JP7478531B2 - 調理用クリーム用の油脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、調理用クリーム用の油脂組成物に関する。
植物性油脂を原料に用いた調理用クリームは、生クリームと比較して安定性や価格において利点があるため、食品分野等で大きな需要がある。特に、加熱調理後、冷却、再加熱を要する食品の需要が高まっている。例としてはスーパーマーケットやコンビニエンスストア等で販売されている惣菜などが挙げられ、クリームを用いた食品も数多く販売されているため植物性油脂を原料に用いた調理用クリームの需要も高まっている。
加熱や酸及び、食塩に耐性のあるクリームに関する技術として、特許文献1には、ラウリン系油脂5質量%以上30質量%未満とパーム系油脂70質量%超95質量%以下とのエステル交換油脂を含有する水中油型乳化組成物が開示されている。
そして特許文献1には、該水中油型乳化組成物によって酸性下でも分離や凝集が抑制され、広範囲のpHで加熱を受けても乳化状態が安定であり、高温での加熱処理による分離や凝集も抑制できることが記載されている。
また、特許文献2には、発酵セルロース複合体を含む高油分水中油型乳化物が開示されている。
そして特許文献2には、該高油分水中油型乳化物が酸性域の食品、塩分の多い食品に添加、又は混合しても安定な乳化状態が維持できることが記載されている。
また、特許文献3には、HLBが11以上、重合度が10以上、構成脂肪酸の炭素数が18以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する水中油型乳化組成物が開示されている。
そして特許文献3には、該水中油型乳化組成物が酸性下でも分離や凝集しにくいことが開示されている。
ところで、他用途のクリームである、ホイップクリームには、流通時には液状を保つ安定性が求められる。また、ホイップクリームには、ホイップ時には速やかにホイップする解乳化性や口どけの良さが求められる。
特開2015-146787号公報 特開2015-002682号公報 特開2016-146828号公報
上記先行技術にあるように、調理にも用いられるクリームには、酸や塩の存在下で常温、若しくは加熱、冷却を経ても、分離の少ないことが求められていた。
ただ、従来、加熱、冷却、再加熱を経ても、油相の分離の少ないクリームを製造する技術については検討されていなかった(特許文献1~3 参照)。
すなわち、本発明は、酸の存在下で加熱、冷却、再加熱を経ても、油相の分離の少ない調理用クリームを製造する技術を提供することを課題とする。
また、本発明の好ましい実施の形態では、酸や塩の存在下で加熱、冷却、再加熱を経ても、水相、油相の分離の少ない調理用クリームを製造する技術を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明は、ラウリン系油脂含量が25質量%以上である、調理用クリーム用の油脂組成物である。
本発明の油脂組成物を用いることで、酸の存在下で加熱、冷却、再加熱を経ても、油相の分離の少ない調理用クリームを製造する技術を提供することができる。
本発明の好ましい実施の形態では、ラウリン系油脂含量が50質量%以上である。
ラウリン系油脂含量を下限以上とすることで、酸の存在下で加熱、冷却、再加熱を経ても、油相の分離の少ない調理用クリームを製造する技術を提供することができる。
本発明の好ましい実施の形態では、調理用クリーム用の油脂組成物は、そのパーム系油脂含量が55質量%未満である。
本発明の好ましい実施の形態の油脂組成物を用いることで、酸の存在下で加熱、冷却、再加熱を経ても、油相の分離の少ない調理用クリームを製造する技術を提供することができる。
また、本発明の好ましい実施の形態では、調理用クリーム用の油脂組成物は、その融点が35℃以上である。
本発明の好ましい実施の形態の油脂組成物を用いることで、酸や塩の存在下で加熱、冷却、再加熱を経ても、水相、油相の分離の少ない調理用クリームを製造する技術を提供することができる。
また、本発明の好ましい実施の形態では、調理用クリーム用の油脂組成物は、そのベヘン酸含有量が4質量%以上である。
本発明の好ましい実施の形態の油脂組成物を用いることで、酸や塩の存在下で加熱、冷却、再加熱を経ても、水相、油相の分離の少ない調理用クリームを製造する技術を提供することができる。
なお、ベヘン酸含有量は、基準油脂分析試験法(2.4.1.2-2013メチルエステル化法(三フッ化ホウ素-メタノール法))および2.4.2.3-2013脂肪酸組成(キャピラリーガスクロマトグラフ法)を用いて分析し得た値である。
また、本発明の好ましい実施の形態では、調理用クリーム用の油脂組成物は、60℃で30分温調した後、25℃で30分温調した後のSFCが10~70%である。
本発明の好ましい実施の形態の油脂組成物を用いることで、酸や塩の存在下で加熱、冷却、再加熱を経ても、水相、油相の分離の少ない調理用クリームを製造する技術を提供することができる。また、本発明の好ましい実施の形態の油脂組成物を用いることで、製造したソース等に十分なコクを付与することができる。
本発明によれば、酸の存在下で加熱、冷却、再加熱を経ても、油相の分離の少ない調理用クリームを製造する技術を提供することができる。
また、本発明の好ましい実施の形態によれば、酸や塩の存在下で加熱、冷却、再加熱を経ても、水相、油相の分離の少ない調理用クリームを製造する技術を提供することができる。
本明細書において、「調理用クリーム」は、本発明の油脂組成物を用い製造した水中油型乳化組成物である。一般に「調理用クリーム」は、食品や調味料を混合し、調理に供するために調製される。ここで、調理には、塩の添加、酸性食品(トマトソース、ワイン、フルーツ等)との混合、加熱・冷却等を含む。
また、「油脂組成物」は、水中油型乳化組成物を製造するために用いられる植物性油脂の混合物を意味する。また、「油脂」は、油脂組成物を調製するために用いられる各構成成分を意味する。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施形態に限定されないことは言うまでもない。
<調理用クリーム用の油脂組成物>
本発明の油脂組成物は、そのラウリン系油脂含量が25質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。
ラウリン系油脂含量が下限以上であることで、酸の存在下で加熱、冷却、再加熱を経ても、油相の分離の少ない調理用クリームを製造することができる。
ここで、ラウリン系油脂は、油脂におけるラウリン酸残基の構成割合が30%以上の油脂をいう。ラウリン系油脂としては、パーム核油、ヤシ油、またはそれらを分別、硬化、エステル交換等を行った油脂が挙げられる。
なお、複数成分の油脂を混合しエステル交換した油脂である場合には、該エステル交換油におけるラウリン系油脂の構成割合を基に算出した値を、ラウリン系油脂含量として用いることができる。
また、エステル交換は、当該技術分野で公知の方法で行うことができる。本発明では、ランダムエステル交換反応方法により得られたエステル交換油を用いることが好ましい。
ここで、ランダムエステル交換は、例えば、ナトリウムメチラート、水酸化ナトリウム等を触媒としてエステル交換を行う化学的な方法、非選択的リパーゼ等を触媒としてエステル交換を行う酵素的な方法に従って行うことができる。本発明では、特に、化学的な方法でランダムエステル交換反応を行うことにより得られたエステル交換油を用いることが、より好ましい。
本明細書において、「硬化」とは、水素添加によって不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸にすることである。また、「極度硬化」とは、水素添加によってヨウ素価を4以下まで下げることである。水素添加の方法は当該記述分野で公知の方法により適宜行うことができる。例えば、ニッケル触媒下で水素添加し、得ることができる。
また、本発明の油脂組成物は、そのラウリン酸含有量が好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、より好ましくは24質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、特に好ましくは45質量%以上である。
ラウリン酸含有量が下限以上であり、かつ、ラウリン系油脂含量が25質量%以上であることで、酸の存在下で加熱、冷却、再加熱を経ても、油相の分離の少ない調理用クリームを製造することができる。
また、油脂組成物中のラウリン酸含有量は、60質量%以下を目安とすることができる。
なお、ラウリン酸含有量は、基準油脂分析試験法(2.4.1.2-2013メチルエステル化法(三フッ化ホウ素-メタノール法))および2.4.2.3-2013脂肪酸組成(キャピラリーガスクロマトグラフ法)を用いて分析し得た値である。
また、本発明の油脂組成物のパーム系油脂含量は、好ましくは55質量%未満、より好ましくは40質量%未満、より好ましくは30質量%未満、より好ましくは20質量%未満、より好ましくは15質量%未満、さらに好ましくは10質量%未満、さらに好ましくは5質量%未満である。
パーム系油脂含量が上限以下であり、かつ、ラウリン系油脂含量が25質量%以上であることで、酸の存在下で加熱、冷却、再加熱を経ても、油相の分離の少ない調理用クリームを製造することができる。
ここで、本明細書において、パーム系油脂は、アブラヤシの果実から得られる植物油をいう。
パーム系油脂としては、パーム油、またはパーム油を分別、硬化、エステル交換等を行った油脂が挙げられる。
また、本発明の油脂組成物は、その融点が好ましくは35℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは45℃以上である。
融点が下限以上であり、かつ、ラウリン系油脂含量が25質量%以上であることで、酸や塩の存在下で加熱、冷却、再加熱を経ても、水相、油相の分離の少ない調理用クリームを製造することができる。
本発明の油脂組成物は、融点60℃以下を目安とすることができる。
なお、油脂組成物の融点は、例えば、基準油脂分析試験法(2.2.4.2-1996 融点 (上昇融点))に従い、分析することができる。
また、本発明の油脂組成物は、そのベヘン酸含有量が好ましくは4質量%以上、より好ましくは6質量%以上、より好ましくは8質量%以上、特に好ましくは10質量%以上である。
ベヘン酸含有量が下限以上であり、かつ、ラウリン系油脂含量が25質量%以上であることで、酸や塩の存在下で加熱、冷却、再加熱を経ても、水相、油相の分離の少ない調理用クリームを製造することができる。
また、ベヘン酸含有量は、55質量%以下を目安とすることができる。
ここで、油脂組成物中のベヘン酸含有量は、油脂組成物中の各油脂が備える脂肪酸組成を基に、算出した値を用いることができる。
なお、ベヘン酸含有量は、基準油脂分析試験法(2.4.1.2-2013メチルエステル化法(三フッ化ホウ素-メタノール法))および2.4.2.3-2013脂肪酸組成(キャピラリーガスクロマトグラフ法)を用いて分析し得た値である。
また、SFC(固体脂含量)に関し、本発明の油脂組成物は以下の特徴を有することがさらに好ましい。
60℃で30分温調した後、25℃で30分温調した後のSFCは好ましくは10~70であり、より好ましくは30~70、さらに好ましくは30~60である。
上記特徴を有する油脂組成物を用いることで、酸や塩の存在下で加熱、冷却、再加熱を経ても、水相、油相の分離の少ない調理用クリームを製造することができる。また、本発明の好ましい実施の形態の油脂組成物を用いることで、製造したソース等に十分なコクを付与することができる。
なお、油脂組成物のSFCは、例えば、基準油脂分析試験法(2.2.9-2013 固体含有量(NMR法))に従い、分析することができる。
また、本発明の油脂組成物に関し、ヨウ素価は、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、より好ましくは25以下、さらに好ましくは20以下、特に好ましくは5以下である。
油脂組成物のヨウ素価は、例えば、基準油脂分析試験法(2.3.4.1-2013ヨウ素価(ウィイス-シクロヘキサン法))に従い、分析することができる。
以上の特徴を有する油脂組成物を用いることで、酸や塩の存在下で加熱、冷却、再加熱を経ても、水相、油相の分離の少ない調理用クリームを製造することができる。
ここで、本発明の油脂組成物は、常温液体の油脂を極度硬化処理した油脂であって、硬化処理後の油脂の融点が50℃以上の油脂(極度硬化油)をさらに含有することが好ましい。
上記特徴を有する極度硬化油として、炭素数18以上の不飽和脂肪酸を50%以上含む油脂を極度硬化処理したものを好ましく挙げることができる。
ここで、炭素数18以上の不飽和脂肪酸を50%以上含む油脂としては、例えば、菜種油、大豆油、コーン油、オリーブ油、サフラワー油、綿実油、落花生油、ひまわり油、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイック菜種油、ハイエルシン酸菜種油又はこれらの混合油を挙げることができる。中でも、炭素数18以上の不飽和脂肪酸を50%以上含む油脂として、ハイエルシン酸菜種油、菜種油を用いることが好ましい。
本発明の好ましい形態では、上記の極度硬化油を5質量%~40質量%含み、好ましくは7質量%~30質量%含み、さらに好ましくは10質量%~15質量%含む。
常温液体の油脂を極度硬化処理した油脂であって、硬化処理後の油脂の融点が50℃以上の油脂(極度硬化油)をさらに含有する形態として、ラウリン系油脂と該極度硬化油をエステル交換した油脂を含有する形態とすることもできる。この場合におけるラウリン系油脂と該極度硬化油の比率は、好ましくは20:80~80:20、より好ましくは30:70~70:30、さらに好ましくは45:55~55:45の割合である。
以下、本発明の油脂組成物のより好ましい形態について説明する。
・油脂組成物の形態1
ヤシ油とハイエルシン酸菜種極度硬化油を、好ましくは20:80~80:20、より好ましくは30:70:~70:30、さらに好ましくは45:55~55:45の割合で混合したものをエステル交換した油脂を、好ましくは20質量%以上含み、好ましくは40質量%以上含み、さらに好ましくは80質量%以上含む。
・油脂組成物の形態2
パーム核極度硬化油を、好ましくは20質量%以上含み、好ましくは40質量%以上含み、さらに好ましくは60質量%以上、特に好ましくは80質量%以上含む。
ここで、油脂組成物の形態2は、前述の極度硬化油をさらに含むことが好ましい。
特に好ましい形態では、前述の極度硬化油を5質量%~40質量%含み、好ましくは7質量%~30質量%含み、さらに好ましくは10質量%~15質量%含む。
・油脂組成物の形態3
ヤシ極度硬化油を、好ましくは20質量%以上含み、好ましくは40質量%以上含み、さらに好ましくは60質量%以上、特に好ましくは80質量%以上含む。
ここで、油脂組成物の形態3は、前述の極度硬化油をさらに含むことが好ましい。
特に好ましい形態では、前述の極度硬化油を5質量%~40質量%含み、好ましくは7質量%~30質量%含み、さらに好ましくは10質量%~15質量%含む。
上記特徴を有する油脂組成物を用いることで、酸や塩の存在下で加熱、冷却、再加熱を経ても、水相、油相の分離の少ない調理用クリームを製造することができる。
<調理用クリーム(水中油型乳化組成物)>
本発明の調理用クリーム(水中油型乳化組成物)は、水相と油相からなり、上述した本発明の油脂組成物(植物性油脂)を油相に含む。水相と油相の質量比は適宜設定することができるが、好ましくは90:10~40:60、より好ましくは80:20~50:50、さらに好ましくは75:25~50:50である。
本発明の調理用クリーム(水中油型乳化組成物)は、一般的な製造方法により製造できるが、以下、代表的な方法を詳述する。
まず、使用する乳化剤が親油性である場合は原料となる油脂の一部または全部に、乳化剤を添加し溶解ないし分散させて油相部を調製する。このような親油性の乳化剤としては、例えばレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド等従来公知の乳化剤のうち低HLBの乳化剤が例示でき、本発明においてはこれらのいずれを適宜組み合わせて使用してもよい。
また、バターオイル、バターを由来とする乳脂肪を用いる場合には、これらを必要に応じて加熱融解して油相部を調製する。乳脂肪を含む油相部と、上述した植物性油脂からなる本発明の調理用クリーム用油脂組成物を含む油相部は、混合した後、水相部に添加してもよく、また各々添加してもよい。また、生クリーム、牛乳を用いる場合には、予め水相部と混合してから本発明の調理用クリーム用油脂組成物を含む油相部を混合しても良い。
ここで、水相部は、水に対し、カゼインナトリウム、脱脂粉乳、糖類や必要に応じて、蔗糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、クエン酸ナトリウム、トリポリりん酸ナトリウム、第二りん酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ヘキサメタりん酸ナトリウム、増粘多糖類、香料などを添加し調製することができる。
そして、油相部と水相部を50℃~85℃の温度に加温し、混合して予備乳化を行い、予備乳化後、ホモゲナイザーで均質化し、バッチ式殺菌法、または間接加熱方式あるいは直接加熱方式によるUHT滅菌処理法により滅菌し、冷却しエージングすることにより、水中油型乳化組成物を製造することができる。ここで、殺菌工程は、均質化工程の前に行ってもよい。また、均質化工程を複数回行う場合、各回の均質化圧力は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
本発明の調理用クリーム(水中油型乳化組成物)は、常法により各種食品と混合して用いることができる。この際、酸や塩を混合することが、本発明の目的との兼ね合いから、望ましい。
具体的には、前記調理用クリーム(水中油型乳化組成物)は、ホワイトソース、パスタソース、スープの原料として用いることができる。
以下に実施例を用いて、より詳細に本発明について説明する。本実施例において、%(パーセント)による表記は、特に断らない限り質量を基準としたものである。
本試験に用いた油脂は以下の通りである。
・ヤシ油とハイエルシン酸菜種極度硬化油(ヤシ油:ハイエルシン菜種極度硬化油=50:50)のエステル交換油
ハイエルシン酸菜種油をニッケル触媒下でヨウ素価4以下になるまで水素添加し、ハイエルシン酸菜種油極度硬化油を得た。
得たハイエルシン酸菜種油極度硬化油とヤシ油を50:50の割合で混合し、0.12%のナトリウムメチラートを触媒とし、90℃で15分間、ランダムエステル交換反応を行い、脱色、脱臭をすることにより得た。
・パーム核極度硬化油
パーム核油をニッケル触媒下でヨウ素価4以下になるまで水素添加し、脱色、脱臭をすることにより得た。
・ヤシ極度硬化油
ヤシ油をニッケル触媒下でヨウ素価4以下になるまで水素添加し、脱色、脱臭をすることにより得た。
・パーム核油
パーム核油を脱色、脱臭をすることにより得た。
・パーム油
パーム油を脱色、脱臭をすることにより得た。
・パームステアリン
パーム油を自然分別、溶剤分別、界面活性剤分別等により低融点部、高融点部に分画し、高融点部を脱色、脱臭することにより得た。
・ハイオレイック菜種油
ハイオレイック菜種油を脱色、脱臭をすることにより得た。
・ハイエルシン酸菜種極度硬化油
ハイエルシン酸菜種油をニッケル触媒下でヨウ素価4以下になるまで水素添加し、脱色、脱臭をすることにより得た。
・菜種極度硬化油
菜種油をニッケル触媒下でヨウ素価4以下になるまで水素添加し、脱色、脱臭をすることにより得た。
本試験では、特定の油脂組成物を含む水中油型乳化組成物(本明細書における、調理用クリームに相当)に加熱下で酸や塩を添加した後、冷却、再加熱した際の水相、油相の分離、ホワイトソースでの風味を検証した。
(1)水中油型乳化組成物(調理用クリーム)の製造
表2に示す油脂組成物45質量部に、コハク酸モノグリセリド0.32質量部を加え、油相部を調製した。また、水50.4質量部に脱脂粉乳4質量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル0.08質量部、メタリン酸Na0.18質量部を加えた後、分散させて水相部を調製した(表1 参照)。
調製した油相部と水相部を混合し、65℃で予備乳化を行い、次いで85℃条件での加熱殺菌を行った。その後、15MPa、2MPaの圧力下で均質化処理を行った。
均質化処理の後、5~10℃となるまで冷却し、5℃、1晩のエージングすることで、本試験に供する水中油型乳化組成物(調理用クリーム)を得た。
各油脂組成物の成分組成及び物性を表2に示す。なおハイオレイック菜種油(比較例3)は液体油であるため、融点は、基準油脂分析試験法により測定不可能である。
ここで、融点は、基準油脂分析試験法(2.2.4.2-1996 融点(上昇融点))に準じて測定した。
また、SFC(固体脂含量)は基準油脂分析試験法(2.2.9-2003 固体脂含量 NMR法))に準じて測定した。
また、ヨウ素価は、基準油脂分析試験法(2.3.4.1-2013ヨウ素価(ウィイス-シクロヘキサン法))に従い、分析した。
また、構成脂肪酸は、基準油脂分析試験法(2.4.1.2-2013メチルエステル化法(三フッ化ホウ素-メタノール法))および2.4.2.3-2013脂肪酸組成(キャピラリーガスクロマトグラフ法)を用いて分析した。
(2)水中油型乳化組成物(調理用クリーム)の評価及び、評価結果
製造した実施例及び比較例の水中油型乳化組成物(調理用クリーム)を、以下に示す方法で評価した。
1.加熱冷却試験
1-1 耐塩評価
製造した水中油型乳化組成物(調理用クリーム)を水で3倍希釈し、3倍希釈後の水中油型乳化組成物(50g)を75℃まで熱した。3倍希釈後の水中油型乳化組成物(50g)に食塩を対希釈後水中油型乳化組成物0.75%量添加し、90℃の湯で30分間湯煎した。
加熱後、調製した水中油型乳化組成物を遠沈管に移し、20℃雰囲気下で1時間放冷後、5℃雰囲気下で一晩静置した。静置後、遠沈管を遠心分離(3000rpm、3min)処理した。
油脂組成物を専門とする評価者により、遠心分離後の調製した水中油型乳化組成物の下層の濃さを目視で確認することで、遠心分離後の水相分離の程度を評価した。
◎:分離無し、○:僅かに分離あり、△:分離あり、×:激しく分離
1-2 耐酸評価
製造した水中油型乳化組成物(調理用クリーム)を水で3倍希釈し、3倍希釈後の水中油型乳化組成物(50g)を75℃まで熱した。10%酸性水溶液(pH3.0 クエン酸とクエン酸三ナトリウムを用い調製)を対希釈後水中油型乳化組成物0.75%量添加し90℃の湯で30分間湯煎した。
加熱後、調製した水中油型乳化組成物を遠沈管に移し、20℃雰囲気下で1時間放冷後、5℃雰囲気下で一晩静置した。静置後、遠沈管を遠心分離(3000rpm、3min)処理した。
油脂組成物を専門とする評価者により、遠心分離後の調製した水中油型乳化組成物の下層の濃さを目視で確認することで、遠心分離後の水相分離の程度を評価した。
◎:分離無し、○:僅かに分離あり、△:分離あり、×:激しく分離
2.再加熱試験
2-1.耐塩評価
製造した水中油型乳化組成物(調理用クリーム)を水で3倍希釈し、3倍希釈後の水中油型乳化組成物(50g)を75℃に熱した。食塩を対希釈後水中油型乳化組成物0.75%量添加し、90℃の湯で30分間湯煎した。
加熱後、調製した水中油型乳化組成物を20℃雰囲気下で1時間放冷後、5℃雰囲気下で一晩静置した。静置後、65℃となるまで、再度湯煎した。湯煎後、調製した水中油型乳化組成物を遠沈管に移して遠心分離(3000rpm、3min)処理した。
油脂組成物を専門とする評価者により、遠心分離後の調製した水中油型乳化組成物の下層の濃さを目視で確認することで、遠心分離後の水相分離の程度を評価した。
◎:分離無し、○:僅かに分離あり、△:分離あり、×:激しく分離
2-2. 耐酸評価
製造した水中油型乳化組成物(調理用クリーム)を水で3倍希釈し、3倍希釈後の水中油型乳化組成物(50g)を75℃に熱した。10%酸性水溶液(pH3.0 クエン酸とクエン酸三ナトリウムを用い調製)を対希釈後水中油型乳化組成物0.75%量添加し、90℃の湯で30分間湯煎した。
加熱後、調製した水中油型乳化組成物を20℃雰囲気下で1時間放冷後、5℃雰囲気下で一晩静置した。静置後、65℃となるまで、再度湯煎した。湯煎後、調製した水中油型乳化組成物を遠沈管に移して遠心分離(3000rpm、3min)処理した。
油脂組成物を専門とする評価者により、遠心分離後の調製した水中油型乳化組成物の下層の濃さを目視で確認することで、遠心分離後の水相分離の程度を評価した。
◎:分離無し、○:僅かに分離あり、△:分離あり、×:激しく分離
また、油脂組成物を専門とする評価者により、遠心分離後の調製した水中油型乳化組成の油相の分離の度合いを目視で確認することで、遠心分離後の油相分離の評価をおこなった。
○:分離なし、×:分離あり
3.ホワイトソース試験
1Lのステンレス容器に市販のホワイトソースルウ(ハインツ日本株式会社 製)40gと水で3倍希釈した水中油型乳化組成物40gを入れ、混合、加熱し、試験に供するホワイトソースを製造した。
製造したホワイトソースについて、油脂組成物を専門とする評価者5名により、風味を評価した。
3:コクがあり、濃厚感を感じる、2:ややコクがある、1:コクが少なくすっきりしている
評価結果を、表3に示す。
(3)考察
表3に示す通り、ラウリン系油脂含量が25質量%以上である油脂組成物を用いて製造した水中油型乳化組成物(調理用クリーム)は、再加熱試験における耐酸能を奏することがわかった。
また、ラウリン系油脂含量が25質量%以上であり、かつ、パーム系油脂含量が55質量%未満である油脂組成物を用いて製造した水中油型乳化組成物(調理用クリーム)は、再加熱試験における耐酸能を奏することがわかった。
表3における、実施例1~6と実施例7、8の比較から、ラウリン系油脂含量が25質量%以上であり、かつ、融点が35℃以上である水中油型乳化組成物(調理用クリーム)は、加熱冷却試験及び再加熱試験における耐塩能を奏することがわかった。また、60℃で30分温調後、25℃で30分温調した後のSFCが10%~70%の水中油型乳化組成物(調理用クリーム)を用い製造したホワイトソースは、コクがあり、濃厚感を感じるものであることがわかった。
特に、実施例1、5、6と実施例2、3、4の比較から、ラウリン系油脂含量が25質量%以上であり、かつ、融点が43℃以上である水中油型乳化組成物(調理用クリーム)は、加熱冷却試験及び再加熱試験における耐塩能を奏することがわかった。
また、実施例1、3、4、5と、実施例2、6の比較から、ラウリン系油脂含量が25質量%以上であり、かつ、ベヘン酸含有量が4質量%以上である水中油型乳化組成物(調理用クリーム)は、再加熱試験における耐塩能を奏することがわかった。
本発明は、水中油型乳化組成物(調理用クリーム)の製造に利用できる。

Claims (7)

  1. ラウリン系油脂含量が25質量%以上であり、ベヘン酸含有量が4質量%以上であり
    ホワイトソース、パスタソースもしくはスープの原料として用いられ、加熱調理後、冷却、再加熱される調理用クリーム用である、
    調理用クリーム用の油脂組成物。
  2. ラウリン系油脂含量が50質量%以上である、請求項1に記載の調理用クリーム用の油脂組成物。
  3. パーム系油脂含量が55質量%未満である、請求項1又は2に記載の調理用クリーム用の油脂組成物。
  4. 融点が35℃以上である、請求項1~3の何れか1項に記載の調理用クリーム用の油脂組成物。
  5. ヨウ素価が5以下である、請求項1~4の何れか1項に記載の調理用クリーム用の油脂組成物。
  6. 60℃で30分温調後、25℃で30分温調した後のSFCが10%~70%である、請求項1~5の何れか1項に記載の調理用クリーム用の油脂組成物。
  7. 請求項1~6の何れか1項記載の油脂組成物を含むことを特徴とする、水中油型乳化組成物。
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