JP7472669B2 - 放射線撮影制御装置、放射線照射パラメーター決定方法及びプログラム - Google Patents

Description

本発明は、放射線撮影制御装置、放射線照射パラメーター決定方法及びプログラムに関する。

従来、医療分野では、Ｘ線撮影システムを利用した画像診断が行われている。近年では、入射Ｘ線に基づいてＸ線画像を生成するフラットパネルディテクター（ＦＰＤ：Ｆｌａｔ Ｐａｎｅｌ Ｄｅｔｅｃｔｏｒ）の開発に伴い、Ｘ線動態撮影による診断手法も確立されつつある。Ｘ線動態撮影では、呼吸器や循環器の形態情報だけでなく、Ｘ線画像の画素値（濃度）の変化から動態情報も得ることができ、例えば、肺換気機能や肺血流等の胸部動態診断を行うことができる。

一般に、Ｘ線撮影システムは、Ｘ線を発生し被検体に向けて照射するＸ線発生装置と、被検体を透過したＸ線の入線量に基づいてＸ線画像を撮影するＸ線撮影装置とを備える。
Ｘ線発生装置は、Ｘ線を被検体に向けて照射するＸ線管装置、Ｘ線管装置に電圧を印加する高電圧発生装置、Ｘ線管装置及び高電圧発生装置の動作を制御するＸ線発生用制御装置、照射パラメーター等の入力及び確認を行うためのＸ線発生用コンソール、並びにＸ線の照射を指示するための照射スイッチ等を備える。
Ｘ線撮影装置は、被検体を透過したＸ線を検出し画像データに変換して出力するＦＰＤ、ＦＰＤの動作を制御するとともに得られたＸ線画像データに対して所定の処理（例えば、画像処理及び表示制御処理）を行う撮影用制御装置、並びに撮影条件等の入力及び確認を行うための撮影用コンソールを備える。撮影されたＸ線画像は、撮影用コンソールに表示される。

Ｘ線撮影システムでは、Ｘ線撮影を行う際、予め検査オーダーに応じて放射線の照射パラメーターが設定される。照射パラメーターは、通常、Ｘ線発生用コンソールを通じて設定される。最近では、Ｘ線発生装置とＸ線撮影装置を連携させることにより、Ｘ線撮影装置で検査オーダーの実行が指示された場合に、検査オーダーの撮影内容に応じて予め設定されている照射パラメーターがＸ線発生装置で自動的に設定されるようになっている。

Ｘ線撮影装置とＸ線発生装置にて、撮影条件の連携は、Ｘ線発生装置の撮影条件テーブルＮｏ．（Ｘ線発生装置が持っている条件アナトミカル等）を指定、または撮影条件（ｋＶ、ｍＡ、ｍｓ、ｍＡｓ、ＡＥＣ、術式（立位・臥位）、照射野等）をＸ線撮影装置から送信して連携している。
送信する連携条件は、予め検査オーダーに撮影条件テーブルＮｏ．または撮影条件パラメーターを関連付けし、撮影時にオーダーを選択した撮影条件を自動的にＸ線発生装置に送信設定することが行われている。

また、プリセットの撮影条件のパラメーターの取扱い方法や送信方法については、撮影者の負担を軽減させるいくつかの方法がある。
例えば、同一部位・方向の同一グループでの検査オーダーが続く場合は、先の検査オーダーの撮影条件のみを送信し、後の検査オーダーの撮影条件を送信しないなどの工夫が行われている（特許文献１）。

また、複数の撮影を実施する場合、撮影条件が変更されたかどうかにより、その次の検査オーダーの撮影条件を送信するかどうか決定するという工夫も行われている（特許文献２）。

特開２０１４－１３１号公報 特開２０１９－４８００５号公報

前述の先行技術では、照射パラメーターの指定はＸ線発生装置側、または予めのプリセットでのみ指定されている。しかしながら、昨今では回診車や一体型のＸ線システムにより、撮影用制御装置側で照射パラメーターの変更を求められるケースもあり、それらの構成については先行技術で言及されていない。

また、撮影を順次実施する上での照射パラメーターの送信を課題としているため、複数オーダーに対して撮影対象を何度も切り替える場合などは課題として挙げていない。
例えば、一般的には検査オーダーに照射パラメーターが紐づいているため、撮影用制御装置側の画面上で検査オーダーを切り替えるだけでも、切り替える度にプリセットデータがＸ線発生装置側に送られる。
それに対し、特許文献１では同じグループでは照射パラメーターを送らないというだけで、変更有無は何も判断していない。
また、特許文献２でも、初回撮影時は無条件で照射パラメーターを送るなど、最初に撮影順や撮影条件を変更する場合などに配慮が無く、その間に照射パラメーターが変更されると対応できない。

また、ＡＰＲ（アナトミカルプログラム）コードを用いた照射パラメーター連動など、予め定められた値によりＸ線撮影制御装置側の変更が反映できない環境もあるため、そのような接続対象に応じた挙動にも対応できない。

本発明は、前述の課題を解決し、検査オーダーに対して最適な放射線の照射パラメーターの選択が可能となる放射線撮影制御装置、放射線照射パラメーター決定方法及びプログラムを提供することを目的とする。

前記の課題を解決するために、本発明の放射線撮影制御装置は、
検査オーダーと前記検査オーダーごとに対応する１又は複数の放射線照射パラメーターを取得する取得部と、
実施する前記検査オーダーを選択するオーダー選択部と、
前記オーダー選択部により検査オーダーが選択された場合に、複数の選定条件の中から優先度設定に応じて前記選定条件を決定し、決定された選定条件に従い前記１又は複数の放射線照射パラメーターの中から当該検査オーダーに対する放射線照射パラメーターを選択する照射パラメーター選択部と、
を有し、
前記複数の選定条件は、放射線発生装置との連動設定を含み、
前記連動設定は、前記放射線発生装置からの照射パラメーター通知コマンドの有無を含むことを特徴とする。
また、本発明の放射線撮影制御装置は、
検査オーダーと前記検査オーダーごとに対応する１又は複数の放射線照射パラメーターを取得する取得部と、
実施する前記検査オーダーを選択するオーダー選択部と、
前記オーダー選択部により検査オーダーが選択された場合に、複数の選定条件の中から優先度設定に応じて前記選定条件を決定し、決定された選定条件に従い前記１又は複数の放射線照射パラメーターの中から当該検査オーダーに対する放射線照射パラメーターを選択する照射パラメーター選択部と、
を有し、
前記照射パラメーター選択部は、放射線発生装置との連動設定と、前記放射線発生装置を含む環境設定とを含む前記選定条件から優先度設定に応じて、放射線照射パラメーターを選択することを特徴とする。

また、本発明の放射線照射パラメーター決定方法は、
検査オーダーと前記検査オーダーごとに対応する１又は複数の放射線照射パラメーターを取得する工程と、
実施する前記検査オーダーを選択する工程と、
前記検査オーダーが選択された場合に、複数の選定条件の中から優先度設定に応じて前記選定条件を決定し、決定された選定条件に従い前記１又は複数の放射線照射パラメーターの中から当該検査オーダーに対する放射線照射パラメーターを選択する工程と、
を有し、
前記複数の選定条件は、放射線発生装置との連動設定を含み、
前記連動設定は、前記放射線発生装置からの照射パラメーター通知コマンドの有無を含むことを特徴とする。
また、本発明の放射線照射パラメーター決定方法は、
検査オーダーと前記検査オーダーごとに対応する１又は複数の放射線照射パラメーターを取得する工程と、
実施する前記検査オーダーを選択する工程と、
前記検査オーダーが選択された場合に、複数の選定条件の中から優先度設定に応じて前記選定条件を決定し、決定された選定条件に従い前記１又は複数の放射線照射パラメーターの中から当該検査オーダーに対する放射線照射パラメーターを選択する工程と、
を有し、
前記放射線照射パラメーターを選択する工程は、放射線発生装置との連動設定と、前記放射線発生装置とを含む環境設定を含む前記選定条件から優先度設定に応じて、放射線照射パラメーターを選択することを特徴とする。

また、本発明のプログラムは、
放射線撮影制御装置を、
検査オーダーと前記検査オーダーごとに対応する１又は複数の放射線照射パラメーターを取得する取得部、
実施する前記検査オーダーを選択するオーダー選択部、
前記オーダー選択部により検査オーダーが選択された場合に、複数の選定条件の中から優先度設定に応じて前記選定条件を決定し、決定された選定条件に従い前記１又は複数の放射線照射パラメーターの中から当該検査オーダーに対する放射線照射パラメーターを選択する照射パラメーター選択部、
として機能させ、
前記複数の選定条件は、放射線発生装置との連動設定を含み、
前記連動設定は、前記放射線発生装置からの照射パラメーター通知コマンドの有無を含む。
また、本発明のプログラムは、
放射線撮影制御装置を、
検査オーダーと前記検査オーダーごとに対応する１又は複数の放射線照射パラメーターを取得する取得部、
実施する前記検査オーダーを選択するオーダー選択部、
前記オーダー選択部により検査オーダーが選択された場合に、複数の選定条件の中から優先度設定に応じて前記選定条件を決定し、決定された選定条件に従い前記１又は複数の放射線照射パラメーターの中から当該検査オーダーに対する放射線照射パラメーターを選択する照射パラメーター選択部、
として機能させ、
前記照射パラメーター選択部は、放射線発生装置との連動設定と、前記放射線発生装置を含む環境設定とを含む前記選定条件から優先度設定に応じて、放射線照射パラメーターを選択する。

本発明により、検査オーダーに対して最適な放射線の照射パラメーターの選択が可能となる。

本発明の一実施の形態に係るＸ線撮影システムを示す図である。 撮影用制御装置とＸ線発生装置の構成を示す図である。 撮影用制御装置とＸ線発生装置間の連携に使用されるパラメーターの一覧である。 照射パラメーターを選択する照射パラメーター選択テーブルの一例を示す図表である。 照射パラメーターを特定するフローを示す図である。 優先度設定画面のイメージ図である。 検査オーダーの実行を指示した際の表示画面の一例を示す図である。 撮影用制御装置とＸ線発生装置間の照射パラメーターの送受信の流れを示すシーケンス図の一例である。 撮影用制御装置とＸ線発生装置間の照射パラメーターの送受信の流れを示すシーケンス図の一例（小児撮影）である。 撮影用制御装置とＸ線発生装置間の照射パラメーターの送受信の流れを示すシーケンス図の一例（写損）である。

以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。

図１は、本発明の一実施の形態に係るＸ線撮影システム１を示す図である。
Ｘ線撮影システム１は、Ｘ線発生装置２０とＸ線撮影装置１０との間で互いに信号等をやりとりして、両者が連携しながらＸ線撮影が行われる一体型の撮影システムである。

図１に示すように、Ｘ線撮影システム１は、Ｘ線撮影装置１０及びＸ線発生装置２０を備える。
Ｘ線撮影システム１は、通信ネットワークを介して、画像保存通信システム（ＰＡＣＳ：Ｐｉｃｔｕｒｅ Ａｒｃｈｉｖｉｎｇ ａｎｄ Ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｏｎ Ｓｙｓｔｅｍｓ）３１、病院情報システム（ＨＩＳ：Ｈｏｓｐｉｔａｌ Ｉｎｆｏｒｍａｔｉｏｎ Ｓｙｓｔｅｍｓ）３２、及び放射線科情報システム（ＲＩＳ：Ｒａｄｉｏｌｏｇｙ Ｉｎｆｏｒｍａｔｉｏｎ Ｓｙｓｔｅｍｓ）３３に接続される。
Ｘ線撮影システム１、ＰＡＣＳ３１、ＨＩＳ３２、及びＲＩＳ３３を含む通信ネットワークにおいては、例えば、ＤＩＣＯＭ（Ｄｉｇｉｔａｌ Ｉｍａｇｅ ａｎｄ Ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｏｎｓ ｉｎ Ｍｅｄｉｃｉｎｅ）規格に従って情報の送受信が行われる。

Ｘ線撮影装置１０は、撮影用制御装置１１、ＦＰＤ１２、撮影台１３、及び中継器１４等を備える。
Ｘ線撮影装置１０は、例えば、胸部、腹部等の撮影対象部位を透過したＸ線を可視化して、体内の状態を示すＸ線画像を撮影する。

ＦＰＤ１２は、Ｘ線管装置２５から照射され被検体を透過したＸ線を検出し、Ｘ線画像データを出力する撮像装置である。
ＦＰＤ１２は、例えば、撮影台１３に装着され、有線通信によって撮影台１３及び中継器１４を介して撮影用制御装置１１と通信可能に接続される。
ＦＰＤ１２は、無線通信によって撮影用制御装置１１と接続されてもよい。ＦＰＤ１２が無線通信機能を有する場合、専用の撮影台１３に装着するのではなく、ＦＰＤ１２を、被検体が仰臥するベッド上に置いたり、被検体自身に持たせたりして使用することもできる。

ＦＰＤ１２は、例えば、入射したＸ線を光に変換するシンチレーター、画素に対応してマトリックス状に配置されたＰＤ（Ｐｈｏｔｏ Ｄｉｏｄｅ）、及び各ＰＤに対応して配置されたＴＦＴ（Ｔｈｉｎ Ｆｉｌｍ Ｔｒａｎｓｉｓｔｏｒ）スイッチを有する（いずれも図示略）。
入射したＸ線はシンチレーターで光に変換され、ＰＤに入射して画素ごとに電荷として蓄積される。ＰＤに蓄積された電荷は、ＴＦＴスイッチ及び信号線を介して流れ出し、増幅、Ａ／Ｄ変換されてＸ線画像データとして撮影用制御装置１１に出力される。
なお、ＦＰＤ１２は、上述した間接変換型であってもよいし、Ｘ線を直接電気信号に変換する直接変換型であってもよい。

撮影台１３は、ＦＰＤ１２のＸ線入射面がＸ線管装置２５と対向する姿勢となるように、ＦＰＤ１２を着脱自在に保持する。図１では、撮影台１３として、被検体を立位姿勢で撮影する立位用撮影台を例示している。
撮影台１３は、被検体を臥位姿勢で撮影する臥位用撮影台でもよい。
撮影台１３は、例えば、有線通信によって中継器１４を介して撮影用制御装置１１と通信可能に接続される。

撮影用制御装置１１は、Ｘ線発生用制御装置２１と連携して放射線撮影システム１を制御する。撮影用制御装置１１は、例えば、ＦＰＤ１２に対して検出条件を送信し、設定する。検出条件は、撮影する画像サイズ、フレームレート（動態撮影の場合）、及びＦＰＤ１２で実行される信号処理に関する情報（例えば、増幅器のゲイン等）を含む。撮影用制御装置１１は、ＦＰＤ１２の各動作を制御するとともに、ＦＰＤ１２からＸ線画像データを取得し、所定の画像処理を施して表示部１１３（図２参照）に表示させる。
撮影用制御装置１１は、本発明に係る放射線撮影制御装置として機能する。撮影用制御装置１１の詳細については後述する。

なお、撮影用制御装置１１は、Ｘ線発生装置２０の一部を構成してもよい。例えば、撮影用制御装置１１は、Ｘ線発生装置２０のＸ線発生用コンソール２２としての機能を有することができる（いわゆる一体型Ｘ線撮影システム）。

Ｘ線発生装置２０は、Ｘ線発生用制御装置２１、Ｘ線発生用コンソール２２、照射スイッチ２３、高電圧発生装置２４、及びＸ線管装置２５を備える。

Ｘ線管装置２５は、被検体を挟んでＦＰＤ１２と対向する位置に配置される。Ｘ線管装置２５は、高電圧発生装置２４によって高電圧が印加されることにより、Ｘ線を発生し、被検体に向けて照射する。Ｘ線管装置２５は、Ｘ線の照射野を調整するＸ線可動絞りを含む。

Ｘ線発生用コンソール２２及び照射スイッチ２３は、Ｘ線発生用制御装置２１に信号ケーブルを介して接続される。
Ｘ線発生用コンソール２２は、照射パラメーターの入力等を行うための操作卓である。照射スイッチ２３は、Ｘ線の照射を指示するためのスイッチであり、例えば、二段階の自動復帰型押しボタンスイッチで構成される。照射スイッチ２３において、一段階目の押下操作が行われると、Ｘ線管装置２５のウォームアップを開始させるためのウォームアップ開始信号がＸ線発生用制御装置２１に送信され、二段階目の押下操作が行われると、Ｘ線管装置２５にＸ線の照射を開始させるための照射開始信号がＸ線発生用制御装置２１に送信される。

Ｘ線発生用制御装置２１は、Ｘ線発生用コンソール２２からの照射パラメーター（放射線照射パラメーター）及び照射スイッチ２３からの制御信号（ウォームアップ開始信号及び照射開始信号）に基づいて、高電圧発生装置２４及びＸ線管装置２５の動作を制御する。照射パラメーターは、例えば、図３に示すように、管電圧、管電流、曝射時間、曝射量、セッティングモード、焦点サイズ、フォトタイマー（ＡＥＣ）、コリメーターサイズ、フィルター種別、撮影姿勢（ＷＳ）（立位／臥位）、管球、体格、照射野サイズ、グリッド充填状態、ＳＩＤ等の複数のパラメーターを含む。

照射パラメーターは、Ｘ線発生用コンソール２２を通じて設定することもできるし、撮影用制御装置１１を利用して設定することもできる。
具体的には、Ｘ線撮影装置１０とＸ線発生装置２０が連携している場合、撮影用制御装置１１において検査オーダーの実行が指示されると、優先ルールに基づき照射パラメーターが選択され、Ｘ線発生用制御装置２１に送信され、設定される。利用者は、Ｘ線発生用コンソール２２を通じて照射パラメーターを微調整することができる。

図２は、撮影用制御装置１１とＸ線発生装置２０の構成を示す図である。図２に示すように、撮影用制御装置１１は、処理部１１１、記憶部１１２、表示部１１３、操作部１１４、及び通信部１１５等を備える。

処理部１１１は、演算／制御装置としてのＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ）、主記憶装置としてのＲＯＭ（Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）及びＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ）等を備える（いずれも図示略）。ＲＯＭには、基本プログラムや基本的な設定データが記憶される。ＣＰＵは、ＲＯＭ又は記憶部１１２から処理内容に応じたプログラムを読み出してＲＡＭに展開し、展開したプログラムを実行することにより、ＦＰＤ１２等の動作を集中制御する。本実施の形態では、処理部１１１は、Ｘ線撮影における照射パラメーター設定処理を実行し、Ｘ線発生装置２０の照射パラメーターを設定する際の利用者の操作負担を効率よく軽減する。

記憶部１１２は、例えばＨＤＤ（Ｈａｒｄ Ｄｉｓｋ Ｄｒｉｖｅ）、又はＳＳＤ（Ｓｏｌｉｄ Ｓｔａｔｅ Ｄｒｉｖｅ）等の補助記憶装置である。記憶部１１２は、ＣＤ（Ｃｏｍｐａｃｔ Ｄｉｓｃ）、ＤＶＤ（Ｄｉｇｉｔａｌ Ｖｅｒｓａｔｉｌｅ Ｄｉｓｃ）等の光ディスク、ＭＯ（（Ｍａｇｎｅｔｏ－Ｏｐｔｉｃａｌ ｄｉｓｋ）等の光磁気ディスクを駆動して情報を読み書きするディスクドライブであってもよい。また例えば、記憶部１１２は、ＵＳＢメモリ、ＳＤカード等のメモリカードであってもよい。

記憶部１１２は、処理部１１１で実行される各種プログラムや、プログラムの実行に必要なパラメーター、及び処理結果等のデータを記憶する。記憶部１１２は、例えば、撮影条件データ１１２Ａ及びＸ線画像データ１１２Ｂを記憶する。撮影条件データ１１２Ａは、Ｘ線発生装置２０における照射パラメーターのデータ及びＦＰＤ１２における検出条件のデータを含む。

撮影条件は、例えば、検査オーダーに含まれる撮影内容（撮影部位、撮影方向、被検体の体型など）に関連付けられている。
また、記憶部１１２には、照射パラメーターを選択するための優先ルールを規定した照射パラメーター選択テーブル１１２Ｃが記憶されている。照射パラメーター選択テーブル１１２Ｃについては後で詳述する。

表示部１１３は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ＥＬディスプレイなどのフラットパネルディスプレイで構成される。表示部１１３は、処理部１１１からの表示制御信号に基づいて、検査オーダーの内容や、撮影されたＸ線画像を表示する。検査オーダーは、被検体である患者の患者情報（例えば、患者ＩＤ、患者名、生年月日、性別）、撮影時の姿勢情報（例えば、姿勢（立位／臥位）、照射方向（背面／前面／側面）、撮影部位情報（例えば、胸部）、検査項目（肺換気機能、肺血流など）、被検体の検査履歴（前回検査時の撮影条件など）を含む。

操作部１１４は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を有するキーボードと、マウス等のポインティングデバイスで構成される。操作部１１４は、キー操作やマウス操作により入力された操作信号を受け付け、処理部１１１に出力する。利用者は、操作部１１４を通じて、例えば、照射パラメーターを含む撮影条件を入力することができる。
また、操作部１１４は、検査オーダーを選択する際にも使用され、オーダー選択部として機能する。

なお、表示部１１３及び操作部１１４は、例えば、タッチパネル付きのフラットパネルディスプレイのように一体的に構成されてもよい。

通信部１１５は、例えばＮＩＣ（Ｎｅｔｗｏｒｋ Ｉｎｔｅｒｆａｃｅ Ｃａｒｄ）、ＭＯＤＥＭ（ＭＯｄｕｌａｔｏｒ－ＤＥＭｏｄｕｌａｔｏｒ）、ＵＳＢ（Ｕｎｉｖｅｒｓａｌ Ｓｅｒｉａｌ Ｂｕｓ）等の通信インターフェースである。
処理部１１１は、通信部１１５を介して、有線／無線ＬＡＮ等のネットワークに接続された装置との間で、ＤＩＣＯＭ規格に従って各種情報の送受信を行う。通信部１１５には、ＮＦＣ（Ｎｅａｒ Ｆｉｅｌｄ Ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｏｎ）やＢｌｕｅｔｏｏｔｈ（登録商標）等の近距離無線通信用の通信インターフェースを適用することもできる。

処理部１１１は、撮影プログラム等の各種プログラムを実行することにより、表示制御部１１１Ａ、撮影条件設定部１１１Ｂ、Ｘ線画像取得部１１１Ｃ、検査オーダー取得部１１１Ｄとして機能する。撮影条件設定部１１１Ｂは、照射パラメーター選択部１１１Ｅ及び送信制御部１１１Ｆを含む。これらの機能については、図５のフローチャートに従って詳述する。撮影プログラムは、例えば、処理部１１１のＲＯＭに記憶される。

Ｘ線撮影システム１によりＸ線撮影を行う場合、撮影用制御装置１１において検査オーダーの登録が行われる（検査オーダー取得部１１１Ｄ）。登録された検査オーダーは、撮影用制御装置１１の表示部１１３に表示される（図７参照）。検査オーダーは、ＨＩＳ３２やＲＩＳ３３等の外部システムから入力されてもよいし、利用者により操作部１１４を通じて手動入力されてもよい。ここでは、ＨＩＳ３２やＲＩＳ３３等の外部システムから検査オーダーが入力されるものとする。

登録された検査オーダーの実行が指示されると、検査オーダーに含まれる撮影条件がＸ線発生用制御装置２１及びＦＰＤ１２に送信され、設定される（撮影条件設定部１１１Ｂ）。利用者は、Ｘ線発生用コンソール２２を通じて、照射パラメーターの設定を変更して微調整することができる。照射パラメーターの設定が変更された場合は、Ｘ線発生用制御装置２１から撮影用制御装置１１に、設定変更を示す信号および変更された照射パラメーターが送信される。

利用者によって照射スイッチ２３の一段階目の押下操作が行われると、Ｘ線管装置２５のウォームアップ（フィラメントの加熱等）が開始される。これに伴い、Ｘ線発生用制御装置２１から撮影用制御装置１１に、ウォームアップが開始されたことを示すレディ信号（照射準備開始信号）が送信される。撮影用制御装置１１は、レディ信号を受信すると、ＦＰＤ１２に撮影準備（初期化）を指示する。

Ｘ線管装置２５のウォームアップが完了すると、Ｘ線発生用制御装置２１から撮影用制御装置１１に、ウォームアップが完了したことを示すスタート信号（照射準備完了信号）が送信される。また、ＦＰＤ１２から撮影用制御装置１１に、撮影準備が完了したことを示すＯＫ信号（撮影準備完了信号）が送信される。

利用者によって照射スイッチ２３の二段階目の押下操作が行われると、Ｘ線発生用制御装置２１は、Ｘ線の照射を指示するＸ線照射信号を高電圧発生装置２４及び撮影用制御装置１１に送信する。高電圧発生装置２４によってＸ線管装置２５に高電圧が印加され、Ｘ線の照射が開始される。なお、照射スイッチ２３の二段階目の押下操作は、Ｘ線発生用制御装置２１からのスタート信号及びＦＰＤ１２からのＯＫ信号を受け付ける前に行われてもよい。この場合、スタート信号及びＯＫ信号を受信することに伴い、Ｘ線発生用制御装置２１からＸ線照射信号が送信される。

単純Ｘ線撮影のように照射時間が設定されている場合は、所定の照射時間が経過すると、Ｘ線の照射が終了する。動態撮影の場合は、照射スイッチ２３の二段階目の押下操作が行われている期間、Ｘ線の照射が連続して行われ、照射スイッチ２３の押下操作が解放されると、Ｘ線の照射が終了する。Ｘ線照射の終了に伴いＸ線照射信号がオフとなり、ＯＫ信号、スタート信号及びレディ信号も順次オフとなる。

撮影されたＸ線画像は、ＦＰＤ１２から撮影用制御装置１１に送信され、記憶部１１２に格納される。撮影用制御装置１１において、Ｘ線画像データに対してオフセット補正やゲイン補正等の各種画像処理が施され、表示部１１３に表示される（表示制御部１１１Ａ）。

次に、照射パラメーター選択テーブル１１２Ｃについて説明する。
図４は、撮影用制御装置１１における照射パラメーター設定処理において使用される照射パラメーター選択テーブル１１２Ｃの一例である。選定条件や優先度の設定は、撮影者が、撮影用制御装置１１において操作部１１４を用いて行われる。
図４に示す照射パラメーター選択テーブル１１２Ｃは、選定条件が第１選定条件と第２選定条件と２階層の階層構造となっている。

より具体的に、第１選定条件として「連動設定」が設定されている場合について説明する。
まず、処理部１１１は、「連動設定」が、「ＡＰＲコード」、「照射パラメーター通知コマンドあり」、「照射パラメーター通知コマンドなし」のどれにあたるか、判定する。
「連動設定」が「ＡＰＲコード」に判定された場合、照射パラメーターは、「プリセット初期データセット」と決定される。
「連動設定」が「照射パラメーター通知コマンドあり」に判定された場合、処理部１１１は、第２選定条件「Ｘ線発生装置からの通知の有無」を用いて判定する。第２選定条件にて、「通知あり」の場合、照射パラメーターは、「Ｘ線発生装置から受信した最終のデータセット」と決定される。「通知無し」の場合、照射パラメーターは、「前回撮影時のデータセット」と決定される。
「連動設定」が「照射パラメーター通知コマンドなし」に判定された場合、処理部１１１は、第２選定条件「撮影用制御装置側での変更有無」を用いて判定する。第２選定条件にて、「変更あり」の場合、照射パラメーターは、「撮影用制御装置で変更されたデータセット」と決定される。「変更無し」の場合、照射パラメーターは、「前回撮影時のデータセット」と決定される。

次に、第１選定条件として照射パラメーターの変更操作場所である「環境設定」が設定されている場合について説明する。
まず、処理部１１１は、「環境設定」が、「撮影用制御装置側優先」、「Ｘ線発生装置側優先」のどれにあたるか、判定する。
「環境設定」が「撮影用制御装置側優先」に判定された場合、処理部１１１は、第２選定条件「最終更新の内容」を用いて判定する。第２選定条件にて、「撮影用制御装置での変更」の場合、照射パラメーターは、「撮影用制御装置で変更されたデータセット」と決定される。第２選定条件にて、「Ｘ線発生装置での変更」の場合、照射パラメーターは、「Ｘ線発生装置から受信した最終のデータセット」と決定される。また、第２選定条件にて、「変更なし」の場合、照射パラメーターは、「プリセット初期データセット」と決定される。
「環境設定」が「Ｘ線発生装置側優先」に判定された場合、処理部１１１は、第２選定条件「Ｘ線発生装置側での変更有無」を用いて判定する。第２選定条件にて、「変更あり」の場合、照射パラメーターは、「Ｘ線発生装置から受信した最終のデータセット」と決定される。第２選定条件にて、「変更無し」の場合、照射パラメーターは、「プリセット初期データセット」と決定される。

次に、第１選定条件が「写損再撮時」が設定されている場合について説明する。
第１選定条件が「写損再撮時」に判定された場合、写損対象の照射パラメーターが引き継がれる。
次に、処理部１１１は、第２選定条件「Ｘ線発生装置側での変更有無」を用いて判定する。第２選定条件にて、「変更あり」の場合、照射パラメーターは、「Ｘ線発生装置から受信した最終のデータセット」と決定される。第２選定条件にて、「変更無し」の場合、照射パラメーターは、「前回撮影時のデータセット」と決定される。

上記説明では、第１選定条件を連動設定、環境設定、写損再撮時と独立したケースとして説明したが、これらを独立させず、例えば、最初に「連動設定」を適用したが該当する照射パラメーターが選択できない場合には、次いで、「環境設定」を適用して照射パラメーターが選択されるようになっている。
また、第２選定条件は、照射パラメーターとして最終更新されたデータセットを用いるように構成されており、照射パラメーターの登録時間によって選定するものである。
なお、選定条件は２階層としたが、３階層以上でもよい。

図５は、撮影用制御装置１１における照射パラメーター設定処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、Ｘ線撮影システム１によるＸ線撮影において、検査オーダーの実行が指示されることに伴い、処理部１１１が記憶部１１２に格納されている照射パラメーター設定プログラムを実行することにより照射パラメーター選択部１１１Ｅとして実現される。

ステップＳ１０１において、処理部１１１は、撮影者により撮影用制御装置１１にて操作部１１４を用いて選択された検査オーダーを受け付ける。

ステップＳ１０２において、処理部１１１は、記憶部１１２に格納された照射パラメーター選択テーブル１１２Ｃから選定条件を取得する。

ステップＳ１０３において、処理部１１１は、ステップＳ１０２で取得した選定条件をもとに、照射パラメーターを特定する。処理部１１１は、照射パラメーターを一意に定めることができない場合（ステップＳ１０３；Ｎｏ）、選定条件を変更して再度ステップＳ１０３を試みる。

ステップＳ１０３において、照射パラメーターが一意に定めることができた場合（ステップＳ１０３；Ｙｅｓ）、ステップＳ１０４において、処理部１１１は、照射パラメーターを決定する。

ステップＳ１０５において、処理部１１１は、検査オーダーが小児に対するものかどうか判断する。そして、処理部１１１は、検査オーダーが小児に対するものである場合（ステップＳ１０５；Ｙｅｓ）、ステップＳ１０８に進み、そうでない場合（ステップＳ１０５；Ｎｏ）は、ステップＳ１０６に進む。

ステップＳ１０６において、処理部１１１は、ステップＳ１０４で決定された照射パラメーターがＸ線発生装置２０にセットされている照射パラメーターと同じであるか判定する。処理部１１１は、同じである場合（ステップＳ１０６；Ｙｅｓ）、処理を終了し、そうでない場合（ステップＳ１０６；Ｎｏ）は、ステップＳ１０７に進む。

ステップＳ１０７において、処理部１１１は、照射パラメーター選択部１１１Ｅを用い、ステップＳ１０４で決定された照射パラメーターのデータセットを、撮影用制御装置１１からＸ線発生用制御装置２１へ送信する。

ステップＳ１０８において、処理部１１１は、ステップＳ１０４で決定された照射パラメーターのデータセットの値の、プリセットのデータセットの値からの変更度合が閾値より大きいか判定する。処理部１１１は、閾値より大きい場合（ステップＳ１０８；Ｙｅｓ）、ステップＳ１０９に進み、そうでない場合は、ステップＳ１０６に進む。

ステップＳ１０９において、処理部１１１は、表示部１１３にエラーを表示させる。

なお、ステップＳ１０５において、上記説明では、検査オーダーが小児に対するものかどうかで処理を分岐しているが、小児に限定されない。部位やモダリティ、撮影条件などで分岐するよう設定可能である。
また、変更度合の閾値は、部位やモダリティ、撮影条件などに応じて設定可能である。
例えば、撮影部位が“小児”を対象とする場合、曝射量（ｍＡｓ）や曝射時間（ｍｓｅｃ）をプリセット値より大きい値、または一定割合以上の増加を不可とする。
例えば、撮影部位が“小児”を対象とする場合かつグリッド装填状態がＯＮの場合、エラーを表示する。
例えば、ＳＩＤがプリセット値より一定割合大きい／小さい場合、エラーを表示する。

なお、ステップＳ１０９において、表示部１１３にエラーを表示させるとしているが、撮影者にエラーが伝われば、他手段を用いてもよい。例えば、警告ランプなどをＸ線撮影装置１０などに備え、撮影者に知らせてもよい。

図６は、撮影用制御装置１１の表示部１１３に表示される優先度設定画面のイメージ図である。撮影者は、表示部１１３を視認し、操作部１１４を用い、優先度の設定を行う。
図６では、「最後にＸ線発生装置で変更した値」が選択されており、「Ｘ線発生装置から受信した最終のデータセット」が優先されることとなる。

選択項目に「最後に」を付している理由について説明する。
前提として、撮影用制御装置１１が、Ｘ線発生装置２０から受信した、Ｘ線発生装置２０で変更された照射パラメーターのデータセットを保持するパターンは、最後に受信したもののみを保持（パターン１）、毎回の変更時間と合わせて複数保持（パターン２）、という２つのパターンがある。
パターン２の場合、複数のデータセットが保持されるため、一意に特定するために、「最後に」を付す必要がある。また、「最後に」だけでなく、「最後から２番目に」や「最初に」とすることも可能である。
また、パターン１の場合は、「最後に」を付す必要がないこととなる。

また、撮影用制御装置１１が、Ｘ線発生装置２０から受信した、Ｘ線発生装置２０で変更された照射パラメーターのデータセットを保持していたが、コンソール再起動などで保持していたデータが失われるパターンがある。
その場合では、コンソール再起動などの後、データセットの変更が行われていないため、例えば、第１選定条件「環境設定」が「Ｘ線発生装置側優先」、第２選定条件「Ｘ線発生装置側での変更有無」が「変更無し」のもと、「プリセット初期データセット」が選択され、設定されることとなる。

図７は、撮影用制御装置１１の表示部１１３に表示された、検査オーダーの実行を指示した際の表示画面の一例を示す図である。図７の例では、撮影者がボタンＢ１１を選択することで、検索オーダー１（胸部立位ＰＡ）が実行される。

次に、図６の優先度の設定及び図７の検査オーダーの選択の場合における照射パラメーター設定処理の具体例を図８、図９、図１０を用いて説明する。
図８は、「胸部立位Ｐ→Ａ」の検査を２人分続けて行う場合、かつＸ線発生装置２０が照射パラメーター通知コマンドに対応している場合、かつ「環境設定」におけるＸ線発生装置２０が第１選定条件のシチュエーションの元、Ｘ線発生装置２０と撮影用制御装置１１の情報のやり取りを示すシーケンス図である。また、本例では、初期化状態からの最初の検査であるとする。

一人目の検査を説明する。一人目の検査において、撮影用制御装置１１の処理部１１１にて行われる照射パラメーター設定処理を、図４および図５を用い、説明する。
まず、ステップＳ１０１において、撮影者により、撮影用制御装置１１にて検査オーダー検査オーダーの実行指示がなされると、撮影用制御装置１１の処理部１１１は、検査オーダーを受け付ける。

ステップＳ１０２において、本例では、Ｘ線発生装置２０が照射パラメーター通知コマンドに対応している場合、かつ「環境設定」におけるＸ線発生装置２０が第１選定条件のシチュエーションであるため、処理部１１１は、図４の照射パラメーター選択テーブル１１２Ｃのうち、第１選定条件が「環境設定」の条件を取得する。

ステップＳ１０３において、本例はＸ線発生装置２０が第１選定条件のため、処理部１１１は、条件「Ｘ線発生装置側優先」を選択する。しかし、処理部１１１は、照射パラメーターを一意に定めることができないため、再度ステップ１０２を試みる。

２度目のステップＳ１０２において、処理部１１１は、１度目のステップ１０２において、条件「Ｘ線発生装置側優先」を取得しているため、第２選定条件が「Ｘ線発生装置側での変更有無」の条件を取得する。

２度目のステップＳ１０３において、Ｘ線発生用制御装置２１にて、照射パラメーターの変更がなされていないため、処理部１１１は、条件「変更無し」を選択する。処理部１１１は、最終的な決定として「プリセット初期データセット」と特定できるため、ステップＳ１０４に進む。

ステップＳ１０４において、処理部１１１は、照射パラメーターを「プリセット初期データセット」と決定する。

ステップＳ１０５において、処理部１１１は、本例では検査オーダーが「胸部立位Ｐ→Ａ」であり、小児に対するものではないと判定するため、ステップＳ１０６に進む。

ステップＳ１０６において、処理部１１１は、照射パラメーターは「プリセット初期データセット」と決定されており、また、初期化状態からの最初の検査であるため、Ｘ線発生装置には照射パラメーターのデータセットが設定されていないため、ステップＳ１０７に進む。

ステップＳ１０７において、処理部１１１は、照射パラメーター選択部１１１Ｅを用い、決定した照射パラメーター「プリセット初期データセット」（以下、プリデータセット）を、撮影用制御装置１１からＸ線発生装置２０へ送信する（図８中（１））。すると、Ｘ線発生装置２０に、プリデータセットが設定される。

次に、撮影者により、Ｘ線発生装置２０にて、Ｘ線発生用コンソール２２を用い、照射パラメーターのデータセットの変更がなされる（図８中（２））と、変更されたデータセットがＸ線発生装置２０から撮影用制御装置１１へ送信される。すると、撮影用制御装置１１に、変更されたデータセットが設定される。

その後、撮影者により、撮影用制御装置１１にて照射パラメーターのデータセットの変更がなされる（図８中（３））と、変更されたデータセットが撮影用制御装置１１からＸ線発生装置２０へ送信される。すると、Ｘ線発生装置２０に、変更されたデータセットが設定される。そして、一人目の撮影が実施される。

二人目の検査において、撮影用制御装置１１の処理部１１１にて行われる照射パラメーター設定処理を、図４および図５を用い、説明する。
まず、ステップＳ１０１において、撮影者により、撮影用制御装置１１にて検査オーダーの実行指示がなされると、撮影用制御装置１１の処理部１１１は、検査オーダーを受け付ける。

ステップＳ１０２において、本例では、Ｘ線発生装置２０が照射パラメーター通知コマンドに対応している場合、かつ「環境設定」におけるＸ線発生装置２０が第１選定条件のシチュエーションであるため、処理部１１１は、図４の照射パラメーター選択テーブル１１２Ｃのうち、第１選定条件が「環境設定」の条件を取得する。

ステップＳ１０３において、本例はＸ線発生装置２０が第１選定条件のため、処理部１１１は、条件「Ｘ線発生装置側優先」を選択する。しかし、処理部１１１は、照射パラメーターを一意に定めることができないため、再度ステップ１０２を試みる。

２度目のステップＳ１０２において、処理部１１１は、１度目のステップ１０２において、条件「Ｘ線発生装置側優先」を選択しているため、第２選定条件「Ｘ線発生装置側での変更有無」の条件を取得する。

２度目のステップＳ１０３において、本例では、図８中（２）にて、Ｘ線発生装置２０にて、照射パラメーターの変更がなされているため、処理部１１１は、条件「変更あり」を選択する。処理部１１１は、最終的な決定として「Ｘ線発生装置から受信した最終のデータセット」と特定できるため、ステップＳ１０４に進む。

ステップＳ１０４において、処理部１１１は、照射パラメーターを「Ｘ線発生装置から受信した最終のデータセット」と決定する。

ステップＳ１０５において、処理部１１１は、本例では検査オーダーが「胸部立位Ｐ→Ａ」であり、小児に対するものではないと判定するため、ステップＳ１０６に進む。

ステップＳ１０６において、処理部１１１は、照射パラメーターは「Ｘ線発生装置から受信した最終のデータセット」と決定されており、また、Ｘ線発生装置にセットされている照射パラメーターのデータセットは撮影用制御装置１１にて変更されたデータセットのため、ステップＳ１０７に進む。

ステップＳ１０７において、処理部１１１は、照射パラメーター選択部１１１Ｅを用い、決定した照射パラメーター「Ｘ線発生装置から受信した最終のデータセット」を、撮影用制御装置１１からＸ線発生装置２０へ送信する。

上記では、Ｘ線発生装置２０が第１選定条件のシチュエーションに基づき説明したが、第１選定条件がプリセット値（ＡＰＲコード）である場合、ステップＳ１０４で定まる照射パラメーターは、「プリセット初期データセット」となる。
また、第１選定条件が撮影用制御装置１１である場合、ステップＳ１０４で定まる照射パラメーターは、「撮影用制御装置で変更されたデータセット」となる。

なお、上記例では、撮影用制御装置１１およびＸ線発生装置２０にて照射パラメーターのデータセットの変更が行われており、撮影用制御装置１１が保持する値は、プリセット初期データセット、Ｘ線発生装置２０で変更されたデータセット、前回撮影時のデータセット、撮影用制御装置１１で変更されたデータセットであり、保持数は最大である。
また、撮影用制御装置１１にて、各値を種別ごとに保存・管理することで、個々の値の比較（表示を含む）が可能である。

以上より、撮影用制御装置１１および照射パラメーター決定方法によれば、検査オーダーに対して最適な放射線の照射パラメーターの選択が可能となる。

図９は、「胸部立位Ｐ→Ａ」の検査後、「小児胸部立位Ｐ→Ａ」の検査を行う場合、かつＸ線発生装置２０が照射パラメーター通知コマンドに対応している場合かつ、「環境設定」におけるＸ線発生装置２０が第１選定条件のシチュエーションの元、Ｘ線発生装置２０と撮影用制御装置１１の情報のやり取りを示すシーケンス図である。また、本例では、初期化状態からの最初の検査であるとする。

一人目の検査については、図８の場合と同じであるため、本例の説明では省略する。

二人目の検査については、ステップＳ１０４までは、図８の場合と同じであるため、本例の説明では省略する。

ステップＳ１０５において、処理部１１１は、二人目の検査は「小児胸部立位Ｐ→Ａ」の検査であるため、小児に対する検査であると判断し、ステップＳ１０８に進む。

ステップＳ１０８において、ステップＳ１０４で決定された照射パラメーター「Ｘ線発生装置から受信した最終のデータセット」の値を、プリセットのデータセットの値と比較し、プリセットのデータセットの値からの変更度合を算出し、その度合が閾値を超える場合、表示部１１３にエラーを表示する。

以上により、小児に対して、許容されない放射線量が曝射されることを防止できる。

図１０は、「胸部立位Ｐ→Ａ」の検査を撮影後写損する場合、かつＸ線発生装置２０が照射パラメーター通知コマンドに対応している場合かつ、「環境設定」におけるＸ線発生装置２０が第１選定条件のシチュエーションの元、Ｘ線発生装置２０と撮影用制御装置１１の情報のやり取りを示すシーケンス図である。また、本例では、初期化状態からの最初の検査であるとする。

一人目の検査については、図８の場合と同じであるため、本例の説明では省略する。

一人目の検査が写損であった場合、再撮影条件が作成される。
再撮影条件における照射パラメーターに関して、ステップ１０２にて、第１選定条件「写損再撮時」、第２選定条件「Ｘ線発生装置側での変更有無」のもと、写損対象の照射パラメーター引継ぎ、Ｘ線発生装置での変更ありと、照射パラメーター設定処理が行われ、本例では、照射パラメーター「Ｘ線発生装置から受信した最終のデータセット」が送信されることとなる。

以上により、写損の場合でも、最適な放射線の照射パラメーターの選択が可能となる。

＜その他の実施例＞
オーダー切り替え時に、現在選択されている照射パラメーターが、どの種別の値を用いている（発生装置側に送っている）かどうかということを識別可能とする。

また、オーダー切り替え時に、現在選択されている照射パラメーターが、どの種別の値を用いている（発生装置側に送っている）かどうかということに加え、初期プリセット値を並べて表示することで、変更度合も識別可能とする。
これにより、前述の閾値判定エラーにはならなくとも、変更度合を把握することができ、許容されない放射線量が曝射されることをさらに防止できる。

１つの検査が完了した時点で、最終的な変更値（撮影に用いた値）でプリセットのデータセットの値を更新するかをユーザー判定、または予め更新保存ルールも優先度指定可能とする。

各撮影に対し、優先ルールに基づき選定された最終的な照射パラメーターのデータセットと、プリセット初期データセットとの値を、検査情報と紐づけて保存や一覧表示、出力可能とし、プリセット初期データセットの改善に活用できる。

撮影後に写損→再撮影にて再撮影の撮影条件を追加した場合においても、優先度に応じて照射パラメーターを選定する。
例えば、前回撮影時の最後の照射パラメーターが、Ｘ線発生装置側で変更している場合は、Ｘ線発生装置から受信した照射パラメーターを選択するが、ＡＰＲコードを用いている場合は、写損対象の撮影条件をそのまま引き継ぐ。

本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。

１ Ｘ線撮影システム（放射線撮影システム）
１０ Ｘ線撮影装置（放射線撮影装置）
１１ 撮影用制御装置（放射線撮影制御装置）
１２ ＦＰＤ
１３ 撮影台
１４ 中継器
２０ Ｘ線発生装置（放射線発生装置）
２１ Ｘ線発生用制御装置
２２ Ｘ線発生用コンソール
２３ 照射スイッチ
２４ 高電圧発生装置
２５ Ｘ線管装置
１１１ 処理部
１１１Ａ 表示制御部
１１１Ｂ 撮影条件設定部
１１１Ｃ Ｘ線画像取得部
１１１Ｄ 検査オーダー取得部（取得部）
１１１Ｅ 照射パラメーター選択部
１１１Ｆ 送信制御部
１１４ 操作部（オーダー選択部）

Claims (13)

1. 検査オーダーと前記検査オーダーごとに対応する１又は複数の放射線照射パラメーターを取得する取得部と、
   実施する前記検査オーダーを選択するオーダー選択部と、
   前記オーダー選択部により検査オーダーが選択された場合に、複数の選定条件の中から優先度設定に応じて前記選定条件を決定し、決定された選定条件に従い前記１又は複数の放射線照射パラメーターの中から当該検査オーダーに対する放射線照射パラメーターを選択する照射パラメーター選択部と、
   を有し、
   前記複数の選定条件は、放射線発生装置との連動設定を含み、
   前記連動設定は、前記放射線発生装置からの照射パラメーター通知コマンドの有無を含むことを特徴とする放射線撮影制御装置。
2. 検査オーダーと前記検査オーダーごとに対応する１又は複数の放射線照射パラメーターを取得する取得部と、
   実施する前記検査オーダーを選択するオーダー選択部と、
   前記オーダー選択部により検査オーダーが選択された場合に、複数の選定条件の中から優先度設定に応じて前記選定条件を決定し、決定された選定条件に従い前記１又は複数の放射線照射パラメーターの中から当該検査オーダーに対する放射線照射パラメーターを選択する照射パラメーター選択部と、
   を有し、
   前記照射パラメーター選択部は、放射線発生装置との連動設定と、前記放射線発生装置を含む環境設定とを含む前記選定条件から優先度設定に応じて、放射線照射パラメーターを選択することを特徴とする放射線撮影制御装置。
3. 前記照射パラメーター選択部により選択された放射線照射パラメーターを放射線発生装置に送信する送信制御部を備え、
   前記送信制御部は、前記照射パラメーター選択部により選択された放射線照射パラメーターが既に前記放射線発生装置に設定されている場合には、当該放射線照射パラメーターを非送信とすることを特徴とする請求項１又は２に記載の放射線撮影制御装置。
4. 前記優先度設定は複数階層となっており、
   前記照射パラメーター選択部は、第１階層の優先度設定に基づいて第１選定条件を決定し、次いで、第２階層の優先度設定に基づいて第２選定条件を決定することを特徴とする請求項１から３のいずれか一項に記載の放射線撮影制御装置。
5. 前記照射パラメーター選択部は、前記放射線照射パラメーターの変更操作場所、放射線照射パラメーターの登録時間、ユーザー選択を含む前記選定条件から優先度設定に応じて、放射線照射パラメーターを選択することを特徴とする請求項１から３のいずれか一項に記載の放射線撮影制御装置。
6. 前記放射線照射パラメーターは、プリセット初期データセット、放射線発生装置で変更されたデータセット、前回撮影時のデータセット、放射線撮影装置で変更されたデータセットのいずれか１つであることを特徴とする請求項４に記載の放射線撮影制御装置。
7. 前記優先度設定は、前記複数の選定条件から１つ以上に対し、ユーザー入力操作により定義されることを特徴とする請求項１から３のいずれか一項に記載の放射線撮影制御装置。
8. 検査オーダーと前記検査オーダーごとに対応する１又は複数の放射線照射パラメーターを取得する取得部と、
   実施する前記検査オーダーを選択するオーダー選択部と、
   前記オーダー選択部により撮影後の検査オーダーが写損、再撮影の要求が行われた場合に、複数の選定条件の中から優先度設定に応じて前記選定条件を決定し、決定された選定条件に従い前記１又は複数の放射線照射パラメーターの中から当該検査オーダーに対する放射線照射パラメーターを選択する照射パラメーター選択部と、
   を有し、
   前記複数の選定条件は、放射線発生装置との連動設定を含み、
   前記連動設定は、前記放射線発生装置からの照射パラメーター通知コマンドの有無を含むことを特徴とする放射線撮影制御装置。
9. 検査オーダーと前記検査オーダーごとに対応する１又は複数の放射線照射パラメーターを取得する取得部と、
   実施する前記検査オーダーを選択するオーダー選択部と、
   前記オーダー選択部により撮影後の検査オーダーが写損、再撮影の要求が行われた場合に、複数の選定条件の中から優先度設定に応じて前記選定条件を決定し、決定された選定条件に従い前記１又は複数の放射線照射パラメーターの中から当該検査オーダーに対する放射線照射パラメーターを選択する照射パラメーター選択部と、
   を有し、
   前記照射パラメーター選択部は、放射線発生装置との連動設定と、前記放射線発生装置を含む環境設定とを含む前記選定条件から優先度設定に応じて、放射線照射パラメーターを選択することを特徴とする放射線撮影制御装置。
10. 検査オーダーと前記検査オーダーごとに対応する１又は複数の放射線照射パラメーターを取得する工程と、
    実施する前記検査オーダーを選択する工程と、
    前記検査オーダーが選択された場合に、複数の選定条件の中から優先度設定に応じて前記選定条件を決定し、決定された選定条件に従い前記１又は複数の放射線照射パラメーターの中から当該検査オーダーに対する放射線照射パラメーターを選択する工程と、
    を有し、
    前記複数の選定条件は、放射線発生装置との連動設定を含み、
    前記連動設定は、前記放射線発生装置からの照射パラメーター通知コマンドの有無を含むことを特徴とする放射線照射パラメーター決定方法。
11. 検査オーダーと前記検査オーダーごとに対応する１又は複数の放射線照射パラメーターを取得する工程と、
    実施する前記検査オーダーを選択する工程と、
    前記検査オーダーが選択された場合に、複数の選定条件の中から優先度設定に応じて前記選定条件を決定し、決定された選定条件に従い前記１又は複数の放射線照射パラメーターの中から当該検査オーダーに対する放射線照射パラメーターを選択する工程と、
    を有し、
    前記放射線照射パラメーターを選択する工程は、放射線発生装置との連動設定と、前記放射線発生装置とを含む環境設定を含む前記選定条件から優先度設定に応じて、放射線照射パラメーターを選択することを特徴とする放射線照射パラメーター決定方法。
12. 放射線撮影制御装置を、
    検査オーダーと前記検査オーダーごとに対応する１又は複数の放射線照射パラメーターを取得する取得部、
    実施する前記検査オーダーを選択するオーダー選択部、
    前記オーダー選択部により検査オーダーが選択された場合に、複数の選定条件の中から優先度設定に応じて前記選定条件を決定し、決定された選定条件に従い前記１又は複数の放射線照射パラメーターの中から当該検査オーダーに対する放射線照射パラメーターを選択する照射パラメーター選択部、
    として機能させ、
    前記複数の選定条件は、放射線発生装置との連動設定を含み、
    前記連動設定は、前記放射線発生装置からの照射パラメーター通知コマンドの有無を含むプログラム。
13. 放射線撮影制御装置を、
    検査オーダーと前記検査オーダーごとに対応する１又は複数の放射線照射パラメーターを取得する取得部、
    実施する前記検査オーダーを選択するオーダー選択部、
    前記オーダー選択部により検査オーダーが選択された場合に、複数の選定条件の中から優先度設定に応じて前記選定条件を決定し、決定された選定条件に従い前記１又は複数の放射線照射パラメーターの中から当該検査オーダーに対する放射線照射パラメーターを選択する照射パラメーター選択部、
    として機能させ、
    前記照射パラメーター選択部は、放射線発生装置との連動設定と、前記放射線発生装置を含む環境設定とを含む前記選定条件から優先度設定に応じて、放射線照射パラメーターを選択するプログラム。

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