JP7470277B1 - 積層体及び積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、折り曲げ後の酸素バリア性、密着性、耐ブロッキング性及びラミネート強度に優れた積層体を提供することを目的とする。【解決手段】基材、アンカーコート層、及びバリア層をこの順で有する積層体であって、前記アンカーコート層が、ウレア結合を有するウレタン樹脂(A)を含み、前記ウレタン樹脂(A)のウレア結合濃度が、0.1~1.3mmol/gであり、前記バリア層が、親水性樹脂を含む、積層体。 アンカーコート層が、ウレタン樹脂(A)とイソシアネート系硬化剤とからなる硬化物を含む、前記の積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、積層体及び積層体の製造方法に関する。
従来、食品包装材料等の酸素バリア性が要求される材料には、アルミニウム箔及びアルミニウム蒸着を施したプラスチックフィルムや紙が多く用いられてきた。しかしながら、近年、環境問題等もあり包装材料には薄膜化、ラミネートの簡素化、リサイクル性等が強く要求されているため、脱アルミニウムの動きが強まっている。
また、プラスチックフィルム上にコーティングによりPVDC(ポリ塩化ビニリデン)層が形成された熱可塑性樹脂フィルムは、低湿度下だけでなく高湿度下においても高い酸素バリア性を示す上、水蒸気に対するバリア性も高い。しかしながら、このPVDCがコーティングされた熱可塑性樹脂フィルムは、廃棄物処理の際の焼却時に、PVDC中の塩素に起因する塩素ガス及びダイオキシンが発生することにより、環境及び人体に多大な悪影響を与える恐れがあることから、他の材料への移行が望まれている。
塩素を有しないガスバリア性の材料として、ポリビニルアルコールやエチレン-ビニルアルコール共重合体を熱可塑性樹脂フィルムにコーティングしたコートフィルムがよく知られている。特許文献1には、基材/アンカーコート層/バリア層の構成の積層体で、アンカーコート層がポリエステル及びポリイソシアネートを含み、バリア層がポリビニルアルコール樹脂及びエチレン-無水マレイン酸樹脂を含む積層体の記載がある。特許文献2には、基材/アンカーコート層/バリア層の構成の積層体で、アンカーコート層がアクリルポリオール及びポリイソシアネートを含み、バリア層がポリビニルアルコール樹脂を含む積層体の記載がある。特許文献3には、基材/アンカーコート層/バリア層の構成の積層体で、アンカーコート層がポリオール及びポリイソシアネートを含み、バリア層がポリビニルアルコール樹脂を含む積層体の記載がある。特許文献4には、基材/アンカーコート層/バリア層の構成の積層体で、アンカーコート層がウレタンポリオール及びイソシアネート化合物を含み、バリア層がシラン変性ポリビニルアルコール樹脂を含む積層体の記載がある。しかしながら、特許文献1~4いずれについても、対象となる積層体は、使用条件によっては、酸素バリア性、基材密着性、耐ブロッキング性又はラミネート強度のうち、いずれかの特性において問題を有するが、これらの問題を解決する技術については何ら開示されていない。
特開2005-144761号公報 特開2021-194822号公報 特開2020-196791号公報 特開2001-129915号公報
本発明は、折り曲げ後の酸素バリア性、密着性、耐ブロッキング性及びラミネート強度に優れた積層体を提供することを目的とする。
本発明者は前記課題に対して鋭意研究を重ねた結果、以下に記載の積層体を用いることで上記課題を解決することを見出し、本発明を成すに至った。
すなわち本発明は、下記[1]~[11]に関する。
[1]基材、アンカーコート層、及びバリア層をこの順で有する積層体であって、
前記アンカーコート層が、ウレア結合を有するウレタン樹脂(A)を含み、前記ウレタン樹脂(A)のウレア結合濃度が、0.1~1.3mmol/gであり、
前記バリア層が、親水性樹脂を含む、積層体。
[2]アンカーコート層が、ウレタン樹脂(A)とイソシアネート系硬化剤との反応による硬化物を含む、[1]に記載の積層体。
[3]イソシアネート系硬化剤が、脂肪族イソシアネート系硬化剤である、[2]に記載の積層体。
[4]脂肪族イソシアネート系硬化剤が、アダクト型脂肪族イソシアネート系硬化剤である、[3]に記載の積層体。
[5]アンカーコート層が、更に、塩化ビニル系樹脂及び/又はポリビニルアセタール系樹脂を含む、[1]~[4]いずれかに記載の積層体。
[6]アンカーコート層が、更に、無機顔料を含む、[1]~[5]いずれかに記載の積層体。
[7]親水性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂である、[1]~[6]いずれかに記載の積層体。
[8]バリア層が、更に、無機層状フィラーを含む、[1]~[7]いずれかに記載の積層体。
[9]無機層状フィラーが、モンモリロナイト、マイカ、及びカオリンからなる群より選ばれる少なくとも一種である、[8]に記載の積層体。
[10][1]~[9]いずれかの積層体を備える、包装材。
[11]基材、アンカーコート層、及びバリア層をこの順で有する積層体の製造方法であって、
基材上にアンカーコート剤を塗工し、アンカーコート層を形成する工程と、
前記アンカーコート層上に、バリアコート剤を塗工し、バリア層を形成する工程と、を含み、
前記アンカーコート剤が、ウレア結合を有するウレタン樹脂(A)を含み、前記ウレタン樹脂(A)のウレア結合濃度が、0.1~1.3mmol/gであり、
前記バリアコート剤が、親水性樹脂を含む、積層体の製造方法。
本発明により、折り曲げ後の酸素バリア性、密着性、耐ブロッキング性及びラミネート強度に優れた積層体を提供することが可能となった。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、記載する実施形態又は要件の説明は、本発明の実施形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
[積層体]
本発明の積層体は、基材、アンカーコート層、及びバリア層をこの順で有し、前記アンカーコート層が、所定結合濃度のウレア結合を有するウレタン樹脂(A)を含み、前記バリア層が、親水性樹脂を含む。当該積層体は包装材用であることが好ましい。
本発明の積層体は、アンカーコート層を有することにより、基材表面の微細な凹凸を埋めることができ、当該アンカーコート層上にバリア層を形成することで、バリア層が均一となり、かつピンホールの発生を抑制することができる。また、アンカーコート層が、所定結合濃度のウレア結合を有するウレタン樹脂(A)を含むことで、塗膜の凝集力が向上し、加えて、基材への密着性が向上する。更に、バリア層が親水性樹脂を含むことで、当該親水性樹脂とウレア結合を有するウレタン樹脂(A)とが相互作用し、アンカーコート層とバリア層との密着力、及び酸素バリア性等が向上する。これらの効果により、本発明の積層体は、折り曲げ後の酸素バリア性、密着性、耐ブロッキング性、及びラミネート強度に優れる。
折り曲げ後の酸素バリア性、及び密着性向上の観点から、上記アンカーコート層とバリア層との質量比は0.1:1~2:1であることが好ましく、0.15:1~1:1であることがなお好ましく、0.2:1~0.6:1であることが更に好ましい。
積層体の構成は、具体的には、以下の構成を例示することができるが、これらに限定されない。基材1、アンカーコート層、及びバリア層を順次有する構成であることが必須であり、中でも、基材1、アンカーコート層、バリア層及び基材2を順次有する構成であることがより好ましい。なお、以下の構成表示においては、「/」は各層の境界を意味する。接着剤層は従来公知の方法であるドライラミネート及びノンソルラミネートで使用される接着剤で構成されるものに限らず、押し出しラミネートにおける、ポリオレフィン樹脂その他の熱可塑性樹脂層である場合も含まれる。熱可塑性樹脂層は接着剤層の一実施形態であり、少なくともいずれかの層と接着している。
以下において
基材1/アンカーコート層/バリア層/接着剤層/基材2
基材1/アンカーコート層/バリア層/接着剤層/中間基材層/接着剤層/基材2
基材1/アンカーコート層/バリア層/接着剤層/中間基材層/接着剤層(熱可塑性樹脂層)/シーラント
基材1/アンカーコート層/バリア層/接着剤層/中間基材層/接着剤層/中間基材層2/接着剤層/基材2
(4)基材1/アンカーコート層/バリア層/接着剤層(熱可塑性樹脂層)
(5)基材1/アンカーコート層/バリア層/接着剤層(熱可塑性樹脂層)/基材2
(6)基材1/アンカーコート層/バリア層/接着剤層(熱可塑性樹脂層)/中間基材層/接着剤層(熱可塑性樹脂層)/シーラント
(8)基材1/アンカーコート層/バリア層/接着剤層(熱可塑性樹脂層)/中間基材層/接着剤層/基材2
(9)基材1/アンカーコート層/バリア層/印刷層/接着剤層/基材2
ただし、本発明の形態はこれらに限定されない。
上記構成例において、基材1、基材2及び中間基材層は同一でも異なってもよく、位置関係により呼称が決定される。
基材としては、単層でもよく、同一の又は異なるプラスチック基材同士が積層されていてもよく、接着層等を介してプラスチック基材とは異なる基材が積層されていてもよい。また、「プラスチック基材とは異なる基材」は、紙基材等が挙げられ、種類を問わない。また、積層された基材である場合は接着層を含む形態であってもよい。積層させる方法は特に限定されず、共押出製法、熱融着、接着層を介した圧着等、従来公知の方法が挙げられる。
基材1、及び基材2の好ましい態様を以下に示す。
[基材1]
本発明の積層体に使用できる基材1は、特に限定されないが、以下の実施形態であることが好ましい。すなわち、例えば、紙基材として、中質紙、上質紙、含浸紙、ボール紙、クラフト紙が挙げられ、プラスチック基材として、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、ナイロン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セロハン等が挙げられ、上記の複合材料からなる基材も使用することができる。加えて、上記基材に、シリカ、アルミナ、アルミニウム等の無機化合物の蒸着や、ポリエチレンやポリビニルアルコール等のコート処理が施されていてもよく、また、コロナ処理が施されていてもよい。中でも、基材1は、紙基材、又は延伸プラスチック基材であることが好ましい。
基材1の厚みは特に限定されず、包装容器への加工性を考慮すると、好ましくは5μm以上150μm以下であり、より好ましくは10μm以上70μm以下である。
[基材2]
基材2は、特に限定されないが、一実施形態において、ポリオレフィン樹脂、中でもヒートシール性を有するものを好適に使用できる。これに該当する例として、コロナ処理二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、高密度ポリエチレンフィルム(HDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム、リニア低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、溶融塗工で形成されたポリエチレン樹脂膜等が挙げられる。
基材2の厚みは、特に限定されないが、包装容器製造時の加工性の観点から、5~150μmであることが好ましく、10~70μmであることがより好ましい。
[アンカーコート層]
本発明におけるアンカーコート層は、所定結合濃度のウレア結合を有するウレタン樹脂(A)を含む。アンカーコート層は基材1とバリア層との間に位置し、後述のアンカーコート剤により形成することができる。
アンカーコート層の、単位面積当たりの質量は、0.1~5g/mであることが好ましく、0.15~3g/mであることがより好ましく、0.2~1g/mであることが更に好ましい。アンカーコート層の単位面積当たりの質量が上記範囲である場合、折り曲げ時の酸素バリア性及び密着性が良好となる。
<ウレタン樹脂(A)>
ウレタン樹脂(A)は、所定結合濃度のウレア結合を有する。ウレタン樹脂(A)としては、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとからなる末端イソシアネートのウレタンプレポリマーと、ポリアミンのような鎖伸長剤とを反応させることにより得られるウレタンウレア樹脂が挙げられ、好適に用いられる。ただしこの態様に限定されない。
ウレタン樹脂(A)の含有率は、アンカーコート層全質量中、20~90質量%であることが好ましく、40~85質量%であることがより好ましく、60~80質量%であることが更に好ましい。折り曲げ後の酸素バリア性が向上するためである。
ウレタン樹脂(A)のウレア結合濃度は、0.1~1.3mmol/gであり、0.3~1.15mmol/gであることがより好ましく、0.6~0.9mmol/gであることが更に好ましい。また、ウレタン樹脂(A)のウレタン結合濃度は、0.1~1.3mmol/gであることが好ましく、0.3~1.15mmol/gであることがより好ましく、0.6~0.9mmol/gであることが更に好ましい。
上記範囲である場合、折り曲げ後の酸素バリア性、密着性、耐ブロッキング性、及びラミネート強度が良好となる。
(ウレタン結合濃度)
ウレタン結合濃度は次式で表わされる値をいう。
ウレタン樹脂(A)を構成する原料において(NCOモル数/OHモル数)>1の場合は下記(式1)で表される。
(式1)
ウレタン結合濃度(mmol/g)=総水酸基モル数(mmol)/固形分総質量(g)
ここで、総水酸基モル数とはウレタンを形成する反応において用いられるポリオール等の有する水酸基の総モル数をいう。また、総固形分とはウレタン樹脂(A)となる不揮発成分の総質量をいう。
上記において(NCOモル数/OHモル数)<1の場合の場合は下記(式2)で表される。
(式2)
ウレタン結合濃度(mmol/g)=総イソシアネート基モル数(mmol)/固形分総質量(g)
ここで、総イソシアネート基モル数とはウレタンを形成する反応において用いられるポリイソシアネートの有するイソシアネート基の総モル数をいう。
(ウレア結合濃度)
ウレア結合濃度は次式で表わされる値をいう。
上記(NCOモル数/OHモル数)>1の条件で末端イソシアネート基を有するプレポリマーを合成した後にポリアミンで鎖延長し、ウレタン樹脂(A)の末端にアミノ基を有する場合、下記(式3)で表される。
(式3)
ウレア結合濃度(mmol/g)=[総イソシアネート基モル数(mmol)-総水酸基モル数(mmol)]/固形分総質量(g)
上記(NCOモル数/OHモル数)>1の条件で末端イソシアネート基を有するプレポリマーを合成した後にポリアミンで鎖延長し、ウレタン樹脂(A)の末端にイソシアネート基を有する場合、下記(式4)で表される。
(式4)
ウレア結合濃度(mmol/g)=(総アミノ基モル数(mmol))/固形分総質量(g)
ここで総アミノ基モル数とは、末端イソシアネート基を有するプレポリマーと反応させてウレア結合を生成するために用いられるポリアミンの有する、1級又は2級であるアミノ基の総モル数をいう。
また、ウレタン樹脂(A)の質量平均分子量は、10,000~100,000であることが好ましく、20,000~85,000であることがより好ましく、30,000~70,000であることが更に好ましい。ウレタン樹脂(A)の質量平均分子量が上記範囲である場合、折り曲げ後の酸素バリア性が良好となる。
ウレタン樹脂(A)のガラス転移温度は、-80~20℃であることが好ましく、-60~0℃であることがより好ましく、-40~-5℃であることが更に好ましい。ウレタン樹脂(A)のガラス転移温度が上記範囲である場合、折り曲げ後の酸素バリア性が良好となる。
ウレタン樹脂(A)のアミン価は、0.5~20mgKOH/gであることが好ましく、1~15mgKOH/gであることがより好ましい。ウレタン樹脂(A)のアミン価が上記範囲である場合、折り曲げ後の酸素バリア性が良好となる。
ウレタン樹脂(A)の水酸基価は、0.5~30mgKOH/gであることが好ましく、1~20mgKOH/gであることがより好ましい。ウレタン樹脂(A)の水酸基価が上記範囲である場合、折り曲げ後の酸素バリア性が良好となる。
ウレタン樹脂(A)は、ポリエステルポリオール由来の構造単位を含むものが好ましく、その含有率はウレタン樹脂(A)固形分100質量%中、5~80質量%であることが好ましく、30~70質量%であることがより好ましい。ポリエステルポリオール由来の構造単位の含有量が上記範囲である場合、折り曲げ後の酸素バリア性及び耐ブロッキング性が良好となる。
ウレタン樹脂(A)の製造方法に特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。例えばポリオール及びポリイソシアネートからなる末端イソシアネートのウレタンプレポリマーと、ポリアミンと、必要に応じて重合停止剤とを反応させることにより得られるウレタン樹脂が好ましい。
例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを、必要に応じてイソシアネート基に対し不活性な溶媒を用い、更に必要であればウレタン化触媒を用いて、50℃~150℃の温度で反応させ(ウレタン化反応)、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを製造し、次いで、このプレポリマーにポリアミンを10~60℃で反応させてウレタン樹脂を得るプレポリマー法、又は、高分子ポリオールとポリイソシアネートとポリアミン(及び必要に応じて重合停止剤)とを一段で反応させてウレタン樹脂(A)を得るワンショット法等、公知の方法を用いることができる。また、ポリアミンは、ポリオールとポリイソシアネートとのウレタン化反応で使用することもできる。
前記ポリオールとしては、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ひまし油ポリオール、水素添加ひまし油ポリオール、ダイマージオール、水添ダイマージオールが挙げられる。中でもポリエステルポリオールが好ましい。
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、二塩基酸とジオールとのエステル化反応により得られる縮合物が挙げられる。
二塩基酸としては、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、グルタル酸、1、4-シクロヘキシルジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等が挙げられる。中でも、セバシン酸、アジピン酸が特に好ましい。
ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,3,5-トリメチルペンタンジオール、2、4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,12-オクタデカンジオール、1,2-アルカンジオール、1,3-アルカンジオール、1-モノグリセライド、2-モノグリセライド、1-モノグリセリンエーテル、2-モノグリセリンエーテル、ダイマージオール、水添ダイマージオール等が挙げられる。なかでも、分岐構造を有するジオールと二塩基酸からなるポリエステルポリオールが好ましい。分岐構造とは、ジオールに含まれるアルキレン基の水素原子の少なくとも1つがアルキル基によって置換された、アルキル側鎖を有するジオールを意味し、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,4-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール等が挙げられる。これらは、印刷適性、印刷効果、ラミネート強度を向上させるため特に好ましい。
これらのポリエステルポリオールは単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。また、前記ポリエステルポリオールと、ヒドロキシル基を3個以上有するポリオール、及び/又はカルボキシル基を3個以上有する多価カルボン酸とを併用することもできる。
前記ポリエステルポリオールの数平均分子量は、好ましくは500~10,000である。数平均分子量は、(式5)により求められる。ポリエステルポリオールの酸価は1.0mgKOH/g以下であることが好ましく、0.5mgKOH/g以下であることがより好ましい。
(式5)
ポリオールの数平均分子量=1000×56.1×水酸基の価数/水酸基価
ウレタン樹脂(A)の製造において、ポリオールは低分子ジオールを含んでいてもよい。かかる低分子ジオールとしては、分子量50~800のものが好ましく、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,3,5-トリメチルペンタンジオール、2、4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,12-オクタデカンジオール、1,2-アルカンジオール、1,3-アルカンジオール、1-モノグリセライド、2-モノグリセライド、1-モノグリセリンエーテル、2-モノグリセリンエーテル、ダイマージオール、水添ダイマージオール等が挙げられる。
前記ポリイソシアネートとしては、ウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。具体的には例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、ビス-クロロメチル-ジフェニルメタン-ジイソシアネート、2,6-ジイソシアネート-ベンジルクロライドやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネートが挙げられる。これらは3量体となってイソシアヌレート環構造となっていてもよい。これらのポリイソシアネートは単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。中でも好ましくはトリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体である。
前記ポリアミンとしては、以下に限定されるものではないが、分子量500以下が好ましく、ジアミン系、多官能アミン系等のものが挙げられ、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン、p-フェニレンジアミン等のジアミンの他、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等水酸基を有するジアミンも用いることができる。これらのポリアミンは単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。特にウレタン樹脂(A)は、3官能以上の多官能ポリアミン由来の構成単位を含むことが好ましく、多官能ポリアミンは具体的には、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン:(IBPA、3,3’-ジアミノジプロピルアミン)、トリエチレンテトラミン、N-(3-アミノプロピル)ブタン-1,4-ジアミン:(スペルミジン)、6,6-イミノジヘキシルアミン、3,7-ジアザノナン-1,9-ジアミン、N,N’-ビス(3‐アミノプロピル)エチレンジアミンが挙げられる。多官能ポリアミンはアミノ基を3つ有することが好ましい。更にジアミンと併用するこが好ましい。中でも好ましくはイソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミンである。
プレポリマー中のイソシアネート基のモル数に対するポリアミンのアミノ基の合計モル数の比は、1.01~2.00であることが好ましく、1.03~1.06であることがより好ましい。
また、過剰反応停止を目的とした重合停止剤として、一価の活性水素化合物を用いることもできる。かかる化合物としては例えば、1級、2級のアミノ基を有するモノアミン化合物であれば特に限定されないが、ジ-n-ブチルアミン等のジアルキルアミン類や2-エタノールアミン等のアミノアルコール類等が挙げられる。更に、特にウレタン樹脂中にカルボキシル基を導入したいときには、グリシン、L-アラニン等のアミノ酸を重合停止剤として用いることができる。重合停止剤を用いるときには、重合停止剤と鎖延長剤(ポリアミン)とを一緒に使用して鎖延長反応を行ってもよく、また鎖延長剤によりある程度鎖延長反応を行った後に重合停止剤を単独で添加して重合停止を行ってもよい。一方、重合停止剤を用いなくても分子量のコントロールは可能であるが、この場合には鎖延長剤を含む溶液中にプレポリマーを添加する方法が反応制御という点で好ましい。重合停止剤としてはアミノアルコールが好ましく、ウレタン樹脂(A)100質量%に対して0.01~2.0質量%の比率で使用することが好ましい。
前記プレポリマーを製造するにあたり、ポリオール及びポリイソシアネートの量は、ポリイソシアネートのイソシアネート基のモル数と高分子ポリオールの合計の水酸基のモル数との比であるNCO/OH比=1.1~3.0の範囲となるようにすることが好ましい。更に好ましくはNCO/OH比=1.3~2.5である。
また、前記プレポリマーの合成には有機溶剤を用いることが反応制御の面で好ましい。有機溶剤としてはイソシアネート基に対し不活性な有機溶剤が好ましく、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル等のエステル類が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
さらに、前記プレポリマーの合成には触媒を用いることもできる。触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ジメチルアニリン等の3級アミン系の触媒;スズ、亜鉛等の金属系の触媒が挙げられる。これらの触媒は、通常ポリオール化合物に対して0.001~1モル%の範囲で使用される。
<ウレタン樹脂(A)と併用する樹脂>
アンカーコート層を形成するウレタン樹脂(A)は、更に、塩化ビニル系樹脂、及びポリビニルアセタール系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂等の併用樹脂を含むことが好ましい。併用樹脂は、中でも塩化ビニル系樹脂、及び/又はポリビニルアセタール系樹脂であることが好ましく、塩化ビニル系樹脂であることがなお好ましい。
ウレタン樹脂(A)と上記併用樹脂の質量比は3:7~9.9:0.1であることが好ましく、5:5~9.5:0.5であることがなお好ましく、7:3~9:1であることが更に好ましい。
<塩化ビニル系樹脂>
塩化ビニル系樹脂は、不飽和二重結合を有するモノマー(塩化ビニルを除く)及び塩化ビニルモノマーを重合してなる構造を含む。塩化ビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂が好適に挙げられる。
<塩化ビニル-アクリル共重合樹脂>
塩化ビニル-アクリル共重合樹脂は、塩化ビニルとアクリルモノマーとの共重合体を主成分とするものであり、アクリルモノマーは、アクリル基又はメタクリル基を有するモノマーであり、水酸基を有するアクリルモノマーを含むことが好ましい。(以下、「アクリル又はメタクリル」を「(メタ)アクリル」ということがある。)塩化ビニル-アクリル共重合樹脂は、塩化ビニルとアクリルモノマーとのブロック共重合やランダム共重合体でもよいし、ポリ塩化ビニルの側鎖にアクリルモノマーがグラフト化されたグラフト共重合体でもよい。
塩化ビニル-アクリル共重合樹脂の質量平均分子量は、10,000~100,000であることが好ましく、30,000~70,000であることがより好ましい。塩化ビニル-アクリル共重合樹脂のガラス転移温度は、50~90℃であることが好ましく、55~85℃であることがより好ましく、65~80℃であることが更に好ましい。塩化ビニル-アクリル共重合樹脂の水酸酸価は、10~120mgKOH/gであることが好ましく、20~110mgKOH/gであることがより好ましく、30~100mgKOH/gであることが更に好ましく、40~80mgKOH/gであることが特に好ましい。塩化ビニル-アクリル共重合樹脂中の塩化ビニル由来の構造の含有率は、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂固形分100質量%中、70~95質量%であることが好ましい。
水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルが挙げられ、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルや、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のグリコールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルが好ましい。これらは単独又は2種以上を併用できる。
(メタ)アクリルモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含んでもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステル中のアルキル基の炭素数は1~20が好ましい。当該アクリル酸アルキルエステルとしては例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシルが挙げられる。また、上記アルキル基は、アリール基等で置換された芳香環構造を有してもよい。これらは、単独又は2種以上を併用できる。
塩化ビニル-アクリル共重合樹脂としては、例えば、ソルバインAタイプシリーズ(信越化学工業株式会社製)等の市販品を使用することができる。
<塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂>
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂とは、少なくとも塩化ビニルと酢酸ビニルとが共重合した樹脂であり、その質量平均分子量は、5,000~100,000であることが好ましく、20,000~70,000であることがより好ましい。塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂の固形分100質量%中、酢酸ビニルモノマー由来の構造の含有率は、1~30質量%であることが好ましく、塩化ビニルモノマー由来の構造の含有率は、70~95質量%であることが好ましい。また、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂は、有機溶剤への溶解性が向上するため、ケン化反応あるいは共重合に由来するビニルアルコール由来の水酸基を含むものが更に好ましく、その水酸基価は20~200mgKOH/gであることが好ましい。また、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂のガラス転移温度は、50℃~90℃であることが好ましい。
塩化ビニル-アクリル共重合樹脂としては、ソルバインCタイプシリーズ(信越化学工業株式会社製)等の市販品を使用することができる。
<ポリビニルアセタール系樹脂>
ポリビニルアセタール系樹脂は、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒド等のアルデヒドと反応させてアセタール化したものであり、ビニルアルコール単位、酢酸ビニル単位及びアセタール環単位を含むことが好ましい。アセタール化反応には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等の公知のアルデヒドを用いることができ、2種以上のアルデヒドを用いることもできる。
ポリビニルアセタール系樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールが挙げられ、ポリビニルブチラールであることが好ましい。
ポリビニルアセタール系樹脂のアセタール環の含有率は、ポリビニルアセタール系樹脂100質量%中、60~90質量%であることが好ましい。アセタール環の含有率が上記範囲である場合、密着性が向上し、ラミネート強度が良好となる。ポリビニルアセタール系樹脂のビニルアルコール単位の含有率は、ポリビニルアセタール系樹脂100質量%中、5~30質量%であることが好ましく、15~25質量%であることがより好ましい。ビニルアルコール単位の含有率が上記範囲である場合、密着性が向上し、ラミネート強度が良好となる。ポリビニルアセタール系樹脂の酢酸ビニル単位の含有率は、ポリビニルアセタール系樹脂100質量%中、0.5~10質量%であることが好ましく、1~5質量%であることがより好ましい。酢酸ビニル単位の含有率が上記範囲である場合、密着性が向上し、ラミネート強度が良好となる。
ポリビニルアセタール系樹脂の質量平均分子量は、25,000~200,000であることが好ましく、40,000~150,000であることがより好ましく、7,0000~120,000であることがより好ましい。ポリビニルアセタール系樹脂の質量平均分子量が上記範囲である場合、ラミネート強度が良好となる。ポリビニルアセタール系樹脂のガラス転移温度は、50~80℃であることが好ましく、60~75℃であることがより好ましい。ポリビニルアセタール系樹脂のガラス転移温度が上記範囲である場合、ラミネート強度が良好となる。
ポリビニルアセタール系樹脂としては、モビタールシリーズ(クラレ社製、ポリビニルブチラール樹脂)、エスレックKXシリーズ(積水化学工業社製、ポリビニルアセタール樹脂)、ビニレックシリーズ(JNC社製、ポリビニルホルマール)等の市販製品を使用することができる。
<無機顔料>
折り曲げ後の酸素バリア性が向上するため、アンカーコート層は無機顔料を含むことが好ましい。無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛酸化クロム、アルミニウム粒子、マイカ(雲母)、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、シリカ、硫酸バリウム、カオリンクレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられ、シリカ、硫酸バリウム、カオリンクレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムが好ましく、中でもシリカであることが好ましい。
アンカーコート層の中の無機顔料の含有率は、アンカーコート層100質量%中、0.5~15質量%であることが好ましく、1~10質量%であることがより好ましく、3~7質量%であることが更に好ましい。
<イソシアネート系硬化剤>
密着性、ラミネート強度、及び折り曲げ後の酸素バリア性が向上するため、アンカーコート層は、イソシアネート系硬化剤由来の硬化物を含むことが好ましく、すなわち、アンカーコート層を形成するためのアンカーコート剤は、イソシアネート系硬化剤を含むことが好ましい。アンカーコート剤がイソシアネート系硬化剤を含む場合、ウレタン樹脂(A)等と反応する、又はイソシアネート系硬化剤自身で反応することにより、硬化物を形成する。前記硬化物は、ウレタン樹脂(A)とイソシアネート系硬化剤との反応によるものである、すなわち、ウレタン樹脂(A)由来の構造及びイソシアネート系硬化剤由来の構造を有することが好ましい。
イソシアネート系硬化剤としては、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジクロロ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、1,5-テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート系硬化剤;
テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート系硬化剤;
シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式イソシアネート系硬化剤;
上記イソシアネート系硬化剤と多価アルコールとの付加体である、アダクト型イソシアネート系硬化剤;が挙げられる。
中でも、脂肪族イソシアネート系硬化剤が好ましく、アダクト型脂肪族イソシアネート系硬化剤がより好ましく、3官能のアダクト型脂肪族イソシアネート系硬化剤が更に好ましい。
上記多価アルコールとして、1,2-プロピレングリコール(2価)、ジエチレングリコール(2価)、ジプロピレングリコール(2価)、1,3-ブタンジオール(2価)、ネオペンチルグリコール(2価)、トリメチロールプロパン(3価)、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール(3価)、ポリエチレングリコール(多価)、ポリプロピレングリコール(多価)が挙げられ、中でもトリメチロールプロパンが好ましい。3価のアルコールと脂肪族イソシアネート系硬化剤とが反応することで、3官能のアダクト型脂肪族イソシアネートが得られる。アダクト型脂肪族イソシアネート系硬化剤としては例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応物が好適に挙げられる。
イソシアネート系硬化剤としては市販品を使用することができ、例えば、24A-100、22A-75、TPA-100、TSA-100、TSS-100、TAE-100、TKA-100、P301-75E、E402-808、E405-70B、AE700-100、D101、D201、A201H(旭化成社製)、マイテックY260A(三菱化学社製)、コロネート CORONATE HX、コロネート CORONATE HL、コロネート CORONATE L(日本ポリウレタン社製)、デスモデュール N75MPA/X(バイエル社製)が挙げられる。
上記アンカーコート層における、ウレタン樹脂(A)とイソシアネート系硬化剤とからなる硬化物において、ウレタン樹脂(A)由来の構成単位とイソシアネート系硬化剤由来の構成単位との質量比は、99:1~70:30であることが好ましく、98:2~80:20であることがより好ましく、95:5~85:15であることが更に好ましい。
ウレタン樹脂(A)の他に併用樹脂を含有する場合は、ウレタン樹脂及び併用樹脂の合計量と、イソシアネート系化合物と、の質量比は、99:1~70:30であることが好ましく、98:2~80:20であることがより好ましく、95:5~85:15であることが更に好ましい。樹脂とイソシアネート系硬化剤との質量比が上記範囲である場合、折り曲げ後の酸素バリア及び密着性が良好となる。
<添加剤>
アンカーコート層は、公知の添加剤、又は添加剤由来の構造を適宜含むことが好ましい。添加剤としては、例えば、顔料誘導体、分散剤、湿潤剤、接着補助剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、ワックス、シランカップリング剤、水等が挙げられる。
<アンカーコート剤>
上記アンカーコート層を形成するためのアンカーコート剤は、ウレタン樹脂(A)を含む。更に、アンカーコート剤の取り扱い、及び折り曲げ後の酸素バリア性等の向上のために、有機溶剤、併用樹脂、無機顔料、添加剤等の任意成分を、単独又は複数を組み合わせてアンカーコート剤に加えることができる。
アンカーコート剤は、例えば、攪拌羽根、回転翼等を供えた攪拌機に、樹脂を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液、有機溶媒を仕込み、混合、攪拌して得ることができる。撹拌速度としては特に制限されることはなく、50~2000rpmで行うことが可能である。
<有機溶剤>
アンカーコート剤に用いることができる有機溶剤としては、例えば、メチルシクロへキサン、エチルシクロへキサン等の炭化水素系;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン等のケトン系;酢酸エチル、酢酸nプロピル、酢酸ブチル等のエステル系;メタノ-ル、エタノ-ル、プロパノ-ル、イソプロパノ-ル(IPA)、ブタノ-ル等のアルコ-ル系;の非芳香族系有機溶剤が挙げられる。有機溶剤は、印刷後の皮膜に残留する溶剤量低減等を考慮して適宜選択すればよく、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。有機溶剤の含有量は、アンカーコート剤100質量%中、30~95質量%であることが好ましく、50~90質量%であることがより好ましく、70~85質量%であることが特に好ましい。
塗工の一実施形態として、密着性を向上させるために、グリコールエーテル系の溶剤を使用するのが好ましい。グリコールエーテル系の溶剤の溶剤としては、特に制限されないが、例えば、エチレングリコール系エーテル、プロピレングリコール系エーテルが挙げられる。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましく、より好ましくはジエチレングリコールモノエチルエーテルである。グリコールエーテル系の溶剤は、有機溶剤100質量%中、5~25質量%であることが好ましく、5~15質量%であることが特に好ましい。
<アンカーコート層の形成>
アンカーコート層は、例えば、基材1上に、アンカーコート剤を用いて印刷した後、揮発成分を除去することによって形成することができる。印刷方法として、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式、ディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法等従来公知の方法が挙げられるが、グラビア印刷方式が好適であり、例えば、グラビア印刷に適した粘度及び濃度にまで希釈溶剤で希釈され、単独で又は混合されて各印刷ユニットに供給され、塗布される。その後、オーブン等による乾燥によって被膜を定着させることでアンカーコート層を得ることができる。
[バリア層]
本願におけるバリア層は、積層体に酸素バリア性を付与することを目的とし、当該バリア層は、親水性樹脂を含む。バリア層は、後述のバリアコート剤により形成されることが好ましい。
バリア層の単位面積当たりの質量は、0.1~5g/mであることが好ましく、0.3~3g/mであることがより好ましく、0.5~1.5g/mであることが更に好ましい。バリア層の単位面積当たりの質量が上記範囲である場合、折り曲げ後の酸素バリア性及び密着性が良好となる。
<親水性樹脂>
親水性樹脂とは、水と混和する樹脂を指す。親水性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂(エチレンビニルアルコール共重合樹脂である場合を含む)、水性アクリル樹脂、水性スチレン-アクリル樹脂、水性スチレン-マレイン酸樹脂、水性ウレタン樹脂、水性ポリ乳酸樹脂、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びこれらの変性樹脂が挙げられる。これらの親水性樹脂は、単独又は二種以上で用いることができる。上記の中でも、親水性樹脂はポリビニルアルコール系樹脂を含むことが好ましい。
親水性樹脂の含有率は、バリア層全質量中、30~95質量%であることが好ましく、55~90質量%であることがなお好ましく、70~80質量%であることが更に好ましい。折り曲げ後の酸素バリア性が向上するためである。
<ポリビニルアルコール系樹脂>
ポリビニルアルコール系樹脂は、ビニルアルコール単位を有する樹脂であればよく、さらに、エチレン由来の構造単位を含んでいる場合もまた好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン‐ビニルアルコール共重合樹脂が挙げられ、ポリビニルアルコール樹脂及び/又はエチレン‐ビニルアルコール共重合樹脂が好ましく、エチレン‐ビニルアルコール共重合樹脂がより好ましい。
エチレン‐ビニルアルコール共重合樹脂におけるエチレン由来の構造単位の含有率は、1~40モル%であることが好ましく、3~20モル%であることがより好ましく、5~15モル%であることが更に好ましい。エチレン由来の構造単位の含有率が上記範囲である場合、折り曲げ後の酸素バリア性が良好となる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、100~3,000であることが好ましく、500~2,400であることがより好ましい。上記範囲である場合、折り曲げ後の酸素バリア性が良好となる。
ポリビニルアルコール系樹脂は、変性された官能基を有することができ、官能基としてはカルボニル基、ケイ素基等が挙げられ、これらに限定されない。また、ポリビニルアルコール系樹脂は架橋剤で架橋されたものを使用することができ、使用される架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、シランカップリング系架橋剤等の公知の架橋剤が挙げられ、オキサゾリン系架橋剤、シランカップリング系架橋剤が好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂のけん化度は、以下(式6)で表され、80モル%以上であることが好ましく、90モル%であることがより好ましく、95モル%であることが好ましい。上記範囲である場合、酸素バリア性が良好となる。
(式6)
けん化度:(水酸基数)/{(水酸基数)+(酢酸基数)}×100 [モル%]
ポリビニルアルコール系樹脂としては、クラレポバールRシリーズ(クラレ社製、ポリビニルアルコール樹脂)、クラレエバールL104B、F104B(クラレ社製、エチレン‐ビニルアルコール共重合樹脂)等を使用することができる。
<無機層状フィラー>
バリア層は、無機層状フィラーを含むことが好ましい。ここでいう無機層状フィラーとは、単結晶層が重なって層状構造を形成する無機フィラーであり、特に溶媒中で膨潤、及び/又は劈開するものが好ましい。上記親水性樹脂と無機層状フィラーとの質量比率は4:6~9:1であることが好ましく、6:4~8:2であることがなお好ましく、8:2~7:3であることが更に好ましい。上記範囲である場合、折り曲げ後の酸素バリア性が良好となる。
無機層状フィラーの好ましい例としては、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、バーミキュライト、マイカ、パラゴナイト、レピドライト、マーガライト、クリントナイト、アナンダイト、緑泥石、ドンバサイト、スドーアイト、クッケアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト、テトラシリリックマイカ、タルク、パイロフィライト、ナクライト、カオリナイト、ハロイサイト、クリソタイル、ナトリウムテニオライト、ザンソフィライト、アンチゴライト、ディッカイト、ハイドロタルサイト等があり、カオリン、モンモリロナイト、及びマイカからなる群より選ばれる一種以上であることが好ましく、モンモリロナイトであることがより好ましい。モンモリロナイトは、その層状構造に起因した高い吸水性、膨潤後の高い粘性を持つため、層状フィラーの層間に樹脂が入り込みやすく、積層体の酸素バリア性向上に寄与する。
これらの無機層状フィラーは、天然に産するものであっても、人工的に合成又は変性されたものであってもよく、またそれらをオニウム塩等の有機物で処理したものであってもよい。
無機層状フィラーの含有率は、バリア層100質量%中、1~40質量%であることが好ましく、10~35質量%であることがより好ましく、20~30質量%であることが更に好ましい。
<モンモリロナイト>
上記モンモリロナイトは、下記(式7)で示される。また、モンモリロナイトを主成分とし、更に石英や長石等の鉱物を含むベントナイトも好ましく使用することができる。
(式7)
Si(Al2-aMg)O10(OH)・nH
(式7中、Mはナトリウムのカチオンを表し、aは0.25~0.60である。また、層間のイオン交換性カチオンと結合している水分子の数は、カチオン種や湿度等の条件に応じて変わりうるので、式中ではnHOで表す。)
またモンモリロナイトには下記(式8)~(式10)で表される、マグネシアンモンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモンモリロナイトの同型イオン置換体も存在し、これらを用いてもよい。
(式8)
Si(Al1.67-aMg0.5+a)O10(OH)・nH

(式9)
Si(Fe2-a3+Mg)O10(OH)・nH

(式10)
Si(Fe1.67-a3+Mg0.5+a)O10(OH)・nH
(式8~10中、Mはナトリウムのカチオンを表し、aは0.25~0.60である。)
通常、モンモリロナイトはその層間にカチオンを有するが、その含有比率は産地によって異なる。上記イオンとして、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、カリウムイオン等の無機カチオンや、第4級アンモニウムイオン等の有機カチオンが挙げられ、水への親和性の観点から、無機カチオンであることが好ましく、ナトリウムイオン及び/又はカルシウムイオンであることがより好ましい。また、水処理により精製したモンモリロナイトを用いることが好ましい。
モンモリロナイトの体積平均での粒子厚さは、0.05~30nmであることが好ましく、0.1~10nmであることがより好ましく、0.5~3nmであることが更に好ましい。また、ベントナイトの体積平均での粒子長径は、0.01~5μmであることが好ましく、0.05~3μmであることがより好ましく、0.1~1μmであることが更に好ましい。加えて、ベントナイトの体積平均での粒子アスペクト比は、10~2,000であることが好ましく、100~1,000であることがより好ましく、300~700であることが更に好ましい。
なお、本発明において、ベントナイトの粒子厚さ、粒子長径、及び粒子アスペクト比は、原子間力顕微鏡(AFM)で測定できる。
モンモリロナイトとしては、クニピア-F、クニピア-G(クニミネ工業社製)等の市販品を使用することができる。
<カオリン>
カオリンは、カオリナイト(Al・2SiO・HO)又はハロイサイトAl・2SiO・2HOが主成分であり、天然品であっても、合成品であってもよい。また、製造方法の違いにより、乾式カオリン、湿式カオリン、焼成カオリン等があるが、これらに限定されない。
カオリンの体積平均での粒子径は、酸素バリア性の観点から、1~100μmであることが好ましく、3~50μmであることがより好ましく、5~20であることが更に好ましい。また、カオリンの体積平均でのアスペクト比は、10~1,000であることが好ましく、30~500であることがより好ましく、50~200であることが更に好ましい。
なお、本発明において、カオリンの粒子径は、レーザー解析・散乱法によって測定することができ、アスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)で測定することができる。
カオリンとしては、バリサーフHX(イメリス社製)、NNカオリンクレー、STカオリンクレー(竹原化学工業社製)等の市販品を使用することができる。
<マイカ>
マイカは、天然マイカ、合成マイカいずれも使用できる。天然マイカとは、鉱石のマイカ(雲母)を粉砕した鱗片状基材であり、機械粉砕、か焼による劈開等により粒径やアスペクト比をコントロールできる。合成マイカとは、SiO、MgO、Al、KSiF、NaSiF等の工業原料を加熱し、約1500℃の高温で熔融し、冷却して結晶化させて合成したもの等があり、天然のマイカと比較した場合において、不純物が少なく、大きさ及び厚さが均一なものである。具体的には、フッ素金雲母(KMgAlSiO10F)、カリウム四ケイ素雲母(KMg25AlSiO10F)、ナトリウム四ケイ素雲母(NaMg25AlSi10)、Naテニオライト(NaMgLiSiO10F)、LiNaテニオライト(LiMgLiSi10)等が知られている。分散性の観点から、インターカレーションで劈開しやすい合成マイカであることが好ましい。
マイカの体積平均での粒子径は、印刷適性及び酸素バリア性の観点から、30μm以下であることが好ましく、1~25μmであることがより好ましく、5~15μmであることが更に好ましい。またマイカの体積平均でのアスペクト比は、30~200であることが好ましく、70~170であることがより好ましく、100~150であることが更に好ましい。
なお、本発明において、マイカの粒子径は、レーザー解析・散乱法によって測定することができ、アスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)で測定することができる。
マイカとしては、マイカパウダーTMシリーズ、マイカパウダーNCFシリーズ(ヤマグチマイカ社製)、L60M、L100M(セイシン企業社製)等の市販品を使用することができる。
<バリア層に含まれる添加剤>
バリア層は、本発明の効果を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、あるいは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤等公知の添加剤を含むことができる。
<バリアコート剤>
バリアコート層を形成するためのバリアコート剤は、親水性樹脂及び水性溶媒を含むことが好ましい。更に、無機層状フィラーの各成分を単独又はいくつかを組み合わせてコート剤に加えることができ、加えて、バリアコート層に含まれる添加剤を適宜加えることができる。
バリアコート剤は、攪拌羽根、回転翼等を供えた攪拌機に、樹脂を水性溶媒に溶解又は分散させた樹脂溶液、水性溶媒を仕込み、混合、攪拌して得ることができる。撹拌速度としては特に制限されることはなく、50~2000rpmで行うことが可能である。バリアコート剤の取り扱い、酸素バリア性等の向上のために、さらに無機層状フィラー、各種添加剤、及び水性溶媒を適宜追加することもできる。
<水性溶媒>
バリアコート剤は、水性溶媒を含むことが好ましい。水性溶媒の主成分は水であることが好ましいが、水に加えて、親水性有機溶剤を使用できる。具体的には、印刷条件(スピード、版深、デザイン、乾燥温度)に応じて、アルコール系有機溶剤、グリコール系有機溶剤等を含有させることができる。
ここで、本発明において、主成分が水であるとは、水性溶媒中、水の含有量が最も多いことをいう。また、親水性有機溶剤とは、25℃で液体であり、かつ、25℃の水に対する溶解度が1質量%以上であるものを指す。
上記アルコール系有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、ノルマルブタノール、ターシャリブタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール等が挙げられる。
上記グリコール系有機溶剤としては、アセチレンジオール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジピロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジブチルグリコール等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
<バリア層の形成>
バリア層は、例えば、アンカーコート層上に、バリアコート剤を用いて印刷した後、揮発成分を除去することによって形成することができる。印刷方法として、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式、ディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法等従来公知の方法が挙げられるが、グラビア印刷方式が好適であり、例えば、グラビア印刷に適した粘度及び濃度にまで希釈溶剤で希釈され、単独で又は混合されて各印刷ユニットに供給され、塗布される。その後、オーブン等による乾燥によって被膜を定着させることでバリアコート層を得ることができる。
[印刷層]
印刷層は、樹脂及び着色剤を含むことが好ましい。印刷層は、装飾又は美感の付与;内容物、賞味期限、及び、製造者又は販売者の表示等を目的とした、任意の絵柄、パターン、文字、及び記号等を表示する層であることができる。
印刷層は、絵柄、パターン、文字、及び記号等を有しないベタ印刷層であってもよい。印刷層の形成方法は特に制限されず、例えば印刷インキを用いて形成することができる。また、印刷層は、単層構成でも複層構成でもよく、表層に印刷してもよい。
印刷層の単位面積当たりの質量は、0.1~12g/mであることが好ましく、0.5~6g/mであることがより好ましく、1~3g/mであることが更に好ましい。
<印刷層が含む樹脂>
印刷層が含む樹脂は特に制限されず、例えば、ウレタン樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、ロジン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン-マレイン酸共重合樹脂、ポリエステル樹脂等、公知の樹脂を使用することができる。また、これらの樹脂は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
<着色剤>
印刷層、及び印刷層形成に用いられる印刷インキは、着色剤を含むことができる。
着色剤は顔料であることが好ましく、当該顔料は、有機顔料、無機顔料等公知の顔料を使用可能である。顔料等の着色剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
<印刷層が含む添加剤>
印刷層、及び印刷層形成に用いられる印刷インキは、必要に応じて消泡剤、芳香剤、難燃剤、炭化水素ワックス、増粘剤、レベリング剤、分散剤、硬化剤、シランカップリング剤、可塑剤、赤外線吸収剤、及び紫外線吸収剤等の公知の添加剤を含むことができ、炭化水素ワックス、及び分散剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
<印刷インキの製造方法>
印刷層の形成に用いられる印刷インキは、例えば、顔料を樹脂等により分散機を用いて有機溶剤中に分散させ、得られた顔料分散体に樹脂、各種添加剤や有機溶剤等を混合して製造できる。分散機としては一般に使用される、例えばローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルを用いることができる。
<印刷層の形成>
印刷層は、例えば、基材上に、印刷インキを用いて印刷した後、揮発成分を除去することによって形成することができる。印刷方法としてはグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式が好適であり、例えば、グラビア印刷に適した粘度及び濃度にまで希釈溶剤で希釈され、単独で又は混合されて各印刷ユニットに供給され、塗布される。その後、オーブン等による乾燥によって被膜を定着させることで印刷層を得ることができる。
[接着剤層]
本発明の積層体は、各層を接着する目的で接着剤層を含んでいてもよい。接着剤層は、特に限定されることはなく、オレフィン系接着剤、アクリル系接着剤、エチレン-酢酸ビニル共重合系接着剤、反応性ウレタン接着剤等のドライラミネート接着剤及びノンソルラミネート接着剤、イミン系アンカーコート剤、ブタジエン系アンカーコート剤、イソシアネート系アンカーコート剤、押出ラミネートで用いられる熱可塑性樹脂等が好適に挙げられる。なお、接着剤層が、ポリイソシアネートとポリオールからなる反応性ウレタン接着剤の反応物であることが好ましい。
各層を接着(ラミネートともいう)させる方法は特に限定されず、押出ラミネート法、ドライラミネート法、ノンソルラミネート法等、従来公知の方法が挙げられる。
[中間基材層]
本発明の積層体は、剛直性を向上させること等を目的に、中間基材層を有してもよい。中間基材層の具体例としては、基材層同様、原料としてポリオレフィン樹脂を主として含むプラスチック基材であることが好ましい。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、プロピレン単独重合体、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。また、共押出製法による複合基材であってもよい。更に、中間基材は、基材、シーラントと同種(同一)の素材であることがより好ましい。同種(同一)の素材とは、ポリプロピレン同士、ポリエチレン同士等の組み合わせが挙げられる。
[シーラント]
本発明の積層体は、シーラントを有してもよい。シーラントは、内層側の面が被包装物と直接接触し、被包装物を保護する役割を担う。積層体を袋状とするために、シーラントの最内層は、ヒートシール性を有していることが好ましい。
シーラントを構成する材料としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、プロピレン単独重合体、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上の樹脂を用いることができる。
シーラントは、単層で構成されても、2層以上の多層で構成されてもよい。なお、シーラントは、ヒートシールの際の収縮を抑制するために、上記した樹脂からなる無延伸のフィルムであることが好ましい。
[包装材]
本発明の積層体は、軟包装パッケージ、包装袋等の包装材を構成するために好適に使用することができる。本発明の積層体は、単独で包装材に用いてよく、他の材料と組み合わせて用いることもできる。包装材は、包装容器であってもよい。
[積層体の製造方法]
本発明の積層体の製造方法は、基材、アンカーコート層、及びバリア層をこの順で有する積層体の製造方法であり、基材上に、ウレア結合を有するウレタン樹脂(A)を含むアンカーコート剤を塗工し、アンカーコート層を形成する工程と、前記アンカーコート層上に、親水性樹脂を含むバリアコート剤を塗工し、バリア層を形成する工程と、を含む。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部及び%は、特に注釈の無い場合、質量部及び質量%を表す。
<水酸基価>
水酸基価は、試料1gをアセチル化させたとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数であり、JIS K 0070に記載された方法で測定した。
<酸価>
酸価は、試料1g中に含有する遊離脂肪酸、樹脂酸等を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数であり、JIS K 0070に記載された方法で測定した。
<アミン価>
アミン価は、試料1g中に含有するアミノ基を中和するのに必要とする塩酸の当量と同量の水酸化カリウムのmg数であり、JIS K 0070に準拠して測定した。試料を0.5~2g精秤し(試料固形分:Sg)、精秤した試料にメタノール/メチルエチルケトン=60/40(質量比)の混合溶液50mLを加え溶解させた。得られた溶液に指示薬としてブロモフェノールブルーを加え、得られた溶液を0.2mol/Lエタノール性塩酸溶液(力価:f)で滴定を行なった。溶液の色が緑から黄に変化した点を終点とし、この時の滴定量(AmL)を用い、下記(式11)によりアミン価を求めた。
(式11)
アミン価=(A×f×0.2×56.108)/S[mgKOH/g]
<質量平均分子量>
質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置(東ソー株式会社製HLC-8220)を用いて分子量分布を測定し、ポリスチレンを標準物質に用いた換算分子量として求めた。下記に測定条件を示す。
カラム:下記カラムを直列に連結して使用した。
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW2500
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW3000
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW4000
東ソー株式会社製TSKgelguardcolumnSuperAWH
検出器:RI(示差屈折計)
測定条件:カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
<ガラス転移温度(Tg)>
ガラス転移温度は、示差走査熱量測定測定(DSC)により求めた。測定は、株式会社リガク製DSC8231を使用し、測定温度範囲-70~250℃、昇温速度10℃/分の
条件で行った。DSC曲線におけるガラス転移に基づくベースラインシフトの中点(変曲点)をガラス転移温度とした。
<各層における単位面積当たりの質量測定>
<アンカーコート層>
得られた中間積層体における基材1/アンカーコート層の構成部分から、10cm角に5枚切り出し、紙基材から、10cm角に5枚切り出した。それぞれのサンプルの質量を測定し、以下(式12)でアンカーコート層の単位面積当たりの質量を算出した。なお、基材1には、コロナ処理二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(厚み20μm)を使用した。
(式12)
アンカーコート層の単位面積当たりの質量(g/m)=(基材1/アンカーコート層の5サンプルの平均質量)-(基材1の5サンプルの平均質量)
<アンカーコート層以外の層>
アンカーコート層以外の層について、計算式及びサンプルの切り出し箇所が異なる以外は、アンカーコート層と同様の方法で単位面積当たりの質量を算出した。なお、基材2としては、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(厚み30μm)を使用した。
(式13)
バリア層の単位面積当たりの質量(g/m)=(基材1/アンカーコート層/バリア層の5サンプルの平均質量)-(基材1/アンカーコート層の5サンプルの平均質量)
(式14)
接着剤層の単位面積当たりの質量(g/m)=(基材1/アンカーコート層/バリア層/接着剤層/基材2の5サンプルの平均質量)-{(基材1/アンカーコート層/バリア層の5サンプルの平均質量)+(基材2の5サンプルの平均質量)}
(樹脂の合成)
<合成例1>ウレタン樹脂PU1
酢酸エチル 120.6部、3-メチル1,5ペンタンジオール(MPD)とアジピン酸(AdA)の縮合物である、数平均分子量2,000のポリエステルポリオール(以下「MPD/AdA 2000」) 153.7部、3-メチル1,5ペンタンジオール(MPD)とアジピン酸(AdA)の縮合物である、数平均分子量5,000のポリエステルポリオール(以下「MPD/AdA 5000」) 27.9部、数平均分子量700のポリプロピレングリコール(以下「PPG 700」) 12.4部、数平均分子量2000のポリプロピレングリコール(以下「PPG 2000」) 35.0部、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」) 52.3部を混合して、窒素雰囲気下で90℃、5時間反応させて、末端イソシアネートのウレタンプレポリマーを得た。
次いで、イソプロパノール 279.6部、酢酸エチル 299.7部、イミノビスプロピルアミン(以下「IBPA」) 2.1部、イソホロンジアミン(以下「IPDA」)16.6部を攪拌混合し、得られた末端イソシアネートのウレタンプレポリマーを40℃で徐々に添加した。80℃で1時間反応させ、固形分30質量%、ウレア結合濃度0.78mmol/g、アミン価1.3mgKOH/g、質量平均分子量36100のウレタン樹脂PU1の溶液を得た。
<合成例2~5、比較合成例1、2>ウレタン樹脂PU2~7
表1に記載した原料及び配合比を使用した以外は、合成例1と同様の方法で、ウレタン樹脂PU2~7を得た。なお、使用した原料は以下の通りである。
・NPG/AdA 2000:ネオペンチルグリコール(NPG)とアジピン酸(AdA)の縮合物である、数平均分子量2,000のポリエステルポリオール
・MPO/AdA 2000:2-メチル-1,3-プロパンジオール(MPO)とアジピン酸(AdA)の縮合物である、数平均分子量2,000のポリエステルポリオール
・MPO/AdA 5000:2-メチル-1,3-プロパンジオール(MPO)とアジピン酸(AdA)の縮合物である、数平均分子量5,000のポリエステルポリオール
・1,4-BD:4-ブタンジオール
・AEA:N-(2-アミノエチル)エタノールアミン
・DBA:ジブチルアミン
・2EtAm:2-アミノエタノール
(アンカーコート剤の製造)
<製造例1>アンカーコート剤AC1
ウレタン樹脂PU1溶液47部、塩化ビニル-酢酸ビニル樹脂PVC1(水酸基価:154mgKOH/g、質量平均分子量:28,000、ガラス転移温度:78℃、固形分質量%=25%) 15部、シリカ粒子S1(水澤化学工業社製、ミズカシルP-707、平均粒子径(レーザー散乱法):4μm、吸油量:250ml/100g、固形分質量%=100%) 1部、塩素化ポリプロピレン(日本製紙社製、スーパークロン390S、固形分質量%=50%) 1部、脂肪酸アミド溶液(ラウリン酸アミド、固形分質量%=50%) 0.5部、混合溶剤(酢酸ノルマルプロピル(NPAC)/イソプロピルアルコール(IPA)=7/3) 30.5部、プロピレングリコールモノメチルエーテル 3部、水2部、を混合し、ビーズミルで20分間分散して顔料分散体を得た。得られた顔料分散体に、水20部を攪拌混合し、アンカーコート剤AC1を得た。
<製造例2~9、比較製造例1、2>アンカーコート剤AC2~11
表2に記載した原料及び配合比を使用した以外は、製造例1と同様の方法で、アンカーコート剤2~11を得た。なお、使用した原料の性状は以下の通りである。
・塩化ビニル-アクリル共重合樹脂(PVC2):水酸基価:59mgKOH/g、質量平均分子量:45,000、ガラス転移温度:69℃、固形分質量%=25%
・ポリビニルブチラール樹脂(PVAc1):クラレ社製、モビタールB20H、固形分質量%=25%
・ポリビニルアセタール樹脂(PVAc2):積水化学工業社製、エスレックKX-5固形分質量%=25%
・シリカ粒子(S2):WRグレイス社製、SYLOID ED 40、固形分質量%=100%
(硬化剤)
実施例で使用する硬化剤H1~H5を表3に示す。
(バリアコート剤の製造)
<製造例10>バリアコート剤V1
ポリビニルアルコール系樹脂PVA1(クラレ社製、エクセバールAQ-4104、エチレンビニルアルコール樹脂、エチレン含有率:6モル%、固形分質量%=100%) 6部、混合溶剤(水/IPA=8/2) 92部を攪拌しながら加熱し、95℃で1時間、加熱攪拌を継続し、その後、加熱を停止して、常温に戻るまで攪拌を継続し、ポリビニルアルコール系樹脂PVA1水溶液を得た。前記ポリビニルアルコール樹脂PVA1水溶液にモンモリロナイト(膨潤性、粒子アスペクト比:500、粒子厚み:1μm、粒子広がり:500nm、固形分質量%=100%) 2部を加え、混合攪拌することで、バリアコート剤V1を得た。
<製造例11~17、比較製造例3>バリアコート剤V2~V10
表4に記載した原料及び配合比を使用した以外は、製造例10と同様の方法で、バリアコート剤V2~10を得た。なお、使用した原料の性状は以下の通りである。
・ポリビニルアルコール系樹脂PVA2:クラレ社製、クラレポバール28-98、ポリビニルアルコール、固形分質量%=100%
・ポリビニルアルコール系樹脂PVA3:積水化学社製、ULTILOC5003、アミン変性ポリビニルアルコール、固形分質量%=100%
・アクリル樹脂A1:日本触媒社製、アクアリックHL415、質量平均分子量10000、固形分質量%=45%
・ベントナイト:BYK社製、CLOISITE-Na+、
・マイカ:非膨潤性、アスペクト比130、平均粒子径(レーザー散乱法):11μm、吸油量:42g/100g、固形分質量%=100%
・カオリン:林化成社製、Hydrite SB100、平均粒子径(レーザー散乱法):1.2μm、固形分質量%=100%
(積層体の製造)
<実施例1>中間積層体p1、積層体P1
アンカーコート剤AC1 100部を、混合溶剤(イソプロピルアルコール/酢酸エチル)でザーンカップ#3(離合社製)15秒(25℃)になるように希釈したのち、硬化剤H1 3部を加え混合攪拌した。また、バリアコート剤V1 100部を、混合溶剤(イソプロピルアルコール/水)でザーンカップ#3(離合社製)16秒(25℃)になるように希釈した。その後、コロナ処理二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(厚み20μm)のコロナ処理された面上の全面に対し、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて、印刷速度50m/分、インラインオーブン60℃の条件下で、希釈して硬化剤H1を加えたアンカーコート剤AC1を印刷してアンカーコート層を形成し、アンカーコート層上対し、版の片側半分に非画像部を有する版深60μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて、印刷速度50m/分、インラインオーブン60℃の条件下で、希釈したバリアコート剤V1を3度印刷してバリア層を形成し、OPP(基材1)/アンカーコート層/バリア層の構成である中間積層体p1を得た。次いで、ドライラミネート機を用いて、中間積層体p1のバリア層上に、ポリエーテル系反応性ウレタン接着剤(東洋モートン社製「TM-340V/CAT-29B」)を塗工し、オーブンにて溶剤を乾燥し接着剤層を形成した後、接着剤層上に、ライン速度40m/分にて、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(厚み30μm)を貼り合わせ、40℃で1日間保温し、OPP(基材1)/アンカーコート層/バリア層/接着剤層/CPP(基材2)構成である積層体P1を得た。積層体P1のアンカーコート層の単位面積当たりの質量は0.4g/m、バリア層の単位面積当たりの質量は1.0g/m、接着剤層の単位面積当たりの質量は2.5g/mであった。
<実施例2~22、比較例1~6>中間積層体p2~28、積層体P2~28
表5及び6に記載した原料を使用し、単位面積当たりの質量を調整した以外は、実施例1と同様の方法で、中間積層体p2~28、積層体P2~28を得た。
(評価)
上記実施例及び比較例で得られた積層体を用いて、以下の評価を行った。結果を表5及び6に示す。
<密着性>
得られた中間積層体に対し、15mm幅×200mmセロハンテープを貼り付け、これを急速に剥がしたときのバリア層の状況を以下の基準で評価した。なお、3~5が実用上問題ない範囲である。
《評価基準》
5:100面積%のバリア層が残った。
4:80面積%以上、100面積%未満のバリア層が残った。
3:50面積%以上、80面積%未満のバリア層が残った。
2:30面積%以上、50面積%未満のバリア層が残った。
1:30%未満のバリア層が残った。
<耐ブロッキング性>
得られた中間積層体を40mm角に2枚切り出し、1枚の積層体片の基材1面と、もう1枚の積層体片のバリア層面を完全に重ね、温度40℃、湿度80%RH、荷重100N/cmの環境下で圧着した。24時間静置したのち、2枚重ねた包装材同士を剥離し、印刷層の剥離状態を目視で観察し、下記基準にて評価した。なお、3~5が実用上問題ない範囲である。
《評価基準》
5:基材1面へのバリア層の転移量が5面積%未満である。
4:基材1面へのバリア層の転移量が5面積%以上、10面積%未満である。
3:基材1面へのバリア層の転移量が10面積%以上、25面積%未満である。
2:基材1面へのバリア層の転移量が25面積%以上、50面積%未満である。
1:基材1面へのバリア層の転移量が50面積%以上である。
<ラミネート強度>
得られた積層体について長さ150mm、幅15mmに切り出し、引っ張り試験機を用いて90°方向のラミネート強度を測定し、下記基準にて評価した。なお、3~5が実用上問題ない範囲である。
《評価基準》
5:1.5N/15mm以上
4:1.0N/15mm以上、1.5N/15mm未満
3:0.8N/15mm以上、1.0N/15mm未満
2:0.5N/15mm以上、0.8N/15mm未満
1:0.5N/15mm未満
<折り曲げ後の酸素バリア性>
得られた積層体を100mm角に切り出し、基材2面同士が重なるように折り曲げ、折り曲げ部に対して、1kg/m、5秒の条件で荷重した。折り曲げ部を3mm角に切り出し、JIS K 7126-2:2006に準拠した方法で酸素透過度測定を行い、下記基準にて評価した。なお、3~5が実用上問題ない範囲である。
《評価基準》
5:酸素透過度が100g/m・24h未満である。
4:酸素透過度が100g/m・24h以上、1000g/m・24h未満である。
3:酸素透過度が1000g/m・24h以上、1500g/m・24h未満である。
2:酸素透過度が1500g/m・24h以上、2000g/m・24h未満である。
1:酸素透過度が2000g/m・24h以上である。
上記結果から、比較例1は、アンカーコート層を有しないため、折り曲げ後の酸素バリア性、密着性、耐ブロッキング性、及びラミネート強度が不良であった。比較例2は、バリア層を有しないため、折り曲げ後の酸素バリア性が不良であった。比較例3は、アンカーコート層がウレア結合を有するウレタン樹脂(A)を含まないため、折り曲げ後の酸素バリア性及び耐ブロッキング性が不良であった。比較例4は、ウレタン樹脂(A)のウレア結合濃度が、0.1mmol/g未満であったため、折り曲げ後の酸素バリア性、密着性、耐ブロッキング性、及びラミネート強度が不良であった。比較例5は、ウレタン樹脂(A)のウレア結合濃度が、1.3mmol/g超であったため、折り曲げ後の酸素バリア性、密着性、及びラミネート強度が不良であった。比較例6は、バリア層が親水性樹脂を含まないため、折り曲げ後の酸素バリア性、密着性、耐ブロッキング性、及びラミネート強度が不良であった。
一方実施例は、アンカーコート層及びバリア層を有し、前記アンカーコート層が0.1~1.3mmol/gのウレア結合濃度を有するウレタン樹脂(A)を含み、前記バリア層が親水性樹脂を含むため、折り曲げ後の酸素バリア性、密着性、耐ブロッキング性及びラミネート強度が良好であった。

Claims (11)

  1. 基材、アンカーコート層、及びバリア層をこの順で有する積層体であって、
    前記アンカーコート層が、ウレア結合を有するウレタン樹脂(A)を含み、前記ウレタン樹脂(A)のウレア結合濃度が、0.1~1.3mmol/gであり、
    前記バリア層が、親水性樹脂を含む、積層体。
  2. アンカーコート層が、ウレタン樹脂(A)とイソシアネート系硬化剤との反応による硬化物を含む、請求項1に記載の積層体。
  3. イソシアネート系硬化剤が、脂肪族イソシアネート系硬化剤である、請求項2に記載の積層体。
  4. 脂肪族イソシアネート系硬化剤が、アダクト型脂肪族イソシアネート系硬化剤である、請求項3に記載の積層体。
  5. アンカーコート層が、更に、塩化ビニル系樹脂及び/又はポリビニルアセタール系樹脂を含む、請求項1又は2に記載の積層体。
  6. アンカーコート層が、更に、無機顔料を含む、請求項1又は2に記載の積層体。
  7. 親水性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂である、請求項1又は2に記載の積層体。
  8. バリア層が、更に、無機層状フィラーを含む、請求項1又は2に記載の積層体。
  9. 無機層状フィラーが、モンモリロナイト、マイカ、及びカオリンからなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項8に記載の積層体。
  10. 請求項1又は2に記載の積層体を備える、包装材。
  11. 基材、アンカーコート層、及びバリア層をこの順で有する積層体の製造方法であって、
    基材上にアンカーコート剤を塗工し、アンカーコート層を形成する工程と、
    前記アンカーコート層上に、バリアコート剤を塗工し、バリア層を形成する工程と、を含み、
    前記アンカーコート剤が、ウレア結合を有するウレタン樹脂(A)を含み、前記ウレタン樹脂(A)のウレア結合濃度が、0.1~1.3mmol/gであり、
    前記バリアコート剤が、親水性樹脂を含む、積層体の製造方法。
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