JP7487012B2 - 包装袋及び包装袋の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、開封起点部にノッチを備える易開封性の包装袋及びこの包装袋の製造方法に関する。
従来から、食品や食品以外の被包装物を包装する包装袋として、三方袋、合掌袋等の平袋、サイドガゼット部又は底ガゼット部を有するガゼット袋、自立袋(スタンディングパウチ)等が知られている。これらの包装袋は、シートの重ね合わせ部に重ね合わせ部の外縁に沿って接合部(シール部)が形成され、重ね合わせ部の外縁側の所定位置にIノッチ、Vノッチ、Uノッチ、六角ノッチ等の開封用のノッチが形成される。
しかし、包装袋を構成するシートとして、ポリエチレンテレフタレート等の硬質プラスチックシートや、この硬質プラスチックシートを基材とする積層シートや、アルミニウム箔等の金属層を含む積層シートが用いられる場合、シートの剛性が強くなるため、ノッチやこの周囲の接合部のエッジで手指を傷つけるおそれがあり、使用者に一種の不安感を与えることがある。
これを防止するために、ノッチを滑らかな曲線状で構成することにより、ノッチにおける角部を無くすという包装袋が種々提案されている(特許文献1、2)。
特開平9-323754号公報 特開2002-29548号公報
本発明は、これらの包装袋とは異なるアプローチで、ノッチを用いた開封時における安全性を向上する包装袋及び包装袋の製造方法を提供することを課題とするものである。
本発明に係る包装袋は、
袋内部への被包装物の充填口となる開口部と、
シートの重ね合わせ部に重ね合わせ部の外縁に沿って形成される接合部と、
開封起点部とを備え、
接合部は、開口部側に、幅が次第に大きくなりかつ内縁の両端における角部が円弧状である移行部を介して一定の幅を有する部分となる幅広部を備え、
開封起点部は、
幅広部における重ね合わせ部の外縁側の所定位置に形成され、重ね合わせ部の外縁から接合部の幅の35%以上65%以下にかつ3mm以上に設定されて接合部の内縁にまで到達しない第1の幅と、重ね合わせ部の外縁における第2の幅とを有する所定形状の非接合部と、
一端が重ね合わせ部の外縁に到達するように非接合部に形成され、重ね合わせ部の外縁からの長さが非接合部の第1の幅の40%以上に設定されるノッチと、
シートの表面に付されてノッチの位置を示すマークとを備える
包装袋である。
ここで、本発明に係る包装袋の一態様として、
接合部は、微細な凹凸状の表面を有し、
非接合部は、平坦な表面を有する
との構成を採用することができる。
また、本発明に係る包装袋の別の態様として、
非接合部の第2の幅は、非接合部の第1の幅よりも大きい
との構成を採用することができる。
また、本発明に係る包装袋のさらに別の態様として、
ノッチは、非接合部の第2の幅の中間領域に形成される
との構成を採用することができる。
また、本発明に係る包装袋のさらに別の態様として、
ノッチは、1本の切込線からなるIノッチである
との構成を採用することができる。
また、本発明に係る包装袋のさらに別の態様として、
マークは、非接合部と一致するように付される
との構成を採用することができる。
また、本発明に係る包装袋のさらに別の態様として、
一対のシートと、二つ折りにされた折部が上となるようにして一対のシートの下部間に挿入される底ガゼットシートとを備え、左右の側部及び底部の三方が接合され、上部に開口部を有する自立袋であり、
開封起点部は、少なくとも一方の側部接合部の開口部側に設けられる
との構成を採用することができる。
また、本発明に係る包装袋の製造方法は、
長尺で表面に長手方向に等ピッチでマークが付されたシート原反を用意する工程と、
マークを通るシート原反の幅方向の線を境界とし、境界に重なるようにシート原反の幅方向に形成される接合部を含む適宜の接合部をシート原反に形成することにより、包装袋の原形を連続的に形成する工程と、
マークを基準に、境界の両側にノッチを形成する工程と、
包装袋を個別に分離する工程とを備え、
接合部の形成工程は、マークに関連した位置に境界に重なるように非接合部を形成することを含み、
ノッチの形成工程は、非接合部にノッチを形成するものであり、
包装袋の分離工程は、シート原反の幅方向の接合部、非接合部及びマークをそれぞれ2つに分割するものである
包装袋の製造方法である。
以上のように、本発明によれば、非接合部が形成されることにより、開封起点部の剛性が低減される。このため、ノッチやこの周囲のエッジで手指を傷つけるおそれはなくなり、開封時における安全性を向上することができる。また、非接合部は接合部から識別が可能であり、ノッチの位置を簡単に認識することができる。また、マークが付されることにより、ノッチの位置をさらに簡単に認識することができる。このため、ノッチの位置を探ろうとしてノッチやこの周囲のエッジで手指を傷つけるおそれはなくなり、開封時における安全性をさらに向上することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る包装袋の平面図である。 図2は、同包装袋を用いて被包装物を包装した包装体の斜視図である。 図3(a)は、同包装袋(包装体)の開封起点部及びこの周辺部の拡大図である。図3(b)は、同開封起点部であって、マークを省略した状態の拡大図である。 図4は、同包装袋の製造工程の説明図であって、一対のシート原反間に底ガゼットシート原反を介在させた状態で重ね合わせる工程の説明図である。 図5は、同製造工程の説明図であって、底部接合部を形成する工程の説明図である。 図6は、同製造工程の説明図であって、側部接合部及び非接合部を形成する工程の説明図である。 図7は、同製造工程の説明図であって、同包装袋を個別に分離して同包装袋を完成させる工程の説明図である。 図8は、別の製造工程の説明図であって、ノッチを形成する工程の説明図である。 図9は、同別の製造工程の説明図であって、同包装袋を個別に分離して同包装袋を完成させる工程の説明図である。 図10(a)ないし(c)は、それぞれ異なる実施形態に係るノッチを備える開封起点部の拡大図である。 図11(a)ないし(c)は、それぞれ異なる実施形態に係るマークを備える開封起点部の拡大図である。 図12(a)及び(b)は、それぞれ異なる実施形態に係る側部接合部を備える包装袋の平面図である。
以下、本発明に係る包装袋の一実施形態である自立袋について、図面を参酌して説明する。
図1及び図2に示すように、包装袋1は、一対のシート(第1のシート2、第2のシート3)と、底ガゼットシート4とを備えて構成される。シート2,3は、互いに直交する方向の一方が他方よりも長い形状を有する。底ガゼットシート4は、二つ折りにされ、折部(凸部)が上となるようにしてシート2,3の下部間に挿入され、底ガゼット部となるシートである。本実施形態においては、シート2,3は、4つの角部が円弧状に切断(コーナーカット)された矩形状である。なお、以下では、上記一方を「高さ方向」といい、上記他方を「幅方向」という。
シート2,3,4は、可撓性を有しつつ、適度の剛性を有するシートであり、たとえば、最内層に熱溶着性を有する積層シート(ラミネートシート)である。一例として、シート2,3,4は、外面側から順に、基材層、バリア層及び樹脂層を積層して形成される。基材層として、2軸延伸ポリプロピレン、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート等の2軸延伸シート(フィルム)が用いられる。あるいは、延伸方向を幅方向に配した1軸延伸シート(フィルム)であってもよい。バリア層として、ガスバリア性を有するアルミニウム箔等の金属層が用いられる。また、バリア層としては、透明蒸着ポリエチレンテレフタレート、透明蒸着ナイロン、アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート、アルミ蒸着ポリプロピレン、アルミ蒸着低密度ポリエチレン、エチレン-ビニルアルコール共重合体、バリアナイロン(ポリ塩化ビニリデン、メタキシレンアジパミド(MXD-6)、エチレン-ビニルアルコール共重合体)等であってもよい。樹脂層として、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂が用いられる。ただし、シート2,3,4は、公知となっているシートを適宜選択することができるのはいうまでもない。
包装袋1は、左右の側部及び底部の三方が接合され(側部接合部5,5及び底部接合部6)、上部に開口部7を有し、内部に被包装物の収容部を有する。開口部7は、被包装物の充填口となっており、収容部に被包装物が収容(充填)されると、包装袋1の上部は、接合され(上部接合部8)、包装体9となる。
側部接合部5は、シート2,3の左右の側縁部(シート2,3の下部においては、シート2,3の左右の側縁部及び底ガゼットシート4の左右の側縁部)の重ね合わせ部を重ね合わせ部の外縁(シート2,3の側縁)に沿って帯状にヒートシールすることにより形成される。底部接合部6は、二つ折りにされた底ガゼットシート4の一方と第1のシート2の下部、及び、底ガゼットシート4の他方と第2のシート3の下部、のそれぞれ重ね合わせ部を、重ね合わせ部の外縁(シート2,3,4の下縁)に沿ってかつ重ね合わせ部の幅方向の中央部から左右に向かうほど幅広となるようにヒートシールすることにより形成される。
ヒートシールに際しては、ヒートシールバー等のヒートシール工具の表面にフッソ樹脂シートを貼着した状態で行う。フッ素樹脂シートは、微細な凹凸状の表面を有する。このため、ヒートシールに際して、この微細な凹凸がシート2,3の表面に転写される。これにより、側部接合部5及び底部接合部6は、視認可能な微細な凹凸状の表面を有する。なお、微細な凹凸状とは、凹部と凸部が交互に配置され、又は、凹部又は凸部が連続して配置され、かつ、凹部又は凸部が5mm四方(5mm×5mm)内に10個以上の密度で存在することをいう。
側部接合部5の開口部7側は、幅が拡大されて幅広部となっている。図3に示すように、側部接合部5は、シート2,3の左右の側縁部の重ね合わせ部(以下、単に「重ね合わせ部」という。)の外縁(シート2,3の側縁)5aから内縁5bまでの幅W1を有する。幅広部5cは、幅が次第に大きくなる移行部を介し、重ね合わせ部の外縁5aから内縁5dまでの幅W2を有する。幅広部5cの内縁5dは、重ね合わせ部の外縁(幅広部5cを含む側部接合部5の外縁と一致)5aと平行な直線である。移行部の内縁5eは、重ね合わせ部の外縁5aに対して傾斜した線である。内縁5dと内縁5eの角部5fは、角張っておらず、滑らかな曲線状(本実施形態においては、円弧状)である。内縁5bと内縁5eの角部5gも、角張っておらず、滑らかな曲線状(本実施形態においては、円弧状)である。
幅広部5cには、開封起点部10が設けられる。開封起点部10は、左右の幅広部5c,5cに、それぞれ設けられる。左右の開封起点部10は、同じ高さ位置に設けられる。開封起点部10は、非接合部11と、ノッチ12と、マーク13とを備える。
非接合部11は、重ね合わせ部の外縁5a側に形成され、重ね合わせ部の外縁5aから幅広部5cの内縁5dにまで到達しない第1の幅W3と、重ね合わせ部の外縁5aにおける第2の幅W4とを有する。非接合部11は、2つの角部が円弧状にされた矩形状である。すなわち、非接合部11は、重ね合わせ部の外縁5aと直交する方向(開封方向と一致)における幅が第1の幅W3であり、重ね合わせ部の外縁5aに沿った方向(開封方向と直交する方向と一致)における幅が第2の幅W4である矩形状である。
第1の幅W3は、3mm以上、より好ましくは、4mm以上である。本実施形態においては、第1の幅W3は、5mmである。そして、第1の幅W3は、幅広部5cの幅W2の35%以上、より好ましくは、45%以上であり、65%以下、より好ましくは、55%以下である。本実施形態においては、幅広部5cの幅W2は、10mmであり、比率は、50%である。第1の幅W3が小さいと、開封起点部10の剛性の低減効果が生じにくい。逆に、第1の幅W3が大きいと、開封起点部10の剛性の低減効果が向上するが、接合部5に過度に幅が小さい部分が形成され、この部分の接合強度が下がり、場合によっては、密封性が損なわれて被包装物が漏れ出るおそれがある。この観点から、第1の幅W3は、上記のとおりに設定される。
第2の幅W4は、第1の幅W3よりも大きい。第2の幅W4は、4mm以上、より好ましくは、6mm以上である。本実施形態においては、第2の幅W4は、7.5mmである。第2の幅W4が小さいと、開封起点部10の剛性の低減効果が生じにくい。この観点から、第2の幅W4は、上記のとおりに設定される。
非接合部11は、ヒートシールバー等のヒートシール工具の表面が掛からないようにする、具体的には、ヒートシール工具の表面のうち、非接合部11に対応する領域に逃がし部を設けることで、形成することができる。非接合部11は、ヒートシール工具による圧着を受けないため、平坦な表面を有する。非接合部11を取り囲む接合部5(幅広部5c)の表面は、上述したとおり、微細な凹凸状である。したがって、非接合部11とこの周囲の接合部5とは、外観が異なり、非接合部11は、接合部5から識別が可能である。
ノッチ12は、一端が重ね合わせ部の外縁5aに到達するように非接合部11に形成される。ノッチ12は、重ね合わせ部の外縁5aと直交する方向に沿って配置される1本の切込線からなるIノッチである。
ノッチ12は、重ね合わせ部の外縁5aと直交する方向に長さLを有する。長さLは、非接合部11の第1の幅W3の30%以上、より好ましくは、40%以上であり、幅広部5cの幅W2の80%以下、より好ましくは、70%以下である。本実施形態においては、長さLは、2.5mmであり、第1の幅W3に対する比率は、50%、幅W2に対する比率は、25%である。長さLが短いと、開封起点部10の剛性の低減効果が生じにくく、開封性も悪くなる。逆に、長さLが長いと、開封起点部10の剛性の低減効果及び開封性が向上するが、接合部5に過度に幅が小さい部分が形成され、この部分の接合強度が下がり、場合によっては、密封性が損なわれて被包装物が漏れ出るおそれがある。この観点から、長さLは、上記のとおりに設定される。
ノッチ12は、ノッチ12の中心線が非接合部11の第2の幅W4の中間領域に位置するように形成される。より詳しくは、ノッチ12は、ノッチ12の中心線が重ね合わせ部の外縁5aに沿った方向における非接合部11の中心線(第2の幅W4の中心線)Cを中心とする幅W5の領域に位置するように形成される。幅W5は、第2の幅W4の60%以下、より好ましくは、50%以下、さらに好ましくは、30%以下である。
マーク13は、シート2,3の少なくとも一方の表面に付されてノッチ12の位置を示す。マーク13は、シートの表面に印刷により付される。マーク13は、非接合部11と一致する(重なる)ように付される。マーク13は、シートとは異なる着色を有する。非接合部11を取り囲む接合部5(幅広部5c)は、シートの色である。したがって、マーク13とこの周囲の接合部5とは、外観が異なり、マーク13は、接合部5から識別が可能である。
本実施形態に係る包装袋1は、以上の構成からなる。次に、本実施形態に係る包装袋1の製造方法について、図面を参酌して説明する。
<第1の製造方法>
本実施形態に係る包装袋1の第1の製造方法は、トムソン製袋機を用いるものであり、製造工程は、大きく分けると、i)それぞれ長尺でたとえばロール状に巻回された第1のシート原反2X、第2のシート原反3X及び底ガゼットシート原反4Xを用意する工程、ii)図4に示すように、間に底ガゼットシート原反4Xを挿入しつつ、一対のシート原反2X,3Xを重ね合わせて搬送する工程、iii)図5及び図6に示すように、シート原反2X,3X,4Xに適宜ヒートシールして接合部5X,6Xを形成することにより、シート原反2X,3X,4Xを一体化しつつ、包装袋1の原形を連続的に形成する工程、iv)図7に示すように、ノッチ12を形成しつつ、包装袋1を個別に分離する工程を備える。
シート原反2X,3Xの少なくとも一方は、表面(外面)に等ピッチでマーク13Xが印刷等により付されたシート原反が用いられる。マーク13Xは、後述するとおり、各工程の基準となるマークである。また、マーク13Xは、隣り合う包装袋1の原形の境界を中心として線対称に形成されて、隣り合う包装袋1の原形の側縁部に跨るように形成され、包装袋1の分離工程において2つに分割されると、それぞれマーク13となる。
まず、図4に示すように、第1のシート原反2Xの一方の側縁と底ガゼットシート原反4Xの一方の側縁とが一致し、第2のシート原反3Xの一方の側縁と底ガゼットシート原反4Xの他方の側縁とが一致するように、シート原反2X,3X間に底ガゼットシート原反4Xが挿入されつつ、シート原反2X,3Xが内面同士が対向するように重ね合わせられ、この状態でシート原反2X,3X,4Xが長手方向に間欠的に搬送される。
次に、図5に示すように、シート原反2X,3X,4Xの搬送停止タイミングで、ヒートシール工具を用い、各マーク13Xを基準に、底部接合部6Xが順次形成される。次に、図6に示すように、シート原反2X,3X,4Xの搬送停止タイミングで、ヒートシール工具を用い、各マーク13Xを基準に、側部接合部5Xが順次形成される。側部接合部5Xは、隣り合う包装袋1の原形の境界を中心として線対称に形成されて、隣り合う包装袋1の原形の側縁部に跨るようにシート原反2X,3Xの幅方向に形成される横シールであり、包装袋1の分離工程において2つに分割されると、それぞれ側部接合部5となる。なお、底部接合部6Xの形成工程及び側部接合部5Xの形成工程は、どちらが先でもよく、あるいは同時であってもよい。
側部接合部5Xの形成工程において、非接合部(非シール部)も同時に形成される。すなわち、ヒートシール工具の一端側に凹状の逃がし部が設けられ、この逃がし部に対応する箇所が非接合部となる。逃がし部は、マーク13Xの形状及び位置と一致する。このため、非接合部は、隣り合う包装袋1の原形の境界を中心として線対称に形成されて、隣り合う包装袋1の原形の側縁部に跨るように形成され、マーク13Xと一致する(重なる)ように形成され、包装袋1の分離工程において2つに分割されると、それぞれ非接合部11となる。
最後に、図7に示すように、シート原反2X,3X,4Xの搬送停止タイミングで、包装袋1の外周及び左右のノッチ12,12に対応したトムソン刃(全周トムソン刃)を用い、各マーク13Xを基準に、包装袋1が個別に打ち抜かれて分離される。このとき、側部接合部5X、非接合部及びマーク13Xは、それぞれ2つに分割され、それぞれ分割された側部接合部5X、非接合部及びマーク13Xは、側部接合部5、非接合部11及びマーク13となる。このようにして、包装袋1が完成する。
<第2の製造方法>
本実施形態に係る包装袋1の第2の製造方法は、同じくトムソン製袋機を用いるものであり、製造工程は、大きく分けると、i)それぞれ長尺でたとえばロール状に巻回された第1のシート原反2X、第2のシート原反3X及び底ガゼットシート原反4Xを用意する工程、ii)図4に示すように、間に底ガゼットシート原反4Xを挿入しつつ、一対のシート原反2X,3Xを重ね合わせて搬送する工程、iii)図5及び図6に示すように、シート原反2X,3X,4Xに適宜ヒートシールして接合部5X,6Xを形成することにより、シート原反2X,3X,4Xを一体化しつつ、包装袋1の原形を連続的に形成する工程、iv)図8に示すように、ノッチ(切込線)12Xを形成する工程、v)図9に示すように、包装袋1を個別に分離する工程を備える。工程i)ないし工程iii)は、第1の製造方法と同じである。
図8に示すように、シート原反2X,3X,4Xの搬送停止タイミングで、ストレート刃を用い、各マーク13Xを基準に、ノッチ12Xが形成される。ノッチ12Xは、非接合部に形成され、隣り合う包装袋1の原形の境界を中心として線対称に形成されて、隣り合う包装袋1の原形の側縁部に跨るように形成され、包装袋1の分離工程において2つに分割されると、それぞれノッチ12となる。
次に、図9に示すように、シート原反2X,3X,4Xの搬送停止タイミングで、隣り合う包装袋1の原形の境界に対応したトムソン刃(サイドトムソン刃)を用い、各マーク13Xを基準に、包装袋1が個別に分離される。このとき、側部接合部5X、非接合部、ノッチ12X及びマーク13Xは、それぞれ2つに分割され、それぞれ分割された側部接合部5X、非接合部、ノッチ12X及びマーク13Xは、側部接合部5、非接合部11、ノッチ12及びマーク13となる。最後に、分離された包装袋1の4つの角部がコーナーカットされる。このようにして、包装袋1が完成する。なお、包装袋1の分離工程及びコーナーカット工程は、対応したトムソン刃を用いて、同時であってもよい。
以上のように、本実施形態に係る包装袋1によれば、非接合部11が形成されることにより、開封起点部10の剛性が低減される。このため、ノッチ12やこの周囲のエッジで手指を傷つけるおそれはなくなり、開封時における安全性を向上することができる。また、非接合部11は接合部5(幅広部5c)から識別が可能であり、ノッチ12の位置を簡単に認識することができる。また、マーク13が付されることにより、これが目印となって、ノッチ12の位置をさらに簡単に認識することができる。このため、ノッチ12の位置を探ろうとしてノッチ12やこの周囲のエッジで手指を傷つけるおそれはなくなり、開封時における安全性をさらに向上することができる。
また、本実施形態に係る包装袋1によれば、非接合部11が形成されることにより、開封起点部10の剛性が低減される。このため、ノッチ12からの開封性を向上することができる。
なお、シート2,3,4の種類として、各種のものを用意し、ループステフネス測定機を用いて剛性の低減効果を試験したところ、いずれも良好な結果が出た。
(実施例1)
外面側から順に、ポリエチレンテレフタレート(PET)12μm/無延伸ポリプロピレン(CPP)30μmの積層シート(フィルム)
低減効果:1/10ないし1/8
(実施例2)
外面側から順に、ポリエチレンテレフタレート(PET)12μm/低密度ポリエチレン(LLDPE)50μmの積層シート(フィルム)
低減効果:1/18ないし1/16
(実施例3)
外面側から順に、ポリエチレンテレフタレート(PET)12μm/延伸ナイロン(ONY)15μm/低密度ポリエチレン(LLDPE)50μmの積層シート(フィルム)
低減効果:1/9
(実施例4)
外面側から順に、延伸ナイロン(ONY)15μm/低密度ポリエチレン(LLDPE)60μmの積層シート(フィルム)
低減効果:1/10
(実施例5)
外面側から順に、ポリエチレンテレフタレート(PET)12μm/アルミ箔(AL)7μm/無延伸ポリプロピレン(CPP)60μmの積層シート(フィルム)
低減効果:1/13ないし1/12
(実施例6)
外面側から順に、ポリエチレンテレフタレート(PET)12μm/延伸ナイロン(ONY)15μm/アルミ箔(AL)7μm/無延伸ポリプロピレン(CPP)80μmの積層シート(フィルム)
低減効果:1/6ないし1/5
また、本実施形態に係る包装袋1によれば、ノッチ12として、1本の切込線からなり、切除部分が生じないIノッチが用いられる。このため、製造時に大量の切除カスが生じることがなく、スループットを向上することができる。逆に、Iノッチとすることで、ノッチ12の位置を認識することが困難となるが、非接合部11及びマーク13により、この問題を解決することができる。
また、上記実施形態においては、側部接合部5は、上部に幅広部5cを備える。このため、被包装物が液体である場合の被包装物の充填時に液面を維持させながら、包装袋1の自立性を高めることができ、ひいては、商品としての見栄えを向上することができる。
また、上記実施形態においては、幅広部5cの内縁5dは、上下方向に延びる直線である。このため、被包装物の充填時に側部接合部5に掛かる負担を軽減することができる。
また、上記実施形態においては、側部接合部5の内縁に生じる角部5f,5gは、滑らかな曲線状である。このため、電子レンジや湯煎による加熱に伴って包装袋1の内圧が上昇しても、角部5f,5gから接合破壊が生じるのを好適に防止することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
たとえば、上記実施形態においては、非接合部11は、矩形状である。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。非接合部は、種々の形態のものを選択することができる。
また、上記実施形態においては、ノッチ12は、Iノッチである。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。図10(a)に示すように、Vノッチ、図10(b)に示すように、Uノッチ、図10(c)に示すように、六角ノッチ、等、ノッチは、種々の形態のものを選択することができる。
また、上記実施形態においては、開封起点部10は、包装袋1の左右に設けられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。開封起点部は、片方のみ設けられるものであってもよい。また、開封起点部は、側部接合部以外の接合部に設けられるものであってもよい。
また、上記実施形態においては、接合部5及び開封起点部10は、2枚のシート2,3の重ね合わせ部に設けられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。接合部及び開封起点部は、1枚のシートの折返しによる重ね合わせ部に設けられるものであってもよい。
また、上記実施形態においては、マーク13は、非接合部11と一致する(重なる)形態である。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。図11に示すように、マークは、種々の形態のものを選択することができる。
また、上記実施形態においては、側部接合部5は、上部が幅広部5cとなっている。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。図12(a)に示すように、開封起点部10の周辺だけが幅広部となるもの、図12(b)に示すように、接合部の幅が全体的に広いもの、等、接合部は、種々の形態のものを選択することができる。
また、上記実施形態においては、包装袋1は、底ガゼットを有する自立袋である。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。包装袋は、三方袋、合掌袋等の平袋、サイドガゼット部又は底ガゼット部を有するガゼット袋等、種々の公知の包装袋を選択することができる。
また、上記実施形態に係る製造方法においては、側部接合部5X、非接合部、隣り合う包装袋1の原形の境界を挟む一対のノッチ12,12、ノッチ12X及びマーク13Xは、隣り合う包装袋1の原形の境界を中心として線対称に設けられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。これらのいずれか又は全部は、非線対称に設けられるようにしてもよい。
また、「矩形状」、「直線」、「中央部」、「端部」、「側部」、「中心」、「一致」、「平行」、「直交」といった形状、部位又は状態を特定する用語は、本発明において、そのもののほか、それに近いないし類するという意味の「略」の概念も含むものである。
また、本発明において、シートは、厚みによって定められるものではなく、フィルムを含む概念である。
1…包装袋、2…第1のシート、2X…第1のシート原反、3…第2のシート、3X…第2のシート原反、4…底ガゼットシート、4X…底ガゼットシート原反、5…側部接合部、5X…側部接合部、5a…外縁、5b…内縁、5c…幅広部、5d…内縁、5e…内縁、5f…角部、5g…角部、6…底部接合部、6X…底部接合部、7…開口部、8…上部接合部、9…包装体、10…開封起点部、11…非接合部、12…ノッチ、12X…ノッチ、13…マーク、13X…マーク、C…重ね合わせ部の外縁に沿った方向における非接合部の中心線、L…、重ね合わせ部の外縁と直交する方向におけるノッチの長さ、W1…接合部の幅、W2…接合部の幅広部の幅、W3…重ね合わせ部の外縁と直交する方向における非接合部の幅(第1の幅)、W4…重ね合わせ部の外縁に沿った方向における非接合部の幅(第2の幅)、W5…ノッチの形成範囲

Claims (8)

  1. 袋内部への被包装物の充填口となる開口部と、
    シートの重ね合わせ部に重ね合わせ部の外縁に沿って形成される接合部と、
    開封起点部とを備え、
    接合部は、開口部側に、幅が次第に大きくなりかつ内縁の両端における角部が円弧状である移行部を介して一定の幅を有する部分となる幅広部を備え、
    開封起点部は、
    幅広部における重ね合わせ部の外縁側の所定位置に形成され、重ね合わせ部の外縁から接合部の幅の35%以上65%以下にかつ3mm以上に設定されて接合部の内縁にまで到達しない第1の幅と、重ね合わせ部の外縁における第2の幅とを有する所定形状の非接合部と、
    一端が重ね合わせ部の外縁に到達するように非接合部に形成され、重ね合わせ部の外縁からの長さが非接合部の第1の幅の40%以上に設定されるノッチと、
    シートの表面に付されてノッチの位置を示すマークとを備える
    包装袋。
  2. 接合部は、微細な凹凸状の表面を有し、
    非接合部は、平坦な表面を有する
    請求項1に記載の包装袋。
  3. 非接合部の第2の幅は、非接合部の第1の幅よりも大きい
    請求項1又は請求項2に記載の包装袋。
  4. ノッチは、非接合部の第2の幅の中間領域に形成される
    請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の包装袋。
  5. ノッチは、1本の切込線からなるIノッチである
    請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の包装袋。
  6. マークは、非接合部と一致するように付される
    請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の包装袋。
  7. 一対のシートと、二つ折りにされた折部が上となるようにして一対のシートの下部間に挿入される底ガゼットシートとを備え、左右の側部及び底部の三方が接合され、上部に開口部を有する自立袋であり、
    開封起点部は、少なくとも一方の側部接合部の開口部側に設けられる
    請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の包装袋。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の包装袋の製造方法であって、
    長尺で表面に長手方向に等ピッチでマークが付されたシート原反を用意する工程と、
    マークを通るシート原反の幅方向の線を境界とし、境界に重なるようにシート原反の幅方向に形成される接合部を含む適宜の接合部をシート原反に形成することにより、包装袋の原形を連続的に形成する工程と、
    マークを基準に、境界の両側にノッチを形成する工程と、
    包装袋を個別に分離する工程とを備え、
    接合部の形成工程は、マークに関連した位置に境界に重なるように非接合部を形成することを含み、
    ノッチの形成工程は、非接合部にノッチを形成するものであり、
    包装袋の分離工程は、シート原反の幅方向の接合部、非接合部及びマークをそれぞれ2つに分割するものである
    包装袋の製造方法。
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