しかしながら、三軸圧縮装置を用いて地盤の剪断強度を求める場合、ボーリングにより、試験に必要な試料を採取しなければならない。試料の採取には、多大な手間とコストがかかる他、礫混じり粘性土の地盤では試料が採取できない場合がある。また、試料を採取する際に地盤を乱すために、正確に現地地盤の剪断強度定数を求められないという問題がある。
また、ボーリング孔底における剪断試験装置の場合、ボーリング孔底を整形し崩れた土を完全に取り除く必要があるが、視認ができない地盤の深い箇所でどのように孔底を整形するかは示されておらず、深い深度での試験は困難であると考えられる。また、試験に先行してボーリングを行う必要があり、多大な手間とコストがかかるという問題がある。
また、数個の円弧状の加圧板を円筒状に配列したゴムスリーブ式パッカーを用いて剪断強度定数を求める試験の場合、回転力を複数の可動する円棒で受け持つ構造となっており、回転剪断中に礫などの硬い材料の抵抗があると、円棒が変形して、試験終了後にパッカーの流体圧を減少させた際に元の位置にもどらなくなるため、その後の試験が困難になると考えられる。また、外周面に設置されたゴムスリープ式パッカーは孔壁に直接接しており、回転時に孔壁に礫などの硬い材料があると、強い引張り応力を受けて容易に破断するものと考えられる。このため、礫が存在しない軟弱な粘性土への適用に限られるだけでなく、円棒で回転力を受け持つ構造であることから、小型化が困難であり、直径66mm以上のボーリング孔のような大きな孔を用いての試験に適用が限られるものと考えられる。
また、ボーリング装置を用いた標準貫入試験、スウェーデン式サウンディング試験、動的コーン貫入試験、コーン貫入試験のように、一般的なサウンディング試験機を用いて、地盤の剪断強度定数(内部摩擦角と粘着力)を推定する場合、地盤を粘性土または砂質土のどちらかであると仮定し、N値または換算N値から粘着力または内部摩擦角のどちらか一方だけを推定する換算式しかなく、粘土分から砂分までを含む一般的な土に対して内部摩擦角と粘着力の両方を同時に推定する方法は示されていない。
そこで、本発明は、上記問題点を鑑み、地盤又は法面の剪断強度定数である内部摩擦角と粘着力の両方を簡便に推定できる地盤の現位置剪断強度測定装置および地盤の現位置剪断強度測定方法を提供することを課題とする。ここで、「簡便に推定できる」とは、直径66mm以上のボーリング孔に限らず、より軽量な掘削機で掘削可能な直径35mm以上のサウンディングによる掘削孔を用いて、深度20mまでの地層の剪断強度定数を求めることを意味する。
本発明に係る地盤の現位置剪断強度測定方法は、掘削孔Hに挿入されたロッド200の外周に配置され、片側をロッド200に固定された複数の耐引張部材603Aと、該耐引張部材603Aに固着される複数の抵抗体605Aとにより、掘削孔H内で流体圧により半径方向の膨張圧を作用させながら、ロッド200を地上から低速回転することにより、掘削孔Hの側壁hを円周方向に破壊させ、破壊時のトルクを測定することにより、地盤の剪断強度である内部摩擦角と粘着力を同時に求めることを特徴とする。
別の発明に係る地盤の現位置剪断強度測定方法は、掘削孔Hに挿入されたロッド200の外周に縦長に複数配置された膨張部材602と、該膨張部材602を覆うように配置され、片側をロッド200に固定された複数の耐引張部材603と、該耐引張部材603に固着される複数の抵抗体605とにより、掘削孔H内で流体圧により半径方向の膨張圧を作用させながら、ロッド200を地上から低速回転することにより、掘削孔Hの側壁hを円周方向に破壊させ、破壊時のトルクを測定することにより、地盤の剪断強度である内部摩擦角と粘着力を同時に求めることを特徴とする。
かかる構成によれば、掘削孔Hにおける所定の位置の土の地層の側壁hに、流体圧を耐引張部材603,603Aおよび被覆部材604,604Aに供給して膨張させて密着させる。すなわち、被覆部材604、604Aの外周面が側壁hに所定の圧力で均一に密着する。この状態で、ロッド200を低速で回転させると、耐引張部材603,603Aから側壁hに回転力が伝達される。この回転力が所定値に達した時点で、土の地層が大きく変形して剪断される。つまり、土の地層を剪断した際のトルク値によって、現位置における、流体圧(側壁hに径外方向に作用する垂直応力)に応じた、土の地層の剪断強度が求められる。
また、本発明によれば、中空のロッド200に連結され、流体圧によって径外方向に膨張する膨張部材602が表面に複数配置される支持部材601と、回転時に回転力をロッド200に伝達するとともに、膨張部材602に回転力が作用しないように膨張部材602を保護し、かつ、膨張部材602を覆うように支持部材601に固着される耐引張部材603と、耐引張部材603を覆う伸縮性を有する被覆部材604と、該被覆部材604の外周面604aに所定の間隔をおいて配置され、耐引張部材603に固着される複数の抵抗体605とで構成される検知部60を備えた地盤の剪断強度測定装置を用いて、地盤の剪断強度を測定する方法であって、地盤に掘削した掘削孔Hにおける所定位置の土の地層に、前記検知部60を配置するとともに、外部から供給される流体圧によって、前記膨張部材602を径外方向に膨張させて、前記土の地層の側壁hに所定の一定圧力で密着させ、外部から供給される回転力によって、前記土の地層の側壁hに所定の一定圧力で密着した状態の検知部60を低速回転させて、前記土の地層を剪断し、剪断した際のトルク値を測定し、流体圧に応じた前記土の地層の剪断強度を求める。
かかる構成によれば、掘削孔Hにおける所定の位置の土の地層の側壁hに、流体圧を膨張部材602に供給して膨張させて密着させる。すなわち、検知部60の外周面が側壁hに所定の圧力で均一に密着する。この状態で、ロッド200を低速で回転させると、耐引張部材603から側壁hに回転力が伝達される。この回転力が所定値に達した時点で、土の地層が大きく変形して剪断される。つまり、土の地層を剪断した際のトルク値によって、現位置における、流体圧(側壁hに径外方向に作用する垂直応力)に応じた、土の地層の剪断強度が求められる。
また、本発明によれば、前記所定位置の土の地層において、所定位置で前記検知部60にかける流体圧を段階的に変化させて複数回の試験を行い、剪断した際のトルクのピーク値を測定して、土の剪断強度定数である内部摩擦角と粘着力が同時に求められる。
かかる構成によれば、流体圧の大きさと測定されたトルクのピーク値から求められる剪断強度をプロットし、その近似直線の傾きと切片を求め、クーロンの破壊基準に基づいて、土の内部摩擦角と粘着力が同時に求められる。この場合の内部摩擦角と粘着力は全応力強度である。
なお、ここでいう、「所定位置の土の地層」とは、回転剪断する地層を意味する。また、「所定位置で流体圧を段階的に変化させる」の「所定位置」とは、回転剪断する地層における所定の深さを意味する。また、「所定位置で流体圧を段階的に変化させる」とは、流体圧を変化させると同時に深さを変更することと、同じ深さの位置(位置を変えない)で、段階的に流体圧を増加させて回転剪断することとを含むものとする。
また、本発明によれば、前記膨張部材602の内部を水で充填した後、該膨張部材602に流体圧を作用して、回転前および回転剪断時の膨張部材602に出入りする水の体積を外部で測定することにより、回転前の流体圧負荷時の土の圧縮特性および回転剪断時の土の変形特性を求めるような構成を採用することもできる。
この場合、回転前に膨張部材602にかける流体圧を段階的に増加させ、供給される水の体積から膨張部材602の直径の増加量、すなわち孔の径外方向への変形量を求める。段階的に変化させた流体圧と孔の変形量を片対数目盛にプロットし、近似曲線の変曲点の流体圧を求めることによって、地盤の圧縮性の指標である圧密降伏応力の値を求めることができる。
また、回転剪断時に供給されている水の体積を外部で測定することで、回転剪断時の土の変形特性が求められるようになる。土には、密度が大きい土では剪断時に体積膨張し、密度が緩い土では体積圧縮する変形特性(ダイレタンシー特性)がある。回転剪断時に膨張部材602から水が排水されれば、比較的よく締まった土、水が供給されればあまり締まっていない土であると判別できる。回転剪断時の変形特性を求めることで、例えば、砂層の液状化強度を推定するような構成を採用することもできる。
また、回転剪断する所定位置の土の地層を特定する場合における、本発明の地盤の剪断強度測定方法は、前記所定位置の土の地層を、ロッド20,200の先端部に取り付けられるスクリューポイント21または超硬の付いたビット刃210が地盤に貫入し、異なる二つ以上の軸荷重をロッド20,200にかけて、所定の距離離れた第1および第2の測定地点にロッド20,200を一定回転速度で回転させながら貫入させて回転数を測定するとともに、貫入速度を測定することにより、比較的軟弱な地層として特定するような構成を採用することもできる。
例えば、比較的硬い地層では、小さな軸荷重をロッド20,200にかけて、測定地点に貫入させた場合の回転数は、大きな軸荷重をロッド20,200にかけて、測定地点に貫入させた場合の回転数よりもかなり大きな値を示す。一方、貫入により流動化するような飽和した軟弱な地盤では、粘性の効果により、大きな軸荷重をロッド20,200にかけて、測定地点に貫入させた場合の回転数と小さな軸荷重をロッド20,200にかけて、測定地点に貫入させた場合の回転数の差が小さくなる。そこで、大きな軸荷重をロッド20,200にかけて、第1の測定地点に貫入させた場合の回転数が、小さな軸荷重をロッド20,200にかけて、第2の測定地点に貫入させた場合の回転数よりも小さな値を示す場合は、その土の地層が比較的硬度のある地層であると判断される。一方、大小の軸荷重における回転数にほとんど差がない場合は、その土の地層が比較的軟弱で飽和した地層であると判断される。
また、本発明にかかる地盤の現位置剪断強度測定装置は、回転力と軸荷重を供給するための外力供給部50と、流体圧を供給するための圧力供給部501と、該圧力供給部501から供給される流体圧によって膨張して、地盤に掘削した掘削孔Hにおける所定位置の土の地層の側壁hに一定の圧力で密着するように構成される検知部60と、前記土の地層に所定の一定圧力で密着させた状態の検知部60を、外力供給部50から供給される回転力によって回転させた場合の、土の地層が剪断する際のトルク値を測定する測定部70と、流体圧とトルク値とから剪断強度定数を求める演算部とを備えたことを特徴とする。
かかる構成によれば、圧力供給部50から供給される流体圧によって、検知部60を径外方向に膨張させて土の地層の側壁hに一定の圧力で密着させるとともに、検知部60を密着させた状態で、外力供給部Yから供給される外力で検知部60を回転させて、測定部70でトルク値を測定し、演算部によって、トルク値と流体圧とで、剪断強度を求めることができる。
また、本発明によれば、前記検知部60Aは、筒状の支持部材601Aと、片側が支持部材601Aに固定された複数の耐引張部材603Aと、該耐引張部材603Aを覆う伸縮性を有する被覆部材604Aと、該被覆部材604Aの外周面に所定の間隔をおいて配置され、耐引張部材603Aに固着される複数の抵抗体605Aとを備えるような構成を採用することもできる。
かかる構成によれば、耐引張部材603Aは、支持部材601Aの回転によって引っ張られることに加えて、回転時における検知部60Aの表面に作用するトルクをロッド200に伝達する。すなわち、耐引張部材603Aの膨張により、側壁hの周囲の地盤に径外方向への拘束圧をかけながら、側壁hに回転力を作用させることができる。また、伸縮性を有する被覆部材604Aは、膨張時および回転時に、耐引張部材603Aの位置を固定するように、自身の伸縮性を持って、耐引張部材603Aを覆っている。また、各抵抗体605Aは、耐引張部材603Aを膨張させた回転前のスタンバイ状態で、側壁hに突き刺さって、検知部60Aの表面と側壁hの境界ですべりを生じさせないように、摩擦抵抗を増加させる。これにより、回転と同時に側壁hの周囲に剪断変形を発生させることができる。この剪断変形発生時の回転トルクを測定部70で測定し、そのピーク値から検知部60Aの表面の回転方向の応力を算定することにより、試験時の流体圧に応じた剪断強度が得られる。流体圧を変化させて、同様に剪断強度を求め、流体圧から算出される側壁hへの垂直応力とトルクのピーク値から算出される剪断強度から、クーロンの破壊基準に基づいて剪断強度定数である内部摩擦角と粘着力を同時に求めることができる。
また、本発明によれば、前記検知部60は、中空のロッド200に連結され、各側面に、流体圧によって径外方向に膨張する膨張部材602が配置される支持部材601と、回転時に検知部60表面に作用する回転力をロッド200に伝達するとともに、膨張部材602に回転力が作用しないように膨張部材602を保護し、膨張部材602を覆うように支持部材601に固着される耐引張部材603と、各耐引張部材603を覆う伸縮性を有する被覆部材604と、該被覆部材604の外周面604aに所定の間隔をおいて配置され、耐引張部材603に固着される複数の抵抗体605とを備えるような構成を採用することもできる。
この場合、耐引張部材603は、膨張部材602の膨張および支持部材601の回転によって引っ張られることに加えて、回転時における検知部60の表面に作用するトルクをロッド200に伝達するとともに、膨張部材602に回転に伴う引張りやねじれが作用しないように、膨張部材602を保護する。すなわち、膨張部材602の膨張により、側壁hの周囲の地盤に径外方向への拘束圧をかけながら、礫などの硬い材料を含む地盤であっても膨張部材602を破損することなく、側壁hに回転力を作用させることができる。また、伸縮性を有する被覆部材604は、膨張部材602の膨張時および検知部60の回転時に、耐引張部材603と膨張部材602の位置を固定するように、自身の伸縮性を持って、耐引張部材603を覆うため、回転を止め、膨張部材602を収縮させた試験終了時に各部材の位置が試験開始前と同じ位置に戻る。また、各抵抗体605は、膨張部材602を膨張させた回転前のスタンバイ状態で、側壁hに突き刺さって、検知部60の表面と側壁hの境界ですべりを生じさせないように、摩擦抵抗を増加させる。これにより、回転と同時に側壁hの周囲に剪断変形を発生させることができる。この剪断変形発生時の回転トルクを測定部70で測定し、そのピーク値から検知部60の表面の回転方向の応力を算定することにより、試験時の流体圧に応じた剪断強度が得られる。流体圧を変化させて、同様に剪断強度を求め、流体圧から算出される側壁hへの垂直応力とトルクのピーク値から算出される剪断強度から、クーロンの破壊基準に基づいて剪断強度定数である内部摩擦角と粘着力を同時に求めることができる。
また、本発明によれば、前記支持部材601Aには、先端部側の周面から先端部にかけて水抜き孔6012Aが形成されることが好ましい。
水抜き孔6012Aを形成する理由としては、耐引張部材603Aに流体圧を作用させたときの検知部60Aの直径の拡大量をビューレット503で測定される水の注入量から正確に推定するためである。経路内に空気が含まれていると、流体圧を作用させたときに空気が圧縮され、正確に水の注入量を計測することができず、検知部60Aの直径を推定することができない。トルクのピーク値から地盤の剪断強度を推定する際には、検知部60Aの直径の値を用いて補正する必要があり、検知部60Aの直径を推定できなければ、土の内部摩擦角および土の粘着力を正確に測定できなくなる。
また、本発明によれば、前記抵抗体605Aには、水圧を検知するための孔6054Aと、該孔6054Aからの水圧を受けるように、前記ロッド200の回転方向とは反対側に水圧センサ6053Aが取り付けられることが好ましい。
かかる構成によれば、検知部60Aにかけた流体圧から、水圧センサで測定された土の間隙水圧を減じた値と、トルクピーク値から求められる剪断強度をプロットすることにより、有効応力強度の内部摩擦角と粘着力を求めることができる。また、検知部60Aを膨張させたときの土の圧密中の間隙水圧を測定することもできる。
また、本発明によれば、前記耐引張部材603、603Aは、ニードル織からなる布、または、硬質なポリエステルフィルムで作製されるような構成を採用することもできる。
以上説明したように、本発明によれば、掘削孔に耐引張部材を挿入して、該耐引張部材を掘削孔内で流体圧によって膨張させ、その半径方向の膨張圧を掘削孔内で作用させながら、耐引張部材を低速回転力させることによって、土の地層を剪断し、剪断した際のトルク値を測定するようにしたので、流体圧とトルク値の関係から土の地層の剪断強度定数を容易に求めることができる。
また、本発明によれば、掘削孔に膨張部材を挿入して、該膨張部材を掘削孔内で流体圧によって膨張させ、その半径方向の膨張圧を掘削孔内で作用させながら、膨張部材を低速回転力させることによって、土の地層を剪断し、剪断した際のトルク値を測定するようにしたので、流体圧とトルク値の関係から土の地層の剪断強度定数を容易に求めることができる。
また、径外方向への圧力を作用させる膨張部材を支持部材の周りに複数配置するとともに、回転力を耐引張部材で受け持つ構造にすることにより、検知部の直径を小さくすることが可能となったため、直径の大きなボーリング孔でなく、スウェーデンサウンディング試験機等の小さな直径の孔を用いて、簡便に現位置において剪断強度定数を求めることができる。また、礫などの硬い材料を含む地盤であっても、検知部が破損することなく、孔壁に圧力を作用させながら、回転剪断の試験を行うことができる。
以下、本発明の一実施形態に係る地盤の現位置剪断強度測定方法につき図1〜図25を参照して説明する。
第1実施形態に係る地盤の現位置剪断強度測定方法について説明する前に、その前提として、土の軟弱地層を調査する地盤調査装置Xおよび地盤調査方法について、図1〜図6を参照して説明する。該地盤調査装置Xは、図1〜図4に示すように、移動可能に構成された架台1と、該架台1に立設された縦長の枠体5と、該枠体5に上下動自在に設けられた移動体10と、枠体5に取り付けられたシリンダ15と、該シリンダ15に流体圧を供給する加重手段Bと、シリンダ15に取り付けられた移動体10を上下動させるための移動手段Cと、該移動体10に設けられた、先端部にスクリューポイント21が取り付けられた中空のロッド20と、先端部に、超硬の付いたビット刃(以下、コンクリート用ドリルビットという)210が取り付けられた中空のロッド200(図5(b)参照)と、該両ロッド20,200うちいずれを選択しても回動できるように構成される回動手段Dと、加重手段B、移動手段C及び回動手段Dを制御する制御手段Eとから構成されている。なお、支持手段Aは、架台1、枠体5、移動体10、後述のモータ40の回転軸との連結部から構成されている。
架台1は、図4に示すように、前後に車輪2が設けられた平面視矩形状の台車からなり、後述する下枠7に対して着脱可能な構成になっている(図示せず)。
枠体5は、図1〜図4に示すように、平面視略正方形状の上枠6及び下枠7と、該上端部が上枠6の左右の両側に溶着されると共に、下端部が下枠7の左右の両側に溶着された左右一対の側部支柱8と、上端部が上枠6の後部に溶着されると共に、下端部が下枠7の後部に溶着された後部支柱9とを備えている。
移動体10は、図1に示すように、側面視コ字形状を呈している。また、移動体10は、チェーン19の一部の各環に接続された正面視矩形状の基部11と、該基部11の上端部及び下端部から水平方向に折り曲げられた折曲部12とを有している。そして、移動体10は、チェーン19の移動に従動し、下側の折曲部12にロッド20,200を回転させるためのモータ(回動手段)40が取り付けられている。
シリンダ15は、図6に示すように、内部が油収容室16と空気収容室17の二つの室に構成され、上下方向に伸縮ロッド18が貫通して、図1〜図4に示すように、該伸縮ロッド18の上端部及び下端部にそれぞれ支持板22が取り付けられ、該支持板22にスプロケット23が回転自在に設けられている。そして、該両スプロケット23には、環状のチェーン19が捲回されると共に、該チェーン19に移動体10の基部が固着されている。
加重手段Bは、図1〜図4及び図6に示すように、内部に所定量の油が収容され、シリンダ15に油又は空気のいずれかを供給するタンク25と、該タンク25に空気を供給するコンプレッサ26と、該コンプレッサ26の圧力を調整するレギュレータ27と、タンク25及びシリンダ15にそれぞれ設けられ、タンク25及びシリンダ15の流体圧を切り換えるための一対の三方弁28a,28bと、タンク25の下流側に設けられたニードル弁29及び二方弁30とを備えている。なお、図1〜図4においては、コンプレッサ26とレギュレータ27は図示していないが、市販のものを作業現場に別途搬入するため省略している。
移動手段Cは、図1〜図4に示すように、左右の側部支柱8に、その長さ方向に沿って設けられたレール35と、移動体10の上下の折曲部12に架設された支持板36と、該支持板36の上部及び下部にそれぞれ回転自在に取り付けられ、レール35を滑動する複数のローラ37とを有している。
ロッド20は、図5(a)に示すように、先端部にスクリューポイント21が設けられた掘削用ロッド20aと、所定の降下位置において掘削用ロッド20aに接続される複数の連結用ロッド20bとから構成されている。また、ロッド200は、図5(b)に示すように、コンクリート用ドリルビット210が取り付けられた掘削用ロッド200aと、所定の降下位置において掘削用ロッド200aに接続される複数の連結用ロッド200bとから構成されている。
回動手段Dは、図1〜図4に示すように、鉛直方向のロッド20,200の基端部と、水平方向に導出されたモータ40の回転軸(図示せず)と、モータ40に設けられたギアボックス(減速機構部)41と、モータ40の回転数を制御するインバータ(図示せず)と、ロッド20,200の基端部、モータ40の回転軸、ギアボックス41とを連結するコレット(図示せず)と、ロッド20,200の回転数を検出する検出器(図示せず)とを備えている。
制御手段Eは、マイクロコンピュータが搭載されると共に、降下距離(貫入深さ)、降下時間、モータ40(ロッド20,200)の回転数、土壌の硬さ(N値)を図表にて表示する表示装置(液晶画面)が備えられた制御盤45からなり、枠体5に取り付けられている。そして、コンプレッサ26、レギュレータ27、各三方弁28a,28b、ニードル弁29、二方弁30、モータ40のそれぞれが、所要の動作が行われるようプログラムされている。
スクリューポイント21の直径は、例えば20〜40mm、コンクリート用ドリルビット210の直径は、例えば、22〜40mm、コンプレッサ26の空気圧は6〜7kg/m2、スクリューポイント21またはコンクリート用ドリルビット210の回転は、0〜60rpmとする。
なお、軟弱な地層では、スクリューポイント21またはコンクリート用ドリルビット210の降下速度が速くなるが、この降下速度を常時測定し、所定速度よりも速くなった場合、シリンダ15の空気圧および油圧を制御してロッド20,200にかかる荷重をゼロにして、スクリューポイント21またはコンクリート用ドリルビット210の降下を停止させる。これにより、比較的層厚が薄く軟弱な地層でも一気に貫通してしまうことなく、精密な測定ができる。
また、スクリューポイント21またはコンクリート用ドリルビット210を低速回転(毎分30回転)で貫入させている理由は、貫入部位の地層を推察するためである。すなわち、荷重が大きく回転数も大きくしてしまえば、軟弱な地層を通り越してしまうためである。
また、スクリューポイント21、コンクリート用ドリルビット210に、大小の異なる荷重をかける理由について以下に説明する。例えば、比較的硬い地層では、小さな軸荷重をロッド20,200にかけて、測定地点に貫入させた場合の回転数は、大きな軸荷重をロッド20,200にかけて、測定地点に貫入させた場合の回転数よりもかなり大きな値を示す。一方、貫入により流動化するような飽和した軟弱な地盤では、粘性の効果により、大きな軸荷重をロッド20,200にかけて、測定地点に貫入させた場合の回転数と小さな軸荷重をロッド20,200にかけて、測定地点に貫入させた場合の回転数の差が小さくなる。そこで、大きな軸荷重をロッド20,200にかけて、第1の測定地点に貫入させた場合の回転数が、小さな軸荷重をロッド20,200にかけて、第2の測定地点に貫入させた場合の回転数よりも小さな値を示す場合は、その土の地層が比較的硬度のある地層であると判断する一方、大小の軸荷重における回転数にほとんど差がない場合は、その土の地層が比較的軟弱で飽和した地層であると判断するために、大小の異なる荷重をかけるのである。
つぎに本実施形態に係る剪断強度測定装置Yについて図7〜図17を参照して説明する。該剪断強度測定装置Yは、図7〜図11に示すように、流体圧および回転力を供給するための外力供給部50と、該外力供給部50から供給される流体圧によって径外方向に膨張して、地盤に掘削した掘削孔Hにおける所定位置の土の地層の側壁hに一定の圧力で密着するように構成される検知部60と、土の地層を剪断した際のトルク値を測定する測定部70と、外力供給部50の流体圧の供給工程、および、測定部70の測定工程を制御する制御盤(図示せず)と、流体圧とトルク値とから土の剪断強度定数(内部摩擦角および粘着力)を求める演算部(図示せず)とを備えている。
外力供給部50は、流体圧を検知部60に供給する図7に示す流体圧供給部501と、回転力を検知部60に供給する図8および図9に示す回転機構部520とを備えている。
流体圧供給部501は、図7に示すように、上部に配置された上側の第1三方弁502の第1ポートaに、一端部(上端部)が接続された透明のガラス製の管体(以下、ビューレットという)503と、上側の第1三方弁502の第2ポートbに、上側の第2三方弁504の第1ポートaにバルブQを介して接続されたコンプレッサ505と、上側の三方弁502の第3ポートcに真空レギュレータ507、真空タンク508を介して接続された水タンク509と、真空タンク508に接続された真空ポンプ510とを備えている。
ビューレット503は、外周面の正面側に目盛りが付されており、内径が15mm、断面積が1.79cm2で、0.56cmが1cm3に相当する。
一方、コンプレッサ505に内設された下側の三方弁506の第1ポートaに、ビューレット503の他端部(下端部)が接続され、下側の三方弁506の第2ポートbに、水タンク509が接続されて、下側の三方弁506の第3ポートcに、チューブTを介して検知部60が接続されている。
回転機構部520は、図8および図9に示すように、図5(a),(b)に示すロッド20,200に固定されるコレット521と、後述するコレット521の小径部521aに外挿されて同心状に配置され、内部にコレット521の小径部521aを回転支持する軸受け(ベアリング)522が内設された中空軸523と、該中空軸523の外周面の上端部に固着された環状の回転テーブル524と、該回転テーブル524に直立して取り付けられ、後述する測定部70の歪計701を押圧する鉄製の押圧棒525と、中空軸523のウォームギヤ523aに減速機構部527を介して連結され、回転テーブル524を回転させるモータ526とを備えている。そして、回転機構部520は、地盤調査装置Xの移動体10と同一構成の移動体100に搭載される。また、回転テーブル524の回転速度は、減速機構部527によって、10分間の時間をかけて一周するように減速されている。この低速度回転によって検知部60を回転させて、土の地層を剪断する。なお、図9においては、説明しやすくするために、図8に示す減速機構部527は省略している。
コレット521は、上述した中空軸の軸受け522に回転支持される小径部521aと、ロッド20,200の外周面に固定される一対の円弧状の固定部材5210,5210が内設された大径部521bとを備えている。そして、コレット521は、回転テーブル524の回転とは無関係であり、軸受け522によって単に回転支持されている。
したがって、測定時、モータ526が駆動されると、中空軸523および回転テーブル524が回転するとともに、押圧棒525が歪計701の側面を押圧する一方、コレット521および歪計701は、所定の位置で停止した状態になっている。この停止状態の歪計701に押圧棒525が押圧することになる。図14(a)に示すように、掘削孔Hの側壁hに検知部60の抵抗体605が密着していない状態では、ロッド20,200が回転しても抵抗がないため、歪計701には力がほとんど作用せず、トルクはゼロとして検出される。一方、図14(b)に示すように、検知部60が膨張して側壁hに密着した状態では、ロッド20,200の回転に抵抗が発生し、その抵抗が押圧棒525から歪計701に伝達される。つまり、掘削孔Hの内部で検知部60が回転するときの抵抗、すなわちトルクを地上において測定することができる。
検知部60は、図10(a),(b)および図11に示すように、図5(a),(b)に示すロッド20,200に連結され、各側面601aに、流体圧によって径外方向に膨張する膨張部材602が配置される角柱状又は円柱状の支持部材601と、回転時に検知部60の表面に作用する回転力をロッド20,200に伝達するとともに、膨張部材602に回転力が作用しないように膨張部材602を保護し、膨張部材602を覆うように支持部材601に固着される耐引張部材603と、各耐引張部材603を覆う伸縮性を有する被覆部材604と、該被覆部材604の外周面に所定の間隔をおいて配置され、耐引張部材603に固着される複数の抵抗体605とを有している。
支持部材601は、図10(a)に示すように、断面が三角形状を呈している。また、支持部材601は、一端部に中空ロッド20,200が接続される接続部6010と、他端部に円錐形状のガイド体61またはスクリューポイント21またはコンクリート用ドリルビット210が接続される接続部6010とを有している。そして、図11に示すように、支持部材601の内部には、膨張部材602に流体を供給するための供給管6011が内挿されており、該供給管6011は、流体圧供給部501からの水を供給するチューブTに接続される。また、ロッド20,200の回転方向に沿うように、支持部材601の各側面601aの長辺に耐引張部材603の一端部が固着されている。また、支持部材601の軸方向に沿うように、被覆部材604の外周面604aに等間隔に抵抗体605が配置されている。なお、支持部材601の形状は、図示に限定されるものではなく、円形、非円形のいずれであってもよい。
耐引張部材603は、ニードル織りされた布で作製されている。また、耐引張部材603は、ニードル織りされた布に限定されるものではなく、厚みが薄く、曲げ剛性がなく、引張強度が大きく、引張応力に対して伸縮しにくい材料であればよく、例えば、硬質なポリエステルフィルム(厚さ0.3〜2mm)であってもよい。そして、耐引張部材603は、膨張部材602の膨張および支持部材601の回転によって引っ張られることに加えて、回転時における検知部60の表面に作用する回転力をロッド20,200に伝達するとともに、膨張部材602に回転に伴う引張りやねじれが作用しないように、膨張部材602を保護する。すなわち、膨張部材602の膨張により、側壁hの周囲の地盤に径外方向への拘束圧をかけながら、回転力を耐引張部材603で受け持つことによって、礫などの硬い材料を含む地盤であっても膨張部材602を破損することなく、側壁hに回転力を作用させることができる。また、伸縮性を有する被覆部材604は、膨張部材602の膨張時および検知部60の回転時に、耐引張部材603と膨張部材602の位置を固定するように、自身の伸縮性を持って、耐引張部材603を覆うため、回転を止め、膨張部材602を収縮させた試験終了時に各部材の位置が試験開始前と同じ位置に戻る。また、各抵抗体605は、膨張部材602を膨張させた回転前のスタンバイ状態で、側壁hに突き刺さって、検知部60の表面と側壁hの境界ですべりを生じさせないように、摩擦抵抗を増加させる。これにより、回転と同時に側壁hの周囲に剪断変形を発生させることができる。この剪断変形発生時の回転トルクを測定部70で測定することにより、試験時の流体圧に応じた剪断強度が得られる。流体圧を変化させて、同様に剪断強度を求め、流体圧から算出される側壁hへの垂直応力とトルクのピーク値から算出される剪断強度から、クーロンの破壊基準に基づいて剪断強度定数を求めることができる。
測定部70は、図8および図9に示すように、コレット521の大径部521bの外周面に取り付けられ、内部に歪みゲージ7010が内設された歪計701と、回転テーブル524の外周面に沿って上下に所定の間隔(絶縁距離)をおいて配置されるとともに、歪計701の歪みゲージ7010の+端子および−端子に電気的に接続された銅製の一対の+電極702aおよび−電極702bと、押圧棒525が歪計701を押圧した際に変化する歪みゲージ7010の抵抗値を、トルク値に変換して記録するデータロガー703とを備えている。
歪計701は、図8に示すように、アルミ製でコ字形状に作製されており、図9に示すように、内部に歪みゲージ7010が介挿されている。そして、測定時、歪みゲージ7010は、押圧棒525によって平面視略V字形状に押圧され、この際の抵抗値を、後述するデータロガー703のA/D変換器7030で電気信号に変換するとともに、トルク値(バイナリデータ)に変換して記録する。
データロガー703は、図9に示す剪断強度測定装置Y側の制御盤80に搭載されており、上述したように歪計701の歪みゲージ7010の変化する抵抗値を電気信号に変換し、さらにトルク値(バイナリデータ)に変換して、表示装置(液晶画面)に表示する一方、データをメモリ(図示せず)に記憶させる。
制御盤80は、図9に示すように、流体供給部501および測定部70の制御であり、回転機構部520の制御、すなわちロッド20,200の回転、ロッド20,200に対する貫入力、ロッド20,200の引き抜き作業(検知部60の昇降動作を含む)における工程は、地盤調査装置X側の制御盤45において行われる。
演算部は、図示していないが、パーソナルコンピュータであり、データロガー703により記録されたトルクのピーク値から剪断強度を算出し、3つの異なる流体圧とそれに対応する剪断強度をプロットし、その近似直線の傾きと切片の値を表示する。クーロンの破壊基準から、この直線の傾きが、土の内部摩擦角を示し、切片が土の粘着力を示す。これらのデータによって、斜面の安定性に関する設計に用いる剪断強度定数を決定することができる。
つぎに本実施形態に係る地盤調査装置Xを用いた地盤調査方法、および、剪断強度測定装置Yを用いた剪断強度測定方法について説明する。
まず、全体の作業工程について説明する。地盤調査装置Xによって地盤調査を開始し、軟弱地層を検出した後、コンクリート用ドリルビット210によって、掘削孔Hの側壁hを整形する。つぎに、地盤調査装置Xの移動体10を取り外し、剪断強度測定装置Yの移動体100に取り換えて、剪断強度測定装置Yの剪断強度を求めるようにする。
まず、地盤調査方法について説明する。降下距離0cmの地点では、一方の三方弁28aのa−b間の流路が開放されるとともに、他方の三方弁28bのa−c間の流路が大気解放され、タンク25内部に空気圧力が供給されて、油がニードル弁29、二方弁30を介してシリンダ15に供給され、シリンダ15の空気収容室17の空気圧が500N減圧される。この空気圧の数値は、モータ40や移動体10の重量に相当し、この重量が減圧されるのでロッド20,200に係る加重は「0」になり、ロッド20,200が降下せずに停止状態(以下、スタンバイ状態という)になる。
そして、空気収容室17の減圧と同時に、ロッド20,200の降下距離が測定されるとともに、ロッド20,200の降下速度の測定が開始される。降下距離は、ロッド20,200が上昇した下側のスプロケット23の中心位置を開始位置とし、この開始位置から降下する距離を測定する。一方、降下速度は、チェーン19の各環が近接スイッチSの検知部を通過する毎に近接スイッチSはオンすることになるが、このオン−オン期間の時間をチェーン19の環間の距離で除して降下速度に換算する。
例えば、少し降下した地点(例えば降下距離20cmの地点)では、一方の三方弁28aのa−b間の流路が閉鎖されて、他方の三方弁28bのa−c間の流路が開放され、空気収容室17に空気圧が供給され、二方弁30、ニードル弁29を介してシリンダ15の油がタンク25に戻され、他方の三方弁28のa−b間の流路が閉鎖されて、シリンダ15の空気圧が元に戻る。つまり、モータ40や移動体10の重さ(450W)がロッド20,200に加重されるようになる。
例えば、さらに降下した地点(例えば降下距離20〜40cmの地点)では、一方の三方弁28aのa−c間の流路の開放が維持されると共に、他方の三方弁28bのa−b間の流路の閉鎖が維持されて、シリンダ15の空気圧が徐々に加圧されると同時に、加重が所定の値に達すると、ロッド20,200が低速回転(毎分30回転以下)を開始して、ロッド20,200が加圧に対応して貫入されていく。
そして、さらなる貫入によって、例えば、スクリューポイント21またはコンクリート用ドリルビット210が軟弱層に到達すると、ロッド20,200の降下速度が所定時間よりも速くなる。この際、ロッド20,200の低速回転が維持されている。この理由としては、スクリューポイント21またはコンクリート用ドリルビット210が、軟弱層を貫通してその下の硬固な地層に一気に到達するのを防止するためで、軟弱層において、空洞化などの状態を高分解能で検知するためである。
また、例えば、スクリューポイント21またはコンクリート用ドリルビット210が岩盤などの硬固な地層に到達すると、ロッド20,200への加重が規定の最大荷重を加えても、スクリューポイント21またはコンクリート用ドリルビット210の降下が停止する場合がある。停止する時間が所定時間よりも長い場合、ロッド20,200の回転数を徐々に上げてさらに貫入を行う。それでも、ロッド20,200の降下の停止が継続すると、貫入が不可能と判定し、ロッド20,200の地盤からの引き抜きが行われて、作業終了になる。
上述した地盤調査方法に基づいて、地盤における第1、第2測定地点のそれぞれにおいて測定を行う。まず、第1測定地点において、スクリューポイント21またはコンクリート用ドリルビット210に、荷重1000N〜2500N(好ましくは1200N)をかけて、30rpmで回転させつつ貫入させる。また、第1測定地点から1〜2m程度離れた第2測定地点において、荷重300N〜1000N未満(好ましくは800N)をかけて、30pmで回転させつつ貫入させる。そして、第1および第2測定地点において測定した回転数から、稲田式を用いて換算N値を求め、グラフ化する(図12参照)。
図12において、1200Nの荷重のスクリューポイント21またはコンクリート用ドリルビット210の実線の曲線を第1曲線mとし、800Nの荷重のスクリューポイント21またはコンクリート用ドリルビット210の鎖線の曲線を第2曲線nとする。深度が浅いところでは、第1曲線m及び第2曲線nが略重なるように推移している。その後、第1曲線mより第2曲線nの換算N値が小さくなる区間Pがあるが、この区間Pが軟弱地層を示している。
つぎに、地盤調査装置Xによって検出された土の地層(軟弱地層)における剪断強度を求める方法について説明する。まず、測定前の準備作業について説明する。第1、第2測定地点の掘削孔Hの側壁hを整形する。すなわち、コンクリート用ドリルビット210のロッド200に取り換えて、掘削孔Hを再度掘削する。これによって、掘削孔Hの開口端部から閉塞端部(最深部)に至るまで、同一内径の掘削孔Hが確実に形成される。
一方、真空ポンプ510をオン、水タンク509のバルブ509aを閉にし、上側の第1三方弁502のa−c間の流路を開放して、ビューレット503と真空タンク508とを連通させて、水タンク509内部の空気を吸引する。その後、水タンク509内部を大気開放するとともに、水タンク509のバルブ509aを閉から開にして、下側の三方弁506のa−b間の流路を開放して、ビューレット503と水タンク509のバルブ509aを連通させて、水タンク509の水をビューレット503の下部から所定位置まで吸引する。
つぎに、上側の第2三方弁504のa−c間の流路を開放(大気開放)して、上側の第1三方弁502のa−b間の流路を開放して、ビューレット503とコンプレッサ505を連通して、下側の三方弁506のa−c間の流路を開放して、ビューレット503と検知部60を連通させて、検知部60に連結されるチューブTにビューレット503の水を供給する。
そして、図13に示すように、水の入った第1容器85に、複数本のロッド200を浸漬するとともに、ビューレット503側にチューブTを連結し、予めチューブTの内部を水で充填する。チューブTの内部に空気が入らないように第1容器85の水の中で各ロッド200に順次、チューブTを挿通する。次に、チューブTが最後に挿通されたロッド2本を地盤調査装置Xにセットする。ロッド200の本数およびチューブTの長さは、剪断強度を測定する地層の深さに応じて決定される。例えば、測定箇所の深さが地上から10mであれば、それに応じて10m分のロッド200に水で充填されたチューブTが挿通され、うち2本が地盤調査装置Xにセットされた状態になる。
一方、図13に示すように、水の入った第2容器87を、チューブを介して検知部60の膨張部材602に連結する。第2容器87を手で圧縮したり、開放したりして、検知部60の膨張部材602の内部の空気を完全に水と置換する。次に、検知部60と水で充填されたチューブTの先端を、水の入った第3容器86に浸漬し、水中で接続する。次に検知部60を、地盤調査装置Xにセットされたロッド200に接続するとともに、検知部60にガイド体61を接続する。以上の行程により、ビューレット503からチューブTおよび検知部60の膨張部材602までの内部が完全に水で充填される。この状態で、検知部60を地盤内の所定の深度まで挿入する。地盤調査装置Xに始めにセットされた2本以外のロッド200は、検知部60の挿入前に、水で充填されたチューブTが挿通された状態であり、検知部60を地盤の所定の深度まで挿入する段階で、順次、既に地盤調査装置Xにセットされたロッド200の上部に接続される。
上述したビューレット503からチューブTおよび検知部60の膨張部材602までの内部を完全に水で充填する理由は、膨張部材602に流体圧を作用させたときの検知部60の直径の拡大量をビューレット503で測定される水の注入量から正確に推定するためである。経路内に空気が含まれていると、流体圧を作用させたときに空気が圧縮され、正確に水の注入量を計測することができず、検知部60の直径を推定することができない。トルクのピーク値から地盤の剪断強度を推定する際には、検知部60の直径の値を用いて補正する必要があり、検知部60の直径を推定できなければ、土の内部摩擦角および土の粘着力を正確に測定できなくなる。
これ以降は、剪断強度の測定作業に移行する。まず、上側の第1三方弁502のa−b間の流路を開放して、ビューレット503とコンプレッサ505を連通させて、下側の三方弁506のa−c間の流路を開放して、ビューレット503と検知部60を連通させて、コンプレッサ505の圧力を調整して、検知部60の膨張部材602にビューレット503の水を供給して、該膨張部材602を膨張させる。膨張部材602の膨張により検知部60は、土の地層の硬さに応じて、直径が37〜60mm程度に膨張する。
十分な流体圧を膨張部材602に作用させると、膨張した被覆部材604の外周面604aが掘削孔Hの側壁hに均一に密着する。この際、図15(a)に示すように、検知部60の抵抗体605が側壁hに圧入されるようになり、膨張部材602および各抵抗体605が側壁hを径外方向に押圧して、側壁hの周辺地盤が圧密する。膨張部材602に作用する流体圧を一定に保つと、徐々に圧密が進行した後、ビューレット503の水位の変動が停止する。流体圧作用前の水位からの変動量を読み取ることにより、検知部60の直径を推定することができる。
上述したように、膨張した際の検知部60の直径は、供給される水の体積から推定できるので、供給される水の体積が少ない場合、土の地層が比較的硬いと推測される。一方、供給される水の体積が多い場合、土の地層が比較的軟弱であると推測される。また、流体圧を段階的に上昇させ、検知部60の直径の拡大量、すなわち側壁hの直径の拡大量を流体圧に対してプロットし、その近似曲線の変曲点を求めることによって、土の圧縮性の指標である圧密降伏応力を推定することもできる。
所定の流体圧によってビューレット503の水位の変化が停止した状態でロッド200を低速度で回転させる、すなわち回転テーブル524を10分間かけて1周させる。膨張部材602による径外方向の一定の応力が側壁hに作用した状態で、ロッド200の一定速度の回転により検知部60が密着した側壁hに回転方向の剪断変形が発生する。このとき抵抗体605が側壁hに圧入されているため、被覆部材604と側壁hの境界のすべりを防止している。図15(a)は回転前の状態であり、径外方向に延出される4つの直線a〜dは、土の剪断状態を理解するための仮想線である。図15(b)に示すように、検知部60の回転により、上述した4つの直線a〜dが円弧状に大きく湾曲する現象が生じる。この4つの直線a〜dは、回転剪断により、被覆部材604に近い部分ほど大きく湾曲している。また、抵抗体605を基点にして円弧状に描かれる破線e〜gに示すように、剪断面が発生する。この現象が土の剪断破壊である。そして、この時のトルク値をデータロガー703で測定し、表示装置(液晶画面)にグラフ化して表示する。なお、ロッド200を回転する際のインバータは、地盤調査装置Xのインバータを使用する。
その後、上側の第1三方弁502のa−c間の流路を開放して、ビューレット503と真空ポンプ510を連通させる一方、下側の三方弁506のa−c間の流路を開放して、ビューレット503と検知部60を連通させて、検知部60の膨張部材602を真空引きする。膨張部材602内部の水がビューレット503に戻り、検知部60は収縮する。これで一回目の測定作業が終了する。そして、同様のトルク値の測定作業を、検知部60の位置を同一地層内で深さ方向に25cmずつずらし、膨張部材602にかける流体圧を3段階(例えば、50kPa、100kPa、150kPa)に変更して3回行う。すなわち、最初に測定した測定位置から上方または下方に向かって測定地点を深さ方向に変更して、合計3箇所でのトルク値を測定する。軟弱地層の層厚が小さく、同一地層内で深さを変えて試験ができない場合には、一つの掘削孔Hにおいて、まず小さな流体圧をかけながら回転剪断を行い、トルク値にピークが検出できれば、一旦回転を止め、同じ位置において流体圧を増加させて、更に回転剪断を行い、同様にトルク値のピーク(初めのピーク値よりも大きなピーク値が得られる)を測定する。同様に、同じ位置および深さで、流体圧を3段階以上変えて、流体圧に応じたトルクのピーク値を測定する。
そして、各測定地点で測定したトルク値を、図示しない演算部としてのパソコンでグラフ化して、表示装置(液晶画面)に表示する。図16(a)は、回転中のトルク値の変化を示したものである。回転角度がある大きさに達すると、トルク値はピーク(v)を迎え、その後減少する。トルク値が減少したときには、図15(b)の破線のような剪断帯が形成されることになる。このトルクのピーク値(v)と検知部60の直径から側壁hに作用している剪断応力を算定する。すなわち、算定した剪断応力が膨張部材602から側壁hにかかる径外応力に対する剪断強度となる。次に、図16(b)に示すように、横軸に流体圧、縦軸に剪断強度とし、3つのデータをプロットし、近似曲線の傾きと剪断強度の切片を求める。この傾きと切片に、検知部60の形状にかかわる係数(約0.5)をかけることにより、それぞれ内部摩擦角と粘着力(kPa)が算出される。また、回転角度が大きい範囲でトルク値が減少して一定となった値(w)を用いて、同様の手順で内部摩擦角と粘着力を求めることにより、再滑動斜面や地震時の斜面安定問題に利用する残留強度に関する強度定数を求めることもできる。
そして、回転剪断時にビューレット503の水位を連続計測することにより、検知部60の直径の変化を算出し、回転剪断時の土の変形特性を求めることもできる。比較的よく締まった土では、回転剪断時に土の体積が膨張し、結果として側壁hの直径が減少する。すなわち、ビューレット503の水位が上昇する。一方、緩い土では土の体積が収縮し、側壁hの直径が拡大するとともに、ビューレットの水位が減少する。このような剪断時の土の変形特性をダイレタンシーとよび、本発明により、土のダイレタンシー特性を推定することもできる。ダイレタンシー特性を求めることにより、例えば、地震時の砂層の液状化強度を推定することもできる。
このように、前記第1実施形態によれば、地盤に掘削した掘削孔Hにおける所定位置の土の地層に、外部から供給される流体圧によって径外方向に膨張して土の地層の側壁hに所定の圧力で密着する膨張部材602を有する検知部60を配置するとともに、外部から供給される回転力によって、土の地層の側壁hに所定の一定圧力で密着した状態の膨張部材602を低速回転させて、土の地層を剪断し、剪断した際のトルク値を測定するようにしたので、流体圧とトルク値とから土の地層の剪断強度定数である内部摩擦角と粘着力を同時にかつ容易に求めることができる。
なお、前記第1実施形態では、ロッド200の先端部に検知部60を接続するようにしたが、スクリューポイント21およびコンクリート用ドリルビット210で掘削した後、ロッド200の先端部に、等間隔(120度毎)に3枚の羽根91が配置された図17に示すベーン90を接続するようにしてもよい。この場合、内部摩擦角度がない粘土地盤の場合であれば、粘着力のみを求めることができる。
また、前記第1実施形態の場合、略水平な地盤を調査対象としているが、法面を調査対象とすることもできる。但し、この場合、法面において、地盤調査装置Xを鉛直に設置し、支持できる架台を設置する必要がある。
また、前記剪断強度測定装置は、急勾配の法面であっても、該法面に対してロッド200を直角に簡単にセットできて、調査することができる。
そして、前記第1実施形態においては、地盤又は法面の剪断強度定数である内部摩擦角と粘着力の両方を簡便に推定できる地盤の現位置剪断強度測定装置および地盤の現位置剪断強度測定方法について説明したが、土の地層を剪断するときに間隙水圧が発生することが一般的に知られている。この間隙水圧を考慮して、斜面を設計する場合、全応力解析と有効応力解析のどちらかが用いられるのである。
全応力解析は、剪断時に発生する間隙水圧の推定が困難な場合に用いられる方法であり、全応力強度の内部摩擦角と粘着力を用いて計算が行われる。また、有効応力解析は、間隙水圧の変化を考慮して、全応力解析と比較してより精緻な計算を行う方法であり、有効応力強度の内部摩擦角と粘着力が用いられる。
所定位置の土の地層を剪断するときに発生する間隙水圧を測定し、測定された間隙水圧を用いることにより、全応力強度の内部摩擦角と粘着力だけでなく、有効応力強度の内部摩擦角と粘着力も求めることができる第2実施形態について以下に説明する。
以下に第2実施形態に係る地盤の現位置剪断強度測定方法および地盤の現位置剪断強度測定装置について、図18〜図25を参照して説明する。これらの図において、図10および図11と同一符号は同一もしくは相当するものを示し、異なる点は、支持部材601Aと耐引張部材603Aとの間に、図10および図11に示す膨張部材602が配置されておらず、水抜き孔6012Aが形成された支持部材601Aと、所定形状(略等脚台形状)に切断加工された耐引張部材603Aと、止水バンド(図示せず)によって、支持部材601Aに固定される被覆部材604Aと、断面が略L字形状の抵抗体605Aとを新たに設けた検知部60を備えた点である(図23参照)。
支持部材601Aは、図18に示すように、内部に給水路Rが形成された円管状であり、図1に示す中空ロッド20が一端部に接続される接続部6010Aと、図14に示す円錐形状のガイド体61またはスクリューポイント21またはコンクリート用ドリルビット210が、他端部に接続される接続部6010Aとを有している。そして、支持部材601Aの周面に所定の間隔をおいて複数の給水孔6011Aが形成されている。また、給水孔6011Aの側方に、耐引張部材603Aの一端部(取付部6030A)が固着される。また、支持部材601Aの先端部の周面から先端部の端面にかけて水抜き孔6012Aが形成されている。この水抜き孔6012Aによって、被覆部材604Aと支持部材601Aの間の空間に残った気泡を効率よく除去することができる。なお、支持部材601Aの形状は、図示に限定されるものではなく、非円形であってもよい。
耐引張部材603Aは、図19に示すように、略等脚台形状を呈している。また、耐引張部材603Aの一端部は、支持部材601Aの周面にねじ止めされる取付部6030Aが配置されている。そして、取付部6030Aには、固定ねじ(図示せず)が挿通される第1の挿通孔6031Aが形成されている。また、耐引張部材603Aの他端部には、後述する取付板606Aの雄ねじ6060Aの挿通孔6032Aが、前記他端部の長さ方向に所定の間隔をおいて一対形成されている。また、耐引張部材603Aの他端部は、一端部から他端部に向かうにしたがって幅狭に形成され、抵抗体605Aの長さよりもやや大きい長さに設定されている。そうすることで、耐引張部材603Aの他端部に取り付けられる抵抗体605Aが支持部材601Aの略中央部に位置するようになる。なお、耐引張部材603Aは、前記第1実施形態と同じ材質のものを使用している。
被覆部材604Aは、ゴム素材の円筒部材で構成される。そして、被覆部材604Aには、後述する取付板606Aの雄ねじ6060Aが挿通される挿通孔が形成されている(図示せず)。
抵抗体605Aは、図20に示すように、被覆部材604Aの周面に対して接線方向に取り付けられる取付部6050Aと、該取付部6050Aに対して鈍角(90度〜160度で、好ましくは120度)に形成された刃6051Aと、取付部6050Aの両側部に形成された挿通孔6052Aとを備えている。該刃6051Aは、回転方向に対して直交するように位置する。そして、抵抗体605Aは、取付板606Aによって、被覆部材604Aに取り付けられる。この取付板606Aは、図21に示すように、矩形状の平板で構成され、該取付板606Aの両側部に、長手方向の中心線に対して直交方向に突設された一対の雄ねじ6060Aを有している。取付板606Aは、被覆部材604Aの直径に対して直交する方向に配置される。雄ねじ6060Aは、被覆部材604Aの直径の延長線上に配置される。すなわち、抵抗体605Aは、被覆部材604Aの周面に対して接線方向に取り付けられ、かつ、支持部材601Aの軸方向に沿うように、被覆部材604Aの外周面に等間隔(120度間隔)に配置される。また、抵抗体605Aは、図22に示すように、回転方向と反対側の面に水圧センサ6053Aが取り付けられている。また、抵抗体605Aには、水圧を検知するための孔6054Aが形成されている。そして、水圧センサ6053Aによって、抵抗体605Aの回転方向側に発生する土の間隙水圧を測定することができる。また、水圧を検知するための孔6054Aには、土がつまらないようにするためのフィルタ6055Aが取り付けられている。なお、水圧センサ6053Aを回転方向と反対側に取り付ける理由は、回転剪断のときに、大きな荷重が水圧計に作用しないようにするためである。孔6054Aを通して抵抗体605Aの回転方向側の間隙水圧を測定することにより、剪断によって発生する土の間隙水圧を測定することができる。また、耐引張部材603Aを膨張させた後の土の圧密中の間隙水圧を測定することもできる。
つぎに使用態様について、図7、図24、図25を参照して説明する。まず、耐引張部材603Aの一端部を支持部材601Aにねじ止めする。つぎに、被覆部材604の上下端を止水バンド(図示せず)で支持部材601Aに固定し、かつ、耐引張部材603Aの他端部と被覆部材604Aおよび抵抗体605Aを連結する。そして、この連結部分を図示しないシール部材によってシールする。給水されていない状態では、耐引張部材603Aは、図24に示すように、小さな曲率を有する円弧状を呈しており、互いが近接した位置にある。
つぎに、支持部材601Aの孔6011Aから、被覆部材604Aと支持部材601Aとの間の空間に給水が行われて、耐引張部材603Aおよび被覆部材604Aに流体圧をかける。この場合、耐引張部材603Aは、図25に示すように、大きな曲率を有する円弧状を呈しており、互いが離間した位置にある。そして、流体圧を掛けた場合において、検知部60Aに気泡が残存した時は、検知部60Aを上下逆さまにした状態で、検知部60に水を供給し、水抜き孔6012Aによって、検知部60A内部の気泡を除去する。水抜き孔6012Aから気泡が出なくなったのを確認し、水抜き孔6012Aから排水されている状態で、水抜き孔6012Aを閉じて、検知部60A内部を完全に水で充填する。この理由は、前記第1実施形態と同様に、流体圧を作用させたときの検知部60の直径の拡大量を、図7に示すビューレット503で測定される水の注入量から正確に推定するためである。経路内に空気が含まれていると、流体圧を作用させたときに空気が圧縮され、正確に水の注入量を計測することができず、検知部60Aの直径を推定することができない。トルクのピーク値から地盤の剪断強度を推定する際には、検知部60Aの直径の値を用いて補正する必要があり、検知部60Aの直径を推定できなければ、土の内部摩擦角および土の粘着力を正確に測定できなくなる。
そして、被覆部材604Aが膨張するまで、水を充填して、検知部60Aの外面を掘削孔の土の地層の側壁に密着させる。この際、水圧センサ6053Aによって。前記側壁近傍の土の地層内部に発生する水圧(これを一般的に、土の間隙水圧という)を水圧計で測定することができる。この間隙水圧は、検知部60Aを膨張させた直後に最大値を示し、徐々に減少して、最終的には検知部60Aは、膨張前の間隙水圧の値に戻る。間隙水圧の減少とともに、図7に示すビューレット503の水位も低下し、最終的に一定の水位となる。
つまり、前記側壁の周辺の土が径外方向に時間の経過とともに圧縮し、圧縮の進行とともに土内部から水が排水される。この現象を一般的に圧密現象という。前記水圧センサ6053Aで間隙水圧を測定することにより、圧密現象の進行を正確に把握することができる。
また、次の工程である剪断は、圧密現象が終了(間隙水圧が膨張前の値に戻る)してから実施する。このため、圧密終了時間を正確に推定することができる。また、間隙水圧の時間変化から、土の圧縮指数や透水係数を推定することもできる。
圧密現象終了状態でロッド20を回転させると、前記側壁に食い込んだ抵抗体605Aから耐引張部材603Aに回転力が伝達され、土の地層を剪断することができる。すなわち、前記第1実施形態と同じ機構で土の地層の剪断をすることができる。また、第2実施形態の検知部60Aは、第1実施形態の構造よりも、流体圧をかけたときの止水性については劣るものの、円形に安定した膨張となりやすく、製作も簡素になる。
このように、前記第2実施形態によれば、検知部60Aにかけた流体圧から、水圧センサ6053Aで測定された土の間隙水圧を減じた値と、トルクピーク値から求められる剪断強度をプロットすることにより、有効応力強度の内部摩擦角と粘着力を求めることができる。また、検知部60Aを膨張させたときの土の圧密中の間隙水圧を測定することもできる。したがって、地下水を有する斜面の設計に用いられる精緻な有効応力解析に利用することができる。