JP7472732B2 - 標準貫入試験装置、及び標準貫入試験方法 - Google Patents

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Description

本願発明は、標準貫入試験に関するものであり、より具体的には、ロッドを回転圧入しつつハンマーによって打撃を与えながら試験孔を削孔する標準貫入試験装置と、これを用いて標準貫入試験を行う方法に関するものである。
送電用鉄塔は、需要者に電力を安定供給するうえで極めて重要な施設の一つであり、当然ながら堅牢な構造とされ、また原則として沈下(特に不等沈下)が許されない。したがって送電用鉄塔のように重要かつ大きな重量の構造物は、岩盤や締まった砂層など相当の地耐力が期待できる支持層の上に構築される。例えば送電用鉄塔の場合、支持層の上に基礎を構築し、その基礎に脚材を固定する構造とされることが多く、すなわち基礎を介して支持層から支持を得る形式が一般的である。
支持層が比較的浅い位置にある場合は、所定の深度まで掘削して支持層を表出させ、この支持層上に直接的に基礎(いわゆる、「直接基礎」)を構築することができる。他方、支持層が比較的深い位置にある場合、支持層を表出させるためには相当量の掘削を要するうえ、さらに大規模な基礎の構築が必要となり、直接基礎は現実的ではない。したがってこのようなケースでは、直接基礎ではなく「杭基礎」が採用される。
直接基礎と杭基礎の比較検討を行うためには、あるいは直接基礎や杭基礎を計画、設計するためには、支持層の深度、地質(岩質)を把握する必要があり、通常は日本工業規格(JIS A 1219)で規定される標準貫入試験が行われる。標準貫入試験は、試験孔を掘削(削孔)しながら1mごとにN値を計測するとともに試料(コア)を採取する原位置試験であり、打撃装置(ハンマー、ガイドロッド、アンビル、落下手段など)と削孔用ロッド、サンプラー、掘削装置(通常はロータリーボーリングマシン)、三又やぐらなどが使用される。
このように標準貫入試験は、種々の機器や装置を必要とし、しかもロータリーボーリングマシンなど一部は比較的重量が大きいものであることから、試験の実施に当たっては現地までの輸送が障壁になることが少なくない。特に送電用鉄塔の場合、人や車両の往来がない山岳地に設置されることもあり、つまり現地までアクセスするための道路等が整備されていないため、標準貫入試験用の機器等の運搬が大きな障壁となる。機器等の総重量がそれほど大きくなければ手押し式のクローラ等で運搬することもできるが、標準貫入試験の場合、機器の総重量が概ね1tであることからこのような運搬は望めない。
従来、車両等が寄り付くことのできない試験地などに標準貫入試験用の機器等を運搬するには、モノレールや索道といった運搬用の仮設備を構築し、この仮設備を利用して機器等を小運搬していく手法が主流であった。しかしながら、モノレールや索道の構築には相当の労力とコストが必要であり、しかも撤去を考えると相当期間設置したままとされるためモノレール等に掛かる損料も作業全体の費用を押し上げていた。
そこで特許文献1では、総重量を軽量化(290kg)した試験装置と試験方法について提案している。具体的には、ハンマーの打撃のみで試験孔を削孔することとし、すなわちボーリングマシンを用いることなく貫入試験を行う技術である。これにより、N値(NP値)を計測することも、コアを採取することも可能となり、いわば標準貫入試験に準じた試験を実施することができる。しかも、試験機器等を軽量化した効果で、手押し式のクローラで運搬することができ、すなわちモノレール等の構築を回避することができることとなった。
特許第6619235号公報
特許文献1に開示される技術によれば、モノレール等を構築することなく、つまり低コストで標準貫入試験に準じた試験を実施することができる。しかしながら、ロータリーボーリングマシンを使用しないことから、削孔能力に関しては従来技術に比してやや劣っている。特許文献1の技術では、例えばN値50以上の層が2m以上連続するような地盤を削孔することは困難であり、また削孔深度も原則として20m程度が限界である。
ところで、試験対象地盤の岩種(例えば花崗岩など)によってはコアストーン(転石や玉石)が含まれることもあり、このコアストーンが削孔位置に当たると硬質層(例えばN値50以上の層)の連続削孔が避けられない。また杭基礎を採用する場合、支持層が20m以上の深度にあることも珍しくない。すなわち、このようなケースでは特許文献1の技術を用いた調査が実施できず、とはいえ従来技術によればモノレール等の構築が避けられず、試験にかかる費用の増大や作業時間の長期化を甘受しなければならない。
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、従来技術の試験装置重量(約1t)よりも軽量であって、特許文献1の技術よりも高い削孔能力を備え、しかも標準貫入試験を可能とする試験装置と、これを用いて標準貫入試験を行う方法を提供することである。
本願発明は、ハンマーによってロッドに打撃を与えながら、さらにロッドを回転して圧入することで試験孔を削孔していく、という点に着目してなされたものであり、これまでにない発想に基づいて行われたものである。
本願発明の標準貫入試験装置は、支柱と昇降体、ハンマー、ノッキングヘッド、ロッド、回転手段を備えたものである。このうち支柱は、軸方向が略鉛直(鉛直を含む)に配置されるものであり、昇降体は、支柱の軸方向にスライド移動するように支柱に取り付けられるものであり、ハンマーは、ガイド用ロッドに挿通されこのガイド用ロッドに沿って落下するものであり、ノッキングヘッドは、ガイド用ロッドの下端に連結されるものであり、回転手段は、挿通孔内でロッドを把持しつつそのロッドを回転させる手段である。なお、ロッドには、先端に削孔ビットが装着された「削孔用ロッド」と、先端にサンプラーが設けられた「試験用ロッド」、削孔ビットや試験用ロッドが取り付けられない「普通ロッド」が含まれ、本願発明の標準貫入試験装置はこのうち少なくとも削孔用ロッドと試験用ロッドを具備している。またロッドは、ノッキングヘッドの下端や他のロッドと着脱自在に連結可能であり、ノッキングヘッドの下端には、1のロッド(あるいは連結された2以上のロッド)が連結される。回転手段は、昇降体に着脱自在に取り付けられ、昇降体とともに支柱の軸方向にスライド移動する。そして、ノッキングヘッドの下端に連結された1又は2以上のロッドのうち最下端に位置するロッドを削孔用ロッドとしたうえで、昇降体が下方に移動する力を回転手段に伝えながら回転手段によって削孔用ロッドを回転させるとともに、ハンマーを落下させてノッキングヘッドに打撃を与えることによって、削孔ビットによって地盤が掘削される。さらに回転手段によるロッドの把持を解除するとともに、1又は2以上のロッドのうち最下端に位置するロッドを試験用ロッドとすると、ガイド用ロッドとハンマー、ノッキングヘッドを使用しながら標準貫入試験を行うことができる。
本願発明の標準貫入試験装置は、異形断面ロッドをさらに備えたものとすることもできる。この異形断面ロッドは、回転手段による把持が容易な断面形状を有するロッドである。この場合、異形断面ロッドがノッキングヘッドの下端に取り付けられ、他のロッド(削孔用ロッドや試験用ロッド、普通ロッド)がこの異形断面ロッドの下端に着脱可能に連結される。そして回転手段が、挿通孔内で異形断面ロッドを把持しつつ異形断面ロッドを回転させることによって、他のロッドを回転させる。
本願発明の標準貫入試験装置は、異形断面ロッドに係止板が固定されたものとすることもできる。なおこの係止板は、挿通孔を通過しない形状や寸法とされる。この場合、係止板が回転手段の下面よりも下方に位置するように、異形断面ロッドが挿通孔内に配置される。そして昇降体とともに回転手段が下方に移動すると、回転手段の下面が係止板に当接し、昇降体が下方に移動する力が回転手段と係止板を介してロッドに伝えられる。
本願発明の標準貫入試験装置は、ノッキングヘッドが挿通孔を通過しないものとすることもできる。この場合、昇降体とともに回転手段が上方に移動すると、回転手段の上面がノッキングヘッドの底面に当接し、これにより昇降体と回転手段の上昇に伴ってノッキングヘッドとロッドが引き上げられる。
本願発明の標準貫入試験装置は、回転手段が2つの連結ピンによって昇降体に取り付けられたものとすることもできる。この場合、一方の連結ピンを外すと、回転手段は他方の連結ピンを軸芯として略鉛直(鉛直を含む)軸周りに回転可能になる。
本願発明の標準貫入試験装置は、削孔用ロッドの削孔ビットのうちビットクラウンの一部に1又は2以上の開口部が形成されたものとすることもできる。この場合、削孔ビットによる地盤掘削中、岩くず(地盤掘削によって生じる岩砕等)は開口部を通じてビットクラウン内に取り込まれる。
本願発明の標準貫入試験方法は、本願発明の標準貫入試験装置を用いて標準貫入試験を行う方法であって、回転手段設置工程と削孔用ロッド連結工程、削孔工程、削孔用ロッド取外し工程、試験用ロッド連結工程、試験工程を備えた方法である。このうち回転手段設置工程では、昇降体とともに支柱の軸方向にスライド移動するように回転手段を昇降体に取り付け、削孔用ロッド連結工程では、削孔用ロッドを挿通孔内に挿通するとともにノッキングヘッドの下端に連結する。削孔工程では、昇降体が下方に移動する力を回転手段に伝えながら回転手段によって挿通孔内で把持された削孔用ロッドを回転させるとともに、ガイド用ロッドに沿ってハンマーを落下させてノッキングヘッドに打撃を与えることによって、削孔ビットで地盤を掘削する。削孔用ロッド取外し工程では、所定深度まで削孔した後に削孔用ロッドを引き上げるとともにノッキングヘッドから削孔用ロッドを取り外し、試験用ロッド連結工程では、試験用ロッドをノッキングヘッドの下端に連結するとともにサンプラーを孔底まで降ろす。そして試験工程では、ガイド用ロッドに沿ってハンマーを落下させてノッキングヘッドに打撃を与えることによってサンプラーを地盤に貫入させる。
本願発明の標準貫入試験方法は、試験用ロッド取外し工程と普通ロッド連結工程をさらに備えた方法とすることもできる。このうち試験用ロッド取外し工程では、試験工程の後に試験用ロッドを引き上げるとともに、ノッキングヘッドから試験用ロッドを取り外す。また普通ロッド連結工程では、普通ロッドを挿通孔内に挿通するとともにノッキングヘッドの下端に連結し、さらに普通ロッドの下端に削孔用ロッドを連結する。そして、普通ロッド連結工程の後に、再び削孔工程と削孔用ロッド取外し工程、試験用ロッド連結工程、試験工程を行っていく。この場合、削孔工程では、回転手段によって挿通孔内で把持された普通ロッドを回転させることによって削孔用ロッドを回転させ、削孔用ロッド取外し工程では、普通ロッドから削孔用ロッドを取り外し、試験用ロッド連結工程では、普通ロッドの下端に試験用ロッドを連結する。
本願発明の標準貫入試験装置、及び標準貫入試験方法には、次のような効果がある。
(1)従来技術の標準貫入試験に用いる装置の重量(約1t)よりも軽量であることから、例えば山岳地にある試験地に機材を運搬するケースであっても、モノレールや索道といった運搬用の仮設備を構築することなく手押し式のクローラ等で運搬することができる。その結果、仮設備や機材運搬にかかる労力やコストを低減することができるとともに、作業全般にかかる期間も短縮することができる。
(2)特許文献1に開示される「軽量地盤調査機」よりも高い削孔能力を備えている。その結果、コアストーンを含む硬質層(例えばN値50以上の層)の連続削孔(例えば2m以上の連続削孔)が可能であり、また20m以上の深度にある支持層までも削孔することができる。
(3)削孔以外に係る機器等は、標準貫入試験に用いるものと同一(あるいは同等)であることから、通常の標準貫入試験(JIS A 1219)を実施することができる。
削孔パターンにおける本願発明の標準貫入試験装置を示す側面図。 試験パターンにおける本願発明の標準貫入試験装置を示す側面図。 支柱に昇降体が取り付けられた標準貫入試験装置を示す側面図。 支柱に取り付けられた昇降体を示す断図面。 昇降体に回転手段が取り付けられた標準貫入試験装置を示す側面図。 回転手段を模式的に示す部分断面図。 (a)は正六角形断面の異形断面ロッドを示す断面図、(b)は円の一部が欠如した長円状の断面の異形断面ロッドを示す断面図。 (a)は削孔パターンにおける回転手段と昇降体との連結構造を模式的に示す断面図、(b)は試験パターンにおける回転手段と昇降体との連結構造を模式的に示す断面図。 (a)は標準貫入試験装置を使用して削孔を行う状況を示す部分側面図、(b)は標準貫入試験装置を使用して削孔を行う状況を示す部分正面図。 (a)は「開口部」が設けられたビットを使用した無水削孔を模式的に示す部分断面図、(b)は掘削水を利用する従来削孔を模式的に示す部分断面図。 「開口部」から岩くずがビットクラウン内に取り込まれる状況を模式的に示す平面図。 (a)は標準貫入試験装置を使用して削孔用ロッドを引き抜く状況を示す部分側面図、(b)は標準貫入試験装置を使用して削孔用ロッドを引き抜く状況を示す部分正面図。 (a)は標準貫入試験装置を使用して標準貫入試験を行う状況を示す側面図、(b)はハンマーの落下位置を調整したうえで標準貫入試験を行う状況を示す側面図。 本願発明の標準貫入試験方法の主な工程を示すフロー図。 本願発明の標準貫入試験方法の主な工程を示すステップ図。
本願発明の標準貫入試験装置、及び標準貫入試験方法の実施形態の一例を、図に基づいて説明する。
1.全体概要
本願発明は、高い能力で削孔するために利用することができ、しかも標準貫入試験を行うためにも利用することができることを特徴の一つとしている。削孔するにあたっては、ビットを装着したロッドを圧入回転しながら、さらにハンマーで打撃する。これにより高い能力で削孔することができるわけである。削孔の打撃に用いるハンマーは、標準貫入試験用のハンマー(ドライブハンマー)と兼用できることから、削孔用のロッドとサンプラー付きのロッドを交換することによって、通常の標準貫入試験(JIS A 1219で規定される標準貫入試験)を行うこともできる。便宜上ここでは、高能力で削孔するために利用するケースを「削孔パターン」、標準貫入試験を行うケースを「試験パターン」ということとする。
2.標準貫入試験装置
本願発明の標準貫入試験装置100について図を参照しながら詳しく説明する。なお、本願発明の標準貫入試験方法は標準貫入試験装置100を用いて標準貫入試験を行う方法である。したがって、まずは標準貫入試験装置100について説明し、その後に本願発明の標準貫入試験方法について詳しく説明することとする。
図1は、削孔パターンにおける本願発明の標準貫入試験装置100を示す側面図(地中は断図面)であり、図2は、試験パターンにおける本願発明の標準貫入試験装置100を示す側面図(地中は断図面)である。図1や図2に示すように本願発明の標準貫入試験装置100は、略鉛直(鉛直を含む)の姿勢で配置される支柱110と、支柱110に取り付けられる昇降体120、昇降体120に着脱自在に取り付けられる回転手段130を備えており、また標準貫入試験に利用できるガイド用ロッド140とハンマー150、ノッキングヘッド160、ロッド170を備えている。さらに、後に詳しく説明する異形断面ロッド180や、標準貫入試験装置100を安定載置する仮設架台ST、昇降体120の昇降に用いるウィンチWNやホイスト、プーリーPLなどを含んで構成することもできる。
標準貫入試験装置100で用いるロッド170には、先端に削孔ビットDB(図1)が装着されたロッド(以下、「削孔用ロッド171」という。)と、先端にサンプラーSP(図2)が設けられたロッド(以下、「試験用ロッド172」という。)、削孔ビットDBやサンプラーSPを具備しない延伸用のロッド(以下、「標準ロッド」という。)の3種類のロッドがある。標準貫入試験装置100は、少なくとも削孔用ロッド171と試験用ロッド172を備えており、さらに1又は2以上の標準ロッドを備えることもできる。なお、削孔用ロッド171の削孔ビットDBは、従来用いられているビットを利用することができ、圧入回転とともに打撃を受けることから特にボタンビットを利用するとよい。また、削孔用ロッド171と標準ロッドとは外周ねじ(雄ねじ)と内周ねじ(雌ねじ)などを利用することによって軸方向に連結可能とされ、同様に試験用ロッド172と標準ロッド、標準ロッドどうしも軸方向に連結可能とされる。
削孔パターンにおける標準貫入試験装置100は、図1に示すように削孔用ロッド171を用いて削孔し、地盤内にボーリング孔BHを形成していく。一方、試験パターンにおける標準貫入試験装置100は、図2に示すように形成された地盤内にボーリング孔BH内に試験用ロッド172を挿入して標準貫入試験を行う。つまり、削孔パターンで所定深さ(通常は1m)のボーリング孔BHが形成されるたびに、削孔用ロッド171を試験用ロッド172に交換して標準貫入試験を行うわけである。以下、標準貫入試験装置100を構成する主な要素ごとに詳しく説明する。
(支柱と昇降体)
図3は、支柱110に昇降体120が取り付けられた標準貫入試験装置100を示す側面図(地中は断図面)である。この図に示すように、支柱110はその軸方向が略鉛直(鉛直を含む)となるように仮設架台ST等に固定され、また昇降体120は支柱110の軸方向にスライド移動が可能となるように支柱110に取り付けられる。例えば図3に示すように、チェーン111とウィンチWNなどを利用することで、昇降体120をスライド移動させることができる。具体的には、ウィンチWNの駆動に応じてプーリーPLを介してチェーン111が支柱110に対して上下に移動し、これに伴いチェーン111の一部に固定された昇降体120も上下にスライド移動するわけである。
図4は、支柱110に取り付けられた昇降体120を示す断図面(水平方向に切断した断面図)である。この図に示すように昇降体120は、支柱を囲むように配置される枠材121と、枠材121に固定される連結体122、連結体122に設けられる2つの支持側小孔123、昇降体120(特に枠材121)の昇降を円滑にするための昇降車輪124や潤滑材125(例えば、MCナイロンなど自己潤滑性プラスチック)などによって構成することができる。図4に示すような構成にすることによって、昇降体120は支柱110から分離され、また枠材121と連結体122の間でチェーン111を挟持することによって昇降体120はチェーン111とともに上下のスライド移動が可能となる。
(回転手段)
図5は、昇降体120に回転手段130が取り付けられた標準貫入試験装置100を示す側面図(地中は断図面)である。この図に示すように回転手段130は、昇降体120に取り付けられ、昇降体120とともに支柱110の軸方向にスライド移動する。なお回転手段130は、昇降体120に取り付けることも、また取り外すこともでき、すなわち着脱自在の装着構造を備えている。
図6は、回転手段130を模式的に示す部分断面図である。この図に示すように回転手段130は、箱状又は盤状の函体部131と、函体部131の中央付近に設けられる挿通孔132、そしてモーターといった動力部133などを含んで構成される。この回転手段130は、挿通孔132内でロッド170を把持(グリップ)する機能と、把持したロッド170を動力部133によって回転させる機能をあわせ持つものであり、さらに油圧等を利用することでロッド170の把持とともに把持を解除する機能を有するものとすることもできる。
上記したとおり回転手段130は、挿通孔132内でロッド170を把持することができるが、ロッド170の断面形状(例えば円形)によっては堅固に把持することが難しいこともある。そこで、このようなケースでは回転手段130による把持が容易な断面形状を有する異形断面ロッド180を利用するとよい。図7(a)は正六角形断面の異形断面ロッド180を示す断面図、図7(b)は円の一部が欠如した長円状の断面の異形断面ロッド180を示す断面図である。図7に示す異形断面ロッド180は、例えば円形断面の普通ロッドに比べ回転手段130による把持が容易であり、すなわち堅固に把持することができて好適となる。もちろん回転手段130による把持が容易な断面形状であれば、図7に示す断面形状のほか様々な断面形状のロッドを異形断面ロッド180とすることができる。
異形断面ロッド180を利用する場合、図6に示すように下端に削孔用ロッド171(あるいは、1又は2以上の普通ロッドが継がれた削孔用ロッド171)を連結したうえで、異形断面ロッド180が挿通孔132内で把持される。また、異形断面ロッド180の上方にはガイド用ロッド140と、このガイド用ロッド140に挿通されるハンマー150、ガイド用ロッド140の下端に連結されるノッキングヘッド160が配置され、そして異形断面ロッドはノッキングヘッド160の下端に取り付けられる。なお、ガイド用ロッド140とハンマー150、ノッキングヘッド160は、日本工業規格(JIS A 1219)で規定される規格のものを用いるとよい。また異形断面ロッド180の下部(例えば下端)には、回転手段130の挿通孔132を通過しない形状や寸法を有する板状の係止板181を固定することもできる。
異形断面ロッド180とノッキングヘッド160との連結に関しては、ねじ等を利用することによって着脱可能な連結構造とすることもできるし、異形断面ロッド180とノッキングヘッド160が容易に分離できない一体構造とすることもできる。ノッキングヘッド160と異形断面ロッド180との総重量が大きくなるときは、運搬の容易さから着脱可能な連結構造を採用するとよい。一方、異形断面ロッド180と削孔用ロッド171(あるいは普通ロッド)との連結に関しては、ねじ等を利用することによって着脱可能な連結構造とされる。
なお異形断面ロッド180を利用しないケースでは、図6に示す異形断面ロッド180に代えて削孔用ロッド171(あるいは普通ロッド)が挿通孔132内で回転手段130に把持される。この場合、削孔用ロッド171(普通ロッド)の上端とノッキングヘッド160の下端が連結され、しかもねじ等を利用した着脱可能な連結構造とされる。
挿通孔132内で異形断面ロッド180(あるいは削孔用ロッド171や普通ロッド)を把持すると、動力部133が騒動することで把持した異形断面ロッド180等が回転する。そして、把持した異形断面ロッド180等の回転に伴って、最下端に連結された削孔用ロッド171(削孔用ロッド171を把持する場合は削孔用ロッド171)も回転し、これにより削孔用ロッド171の先端に装着された削孔ビットDBが地盤を切削していく。
ところで、削孔パターンにおいては削孔用ロッド171を回転させるために回転手段130が必要となるものの、試験パターンにおいて回転手段130は必ずしも必要ではない。したがって、試験パターンの際に障壁とならないよう、回転手段130は容易に移動できる構造にするとよい。図8は、回転手段130と昇降体120との連結構造を模式的に示す断面図であり、(a)は削孔パターンにおける連結構造、(b)は試験パターンにおける連結構造を示している。
図8に示す回転手段130は、2つの展開側小孔134が設けられており、また2本の展開用ピン135を備えている。この場合、昇降体120の2つの支持側小孔123と、回転手段130の2つの展開側小孔134との位置を合わせるとともに、2つの連通した支持側小孔123と展開側小孔134それぞれに展開用ピン135を差し込むことによって、回転手段130を昇降体120に取り付けることができる。例えば、削孔パターンにおいては、図8(a)に示すように回転手段130が回転しないよう2本の展開用ピン135によって回転手段130を昇降体120に取り付けるとよい。一方、試験パターンにおいては、図8(b)に示すように一方の展開用ピン135を抜き取り、他方の展開用ピン135を回転軸として、つまり略鉛直(鉛直を含む)軸周りに回転手段130を回転することによって、試験用ロッド172の軸上から回転手段130を移動するとよい。
(削孔パターンの使用例)
ここで、削孔パターンにおける本願発明の標準貫入試験装置100の使用例について説明する。なお、便宜上ここでは異形断面ロッド180を利用する例で説明する。図9は標準貫入試験装置100を使用して削孔を行う状況を示す図であり、(a)はその部分側面、(b)はその部分正面図である。この図に示すように標準貫入試験装置100を使用して削孔を行う場合、ウィンチWNやチェーン111などを利用しながら昇降体120を押し下げ、回転手段130に対して下向きの力を与える。これにより回転手段130の挿通孔132で把持された異形断面ロッド180にも下向きの力が作用し、すなわち異形断面ロッド180に連結された削孔用ロッド171(あるいは普通ロッドに継がれて最下端に連結された削孔用ロッド171)は地盤に圧入されていく。このとき異形断面ロッド180の下部(例えば下端)に係止板181が固定され、さらにこの係止板181が回転手段130の下面よりも下方に位置するように異形断面ロッド180が配置されていると、係止板181が挿通孔132を通過できないことから、図9に示すように回転手段130の下降に伴いその下面が係止板181に当接し、さらに異形断面ロッド180に対して下向きの力を伝達しやすくなる。
昇降体120を利用して削孔用ロッド171を圧入すると同時に、回転手段130によって削孔用ロッド171を回転させる。既述したとおり、回転手段130によって把持した異形断面ロッド180を回転させることで削孔用ロッド171が回転し、これにより削孔ビットDBで地盤を切削することができる。さらに削孔用ロッド171の圧入と回転に加え、ハンマー150を利用して削孔用ロッド171に打撃を与える。具体的には、通常の標準貫入試験のように、ガイド用ロッド140に挿通されたハンマー140を落とし、ガイド用ロッド140に沿って自由落下したハンマー140がノッキングヘッド160に衝突することによって、ノッキングヘッド160に取り付けられた異形断面ロッド180に打撃が与えられ、その結果、異形断面ロッド180に連結された削孔用ロッド171(あるいは普通ロッドに継がれて最下端に連結された削孔用ロッド171)にも打撃が与えられる。なおハンマー140の落下高さは、標準貫入試験と同じ高さ(760mm±10mm)とすることもできるし、状況に応じて任意に計画することもできる。
ところで、削孔ビットDBによって地盤を切削するといわゆる「くり粉」が生じ、硬質岩盤を削孔する場合は当然ながら硬質のくり粉(以下、「岩くず」)が発生する。そして、この岩くずがボーリング孔BHの底部に残ったままの状態では、岩くずが地盤掘削の障壁になることもある。そのため従来は、図10(b)に示すように、ボーリング孔BH内に掘削水を圧送しながら削孔する「有水削孔」が多用されていた。図10(b)からも分かるように、圧送された掘削水が岩くずを噴き上げることで、ボーリング孔BHの底部から岩くずを排除することができ、これにより円滑な削孔が可能となるわけである。
しかしながら「有水削孔」は、掘削水を圧送する機器等が必要となるうえ作業手間も増加することからその分コストを押し上げることとなり、そもそも水の調達が困難な試験地では採用することができない。そこで本願発明の発明者らは、掘削水を用いない「無水削孔」でも岩くずが地盤掘削の障壁とならない削孔ビットDB(以下、特に「開口部付き削孔ビットDB」という。)を創案した。
図10(a)に示す削孔用ロッド171は、コアチューブCCとビットクラウンBCを含む「開口部付き削孔ビットDB」を備えており、この開口部付き削孔ビットDBは、ビットクラウンBCの一部を切り欠くように形成された「開口部AP」を有している。この開口部APは、ビットクラウンBCの内部と外部が連通するいわば連絡口の機能を有するもので、ビットクラウンBCのうち1個所のみに形成することも、2箇所以上に形成することもできる。
図11は、岩くずが開口部APからビットクラウンBC内に取り込まれる状況を模式的に示す平面図である。なお、この図では硬質岩盤を掘削するための超硬合金ボタンチップCPがビットクラウンBCに設けられている。回転と圧入、そして打撃が作用した削孔用ロッド171(特に、超硬合金ボタンチップCP)は、地盤を切削していき、これにより岩くずが発生する。ところが図11から分かるように、岩くずは開口部APを通じてビットクラウンBC内に取り込まれ、その結果、ボーリング孔BHの底部から岩くずが排除されて(図10(a))円滑な削孔が可能となる。すなわち、ビットクラウンBCに開口部APが設けられた効果で、掘削水を用いない「無水削孔」でも円滑に掘削することができるわけである。なお、開口部付き削孔ビットDBは、硬質岩盤を削孔する際に用いるとより好適となるが、その他の地盤で利用することもできる。
図12は標準貫入試験装置100を使用して削孔用ロッド171を引き抜く状況を示す図であり、(a)はその部分側面、(b)はその部分正面図である。この図に示すように標準貫入試験装置100を使用して削孔用ロッド171を引き抜く場合、ウィンチWNやチェーン111などを利用しながら昇降体120を押し上げ、回転手段130に対して上向きの力を与える。これにより回転手段130の挿通孔132で把持された異形断面ロッド180にも上向きの力が作用し、その結果、異形断面ロッド180に連結された削孔用ロッド171(あるいは普通ロッドに継がれて最下端に連結された削孔用ロッド171)はボーリング孔BHから引き抜かれていく。このとき挿通孔132の断面が「ノッキングヘッド160が通過しない」形状や寸法であれば、図12に示すように回転手段130の上昇に伴いその上面がノッキングヘッド160の底面に当接し、さらに異形断面ロッド180に対して上向きの力を伝達しやすくなる。
(試験パターンの使用例)
図13(a)本願発明の標準貫入試験装置100を使用して標準貫入試験を行う状況を示す側面図であり、図13(b)はハンマー150の落下位置を調整したうえで標準貫入試験を行う状況を示す側面図である。以下、本願発明の標準貫入試験装置100を使用して標準貫入試験を行う手順について詳しく説明する。なお、便宜上ここでは異形断面ロッド180を利用する例で説明する。
削孔パターンによって削孔を行い、所定深度(通常は1m)までボーリング孔BHが形成されると、削孔用ロッド171を引き抜くとともに削孔用ロッド171を試験用ロッド172に取り換える。このとき、異形断面ロッド180とノッキングヘッド160が着脱可能に連結されている場合は、試験用ロッド172を異形断面ロッド180に着脱自在に連結することもできるし、試験用ロッド172をノッキングヘッド160に着脱自在に連結することもできる。また、例えば図8(b)に示すように回転手段130を回転することによって、試験用ロッド172の軸上から回転手段130を移動しておく。あるいは、回転手段130がロッド170の把持解除機能を有する場合は、試験用ロッド172の軸上から回転手段130を移動することなく、単に異形断面ロッド180の把持を解除しておくだけでもよい。
試験用ロッド172をノッキングヘッド160(異形断面ロッド180)に連結すると、試験用ロッド172のサンプラーSPをボーリング孔BHの孔底まで降ろして自沈させる。その後、サンプラーSPが150mm貫入するまで63.5kgのハンマー150を760mm±10mmの高さから繰り返し自由落下させる「予備打ち」を行う。そして予備打ち後に、サンプラーSPが300mm貫入するまで63.5kgのハンマー150を760mm±10mmの高さから繰り返し自由落下させる「本打ち」を行い、100mm深度ごとにN値の記録を取る。サンプラーSPが300mm貫入すると、サンプラーSPを引き上げ、シューやカップリングを取り外すとともにスプリットバーレルを二つに割って、採取試料の観察を行い、代表的な試料を透明な容器に保存する。
ところで、ボーリング孔BHが深くなると、これに伴って孔底まで降ろしたサンプラーSPも深い位置となり、さらにはノッキングヘッド160も低い位置に置かれることになる。したがって760mm±10mmの落下高さを確保するためには、ガイド用ロッド140やハンマー150の位置も下げる必要がある。この場合、図13(b)に示すようにスライドバーSBを利用するとよい。このスライドバーSBは、ガイド用ロッド140をその上端で支持するものであり、さらに昇降体120と同様、その軸方向にスライド移動可能に支柱110に取り付けられる。これにより、支柱110に対してスライドバーSBを上下することでガイド用ロッド140やハンマー150の位置を変更することができ、すなわちハンマー150の落下位置を調整することができるわけである。
3.標準貫入試験方法
続いて本願発明の標準貫入試験方法について図14と図15を参照しながら詳しく説明する。なお、本願発明の標準貫入試験方法は、ここまで説明した標準貫入試験装置100を用いて標準貫入試験を行う方法である。したがって、標準貫入試験装置100で説明した内容と重複する説明は避け、本願発明の標準貫入試験方法に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、「2.標準貫入試験装置」で説明したものと同様である。また便宜上ここでは、異形断面ロッド180を利用する例で説明する。
図14は、本願発明の標準貫入試験方法の主な工程を示すフロー図であり、図15は、標準貫入試験方法の主な工程を示すステップ図である。図14に示すように、まず仮設架台STやウィンチWNなど必要な設備機械を配置するとともに、本願発明の標準貫入試験装置100を計画位置に設置する(図14のStep201)。そして、例えば図8(a)に示すように展開用ピン135を利用することによって、回転手段130を昇降体120に取り付ける(図14のStep202)。
回転手段130を昇降体120に取り付け、ガイド用ロッド140やハンマー150、ノッキングヘッド160、異形断面ロッド180を設置すると、回転手段130の挿通孔132に挿通した削孔用ロッド171を異形断面ロッド180の下端に連結し(図14のStep203)、挿通孔132内で異形断面ロッド180を把持(グリップ)する。そして図15(a)示すように、昇降体120を利用して削孔用ロッド171を圧入すると同時に、回転手段130によって異形断面ロッド180を回転させることで削孔用ロッド171を回転させ、さらにハンマー150を利用して削孔用ロッド171に打撃を与えながら削孔し(図14のStep204)、ボーリング孔BHを形成していく。
ボーリング孔BHが所定深度(通常は1m)に達していないとき(図14のStep205のNo)は、さらに掘削を継続していく。一方、ボーリング孔BHが所定深度に達したとき(図14のStep205のYes)は、図15(b)示すように、異形断面ロッド180から削孔用ロッド171を取り外す(図14のStep206)とともに、異形断面ロッド180の下端に試験用ロッド172を連結する(図14のStep207)。また、例えば図8(b)に示すように回転手段130を回転することによって、試験用ロッド172の軸上から回転手段130を移動しておく。あるいは、回転手段130がロッド170の把持解除機能を有する場合は、試験用ロッド172の軸上から回転手段130を移動することなく、単に異形断面ロッド180の把持を解除しておくだけでもよい。
異形断面ロッド180に試験用ロッド172を連結すると、図15(c)示すように、標準貫入試験を行う(図14のStep208)。具体的には、既述したとおり試験用ロッド172のサンプラーSPをボーリング孔BHの孔底まで降ろして自沈させた後に、サンプラーSPが150mm貫入する「予備打ち」を行い、そしてサンプラーSPが300mm貫入する「本打ち」を行いながら100mm深度ごとにN値の記録を取る。サンプラーSPが300mm貫入すると、サンプラーSPを引き上げ、シューやカップリングを取り外すとともにスプリットバーレルを二つに割って、採取試料の観察を行い、代表的な試料を透明な容器に保存する。
一連の標準貫入試験が完了し、その結果支持層が確認されないとき(図14のStep209のNo)は、図15(d)示すように、異形断面ロッド180から試験用ロッド172を取り外す(図14のStep210)とともに、再度、異形断面ロッド180の下端に削孔用ロッド171を連結する。このとき、ボーリング孔BHの深度によっては、挿通孔132に挿通した普通ロッドを異形断面ロッド180の下端に連結し、その普通ロッドの下端に削孔用ロッド171を連結する(図14のStep211)。なおこの場合は、挿通孔132内で異形断面ロッド180を把持し、異形断面ロッド180を回転させることによって普通ロッドに連結された削孔用ロッド171を回転させる。また普通ロッドに削孔用ロッド171が連結されている場合、「削孔用ロッドの取外し工程(図14のStep206)」では普通ロッドから削孔用ロッド171を取り外し、「試験用ロッドの連結工程(図14のStep207)」では普通ロッドの下端に試験用ロッド172を連結する。
このように、標準貫入試験によって支持層が確認される(図14のStep209のYes)まで、削孔パターンにおける削孔と試験パターンにおける標準貫入試験を繰り返し行う。そして、ある程度(例えば数m)連続して支持層が確認されると標準貫入試験を終了し、標準貫入試験装置100や仮設架台ST、ウィンチWNなどの設備機械を撤去する(図14のStep212)。
本願発明の標準貫入試験装置、及び標準貫入試験方法は、地盤の状況(地盤の硬軟、締まり具合の判定,土層構成)を把握するための標準貫入試験に利用することができ、特に山岳地にある試験地など機材の運搬が困難な場所で行う標準貫入試験に有効に利用することができる。
100 本願発明の標準貫入試験装置
110 (標準貫入試験装置の)支柱
111 (標準貫入試験装置の)チェーン
120 (標準貫入試験装置の)昇降体
121 (昇降体の)枠材
122 (昇降体の)連結体
123 (昇降体の)支持側小孔
124 (昇降体の)昇降車輪
125 (昇降体の)潤滑材
130 (標準貫入試験装置の)回転手段
131 (回転手段の)函体部
132 (回転手段の)挿通孔
133 (回転手段の)動力部
134 (回転手段の)展開側小孔
135 (回転手段の)展開用ピン
140 (標準貫入試験装置の)ガイド用ロッド
150 (標準貫入試験装置の)ハンマー
160 (標準貫入試験装置の)ノッキングヘッド
170 (標準貫入試験装置の)ロッド
171 (ロッドのうちの)削孔用ロッド
172 (ロッドのうちの)試験用ロッド
180 (標準貫入試験装置の)異形断面ロッド
181 (標準貫入試験装置の)係止板
AP (削孔用ロッドの)開口部
BC (削孔ビットの)ビットクラウン
BH ボーリング孔
CC (削孔用ロッドの)コアチューブ
CP (削孔ビットの)超硬合金ボタンチップ
DB 削孔ビット
PL プーリー
SB スライドバー
SP サンプラー
ST 仮設架台
WN ウィンチ

Claims (8)

  1. 軸方向が鉛直又は略鉛直に配置される支柱と、
    前記支柱に取り付けられ、該支柱の軸方向にスライド移動する昇降体と、
    ガイド用ロッドに挿通され、該ガイド用ロッドに沿って落下するハンマーと、
    前記ガイド用ロッドの下端に連結されるノッキングヘッドと、
    先端に削孔ビットが装着された削孔用ロッドと、先端にサンプラーが設けられた試験用ロッドと、を含む2以上のロッドと、
    挿通孔を有し、該挿通孔内で前記ロッドを把持しつつ該ロッドを回転させる回転手段と、を備え、
    前記ロッドは、前記ノッキングヘッドの下端に着脱自在に連結可能であって、他の前記ロッドとも着脱自在に連結可能であり、
    前記ノッキングヘッドの下端には、1の前記ロッド又は連結された2以上の該ロッドが連結され、
    前記回転手段は、前記昇降体に着脱自在に取り付けられ、該昇降体とともに前記支柱の軸方向にスライド移動し、
    前記ノッキングヘッドの下端に連結された1又は2以上の前記ロッドのうち最下端に位置する該ロッドを前記削孔用ロッドとしたうえで、前記昇降体が下方に移動する力を前記回転手段に伝えながら該回転手段によって該削孔用ロッドを回転させるとともに、前記ハンマーを落下させて前記ノッキングヘッドに打撃を与えることによって、前記削孔ビットで地盤を掘削し、
    前記回転手段による前記ロッドの把持を解除するとともに、1又は2以上の該ロッドのうち最下端に位置する該ロッドを前記試験用ロッドとすると、前記ガイド用ロッドと前記ハンマー、前記ノッキングヘッドを用いることで標準貫入試験を行うことができる、
    ことを特徴とする標準貫入試験装置。
  2. 前記回転手段による把持が容易な断面形状を有する異形断面ロッドを、さらに備え、
    前記異形断面ロッドは、前記ノッキングヘッドの下端に取り付けられ、
    前記ロッドは、前記異形断面ロッドの下端に着脱可能に連結され、
    前記回転手段は、前記挿通孔内で前記異形断面ロッドを把持しつつ該異形断面ロッドを回転させることによって、前記ロッドを回転させる、
    ことを特徴とする請求項1記載の標準貫入試験装置。
  3. 前記挿通孔を通過しない係止板が、前記異形断面ロッドに固定され、
    前記係止板が前記回転手段の下面よりも下方に位置するように、前記異形断面ロッドが前記挿通孔内に配置され、
    前記昇降体とともに前記回転手段が下方に移動すると、該回転手段の下面が前記係止板に当接し、該昇降体が下方に移動する力が該回転手段と該係止板を介して前記ロッドに伝えられる、
    ことを特徴とする請求項2記載の標準貫入試験装置。
  4. 前記挿通孔は、前記ノッキングヘッドが通過しない断面形状とされ、
    前記昇降体とともに前記回転手段が上方に移動すると、該回転手段の上面が前記ノッキングヘッドの底面に当接し、該昇降体と該回転手段の上昇に伴って該ノッキングヘッドと前記ロッドが引き上げられる、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の標準貫入試験装置。
  5. 前記回転手段は、2つの連結ピンによって前記昇降体に取り付けられ、
    一方の前記連結ピンを外すと、前記回転手段は他方の前記連結ピンを軸芯として鉛直軸又は略鉛直軸周りに回転可能になる、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の標準貫入試験装置。
  6. 前記削孔用ロッドの前記削孔ビットのうちビットクラウンの一部に、1又は2以上の開口部が形成され、
    前記削孔ビットによる地盤掘削によって生じる岩くずが、前記開口部を通じて前記ビットクラウン内に取り込まれる、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の標準貫入試験装置。
  7. 軸方向が鉛直又は略鉛直に配置される支柱と、該支柱の軸方向にスライド移動可能に該支柱に取り付けられる昇降体と、ガイド用ロッドに挿通されるハンマーと、該ガイド用ロッドの下端に連結されるノッキングヘッドと、先端に削孔ビットが装着された削孔用ロッドと、先端にサンプラーが設けられた試験用ロッドと、該削孔用ロッドを回転させる回転手段と、を有する標準貫入試験装置を用いて、標準貫入試験を行う方法であって、
    前記回転手段を、前記昇降体とともに前記支柱の軸方向にスライド移動するように、該昇降体に取り付ける回転手段設置工程と、
    前記削孔用ロッドを前記回転手段に設けられた挿通孔内に挿通するとともに、該削孔用ロッドを前記ノッキングヘッドの下端に連結する削孔用ロッド連結工程と、
    前記昇降体が下方に移動する力を前記回転手段に伝えながら、該回転手段によって前記挿通孔内で把持された前記削孔用ロッドを回転させるとともに、前記ガイド用ロッドに沿って前記ハンマーを落下させて前記ノッキングヘッドに打撃を与えることによって、前記削孔ビットで地盤を掘削する削孔工程と、
    所定深度まで削孔した後に、前記削孔用ロッドを引き上げるとともに、前記ノッキングヘッドから該削孔用ロッドを取り外す削孔用ロッド取外し工程と、
    前記試験用ロッドを前記ノッキングヘッドの下端に連結するとともに、前記サンプラーを孔底まで降ろす試験用ロッド連結工程と、
    前記ガイド用ロッドに沿って前記ハンマーを落下させて前記ノッキングヘッドに打撃を与えることによって、前記サンプラーを地盤に貫入させる試験工程と、を備え、
    前記試験工程によって、対象地盤のN値が得られるとともに、試料が採取される、
    ことを特徴とする標準貫入試験方法。
  8. 前記試験工程の後に、前記試験用ロッドを引き上げるとともに、前記ノッキングヘッドから該試験用ロッドを取り外す試験用ロッド取外し工程と、
    普通ロッドを前記回転手段に設けられた挿通孔内に挿通するとともに、該普通ロッドを前記ノッキングヘッドの下端に連結し、さらに該普通ロッドの下端に前記削孔用ロッドを連結する普通ロッド連結工程と、をさらに備え、
    前記普通ロッド連結工程の後に、さらに前記削孔工程と、前記削孔用ロッド取外し工程と、前記試験用ロッド連結工程と、前記試験工程と、を行い、
    前記削孔工程では、前記回転手段によって前記挿通孔内で把持された前記普通ロッドを回転させることによって、前記削孔用ロッドを回転させ、
    前記削孔用ロッド取外し工程では、前記普通ロッドから前記削孔用ロッドを取り外し、
    前記試験用ロッド連結工程では、前記普通ロッドの下端に前記試験用ロッドを連結する、
    ことを特徴とする請求項7記載の標準貫入試験方法。
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