JP7476044B2 - 仮設開口部用型枠 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄筋コンクリート造建造物の床スラブにおいて、建設資材等の運搬のための仮設開口部を形成する仮設開口部用型枠に関するものである。
従来、鉄筋コンクリート造のマンション等の建築工事において、建設資材等を搬入するために、仮設開口部用型枠を用いて床スラブに仮設開口部が形成される。この仮設開口部は、資材搬入後にはコンクリートで閉塞され、床スラブが完成される。
仮設開口部を閉塞する際には、仮設開口部の底部に底板型枠で蓋をした後、コンクリートを打設する。底板型枠を取り付ける方法として、例えば特許文献1には、下階からパイプサポートで底板型枠を支持する方法が記載されている。
ところが、パイプサポートは一定時間設置しておく必要があり、その間、下階の作業空間が狭くなる。また、その仮設開口部と同じ位置の下階にも仮設開口部を設ける場合には、パイプサポートで底板型枠を固定することができない。
そのような場合に底板型枠を取り付ける方法として、特許文献1には、仮設開口部の上端を跨ぐように鋼管等を配置し、その鋼管に番線等を結束して底板型枠を吊り下げる方法も開示されている。
あるいは、従来、床スラブにインサートを埋設して底板型枠を取り付けることも行われている。
特開2001-173230号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法はいずれも、特殊且つ面倒な作業を要し、底板型枠を取り付けるために専門の作業員が必要となる。
さらに、床スラブにインサートを埋設する場合は、インサートの埋設作業に手間がかかる。しかも、床スラブの割裂防止のためには仮設開口部からある程度離れた位置にインサートを設置する必要があり、底板型枠のサイズを開口部よりもかなり大きくする必要がある。底板型枠のサイズや重量が大きくなると、運搬や作業時に要する労力が増すうえ、仮設開口部を閉塞するコンクリートの重量によっては、底板型枠の変形が過大となる問題が生じる。
本発明の目的は、鉄筋コンクリート造建造物の建築工事において設けられる仮設開口部を塞ぐ際、特別な技能を要する専門の作業員を必要とすることなく、簡易に底板型枠を取り付けられる仮設開口部用型枠を提供することにある。
上記問題を解決するため、本発明は、建設中の鉄筋コンクリート造建造物の床スラブに仮設開口部を形成するための仮設開口部用型枠であって、前記仮設開口部の外周を形成する側面部と、前記側面部の上部に取り付けられ、コンクリート打設時に、前記側面部の上部かぶり厚を確保する上かぶり部と、前記側面部の下部に取り付けられ、コンクリート打設時に、前記側面部の下部かぶり厚を確保する下かぶり部と、前記仮設開口部の内側を貫通し、前記仮設開口部とその周囲のコンクリートとを一体化する定着筋と、前記仮設開口部の下端を塞ぐ蓋と、で構成され、前記側面部は、四隅をコーナー連結部材で連結され、前記コーナー連結部材には、前記仮設開口部の下方からボルトを挿通可能なインサートが設けられ、前記蓋は、前記インサートの位置に合わせて、前記インサートに固定可能なボルト用のボルト孔が形成されていることを特徴とする、仮設開口部用型枠を提供する。
前記蓋は、前記仮設開口部全体を塞ぐ平板部と、前記平板部の長手方向の対向する辺に沿って設けられたリブ状のフレーム部とを有し、前記ボルト孔が、前記平板部と前記フレーム部とを貫通して形成されていることが好ましい。
前記インサートは、前記仮設開口部の上端側よりも内側に設けられ、前記仮設開口部の上端側が下端側よりも大きいことが好ましい。
本発明によれば、鉄筋コンクリート造建造物の建築工事に設けられる仮設開口部において、特別な技能を有する専門の作業員を必要とせず、また、下階の作業スペースを邪魔することなく、下端を塞ぐことができる。
本発明の実施形態にかかる仮設開口部用型枠の設置例を示す平面図である。 本発明の実施形態にかかる仮設開口部用型枠の例を示す斜視図である。 図2の仮設開口部用型枠の側面部の例を示す斜視図である。 本発明の実施形態にかかる仮設開口部用型枠の蓋の例を示す底面図である。 本発明の実施形態にかかる仮設開口部用型枠の使用時の状態を示す説明図であり、(a)は仮設開口部の上下が開放された状態、(b)は仮設開口部の下方に蓋を固定した状態を示す。 本発明の実施形態にかかる仮設開口部用型枠の使用時の状態を示す説明図であり、(a)は仮設開口部の上下が開放された状態、(b)は仮設開口部の上方に蓋を設置した状態を示す。
以下、本発明の実施の形態を、図を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本発明は、建設中の鉄筋コンクリート造の床スラブにおいて、建設資材等の運搬用に設けられる仮設開口部に用いられる型枠である。図1は、本発明の実施形態にかかる仮設開口部用型枠1を、建設中の鉄筋コンクリート造建造物の床スラブに設置した例を示し、図2は、本実施形態にかかる仮設開口部用型枠1の概略構成を示す。仮設開口部は、その役目を終えた後は、下端を蓋で塞ぎ、型枠に後打ちコンクリートを打設することにより閉塞される。
仮設開口部10の周囲には、図1に示すように、床スラブとして設計上必要な鉄筋が配筋され、仮設開口部10を形成する位置に、仮設開口部用型枠1が配置される。通常、仮設開口部用型枠1の外周側には、仮設開口部10により欠損する鉄筋の代わりとなる補強筋9が配置される。本実施形態にかかる仮設開口部用型枠1は、図2に示すように、側面部2、上かぶり部3、下かぶり部4、および定着筋5を有している。なお、図2は、手前側の2辺については、上かぶり部3の記載を省略している。また、図2には蓋6は記載していない。
側面部2は、仮設開口部10の外周となる四方にそれぞれ配置される。側面部2は、例えば図3に示すように、メッシュ状のせき板11と、上下方向に延びる凸状リブ12とが交互に一体成形されている。凸状リブ12は、仮設開口部用型枠1の各辺において内側に向けて突出している。四方に配置される側面部2は、コーナー連結部材13によって連結される。側面部2の材質としては、例えば厚さ0.4mm程度の溶融亜鉛めっき鋼板が用いられ、せき板11はメッシュ状に限らず、平板状でも構わない。側面部2に凸状リブ12が設けられていることにより、高い剛性を確保でき、コンクリート打設時に側圧を受けた際の変形を抑制できる。また、仮設開口部の周囲の先打ちコンクリートと、仮設開口部に打設される後打ちコンクリートとの接触面積を増やし、一体性を高めることができる。側面部2の上下方向の寸法は、床スラブ厚に応じて決められ、例えば90mm以上とされる。なお、側面部2の上部に、止水ゴム等を全周にわたって設置することで、仮設開口部10を閉塞した後の止水性能を得ることができる。
上かぶり部3は、側面部2の上かぶり寸法を確保するために設けられる。本実施形態では、上かぶり部3は、上方且つ仮設開口部10の外側に向かって斜めに延び、仮設開口部10の全外周に亘って設けられる。斜め上方に延びていることで、型枠内にコンクリートを打設した後の取り外しが容易に行える。上かぶり部3の材質は特に限定されず、例えば鉄板等が用いられる。上かぶり部3は、仮設開口部用型枠1内にコンクリートを打設した後には、撤去される。
下かぶり部4は、側面部2の下かぶり寸法を確保するために設けられ、側面部2の下部に設けられる。下かぶり部4は、例えば、側面部2を設置位置から浮き上がらせるためのスペーサ21や、先打ちコンクリートが仮設開口部内に侵入することを防ぐメッシュ状のコン止め部材22を備えている。本実施形態において、コン止め部材22は、スペーサ21の高さ方向を全て覆うように取り付けられ、仮設開口部の内側に向かって、かつ、側面部2の凸状リブ12よりも内側まで延びるように設けられる。なお、コン止め部材22はメッシュ状に限らず、平板状の鋼板でも構わない。この下かぶり部4は、コンクリート打設後に撤去する必要がなく、そのまま埋設される。このように下かぶり部4を設置して、先打ちコンクリートを打設した後の仮設開口部の断面が下側に向けて小さくなるようにすることで、仮設開口部にコンクリートを打設する際、コンクリートの抜け落ちを防止し、確実に隅々まで充填できる。コン止め部材22は、例えばスペーサ21の上部に溶接することにより取り付けられる。
定着筋5は、例えばD13の異径鉄筋の両端に、定着部材として鋼管スリーブ23を圧着して構成される。両端部は、コーナー連結部材13に定着できる形状であれば、スリーブ状に限ることはないが、仮設開口部周辺の配筋に対して邪魔にならずに設置できる形状が好ましい。定着筋5は、四方の側面部2に沿って仮設開口部10の内周側を貫通し、仮設開口部用型枠1から所定長さだけ外側へ突出させる。これにより、コンクリート打設後に、仮設開口部用型枠1の内側とその周辺のスラブとが一体化される。その結果、仮設開口部10を充填した個所に生じる曲げモーメントを周辺に伝達するとともに、仮設開口部10を設けたことによって欠損したスラブ鉄筋の代わりに、スラブに生じる曲げモーメントに抵抗することができる。
側面部2の四方の角部は、コーナー連結部材13で連結される。コーナー連結部材13には、下方からボルトを挿通できるようにインサート24が設けられている。インサート24は、仮設開口部用型枠1を現場に設置した状態で形成される仮設開口部10の上端よりも内側となる位置に設けられる。以上のように構成される仮設開口部用型枠1は、例えば、工場で組み立てられて現場に搬入し、建設現場で設置される。
インサート24は、仮設開口部10が資材運搬等の役目を終えて閉塞される際、コンクリートを打設する前に仮設開口部10の下端を塞ぐ蓋6を取り付ける際に使用される。図4は、本実施形態にかかる蓋6の例を示す。蓋6は、仮設開口部10全体を覆う大きさを有する平板部31を有し、コーナー連結部材13のインサート24の位置に対応する平板部31の四隅付近に、それぞれボルト孔32が形成されている。また、平板部31の長辺方向の対向する辺の外周付近に、ボルト孔32同士を結ぶように、L字状のアングルからなるフレーム部33が固定されている。フレーム部33は、L字状のアングルに限るものではないが、平板部31の剛性を向上させるためにリブ状に設けられ、例えば溶接によって平板部31に固定される。平板部31に形成されたボルト孔32は、フレーム部33にも同じ位置に形成され、すなわちボルト孔32は平板部31およびフレーム部33を貫通している。さらに、本実施形態では、平板部31の剛性を高め、コンクリートの荷重がかかったときの変形を防止するために、平板部31の短辺方向にも適宜、L字状アングルからなる補強材34が、溶接あるいはねじ止め等により固定されている。
以下、蓋6の使用方法について説明する。
資材運搬等の役目を終えて、蓋6を仮設開口部10の下端側に取り付ける際には、図5(a)に示すように、蓋6のフレーム部33が取り付けられている面を下向きにし、且つ、蓋6のボルト孔32とインサート24の位置とを一致させて、蓋6の下方からインサート24にボルト35を螺合し、図5(b)に示すように蓋6を固定する。仮設開口部用型枠1の四隅に予めインサート24を設けることで、特別な技能を要することなく、また、下階のスペースを制限するパイプサポート等を必要とせずに、蓋6を容易に取り付けることができる。
また、本実施形態のように蓋6にリブ状のフレーム部33を設けることで、蓋6の剛性が向上し、仮設開口部10の下端側において、蓋6がコンクリートの重量で変形するのを防止できる。さらに、ボルト孔32が平板部31とフレーム部33とを貫通していることで、安定して堅固に蓋6を固定できる。したがって、蓋6をそのまま底板型枠として利用できる。また、蓋6は、運搬や設置等の作業を行う際の労力を考慮すれば軽量であることが望ましいが、フレーム部33や補強材34を設けることで平板部31に求められる強度および剛性を低減できるので、板厚を薄く計量なものとすることができる。なお、平板部31の材質は、軽量な樹脂製が望ましいが、木製や鉄製でも構わない。また、フレーム部33は、高い強度や剛性を要するため、鉄製が望ましいが、必要な強度および剛性を満たすものであれば樹脂製でも良い。
また、インサート24を仮設開口部10の上端と下端との間、特にコーナー連結部材13の下端部に設置すれば、下端側の蓋6の固定を蓋6に近い位置で行うことが可能となり、コンクリート重量による蓋6の変形を低減することができる。
一方、仮設開口部10に打設したコンクリートの養生期間や建設資材等を運搬するとき以外は、建築工事の作業性を考慮すると、仮設開口部10の上端側を塞いでおくことが好ましい。本実施形態においては、前述の通り、上かぶり部3が仮設開口部10の外側に向かって斜めに延び、下かぶり部4のコン止め部材22が仮設開口部10の内側に向かって延びるように設けられている。そのため、図6(a)に示すように、仮設開口部10の上端の開口幅W1が、下端の開口幅W2よりも大きく形成されている。そして、インサート24の位置を上かぶり部3の仮設開口部上端の側面位置よりも内側となるようにすることで、蓋6を載置したときに、フレーム部33を仮設開口部10の上端側の内側に収めることができる。そのため、下端側を塞ぐ蓋6を、仮設開口部10の上端側を一時的に塞ぐ際にも兼用して用いることができる。その際には、図6(b)に示すように、フレーム部33が取り付けられている側を下向きにして、仮設開口部10の内側にフレーム部33が納まるように蓋6を載置するだけでよい。フレーム部33が仮設開口部10の側面に接触するまで位置がずれても蓋6が仮設開口部10内に落下しないような大きさにすることにより、蓋6が水平方向にずれたとしても、フレーム部33が仮設開口部10の側面に引っかかることで、それ以上のずれを防ぐことができる。したがって、上端側は、ボルト等の固定手段が必要なく、着脱に手間がかからないので、仮設開口部10を一時的に塞ぐことが容易に行える。
仮設開口部10の上部に蓋6を載置する際には、段差が生じると作業性が低下するため、仮設開口部10の上部から大きく突出しないことが望ましい。本実施形態によれば、フレーム部33を下方に向けて開口部の内部に収めるとともに、平板部31の板厚を薄くすることにより、段差を最小限にすることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、鉄筋コンクリート造建造物の床スラブに仮設開口部を形成する際に用いられる仮設開口部用型枠に適用できる。
1 仮設開口部用型枠
2 側面部
3 上かぶり部
4 下かぶり部
5 定着筋
6 蓋
10 仮設開口部
11 せき板
12 凸状リブ
13 コーナー連結部材
21 スペーサ
22 コン止め部材
23 鋼管スリーブ
24 インサート
31 平板部
32 ボルト孔
33 フレーム部
34 補強材
35 ボルト

Claims (3)

  1. 建設中の鉄筋コンクリート造建造物の床スラブに仮設開口部を形成するための仮設開口部用型枠であって、
    前記仮設開口部の外周を形成する側面部と、
    前記側面部の上部に取り付けられ、コンクリート打設時に、前記側面部の上部かぶり厚を確保する上かぶり部と、
    前記側面部の下部に取り付けられ、コンクリート打設時に、前記側面部の下部かぶり厚を確保する下かぶり部と、
    前記仮設開口部の内側を貫通し、前記仮設開口部とその周囲のコンクリートとを一体化する定着筋と、
    前記仮設開口部の下端を塞ぐ蓋と、
    で構成され、
    前記側面部は、四隅をコーナー連結部材で連結され、前記コーナー連結部材には、前記仮設開口部の下方からボルトを挿通可能なインサートが設けられ、
    前記蓋は、前記インサートの位置に合わせて、前記インサートに固定可能なボルト用のボルト孔が形成されていることを特徴とする、仮設開口部用型枠。
  2. 前記蓋は、前記仮設開口部全体を塞ぐ平板部と、前記平板部の長手方向の対向する辺に沿って設けられたリブ状のフレーム部とを有し、前記ボルト孔が、前記平板部と前記フレーム部とを貫通して形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の仮設開口部用型枠。
  3. 前記インサートは、前記仮設開口部の上端側よりも内側に設けられ、前記仮設開口部の上端側が下端側よりも大きいことを特徴とする、請求項1または2に記載の仮設開口部用型枠。
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