JP7479792B2 - ポリウレタン樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

ポリウレタン樹脂成形体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7479792B2
JP7479792B2 JP2019051551A JP2019051551A JP7479792B2 JP 7479792 B2 JP7479792 B2 JP 7479792B2 JP 2019051551 A JP2019051551 A JP 2019051551A JP 2019051551 A JP2019051551 A JP 2019051551A JP 7479792 B2 JP7479792 B2 JP 7479792B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoplastic polyurethane
resin molded
polyurethane
cylinder
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019051551A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020151913A (ja
Inventor
益巳 猿渡
五郎 桑村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP2019051551A priority Critical patent/JP7479792B2/ja
Publication of JP2020151913A publication Critical patent/JP2020151913A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7479792B2 publication Critical patent/JP7479792B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)

Description

本発明は、ポリウレタン樹脂成形体の製造方法に関する。
従来、ポリウレタン樹脂成形体を製造する方法として、重合により得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂を溶融状態でストランド状に押し出し、押し出されたストランドを冷却した後、所定の長さに切断して、ペレット状に成形することが知られている(例えば、下記特許文献1参照。)。
特開2001-59023号公報
しかし、上記した方法では、得られたポリウレタン樹脂成形体を用いて成形品を製造した場合に、フィッシュアイが発生する場合がある。
また、ポリウレタン樹脂の結晶性が高い場合、溶融された原料の吐出が不安定になる場合がある。
そこで、本発明の目的は、溶融された原料を安定に吐出できるとともに、フィッシュアイを低減することができるポリウレタン樹脂成形体の製造方法を提供することにある。
本発明[1]は、溶融していない熱可塑性ポリウレタンが投入される投入口と、溶融された前記熱可塑性ポリウレタンを吐出する吐出口とを有するシリンダー内で、前記熱可塑性ポリウレタンを溶融する溶融工程と、前記吐出口から吐出された前記熱可塑性ポリウレタンを成形する成形工程とを含み、前記溶融工程において、前記シリンダー内の前記熱可塑性ポリウレタンを加熱する加熱温度が、前記投入口から前記吐出口へ向かって低くなる、ポリウレタン樹脂成形体の製造方法を含む。
本発明[2]は、示差走査熱量測定における前記熱可塑性ポリウレタンの融解エンタルピーが、8mj/mg以上である、上記[1]のポリウレタン樹脂成形体の製造方法を含む。
本発明[3]は、示差走査熱量測定における前記熱可塑性ポリウレタンの吸熱ピークの温度が、180℃以上である、上記[1]または[2]のポリウレタン樹脂成形体の製造方法を含む。
本発明[4]は、前記熱可塑性ポリウレタンが、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含むポリイソシアネート成分と、ポリオール成分との反応により得られる、上記[1]から[3]のいずれか1つのポリウレタン樹脂成形体の製造方法を含む。
本発明[5]は、前記加熱温度が、前記投入口から前記吐出口にわたって、前記熱可塑性ポリウレタンの溶融粘度が2000Pa・sとなる温度よりも高い、上記[1]から[4]のいずれか1つのポリウレタン樹脂成形体の製造方法を含む。
本発明のポリウレタン樹脂成形体の製造方法によれば、溶融された原料を安定に吐出できるとともに、フィッシュアイを低減することができる。
図1は、本発明のポリウレタン樹脂成形体の製造方法に使用できる成形システムの構成を示す。 図2は、図1に示す押出成形機のシリンダーの詳細を示す断面図である。
1.成形システムの概略
まず、図1を参照して、本発明のポリウレタン樹脂成形体の製造方法に使用できる成形システム1の構成について説明する。
成形システム1は、ストランドカット方式を採用するペレット成形システムであって、重合により得られた熱可塑性ポリウレタンの不定形粉砕物を、所定の形状および所定のサイズを有するペレットに成形する。
成形システム1は、原料タンク2と、原料乾燥機3と、押出成形機4と、搬送装置5と、ペレタイザー6と、選別機7と、ペレット乾燥機8とを備える。
原料タンク2には、原料として、熱可塑性ポリウレタンの不定形粉砕物が貯留される。原料タンク2内の原料は、気力輸送などの輸送方法により、原料乾燥機3へ輸送される。
原料乾燥機3は、原料タンク2から輸送された原料を乾燥する。詳しくは、原料乾燥機3は、除湿乾燥機であり、吸湿剤等によって水分が除去された乾燥空気を用いて、原料を乾燥する。原料乾燥機3によって乾燥された原料は、気力輸送などの輸送方法により、押出成形機4に輸送される。
押出成形機4は、原料を溶融して、溶融された原料(溶融樹脂)を所定の形状に成形する。この実施形態では、押出成形機4は、溶融樹脂をストランド形状に成形する。押出成形機4は、シリンダー4Aと、スクリュー4B(図2参照)と、ギアポンプ4Cと、スクリーンチェンジャー4Dと、ダイ4Eとを備える。
シリンダー4Aは、水平方向に延びる筒形状を有する。シリンダー4Aは、吐出口4Fと、投入口4Gとを有する。吐出口4Fは、シリンダー4Aの水平方向一端部に配置される。投入口4Gは、水平方向において吐出口4Fから離れて配置される。投入口4Gには、原料、すなわち、溶融していない熱可塑性ポリウレタンが、投入される。原料は、投入口4Gを通ってシリンダー4A内に入る。
詳しくは、図2に示すように、シリンダー4Aは、供給部A1と、圧縮部A2と、計量部A3とを有する。供給部A1、圧縮部A2および計量部A3は、投入口4Gと吐出口4Fへ向かう吐出方向に沿って並ぶ。
また、シリンダー4Aは、投入口4Gと吐出口4Fとの間において、複数の加熱エリアC1~C8を有する。加熱エリアの個数、各加熱エリアの長さ、および、各加熱エリアの配置は、適宜変更可能である。
例えば、加熱エリアC1~C8は、投入口4Gと吐出口4Fへ向かう吐出方向に沿って並ぶ。より具体的には、加熱エリアC1は、シリンダー4Aの供給部A1に配置される。加熱エリアC2~C6は、シリンダー4Aの圧縮部A2に配置される。加熱エリアC7は、シリンダー4Aの圧縮部A2と計量部A3との境界部分に配置される。加熱エリアC8は、シリンダー4Aの計量部A3に配置される。
また、吐出方向における下流側の各加熱エリアC5~C8は、吐出方向における上流側の各加熱エリアC1~C4よりも長い。
各加熱エリアC1~C8は、図示しないヒーターを備える。各加熱エリアC1~C8は、シリンダー4A内の原料を加熱する。各加熱エリアC1~C8は、互いに独立して、加熱温度(原料を加熱する温度)を設定することができる。
スクリュー4Bは、シリンダー4A内に配置される。スクリュー4Bは、シリンダー4A内の原料を投入口4Gから吐出口4Fに向かって搬送する。シリンダー4A内に投入された原料は、各加熱エリアC1~C8からの熱によって溶融されながら、スクリュー4Bによって、吐出口4Fへ向かって搬送される。溶融された原料(溶融樹脂)は、吐出口4Fを通ってシリンダー4Aから吐出される。つまり、吐出口4Fは、溶融された熱可塑性ポリウレタンを吐出する。
ギアポンプ4Cは、シリンダー4Aの水平方向一端部に取り付けられる。ギアポンプ4Cは、シリンダー4Aから吐出された溶融樹脂をダイ4Eに向かって送る。
スクリーンチェンジャー4Dは、ギアポンプ4Cとダイ4Eとの間に介在される。スクリーンチェンジャー4Dは、内部に、交換可能なスクリーンを備える。スクリーンは、ギアポンプ4Cからダイ4Eに送られる溶融樹脂から未溶融樹脂などの不純物を除去する。
ダイ4Eは、スクリーンチェンジャー4Dを通過した溶融樹脂をストランド形状に成形する。
搬送装置5は、ベルトコンベアであり、押出成形機4によって成形された溶融樹脂のストランドSを、ペレタイザー6へ向かって搬送する。搬送装置5は、押出成形機4とペレタイザー6との間に配置される。
なお、ペレタイザー6へ向かって搬送されているストランドSは、必要により、空気や水によって冷却されてもよい。また、ストランドSには、必要により、ペレット同士がブロッキングすることを防止するためのブロッキング防止剤が、処理されてもよい。
ペレタイザー6は、ストランドカット用のペレタイザーである。ペレタイザー6は、ストランドSを、所定の長さごとに切断する。これにより、所定の形状を有するペレットP(成形体)が成形される。得られたペレットPは、気力輸送などの輸送方法により、選別機7へ輸送される。
なお、ペレタイザー6は、水中でストランドをカットするアンダーウォーターストランドカット用のペレタイザー(徳機社製など)や、ダイ4Dによって成形されたストランドを搬送装置5で搬送しないで、水中でカットするアンダーウォーターカット用のペレタイザー(GALA社製、田辺プラスチックス機械社製など)であってもよい。
選別機7は、ペレットPを、適合品と不適合品とに選別する。適合品とは、所定の形状および所定のサイズを有するペレットPを指す。不適合品とは、例えば、複数のペレットPが連なった連粒ペレットや、所定の形状と異なる(すなわち、適合しない)形状を有する異形ペレットを指す。
ペレット乾燥機8は、選別機7によって適合品として選別されたペレットPを乾燥する。詳しくは、ペレット乾燥機8は、除湿乾燥機であり、吸湿剤等によって水分が除去された乾燥空気を用いて、ペレットPを乾燥する。
2.ポリウレタン樹脂成形体の製造方法
本発明のポリウレタン樹脂成形体の製造方法では、熱可塑性樹脂として、熱可塑性ポリウレタンを成形する。
熱可塑性ポリウレタンは、ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分との反応により得られる。
ポリイソシアネート成分としては、例えば、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの直鎖状または分岐鎖状(非環式)の脂肪族ジイソシアネート、例えば、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、4,4’-、2,4’-または2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートもしくはそれらの混合物(水添MDI)、1,3-または1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンもしくはそれらの混合物(水添XDI)などの環式の脂肪族ジイソシアネート(脂環族ジイソシアネート)、例えば、2,4-または2,6-トリレンジイソシアネートもしくはそれらの混合物(TDI)、4,4’-、2,4’-または2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはそれらの混合物(MDI)などの芳香族ポリイソシアネート、例えば、1,3-または1,4-キシリレンジイソシアネートもしくはそれらの混合物(XDI)などの芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
ポリオール成分は、2つ以上の水酸基を有する化合物である。ポリオール成分は、数平均分子量が60以上、400未満、好ましくは、300以下の低分子量ポリオールと、数平均分子量が400以上、好ましくは、500以上、10000以下、好ましくは、5000以下の高分子量ポリオールとを含む。
低分子量ポリオールとしては、例えば、1,2-エタンジオール(エチレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオールなどの直鎖ジオール、例えば、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)などの分岐鎖ジオールなどが挙げられる。
これらの低分子量ポリオールは、単独使用または2種以上併用できる。
高分子量ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリエーテルポリオール、例えば、ポリカプロラクトンジオールなどのポリエステルポリオール、例えば、ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。
これらの高分子量ポリオールは、単独使用または2種以上併用できる。
好ましくは、熱可塑性ポリウレタンは、脂環族ジイソシアネートを含むポリイソシアネート成分と、ポリオール成分との反応により得られる。より好ましくは、熱可塑性ポリウレタンは、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含むポリイソシアネート成分と、ポリオール成分との反応により得られる。さらに好ましくは、ポリウレタン樹脂は、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの高トランス体(ポリイソシアネート成分)とポリテトラメチレンエーテルグリコール(高分子量ポリオール)との反応物であるプレポリマーと、鎖伸長剤としての1,4-ブタンジオール(低分子量ポリオール)との反応により得られる。
なお、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの高トランス体とは、トランス-1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(トランス体)と、シス-1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(シス体)との混合物であって、トランス体を、例えば、50モル%以上、好ましくは、75モル%以上、より好ましくは、80モル%以上、さらに好ましくは、85モル%以上、例えば、96モル%以下、好ましくは、93モル%以下含有するものをいう。
得られた熱可塑性ポリウレタンの結晶性が高い場合、融解エンタルピーが高く、溶融させるための加熱温度が高くなる傾向にある。この傾向は、ポリイソシアネート成分が1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含む場合、特に顕著である。
ポリイソシアネート成分が1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含み、得られた熱可塑性ポリウレタンのハードセグメント濃度が、例えば、10質量%以上、若しくは、20質量%以上である場合、熱可塑性ポリウレタンの結晶性が高く、本発明のポリウレタン樹脂成形体の製造方法を適用することが好ましい。
ハードセグメント濃度とは、熱可塑性ポリウレタン中に使用される低分子量ポリオールと、低分子量ポリオールと反応するポリイソシアネート成分の量の和が、熱可塑性ポリウレタン中に占める質量%のことを言う。
また、ポリイソシアネート成分が1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含むか否かに関わらず、示差走査熱量測定における熱可塑性ポリウレタンの融解エンタルピーが、例えば、5mj/mg以上、若しくは、8mj/mg以上である場合、熱可塑性ポリウレタンの結晶性が高く、本発明のポリウレタン樹脂成形体の製造方法を適用することが好ましい。
また、ポリイソシアネート成分が1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含むか否かに関わらず、示差走査熱量測定における熱可塑性ポリウレタンの吸熱ピークの温度が、例えば、150℃以上、若しくは、180℃以上である場合、熱可塑性ポリウレタンの結晶性が高く、本発明のポリウレタン樹脂成形体の製造方法を適用することが好ましい。
以下、本発明のポリウレタン樹脂成形体の製造方法について説明する。
ポリウレタン樹脂成形体の製造方法は、溶融工程と、成形工程とを含む。
(1)溶融工程
溶融工程では、図1および図2に示すように、シリンダー4A内で、熱可塑性ポリウレタンを溶融する。
このとき、シリンダー4Aの加熱温度は、投入口4Gから吐出口4Fへ向かって低くなる。
詳しくは、シリンダー4Aは、投入口4Gから吐出口4Fへ向かって加熱温度が低下するエリアを少なくとも1つ有する。シリンダー4Aは、投入口4Gから吐出口4Fへ向かって加熱温度が変化しないエリアを有してもよい。ただし、シリンダー4Aは、投入口4Gから吐出口4Fへ向かって加熱温度が上昇するエリアを有さない。
具体的に説明すると、シリンダー4Aは、投入口4Gから吐出口4Fへ向かう吐出方向において、投入口4Gに最も近い加熱エリアC1と、加熱エリアC1よりも下流側の加熱エリアC2~C8であって、加熱エリアC1の加熱温度よりも低い加熱温度の加熱エリアを、少なくとも1つ有する。また、シリンダー4Aは、互いに同じ加熱温度の加熱エリアを複数有してもよい。ただし、シリンダー4Aは、投入口4Gから吐出口4Fへ向かう方向において、上流側の加熱エリアの加熱温度よりも高い加熱温度の加熱エリアを有さない。
例えば、シリンダー4Aの加熱温度は、吐出方向において、供給部A1から、圧縮部A2の上流端部まで(加熱エリアC1からC3またはC4まで)低下し、その後(加熱エリアC5からC8まで)、一定温度に維持されてもよい。また、シリンダー4Aの加熱温度は、吐出方向において、供給部A1から、計量部A3まで(加熱エリアC1からC7まで)低下し、その後、計量部A3(加熱エリアC8)において、一定温度に維持されてもよい。また、シリンダー4Aの加熱温度は、吐出方向において、供給部A1から、圧縮部A2の上流端部まで(加熱エリアC1からC3またはC4まで)低下し、圧縮部A2の途中から計量部A3まで(加熱エリアC5からC7まで)一定温度に維持された後、計量部A3(加熱エリアC8)において再度低下してもよい。
加熱温度は、投入口4Gから吐出口4Fにわたって、熱可塑性ポリウレタンの溶融粘度が2000Pa・sとなる温度T(at 2000Pa・s)よりも高い。
熱可塑性ポリウレタンの溶融粘度が2000Pa・sとなる温度T(at 2000Pa・s)は、熱可塑性ポリウレタンが十分に溶融するために必要な温度の指標となる。
なお、示差走査熱量測定における熱可塑性ポリウレタンの融解エンタルピーが30mj/mg以下である場合、加熱温度は、投入口4Gから吐出口4Fへ向かう途中で、熱可塑性ポリウレタンの溶融粘度が2000Pa・sとなる温度T(at 2000Pa・s)よりも低くなってもよい。
(2)成形工程
成形工程では、吐出口4Fから吐出された熱可塑性ポリウレタンを成形する。
図1に示すように、押出成形によって、ポリウレタン樹脂成形体の一例としてのペレットPを製造する場合、成形工程は、ダイ4Eおよびペレタイザー6によって実行される。詳しくは、成形工程では、シリンダー4Aから吐出された熱可塑性ポリウレタンの溶融樹脂を、ダイ4Eによってストランド形状に成形し、得られたストランドSをペレタイザー6で切断することにより、ペレット形状に成形する。
なお、射出成形によってポリウレタン樹脂成形体を製造する場合、成形工程は、射出成形機の金型によって実行される。
3.効果
このポリウレタン樹脂成形体の製造方法によれば、シリンダー4Aの加熱温度が投入口4Gから吐出口4Fへ向かって低くなる。
これにより、シリンダー4A内に投入された原料を、高い加熱温度で確実に溶融させて、その後、溶融樹脂の粘度が過度に低下することを抑制しつつ、シリンダー4A内で溶融樹脂を確実に混合することができる。
特に、ポリイソシアネート成分が1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含む熱可塑性ポリウレタンは、結晶性が高くなる傾向にあり、溶融させるために、高い加熱温度が必要になる。
しかも、後述する実施例のように、溶融樹脂の粘度が10000Pa・sであるときの溶融樹脂の温度と、溶融樹脂の粘度が1000Pa・sであるときの溶融樹脂の温度との差ΔTが小さい。言い換えると、溶融樹脂の温度の変化に対する溶融樹脂の粘度の変化量(溶融粘度の温度依存性)が大きい。
そのため、ポリイソシアネート成分が1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含む熱可塑性ポリウレタンを原料とする場合、加熱温度を低く設定すると、原料を確実に溶融させることが困難になり、溶融された原料の吐出が不安定になる場合がある。例えば、押出成形では、サージングが発生し、押出量や、製品の形状、寸法などに周期的なムラが生じる場合がある。一方、加熱温度を高く設定すると、溶融樹脂の粘度が過度に低下して、溶融樹脂を確実に混合することが困難になる。
しかし、そのような高い結晶性を有する熱可塑性ポリウレタンであっても、このポリウレタン樹脂成形体の製造方法によれば、原料を高い加熱温度で確実に溶融させて、その後、溶融樹脂の粘度が過度に低下することを抑制しつつ、シリンダー4A内で溶融樹脂を確実に混合することができる。
その結果、溶融された原料を安定に吐出できるとともに、均質なペレットPを得ることができ、得られたペレットPを用いて成形品を製造した場合に、フィッシュアイを低減することができる。
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
<熱可塑性ポリウレタンの製造>
表1に示す部数で、ポリイソシアネート成分と高分子量ポリオールとのプレポリマーと、低分子量ポリオールとを反応させて、合成例1~4の熱可塑性ポリウレタンを得た。
得られた熱可塑性ポリウレタンをベールカッターでサイコロ状に切断し、次に、φ6mmのサイズのスクリーンメッシュを具備した粉砕機で処理することにより、熱可塑性ポリウレタンの不定形粉砕物を得た。
得られた熱可塑性ポリウレタンの不定形粉砕物を用いて、熱可塑性ポリウレタンの融解エンタルピーおよび吸熱ピークの温度を、示差走査熱量測定(DSC)によって測定した。DSCの測定条件を以下に示す。
<DSC測定条件>
DSC6200(日立ハイテクサイエンス製)を用い、リファレンスとしてアルミナを使用し、サンプルは10mg、パージガスは窒素(流量30~50ml/分)にて、下記の条件で測定した。データ解析ソフトには、EXSTAR6000 PCステーション版(日立ハイテクサイエンス製)を用いた。
容器:簡易密閉パン
温度範囲:室温から-100℃まで冷却し、5分間ホールド後、270℃まで、10℃/分の速度で、昇温した。
また、フローテスタ(製品名:細管式レオメーター フローテスタCFT-500EX、島津製作所社製)を用いて、予め80℃で5時間以上真空乾燥したペレットサンプルを160℃~270℃の温度範囲で、ダイは長さ10mm、径が1mmのものを用い、荷重196N、昇温速度2.5℃/分の昇温法で溶融粘度を測定した。測定結果より、溶融樹脂の粘度が2000Pa・sであるときの溶融樹脂の温度T(at 2000Pa・s)、および、溶融樹脂の粘度が10000Pa・sであるときの溶融樹脂の温度と、溶融樹脂の粘度が1000Pa・sであるときの溶融樹脂の温度との差ΔTを測定した。
結果を表1に示す。
Figure 0007479792000001
なお、表1中、「1,4-HXDI」は、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを示し、「PTMEG1000」は、数平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコールを示し、「PTMEG2000」は、数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコールを示し、「PTMEG3000」は、数平均分子量3000のポリテトラメチレンエーテルグリコールを示し、「1,4-BD」は、1,4-ブタンジオールを示す。
<ポリウレタン樹脂成形体の製造>
合成例1~4の熱可塑性ポリウレタンのうちのいずれか1つ(表2および表3に示す。)を原料として、図1に示す成形システム1を用いて、表2および表3に示す成形条件(加熱温度、スクリューの回転数)で、熱可塑性ポリウレタンのペレット(ポリウレタン樹脂成形体)を製造した。
Figure 0007479792000002
Figure 0007479792000003
<評価>
(1)溶融粘度の温度依存性
熱可塑性ポリウレタンの物性と同様に、フローテスタ(製品名:細管式レオメーター フローテスタCFT-500EX、島津製作所社製)を用いて、溶融樹脂の粘度が2000Pa・sであるときの溶融樹脂の温度T(at 2000Pa・s)、および、溶融樹脂の粘度が10000Pa・sであるときの溶融樹脂の温度と、溶融樹脂の粘度が1000Pa・sであるときの溶融樹脂の温度との差ΔTを測定した。
結果を表2および表3に示す。
(2)フィッシュアイ
得られたペレットを、先端に幅150mmのコートハンガーダイを取付したφ20mm単軸押出機(株式会社テクノベル製、SZW20GT-25MG-MIS、L/D=25)を用い、成形温度は、溶融樹脂の粘度が2000Pa・sであるときの溶融樹脂の温度T+5℃、ダイは、溶融樹脂の粘度が2000Pa・sであるときの溶融樹脂の温度T(℃)として、ベルトコンベア上に放流・冷却して、厚さ100μmのフィルムを得た。10cm×10cmのマーキングしたものを5枚採取し、大きさ0.2mm以上のフィッシュアイをルーペでカウントし、5枚の平均値とした。
結果を表2および表3に示す。
(3)サージング
運転情報システム(株式会社インプレステック社製)で、1秒毎にギアポンプ回転数を計測し、1時間単位で、得られたギアポンプ回転数の最大値と最小値との差(1時間におけるギアポンプ回転数のレンジ)を求めた。
そして、5時間の造粒作業により、1時間におけるギアポンプ回転数のレンジを、5つ得た。
その後、5つのギアポンプ回転数のレンジの平均値を算出した。ギアポンプ回転数のレンジの数字が小さいほど、サージングが小さく、溶融された原料を安定に吐出できている。結果を表2および表3に示す。
4 押出成形機
4A シリンダー
4F 吐出口
4G 投入口
6 ペレタイザー
P ペレット

Claims (5)

  1. 溶融していない熱可塑性ポリウレタンが投入される投入口と、溶融された前記熱可塑性ポリウレタンを吐出する吐出口とを有するシリンダー内で、前記熱可塑性ポリウレタンを溶融する溶融工程と、
    前記吐出口から吐出された前記熱可塑性ポリウレタンを成形する成形工程とを含み、
    前記溶融工程において、前記シリンダー内の前記熱可塑性ポリウレタンを加熱する加熱温度は、前記投入口から前記吐出口へ向かって低くなることを特徴とする、ポリウレタン樹脂成形体の製造方法。
  2. 前記溶融工程において、示差走査熱量測定における融解エンタルピーが8mj/mg以上である前記熱可塑性ポリウレタンが、前記投入口に投入されることを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン樹脂成形体の製造方法。
  3. 前記溶融工程において、示差走査熱量測定における吸熱ピークの温度が180℃以上である前記熱可塑性ポリウレタンが、前記投入口に投入されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のポリウレタン樹脂成形体の製造方法。
  4. 前記溶融工程において、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含むポリイソシアネート成分とポリオール成分との反応により得られた前記熱可塑性ポリウレタンが、前記投入口に投入されることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のポリウレタン樹脂成形体の製造方法。
  5. 前記加熱温度が、前記投入口から前記吐出口にわたって、前記熱可塑性ポリウレタンの溶融粘度が2000Pa・sとなる温度よりも高いことを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のポリウレタン樹脂成形体の製造方法。
JP2019051551A 2019-03-19 2019-03-19 ポリウレタン樹脂成形体の製造方法 Active JP7479792B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019051551A JP7479792B2 (ja) 2019-03-19 2019-03-19 ポリウレタン樹脂成形体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019051551A JP7479792B2 (ja) 2019-03-19 2019-03-19 ポリウレタン樹脂成形体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020151913A JP2020151913A (ja) 2020-09-24
JP7479792B2 true JP7479792B2 (ja) 2024-05-09

Family

ID=72557246

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019051551A Active JP7479792B2 (ja) 2019-03-19 2019-03-19 ポリウレタン樹脂成形体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7479792B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003507505A (ja) 1999-08-18 2003-02-25 ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト 熱可塑性ポリウレタン
JP2018184568A (ja) 2017-04-27 2018-11-22 三井化学株式会社 ポリウレタン樹脂ペレットの製造方法、および、ポリウレタン樹脂ペレット

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3963679A (en) * 1973-01-19 1976-06-15 Bayer Aktiengesellschaft Process for the production of polyurethane elastomers
DE2854409A1 (de) * 1978-12-16 1980-06-26 Bayer Ag Verfahren zur herstellung von thermoplastischen chemiewerkstoffen
JPS5715929A (en) * 1980-07-03 1982-01-27 Mitsubishi Rayon Co Ltd Bottle for cosmetic in polyester having pearly surface gloss and surface current pattern and its manufacture
EP0941289A1 (en) * 1996-11-25 1999-09-15 Dupont Dow Elastomers L.L.C. Polymer blends with controlled morphologies
JPH11227015A (ja) * 1998-02-12 1999-08-24 Denki Kagaku Kogyo Kk スチレン系樹脂の射出成形方法及びその成形品
JP2001205689A (ja) * 2000-01-26 2001-07-31 Mitsubishi Cable Ind Ltd ポリウレタン系熱可塑性エラストマーチューブの製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003507505A (ja) 1999-08-18 2003-02-25 ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト 熱可塑性ポリウレタン
JP2018184568A (ja) 2017-04-27 2018-11-22 三井化学株式会社 ポリウレタン樹脂ペレットの製造方法、および、ポリウレタン樹脂ペレット

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020151913A (ja) 2020-09-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2290303C2 (ru) Способ и устройство для непрерывного получения эластомерной композиции
TWI428232B (zh) 纖維狀充填劑高濃度配合樹脂組成物丸粒之製造方法
US6544452B1 (en) Polymer processing method and tablet-forming apparatus
JPH11254432A (ja) 顆粒状熱可塑性ポリウレタンエラストマーの連続的製造方法
CN111902446A (zh) 来自可回收原材料的热塑性聚氨酯
GB2575613A (en) Thermoplastic compositions, methods, apparatus, and uses
CN104955860B (zh) 透明疏水性热塑性聚氨酯
JP2003507505A (ja) 熱可塑性ポリウレタン
JP7479792B2 (ja) ポリウレタン樹脂成形体の製造方法
US5973013A (en) Polyamide/polyurethane micro-blend and process
CN108559126A (zh) 可发泡的高硬度热塑性聚氨酯
US5366365A (en) Means for controlling feedstock compaction in forming flexible porous pipes of controlled pore size
CN107760014B (zh) 耐溶剂型热塑性聚氨酯弹性体及其制备方法
JP7267790B2 (ja) ポリウレタン樹脂成形体の製造方法
JP6854693B2 (ja) ペレット製造装置、および、ペレットの製造方法
JP6901903B2 (ja) ポリウレタン樹脂ペレットの製造方法、および、ポリウレタン樹脂ペレット
JPH0134539B2 (ja)
JP4677171B2 (ja) ポリウレタンウレア粉末を製造する方法
JP2019155639A (ja) ペレット製造装置
JPH05214062A (ja) 熱可塑性ポリウレタンの製造方法
JPH09202819A (ja) 熱可塑性ポリウレタン樹脂の改質方法
KR20080014289A (ko) 인공지능형 투습방수 필름의 제조방법 및 그 물품
CN112004868A (zh) 基于热塑性弹性体的泡沫
CN111989360A (zh) 基于热塑性弹性体的泡沫
JPH04332719A (ja) 熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211208

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221018

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221019

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20221219

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221220

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20230307

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240424

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7479792

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150