が終了した後、硬化用加熱装置40cによるワーク3に対する加熱硬化が、硬化用加熱装置40aによるワーク1に対する加熱硬化および硬化用加熱装置40bによるワーク2に対する加熱硬化と並行して行われる。このように、ロータコア1の製造システム200では、複数(6台)の硬化用加熱装置40によって、複数の積層コア1bの各々に対する樹脂硬化を並行して行うことができる。
また、ロータコア1の製造システム200では、第1実施形態と同様に、樹脂注入期間P1の長さt、搬送期間P3の長さtおよび樹脂硬化期間P2の長さtは、それぞれ、10秒、10秒および60秒である。したがって、樹脂注入期間P1の長さt(10秒)と樹脂注入装置30の台数(1台)との比(商)は、(10/1)である。また、樹脂硬化期間P2の長さt(60秒)と硬化用加熱装置40の台数(6台)との比(商)は、(60/6)(=(10/1))である。すなわち、樹脂注入期間P1の長さtと樹脂注入装置30の台数との比(商)と、樹脂硬化期間P2の長さtと硬化用加熱装置40の台数との比(商)とは、互いに等しい。したがって、ロータコア1の製造システム200では、1個の積層コア1b当たりの樹脂注入期間P1の長さtと樹脂硬化期間P2の長さtとの差が等しい。
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
[実施形態の効果]
上記第1および第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
(ロータコアの製造方法の効果)
上記第1および第2実施形態では、上記のように、樹脂注入工程(S6)が完了した積層コア(1b)である第1ワークが加熱硬化工程(S8)(樹脂硬化工程)にある樹脂硬化期間(P2)と、第1ワークよりも後に製造が開始された積層コア(1b)である第2ワークが樹脂注入工程(S6)にある樹脂注入期間(P1)とが、オーバラップするように構成されている。これにより、既に樹脂注入工程(S6)が終了した第1ワークに対して加熱硬化工程(S8)(樹脂硬化工程)を行うのと同時に、第1ワークよりも後に製造が開始された第2ワークに対して樹脂注入工程(S6)を行うことができる。すなわち、同一の装置により磁石収容部(1c)への樹脂(1e)の注入と樹脂(1e)の硬化とが連続して行われている場合と比較して、単位時間当たりの積層コア(1b)の生産数を向上させることができる。その結果、ロータコア(1)を生産する際に、製造時間を短縮することができる。
また、上記第1および第2実施形態では、上記のように、樹脂注入工程(S6)は、樹脂(1e)を、樹脂(1e)が硬化しない温度に維持した状態で磁石収容部(1c)に注入する工程であり、加熱硬化工程(S8)(樹脂硬化工程)は、磁石収容部(1c)に注入された樹脂(1e)を、樹脂(1e)が硬化する温度に加熱または冷却することによって硬化する工程である。このように構成すれば、樹脂注入工程(S6)において磁石収容部(1c)に樹脂(1e)を注入している間に樹脂(1e)が硬化するのを防止することができるとともに、加熱硬化工程(S8)(樹脂硬化工程)において樹脂(1e)を容易に硬化することができる。その結果、磁石収容部(1c)に収容された磁石(1d)の固定を適切に行うことができる。
また、上記第1および第2実施形態では、上記のように、加熱硬化工程(S8)(樹脂硬化工程)は、磁石収容部(1c)に注入された樹脂(1e)を、樹脂注入工程(S6)が行われる際の樹脂(1e)の温度よりも高く、かつ、樹脂(1e)が硬化する温度に加熱することによって硬化する工程である。このように構成すれば、磁石収容部(1c)に注入された樹脂(1e)を樹脂(1e)が硬化する温度に加熱することによって硬化する構成において、樹脂注入工程(S6)において磁石収容部(1c)に樹脂(1e)を注入している間に樹脂(1e)が硬化するのを防止することができるとともに、加熱硬化工程(S8)(樹脂硬化工程)において樹脂(1e)を容易に硬化することができる。その結果、磁石収容部(1c)に注入された樹脂(1e)を樹脂(1e)が硬化する温度に加熱することによって硬化する構成において、磁石収容部(1c)に収容された磁石(1d)の固定を適切に行うことができる。
また、上記第2実施形態では、上記のように、樹脂注入期間(P1)の長さ(t)と、樹脂硬化期間(P2)の長さ(t)とは、互いに異なり、樹脂注入期間(P1)の長さ(t)および樹脂硬化期間(P2)の長さ(t)の各々に応じた台数の樹脂注入装置(30)(樹脂(1e)を注入する装置)および硬化用加熱装置(40)(樹脂(1e)を硬化する装置)を用いて樹脂(1e)の注入および樹脂(1e)の硬化を行うように構成されている。このように構成すれば、樹脂注入期間(P1)の長さ(t)と樹脂注入装置(30)(樹脂(1e)を注入する装置)の台数との比(商)と、樹脂硬化期間(P2)の長さ(t)と硬化用加熱装置(40)(樹脂(1e)を硬化する装置)の台数との比(商)との差が小さくなる台数の樹脂注入装置(30)(樹脂(1e)を注入する装置)および硬化用加熱装置(40)(樹脂(1e)を硬化する装置)を用いて樹脂(1e)の注入および樹脂(1e)の硬化を行うことができる。これにより、樹脂注入装置(30)(樹脂(1e)を注入する装置)および硬化用加熱装置(40)(樹脂(1e)を硬化する装置)が設けられるシステム(ロータコア(1)の製造システム(100、200))における1個の積層コア(1b)当たりの樹脂注入期間(P1)の長さ(t)と樹脂硬化期間(P2)の長さ(t)との差が小さくなる。その結果、樹脂注入装置(30)(樹脂(1e)を注入する装置)または硬化用加熱装置(40)(樹脂(1e)を硬化する装置)が稼働できない期間を短くすることができるので、単位時間当たりの積層コア(1b)の生産数をより向上させることができる。
また、上記第2実施形態では、上記のように、樹脂硬化期間(P2)の長さ(t)は、樹脂注入期間(P1)の長さ(t)よりも長く、1台の樹脂注入装置(30)(樹脂(1e)を注入する装置)に対して、樹脂注入期間(P1)の長さ(t)に対する樹脂硬化期間(P2)の長さ(t)の割合に応じた複数台の硬化用加熱装置(40)(樹脂(1e)を硬化する装置)を用いて樹脂(1e)の注入および樹脂(1e)の硬化を行うように構成されている。このように構成すれば、樹脂硬化期間(P2)の長さ(t)が樹脂注入期間(P1)の長さ(t)よりも大きい場合に、樹脂注入期間(P1)の長さ(t)と樹脂注入装置(30)(樹脂(1e)を注入する装置)の台数との比(商)と、樹脂硬化期間(P2)の長さ(t)と硬化用加熱装置(40)(樹脂(1e)を硬化する装置)の台数との比(商)との差が小さくなる台数の樹脂注入装置(30)(樹脂(1e)を注入する装置)または硬化用加熱装置(40)(樹脂(1e)を硬化する装置)を設けることができる。
また、上記第1および第2実施形態では、上記のように、樹脂注入工程(S6)は、積層コア(1b)が治具(60)により押圧された状態で、樹脂(1e)を磁石収容部(1c)に注入する工程であり、樹脂注入工程(S6)が終了した積層コア(1b)を、治具(60)に押圧された状態のまま、硬化用加熱装置(40)(樹脂(1e)を硬化する装置)に搬送する搬送工程(S7)をさらに備え、加熱硬化工程(S8)(樹脂硬化工程)は、治具(60)に押圧された状態のまま硬化用加熱装置(40)(樹脂(1e)を硬化する装置)に搬送された積層コア(1b)の磁石収容部(1c)に注入された樹脂(1e)を硬化する工程である。このように構成すれば、樹脂注入工程(S6)が終了した後、加熱硬化工程(S8)(樹脂硬化工程)が終了するまで、積層コア(1b)が治具(60)に押圧された状態を維持することができるので、加熱硬化工程(S8)(樹脂硬化工程)が終了する前に積層コア(1b)の押圧が解除されることに起因して樹脂(1e)が積層コア(1b)の隙間から漏出するのを防止することができる。
また、上記第1および第2実施形態では、上記のように、搬送工程(S7)は、治具(60)と、治具(60)に押圧された状態の積層コア(1b)とを、セットで、樹脂注入装置(30)(樹脂(1e)を注入する装置)と硬化用加熱装置(40)(樹脂(1e)を硬化する装置)との間で搬送する工程である。このように構成すれば、樹脂注入装置(30)(樹脂(1e)を注入する装置)において樹脂注入工程(S6)が完了した積層コア(1b)を、治具(60)に押圧された状態のまま、硬化用加熱装置(40)(樹脂(1e)を硬化する装置)に容易に搬送することができる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、樹脂注入装置30(樹脂を注入する装置)による樹脂1eの注入、積層コア1bの樹脂注入装置30(樹脂を注入する装置)から硬化用加熱装置40(樹脂を硬化する装置)への搬送、および、硬化用加熱装置40(樹脂を硬化する装置)による樹脂1eの硬化を、積層コア1bが治具60により押圧された状態で行うように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、樹脂を注入する装置による樹脂の注入、積層コアの樹脂を注入する装置から樹脂を硬化する装置への搬送、および、樹脂を硬化する装置による樹脂の硬化を、積層コアが押圧されない状態で行うように構成してもよい。また、樹脂を注入する装置による樹脂の注入、積層コアの樹脂を注入する装置から樹脂を硬化する装置への搬送、および、樹脂を硬化する装置による樹脂の硬化の各々を行う際に、積層コアが治具により押圧された状態と積層コアが治具により押圧されない状態との両方を含むように構成してもよい。
また、上記第2実施形態では、樹脂注入期間P1の長さtと樹脂注入装置30(樹脂を注入する装置)の台数との比(商)と、樹脂硬化期間P2の長さtと硬化用加熱装置40(樹脂を硬化する装置)の台数との比(商)とが、互いに等しくなるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、樹脂注入期間の長さと樹脂を注入する装置の台数との比(商)と、樹脂硬化期間の長さと樹脂を硬化する装置の台数との比(商)とが、互いに異なるように構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、樹脂注入期間P1の長さtと樹脂硬化期間P2の長さtとの比率が、10秒:60秒(=1:6)である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、樹脂注入期間の長さと樹脂硬化期間の長さとの比率が、1:6以外であってもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、樹脂硬化期間P2の長さtが、樹脂注入期間P1の長さtよりも長い例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図9に示す上記第1実施形態の第1変形例のように、樹脂硬化期間の長さが、樹脂注入期間の長さよりも短くてもよい。図9に示すように、樹脂硬化期間P2の長さtが、樹脂注入期間P1の長さtよりも短い場合でも、既に樹脂注入が終了した積層コア1bに対する加熱硬化が行われている間に、後から製造が開始された積層コア1bに対する樹脂注入が行われている。なお、上記第1実施形態の第1変形例では、樹脂注入期間P1の長さt、搬送期間P3の長さtおよび樹脂硬化期間P2の長さtを、それぞれ、60秒、10秒および10秒とした。
また、上記第1および第2実施形態では、樹脂注入期間P1の長さtと、樹脂硬化期間P2の長さtとが、互いに異なる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図10に示す上記第1実施形態の第2変形例のように、樹脂硬化期間の長さと、樹脂注入期間の長さとが、互いに等しくてもよい。図10に示すように、樹脂注入期間P1の長さtと樹脂硬化期間P2の長さtとが互いに等しい場合でも、既に樹脂注入が終了した積層コア1bに対する加熱硬化が行われている間に、後から製造が開始された積層コア1bに対する樹脂注入が行われている。なお、上記第1実施形態の第2変形例では、樹脂注入期間P1の長さt、搬送期間P3の長さtおよび樹脂硬化期間P2の長さtを、それぞれ、60秒、10秒および60秒とした。
また、上記第1および第2実施形態では、搬送期間P3の長さtが、樹脂注入期間P1の長さtと等しい例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、搬送期間の長さが、樹脂注入期間の長さと異なっていてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、組立装置10と、予熱用加熱装置20と、樹脂注入装置30(樹脂を注入する装置)とが、各々、1台ずつ設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、組立装置、予熱用加熱装置および樹脂を注入する装置の各々が、複数台設けられていてもよい。また、組立装置の台数と、予熱用加熱装置の台数と、樹脂を注入する装置の台数とが、互いに異なっていてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、樹脂1eとして熱硬化性樹脂を用いて、磁石収容部1cに注入された樹脂1eを、樹脂1eが硬化する温度に加熱することによって硬化するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、樹脂として熱可塑性樹脂を用いて、磁石収容部に注入された樹脂を、樹脂が硬化する温度に冷却することによって硬化するように構成してもよい。
1 ロータコア
1a 電磁鋼板
1b 積層コア
1c 磁石収容部
1d 磁石
1e 樹脂
30 樹脂注入装置(樹脂を注入する装置)
40、40a、40b、40c、40d、40e、40f 硬化用加熱装置(樹脂を硬化する装置)
60 治具
P1 樹脂注入期間
P2 樹脂硬化期間
S6 樹脂注入工程
S7 搬送工程
S8 加熱硬化工程(樹脂硬化工程)
樹脂注入期間の長さ
樹脂硬化期間の長さ

Claims (6)

  1. 樹脂を注入する装置において、複数の電磁鋼板が積層された積層コアの磁石が収容された磁石収容部に溶融した前記樹脂を注入する樹脂注入工程と、
    前記樹脂注入工程が終了した前記積層コアを、前記樹脂を注入する装置から前記樹脂を硬化する装置に搬送する搬送工程と、
    前記樹脂を硬化する装置において前記磁石収容部に注入された前記樹脂を硬化する樹脂硬化工程と、を備え、
    前記樹脂注入工程が完了した前記積層コアである第1ワークが前記樹脂硬化工程にある樹脂硬化期間と、前記第1ワークよりも後に製造が開始された前記積層コアである第2ワークが前記樹脂注入工程にある樹脂注入期間とが、オーバラップするように構成されており
    前記樹脂注入工程に加えて前記搬送工程および前記樹脂硬化工程においても、前記積層コアが治具により押圧された状態で行われるように構成されている、ロータコアの製造方法。
  2. 前記樹脂注入工程は、前記樹脂を、前記樹脂が硬化しない温度に維持した状態で前記磁石収容部に注入する工程であり、
    前記樹脂硬化工程は、前記磁石収容部に注入された前記樹脂を、前記樹脂が硬化する温度に加熱または冷却することによって硬化する工程である、請求項1に記載のロータコアの製造方法。
  3. 前記樹脂硬化工程は、前記磁石収容部に注入された前記樹脂を、前記樹脂注入工程が行われる際の前記樹脂の温度よりも高く、かつ、前記樹脂が硬化する温度に加熱することによって硬化する工程である、請求項2に記載のロータコアの製造方法。
  4. 前記樹脂注入期間の長さと、前記樹脂硬化期間の長さとは、互いに異なり、
    前記樹脂注入期間の長さおよび前記樹脂硬化期間の長さの各々に応じた台数の前記樹脂を注入する装置および前記樹脂を硬化する装置を用いて前記樹脂の注入および前記樹脂の硬化を行うように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のロータコアの製造方法。
  5. 前記樹脂硬化期間の長さは、前記樹脂注入期間の長さよりも長く、
    1台の前記樹脂を注入する装置に対して、前記樹脂注入期間の長さに対する前記樹脂硬化期間の長さの割合に応じた複数台の前記樹脂を硬化する装置を用いて前記樹脂の注入および前記樹脂の硬化を行うように構成されている、請求項4に記載のロータコアの製造方法。
  6. 前記搬送工程は、前記治具と、前記治具に押圧された状態の前記積層コアとを、セットで、前記樹脂を注入する装置と前記樹脂を硬化する装置との間で搬送する工程である、請求項に記載のロータコアの製造方法。
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