JP7484701B2 - グラフェンナノリボン前駆体、グラフェンナノリボン、電子装置、グラフェンナノリボンの製造方法及び電子装置の製造方法 - Google Patents

グラフェンナノリボン前駆体、グラフェンナノリボン、電子装置、グラフェンナノリボンの製造方法及び電子装置の製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、グラフェンナノリボン前駆体、グラフェンナノリボン、電子装置、グラフェンナノリボンの製造方法及び電子装置の製造方法に関する。
グラフェンは炭素原子が蜂の巣状に並んだ二次元のシート構造の材料である。グラフェンの電荷の移動度は室温においても極めて高く、グラフェンはバリスティック伝導及び半整数量子ホール効果等の特異な電子物性を示す。グラフェンは、π電子共役が二次元に拡張しているため、バンドギャップが実質的にゼロであり、金属的な性質(ギャップレス半導体)を示す。近年、これらの特徴的な電子的機能を活かしたエレクトロニクスデバイスの研究開発が盛んに行われている。
その一方で、ナノサイズのグラフェンは、エッジにある炭素原子の個数とエッジの内側にある炭素原子の個数との差が小さく、グラフェン自体の形状やエッジの形状の影響が大きく、バルク状のグラフェンとは大きく異なる物性を示す。ナノサイズのグラフェンとして、幅が数nmのリボン形状の擬一次元のグラフェン、所謂、グラフェンナノリボン(graphene nanoribbon:GNR)が知られている。GNRの物性は、エッジの構造及びリボン幅によって大きく変化する。
GNRのエッジ構造には、炭素原子が2原子周期で配列したアームチェアエッジ及び炭素原子がジグザグ状に配列したジグザグエッジの2種類がある。アームチェアエッジ型のGNR(AGNR)では、量子閉じ込め効果及びエッジ効果によって有限のバンドギャップが広がるため、AGNRは半導体的な性質を示す。一方、ジグザグエッジ型のGNR(ZGNR)は金属的な性質を示す。
AGNRは、リボン幅方向の炭素原子の数NによりN-AGNRとよばれる。例えば、AGNRのリボン幅方向に六員環が3つ配列したアントラセンを基本ユニットとするAGNRは7-AGNRとよばれる。更に、AGNRはNの値によって、N=3p、3p+1、3p+2(ここで、pは正の整数)の3つのサブファミリーに分類されることがある。理論計算によれば、同じサブファミリー内でのN-AGNRのバンドギャップの大きさ(E)は、Nの値(すなわち、リボン幅)の増加に伴って減少することが示されている。また、各サブファミリー間で、Eには、E 3p+1>E 3p>E 3p+2の大小関係がある。
近年、リボン幅の異なるAGNRをヘテロ接合し、リボン長さ方向にトポロジー位相を周期的に変化させることで、バンドギャップを制御した例が報告されている。
特開2019-48791号公報 特表2015-504046号公報
L. Yang et al., Phys. Rev. Lett. 99, 186801 (2007) M. Y. Han et al., Phys. Rev. Lett. 98, 206805 (2007) D. V. Kosynkin et al., Nature 458, 872 (2009) X. Li et al., Science 319, 1229 (2008) J. Cai et al., Nature 466, 470 (2010) D. J. Rizzo et al., Nature 560, 204 (2018) T. Cao et al., Rhys. Rev. Lett. 119, 076401 (2017)
これまで、トポロジカル不変量Zが0、1のN-AGNRが隣り合ってヘテロ接合したGNRを製造できるGNR前駆体の報告は限定的であり、バンドギャップを多様に変調することができない。
本開示の目的は、GNRのバンドギャップを多様に変調することができるグラフェンナノリボン前駆体、グラフェンナノリボン、電子装置、グラフェンナノリボンの製造方法及び電子装置の製造方法を提供することにある。
本開示の一形態によれば、下記の化学式(1)で表される構造式を有し、下記の化学式(1)において、nは、1、2又は4であり、nは、n-1であり、X及びYは、F、Cl、Br又はIであり、六員環を構成する炭素原子からのX、Yの脱離温度をそれぞれT、Tとしたとき、T<Tの関係が成り立つグラフェンナノリボン前駆体が提供される。
Figure 0007484701000001
本開示によれば、GNRのバンドギャップを多様に変調することができる。
第1実施形態に係るGNR前駆体の構造式を示す図である。 第1実施形態に係るGNR前駆体を用いたGNRの製造方法を示す図(その1)である。 第1実施形態に係るGNR前駆体を用いたGNRの製造方法を示す図(その2)である。 第1実施形態に係るGNRの構造式を示す図である。 第2実施形態に係るGNR前駆体の構造式を示す図である。 第2実施形態に係るGNR前駆体の製造方法を示す図である。 第2実施形態に係るGNR前駆体を用いたGNRの製造方法を示す図(その1)である。 第2実施形態に係るGNR前駆体を用いたGNRの製造方法を示す図(その2)である。 第2実施形態に係るGNRの構造式の繰り返し単位を示す図である。 第2実施形態に係るGNRのバンド分散を示す図である。 第3実施形態に係るGNR前駆体の構造式を示す図である。 第3実施形態に係るGNR前駆体の製造方法を示す図である。 第3実施形態に係るGNR前駆体を用いたGNRの製造方法を示す図(その1)である。 第3実施形態に係るGNR前駆体を用いたGNRの製造方法を示す図(その2)である。 第3実施形態に係るGNRの構造式の繰り返し単位を示す図である。 第3実施形態に係るGNRのバンド分散を示す図である。 第4実施形態に係るGNR前駆体の構造式を示す図である。 第4実施形態に係るGNR前駆体の製造方法を示す図である。 第4実施形態に係るGNR前駆体を用いたGNRの製造方法を示す図(その1)である。 第4実施形態に係るGNR前駆体を用いたGNRの製造方法を示す図(その2)である。 第4実施形態に係るGNRの構造式の繰り返し単位を示す図である。 第4実施形態に係るGNRのバンド分散を示す図である。 第5実施形態に係る電子装置を示す上面図である。 第5実施形態に係る電子装置を示す断面図である。 第5実施形態に係る電子装置の製造方法を示す上面図(その1)である。 第5実施形態に係る電子装置の製造方法を示す上面図(その2)である。 第5実施形態に係る電子装置の製造方法を示す上面図(その3)である。 第5実施形態に係る電子装置の製造方法を示す上面図(その4)である。 第5実施形態に係る電子装置の製造方法を示す上面図(その5)である。 第5実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その1)である。 第5実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その2)である。 第6実施形態に係る電子装置を示す断面図である。 第6実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その1)である。 第6実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その2)である。 第6実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その3)である。 第6実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その4)である。 第6実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その5)である。 第6実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その6)である。 第6実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その7)である。 第7実施形態に係る電子装置を示す断面図である。 第7実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その1)である。 第7実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その2)である。 第7実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その3)である。 第7実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その4)である。 第7実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図(その5)である。
以下、本開示の実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。第1実施形態は、グラフェンナノリボン(GNR)及びその製造に好適なGNR前駆体に関する。図1は、第1実施形態に係るGNR前駆体の構造式を示す図である。
第1実施形態に係るGNR前駆体100は図1に示す構造式を有する。図1において、nは、1、2又は4であり、nは、n-1である。つまり、nは0、1又は3である。X及びYは、F、Cl、Br又はIである。六員環を構成する炭素原子からのX、Yの脱離温度をそれぞれT、Tとしたとき、T<Tの関係が成り立つ。つまり、第1実施形態に係るGNR前駆体100は、ジトリフェニレンの基本骨格を備え、n及びnの異なる数の六員環を有する。
ここで、第1実施形態に係るGNR前駆体100を用いたGNRの製造方法について説明する。図2~図3は、第1実施形態に係るGNR前駆体を用いたGNRの製造方法を示す図である。この方法では、GNRをボトムアップ法によりin situで製造する。
まず、GNRを成長させる基板の表面清浄処理を行う。表面清浄処理により、基板の表面上の有機系汚染物質を除去したり、表面の平坦性を向上したりすることができる。
次いで、表面清浄処理を施した基板を大気に曝すことなく、高真空下にて、基板の温度を脱離温度T未満の初期温度に保持し、GNR前駆体100を加熱して昇華させる。昇華したGNR前駆体100は基板上に蒸着する。
その後、基板をBrの脱離温度以上、かつFの脱離温度未満の第1温度に加熱する。第1温度の基板上において、GNR前駆体100の脱X反応と、Xの脱離点でのGNR前駆体100同士のC-C結合反応とが誘起される。この結果、図2に示すように、一方向に配列したポリマー140が安定的に形成される。
続いて、基板を脱離温度T以上の第2温度に加熱する。第2温度の基板上において、GNR前駆体100の脱Y反応と、Yの脱離点でのGNR前駆体100同士のC-C結合反応とが誘起されるとともに、脱H反応と、環化反応とが誘起される。この結果、図3に示すように、ポリマー140からAGNR150が形成される。AGNR150は、図4に示す構造式130の繰り返し単位からなる。
AGNR150は、トポロジカル不変量Zが相違する第1セグメント151と第2セグメント152とをリボン長さ方向に交互に含み、隣り合う第1セグメント151と第2セグメント152とがヘテロ接合している。例えば、第1セグメント151のトポロジカル不変量Zが0であれば、第2セグメント152のトポロジカル不変量Zは1であり、第1セグメント151のトポロジカル不変量Zが1であれば、第2セグメント152のトポロジカル不変量Zは0である。AGNR150はトポロジカルAGNRということができる。
このように、第1実施形態に係るGNR前駆体100は、ジトリフェニレンの基本骨格を備え、n及びnの異なる数の六員環を有する。GNR前駆体100を用いてAGNR150を製造することで、AGNR150に、トポロジカル不変量Zが相違する第1セグメント151と第2セグメント152とをリボン長さ方向に交互に含ませることができる。トポロジカル不変量Zが相違する第1セグメント151と第2セグメント152とが隣り合うようにヘテロ接合されることで、AGNR150のバンドギャップ内に新たなトポロリジカルバンドが出現する。従って、第1実施形態によれば、AGNR150のリボン長さ方向にトポロジー位相の周期変化を与えることができ、n及びnの値に応じてAGNR150のバンドギャップを変調することができる。
また、第1実施形態に係るGNR前駆体100を用いることで、ボトムアップ法により長いAGNR150を安定的に製造することができる。
なお、第2~第4実施形態おいて詳細に説明するが、GNR前駆体100の合成に際しては、所望とするAGNR150の構造や電子物性(バンドギャップ、仕事関数、電子親和力)に応じて、反応化合物の骨格や修飾基を適宜選択することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、GNR及びその製造に好適なGNR前駆体に関する。図5は、第2実施形態に係るGNR前駆体の構造式を示す図である。
第2実施形態に係るGNR前駆体200は図5に示す構造式を有する。すなわち、第2実施形態に係るGNR前駆体200は、図1において、nが1であり、nが0であり、XがBrであり、YがFである構造式を有する。六員環を構成する炭素原子からのBrの脱離温度Tは、六員環を構成する炭素原子からのFの脱離温度Tよりも低い。つまり、第2実施形態に係るGNR前駆体200は、ジトリフェニレンの基本骨格を備え、n及びnの異なる数の六員環を有する。
ここで、第2実施形態に係るGNR前駆体200の製造方法について説明する。図6は、第2実施形態に係るGNR前駆体の製造方法を示す図である。
まず、2-アミノ-4-フルオロナフタレン211とアニリン212との混合物に対して、ルイス酸を用いたカップリング反応を行い、ジアミノフェニルナフタレン誘導体213を作製する。次いで、ジアミノフェニルナフタレン誘導体213のアミノ基に対して、ザンドマイヤー反応を行い、ジヨードフェニルナフタレン誘導体214を作製する。次いで、ジヨードフェニルナフタレン誘導体214のヨウ素に対して、スタニル化反応を行い、ジトリメチルスズフェニルナフタレン誘導体215を作製する。次いで、ジトリメチルスズフェニルナフタレン誘導体215と2-ブロモ-3,4-ジヨード-1-メチルベンゼン216とのカップリング反応により、モノマー217を作製する。
別途、2-アミノ-4-ブロモナフタレン221とアニリン222の混合物に対して、ルイス酸を用いたカップリング反応を行い、ジアミノフェニルナフタレン誘導体223を作製する。次いで、ジアミノフェニルナフタレン誘導体223のアミノ基に対して、ザンドマイヤー反応を行い、ジヨードフェニルナフタレン誘導体224を作製する。次いで、ジヨードフェニルナフタレン誘導体224のヨウ素に対して、スタニル化反応を行い、ジトリメチルスズフェニルナフタレン誘導体225を作製する。次いで、ジトリメチルスズフェニルナフタレン誘導体225と2-フルオロ-3,4-ジヨード-1-メチルベンゼン226とのカップリング反応により、モノマー227を作製する。
その後、モノマー217とモノマー227とをカップリングしてダイマーを形成する。このようにして、ダイマーとしてGNR前駆体200が合成される。
なお、上記の反応条件及び溶媒は一例であって、他の反応条件及び溶媒を用いてGNR前駆体200を製造してもよい。
次に、第2実施形態に係るGNR前駆体200を用いたGNRの製造方法について説明する。図7~図8は、第2実施形態に係るGNR前駆体を用いたGNRの製造方法を示す図である。この方法では、第1セグメント251として10-AGNRを含み、第2セグメント252として6-AGNRを含むAGNR250をボトムアップ法によりin situで製造する。
まず、GNRを成長させる基板の表面清浄処理を行う。この表面清浄処理では、例えば、表面へのArイオンスパッタ及び超高真空下でのアニールを1サイクルとし、これを複数サイクル実施する。例えば、各サイクルにおいて、Arイオンスパッタでは、イオン加速電圧を1.0kVとし、イオン電流を10μAとし、時間を1分間とし、アニールでは、5×10-7Pa以下の真空度を保持しつつ、温度を400℃~500℃とし、時間を10分間とする。例えば、サイクル数は3サイクルとする。表面清浄処理により、基板の表面上の有機系汚染物質を除去したり、表面の平坦性を向上したりすることができる。
基板としては、触媒作用を有するものを用い、例えば表面のミラー指数が(111)の金属単結晶基板を用いることができる。基板の材料としてはAu、Cu、Ni、Rh、Pd、Ag、Ir及びPtが挙げられる。AGNR250の指向性を制御するために、数nm幅のステップ及びテラス周期構造を有する高指数面の単結晶基板を用いてもよい。このような基板の表面のミラー指数は、例えば(788)である。例えば、表面のミラー指数が(788)のAu基板を用いることができる。基板として、マイカ、サファイア及びMgO等の絶縁基板上に上記のAu等の金属薄膜を堆積した金属薄膜基板を用いてもよい。AGNR250の位置及び指向性を制御するために、金属薄膜を電子線リソグラフィ及びエッチング加工により幅数nmの細線状にパターンニングしたものを用いてもよい。IV族半導体、III-V族化合物半導体、II-VI族化合物半導体及び遷移金属酸化物半導体等の半導体基板を用いてもよい。
次いで、表面清浄処理を施した基板を大気に曝すことなく、超高真空下にて、基板の温度を、Brの脱離温度未満の初期温度に保持し、GNR前駆体200を加熱して昇華させる。例えば、基板の温度は約25℃の室温とする。また、例えば、GNR前駆体200の加熱及び昇華にはK-cell型エバポレーターを用い、真空槽内の基本真空度は5×10-8Pa以下とし、加熱温度は180℃~220℃とする。昇華したGNR前駆体200は基板上に蒸着する。例えば、蒸着速度は0.05nm/分~0.10nm/分、蒸着膜厚は0.5ML~1MLである。1ML(monolayer)は約0.25nmである。
その後、基板をBrの脱離温度以上、かつFの脱離温度未満の第1温度に加熱する。例えば、第1温度は150℃~250℃とし、初期温度から第1温度までの昇温速度は1℃/分~5℃/分とする。C-F結合エネルギーよりもC-Br結合エネルギーが低いため、150℃~250℃の基板上において、GNR前駆体200の脱Br反応と、Brの脱離点でのGNR前駆体200同士のC-C結合反応とが誘起される。この結果、図7に示すように、一方向に配列したポリマー240が安定的に形成される。
続いて、基板の温度を、Fの脱離温度以上の第2温度に加熱する。例えば、第2温度は300℃~400℃とし、第1温度から第2温度までの昇温速度は1℃/分~5℃/分とする。300℃~400℃の基板上において、脱F反応と、Fの脱離点でのGNR前駆体200同士のC-C結合反応とが誘起されるとともに、脱H反応と、環化反応とが誘起される。この結果、図8に示すように、ポリマー240からAGNR250が形成される。AGNR250は、図9に示す構造式230の繰り返し単位からなる。
AGNR250は、10-AGNRの第1セグメント251と6-AGNRの第2セグメント252とをリボン長さ方向に交互に含み、隣り合う10-AGNRと6-AGNRとがヘテロ接合している。また、10-AGNRのトポロジカル不変量Zは1であり、6-AGNRのトポロジカル不変量Zは0である。つまり、AGNR250は、トポロジカル不変量Zが相違する第1セグメント251と第2セグメント252とをリボン長さ方向に交互に含み、隣り合う第1セグメント251と第2セグメント252とがヘテロ接合している。このように、AGNR250は、10-AGNR及び6-AGNRのトポロジー位相の周期構造を有する。このため、AGNR250によれば、10-AGNR及び6-AGNRのいずれとも異なるバンドギャップEを得ることができる。AGNR250はトポロジカルAGNRということができる。
第2実施形態に係るAGNR250の第一原理シミュレーション(密度汎関数法/一般化勾配近似:DFT-GGA)で計算されたバンド分散を図10に示す。図10に示すように、AGNR250のバンドギャップEは0.57eVという結果が得られた。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、GNR及びその製造に好適なGNR前駆体に関する。図11は、第3実施形態に係るGNR前駆体の構造式を示す図である。
第3実施形態に係るGNR前駆体300は図11に示す構造式を有する。すなわち、第3実施形態に係るGNR前駆体300は、図1において、nが2であり、nが1であり、XがBrであり、YがFである構造式を有する。六員環を構成する炭素原子からのBrの脱離温度Tは、六員環を構成する炭素原子からのFの脱離温度Tよりも低い。つまり、第3実施形態に係るGNR前駆体300は、ジトリフェニレンの基本骨格を備え、n及びnの異なる数の六員環を有する。
ここで、第3実施形態に係るGNR前駆体300の製造方法について説明する。図12は、第3実施形態に係るGNR前駆体の製造方法を示す図である。
まず、2-アミノ-4-フルオロアントラセン311と2-アミノ-ナフタレン312との混合物に対して、ルイス酸を用いたカップリング反応を行い、ジアミノナフチルアントラセン誘導体313を作製する。次いで、ジアミノナフチルアントラセン誘導体313のアミノ基に対して、ザンドマイヤー反応を行い、ジヨードナフチルアントラセン誘導体314を作製する。次いで、ジヨードナフチルアントラセン誘導体314のヨウ素に対して、スタニル化反応を行い、ジトリメチルスズナフチルアントラセン誘導体315を作製する。次いで、ジトリメチルスズナフチルアントラセン誘導体315と1-ブロモ-2,3-ジヨード-7-メチルナフタレン316とのカップリング反応により、モノマー317を作製する。
別途、2-アミノ-4-ブロモアントラセン321と2-アミノ-ナフタレン322との混合物に対して、ルイス酸を用いたカップリング反応を行い、ジアミノナフチルアントラセン誘導体323を作製する。次いで、ジアミノナフチルアントラセン誘導体323のアミノ基に対して、ザンドマイヤー反応を行い、ジヨードナフチルアントラセン誘導体324を作製する。次いで、ジヨードナフチルアントラセン誘導体324のヨウ素に対して、スタニル化反応を行い、ジトリメチルスズナフチルアントラセン誘導体325を作製する。次いで、ジトリメチルスズナフチルアントラセン誘導体325と1-フルオロ-2,3-ジヨード-7-メチルナフタレン326とのカップリング反応により、モノマー327を作製する。
その後、モノマー317とモノマー327とをカップリングしてダイマーを形成する。このようにして、ダイマーとしてGNR前駆体300が合成される。
なお、上記の反応条件及び溶媒は一例であって、他の反応条件及び溶媒を用いてGNR前駆体300を製造してもよい。
次に、第3実施形態に係るGNR前駆体300を用いたGNRの製造方法について説明する。図13~図14は、第3実施形態に係るGNR前駆体を用いたGNRの製造方法を示す図である。この方法では、第1セグメント351として14-AGNRを含み、第2セグメント352として10-AGNRを含むAGNR350をボトムアップ法によりin situで製造する。
まず、第2実施形態と同様にして、GNRを成長させる基板の表面清浄処理を行う。基板としては、第2実施形態と同様のものを用いることができる。次いで、表面清浄処理を施した基板を大気に曝すことなく、超高真空下にて、基板の温度を、Brの脱離温度未満の初期温度に保持し、GNR前駆体300を加熱して昇華させる。例えば、基板の温度は約25℃の室温とする。また、例えば、GNR前駆体300の加熱及び昇華にはK-cell型エバポレーターを用い、真空槽内の基本真空度は5×10-8Pa以下とし、加熱温度は230℃~270℃とする。昇華したGNR前駆体300は基板上に蒸着する。
その後、基板の温度を、Brの脱離温度以上、かつFの脱離温度未満の第1温度に加熱する。例えば、第1温度は150℃~250℃とし、初期温度から第1温度までの昇温速度は1℃/分~5℃/分とする。150℃~250℃の基板上において、脱Br反応と、Brの脱離点でのGNR前駆体300同士のC-C結合反応とが誘起される。この結果、図13に示すように、一方向に配列したポリマー340が安定的に形成される。
続いて、基板の温度を、Fの脱離温度以上の第2温度に加熱する。例えば、第2温度は300℃~400℃とし、第1温度から第2温度までの昇温速度は1℃/分~5℃/分とする。300℃~400℃の基板上において、脱F反応と、Fの脱離点でのGNR前駆体300同士のC-C結合反応とが誘起されるとともに、脱H反応と、環化反応とが誘起される。この結果、図14に示すように、ポリマー340からAGNR350が形成される。AGNR350は、図15に示す構造式330の繰り返し単位からなる。
AGNR350は、14-AGNRの第1セグメント351と10-AGNRの第2セグメント352とをリボン長さ方向に交互に含み、隣り合う14-AGNRと10-AGNRとがヘテロ接合している。また、14-AGNRのトポロジカル不変量Zは0であり、10-AGNRのトポロジカル不変量Zは1である。つまり、AGNR350は、トポロジカル不変量Zが相違する第1セグメント351と第2セグメント352とをリボン長さ方向に交互に含み、隣り合う第1セグメント351と第2セグメント352とがヘテロ接合している。このように、AGNR350は、14-AGNR及び10-AGNRのトポロジー位相の周期構造を有する。このため、AGNR350によれば、14-AGNR及び10-AGNRのいずれとも異なるバンドギャップEを得ることができる。AGNR350はトポロジカルAGNRということができる。
第3実施形態に係るAGNR350のDFT-GGAで計算されたバンド分散を図16に示す。図16に示すように、AGNR350のバンドギャップEは0.45eVという結果が得られた。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態は、GNR及びその製造に好適なGNR前駆体に関する。図17は、第4実施形態に係るGNR前駆体の構造式を示す図である。
第4実施形態に係るGNR前駆体400は図17に示す構造式を有する。すなわち、第3実施形態に係るGNR前駆体400は、図1において、nが4であり、nが3であり、XがBrであり、YがFである構造式を有する。六員環を構成する炭素原子からのBrの脱離温度Tは、六員環を構成する炭素原子からのFの脱離温度Tよりも低い。つまり、第4実施形態に係るGNR前駆体400は、ジトリフェニレンの基本骨格を備え、n及びnの異なる数の六員環を有する。
ここで、第4実施形態に係るGNR前駆体400の製造方法について説明する。図18は、第4実施形態に係るGNR前駆体の製造方法を示す図である。
まず、2-アミノ-4-フルオロペンタセン411と2-アミノ-テトラセン412との混合物に対して、ルイス酸を用いたカップリング反応を行い、ジアミノテトラセニルペンタセン誘導体413を作製する。次いで、ジアミノテトラセニルペンタセン誘導体413のアミノ基に対して、ザンドマイヤー反応を行い、ジヨードテトラセニルペンタセン誘導体414を作製する。次いで、ジヨードテトラセニルペンタセン誘導体414のヨウ素に対して、スタニル化反応を行い、ジトリメチルスズテトラセニルペンタセン誘導体415を作製する。次いで、ジトリメチルスズテトラセニルペンタセン誘導体415と1-ブロモ-2,3-ジヨード-9-メチルテトラセン416とのカップリング反応により、モノマー417を作製する。
別途、2-アミノ-4-ブロモペンタセン421と2-アミノ-テトラセン422との混合物に対して、ルイス酸を用いたカップリング反応を行い、ジアミノテトラセニルペンタセン誘導体423を作製する。次いで、ジアミノテトラセニルペンタセン誘導体423のアミノ基に対して、ザンドマイヤー反応を行い、ジヨードテトラセニルペンタセン誘導体424を作製する。次いで、ジヨードテトラセニルペンタセン誘導体424のヨウ素に対して、スタニル化反応を行い、ジトリメチルスズテトラセニルペンタセン誘導体425を作製する。次いで、ジトリメチルスズテトラセニルペンタセン誘導体425と1-フルオロ-2,3-ジヨード-9-メチルテトラセン426とのカップリング反応により、モノマー427を作製する。
その後、モノマー417とモノマー427とをカップリングしてダイマーを形成する。このようにして、ダイマーとしてGNR前駆体400が合成される。
なお、上記の反応条件及び溶媒は一例であって、他の反応条件及び溶媒を用いてGNR前駆体400を製造してもよい。
次に、第4実施形態に係るGNR前駆体400を用いたGNRの製造方法について説明する。図19~図20は、第4実施形態に係るGNR前駆体を用いたGNRの製造方法を示す図である。この方法では、第1セグメント451として22-AGNRを含み、第2セグメント452として18-AGNRを含むAGNR450をボトムアップ法によりin situで製造する。
まず、第2実施形態と同様にして、GNRを成長させる基板の表面清浄処理を行う。基板としては、第2実施形態と同様のものを用いることができる。次いで、表面清浄処理を施した基板を大気に曝すことなく、超高真空下にて、基板の温度を、Brの脱離温度未満の初期温度に保持し、GNR前駆体400を加熱して昇華させる。例えば、基板の温度は約25℃の室温とする。また、例えば、GNR前駆体400の加熱及び昇華にはK-cell型エバポレーターを用い、真空槽内の基本真空度は5×10-8Pa以下とし、加熱温度は330℃~370℃とする。昇華したGNR前駆体300は基板上に蒸着する。
その後、基板の温度を、Brの脱離温度以上、かつFの脱離温度未満の第1温度に加熱する。例えば、第1温度は150℃~250℃とし、初期温度から第1温度までの昇温速度は1℃/分~5℃/分とする。150℃~250℃の基板上において、脱Br反応と、Brの脱離点でのGNR前駆体400同士のC-C結合反応とが誘起される。この結果、図19に示すように、一方向に配列したポリマー440が安定的に形成される。
続いて、基板の温度を、Fの脱離温度以上の第2温度に加熱する。例えば、第2温度は300℃~400℃とし、第1温度から第2温度までの昇温速度は1℃/分~5℃/分とする。300℃~400℃の基板上において、脱F反応と、Fの脱離点でのGNR前駆体400同士のC-C結合反応とが誘起されるとともに、脱H反応と、環化反応とが誘起される。この結果、図20に示すように、ポリマー440からAGNR450が形成される。AGNR450は、図21に示す構造式430の繰り返し単位からなる。
AGNR450は、22-AGNRの第1セグメント451と18-AGNRの第2セグメント452とをリボン長さ方向に交互に含み、隣り合う22-AGNRと18-AGNRとがヘテロ接合している。また、22-AGNRのトポロジカル不変量Zは1であり、18-AGNRのトポロジカル不変量Zは0である。つまり、AGNR450は、トポロジカル不変量Zが相違する第1セグメント451と第2セグメント452とをリボン長さ方向に交互に含み、隣り合う第1セグメント451と第2セグメント452とがヘテロ接合している。このように、AGNR450は、22-AGNR及び18-AGNRのトポロジー位相の周期構造を有する。このため、AGNR450によれば、22-AGNR及び18-AGNRのいずれとも異なるバンドギャップEを得ることができる。AGNR450はトポロジカルAGNRということができる。
第4実施形態に係るAGNR450のDFT-GGAで計算されたバンド分散を図22に示す。図22に示すように、AGNR450のバンドギャップEは0.10eVという結果が得られた。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。第5実施形態は、AGNRをチャネルに用いた電界効果トランジスタ(field effect transistor:FET)を含む電子装置に関する。図23は、第5実施形態に係る電子装置を示す上面図である。図24は、第5実施形態に係る電子装置を示す断面図である。図24は、図23中のXXIV- XXIV線に沿った断面図に相当する。
図23及び図24に示すように、第5実施形態に係る電子装置500は、絶縁基板501と、絶縁基板501の上方に設けられたAGNR503と、を有する。AGNR503は、例えば第1実施形態に係るAGNR150である。AGNR503のリボン長さ方向の一方の端部と絶縁基板501との間に金属層502Sが形成され、他方の端部と絶縁基板501との間に金属層502Dが形成されている。絶縁基板501上に、AGNR503の一方の端部及び金属層502Sに接するソース電極504と、AGNR503の他方の端部及び金属層502Dに接するドレイン電極505とが形成されている。ソース電極504とドレイン電極505との間で、AGNR503上にゲート絶縁層507及びゲート電極506が形成されている。
例えば、絶縁基板501は劈開して清浄表面を出したマイカ基板であり、金属層502S及び502Dは厚さが10nm~50nmのAu層である。ソース電極504、ドレイン電極505及びゲート電極506は、例えば、厚さが0.5nm~1nmのTi膜と、その上の厚さが30nm~50nmのCr膜とを有し、ゲート絶縁層507は厚さが5nm~10nmのY層である。
次に、第5実施形態に係る電子装置500の製造方法について説明する。図25~図29は、第5実施形態に係る電子装置の製造方法を示す上面図である。図30~図31は、第5実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図である。図30は、図28中のXXX-XXX線に沿った断面図に相当し、図31は、図29中のXXXI-XXXI線に沿った断面図に相当する。
まず、図25に示すように、絶縁基板501上に金属層を堆積し、電子線リソグラフィ及びドライエッチングにより金属層をパターニングすることにより金属パターン502を形成する。例えば、絶縁基板501は劈開して清浄表面を出したマイカ基板であり、金属層は厚さが10nm~50nmのAu層である。Au層は蒸着法によりマイカ基板の劈開面上に堆積することができる。マイカ基板を400℃~550℃の温度に加熱しながらAu層を堆積することにより、Au層の表面を(111)面に配向させることができる。金属層の材料に、Cu、Ni、Rh、Pd、Ag、Ir又はPtを用いてもよい。基板の種類に応じて金属層のエピタキシャル結晶面を制御することができる。
GNR前駆体の重合反応及び環化反応は絶縁基板501の表面上では誘起されない。従って、金属パターン502の位置及びサイズよりAGNRの位置及びサイズを制御することができる。例えば、金属パターン502の長手方向の寸法(長さ)は製造しようとするFETのチャネル長を考慮して調整し、短手方向の寸法(幅)はFETに用いるAGNRのリボン幅を考慮して調整する。例えば、金属パターン502の長さは50nm~500nmとし、幅は1nm~5nmとする。
金属層のパターニングでは、金属層上に電子線レジストをスピンコートし、金属層をエッチングするためのマスクパターンを電子線レジストに形成する。電子線レジストには、ZEP 520A(日本ゼオン社製)をZEP-A(同社製)で1:1に希釈したレジストを用いることができる。そして、マスクパターンを用いて、Arイオンミリングにより金属層のエッチング処理を行う。このようにして、金属パターン502を形成することができる。
次いで、図26に示すように、金属パターン502上にAGNR503を形成する。AGNR503は、第1実施形態に係るGNR前駆体100を用いて形成することができる。AGNR503の形成の前処理として、金属パターン502の表面清浄処理を行う。この表面清浄処理により、金属パターン502の表面に付着したレジスト残渣などの有機系汚染物質を除去することができ、さらに、Au層の(111)面の平坦性をより向上させることができる。AGNR503は、表面清浄処理を施した金属パターン502を大気に曝すことなく、超高真空の真空槽内にてin situで形成する。
例えば、絶縁基板501及び金属パターン502の温度を室温に保持しながらGNR前駆体100を金属パターン502の表面上に蒸着し、その後、絶縁基板501及び金属パターン502の温度を380℃~420℃に昇温する。この結果、GNR前駆体100の重合反応及び環化反応等が誘起され、金属パターン502により位置及びサイズが制御されたAGNR503が形成される。すなわち、金属パターン502の長手方向に沿って延びるようにAGNR503が自己組織的に形成される。
続いて、図27に示すように、電子線リソグラフィ、蒸着法及びリフトオフにより、AGNR503の一方の端部上にソース電極504を形成し、他方の端部上にドレイン電極505を形成する。ソース電極504及びドレイン電極505は、例えばTi膜及びその上のCr膜を含む2層電極である。ソース電極504及びドレイン電極505の形成では、AGNR503、金属パターン502及び絶縁基板501上に2層レジストをスピンコートし、電子線リソグラフィにより2層レジストに電極パターンを形成する。例えば、2層レジストの上層にはZEP 520Aの希釈レジストを用い、犠牲層である下層にはPMGI SFG2S(KAYAKU Advanced Materials, Inc.製)を用いる。電極パターンの形成後、厚さが0.5nm~1nmのTi膜及び厚さが30nm~50nmのCr膜を蒸着法により堆積する。続いて、2層レジストの除去によりリフトオフする。このようにして、ソース電極504及びドレイン電極505が形成される。
次いで、図28及び図30に示すように、電子線リソグラフィ、蒸着法及びリフトオフにより、AGNR503上にゲート電極506及びゲート絶縁層507のゲートスタック構造を形成する。このゲートスタック構造は、ソース電極504との間及びドレイン電極505との間に開口部508が形成されるように形成する。例えば、ゲート長は8nm~12nmとし、ゲート絶縁層507はY層であり、ゲート電極506はTi膜及びその上のCr膜を含む2層電極である。ゲート電極506及びゲート絶縁層507の形成では、ソース電極504及びドレイン電極505の形成と同様に、2層レジストをスピンコートし、電子線リソグラフィにより2層レジストにゲートパターンを形成する。例えば、2層レジストの上層にはZEP 520Aの希釈レジストを用い、犠牲層である下層にはPMGI SFG2Sを用いる。ゲートパターンの形成後、厚さが5nm~10nmのY層並びに厚さが0.5nm~1nmのTi膜及び厚さが30nm~50nmのCr膜を蒸着法により堆積する。続いて、2層レジストの除去によりリフトオフする。このようにして、ゲート電極506及びゲート絶縁層507のゲートスタック構造が形成される。Y層は、真空槽内にOガスを導入しながらY金属を蒸着することで形成することができる。ゲート絶縁層507の材料に、SiO、HfO、ZrO、La又はTiOを用いてもよい。これらの材料を用いる場合も、真空槽内にOガスを導入しながら金属を蒸着することでゲート絶縁層507を形成することができる。
その後、図29及び図31に示すように、ウェットエッチングにより、金属パターン502のうち、ソース電極504又はドレイン電極505により覆われていない部分を除去し、空隙509を形成する。この結果、金属パターン502から金属層502S及び502Dが形成される。金属パターンにAuが用いられている場合、エッチャントとしてKI水溶液を用いることができる。ソース電極504、ドレイン電極505及びゲート電極506はTi膜及びCr膜を含む2層電極であるため、KI水溶液に対して優れたエッチング耐性を有する。金属パターン502のウェットエッチング後には、純水による洗浄及びイソプロピルアルコールによるリンス処理を順次行う。続いて、乾燥処理として、例えばCOガスを用いた超臨界乾燥処理を行う。COガスを用いた超臨界乾燥処理は、溶液の表面張力又は毛管力によるAGNR503の切断の防止に好適である。
このようにして、AGNR503をチャネルとするFETを備えた電子装置500を製造することができる。電子装置500は、グラフェン固有の高移動度キャリアにより動作することができる。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。第6実施形態は、AGNRのネットワーク膜をチャネルに用いたバックゲート型の薄膜トランジスタ(thin film transistor:TFT)を含む電子装置に関する。図32は、第6実施形態に係る電子装置を示す断面図である。
図32に示すように、第6実施形態に係る電子装置600は、絶縁基板601と、絶縁基板601上に形成されたゲート電極606と、絶縁基板601及びゲート電極606上に形成され、ゲート電極606を覆う絶縁層607と、を有する。電子装置600は、ゲート電極606の上方で絶縁層607上に設けられたAGNRのネットワーク膜603を有する。ネットワーク膜603は、第1実施形態に係るAGNR150が複数互いに接触して構成された膜である。ネットワーク膜603の両端に接するようにソース電極604及びドレイン電極605が絶縁層607上に形成されている。ソース電極604とドレイン電極605との間でネットワーク膜603上に保護層621が形成されている。絶縁層607はゲート絶縁層として機能する。
絶縁基板601としては、例えば熱酸化膜が形成されたSi基板を用いることができる。ネットワーク膜603として、例えば複数のAGNR150を含むネットワーク膜が形成されている。保護層621として、例えばネットワーク膜603を構成するCと化学結合しにくい膜を用いることができ、具体的にはCr、SiO、Al、Sc、MnO、ZnO、Y、ZrO、MoO及びRuOの層を保護層621に用いることができる。この例では、保護層621としてCr層が形成されている。
ソース電極604、ドレイン電極605及びゲート電極606は、例えば、厚さが0.5nm~2nmのTi膜と、その上の厚さが20nm~50nmのCr膜とを有し、ソース電極604とドレイン電極605との間の距離は、例えば10nm~50nmである。絶縁層607の材料として、HfO、Al、Si、HfSiO、HfAlON、Y、SrTiO、PbZrTiO、BaTiO等を用いることができる。この例では、絶縁層607として、厚さが5nm~10nmのHfO膜が形成されている。
次に、第6実施形態に係る電子装置600の製造方法について説明する。図33~図40は、第6実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図である。
まず、図33に示すように、絶縁基板651上に金属層652を形成する。絶縁基板651及び金属層652が成長基板650に含まれる。次いで、金属層652上にAGNRのネットワーク膜603を形成する。絶縁基板651としては、例えばマイカ基板、表面がc面のサファイア(α-Al)結晶基板、表面のミラー指数が(111)のMgO結晶基板等を用いることができる。金属層652としては、結晶構造がfccで、表面のミラー指数が(111)のAu、Ag、Cu、Ni、Rh、Pd、Ir又はPtの膜を用いることができる。この例では、絶縁基板651としてマイカ基板を用い、金属層652としてAu層を用いる。
ネットワーク膜603は、第1実施形態に係るGNR前駆体100を用いて形成することができる。ネットワーク膜603の形成の前処理として、金属パターン502の表面清浄処理と同様に、金属層652の表面清浄処理を行う。ネットワーク膜603は、表面清浄処理を施した金属層652を大気に曝すことなく、超高真空の真空槽内にてin situで形成する。ネットワーク膜603の形成では、GNR前駆体100の蒸着膜厚を2ML~4MLとする。GNR前駆体100の蒸着膜厚を2ML~4MLとすることで、個々のAGNRが互いに接触したネットワーク膜603を形成することができる。
その後、ネットワーク膜603上に保護層621を形成する。保護層621は、後のチャネルの転写の際に用いる有機系の支持層の残留物からチャネルを保護する。保護層621としては、ネットワーク膜603を構成するCと化学結合しにくい層を用いることができ、特にCr層が好ましい。SiO、Al、Sc、MnO、ZnO、Y、ZrO、MoO及びRuOも保護層621に用いることができる。Cr層を用いる場合、例えば、ネットワーク膜603の形成後、真空槽から暴露することなく、in situでネットワーク膜603上にCr金属層を蒸着法で形成し、大気中に曝すことで自然酸化によりCr金属層をCr層に変化させることができる。例えば、Cr金属層の蒸着速度は0.01nm/秒~0.05nm/秒とし、厚さは1nm~3nmとする。SiO、Al、Sc、MnO、ZnO、Y、ZrO、MoO及びRuOの層も同様の方法で形成することができる。なお、Ti及びNiはネットワーク膜603を構成するCと化学結合してTiCやNiCを生成しやすい。
続いて、図34に示すように、保護層621上に有機系の支持層622を形成する。支持層622としては、例えば、アクリル樹脂のポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate:PMMA)の層を用いる。PMMAの層は、例えばスピンコート法により100nm~500nmの厚さで形成することができる。支持層622として、エポキシ樹脂、熱剥離テープ、粘着テープ、各種のフォトレジスト、電子線レジストを用いてもよい。これらの積層膜を用いてもよい。
次いで、図35に示すように、金属層652を除去することで、絶縁基板651から支持層622、保護層621及びネットワーク膜603の積層体を分離する。金属層652としてAu層が用いられている場合、KI水溶液を用いたウェットエッチングにより金属層652を除去することができる。その後、保護層621及びネットワーク膜603の積層体の純水洗浄及び乾燥処理を行う。
その一方で、図36に示すように、別途、絶縁基板601上にゲート電極606を形成し、絶縁基板601及びゲート電極606上に絶縁層607を形成する。絶縁基板601としては、例えば熱酸化膜が形成されたSi基板を用いることができる。ゲート電極606としては、第5実施形態におけるゲート電極506と同様の方法で、Ti膜及びCr膜の2層電極を形成することができる。絶縁層607としては、原子層堆積(atomic layer deposition:ALD)法によりHfO層を形成できる。例えば、絶縁層607の厚さは5nm~10nmとする。
そして、ネットワーク膜603が絶縁層607と接触するようにして、保護層621及びネットワーク膜603の積層体を、絶縁基板601、ゲート電極606及び絶縁層607の積層体に重ね合わせる。このようにして、ネットワーク膜603を絶縁層607上に転写する。
次いで、図37に示すように、支持層622を除去する。支持層622としてPMMAの層を用いている場合、約70℃のアセトンに浸漬することで支持層622を除去することができる。支持層622の除去後、例えばイソプロピルアルコールを用いたリンス処理を行う。一般的に、グラフェン上のPMMAを完全に取り除くことは難しく、その残留物がグラフェンの特性を劣化させることがある。本実施形態では、ネットワーク膜603とPMMAの支持層622との間に保護層621が形成されているため、PMMAの残留物によるネットワーク膜603の特性の劣化を抑制することができる。
その後、図38に示すように、保護層621に、ネットワーク膜603の一部を露出するソース用の開口部624と、ネットワーク膜603の他の一部を露出するドレイン用の開口部625とを形成する。開口部624及び625の形成では、例えば、電子線レジストを形成し、電子線リソグラフィにより電子線レジストに開口パターンを形成し、硝酸第二セリウムアンモニウムを用いたウェットエッチングを行う。
続いて、図39に示すように、開口部624を通じてネットワーク膜603に接するソース電極604と、開口部625を通じてネットワーク膜603に接するドレイン電極605とを絶縁層607上に形成する。ソース電極604及びドレイン電極605としては、第5実施形態におけるソース電極504及びドレイン電極505と同様の方法で、Ti膜及びCr膜の2層電極を形成することができる。
このようにして、ネットワーク膜603をチャネルとするTFTを備えた電子装置600を製造することができる。電子装置600は、グラフェン固有の高移動度キャリアにより動作することができる。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。第7実施形態は、AGNRのネットワーク膜をチャネルに用いたトップゲート型のTFTを含む電子装置に関する。図40は、第7実施形態に係る電子装置を示す断面図である。
図40に示すように、第7実施形態に係る電子装置700は、絶縁基板601と、絶縁基板601上に設けられたネットワーク膜603と、を有する。ネットワーク膜603は、第1実施形態に係るAGNR150が複数互いに接触して構成された膜である。ネットワーク膜603の両端に接するようにソース電極704及びドレイン電極705が絶縁基板601上に形成されている。ソース電極704とドレイン電極705との間でネットワーク膜603上に保護層621が形成されている。ソース電極704、保護層621及びドレイン電極705上に広がるように絶縁層707が形成され、絶縁層707上にゲート電極706が形成されている。絶縁層707はゲート絶縁膜として機能する。
ソース電極704、ドレイン電極705及びゲート電極706は、例えば、厚さが0.5nm~2nmのTi膜と、その上の厚さが20nm~50nmのCr膜とを有し、ソース電極704とドレイン電極705との間の距離は、例えば10nm~50nmである。絶縁層707の材料として、HfO膜、Al、Si、HfSiO、HfAlON、Y、SrTiO、PbZrTiO、BaTiO等を用いることができる。この例では、絶縁層707として、厚さが5nm~10nmのHfO膜が形成されている。
次に、第7実施形態に係る電子装置700の製造方法について説明する。図41~図45は、第7実施形態に係る電子装置の製造方法を示す断面図である。
まず、図41に示すように、第6実施形態と同様にして、支持層622、保護層621及びネットワーク膜603の積層体を形成する。次いで、絶縁基板601に、保護層621及びネットワーク膜603の積層体を、ネットワーク膜603が絶縁基板601と接触するようにして重ね合わせる。このようにして、ネットワーク膜603を絶縁基板601上に転写する。
その後、図42に示すように、支持層622を除去する。
続いて、図43に示すように、保護層621に、ネットワーク膜603の一部を露出するソース用の開口部624と、ネットワーク膜603の他の一部を露出するドレイン用の開口部625とを形成する。
次いで、図44に示すように、開口部624を通じてネットワーク膜603に接するソース電極704と、開口部625を通じてネットワーク膜603に接するドレイン電極705とを絶縁基板601上に形成する。ソース電極704及びドレイン電極705としては、第6実施形態におけるソース電極604及びドレイン電極605と同様の方法で、Ti膜及びCr膜の2層電極を形成することができる。
その後、図45に示すように、ソース電極704、保護層621及びドレイン電極705上に広がる絶縁層707及びゲート電極706を形成する。絶縁層707及びゲート電極706は、次のようにして形成することができる。
まず、絶縁層707及びゲート電極706を形成する領域に開口部を有するレジストパターンを形成する。レジストパターンとしては、例えば2層構造のレジストパターンを用いる。次いで、電子線リソグラフィにより、絶縁層707及びゲート電極706を形成する領域に開口部を形成する。その後、例えば、1×10-5Pa以下の高真空下で、Oガスを導入しながらHf金属を蒸着することでHfO層を開口部の内側及びレジストパターンの上に形成し、HfO層上にTi膜及びCr膜を形成する。その後、レジストパターンをその上のHfO層、Ti膜及びCr膜と共に除去する。つまり、リフトオフを行う。このようにして絶縁層707及びゲート電極706を形成することができる。
このようにして、ネットワーク膜603をチャネルとするTFTを備えた電子装置700を製造することができる。
このようにして、ネットワーク膜603をチャネルとするTFTを備えた電子装置700を製造することができる。電子装置700は、グラフェン固有の高移動度キャリアにより動作することができる。
絶縁基板601の材料は限定されない。絶縁基板601として、透明なガラス基板又は可撓性のあるポリエチレンテレフタレート(PET)基板等を用いてもよい。このようなガラス基板及びPET基板はディスプレイへの応用に好適である。
また、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極の材料は限定されない。例えば、Ti膜と、その上のAu膜、Pt膜又はPd膜との積層体をソース電極、ドレイン電極及びゲート電極に用いてもよい。また、透明電極材料をソース電極、ドレイン電極及びゲート電極に用いてもよい。透明電極材料としては、酸化インジウムスズ(ITO)、In、SnO、AlZnO及びGaZnOが挙げられる。
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
上記の化学式(1)で表される構造式を有し、
上記の化学式(1)において、
は、1、2又は4であり、
は、n-1であり、
X及びYは、F、Cl、Br又はIであり、
六員環を構成する炭素原子からのX、Yの脱離温度をそれぞれT、Tとしたとき、T<Tの関係が成り立つことを特徴とするグラフェンナノリボン前駆体。
(付記2)
下記の化学式(2)に表される構造式の繰り返し単位からなり、
下記の化学式(2)において、
は、1以上6以下の整数であり、
は、n-1であることを特徴とするグラフェンナノリボン。
Figure 0007484701000002

(付記3)
第1リボン幅を備えた第1セグメントと、
前記第1リボン幅よりも小さい第2リボン幅を備えた第2セグメントと、
を含み、
前記第1セグメントと前記第2セグメントとがリボン長さ方向に周期的にヘテロ接合していることを特徴とする付記2に記載のグラフェンナノリボン。
(付記4)
前記第1セグメントと前記第2セグメントとの間でトポロジカル不変量Zが相違することを特徴とする付記3に記載のグラフェンナノリボン。
(付記5)
付記2乃至4のいずれか1項に記載のグラフェンナノリボンを電界効果トランジスタのチャネルに有することを特徴とする電子装置。
(付記6)
金属基材上で、付記1に記載のグラフェンナノリボン前駆体を第1温度に加熱して、Xの脱離及びC-C結合反応を誘起し、前記金属基材上にポリマーを得る工程と、
前記ポリマーを前記第1温度よりも高い第2温度に加熱して、Yの脱離及びC-C結合反応を誘起する工程と、
を有することを特徴とするグラフェンナノリボンの製造方法。
(付記7)
前記第1温度は、T以上T未満の温度であり、
前記第2温度は、T以上の温度であることを特徴とする付記6に記載のグラフェンナノリボンの製造方法。
(付記8)
付記6又は7に記載の方法により、前記金属基材上にグラフェンナノリボンを製造する工程と、
前記グラフェンナノリボンをチャネルに有するトランジスタを形成する工程と、
を有することを特徴とする電子装置の製造方法。
(付記9)
前記トランジスタを形成する工程は、
前記グラフェンナノリボンに接するソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、
前記金属基材のうち前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の部分を除去する工程と、
前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の部分で、前記グラフェンナノリボン上にゲート絶縁層及びゲート電極を形成する工程と、
を有することを特徴とする付記8に記載の電子装置の製造方法。
(付記10)
前記トランジスタを形成する工程は、
絶縁基板の上方にゲート電極及びゲート絶縁層を形成する工程と、
前記ゲート絶縁層上に前記グラフェンナノリボンを転写する工程と、
前記絶縁基板の上方に、前記グラフェンナノリボンに接するソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、
を有することを特徴とする付記8に記載の電子装置の製造方法。
(付記11)
前記トランジスタを形成する工程は、
絶縁基板上に前記グラフェンナノリボンを転写する工程と、
前記絶縁基板の上方に、前記グラフェンナノリボンに接するソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、
前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の部分で、前記グラフェンナノリボンの上方にゲート絶縁層及びゲート電極を形成する工程と、
を有することを特徴とする付記8に記載の電子装置の製造方法。
100、200、300、400:GNR前駆体
140、240、340、440:ポリマー
150、250、350、450、503:AGNR
151、251、351、451:第1セグメント
152、252、352、452:第2セグメント
500、600、700:電子装置
504、604、704:ソース電極
505、605、705:ドレイン電極
506、606、706:ゲート電極
603:ネットワーク膜

Claims (8)

  1. 下記の化学式(1)で表される構造式を有し、
    下記の化学式(1)において、
    は、1、2又は4であり、
    は、n-1であり、
    X及びYは、F、Cl、Br又はIであり、
    六員環を構成する炭素原子からのX、Yの脱離温度をそれぞれT、Tとしたとき、T<Tの関係が成り立つことを特徴とするグラフェンナノリボン前駆体。
    Figure 0007484701000003
  2. 下記の化学式(2)に表される構造式の繰り返し単位からなり、
    下記の化学式(2)において、
    は、1以上6以下の整数であり、
    は、n-1であることを特徴とするグラフェンナノリボン。
    Figure 0007484701000004
  3. 第1リボン幅を備えた第1セグメントと、
    前記第1リボン幅よりも小さい第2リボン幅を備えた第2セグメントと、
    を含み、
    前記第1セグメントと前記第2セグメントとがリボン長さ方向に周期的にヘテロ接合していることを特徴とする請求項2に記載のグラフェンナノリボン。
  4. 前記第1セグメントと前記第2セグメントとの間でトポロジカル不変量Zが相違することを特徴とする請求項3に記載のグラフェンナノリボン。
  5. 請求項2乃至4のいずれか1項に記載のグラフェンナノリボンを電界効果トランジスタのチャネルに有することを特徴とする電子装置。
  6. 金属基材上で、請求項1に記載のグラフェンナノリボン前駆体を第1温度に加熱して、Xの脱離及びC-C結合反応を誘起し、前記金属基材上にポリマーを得る工程と、
    前記ポリマーを前記第1温度よりも高い第2温度に加熱して、Yの脱離及びC-C結合反応を誘起する工程と、
    を有することを特徴とするグラフェンナノリボンの製造方法。
  7. 前記第1温度は、T以上T未満の温度であり、
    前記第2温度は、T以上の温度であることを特徴とする請求項6に記載のグラフェンナノリボンの製造方法。
  8. 請求項6又は7に記載の方法により、前記金属基材上にグラフェンナノリボンを製造する工程と、
    前記グラフェンナノリボンをチャネルに有するトランジスタを形成する工程と、
    を有することを特徴とする電子装置の製造方法。
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成田 明光,グラフェンナノリボンの前駆体設計と構造制御,応用物理,日本,2019年,第88巻、第9号,P.608-612

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