JP7475573B2 - 自由雲台 - Google Patents

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Description

本発明は、カメラ等の各種機器などの被支持体を、三脚、スタンドなどの支持体に対して角度を自在に固定するための自由雲台に関する。
自由雲台は、球状のボールと、このボールに首部を介して連結されカメラ等を支持するための上皿と、ボールを回動可能かつ任意角度で固定可能に支持する本体部とを有する。本体部は、ボールを挟んで対向する通常一対の当接面と、この当接面同士の距離を初期位置から変更しボールに接近させる固定手段と、その固定手段を動作するための操作つまみを有する。この操作つまみを操作することにより、当接面の間隔を狭めてボールを任意の角度で固定し、カメラ等の角度を自由に設定できる。
特表2018-521336号公報
特表2010-529509号公報
特開2005-031605号公報
しかし、前記の自由雲台では、当接面同士の距離が、自由雲台が製造された当初の距離から、初期なじみや経年変化によって、ボールからより離れた距離に至った場合に、固定手段を動作しない非固定時のボールのガタつきが大きくなるという欠点がある。
この点を更に詳しく説明する。自由雲台は必ずしもボールを固定した状態でのみ使用されるのではなく、非固定状態としたままでカメラ等の荷重だけを自由雲台に託し、カメラ等の角度すなわち構図を自由に変更しつつ使用されることがある。例えば、自動車などが走行するのを追って撮影するいわゆる流し撮りなどがこの好例である。この際に望遠レンズを使うことが特に多いので、ボールのガタつきはカメラブレの原因になる。
この際に構図変更に伴う抵抗力つまりボールに掛かる摩擦力などは、構図をスムーズに変更できる程度のものが好ましく、より好ましくはカメラ等が風から受ける力や手の振動力などの影響で、ボール外周面が動く速度が比較的速い場合により強く、構図を変更するための操作のようなボール外周面の動く速度が比較的遅い場合には、より弱くなっていると、撮影意図に無関係な不随意な動きだけ抑制され、また構図決定の邪魔にならずよい。
特許文献1には、案内要素の初期位置をねじ付きフェルールによって調節する構成が開示されている。しかし、これは固定手段全体を下で支える構成である。すると固定手段の各部は、経年変化によって案内要素の位置はボールから離間する方向に変位するから、固定手段を動作しない非固定時のボールのガタつきが大きくなるという欠点がある。
更に、ボールを固定する支持要素にはプラスチック材が用いられる。本願発明者は精密な測定の結果、従来認識されていない以下の現象を見いだした。もしも、ボール表面に油脂類を塗布し、案内リングとボール間に油脂類を介在させ、その油脂類の粘性抵抗を得ようと意図したとしても、プラスチック材から成る支持要素では、油脂類の持つ粘性抵抗力は後述する本願発明者が見いだした現象によって、十分に発揮することができない、という欠点がある。
更に、特許文献1には、ロックデバイスから独立して、摩擦デバイスがボールをいわゆる半固定するための摩擦力を決める構成が開示されている。ロックデバイスをフリーにして摩擦デバイスを操作した場合に、構図を変更しつつある状態でボールに掛かる力は動摩擦力である。動摩擦力は速度にかかわらず一定である。したがってボール外周面が動く速度が比較的速い場合に、撮影意図に無関係な不随意な動きを十分に抑制できるように摩擦デバイスを調節すると、構図を変更するための操作のようなボール外周面の動く速度が比較的遅い動きに対し動摩擦力が過大となり、撮影の邪魔になる。また、構図を変更するための操作のようなボール外周面の動く速度が比較的遅い場合に、操作の邪魔にならない程度に摩擦デバイスを調節すると、ボール外周面が動く速度が比較的速い場合には動摩擦力が過小となり、撮影意図に無関係な不随意な動きは十分抑制されない、という欠点がある。
特許文献2には、ねじによってロック手段の初期位置を調節する構成が開示され、ロック手段の内部には、皿ばねワッシャによって構成された摩擦手段を有する。ロック手段と摩擦手段との位置関係は組立時に定められる。使用中に起きる初期なじみや経年変化によってロック手段の位置がボールから離間する方向に変位したときに、ロック手段をボールがガタつかない程度に調節したとすると、皿ばねワッシャにより構成された摩擦手段からの摩擦力を受ける。したがって、ボールのガタつきを抑制することと、撮影意図に応じた摩擦力を得ることとが両立しないという欠点がある。
更に、特許文献2の雲台では、構図を変更しつつある状態で摩擦手段からボールに掛かる力は動摩擦力である。すると先ほどの説明と同じく、ボール外周面の動く速度が比較的遅い動きに対し動摩擦力が過大となるか、又はボール外周面が動く速度が比較的速い場合には動摩擦力が過小となる、という欠点がある。
特許文献3には、下ボール受けの外側に、ゴム又はエラストマー製の案内リングを配置し、案内リングはボールに対し弾性的に当接する構成が開示されている。案内リングはゴム又はエラストマーという極めて柔らかい材質である。したがって、案内リングをボールに対し相当の押圧力をもって当接させたとしても、カメラ等の重力に対抗することができず、案内リングがカメラ等を支持できない。よって、使用中に初期なじみや経年変化によって下ボール受けの位置がボールから離間する方向に変位したとき、それを案内リングで補うことはできず、固定手段を動作しない非固定時のボールのガタつきが大きくなるという欠点がある。
また、ゴム又はエラストマーは、油脂類を塗布しない状態で摩擦されると、大きなスティックスリップを発生する特性がある。したがって、ボール表面に油脂類を塗布しない場合には案内リングはボールのスムーズな運動を妨げる。
更に、本願発明者は精密な測定の結果、従来認識されていない以下の現象を見いだした。ボール表面に油脂類を塗布し、案内リングとボール外周面との間に油脂類を介在させ、その油脂類の粘性抵抗を得ようと意図したとする。しかしゴム又はエラストマー製の案内リングでは、油脂類の持つ粘性抵抗力は後述する本願発明者が見いだした現象によって、十分に発揮することができない。更にボール外周面に油脂類を塗布しているから、案内リングとボールの間の摩擦力等は小さくなる。以上から、案内リングでは十分な摩擦力等を得ることができない、という欠点がある。
本発明は従来認識されていない上記現象及びその原因に着目してなされたものである。そして本発明の主要な課題は、ボールに対してボール外周面に塗布した油脂などの粘性流体からの粘性抵抗力を与え、撮影意図に無関係な不随意な動きだけを抑制し、また構図決定の邪魔にならず、更にカメラブレも効果的に抑制する自由雲台を提供することである。
[1] 本発明に係る一態様の自由雲台は、球状をなすボールと、前記ボールを回動可能かつ任意角度で固定可能に支持する本体部を有し、前記本体部は、前記ボールを挟んで対向する少なくとも一対の当接面を有し、前記当接面の一方の移動当接面を前記ボールに向けて移動させ、前記移動当接面と、他方の固定当接面との距離を変更するための固定手段を有し、前記本体部は円環状またはC字状のダンパバンドを有し、前記ダンパバンドは、その内周側のダンパバンド当接部を前記ボールに接し、外周側を前記本体部に接し、前記ボールの外径が最も大きな位置で前記ボールを側方から取り囲んでおり、前記ダンパバンド当接部の任意の1点から前記ボールの中心に向けた仮想線を前記ダンパバンドの内部方向に延長し、前記仮想線の前記ダンパバンド当接部から前記ダンパバンドの内部方向へ向けて前記ボールの半径の15%の距離までを影響領域とした場合に、前記任意の1点の前記影響領域内におけるヤング率が、前記ダンパバンドと前記本体部のヤング率を複合則のReuss則で計算して5GPa以上であることを特徴としている。
[2] 前記[1]の自由雲台において、前記影響領域内におけるヤング率は、好ましくは7GPa以上かつ206GPa以下であり、更に好ましくは15GPa以上かつ206GPa以下である。
[3] 本発明に係る他の態様の自由雲台は、球状をなすボールと、前記ボールを回動可能かつ任意角度で固定可能に支持する本体部を有し、前記本体部は、前記ボールを挟んで対向する少なくとも一対の当接面を有し、前記当接面の一方の移動当接面を前記ボールに向けて移動させ、前記移動当接面と、他方の固定当接面との距離を変更するための固定手段を有し、前記本体部は、前記固定当接面を有する上ボール受けと、前記移動当接面を有 する下ボール受けと、前記上ボール受けが固定されるとともに前記下ボール受けを上下移動可能に支持する本体と、前記本体に収容され回転可能かつ下方へは移動不能とされた軸体と、前記軸体の下端に固定された基台と、前記基台の底面から締め込まれ前記基台の上面から突出して前記本体を押圧する止めネジと、前記下ボール受けの外周に配置されたダンパを有し、前記ダンパは、前記移動当接面の外側でその上端のダンパ当接部が前記ボールに接するとともにその下端が前記本体に接し、前記ダンパ当接部と前記固定当接面は前記ボールを挟んで対向し、前記ダンパ当接部と前記固定当接面との距離は前記固定手段とは独立して決定され、前記ダンパ当接部の任意の1点から前記ボールの中心に向けた仮想線を前記ダンパの内部方向に延長し、前記仮想線の前記ダンパ当接部から前記ダンパの内部方向へ向けて前記ボールの半径の15%までを影響領域とした場合に、前記任意の1点の前記影響領域内におけるヤング率が、前記ダンパと前記本体部のヤング率を複合則のReuss則で計算して5GPa以上であることを特徴とする
[4]前記影響領域内におけるヤング率は、好ましくは7GPa以上かつ206GPa以下であり、更に好ましくは15GPa以上かつ206GPa以下である。前記ダンパは交換可能とされており、前記ダンパを交換することにより、前記ダンパ当接部と前記固定当接面との距離が調整可能とされていてもよい。前記ダンパを交換することにより、前記ダンパ当接部と前記固定当接面との距離が調整可能とされていてもよい。
[5] 前記[1]~[4]の自由雲台において、前記ボールの外周面に粘性流体が塗布されていてもよい。前記粘性流体は油脂であってもよい。
本発明に係る自由雲台では、距離規制部、ダンパバンド、もしくはダンパによって、移動当接面と固定当接面との距離の最大値、またはダンパバンド当接部と固定当接面との距離、またはダンパ当接部と固定当接面との距離が規制される。したがって固定手段を動作しない非固定時のボールのガタつきが抑制され、非固定時のカメラブレが抑制される。
また、移動当接面、ダンパバンド、もしくはダンパという、ボールを支持する、すなわちカメラ等の荷重を支持する部品に硬質の材質を使用できる。したがって非固定時も固定時も、ボールを高い剛性で支持することができるから、非固定時のみならず固定時でもカメラブレを抑制できる。
また、ダンパバンドやダンパを用い、ボールの外周面に粘性流体が塗布されている場合には、ダンパバンドやダンパからボールに掛かる力は、粘性流体や油脂の粘性抵抗力となる。粘性抵抗力は速度に比例することが知られている。したがって、カメラ等が風から受ける力や手の振動力などの影響で、ボール外周面が動く速度が比較的速い場合には、粘性抵抗力はより強くなる。また構図を変更するための操作のようなボール外周面の動く速度が比較的遅い場合には、粘性抵抗力はより弱くなる。したがって撮影意図に無関係な不随意な動きは十分抑制され、構図決定の邪魔にならない、といった優れた効果を奏する。
更に、距離規制部、ダンパ、ダンパバンドといった構成要素には可動部分が無い。したがって初期なじみや経年変化による部品の摩耗などが問題にならない。よって上述した効果は製造当初のみならず長期の使用期間に亘って維持されるという優れた効果を奏する。
上述した効果は、距離規制部、ダンパバンド、ダンパといった簡素で安価な構成によって得られる。したがって部品製造コストや組立製造コストが安価であるという優れた効果を奏する。
更に、距離規制部、ダンパバンド、もしくはダンパを交換することにより、移動当接面と固定当接面との距離の最大値、ダンパバンド当接部と固定当接面との距離、又はダンパ当接部と固定当接面との距離を、任意の距離に設定できる。したがって製造が容易であり、製造コストが安価であるという優れた効果を奏する。
本発明に係る自由雲台の第1実施形態の斜視図である。 本発明に係る自由雲台の第1実施形態の縦断面図である。 同実施形態において、影響領域であるボールとダンパとの関係を示す正面視右側の部分拡大縦断面模式図である。 同実施形態において、ボール外周面とダンパ当接部とのクリアランスの要部を示し、ダンパ当接部を水平とした部分拡大縦断面模式図である。 本発明に係る自由雲台の第2実施形態の縦断面図である。 同実施形態の自由雲台において、影響領域であるボールとダンパバンドと上ボール受けとの関係を示す正面視右側の部分拡大縦断面模式図である。 本発明に係る自由雲台の第3実施形態の正面図である。 本発明に係る自由雲台の第3実施形態の縦断面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、周知の構成を以下の実施形態に適用してもよいし、以下の実施形態の構成を組み合わせたり、相互に置換してもよい。
[第1実施形態]
図1乃至図4は本発明の第1実施形態を示している。しかし、本発明はこの種の自由雲台への適用に限られるものではなく、ボールを挟んで対向する少なくとも一対の当接面を有する形式の自由雲台には全て適用可能である。
この実施形態の自由雲台は、例えば三脚の上端に取り付けられ、例えばカメラ、望遠鏡、双眼鏡、測定器具等の被支持体を任意の向きで支持する役目を果たす。ただし本発明の自由雲台はこのような用途に限定されることはなくいかなる用途に使用されてもよい。
この自由雲台は、球状をなすボール5と、ボール5を回動可能かつ任意角度で固定可能に支持する本体部1と、三脚などに固定される基台9とを有する。
ボール5には同軸に延びる円柱状の首部5bが一体的に形成され、この首部5bの先端に連結されカメラ等を支持するための上皿7が垂直に固定されている。この上皿7は、同軸状に固定されたオネジ8を有する。オネジ8をカメラ等の被支持体にねじ込み、被支持体を上皿7に取り付ける。上皿7の上面には図示しない滑り止めシートを設けてもよい。滑り止めシートはゴム、コルクなど周知の材質でよい。
本体部1には、ボール外周面5aを挟む少なくとも一対の当接面の一つである移動当接面11aを有する本体下部1a(2,3,9,10)と、当接面の他の一つである固定当接面4aを有する本体上部1bを有する。本体上部1bには、本体下部1aに対して回動可能に取り付けられた上ボール受け4と、上ボール受け4に形成されボール5の傾動を可能とするための一つのスロット4dとを有する。スロット4dは上ボール受け4に2つ以上形成されていてもよい。またスロット4dは無くてもよい。
本体下部1aには、移動当接面11aと固定当接面4aとの距離を変更するための固定手段20(10a,11,12,13)と、固定手段20を動作するための操作つまみ10と、固定手段20によってボール5を固定すると同時に固定される軸体13とを有する。軸体13に基台9が固定されている。
本体下部1aは、円筒形の本体2と、本体2の上端に取り付けられた円環状のリングネジ3と、本体2の中にそれぞれ配置されたすり鉢状の下ボール受け11および円環状のコマ12と、本体2の側面を貫通して設けられた止めネジ10aとを有する。操作つまみ10は止めネジ10aに固定されている。
本体2の上端には、リングネジ3を介して、円筒状の上ボール受け4が同軸に取り付けられている。リングネジ3の下部の内周面には雌ネジ3bが形成され、本体2の上端部に形成された雄ネジ2cと螺合している。リングネジ3の雌ネジ3bと本体2の雄ネジ2cとの間のねじには、例えば接着剤または止めネジなどの公知の回り止め手段で回り止めをしてもよい。リングネジ3の上端には内方へ突出する係合部3aが全周にわたって形成され、この係合部3が上ボール受け4の下端部に全周にわたって形成された係合部4bと係合している。
上ボール受け4の中に、球状のボール5が収容されている。上ボール受け4の上端部の内周面は、上方へ向けてすぼまる固定当接面4aとされている。固定当接面4aの直径および断面の傾斜角度は、固定当接面4aの幅方向のほぼ中央部がボール5のボール外周面5aに接するように設定されている。図1に示すように1つのスロット4dは、固定当接面4aの一部にも亘っている。スロット4dの幅は首部5bの直径よりも若干大きく、スロット4dの下端は半円状にされている。これにより、首部5bはスロット4d内に例えば90°倒れこむことができ、例えばカメラを縦位置で使用できるようになっている。
ボール5の内部には、軽量化を図るために首部5bと同軸に円柱状の空洞5d、およびねじ穴5cが形成され、空洞5dはボール5の下端面に開口している。空洞5dは無くてもよい。ねじ穴5cはオネジ8を収容する。
本体2の内部には、円筒形の空洞2bが形成され、この空洞2b内には固定手段20として上から順に、下ボール受け11、コマ12、および軸体13が収容されている。下ボール受け11はすり鉢状をなしており、本体2の空洞2bの内径は下ボール受け11の外径よりも僅かに大きく、下ボール受け11は空洞2bの内周面に沿って上下に摺動する。下ボール受け11の上端には、上から見て円環状をなす、すり鉢状に傾斜した移動当接面11aが形成され、この移動当接面11aがボール5の下面を固定する。移動当接面11aの直径および断面の傾斜角度は、移動当接面11aの幅方向のほぼ中央部がボール5のボール外周面5aに接するように設定されている。
移動当接面11aの内径は、ボール5の空洞5dの内径よりも十分に大きく設定されている。この例では、移動当接面11aの軸方向に沿った断面が直線状であり、ボール5と移動当接面11aとの当接領域は円環状となる。円環状領域の幅はほぼ線と見なせるほど狭くてもよいし、移動当接面11aを凹曲面としてその曲率をボール5の外周面の曲率に近づけることにより、当接領域の幅を大きくしてもよい。
下ボール受け11の下面には、下へ向けてすぼまるテーパ面11bが形成されている。コマ12の上端は下ボール受け11のテーパ面11bと同じテーパを有するテーパ面12aとされ、両者はほぼ同軸に当接している。コマ12の下端にも、上方へ向けてすぼまるテーパ面12bが形成されている。コマ12の外径は下ボール受け11の外径よりも小さい。
軸体13の上面はコマ12のテーパ面12bに対応したテーパ面13aとされている。軸体13の上部には円環状に張り出したフランジ部13bが形成され、空洞2b内に形成された円環状の段差部2dに、フランジ部13bが係止されている。軸体13は回転可能かつ下方へは移動不能とされている。
本体2の側面の一部には、軸心に向けて雌ネジ穴2fが形成され、この雌ネジ穴2fに止めネジ10aが螺合されている。操作つまみ10を回して止めネジ10aを締め込むと、その先端がコマ12を押して偏心させる。コマ12が偏心すると、軸体13が下方へ押圧されるとともに、下ボール受け11が初期位置から押し上げられ、ボール5を押し上げる。これによりボール5は上ボール受け4の固定当接面4aと、下ボール受け11の移動当接面11aとに挟まれて、回転が阻止される。一方、軸体13のフランジ部13bが段差部2dに押しつけられ、両者の摩擦により軸体13の回転が止められる。また、上ボール受け4はボール5により圧迫され、係合部4bがリングネジ3の係合部3aと強く係合するため、上ボール受け4の回転も止められる。
軸体13の下面の中央には雌ネジ穴13cが形成され、この雌ネジ穴13cが三脚等の上端に設けられる雄ネジに固定される。また、軸体13の下端部には縮径部が形成され、この縮径部に円盤状の基台9が同軸に固定され、本体2の下面に沿って配置されている。基台9は、操作つまみ10で止めネジ10aを締め込むと、本体2に対して回転不能となり、操作つまみ10を緩めると回転可能となる。
上記の自由雲台を使用する場合、三脚などの上端の雄ネジに、軸体13の雌ネジ穴13cを当てて基台9を回し、雌ネジ穴13cに雄ネジを締め込む。また、操作つまみ10を緩めてボール5から上方の回動を自由にする。オネジ8をカメラ等の下面の雌ネジに当て、上皿7を回してオネジ8をカメラ等に締め込む。
次に、上皿7が適切な角度になるようにボール5を回してカメラの位置決めを行う。スロット4dの位置が適切でなければ、上ボール受け4を回してスロット4dの位置を調整する。位置決めが完了したら、操作つまみ10を締める。すると、コマ12が偏心し、ボール5が固定されるとともに、基台9が回転不能となり、上ボール受け4も本体2に固定される。すなわち、操作つまみ10を締めるだけで、全ての固定が完了する。操作つまみ10を緩めれば、基台9、上ボール受け4、およびボール5のいずれも動くようになる。
固定手段の一例として上記構成を開示したが、本発明に係る自由雲台において、固定手段20はこの例に限定されない。当接面の一方の移動当接面11aをボール5に向けて移動させ、移動当接面11aと他方の固定当接面4aとの距離を変更するための固定手段20であれば、公知の手段でよい。例えば、操作つまみ10の止めネジ先端をテーパ状とし下ボール受け11のテーパ面11bと係合させ、コマ12を用いずに下ボール受け11を上方に移動させてもよい。また、操作つまみ10に偏心カムを設け、下ボール受け11の下端と偏心カムを係合させて上方に移動させてもよいが、これらに限定されない。
またこの例で、コマ12の中心部の空洞に付勢手段の例えば圧縮コイルバネを入れ、移動当接面11aにボール5に向けた押圧力を有する構成としてもよい。この押圧力は、カメラ等の被支持体から掛かる荷重より小さいほうが好ましいが、限定されない。
またこの例では、固定手段20はボール5を正面視下から押圧して固定するようにされているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、正面視右側又は左側の横方向からボール5を押圧して固定してもよい。
本体部1には、下ボール受け11の上端部の外側に円環状のダンパ21が同軸に設けられている。ダンパ21は下ボール受け11の外周に添って、本体2の本体上面2aにダンパ接地面21bを下にして配置されている。ダンパ21の上面には、上から見て円環状をなす、すり鉢状に傾斜したダンパ当接部21aが、ボール5を挟んで上ボール受け4の固定当接面4aと対向して形成される。固定手段20を動作させない時には、ダンパ当接部21aは、下ボール受け11の移動当接面11aより、微小距離だけボール5に接近している。よってこの時はダンパ当接部21aがボール5の下面を支える。上ボール受け4の固定当接面4aとダンパ21のダンパ当接部21aとの距離は、ボール5がスムーズに回動し、且つボール5のガタつきが無い程度に調整されている。
この例では、ダンパ当接部21aの軸方向に沿った断面が直線状であり、ボール5とダンパ当接部21aとの当接領域は円環状となる。円環状領域の幅はほぼ線と見なせるほど狭くてもよいし、ダンパ当接部21aを凹曲面としてその曲率をボール外周面5aの曲率に近づけることにより、当接領域の幅を大きくしてもよい。当接領域の幅が大きいと後述する粘性抵抗力29(図4参照)を大きくできる。
固定手段20を動作しない非固定時には、ボール5は下側をダンパ当接部21aに当接させ、上側を上ボール受け4の固定当接面4aに当接させている。上ボール受け4の固定当接面4aとダンパ当接部21aとの距離は、固定手段20とは独立して、ダンパ21によって決定される。したがってダンパ21は、この例では距離規制部を兼ねる。よって非固定時のボールのガタつきは抑制され、カメラブレが抑制される。
ダンパ接地面21bが受ける力は、固定手段20を動作しない時のカメラ等の荷重だけであり、おおむね10から50N程度と比較的に小さい。したがって初期なじみや経年変化による部品の摩耗などが問題にならない。また、ダンパ接地面21bは、それを取り付ける本体上面2aとの間に可動部がない。したがって、上ボール受け4の固定当接面4aと、ダンパ21のダンパ当接部21aとの距離は、長期使用後にも摩耗やへたり等によって拡大することがない。よって上述した効果は、製造当初のみならず長期の使用期間に亘って維持される。
従来の自由雲台の構成では、下ボール受け11でボール5を常に支持していた。この場合には固定手段20の、下ボール受け11の下面の下へ向けてすぼまるテーパ面11bとコマ12の上端のテーパ面12a、およびコマ12の下端のテーパ面12bと軸体13の上部のテーパ面13aが当接していて、大きな力を受けつつ摺動する。その力は、固定手段20を動作させ、ボール5を固定する程度には必要であり、その力の大きさは自由雲台のサイズやカメラ等の大きさなどにもよるが、概ね500から2000N程度である。すると、各々のテーパ面間は、大きな力を受けつつ摺動するから、初期なじみや経年変化によって部品の摩耗等を引き起す。したがって、下ボール受け11の位置は図示下側の方向へ、すなわちボール5から離れた方向に移動する。よって、非固定時のボール5のガタつきが大きくなるから、カメラブレの原因となっていたのである。
下ボール受け11の下面のテーパ面11bとコマ12の上端のテーパ面12a、およびコマ12の下端のテーパ面12bと軸体13の上部のテーパ面13aとの間は、前述した大きな力を受けつつ摺動するから、この間に油脂類が塗布される。この間は、ダンパ21によって、固定手段20の非固定時には当接が解かれ、空隙が空く。すると塗布した油脂類はその空隙に再進入できる。これにより、ダンパ21は上記間隙への油脂の供給を促進し、この間隙の摩耗を抑制する効果を奏する。
本体上面2aと移動当接面11aとの距離は、本体2の円筒形の空洞2b、下ボール受け11、コマ12、および軸体13の、それぞれの寸法公差の集積で決まる。すると、ダンパ21のダンパ接地面21bとダンパ当接部21aとの距離を、予め十分大きく設定せねばならない。移動当接面11aの上方への移動距離は固定手段20によって決まる。だから移動当接面11aの移動距離には制限がある。よってダンパ21のダンパ接地面21bとダンパ当接部21aとの距離を大きくしすぎると問題となる場合がある。そこで、ダンパ21を交換可能とし、ダンパ接地面21bとダンパ当接部21aとの距離を複数設定したダンパ21を製作しておき、本体2に下ボール受け11、コマ12、軸体13を組み込んでその寸法を測定した後、適切な寸法のダンパ21を選んで組み立ててもよい。
ダンパ21を交換する代わりに、予め厚さを複数設定した円環状の丸座金形状のシムを複数種類製作しておき、ダンパ21のダンパ接地面21bと本体上面2aとの間に、複数から選択した適切な厚さのシムを挟むことにより、ダンパ21を交換したと等価にして、本体上面2aとダンパ当接部21aとの距離を調節してもよい。本体上面2aとシム、シムとダンパ接地面21bとの間は、やはり可動部がないから、初期なじみや経年変化による部品の摩耗などが問題にならずよい。
また、例えば、本体上面2aに下方に向けたメネジを設け、そこに止めネジを螺合させ、止めネジの一端を本体上面2aから突出させてダンパ21のダンパ接地面21bに当接させ、止めネジの突出量で本体上面2aとダンパ当接部21aとの距離を調節する構成としてもよい。この場合、止めネジを回して、その突き出し距離を調節することで、ダンパ21を交換した場合と等価にする。止めネジとダンパ接地面21bとの間は、やはり可動部がないから、初期なじみや経年変化による部品の摩耗などが問題にならずよい。
更に、本体上面2aに下方に向けた穴を設けて付勢手段としてバネを入れ、バネの一端を本体上面2aから突出させてダンパ21のダンパ接地面21bに当接付勢させることで、ダンパ当接部21aにボール5に対する押圧力を与えてもよい。この場合の押圧力は、カメラ等の被支持体から掛かる荷重より小さいほうが好ましいが、限定されない。
また、ダンパ21を本体2と一体的に形成してもよい。例えば、本体上面2aから上へ向けて円筒状に本体2を延長し、その上端にダンパ当接部21aを設けてもよい。この場合、本体上面2aからダンパ当接部21aまでとの距離の異なったものを予め製作しておき、組立時に適切なものに選択、交換してもよい。この例では、部品点数が減少するから部品コストが低下する。
なお、この実施形態では、本体2の本体上面2aと、ダンパ21のダンパ接地面21bとが、共に平面形状とされているが、平面形状に限定されない。本体部1にダンパ当接部21bを当接できればいかなる形状でもよい。
この実施形態では、ダンパ21は本体上面2aに当接しているのみであるが、例えば接着、粘着、ねじどめなどの公知の手段で固定してもよい。また、ダンパ21の外周面と上ボール受け4の内周面とを公知の手段で固定してもよい。更に、ダンパ接地面21bと本体上面2aとの間及び/又はダンパ21の外周面と上ボール受け4との間に、粘性流体を介在させてもよい。ダンパ21を本体2に固定し、またはダンパ21を上ボール受け4に固定し、または粘性流体を介在させることで、後述する粘性抵抗力29の反作用がダンパ21からスムーズに本体部1に伝達される。
図4に示すように、ボール5のボール外周面5aには油脂27がほぼ均一に塗布されている。油脂27は粘性流体26である。従来の自由雲台では、ボール外周面5aに粘性流体26を塗布し、移動当接面11aとボール5の間に粘性流体26を介在させ、その粘性抵抗力29を得ようと意図しても、ほとんど得ることができなかった。更に、粘性流体26を粘性の高いものに変更しても、粘性抵抗力29はほとんど上昇しなかった。
本願発明者が行った実験的研究により、粘性流体26がボール外周面5aに与える粘性抵抗力29について、従来認識されていない以下の現象を見いだした。それにより、従来の自由雲台で粘性抵抗力29を得られなかった理由をも見いだし、本発明に至った。以下この現象を、特に図3、図4を参照しつつ説明する。
ボール5の回動運動つまりボール外周面5aの移動に伴い、粘性流体26がボール外周面5aとダンパ当接部21aとの狭いクリアランス30に、その粘性によって引き込まれる。粘性流体26はクリアランス30に引き込まれることにより、局部的に高い油圧28を発生する。粘性流体26の油圧28が上昇すると、その粘度が局部的に著しく上昇する。粘度が上昇した粘性流体26は、ボール外周面5aに、移動方向と逆向きの高い粘性抵抗力29を与える。その結果、この高い粘性抵抗力29が、ボール5の動きを抑制する。
粘性抵抗力29は、油圧28によって上昇する。油圧28は、クリアランス30の距離が小さい程大きくなる。ここまでは従来知られていた現象である。
高い粘性抵抗力29を得ようとすると、油圧28が更に上昇する。このとき、従来認識されていない以下の現象を見いだした。ダンパ当接部21aは、その油圧28によってボール外周面5aとは逆の方向すなわちダンパ21の内部方向に変位する。すると、ダンパ当接部21aとボール外周面5aとのクリアランス30は拡大する。クリアランス30が拡大すると、油圧28が低下する。油圧28が低下すると粘性抵抗力29も低下するのである。
従来の自由雲台では、いわゆる静的に、ボール外周面5aと下ボール受け11の移動当接面11aとの距離を、特に初期なじみや経年変化による部品の摩耗などの影響で適切に保つことが出来なかった。又は、いわゆる動的に、下ボール受け11の移動当接面11aが油圧28に対抗できずクリアランス30が拡大していた。このいずれかまたは両方の理由で、粘性流体26の粘性抵抗力29をほとんど得ることができなかったのである。すると、静的にはボール外周面5aとダンパ当接部21aとのクリアランス30を長期間に亘り適切に保つことが出来、且つ動的にはボール外周面5aとダンパ当接部21aとのクリアランス30を、油圧28に対抗して適切に維持することが出来るなら、粘性抵抗力29が十分に発揮されると思慮し本発明に至った。
すなわち、図3に示すように、ダンパ21が本体部1に接した状態で、ダンパ当接部21aの任意の1点からボール5の中心に向けた仮想線24をダンパ21の内部方向に延長し、延長された仮想線24のダンパ当接部21aからダンパ21の内部方向へ向けてボール5の半径の15%までの影響領域25の距離において、任意の1点の影響領域25内におけるヤング率が、ダンパ21と本体部1のヤング率を複合則のReuss則で計算して、5GPa以上であること、という本発明の条件内であれば、適切な粘性抵抗力29を得ることができる、とわかり本発明に至った。影響領域25内におけるヤング率は、好ましくは7GPa以上かつ206GPa以下であり、より好ましくは15GPa以上かつ206GPa以下である。
図4を用いて更に詳しく説明する。油圧28は、ボール外周面5aとダンパ当接部21aの移動速度が最も速い1点において最も高くなる。油圧28からの力は、その1点からダンパ21内部方法に向けて拡散しつつ伝達される。したがってその影響領域25は、ダンパ当接部21aから所定距離までである。本願発明者が行った実験的研究の結果、クリアランス30の拡大に油圧28が影響する影響領域25は、前記した仮想線24のダンパ当接部21aからダンパ21内部方向へ向けてボール5の半径の15%までの距離であるとわかった。このとき、もしダンパ21の内部方向へ向けてボール5の半径の15%までの距離に本体部1が含まれるのなら、本体部1もクリアランス30の拡大に影響する影響領域25である。
その影響領域25で、任意の1点の影響領域25内におけるヤング率が、ダンパ21と本体部1のヤング率を複合則のReuss則で計算して、5GPa以上であることが、本発明の条件である。
粘性抵抗力29は速度に比例する。したがって、カメラ等が風から受ける力や手の振動力などの影響で、ボール5のボール外周面5aが動く速度が比較的速い場合には、粘性抵抗力29はより強くなる。また構図を変更するための操作のようなボール外周面の動く速度が比較的遅い場合には、粘性抵抗力29はより弱くなる。したがって撮影意図に無関係な不随意な動きは十分抑制され、また構図決定の邪魔にならない。
ボール5は、カメラ等の被支持体を支えるのに十分な材質で構成されるから、通常いわゆる硬質な材質を使う。したがって、いわゆる動的なクリアランス30を拡大させているのは、ダンパ当接部21aを含むダンパ21とそれに接した本体2である。ボール5の材質を例示すれば、金属材質では鉄、鋼、ステンレス鋼、鋳鉄、銅、銅系合金、特に黄銅、アルミニウム、アルミニウム系合金、マグネシウム、マグネシウム系合金、亜鉛、亜鉛系合金など、非金属材質ではガラス、セラミックス、プラスチック類、特に繊維強化プラスチックなどをあげられるが、限定されない。
本体部1である上ボール受け4も、ボール5を覆うように支持するのに十分な材質で構成されるから、通常いわゆる硬質な材質を使う。したがって、いわゆる動的なクリアランス30を拡大させているのは、ダンパ当接部21aを含むダンパ21とそれに接した本体2である。上ボール受け4の材質を例示すれば、金属材質では鉄、鋼、ステンレス鋼、鋳鉄、銅、銅系合金、特に黄銅、アルミニウム、アルミニウム系合金、マグネシウム、マグネシウム系合金、亜鉛、亜鉛系合金など、非金属材質ではガラス、セラミックス、プラスチック類の特に繊維強化プラスチックなどをあげられるが、限定されない。
本体部1である上ボール受け4の特に固定当接面4aも、ダンパ21と同様に、固定当接面4aの任意の1点からボール5の中心に向けた仮想線を固定当接面4aの内部方向に延長し、延長された仮想線の固定当接面4aから上ボール受け4の内部方向へ向けてボール5の半径の15%までの影響領域の距離において、固定当接面4aの任意の1点の影響領域内におけるヤング率が、5GPa以上であると、上ボール受け4にも粘性抵抗力を有効に働かせることが出来るから更に好ましい。
上ボール受け4の固定当接面4aに材質を2種以上重畳して使い、例えばボール外周面5aに近い方は比較的柔い材質の例えばプラスチック類で構成し、ボール外周面5aから遠い方は比較的硬い材質の例えば金属材質で構成し、影響領域が2種以上の材質に亘っていてもよい。比較的柔い材質の仮想線24が及ぶ距離が十分に小さければ、影響領域が前項の条件を満足するから、粘性抵抗力29を有効に働かせることが出来るので好ましい。
ダンパ21の材質は、前記の本発明の条件の範囲内であれば、公知の材質でよい。例示すれば、金属材質である鉄、鋼、ステンレス鋼、鋳鉄、銅、銅系合金、黄銅、アルミニウム、アルミニウム系合金、マグネシウム、マグネシウム系合金、亜鉛、亜鉛系合金などがあげられ、非金属材質ではガラス、セラミックス、プラスチック類の特に繊維強化プラスチック、フェノール樹脂などをあげられるが、限定されない。また、ダンパ21に耐摩耗性を向上させるための公知の手段、例えばめっきや陽極酸化処理等を講じてもよい。
ダンパ21の材質を2種以上重畳して使い、例えばボール外周面5aに近い方は比較的柔い材質の例えばプラスチック類で構成し、ボール外周面5aから遠い方は比較的硬い材質の例えば金属材質で構成し、影響領域25が2種以上の材質に亘っていてもよい。比較的柔い材質の部分に仮想線24が及ぶ距離が十分に小さければ、影響領域25が本発明の条件を満足するから、粘性抵抗力29を有効に働かせることが出来る。尚このダンパ21の材質を2種以上重畳した場合の測定については後述する。
ここで粘性抵抗力29の測定結果の一例を示す。ボール5は自由雲台に最もよく使用されるアルミニウム合金で構成した。ダンパ21は、以下の場合とした。ボール5と同じ材質のアルミニウム合金で構成し、影響領域25内におけるヤング率が70.6GPaの場合。ボール5よりも硬質な材質である黄銅で構成し、影響領域25内におけるヤング率が110GPaの場合。ボール5よりも硬質な材質である鋼で構成し、影響領域25内におけるヤング率が206GPaの場合。及びボール5より軟質な材質のプラスチック類の一種であるポリアセタールで構成し、影響領域25内におけるヤング率が2.8GPaの場合とした。また、影響領域25に本体部1が含まれない、図2、3と同様の構成とした。
測定の結果を示す。ダンパ21がボール5と同じアルミニウム合金で構成されたヤング率が70.6GPaの場合では、十分な粘性抵抗力29が得られ構図設定が非常に安定していた。また、ダンパ21が黄銅で構成され、影響領域25内におけるヤング率が110GPaの場合では、十分な粘性抵抗力29が得られ構図設定が非常に安定していた。また、ダンパ21が鋼で構成され、影響領域25内におけるヤング率が206GPaの場合では、十分な粘性抵抗力29が得られ構図設定が非常に安定していた。且つ粘性抵抗力29の大きさは、ダンパ21がアルミニウム合金で構成されヤング率が70.6GPaの場合と、ダンパ21が黄銅で構成され影響領域25内におけるヤング率が110GPaの場合、及びダンパ21が鋼で構成され影響領域25内におけるヤング率が206GPaの場合では、差異が無く一定値を示した。しかし、ダンパ21がポリアセタールで構成され、影響領域25内におけるヤング率が2.8GPaの場合では、粘性抵抗力29はまったく不十分であり、構図設定の安定には寄与しなかった。本願発明者は更に実験的研究を重ね、ダンパ21のヤング率を変化させていき、粘性抵抗力29が有効に発生する条件を特定し、本発明に至った。
したがって、ダンパ21のヤング率は、ボール5の材質より大きくされてもよい。この例として上述の測定の結果の通り、ボール5がアルミニウム合金で構成され、ダンパ21が黄銅で構成されている場合を例示できるが、限定されない。
また本発明では、前述したとおりダンパ21のダンパ当接部21aと、上ボール受け4の固定当接面4aとの距離は、初期なじみや経年変化の影響を受けない構成である。したがって、ダンパ当接部21aとボール外周面5aとのいわゆる静的なクリアランス30は、製造当初のみならず長期間に亘って一定値を維持する。したがって静的に常に適切なクリアランス30を保つことができ、長期間に亘って粘性抵抗力29を得ることができる。
従来の自由雲台では、下ボール受け11の移動当接面11aの材質として、比較的に柔いプラスチック類を使用することが多かった。プラスチック類は、ボール外周面5aとの間で、スティックスリップを起こしにくいからである。しかし前項までの説明で明らかなように、プラスチック類だけを材質とした下ボール受け11では、ヤング率が小さいから、いわゆる動的なクリアランス30を保てず粘性抵抗力29を得ることはできない。
更に、従来の自由雲台では、下ボール受け11をボール5と同じ材質で構成し、ボール外周面5aに粘性流体26を塗布して、粘性抵抗力29を得ようとしても、初期なじみや経年変化によって部品間に摩耗などが起こるから、移動当接面11aがボール外周面5aから離間する方向に移動するため、極短い期間でいわゆる静的なクリアランス30を保つことができなくなり、結果として粘性抵抗力29を得ることができない、ということも明らかになった。結局、従来の自由雲台の構成では、前項で説明した下ボール受け11の材質として柔い材質であるプラスチック類を使用した場合にも、本項で説明した下ボール受け11を硬い材質で構成した場合にも、どちらもボール5に粘性抵抗力29を与えることはできなかったのである。
上ボール受け4にはスロット4dがある。場合によってはスロット4dとダンパ21とが干渉することがある。このときにはダンパ21のスロット4dに対応する箇所を切り欠いてもよい。ダンパ当接部21aからボール外周面5aに掛かる粘性抵抗力29は、ダンパ21の切り欠き箇所では与えられない。しかし、ダンパ当接部21aが残存する他の部分に掛かる粘性抵抗力29で十分に補うことができる。また、スロット4dと干渉する位置以外のダンパ当接部21aによって、ダンパ21とボール外周面5aとの位置関係やクリアランス30も保たれる。
また、ボール5の下端には空洞5dがあり、その部分がダンパ当接部21aを通過する際には、その部分だけは粘性抵抗力29が与えられない。しかしボール外周面5aが残存する他の部分の粘性抵抗力29で十分に補うことができる。
粘性流体26である油脂27の粘性は、支持するカメラ等の被支持体、自由雲台の特にボール5の直径、その自由雲台が使われる撮影状況を勘案し、適切な粘性のものを使用すれば、公知のものでよい。鉱物油、鉱物油系グリース、植物油、植物油系グリース、動物油、動物油系グリース、シリコーンオイル、シリコーングリース、オイルコンパウンドなどが例示できるが限定されない。
ダンパ21のダンパ当接部21aとボール外周面5aとの摺動は、ダンパ当接部21aがボール外周面5aに対して大きな押圧力を持たないことから、良好に保たれる。だからダンパ当接部21aとボール外周面5aとの間のスティックスリップなどは、ダンパ当接部21aがどのような材質であっても問題にならない。またダンパ21の材質は、粘性抵抗力29を発生させるため比較的硬い材質としているから、固定手段20を動作しない非固定時でも、カメラ等を硬く支持することができ、カメラブレを抑制できる。
下ボール受け11の移動当接面11aとボール外周面5aの間の摺動は、下ボール受け11は固定手段20であって、固定にしか使用されないから、そもそもスティックスリップなどが問題にならない。本発明に係る構成では、構図を変更するときの抵抗力はボール5に掛かる粘性抵抗力29による。したがって固定手段20を、操作つまみ10を操作しないときに、固定状態と非固定状態との中間程度にする、いわゆる半固定にはしなくてよい。本発明の構成では半固定になしなくてよいため、半固定用の機構は特に必要が無いが、公知の手段で半固定状態を実現してもよい。
下ボール受け11の材質は特に限定されず、公知の材質でよい。下ボール受け11は半固定にしなくてよいから、比較的硬い材質が使用できる。この場合には固定手段20を動作する固定時にも、カメラ等を硬く支持することができるから、よりカメラブレを抑制できるので好ましい。
ダンパ当接部21aからボール外周面5aに掛かる粘性抵抗力29は、その反作用をボール外周面5aからダンパ当接部21aに掛ける。ダンパ当接部21aに掛かった反作用は、本体上面2aを通じ本体2に伝達される。このとき固定手段20は動作していない非固定時である。したがって、軸体13は固定されていない。よって軸体13に固定された基台9と、本体2との間が反作用の影響でガタつく可能性がある。
そのガタつきを抑制する手段として、基台9の底部に設けた基台ネジ9aから止めネジ23を少なくとも1箇所、好ましくは3箇所以上、基台9の上部から本体下部空洞2eに向けて突出させ、本体下部空洞2eに収容された座金形状の円盤22を止めネジ23で押し上げて、本体2下部に円盤22を当接させる構成とすると好適である。本体2に至った粘性抵抗力29の反作用は、円盤22、止めネジ23、基台9へと伝達され、三脚などに逃がすことができ、本体2と基台9間のガタつきを起こさないでよい。
ガタつきを抑制する手段は他に、バネなどの付勢手段を本体下部空洞2eに入れ、基台9と本体2との間に付勢手段を挟む構成で抑制してもよい。このときバネは、例えば波座金、さらばね、コイルスプリングなどの形状でもよい。適切な押圧力を持つ付勢手段であれば、有効に作用する。自由雲台に基台9を用いない、すなわち本体2を直接三脚などに固定するタイプの自由雲台であれば、このガタつきを抑制する手段は不要である。
[第2実施形態]
図5乃至図6は本発明の第2実施形態を示している。本体下部1aの固定手段20には、コマ12の中心部の円筒形状の空洞12cに、距離規制部31として円柱形状の内コマ32が固定手段20を貫いて挿入されている。内コマ32の外径は、コマ12の中心部の円筒形状の空洞12cの内径より小さくされている。内コマ32の上下端面は、それぞれ平坦な内コマ上端面32aと内コマ下端面32bとされている。
内コマ32は、内コマ上端面32aが下ボール受け下端面11cに当接し、内コマ下端面32bが軸体13の軸体上端面13dに当接している。また、内コマ上端面32aと内コマ下端面32bとの距離は、内コマ32が無い場合の下ボール受け下端面11cと軸体上端面13dとの距離よりも微小距離大きくされている。したがって、下ボール受け11の上下方向の位置は、本体上面2aから一定の距離以上に規制される。
すると、距離規制部31である内コマ32によって、下ボール受け11の移動当接面11aと、上ボール受け4の固定当接面4aとの距離の最大値が規制される。上ボール受け4の固定当接面4aと下ボール受け11の移動当接面11aとの距離の最大値は、ボール5がスムーズに回動し、且つボール5のガタつきが無い程度に調整されている。したがって距離規制部31は、固定手段20を動作しない非固定時の、ボール5のガタつきを抑制する。
内コマ32はコマ12の中心部の円筒形状の空洞12cに単に収納されているだけである。だから固定手段20の動作時に必要があれば操作つまみ10の操作によるコマ12の変位にしたがって、微少量図示左側に変位できる。したがって固定手段20の固定動作に影響しない。固定手段20を非固定とすれば、内コマ32は元の位置に復帰する。
距離規制部31である内コマ32の内コマ上端面32aと下ボール受け下端面11cとの間は、単に当接しているのみである。内コマ下端面32bと軸体上端面13dとの間も、単に当接しているのみである。また、内コマ32が受ける力は、固定手段20を動作しない時のカメラ等の荷重だけである。その大きさはおおむね10から50N程度と比較的に小さい。したがって距離規制部31である内コマ32には実質的な可動部は無く、且つ掛かる力も小さい。よって初期なじみや経年変化による部品の摩耗などが問題にならない。またボール5のガタつきを抑制する効果は製造当初のみならず長期の使用期間に亘って維持される。ゆえに、固定手段20を非固定としたときのカメラブレを長期の使用期間に亘って抑制できる。
一方、固定手段20の、下ボール受け11の下面の下へ向けてすぼまるテーパ面11bとコマ12の上端のテーパ面12a、およびコマ12の下端のテーパ面12bと軸体13の上端のテーパ面13aとの間は、大きな力を受けつつ摺動する。その力は固定手段20を動作させ、ボール5を固定する程度には必要であり、その力の大きさは自由雲台のサイズやカメラ等の大きさなどにもよるが、概ね500から2000N程度である。すると、各々のテーパ面間は、大きな力を受けつつ摺動するから、初期なじみや経年変化によって部品の摩耗等を引き起す。したがって下ボール受け11の位置は図示下側の方向、すなわちボール5から離れた方向に移動する。よって、内コマ32が無い場合には、非固定時のボールのガタつきが大きいから、カメラブレの原因となっていたものである。
軸体13の軸体上端面13dと下ボール受け下端面11cとの距離は、下ボール受け11、コマ12、および軸体13の、それぞれの寸法公差の集積で決まる。すると内コマ32の内コマ下端面32bと内コマ上端面32aとの距離を、予め十分大きく設定せねばならない。移動当接面11aの上方への移動距離は固定手段20によって決まる。よって移動当接面11aの上方への移動距離に制限がある。したがって、内コマ32の内コマ下端面32bと内コマ上端面32aとの距離を大きくしすぎると問題となる。そこで、内コマ32を交換可能とし、前記の距離を複数設定した内コマ32を製作しておき、本体2に軸体13、コマ12、下ボール受け11を組み込んでその寸法を測定した後、適切な寸法に設定された内コマ32を選んで組み立てるとよい。
内コマ32を交換する代わりに、内コマ下端面32bと軸体上端面13d間、及び/又は内コマ上端面32aと下ボール受け下端面11cとの間に、円盤状のシムを挟んでもよい。このとき予め厚さを複数設定したシムを製作しておき、適切な厚さのものを挟むことにより内コマ32を交換したと等価にして、軸体上端面13dと下ボール受け下端面11cとの距離を調節する。シムと軸体上端面13d、シムと下ボール受け下端面11c、シムと内コマ上端面32a、シムと内コマ下端面32bとの間は、やはり可動部がないから、初期なじみや経年変化による部品の摩耗などが問題にならずよい。
内コマ32を用いず、軸体上端面13dに下方に向けた止めネジを設け、軸体上端面13dから止めネジの一端をコマ12の空洞12cに固定手段20を貫いて突出させ、その一端を下ボール受け下端面11cに当接させて、止めネジを距離規制部31としてもよい。また逆に下ボール受け下端面11cに上方に向けた止めネジを設け、下ボール受け下端面11cから止めネジの一端をコマ12の空洞12cに固定手段20を貫いて突出させ、その一端を軸体上端面13dに当接させて、止めネジを距離規制部31としてもよい。これらの場合止めネジは、その突き出し距離を調節することで、距離規制部31を交換したと等価にする。止めネジの一端と下ボール受け下端面11cとの間、又は止めネジの一端と軸体上端面13dの間は、やはり可動部がないから、初期なじみや経年変化による部品の摩耗などが問題にならずよい。
この実施形態では、内コマ32の内コマ下端面32bと軸体13の軸体上端面13d間、及び内コマ32の内コマ上端面32aと下ボール受け下端面11cとの間は、共に平面とされているが、平面に限定されない。また内コマ32の外形形状も円柱形状でなくてもよい。また、距離規制部31をコマ12の中心部に配置しているが、限定されない。距離規制部31は、下ボール受け11の移動当接面11aと上ボール受け4の固定当接面4aとの距離を、固定手段20と独立して決定でき、且つ交換可能であれよい。
距離規制部31を、コマ12を取り囲む中空の円筒形状とし、本体2の空洞2bの周辺部に配置し、下ボール受け11のテーパ面11b、および、軸体13のテーパ面13aとそれぞれ当接して、下ボール受け11を支える構成にしてもよい。
この実施形態の固定手段20では、下ボール受け11の下面の下へ向けてすぼまるテーパ面11bとコマ12の上端のテーパ面12a、およびコマ12の下端のテーパ面12bと軸体13の上端のテーパ面13aが当接しているが、本発明はこの構成に限定されない。固定手段20は、移動当接面11aが軸線方向に移動可能であれば、公知の他の構造でもよい。
下ボール受け11のテーパ面11bとコマ12の上端のテーパ面12a、およびコマ12の下端のテーパ面12bと軸体13の上端のテーパ面13aとの間は、大きな力を受けつつ摺動する。そこでこの間に、油脂類を塗布するのが一般的である。この間は、距離規制部31によって、固定手段20の非固定時には当接が解かれ、空隙が空く。すると塗布した油脂類はその空隙に再進入できる。したがって、距離規制部31によってこの間の摩耗を抑制できる。
距離規制部31の内コマ32の材質は、カメラ等の荷重を支えることができれば、公知の材質でよい。例示すれば、金属材質では鉄、鋼、ステンレス鋼、鋳鉄、銅、銅系合金、特に黄銅、アルミニウム、アルミニウム系合金、マグネシウム、マグネシウム系合金、亜鉛、亜鉛系合金などがあげられ、非金属材質ではガラス、セラミックス、プラスチック類の特に繊維強化プラスチック、フェノール樹脂などをあげられるが、限定されない。内コマ32に耐摩耗性を向上させるための公知の手段、例えばめっきや陽極酸化処理等を講じてもよい。
下ボール受け11の材質は、固定手段20を動作させることができれば、公知の材質でよい。例示すれば、金属材質では鉄、鋼、ステンレス鋼、鋳鉄、銅、銅系合金、黄銅、アルミニウム、アルミニウム系合金、マグネシウム、マグネシウム系合金、亜鉛、亜鉛系合金などがあげられ、非金属材質ではガラス、セラミックス、プラスチック類の特に繊維強化プラスチック、フェノール樹脂などをあげられるが、限定されない。また、下ボール受け11に耐摩耗性を向上させるための公知の手段、例えばめっきや陽極酸化処理等を講じてもよい。
またこの実施形態では、移動当接面11aの軸方向に沿った断面が直線状であり、ボール5と移動当接面11aとの当接領域は円環状となる。円環状領域の幅はほぼ線と見なせるほど狭くてもよいし、移動当接面11aを凹曲面としてその曲率をボール外周面5aの曲率に近づけることにより、当接領域の幅を大きくしてもよい。当接領域の幅が大きいと粘性抵抗力29を大きくできる。
ボール5のボール外周面5aには粘性流体26として油脂27がほぼ均一に塗布されている。距離規制部31の内コマ32によって、下ボール受け11の移動当接面11aと、上ボール受け4の固定当接面4aとの距離の最大値が規制されている。したがって、移動当接面11aと固定当接面4aとの距離、換言すれば移動当接面11aとボール外周面5aとのクリアランスは、製造当初のみならず長期間に亘って一定値を維持する。したがって前述した静的なクリアランスが長期間に亘って維持されることになる。
下ボール受け11が、移動当接面11aの任意の1点からボール5の中心に向けた仮想線を下ボール受け11の内部方向に延長し、仮想線の移動当接面11aから下ボール受け11の内部方向へ向けてボール5の半径の15%までの影響領域の距離において、任意の1点の影響領域45内におけるヤング率が複合則のReuss則で計算して5GPa以上であることを満たす構成であれば、すなわちこの動的なクリアランスを、前記の静的なクリアランスと同時に維持できるような構成であれば、移動当接面11aはボール外周面5aへ、粘性流体26の粘性抵抗力29を与えることが出来るから、より好適である。
この場合、固定手段20の非固定時には、上述のように粘性流体26がボール外周面5aに粘性抵抗力29を与える。固定手段20を動作したときには、粘性流体26がクリアランスから脱出し、ボール外周面5aに固定力を与える。なお、この場合の粘性流体26である油脂27は、支持するカメラ等の被支持体、自由雲台の特にボール5の直径、その自由雲台が使われる撮影状況を勘案し、適切な粘性のものを使用すれば、公知のものでよい。鉱物油、鉱物油系グリース、植物油、植物油系グリース、動物油、動物油系グリース、シリコーンオイル、シリコーングリース、オイルコンパウンドなどが例示できるが限定されない。
本体上部1bの上ボール受け4の内周面4cには、ボール5の外径の最も大きな位置に、円環帯状のダンパバンド41が設けられている。ダンパバンド41は、内周面をボール外周面5aが当接するダンパバンド当接部41aとし、外周面は上ボール受け4の内周面4cに当接されている。ダンパバンド当接部41aは、ボール外周面5aと少なくとも当接し、あるいはボール外周面5aに対して若干の押圧力をもって当接してもよい。
図6に示すように、ダンパバンド41は、本体部1すなわち上ボール受け4の内周面4cと接した状態で、ダンパバンド当接部41aの任意の1点からボール5の中心に向けた仮想線44をダンパバンド41の内部方向に延長し、仮想線44のダンパバンド当接部41aからダンパバンド41の内部方向へ向けてボール5の半径の15%までの影響領域45の距離において、任意の1点の影響領域45内におけるヤング率が、ダンパバンド41と上ボール受け4のヤング率を複合則のReuss則で計算して、5GPa以上であること、という条件を満たす。これを満たせばダンパバンド41は、ボール外周面5aに対し、塗布された粘性流体26である油脂27の粘性抵抗力29を得ることが出来る。
ダンパバンド41と当接される上ボール受け4の内周面4cとの間には可動部がない。したがって、ダンパバンド当接部41aのある一点と、ボール5の中心軸を隔てて直径距離にあるダンパバンド当接部41aの一点との距離、つまりダンパバンド当接部41aとボール外周面5aとの間のいわゆる静的なクリアランスは、製造当初のみならず長期間に亘って一定値を維持する。更に、いわゆる動的なクリアランスは、前段落記載の条件により維持される。結果、静的なクリアランスと動的なクリアランスとが共に維持されるから、前に説明したように粘性抵抗力29を得るのである。
上ボール受け4の材質は、ボール5を固定する固定手段20の反力が掛かる部分であるから、通常はボール5の材質と同程度かより高い強度とヤング率を有する。一方ダンパバンド41は、ダンパバンド当接部41aをボール外周面5aに当接していなければならない。したがって、ダンパバンド41をいわゆる硬質な材質で構成すると、各部の寸法公差が著しく狭いものになる可能性がある。
ダンパバンド41をいわゆる軟質な材質で構成し、ダンパバンド当接部41aの初期の内径寸法をボール5の直径より僅かに小さく設定し、当初の組立時にはボール5を上ボール受け4に押し込むようにし、ダンパバンド当接部41aが若干の押圧力をもってボール外周面5aに当接せしめるようにすると、より好ましい。その場合、ダンパバンド41は軟質な材質であるから、時間と共にいわゆるクリープ現象をおこすことが多く、ダンパバンド41のダンパバンド当接部41a部分の厚みの距離は、押圧力を持たない程度まで減少する可能性がある。しかし、ダンパバンド41にはカメラ等の荷重は掛からないから、ダンパバンド当接部41aがボール外周面5aと離間する位置にまではクリープしない。
ダンパバンド41が軟質な材質で構成され、ボール外周面5aに対し初期に押圧力をもって当接する場合には、軟質な材質は多くがスティックスリップを起こしにくい特性があるから、その初期の押圧力はボール5の動きに関係しないことが多い。したがってこの場合には、ダンパバンド41からボール5に掛かる初期の押圧力は適切に選べばよい。
ダンパバンド41は、上ボール受け4の内周面4cに、例えば接着、粘着、螺子止めなどの公知の手段で固定してもよい。ダンパバンド41の材質は、いわゆる硬質な材質で構成するならば、例えば金属材質である鉄、鋼、ステンレス鋼、鋳鉄、銅、銅系合金、黄銅、アルミニウム、アルミニウム系合金、マグネシウム、マグネシウム系合金、亜鉛、亜鉛系合金などがあげられ、非金属材質ではガラス、セラミックス、繊維強化プラスチック、フェノール樹脂などをあげられるが、限定されない。また、いわゆる軟質な材質で構成するならば、例えばプラスチック類があげられるが、限定されない。
上ボール受け4に、図1に示すように、カメラ等をいわゆる縦位置にするためのスロット4dが形成されている場合には、スロット4dと干渉する位置でダンパバンド41を切り欠き、ダンパバンド41が円の全周に亘らないC字状にしてもよい。スロット4dの幅は、ボール5から上へ伸びる首部5bを収容できれば足りるから、ボール5の直径よりも格段に小さく設定される。したがってその場合でも、粘性抵抗力29には問題が無い。また、スロット4dと干渉する位置以外のダンパバンド41によって、ダンパバンド41とボール外周面5aとの位置関係やクリアランス30も良好に保たれる。
上ボール受け4の材質が前述したように、ボール5の材質と同程度かより高い強度とヤング率を有する場合には、影響領域45内におけるヤング率が、ダンパバンド41と上ボール受け4のヤング率を複合則のReuss則で計算して、5GPa以上であること、という条件は、この例のようにダンパバンド41が十分に薄ければ、ダンパバンド41をいかなる材質で構成しようとも容易に満足しうる。
ダンパバンド41による粘性抵抗力29の測定結果の一例を示す。ダンパバンド41を軟質材質の一種であるプラスチックで構成し、影響領域45内におけるヤング率が、ダンパバンド41と上ボール受け4のヤング率を複合則のReuss則で計算して、5GPa以上であること、を満たす場合と、満たさない場合とを測定した。
ダンパバンド41の材質はプラスチックである、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルの各材を単独、又は2種をダンパバンド41の厚み方向に積層して用いた。
上ボール受け4の材質は、ボール5の材質と同じアルミニウム合金とした。そしてダンパバンド41の内部方向へ向けてボール5の半径の15%までの影響領域45の距離に、本体部1である上ボール受け4が含まれる構成とした。
影響領域45のヤング率については以下の設定とした。ダンパバンド当接部41aの任意の1点からボール5の中心に向けた仮想線44をダンパバンド41の内部方向に延長し、仮想線44のダンパバンド当接部41aからダンパバンド41の内部方向へ向けてボール5の半径の15%までの影響領域45の距離において、任意の1点の影響領域45内におけるヤング率が、ダンパバンド41と上ボール受け4のヤング率を複合則のReuss則で計算して、24.9GPaから2.7GPaの場合とした。
ボール外周面5aと上ボール受け4の内周面4cとの隙間は、ボール5の半径寸法との比で0.6から7.0%とした。
ダンパバンド41からボール外周面5aに掛かる初期の押圧力は、強い場合、中程度の場合、ほぼ無い場合とした。そして各々の条件を組み合わせて測定を行った。
測定した結果を以下に示す。粘性抵抗力29は、影響領域45が、ダンパバンド41と上ボール受け4のヤング率を複合則のReuss則で計算して、24.9GPa以下から15GPa以上の範囲だと極めて良好な粘性抵抗力29を呈した。15GPa未満から7GPa以上の範囲では粘性抵抗力29は良好に保たれた。そして7GPa未満から5GPa以上の範囲までは適切な粘性抵抗力29を得た。5GPaより小さなヤング率だと、粘性抵抗力29は急激に低下してしまい、カメラ等を安定して使用することができなくなった。
ダンパバンド41の材質を変更したり、重畳したりしても粘性抵抗力には変化が無かった。また、ボール外周面5aと上ボール受け4の内周面4cとの隙間の、ボール5の半径寸法との比を変化させても、粘性抵抗力29には変化が無かった。
ダンパバンド41からボール外周面5aに掛かる初期の押圧力は、大きいとわずかに粘性抵抗力29が増大した。その原因は必ずしも明確でないが、ボール5とダンパバンド41との当接領域の幅の差異であろうと考えられる。押圧力が小さいときには、当接領域が円環状領域となって、粘性抵抗力29を発生させる幅は狭い。一方押圧力が増大すると、ダンパバンド当接部41aが凹み、結果当接領域が凹曲面となりボール外周面5aの曲率に近づくから、粘性抵抗力29を発生する幅が広くなるためと推定される。ただし、この押圧力による粘性抵抗力29の差異は極めて限定的であった。
第1実施形態の、ダンパ21のダンパ当接部21aに、この測定と同様の薄いプラスチックを重畳して構成した状態での測定も行った。結果は前項までで述べたダンパバンド41の場合と同様であった。
実験の結果、粘性抵抗力29の発生に関係して、且つ有効な粘性抵抗力29を呈するのは、影響領域25内、又は影響領域45内におけるヤング率が、ダンパ21や影響領域25内の本体部1のヤング率を複合則のReuss則で計算し、又はダンパバンド41と影響領域45内の本体部1のヤング率を複合則のReuss則で計算して、5GPa以上であること、という条件だけであり、ヤング率は好ましくは7GPa以上かつ206GPa以下であり、更に好ましくは15GPa以上かつ206GPa以下である、ことがわかった。
上記のダンパバンド41に関する測定、及び先に説明したダンパ21に関する測定から、以下のことを推考できる。粘性抵抗力29は、影響領域25内、又は影響領域45内のヤング率が十分に高い条件であれば、差異が無く一定値を示す。また、いわゆる動的なクリアランス30が、油圧28によって必要以上に拡大しなければ、適切な粘性抵抗力29を得ることができる。更に、クリアランス30は影響領域25内、又は影響領域45内におけるヤング率が十分に高ければ必要以上に拡大しない。したがって、粘性抵抗力29の発生に有効な、影響領域25内、又は影響領域45内のヤング率には上限値は無い。よって、影響領域内のヤング率は、下限値のみ規定する。
ダンパ21を有する場合で、ダンパ21の外径が著しく小さく、ダンパ当接部21aの任意の1点からボール5の中心に向けた仮想線24をダンパ21の内部方向に延長し、仮想線24のダンパ当接部21aからダンパ21の内部方向へ向けてボール5の半径の15%までの影響領域25が、ダンパ21の外部にまで到達した場合には、以下のとおりとする。
この場合、油圧27はボール外周面5aとダンパ当接部21aの移動速度が最も速い1点において最も高くなり、油圧27からの力は、その1点からダンパ21の内部方法に向けて拡散しつつ伝達してゆくが、ダンパ21の外径が著しく小さいため、油圧27からの力は、ダンパ21の内部に十分に拡散することができない。
したがって、この場合には、クリアランス30はダンパ21が仮想線24の方向に局部的に圧縮されて拡大するのでなく、ダンパ21が正面視上側から見て外形が拡大するような、曲げ応力による変位が支配的となって拡大する。ダンパ21の外径が著しく小さいから、曲げ応力に対抗するための断面二次モーメントは過小となる。よって、この曲げ応力で、いわゆる動的なクリアランス30が拡大する。このため、粘性抵抗力29が十分に発生できない。
更に、ダンパ21の外径が著しく小さいため、ダンパ21の円周方向の強度が不足し、主にボール5に掛かるカメラ等の荷重によって、ダンパ21の円周方向の永久変形を生じ、いわゆる静的なクリアランス30が拡大する。その結果、ボール5のガタつきの原因になるし、粘性抵抗力29も十分に発生できない。更に、ダンパ21の外径が著しく小さいため、ダンパ21の軸方向の強度が不足し、主にボール5に掛かるカメラ等の荷重によって、ダンパ21が座屈や破損する恐れもある。
しかし、本発明に係る構成のダンパ21の外径は、必要に応じて上ボール受け4の内径すなわちボール5の直径程度にまで設定が可能である。したがって、本発明に係る構成のダンパ21であれば、仮想線24はダンパ21の外部にまで到達することはない。また、本発明に係る構成のダンパ21であれば、ダンパ21の円周方向及び軸方向の強度も十分に保たれる。
ダンパバンド41を有する場合で、上ボール受け4のボール5の外径の最も大きな位置に対応した箇所の外径が小さく、ダンパバンド当接部41aの任意の1点からボール5の中心に向けた仮想線44をダンパバンド41の内部方向に延長し、仮想線44のダンパバンド当接部41aからダンパバンド41の内部方向へ向けてボール5の半径の15%までの影響領域45が、上ボール受け4、本体部1の外部にまで到達したときを考える。
油圧はボール外周面5aとダンパバンド当接部41aの移動速度が最も速い1点において最も高くなり、油圧からの力は、その1点からダンパバンド41の内部方法に向けて拡散しつつ伝達してゆくが、上ボール受け4の外径が小さいため、油圧からの力は、上ボール受け4の内部に十分に拡散することができない。
この場合には、クリアランスは上ボール受け4が仮想線44の方向に局部的に圧縮されて拡大するのでなく、上ボール受け4が、正面視上側から見て外形が拡大するような、曲げ応力による変位が支配的となって拡大する。上ボール受け4のボール5の外径の最も大きな位置に対応した箇所の外径が著しく小さいから、上ボール受け4の曲げ応力に対抗するための断面二次モーメントは過小となる。よって、この曲げ応力で、いわゆる動的クリアランスが拡大する。結果、粘性抵抗力が十分に発生できない。
更に、上ボール受け4の断面二次モーメントが不足すると、固定手段20を操作したときの反力によって上ボール受け4が大きく変形し、ボール5を安定的に支持することができない。また、上記反力によって、上ボール受け4の永久変形を生じ、いわゆる静的なクリアランスが拡大する。その結果、ボール5のガタつきの原因になるし、粘性抵抗力も十分に発生できない。
しかし、上ボール受け4及びダンパバンド41が本発明に係る構成であれば、仮想線44は上ボール受け4、本体部1の外部にまで到達することはない。したがって、上ボール受け4の断面二次モーメントも適切に保たれ、いわゆる動的クリアランスが拡大することもない。また、固定手段20を操作したときの反力による上ボール受け4の変形量も適切に保たれ、更に、上ボール受け4の永久変形も生じない。
本実施形態に係る構成では、構図を変更するときの抵抗力はボール5に掛かる粘性抵抗力29による。したがって固定手段20を、固定状態と非固定状態との中間程度にする、いわゆる半固定にはしなくてよい。本実施形態の構成では半固定になしなくてよいため、半固定用の機構は特に必要が無いが、公知の手段で半固定状態を実現してもよい。また、下ボール受け11の材質を、前述した粘性抵抗力29を得るために硬質な材質で構成した場合には、固定手段20を動作する固定時にも、カメラ等を硬く支持することができ、よりカメラブレを抑制できる。
この第2実施形態では、ダンパバンド41と距離規制部31(内コマ32)を共に有する例を開示したが、もちろん、ダンパバンド41または距離規制部31のみ有する構成としてもよい。特に説明しなかった構成は前述の第1実施形態と同様でよい。
[第3実施形態]
図7乃至図8は本発明の第3実施形態を示している。この例では、本体部101は左右に二分割され本体左部101a及び本体右部101bとされる。本体部101の下側には基台109が設けられ、基台109の上方向の縮径部109aで、本体左部101aの拡径部101cと、本体右部101bの拡径部101dとが係合している。
本体左部101aと本体右部101bの上方には、左ボール受け101eと右ボール受け101fがそれぞれ形成され、ボール105を挟み込んでいる。本体部101の上下方向の中央部付近には、本体右部101bを貫通する、固定手段120であるねじ110aを有する。ねじ110aはつまみ110に固定されている。ねじ110aは本体右部101bの貫通穴101gを貫通している。ねじ110aは、ねじ当接部110bと貫通穴101gの入口付近とを接している。ねじ110aの先端にはオネジ110cが形成され、本体左部にあるメネジ101hと螺合されている。
ボール105のボール外周面105aには粘性流体である油脂が塗布されている。本体左部101aと本体右部101bとの間には、スロット102が正面及び背面の2箇所に形成されていて、カメラ等をいわゆる縦位置で使うことが出来る。スロット102は1箇所とされてもよい。またスロット102は無くてもよい。
ねじ110aの付近の本体部101の下方には、距離規制部130である距離規制ねじ131があり、つまみ110のねじ110a同様且つ左右逆方向に、本体左部101aを貫通し、ねじ110aの先端が本体右部101bのメネジ132と螺合されている。距離規制ねじ131は、螺合される部分の距離の調節によって本体左部101aと本体右部101bの離間量を調整する。距離規制ねじ131は、ボール105がスムーズに回動し、且つボール105のガタつきが無い程度に調整されている。
つまみ110を締めると、ボール105に着目した場合、基台109を支点とし、貫通穴101gを力点として、左ボール受け101eと右ボール受け101fとが作用点として接近する。ボール105は接近した左ボール受け101eと右ボール受け101fに挟まれて固定される。この実施形態では移動当接面と固定当接面は互換する。
つまみ110を緩めたときには、左ボール受け101eと右ボール受け101fとが離間しようとするが、距離規制ねじ131によって左ボール受け101eと右ボール受け101fとの距離の最大値が規制される。それにより固定手段120を非固定としたときでも、ボール105がガタつくことがない。
本体左部101aの左ボール受け101eと、本体右部101bの右ボール受け101fには、ボール105の外径の最も大きくなる位置に、それぞれ半円弧状または矩形状をなすダンパバンド左部141aとダンパバンド右部141bが当接されている。ダンパバンド左部141aとダンパバンド右部141bとは、それぞれダンパバンド当接左部141cとダンパバンド当接右部141dとで、ボール外周面105aに当接している。ダンパバンド左部141aとダンパバンド右部141bは、ボール外周面105aに対して若干の押圧力をもって当接してもよい。ダンパバンド左部141aとダンパバンド右部141bとは、軟質な材質で構成されると、更によい。
ダンパバンド左部141aとダンパバンド右部141bとがそれぞれ当接される本体左部101aと本体右部101bとの間には可動部がない。したがってこれまで説明してきたように、ダンパバンド当接左部141cのある一点と、ボール105の中心軸を隔てて直径距離にあるダンパバンド当接右部141dの一点との距離、換言すればダンパバンド当接左部141c及びダンパバンド当接右部141dとボール外周面105aとの間のいわゆる静的なクリアランスは、製造当初のみならず長期間に亘って一定値を維持する。
ダンパバンド左部141aとダンパバンド右部141bとは、本体部101と接した状態で、ダンパバンド当接左部141cとダンパバンド当接右部141dとの任意の1点からそれぞれボール5の中心に向けた仮想線を、ダンパバンド左部141aとダンパバンド右部141bとの内部方向に延長し、仮想線のダンパバンド左部141aとダンパバンド右部141bとの内部方向へ向けて前記ボールの半径の15%までの影響領域の距離において、任意の1点の影響領域内におけるヤング率が、ダンパバンド左部141aと本体左部101a及びダンパバンド右部141bと本体右部101bのヤング率を複合則のReuss則で計算して、5GPa以上であること、という条件を満たす。したがって、いわゆる動的なクリアランスも維持される。
故に、静的なクリアランスと動的なクリアランスとが共に維持されるから、これまでの説明で明らかなように、前述までの実施形態と同様に、粘性流体26の粘性抵抗力29を得ることができる。
この第3実施形態では、ダンパバンド左部141a及びダンパバンド右部141bと、距離規制部130を共に有する例を開示したが、もちろんダンパバンド左部141a及びダンパバンド右部141b、または距離規制部130のみ有する構成としてもよい。更に、ダンパバンド左部141a又はダンパバンド右部141bのいずれか一方のみ有する構成でもよい。特に説明しなかった構成は前述の実施形態と同様でよい。
以上実施形態を説明したが、本発明は本実施形態に限定されず、特許請求の範囲内でいかなる変形も可能である。例えば、他の周知な構成と置換したり加えたりしてもよい。
本発明に係る自由雲台では、距離規制部および/またはダンパによって、移動当接面と固定当接面との距離の最大値、及びダンパ当接部と固定当接面との距離が、規制される。したがって固定手段を動作しない非固定時のボールのガタつきが抑制される。よって、非固定時のカメラブレが抑制される。
また、本発明に係る自由雲台では、移動当接面やダンパという、カメラ等の荷重を支持する部品に硬質の材質を使用できるから、非固定時でも固定時でも、ボールを高い剛性で支持することができる。よって非固定時のみならず固定時でもカメラブレを抑制できる。
また、本発明に係る自由雲台では、ボール外周面に塗布した粘性流体や油脂によってボールに粘性抵抗力を与えることができる。ボールに掛かる粘性抵抗力は速度に比例するから、カメラ等が風から受ける力や手の振動力などの影響で、ボール外周面が動く速度が比較的速い場合には、粘性抵抗力はより強くなる。構図を変更するための操作のようなボール外周面の動く速度が比較的遅い場合には、粘性抵抗力はより弱くなる。したがって、撮影意図に無関係な不随意な動きは十分抑制され、構図決定の邪魔にならない。
また、本発明に係る自由雲台では、距離規制部、ダンパ、ダンパバンドといった構成要素には可動部分が無いので初期なじみや経年変化による部品の摩耗などが問題にならない。よって、上述した効果は製造当初のみならず長期の使用期間に亘って維持される。
また、本発明に係る自由雲台では、上述した効果は、距離規制部、ダンパバンド、ダンパといった簡素で安価な構成によって得られるから、部品製造コストや組立製造コストが安価である。
更に、本発明に係る自由雲台では、距離規制部やダンパを交換することにより、移動当接面と固定当接面との距離の最大値、およびダンパ当接部と固定当接面との距離を、任意の距離に設定できる。したがって製造が容易であり、製造コストが安価である。したがって産業上の利用可能性を有する。
1 本体部 1a 本体下部
1b 本体上部 2 本体
2a 本体上面 2b 空洞
2c 雄ネジ 2d 段差部
2e 本体下部空洞 2f 雌ネジ穴
3 リングネジ 3a 係合部
3b 雌ネジ 4 上ボール受け
4a 固定当接面 4b 係合部
4c 内周面 4d スロット
5 ボール 5a ボール外周面
5b 首部 5c ねじ穴
5d 空洞 7 上皿
8 オネジ 9 基台
9a 基台ネジ 10 操作つまみ
10a 止めネジ 11 下ボール受け
11a 移動当接面 11b テーパ面
11c 下ボール受け下端面 12 コマ
12a テーパ面 12b テーパ面
12c 空洞 13 軸体
13a テーパ面 13b フランジ部
13c 雌ネジ穴 13d 軸体上端面
20 固定手段 21 ダンパ
21a ダンパ当接部 21b ダンパ接地面
22 円盤 23 止めネジ
24 仮想線 25 影響領域
26 粘性流体 27 油脂
28 油圧 29 粘性抵抗力
30 クリアランス 31 距離規制部
32 内コマ 32a 内コマ上端面
32b 内コマ下端面 41 ダンパバンド
41a ダンパバンド当接部 44 仮想線
45 影響領域 101 本体部
101a 本体左部 101b 本体右部
101c 拡径部 101d 拡径部
101e 左ボール受け 101f 右ボール受け
101g 貫通穴 101h メネジ
102 スロット 105 ボール
105a ボール外周面 109 基台
109a 縮径部 110 つまみ
110a ねじ 110b ねじ当接部
110c オネジ 120 固定手段
130 距離規制部 131 距離規制ねじ
132 メネジ 141a ダンパバンド左部
141b ダンパバンド右部 141c ダンパバンド当接左部
141d ダンパバンド当接右部

Claims (4)

  1. 球状をなすボールと、
    前記ボールを回動可能かつ任意角度で固定可能に支持する本体部を有し、
    前記本体部は、前記ボールを挟んで対向する少なくとも一対の当接面を有し、
    前記当接面の一方の移動当接面を前記ボールに向けて移動させ、前記移動当接面と、他方の固定当接面との距離を変更するための固定手段を有し、
    前記本体部は円環状またはC字状のダンパバンドを有し、
    前記ダンパバンドは、その内周側のダンパバンド当接部を前記ボールに接し、外周側を前記本体部に接し、前記ボールの外径が最も大きな位置で前記ボールを側方から取り囲んでおり、
    前記ダンパバンド当接部の任意の1点から前記ボールの中心に向けた仮想線を前記ダンパバンドの内部方向に延長し、前記仮想線の前記ダンパバンド当接部から前記ダンパバンドの内部方向へ向けて前記ボールの半径の15%の距離までを影響領域とした場合に、前記任意の1点の前記影響領域内におけるヤング率が、前記ダンパバンドと前記本体部のヤング率を複合則のReuss則で計算して5GPa以上であることを特徴とする自由雲台。
  2. 球状をなすボールと、
    前記ボールを回動可能かつ任意角度で固定可能に支持する本体部を有し、
    前記本体部は、前記ボールを挟んで対向する少なくとも一対の当接面を有し、
    前記当接面の一方の移動当接面を前記ボールに向けて移動させ、前記移動当接面と、他方の固定当接面との距離を変更するための固定手段を有し、
    前記本体部は、
    前記固定当接面を有する上ボール受けと、
    前記移動当接面を有する下ボール受けと、
    前記上ボール受けが固定されるとともに前記下ボール受けを上下移動可能に支持する本体と、
    前記本体に収容され回転可能かつ下方へは移動不能とされた軸体と、
    前記軸体の下端に固定された基台と、
    前記基台の底面から締め込まれ前記基台の上面から突出して前記本体を押圧する止めネジと、
    前記下ボール受けの外周に配置されたダンパを有し、
    前記ダンパは、前記移動当接面の外側でその上端のダンパ当接部が前記ボールに接す るとともにその下端が前記本体に接し、
    前記ダンパ当接部と前記固定当接面は前記ボールを挟んで対向し、前記ダンパ当接部と前記固定当接面との距離は前記固定手段とは独立して決定され、
    前記ダンパ当接部の任意の1点から前記ボールの中心に向けた仮想線を前記ダンパの内部方向に延長し、前記仮想線の前記ダンパ当接部から前記ダンパの内部方向へ向けて前記ボールの半径の15%までを影響領域とした場合に、前記任意の1点の前記影響領域内におけるヤング率が、前記ダンパと前記本体部のヤング率を複合則のReuss則で計算して5GPa以上であることを特徴とする自由雲台。
  3. 前記ボールの外周面に粘性流体が塗布されていることを特徴とする請求項1または2記載の自由雲台。
  4. 前記粘性流体は油脂であることを特徴とする請求項3記載の自由雲台。
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