JP7486865B1 - 防刃・防刺・防弾用具 - Google Patents
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Abstract
Description
このような防刃チョッキや防弾チョッキを示す従来技術として、例えば、下記特許文献1、2がある。
しかしながら、上記特許文献1に示すような従来の防刃チョッキにおいては、防刃性能のみを備えるものが一般的で、防弾性能も兼ね備えるものの開発が望まれるところであった。また、同様に、上記特許文献2に示すような従来の防弾チョッキにおいては、防弾性能のみを備えるものが一般的で、防刃性能も兼ね備えるものの開発が望まれるところであった。
特に、学校や病院、会社などの施設内や電車、バスなどの交通機関内で、或いは通勤や通学時に不測の事故や事件に遭遇することを想定する場合においては、防刃性能と防弾性能を併せ持った防御具の開発が期待されるところである。
また、本発明の防刃・防刺・防弾用具は、上記第1の特徴に加えて、第1の防御体は、複数個の収納空間形成体を備えると共に、隣接する前記収納空間形成体の全ての収納空間が所定幅の重なり部分を有するように複数個の前記収納空間形成体を並列配置させてあることを第2の特徴としている。
また、本発明の防刃・防刺・防弾用具は、上記第1の特徴に加えて、収納用袋は、ポリアミド系樹脂製のシート状部材で形成されていることを第3の特徴としている。
また本発明の収納空間形成体の製造方法は、請求項1に記載の防刃・防刺・防弾用具における第1の防御体を構成する収納空間形成体の製造方法であって、ポリアミド系樹脂製の矩形状の1枚のシート状部材を準備し、隣接する1対の折り目線の幅が大小交互に繰り返すと共に、大きい方の隣接する1対の折り目線の幅がプレートの幅の105%~125%の長さであり、小さい方の隣接する1対の折り目線の幅がプレートの幅の30%~60%の長さである前記シート状部材の長手方向に並列配置されている複数の折り目線に沿って前記シート状部材を蛇腹折りにすると共に、前記シート状部材のうら面側に配置される折り目線の近傍位置においては、折り畳まれた状態にある前記シート状部材を折り目線の全長にわたって縫着し、前記シート状部材のおもて面側に配置される折り目線の近傍位置においては、折り畳まれた状態にある前記シート状部材とその下方に重なる前記シート状部材とを折り目線の全長にわたって縫着することで、前記シート状部材のうら面側に複数個の収納空間を区切る仕切用片を形成する仕切用片形成工程と、前記仕切用片形成工程により複数個の仕切用片が形成されたシート状部材の所定領域を、仕切用片と直交する折り返し線にてシート状部材のうら面側に折り返すと共に、前記折り返し線の近傍位置において折り返された状態にある前記シート状部材を折り返し線の全長にわたって縫着する折り返し縫着工程とをこの順番で備えることを第4の特徴としている。
また、本発明の第1の防御体の製造方法は、請求項1に記載の防刃・防刺・防弾用具を構成する第1の防御体の製造方法であって、請求項4に記載の収納空間形成体の製造方法により製造された収納空間形成体を用いて、所定領域が折り返された状態にあるシート状部材における、折り返された折り返し領域の折り返し線と対向する側の先端部近傍位置を前記折り返し線と略同じ長さだけ基台と縫着すると共に、前記折り返し領域を除く前記シート状部材の前記折り返し線と直交する両端辺のうち、蛇腹折りにされた状態にある前記シート状部材の下層側に配置される端辺を前記端辺の全長にわたって前記基台と縫着することで前記収納空間形成体を前記基台に仮固定させる収納空間仮固定工程と、前記基台と縫着された状態にある端辺側の収納空間から順番に、各収納空間にプレートを収納すると共に、各仕切用片の前記端辺と平行な側の先端部近傍位置を、前記折り返し領域の前記折り返し線と対向する側の先端部近傍位置まで前記基台と縫着させ、且つ前記折り返し領域を除く前記シート状部材の前記折り返し線と直交する両端辺のうち、蛇腹折りにされた状態にある前記シート状部材の上層側に配置される端辺を前記上層側に配置される端辺の全長にわたって前記基台と縫着することで、各収納空間に複数のプレートを収納させるプレート収納工程と、前記折り返し領域を除く前記シート状部材の前記折り返し線と対向する側の先端部近傍位置を前記折り返し線と略同じ長さだけ前記基台と縫着すると共に、折り返し線の近傍位置を折り返し線の全長にわたって前記基台と縫着することで、前記収納空間形成体を前記基台に完全に固定する収納空間形成体固定工程とをこの順番で備えることを第5の特徴としている。
なお、この防刃・防刺・防弾用具は、例えば、いわゆる防刃チョッキや防弾チョッキに内蔵させて使用することは勿論のこと、子供用のリュックサックやランドセルに内蔵させたり、女性用のショルダーバックやビジネスバック等に内蔵させたり等、各種用途に合わせて使用することもできるものである。
また、図1~図4、図7、図8における破線は縫着線を示すものとし、図2(b)、図5、図6(a)においては説明の便宜上、縫着線を図示しないものとする。
具体的には、防刃及び防刺の観点においては、ナイフやアイスピック等の刃物の初速を落として刃物の力を止めるためのものである。
また、防弾の観点においては、弾丸の初速を落として弾丸の形状を偏平に崩すことで、弾丸の面積を増大させるためのものである。
この第1の防御体10は、図2、図3に示すように、基台11と、収納空間形成体12と、プレート13とで構成される。
また、防刃及び防刺の観点においては、ナイフやアイスピック等の刃物の初速を落として刃物の力を止めるための補助的な役割を果たすものである。
また、防弾の観点においては、弾丸の初速を落として弾丸の形状を偏平に崩すことで、弾丸の面積を増大させるための補助的な役割を果たすものである。
本実施形態においては、矩形状の上方側の左右端部が切り落とされた六角形のシート状部材で基台11を形成する構成としてある。
また、シート状部材としては、厚みが5mm程度のポリアミド系樹脂製の1枚のシート状部材を用いる構成としてある。
更に、ポリアミド系樹脂製の1枚のシート状部材の収納空間形成体12を縫着させる面には、滑り止め機能を付加させることが可能な樹脂コーティングを施してある。
なお、基台11の形状、大きさ、厚みは本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。
また、防刃及び防刺の観点においては、ナイフやアイスピック等の刃物の初速を落として刃物の力を止めるための補助的な役割を果たすものである。
また、防弾の観点においては、弾丸の初速を落として弾丸の形状を偏平に崩すことで、弾丸の面積を増大させるための補助的な役割を果たすものである。
具体的には図4に示すように、6枚のプレート13(第1のプレート13a、第2のプレート13b、第3のプレート13c、第4のプレート13d、第5のプレート13e、第6のプレート13f)をそれぞれ個別に収納可能な第1の収納空間12a、第2の収納空間12b、第3の収納空間12c、第4の収納空間12d、第5の収納空間12e、第6の収納空間12fの6個の収納空間を備えると共に、隣接する収納空間が図5(a)に斜線で示す所定幅の重なり部分Cを有するように複数個の収納空間(12a~12f)を水平方向に並列配置させてある。
また、本実施形態においては、第2の収納空間12b~第5の収納空間12eの4つの収納空間は同じ大きさとし、第1の収納空間12a及び第6の収納空間12fの2つの収納空間は基台11との縫着代を確保する目的で前記4つの収納空間よりも横幅がやや大きい構成としてある。
なお、収納空間形成体12の収納空間の形状、大きさ、数は本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。
また、上記「所定幅」とは、図4(a)に示すプレート13の横幅の15%~50%程度の長さであることが望ましい。より具体的にはプレート13の横幅が6cm程度である場合においては、所定幅は1cm~2.5cm程度であることが望ましい。
また図3、図4に示すように、本実施形態における収納空間形成体12は、各収納空間を区切る仕切用片Sを備えると共に、収納空間に収納されたプレート13の落下を防ぐための底を形成するための折り返し部Rを備える。なお、詳しくは図示していないが、この折り返し部Rは、収納空間形成体12の下方領域を一体的にうら面側に折り返すことで形成されている。なお、「うら面」とは、収納空間形成体12において、プレート13と接する側をうら面、プレート13と接しない側をおもて面とするものである。
具体的には図2(b)、図3に示すように、1段目の収納空間形成体12g、2段目の収納空間形成体12h、3段目の収納空間形成体12i、4段目の収納空間形成体12jの4個の収納空間形成体を備えると共に、隣接する収納空間形成体12の全ての収納空間(12a~12f)が図5(b)に斜線で示す所定幅の重なり部分Dを有するように複数個の収納空間形成体(12g~12j)を鉛直方向に並列配置させてある。
なお、ここにおける「所定幅」とは、図4(a)に示すプレートの縦幅の9%~50%程度の長さであることが望ましい。より具体的にはプレートの縦幅が10.7cm程度である場合においては、所定幅は1cm~3cm程度であることが望ましい。
更に、詳しくは図示していないが、4個の収納空間形成体(収納空間形成体12g~収納空間形成体12j)において、1段目の収納空間形成体12gは周囲四辺が基台11に縫着されている。また、2段目の収納空間形成体12hは1段目の収納空間形成体12gに収納されるプレート13と重なる下辺を除く三つの辺が基台11に縫着されている。また、3段目の収納空間形成体12iは2段目の収納空間形成体12hに収納されるプレート13と重なる下辺を除く五つの辺が基台11に縫着されている。そして、4段目の収納空間形成体12jは、3段目の収納空間形成体12iに収納されるプレート13と重なる下辺を除く五つの辺が基台11に縫着されている。このような構成とすることで、2段目の収納空間形成体12hの下辺の位置、3段目の収納空間形成体12iの下辺の位置、4段目の収納空間形成体12jの下辺の位置で第1の防御体10を後方側にある程度屈曲可能な構成となっている。なお、ここで「後方」とは、図2に示す第1の防御体10において、基台11の側を後方、収納空間形成体12の側を前方とするものである。
また、ポリアミド系樹脂製の1枚のシート状部材のうら面には、滑り止め機能を付加させることが可能な樹脂コーティングを施してある。
また、防弾の観点においては、弾丸の初速を落として弾丸の形状を偏平に崩すことで、弾丸の面積を増大させるための主たる役割を果たすものである。
本実施形態においては、プレート13として、バネ性を有する縦長の略矩形状のマンガン鋼を用いる構成としてある。また図3、図4(a)に示すように、各角部が湾曲形状で面取りされたプレート13を用いる構成としてある。
より具体的には、縦の長さが10.7cm程度、横の長さが6cm程度、厚みが0.5mm程度のバネ性を有するマンガン鋼(バネ性を有する金属製プレート)を用いる構成としてある。勿論、プレート13の素材、形状、大きさ、厚みは本実施形態のものに限るものではなく、適宜変更可能である。例えば、プレート13の素材については、マンガン鋼に限るものではなく、他のバネ性を有する金属製のプレートを用いる構成としてもよい。或いは、金属製のプレートに替えて合成樹脂製のプレート(例えば、ガラス繊維強化プラスチック製のプレートや炭素繊維強化プラスチック製のプレート)やセラミックス製のプレートを用いる構成や、金属製のプレート、合成樹脂製のプレート、セラミックス製のプレートの少なくとも何れか2種を組み合わせる構成としてもよい。但し、セラミックス製のプレートを用いる場合においては、プレート13の屈曲性が低減することを考慮する必要がある。従って、第1防御体10の防護性能や重さ、屈曲性を考慮すると、素材はマンガン鋼で、厚みは0.5mm程度のものを用いる構成とすることが望ましい。
なお、図3に示すように、複数枚のプレート13の大きさ、形状は、1段目の収納空間形成体12g、2段目の収納空間形成体12h、3段目の収納空間形成体12i、4段目の収納空間形成体12jのそれぞれの収納空間に10mm以下程度の隙間が生じる範囲で収納可能な大きさ、形状としてある。
本実施形態においては、緩衝体20として、基台11と同一形状、同一大きさの難燃スポンジを用いる構成としてある。
なお、緩衝体20の厚みは5mm程度とすることが望ましいが、このような構成に限るものではなく、緩衝体20の厚み、形状、大きさ、数、素材は適宜変更可能である。
この第2の防御体30は、図6(b)に示すように、合成樹脂層31と、防水シート層32とで構成される。
また、防弾の観点においては、第1の防御体10で面積が大きくなった弾丸を包み込んで弾丸が防刃・防刺・防弾用具1を貫通することを防ぐためのものである。
更に、防刃・防刺・防弾用具1におけるクッション材となるものである。
本実施形態においては図6(b)、図6(c)に示すように、合成樹脂層31として、超高分子量ポリエチレン製のシート状の織物を複数枚積層してなる超高分子量ポリエチレン層31aと、ウレタン樹脂で形成されるシートからなるウレタン樹脂層31bとを備える構成としてある。
なお、超高分子量ポリエチレン層31aとしては、単一方向に編まれた、厚みが0.3mm程度の超高分子量ポリエチレン製のシート状の織物を26枚積層させる構成としてある。なお、超高分子量ポリエチレン製のシート状の織物の積層数は本実施形態のものに限るものではないが、単一方向に編まれた、厚みが0.3mm程度の超高分子量ポリエチレン製のシート状の織物を用いる場合においては、防護性能、重量、価格等を考慮すれば、20枚~26枚程度が望ましく、より好適には26枚であることが望ましい。
また、ウレタン樹脂層31bとしては、3mm程度の厚みのウレタン樹脂で形成されるシートを用いることが望ましい。勿論、ウレタン樹脂層31bの厚みはこのような構成に限るものではなく、適宜変更可能である。
なお、本実施形態においては、ホットメルト接着剤を用いて、汎用されている所定厚み(本実施形態においては0.5mm程度)の防水シート材を合成樹脂層31の全面に被覆させる構成としてある。
本実施形態においては、基台11及び収納空間形成体12と同じポリアミド系樹脂製のシート状部材を用いて、収納用袋40のおもて面を構成する第1のパーツ、うら面を構成する第2のパーツ、おもて面と裏面とを連結すると共に、側面及び上面を構成する第3のパーツ、かぶせ蓋を構成する第4のパーツを形成し、これら4つのパーツを縫着することで、第1の防御体10、緩衝体20、第2の防御体30よりも一回り大きい形状の収納用袋40を形成する構成としてある。
また、細長い帯状部材で形成される側面及び上面を構成する第3のパーツの短手方向の幅を第1の防御体10、緩衝体20、第2の防御体30の3つを重ね合わせた厚みと同程度かやや大きい厚みとしてある。
また図1に示すように、この収納用袋40は、下面に開口41を備え、この開口41から第1の防御体10、緩衝体20、第2の防御体30を入れて、本体及びかぶせ蓋のそれぞれに取り付けてあるマジックテープ(登録商標)Mでかぶせ蓋を閉じる構成としてある。
更に、収納用袋40の内面には、滑り止め機能を付加させることが可能な樹脂コーティングを施してある。
図3を参照して、所定形状、所定大きさのポリアミド系樹脂製のシート状部材で形成される基台11を準備する。
次に、仕切用片形成工程により、図7(a)に示すポリアミド系樹脂製の横長な矩形状の1枚のシート状部材120を準備する。
なおこの際、図7(a)に示すように、シート状部材120の長手方向の左側の端辺からプレート13の横幅の105%~125%程度の長さの間隔を空けて1番目のうら面の折り目線Bを設け、この1番目のうら面の折り目線Bからシート状部材120の右側の端辺に向かって、プレート13の横幅の30%~60%程度の長さである小さい方の1対の隣接する折り目線、プレート13の横幅の105%~125%の長さである大きい方の1対の隣接する折り目線が交互に続くように各折り目線を設け(本実施形態においては、おもて面の折り目線Fを5本、うら面の折り目線Bを4本設け)、最も右端の折り目線(本実施形態においては最も右側に配置されるおもて面側の折り目線F)からプレート13の横幅の105%~125%の長さの間隔を空けてシート状部材120の長手方向の右側の端辺を設けることが可能な1枚のシート状部材120を準備することが必要である。
本実施形態においては、図7(a)に示すように、シート状部材120の左側の端辺から1番目のうら面の折り目線Bまでの幅Hがプレート13の横幅の127%程度の長さ(7.6cm程度の長さ)で、小さい方の1対の隣接する折り目線の幅であるうら面の折り目線Bからおもて面の折り目線Fまでの幅Eがプレート13の横幅の60%程度の長さ(3.6cm程度の長さ)で、大きい方の1対の隣接する折り目線の幅であるおもて面の折り目線Fからうら面の折り目線Bまでの幅Gがプレート13の横幅の118%程度の長さ(7.1cm程度の長さ)で、最も右側に配置されるおもて面側の折り目線Fからシート状部材120の右側の端辺までの幅Iがプレート13の横幅の127%程度の長さ(7.6cm程度の長さ)であるシート状部材120を準備する。
その後、シート状部材120のうら面の折り目線Bの近傍位置においては、折り畳まれた状態にあるシート状部材120をうら面の折り目線Bの全長にわたって縫着し、シート状部材120のおもて面の折り目線Fの近傍位置においては、折り畳まれた状態にあるシート状部材120とその下方に重なるシート状部材120とをおもて面の折り目線Fの全長にわたって縫着することで、シート状部材120のうら面側に複数個の収納空間を区切る仕切用片Sを形成する。なお、ここで及び以下において「近傍位置」とは、各折り目線から2mm程度離れた位置を意味するものである。
これにより、シート状部材120が図7(d)に示す状態となる。
そして、その状態で折り返し線Lの近傍位置において折り返された状態にあるシート状部材120を折り返し線Lの全長にわたって縫着する。
これにより、シート状部材120が図8(b)に示す状態となり、1段目の収納空間形成体12gが形成される。
なお、2段目の収納空間形成体12h、3段目の収納空間形成体12i、4段目の収納空間形成体12jも1段目の収納空間形成体12gの製造方法と同様の製造方法により製造できることから、以下詳細な記載は省略するものとする。
なお、ここで及び下記において「略同じ長さ」とは、基準となる長さの98%~100%程度の長さのことを意味するものである。
なお、2段目の収納空間形成体12h、3段目の収納空間形成体12i、4段目の収納空間形成体12jにおいては、各収納空間形成体よりも下段に配置される収納空間形成体に収納されるプレート13との重なり部分があることで、折り返し領域Tを除くシート状部材の折り返し線Lの図8(b)に太線で示す近傍位置Zを基台11に縫着させることができないことから、この部分の縫着工程は割愛することになる。
以上の工程により、第1の防御体10が製造される。
そして、ウレタン樹脂層31bを構成する所定形状、所定大きさ、所定厚みのウレタン樹脂で形成されるシートを準備する。なお、本実施形態においては、ウレタン樹脂で形成されるシートの形状、大きさは超高分子量ポリエチレン製のシート状の織物と同じで、厚みは3mm程度のものを準備する。
その後、超高分子量ポリエチレン層31a及びウレタン樹脂層31bの全面を被覆できる大きさで、厚みが0.5mm程度の汎用されている防水シート材を準備する。
そして、図6(b)を参照して、ウレタン樹脂層31bの上に超高分子量ポリエチレン層31aを積層させた状態で、ホットメルト接着剤を用いて、防水シート材を合成樹脂層31の全面に被覆させる。
これにより、第2の防御体30が製造される。
以上の第1の防御体10、緩衝体20、第2の防御体30が準備できた状態で、図1(b)に示す配置順に第1の防御体10、緩衝体20、第2の防御体30を配置させ、予め準備しておいた収納用袋40の開口41から第1の防御体10、緩衝体20、第2の防御体30を収納用袋40内に収納し、本体及びかぶせ蓋にそれぞれ取り付けてあるマジックテープ(登録商標)同士を接着させる。
以上の工程により、本発明の実施形態に係る防刃・防刺・防弾用具1が製造される。
なお、包装用袋40は、超高分子量ポリエチレン製のシート状部材を用いて、収納用袋40のおもて面を構成する第1のパーツ、うら面を構成する第2のパーツ、おもて面と裏面とを連結すると共に、側面及び上面を構成する第3のパーツ、かぶせ蓋を構成する第4のパーツの4つのパーツを形成し、これら4つのパーツを縫着すると共に、第1のパーツ~第3のパーツで形成される本体と第4のパーツで形成されるかぶせ蓋とのそれぞれの所定位置にマジックテープ(登録商標)を取り付けることで、開口41を備える包装用袋40を製造することができる。
また、防弾の観点においては、包装用袋40のおもて面、収納空間形成体12、プレート13、基台11の4つの層で弾丸の初速を落として弾丸の形状を偏平に崩すことで、弾丸の面積を増大させることができると共に、超高分子量ポリエチレン層31aで面積が大きくなった弾丸を包み込んで弾丸が防刃・防刺・防弾用具1を貫通することを防ぐことができる。
従って、防刃・防刺・防弾の三つの防護性能を兼ね備えた防刃・防刺・防弾用具1とすることができる。
また、プレート13を収納する収納空間の構成として、隣接する収納空間が所定幅の重なり部分Cを有するように複数個の収納空間(第1の収納空間12a~第6の収納空間12f)を水平方向に並列配置させてあることで、第1の防御体10に収納される複数枚のプレート13を重なり部分Cの位置で積層させることができ、一段と防護性能の高い防刃・防刺・防弾用具1とすることができる。
また、収納空間形成体12の構成として、蛇腹折りされた1枚のシート状部材120を用いる構成とすることで、製造容易で、複数のプレート13の位置決めが容易な収納空間形成体12とすることができる。よって、製造効率の良い防刃・防刺・防弾用具1とすることができる。また、1枚のシート状部材として、ポリアミド系樹脂製のシート状部材120を用いる構成とすることで、高強度で耐久性の高い収納空間形成体12とすることができる。
加えて、6枚のプレート13をそれぞれ個別に収納可能な第1の収納空間12a、第2の収納空間12b、第3の収納空間12c、第4の収納空間12d、第5の収納空間12e、第6の収納空間12fの6個の収納空間を備えると共に、隣接する収納空間が図5(a)に斜線で示す重なり部分Cを有するように複数個の収納空間(12a~12f)を水平方向に並列配置させてあり、且つ1段目の収納空間形成体12g、2段目の収納空間形成体12h、3段目の収納空間形成体12i、4段目の収納空間形成体12jの4個の収納空間形成体を備えると共に、隣接する収納空間形成体12の全ての収納空間(12a~12f)が図5(b)に斜線で示す重なり部分Dを有するように複数個の収納空間形成体(12g~12j)を鉛直方向に並列配置させてある構成とすることで、図6に示すように、本実施形態における第1の防御体10においては、プレート13が1枚だけの領域、2枚積層される領域、3枚積層される領域、4枚積層される領域の4つの領域を備えると共に、1枚だけの領域が占める面積を効果的に抑えることができる。よって、一段と防護性能の高い防刃・防刺・防弾用具1とすることができる。
更に、2段目の収納空間形成体12h、3段目の収納空間形成体12i、4段目の収納空間形成体12jは、それぞれ下辺が基台11に縫着されておらず、2段目の収納空間形成体12hの下辺の位置、3段目の収納空間形成体12iの下辺の位置、4段目の収納空間形成体12jの下辺の位置で第1の防御体10を後方側にある程度屈曲可能な構成とすることで、体にフィットし易く、行動に支障なく使用することができ、機動性の高い防刃・防刺・防弾用具1とすることができる。
また、角部が湾曲形状で面取りされたプレート13を用いる構成とすることで、ポリアミド系樹脂製のシート状部材で形成される収納空間形成体12に破れ等の破損が生じることを効果的に防止でき、耐久性の高い防刃・防刺・防弾用具1とすることができる。また、仮にプレート13が収納空間形成体12から外部に露出した場合でも使用者が負傷し難いことに加えて、製造時に製造者が負傷することも効果的に防止することができる。
更に、プレート13として、縦長の略矩形状とすると共に、複数枚のプレート13を複数個の収納空間にそれぞれ個別に収納する構成とすることで、横長のプレートを用いる場合に比べて、屈曲しやすく、一段と機動性の高い防刃・防刺・防弾用具1とすることができる。
加えて、金属製のプレート、合成樹脂製のプレート、セラミックス製のプレートの少なくとも何れか2種を組み合わせる構成とすれば、一段と高強度な防刃・防刺・防弾用具とすることができる。
また、収納用袋40の内面に滑り止め機能を備えた樹脂コーティングを施してあることで、収納される第1の防御体10及び第2の防御体30のズレを効果的に防ぐことができる。
更に、開口41から第1の防御体10、緩衝体20、第2の防御体30を入れて、本体及びかぶせ蓋のそれぞれに取り付けてあるマジックテープ(登録商標)Mでかぶせ蓋を閉じる構成とすることで、第1の防御体10、緩衝体20、第2の防御体30の落下を防ぐことができるだけでなく、本体のマジックテープ(登録商標)Mがある側がおもて側であることを使用者に容易に認識させることができる。これによって、第1の防御体10、緩衝体20、第2の防御体30を収納用袋40に入れる際の順番間違いや、使用時に収納用袋40のおもて側、うら側を間違えて使用することを効果的に防ぐことができ、使用者にとって利便性の高い防刃・防刺・防弾用具1とすることができる。
表1の結果より、本発明の実施形態に係る防刃・防刺・防弾用具は刃物に対して十分な防御性能を備えていることがわかる。
表2の結果より、本発明の実施形態に係る防刃・防刺・防弾用具は弾丸に対して十分な防御性能を備えていることがわかる。
10 第1の防御体
11 基台
12 収納空間形成体
12a 第1の収納空間
12b 第2の収納空間
12c 第3の収納空間
12d 第4の収納空間
12e 第5の収納空間
12f 第6の収納空間
12g 1段目の収納空間形成体
12h 2段目の収納空間形成体
12i 3段目の収納空間形成体
12j 4段目の収納空間形成体
13 プレート
13a 第1のプレート
13b 第2のプレート
13c 第3のプレート
13d 第4のプレート
13e 第5のプレート
13f 第6のプレート
20 緩衝体
30 第2の防御体
31 合成樹脂層
31a 超高分子量ポリエチレン層
31b ウレタン樹脂層
32 防水シート層
40 収納用袋
41 開口
120 シート状部材
B うら面の折り目線
C 重なり部分
D 重なり部分
E 幅
F おもて面の折り目線
G 幅
H 幅
I 幅
L 折り返し線
M かぶせ蓋
R 折り返し部
S 仕切用片
T 折り返し領域
U 先端部近傍位置
V 端辺
W 先端部近傍位置
X 先端部近傍位置
Y 端辺
Z 近傍位置
Claims (5)
- 第1の防御体と、前記第1の防御体の後方側に配置される第2の防御体と、前記第1の防御体及び前記第2の防御体を収納する収納用袋とを少なくとも備える防刃・防刺・防弾用具であって、前記第1の防御体は、シート状部材で形成される基台と、前記基台に縫着された状態で複数枚のプレートを収納する収納空間形成体と、前記収納空間形成体に収納される複数枚のプレートとで構成され、前記第2の防御体は、超高分子量ポリエチレン製のシート状の織物を複数枚積層してなる超高分子量ポリエチレン層を少なくとも備える合成樹脂層と、前記合成樹脂層の全面を被覆する防水シート層とで構成され、前記収納空間形成体は、複数枚の前記プレートをそれぞれ個別に収納可能な複数個の収納空間を備えると共に、隣接する前記収納空間が所定幅の重なり部分を有するように複数個の前記収納空間を並列配置させてあり、前記プレートは、バネ性を有する金属製、合成樹脂製、セラミックス製の少なくとも何れか1種で形成され、前記第1の防御体を構成する前記収納空間形成体は、隣接する1対の折り目線の幅が大小交互に繰り返すと共に、大きい方の隣接する1対の折り目線の幅がプレートの幅の105%~125%の長さであり、小さい方の隣接する1対の折り目線の幅がプレートの幅の30%~60%の長さである複数の折り目線に沿って蛇腹折りされた状態で所定位置が縫着されているポリアミド系樹脂製の1枚のシート状部材で構成されることを特徴とする防刃・防刺・防弾用具。
- 第1の防御体は、複数個の収納空間形成体を備えると共に、隣接する前記収納空間形成体の全ての収納空間が所定幅の重なり部分を有するように複数個の前記収納空間形成体を並列配置させてあることを特徴とする請求項1に記載の防刃・防刺・防弾用具。
- 収納用袋は、ポリアミド系樹脂製のシート状部材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の防刃・防刺・防弾用具。
- 請求項1に記載の防刃・防刺・防弾用具における第1の防御体を構成する収納空間形成体の製造方法であって、ポリアミド系樹脂製の矩形状の1枚のシート状部材を準備し、隣接する1対の折り目線の幅が大小交互に繰り返すと共に、大きい方の隣接する1対の折り目線の幅がプレートの幅の105%~125%の長さであり、小さい方の隣接する1対の折り目線の幅がプレートの幅の30%~60%の長さである前記シート状部材の長手方向に並列配置されている複数の折り目線に沿って前記シート状部材を蛇腹折りにすると共に、前記シート状部材のうら面側に配置される折り目線の近傍位置においては、折り畳まれた状態にある前記シート状部材を折り目線の全長にわたって縫着し、前記シート状部材のおもて面側に配置される折り目線の近傍位置においては、折り畳まれた状態にある前記シート状部材とその下方に重なる前記シート状部材とを折り目線の全長にわたって縫着することで、前記シート状部材のうら面側に複数個の収納空間を区切る仕切用片を形成する仕切用片形成工程と、前記仕切用片形成工程により複数個の仕切用片が形成されたシート状部材の所定領域を、仕切用片と直交する折り返し線にてシート状部材のうら面側に折り返すと共に、前記折り返し線の近傍位置において折り返された状態にある前記シート状部材を折り返し線の全長にわたって縫着する折り返し縫着工程とをこの順番で備えることを特徴とする収納空間形成体の製造方法。
- 請求項1に記載の防刃・防刺・防弾用具を構成する第1の防御体の製造方法であって、請求項4に記載の収納空間形成体の製造方法により製造された収納空間形成体を用いて、所定領域が折り返された状態にあるシート状部材における、折り返された折り返し領域の折り返し線と対向する側の先端部近傍位置を前記折り返し線と略同じ長さだけ基台と縫着すると共に、前記折り返し領域を除く前記シート状部材の前記折り返し線と直交する両端辺のうち、蛇腹折りにされた状態にある前記シート状部材の下層側に配置される端辺を前記端辺の全長にわたって前記基台と縫着することで前記収納空間形成体を前記基台に仮固定させる収納空間仮固定工程と、前記基台と縫着された状態にある端辺側の収納空間から順番に、各収納空間にプレートを収納すると共に、各仕切用片の前記端辺と平行な側の先端部近傍位置を、前記折り返し領域の前記折り返し線と対向する側の先端部近傍位置まで前記基台と縫着させ、且つ前記折り返し領域を除く前記シート状部材の前記折り返し線と直交する両端辺のうち、蛇腹折りにされた状態にある前記シート状部材の上層側に配置される端辺を前記上層側に配置される端辺の全長にわたって前記基台と縫着することで、各収納空間に複数のプレートを収納させるプレート収納工程と、前記折り返し領域を除く前記シート状部材の前記折り返し線と対向する側の先端部近傍位置を前記折り返し線と略同じ長さだけ前記基台と縫着すると共に、折り返し線の近傍位置を折り返し線の全長にわたって前記基台と縫着することで、前記収納空間形成体を前記基台に完全に固定する収納空間形成体固定工程とをこの順番で備えることを特徴とする第1の防御体の製造方法。
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