JP7475725B1 - ビームローテータ、レーザ加工装置及びレーザ加工方法 - Google Patents

ビームローテータ、レーザ加工装置及びレーザ加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガルバノスキャナ等の機械的な動作を用いることなく、半径ローテータ及び角度ローテータの回転のみによって円形以外の加工パターンを実現する。【解決手段】回転可能なウェッジプリズム12を備えたメインローテータ30と、回転可能なウェッジプリズム13を備えた補正ローテータ31を有し、両ローテータ間の位相差を調整することによってワーク38に集光されるレーザビームL28の照射半径を可変とする半径ローテータ14と、制御手段としてのパソコン35を備えたビームローテータ10。メインローテータ30のウェッジプリズム12の偏向角度、回転方向及び回転速度と、補正ローテータ31のウェッジプリズム13の偏向角度、回転方向及び回転速度を調整することにより、レーザビームL28の照射形状を可変とした。【選択図】図1

Description

この発明はビームローテータ、レーザ加工装置及びレーザ加工方法に係り、特に、内蔵された複数の偏向素子(ウェッジプリズム等)の回転により、レーザビームを所定のパターンに沿ってワーク上に照射する機能を備えたビームローテータ、及びこのようなビームローテータを用いたレーザ加工技術に関する。
ワークに対してレーザビームを照射し、高精度の穴開け加工を行うに際し、ビームローテータが用いられるケースが増えている(特許文献1参照)。
従来のビームローテータは、複数のウェッジプリズムを有する半径ローテータと、複数のウェッジプリズムを有する角度ローテータよりなり、各ローテータのウェッジプリズムの回転により、レンズを介してワーク上に結像されるレーザビームの照射スポットを、円周に沿って移動させる機能を備えている。
また、半径ローテータの各ウェッジプリズム間の位相差を調整することにより、出射されるレーザビームの角度を変えることができ、この結果、ワーク表面におけるレーザビームの走査半径を加減することが可能となる。
さらに、角度ローテータの各ウェッジプリズム間の位相差を調整することによってレーザビームの光軸を平行移動させ、ワークに対するレーザビームの照射角度を可変とすることもできる。
特許第5466528号
このように、ビームローテータは半径ローテータ及び角度ローテータの回転により、ワーク上におけるレーザビームの照射スポットを円形に高速移動させることができる利点を備えているのであるが、円形以外の加工パターン(例えば矩形状の精密微細穴形成)に対応できないという問題があった。
この問題を解決するためとして、以下の特許文献2においては、ビームローテータと、その前段に配置された偏光ローテータとの回転速度比及び回転位相差を調整することにより、四隅をP偏光、直線部をS偏光の状態とした四角偏光パターンのレーザ光を生成し、これを用いてワークに四角穴を加工するアイディアが開示されている。
特許第6910086号
しかしながら、実際に四角穴を形成するためには、ガルバノスキャナやXYステージの機械的な動作により、ワーク表面にけるレーザ光の照射位置を仮想の格子線に沿って走査する必要があり(同文献の図13)、加工精度や加工速度に問題があるのはもちろん、ガルバノスキャナやXYステージの耐久性の点でも難があった。
この発明は、このような従来のビームローテータが抱える問題を解決するために案出されたものであり、ガルバノスキャナやXYステージ等の機械的な動作を必要とすることなく、半径ローテータ及び角度ローテータの回転のみによって単純な円形以外の加工パターンを実現可能なビームローテータを提供することを目的としている。また、このようなビームローテータを用いたレーザ加工技術の提供を目的としている。
上記の目的を達成するため、請求項1に記載のビームローテータは、回転可能に配置された1または複数の偏向素子を備えたメインローテータと、回転可能に配置された1または複数の偏向素子を備えた補正ローテータを有し、両ローテータ間の位相差を調整することによって透過レーザビームの偏向量を可変とし、以てワークに集光されるレーザビームの照射半径を可変とする半径ローテータと、上記の各偏向素子の回転速度及び回転方向を制御する制御手段とを備えたビームローテータであって、上記メインローテータの偏向素子の偏向角度、回転方向及び回転速度と、上記補正ローテータの偏向素子の偏向角度、回転方向及び回転速度を調整することにより、ワーク表面におけるレーザビームの照射形状を可変とすることを特徴としている。
上記「偏向素子」としてはウェッジプリズムが典型であるが、その他にも回折格子やDOE(Diffractive Optical Element/回折光学素子)などが該当する(以下同様)。
請求項2に記載のビームローテータは、請求項1に記載のビームローテータであって、回転可能に配置された1または複数の偏向素子を備えた第1のユニットと、回転可能に配置された1または複数の偏向素子を備えた第2のユニットを有し、両ユニット間の位相差を調整することによって透過レーザビームの光軸を所定幅で平行移動させ、以てワークに集光されるレーザビームの照射角度を可変とする角度ローテータを備えたことを特徴としている。
請求項3に記載のビームローテータは、請求項1または2に記載のビームローテータであって、上記メインローテータが、回転可能に配置された円筒状支持部材と、この円筒状支持部材内に配置された複数の偏向素子を備えており、少なくとも一つの偏向素子は上記円筒状支持部材の内周面に回動自在に配置されており、当該偏向素子を所定方向に所定量回動させることにより、他の偏向素子との間の位相差が変更され、以てメインローテータの偏向角度が可変となされ、上記補正ローテータが、回転可能に配置された円筒状支持部材と、この円筒状支持部材内に配置された複数の偏向素子を備えており、少なくとも一つの偏向素子は上記円筒状支持部材の内周面に回動自在に配置されており、当該偏向素子を所定方向に所定量回動させることにより、他の偏向素子との間の位相差が変更され、以て補正ローテータの偏向角度が可変となされることを特徴としている。
請求項4に記載のビームローテータは、請求項1または2に記載のビームローテータであって、上記メインローテータが、回転可能に配置された一対の円筒状支持部材と、一方の円筒状支持部材の一の開口部に嵌装された第1の偏向素子と、他方の円筒状支持部材の一の開口部から突出した延長管と、この延長管の先端開口部に嵌装された第2の偏向素子よりなり、上記延長管の先端開口部が第1の円筒状支持部材の他の開口部から内部に挿入されることにより、第2の偏向素子が第1の偏向素子の近傍に配置されており、第1の偏向素子と第2の偏向素子間の回転速度を調整することによって両者間の位相差が変更され、以てメインローテータの偏向角度が可変となされ、上記補正ローテータが、回転可能に配置された一対の円筒状支持部材と、一方の円筒状支持部材の一の開口部に嵌装された第1の偏向素子と、他方の円筒状支持部材の一の開口部から突出した延長管と、この延長管の先端開口部に嵌装された第2の偏向素子よりなり、上記延長管の先端開口部が第2の円筒状支持部材の他の開口部から内部に挿入されることにより、第2の偏向素子が第1の偏向素子の近傍に配置されており、第1の偏向素子と第2の偏向素子間の回転速度を調整することによって両者間の位相差が変更され、以て補正ローテータの偏向角度が可変となされ、さらに、メインローテータの第1の偏向素子と、補正ローテータの第1の偏向素子とが近接配置されていることを特徴としている。
請求項5に記載のビームローテータは、請求項1または2に記載のビームローテータであって、上記メインローテータが、回転可能に配置された一対の円筒状支持部材と、各円筒状支持部材の対向する開口部にそれぞれ嵌装された第1の偏向素子及び第2の偏向素子よりなり、上記補正ローテータが、回転可能に配置された一対の円筒状支持部材と、各円筒状支持部材の対向する開口部にそれぞれ嵌装された第1の偏向素子及び第2の偏向素子よりなり、メインローテータの偏向素子と補正ローテータの偏向素子間が、両側テレセントリックなアフォーカル結合光学系で接続されていることを特徴としている。
請求項6に記載のビームローテータは、請求項5に記載のビームローテータであって、上記補正ローテータを複数備え、各補正ローテータの偏向素子間がアフォーカル結合光学系で接続されており、各補正ローテータの偏向素子の偏向角度、回転方向及び回転速度を調整することにより、ワーク表面におけるレーザビームの照射形状を可変とすることを特徴としている。
請求項7に記載のビームローテータは、請求項2に記載のビームローテータであって、上記角度ローテータが、回転可能に配置された一対の円筒状支持部材と、各円筒状支持部材の対向する開口部にそれぞれ嵌装された第1の偏向素子及び第2の偏向素子を備えた第1のユニットと、回転可能に配置された一対の円筒状支持部材と、各円筒状支持部材の対向する開口部にそれぞれ嵌装された第1の偏向素子及び第2の偏向素子を備えた第2のユニットとを備えたことを特徴としている。
請求項8に記載のビームローテータは、請求項2に記載のビームローテータであって、上記角度ローテータが、回転可能に配置された一対の円筒状支持部材と、各円筒状支持部材内に傾斜配置された平行平面基板状の偏向素子を備えた第1のユニットと、回転可能に配置された一対の円筒状支持部材と、各円筒状支持部材内に傾斜配置された平行平面基板状の偏向素子を備えた第2のユニットとを備え、第1のユニットの偏向素子と第2のユニットの偏向素子間が、アフォーカル結合光学系で接続されていることを特徴としている。
請求項9に記載のレーザ加工装置は、ナノ秒、ピコ秒、フェムト秒等の短パルスレーザ発振器、またはグリーンレーザ、UVレーザ、エキシマレーザ等の短波長レーザ発振器と、請求項1~8の何れかに記載のビームローテータとを備えたことを特徴としている。
請求項10に記載のレーザ加工方法は、ナノ秒、ピコ秒、フェムト秒等の短パルスレーザ発振器、またはグリーンレーザ、UVレーザ、エキシマレーザ等の短波長レーザ発振器と、請求項1~8の何れかに記載のビームローテータとを備えたレーザ加工装置を用いて、ワークに加工を施すことを特徴としている。
この発明に係るビームローテータの場合、ワークに集光されるレーザビームの照射半径を加減するための半径ローテータがメインローテータと補正ローテータによって構成されており、各ローテータの偏向素子の偏向角度、回転方向及び回転速度を異ならせることにより、ガルバノスキャナやXYステージを用いることなく、各ローテータの回転のみによってワーク表面におけるレーザビームの照射パターンを円形以外の正三角形や正方形等となすことが可能となる。
ビームローテータを含むレーザ加工装置の基本構造を示す模式図である。 ビームローテータを用いてワークの表面に楕円状のレーザ照射パターンを形成する例を示す図である。 ビームローテータを用いてワークの表面に略正三角形状のレーザ照射パターンを形成する例を示す図である。 ビームローテータを用いてワークの表面に略正方形状のレーザ照射パターンを形成する例を示す図である。 ビームローテータを用いてワークの表面に略正五角形状のレーザ照射パターンを形成する例を示す図である。 ビームローテータを用いてワークの表面に略正六角形状のレーザ照射パターンを形成する例を示す図である。 ビームローテータを用いてワークの表面に略正七角形状のレーザ照射パターンを形成する例を示す図である。 ビームローテータを用いてワークの表面に略正八角形状のレーザ照射パターンを形成する例を示す図である。 ビームローテータを用いてワークの表面に略五芒星形状のレーザ照射パターンを形成する例を示す図である。 ビームローテータを用いてワークの表面に略ドーナツ状のレーザ照射パターンを形成する例を示す図である。 ウェッジプリズムの偏向角度と描画半径との関係を示す図である。 メインローテータの回転軌跡と、補正ローテータの回転軌跡と、両軌跡の合成ベクトルとして表される略正方形状の加工軌跡を示す図である。 メインローテータが時計回りに20度回転した場合の補正ローテータの回転軌跡及びレーザ照射ポイントを示す図である。 略五芒星形状のレーザ照射パターンを形成する過程を示す図である。 メインローテータの偏向角度と補正ローテータの偏向角度を異ならせるための最も単純な方式を示す図である。 メインローテータの偏向角度と補正ローテータの偏向角度を異ならせる他の方式を示す図である。 メインローテータの偏向角度と補正ローテータの偏向角度を異ならせる他の方式を示す図である。 メインローテータの偏向角度と補正ローテータの偏向角度を異ならせる他の方式を示す図である。 複数段の補正ローテータを設置する例を示す図である。 複数段の補正ローテータを設置した際の効果を示す図である。 角度ローテータの改善例を示す図である。 他の角度ローテータの改善例を示す図である。
図1は、この発明に係るビームローテータ10及びレーザ発振器100等を備えたレーザ加工装置102の基本構成を示す模式図であり、ビームローテータ10は、ウェッジプリズム12及びウェッジプリズム13を備えた半径ローテータ14と、ウェッジプリズム15、ウェッジプリズム16、ウェッジプリズム17及びウェッジプリズム18を備えた角度ローテータ19を備えている。
半径ローテータ14のウェッジプリズム12は、円筒状支持部材20の右端開口部に嵌合されており、ウェッジプリズム13は、円筒状支持部材21の左端開口部に嵌合されている。
また、角度ローテータ19のウェッジプリズム15は、円筒状支持部材22の左端開口部に嵌合されており、ウェッジプリズム16は、同円筒状支持部材22の右端開口部に嵌合されている。
さらに、角度ローテータ19のウェッジプリズム17は、円筒状支持部材23の左端開口部に嵌合されており、ウェッジプリズム18は、同円筒状支持部材23の右端開口部に嵌合されている。
各円筒状支持部材20~23には、それぞれベアリング24及びプーリ25が嵌装されている。
また、各円筒状支持部材20~23の近傍には、それぞれサーボモータ26が配置されており、そのシャフトに接続されたギア27とプーリ25との間には、ベルト28が装着されている。
この結果、各サーボモータ26の回転により、各円筒状支持部材20~23内に配置されたウェッジプリズム12, 13, 15~18も回転する。
図示の通り、半径ローテータ14を構成する円筒状支持部材20, 21は、角度ローテータ19を構成する円筒状支持部材22, 23と同一の平面上に設置されている。
なお、サーボモータ26の代わりに中空サーボモータを採用すると共に、その中空シャフト内にウェッジプリズムを配置すれば、ギア27やプーリ25、ベルト28の設置を省略することができる。
以下においては、ウェッジプリズム12、円筒状支持部材20、ベアリング24、プーリ25、サーボモータ26、ギア27及びベルト28よりなる半径ローテータ14の左側部分を、メインローテータ30と称する。
また、ウェッジプリズム13、円筒状支持部材21、ベアリング24、プーリ25、サーボモータ26、ギア27及びベルト28よりなる半径ローテータ14の右側部分を、補正ローテータ31と称する。
また、ウェッジプリズム15、ウェッジプリズム16、円筒状支持部材22、ベアリング24、プーリ25、サーボモータ26、ギア27及びベルト28よりなる角度ローテータ19の左側部分を、第1のユニット32と称する。
さらに、ウェッジプリズム17、ウェッジプリズム18、円筒状支持部材23、ベアリング24、プーリ25、サーボモータ26、ギア27及びベルト28よりなる角度ローテータ19の右側部分を、第2のユニット33と称する。
各サーボモータ26には、ケーブル34を介して制御手段としてのパソコン35が接続されている。
各サーボモータ26はエンコーダを内蔵しており、パソコン35に対してそれぞれの位置情報がリアルタイムに送出される。
このパソコン35には、OSの他にレーザ発振器100及びビームローテータ10の制御用プログラムが搭載されている。
そして、パソコン35の拡張スロットに装着された制御ボードから各サーボモータ26に対して制御用の信号が送出され、それぞれの回転方向及び回転速度がコントロールされる。
汎用的なパソコン35を用いる代わりに、専用の制御装置(同期サーボ制御装置等)を制御手段として用いることも当然に可能である。
パソコン35からの制御信号に基づいてレーザ発振器100からレーザビームが出射されると、このレーザビームL21は角度ローテータ19のウェッジプリズム15に入射し、所定の方向に偏向される。この偏向レーザビームL22は、そのままウェッジプリズム16に入射し、ここでも所定の方向に偏向される。
この結果、ウェッジプリズム15及びウェッジプリズム16を透過したレーザビームL23は、ウェッジプリズム15に入射したレーザビームL21に対して所定の幅で平行移動することとなる。
ウェッジプリズム16から出射したレーザビームL23は、ウェッジプリズム17に入射し、所定の方向に偏向される。この偏向レーザビームL24はウェッジプリズム18に入射し、ここでも所定の方向に偏向される。
この結果、ウェッジプリズム17及びウェッジプリズム18を透過したレーザビームL25は、ウェッジプリズム17に入射したレーザビームL23に対して所定の幅で平行移動することとなる。
このウェッジプリズム18を透過したレーザビームL25は、メインローテータ30のウェッジプリズム12に入射する。
そして、ウェッジプリズム12及びウェッジプリズム13を透過し、所定の角度に偏向されたレーザビームL26は、ミラー36で反射される。
このミラー36で反射されたレーザビームL27はレンズ37に入射し、そこで集光されたレーザビームL28はワーク38に照射され、所望のレーザ加工が施される。
円形パターンでのレーザ加工を行う際には、各サーボモータ26が同一方向に高速回転し、これを受けてウェッジプリズム12, 13, 15~18も同一方向に高速回転する。
この結果、ワーク38における照射スポットは円周上を移動することとなる。
この際に、半径ローテータ14のウェッジプリズム12とウェッジプリズム13との間の位相差を調整することにより、ウェッジプリズム13から出射されるレーザビームL26の偏向角度を変えることができ、この結果、ワーク38における照射スポットの半径を可変とすることができる。
このウェッジプリズム12とウェッジプリズム13との位相差は、それぞれのサーボモータ26の回転速度を制御することにより実現される。
また、角度ローテータ19のウェッジプリズム16とウェッジプリズム17との間の位相差を調整することにより、ウェッジプリズム18からウェッジプリズム12に対して出射されるレーザビームL25の平行移動量を調整することができ、この結果、レンズ37におけるレーザビームL27の入射位置が移動するため、ワーク38に照射するレーザビームの角度を可変とすることができる。
このウェッジプリズム16とウェッジプリズム17との位相差は、上記と同様、それぞれのサーボモータ26の回転速度を制御することにより実現される。
上記においては、角度ローテータ19の次段に半径ローテータ14が設けられた例を示したが、両者の位置を入れ替え、半径ローテータ14から出力されたレーザビームを角度ローテータ19において平行移動させ、ミラー36に出射するように構成することも可能である。
また、半径ローテータ14のメインローテータ30と補正ローテータ31についても同様であり、両者の位置を入れ替えてもよい。
このビームローテータ10は、メインローテータ30と補正ローテータ31の偏向角度、回転方向、回転速度を適宜調整することにより、円形以外の加工パターンを実現することができる。
例えば図2(a)に示すように、メインローテータ30のウェッジプリズム12による描画半径を「50μm」に、回転方向を「正転」に、回転速度比を「1」に設定すると共に、補正ローテータ31のウェッジプリズム13による描画半径を「5.5μm」に、回転方向を「逆転」に、回転速度比を「1(メインローテータ30と同速)」に設定すると、同図(b)に示すように、ワーク38の表面に楕円状のレーザ照射パターン40が形成される。
因みに、上記「描画半径」は各ウェッジプリズムの偏向角度に基づいて調整される(詳細は後述)。
また図3(a)に示すように、メインローテータ30のウェッジプリズム12による描画半径を「50μm」に、回転方向を「正転」に、回転速度比を「1」に設定すると共に、補正ローテータ31のウッェッジプリズム13による描画半径を「15μm」に、回転方向を「逆転」に、回転速度比を「2(メインローテータ30の倍速)」に設定すると、同図(b)に示すように、ワーク38の表面に略正三角形状のレーザ照射パターン41が形成される。
また図4(a)に示すように、メインローテータ30のウェッジプリズム12による描画半径を「50μm」に、回転方向を「正転」に、回転速度比を「1」に設定すると共に、補正ローテータ31のウェッジプリズム13による描画半径を「7.5μm」に、回転方向を「逆転」に、回転速度比を「3(メインローテータ30の3倍速)」に設定すると、同図(b)に示すように、ワーク38の表面に略正方形状のレーザ照射パターン42が形成される。
また図5(a)に示すように、メインローテータ30のウェッジプリズム12による描画半径を「50μm」に、回転方向を「正転」に、回転速度比を「1」に設定すると共に、補正ローテータ31のウェッジプリズム13による描画半径を「4μm」に、回転方向を「逆転」に、回転速度比を「4(メインローテータ30の4倍速)」に設定すると、同図(b)に示すように、ワーク38の表面に略正五角形状のレーザ照射パターン43が形成される。
また図6(a)に示すように、メインローテータ30のウェッジプリズム12による描画半径を「50μm」に、回転方向を「正転」に、回転速度比を「1」に設定すると共に、補正ローテータ31のウェッジプリズム13による描画半径を「2.5μm」に、回転方向を「逆転」に、回転速度比を「5(メインローテータ30の5倍速)」に設定すると、同図(b)に示すように、ワーク38の表面に略正六角形状のレーザ照射パターン44が形成される。
また図7(a)に示すように、メインローテータ30のウェッジプリズム12による描画半径を「50μm」に、回転方向を「正転」に、回転速度比を「1」に設定すると共に、補正ローテータ31のウェッジプリズム13による描画半径を「2μm」に、回転方向を「逆転」に、回転速度比を「6(メインローテータ30の6倍速)」に設定すると、同図(b)に示すように、ワーク38の表面に略正七角形状のレーザ照射パターン45が形成される。
また図8(a)に示すように、メインローテータ30のウェッジプリズム12による描画半径を「50μm」に、回転方向を「正転」に、回転速度比を「1」に設定すると共に、補正ローテータ31のウェッジプリズム13による描画半径を「1.5μm」に、回転方向を「逆転」に、回転速度比を「7(メインローテータ30の7倍速)」に設定すると、同図(b)に示すように、ワーク38の表面に略正八角形状のレーザ照射パターン46が形成される。
また図9(a)に示すように、メインローテータ30のウェッジプリズム12による描画半径を「50μm」に、回転方向を「正転」に、回転速度比を「2」に設定すると共に、補正ローテータ31のウェッジプリズム13による描画半径を「25μm」に、回転方向を「逆転」に、回転速度比を「3(メインローテータ30の1.5倍速)」に設定すると、同図(b)に示すように、ワーク38の表面に略五芒星形状のレーザ照射パターン47が形成される。
また図10(a)に示すように、メインローテータ30のウェッジプリズム12による描画半径を「10μm」に、回転方向を「正転」に、回転速度比を「1000」に設定すると共に、補正ローテータ31のウェッジプリズム13による描画半径を「3μm」に、回転方向を「逆転」に、回転速度比を「1121」に設定すると、同図(b)に示すように、ワーク38の表面に略ドーナツ(円環)状のレーザ照射パターン48が形成される。このレーザ照射パターン48の場合、ワーク38の表面におけるレーザビームの照射ポイントが、大小2つの同心円の間を細かいメッシュを描くように移動することにより、全体としてドーナツ形状が形成される。
つぎに、ウェッジプリズムの偏向角度と描画半径との関係について説明する。
図11に示すように、レンズ前頂点位置におけるレーザビームの光軸に対する角度を偏向角度θとすると、描画半径Rは以下の式1より求められる。
式1:描画半径R=焦点距離f×tan(偏向角度θ)
つまり描画半径Rは、焦点距離fを一定とした場合、偏向角度θを調整することにより可変となる。
例えば、焦点距離fが137.5mmの場合において、メインローテータ30のウェッジプリズム12を0.021度の偏向角度を保って立体角で回せば、加工平面において半径50μmの円が描かれる。
同じく焦点距離fが137.5mmの場合において、補正ローテータ31のウェッジプリズム13を0.00312度の偏向角度を保って立体角で回せば、加工平面に半径7.5μmの円が描かれることとなる。
図12は、メインローテータ30の回転軌跡αと、補正ローテータ31の回転軌跡βと、両軌跡の合成ベクトルとして表される略正方形状の加工軌跡γ(レーザ照射パターン42)を示している。
メインローテータ30の偏向角度は、所定の焦点距離の下で、ワーク38における回転軌跡αの描画半径が50μmとなるように設定されている。また、補正ローテータ31の偏向角度は、同焦点距離の下で、回転軌跡βの描画半径が7.5μmとなるように設定されている。
ここで、図13に示すように、メインローテータ30が時計回りに20度回転すると、補正ローテータ31は回転速度がメインローテータ30の3倍あるため、補正ローテータ31を透過したレーザビームの照射ポイントPは、元の位置から回転軌跡β上を反時計回りに60度分移動する。
これにメインローテータ30の回転分(20度)が加わるため、メインローテータ30の回転中心C1と補正ローテータ31の回転中心C2を結ぶ線L1と、照射ポイントPと補正ローテータ31の回転中心C2とを結ぶ線L2とのなす角は、以下の式2の通り-80度となる。
式2:-(20+20×3)=-80度
また、メインローテータ30が時計回りに45度回転すると、レーザビームの照射ポイントPは、回転軌道β上を反時計回りに135度分回転した位置に移動する。
これにメインローテータ30の回転分(45度)が加わるため、線L1と線L2とのなす角は、以下の式3の通り-180度となる。
式3:-(45+45×3)=-180度
さらに、メインローテータ30が時計回りに90度回転すると、レーザビームの照射ポイントPは、回転軌道β上を反時計回りに270度分回転した位置に移動する。
これにメインローテータ30の回転分(90度)が加わるため、線L1と線L2とのなす角は、以下の式4の通り-360度となる。
式4:-(90+90×3)=-360度
以上のようにしてメインローテータ30と補正ローテータ31の回転を継続することにより、ワーク38の表面に形成される加工軌跡γは円形ではなく略正方形状を描くこととなる。
図14は、図9に示した略五芒星形状のレーザ照射パターン47を形成する過程を示すものである。
すなわち、メインローテータ30の回転軌跡αと補正ローテータ31の回転軌跡β、及び照射ポイントPを図14(a)の状態に配置した上でレーザ照射を開始し、メインローテータ30と補正ローテータ31の回転を継続することにより、同図 (b)~(e)に示すように、ワーク38の表面に略五芒星形状の加工軌跡γ(レーザ照射パターン47)が形成される。
上記の通り、メインローテータ30の描画半径及び補正ローテータ31の描画半径は、それぞれのウェッジプリズムの偏向角度によって調整され得る。
メインローテータ30の偏向角度と補正ローテータ31の偏向角度を異ならせる方法として最も単純なのは、図15に示すように、それぞれに装着するウェッジプリズム12とウェッジプリズム13を、必要な偏向角度を備えたものと交換することである。
ただし、この場合には加工パターンを変更する都度、ウェッジプリズムの脱着作業が必要となる。また、偏向角度の調整幅も用意されたウェッジプリズムの範囲内に限定される。
これに対し図16は、メインローテータ30の偏向角度と補正ローテータ31の偏向角度を異ならせる他の実施形態を示すものである。
この場合、メインローテータ30のウェッジプリズム12が、右側ウェッジプリズム12aと左側ウェッジプリズム12bの組合せによって構成されると共に、補正ローテータ31のウェッジプリズム13が、左側ウェッジプリズム13aと右側ウェッジプリズム13bの組合せによって構成されている。
※図示の便宜上、サーボモータ26、ギア27、ベルト28等の記載は省略している(以降も同様)。
左側ウェッジプリズム12bの周縁部は、円筒状支持部材20の内周面に形成された溝50に回動自在に嵌合されており、左側ウェッジプリズム12bを任意の方向に回動させることで、対をなす右側ウェッジプリズム12aとの間に位相差が生じるように仕組まれている。
また右側ウェッジプリズム13bの周縁部は、円筒状支持部材21の内周面に形成された溝50に回動自在に嵌合されており、右側ウェッジプリズム13bを任意の方向に回動させることで、対をなす左側ウェッジプリズム13aとの間に位相差が生じるように仕組まれている。
この結果、加工パターンを変更するに際し、一々ウェッジプリズムを取り外すことなく、左側ウェッジプリズム12bを手動で回転させ、右側ウェッジプリズム12aとの位相差を変化させてメインローテータ30の偏向角度を調整すると共に、右側ウェッジプリズム13bを手動で回転させ、左側ウェッジプリズム13aとの位相差を変化させて補正ローテータ31の偏向角度を微調整することが可能となる。
ただし、この場合でも加工パターンを変更する都度、加工を停止する必要があり、連続的に異なる加工パターンに移行することはできない。
図17は、この問題を解決するための実施形態を示すものであり、メインローテータ30及び補正ローテータ31のそれぞれを、2つの円筒状支持部材の組合せによって構成している。
まず、メインローテータ30の円筒状支持部材20の右端開口部には右側ウェッジプリズム12aが嵌装されると共に、左端開口部には他の円筒状支持部材52の延長管54が挿通されている。
この延長管54の先端部は、右側ウェッジプリズム12aの近傍まで延びており、その右端開口部には、比較的小径の左側ウェッジプリズム12bが嵌装されている。
円筒状支持部材20の内周面と延長管54の外周面との間には、所定の隙間55が確保されている。
円筒状支持部材52は、ベアリング24内に挿通されると共に、プーリ25が嵌装されている。このため、図示しないサーボモータ26が回転すると、その回転力が図示しないギア27及びベルト28を介してプーリ25に伝わり、円筒状支持部材52が回転する。
延長管54の基端部は、円筒状支持部材52の内周面に固定されているため、円筒状支持部材52の回転に呼応して延長管54及び左側ウェッジプリズム12bも回転する。
補正ローテータ31の方も、メインローテータ30と同様の構成を備えている。
すなわち、補正ローテータ31の円筒状支持部材21の左端開口部には左側ウェッジプリズム13aが嵌装されると共に、右端開口部には他の円筒状支持部材56の延長管54が挿通されている。
この延長管54の先端部は、左側ウェッジプリズム13aの近傍まで延びており、その左端開口部には、比較的小径の右側ウェッジプリズム13bが嵌装されている。
円筒状支持部材21の内周面と、延長管54の外周面との間には、所定の隙間55が確保されている。
円筒状支持部材56は、ベアリング24内に挿通されると共に、プーリ25が嵌装されている。このため、図示しないサーボモータ26が回転すると、その回転力が図示しないギア27及びベルト28を介してプーリ25に伝わり、円筒状支持部材56が回転する。
延長管54の基端部は、円筒状支持部材56の内周面に固定されているため、円筒状支持部材56の回転に呼応して延長管54及び右側ウェッジプリズム13bも回転する。
メインローテータ30は、相互に独立して回転可能な一対のウェッジプリズム(右側ウェッジプリズム12a及び左側ウェッジプリズム12b)を備えているため、回転時におけるそれぞれの位置を調整して位相差を設けることで偏向角度を任意の値に設定できる。
補正ローテータ31も相互に独立して回転可能な一対のウェッジプリズム(左側ウェッジプリズム13a及び右側ウェッジプリズム13b)を備えているため、回転時におけるそれぞれの位置を調整して位相差を設けることで偏向角度を任意の値に設定できる。
この結果、メインローテータ30と補正ローテータ31を停止することなく、パソコン35からの制御信号に基づいて加工中にそれぞれの偏向角度を自由に調整可能となり、必要な加工パターンを連続的に形成することができる。
図18は、メインローテータ30と補正ローテータ31の他の構成例を示すものである。
まず、メインローテータ30は、円筒状支持部材20と他の円筒状支持部材52を備えており、円筒状支持部材20の左端開口部に右側ウェッジプリズム12aが嵌装されると共に、円筒状支持部材52の右端開口部に左側ウェッジプリズム12bが嵌装されている。
また補正ローテータ31も、円筒状支持部材21と他の円筒状支持部材56を備えており、円筒状支持部材21の右端開口部に左側ウェッジプリズム13aが嵌装されると共に、円筒状支持部材56の左端開口部に右側ウェッジプリズム13bが嵌装されている。
メインローテータ30及び補正ローテータ31間は、アフォーカル結合光学系(両面テレセントリック)58によって接続されている。
この場合も、メインローテータ30は相互に独立して回転可能な一対のウェッジプリズム(右側ウェッジプリズム12a及び左側ウェッジプリズム12b)を備えているため、それぞれの回転位置を調整して位相差を設けることで偏向角度を任意の値に設定できる。
補正ローテータ31も相互に独立して回転可能な一対のウェッジプリズム(左側ウェッジプリズム13a及び右側ウェッジプリズム13b)を備えているため、それぞれの回転位置を調整して位相差を設けることで偏向角度を任意の値に設定できる。
メインローテータ30と補正ローテータ31の間にはアフォーカル結合光学系58が配置されている結果、メインローテータ30のウェッジプリズムと補正ローテータ31のウェッジプリズムとの間に物理的な距離が存在していたとしても、それぞれのウェッジプリズムは近接配置されたのと光学的に等価となる。
このため、メインローテータ30と補正ローテータ31を停止することなく、それぞれの偏向角度を加工中に自由に調整可能となり、必要な加工パターンを連続的に形成することができる。
このメインローテータ30と補正ローテータ31間をアフォーカル結合光学系58を介して接続する方式の場合、補正ローテータ31の段数を容易に増やすことができる利点を備えている。
すなわち、図19(b)に示すように、第1のアフォーカル結合光学系58a及び第1の補正ローテータ31aの他に、第2のアフォーカル結合光学系58b及び第2の補正ローテータ31bを増設することにより、照射位置の2段階の補正が可能となる。
あるいは、図19(c)に示すように、第3のアフォーカル結合光学系58c及び第3の補正ローテータ31cをさらに増設することにより、照射位置の3段階の補正が可能となる。
図19(a)は、比較対象として一つの補正ローテータ31aを一つのアフォーカル結合光学系58aを介してメインローテータ30に接続した構成を示しており、図13に示した半径ローテータ14と同じものである。
図20は、補正ローテータ31を多段階化することによる効果を示すものである。
まず、図20(a)は1段の補正ローテータ31を配置した場合(図19(a))の加工パターンを示しており、メインローテータ30の速度比を「1」に、偏向角度を「35度」に設定すると共に、第1の補正ローテータ31aの速度比を「3」に、偏向角度を「5度」に設定すると、図示の通りワーク38の表面に略正方形状のレーザ照射パターン59aが形成される。
この場合、第1の補正ローテータ31aの速度比が正の値であることから、回転方向はメインローテータ30と同じく「正転」であることを意味している。
図20(b)は2段の補正ローテータ31を配置した場合(図19(b))の加工パターンを示しており、メインローテータ30の速度比を「1」に、偏向角度を「35度」に設定すると共に、第1の補正ローテータ31aの速度比を「3」に、偏向角度を「5度」に設定し、第2の補正ローテータ31bの速度比を「-7」に、偏向角度を「0.5度」に設定すると、ワーク38の表面により整った正方形状のレーザ照射パターン59bが形成される。
この場合、第2の補正ローテータ31bの速度比が負の値であることから、回転方向はメインローテータ30と異なる「逆転」であることを意味している。
図20(c)は3段の補正ローテータ31を配置した場合(図19(c))の加工パターンを示しており、メインローテータ30の速度比を「1」に、偏向角度を「35度」に設定すると共に、第1の補正ローテータ31aの速度比を「3」に、偏向角度を「5度」に設定し、第2の補正ローテータ31bの速度比を「-7」に、偏向角度を「0.5度」に設定し、さらに第3の補正ローテータ31cの速度比を「-9」に、偏向角度を「0.1度」に設定すると、ワーク38の表面にさらに整った正方形状のレーザ照射パターン59cが形成される。
この場合も、第3の補正ローテータ31cの速度比が負の値であることから、回転方向はメインローテータ30とは異なる「逆転」であることが表されている。
上記の通り、補正ローテータ31の段数を増やすことにより、形成される加工パターンの形状が整っていく(正方形の辺がより直線に近づき、角の部分が直角に近づく)ことがわかる。
補正ローテータ31の段数に限定はなく、さらに多くのアフォーカル結合光学系58及び補正ローテータ31を追加することもできる。
つぎに、角度ローテータ側の改善案について説明する。
図21(a)は、図1に示した角度ローテータ19の構成を示しており、一対の円筒状支持部材(円筒状支持部材22及び円筒状支持部材23)の両端開口にそれぞれウェッジプリズム(ウェッジプリズム15、ウェッジプリズム16、ウェッジプリズム17及びウェッジプリズム18)を嵌装している。
このタイプの角度ローテータ19は、光軸の平行移動量を多く確保できる利点があるが、4枚のウェッジプリズムの特性を揃えて正確に組み付けないと位相差が生じ易く、光軸に対する平行性を確保できないという欠点があった。
図21(b)は、この角度ローテータ19の改良案としての角度ローテータ60を示すものであり、円筒状支持部材61及び円筒状支持部材62の対向する開口部にウェッジプリズム63及び64を嵌装した第1のユニット65と、円筒状支持部材66及び円筒状支持部材67の対向する開口部にウェッジプリズム68及び69を嵌装した第2のユニット70を用意し、4枚のウェッジプリズムの光軸を揃えた構成を備えている。
この角度ローテータ60の場合、各円筒状支持部材の回転速度に差異を設けることで位相差を調整できるため、各ウェッジプリズムの特性や位置精度に多少のバラツキがあっても修正可能であり、光軸に対する平行性の確保が容易となる。
あるいは、各円筒状支持部材の回転速度を調節することによって平行性を敢えて崩せば、加工面においては半径の差異として表れるため、半径ローテータとしての機能を角度ローテータ60に付与することも可能となる。
図22(a)は異なるタイプの角度ローテータ80の構成を示しており、円筒状支持部材81及び円筒状支持部材82の対向する開口部に、それぞれ平行平面基板状のウェッジプリズム83及び84を傾斜配置している。
この種の角度ローテータ80は、ウェッジプリズムの数が少ない分、それぞれの特性を揃えるのは容易となるが、光軸の平行移動量が小さいという欠点があった。
図22(b)は、この角度ローテータ80の改良案としての角度ローテータ85を示すものであり、円筒状支持部材86及び円筒状支持部材87の対向する開口部に平行平面基板状のウェッジプリズム88及び89を傾斜配置した第1のユニット90と、円筒状支持部材91及び円筒状支持部材92の対向する開口部に平行平面基板状のウェッジプリズム93及び94を傾斜配置した第2のユニット95を用意し、両者間を3倍結像のアフォーカル結合光学系(両側テレセントリック)96で接続している。
この場合、第1のユニット90による平行移動量が僅かであっても、アフォーカル結合光学系96によって第2のユニット95においては光軸の平行移動量が3倍に拡大されるため、十分な傾斜角度でレーザビームL27をワーク38に入射させることができる。ただし、アフォーカル結合光学系96の倍率に限定はない。
この発明に係るビームローテータ10は、全てのレーザ波長や全てのレーザパルス(連続波を含め)に適用可能であるが、特に微細加工においてその特徴は活かされる。したがって、ナノ秒レーザ、ピコ秒レーザ、フェムト秒レーザ等の短パルスレーザと組み合わせて使用されたり、グリーンレーザ、UVレーザ、エキシマレーザ等の短波長レーザとの組み合わせで使用されると、精密微細加工が 可能となる。
10 ビームローテータ
12 ウェッジプリズム
13 ウェッジプリズム
14 半径ローテータ
15 ウェッジプリズム
16 ウェッジプリズム
17 ウェッジプリズム
18 ウェッジプリズム
19 角度ローテータ
30 メインローテータ
31 補正ローテータ
32 第1のユニット
33 第2のユニット
35 パソコン
36 ミラー
37 レンズ
38 ワーク
40 楕円形状のレーザ照射パターン
41 略正三角形状のレーザ照射パターン
42 略正方形状のレーザ照射パターン
43 略正五角形状のレーザ照射パターン
44 略正六角形状のレーザ照射パターン
45 略正七角形状のレーザ照射パターン
46 略正八角形状のレーザ照射パターン
47 略五芒星状のレーザ照射パターン
54 延長管
58 アフォーカル結合光学系
59a 略正方形状のレーザ照射パターン
59b 略正方形状のレーザ照射パターン
59c 略正方形状のレーザ照射パターン
60 角度ローテータ
63 ウェッジプリズム
64 ウェッジプリズム
65 第1のユニット
68 ウェッジプリズム
69 ウェッジプリズム
70 第2のユニット
85 角度ローテータ
88 平行平面基板状のウェッジプリズム
89 平行平面基板状のウェッジプリズム
90 第1のユニット
93 平行平面基板状のウェッジプリズム
94 平行平面基板状のウェッジプリズム
95 第2のユニット
96 アフォーカル結合光学系
100 レーザ発振器
102 レーザ加工装置
α メインローテータの回転軌跡
β 補正ローテータの回転軌跡
γ 加工軌跡(レーザ照射パターン)
P レーザ照射ポイント
C1 メインローテータの回転中心
C2 補正ローテータの回転中心

Claims (8)

  1. 回転可能に配置された偏向素子を備えたメインローテータと、回転可能に配置された偏向素子を備えた補正ローテータを有し、両ローテータ間の位相差を調整することによって透過レーザビームの偏向量を可変とし、以てワークに集光されるレーザビームの照射半径を可変とする半径ローテータと、
    上記の各偏向素子の回転速度及び回転方向を制御する制御手段とを備えたビームローテータであって、
    上記メインローテータが、
    回転可能に配置された第1の円筒状支持部材及び第2の円筒状支持部材と、
    第1の円筒状支持部材の右端開口部に嵌装された第1の偏向素子と、
    第2の円筒状支持部材の右端開口部から突出した延長管と、
    この延長管の先端開口部に嵌装された第2の偏向素子と、
    各円筒状支持部材を回転させる第1のサーボモータ及び第2のサーボモータを備え、
    上記延長管の先端開口部が第1の円筒状支持部材の左端開口部から内部に挿入されることにより、第2の偏向素子が第1の偏向素子の近傍に配置されており、
    上記補正ローテータが、
    回転可能に配置された第3の円筒状支持部材及び第4の円筒状支持部材と、
    第3の円筒状支持部材の左端開口部に嵌装された第3の偏向素子と、
    第4の円筒状支持部材の左端開口部から突出した延長管と、
    この延長管の先端開口部に嵌装された第4の偏向素子と、
    各円筒状支持部材を回転させる第3のサーボモータ及び第4のサーボモータを備え、
    上記延長管の先端開口部が第3の円筒状支持部材の右端開口部から内部に挿入されることにより、第4の偏向素子が第3の偏向素子の近傍に配置されており、
    さらに、メインローテータの第1の偏向素子と、補正ローテータの第3の偏向素子が近接配置されており、
    上記制御手段は、上記第1のサーボモータ及び第2のサーボモータの制御を通じて第1の円筒状支持部材及び第2の円筒状支持部材の回転速度及び回転方向を制御することにより、メインローテータによる透過レーザビームの偏向角度を調節すると共に、上記第3のサーボモータ及び第4のサーボモータの制御を通じて第3の円筒状支持部材及び第4の円筒状支持部材の回転速度及び回転方向を制御することにより、補正ローテータによる透過レーザビームの偏向角度を調節し、以てワーク表面におけるレーザビームの照射形状を可変とすることを特徴とするビームローテータ。
  2. 回転可能に配置された偏向素子を備えたメインローテータと、回転可能に配置された偏向素子を備えた補正ローテータを有し、両ローテータ間の位相差を調整することによって透過レーザビームの偏向量を可変とし、以てワークに集光されるレーザビームの照射半径を可変とする半径ローテータと、
    上記の各偏向素子の回転速度及び回転方向を制御する制御手段とを備えたビームローテータであって、
    上記メインローテータが、回転可能に配置された第1の円筒状支持部材及び第2の円筒状支持部材と、近接対向する第1の円筒状支持部材の左端開口部及び第2の円筒状支持部材の右端開口部にそれぞれ嵌装された第1の偏向素子及び第2の偏向素子と、各円筒状支持部材を回転させる第1のサーボモータ及び第2のサーボモータを備え、
    上記補正ローテータが、回転可能に配置された第3の円筒状支持部材及び第4の円筒状支持部材と、近接対向する第3の円筒状支持部材の右端開口部及び第4の円筒状支持部材の左端開口部にそれぞれ嵌装された第3の偏向素子及び第4の偏向素子と、各円筒状支持部材を回転させる第3のサーボモータ及び第4のサーボモータを備え、
    上記メインローテータ側の偏向素子と補正ローテータ側の偏向素子間がアフォーカル結合光学系によって接続されており、
    上記制御手段は、上記第1のサーボモータ及び第2のサーボモータの制御を通じて第1の円筒状支持部材及び第2の円筒状支持部材の回転速度及び回転方向を制御することにより、メインローテータによる透過レーザビームの偏向角度を調節すると共に、上記第3のサーボモータ及び第4のサーボモータの制御を通じて第3の円筒状支持部材及び第4の円筒状支持部材の回転速度及び回転方向を制御することにより、補正ローテータによる透過レーザビームの偏向角度を調節し、以てワーク表面におけるレーザビームの照射形状を可変とすることを特徴とするビームローテータ。
  3. 上記補正ローテータを複数備え、
    各補正ローテータの偏向素子間がアフォーカル結合光学系で接続されており、
    各補正ローテータを構成する第3の円筒状支持部材及び第4の円筒状支持部材の回転速度及び回転方向をそれぞれ制御することにより、ワーク表面におけるレーザビームの照射形状が微調整されることを特徴とする請求項に記載のビームローテータ。
  4. 回転可能に配置された1または複数の偏向素子を備えた第1のユニットと、回転可能に配置された1または複数の偏向素子を備えた第2のユニットを有し、両ユニット間の位相差を調整することによって透過レーザビームの光軸を所定幅で平行移動させ、以てワークに集光されるレーザビームの照射角度を可変とする角度ローテータを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のビームローテータ。
  5. 上記角度ローテータが、
    回転可能に配置された一対の円筒状支持部材と、各円筒状支持部材の対向する開口部にそれぞれ嵌装された第1の偏向素子及び第2の偏向素子を備えた第1のユニットと、
    回転可能に配置された一対の円筒状支持部材と、各円筒状支持部材の対向する開口部にそれぞれ嵌装された第1の偏向素子及び第2の偏向素子を備えた第2のユニットとを備えたことを特徴とする請求項に記載のビームローテータ。
  6. 上記角度ローテータが、
    回転可能に配置された一対の円筒状支持部材と、各円筒状支持部材内に傾斜配置された平行平面基板状の偏向素子を備えた第1のユニットと、
    回転可能に配置された一対の円筒状支持部材と、各円筒状支持部材内に傾斜配置された平行平面基板状の偏向素子を備えた第2のユニットとを備え、
    第1のユニットの偏向素子と第2のユニットの偏向素子間が、アフォーカル結合光学系で接続されていることを特徴とする請求項に記載のビームローテータ。
  7. ナノ秒、ピコ秒、フェムト秒等の短パルスレーザ発振器、またはグリーンレーザ、UVレーザ、エキシマレーザ等の短波長レーザ発振器と、請求項1または2に記載のビームローテータとを備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
  8. 請求項7に記載のレーザ加工装置を用いて、ワークに加工を施すことを特徴とするレーザ加工方法。
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