JP7477182B2 - Ctla-4阻害活性を有する環状ペプチド、及びその用途 - Google Patents

Ctla-4阻害活性を有する環状ペプチド、及びその用途 Download PDF

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Description

本発明は、CTLA-4とCD80/CD86の結合を阻害する環状ペプチド、及びその用途に関する。
従来の医薬品の中心であった低分子医薬品は、標的分子への特異性が低く、毒性や副作用が起こりやすい、低分子であるためにタンパク質相互作用阻害には不向きである、といった課題がある。また近年多くの製薬会社で開発されている抗体医薬品は、細胞内に入りにくいため、細胞内標的分子への適用が難しい、経口投与が困難である、製造コストが高い、といった課題が挙げられる。そこで、最近、これらの低分子医薬品と抗体医薬品の双方の問題を補う理想的な医薬品として、ペプチドによる中分子医薬品の開発が進められている(非特許文献1) 。
環状ペプチドは、直鎖ペプチドよりも標的分子への特異性、安定性、及び膜透過性に優れていることが知られている(非特許文献2)。所望の活性を有する環状ペプチドは、ファージディプレイ(非特許文献3)やmRNAディプレイ(非特許文献4及び5)等の試験管内選択実験によって、効率よく取得することができる。また、所望の活性を有する環状ペプチドを、細胞内で酵素的に調製し選択することもできる(非特許文献6)。
リボソームディスプレイ(特許文献1)は、ファージディスプレイやmRNAディスプレイと同様に、試験管内選択法の1つである。最近、本発明者らは、翻訳に必要な因子を個々に調製し、それらを再構成した無細胞翻訳系であるPUREsystemを使い、さらにリボソームディスプレイ用に最適化した新規リボソームディスプレイシステム(特許文献2)を開発した。このリボソームディスプレイシステムにおいては、S-S結合形成に最適な酸化剤と還元剤の濃度を自由に設定でき、かつ様々な分子シャペロン(例えばDsbC, PDI, GroEL-ES, DnaK等)の添加、組み合わせが可能である。
CTLA-4(cytotoxic T-lymphocyte-associated protein 4)、PD-1(Programmed death 1)等の免疫チェックポイント分子は、T細胞の免疫機能に対する負の調節因子であり、これらの分子の機能阻害は免疫系の活性化をもたらし、治療薬として臨床応用されている。CTLA-4に関しては、抗CTLA-4抗体がCTLA-4とCD80/CD86の相互作用を阻害し、癌の増殖を抑制する事が示された(非特許文献7)。しかしながら、CTLA-4の機能を阻害する中分子医薬品は、未だ開発されていない。
特開2008-271903号公報 米国特許出願公開第2012/231496号明細書
Zorzi, A. et al., Curr. Opin. Chem. Biol.,(2017),38,24-29 Roxin, A. and Zheng, G., Future Med. Chem.,(2012),4(12),1601-1618 Desimmie, B. A. et al., Molecular Therapy,(2012),20(11),2064-2075 Guillen Schlippe, Y. V. et al., J. Am. Chem. Soc.,(2012),134,10469-10477 Bashiruddin, N. K. and Suga, H., Curr. Opin. Chem. Biol.,(2015),24,131-138 Tavassoli, A., Curr. Opin. Chem. Biol.,(2017),38,30-35 Leach, D. R. et al., Science,(1996),271(5256),1734-1736
本発明は、CTLA-4の機能を阻害する環状ペプチドを提供することを目的とする。
本発明者らは、環状ペプチド内の2つのシステイン間におけるS-S結合形成に最適化した条件下でリボソームディスプレイによる選択試験を行うことにより、CTLA-4に特異的に結合する複数の環状ペプチドを取得することに成功した。この環状ペプチドは、CTLA-4とCD80との相互作用を阻害した。Affinity Maturationを実施することにより、多数の高親和性CTLA-4バインダーを得ることができた。更に、Alanine scanningを実施することにより、CTLA-4への結合に必要最小限のアミノ酸残基を同定することに成功した。本発明者らは、これらの知見に基づき、更に検討を進め、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下に関する。
[1]環内に、式(I)
X1-His-Pro-X4-Leu-X6-X7-X8-Ser-X10-His-Phe (I)
で表されるアミノ酸配列を含み、ヒトCTLA-4に特異的に結合する活性を有する、環状ペプチドであって、
X1、X4、X6、X7、X8及びX10は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である、環状ペプチド。
[2]式(II)
X0-X1-His-Pro-X4-Leu-X6-X7-X8-Ser-X10-His-Phe-X00 (II)
で表されるアミノ酸配列を含み、
X1、X4、X6、X7、X8及びX10は、式(I)におけるものと同義であり、
X0及びX00は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸であり、
X0とX00との間の分子内結合により環化している、
[1]に記載の環状ペプチド。
[3]式(III)
(Y)m-X0-X1-His-Pro-X4-Leu-X6-X7-X8-Ser-X10-His-Phe-X00-(Z)n (III)
で表されるアミノ酸配列を含み、
X0、X1、X4、X6、X7、X8、X10及びX00は、式(II)におけるものと同義であり、
(Y)mは、m個のアミノ酸長を有するアミノ酸配列であり、
(Z)nは、n個のアミノ酸長を有するアミノ酸配列であり、
mは、0、1及び2からなる群から選択されるいずれかの整数であり、
nは、0、1及び2からなる群から選択されるいずれかの整数である、
[2]に記載の環状ペプチド。
[4]X0及びX00は、それぞれ独立して、チオール基を含有する側鎖を有するアミノ酸である、
[2]又は[3]に記載の環状ペプチド。
[5]X0は、Cysであり、
X00は、Cysである、
[4]に記載の環状ペプチド。
[6]X0の側鎖チオール基とX00の側鎖チオール基との間の分子内ジスルフィド結合により環化している、[4]又は[5]に記載の環状ペプチド。
[7]X6は、Leu、Pro、Gln、Lys又はArgであり、
X7は、Val、Leu、Ile又はThrである、
[1]~[6]のいずれかに記載の環状ペプチド。
[8]X6は、Proであり、
X7は、Ileである、[7]に記載の環状ペプチド。
[9]nは2であり、
(Z)nは、X+1-X+2で表されるアミノ酸配列からなり、
X+1及びX+2は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である、
[3]~[8]のいずれかに記載の環状ペプチド。
[10]mは2であり、
(Y)mは、X-2-X-1で表されるアミノ酸配列からなり、
X-2及びX-1は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である、
[3]~[8]のいずれかに記載の環状ペプチド。
[11]X-2は、Glyであり、
X-1は、Gly、Ser又はAspである、
[10]に記載の環状ペプチド。
[12]式(I)で表されるアミノ酸配列が、
(1a)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位から第15位までのアミノ酸配列、又は
(2a)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位から第15位までのアミノ酸配列において、X1、X4、X6、X7、X8及びX10から選択される少なくとも1に相当するアミノ酸の置換を有するアミノ酸配列
からなる、[1]~[11]のいずれかに記載の環状ペプチド。
[13]式(II)で表されるアミノ酸配列が、
(1b)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第3位から第16位までのアミノ酸配列、又は
(2b)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第3位から第16位までのアミノ酸配列において、X1、X4、X6、X7、X8及びX10から選択される少なくとも1に相当するアミノ酸の置換を有するアミノ酸配列
からなる、[2]~[12]のいずれかに記載の環状ペプチド。
[14]式(III)で表されるアミノ酸配列が、
(1c)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列、又は
(2c)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列において、X-2、X-1、X1、X4、X6、X7、X8、X10、X+1及びX+2から選択される少なくとも1に相当するアミノ酸の置換を有するアミノ酸配列
からなる、[3]~[13]のいずれかに記載の環状ペプチド。
[15]ヒトCTLA-4とヒトCD80との相互作用を阻害する活性を有する、[1]~[14]のいずれかに記載の環状ペプチド。
[16][1]~[15]のいずれかに記載の環状ペプチド、及び医薬として許容される担体又は賦形剤を含む、医薬組成物。
[17]CTLA-4阻害用である、[16]に記載の医薬組成物。
[18]T細胞活性化用である、[16]に記載の医薬組成物。
[19]腫瘍の予防又は治療用である、[16]に記載の医薬組成物。
[20][1]~[15]のいずれかに記載の環状ペプチドを含む、CTLA-4阻害剤。
[21]対象に対して、[1]~[15]のいずれかに記載の環状ペプチドの有効量を投与することを含む、当該対象における腫瘍の予防又は治療方法。
[22]腫瘍の予防又は治療において使用するための、[1]~[15]のいずれかに記載の環状ペプチド。
[23]腫瘍の予防又は治療用の医薬組成物を製造するための、[1]~[15]のいずれかに記載の環状ペプチドの使用。
本発明により、CTLA-4の機能を阻害する環状ペプチドが提供される。本発明の環状ペプチドは、免疫チェックポイント阻害剤として有用であり、CTLA-4の機能阻害により治療又は予防することが可能な疾患(例、癌)に対する治療又は予防薬への適用が期待できる。
環状ペプチドランダムライブラリの配列情報を示す。5’FLAGタグ配列と3’c-Mycタグ配列を四角囲いで示し、ランダム配列(NNS)を斜体で示す。2つのシステイン残基には下線を付す。GG Linkerは2つのGlycine残基からなるLinkerを意味する。 pET-Malベクターの模式図を示す。環状ペプチド遺伝子をMBP遺伝子の下流に位置するEcoRI-HindIII部分に挿入することにより、MBP融合タンパク質発現ベクターを構築した。 CTLA-4-Fcに対するリボソームディスプレイによる選択実験の結果を示す。選択ラウンド毎にmRNA回収量が増加した。 Ribosome Display pull down assayの結果を示す。No.2以外の全てのクローンはCTLA-4 FcとHuman Fcの両方に結合しているので、Fc部分に特異的に結合するクローンである。 細胞表面上に発現したCTLA-4に対する合成ペプチドのFACS解析による親和性測定の結果を示す。 Alanine Scanningの結果を示す。
I.定義
<ペプチド>
本明細書において、「ペプチド」、「オリゴペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、交換可能に使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーを意味する。このポリマーは、直鎖であっても分岐していてもよく、環状であってもよい。
<アミノ酸>
本明細書において、用語「アミノ酸」は、その最も広い意味で使用され、天然アミノ酸に加え、人工のアミノ酸変異体や誘導体を包含する。例えば、天然タンパク質原性アミノ酸、非タンパク質原性アミノ酸、及びアミノ酸の特徴である当業界で公知の特性を有する化学的に合成された化合物等が用語「アミノ酸」に包含される。個々のアミノ酸は、適宜、L型またはD型の立体配置を有し得るが、典型的には、L型の立体配置が全てのアミノ酸に対し使用される。本明細書においてアミノ酸を表す際に、当業界で受け入れられている3文字または1文字略語を使用する場合がある。「D」が前に付く場合を除き、アミノ酸は、L-アミノ酸を指す。また、アミノ基の置換する位置が特に特定されていない場合、アミノ酸は、α-アミノ酸を指す。L-アミノ酸は、大文字の1文字また3文字記号では最初の1文字の大文字で示され、D-アミノ酸は、小文字の1文字あるいは小文字の3文字記号で示される。
天然タンパク質原性アミノ酸には、アラニン(AまたはAla)、システイン(CまたはCys)、アスパラギン酸(DまたはAsp)、グルタミン酸(EまたはGlu)、フェニルアラニン(FまたはPhe)、グリシン(GまたはGly)、ヒスチジン(HまたはHis)、イソロイシン(IまたはIle)、リジン(KまたはLys)、ロイシン(LまたはLeu)、メチオニン(MまたはMet)、アスパラギン(NまたはAsn)、プロリン(PまたはPro)、グルタミン(QまたはGln)、アルギニン(RまたはArg)、セリン(SまたはSer)、スレオニン(TまたはThr)、バリン(VまたはVal)、トリプトファン(WまたはTrp)、およびチロシン(YまたはTyr)が包含される。
非タンパク質原性アミノ酸(non-proteinogenic amino acids)とは、天然タンパク質原性アミノ酸以外の天然又は非天然のアミノ酸を意味する。非タンパク質原性アミノ酸としては、以下を例示することが出来る:
1.天然タンパク質原性アミノ酸の異性体
(1)鏡像異性体(D-アミノ酸)
例えば、D-アラニン(aまたはala)、D-システイン(cまたはcys)、D-アスパラギン酸(dまたはasp)、D-グルタミン酸(eまたはglu)、D-フェニルアラニン(fまたはphe)、D-ヒスチジン(hまたはhis)、D-イソロイシン(iまたはile)、D-リジン(kまたはlys)、D-ロイシン(lまたはleu)、D-メチオニン(mまたはmet)、D-アスパラギン(nまたはasn)、D-プロリン(pまたはpro)、D-グルタミン(qまたはgln)、D-アルギニン(rまたはarg)、D-セリン(sまたはser)、D-スレオニン(tまたはthr)、D-バリン(vまたはval)、D-トリプトファン(wまたはtrp)、およびD-チロシン(yまたはtyr)を挙げることができる。
(2)ジアステレオマー
例えば、アロスレオニン(alThr)(L体又はD体)、アロイソロイシン(AIle)(L体又はD体)を挙げることができる。
(3)α位以外の炭素にアミノ基を有するアミノ酸(β-アミノ酸、γ-アミノ酸等)
例えば、β-アラニン(bAla)、β-ロイシン(bLeu)、β-メチオニン(bMet)、β-フェニルアラニン(bPhe)、β-チロシン(bTyr)、β-システイン(bCys)、β-セリン(bSer)、β-スレオニン(bThr)、β-アスパラギン(bAsn)、β-グルタミン(bGln)、β-アスパラギン酸(bAsp)、β-グルタミン酸(bGlu)、β-リジン(bLys)、β-アルギニン(bArg)、β-ヒスチジン(bHis)を挙げることができる。
(4)β位のカルボン酸でペプチド結合しているアミノ酸
例えば、イソアスパラギン酸(iAsp)、イソグルタミン酸(iGlu)を挙げることが出来る。
(5)側鎖の異性体
例えば、ノルロイシン(Nle)、tert-ロイシン(Tle)、ノルバリン(Nva)を挙げることが出来る。
2.置換された天然タンパク質原性アミノ酸
(1)主鎖に余分のアルキレン基を有するアミノ酸
アルキレン基は、好ましくは炭素数1~4の直鎖状のアルキレン基である。炭素数1のアルキレン基(即ち、メチレン基)の場合、置換された天然タンパク質原性アミノ酸はβ-ホモアミノ酸であり得る。β-ホモアミノ酸としては、例えば、β-ホモアラニン(Bha)、β-ホモバリン(Bhv)、β-ホモロイシン(Bhl)、β-ホモイソロイシン(Bhi)、β-ホモメチオニン(Bhm)、β-ホモフェニルアラニン(Bhf)、β-ホモトリプトファン(Bhw)、β-ホモチロシン(Bhy)、β-ホモシステイン(Bhc)、β-ホモセリン(Bhs)、β-ホモスレオニン(Bht)、β-ホモアスパラギン(Bhn)、β-ホモグルタミン(Bhq)、β-ホモアスパラギン酸(Bhe)、β-ホモグルタミン酸(Bhe)、β-ホモリジン(Bhk)、β-ホモアルギニン(Bhr)、β-ホモヒスチジン(Bhh)等を挙げることができる。
メチレン基以外のアルキレン基の場合としては、例えば、3-アミノ酪酸(3Abu)、4-アミノ酪酸(4Abu)、6-アミノヘキサン酸(εAhx)、5-アミノ吉草酸(δAva)等を挙げることができる。
(2)主鎖の窒素原子に置換基を有するアミノ酸(N-置換アミノ酸)
置換基の種類は特に限定されないが、例えば、アルキル基、ホルミル基を挙げることが出来る。アルキル基は、好ましくは炭素数1~6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、直鎖状C1-6アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基を挙げることが出来る。分岐鎖C1-6アルキル基としては、例えば、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、イソヘキシル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル等が挙げられる。アルキル基は、アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基等により置換されていてもよい。
N-置換アミノ酸としては、例えば、N-メチルグリシン(サルコシン)、N-メチルアラニン(MeAla)、N-メチルバリン(MeVal)、N-メチルロイシン(MeLeu)、N-メチルイソロイシン(MeIle)、N-メチルメチオニン(MeMet)、N-メチルプロリン(MePro)、N-メチルフェニルアラニン(MePhe)、N-メチルトリプトファン(MeTyp)、N-メチルチロシン(MeTyr)、N-メチルシステイン(MeCys)、N-メチルセリン(MeSer)、N-メチルスレオニン(MeThr)、N-メチルアスパラギン(MeAsn)、N-メチルグルタミン(MeGln)、N-メチルアスパラギン酸(MeAsp)、N-メチルグルタミン酸(MeGlu)、N-メチルリジン(MeLys)、N-メチルアルギニン(MeArg)、N-メチルヒスチジン(MeHis)、N-エチルグリシン(EtGly)、N-プロピルグリシン(PrGly)、N-(4-アミノブチル)グリシン、N-(4-アミノプロピル)グリシン、N-エチルアスパラギン(EtAsn)、N-ホルミルメチオニン(FoMet)、N-メルカプトエチルグリシン(NHSEtGly)を挙げることができる。
(3)α炭素に追加的な置換基を有するアミノ酸(α-置換アミノ酸)
置換基の種類は特に限定されないが、例えば、アルキル基を挙げることが出来る。アルキル基は、好ましくは炭素数1~6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、直鎖状C1-6アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基を挙げることが出来る。分岐鎖C1-6アルキル基としては、例えば、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、イソヘキシル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル等が挙げられる。アルキル基は、アミノ基、ヒドロキシ基等により置換されていてもよい。α炭素が有する置換基の数は1又は2であり、好ましくは1である。α炭素にジ置換されたアルキル基同士がC-C結合することにより、シクロアルキル基を構成してもよい。シクロアルキル基は、好ましくは炭素数4~6である。C4-6シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基を挙げることができる。
α-置換アミノ酸としては、例えば、α-アミノイソ酪酸(メチルアラニン)(Aib)、α-メチルロイシン(Aml)、α-メチルプロリン(Amp)、α,α-ジエチルグリシン(Deg)、α,α-ジブチルグリシン(Dbg)、1-アミノ-シクロヘキサン-1-カルボン酸(Ac6c)、1-アミノ-シクロペンタン-1-カルボン酸(Ac5c)、1-アミノ-シクロプロパン-1-カルボン酸(Ac3c)、1-アミノ-(4-N-ピペリジニル)カルボン酸(Apc)等を挙げることができる。
(4)アルキレン鎖の長さが異なる側鎖を有するアミノ酸
このタイプのアミノ酸は、天然タンパク質原性アミノ酸の側鎖から、C1~C2アルキレン鎖を除去した構造、又は天然タンパク質原性アミノ酸の側鎖とα炭素との間にC1~C6直鎖アルキレン基が挿入された構造の側鎖を有する。このうち天然タンパク質原性アミノ酸の側鎖とα炭素との間にC1アルキレン基(即ち、メチレン基)が挿入された構造を有するアミノ酸をホモアミノ酸と称する。以下に、アルキレン鎖の長さが異なる側鎖を有するアミノ酸の例を、対応する天然タンパク質原性アミノ酸と併せて示す。
<アラニン>ホモアラニン(2-アミノ酪酸)(hAla)、2-アミノペンタン酸(2Apn)
<ロイシン>ホモロイシン(hLeu)
<イソロイシン>ホモイソロイシン(hIle)
<メチオニン>ホモメチオニン(hMet)
<プロリン>ピペコリン酸(Pip)、アゼチジン-2-カルボン酸(Az2Ca)、アゼチジン-3-カルボン酸(Az3Ca)
<フェニルアラニン>ホモフェニルアラニン(hPhe)、フェニルグリシン(fGly)、
<トリプトファン>ホモトリプトファン(hTrp)
<チロシン>ホモチロシン(hTyr)、
<システイン>ホモシステイン(hCys)、ノルシステイン(Ncy)
<セリン>ホモセリン(hSer)
<スレオニン>ホモスレオニン(hThr)、
<グルタミン>ホモグルタミン(hGln)
<グルタミン酸>ホモグルタミン酸(hGlu)、2-アミノアジピン酸(Aad)、3-アミノアジピン酸(βAad)、2-アミノスベリン酸(Asu)(酸性)、2-アミノピメリン酸(Apm)
<リジン>ホモリジン(hLys)、オルニチン(Orn)、2,4-ジアミノ酪酸(2,4-A2bu)、2,3-ジアミノ酪酸(2,3-A2bu)、2,3-ジアミノプロパン酸(A2pr)
<アルギニン>ホモアルギニン(hArg)、ノルアルギニン(nArg)
<ヒスチジン>ホモヒスチジン(hHis)
(5)置換された側鎖を有するアミノ酸
以下に、置換された側鎖を有するアミノ酸の例を、対応する天然タンパク質原性アミノ酸と併せて示す。
<グリシン>t-ブチルグリシン(tbGly)、2-プロパルギルグリシン(pGly)、シクロヘキシルグリシン(chGly)、シクロペンチルグリシン(cpGly)、アリルグリシン(aGly)
<アラニン>t-ブチルアラニン(tbAla)、シクロヘキシルアラニン(chAla)、シクロブチルアラニン(cbAla)、シクロプロピルアラニン(cpAla)、1-ナフチルアラニン(1npAla)、2-ナフチルアラニン(2npAla)、ベンゾチエニルアラニン(btAla)、チエニルアラニン(thAla)、チアゾリルアラニン(taAla)、フリルアラニン(fAla)、ピリジン-2-イルアラニン(2pyAla)、ピリジン-3-イルアラニン(3pAla)、ピリジン-4-イルアラニン(4pyAla)、1-ピペラジニルアラニン(ppAla)、スチリルアラニン(stAla)、アントリルアラニン(anAla)
<メチオニン>セレノメチオニン(Sem)、S-メチルメチオニン(mMet)、メチオニンスルホキシド(Meo)、メチオニンスルホン(Moo)
<プロリン>3-ヒドロキシプロリン(3Hyp)、4-ヒドロキシプロリン(4Hyp)、5-ヒドロキシプロリン(5Hyp)、4-メルカプトプロリン(HSPro)
<フェニルアラニン>2-メチルフェニルアラニン(OmPhe)、3-メチルフェニルアラニン(MmPhe)、4-メチルフェニルアラニン(PmPhe)、2-ニトロフェニルアラニン(OnPhe)、3-ニトロフェニルアラニン(MnPhe)、4-ニトロフェニルアラニン(PnPhe)、2-シアノフェニルアラニン(OcnPhe)、3-シアノフェニルアラニン(McnPhe)、4-シアノフェニルアラニン(PcnPhe)、3,3-ジフェニルアラニン(ffAla)、2-トリフルオロメチルフェニルアラニン(OtPhe)、3-トリフルオロメチルフェニルアラニン(MtPhe)、4-トリフルオロメチルフェニルアラニン(PtPhe)、4-アミノフェニルアラニン(PaPhe)、4-アミノメチルフェニルアラニン(PamPhe)、3,4-ジメトキシフェニルアラニン(PmmDopa)、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(Dopa)、ホスホノメチルフェニルアラニン(phmPhe)、芳香環がハロゲン置換されたフェニルアラニン(例、2-クロロフェニルアラニン(OcPhe)、3-クロロフェニルアラニン(McPhe)、4-クロロフェニルアラニン(PcPhe)、2-フルオロフェニルアラニン(OfPhe)、3-フルオロフェニルアラニン(MfPhe)、4-フルオロフェニルアラニン(PfPhe)、2-ブロモフェニルアラニン(ObPhe)、3-ブロモフェニルアラニン(MbPhe)、4-ブロモフェニルアラニン(PbPhe)、2-ヨードフェニルアラニン(OiPhe)、3-ヨードフェニルアラニン(MiPhe)、4-ヨードフェニルアラニン(PiPhe)、2,4-ジクロロフェニルアラニン(OpcPhe)、3,4-ジクロロフェニルアラニン(MpcPhe)、2,4-ジフルオロフェニルアラニン(OpfPhe)、3,4-ジフルオロフェニルアラニン(MpfPhe)、3,4,5-トリフルオリルフェニルアラニン(PmmfPhe)、ペンタフルオロフェニルアラニン(5fPhe))
<トリプトファン>5-フルオロトリプトファン(5fTyp)、6-フルオロトリプトファン(6fTyp)、1-メチルトリプトファン(1mTyp)
<チロシン>モノヨードチロシン(iTyr)、ジヨードチロシン(iiTyr)、トリヨードサイロニン(iiiThy)、O-メチルチロシン(mTyr)、3-ニトロチロシン(nTyr)、ホスホチロシン(pTyr)、3-アミノ-チロシン(MaTyr)
<システイン>システイン酸(Cya)、S-ベンジル-L-システイン(bzCys)、セレノシステイン(Sec)、ペニシラミン(Pen)
<セリン>O-メチルセリン(mSer)、ホスホセリン(pSer)
<スレオニン>ホスホスレオニン(pThr)、
<グルタミン酸>γ-ヒドロキシグルタミン酸(hoGlu)、γ-カルボキシグルタミン酸(caGlu)
<リジン>Nε-アセチルリジン(AcLys)、ホモシトルリン(Hci)、2,6-ジアミノピメリン酸(A2pm)、アロヒドロキシリジン(AHyl)、2,6-ジアミノ-4-ヘキシン酸(DaHea)
<アルギニン>ω-ニトロアルギニン(ntArg)、ω-アミノ-アルギニン(Oar)、ω-メチル-アルギニン(Omr)、シトルリン(Cit)
<ヒスチジン>1-メチルヒスチジン(1mHis)、3-メチルヒスチジン(3mHis)、5-ヒドロキシリジン(5OHLys)
(6)その他の非タンパク質原性アミノ酸
例えば、3-アミノ-5-フェニルペンタン酸(Afp)、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(Tic)、ω-ヒドロキシ-ノルアルギニン(HOnArg)、1-アミノシクロペンタン-3-カルボン酸(Acp3Ca)、チアゾリジン-4-カルボン酸(thz)、5,5-ジメチル-D-チアゾリジン-4-カルボン酸(dtc)を挙げることが出来るが、これらに限定されない。
(7)環化に有用なアミノ酸
i)クロロアセチル基を有するアミノ酸
主鎖又は側鎖のアミノ基がクロロアセチル基や2-クロロアセタミドベンゾイル基により置換された任意のアミノ酸(例えば、表1に列挙されたアミノ酸)
例:N-クロロアセチルアラニン、N-クロロアセチルフェニルアラニン、N-クロロアセチルチロシン、N-クロロアセチルトリプトファン、N-3-(2-クロロアセタミド)ベンゾイルフェニルアラニン、N-3-(2-クロロアセタミド)ベンゾイルチロシン、N-3-(2-クロロアセタミド) ベンゾイルトリプトファン、β-N-クロロアセチルジアミノプロパン酸、γ-N-クロロアセチルジアミノ酪酸、σ-N-クロロアセチルオルニチン、ε-N-クロロアセチルリジン
ii)エチニル基を有するアミノ酸
プロパルギルグリシン、ホモプロパルギルグリシン、2-アミノ-6-ヘプチン酸、2-アミノ-7-オクチン酸、2-アミノ-8-ノニン酸
主鎖又は側鎖のアミノ基が4-ペンチノイル基、5-ヘキシノイル基、4-ペンチノイルアミドベンゾイル基、又は5-ヘキシノイルアミドベンゾイル基により置換された任意のアミノ酸(例えば、表1に列挙されたアミノ酸)
例:N-(4-ペンチノイル)アラニン、N-(4-ペンチノイル)フェニルアラニン、N-(4-ペンチノイル)チロシン、N-(4-ペンチノイル)トリプトファン、N-3-(4-ペンチノイルアミド)ベンゾイルフェニルアラニン、N-3-(4-ペンチノイルアミド)ベンゾイルチロシン、N-3-(4-ペンチノイルアミド)ベンゾイルトリプトファン、β-N-(4-ペンチノイル)ジアミノプロパン酸、γ-N-(4-ペンチノイル)ジアミノ酪酸、σ-N-(4-ペンチノイル)オルニチン、ε-N-(4-ペンチノイル)リジン、N-(5-ヘキシノイル)アラニン、N-(5-ヘキシノイル)フェニルアラニン、N-(5-ヘキシノイル)チロシン、N-(5-ヘキシノイル)トリプトファン、N-3-(5-ヘキシノイルアミド)ベンゾイルフェニルアラニン、N-3-(5-ヘキシノイルアミド)ベンゾイルチロシン、N-3-(5-ヘキシノイルアミド)ベンゾイルトリプトファン、β-N-(5-ヘキシノイル)ジアミノプロパン酸、γ-N-(5-ヘキシノイル)ジアミノ酪酸、σ-N-(5-ヘキシノイル)オルニチン、ε-N-(5-ヘキシノイル)リジン
iii)アジド基を有するアミノ酸
アジドアラニン、2-アミノ-4-アジドブタン酸、5-アジドノルバリン、アジドノルロイシン、2-アミノ-7-アジドヘプタン酸、及び2-アミノ-8-アジドオクタン酸
主鎖又は側鎖のアミノ基がアジドアセチル基、4-ペンチノイルアミドベンゾイル基又は3-アジドペンタノイル基により置換された任意のアミノ酸(例えば、表1に列挙されたアミノ酸)
例:N-アジドアセチルアラニン、N-アジドアセチルフェニルアラニン、N-アジドアセチルチロシン、N-アジドアセチルトリプトファン、N-3-(4-ペンチノイルアミド)ベンゾイルフェニルアラニン、N-3-(4-ペンチノイルアミド)ベンゾイルチロシン、N-3-(4-ペンチノイルアミド)ベンゾイルトリプトファン、β-N-アジドアセチルジアミノプロパン酸、γ-N-アジドアセチルジアミノ酪酸、σ-N-アジドアセチルオルニチン、ε-N-アジドアセチルリジン、N-3-アジドペンタノイルアラニン、N-3-アジドペンタノイルフェニルアラニン、N-3-アジドペンタノイルチロシン、N-3-アジドペンタノイルトリプトファン、β-N-3-アジドペンタノイルジアミノプロパン酸、γ-N-3-アジドペンタノイルジアミノ酪酸、σ-N-3-アジドペンタノイルオルニチン、ε-N-3-アジドペンタノイルリジン
iv)ベンジルアミノ基を有するアミノ酸
側鎖の芳香環(ベンゼン環)がアミノメチル基により置換された、芳香環を含有する側鎖を有するアミノ酸(表1)
例:N-(4-アミノメチルベンゾイル)フェニルアラニン(AMBF)、3-アミノメチルチロシン
v)5-ヒドロキシインドールを有するアミノ酸
例:5-ヒドロキシトリプトファン
vi)-C≡C-CH2-X、-C=C-CH2-X又は-Ar-CH2-X(Arは置換基を有していてもよい芳香環であり、Xは脱離基であり、脱離基としては、例えば、Cl, Br及びI等のハロゲン原子が挙げられる。)を有するアミノ酸
例:2-アミノ-6-クロロヘキシン酸、2-アミノ-7-クロロヘプチン酸、2-アミノ-8-クロロオクチン酸、N-3-クロロメチルベンゾイルフェニルアラニン、N-3-クロロメチルベンゾイルチロシン、N-3-クロロメチルベンゾイルトリプトファン
アミノ酸は、その側鎖の特性に基づき分類することができる。例えば、アミノ酸は、その側鎖の疎水性に基づき、「疎水性アミノ酸」及び「親水性アミノ酸」のファミリーに分けることが出来る。疎水性アミノ酸のうち、側鎖にアルキル基を有するものを「脂肪族疎水性アミノ酸」、側鎖に芳香環を有するものを「芳香族疎水性アミノ酸」という。脂肪族疎水性アミノ酸のうち、側鎖に分岐したアルキル基を有するものを、分岐鎖脂肪族疎水性アミノ酸という。親水性アミノ酸は、側鎖の電荷に基づき、「中性親水性アミノ酸」、「塩基性アミノ酸」及び「酸性アミノ酸」のファミリーに分けることが出来る。
また、アミノ酸は、その側鎖が有する置換基や原子の種類に基づき分類することができる。例えば、「芳香環を含有する側鎖を有するアミノ酸」、「アミノ基を含有する側鎖を有するアミノ酸」、「カルボキシル基を含有する側鎖を有するアミノ酸」、「水酸基を含有する側鎖を有するアミノ酸」、「チオール基を含有する側鎖を有するアミノ酸」、「アミド基を含有する側鎖を有するアミノ酸」、「イミノ基を含有する側鎖を有するアミノ酸」、「複素環を含有する側鎖を有するアミノ酸」、「硫黄原子を含有する側鎖を有するアミノ酸」等に分類することができる。ここで、1つのアミノ酸が複数のカテゴリーに属していてもよい。中性親水性アミノ酸の多くは「水酸基を含有する側鎖を有するアミノ酸」、「チオール基を含有する側鎖を有するアミノ酸」又は「アミド基を含有する側鎖を有するアミノ酸」のファミリーに分類され得る。塩基性アミノ酸の多くは「アミノ基を含有する側鎖を有するアミノ酸」に分類され得る。酸性アミノ酸の多くは「カルボキシル基を含有する側鎖を有するアミノ酸」に分類され得る。
アミノ酸の分類の例を表1に示す。表1におけるアミノ酸のファミリーの表記は以下の通りである。
疎水性:疎水性アミノ酸
脂肪族:脂肪族疎水性アミノ酸
分岐鎖:分岐鎖脂肪族疎水性アミノ酸
芳香族:芳香族疎水性アミノ酸
親水性:親水性アミノ酸
塩基性:塩基性アミノ酸
酸性:酸性アミノ酸
中性:中性親水性アミノ酸
芳香環:芳香環を含有する側鎖を有するアミノ酸
アミノ:アミノ基を含有する側鎖を有するアミノ酸
カルボキシ:カルボキシ基を含有する側鎖を有するアミノ酸
ヒドロキシ:水酸基を含有する側鎖を有するアミノ酸
チオール:チオール基を含有する側鎖を有するアミノ酸
アミド:アミド基を含有する側鎖を有するアミノ酸
イミノ:イミノ基を含有する側鎖を有するアミノ酸
複素環:複素環を含有する側鎖を有するアミノ酸
硫黄:硫黄原子を含有する側鎖を有するアミノ酸
Figure 0007477182000001
Figure 0007477182000002
Figure 0007477182000003
Figure 0007477182000004
Figure 0007477182000005
Figure 0007477182000006
本明細書において、「保存的置換」とは、ペプチドを構成するあるアミノ酸を、その側鎖の化学的性質が共通するアミノ酸ファミリー内の別のアミノ酸に置き換えることを意味する。例えば、あるアミノ酸を、そのアミノ酸が属する表1に記載されたいずれかのアミノ酸ファミリー内の別のアミノ酸に置き換える。保存的置換の例を表2に示す。
Figure 0007477182000007
II.環状ペプチド
本発明は、ヒトCTLA-4に特異的に結合する活性を有する、環状ペプチド(以下、本発明の環状ペプチドという。)を提供するものである。
CTLA-4は公知の膜タンパク質であり、そのアミノ酸配列も公知である。ヒトCTLA-4の代表的なアミノ酸配列(NCBI Reference Sequence: NP_005205.2)を配列番号1に示す。配列番号1で表されるアミノ酸配列において、第1~35番残基がシグナルペプチドに相当し、第36~223番残基が成熟型のヒトCTLA-4に相当する。また、配列番号1で表されるアミノ酸配列において、第162~182番残基が膜貫通領域に相当し、第36~161番残基が細胞外領域に相当する。本発明の環状ポリペプチドは、好ましくは成熟型のヒトCTLA-4の細胞外領域に特異的に結合する。
環状ペプチドの抗原Xへの「特異的結合」とは、環状ペプチドの抗原Xに対する結合が選択的であり、不所望の又は非特異的な相互作用とは識別できることを意味する。
本発明の環状ペプチドのヒトCTLA-4への結合親和性についての解離定数(Kd値)は、通常、1×10-4 M以下(例えば、1×10-5 M以下、1×10-6 M以下、1×10-7 M以下又は1×10-8 M以下)である。結合親和性は、例えば、表面プラズモン共鳴(BIAcore(商標))分析等を使用して決定することができる。結合親和性は、好適には、後述する実施例に準じ、ビオチン化したCTLA-4タンパク質を固定したSAセンサーチップを用い、BLItzシステム(Fortebio社)により測定される。
好ましい態様において、本発明の環状ペプチドは、ヒトCTLA-4とヒトCD80との結合を阻害する活性を有する。
CD80はCTLA-4のリガンドの1つであり、B7-1とも呼ばれる。ヒトCD80の代表的なアミノ酸配列(NCBI Reference Sequence: NP_005182.1)を配列番号2に示す。配列番号2で表されるアミノ酸配列において、第1~34番残基がシグナルペプチドに相当し、第35~288番残基が成熟型のヒトCD80に相当する。配列番号2で表されるアミノ酸配列において、第243~263番残基が膜貫通領域に相当し、第35~242番残基が細胞外領域に相当する。本発明のポリペプチドは、好ましくは、成熟型のヒトCTLA-4の細胞外領域と、成熟型のヒトCD80の細胞外領域との結合を阻害する活性を有する。
本発明の環状ペプチドは、ヒトCTLA-4とヒトCD80との結合阻害について、例えば、1×10-3 M以下(好ましくは、1×10-4 M以下、1×10-5 M以下、1×10-6 M以下又は1×10-7 M以下)のIC50を示す。IC50は、例えば、競合的ELISA、表面プラズモン共鳴(BIAcore(商標))分析等を使用して決定することができる。ヒトCTLA-4とヒトCD80との結合阻害についての本発明の環状ペプチドのIC50は、好適には、後述する実施例に準じ、CTLA4:B7-1[Biotinylated] Inhibitor Screening Assay Kit (BPS Bioscience社)により測定される。
本発明の環状ペプチドは、環内に、式(I)
X1-His-Pro-X4-Leu-X6-X7-X8-Ser-X10-His-Phe (I)
で表されるアミノ酸配列(ここで、X1、X4、X6、X7、X8及びX10は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である。)を含むことを特徴とする。
本発明は、環内に、上記式(I)で表されるコンセンサス配列を含む環状ペプチドが、ヒトCTLA-4に特異的に結合し、ヒトCTLA-4とヒトCD80との結合を阻害したことの知見に基づき完成されたものである。
本明細書において、「環状ペプチド」とは、ペプチド内の2つのアミノ酸が結合し、その全部又は一部が環状構造を形成したペプチドを意味する。環状ペプチドの分子構造として、環状構造以外に、アミノ酸がペプチド結合により連結した鎖状構造を有していてもよく、また、ペプチド構造以外の構造を有していてもよい。「環状構造」とは、直鎖状ペプチドにおいて、複数アミノ酸残基(例、10アミノ酸残基以上)離れた2つのアミノ酸が直接に、又はリンカー等を介して結合することによって分子内に形成される閉環構造を意味する。「10アミノ酸残基以上離れた」とは、2つのアミノ酸の間に少なくとも10残基のアミノ酸が存在することを意味する。
本発明の環状ペプチドにおいて、環状構造を形成するアミノ酸の数は特に限定されないが、例えば、12以上、13以上、14以上である。環状構造を形成するアミノ酸の数の上限値は、ヒトCTLA-4に特異的に結合する活性を有する限り特に限定されないが、例えば、30以下、25以下、20以下、16以下である。
環状構造を形成するアミノ酸の数は、例えば、12以上30以下、12以上25以下、12以上20以下、12以上16以下である。環状構造を形成するアミノ酸の数は、例えば、12、13、14、15又は16であり、好ましくは14である。
環状構造における閉環構造は、特に限定されないが、ペプチドに含まれる2つのアミノ酸間の分子内結合により形成される。好ましくは、閉環構造は、2つのアミノ酸が、直接的に、又は適切な架橋構造(該架橋構造にはアミノ酸は含まれない。)を介して間接的に、共有結合することにより形成される。2つのアミノ酸間の共有結合としては、例えば、ジスルフィド結合、ペプチド結合、アミド結合(ラクタム架橋)、アルキル結合、アルケニル結合、エステル結合、チオエステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、ホスホネートエーテル結合、アゾ結合、C-S-C結合、C-N-C結合、C=N-C結合、カルバモイル結合、尿素結合、チオ尿素結合、アミン結合、及びチオアミド結合等が挙げられるが、これらに限定されない。2つのアミノ酸がアミノ酸の主鎖において結合すると、ペプチド結合により閉環構造が形成されるが、2つのアミノ酸の側鎖同士、側鎖と主鎖の結合等により、2つのアミノ酸間の共有結合は形成されてもよい。
環状構造は、直鎖状ペプチドのN末端アミノ酸とC末端アミノ酸との間の共有結合に限られず、末端のアミノ酸と末端以外のアミノ酸との間の共有結合、又は末端以外のアミノ酸間の共有結合により形成されてもよい。
一態様において、本発明の環状ペプチドは、式(II)
X0-X1-His-Pro-X4-Leu-X6-X7-X8-Ser-X10-His-Phe-X00 (II)
で表されるアミノ酸配列
(ここで、X0、X1、X4、X6、X7、X8、X10及びX00は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸であり、
X0とX00との間の分子内結合により環化している。)
を含む。
一態様において、本発明の環状ペプチドは、式(III)
(Y)m-X0-X1-His-Pro-X4-Leu-X6-X7-X8-Ser-X10-His-Phe-X00-(Z)n (III)
で表されるアミノ酸配列
(ここで、X0、X1、X4、X6、X7、X8、X10及びX00は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸であり、
(Y)mは、m個のアミノ酸長を有するアミノ酸配列であり、
(Z)nは、n個のアミノ酸長を有するアミノ酸配列であり、
mは、0、1及び2からなる群から選択されるいずれかの整数であり、
nは、0、1及び2からなる群から選択されるいずれかの整数であり、
X0とX00との間の分子内結合により環化している。)
を含む。
式(II)及び(III)において、X0とX00との間の分子内結合の態様は特に限定されないが、例えば、閉環構造を形成する2つのアミノ酸の間の共有結合として上述したものを挙げることができる。
X0とX00との間の分子内結合による環化の具体的態様としては、以下を例示することができる。
(1)X0及びX00は、それぞれ独立して、チオール基を含有する側鎖を有するアミノ酸であり、X0の側鎖チオール基とX00の側鎖チオール基との間で分子内ジスルフィド結合が形成される。
(2)X0及びX00は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸であり、X0の主鎖アミノ基と、X00の主鎖カルボキシル基との間でアミド結合(ペプチド結合)が形成される。
(3)X0及びX00のいずれか一方が、アミノ基を含有する側鎖を有するアミノ酸であり、他方が、カルボキシ基を含有する側鎖を有するアミノ酸であり、該側鎖アミノ基と該側鎖カルボキシル基との間でアミド結合(ラクタム架橋)が形成される。
(4)X0及びX00は、それぞれ独立して、チオール基を含有する側鎖を有するアミノ酸であり、X0の側鎖チオール基とX00の側鎖チオール基との間で、メシチレンを介したチオエーテル結合が形成される(Nature Chem. Bio. 2009, 5, 502)。
(5)X0は、任意のアミノ酸であり、X00は、アミノ基を含有する側鎖を有するアミノ酸であり、X0の主鎖アミノ基と、X00の側鎖アミノ基がジスクシンイミジル・グルタレート(DSG)でクロスリンクされる(J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 9972)。
(6)X0及びX00のいずれか一方が、クロロアセチル基を有するアミノ酸であり、他方がチオール基を含有する側鎖を有するアミノ酸であり、該クロロアセチル基と該チオール基との間でチオエーテル結合が形成される(US2010/168380 A1; WO2017/217545 A1)。
(7)X0及びX00のいずれか一方が、エチニル基(-C≡CH)を有するアミノ酸であり、他方がアジド基(-N3)を有するアミノ酸であり、該エチニル基と該アジド基との間の分子内クリック反応により、トリアゾール環を介してX0とX00とが架橋される(US2010/168380 A1; WO2017/217545 A1)。
(8)X0及びX00のいずれか一方が、ベンジルアミノ基を有するアミノ酸であり、他方が5-ヒドロキシインドールを有するアミノ酸であり、該ベンジルアミノ基と該5-ヒドロキシインドールとの分子内環化反応により、蛍光性構造を介してX0とX00とが架橋される(ChemBioChem 10, 1469-1472 (2009) ; US2010/168380 A1; WO2017/217545 A1)。
(9)X0及びX00のいずれか一方が、-C≡C-CH2-X、-C=C-CH2-X又は-Ar-CH2-X(Arは置換基を有していてもよい芳香環であり、Xは脱離基であり、脱離基としては、例えば、Cl, Br及びI等のハロゲン原子が挙げられる。)を有するアミノ酸であり、他方がチオール基を含有する側鎖を有するアミノ酸であり、該-C≡C-CH2-X、-C=C-CH2-X又は-Ar-CH2-Xと該チオール基との縮合反応により、チオエーテル結合を介してX0とX00とが架橋される(US2013/316910 A1)。
(10)その他、US2015/0080549 A1、US2015/050269 A1等に記載された方法により、X0とX00とが共有結合を介して架橋される。
一態様において、X0及びX00は、それぞれ独立して、チオール基を含有する側鎖を有するアミノ酸である。チオール基を含有する側鎖を有するアミノ酸は、好ましくは、システイン(C)である。本態様においては、X0の側鎖チオール基とX00の側鎖チオール基との間の分子内結合が形成され得る(例えば、上述の(1)や(4))。好ましくは、X0の側鎖チオール基とX00の側鎖チオール基との間にジスルフィド結合が形成される。
一態様において、本発明の環状ペプチドは、式(IIA)
Figure 0007477182000008
で表されるアミノ酸配列
(ここで、X1、X4、X6、X7、X8及びX10は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である。)
を含む。
一態様において、本発明の環状ペプチドは、式(IIIA)
Figure 0007477182000009
で表されるアミノ酸配列
(ここで、X1、X4、X6、X7、X8及びX10は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸であり、
(Y)mは、m個のアミノ酸長を有するアミノ酸配列であり、
(Z)nは、n個のアミノ酸長を有するアミノ酸配列であり、
mは、0、1及び2からなる群から選択されるいずれかの整数であり、
nは、0、1及び2からなる群から選択されるいずれかの整数である。)
を含む。
式(I)、(II)、(IIA)、(III)、(IIIA)において、
X6は、好ましくは、疎水性アミノ酸、中性親水性アミノ酸、塩基性アミノ酸、イミノ基を含有する側鎖を有するアミノ酸、アミド基を含有する側鎖を有するアミノ酸又はアミノ基を含有する側鎖を有するアミノ酸であり、
X7は、好ましくは、疎水性アミノ酸、中性親水性アミノ酸又は水酸基を含有する側鎖を有するアミノ酸である。より好ましくは、X6はLeu、Pro、Gln、Lys又はArgであり、X7はVal、Leu、Ile又はThrである。最も好ましくは、X6はProであり、X7はIleである。
一態様において、本発明の環状ペプチドは、環内に、式(IB)
X1-His-Pro-X4-Leu-Pro-Ile-X8-Ser-X10-His-Phe (IB)
で表されるアミノ酸配列
(ここで、X1、X4、X8及びX10は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である。)
を含む。
一態様において、本発明の環状ペプチドは、式(IIB)
X0-X1-His-Pro-X4-Leu-Pro-Ile-X8-Ser-X10-His-Phe-X00 (IIB)
で表されるアミノ酸配列
(ここで、X0、X1、X4、X8、X10及びX00は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸であり、
X0とX00との間の分子内結合により環化している。)
を含む。
一態様において、本発明の環状ペプチドは、式(IIIB)
(Y)m-X0-X1-His-Pro-X4-Leu-Pro-Ile-X8-Ser-X10-His-Phe-X00-(Z)n (IIIB)
で表されるアミノ酸配列
(ここで、X0、X1、X4、X8、X10及びX00は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸であり、
(Y)mは、m個のアミノ酸長を有するアミノ酸配列であり、
(Z)nは、n個のアミノ酸長を有するアミノ酸配列であり、
mは、0、1及び2からなる群から選択されるいずれかの整数であり、
nは、0、1及び2からなる群から選択されるいずれかの整数であり、
X0とX00との間の分子内結合により環化している。)
を含む。
一態様において、本発明の環状ペプチドは、式(IIAB)
Figure 0007477182000010
で表されるアミノ酸配列
(ここで、X1、X4、X8及びX10は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である。)
を含む。
一態様において、本発明の環状ペプチドは、式(IIIAB)
Figure 0007477182000011
で表されるアミノ酸配列
(ここで、X1、X4、X8及びX10は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸であり、
(Y)mは、m個のアミノ酸長を有するアミノ酸配列であり、
(Z)nは、n個のアミノ酸長を有するアミノ酸配列であり、
mは、0、1及び2からなる群から選択されるいずれかの整数であり、
nは、0、1及び2からなる群から選択されるいずれかの整数である。)
を含む。
式(I)、(IB)、(II)、(IIA)、(IIB)、(IIAB)、(III)、(IIIA)、(IIIB)、(IIIAB)において、
X1は、好ましくは、疎水性アミノ酸、中性親水性アミノ酸、塩基性アミノ酸、芳香族アミノ酸、複素環を含有する側鎖を有するアミノ酸、硫黄原子を含有する側鎖を有するアミノ酸、イミノ基を含有する側鎖を有するアミノ酸、水酸基を含有する側鎖を有するアミノ酸、アミド基を含有する側鎖を有するアミノ酸、アミノ基を含有する側鎖を有するアミノ酸又はチオール基を含有する側鎖を有するアミノ酸であり、
X4は、好ましくは、疎水性アミノ酸、中性親水性アミノ酸、塩基性アミノ酸、芳香族アミノ酸、複素環を含有する側鎖を有するアミノ酸、硫黄原子を含有する側鎖を有するアミノ酸、水酸基を含有する側鎖を有するアミノ酸、アミド基を含有する側鎖を有するアミノ酸、アミノ基を含有する側鎖を有するアミノ酸又はチオール基を含有する側鎖を有するアミノ酸であり、
X8は、好ましくは、疎水性アミノ酸、中性親水性アミノ酸、塩基性アミノ酸、芳香族アミノ酸、複素環を含有する側鎖を有するアミノ酸、硫黄原子を含有する側鎖を有するアミノ酸、水酸基を含有する側鎖を有するアミノ酸、アミド基を含有する側鎖を有するアミノ酸又はアミノ基を含有する側鎖を有するアミノ酸であり、
X10は、好ましくは、疎水性アミノ酸、中性親水性アミノ酸、塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸、芳香族アミノ酸、複素環を含有する側鎖を有するアミノ酸、硫黄原子を含有する側鎖を有するアミノ酸、イミノ基を含有する側鎖を有するアミノ酸、水酸基を含有する側鎖を有するアミノ酸、アミド基を含有する側鎖を有するアミノ酸、アミノ基を含有する側鎖を有するアミノ酸、カルボキシ基を含有する側鎖を有するアミノ酸又はチオール基を含有する側鎖を有するアミノ酸である。
より好ましくは、X1は、Trp、Phe、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Ala、Gly、Ser、Gln、Lys、Arg又はCysであり、
X4は、Trp、Phe、Tyr、Val、Leu、Met、Ala、Gly、Ser、Gln、His又はCysであり、
X8は、Trp、Phe、Tyr、Val、Leu、Ile、Met、Ala、Ser、Gln、Lys、Arg又はHisであり、
X10は、Trp、Phe、Tyr、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Ala、Gly、Ser、Thr、Gln、Asp、Lys、Arg、His又はCysである。
式(III)、(IIIA)、(IIIB)及び(IIIAB)において、
nが0のとき、(Z)nは存在せず、
nが1のとき、(Z)nはX+1で表されるアミノ酸であり、
nが2のとき、(Z)nはX+1-X+2で表されるアミノ酸配列からなり、
X+1及びX+2は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である。nは、好ましくは2である。
好ましくは、X+1は、疎水性アミノ酸、中性親水性アミノ酸、塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸、芳香族アミノ酸、複素環を含有する側鎖を有するアミノ酸、硫黄原子を含有する側鎖を有するアミノ酸、イミノ基を含有する側鎖を有するアミノ酸、水酸基を含有する側鎖を有するアミノ酸、アミド基を含有する側鎖を有するアミノ酸、アミノ基を含有する側鎖を有するアミノ酸又はチオール基を含有する側鎖を有するアミノ酸であり、
X+2は、疎水性アミノ酸、中性親水性アミノ酸、塩基性アミノ酸、芳香族アミノ酸、複素環を含有する側鎖を有するアミノ酸、硫黄原子を含有する側鎖を有するアミノ酸、水酸基を含有する側鎖を有するアミノ酸、アミド基を含有する側鎖を有するアミノ酸、アミノ基を含有する側鎖を有するアミノ酸又はチオール基を含有する側鎖を有するアミノ酸である。より好ましくは、X+1は、Trp、Val、Leu、Met、Pro、Ala、Gly、Ser、Gln、Glu、Arg又はCysであり、X+2は、Trp、Phe、Tyr、Val、Leu、Ile、Met、Ala、Gly、Ser、Gln、Lys、Arg、His又はCysである。
式(III)、(IIIA)、(IIIB)及び(IIIAB)において、
mが0のとき、(Y)mは存在せず、
mが1のとき、(Y)mはX-1で表されるアミノ酸であり、
mが2のとき、(Y)mはX-2-X-1で表されるアミノ酸配列からなり、
X-1及びX-2は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である。mは、好ましくは、1又は2である。
好ましくは、X-1は、疎水性アミノ酸、中性親水性アミノ酸、塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸、水酸基を含有する側鎖を有するアミノ酸、アミノ基を含有するアミノ酸又はカルボキシ基を含有する側鎖を有するアミノ酸であり、X-2は、疎水性アミノ酸である。より好ましくは、X-1は、Gly、Ser、Lys又はAspであり、X-2は、Glyである。
一態様において、
mは2であり、
X-1は、疎水性アミノ酸、中性親水性アミノ酸、酸性アミノ酸、水酸基を含有する側鎖を有するアミノ酸又はカルボキシ基を含有する側鎖を有するアミノ酸であり、
X-2は、疎水性アミノ酸である。
該態様において、好ましくは、
X-2は、Glyであり、
X-1は、Gly、Ser又はAspである。
特定の実施態様において、式(I)で表されるアミノ酸配列(式(I)で表されるアミノ酸配列からなる「式(II)で表されるアミノ酸配列の部分配列」、及び式(I)で表されるアミノ酸配列からなる「式(III)で表されるアミノ酸配列の部分配列」も含む)は、
(1a)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位から第15位までのアミノ酸配列、又は
(2a)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位から第15位までのアミノ酸配列において、X1、X4、X6、X7、X8及びX10(即ち、配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位、第7位、第9位、第10位、第11位及び第13位のアミノ酸)から選択される少なくとも1(例えば、1~6、1~5、1~4、1~3、1又は2)に相当するアミノ酸の置換(好ましくは、保存的置換)を有するアミノ酸配列
からなる。
上記(2a)のアミノ酸配列は、好ましくは、配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位から第15位までのアミノ酸配列において、X1、X4、X8及びX10(即ち、配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位、第7位、第11位及び第13位のアミノ酸)から選択される少なくとも1(例えば、1~4、1~3、1又は2)に相当するアミノ酸の置換(好ましくは、保存的置換)を有する。
特定の実施態様において、式(II)で表されるアミノ酸配列(式(II)で表されるアミノ酸配列からなる「式(III)で表されるアミノ酸配列の部分配列」も含む)は、
(1b)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第3位から第16位までのアミノ酸配列、又は
(2b)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第3位から第16位までのアミノ酸配列において、X1、X4、X6、X7、X8及びX10(即ち、配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位、第7位、第9位、第10位、第11位及び第13位のアミノ酸)から選択される少なくとも1(例えば、1~6、1~5、1~4、1~3、1又は2)に相当するアミノ酸の置換(好ましくは、保存的置換)を有するアミノ酸配列
からなる。
上記(2b)のアミノ酸配列は、好ましくは、配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第3位から第16位までのアミノ酸配列において、X1、X4、X8及びX10(即ち、配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位、第7位、第11位及び第13位のアミノ酸)から選択される少なくとも1(例えば、1~4、1~3、1又は2)に相当するアミノ酸の置換(好ましくは、保存的置換)を有する。
該態様においては、(1b)又は(2b)のアミノ酸配列における第1番Cysの側鎖チオール基と、第14番Cysの側鎖チオール基とが分子内結合する。該結合様式は、特に限定されないが、好ましくは、ジスルフィド結合又はメシチレンを介したチオエーテル結合(Nature Chem. Bio. 2009, 5, 502)であり、より好ましくはジスルフィド結合である。
特定の実施態様において、式(III)で表されるアミノ酸配列が、
(1c)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第3位から第18位までのアミノ酸配列、又は
(2c)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第3位から第18位までのアミノ酸配列において、X1、X4、X6、X7、X8、X10、X+1及びX+2(即ち、配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位、第7位、第9位、第10位、第11位、第13位、第17位及び第18位のアミノ酸)から選択される少なくとも1(例えば、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1又は2)に相当するアミノ酸の置換(好ましくは、保存的置換)を有するアミノ酸配列
からなる。
上記(2c)のアミノ酸配列は、好ましくは、配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第3位から第18位までのアミノ酸配列において、X1、X4、X8、X10、X+1及びX+2(即ち、配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位、第7位、第11位、第13位、第17位及び第18位のアミノ酸)から選択される少なくとも1(例えば、1~6、1~5、1~4、1~3、1又は2)に相当するアミノ酸の置換(好ましくは、保存的置換)を有する。
該態様においては、(1c)又は(2c)のアミノ酸配列における第1番Cysの側鎖チオール基と、第14番Cysの側鎖チオール基とが分子内結合する。該結合様式は、特に限定されないが、好ましくは、ジスルフィド結合又はメシチレンを介したチオエーテル結合(Nature Chem. Bio. 2009, 5, 502)であり、より好ましくはジスルフィド結合である。
特定の実施態様において、式(III)で表されるアミノ酸配列が、
(1d)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列、又は
(2d)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列において、X-2、X-1、X1、X4、X6、X7、X8、X10、X+1及びX+2(即ち、配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第1位、第2位、第4位、第7位、第9位、第10位、第11位、第13位、第17位及び第18位のアミノ酸)から選択される少なくとも1(例えば、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1又は2)に相当するアミノ酸の置換(好ましくは、保存的置換)を有するアミノ酸配列
からなる。
上記(2d)のアミノ酸配列は、好ましくは、配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列において、X-2、X-1、X1、X4、X8、X10、X+1及びX+2(即ち、配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第1位、第2位、第4位、第7位、第11位、第13位、第17位及び第18位のアミノ酸)から選択される少なくとも1(例えば、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1又は2)に相当するアミノ酸の置換(好ましくは、保存的置換)を有する。
一態様において、上記(2d)のアミノ酸配列は、好ましくは、配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列において、X1、X4、X8、X10、X+1及びX+2(即ち、配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位、第7位、第11位、第13位、第17位及び第18位のアミノ酸)から選択される少なくとも1(例えば、1~6、1~5、1~4、1~3、1又は2)に相当するアミノ酸の置換(好ましくは、保存的置換)を有する。
該態様においては、(1d)又は(2d)のアミノ酸配列における第3番Cysの側鎖チオール基と、第16番Cysの側鎖チオール基とが分子内結合する。該結合様式は、特に限定されないが、好ましくは、ジスルフィド結合又はメシチレンを介したチオエーテル結合(Nature Chem. Bio. 2009, 5, 502)であり、より好ましくはジスルフィド結合である。
一態様において、本発明の環状ペプチドは、式(II)
X0-X1-His-Pro-X4-Leu-X6-X7-X8-Ser-X10-His-Phe-X00 (II)
で表されるアミノ酸配列
(ここで、
X1は、Trp、Phe、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Ala、Gly、Ser、Gln、Lys、Arg又はCysであり、
X4は、Trp、Phe、Tyr、Val、Leu、Met、Ala、Gly、Ser、Gln、His又はCysであり、
X6は、Leu、Pro、Gln、Lys又はArgであり、
X7は、Val、Leu、Ile又はThrであり、
X8は、Trp、Phe、Tyr、Val、Leu、Ile、Met、Ala、Ser、Gln、Lys、Arg又はHisであり、
X10は、Trp、Phe、Tyr、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Ala、Gly、Ser、Thr、Gln、Asp、Lys、Arg、His又はCysであり、
X0及びX00は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸であり、
X0とX00との間の分子内結合により環化している。)
を含む。
該態様において、好ましくは、X6はProであり、X7はIleである。
X0とX00との間の分子内結合による環化の具体的態様としては、上述のものを例示することができる。好ましくは、X0及びX00は、それぞれ独立して、チオール基を含有する側鎖を有するアミノ酸であり、より好ましくは、X0及びX00はCysである。X0の側鎖チオール基とX00の側鎖チオール基との結合様式は、特に限定されないが、好ましくは、ジスルフィド結合又はメシチレンを介したチオエーテル結合(Nature Chem. Bio. 2009, 5, 502)であり、より好ましくはジスルフィド結合である。
一態様において、本発明の環状ペプチドは、式(II)
X0-X1-His-Pro-X4-Leu-X6-X7-X8-Ser-X10-His-Phe-X00 (II)
で表されるアミノ酸配列
(ここで、部分配列(X1-His-Pro-X4-Leu-X6-X7-X8-Ser-X10-His-Phe)は、
(1e)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位から第15位までのアミノ酸配列、又は
(2e)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位から第15位までのアミノ酸配列において、X1、X4、X6、X7、X8及びX10(即ち、配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位、第7位、第9位、第10位、第11位及び第13位のアミノ酸)から選択される少なくとも1(例えば、1~6、1~5、1~4、1~3、1又は2)に相当するアミノ酸の置換(好ましくは、保存的置換)を有するアミノ酸配列
からなり、
X0及びX00は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸であり、
X0とX00との間の分子内結合により環化している。)
を含む。
上記(2e)のアミノ酸配列は、好ましくは、配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位から第15位までのアミノ酸配列において、X1、X4、X8及びX10(即ち、配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位、第7位、第11位及び第13位のアミノ酸)から選択される少なくとも1(例えば、1~4、1~3、1又は2)に相当するアミノ酸の置換(好ましくは、保存的置換)を有する。
X0とX00との間の分子内結合による環化の具体的態様としては、上述のものを例示することができる。好ましくは、X0及びX00は、それぞれ独立して、チオール基を含有する側鎖を有するアミノ酸であり、より好ましくは、X0及びX00はCysである。X0の側鎖チオール基とX00の側鎖チオール基との結合様式は、特に限定されないが、好ましくは、ジスルフィド結合又はメシチレンを介したチオエーテル結合(Nature Chem. Bio. 2009, 5, 502)であり、より好ましくはジスルフィド結合である。
一態様において、本発明の環状ペプチドは、式(III)
(Y)m-X0-X1-His-Pro-X4-Leu-X6-X7-X8-Ser-X10-His-Phe-X00-(Z)n (III)
で表されるアミノ酸配列
(ここで、
X1は、Trp、Phe、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Ala、Gly、Ser、Gln、Lys、Arg又はCysであり、
X4は、Trp、Phe、Tyr、Val、Leu、Met、Ala、Gly、Ser、Gln、His又はCysであり、
X6はLeu、Pro、Gln、Lys又はArgであり、
X7はVal、Leu、Ile又はThrであり、
X8は、Trp、Phe、Tyr、Val、Leu、Ile、Met、Ala、Ser、Gln、Lys、Arg又はHisであり、
X10は、Trp、Phe、Tyr、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Ala、Gly、Ser、Thr、Gln、Asp、Lys、Arg、His又はCysであり、
(Y)mは、m個のアミノ酸長を有するアミノ酸配列であり、
(Z)nは、n個のアミノ酸長を有するアミノ酸配列であり、
mは、0、1及び2からなる群から選択されるいずれかの整数であり、
nは、0、1及び2からなる群から選択されるいずれかの整数であり、
X0及びX00は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸であり、
X0とX00との間の分子内結合により環化している。)
を含む。
該態様において、好ましくは、X6はProであり、X7はIleである。
X0とX00との間の分子内結合による環化の具体的態様としては、上述のものを例示することができる。好ましくは、X0及びX00は、それぞれ独立して、チオール基を含有する側鎖を有するアミノ酸であり、より好ましくは、X0及びX00はCysである。X0の側鎖チオール基とX00の側鎖チオール基との結合様式は、特に限定されないが、好ましくは、ジスルフィド結合又はメシチレンを介したチオエーテル結合(Nature Chem. Bio. 2009, 5, 502)であり、より好ましくはジスルフィド結合である。
nは、好ましくは2であり、(Z)nはX+1-X+2で表されるアミノ酸配列からなり、X+1及びX+2は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である。好ましくは、X+1は、Trp、Val、Leu、Met、Pro、Ala、Gly、Ser、Gln、Glu、Arg又はCysであり、X+2は、Trp、Phe、Tyr、Val、Leu、Ile、Met、Ala、Gly、Ser、Gln、Lys、Arg、His又はCysである。
mは、好ましくは2であり、(Y)mはX-2-X-1で表されるアミノ酸配列からなり、X-1及びX-2は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である。好ましくは、X-1は、Gly、Ser又はAspであり、X-2は、Glyである。
一態様において、本発明の環状ペプチドは、式(III)
(Y)m-X0-X1-His-Pro-X4-Leu-X6-X7-X8-Ser-X10-His-Phe-X00-(Z)n (III)
で表されるアミノ酸配列
(ここで、部分配列(X1-His-Pro-X4-Leu-X6-X7-X8-Ser-X10-His-Phe)は、
(1f)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位から第15位までのアミノ酸配列、又は
(2f)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位から第15位までのアミノ酸配列において、X1、X4、X6、X7、X8及びX10(即ち、配列番号30~216のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位、第7位、第9位、第10位、第11位及び第13位のアミノ酸)から選択される少なくとも1(例えば、1~6、1~5、1~4、1~3、1又は2)に相当するアミノ酸の置換(好ましくは、保存的置換)を有するアミノ酸配列
からなり、
(Y)mは、m個のアミノ酸長を有するアミノ酸配列であり、
(Z)nは、n個のアミノ酸長を有するアミノ酸配列であり、
mは、0、1及び2からなる群から選択されるいずれかの整数であり、
nは、0、1及び2からなる群から選択されるいずれかの整数であり、
X0及びX00は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸であり、
X0とX00との間の分子内結合により環化している。)
を含む。
上記(2f)のアミノ酸配列は、好ましくは、配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位から第15位までのアミノ酸配列において、X1、X4、X8及びX10(即ち、配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位、第7位、第11位及び第13位のアミノ酸)から選択される少なくとも1(例えば、1~4、1~3、1又は2)に相当するアミノ酸の置換(好ましくは、保存的置換)を有する。
X0とX00との間の分子内結合による環化の具体的態様としては、上述のものを例示することができる。好ましくは、X0及びX00は、それぞれ独立して、チオール基を含有する側鎖を有するアミノ酸であり、より好ましくは、X0及びX00はCysである。X0の側鎖チオール基とX00の側鎖チオール基との結合様式は、特に限定されないが、好ましくは、ジスルフィド結合又はメシチレンを介したチオエーテル結合(Nature Chem. Bio. 2009, 5, 502)であり、より好ましくはジスルフィド結合である。
nは、好ましくは2であり、(Z)nはX+1-X+2で表されるアミノ酸配列からなり、X+1及びX+2は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である。好ましくは、X+1は、Trp、Val、Leu、Met、Pro、Ala、Gly、Ser、Gln、Glu、Arg又はCysであり、X+2は、Trp、Phe、Tyr、Val、Leu、Ile、Met、Ala、Gly、Ser、Gln、Lys、Arg、His又はCysである。
mは、好ましくは2であり、(Y)mはX-2-X-1で表されるアミノ酸配列からなり、X-1及びX-2は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である。好ましくは、X-1は、Gly、Ser又はAspであり、X-2は、Glyである。
本発明の環状ペプチドの長さ(アミノ酸長)は、ヒトCTLA-4に特異的に結合する活性を有する限り特に限定されないが、例えば、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上又は18以上である。本発明の環状ペプチドの長さの上限値は、ヒトCTLA-4に特異的に結合する活性を有する限り特に限定されないが、例えば、2000以下、1000以下、500以下、250以下又は100以下である。一態様において、本発明の環状ペプチドの長さ(アミノ酸長)は、12、13、14、15、16、17又は18である。
本発明の環状ペプチドは、式(I)、(IB)、(II)、(IIA)、(IIB)、(IIAB)、(III)、(IIIA)、(IIIB)又は(IIIAB)で表されるアミノ酸配列のN末端側及び/又はC末端側に付加配列を含んでいてもよい。付加配列としては、例えば、ペプチドの検出や精製等を容易にならしめるためのタグのアミノ酸配列を挙げることができる。タグとしては、Flagタグ、ヒスチジンタグ、c-Mycタグ、HAタグ、AU1タグ、GSTタグ、MBPタグ、蛍光タンパク質タグ(例えばGFP、YFP、RFP、CFP、BFP等)、イムノグロブリンFcタグ等を挙げることができるが、これらに限定されない。
本発明の環状ペプチドは単離されていることが好ましい。「単離」とは、天然に存在する状態から、目的とする成分以外の成分を除去する操作が施されていることを意味する。単離された本発明の環状ペプチドは、例えば電気泳動(例えばSDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)やクロマトグラフィー(例えばイオン交換または逆相HPLC)などにより決定される純度が、通常50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上(例えば実質的に100%)である。化合物の純度の評価法については、例えばFlatmanら, J. Chromatogr. B 848:79-87 (2007)を参照することができる。
本発明の環状ペプチドは、アシル化(例、N末端アミノ基のアシル化)、アミド化(例、C末端カルボキシル基のアミド化)、リン酸化、メチル化、アセチル化、アデニリル化、ADPリボシル化、エステル化、ハロゲン化、糖鎖付加、PEG付加、アルキル鎖付加等の修飾が加えられていてもよい。また、本発明の環状ペプチドは、他のペプチドやタンパク質と融合されていてもよい。
本発明の環状ペプチドは、標識剤により標識されていてもよい。標識剤としては、例えば、ビオチン、酵素、蛍光物質、発光物質、放射性同位元素、毒素などが用いられる。上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β-ガラクトシダーゼ、β-グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられる。放射性同位元素としては、例えば、125I、131I、3H、14Cなどが用いられる。
本発明の環状ペプチドには、塩の形態も含まれる。環状ペプチドの塩としては、生理学的に許容される塩基や酸との塩が用いられ、例えば、無機酸(塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸等)の付加塩、有機酸(p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p-ブロモフェニルスルホン酸、カルボン酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸等)の付加塩、無機塩基(水酸化アンモニウム又はアルカリ若しくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等)、アミノ酸の付加塩等が挙げられる。
本発明の環状ペプチドは、公知のペプチド合成技術を用いて製造することができる。環状ペプチドの合成方法としては、例えば、固相合成法、液相合成法、ハイブリッド法等の化学合成法;遺伝子組み換え法;無細胞翻訳系による翻訳合成法等が挙げられる。
無細胞翻訳系による翻訳合成法による、本発明の環状ペプチドの合成は、該環状ペプチドをコードする核酸を調製し、当該核酸を無細胞翻訳系で翻訳することによって調製することができる。ジスルフィド結合により環化された環状ペプチドを無細胞翻訳系で合成する場合、酸化型グルタチオン、還元型グルタチオン、及び分子シャペロンであるDsbCを添加することにより最適化した反応液を用いてもよい(Shimizu et al., (2005) Methods, vol.36, p.299-304)。環状ペプチドをコードする核酸は、該環状ペプチドのアミノ酸配列に基づき、当業者が適宜設計することができる。核酸は、DNAであってもRNAであってもよい。非天然アミノ酸でアミノアシル化したtRNAを使用することにより、天然アミノ酸に加え、非天然アミノ酸が導入された環状ペプチドを合成することができる。ペプチドの環状化は、例えば、環状構造における閉環構造の例として上記した、公知の方法により実施することができる。
合成反応後は、ペプチドの分野において通常用いられる精製法、例えば、溶媒抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、再結晶等の技術を組み合わせて用いることにより、本発明の環状ペプチドを単離・精製することができる。
本発明の環状ペプチドは、ヒトCTLA-4に特異的に結合し、ヒトCTLA-4の機能を阻害し得る。従って、本発明の環状ペプチドは、CTLA-4阻害剤(好ましくは、ヒトCTLA-4阻害剤)として有用である。本発明は、上記本発明の環状ペプチドを含む、CTLA-4阻害剤(好ましくは、ヒトCTLA-4阻害剤)(以下、本発明のCTLA-4阻害剤)をも提供する。本発明の環状ペプチドの有効量を対象(例、ヒト)に投与することにより、該対象におけるCTLA-4の機能を阻害することができる。インビボ又はインビトロにおいて、CTLA-4に本発明の環状ペプチドの有効量を接触させることにより、CTLA-4の機能を阻害することができる。CTLA-4の機能としては、そのリガンドであるCD80又はCD86との結合が挙げられる。本発明のCTLA-4阻害剤は、CTLA-4とそのリガンド(CD80又はCD86)との結合を阻害し、その後の下流に存在するカスケード(生物学的反応)を抑制する。本発明のCTLA-4阻害剤は、CTLA-4(例、ヒトCTLA-4)とCD80(例、ヒトCD80)との結合及び/又はCTLA-4(例、ヒトCTLA-4)とCD86(例、ヒトCD86)との結合を阻害し、好ましくはCTLA-4(例、ヒトCTLA-4)とCD80(例、ヒトCD80)との結合を阻害する。
CTLA-4は、T細胞(例、細胞傷害性T細胞)の表面に発現する受容体で、副刺激分子CD28と競合して、抗原提示細胞上のCD80及びCD86と結合することにより、CD28副刺激シグナルを抑制し、T細胞の活性化を阻害することが知られている。本発明のCTLA-4阻害剤は、CTLA-4とCD80との結合を阻害することにより、副刺激シグナル抑制を遮断し、T細胞(例、細胞傷害性T細胞)を活性化することができる。従って、本発明は、上記本発明の環状ペプチドを含む、T細胞活性化剤(好ましくは、細胞傷害性T細胞活性化剤)(以下、本発明のT細胞活性化剤)をも提供する。本発明の環状ペプチドの有効量を対象(例、ヒト)に投与することにより、該対象におけるT細胞を活性化することができる。
また、CTLA-4と抗原提示細胞上のCD80及びCD86との結合を阻害することにより、活性化T細胞における抑制的調節を遮断し、腫瘍抗原特異的なT細胞の増殖、活性化及び細胞傷害の増強等により、抗腫瘍免疫が増強されることが知られている。従って、本発明のCTLA-4阻害剤は、抗腫瘍免疫の増強や、腫瘍の予防又は治療に有用である。本発明は、上記本発明の環状ペプチドを含む、腫瘍の予防又は治療剤/抗腫瘍免疫増強剤をも提供する。本発明の環状ペプチドの有効量を対象(例、ヒト)に投与することにより、該対象における、腫瘍を予防又は治療し得る。また、本発明の環状ペプチドの有効量を対象(例、ヒト)に投与することにより、該対象における、抗腫瘍免疫を増強し得る。対象は、好ましくはヒト腫瘍患者である。本発明の環状ペプチドは、転移性癌の治療、転移の抑制、腫瘍の再発の抑制にも有用であり得る。
本明細書において、「有効量」とは、対象に目的とする効果(例、治療効果)をもたらす量を意味し、例えば、この量を投与された対象において、この量を投与されなかった対象と比較して、疾患の症状または状態が緩和され、軽減され、若しくは除去され、またはその進展が遅延若しくは抑制されることを意味する。有効量は、医師が対象の年齢、体重、性別および症状の重さなどに応じて適宜決定することができる。
本明細書において、「腫瘍の治療」とは、腫瘍サイズの低下、腫瘍の成長の抑制(遅延または停止)、腫瘍の転移の抑制(遅延または停止)、再発の抑制(防止または遅延)、および癌と関連する一つ又は複数の症状の緩和のうち少なくとも1つの効果を生じさせることを意味する。
腫瘍の種類としては、特に限定されないが、例えば、白血病(例えば、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病)、悪性リンパ腫(ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(例えば、成人T細胞白血病、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫))、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、頭頸部癌、食道癌、食道腺癌、胃癌、大腸癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌(例えば、肝細胞癌)、胆嚢・胆管癌、胆道癌、膵臓癌、甲状腺癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(例えば、扁平上皮非小細胞肺癌、非扁平上皮非小細胞肺癌)、小細胞肺癌)、乳癌、卵巣癌(例えば、漿液性卵巣癌)、子宮頚癌、子宮体癌、子宮内膜癌、膣癌、外陰部癌、腎癌(例えば、腎細胞癌)、尿路上皮癌(例えば、膀胱癌、上部尿路癌)、前立腺癌、精巣腫瘍(例えば、胚細胞腫瘍)、骨・軟部肉腫、皮膚癌(例えば、ブドウ膜悪性黒色腫、悪性黒色腫、メルケル細胞癌)、神経膠腫、脳腫瘍(例えば、膠芽腫)、胸膜中皮腫および原発不明癌)が挙げられる。
本発明の環状ペプチドは、常法に従って製剤化し、医薬組成物とすることができる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Science, latest edition, Mark Publishing Company, Easton, U.S.A)。医薬製剤の剤形としては、例えば、液剤(例えば注射剤)、分散剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、粉末剤、坐剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤、軟膏剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、及びパップ剤等が挙げられる。医薬組成物は、有効成分として本発明の環状ペプチドをそのまま用いてもよいし、必要に応じ、医薬的に許容される担体及び/または添加物を含んでもよい。例えば、界面活性剤(PEG、Tween等)、賦形剤、酸化防止剤(アスコルビン酸等)、着色料、着香料、保存料、安定剤、緩衝剤(リン酸、クエン酸、他の有機酸等)、キレート剤(EDTA等)、懸濁剤、等張化剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤等を含むことができる。しかしながら、医薬組成物は、これらに制限されず、その他常用の担体を適宜含んでいてもよい。具体的には、軽質無水ケイ酸、乳糖、結晶セルロース、マンニトール、デンプン、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、白糖、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等を挙げることができる。また、その他の低分子量のポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン及び免疫グロブリン等のタンパク質、並びに、アミノ酸を含んでいてもよい。注射用の水溶液とする場合には、本発明の環状ペプチドを、例えば、生理食塩水、ブドウ糖またはその他の補助薬を含む等張液に溶解する。補助薬としては、例えば、D-ソルビトール、D-マンノース、D-マンニトール、塩化ナトリウムが挙げられ、更に、適当な溶解補助剤、例えばアルコール(エタノール等)、ポリアルコール(プロピレングリコール、PEG等)、非イオン性界面活性剤(ポリソルベート80、HCO-50)等と併用してもよい。
医薬組成物中の本発明の環状ペプチドの含有量は、特に限定されないが、例えば、医薬組成物全体の約0.00001~100重量%、0.0001~99.9重量%等である。
本発明の医薬組成物は、経口又は非経口のいずれでも投与可能である。例えば、注射及び経皮投与により患者に投与される。注射剤型の例としては、例えば、静脈内注射、筋肉内注射または皮下注射等により全身又は局所的に投与することができる。治療部位又はその周辺に局所注入、特に筋肉内注射してもよい。経皮投与剤型の例としては、例えば、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、湿布剤、および貼付剤等があげられ、全身又は局所的に投与することができる。
刊行物、特許文献等を含む、本明細書に引用されたすべての参考文献は、引用により、それらが個々に具体的に参考として援用されかつその内容全体が具体的に記載されているのと同程度まで、本明細書に援用される。
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
1.方法
(1)ランダム化された環状ペプチドをコードするリボソームディスプレイ用遺伝子ライブラリの構築
環状ペプチドライブラリを構築するため、5’側にFLAGタグ配列が、3’側にc-Mycタグ配列がそれぞれ付加され、二つのシステインで挟まれた、12アミノ酸からなるランダム化されたアミノ酸配列をコードするオリゴDNAのライブラリを合成した(図1)。このランダム化されたアミノ酸残基は、12のNNS(NはG、C、T又はAであり、SはG又はCである)コドンによりコードされる。
さらに、リボソームディスプレイを実施する上で必要となるT7プロモーター及びSD配列を含む5’UTR配列のオリゴDNAも合成した(下式)(FASMAC)。環状ペプチドライブラリのオリゴDNAとオーバーラップする領域として、3’末端にFLAG配列を付加した(下線部位)。
Figure 0007477182000012
M13ファージのgeneIII(g3p)の部分配列(アミノ酸残基220-326位)を、M13KO7由来ファージゲノムを鋳型とし、以下のプライマーセット及びKOD Plus DNA Polymerase(TOYOBO)を用いたPCRにより増幅(変性:94℃で10秒、アニーリング:57℃で30秒、伸張:68℃で60秒、サイクル:25回)し、NeucleoSpin Gel and PCR Clean-up (Takara)によって精製した。
Myc-g3p:
GAGCAGAAGCTGATCTCTGAGGAGGATCTGAAGCTTGAATATCAAGGCCAATCGTCTGAC(配列番号6)
g3p-SecMstop: CTCGAGTTATTCATTAGGTGAGGCGTTGAGGGCCAGCACGGATGCCTTGCGCCTGGCTTATCCAGACGGGCGTGCTGAATTTTGCGCCGGAAACGTCACCAATGAAAC(配列番号7)
合成したオリゴDNA(5’UTR、及びランダム化した環状ペプチドをコードするオリゴDNAライブラリ)、並びにg3p遺伝子断片をそれぞれ1 pmol含むPCR反応液(KOD Plus DNA Polymerase、 トータル500μL)を調製し、15サイクルのPCR(変性:94℃で10秒、アニーリング:58℃で30秒、伸張:68℃,60秒)に付し、反応液(50μL×10本)に以下の2つのプライマー(それぞれ10 pmol)及びKOD Plus DNA Polymerase 1μLを反応液(50μL×10本)に追加で加え、更に10サイクルのPCR(変性:94℃で10秒、アニーリング:58℃で30秒、伸張:68℃で60秒)に付した。
5’primer: GAAATTAATACGACTCACTATAGGGAGACCACAACGGTTTCCCTCTAG(配列番号8)
SecMstop: GGATTAGTTATTCATTAGGTGAGGCGTTGAGG(配列番号9)
1%アガロースを用いた電気泳動によって反応産物を分離し、意図したすべての遺伝子断片がつながった増幅されたバンドを切り出し、NeucleoSpin Gel and PCR clean-up (Takara)で精製することにより、ランダム化された環状ペプチドをコードするリボソームディスプレイ用遺伝子ライブラリを最終的に得た。
(2)抗原タンパク質のビオチン化
CTLA-4タンパク質(Recombinant Human CTLA4-Fc chimera: R&D systems)を、EZ-Link NHS-PEO12-Biotin(PIERCE)の標準プロトコールに従ってビオチン化した。SDS-PAGEによるバンドの移動度のシフトよりCTLA-4タンパク質のビオチン化が確認された。ビオチン化したCTLA-4タンパク質の濃度をBCA Protein Assay Kit(PIERCE)を用いて測定した。
(3)In vitro transcription
精製した遺伝子ライブラリDNA 1μgを、20μlのIn vitro transcription Kit (T7 RibomaxTM Express Large Scale RNA Production System: Promega)によってmRNAへと転写し、得られたmRNAライブラリをカラム精製した(NucleoSpin RNA clean-up: Takara)。
(4)In vitro Selection
清水らの方法に従い、リボソームディスプレイに使用する無細胞翻訳系(PUREシステム)を、一部S-S結合形成に最適化した反応液として調製した(Shimizu et al., (2005) Methods, vol.36, p.299-304)。すなわち、酸化型グルタチオン(GSSG:シグマ)及び還元型グルタチオン(GSH:シグマ)を終濃度でともに3mM添加し、分子シャペロンであるDsbCを終濃度で0.63 μM添加した。調製した反応液(100μl)に10 pmolのmRNAライブラリを加え、37℃で30分間インキュベートすることにより、リボソームディスプレイ複合体(ペプチド-リボソーム-mRNA複合体)を形成した。反応産物に、氷冷したWash緩衝液(50 mM Tris-OAc、pH7.5、150 mM NaCl、50 mM Mg(OAc)2、0.5 % Tween 20、1μg/mL Saccharomyces cerevisiae total RNA (Sigma))を500μL加えた。
予め5 % SuperBlockで4℃にて一晩BlockingしておいたDynabeads MyOne Streptavidin T1磁性体ビーズ(100μLスラリー、Invitrogen)をMagneSphere Magnetic Separation Stand(Promega)でトラップし、500μL Wash緩衝液で2回洗浄した。100 pmol ビオチン化抗原タンパク質を加え、4℃で磁性体ビーズに固定化した。60分後、磁性体ビーズをMagneSphere Magnetic Separation Stand(Promega)でトラップし、500μL Wash緩衝液で3回洗浄した。回収した磁性体ビーズに、リボソームディスプレイ複合体(ペプチド-リボソーム-mRNA複合体)を含む翻訳後反応液を加え、4℃で1時間ローテーションによって攪拌した。MagneSphere Magnetic Separation Stand(Promega)によって上清を廃棄し、回収した磁性体ビーズに1 mLのWash緩衝液を加え、4℃で5分ローテーションによって攪拌した。この操作を30回繰り返した後、回収した磁性体ビーズに100μL Elution緩衝液(50 mM Tris-HCl、pH7.4、150 mM NaCl、50 mM EDTA)を加え、4℃で10分間静置することによって、mRNAを磁性体ビーズから遊離させた。磁性体ビーズをMagneSphere Magnetic Separation Stand(Promega)でトラップし、mRNAを含む上清を回収し、NucleoSpin RNA clean-up (Takara)によってmRNAを精製した。精製したmRNAの一部は、RNA-direct SYBR Green Realtime PCR Master Mix (TOYOBO)で反応させ、Light Cycler 480 (Roche)を用いて定量した。
(5)RT-PCR
精製したmRNAを、Transcriptor High Fidelity cDNA Synthesis Kit(Roche)によってcDNAへと逆転写し、得られたcDNAを鋳型として、KOD Plus DNA Polymeraseを用いてPCR(トータル50μL、変性:94℃で15秒、アニーリング:57℃で30秒、伸張:68℃で30秒、30サイクル)を行った。使用したプライマーを以下に示す。
<逆転写リバースプライマー>
Myc R: CAGATCCTCCTCAGAGATCAGC(配列番号10)
<PCRプライマー>
FLAG F: ATGGACTATAAAGATGACGATGACAAAGG(配列番号11)
Myc R: CAGATCCTCCTCAGAGATCAGC(配列番号10)
2%アガロースを使用した電気泳動でPCR後の反応液を分離し、対応するサイズのバンドを切り出し、NeucleoSpin Gel and PCR clean-up (Takara)で精製した。
(6)リボソームディスプレイ用遺伝子の再構築
セカンドラウンド以降のリボソームディスプレイ用遺伝子の再構築は以下のように行った。RT-PCR後の精製遺伝子(1 pmol)、5’UTR(1 pmol)、g3p遺伝子断片(1 pmol)、5’primer(10 pmol)、SecMstop(10 pmol)、及びKOD Plus DNA Polymerase(TOYOBO)を含むPCR反応液(トータル200μL)を調製し、15サイクルのPCR(変性:94℃で15秒、アニーリング:57℃で30秒、伸張:68℃で60秒)に付した。1%アガロースを用いた電気泳動によって反応産物を分離し、すべての遺伝子がつながったバンドを切り出し、NeucleoSpin Gel and PCR clean-up (Takara)で精製した。
In vitro transcription、In vitro Selection、RT-PCR、及びリボソームディスプレイ用遺伝子の再構築を含む一連の操作を1ラウンドとし、これを3ラウンド実施した。各ラウンドにおけるmRNA回収量を図3に示す。
(7)サブクローニング
3ラウンド後に回収した遺伝子を、N末端MBP融合タンパク質として大腸菌発現ベクター pET-Mal(図2)にクローニングした。すなわち、
3ラウンド後に回収したmRNAの逆転写により得られたcDNA、
プライマー Eco1-(-M)-FLAG_F:CCGAATTCGACTATAAAGATGACGATGACAAAGGC(配列番号12)、及び
プライマーMyc-Hind3_R:AAAAAAAAAAGCTTCAGATCCTCCTCAGAGATC(配列番号13)
を含むPCR反応液(KOD Plus DNA Polymerase, トータル100μL)を調製し、20サイクルのPCR増幅(変性:94℃,15秒、アニーリング:57℃, 30秒、伸張:68℃,30秒)に付し、PCR産物をNeucleoSpin Gel and PCR clean-up (Takara)を用いて精製した。プライマー Eco1-(-M)-FLAG_Fは、5’側にEcoRI切断サイトを導入し、プライマーMyc-Hind3_Rは、3’側にHindIII切断サイトを導入する。精製したPCR産物1μg及び発現ベクターを、EcoRI(TOYOBO)およびHindIII(TOYOBO)で37℃、1時間処理し、反応産物を2%アガロースを使用した電気泳動で分離し、対応するバンドを切り出し、NeucleoSpin Gel and PCR clean-up (Takara)で精製した。インサートとベクターを5:1のモル比で混合し、LigaFast Rapid DNA Ligation Kit(Promega)を用いて、室温で30分反応した。Z-competent E.Coli Transformation Set(ZYMO RESEARCH)を用いて調製した大腸菌BL21(DE3)コンピテントセルをライゲーション産物で形質転換し、アンピシリン(終濃度 50μg/mL)を含むLB寒天プレート上で37℃、一晩培養した。
(8)塩基配列解析
サブクローニング後の大腸菌シングルコロニー94個を塩基配列解析に付した。以下のシーケンスプライマーを用いた。
pET-MALseqF: CCAGAAAGGTGAAATCATGCCGAACATC(配列番号14)
(9)濃縮されたクローンのRibosome Display pull down assay
配列解析で濃縮が認められたクローン(表3)から、リボソームディスプレイ用遺伝子を再構築し、上述したIn vitro selectionと同じ方法(10μLにスケールダウン)によってRibosome Display pull down assayを実施した(図4)。
Figure 0007477182000013
(10)CTLA-4結合クローン(H12SSI-Ctla4-3-02)の大量発現と精製
Ribosome Display pull down assayによりCTLA-4への特異的結合が認められたクローンについて、N末端MBP融合タンパク質を大腸菌(BL21BE3)により大量発現させ、精製した。大腸菌形質転換体を、アンピシリン(終濃度 50μg/mL)を含む200 mLの2×YT培地に植菌し、37℃で3-5時間培養(OD600 = 0.5-0.8)後、IPTG(終濃度0.5 mM)を添加し、25℃で一晩培養した。増殖した大腸菌を遠心分離によって回収し、60 mLのLysisバッファー(20 mM Tris HCl pH 7.5, 500 mM NaCl)で再懸濁し、超音波破砕機(Bioruptor UCD-250)によって破砕した。破砕液を遠心分離に付し、上清を回収し、0.22μmのフィルターを通した後、MBPTrap(GE Healthcare)によるアフィニティ精製に付した。精製したタンパク質溶液を、透析膜を用いたPBSへのバッファー交換に付した。SDS-PAGEにより精製度を確認し、BCA Protein Assay Kit(PIERCE)を用いて濃度を測定した。
(11)CTLA-4結合クローン(H12SSI-Ctla4-3-02)の親和性測定
精製したCTLA-4結合クローン(H12SSI-Ctla4-3-02)のCTLA-4への親和性を、BLItzシステム(forte Bio)を用いて測定した。すべての操作はBLItzシステムの取扱説明書に従って行った。なお、ビオチン化したCTLA-4タンパク質は、SAセンサーチップへ、ストレプトアビジンを介して固定した。
(12)CTLA-4結合クローン(H12SSI-Ctla4-3-02)のAffinity maturation用Error-Prone Library調製
Zhaoらの方法(Nat. Biotechnol., (1998) vol.16, p.258-261)により、CTLA-4特異的な結合が確認されたH12SSI-Ctla4-3-02を鋳型として、Error-Prone Libraryを調製した。以下のPCR プライマーセットを使用した。
<5’ primer>
FLAG F: ATGGACTATAAAGATGACGATGACAAAGG(配列番号11)
<3’ primer>
Myc R: CAGATCCTCCTCAGAGATCAGC(配列番号10)
なお、上述のプライマーセットをError Prone PCRに使用すると、FLAGタグ配列直後のGGリンカー部分、及びc-Mycタグ配列直前にあるGGリンカー部分(図1参照)にも変異が導入される。Error-Prone PCRによって得られた変異体産物について、上述と同様の方法によってリボソームディスプレイ用遺伝子を再構築した。
(13)CTLA-4結合クローン(H12SSI-Ctla4-3-02)のAffinity maturation
リボソームディスプレイの基本操作は上述と同様の方法で実施した。Affinity maturationの詳細な実験条件を以下に示す。抗原を固定する磁性体ビーズとして2μLのNanolink Streptavidin magnetic Beads (SoluLink)を使用し、洗浄液として1mLのCTLA-4タンパク質溶液(1μM)を使用した。また、磁性体ビーズに固定化するビオチン化CTLA-4量は、それぞれ、1st roundで10 pmol、2nd roundで2 pmol、 3rd roundで1 pmolとした。洗浄時間は、1st roundで2時間、 2nd roundで19時間、3rd roundで67時間とした。洗浄回数は、1st roundで1回(2時間)、 2nd roundで2回(約10時間毎)、 3rd roundで6回(約10時間毎)とした。各ラウンドのRT-PCR後に、Error prone PCRを上述と同様の方法で実施した。
(14)ELISAによるAffinity maturation選択後の結合評価
Affinity maturationの各ラウンド後に、環状ペプチド遺伝子を回収し、上述と同様の方法でpET-Mal vector(図2)にサブクローニングして塩基配列の解析を行った。配列解析を行った94個のシングルコロニーについて、大腸菌形質転換体を、アンピシリン(終濃度 50μg/mL)を含む100μLの2×YT培地に植菌し、37℃で3-5時間培養(OD600=0.5-0.8)後、IPTG(終濃度0.5 mM)を添加し、25℃で一晩培養した。大腸菌培養液 10μLに90μLのPBSおよび40μLの溶菌試薬(20μL BugBuster Protein Extraction Reagent(Novagen)、20μL Lysozyme溶液 2.5mg/mL)を加え、大腸菌を室温で1時間溶菌した。溶菌液に、12.5% スキムミルク溶液(TBST)を40μL加え、室温で1時間ブロッキングした。平行して、384穴プレートに、1well当たり100ng/20μLで抗原タンパク質を4℃で一晩固定し、各wellを100μL/well TBSTで2回洗浄し、5% スキムミルク溶液(TBST)を100μL/well加えて、室温で1時間ブロッキングし、100μL/well TBSTで2回洗浄することにより、抗原固定プレートを得た。この抗原固定プレートに、ブロッキング処理済みの大腸菌抽出液を20μL/well加え、プレートミキサーを使用して室温で緩やかに攪拌した。1時間後、プレートを100μL/well TBSTで5回洗浄し、20μL/wellのanti-FLAG M2-HRPコンジュゲート(1:2000希釈、Sigma)を加え、室温で1時間プレートミキサー上で緩やかに攪拌した。更に、プレートを100μL/well TBSTで5回洗浄し、20μL/wellの発色基質(0.4 mg/mL 3,3’,5,5’-Tetramethyl-benzidine, 0.01 % 過酸化水素)によって環状ペプチドの抗原への結合を検出した。室温で15分間反応させた後、20μL/wellの2N HClで反応を停止させ、プレートリーダー(infinite F200: TECAN)を用いて450nmにおける吸光度を測定した(表5)。
(15)Affinity maturation後のCTLA-4結合クローンの親和性測定(EC50測定)
Affinity maturation選択実験により得られたクローンのうち、ELISAシグナルの高い上位27クローンについて、N末端MBP融合タンパク質を上述と同じ方法で大腸菌により大量発現させ、精製を行い、ELISAによりEC50値を算出した。
Affinity maturationにより得られたCTLA-4結合クローンのそれぞれについて、精製N末端MBP融合タンパク質溶液(400μg/mL)を調製し、PBSで段階的に2倍希釈したサンプルを調製した。384穴プレートに、1well当たり100ng/20μLでCTLA-4を4℃で一晩固定し、各wellを100μL/well TBSTで2回洗浄し、5% スキムミルク溶液(TBST)を100μL/well加えて、室温で1時間ブロッキングし、100μL/well TBSTで2回洗浄することにより、抗原固定プレートを得た。この抗原固定プレートに、段階希釈したN末端MBP融合タンパク質溶液20μL/wellを加え、室温でプレートミキサーを使用して緩やかに攪拌した。1時間後、プレートを100μL/well TBSTで5回洗浄し、20μL/wellのanti-FLAG M2-HRPコンジュゲート(1:2000希釈、Sigma)を加え、室温で1時間プレートミキサー上で緩やかに攪拌した。更に、プレートを100μL/well TBSTで5回洗浄し、20μL/wellの発色基質(0.4 mg/mL 3,3’,5,5’-Tetramethyl-benzidine, 0.01 % 過酸化水素)によってN末端MBP融合タンパク質の抗原への結合を検出した。室温で15分間反応させた後、20μL/wellの2N HClで反応を停止させ、プレートリーダー(infinite F200: TECAN)を用いて450nmにおける吸光度を測定した。縦軸をELISAの吸光度、横軸をCTLA4結合クローンのN末端MBP融合タンパク質濃度としてグラフにプロットし(図5)、得られた結合曲線からEC50を算出した(表6)。
(16)CTLA-4結合クローンの阻害活性測定(IC50測定)
Affinity maturation選択実験で得られたクローンのうち、EC50測定でCTLA-4への親和性が高いクローン#19(CMHPFLPIVSHHFCER)(配列番号22)について、CTLA-4とCD80との結合を阻害する活性を測定した。阻害活性測定は、CTLA4:B7-1[Biotinylated] Inhibitor Screening Assay Kit (BPS Biosciences)を利用して行った。試験は、kitに添付の標準手順書に従って実施した。
(17)合成ペプチドの親和性および阻害活性測定
Affinity maturationで得られた高親和性CTLA-4結合クローン#19(CMHPFLPIVSHHFCER)(配列番号22)およびオリジナルクローンであるH12SSI-Ctla4-3-02(CMHPFLLVVSHHFC)(配列番号15)について、N末端リジン残基を介してPEG4-ビオチンを付加し、2つのシステイン残基間のS-S結合で環状化したペプチド(ビオチン化クローン#19:Biotin-PEG4-KCMHPFLPIVSHHFCER(配列番号24)/ビオチン化H12SSI-Ctla4-3-02:Biotin-PEG4-KCMHPFLLVVSHHFC(配列番号23))を化学合成した(Toray research center)。CTLA-4への親和性はBLItzシステム(forte Bio)を使用して測定した。すべての操作はBLItzシステムの取扱説明書に従って実施した。なお、ビオチン化ペプチドは、ストレプトアビジンを介して、SA センサーチップへ固定した。
さらに、阻害活性測定のため、N末端にグリシンを付加したペプチド(Gly-クローン#19:GCMHPFLPIVSHHFCER(配列番号26)/Gly-H12SSI-Ctla4-3-02:GCMHPFLLVVSHHFC(配列番号25))を化学合成した。阻害活性は、上述と同様にCTLA4:B7-1 [Biotinylated] Inhibitor Screening Assay Kit (BPS Biosciences)を用いて測定した。
(18)アラニンスキャニングによる高親和性クローンのCTLA-4結合に必須なアミノ酸の同定
親和性が高かったCTLA-4結合クローン#10(CLHPFLPIVSHHFCGR)(配列番号27)をオリジナルクローンとして、システインを除くいずれか1つの1アミノ酸残基を順次アラニンに置換した変異体をそれぞれコードするオリゴDNAのシリーズを合成し、それぞれのオリゴDNAをpET-Mal vector(図2)にサブクローニングし、上述と同様にELISA法によってアラニン置換変異体のCTLA-4への結合活性を評価した。
(19)ランダムライブラリによるAffinity Maturation
アラニンスキャニングによって同定されたCTLA-4の結合に必須もしくは有利なアミノ酸(2H, 3P, 5L, 6P, 7I, 9S, 11H, 12F)以外のアミノ酸残基(1位、4位、8位、10位、+1位、+2位)(X1、X4、X8、X10、X+1及びX+2に相当)をランダム化(NNS)したライブラリのオリゴDNAを合成した(下記)。
(No.19)NNS6:GACTATAAAGATGACGATGACAAAGGCGGTTGCNNSCATCCANNSCTGCCGATANNSTCANNSCATTTCTGTNNSNNSGGATCCGAGCAGAAGCTGATCTCTGAGGAGGATCTG(配列番号28)
リボソームディスプレイ用の遺伝子フォーマット(5’UTRとg3pの結合)は上述と同様の方法で作製した。
Affinity maturationは上述と同様の方法で実施した。磁性体ビーズに固定化するビオチン化CTLA-4量は、それぞれ、1st roundで10 pmol、2nd roundで2 pmol、3rd-5th roundsで1 pmolとした。また、洗浄時間は、1st roundで2時間、 2nd roundで19時間、3rd roundで67時間、4th roundで140時間、5th roundで340時間とした。洗浄回数は、1st roundで1回(2時間)、2nd roundで2回(約10時間毎)、3rd roundで6回(約10時間毎)、4th roundで14回(約10時間毎)、5th roundで36回(約10時間毎)とした。
2.結果及び考察
(1)In vitro selectionの結果と配列解析
図3に示すように、3ラウンドの選択実験で十分なmRNAの濃縮が認められた。また配列解析の結果(表3)より、複数の濃縮クローンが得られたことが示された。約半数(51/94)のクローンがH12SSI-Ctla4-3-02(Clone No.2)であった。
(2)濃縮されたクローンのRibosome Display pull down assay
In vitro selectionで濃縮された7クローン(表3)について、Ribosome Display pull down assayによりCTLA-4結合活性を評価した(図4)。その結果、配列解析で最も濃縮数が多かったClone No.2(H12SSI-Ctla4-3-02)のみがCTLA-4に特異的に結合し、そのほかのクローンはすべて抗原として使用したCTLA-4-FcのFc部分への特異的なバインダーであることが分かった。
(3)H12SSI-Ctla4-3-02の大量精製と親和性測定
CTLA-4への特異的な結合が確認されたH12SSI-Ctla4-3-02を、MBP融合タンパク質として大腸菌で大量発現し、アフィニティ精製に付し、BLItzシステムによってCTLA-4への親和性を測定した。その結果、表4に示すように、H12SSI-Ctla4-3-02は、既存の抗CTLA-4抗体ipilimumab(KD = 5.25±3.62 nM, Assessment Report For Yervoy, European Medicines Agency)と比べて、CTLA-4への親和性がかなり低い(KD = 3.88 μM)ことが示唆された。
Figure 0007477182000014
(4)H12SSI-Ctla4-3-02のAffinity Maturation
H12SSI-Ctla4-3-02をもとにError-Prone Libraryを調製し、Affinity Maturationの選択実験を行った。各ラウンドで得られた環状ペプチド遺伝子をサブクローニングし、94個のシングルコロニーを96ウェルプレートで培養し、それぞれのMBP融合環状ペプチドのCTLA-4結合活性をELISAで調べた。ELISAで結合活性を持つ(S/N比2以上)ことが確認されたクローンを表5にまとめた。
Figure 0007477182000015

各ラウンドで得られた結合クローン数は、1st roundで5クローン、2nd roundで15クローン、3rd roundで25クローンあった。選択圧を強くしたことにより、CTLA-4結合活性を有するクローン数が増加したことが確認された。これらクローンの配列を解析した結果、ループ部分の6位(X6に相当)のロイシンがプロリン、グルタミン、又はアルギニンへと置換する傾向が明らかとなった。特に、プロリン変異体は高結合活性を持つ傾向が確認された。
(5)Affinity Maturation後の親和性評価(EC50測定)
ELISAで高いS/N比を示したクローン(L6P変異体(No.#1 - #25)、L6Q変異体(No.#26)、L6R変異体(No.#32))について、MBP融合環状ペプチドを大腸菌で大量発現し、アフィニティ精製に付し、EC50を測定した。その結果、ほぼすべてのクローンがオリジナルクローンよりも親和性が向上していることが明らかとなった(表6)。特にクローンNo.#19、#10、及び#25のCTLA-4親和性は、オリジナルクローンよりも約50倍向上していた。
Figure 0007477182000016

(6)Affinity Maturation後の阻害活性評価(IC50測定)
EC50測定で高親和性を示したクローンNo.#19について、CTLA4:B7-1[Biotinylated] Inhibitor Screening Assay Kit (BPS Bioscience)を用いてMBP融合タンパク質としてのIC50を測定した。結果を表7に示す。Affinity Maturationにより親和性が向上したクローンNo.#19のIC50値は1.36 μMであった。
Figure 0007477182000017
(7)合成ペプチドの親和性と阻害活性の測定
表8に示す結果から、合成したペプチド(Clone No.#19)においても阻害活性が維持されていることが確認された(IC50 = 11.5 μM)。
Figure 0007477182000018
また、BLItzシステムによる親和性測定結果(表9)から、合成ペプチドにおいてもCTLA-4タンパク質への高い結合活性が維持され、クローンNo.#19はオリジナルクローン(H12SSI-Ctla4-3-02)に比べて3倍程度向上した親和性を有することが確認された。
Figure 0007477182000019
(8)細胞表面上に発現したCTLA-4に対する合成ペプチドの親和性測定
CTLA-4を発現している細胞(CHO cells)に対するFACS解析により、No.#19のEC50は0.47μMであり、細胞表面上に発現した天然構造を持つCTLA-4へ特異的に結合することが確認された(図5)。
(9)アラニンスキャニングによるCTLA-4結合に必須なアミノ酸の同定
高親和性クローンNo.#10(CLHPFLPIVSHHFCGR)(配列番号27)について、CTLA-4への結合に必須なアミノ酸を同定するため、Alanine scanningを実施した(図6)。その結果、CTLA-4への結合に重要なアミノ酸残基は、ループ部分のN末端アミノ酸を1位として、2位のヒスチジン、3位のプロリン、5位のロイシン、6位のプロリン、9位のセリン、11位のヒスチジン、及び12位のフェニルアラニンであることが分かった。また、I7A変異体が弱い結合活性を示したことから、7位のイソロイシンがわずかに結合活性に影響する残基であると予想された。
(10)ランダムライブラリによるAffinity Maturationと配列解析の結果
ランダムライブラリからのAffinity Maturation後、ELISAでCTLA-4結合活性を示したクローンの配列結果を表10に示した。また、表11にそれらのアミノ酸の出現頻度をまとめた。

Figure 0007477182000020

Figure 0007477182000021

Figure 0007477182000022
その結果、1位、4位、8位、10位、+1位、及び+2位(X1、X4、X8、X10、X+1及びX+2に相当)においては、アスパラギンを除くすべてのアミノ酸が使用され、これらの位置での変異は結合活性の有無に影響は少ないと予想された。また、疎水性アミノ酸(特に芳香族アミノ酸)と側鎖の長いアミノ酸の出現頻度が高く、逆に親水性で側鎖の短いアミノ酸の出現頻度は低い傾向が認められた。これは、疎水性で長い側鎖を有するアミノ酸への変異により疎水結合が追加され、ペプチドの分子構造がより強固に安定化されたことによると考えられた。
本発明により、CTLA-4の機能を阻害する環状ペプチドが提供される。本発明の環状ペプチドは、免疫チェックポイント阻害剤として有用であり、CTLA-4の機能阻害により治療又は予防することが可能な疾患(例、癌)に対する治療又は予防薬への適用が期待できる。
本出願は日本で出願された特願2019-185266(出願日:2019年10月8日)を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。

Claims (18)

  1. 環内に、式(I)
    X1-His-Pro-X4-Leu-X6-X7-X8-Ser-X10-His-Phe (I)
    で表されるアミノ酸配列を含み、ヒトCTLA-4に特異的に結合する活性を有する、環状ペプチドであって、
    X 1 は、Trp、Phe、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Ala、Gly、Ser、Gln、Lys、Arg又はCysであり、
    X 4 は、Trp、Phe、Tyr、Val、Leu、Met、Ala、Gly、Ser、Gln、His又はCysであり、
    X 6 は、Leu、Pro、Gln、Lys又はArgであり、
    X 7 は、Val、Leu、Ile又はThrであり、
    X 8 は、Trp、Phe、Tyr、Val、Leu、Ile、Met、Ala、Ser、Gln、Lys、Arg又はHisであり、
    X 10 は、Trp、Phe、Tyr、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Ala、Gly、Ser、Thr、Gln、Asp、Lys、Arg、His又はCysであり、
    式(I)で表されるアミノ酸配列が、
    (1a)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位から第15位までのアミノ酸配列、又は
    (2a)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位から第15位までのアミノ酸配列において、X 1 、X 4 、X 6 、X 7 、X 8 及びX 10 から選択される1に相当するアミノ酸の置換を有するアミノ酸配列
    からなる、環状ペプチド。
  2. 式(II)
    X0-X1-His-Pro-X4-Leu-X6-X7-X8-Ser-X10-His-Phe-X00 (II)
    で表されるアミノ酸配列を含み、
    X1、X4、X6、X7、X8及びX10は、式(I)におけるものと同義であり、
    式(I)で表されるアミノ酸配列からなる式(II)で表されるアミノ酸配列の部分配列が、
    (1a)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位から第15位までのアミノ酸配列、又は
    (2a)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位から第15位までのアミノ酸配列において、X 1 、X 4 、X 6 、X 7 、X 8 及びX 10 から選択される1に相当するアミノ酸の置換を有するアミノ酸配列
    からなり、
    X0及びX00は、それぞれ独立して、チオール基を含有する側鎖を有するアミノ酸であり、
    X0とX00との間の分子内結合により環化している、
    請求項1記載の環状ペプチド。
  3. 式(III)
    (Y)m-X0-X1-His-Pro-X4-Leu-X6-X7-X8-Ser-X10-His-Phe-X00-(Z)n (III)
    で表されるアミノ酸配列を含み、
    X0、X1、X4、X6、X7、X8、X10及びX00は、式(II)におけるものと同義であり、
    式(I)で表されるアミノ酸配列からなる式(III)で表されるアミノ酸配列の部分配列が、
    (1a)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位から第15位までのアミノ酸配列、又は
    (2a)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位から第15位までのアミノ酸配列において、X 1 、X 4 、X 6 、X 7 、X 8 及びX 10 から選択される1に相当するアミノ酸の置換を有するアミノ酸配列
    からなり、
    (Y)mは、m個のアミノ酸長を有するアミノ酸配列であり、
    (Z)nは、n個のアミノ酸長を有するアミノ酸配列であり、
    mは、0、1及び2からなる群から選択されるいずれかの整数であり、
    nは、0、1及び2からなる群から選択されるいずれかの整数である、
    請求項2記載の環状ペプチド。
  4. X0は、Cysであり、
    X00は、Cysである、
    請求項2又は3記載の環状ペプチド。
  5. X0の側鎖チオール基とX00の側鎖チオール基との間の分子内ジスルフィド結合により環化している、請求項2~4のいずれか1項記載の環状ペプチド。
  6. X6は、Proであり、
    X7は、Ileである、請求項1~5のいずれか1項記載の環状ペプチド。
  7. nは2であり、
    (Z)nは、X+1-X+2で表されるアミノ酸配列からなり、
    X+1及びX+2は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である、
    請求項3~6のいずれか1項記載の環状ペプチド。
  8. mは2であり、
    (Y)mは、X-2-X-1で表されるアミノ酸配列からなり、
    X-2及びX-1は、それぞれ独立して、任意のアミノ酸である、
    請求項3~7のいずれか1項記載の環状ペプチド。
  9. X-2は、Glyであり、
    X-1は、Gly、Ser又はAspである、
    請求項8記載の環状ペプチド。
  10. 式(I)で表されるアミノ酸配列が、
    (1a)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位から第15位までのアミノ酸配列、又は
    (2a)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第4位から第15位までのアミノ酸配列において、X1、X4、X8及びX10から選択される1に相当するアミノ酸の置換を有するアミノ酸配列
    からなる、請求項1~9のいずれか1項記載の環状ペプチド。
  11. 式(II)で表されるアミノ酸配列が、
    (1b)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第3位から第16位までのアミノ酸配列、又は
    (2b)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列の第3位から第16位までのアミノ酸配列において、X1、X4、X8及びX10から選択される1に相当するアミノ酸の置換を有するアミノ酸配列
    からなる、請求項2~10のいずれか1項記載の環状ペプチド。
  12. 式(III)で表されるアミノ酸配列が、
    (1c)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列、又は
    (2c)配列番号30~211のいずれかに表されるアミノ酸配列において、X-2、X-1、X1、X4、X8、X10、X+1及びX+2から選択される1に相当するアミノ酸の置換を有するアミノ酸配列
    からなる、請求項3~11のいずれか1項記載の環状ペプチド。
  13. ヒトCTLA-4とヒトCD80との相互作用を阻害する活性を有する、請求項1~12のいずれか1項記載の環状ペプチド。
  14. 請求項1~13のいずれか1項記載の環状ペプチド、及び医薬として許容される担体又は賦形剤を含む、医薬組成物。
  15. CTLA-4阻害用である、請求項14記載の医薬組成物。
  16. T細胞活性化用である、請求項14記載の医薬組成物。
  17. 腫瘍の予防又は治療用である、請求項14記載の医薬組成物。
  18. 請求項1~13のいずれか1項記載の環状ペプチドを含む、CTLA-4阻害剤。
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