JP7476537B2 - 難燃性ポリオレフィン系装飾資材 - Google Patents

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Description

本発明は、難燃性ポリオレフィン系装飾資材に関するものである。
従来、合成繊維編織物を芯材として用い、その表面に従来のポリ塩化ビニル樹脂層を形成して得られる繊維補強製品、もしくは、塩化ビニル樹脂組成物層を繊維織物にコーティングあるいは、ラミネートして形成させたターポリンや帆布などの強化シートは、例えばテント、シート倉庫、建築現場養生シート、建築現場用遮音シートなどの建築物、構築物向けの用途に使用されている。この場合には、使用期間が比較的長く、また、次回の建設現場への再利用が可能である。
一方、同様の素材は、消費者を対象としたオフィス街・繁華街・駅前にある建物屋上・壁面を利用した「大型ボード広告」「横断幕」「懸垂幕」「ビル壁面ディスプレイ広告」などの大型広告媒体にも使用されている。しかしながら、広告媒体として使用されるターポリンなどについては、広告期間が短く、また、全面に広告印刷するために、そのままの状態では、再利用することが出来ない。
また、ターポリンは、主にポリエステル繊維の合成繊維編織物を芯材と表層のポリ塩化ビニル樹脂層を有する複合素材のため、リサイクルするにも、これらの素材を分離することは困難な状況にある。ポリ塩化ビニル樹脂は分子構造中に塩素を含んでいるため、燃焼時に腐食性ガスである塩化水素ガスを発生し、また、燃焼条件によってはダイオキシン類などの有毒ガスを発生する恐れがある。その結果、廃棄については、多量の塩素を含んでいる塩化ビニルを主材料とするターポリン素材は、焼却廃棄する際に炉を傷めたり、塩化水素など有害物質を発生させたりする可能性があるため、環境負荷が高いとされる埋め立て処理が主流となっている。
また、SDGを代表とする持続可能な社会実現のために、出来る限り埋め立て処理に頼らない素材に注目が集まっている。近年では、マイクロプラスチック問題などの環境問題が高まり、日本のプラスチックの廃棄物は年約1,000万トンあり、その廃棄物の約74万トンを埋め立て処理し、およそ150万トンを海外に輸出している。しかし、中国政府は2017年7月、「固体廃棄物輸入管理制度改革実施案」を公表し、2018年から中国の輸入禁止措置が始まった。中国の措置に伴い、マレーシア、ベトナム、タイなどへの輸出は増加しているものの、アセアン諸国にも輸入を禁止する動きが出てきている。
また、従来の建築用の帆布やターポリンの素材は、ポリ塩化ビニル樹脂を主材料としているが、それ自体が高度な難燃性を有しているため、三酸化アンチモンなどの難燃剤を5~20重量部の少量添加で難燃性を付与することができ、消防法に定められている防炎規格(消防法施工規則第4条:JIS規格L-1091)に適合することが可能である。
一方、塩素などのハロゲンを含有しないポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂は、生産量が最も多く、日常生活でさまざまな分野に使用されている汎用樹脂の一種であり、リサイクルしやすく、社会インフラとしての市場も整っている。しかし、これらの帆布やターポリンの構成樹脂をポリオレフィン系樹脂に置き換えた場合、ポリオレフィン系樹脂自体が易燃性であり、それら樹脂に難燃性を付与するために難燃剤の配合が必要不可欠となっている。難燃剤と酸化防止剤を併用する技術が提案されているが(特許文献1参照)、併用する酸化防止剤の種類によっては十分な難燃性が得られ難い場合があった。
特許5503071号公報
そこで、ハロゲン系難燃剤を用いることを前提としつつも、添加量を削減するために、本発明はなされたもので、優れた難燃性を有し、耐候性、機械的強度及び柔軟性に優れた難燃性ポリオレフィン系装飾資材を提供することを目的とする。
本発明は、上記した問題を解消するために、
請求項1に記載の発明は、ポリオレフィン系樹脂、白色顔料・遮蔽添加物、難燃剤を含む難燃性ポリオレフィン系樹脂を製膜した難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルムと、延伸倍率が3~15倍以内の範囲内にあるポリオレフィン系樹脂を延伸した繊維で構成された繊維構造体基布を貼り合わせた少なくとも2層以上からなる積層体からなり、難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルムは、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、難燃剤として金属水和物を100~200重量部と臭素系難燃剤を20~80重量部含む難燃性ポリオレフィン系装飾資材である。
また、請求項3に記載の発明は、前記難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルムにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、前記白色顔料・遮蔽添加物を0.5~10重量部配合したことを特徴とする請求項1または2に記載の難燃性ポリオレフィン系装飾資材である。
また、請求項4に記載の発明は、前記難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルムにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、前記難燃剤としてさらに三酸化アンチモンを10~50重量部配合したことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の難燃性ポリオレフィン系装飾資材である。
また、請求項5に記載の発明は、前記難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルムにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂の総量が50Wt%以下で構成されることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の難燃性ポリオレフィン系装飾資材である。
また、請求項6に記載の発明は、前記難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルムが、0.5~50.0g/10minのメルトフローレート(MFR)を有することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の難燃性ポリオレフィン系装飾資材である。
また、請求項7に記載の発明は、前記繊維構造体基布において、形状が、フィラメント糸条、マルチフィラメント糸条、モノフィラメント糸条、テープヤーン、スプリットヤーン、及び割裂ヤーンから選ばれる請求項1~6のいずれかに記載の難燃性ポリオレフィン系装飾資材である。
本発明によれば、燃焼試験における着炎時、前記難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルムと繊維構造体基布が溶融する際に、延伸処理を施した繊維構造体基布にある残留応力が解放されて、熱収縮することによって火源より遠ざかると同時に、熱収縮によって発生する物理作用によって、溶融部の残炎部分が、落下しやすくなることで自己消火機能を促進させることができる。
その結果、優れた難燃性を有し、耐候性、機械的強度及び柔軟性に優れた難燃性ポリオレフィン系装飾資材を提供することが可能になる。
本発明に係る難燃性ポリオレフィン系装飾資材の層構成を示す断面図。 本発明に係る難燃性ポリオレフィン系装飾資材の別の層構成を示す断面図。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下に示す各実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定されるものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
図1は、本発明に係る難燃性ポリオレフィン系装飾資材10の層構成を示す断面図である。図1に示すように、本発明の難燃性ポリオレフィン系装飾資材10は、難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルム1と、繊維構造体基布2を貼り合わせた積層体である。
難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルム1は、ポリオレフィン系樹脂、白色顔料・遮蔽添加物、難燃剤を含む難燃性ポリオレフィン系樹脂を製膜したフィルムであり、繊維構造体基布2は、延伸倍率が3~15倍以内の範囲内にあるポリオレフィン系樹脂を延伸した繊維で構成されている。
<難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルム>
難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルム1に用いられるポリオレフィン系樹脂の種類としては、エチレン-α-オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、エチレン-メタアクリル酸共重合体、エチレン-メタアクリル酸エステル共重合体、エチレン-メチルメタアクリル酸共重合体、エチレン-メチルメタアクリル酸エステル共重合体、エチレン-エチルアクリル酸共重合体、エチレン-エチルアクリル酸エステル共重合体など、及びこれらの2種類以上の混合物が挙げられる。本発明で用いるポリオレフィン系樹脂は、ラジカル重合法又はイオン重合法により製造されたものが使用できる。
ラジカル重合法で得られるポリエチレン系樹脂としては、エチレン単独の重合体又はエチレン及びそれとラジカル重合し得る単量体とを共重合して得られる共重合体を包含する。
難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルム1に用いられる難燃剤としては、金属水和物、臭素系化合物、無機系化合物を併用することが望ましい。金属水和物として水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムがあり、燃焼する際に脱水吸熱が発生することによって、燃焼温度を急激に低下させる役割があり、プラスチックの熱分解による可燃性ガスの発生を抑制するのに効果を発揮する。
臭素系化合物の難燃剤としては、気相部分に作用する・OHラジカルトラップ効果、難燃性不活性ガスの発生による酸素遮断効果、酸素希釈効果などの燃焼機構に直接作用するノンドリップ方式による難燃機構と、燃焼時のプラスチックの粘度を低下させ、火種を落下させることで、物理的に燃焼部分を取り除くドリップ方式による難燃機構がある。これらの添加量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、金属水和物が50~200重量部、臭素系難燃剤が20~80重量部であることが好ましい。
無機系化合物の難燃剤としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどの酸化アンチモン化合物がある。難燃剤としてさらに三酸化アンチモンを添加することが好ましく、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、添加量が10~50重量部であることが好ましい。臭素系難燃剤と併用することでアンチモンを含有する比重の重い難燃性ガスが発
生し、酸素遮断効果、酸素希釈効果を相乗的に高めることができる。また、ほう酸亜鉛、スズ酸亜鉛などの無機系化合物の難燃剤は、燃焼中に発生するグラファイト状のチャーの形成を得心させることで、発煙抑制効果、アフターグロー低減効果があり、ガスバリア層の形成によって、難燃効果を高めることができる。
また、充分な難燃性を付与するために上記の難燃剤をより過剰に添加をした場合、ポリオレフィン系樹脂組成物の加工性が低下したり、加工品の機械的強度の著しい低下を招く場合がある。その場合には、無水マレイン酸をグラフト化させた変性ポリオレフィン樹脂を少量添加することもよい解決法の1つである。無水マレイン酸を添加することで、ポリオレフィン樹脂の極性が緩和され、接着が大幅に向上する。そのため、金属水和物難燃剤などの無機フィラーを高充填させた際には、フィラーと樹脂との界面密着性が向上することで、分散性が向上するとともに樹脂中の空壁が減少し、その結果、加工品の剛性・強度が向上する。また、金属水和物難燃剤の分散性が向上することにより、燃焼時の吸熱反応の効率化が図られ、難燃効果を高めることができる。
また、本発明品は、装飾資材として屋外で使用するため、紫外線による樹脂の劣化とともに黄変などの色調変化も重要な管理要素の一つである。そのため、白色顔料・遮蔽添加物を添加することが好ましくその添加量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、0.5~10重量部であることが好ましい。白色顔料・遮蔽添加物としては、酸化チタン、ホウ酸亜鉛、酸化亜鉛などが例示できる。また、工業用途の酸化チタンには、ルチル型、アナターゼ型の2種類があり、本発明の添加には、屈折率が高いルチル型の方が望ましい。
無機顔料における光学的性質の第一因子は屈折率であり、屈折率が大きいほど表面反射が大きくなることで樹脂中の光散乱性が向上し、隠蔽力は増加する傾向がある。そのため、紫外線による樹脂の黄変を軽減させることができる。ルチル型(Rutile:金紅石) :屈折率 2.72。アナターゼ型(Anatase:鋭錐石) :屈折率 2.52。
また、酸化チタンは、400nmよりも短波長の光を強く吸収する一方で、可視光吸収が無い特徴がある。そのため、光安定剤や、紫外線吸収剤と似たような効果を有するため、これらの添加量を削減できる特徴がある。また、酸化チタンは光触媒作用を有しており、光を受けると表面で強力な酸化力を発揮するため、工業的にはこの性質を利用して難分解性の物質を分解するのに使用されているが、樹脂中及び表層でその酸化力を発揮されると、樹脂が劣化したり、印刷面が剥離するなどの品質劣化を招くおそれがあることから、表面処理を行い、酸化力を抑制した形で使用することが望ましい。表面処理剤・分散剤として、シリカ、水酸化Al、ジメチコン、シクロペンタシロキサン、トリエトキシカプリリルシラン、ハイドロゲンジメチコン、イソステアリン酸、ステアリン酸、アルミナ、ポリアクリル酸Naなどがある。
加えて、紫外線吸収剤などの光遮蔽剤を添加することが望ましい。紫外線吸収剤には、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系があり、プラスチックが最も影響を受けやすい領域の320~350nmあたりの紫外線を吸収する。また、HALSと併用することにより、より高い光安定性を付与することができる。代表的なものとしては、BASF製のTinuvinシリーズ、UvinulシリーズやADEKA製のLAシリーズなどがある。
また、上記記載の難燃性ポリオレフィン系樹脂をコンパウンドする際には、加工安定性向上、耐候性向上、強度向上などの添加剤を加えることができる。
加工性向上としては、滑剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤などが挙げられる。特に難燃性を向上させるため金属水和物難燃剤を相当量添加するため、コンパウンド及び製膜加工の段階で、せん断発熱が発生しやすい。そのため、滑剤を添加する必要がある。滑剤を添加することで、合成樹脂と加工機、また合成樹脂の粒子同士の摩擦を軽減することができる。炭化水素系、脂肪酸系、脂肪族アルコール系、脂肪族アマイド系、金属石鹸系などの滑剤が用いられる。通常は外部滑性と内部滑性のバランスを考慮し、複数の滑剤を併用することが望ましい。
また、せん断発熱による樹脂劣化及び、屋外での使用を想定した場合には、酸化防止剤を添加することが望ましい。酸化防止剤は、ラジカル補足剤としての1次酸化防止剤と、過酸化物分解剤としての2次酸化防止剤がある。ラジカル捕捉作用を持つものには、フェノール系が一般的で、紫外線や熱エネルギーで生成したラジカルと酸素とかから生成したROO・(アルコキシラジカル)を安定させる作用がある。化学構造としては、ヒンダードタイプ、セミヒンダードタイプ、レスヒンダードタイプの3種類があり、ラジカルの補足数と反応速度が異なる。一般にオレフィン系樹脂の場合には、比較的安定性の高い樹脂のため、酸化反応の進行が遅いので、ゆっくりと作用するヒンダードタイプが有効である。代表的な酸化防止剤としては、BASF製のIrganoxシリーズ、ADEKA製のAOシリーズなどがある。
また、フェノール系酸化防止剤によりラジカル補足を行った反応物としてプラスチック過酸化物(ROOHラジカル)が生成し、放置するとさらにラジカルに分解して劣化していくことを防止するために、ROOHを安定な物質に分解するための過酸化物分解作用を持つ硫黄系、リン系酸化防止剤が用いられる。ただし、硫黄系の酸化防止剤は、高温でにおいが発生すること、また、着色に難があるため、白色系のシートを作成するには不向きであり、リン系酸化防止剤を使用する方が望ましい。リン系酸化防止剤の代表的なものとしては、BASF製のIrgafos168やADEKA製のPEPシリーズ、2112などがある。
また、耐候性を向上させるため、紫外線により生成したラジカルを捕捉し、着色防止・光沢保持の効果がある光安定剤(HALS)を添加することが望ましい。ただし、臭素系難燃剤との共存を考えた場合、樹脂中に酸性物質が微量ながら発生するため、通常のHALSは、アルカリ性であることから、樹脂中で中和反応が発生してしまい拮抗作用を示してしまう。そのため、酸性物質と塩を形成しにくいNOR型HALSを使用することが望ましい。代表的なものとしては、BASF製のTinuvinシリーズやADEKA製のLAシリーズなどがある。
また、本発明の難燃性ポリオレフィン系装飾資材10において、前記ポリオレフィン系樹脂の総量が50Wt%(重量%)以下であり、上記記載の難燃性ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は0.5~50.0g/10minであることが好ましい。メルトフローレートが、0.5g/10min未満であると成形加工が極めて困難になることがあり、また50.0g/10minより高いと機械的強度が不十分になる。
難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルム1の成形においては、Tダイ押出製膜、カレンダー製膜、インフレーション製膜などがある。50~150μm程度の薄膜で製造する場合には、吐出量、リップ幅、引き取り速度など調整幅が多いTダイ製膜が向いている。一方、150μmを超える厚さのフィルム・シートを製造する場合には、吐出量を上げやすく、生産性の高いカレンダー製膜が向いている。
<繊維構造体基布>
繊維構造体基布2は形状が、フィラメント糸条、マルチフィラメント糸条、モノフィラメ
ント糸条、テープヤーン、スプリットヤーン、及び割裂ヤーンから選ばれた、ポリオレフィン樹脂フラットヤーンからできた不織布や織布を使用することが望ましい。
本ポリオレフィンフラットヤーンを形成する方法は、ポリオレフィン樹脂を押出機にて溶融混練し、インフレーション法またはTダイ法にてフィルムを成形し、約10~20mm幅にスリットした後延伸し、次いで熱処理してフラットヤーンを形成する。延伸処理は上記ポリオレフィンの融点以下、軟化点以上の温度下に行われるが、加熱方式としては、熱ロール式、熱板式、赤外線式、熱風式等いずれの方式も採用できる。スリットされたポリオレフィンフィルムは加熱され、前後ロールの周速度差により延伸を行う。延伸倍率は好ましくは3~15倍、より好ましくは5~10倍である。延伸倍率が3倍未満では、機械的強度が十分でなくなるおそれがある。一方、延伸倍率が15倍を超えると、通常の方法で延伸することが難しく、高価な装置を必要とするなどの問題が生じる場合がある。延伸は、多段で行うことが延伸むらを防止するために好ましい。
このようにして得られたポリオレフィンフラットヤーンを経緯糸に用いて、織成して織編布を形成する。織編布の組織としては、特に限定されるものではなく、織物では、例えば、平織、綾織、模紗織、絽織、絡み織などが挙げられ、編物ではラッセル編、トリコット編み、ミラニーズ編等が挙げられる。上記経緯糸の打込密度は通常5~40本/2.54cm、好ましくは10~30本/2.54cmの範囲である。
織布の市販品の例としては、萩原工業(株)製のターピークロス(商品名)などである
また、織編布のほか、得られたポリオレフィンフラットヤーンを、幹繊維が互いに略直交するように2枚重ね合せ、これを加熱して溶着する。網状不織布でも、構わない。このような網状不織布の代表的な市販品の例としては、JX ANCI社製、ワリフ(商標登録)、CLAF(登録商標)、積水フィルム(株)製のソフ(商品名)などが利用できる。
難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルム1と繊維構造体基布2の積層は、前記フィルムを基布の片面のみに積層してもよいし、両面に積層してもよい。また、積層の方法として、前記フィルムと基布との間に接着剤層を設けてもよいし、接着剤なしに積層融着してもよい。本発明の実施例では、カレンダー法によって成形加工された、難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルムと、繊維構造体基布とを接着剤3を介して積層した。
図2に、別の難燃性ポリオレフィン系装飾資材20の層構成を示す。難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルム1と、難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルム1の少なくとも一方の面に設けられた印刷受像層4と、反対側の面に設けられた繊維構造体基布2とを備えている。難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルム1と、繊維構造体基布2との貼り合わせ方法は上述のとおりである。
難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルム1は、印刷受像層4との対向面にコロナ放電処理法、クロム酸酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・プラズマ照射処理、易接着処理などを施してもよい。これらの処理を施すことで、難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルム1の印刷受像層3との対向面は、印刷受像層3形成時に金属材料を含む塗工剤の濡れ特性が向上し、難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルム1に対する印刷受像層3の密着性が向上する。これらの表面処理法は、難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルム1の種類に応じて適宜選定されるが、印刷受像層3との密着効果及び処理装置の操作性などの面から、コロナ放電処理法、オゾン・プラズマ照射処理が好ましく用いられる。
また、難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルム1の印刷受像層3との対向面にアンカー層5やプライマー層5を形成することで、難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルム1に対する印刷受像層3の密着性を向上させても良い。アンカー剤、プライマー剤には、様々な種類がある。アルコール系などの水性材料で表面張力が高い材料の場合には、表面張力を70
ダイン程度まで高めることが望ましい。また溶剤系やウレタンなどの表面張力が低い材料の場合には、50ダイン程度でも、適切に塗工できる場合がある。
また、使用期間が極めて短い用途の場合には、印刷受像層4を塗布せずに、直接UVインクジェットプリンターで印字することもできる。
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、難燃剤として金属水和物を100~200重量部と臭素系難燃剤を20~80重量部、三酸化アンチモンを10~50部を配合してなるメルトフローレート(MFR)0.5~50.0g/10minのコンパウンドを用いて、逆L型4本カレンダーにて150~200℃の温度条件で、厚さ200μmのシートを成形した。得られたシートにホットメルトスプレー方式で、2~30g/mの重量でオレフィン系ホットメルトを塗布したのち、網状不織布JX日鉱日石エネルギー製、CLAFを貼り合わせて得られたシートについて、強度試験及び難燃性試験を実施した。
<強度試験>
強度試験の試験詳細は下記のとおりである。
試験1)引張強さ
JIS P8113 3.1 紙及び板紙-引張特性の試験方法 第2部:定速伸張方 引張強さ準用
試験片幅:15mm(試験結果は1m幅に換算)
つかみ間隔:100mm
試験速度:20mm/分
使用機器:島津製作所製 オートグラフ AG-X 10kN(ロードセル1kN)
試験2)引裂強さ
JIS P8116 3.1 紙-引裂強さ試験方法 エルメンドルフ形引裂試験機法
重ね枚数:4枚(試験結果は1枚あたりの数値に換算)
使用機器:安田精機製作所製 エルメンドルフ型引裂試験機
試験3)破裂試験
JIS L 1096 破裂強さ、破裂試験機により生地を破裂させ、生地の強度を調べる。
使用機器:安田精機製作所製 破裂試験機。
表1に試験結果を示す。
表1に示すサンプル1は、前記記載のコンパウンドから成型したシートそのものを、サンプル2~4は、繊維構造体基布層として、網状不織布JX日鉱日石エネルギー製、CLAFを貼り合わせて得られた3種類のシートをそれぞれ示す。
表1の結果より、繊維構造体基布層を貼り付けることで、強度が大幅に向上することが確認された。
<難燃性試験>
難燃性の試験の詳細は、以下の通りである。屋内外の横断幕、懸垂幕などの装飾物は、消防法に基づく防炎規制の対象となり、消防法施行規則第4条の3第3項から第7項に示す試験法に適合する必要がある。試験基準としては、JIS L 1091繊維製品の燃焼
性試験方法を適応し、試験対象物の坪量によって、試験方法が異なる。
今回試作を行ったサンプルは、全て450g/mであるため、A-1法(45°ミクロバーナ法)によって、試験を行い、区分3の評価基準にて判定を行った。表2に、JIS L 1091A-1法、区分3の試験基準を、表3に試験結果を示す。
表3の結果により、全てのサンプルにおいて、JIS L 1091A-1法、区分3の基準に適合する良好な結果が得られた。
1:難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルム
2:繊維構造体基布
3:接着剤
4:印刷受像層
5:アンカー層(プライマー層)
10:難燃性ポリオレフィン系装飾資材
20:別の難燃性ポリオレフィン系装飾資材

Claims (7)

  1. ポリオレフィン系樹脂、白色顔料・遮蔽添加物、難燃剤を含む難燃性ポリオレフィン系樹脂を製膜した難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルムと、延伸倍率が3~15倍以内の範囲内にあるポリオレフィン系樹脂を延伸した繊維で構成された繊維構造体基布を貼り合わせた少なくとも2層以上からなる積層体からなり、
    前記難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルムは、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、前記難燃剤として金属水和物を100~200重量部と臭素系難燃剤を20~80重量部含む、
    難燃性ポリオレフィン系装飾資材。
  2. ポリオレフィン系樹脂、白色顔料・遮蔽添加物、難燃剤を含む難燃性ポリオレフィン系樹脂を製膜した難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルムと、延伸倍率が3~15倍以内の範囲内にあるポリオレフィン系樹脂を延伸した繊維で構成された繊維構造体基布を貼り合わせた少なくとも2層以上からなる積層体からなり、
    前記難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルムは、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、前記難燃剤として金属水和物を50~200重量部と臭素系難燃剤を20~80重量部含み、かつ、前記臭素系難燃剤よりも前記金属水和物を多く含有する、
    難燃性ポリオレフィン系装飾資材。
  3. 前記難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルムにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、前記白色顔料・遮蔽添加物を0.5~10重量部配合したことを特徴とする請求項1または2に記載の難燃性ポリオレフィン系装飾資材。
  4. 前記難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルムにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、前記難燃剤としてさらに三酸化アンチモンを10~50重量部配合したことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の難燃性ポリオレフィン系装飾資材。
  5. 前記難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルムにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂の総量が50Wt%以下で構成されることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の難燃性ポリオレフィン系装飾資材。
  6. 前記難燃性ポリオレフィン系樹脂フィルムが、0.5~50.0g/10minのメルトフローレート(MFR)を有することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の難燃性ポリオレフィン系装飾資材。
  7. 前記繊維構造体基布において、形状が、フィラメント糸条、マルチフィラメント糸条、モノフィラメント糸条、テープヤーン、スプリットヤーン、及び割裂ヤーンから選ばれる請求項1~6のいずれかに記載の難燃性ポリオレフィン系装飾資材。
JP2020001579A 2020-01-08 2020-01-08 難燃性ポリオレフィン系装飾資材 Active JP7476537B2 (ja)

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