JP2024057632A - 包装材及びその製造方法 - Google Patents

包装材及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2024057632A
JP2024057632A JP2022164390A JP2022164390A JP2024057632A JP 2024057632 A JP2024057632 A JP 2024057632A JP 2022164390 A JP2022164390 A JP 2022164390A JP 2022164390 A JP2022164390 A JP 2022164390A JP 2024057632 A JP2024057632 A JP 2024057632A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
surface protective
protective layer
packaging material
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022164390A
Other languages
English (en)
Inventor
敦 和泉
裕紀 杉
光 浦辺
ペルール ニシャド
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Artience Co Ltd
Original Assignee
Artience Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Artience Co Ltd filed Critical Artience Co Ltd
Priority to JP2022164390A priority Critical patent/JP2024057632A/ja
Publication of JP2024057632A publication Critical patent/JP2024057632A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Wrappers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、耐折り曲げ性、耐水摩擦性、耐ブロッキング性、及びヒートシール性に優れた包装材を提供することを目的とする。【解決手段】ヒートシール層、紙基材、及び第一の表面保護層を順次有する包装材であって、前記第一の表面保護層が、ウレタン樹脂(A)及び樹脂(B)を含み、樹脂(B)が、ビニル系樹脂、及び/又はセルロース系樹脂を含み、第一の表面保護層の塗工量が、3~20g/m2である、包装材。(ただし、前記樹脂(B)はウレタン樹脂を含まない。)【選択図】なし

Description

本発明は包装材及びその製造方法に関する。
近年、商品パッケージその他の包装物には装飾や表面保護のために印刷が施されているのが一般的である。また、印刷物の意匠性、美粧性、高級感等の印刷品質は、そのでき如何によって、消費者の購入意欲を促進させるものであり、産業上の価値は大きい。
一般的に、包装物は、包装材よりなり、当該包装材の構成には主にプラスチックフィルムが用いられ、透明であるため中身を視認できる使用方法もあり、特にラミネート包装材が用いられることが多かった。例えば、特許文献1においては、基材、印刷層、接着剤層及びシーラント層からなるラミネート包装材であって、印刷層及び接着剤層にバイオマス樹脂が使用された発明が記載されている。しかし、そもそもラミネート包装材は、石油由来プラスチックフィルムの使用量が多い。そのため、環境対応、カーボンニュートラルであり、更にプラスチックの使用量を削減可能な包装材が望まれており、技術開発がなされている。
例えば、特許文献2には、紙基材上に、ウレタン樹脂とビニル系樹脂を含む層を有する保護シートに関する発明が記載されている。しかしながら、当該層の塗布量は、2.6g/mであるため、耐折り曲げ性、及び耐水摩擦性に課題がある。上記課題解決に加え、包装材に求められる耐ブロッキング性、及びヒートシール性を向上させる必要がある。
従って、耐折り曲げ性、耐水摩擦性、耐ブロッキング性、及びヒートシール性を満足できる包装材は未だ見出されていない。
特開2018-051796号公報 特開2021-28168号公報
本発明は、耐折り曲げ性、耐水摩擦性、耐ブロッキング性、及びヒートシール性を同時に満足できる包装材及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は前記課題に対して鋭意研究を重ねた結果、以下に記載の包装材を用いることで上記課題を解決することを見出し、本発明を成すに至った。
すなわち本発明は、ヒートシール層、紙基材、及び第一の表面保護層を順次有する包装材であって、
前記第一の表面保護層が、ウレタン樹脂(A)及びウレタン樹脂(A)以外の樹脂(B)を含み、
前記樹脂(B)が、ビニル系樹脂、及び/又はセルロース系樹脂を含み、
第一の表面保護層の塗工量が、3~20g/mである、包装材に関する。
また、本発明は、ウレタン樹脂(A)以外の樹脂(B)が、ビニル系樹脂であり、前記ビニル系樹脂が、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種である、上記包装材に関する。
また、本発明は、JIS K 7244-4によって測定された、25℃における第一の表面保護層の弾性率が、1.0×10~1.5×10Paである、上記包装材に関する。
また、本発明は、JIS K 7244-4によって測定された、25℃における第一の表面保護層の損失係数が、0.1~0.7である、上記包装材に関する。
また、本発明は、ヒートシール層が、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂(E)からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、上記包装材に関する。
また、本発明は、ウレタン樹脂(A)が、ポリエステル由来の構造単位を含む、上記包装材に関する。
また、本発明は、 ウレタン樹脂(A)が、全アミン価(mgKOH/g)1以上10未満のウレタン樹脂(A1)、及び全アミン価(mgKOH/g)10以上20以下のウレタン樹脂(A2)を含む、上記包装材に関する。
また、本発明は、包装材が、更に、第二の表面保護層を有し、包装材の層構成が、ヒートシール層、紙基材、第一の表面保護層、及び第二の表面保護層の順である、上記包装材に関する。
また、本発明は、第二の表面保護層が、セルロース系樹脂を含む、上記包装材に関する。
また、本発明は、第二の表面保護層が、更に、ポリアミド樹脂を含む、上記包装材に関する。
また、本発明は、ヒートシール層、紙基材、及び第一の表面保護層を順次有する包装材の製造方法であって、
紙基材の一方の面に、ヒートシール剤をグラビア印刷してヒートシール層を形成する工程と、
紙基材の他方の面に、ウレタン樹脂(A)及びウレタン樹脂(A)以外の樹脂(B)を含む第一のオーバーコート剤をグラビア印刷して、塗工量3~20g/mの第一の表面保護層を形成する工程と、
を含む、包装材の製造方法に関する。
本発明により、耐折り曲げ性、耐水摩擦性、耐ブロッキング性、及びヒートシール性に優れた包装材を提供することが可能となった。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の例であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
なお、以下の説明において「部」は特に断らない限り「質量部」、「%」は「質量%」を示す。また、包装材を「積層体」と記載する場合があるが同義である。
また、「印刷インキ」とは、印刷層を形成するための顔料その他の着色剤を含有するインキをいう。「第一のオーバーコート剤」とは、第一の表面保護層を形成するための、顔料その他の着色剤を含有しないコート剤をいうが、意図せず混入した僅かな着色剤等を排除するものではない。「第二のオーバーコート剤」とは、第二の表面保護層を形成するための、顔料その他の着色剤を含有しないコート剤をいうが、意図せず混入した僅かな着色剤等を排除するものではない。
[包装材]
本発明の包装材は、ヒートシール層、紙基材、及び第一の表面保護層を順次有する包装材であって、
前記第一の表面保護層が、ウレタン樹脂(A)及びウレタン樹脂(A)以外の樹脂(B)(以下、樹脂(B)ともいう。)を含み、
前記樹脂(B)がビニル系樹脂、及び/又はセルロース系樹脂を含み、
第一の表面保護層の塗工量が、3~20g/mである。
[第一の表面保護層]
本願で用いられる第一の表面保護層は、ウレタン樹脂(A)の柔軟性により、包装材を折り曲げた際に塗膜中のクラック発生を抑制でき、耐折り曲げ性に優れる。また、樹脂(B)の強靭性により、塗膜が水に濡れた状態で摩擦されても、塗膜の損傷を抑制することができ、耐水摩擦性に優れる。加えて、塗工量を上記範囲とすることで、紙基材上に均一でクラック等のない塗膜を形成することができ、耐折り曲げ性及び耐水摩擦性に優れるものである。本願の第一の表面保護層は、ウレタン樹脂(A)及び樹脂(B)を含み、紙基材のヒートシール層を具備した面の反対側に位置する。第一の表面保護層は、第一のオーバーコート剤により形成することができる。
第一の表面保護層の塗工量は、3~20g/mであり、6~17g/mであることがより好ましく、10~14g/mであることが特に好ましい。上記範囲である場合、耐折り曲げ性、及び耐水摩擦性が良好となる。
25℃における、第一の表面保護層の弾性率は、1×10~1.1×10Paであることが好ましく、2×10~7×10Paであることがより好ましく、2.5×10~5×10Paであることが更に好ましい。上記範囲である場合、耐水摩擦性が良好となる。
25℃における、第一の表面保護層の損失係数は、0.15~0.65であることが好ましく、0.35~0.55であることがより好ましい。損失係数は、下記式記載の通り、弾性率及び粘性率の比を表している。弾性率は塗膜の強靭性と相関があり、粘性率は塗膜の伸縮性と相関があるため、損失係数が上記範囲である場合、塗膜の強靭性と伸縮性のバランスが良好となり、耐水摩擦性及び耐折り曲げ性に優れる。

(式1)
損失係数=(粘性率)/(弾性率)
上記の弾性率、及び損失係数は、JIS K 7244-4に従って測定を行った値である。
<ウレタン樹脂(A)>
ウレタン樹脂(A)は、全アミン価(mgKOH/g)1以上10未満のウレタン樹脂(A1)、及び/又は全アミン価(mgKOH/g)10以上20以下のウレタン樹脂(A2)を含むことが好ましい。好ましい形態として、ウレタン樹脂(A1)及びウレタン樹脂(A2)を含む。
《アミン価の測定》
上記アミン価は、樹脂1g中に含有するアミノ基を中和するのに必要とする塩酸の当量と同量の水酸化カリウムのmg数である。アミン価の測定方法は、下記の通りである。
[アミン価の測定方法]
試料を5~10g精秤(S:試料の固形分質量(g))する。精秤した試料にトルエン25mL及びn-ブタノール25mLを加え充分溶解させる。これに、メタノール30mLを加え、0.1mol/L塩酸水溶液(力価:f)で電位差滴定を行なう。この時の滴定量(AmL)を用い下記式によりアミン価を求めることができる。
(式2)
アミン価=(A×f×0.1×56.108)/S [mgKOH/g]
《全アミン価(mgKOH/g)1以上10未満のウレタン樹脂(A1)》
ウレタン樹脂(A1)は1級アミン、2級アミン、及び3級アミンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含む。全アミン価とは、系中の1級アミン、2級アミン、及び3級アミンのアミン価の総和を指す。ウレタン樹脂(A1)の全アミン価(mgKOH/g)は、1以上10未満であることが好ましく、5~9.5mgKOH/gであることがより好ましく、7~9mgKOH/gであることが更に好ましい。上記範囲である場合、硬化剤添加時でも塗膜の柔軟性が維持できるため、耐折り曲げ性が向上する。
ウレタン樹脂(A1)の1級アミンと2級アミンの合計アミン価は、0.5~7であることが好ましく、1~5であることがより好ましく、1.5~3であることが更に好ましい。上記範囲である場合、硬化剤添加時でも塗膜の柔軟性が維持できるため、耐折り曲げ性が向上する。
ウレタン樹脂(A1)の1級アミンと2級アミンの合計アミン価は、下記式にて算出した。ここで全アミン価は式2より求められる。
(式3)
Figure 2024057632000001
:仕上がり樹脂溶液1gに含まれるi番目のポリアミンの重量 (g)
A3,i:i番目のアミンに含まれる3級アミノ基の数
:i番目のアミンの分子量
W :仕上がり樹脂溶液の不揮発分
ウレタン樹脂(A1)は、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、及びポリオレフィン系ウレタン樹脂等、公知のウレタン樹脂を使用することができるが、ポリエステル系ウレタン樹脂であることが好ましい。
ウレタン樹脂(A1)の水酸基価は、0.1~10mgKOH/gであることが好ましく、0.3~5mgKOH/gであることがより好ましく、0.5~1mgKOH/gであることが更に好ましい。上記範囲である場合、耐水摩擦性が良好となる。
ウレタン樹脂(A1)の酸価は、5mgKOH/g以下であることが好ましく、3mgKOH/g以下であることがより好ましい。酸価はカルボキシ基など酸性基によって与えられるが、最小限の酸価とすることで基材との密着性が良好となる。
ウレタン樹脂(A1)のガラス転移温度は、-20~60℃であることが好ましく、-10~40℃であることがより好ましく、-10~20℃であることが更に好ましい。上記範囲である場合、塗膜の強靭性が向上し、耐水性摩擦性が向上する。
ウレタン樹脂(A1)の重量平均分子量は、10,000~100,000であることが好ましく、15,000~85,000であることがより好ましく、25,000~70,000であることが更に好ましい。上記範囲である場合、塗膜の強靭性が向上し、耐水性摩擦性が向上する。
ウレタン樹脂(A1)の分子量分布(Mw/Mn)は、2.0~8.0であることが好ましく、2.5~7.0であることがより好ましく、3.0~6.0であることが更に好ましい。
《水酸基価の測定》
本願において水酸基価は、樹脂中の水酸基を過剰のアセチル化試薬にてアセチル化し、残存する酸をアルカリで逆滴定して算出した樹脂1g中の水酸基量を、水酸化カリウムのmg数に換算した値で、JIS K 0070に準拠する。
《酸価の測定》
本願において酸価は、樹脂固形分1g中に含有する酸性基を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数であり、JIS K 0070に準拠して測定される。
《ガラス転移温度の測定》
本願においてガラス転移温度は、島津製作所社製DTG-60Aを用いた、熱重量・示差熱同時測定(TG-DTA)により測定した。詳細には、窒素雰囲気下、測定温度範囲-100~200℃、昇温速度1℃/分の条件において、ベースラインシフトにおける変曲点の温度をガラス転移温度とした。
《重量平均分子量の測定》
重量平均分子量(重量平均分子量)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(重量平均分子量/Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定を行い、ポリスチレンを標準物質に用いた換算分子量として求めた。
GPC装置:昭和電工社製 Shodex GPC-104
カラム:下記カラムを直列に連結して使用した。
昭和電工社製 Shodex LF-404 2本
昭和電工社製 Shodex LF-G
検出器:RI(示差屈折計)
測定条件:カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.5mL/分
(ポリエステル系ウレタン樹脂)
ポリエステル系ウレタン樹脂とは、ポリエステル由来の構成単位を有するウレタン樹脂をいう。好ましくはウレア結合を有する形態である。例えば、下記ポリエステルポリオールを原料とすれば、ウレタン樹脂は、ポリエステル由来の構成単位を有する。
ポリエステル系ウレタン樹脂全質量中に、ポリエステル由来の構成単位を40質量%以上有することが好ましく、50質量%以上有することがより好ましく、60質量%以上有することが更に好ましく、65質量%以上有することが特に好ましい。
ポリエステル系ウレタン樹脂は、以下に限定されないが、例えば、ポリイソシアネートと、ポリエステルポリオールを含むポリオールとを反応させて得られたウレタンプレポリマーに、さらにポリアミン(鎖伸長剤)と、必要に応じて反応停止剤とを反応させて得られるポリエステル系ウレタン樹脂等が挙げられる。ポリエステル由来の構成単位を有するウレタン樹脂を得るためには、例えば、上記ウレタン樹脂の合成方法において、ポリオールは特に限定されない。
(ポリエステルポリオール)
上記ポリエステルポリオールの数平均分子量は、500~10,000であることが好ましく、1,000~5,000であることがより好ましい。ここで、上記の数平均分子量は水酸基価から算出されるものであり、水酸基価は、樹脂中の水酸基をエステル化又はアセチル化し、残存する酸をアルカリで逆滴定して算出した樹脂1g中の水酸基量を、水酸化カリウムのmg数に換算した値で、JIS K 0070に従って測定を行った値である。ポリエステルポリオールの数平均分子量が10,000以下であると、耐ブロッキング性に優れる。また、ポリエステルポリオールの数平均分子量が500以上であると、塗膜の柔軟性が向上し、耐折り曲げ性が良好となる。
上記ポリエステルポリオールとしては、ポリエステルジオールであることが好ましく、当該ポリエステルジオールとしては、ジオールとジカルボン酸(二塩基酸ともいう)の縮合物であるポリエステルジオールであることが好ましい。なお、ポリエステルポリオールは単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
上記ポリエステルポリオールの原料としては、アルカンジオール、1-モノグリセライド、2-モノグリセライド、1-モノグリセリンエーテル、2-モノグリセリンエーテル、ダイマージオール、水添ダイマージオール等が挙げられ、1,2―アルカンジオールとして、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,3,5-トリメチルペンタンジオール、2、4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,12-オクタデカンジオールが好適に挙げられる。
上記ジオールは、直鎖状ジオールと、分岐状ジオールとに分類することができる。直鎖状ジオールは結晶性を付与し、分岐状ジオールは柔軟性を付与するので、そのバランスにより、バインダー樹脂としてのポリウレタン樹脂は耐熱性が向上する。ポリウレタン樹脂が分岐状ジオール構造及び/又は直鎖ジオール構造を含むことにより、包装材のリサイクルの効率性にも効果があると考えられる。後述するように、ポリウレタン樹脂が分岐状ジオール構造及び直鎖状ジオール構造の双方を含むことがより好ましい。
上記直鎖状ジオールとしては、アルキレングリコールであることが好ましく、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,4-ブチンジオール等が挙げられる。
なかでも、炭素数8以下、好ましくは炭素数6以下の直鎖状ジオールが好ましく、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、等が好ましい。さらに物性の観点からは、1,3-プロパンジオールが特に好ましい。
上記分岐状ジオールとしては、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールと、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2-プロピレングリコール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,3-ブタンジオール、ジプロピレングリコール等が挙げられ、ネオペンチルグリコール、1,2-プロピレングリコールから選ばれる少なくとも1種の分岐状ジオールが特に好ましい。
ポリエステルポリオールが分岐状ジオール及び直鎖状ジオールを含む場合、ラミネート強度の観点から、ポリエステルポリオールの全ジオール中の分岐状ジオール及び直鎖状ジオールの質量比(分岐状ジオール:直鎖状ジオール)は、10:90~90:10であることが好ましく、20:80~80:20であることがより好ましく、30:70~70:30であることが更に好ましい。
なお、分岐状ジオール単位と直鎖状ジオール単位はそれぞれをひとつのポリエステルポリオール中に存在させてもよいし、分岐状ジオール単位のみを含むポリエステルポリオールと、直鎖状ジオール単位のみを含むポリエステルポリオールを混合物原料として利用し、バイオマスウレタン樹脂としてもよい。およそ同一の効果が得られる。
上記ジカルボン酸としては、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、グルタル酸、1、4-シクロヘキシルジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等が好適に挙げられ、中でもアジピン酸、コハク酸、セバシン酸等が好ましい。さらにポリエステルポリオールの原料としてヒドロキシル基を3個以上有するポリオール、カルボキシル基を3個以上有する多価カルボン酸を併用することもできる。
これらのなかでも、ポリエステルポリオールの好ましい具体例として、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸等のジカルボン酸と、分岐状ジオール及び直鎖状ジオールとの双方を含むものが好ましい。これにより、包装材におけるラミネート強度がより良好となる。
(ポリイソシアネート)
ポリエステル系ウレタン樹脂に含まれるポリイソシアネートとしては、ジイソシアネートが好ましく、芳香族、脂肪族又は脂環族の各種公知のジイソシアネートを使用することができる。例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4、4’-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネートやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が代表例として挙げられる。これらは単独又は2種以上を混合して用いることができる。なかでも、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましく、耐折り曲げ性及び耐水摩擦性向上の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネートであることが好ましい。
(ヘキサメチレンジイソシアネート)
ヘキサメチレンジイソシアネートは2量体又は3量体であることが好ましい。3量体の化学構造として、ビウレット型、イソシアヌレート型、及びアダクト型が存在する。耐折り曲げ性及び耐水摩擦性向上の観点から、3量体のイソシアヌレート型、及び2量体であることが好ましく、3量体のイソシアヌレート型であることがより好ましい。
(ポリアミン)
本願のポリアミンとしては、1級アミン、2級アミン、3級アミンがある。1級アミン及び2級アミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピルジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、N-(2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、イミノビスプロピルアミン:(IBPA、3,3’-ジアミノジプロピルアミン)、N-(3-アミノプロピル)ブタン-1,4-ジアミン:(スペルミジン)、6,6-イミノジヘキシルアミン、3,7-ジアザノナン-1,9-ジアミン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン等が挙げられる。
3級アミンとしては、3-ジメチルアミノ-1-プロピルアミン、N,N-ビス-(3-ジメチルアミノ-1-プロピル)アミン等が挙げられる。
ポリアミンとして、好ましくはイソホロンジアミン、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミンである。これらのポリアミンは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
《全アミン価(mgKOH/g)10以上20以下のウレタン樹脂(A2)》
ウレタン樹脂(A2)は、ウレタン樹脂(A1)と比較して、好ましいアミン価、及び重量平均分子量が異なるが、その他については、上記(ウレタン樹脂A1)の記載を援用することができる。
ウレタン樹脂(A2)の全アミン価は、10~20であることが好ましく、10.5~16mgKOH/gであることがより好ましく、11~13mgKOH/gであることが更に好ましい。上記範囲である場合、硬化剤添加時の塗膜の凝集力が向上するため、耐折り曲げ性及び耐水摩擦性が向上する。
ウレタン樹脂(A2)の1級アミンと2級アミンとの合計アミン価は、3~13mgKHO/gであることが好ましく、5~11mgKOH/gであることがより好ましく、7~9mgKOH/gであることが更に好ましい。上記範囲である場合、硬化剤添加時の塗膜の凝集力が向上するため、耐折り曲げ性及び耐水摩擦性が向上する。
ウレタン樹脂(A2)の重量平均分子量は、10000~100000であることが好ましく、15000~60000であることがより好ましく、20000~40000であることが更に好ましい。上記範囲である場合、塗膜の凝集力が向上するため、耐折り曲げ性及び耐水摩擦性が向上する。
ウレタン樹脂(A1)とウレタン樹脂(A2)との質量比率は、25:75~85:15であることが好ましく、35:65~75:25であることがより好ましく、45:55~65:35であることが更に好ましい。上記範囲である場合、耐折り曲げ性及び耐水摩擦性が良好となる。
<ウレタン樹脂(A)以外の樹脂(B)>
樹脂(B)は、ビニル系樹脂、及び/又はセルロース系樹脂を含む。樹脂(B)の好ましい形態として、ビニル系樹脂を含む。
樹脂(B)は、更に、ポリアミド樹脂、ロジン系樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ダンマル樹脂、スチレン-マレイン酸共重合樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、ブチラール、ポリアセタール樹脂、及びこれらの変性樹脂などを含むことができ、これらの樹脂は、単独で、又は2種以上を含むことができる。
《ビニル系樹脂》
ビニル系樹脂は、ビニル基を有するモノマーを含むモノマーを重合してなる構造を含む。
ビニル系樹脂は、例えば、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル共重合樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等が挙げられ、塩化ビニル共重合樹脂、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。塩化ビニル共重合樹脂として、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂等が挙げられる。ビニル系樹脂は、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂、ポリビニルアセタール樹脂であることがより好ましく、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂であることが更に好ましい。
(塩化ビニル-アクリル共重合樹脂)
塩化ビニル-アクリル共重合樹脂は、塩化ビニルとアクリルモノマーの共重合体を主成分とするものであり、アクリルモノマーは、アクリル基またはメタクリル基を有するモノマーであり、水酸基を有するアクリルモノマーを含むことが好ましい。(以下、「アクリル」を「(メタ)アクリル」ということがある。)塩化ビニル-アクリル共重合樹脂は、塩化ビニルとアクリルモノマーとのブロック共重合やランダム共重合でも良いし、ポリ塩化ビニルの側鎖にアクリルモノマーがグラフト化されたグラフト共重合でも良い。
塩化ビニル-アクリル共重合樹脂は、重量平均分子量が10,000から100,000であることが好ましく、30,000から70,000であることがより好ましい。ガラス転移温度は、50~90℃であることが好ましく、55~85℃であることがより好ましく、65~80℃であることが更に好ましい。水酸酸価は、10~120mgKOH/gであることが好ましく、20~110mgKOH/gであることがより好ましく、30~100mgKOH/gであることが更に好ましく、40~80mgKOH/gであることが特に好ましい。塩化ビニル-アクリル共重合樹脂中の塩化ビニル由来の構造は、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂固形分100質量%中、70~95質量%であることが好ましい。
水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルが挙げられ、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルや、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のグリコールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルが好ましい。これらは単独または2種以上を併用できる。
(メタ)アクリルモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルも含んで良い。(メタ)アクリル酸アルキルエステル中のアルキル基の炭素数は1~20が好ましい。例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等が挙げられる。また、上記アルキル基は、アリール基等で置換された芳香環構造を有しても良い。これらは、単独または2種以上を併用できる。
また、(メタ)アクリルモノマーは、水酸基以外の官能基を有しても良く、そのような官能基としては、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、アルキレンオキサイド基等が挙げられる。
塩化ビニル-アクリル共重合樹脂は、ソルバインAタイプシリーズ(信越化学工業株式会社製)棟の市販品を使用することができる。
(塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂)
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂とは、少なくとも塩化ビニルと酢酸ビニルが共重合した樹脂であり、分子量としては重量平均分子量で5,000~100,000であることが好ましく、20,000~70,000であることがより好ましい。塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂の固形分100質量%中の酢酸ビニルモノマー由来の構造は、1~30質量%が好ましく、塩化ビニルモノマー由来の構造は、70~95質量%であることが好ましい。また、有機溶剤への溶解性が向上するため、ケン化反応あるいは共重合でビニルアルコール由来の水酸基を含むものが更に好ましく、水酸基価として20~200mgKOH/gであることが好ましい。また、ガラス転移温度は、50℃~90℃であることが好ましい。
塩化ビニル-アクリル共重合樹脂は、ソルバインCタイプシリーズ(信越化学工業株式会社製)棟の市販品を使用することができる。
(ポリビニアルアセタール樹脂)
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒド及び/又はホルムアルデヒド等のアルデヒドと反応させてアセタール環化したものであり、ビニルアルコール単位、酢酸ビニル単位及びアセタール環基を含むことが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール環を60~90質量%、ビニルアルコール単位を5~30質量%、酢酸ビニル単位を0.5~10質量%含むことが好ましく、より好ましくは、アセタール環としてブチラール環を有するポリビニルブチラール樹脂である。
ポリビニルアセタール樹脂の重量平均分子量は、好ましくは10,000~100,000、より好ましくは10,000~80,000である。ポリビニルアセタール樹脂のガラス転移点は、好ましくは50~80℃であり、より好ましくは60~75℃である。
ポリビニルアセタール樹脂は、エスレックBLシリーズ(積水化学工業社製)等の市販品を使用することができる。
《セルロース系樹脂》
セルロース系樹脂としては、木材繊維や綿花等、非可食性植物由来のセルロース樹脂のエステル化やニトロ化により得られる樹脂であり、例えば、酢酸セルロース樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セル酢酸セルロース樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、ニトロセルロース樹脂等が挙げられ、耐熱性及び光沢の観点から、ニトロセルロース樹脂が好ましい。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
セルロース系樹脂は、JIS K 6703-1995に準拠して測定した粘度が、以下の(1)~(3)の少なくても1つを満たすことが好ましい。上記粘度は、セルロース系樹脂のイソプロパノール溶液中を、鋼球が落下する時間(鋼球落下時間(秒))である。
(1)溶液濃度12.2質量%における粘度が、1.5~16秒である。
(2)溶液濃度20質量%における粘度が、3~40秒である。
(3)溶液濃度25質量%における粘度が、0.1~22秒である。
中でも、セルロース系樹脂の粘度は、上記(3)を満たすことが好ましい。上記(3)において、溶液濃度25質量%における粘度は、好ましくは0.3~15秒であり、より好ましくは0.5~9秒である。粘度が上記範囲であると、第一の表面保護層の耐熱性及び耐ブロッキング性が良好となる。
セルロース系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは2,000~200,000であり、より好ましくは8,000~100,000、さらに好ましくは10,000~80,000である。上記範囲である場合、耐熱性及び耐ブロッキング性が良好となる。
また、セルロース系樹脂のガラス転移温度は90℃~200℃であることが好ましく、115~180℃であることがより好ましく、140~160℃であることが特に好ましい。上記範囲である場合、耐熱性及び耐ブロッキング性が良好となる。
セルロース系樹脂がニトロセルロース樹脂である場合、ニトロセルロース樹脂の窒素分は、ニトロセルロース樹脂の全固形分中、10~13質量%であることが好ましく、より好ましくは10.7~12.2質量%である。上記範囲である場合、耐熱性及び耐ブロッキング性が良好となる。
ニトロセルロース樹脂の重量平均分子量は、好ましくは3,000~40,000、より好ましくは4,000~25,000であることが好ましく、5,000~15,000であることがより好ましい。上記範囲である場合、耐ブロッキング性が良好となる。
ニトロセルロース樹脂の市販品として、例えば、NOBEL社製(DHX3-5、DHX5-10、DHX8-13)が挙げられる。
第一の表面保護層における、ウレタン樹脂(A)と樹脂(B)との質量比は、20:80~95:5であることが好ましく、40:60~80:20であることがより好ましく、55:45~70:30であることが更に好ましい。上記範囲内であると、耐折り曲げ性、及び耐水摩擦性に優れる。
<添加剤>
第一の表面保護層は公知の添加剤を適宜含むことができる。添加剤としては、例えば、顔料誘導体、分散剤、湿潤剤、接着補助剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、ワックス、イソシアネート系硬化剤、シランカップリング剤等が挙げられ、耐折り曲げ性、及び耐水摩擦性向上の観点から、イソシアネート系硬化剤を含むことが好ましい。
《イソシアネート系硬化剤》
イソシアネート系硬化剤としては、ポリイソシアネート及びそれらの変性化合物を利用できる。具体的には、ポリイソシアネートのビウレット体、イソシアヌレート体、アダクト体が好適であり、ポリイソシアネートとしてはジイソシアネートが好ましく、トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート;が好適に用いられる。
イソシアネート系硬化剤の市販品としては、例えば、24A-100、22A-75、TPA-100、TSA-100、TSS-100、TAE-100、TKA-100、P301-75E、E402-808、E405-70B、AE700-100、D101、D201、A201H(旭化成社製)、マイテックY260A(三菱化学社製)、コロネート CORONATE HX、コロネート CORONATE HL、コロネート CORONATE L(日本ポリウレタン社製)、デスモデュール N75MPA/X(バイエル社製)が挙げられる。中でも、イソホロンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネートが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートであることがより好ましい。
(ヘキサメチレンジイソシアネート)
ヘキサメチレンジイソシアネートとしては、上述の[第一の表面保護層]で説明した(ヘキサメチレンジイソシアネート)の記載及び好ましい形態を援用することができる。
<第一のオーバーコート剤>
第一のオーバーコート剤は、ウレタン樹脂(A)及び樹脂(B)を含む。塗膜の凝集力を高める観点から、更に、上述のイソシアネート系硬化剤を含むことが好ましい。また、有機溶剤、及び上述の添加剤を用いることができる。
第一のオーバーコート剤の粘度は、印刷適性等の観点から、20~200mPa・sであることが好ましい。
《有機溶剤》
第一のオーバーコート剤に用いることができる有機溶剤としては、例えば、メチルシクロへキサン、エチルシクロへキサン等の炭化水素系;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン等のケトン系;酢酸エチル、酢酸nプロピル、酢酸ブチル等のエステル系;メタノ-ル、エタノ-ル、プロパノ-ル、イソプロパノ-ル(IPA)、ブタノ-ル等のアルコ-ル系;の非芳香族系有機溶剤が挙げられる。有機溶剤は、印刷後の皮膜に残留する溶剤量低減等を考慮して適宜選択すればよく、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。有機溶剤の含有量は、第一のオーバーコート剤100質量%中、30~95質量%であることが好ましく、50~90質量%であることがより好ましく、70~85質量%であることが特に好ましい。
印刷時の網点再現性を向上させるために、グリコールエーテル系の溶剤を使用するのが好ましい。グリコールエーテル系の溶剤の溶剤としては、特に制限されないが、例えば、エチレングリコール系エーテル、プロピレングリコール系エーテルが挙げられる。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましく、より好ましくはジエチレングリコールモノエチルエーテルである。グリコールエーテル系の溶剤は、有機溶剤100質量%中、5~25質量%であることが好ましく、5~15質量%であることが特に好ましい。
<第一の表面保護層の形成>
第一の表面保護層は、ヒートシール層がある面と反対側の紙基材上に、第一のオーバーコート剤を用いて印刷した後、揮発成分を除去することによって形成することができる。また、ヒートシール層がある面と反対側の紙基材上に印刷層がある場合は、印刷層上に、印刷層がない場合と同様に第一の表面保護層を形成することができる。印刷方法としてはグラビア印刷方式、フレキソ印刷方式、ロールキスコート方式等のコーティング方式が挙げられ、グラビア印刷方式が好適である。例えば、グラビア印刷では、必要に応じて適した粘度及び濃度にまで希釈溶剤で希釈され、単独で又は混合されて各印刷ユニットに供給された後、塗布され、オーブンによる乾燥によって被膜を定着させることで第一の表面保護層を得ることができる。
[第二の表面保護層]
本願において、包装材は、更に、第二の表面保護層を有することが好ましい。第二の表面保護層を含む場合、包装材の層構成は、ヒートシール層、紙基材、第一の表面保護層、及び第二の表面保護層の順である。第二の表面保護層は、樹脂(C)を含み、樹脂(C)を含む第二のオーバーコート剤により形成することができる。
第二の表面保護層の塗工量は、1.5~12g/mであることが好ましく、3~8.4g/mであることがより好ましい。第二の表面保護層の塗工量が1.5g/m以上である場合、第二の表面保護層の均一性が向上するため、光沢、耐熱性、及び耐ブロッキング性が良好となり、塗工量が12g/m以下である場合、第二の表面保護層内の残留溶剤量が減少するため、耐ブロッキング性が良好となる。
<樹脂(C)>
第二の表面保護層に含まれる樹脂(C)は、例えば、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ乳酸樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル-アクリル系共重合樹脂、ロジン系樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン-アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン-アクリル酸樹脂、スチレン-アリルアルコール樹脂、スチレン-マレイン酸樹脂、無水マレイン酸樹脂、マレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、シクロオレフィン樹脂、ダンマル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、ポリアセタール樹脂、シリコーン樹脂及びこれらの変性樹脂を挙げることができ、セルロース樹脂を含むことが好ましく、セルロース樹脂及びポリアミド樹脂を含むことがより好ましい。
《セルロース系樹脂》
セルロース系樹脂としては、上述の[第一の表面保護層]で説明した<セルロース系樹脂>の記載及び好ましい形態を援用することができる。
《ポリアミド樹脂》
本発明の第二の表面保護層は、上述のように、耐ブロッキング性を向上させる観点から、セルロース系樹脂に加えて、更にポリアミド樹脂を含有することが好ましい。
ポリアミド樹脂は特に制限されないが、有機溶剤に可溶な熱可塑性ポリアミドであることが好ましく、多塩基酸と多価アミンとの重縮合物が好適に用いられる。
中でも、重合脂肪酸を含有する酸成分と、脂肪族及び/又は芳香族ポリアミンの反応物を含むポリアミド樹脂が好ましく、一級及び二級モノアミンを一部含有するものがより好ましい。
ポリアミド樹脂のガラス転移温度は、20~80℃であることが好ましく、30~70℃であることがより好ましく、40~60℃であることが特に好ましい。上記範囲である場合、光沢及び耐熱性が向上する。ポリアミド樹脂の重量平均分子量は、2,000~70,000の範囲であることが好ましく、5,000~30,000であることがより好ましい。重量平均分子量が2,000以上の場合、耐熱性及び耐ブロッキング性が向上する。重量平均分子量が50,000以下の場合、光沢が良好となる。
ポリアミド樹脂は、軟化点が80~140℃であることが好ましく、90~120℃であることがより好ましい。軟化点が80℃以上の場合、耐熱性及び耐ブロッキング性が良好となる。軟化点が140℃以下の場合、光沢が向上する。なお、軟化点はJIS K 2207(環球法)に準拠して測定することができる。
ポリアミド樹脂の原料で使用される多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、スベリン酸、グルタル酸、フマル酸、ピメリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、テレフタル酸、1、4-シクロヘキシルジカルボン酸、トリメリット酸、重合脂肪酸が挙げられる。中でも、重合脂肪酸が好ましい。
ポリアミド樹脂は、重合脂肪酸に由来する構造を有することが好ましく、重合脂肪酸に由来する構造を、ポリアミド樹脂中に50質量%以上含有することが好ましい。
ここで、重合脂肪酸とは、不飽和脂肪酸の環化反応等により得られるもので、一塩基性脂肪酸、二量化重合脂肪酸、三量化重合脂肪酸等を含むものである。重合脂肪酸を使用する場合、不飽和脂肪酸を含む一塩基性脂肪酸あるいは、そのエステル重合によって得られたものが好ましく、炭素数が16~22の不飽和脂肪酸又はそのエステルの重合により得られるものが好ましい。重合脂肪酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で併用してもよい。
なお、重合脂肪酸を構成する脂肪酸は、大豆油、パーム油、米糠油等天然油に由来するものが好ましく、オレイン酸及びリノール酸がより好ましい。
その他塩基酸には、モノカルボン酸を併用することもできる。併用されるモノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸等が挙げられる。
その他アミンとしては、例えば、ポリアミン、一級又は二級モノアミンを挙げることができる。
上記ポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルアミノプロピルアミン等の脂肪族ジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン;シクロヘキシレンジアミン、イソホロンジアミン等の脂環族ポリアミン;キシリレンジアミン等の芳香脂肪族ポリアミン;フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミンを挙げることができる。
一級及び二級モノアミンとしては、n-ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン等を挙げることができる。
ポリアミド樹脂は、接着性、耐ブロッキング性、耐油性、耐熱性の観点から、分子内に水酸基を有することが好ましく、一級又は二級モノアミン成分としてアルカノールアミンを用いることが好ましい。
ポリアミド樹脂の市販品としては、例えば、ベジケムグリーンシリーズ(築野食品工業社製)、ニューマイドシリーズ(ハリマ化成社製)等を使用することができる。
第二の表面保護層における、セルロース系樹脂とポリアミド樹脂との質量比は、99:1~15:85であることが好ましく、50:50~15:85であることがより好ましく、30:70~15:85であることが特に好ましい。上記範囲内であると、光沢、耐熱性、及び耐ブロッキング性に優れる。
<添加剤>
第二の表面保護層は、例えば、可塑剤、アマイドワックス、炭化水素ワックス、キレート架橋剤等の任意の添加剤を含むことができ、可塑剤、アマイドワックス、及び炭化水素ワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
《可塑剤》
本発明の第二の表面保護層は、耐ブロッキング性の観点から、更に可塑剤を含有することが好ましい。
可塑剤としては、第二の表面保護層に含まれる樹脂との相溶性に優れ、また揮発性の低いものが好適に用いられ、例えば、クエン酸エステル、フタル酸エステル、リン酸エステル、トリメット酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、グリコールエーテル、スルホン酸アミド系、及びひまし油からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
クエン酸エステルとしては、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリn-ブチル、クエン酸アセチルトリn-ブチル、クエン酸アセチル-2-エチルヘキシル等のクエン酸アセチルトリアルキルが挙げられ、当該アルキル基は、炭素数が2~12であることが好ましく、クエン酸アセチルトリn-ブチル、クエン酸アセチルトリエチルがより好ましい。
フタル酸エステルとしては、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル等のフタル酸ジアルキルが挙げられ、当該アルキル基は、炭素数が2~12であることが好ましく、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシルがより好ましい。
リン酸エステルとしては、リン酸トリクレジル、リン酸トリフェニル、リン酸トリブチル等のリン酸エステル等が挙げられ、リン酸トリブチルが好ましい。
トリメット酸エステルとしては、トリメット酸トリ-2-エチルヘキシル、トリメット酸トリオクチル、トリメット酸トリイソノニル等のトリメリット酸トリアルキルが挙げられ、当該アルキル基は、炭素数が2~12であることが好ましく、トリメット酸トリ-2-エチルヘキシルがより好ましい。
脂肪族二塩基酸エステルとしては、脂肪族二塩基酸エステルに含まれるアルキル基の炭素数が、2~12であることが好ましく、脂肪酸ジアルキルエステルであることがより好ましい。脂肪酸ジアルキルエステルとしては、アジピン酸エステル、セバシン酸エステルが挙げられ、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、セバシン酸ジイソノニル、セバシン酸ジイソデシルであることが好ましい。
スルホン酸アミド系としては、N-ブチルベンゼンスルホン酸アミドやN-エチルトルエンスルホン酸アミドが挙げられる。
グリコールエーテルとしては、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。
本発明における、第二の表面保護層における可塑剤の含有量は、0.1~15質量%であることが好ましく、3~12質量%であることがより好ましく、5~9質量%であることが特に好ましい。上記範囲である場合、耐ブロッキング性が向上する。
《アマイドワックス》
本発明の第二の表面保護層は、耐ブロッキング性の観点から、更にアマイドワックスを含有することが好ましい。
アマイドワックスとは脂肪酸アミドであり、脂肪酸残基とアミド基を有するものが好ましい。脂肪酸アミドは印刷後には第二の表面保護層の表面に配向し、滑り性を発現させて耐ブロッキング性を向上させると考えられる。なお本説明は技術的考察に基づくものであり、発明を何ら限定するものではない。
脂肪酸アミドとしては、例えば、モノアミド、置換アミド、ビスアミド、メチロールアミド、及びエステルアミドが好適に挙げられ、モノアミド、置換アミド、及びビスアミドからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
脂肪酸アミドの融点は、50℃~150℃であることが好ましい。
融点が50℃~150℃のモノアミドとしては、ラウリン酸アミド(融点87℃)、パルミチン酸アミド(融点100℃)、ステアリン酸アミド(融点101℃)、ベヘン酸アミド(融点110℃)、ヒドロキシステアリン酸アミド(融点107℃)、オレイン酸アミド(融点75℃)、エルカ酸アミド(融点81℃)が挙げられる。
融点が50℃~150℃の置換アミドとしては、N-オレイルパルミチン酸アミド(融点68℃)、N-ステアリルステアリン酸アミド(融点95℃)、N-ステアリルオレイン酸アミド(融点67℃)、N-オレイルステアリン酸アミド(融点74℃)、N-ステアリルエルカ酸アミド(融点69℃)が挙げられる。
融点が50℃~150℃のビスアミドとしては、メチレンビスステアリン酸アミド(融点142℃)、エチレンビスステアリン酸アミド(融点145℃)、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド(融点145℃)、エチレンビスベヘン酸アミド(融点142℃)、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド(融点140℃)、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド(融点142℃)、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド(融点135℃)、エチレンビスオレイン酸アミド(融点119℃)、エチレンビスエルカ酸アミド(融点120℃)、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド(融点110℃)、N,N’-ジステアリルアジピン酸アミド(融点141℃)、N,N’-ジステアリルセバシン酸アミド(融点136℃)、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド(融点118℃)、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミド(融点113℃)が挙げられる。
融点が50℃~150℃のメチロールアミドとしては、例えば、メチロールステアリン酸アミド(融点110℃)が挙げられる。
融点が50℃~150℃のエステルアミドとしては、例えば、ステアロアミドエチルステアレート(融点82℃)が挙げられる。
中でも、耐ブロッキング性向上の観点から、分子量が200~800のものが好ましい。更に好ましくは250~700である。
脂肪酸アミドを構成する脂肪酸としては、炭素数12~22の飽和脂肪酸及び/又は炭素数16~25の不飽和脂肪酸が好ましく、炭素数16~18の飽和脂肪酸及び/又は炭素数18~22の不飽和脂肪酸がより好ましい。飽和脂肪酸として特に好ましくはラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ヒドロキシステアリン酸であり、不飽和脂肪酸として特に好ましくはオレイン酸、エルカ酸である。
中でも、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、及びエルカ酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の脂肪酸からなる脂肪酸アミドが好ましく、パルチミン酸アミド、エルカ酸アミド、及びエチレンビスオレイン酸アミドからなる群より選ばれる少なくとも一種の脂肪酸アミドがより好ましく、エチレンビスオレイン酸アミドが特に好ましい。
アマイドワックスの含有量は、好ましくは0.1~22.5質量%であり、より好ましくは0.1~15質量%、更に好ましくは0.1~7.5質量%である。上記範囲である場合、耐ブロッキング性が向上する。
《炭化水素ワックス》
第二の表面保護層は、炭化水素ワックスを含むことが好ましい。炭化水素ワックスを含むことで、第二の表面保護層の耐水摩擦性が向上する。
炭化水素ワックスは、硬度(針入度)が0.5~12である炭化水素ワックス粒子であることが好ましい。炭化水素ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュ・ワックス、パラフィンワックス、マイクロスタリンワックス、ポリプロピレンワックスが挙げられる。中でもポリエチレンワックスを含む炭化水素ワックスが好ましい。
オーバーコート剤において、炭化水素ワックスは液状でも粒子状でも使用することができ、粒子状であることが好ましい。炭化水素ワックス粒子の平均粒子径は、0.3~10μmであることが好ましく、0.8~7μmであることがより好ましい。第二の表面保護層中の炭化水素ワックス粒子の含有量は、0.1~10質量%であることが好ましく、0.5~7質量%であることがより好ましい。
《キレート架橋剤》
第二の表面保護層は、キレート架橋剤を含んでも良い。キレート架橋剤を含むことで、第二の表面保護層の耐熱性が向上する。キレート架橋剤としては、例えば、チタンキレート、ジルコニウムキレートが挙げられる。チタンキレートとしては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート、テトラステアリルチタネート等のチタンアルコキシド、トリエタノールアミンチタネート、チタニウムアセチルアセテトナート、チタニウムテトラアセチルアセトナート、テトライソプロポキシチタン、チタニウムエチルアセトアセテテート、チタニウムラクテート、オクチレングリコールチタネート、n-ブチルリン酸エステルチタン、プロパンジオキスチタンビス(エチルアセチルアセテート)等を挙げることができる。ジルコニウムキレートとしては、ジルコニウムプロピオネート、ジルコニウムアセチルアセテート等が挙げられる。耐熱性、耐油性及び耐塩ビブロッキング性の観点から、架橋反応後にアセチルアセトンを発生しないキレート架橋剤であることが好ましい。
第二の表面保護層中のキレート架橋剤の含有量は、0.1~10質量%であることが好ましく、0.5~5質量%であることがより好ましい。含有量が0.1質量%以上であると耐熱性、耐油性、耐ブロッキング性が向上し、5質量%以下の場合、第二のオーバーコート剤の貯蔵安定性に優れる。
<第二のオーバーコート剤>
第二のオーバーコート剤は、樹脂(C)を含み、さらに有機溶剤、及び上述の添加剤を用いることができる。
第二のオーバーコート剤の粘度は、印刷適性等の観点から、20~200mPa・sであることが好ましい。
《有機溶剤》
有機溶剤は、上述の[第一の表面保護層]で説明した《有機溶剤》の記載及び好ましい形態を援用することができる。
<第二の表面保護層の形成>
第二の表面保護層は、印刷層がある場合は印刷層上に、ない場合は第一の表面保護層上に、第二のオーバーコート剤を用いて印刷した後、揮発成分を除去することによって形成することができる。印刷方法としてはグラビア印刷方式、フレキソ印刷方式、ロールキスコート方式等のコーティング方式が挙げられ、グラビア印刷方式が好適である。例えば、グラビア印刷では、必要に応じて適した粘度及び濃度にまで希釈溶剤で希釈され、単独で又は混合されて各印刷ユニットに供給された後、塗布され、オーブンによる乾燥によって被膜を定着させることで第二の表面保護層を得ることができる。
包装材は、更に、印刷インキを塗工してなる印刷層を有しても良い。また、本出願において、「印刷インキ」は顔料等の着色剤を含有するものを表す。
[印刷層]
印刷層は、紙基材と第一の表面保護層の間に位置し、着色剤及び樹脂(D)を含むことが好ましい。印刷層は着色剤及び樹脂(D)を含む印刷インキにより形成することができ、形成方法は、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式等、公知の印刷方式から適宜選択でき、好ましくはグラビア印刷方式である。印刷インキの粘度は、印刷適性等の観点から、20~200mPa・sであることが好ましい。
印刷層の塗布量は0.1~12g/mであることが好ましく、0.3~8.4g/mであることがより好ましく、0.5~3.6g/mであることが特に好ましい。本発明では、単一の印刷層だけでなく、複数の印刷層が重なった層も印刷層とし、色相の異なる印刷層を任意に組み合わせることができる。
<樹脂(D)>
印刷層中の樹脂(D)の含有量は、印刷層の全質量中、10~70質量%であることが好ましく、30~50質量%であることがより好ましい。
上記樹脂(D)としては、例えば、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ乳酸樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル系共重合樹脂、ロジン系樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン-アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン-アクリル酸樹脂、スチレン-アリルアルコール樹脂、スチレン-マレイン酸樹脂、無水マレイン酸樹脂、マレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、シクロオレフィン樹脂、ダンマル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、ポリアセタール樹脂、シリコーン樹脂及びこれらの変性樹脂を挙げられ、耐水摩擦性向上の観点から、セルロース系樹脂、塩化ビニル-アクリル系共重合樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂であることが好ましいが、これらに限定するものではない。また、これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
<印刷層に含まれる着色剤>
印刷層は、着色剤を含むことが好ましい。前記着色剤の含有量は、印刷層全質量中、1~60質量%であることが好ましく、15~50質量%であることがより好ましい。
着色剤としては顔料が好ましく、当該顔料としては、有機顔料、無機顔料いずれでも使用可能である。有機顔料としては、有機化合物、及び/又は有機金属錯体からなる顔料の使用が好ましい。無機顔料としては、酸化チタンを含むものが好ましい。
有機顔料として具体的な例をカラーインデックス(Colour Index International、略称C.I.)のC.I.ナンバーで示す。
好ましくは、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントブラック7であり、これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(無機顔料)
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ、アルミニウム粒子、マイカ(雲母)、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、酸化チタン、酸化亜鉛が挙げられ、アルミニウムはリーフィングタイプ又はノンリーフィングタイプがあるが、ノンリーフィングタイプが好ましい。
<添加剤>
印刷層は、本発明の効果を損なわない範囲でさらに、顔料分散剤、イソシアネート系硬化剤、キレート架橋剤、炭化水素ワックス、マット化剤、気相法シリカ、湿式法シリカ、有機処理シリカ、アルミナ処理シリカ等の微粉末シリカ、脂肪酸アマイドワックス、消泡剤、レベリング剤、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、難燃剤等の添加剤を使用することができる。
《顔料分散剤》
印刷層は、着色性の観点より、顔料分散剤を含むことが好ましい。顔料分散剤としては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性等の界面活性剤を使用することができる。
《キレート架橋剤》
印刷層は、耐熱性の観点より、キレート架橋剤を含むことが好ましい。キレート架橋剤としては、上述の[オーバーコート剤]で説明した《キレート架橋剤》の項の記載を援用することができる。
キレート架橋剤の含有量は、印刷層中、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~5質量%である。上記範囲である場合、耐熱性及び耐ブロッキング性に優れる。
《炭化水素ワックス》
印刷層は、耐ブロッキング性の観点より、炭化水素ワックスを含むことが好ましい。炭化水素ワックスとしては、上述の[表面保護層]で説明した《炭化水素ワックス》の項の記載を援用することができる。
印刷層において、炭化水素ワックスは液状でも粒子状でも使用することができ、粒子状であることが好ましい。粒子の平均粒子径は、0.3~10μmであることが好ましく、0.8~7μmであることがより好ましい。当該炭化水素ワックス粒子の含有量は、印刷層中、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~7質量%である。上記範囲である場合、耐ブロッキング性に優れる。
《可塑剤》
印刷層は、耐ブロッキング性の観点より、可塑剤を含むことが好ましい。可塑剤は、少ない添加量で、有機溶剤の揮発を促進させる役割を有する。可塑剤としては、上述の[表面保護層]で説明した《可塑剤》の項の記載を援用することができる。
本発明における印刷層は、可塑剤として、ひまし油、グリコールエーテル、脂肪族二塩基酸エステル、及びアセチルクエン酸トリブチルからなる群より選ばれる少なくとも一種の可塑剤を含むことが好ましく、ひまし油がより好ましい。
印刷層中における可塑剤の含有量は、好ましくは0.1~15質量%、より好ましくは5~15質量%、更に好ましくは11~15質量%である。上記範囲である場合、耐ブロッキング性に優れる。
<印刷インキ>
印刷層は、上記着色剤及び上記樹脂(C)を含む印刷インキにより形成されることが好ましい。
<印刷インキの製造方法>
印刷層の形成に用いられる印刷インキは、例えば、顔料を樹脂等により分散機を用いて有機溶剤中に分散させ、得られた顔料分散体に樹脂、各種添加剤や有機溶剤等を混合して製造できる。分散機としては一般に使用される、例えばローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルを用いることができる。顔料分散体における顔料の粒度分布は、分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間、顔料分散体の吐出速度、顔料分散体の粘度等を適宜調節することにより、調整することができる。25℃における印刷インキの粘度は、顔料の沈降を防ぎ、適度に分散させる観点から50mPa・s以上、インキ製造時や印刷時の作業性効率の観点から300mPa・s以下の範囲であることが好ましい。
<印刷層の形成>
印刷層は、例えば、ヒートシール層と反対側の紙基材面上に、印刷インキを用いて印刷した後、揮発成分を除去することによって形成することができる。印刷方法としてはフレキソ印刷方式が好適であり、例えば、フレキソ印刷に適した粘度及び濃度にまで希釈溶剤で希釈され、単独で又は混合されて各印刷ユニットに供給され、塗布される。その後、オーブン等による乾燥によって被膜を定着させることで印刷層を得ることができる。
[紙基材]
紙基材は、特に制限されず、公知のものを用いることができる。このような紙基材としては、例えば、中質紙、上質紙、新聞用紙、各種コート紙、裏打ち紙、含浸紙、ボール紙やアート紙、キャスト紙、クラフト紙、コートボール、アイボリー紙、カード紙、カップ原紙、キャスト紙、遮光紙、及びこれらの表面処理された紙基材が挙げられる。また、上記紙基材が、バリア性樹脂を含んでも良い。
なお、紙基材の坪量は、好ましくは50~150g/m、より好ましくは55~120g/m、更に好ましくは60~90g/mである。
<バリア性樹脂>
紙基材に含まれるバリア性樹脂は、例えば、セロハン、ビニルアルコール樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂、パラフィン樹脂、アクリル樹脂、ロジン樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられ、ビニルアルコール樹脂及びエチレン-ビニルアルコール共重合樹脂であることが好ましい。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
[ヒートシール層]
本発明におけるヒートシール層は、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、及びウレタン樹脂(E)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、紙基材の第一の表面保護層を具備した面とは反対側に位置する。ヒートシール層はアクリル樹脂、オレフィン樹脂、及びウレタン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むヒートシール剤により形成することができ、形成方法は、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式、ロールキスコート法等のコーティング方式等、公知の印刷方式から適宜選択でき、好ましくはグラビア印刷方式である。ヒートシール層の塗工量は、1~18g/mであり、3~12g/mであることが好ましく、4~8g/mであることが特に好ましい。上記範囲である場合、ヒートシール性及び耐ブロッキング性が良好となる。
ヒートシール層は、更に、ビニル樹脂等の公知の樹脂を含んでも良い。
ヒートシール層中の樹脂の含有量は、ヒートシール層100質量%中、80~100質量%であることが好ましく、90~100質量%であることがより好ましい。上記範囲である場合、ヒートシール性が良好となる。
<アクリル樹脂>
アクリル樹脂とは、(メタ)アクリルモノマー由来の構成単位を含む樹脂である。アクリル樹脂はカルボキシル基その他の酸性基を有していることが好ましい。アクリル樹脂の酸価は、20~120mgKOH/gであることが好ましく、30~100mgKOH/gであることがより好ましく、40~80mgKOH/gであることが特に好ましい。アクリル樹脂の酸価が20mgKOH/g以上である場合、リサイクル性が良好となり、120mgKOH/g以下である場合、耐ブロッキング性が良好となる。アクリル樹脂のガラス転移温度は、-40~10℃であることが好ましく、-30~5℃であることがより好ましく、-20~0℃であることが特に好ましい。アクリル樹脂のガラス転移温度が上記範囲である場合、耐ブロッキング性及びヒートシール性が良好となる。
アクリル樹脂は(メタ)アクリルモノマーの単独重合体や、(メタ)アクリルモノマーと酸性モノマーからなる共重合体、エチレンと(メタ)アクリルモノマーからなる共重合体などが好適に挙げられ、耐ブロッキング性の観点から、エチレンと(メタ)アクリルモノマーからなる共重合体が好ましい。
前記(メタ)アクリルモノマーを含むモノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル化合物、
N-メチロール(メタ)アクリルアミド等の少なくとも1個のN-置換メチロール基を含有する(メタ)アクリル酸アミド誘導体、
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステル、
ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類の(メタ)アクリル酸のモノ又はジエステル類、
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル化合物、
アクリル酸、メタクリル酸、
スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン誘導体、
マレイン酸、イタコン酸等の酸基を有するビニル化合物が挙げられる。
ヒートシール性の面から、アクリル樹脂は、カルボキシル基及び/又は水酸基を有するものが好ましく、アクリル樹脂が水酸基を有する場合、アクリル樹脂を構成するモノマーとして(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル化合物を含有するものが好ましい。
アクリル樹脂は、市販品を用いてもよく、例えば、BASF社製 JONCRYL PDX7356、PDX-7326、PDX-7430、星光PMC社製 PE-1126、JE-1113、KE1148、ジャパンコーティングレジン社製 AC-3100等を使用することができる。
<オレフィン樹脂>
オレフィン樹脂として、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂等が挙げられるが、ポリエチレン樹脂であることが好ましい。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
《ポリエチレン樹脂》
ポリエチレン樹脂の最低造膜温度は、40~120℃であることが好ましく、60~100℃であることがより好ましい。上記範囲である場合、ヒートシール性が良好となる。
ポリエチレン樹脂のガラス転移温度は、-60~20℃であることが好ましく、-25~5℃であることがより好ましく、-20~-10℃であることが特に好ましい。上記範囲である場合、ヒートシール性が良好となる。
上記ポリエチレン樹脂は例えば、ケミパールシリーズ(三井化学社製)等を使用することができる。
《最低造膜温度の測定》
本願において、JIS K 6828-1:2003に準拠し、テスター産業社製 TP-801MFTテスターで測定した温度を最低造膜温度とした。
(ウレタン樹脂(E))
ウレタン樹脂(E)は、上記[第一の表面保護層]で説明した、<ウレタン樹脂(A)>の形態及び好ましい範囲を援用することができる。
<添加剤>
ヒートシール層は、更に、消泡剤、乳化剤、防腐剤、可塑剤、アマイドワックス、炭化水素ワックス、キレート架橋剤等の任意の添加剤を含むことができ、消泡剤及び又は乳化剤を含むことが好ましい。
<ヒートシール剤>
本願のヒートシール剤は、アクリル樹脂、及び/又はエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂を含み、更に、溶剤を含む。また、上述の添加剤を含んでも良い。ヒートシール剤は、環境負荷の観点から、水性であることが好ましい。ヒートシール剤の粘度は、印刷適性等の観点から、20~200mPa・sであることが好ましい。
《消泡剤》
本願のヒートシール剤において、消泡剤を含むことが好ましく、消泡剤を含む場合、ヒートシール層の平滑性が向上することで、ヒートシール強度が良好となる。消泡剤は、シリコン系消泡剤及び非シリコン系消泡剤が挙げられ、消泡性の観点から、シリコン系消泡剤が好ましい。ヒートシール層中の消泡剤の含有量は、ヒートシール層100質量%中、0.01~1質量%であることが好ましく、0.05~0.5質量%であることがより好ましく、0.1~0.3質量%であることが特に好ましい。
消泡剤は、市販品を用いてもよく、例えば、BYK社製 BYK-024、BYK-025、BYK-028等を使用することができる。
《乳化剤》
本願のヒートシール剤において、乳化剤を含むことが好ましい。乳化剤を含む場合、水への溶解性が向上することで、ヒートシール剤の経時安定性が良子となる。乳化剤は、ビニルアルコール樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等が挙げられ、経時安定性の観点より、ビニルアルコール樹脂及びカチオン系界面活性剤が好ましい。ヒートシール層中の乳化剤の含有量は、ヒートシール層100質量%中、0.01~1質量%であることが好ましく、0.05~0.5質量%であることがより好ましく、0.1~0.3質量%であることが特に好ましい。
<ヒートシール層の形成>
ヒートシール層は、例えば、第一の表面保護層と反対側の紙基材面上に、ヒートシール剤を用いて印刷した後、揮発成分を乾燥して除去することによって形成することができる。印刷方法としてはグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式が好適である。例えば、グラビア印刷では、必要に応じて適した粘度及び濃度にまで希釈溶剤で希釈され、単独で又は混合されて各印刷ユニットに供給された後、塗布され、オーブンによる乾燥によって被膜を定着させることでヒートシール層を得ることができる。
(グラビア印刷)
《グラビア版》
グラビア印刷において、グラビア版は金属製の円筒状のものであり、彫刻又は腐蝕・レーザーによって各色の凹部を形成する。彫刻とレーザーの使用に制限はなく、柄に合わせて任意に設定が可能である。線数としては80線~250線のものが適宜使用され、線数の大きいものほど目の細かい印刷が可能である。
《グラビア印刷機》
グラビア印刷機においては、一つの印刷ユニットが、上記グラビア版及びドクターブレードを備えている。印刷ユニットは多数あり、各ユニットはオーブン乾燥ユニットを有する。印刷は輪転により行われ、巻取印刷方式である。版の種類やドクターブレードの種類は適宜選択され、仕様に応じたものが選定できる。
包装材は、更にバリア層を有しても良い。
[バリア層]
バリア層は、光、磁気、各種気体など、バリアすべき対象が包装材を透過するのを制御するために存在し、バリア成分を含む。
バリア層は、前記バリア成分を、蒸着法や、ラミネート法、Tダイキャスト法、液状にして塗工・乾燥等によって形成することができる。バリア成分として、バリア性樹脂、例えば、アルミニウム、シリカ、アルミナ、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂、バリアナイロン樹脂(MXD)等、あるいは、アルミニウム、シリカ、及びアルミナ等の金属化合物などが挙げられる。バリア層は、単層構成でも複層構成でもよく、1つの層中に2種以上の化合物を含んでも良い。
本願における、包装材の積層構成の例として、以下のものを好適に挙げることができる。下記の例において、「/」は各層の境界を意味する。
ヒートシール層/紙基材/第一の表面保護層
ヒートシール層/紙基材/第一の表面保護層/第二の表面保護層
ヒートシール層/紙基材/印刷層/第一の表面保護層
ヒートシール層/紙基材/印刷層/第一の表面保護層/第二の表面保護層
ヒートシール層/バリア層/紙基材/第一の表面保護層
ヒートシール層/バリア層/紙基材/第一の表面保護層/第二の表面保護層
ヒートシール層/バリア層/紙基材/印刷層/第一の表面保護層
ヒートシール層/バリア層/紙基材/印刷層/第一の表面保護層/第二の表面保護層
ヒートシール層/紙基材/バリア層/第一の表面保護層
ヒートシール層/紙基材/バリア層/第一の表面保護層/第二の表面保護層
ヒートシール層/紙基材/バリア層/印刷層/第一の表面保護層
ヒートシール層/紙基材/バリア層/印刷層/第一の表面保護層/第二の表面保護層
<包装材中の紙基材量>
包装材全量中の紙基材含有量は、50~99質量%以上であることが好ましく、65~95質量%以上であることがより好ましく、80~90質量%であることが特に好ましい。
<包装袋>
本発明における包装材は、所定のサイズにカットされて、ヒートシール層同士を互いに合わせた形で縁部分をヒートシールされて包装袋となる。ヒートシールの温度としては50~250℃であることが好ましく、80~180℃であることがなお好ましい。ヒートシール圧力としては1~5kg/cm等の条件であればよい。1枚の包装材を折り曲げて縁をヒートシールしたり、2枚以上の包装材をヒートシールしたりすることで包装袋を形成できる。また、包装袋は、中身を包装した後、すべての開口部をヒートシールすることでも包装袋を形成できる。この包装袋は、食品、医薬品等の包装袋として幅広く利用する事ができる。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部及び%は、特に注釈の無い場合、質量部及び質量%を表す。また、「NV.」とは不揮発性分の質量%を表す。
<合成例1>ウレタン樹脂溶液PU1の合成
アジピン酸と2-メチル-1,3-プロパンジオールの縮合物であるポリエステルポリオール(数平均分子量:2000、以下「MPOA」1分子中に水酸基を2基有する)232.6部、1,4-ブタンジオール(以下「1,4-BD」) 4.2部、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」分子量:222.29、1分子中にNCO基を2基有する) 50.5部および酢酸エチル 71.8部を、窒素気流下、80℃にて4時間反応させ、プレポリマーを含む溶液を得た。次いで、イソホロンジアミン(以下「IPDA」 分子量:170.30、1分子中に1級アミノ基を2基有する) 10.2部、ジメチルアミノプロピルアミン(以下「DMAPA」分子量:102.201、1分子中に1級アミノ基を1基、3級アミノ基を1基有する) 2.5部、酢酸エチル/2-プロパノール(以下「IPA」)=50/50(質量比)の混合溶剤 628.2部を混合したものに、上記のプレポリマー溶液を40℃で徐々に添加した後、80℃にて1時間反応させ、不揮発性分30%、全アミン価7.5mgKOH/g、1級アミン及び2級アミンの合計アミン価2.9mgKOH/g、水酸基価0mgKOH/g、重量平均分子量52500のウレタン樹脂A1の溶液を得た。
<合成例2~8>ウレタン樹脂PU2~8の合成
表1に記載した原料及び配合比を使用した以外は合成例1と同様の方法で、ウレタン樹脂PU2~8を得た。なお、使用した原料の性状は以下の通りである。
・NPA:アジピン酸とネオペンチルグリコールの縮合物であるポリエステルポリオール(数平均分子量:2000)
・PMPA:アジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールとの縮合物であるポリエステルポリオール(数平均分子量:2000)
・PEG:ポリエチレングリコール(数平均分子量:1000 1分子中に水酸基を2基有する)
・PPG:ポリプロピレングリコール(数平均分子量:1000および2000 1分子中に水酸基を2基有する)
・IBPA:イミノビスプロピルアミン(分子量:131.22、分子中に1級アミノ基を2基、2級アミノ基を1基有する)
・2EtAm:2-アミノエタノール(分子量:61.08、分子中に1級アミノ基を1基、水酸基を1基有する)
Figure 2024057632000002
<調整例1>ニトロセルロース樹脂溶液NC1の調整
ニトロセルロースnc1(NV.70%(溶剤:イソプロピルアルコール)、重量平均分子量:10,000、溶液濃度25質量%における粘度:2秒、ガラス転移温度:155℃)59.6部を、酢酸エチル33.6部とイソプロピルアルコール33.6部に混合溶解させて、NV.30%のニトロセルロース樹脂溶液(NC1)を得た。
<調整例2>ニトロセルロース樹脂溶液NC2の調整
以下に記載した原料を使用した以外は調整例1と同様の方法で、ニトロセルロース樹脂溶液NC2を得た。
・(NC2)ニトロセルロースnc2(NV.70%(溶剤:イソプロピルアルコール)、溶液濃度25質量%における粘度:1.2秒、ガラス転移温度:147℃)
<調整例3>セルロースアセテートブチレート樹脂溶液CAB1の調整
セルロースアセテートブチレートcab1(巴工業社製、製品名CAB-381-0.1、NV.70%(溶剤:イソプロピルアルコール)、ガラス転移温度:123℃、重量平均分子量20,000、溶液濃度25質量%における粘度:0.1秒)59.6部を、酢酸エチル33.6部とイソプロピルアルコール33.6部に混合溶解させて、NV.30%のセルロースアセテートブチレート樹脂溶液(CAB1)を得た。
<調整例4>ポリアミド樹脂溶液PA1の調整
ポリアミド樹脂pa1(築野食品工業社製、製品名ベジケムグリーン725、NV.100%、ガラス転移温度50℃、重量平均分子量8,000)30部、及びイソプロピルアルコール70部を仕込み、窒素気流下に50℃で2時間溶解し、NV.30%のポリアミド樹脂溶液(PA1)を得た。
<製造例1>第一のオーバーコート剤X1の製造
酢酸エチル/イソプロピルアルコール混合溶媒 45部、ウレタン樹脂PU1 17.9部、ウレタン樹脂PU4 17.9部、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂PVC1(巴工業社製、ビンノールE15/40A、水酸基価:59mgKOH/g、重量平均分子量:45000、ガラス転移温度:69℃) 19.3部となるように添加、撹拌混合して第一のオーバーコート剤X1を得た。
<製造例2~17、比較製造例1及び2>第一のオーバーコート剤X2~19の製造
表2に記載した原料及び配合比を使用した以外は製造例1と同様の方法で、第一のオーバーコート剤X2~19を得た。なお、使用した原料の性状は以下の通りである。
・塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂PVC2(日信化学工業社製、ソルバインTA5R、水酸基価:154mgKOH/g、重量平均分子量:28000、ガラス転移温度:78℃)
・ポリビニルブチラールPVB1(積水化学工業社製BL-5、重量平均分子量:40,000、ガラス転移温度:65℃)
Figure 2024057632000003
<製造例18~25>第二のオーバーコート剤X20~27
表3に記載した原料及び配合比を使用した以外は製造例1と同様の方法で、第二のオーバーコート剤X20~27を得た。
Figure 2024057632000004
<製造例26>ヒートシール剤HS1の調整
オレフィン樹脂エマルジョンOF1(三井化学社製、製品名ケミパールS300、溶剤:水、NV=30) 91.7部、水/イソプロピルアルコール混合溶剤(質量比率1:1) 8.2部、BYK-024(BYK社製、消泡剤) 0.1部となるように添加、撹拌混合してヒートシール剤HS1を得た。
<製造例27~29>ヒートシール剤HS2~4の調整
表4に記載した原料及び配合比を使用した以外は調整例19と同様の方法で、ヒートシール剤HS2~4を得た。なお、使用した原料の性状は以下の通りである。
アクリル樹脂エマルジョンAC1(星光PMC社製、JE-1113、酸価:42mgKOH/g、ガラス転移温度:-24℃、溶剤:水、NV.=30%)
Figure 2024057632000005
以下実施例にて包装材の製造方法を示す。
<各層の塗工量測定>
得られた包装材から、下記に示す層構成の部分について、10cm角に切り出し、重量測定を行い、下記式で塗工量を算出した。

(式4)
ヒートシール層の塗工量(g/m)=(ヒートシール層/紙基材の重量)-(紙基材の重量)

(式5)
印刷層の塗工量(g/m)=(ヒートシール層/紙基材/印刷層の重量)-(ヒートシール層/紙基材の重量)

(式6)
第一の表面保護層の塗工量(g/m)=(ヒートシール層/紙基材/印刷層/第一の表面保護層の重量)-(ヒートシール層/紙基材/印刷層の重量)

(式7)
第二の表面保護層の塗工量(g/m)=(ヒートシール層/紙基材/印刷層/第一の表面保護層/第二の表面保護層の重量)-(ヒートシール層/紙基材/印刷層/第一の表面保護層の重量)

なお、包装材に印刷層がない場合でも、上記式を適用することができる。
<実施例1>包装材P1の製造
印刷インキ(エコカラーHR23黄、東洋インキ社製、黄インキ、含有樹脂の詳細は後述) 100部を酢酸エチル:イソプロピルアルコール=7:3(質量比)の混合溶剤で希釈し、ザーンカップ#3(離合社製)25℃で15秒になるよう粘度を調整した。また、第二のオーバーコート剤X15 100部を酢酸エチル:イソプロピルアルコール=7:3(質量比)の混合溶剤で希釈し、ザーンカップ#3(離合社製)25℃で15秒になるよう粘度を調整した。さらに、第一のオーバーコート剤X1 100部を酢酸エチル:イソプロピルアルコール=7:3(質量比)の混合溶剤で希釈し、それぞれザーンカップ#3(離合社製)25℃で30秒になるよう粘度を調整した後、硬化剤1(ヘキサメチレンジイソシアネート、3量体、イソシアヌレート型、NV.=50%) 3部を添加し攪拌した。
クラフト紙:未漂白のクラフトパルプを使用したクラフト紙(日本製紙社製、両更クラフトK、坪量70g/m、原反幅:100cm)に対し、自動バーコーター(松尾産業社製、K303マルチコーター)を用いて、印刷速度10m/分、バーコーター番手#4の条件で、ヒートシール剤HS1を印刷し、オーブン温度80℃、乾燥時間10分の条件にて、乾燥を行って溶媒を揮発させることで、ヒートシール層を形成した。ヒートシール層の塗工量は、5g/mであった。
次に、紙基材のヒートシール層の反対面に対し、自動バーコーター(松尾産業社製、K303マルチコーター)を用いて、印刷速度10m/分、バーコーター番手#2の条件で、希釈した印刷インキを印刷し、オーブン温度80℃、乾燥時間10分の条件にて、乾燥を行って溶媒を揮発させることで、印刷層を形成した。印刷層の塗工量は、2g/mであった。
続いて、印刷層上に対し、自動バーコーター(松尾産業社製、K303マルチコーター)を用いて、印刷速度10m/分、バーコーター番手#4の条件で、希釈し、硬化剤1を添加した第一のオーバーコート剤を印刷し、オーブン温度80℃、乾燥時間10分の条件にて、乾燥を行って溶媒を揮発させて塗膜とした後、前記塗膜上に、同条件で再度印刷、乾燥を行うことで、第一の表面保護層を形成した。第一の表面保護層の塗工量は12.5gであった。
最後に、第一の表面保護層上に対し、自動バーコーター(松尾産業社製、K303マルチコーター)を用いて、印刷速度10m/分、バーコーター番手#4の条件で、希釈した第二のオーバーコート剤を印刷し、オーブン温度80℃、乾燥時間10分の条件にて、乾燥を行って溶媒を揮発させることで、第二の表面保護層を形成し、ヒートシール層/紙基材/印刷層/第一の表面保護層/第二の表面保護層の構成を有する包装材P1を得た。なお、第二の表面保護層の塗工量は4gであった。
上記印刷インキエコカラーHR23黄が含む樹脂は以下の通りである。
・ニトロセルロース樹脂溶液NC3(重量平均分子量:11,000、溶液濃度25.0%における粘度:3秒)
・ウレタン樹脂溶液PU7(重量平均分子量:50000、ガラス転移温度:-20℃、アミン価未検出(0.1mgKOH/g未満))
なお、上記NC3とPU7の不揮発性分比率は、NC3:PU7=90:10である。
<実施例2~45、比較例1~6>包装材P2~51の製造
表5、6に示したヒートシール剤、第一のオーバーコート剤、及び第二のオーバーコート剤を使用した以外は、実施例1と同様の手順で、同様の構成を有する包装材P2~51をそれぞれ作製した。
Figure 2024057632000006
Figure 2024057632000007
Figure 2024057632000008
Figure 2024057632000009
[包装材の評価]
実施例1~45、比較例1~6で得られた包装材P1~51について、以下に記載の評価を行った。結果を表5、表6に示す。なお、残留溶剤量測定のため、包装材の一部分はヒートシール層を有していないが、その部分は以下評価には使用しない。
<耐折り曲げ性>
得られた包装材を100mm角に切り出し、ヒートシール層面同士が重なるように折り曲げ、折り曲げ部に対して、1kg/m、5秒の条件で荷重した。折り曲げ部を3mm角に切り出し、切り出し断面のSEM観察を行い、下記基準にて評価した。なお、A、B、Cが実用上問題ない範囲である。
《評価基準》
A.塗膜断面にクラックが全く発生しなかった。
B.塗膜断面にわずかにクラックが発生した。
C.塗膜断面に多くのクラックが発生した。
D.塗膜が完全に断裂した。
<耐水摩擦性>
得られた包装材を25mm×150mmの大きさに切り出し、テスター産業(株)製学振型摩擦堅牢度試験器を用いて、下記試験(1)を実施し、試験後に紙基材への水の含浸を確認できない場合は、続けて試験(2)を実施した。試験(2)実施後に紙基材への水の含浸を確認できない場合は、続けて試験(3)を実施し、以下基準にて耐水摩擦性を評価した。なお、A、B、Cが実用上問題ない範囲である。
《試験条件》
試験(1)荷重200g、往復回数100回、当紙:カナキン布に水を5滴滴下したもの
試験(2)荷重500g、往復回数200回、当紙:カナキン布に水を5滴滴下したもの
試験(3)荷重1000g、往復回数200回、当紙:カナキン布に水を5滴滴下したもの
《評価基準》
A.試験(3)に実施後に、紙基材への水の含浸を確認できなかった。
B.試験(3)の実施後に、紙基材への水の含浸を確認した。
C.試験(2)の実施後に、紙基材への水の含浸を確認した。
D.試験(1)の実施後に、紙基材への水の含浸を確認した。
<耐ブロッキング性>
得られた包装材を40mm角に2枚切り出し、1枚の包装材片のヒートシール層面と、もう1枚の包装材片の第二の表面保護層面を完全に重ね(第二の表面保護層がない場合は第一の表面保護層同士を重ねた)、温度40℃、湿度80%RH、荷重100N/cmの環境下で圧着した。24時間静置したのち、2枚重ねた包装材同士を剥離し、印刷層の剥離状態を目視で観察し、下記基準にて評価した。なお、A、B、Cが実用上問題ない範囲である。
《評価基準》
A.ヒートシール層面への印刷層の転移量が5面積%未満である。
B.ヒートシール層面への印刷層の転移量が5面積%以上、10面積%未満である。
C.ヒートシール層面への印刷層の転移量が10面積%以上、25面積%未満である。
D.ヒートシール層面への印刷層の転移量が25面積%以上である。
<ヒートシ-ル性>
得られた包装材を15mm×100mmの大きさに切り取り、ヒートシール層面同士が重なるように折り曲げ、以下の装置及び条件でヒートシールし、シールされていない両端部を小型引張試験機に固定し、ヒートシール強度を評価した。なお、A、B、Cが実用上問題ない範囲である。
《ヒートシール条件》
装置:テスター産業株式会社製ヒートシールテスター、シール幅:折り曲げ部より10mm、ヒーター温度:160℃、シール圧力:2kg/cm
シール時間:1sec
《ヒートシール強度測定条件》
装置:インテスコ社製 小型引張試験機(モデル;IM-20)、試験片幅:15mm、剥離モード:90°剥離、引張速度:100mm/min
《評価基準》
A.ヒートシール強度が3.5N以上である。
B.ヒートシール強度が2.5N以上、3.5N未満である。
C.ヒートシール強度が1.0N以上、2.5N未満である。
D.ヒートシール強度が1.0N未満である。
上記結果から、比較例1及び3は、ヒートシール層がないため、ヒートシール性が不良であった。比較例2及び3は、第一の表面保護層の塗工量が3.0g/m未満であるため、耐折り曲げ性及び耐水摩擦性が不良であった。比較例4は、塗工量が20g/m超過であるため、耐ブロキング性が不良であった。比較例5は、第一の表面保護層が樹脂(B)を含まないため、耐水摩擦性及び耐ブロッキング性を満たさなかった。比較例6は、第一の表面保護層がウレタン樹脂(A)を含まなかったため、耐折り曲げ性及び耐水摩擦性が不良であった。
一方実施例は、ヒートシール層を有し、第一の表面保護層がウレタン樹脂(A)及び樹脂(B)を含み、さらに当該層の塗工量が3~20g/mであるため、耐折り曲げ性、耐水摩擦性、耐ブロッキング性、及びヒートシール性が良好であった。
特に、ヒートシール層がポリエチレン樹脂を含み、ヒートシール層の塗工量が4~8g/mであり、第一の表面保護層において、ウレタン樹脂(A1)の全アミン価が7~9mgKOH/g、ウレタン樹脂(A2)のアミン価が11~13mgKOH/gであり、樹脂(B)が塩化ビニル-アクリル共重合樹脂PVC1であり、ウレタン樹脂(A)と樹脂(B)の質量比率が、55:45~70:30であり、第一の表面保護層の塗工量が10~14g/mであり、第一の表面保護層の弾性率が2.5×10~5×10Pa、損失係数が0.35~0.55であり、第二の表面保護層において、ニトロセルロース樹脂及びポリアミド樹脂を含み、ニトロセルロース樹脂とポリアミド樹脂との質量比率が、30:70~15:85であり、第二の表面保護層の塗工量が3~8.4g/mである、実施例1、27、30、39、40について、優れた耐折り曲げ性、耐水摩擦性、耐ブロッキング性、及びヒートシール性を示した。

Claims (11)

  1. ヒートシール層、紙基材、及び第一の表面保護層を順次有する包装材であって、
    前記第一の表面保護層が、ウレタン樹脂(A)及びウレタン樹脂(A)以外の樹脂(B)を含み、
    前記樹脂(B)が、ビニル系樹脂、及び/又はセルロース系樹脂を含み、
    第一の表面保護層の塗工量が、3~20g/mである、包装材。
  2. ウレタン樹脂(A)以外の樹脂(B)が、ビニル系樹脂であり、前記ビニル系樹脂が、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の包装材。
  3. JIS K 7244-4によって測定された、25℃における第一の表面保護層の弾性率が、1.0×10~1.5×10Paである、請求項1又は2に記載の包装材。
  4. JIS K 7244-4によって測定された、25℃における第一の表面保護層の損失係数が、0.1~0.7である、請求項1又は2に記載の包装材。
  5. ヒートシール層が、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂(E)からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1又は2に記載の包装材。
  6. ウレタン樹脂(A)が、ポリエステル由来の構造単位を含む、請求項1又は2に記載の包装材。
  7. ウレタン樹脂(A)が、全アミン価(mgKOH/g)1以上10未満のウレタン樹脂(A1)、及び全アミン価(mgKOH/g)10以上20以下のウレタン樹脂(A2)を含む、請求項1又は2に記載の包装材。
  8. 包装材が、更に、第二の表面保護層を有し、包装材の層構成が、ヒートシール層、紙基材、第一の表面保護層、及び第二の表面保護層の順である、請求項1又は2に記載の包装材。
  9. 第二の表面保護層が、セルロース系樹脂を含む、請求項8に記載の包装材。
  10. 第二の表面保護層が、更に、ポリアミド樹脂を含む、請求項9に記載の包装材。
  11. ヒートシール層、紙基材、及び第一の表面保護層を順次有する包装材の製造方法であって、
    紙基材の一方の面に、ヒートシール剤をグラビア印刷してヒートシール層を形成する工程と、
    紙基材の他方の面に、ウレタン樹脂(A)及びウレタン樹脂(A)以外の樹脂(B)を含む第一のオーバーコート剤をグラビア印刷して、塗工量3~20g/mの第一の表面保護層を形成する工程と、
    を含む、包装材の製造方法。
JP2022164390A 2022-10-13 2022-10-13 包装材及びその製造方法 Pending JP2024057632A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022164390A JP2024057632A (ja) 2022-10-13 2022-10-13 包装材及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022164390A JP2024057632A (ja) 2022-10-13 2022-10-13 包装材及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024057632A true JP2024057632A (ja) 2024-04-25

Family

ID=90790073

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022164390A Pending JP2024057632A (ja) 2022-10-13 2022-10-13 包装材及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024057632A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6406329B2 (ja) グラビアインキおよび印刷物
JP6363941B2 (ja) グラビア白色インキ組成物
CN109476938B (zh) 用于叠层体的凹印油墨、印刷品和叠层产品
JP6545559B2 (ja) ラミネート用印刷インキ組成物及び易引き裂き性積層体
JP6402434B2 (ja) グラビアインキ、それを用いた印刷物および積層体
JP2018165373A (ja) グラビアインキ、それを用いた印刷物および積層体
JP6464403B2 (ja) グラビアインキおよび印刷物
JP2018184584A (ja) グラビアインキおよびその印刷物と積層体
WO2018088523A1 (ja) 溶剤型ラミネート用グラビアインキ、印刷物、および積層体
JP6992921B2 (ja) グラビアインキおよびその印刷物と積層体
JP6455535B2 (ja) 溶剤型ラミネート用グラビアインキ、印刷物、および積層体
JP6090520B1 (ja) ラミネート用グラビアインキ組成物、印刷物、および積層体
JP6331205B1 (ja) ラミネート用グラビアインキ、印刷物、および積層体
JP7098020B1 (ja) インキ組成物、積層体、及び食品包装材
JP6958683B1 (ja) 溶剤型ラミネート用グラビアまたはフレキソインキとその利用
JP2016141754A (ja) ポリエステルフィルム貼付け金属板用インキ組成物
JP2024057632A (ja) 包装材及びその製造方法
JP2018059102A (ja) 軟包装用ラミネート印刷インキ組成物
JP2021187871A (ja) ラミネート用グラビアインキ、印刷物および積層体
JP7427852B2 (ja) 包装材、包装袋及び包装材の製造方法
JP2024012843A (ja) 包装材及び包装袋
JP7400562B2 (ja) グラビアまたはフレキソインキとその利用
JP2024003813A (ja) 包装材及び包装袋
JP7459625B2 (ja) ラミネート用グラビアインキまたはラミネート用フレキソインキとその利用
JP7470277B1 (ja) 積層体及び積層体の製造方法