以下、本開示をより詳細に説明するため、本開示を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る疑似エンジン音生成システム100の構成を示すブロック図である。図1が示すように、疑似エンジン音生成システム100は、ECU1(Electric Control Unit)、H.U2(ヘッドユニット)、アンプ3、及び車両スピーカー4を備えている。
ECU1は、車両の速度又は加速度に関する車両情報をアンプ3に出力する。当該車両情報の例として、エンジン回転数(RPM)、エンジントルク値、又はギヤポジション等が挙げられる。実施の形態1では、ECU1は、図示しない車載ネットワーク(CAN、MOST)を介して、車両情報をアンプ3に通知する。
H.U2は、車両の外部の環境に関する環境情報をアンプ3に出力する。当該環境情報の例として、GPS機能により取得された道路環境情報、地図情報又は道路情報から取得された道路環境情報、後述する所定の時間T後の走行位置、交差点に関する情報、横断歩道に関する情報、道路の合流に関する情報、法定速度、事故多発地点の情報、渋滞情報、又は現在の天気に関する天気情報等が挙げられる。
H.U2は、スクリーン(ディスプレイ)を備えていてもよく、GPS機能、地図情報若しくは道路情報の取得及び表示、走行経路の蓄積、ナビゲーション機能、オーディオ機能、交通情報の取得及び表示、災害情報の取得及び表示、ラジオ受信及び再生、又はテレビ受信及び再生等の、各機能を有していてもよい。また、H.U2は、タッチセンサ、又は、ハードウェアとして設置されたボタン(スイッチ)等により、ユーザ(車両の乗員)がナビゲーション画面の操作、音量選択の操作、又はチャネル選択の操作等を行えるように構成されていてもよい。
また、実施の形態1では、H.U2は、アンプ3が後述する疑似エンジン音生成機能又は速度加速度予測機能をオン又はオフするように制御する制御信号をアンプ3に出力する。H.U2は、当該制御信号を介して、アンプ3による後述する疑似エンジン音生成機能のモードを切り替える機能を有してもよい。ここにおけるモードは、例えば、後述する所定の時間Tの設定方法に関するモード、疑似エンジン音の音量の大小に関するモード、又は音色の変更に関するモード等である。
アンプ3は、マイコン5(疑似エンジン音制御装置)、DSP6(Digital Signal Processor)、DAC7(D/A Converter(デジタルアナログ変換部))及びパワーアンプIC8を備えている。
図2は、実施の形態1に係るマイコン5の詳細な構成を示すブロック図である。図2が示すように、マイコン5は、車両情報取得部10、環境情報取得部11、現在速度加速度算出部12、速度加速度予測部13、及び疑似エンジン音生成パラメータ算出部14を備えている。なお、実施の形態1では、マイコン5が疑似エンジン音を制御する疑似エンジン音制御装置である構成について説明するが、H.U2又はDSP6等の他の装置が、以下で説明するマイコン5の各機能を有していてもよい。
車両情報取得部10は、車両の速度又は加速度に関する車両情報を取得する。より詳細には、実施の形態1では、車両情報取得部10は、ECU1から車載ネットワーク(CAN、MOST)を介して車両の速度又は加速度に関する車両情報を取得する。車両情報取得部10は、取得した車両情報を現在速度加速度算出部12に出力する。車両情報取得部10は、車両の速度及び加速度に関する車両情報を取得してもよい。
環境情報取得部11は、車両の外部の環境に関する環境情報を取得する。より詳細には、実施の形態1では、環境情報取得部11は、H.U2から車両の外部の環境に関する環境情報を取得する。環境情報取得部11は、取得した環境情報を速度加速度予測部13及び疑似エンジン音生成パラメータ算出部14にそれぞれ出力する。
現在速度加速度算出部12は、現在の車両の速度又は加速度を算出する。より詳細には、実施の形態1では、現在速度加速度算出部12は、車両情報取得部10が取得した車両情報に基づいて、現在の車両の速度又は加速度を算出する。現在速度加速度算出部12は、算出した現在の車両の速度又は加速度を速度加速度予測部13及び疑似エンジン音生成パラメータ算出部14に出力する。現在速度加速度算出部12は、現在の車両の速度及び加速度を算出してもよい。
速度加速度予測部13は、現在から所定の時間T後の車両の速度又は加速度を予測する。より詳細には、実施の形態1では、速度加速度予測部13は、現在速度加速度算出部12が算出した現在の車両の速度又は加速度に基づいて、現在から所定の時間T後の車両の速度又は加速度を予測する。速度加速度予測部13は、予測した速度又は加速度を疑似エンジン音生成パラメータ算出部14に出力する。
速度加速度予測部13は、現在から所定の時間T後の車両の速度及び加速度を予測してもよい。速度加速度予測部13は、現在から所定の時間T後までの所定の時刻毎の車両の速度又は加速度を予測してもよい。速度加速度予測部13は、車両情報取得部10が取得した車両情報に基づいて、現在から所定の時間T後の車両の速度又は加速度を予測してもよい。
速度加速度予測部13は、現在の車両の速度と、予測した所定の時間T後における車両の速度とに基づいて、現在から所定の時間T後までの車両の一定の加速度を算出してもよい。その場合、速度加速度予測部13は、所定の時間T後における車両の速度に対して現在の車両の速度を減算し、その結果を所定の時間Tで除算することにより、現在から所定の時間T後までの車両の一定の加速度を算出し得る。
速度加速度予測部13は、環境情報取得部11が取得した環境情報にさらに基づいて、現在から所定の時間T後の車両の速度又は加速度を予測してもよい。その場合、例えば、速度加速度予測部13は、環境情報が含む道路環境情報にさらに基づいて、現在から所定の時間T後の車両の速度又は加速度を予測する。
速度加速度予測部13は、所定の時間Tを変更してもよい。例えば、速度加速度予測部13は、環境情報取得部11が取得した環境情報に基づいて、所定の時間Tを変更してもよいし、現在速度加速度算出部12が算出した速度又は加速度に基づいて、所定の時間Tを変更してもよい。以上の各構成の詳細については後述する。
なお、以上のように、アンプ3に内蔵されたマイコン5の速度加速度予測部13が現在から所定の時間T後の車両の速度又は加速度を予測する構成について説明した。しかし、H.U2が現在から所定の時間T後の車両の速度又は加速度を予測する構成を有していてもよい。
疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が予測した速度又は加速度に基づいて、車両の疑似エンジン音を規定する疑似エンジン音生成パラメータを算出する。当該疑似エンジン音生成パラメータは、後述する疑似エンジン音生成部9が疑似エンジン音の音声信号を生成する際に用いるパラメータである。疑似エンジン音生成パラメータの例として、エンジン回転数(RPM)に対応する基本周波数、当該基本周波数の高調波成分情報、又はエンジントルクから決定されるゲイン量等が挙げられる。疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、算出した疑似エンジン音生成パラメータをDSP6に出力する。
より詳細には、実施の形態1では、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が予測した速度又は加速度が所定の閾値を超えるか否かを判定し、速度加速度予測部13が予測した速度又は加速度が所定の閾値を超えると判定した場合、現在速度加速度算出部12が算出した現在の車両の速度よりも高い速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを算出する。
さらに詳細には、実施の形態1では、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、現在速度加速度算出部12が算出した現在の車両の速度又は加速度に基づいて、現在の速度又は加速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを算出する。そして、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が予測した速度又は加速度が所定の閾値を超えるか否かを判定する。そして、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が予測した速度又は加速度が所定の閾値を超えると判定した場合、算出した現在の速度又は加速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータに対して補正を行う。疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、補正を行った疑似エンジン音生成パラメータをDSP6に出力する。
疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が予測した速度及び加速度に基づいて、車両の疑似エンジン音を規定する疑似エンジン音生成パラメータを算出してもよい。
別の例では、例えば、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が予測した速度又は加速度が所定の閾値以下であるか否かを判定し、速度加速度予測部13が予測した速度又は加速度が所定の閾値以下であると判定した場合、現在の車両の速度よりも低い速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを算出してもよい。
速度加速度予測部13が上述のように一定の加速度を算出した場合、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が算出した一定の加速度が所定の閾値を超えるか否か判定し、速度加速度予測部13が算出した一定の加速度が所定の閾値を超えると判定した場合、現在の車両の速度よりも高い速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを算出してもよい。
疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、環境情報取得部11が取得した環境情報にさらに基づいて、疑似エンジン音生成パラメータを算出してもよい。その場合、例えば、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が予測した速度又は加速度と、現在の道路環境若しくは所定の時間T後の道路環境、現在の時間又は現在の天候等の環境情報とに基づいて、疑似エンジン音生成パラメータを算出してもよい。
疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、環境情報取得部11が取得した環境情報に基づいて、所定の閾値を変更してもよい。以上の各構成の詳細については後述する。
なお、以上のように、実施の形態1では、アンプ3に内蔵されたマイコン5の疑似エンジン音生成パラメータ算出部14が疑似エンジン音生成パラメータを算出する構成を説明した。しかし、H.U2が疑似エンジン音生成パラメータを算出する構成を有していてもよいし、アンプ3に内蔵されたDSP6が疑似エンジン音生成パラメータを算出する構成を有していてもよい。
DSP6は、疑似エンジン音生成部9を備えている。疑似エンジン音生成部9は、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14が算出した疑似エンジン音生成パラメータに基づいて、車両の疑似エンジン音の音声信号を生成する。より詳細には、疑似エンジン音生成部9は、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14が算出した疑似エンジン音生成パラメータに基づいて、車両の疑似エンジン音のデジタル信号を生成する。疑似エンジン音生成部9は、生成した疑似エンジン音の音声信号をDAC7に出力する。
さらに詳細には、例えば、疑似エンジン音生成部9は、エンジン回転数(RPM)に対応する基本周波数と当該基本周波数の高調波成分とで構成される音声信号に、エンジントルクから決定されるゲイン量を積算することにより疑似エンジン音を生成し得る。
なお、以上のように、DSP6の疑似エンジン音生成部9が疑似エンジン音を生成する構成について説明した。しかし、H.U2が疑似エンジン音を生成する構成を有していてもよい。
上述のECU1は、車両情報としてのエンジン回転数又はエンジントルク値を、疑似エンジン音生成部9に直接出力してもよい。つまり、その場合、エンジン回転数又はエンジントルク値は、上述の疑似エンジン音生成パラメータ算出部14によって疑似エンジン音生成パラメータに変換されない。そして、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、ECU1から取得したエンジン回転数又はエンジントルク値にさらに基づいて、車両の疑似エンジン音の音声信号を生成してもよい。
DAC7は、疑似エンジン音生成部9が生成したデジタル信号をアナログ信号に変換する。DAC7は、変換したアナログ信号をパワーアンプIC8に出力する。
パワーアンプIC8は、DAC7が変換したアナログ信号の電圧を、車両スピーカー4による音声出力用の電圧に変換する。パワーアンプIC8は、電圧を変換したアナログ信号を車両スピーカー4に出力する。
車両スピーカー4は、疑似エンジン音生成部9が生成した疑似エンジン音の音声信号に基づいて、音声を出力する。より詳細には、実施の形態1では、車両スピーカー4は、パワーアンプIC8が電圧を変換したアナログ信号に基づいて、音声を出力する。
なお、実施の形態1では、上述のH.U2は、オーディオ又はナビゲーション等の音声信号を、アンプ3に出力する。アンプ3は、当該音声信号を、疑似エンジン音生成部9が生成した疑似エンジン音の音声信号とミキシングする。そして、車両スピーカー4は、オーディオ又はナビゲーション等の音声信号が示す音声を、疑似エンジン音とともに吹鳴する。疑似エンジン音生成システム100は、疑似エンジン音を吹鳴する疑似エンジン音吹鳴専用のスピーカーをさらに備えていてもよい。また、DSP6は、オーディオ又はナビゲーション等の音声信号に対する音質調整機能(イコライザ等)をさらに有していてもよい。
以下で、実施の形態1に係る疑似エンジン音生成システム100の動作について図面を参照して説明する。図3は、実施の形態1に係る疑似エンジン音生成システム100による疑似エンジン音生成方法を示すフローチャートである。以下の各ステップは、例えば、車両のエンジン又はモータ等の駆動部が起動したことをトリガとして開始される。
図3が示すように、ECU1は、車両の速度又は加速度に関する車両情報としてのエンジン回転数、エンジントルク及びギヤポジション等をアンプ3のマイコン5に出力する(ステップST1)。
次に、マイコン5は、ECU1が出力した車両情報としてのエンジン回転数、エンジントルク及びギヤポジション等に基づいて、車両の疑似エンジン音を規定する疑似エンジン音生成パラメータを算出する(ステップST2)。マイコン5は、算出した疑似エンジン音生成パラメータをDSP6に出力する。
次に、DSP6は、マイコン5が算出した疑似エンジン音生成パラメータに基づいて、車両の疑似エンジン音の音声信号を生成する(ステップST3)。DSP6は、生成した疑似エンジン音の音声信号を上述のDAC7に出力する。
次に、H.U2は、車両の外部の環境に関する環境情報をアンプ3のマイコン5に出力する(ステップST4)。
次に、マイコン5は、H.U2が出力した環境情報にさらに基づいて、車両の疑似エンジン音を規定する疑似エンジン音生成パラメータを算出する(ステップST5)。マイコン5は、算出した疑似エンジン音生成パラメータをDSP6に出力する。なお、ステップST5の詳細については後述する。
次に、DSP6は、マイコン5がステップST5で算出した疑似エンジン音生成パラメータに基づいて、車両の疑似エンジン音の音声信号を生成する(ステップST6)。DSP6は、生成した疑似エンジン音の音声信号を上述のDAC7に出力する。
実施の形態1では、疑似エンジン音生成システム100は、上記のステップST1からステップST6を繰り返すことにより、疑似エンジン音を継続的に生成する。
以下で、実施の形態1に係るマイコン5(疑似エンジン音制御装置)の動作について図面を参照して説明する。図4は、実施の形態1に係るマイコン5による疑似エンジン音制御方法を示すフローチャートである。なお、以下の各ステップの説明は、上述のステップST5の詳細な説明である。
図4が示すように、ステップST10において、車両情報取得部10は、車両の速度又は加速度に関する車両情報としてのエンジン回転数、エンジントルク又はギヤポジション等のうちの少なくとも1つ以上の情報を新たに取得したか否かを判定する。また、ステップST10において、環境情報取得部11は、車両の外部の環境に関する環境情報を新たに取得したか否かを判定する。
車両情報取得部10又は環境情報取得部11が情報を新たに取得したと判定した場合(ステップST10のYES)、車両情報取得部10又は環境情報取得部11は、新たに取得した情報を現在速度加速度算出部12に出力し、現在速度加速度算出部12は、車両情報取得部10が取得した車両情報に基づいて、現在の車両の速度又は加速度を算出する(ステップST11)。なお、当該車両情報は、車両情報取得部10が新たに取得した車両情報でもよいし、車両情報取得部10が新たに車両情報を取得していない場合は、車両情報取得部10が前回取得した車両情報であってもよい。現在速度加速度算出部12は、算出した現在の車両の速度又は加速度を疑似エンジン音生成パラメータ算出部14に出力する。
車両情報取得部10又は環境情報取得部11が情報を新たに取得していないと判定した場合(ステップST10のNO)、車両情報取得部10又は環境情報取得部11は、ステップST10を再度実行し、情報を新たに取得したと判定するまでステップST10を繰り返し実行する。
ステップST11の次のステップとして、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、現在速度加速度算出部12が算出した現在の車両の速度又は加速度に基づいて、現在の車両の速度又は加速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを算出する(ステップST12)。
次に、速度加速度予測部13は、車両情報取得部10が取得した車両情報と、環境情報取得部11が取得した環境情報とに基づいて、現在から所定の時間T後の車両の速度又は加速度を予測する(ステップST13)。なお、当該車両情報は、車両情報取得部10が新たに取得した車両情報でもよいし、車両情報取得部10が新たに車両情報を取得していない場合は、車両情報取得部10が前回取得した車両情報であってもよい。また、当該環境情報は、環境情報取得部11が新たに取得した環境情報でもよいし、環境情報取得部11が新たに環境情報を取得していない場合は、車両情報取得部10が前回取得した環境情報であってもよい。速度加速度予測部13は、予測した速度又は加速度を疑似エンジン音生成パラメータ算出部14に出力する。
次に、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が予測した現在から所定の時間T後の速度又は加速度が所定の閾値を超えるか否かを判定する(ステップST14)。
疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が予測した現在から所定の時間T後の速度又は加速度が所定の閾値を超えると判定した場合(ステップST14のYES)、ステップST12で算出した現在の車両の速度又は加速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを補正する(ステップST15)。その際、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、現在の車両の速度又は加速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを、運転者が車両を減速又は加速させるように誘導する疑似エンジン音を規定する疑似エンジン音生成パラメータに補正する。
疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、ステップST15の次のステップとして、又は、ステップST14において速度加速度予測部13が予測した現在から所定の時間T後の速度又は加速度が所定の閾値以下であると判定した場合(ステップST14のNO)の次のステップとして、算出した疑似エンジン音生成パラメータをDSP6に出力する(ステップST16)。なお、ここで疑似エンジン音生成パラメータ算出部14が出力する疑似エンジン音生成パラメータは、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14がステップST15を行った場合、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14が補正した疑似エンジン音生成パラメータであり、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14がステップST15を行っていない場合、ステップST12で算出した現在の車両の速度又は加速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータである。
次に、マイコン5は、上述のステップST10に戻り、ステップST10からステップST16までの各ステップを繰り返し実行する。
マイコン5における、車両情報取得部10、環境情報取得部11、現在速度加速度算出部12、速度加速度予測部13及び疑似エンジン音生成パラメータ算出部14の各機能、並びにDSP6における疑似エンジン音生成部9の機能は、処理回路により実現される。すなわち、マイコン5及びDSP6は、図3及び図4に示した各ステップの処理を実行するための処理回路を備える。この処理回路は、専用のハードウェアであってもよいが、メモリに記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)であってもよい。
図5Aは、マイコン5及びDSP6の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。図5Bは、マイコン5及びDSP6の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。
上記処理回路が図5Aに示す専用のハードウェアの処理回路101である場合、処理回路101は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はこれらを組み合わせたものが該当する。
マイコン5における、車両情報取得部10、環境情報取得部11、現在速度加速度算出部12、速度加速度予測部13及び疑似エンジン音生成パラメータ算出部14の各機能、並びにDSP6における疑似エンジン音生成部9の機能を別々の処理回路で実現してもよいし、これらの機能をまとめて1つの処理回路で実現してもよい。
上記処理回路が図5Bに示すプロセッサ102である場合、マイコン5における、車両情報取得部10、環境情報取得部11、現在速度加速度算出部12、速度加速度予測部13及び疑似エンジン音生成パラメータ算出部14の各機能、並びにDSP6における疑似エンジン音生成部9の機能は、ソフトウェア、ファームウェア又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。
なお、ソフトウェア又はファームウェアは、プログラムとして記述されてメモリ103に記憶される。
プロセッサ102は、メモリ103に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、マイコン5における、車両情報取得部10、環境情報取得部11、現在速度加速度算出部12、速度加速度予測部13及び疑似エンジン音生成パラメータ算出部14の各機能、並びにDSP6における疑似エンジン音生成部9の機能を実現する。すなわち、マイコン5及びDSP6は、これらの各機能がプロセッサ102によって実行されるときに、図3及び図4に示した各ステップの処理が結果的に実行されるプログラムを記憶するためのメモリ103を備える。
これらのプログラムは、マイコン5における、車両情報取得部10、環境情報取得部11、現在速度加速度算出部12、速度加速度予測部13及び疑似エンジン音生成パラメータ算出部14の各手順又は方法、並びにDSP6における疑似エンジン音生成部9の手順又は方法をコンピュータに実行させる。メモリ103は、コンピュータを、マイコン5における、車両情報取得部10、環境情報取得部11、現在速度加速度算出部12、速度加速度予測部13及び疑似エンジン音生成パラメータ算出部14、並びにDSP6における疑似エンジン音生成部9として機能させるためのプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
プロセッサ102には、例えば、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、またはDSP(Digital Signal Processor)などが該当する。
メモリ103には、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically-EPROM)などの不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、ハードディスク、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
マイコン5における、車両情報取得部10、環境情報取得部11、現在速度加速度算出部12、速度加速度予測部13及び疑似エンジン音生成パラメータ算出部14の各機能、並びにDSP6における疑似エンジン音生成部9の機能について一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現してもよい。
例えば、マイコン5における、車両情報取得部10、環境情報取得部11、現在速度加速度算出部12、速度加速度予測部13及び疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、専用のハードウェアとしての処理回路で機能を実現する。DSP6における疑似エンジン音生成部9については、プロセッサ102がメモリ103に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより機能を実現してもよい。
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの組み合わせにより上記機能のそれぞれを実現することができる。
以下で、実施の形態1に係る速度加速度予測部13による速度加速度予測方法の第1の具体例について図面を参照して説明する。図6A、図6B及び図6Cは、それぞれ、現在速度加速度算出部12が算出した速度、及び速度加速度予測部13が予測した速度を示すグラフである。図6A、図6B及び図6Cにおいて、縦軸は、車両の速度であり、横軸は、時間である。また、図6A、図6B及び図6Cにおいて、実線が、現在速度加速度算出部12が算出した速度であり、点線が、速度加速度予測部13が予測した速度である。図6A、図6B及び図6Cにおけるt0は、現在の時刻であり、tNが現在から所定の時間T後の時刻であり、各時刻におけるグラフの傾きは、各時刻における車両の加速度に相当する。
図6Aの例では、車両が過去の時刻t-mから現在の時刻t0まで加速し、現在の時刻t0から未来の時刻tNまでに最終的に車両の速度が一定の速度になる状況が示されている。図6Bの例では、車両が過去の時刻t-mから未来の時刻tNまで加速し続けている状況が示されている。図6Cの例では、車両が過去の時刻t-mから未来の時刻tNまで加速し続けているが、車両の加速度が現在の時刻t0から未来の時刻tNまで徐々に低下している状況が示されている。
図6A、図6B及び図6Cが示すように、速度加速度予測部13は、現在の速度若しくは加速度、又は過去の速度若しくは加速度に基づいて、現在から所定の時間T後の異なる速度又は加速度を予測する。
例えば、速度加速度予測部13は、現在から所定の時間T後の加速度α
Tを、下記の式(1)により算出する。
式(1)において、α
0は、現在の時刻t
0における加速度であり、Π()は、括弧内の列の総乗を示し、列を示すC
tは、時刻tにおける加速度予測係数である。
速度加速度予測部13は、加速度予測係数Ctを、時刻(t1、t2、、、)、環境情報が含む道路環境情報、又は走行状況(例えば、図6Cが示す時刻tにおける車両の速度又は加速度)に応じて値を変更してもよい。
また、速度加速度予測部13は、現在から所定の時間T後の速度V
Tを、下記の式(2)により算出する。
式(2)において、V
0は、現在の時刻t
0における速度である。
上述の通り、速度加速度予測部13は、環境情報取得部11が取得した環境情報にさらに基づいて、現在から所定の時間T後の車両の速度又は加速度を予測してもよい。より具体的には、例えば、速度加速度予測部13は、環境情報取得部11が取得した環境情報に基づいて、上述の加速度予測係数Cnを変更する。例えば、速度加速度予測部13は、環境情報取得部11が取得した環境情報が示す現在の道路環境(例えば見通しの良し悪しの違い)に基づいて、加速度予測係数Cnを変更する。なお、図6Cの例は、所定の時間T後の加速度の予測に現在の車両の速度を加味した例である。
以下で、実施の形態1に係る速度加速度予測部13による速度加速度予測方法の第2の具体例について図面を参照して説明する。図7は、速度加速度予測部13が予測に用いる所定の時間Tを示すグラフである。図7において、縦軸は、所定の時間Tを示し、横軸は、車両の速度Vを示す。
上述のように、速度加速度予測部13は、所定の時間Tを変更してもよい。例えば、速度加速度予測部13が予測に用いる所定の時間Tは、H.U2を介してユーザにより変更可能であってもよいし、車両若しくはH.U2の製造者、車両若しくはH.U2の販売者により任意に変更可能であってもよいし、又は、現在速度加速度算出部12が算出した速度等により変更可能であってもよい。
図7の例では、速度加速度予測部13は、現在速度加速度算出部12が算出した速度に基づいて、所定の時間Tを変更する。より具体的には、速度加速度予測部13は、式「T=0.3×1/V」に速度Vを代入し、所定の時間Tを算出する。例えば、現在速度加速度算出部12が算出した現在の時速が100km/hである場合、速度加速度予測部13は、当該式に基づいて、所定の時間を10.8秒に変更する。これにより、速度加速度予測部13は、車両が現在の車速を維持した場合の約300m先の速度又は加速度を予測することになる。別の例では、例えば、現在速度加速度算出部12が算出した現在の時速が50km/hである場合、速度加速度予測部13は、当該式に基づいて、所定の時間を21.6秒に変更する。当該例においても、速度加速度予測部13は、車両が現在の車速を維持した場合の約300m先の速度又は加速度を予測することになる。
以上のような構成によれば、そのように予測された速度又は加速度に基づいた疑似エンジン音により、現在の車両の速度によらず、現在の車両の位置から一定の距離離れた位置に車両が到達する前に、車両の走行状態を好ましい走行状態に誘導し得る。
以下で、実施の形態1に係る疑似エンジン音生成パラメータ算出部14による疑似エンジン音生成パラメータ算出方法の第1の具体例について図面を参照して説明する。図8A、図8B及び図8Cは、それぞれ、現在速度加速度算出部12が算出した速度A、速度加速度予測部13が予測した速度B、速度加速度予測部13が算出した一定の加速度を傾きとして表す予測線C、及び、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14が判定に用いる所定の閾値を傾きとして表す直線D、を示すグラフである。なお、図8A、図8B及び図8Cでは、所定の閾値は、一定であるために、直線Dの傾きとして示されているが、所定の閾値は、時間の経過とともに値が変化してもよく、その場合、曲線の接線の傾きとして示される。
上述のように、速度加速度予測部13が一定の加速度(予測線Cの傾き)を算出した場合、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が算出した一定の加速度が所定の閾値(直線Dの傾き)を超えるか否か判定する。つまり、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、車両が現在から所定の時間T後まで一定の加速度で走行した場合の加速度と、所定の閾値とを比較する。
図8Bでは、現在の車両の速度と現在から所定の時間T後の車両の速度とに基づいて算出された一定の加速度を示す予測線Cの傾きが、所定の閾値を示す直線Dの傾きよりも大きいため、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が算出した一定の加速度が所定の閾値を超えると判定する。そして、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、現在の車両の速度よりも高い速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを算出する。より具体的には、例えば、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、現在速度加速度算出部12が算出した現在の車両の速度又は加速度に基づいて、現在の車両の速度又は加速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを算出し、算出した現在の車両の速度又は加速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを、現在の車両の速度よりも高い速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータに補正する。
図8Dは、現在速度加速度算出部12が算出した速度A、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14が判定に用いる所定の閾値を傾きとして表す直線D、及び誘導目標の速度Eを示すグラフである。疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、運転者が車両の速度を図8Dが示す誘導目標の速度Eまで減速させるように誘導するために、現在の車両の速度よりも高い速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを算出する。そして、疑似エンジン音生成部9が当該疑似エンジン音生成パラメータに基づいて疑似エンジン音の音声信号を生成し、車両スピーカー4が当該疑似エンジン音を出力することにより、車両の速度が高くなりすぎる前に疑似エンジン音を変更することができる。そして、当該疑似エンジン音により、運転者又は乗員に対して、車両の速度が高くなりすぎる前に、車両が実速度より高速度で走行していると錯覚させることにより、車両の走行状態を、自然に好ましい走行状態に誘導することができる。
例えば、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、現在の車両の速度よりも高い速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを算出する際に、疑似エンジン音生成パラメータとしての上述のエンジン回転数に対応する基本周波数を、実際のエンジン回転数から決定される基本周波数よりも高域の周波数に設定する。または、例えば、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、現在の車両の速度よりも高い速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを算出する際に、疑似エンジン音生成パラメータとしての上述のゲイン量を、実際のエンジントルクから決定されるゲイン量よりも大きいゲイン量に設定する。
または、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、例えば、現在の時刻t0では、一定の加速度が所定の閾値を超えると判定し、時刻t1では、新たに算出された一定の加速度が所定の閾値以下であると判定し、時刻t2では、新たに算出された一定の加速度が所定の閾値を超えると判定するなど、上述の判定の結果が頻繁に変化する場合、以下の構成を有していてもよい。すなわち、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、車両スピーカー4が吹鳴する疑似エンジン音が不自然に変化することを防ぐため、連続した複数の判定時刻において同一の判定を行った場合にのみ、現在の車両の速度よりも高い速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを算出してもよい。つまり、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、一種のヒステリシス機能を有していてもよい。
以下で、実施の形態1に係る疑似エンジン音生成パラメータ算出部14による疑似エンジン音生成パラメータ算出方法の第2の具体例について図面を参照して説明する。図9A、図9B及び図9Cは、それぞれ、現在速度加速度算出部12が算出した速度A、速度加速度予測部13が予測した速度B、速度加速度予測部13が算出した一定の加速度を傾きとして表す予測線C、並びに、それぞれが、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14が判定に用いる所定の閾値を傾きとして表す第1の直線D1、第2の直線D2及び第3の直線D3、を示すグラフである。
上述のように、速度加速度予測部13が一定の加速度(予測線Cの傾き)を算出した場合、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が算出した一定の加速度が所定の閾値(直線D1の傾き、直線D2の傾き又は直線D3の傾き)を超えるか否か判定する。疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、その際に用いる所定の閾値を、環境情報取得部11が取得した環境情報に基づいて変更する。当該第2の具体例では、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、所定の閾値を、直線D1の傾きが示す所定の閾値、直線D2の傾きが示す所定の閾値、又は直線D3の傾きが示す所定の閾値のうちの何れか1つの閾値に変更する。
例えば、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、環境情報取得部11が取得した環境情報に含まれる道路環境に基づいて、所定の閾値を変更する。より具体的には、例えば、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、環境情報取得部11が取得した環境情報に含まれる道路環境が、車両が現在走行中の道路が一般道路であることを示している場合、直線D1の傾きが示す所定の閾値を選択し、速度加速度予測部13が算出した一定の加速度が当該所定の閾値を超えるか否か判定する。
図9Bの例では、一定の加速度を示す予測線Cの傾きが、所定の閾値を示す直線D1の傾きより大きいため、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が算出した一定の加速度が所定の閾値を超えると判定する。そして、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、現在の車両の速度よりも高い速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを算出する。
図9Cの例では、一定の加速度を示す予測線Cの傾きが、所定の閾値を示す直線D1の傾きより小さいため、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が算出した一定の加速度が所定の閾値以下であると判定する。そして、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、現在の車両の速度よりも高い速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを算出せずに、現在の車両の速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを疑似エンジン音生成部9に出力する。
例えば、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、環境情報取得部11が取得した環境情報に含まれる道路環境が、車両が走行中の道路が高速道路であることを示している場合、直線D2の傾きが示す所定の閾値を選択し、速度加速度予測部13が算出した一定の加速度が当該所定の閾値を超えるか否か判定する。
図9Bの例では、一定の加速度を示す予測線Cの傾きが、所定の閾値を示す直線D2の傾きより小さいため、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が算出した一定の加速度が所定の閾値以下であると判定する。そして、例えば、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、現在の車両の速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを疑似エンジン音生成部9に出力する。
例えば、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、環境情報取得部11が取得した環境情報に含まれる道路環境が、車両が走行中の道路が所定の時間後に渋滞することを示している場合、直線D3の傾きが示す所定の閾値を選択し、速度加速度予測部13が算出した一定の加速度が当該所定の閾値を超えるか否か判定する。
図9Cの例では、一定の加速度を示す予測線Cの傾きが、所定の閾値を示す直線D3の傾きより大きいため、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が算出した一定の加速度が所定の閾値を超えると判定する。そして、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、現在の車両の速度よりも高い速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを算出する。
以上のような当該第2の具体例の構成によれば、環境情報に応じた疑似エンジン音の制御が可能になる。
以下で、実施の形態1に係る疑似エンジン音生成パラメータ算出部14による疑似エンジン音生成パラメータ算出方法の第3の具体例について説明する。上述のように、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、環境情報取得部11が取得した環境情報にさらに基づいて、疑似エンジン音生成パラメータを算出してもよい。
例えば、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が予測した速度又は加速度に基づいて、所定の時間T後の車両の到達地点を算出する。そして、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が予測した速度が、環境情報取得部11が取得した環境情報が示す当該到達地点における法定速度を超えるか否かを判定する。そして、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が予測した速度が法定速度を超えると判定した場合、現在の車両の速度よりも高い速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを算出する。
より具体的には、例えば、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が予測した速度が法定速度を超えると判定した場合、現在の車両のエンジントルク又はエンジン回転数等により得られる車両の速度よりも高い速度に対応する疑似エンジン音を規定する疑似エンジン音生成パラメータを算出する。そのように算出された疑似エンジン音生成パラメータに基づいた疑似エンジン音により、車両の速度が高くなりすぎる前に、車両が実速度より高い速度で走行していると運転者に錯覚させることによって、自然に車両の速度を減速するように誘導することができる。
または、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が予測した速度が、環境情報取得部11が取得した環境情報が示す当該到達地点における下限法定速度以下であるか否かを判定する。そして、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が予測した速度が下限法定速度以下であると判定した場合、現在の車両の速度よりも低い速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを算出する。そのように算出された疑似エンジン音生成パラメータに基づいた疑似エンジン音により、車両の速度が低くなりすぎる前に、車両が実速度より低い速度で走行していると運転者に錯覚させることによって、自然に車両を加速するように誘導することができる。
疑似エンジン音生成パラメータ算出部14が疑似エンジン音生成パラメータを算出する際に用いる所定の時間T後の環境情報の例として、交通量の多い交差点、事故多発地帯、又は目的地に向かう曲がり角、に関する道路環境情報等が挙げられる。
または、例えば、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、環境情報取得部11が取得した環境情報が、現在の天候が雨天であることを示す場合、環境情報取得部11が取得した環境情報が、天候が晴天であることを示す場合において算出する疑似エンジン音生成パラメータが対応する車両の速度よりも高い速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを算出する。つまり、天候が雨天である場合、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、晴天時に算出する疑似エンジン音生成パラメータよりも大きい値の疑似エンジン音生成パラメータを算出する。そのように算出された疑似エンジン音生成パラメータに基づいた疑似エンジン音により、雨天時に、運転者に対して実速度より高速度で走行しているという錯覚を与えることができる。
または、例えば、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、環境情報取得部11が取得した環境情報が、現在の天候が雨天であることを示す場合、疑似エンジン音生成パラメータとして算出した基本周波数とは異なる周波数をさらに算出し、疑似エンジン音生成部9にさらに出力する。そして、疑似エンジン音生成部9は、当該異なる周波数に基づいた音声信号を、疑似エンジン音生成パラメータに基づいて生成した疑似エンジン音の音声信号に追加する。そのように生成された音声信号に基づいた疑似エンジン音により、雨天時において、晴天時よりも注意して運転するように運転者を誘導することができる。
以上のように、実施の形態1に係るマイコン5(疑似エンジン音制御装置)は、現在から所定の時間後の車両の速度又は加速度を予測する速度加速度予測部13と、速度加速度予測部13が予測した速度又は加速度に基づいて、車両の疑似エンジン音を規定する疑似エンジン音生成パラメータを算出する疑似エンジン音生成パラメータ算出部14と、を備えている。
上記の構成によれば、予測した速度又は加速度に基づいて疑似エンジン音を出力することができるため、車両の走行状態が特定の走行状態に変化する前に疑似エンジン音を変更することができる。
例えば、上述の特許文献1に記載のエンジン音出力装置のように、現在の車両の速度又は加速度に基づいて疑似エンジン音を変更する従来の技術では、車両の速度又は加速度が特定の速度又は加速度に変化してからでなくては疑似エンジン音が変更されないため、ユーザに対する注意の喚起が遅れてしまうという問題がある。そのため、疑似エンジン音を急激に変更する必要が生じるという問題がある。そして、急激に疑似エンジン音が変更された場合、ユーザに違和感を与えてしまう。
しかし、実施の形態1に係るマイコン5の上記の構成によれば、車両の走行状態が特定の走行状態に変化する前に疑似エンジン音を変更することができるため、例えば、前もって、ユーザに対する注意の喚起を行うことができる。よって、上述の特許文献1に記載のエンジン音出力装置のように、疑似エンジン音を急激に変更する必要がない。従って、運転者に違和感を与えることなく、車両の走行状態を好ましい走行状態に誘導することができる。また、これにより、運転者が急激に車両の速度を変更することを抑制することもできる。
また、実施の形態1に係るマイコン5は、車両の外部の環境に関する環境情報を取得する環境情報取得部11をさらに備え、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、環境情報取得部11が取得した環境情報にさらに基づいて、疑似エンジン音生成パラメータを算出する。
上記の構成によれば、疑似エンジン音生成パラメータが環境情報にさらに基づくことにより、車両の走行状態が特定の走行状態に変化する前に、車両の外部の環境に応じて疑似エンジン音を出力することができる。
また、実施の形態1に係るマイコン5における疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が予測した速度又は加速度が所定の閾値を超えるか否かを判定し、速度加速度予測部13が予測した速度又は加速度が所定の閾値を超えると判定した場合、現在の車両の速度よりも高い速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを算出する。
上記の構成によれば、所定の閾値を適宜設定することにより、車両の速度が高くなりすぎる前に、適切なタイミングで、運転者が車両の速度を減速するように誘導することができる。
また、実施の形態1に係るマイコン5における速度加速度予測部13は、現在の車両の速度と、予測した所定の時間後における車両の速度とに基づいて、現在から所定の時間後までの車両の一定の加速度を算出し、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が算出した一定の加速度が所定の閾値を超えるか否か判定し、前記速度加速度予測部が算出した一定の加速度が所定の閾値を超えると判定した場合、現在の車両の速度よりも高い速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを算出する。
上記の構成によれば、所定の閾値を適宜設定することにより、一定の加速度に基づいて判定を好適に行うことができる。よって、当該判定に基づき、車両の速度が高くなりすぎる前に適切なタイミングで、運転者が車両の速度を減速するように誘導することができる。
また、実施の形態1に係るマイコン5における疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、速度加速度予測部13が予測した速度又は加速度が所定の閾値以下であるか否かを判定し、速度加速度予測部13が予測した速度又は加速度が所定の閾値以下であると判定した場合、現在の車両の速度よりも低い速度に対応する疑似エンジン音生成パラメータを算出する。
上記の構成によれば、所定の閾値を適宜設定することにより、車両の速度が低くなりすぎる前に、適切なタイミングで、運転者が車両の速度を加速するように誘導することができる。
また、実施の形態1に係るマイコン5における疑似エンジン音生成パラメータ算出部14は、環境情報取得部11が取得した環境情報に基づいて、判定に用いる所定の閾値を変更する。
上記の構成によれば、環境情報に基づいて変更した所定の閾値を用いて判定を行うことにより、車両の走行状態が特定の走行状態に変化する前に、車両の外部の環境に応じた適切なタイミングで、車両の走行状態を好ましい走行状態に誘導し得る。
また、実施の形態1に係るマイコン5における速度加速度予測部13は、環境情報取得部11が取得した環境情報にさらに基づいて、現在から所定の時間後の車両の速度又は加速度を予測する。
上記の構成によれば、車両の外部の環境に応じて速度又は加速度を予測することができる。
また、実施の形態1に係るマイコン5における速度加速度予測部13は、所定の時間Tを変更する。
上記の構成によれば、適宜、車両の速度若しくは加速度、又は環境情報等の、車両の走行状態に関する情報に基づいて所定の時間Tを変更することにより、車両の走行状態又は環境情報等に応じた、車両の速度又は加速度の予測を行うことができる。よって、当該予測に基づいて、車両の走行状態が特定の走行状態に変化する前に疑似エンジン音を好適に変更することができる。
また、実施の形態1に係る疑似エンジン音生成システム100は、疑似エンジン音生成パラメータ算出部14が算出した疑似エンジン音生成パラメータに基づいて、車両の疑似エンジン音の音声信号を生成する疑似エンジン音生成部9を備えている。
上記の構成によれば、生成した音声信号に基づいて、車両の走行状態が特定の走行状態に変化する前に疑似エンジン音を変更することができる。
また、実施の形態1に係る疑似エンジン音制御プログラムは、現在から所定の時間後の車両の速度又は加速度を予測する速度加速度予測部13、及び、速度加速度予測部13が予測した速度又は加速度に基づいて、車両の疑似エンジン音を規定する疑似エンジン音生成パラメータを算出する疑似エンジン音生成パラメータ算出部14、としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
上記の構成によれば、当該プログラムを実行することにより、上述の疑似エンジン音制御装置であるマイコン5が奏する効果と同様の効果を奏することができる。
なお、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。