以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。以下の図においては、説明の便宜上、一部の構成を省略することがある。また、以下の説明において、特に明示しない限り、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」は、各図において矢印で示した方向を基準として用いる。但し、以下の実施の形態での各構成の向きは、一例にすぎず、任意の向きに変更することができる。
図1は、実施の形態に係る搬送装置の概略斜視図である。図1に示すように、搬送装置1は、元容器としての製品番重T1が多段に重ねて搬入される段ばらし部2と、段ばらし部2から供給される製品番重T1を右から左方向に搬送する製品番重搬送部3とを備えている。また、搬送装置1は、搬出容器としての出荷番重T2を後から前方へ搬送する出荷番重搬送部4と、物品Wを保持して移送可能な移送部5と、物品Wを検出するための検出部6とを備えている。
特に限定されるものでないが、本実施の形態では、搬送対象となる物品Wを、弁当や惣菜等の調理品が収容された容器とし、利用者の把持等によって変形が生じる可撓性を有するものとする。また、段ばらし部2に搬入される製品番重T1には、複数の物品Wが収容される。図1や図6では、一例として、物品Wが製品番重T1の3箇所位置に2段ずつ重ねて収容されている場合を図示したが、これに限られるものでなく、2箇所或いは4箇所以上の位置に複数段重ねて収容してもよい。
本実施の形態において、製品番重T1及び出荷番重T2は、同一形態に形成されており、底壁及び周壁を備えて上部を開放する形状に設けられている。また、本実施の形態では、搬送装置1において、製品番重T1及び出荷番重T2は、上から見て短辺及び長辺を有する概略長方形状に形成され、各番重T1、T2の短辺が前後方向と平行に、長辺が左右方向と平行に配設されている。
図2は、図1の右側面図であり、図3は、図1の正面図である。段ばらし部2は、不図示の筐体によって囲われ、該筐体の右側(図2の紙面手前側)には不図示の搬入扉が設けられる。図1に加え、図2及び図3にも示すように、段ばらし部2は、製品番重T1が複数段積みされて配置される上昇分離機構21と、上昇分離機構21の下方に配設されたセット用台車22及びコンベア23とを備えている。セット用台車22は床面(不図示)を走行し、コンベア23は床面より若干上方に離れた位置に配設され、セット用台車22によって搬送装置1の外部から複数段積みされた製品番重T1がコンベア23上に運搬される。なお、コンベア23の左側には、製品番重T1を上昇分離機構21に受け渡した後のセット用台車22を右側に押し込むプッシャ(不図示)を設置してもよい。
上昇分離機構21では、セット用台車22に複数段積みされた製品番重T1全てを保持してからコンベア23上に載置する。そして、上昇分離機構21は、コンベア23上に段積みされた製品番重T1のうち、最下段の製品番重T1から1段ずつばらして製品番重搬送部3に供給可能に構成される。なお、各図面において、上昇分離機構21は、簡略化して図示しており、詳細な構成の図示、説明は省略する。
製品番重搬送部3は、上部に製品番重T1が載置されて左右方向に延出する下側製品番重コンベア(第1元容器搬送路)31及び上側製品番重コンベア(第2元容器搬送路)32と、各製品番重コンベア31、32と段ばらし部2との間に設けられたリフタ搬送機構33とを備えている。各製品番重コンベア31、32は、不図示の筐体やフレームによって床面から所定距離離れた高さ位置に支持される。各製品番重コンベア31、32は、延出方向となる右から左に向かう方向に製品番重T1を搬送するよう駆動され、かかる方向が各製品番重コンベア31、32での搬送方向に設定される。下側製品番重コンベア31の延出方向と、上側製品番重コンベア32の延出方向とは平行とされる。
各製品番重コンベア31、32の搬送方向は、製品番重T1の長辺の延出方向と平行に設定される。言い換えると、各製品番重コンベア31、32の幅(前後幅)は製品番重T1の短辺長さより若干大きく形成され、各製品番重コンベア31、32の搬送方向と製品番重T1の長辺の延出方向とが揃うように製品番重T1が載置及び搬送される。
各製品番重コンベア31、32において、それらの右端側領域(搬送方向上流側領域)に製品番重T1が搬送された状態で、該製品番重T1に収容された物品Wが移送部5で取り出される。ここで、各製品番重コンベア31、32の右端側領域は、製品番重T1の取出位置とされ、該取出位置は製品番重T1の左右幅より大きく設定される。また、各製品番重コンベア31、32において、それらの左端側領域(搬送方向下流側領域)に製品番重T1が搬送されると、該製品番重T1は不図示の回収機構や作業者によって回収される。
リフタ搬送機構33は、製品番重T1が載置されるリフタ用コンベア34と、リフタ用コンベア34を昇降させるシリンダ35と、シリンダ35におけるロッド35aの先端とリフタ用コンベア34とを連結する連結体36とを備えている。リフタ搬送機構33は、シリンダ35の駆動によってリフタ用コンベア34を昇降させ、また、リフタ用コンベア34を任意の上下位置にて位置決め可能に設けられる。具体的には、リフタ搬送機構33は、下側製品番重コンベア31、上側製品番重コンベア32、段ばらし部2のコンベア23及び後述する出荷番重コンベア41のそれぞれと同一高さに位置決め可能とされる。従って、段ばらし部2のコンベア23から図1、3にて二点鎖線で図示する位置のリフタ用コンベア34に製品番重T1を左方向に搬送することができる。かかる搬送後、リフタ用コンベア34及び製品番重T1を上昇し、リフタ用コンベア34から下側製品番重コンベア31、上側製品番重コンベア32及び出荷番重コンベア41に製品番重T1を左方向に搬送することができる。ここにおいて、段ばらし部2及びリフタ搬送機構33によって供給装置が構成される。
図4は、段ばらし部を省略した図1の左側面図である。図1及び2に加え、図4に示すように、出荷番重搬送部4は、上部に出荷番重T2が載置されて所定方向となる前後方向に延出する出荷番重コンベア(搬出容器搬送路)41を備えている。出荷番重コンベア41は、本実施の形態では延出方向に3分割された構造とされる。また、出荷番重コンベア41は、不図示の筐体やフレームによって床面から所定距離離れた高さ位置であって、図4に加えて図1及び図3にも示すように、下側製品番重コンベア31より下方に配設される。言い換えると、下側製品番重コンベア31及び上側製品番重コンベア32は出荷番重コンベア41の上方にて立体的に配設される。
図5は、図1の平面図である。図4及び図5に示すように、出荷番重コンベア41は、延出方向となる後ろから前に向かう方向に出荷番重T2を搬送するよう駆動され、かかる方向が出荷番重コンベア41での搬送方向に設定される。また、出荷番重コンベア41の延出方向及び搬送方向と各製品番重コンベア31、32の延出方向及び搬送方向とは、上方から見て概略直交する方向に交差するよう異なって配設されている。しかも、各製品番重コンベア31、32と出荷番重コンベア41とは異なる高さとして立体的に配設されるので、それらは立体的に交差する位置に配設される。
出荷番重コンベア41の搬送方向は、出荷番重T2の短辺の延出方向と平行に設定される。言い換えると、出荷番重コンベア41の幅(左右幅)は出荷番重T2の長辺長さに対して若干異なる大きさに形成され、出荷番重コンベア41の搬送方向と出荷番重T2の短辺の延出方向とが揃うように出荷番重T2が載置及び搬送される。各製品番重コンベア31、32で搬送される製品番重T1及び出荷番重コンベア41で搬送される出荷番重T2の上から見た向きは同一とされる(図5参照)。
出荷番重コンベア41にて、各製品番重コンベア31、32との交差位置に対し搬送方向となる前方に隣り合う位置が仕分先位置41Aとされる。仕分先位置41Aは、各図面にて図示した出荷番重T2のうち、括弧書きで符号「41A」を併記した出荷番重T2の位置とされる。
なお、出荷番重コンベア41の上流側となる前端側では、不図示の供給機構や作業者によって出荷番重T2が供給され、下流側となる後端側では、不図示の回収機構や作業者によって出荷番重T2が回収される。また、出荷番重コンベア41を搬送方向に延長し、他の搬送装置1を併設して設けてもよい。
図6は、上側製品番重コンベアの平面図である。図5に加え、図6に示すように、上側製品番重コンベア32の右端側領域となる取出位置を含む領域には開口部32aが形成される。開口部32aは、各製品番重コンベア31、32が上下に重なる領域に形成される。上側製品番重コンベア32の延出方向(左右方向)での開口部32aの長さは、製品番重T1の左右長さより大きく形成され、取出位置に製品番重T1が配置された状態で、該製品番重T1の左側からはみ出す大きさに設けられる。開口部32aの形成領域では、前後両側のフレーム部分に片持ち支持されるローラ32bが設けられ、前後のローラ32bの間の領域が開口部32aとされる。かかるローラ32bに製品番重T1の前後両端側が載置されて支持され、また、前後のローラ32bの少なくとも一方を駆動することで載置された製品番重T1を搬送することができる。
移送部5は、本実施の形態では2台設けられ、図示省略したが床面上に設置されるベースによって支持される。2台の移送部5は、出荷番重コンベア41における仕分先位置41Aの左右両側であって、各製品番重コンベア31、32の前方近傍に配設される。よって、2台の移送部5は、仕分先位置41A及び各製品番重コンベア31、32の取出位置の両方に対して近傍となる位置に配設される。
移送部5は、物品Wを上方から保持する保持部51と、保持部51を直交三軸方向及び回転方向に移動する移動機構52とを備えている。保持部51は、物品Wを保持できる限りにおいて、種々の構成を採用でき、物品Wの上面を吸着する機構や、物品Wを挟んで把持する機構等が例示できる。移動機構52は、複数のリンクを連結したアームを有する6軸多関節ロボットで構成されるが、シリンダや直動モータ、リニアモータ、送りねじ構造等を組み合わせた機構としてもよい。
移送部5は、保持部51で物品Wを保持してから移動機構52を駆動することで、物品Wを移送可能に設けられる。具体的には、移送部5は、上側製品番重コンベア32に搬送されて取出位置に配置された製品番重T1から、出荷番重コンベア41にて搬送されて仕分先位置41Aに位置する出荷番重T2へ物品Wを移送可能とされる(図4の太線矢印参照)。また、移送部5は、移動機構52の駆動によって、上側製品番重コンベア32の開口部32aに保持部51及び移動機構52自体を通過させることができる。これにより、移送部5は、開口部32aを通過して下側製品番重コンベア31の取出位置に配置された製品番重T1から物品Wを保持して取り出し、仕分先位置41Aの出荷番重T2へ物品Wを移送可能とされる。このように、移送部5は、下側製品番重コンベア31及び上側製品番重コンベア32と出荷番重コンベア41とが立体的に交差する位置及びその周りにて物品Wを移送することができる。
検出部6は、カメラ等の撮像手段によってそれぞれ構成される収容状態検出部61及び保持状態検出部62を備えている。収容状態検出部61は、不図示の筐体やフレームによって上側製品番重コンベア32における取出位置の上方に支持される。収容状態検出部61は、各製品番重コンベア31、32における製品番重T1に収容された物品Wを撮像し、その物品Wの収容数及び収容位置を取得するための撮像データを出力する。
保持状態検出部62においても不図示の筐体やフレームによって支持される。保持状態検出部62は、前後方向において出荷番重コンベア41の仕分先位置41Aと各製品番重コンベア31、32との間に配設され(図5参照)、上下方向においても、それらの間に配設される(図4参照)。保持状態検出部62は、移送部5による移送にて製品番重T1から出荷番重T2へ通過中の物品Wを下方から撮像し、その物品Wの向きや姿勢を取得するための撮像データを出力する。
次いで、本実施の形態の搬送装置1における基本動作について説明する。先ず、図3に示すように、段ばらし部2にて、上昇分離機構21によって最下段の製品番重T1から1段ずつばらし、該製品番重T1をコンベア23から下方で待機するリフタ用コンベア34に搬送して位置決めする。その後、リフタ搬送機構33におけるシリンダ35を駆動し、上側製品番重コンベア32の高さ位置までリフタ用コンベア34及び製品番重T1を上昇した後、リフタ用コンベア34及び上側製品番重コンベア32を駆動する。この駆動によって、製品番重T1がリフタ用コンベア34から上側製品番重コンベア32に搬送されて取出位置に達した状態で製品番重T1の搬送を停止して位置決めする。
これと前後して、下側製品番重コンベア31の取出位置にも製品番重T1を搬送する。該搬送においても、上側製品番重コンベア32への搬送と同様、段ばらし部2のコンベア23からリフタ用コンベア34に製品番重T1を搬送し、それらを下側製品番重コンベア31の高さ位置まで上昇する。そして、リフタ用コンベア34から下側製品番重コンベア31に製品番重T1が搬送されて取出位置に達した状態で製品番重T1の搬送を停止して位置決めする。
各製品番重コンベア31、32に搬送された後、製品番重T1における物品Wを収容状態検出部61によって撮像する。
一方、出荷番重搬送部4では、出荷番重コンベア41にて出荷番重T2を仕分先位置41Aまで搬送してから位置決めする。
このように製品番重T1及び出荷番重T2を位置決めした後、収容状態検出部61の撮像結果に応じ、2台の移送部5によって物品Wを製品番重T1から出荷番重T2に移送する。この移送では、図4の太線矢印で示すように、移動機構52が取出し動作M1、搬送動作M2、詰込み動作M3、戻り動作M4を行う。
順に説明すると、移動機構52が取出し動作M1することで、製品番重T1の上方となる初期位置から保持部51を移動し、製品番重T1内の物品Wに保持部51が接触する。この接触と略同時に保持部51が吸着等によって物品Wを保持する。かかる保持完了後、移動機構52が搬送動作M2することで、保持部51に保持された物品Wを出荷番重T2の上方位置に移送する。
移動機構52の搬送動作M2完了後、移動機構52が詰込み動作M3することで、保持部51に保持された物品Wを出荷番重T2の内部に移送して収容する。この収容と略同時に保持部51の吸着停止等によって物品Wの保持を解除し、物品Wの移送が完了する。かかる移送完了後、移動機構52が戻り動作M4することで、製品番重T1の上方となる初期位置に保持部51を移動する。上述した各動作M1~M4を1回ずつ順に行うことが、移送部5の1サイクルの移送動作とされる。
移動機構52による搬送動作M2の間に、移送中の物品Wが保持状態検出部62で下方から撮像され、かかる撮像結果に応じて移動機構52の駆動を制御することで保持された物品Wの向きや姿勢が補正される。これにより、出荷番重T2への物品Wの移送不良や収容不良が発生することが回避可能となる。
出荷番重T2への物品Wの移送は、収容される物品Wが所定の要求数に達するまで、上述した各動作M1~M4が繰り返し行われる。仕分先位置41Aの出荷番重T2に要求数の物品Wを移送すると、仕分先位置41Aでの出荷番重T2の位置決めを解除して搬出し、仕分先位置41Aに空となる新たな出荷番重T2を搬送して位置決めする。
なお、段ばらし部2に搬入された製品番重T1をそのまま出荷番重コンベア41を経て搬出する場合、リフタ搬送機構33におけるシリンダ35の駆動にて出荷番重コンベア41の高さ位置にリフタ用コンベア34及び製品番重T1を設定する。その後、リフタ用コンベア34を駆動して製品番重T1を左方向に移動し、出荷番重コンベア41に物品Wが収容された製品番重T1を供給することができる。出荷番重コンベア41では、供給された製品番重T1を出荷番重T2として取り扱って搬送する。
かかる出荷番重コンベア41における製品番重T1の移送の円滑化を図る構成として、図7A及び図7Bに示す構成を採用することができる。図7Aは、変形例に係る出荷番重コンベアの部分平面図であり、図7Bは、図7Aの一部構成を省略したA-A線断面図である。
図7A及び図7Bに示す出荷番重コンベア41は、出荷番重T2を搬送方向となる前方へ搬送するための複数の主ローラ41aに加え、隣り合う主ローラ41aの間に設けられる補助ローラ41bを備えている。かかる補助ローラ41bの設置位置は、出荷番重コンベア41におけるリフタ用コンベア34(図6参照)の左側に対向する一部領域となる。
補助ローラ41bは、軸線方向が前後方向に向けられ、その上部にリフタ用コンベア34から移送される製品番重T1が載置される。また、補助ローラ41bは、回転駆動によって上部の製品番重T1を左方向に移送可能とされる。
補助ローラ41bの外周は、円周面41cと、円周面41cの一部を前後方向に切断するように形成された平面41dとを備えて形状とされる。補助ローラ41bの平面41dは、上向きとされたときに、主ローラ41aの上端より低い位置に配置される。これにより、補助ローラ41bの平面41dを上向きとすることで、主ローラ41aによって搬送される出荷番重T2の下面と補助ローラ41bとを非接触にすることができる。
一方、図7Cに示すように、補助ローラ41bの円周面41cは、上向きとされると、主ローラ41aの上端より高い位置に配置される。これにより、補助ローラ41bの平面41dが上部から外れた回転位置では、主ローラ41a上の製品番重T1の下面に接触し、補助ローラ41bの回転駆動で製品番重T1に左方向の駆動力を付与することができる。
なお、出荷番重コンベア41において、補助ローラ41bの設置の有無は任意であり、リフタ用コンベア34の駆動によって、出荷番重コンベア41に製品番重T1を移送可能であれば、補助ローラ41bを省略してもよい。
搬送装置1は、制御装置8を更に備えている(図3のみ図示)。制御装置8は、中央処理装置(CPU)や、RAM、ROM等の記憶装置を含むコンピュータ等によって構成され、搬送装置1全体を制御する。制御装置8は、記憶装置に記憶されるプログラムや搬送計画のデータに基づき、段ばらし部2、製品番重搬送部3、出荷番重搬送部4、移送部5の駆動を制御する。制御装置8による搬送制御によって、記憶装置に記憶される搬送計画通りに出荷番重T2への物品Wの移送、製品番重T1及び出荷番重T2の搬送が実施される。また、制御装置8は、検出部6での検出結果に基づき、移送部5における物品Wの移送動作を調整するよう制御する。
続いて、本実施の形態における各製品番重コンベア31、32における製品番重T1の搬送の流れについて、移送部5による物品Wの移送を含めて図8のタイムチャートを参照して説明する。図8は、実施の形態の搬送装置における搬送の流れを示すタイムチャートである。
図8のタイムチャートによる各番重T1、T2の搬送及び物品Wの移送の条件を、以下のように設定している。なお、以下の各条件は一例に過ぎないものであり、物品Wや移送部5のスペック等に応じて種々の変更が可能である。
全ての製品番重T1に8個の物品Wが収容されており、全ての出荷番重T2に4個の物品Wを移送することとする。従って、2台の移送部5にて2サイクルの移送動作が実施されると、出荷番重T2に4個の物品Wが移送されて搬出され、新たな出荷番重T2が搬送される。また、2台の移送部5にて4サイクルの移送動作が実施されると、製品番重T1の8個の物品Wが全て無くなって空になり、空の製品番重T1及び物品Wが収容される新たな製品番重T1が搬送される。
移送部5の移動機構52における各動作M1~M4の動作時間は以下のようになる。図8のタイムチャートでは、動作時間に応じて矢印の長さを変えており、各動作の矢印上に動作時間の秒数を記載している。
取出し動作M1:3.6秒
搬送動作M2 :2.7秒
詰込み動作M3:3.6秒
戻り動作M4 :1.8秒
出荷番重コンベア41にて、仕分先位置41Aから物品Wを移送済みの出荷番重T2を搬出しつつ、空の出荷番重T2を仕分先位置41Aに搬送する搬送時間、すなわち、出荷番重T2の入れ替えに要する搬送時間を15.3秒とする。出荷番重T2の入れ替えを開始するタイミングは、各出荷番重T2にて最後に搬送される物品Wに対する詰込み動作M3の完了後となる。よって、その直後の戻り動作M4と出荷番重T2の入れ替えとは同時に進行される。
また、出荷番重T2の入れ替え中、製品番重T1では、次に物品Wを移送するための取出し動作M1、搬送動作M2も同時に進行される。よって、出荷番重T2の入れ替え直前の詰込み動作M3の完了から、次に物品Wを移送するための取出し動作M1の開始までの待ち時間は7.2秒となる(図8のタイムチャートにて点線矢印で図示)。出荷番重T2に4個の物品Wを移送し、次の出荷番重T2に物品Wの移送を開始するまでの時間が30.6秒となる。
製品番重T1の搬送は、物品Wの取出し動作M1中に停止することが条件となり、言い換えると、搬送動作M2、詰込み動作M3、戻り動作M4中は、製品番重T1の移送を同時に進行できる。
図9は、比較例における製品番重の搬送の流れを説明するための概略図であり、図10及び図11は、実施の形態における製品番重の搬送の流れの説明するための概略図である。比較例は、上記実施の形態の上側製品番重コンベア32を省略した構成となり、実施の形態と同様の構成については、同一符号を用いる。図9及び図10において、製品番重T1を横長の長方形で示し、該製品番重T1に収容される物品Wを破線の長方形で示す。物品W内に括弧書きで示した数値は、物品Wの搬送される順番を示し、以下の説明において、かかる順番で移送される物品Wを「物品(n)」と記載する場合がある(nは順番となる数値)。なお、製品番重T1には物品Wが8個収容されるので、各順番での物品Wは、その半数の4個分を示す。
図9から図11に示すように、製品番重T1の搬送の説明において、各製品番重コンベア31、32の上述した取出位置より搬送方向上流側(右側)に隣接する位置を、「待機位置」とする。待機位置は、リフタ用コンベア34上とされる。また、各製品番重コンベア31、32の取出位置より下流側に隣接する左端側領域を、「回収位置」とする。
製品番重T1の搬送方向(右から左方向)にて順に、待機位置、取出位置、回収位置が設定される。待機位置から取出位置への製品番重T1の搬送時間を15.3秒とし、取出位置から回収位置への製品番重T1の搬送時間も同様に15.3秒とする。
ここで、比較例での製品番重T1の搬送について説明する。図8のタイムチャートにおいて、比較例においても、移送部5の動作タイミングは、実施の形態と同じサイクルが繰り返され、出荷番重T2の搬送タイミングも実施の形態と同じとなる。比較例における製品番重T1の搬送について、暫定として図9の状態S1で示した状態から開始する場合を説明する。
図9の状態S1では、下側製品番重コンベア31の取出位置に、物品(1)及び物品(2)が収容される製品番重T1が配置され、該製品番重T1から物品Wの移送を開始する。また、状態S1では、下側製品番重コンベア31と同じ高さにリフタ用コンベア34が配置され、待機位置に物品(3)及び物品(4)が収容される製品番重T1が位置する。
状態S1の製品番重T1から物品(1)を移送後に図9の状態S2となり、状態S2にて物品(2)の最後の取出し動作M1の完了後、空の製品番重T1を新たな製品番重T1に入れ替える。そのため、図9の状態S3に示すように、待機位置の新たな製品番重T1を取出位置に搬送すると同時に、取出位置における空の製品番重T1を回収位置に搬送する。ここで、比較例にあっては、物品(2)の取出し動作M1の完了後から空の製品番重T1を回収位置に搬送する搬送時間を15.3秒とする。
その後、図9における状態S3の製品番重T1から物品(3)を移送した後、状態S4の製品番重T1から物品(4)を移送する。状態S4での取出位置における新たな製品番重T1の物品(4)の取出し動作M1の完了後、取出位置における空の製品番重T1を回収位置に搬送する搬送時間も15.3秒となる。なお、待機位置の新たな製品番重T1を取出位置に搬送する搬送時間も15.3秒となり、取出位置から回収位置への搬送と同じタイミングとされる。
続いて、実施の形態での製品番重T1の搬送について説明する。図10に示すように、実施の形態では、上下の製品番重コンベア31、32の両方を利用して製品番重T1を搬送する。実施の形態における製品番重T1の搬送について、比較例との対比を考慮し、暫定として図10の状態S1で示した状態から開始する場合を説明する。図10の状態S1においても、下側製品番重コンベア31の取出位置に、物品(1)及び物品(2)が収容される製品番重T1が配置され、該製品番重T1から物品Wの移送を開始する。状態S1では、上側製品番重コンベア32と同じ高さにリフタ用コンベア34が配置され、待機位置に物品(3)及び物品(4)が収容される製品番重T1が位置する。
かかる状態S1から、移送部5(図10では不図示)によって製品番重T1の右側(搬送方向上流側)に位置する物品(1)を移送する。この移送では、上側製品番重コンベア32の開口部32aに移送部5の移動機構52及び保持部51(図10では不図示、図1参照)が通過して物品(1)を保持及び移送するようになる。
物品(1)の最後の取出し動作M1の完了後、図10の状態S2で示すように、下側製品番重コンベア31において、製品番重T1を取出位置と回収位置との間の中間となる位置(以下、「中間位置」とする)まで搬送する。かかる搬送の搬送時間は、15.3秒の半分の7.65秒になり、取出し動作M1の後の搬送動作M2、詰込み動作M3及び戻り動作M4の進行時間中(8.1秒、図8参照)に中間位置への製品番重T1の搬送が完了する。
物品(1)の最後の取出し動作M1の完了後においては、上側製品番重コンベア32において、待機位置から取出位置への製品番重T1の搬送も同時に進行される(状態S2参照)。かかる搬送の搬送時間は15.3秒となる。図8のタイムチャートでは、上側製品番重コンベア32での搬送と、下側製品番重コンベア31での搬送とを同時に開始したが、上側製品番重コンベア32の搬送を開始するタイミングを遅らせてもよい。また、上側製品番重コンベア32にて待機位置から取出位置に製品番重T1を搬送した後、段ばらし部2(図10では不図示)を介してリフタ用コンベア34に新たな製品番重T1を供給する。そして、状態S2に示すように、下側製品番重コンベア31と同じ高さにリフタ用コンベア34が配置され、待機位置に物品(5)及び物品(6)が収容される製品番重T1が位置する。
状態S2にて、上側製品番重コンベア32の開口部32aは、下側製品番重コンベア31における中間位置の製品番重T1の上方にも形成される。よって、上側製品番重コンベア32の取出位置に製品番重T1があっても、中間位置の製品番重T1の物品(2)を移送部5で移送することができる。
図8のタイムチャートに示すように、物品(1)の移送を完了してから待ち時間7.2秒経過後、物品(2)を移送する。状態S2における物品(2)は、下側製品番重コンベア31における中間位置の製品番重T1の左側(搬送方向下流側)に位置する。物品(2)の移送においても、上側製品番重コンベア32の開口部32aに移送部5の移動機構52及び保持部51が通過し、物品(2)を保持及び移送するようになる。
物品(2)の最後の取出し動作M1の完了後、図10の状態S3で示すように、下側製品番重コンベア31において、製品番重T1を中間位置から回収位置まで搬送する。かかる搬送の搬送時間は、15.3秒の半分の7.65秒となり、取出し動作M1の後の搬送動作M2、詰込み動作M3及び戻り動作M4の進行時間中(8.1秒、図8参照)に回収位置への製品番重T1の搬送が完了する。
物品(2)の最後の取出し動作M1の完了後においては、上側製品番重コンベア32において、取出位置の製品番重T1が中間位置に搬送される(状態S3参照)。かかる搬送は、搬送時間が7.65秒となり、図8のタイムチャートに示すように、下側製品番重コンベア31での製品番重T1の搬送と同時に進行される。
また、物品(2)の最後の取出し動作M1の完了後においては、下側製品番重コンベア31において、物品(5)及び物品(6)が収容される待機位置の製品番重T1が取出位置に搬送される(状態S3参照)。かかる搬送の搬送時間は15.3秒となる。
図8のタイムチャートに示すように、物品(2)の移送を完了してから待ち時間4秒経過後、上側製品番重コンベア32の製品番重T1から物品(3)及び物品(4)を移送する。物品(3)は、中間位置の製品番重T1の右側(搬送方向上流側)に位置し、物品(4)は、該製品番重T1の左側(搬送方向下流側)に位置する。物品(3)の最後の取出し動作M1の完了後を図11の状態S4で示すが、状態S4は状態S3から中間位置及び取出位置の製品番重T1を搬送せずに停止したままとする。
なお、下側製品番重コンベア31にて待機位置から取出位置に製品番重T1を搬送した後、段ばらし部2(図10では不図示)を介してリフタ用コンベア34に新たな製品番重T1を供給する。そして、状態S4に示すように、上側製品番重コンベア32と同じ高さにリフタ用コンベア34が配置され、待機位置に物品(7)及び物品(8)が収容される製品番重T1が位置する。
物品(4)の最後の取出し動作M1の完了後、図11の状態S1で示すように、上側製品番重コンベア32において、製品番重T1を中間位置から回収位置まで搬送する。かかる搬送の搬送時間は、15.3秒の半分の7.65秒となり、取出し動作M1の後の搬送動作M2、詰込み動作M3及び戻り動作M4の進行時間中(8.1秒、図8参照)に回収位置への製品番重T1の搬送が完了する。
上述した製品番重T1の搬送にて、図10に示す状態S1から、図11に示す次の状態S1までの一連の搬送を1サイクルとし、該サイクルが複数回行われることで、順次、出荷番重T2へ物品Wを移送して搬出することができる。
このような実施の形態によれば、上側製品番重コンベア32が下側製品番重コンベア31の上方に重なりつつ開口部32aを有しているので、両方の製品番重コンベア31、32で搬送される製品番重T1から移送部5によって物品Wを移送することができる。また、実施の形態では、上述のように開口部32aを閉塞しないようにしつつ各製品番重コンベア31、32の取出位置及び中間位置に製品番重T1を配置している。これにより、比較例では、各製品番重T1での最後の取出し動作M1の完了後、回収位置までの搬送時間が15.3秒であったが、実施の形態では、その搬送時間を半分の7.65秒に短縮することができる(図8のタイムチャートの「t」参照)。このように空になった製品番重T1の回収時間の短縮化を図ることで、回収した製品番重T1を再利用して段ばらし部2への製品番重T1を短時間で供給可能となり、また、出荷番重コンベア41への出荷番重T2を短時間で供給可能となる。
また、下側製品番重コンベア31と上側製品番重コンベア32とが上下に重なりつつ平行に延出するので、床面に沿う方向での設置スペースが拡大されることを回避してコンパクト化を実現することができる。
また、開口部32aの左右長さを製品番重T1の左右長さより大きく形成したので、製品番重T1で開口部32aの全部を閉塞することを防止できる。これにより、開口部32aの閉塞されていない部分から移送部5を介して下側製品番重コンベア31の物品Wを移送でき、上下に位置する製品番重T1からの搬送のバリエーションを増やすことができる。
また、上記実施の形態は、リフタ用コンベア34から出荷番重コンベア41に製品番重T1を供給し、該製品番重T1を出荷番重T2として搬出可能としている。これにより、出荷番重T2での物品Wの要求数と製品番重T1の物品Wの収容数とが同じ場合、製品番重搬送部3及び移送部5を用いることなく、出荷番重T2として搬出でき、搬送効率を向上させることができる。
本発明の実施の形態は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。更には、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。従って、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
上記実施の形態では、支持する物品Wを調理品用の容器としたが、移送部5によって移送できる物品であれば何ら限定されるものでない。例えば、サンドイッチやパン、弁当等の他の食品、各種の電気機器、装置、それらの部品としたり、弁当容器以外の箱やトレイによって梱包されたものとしたりしてもよい。更に、物品Wにおいて、保持部51による保持箇所は、上面に限られず、物品Wの側面や縁部、下面から側面に亘って形成される凹凸部分、傾斜部分、突出部分等とすることができる。
また、搬出容器及び元容器として番重T1、T2を用いた場合を説明したが、これに限られるものでなく、収容する物品等に応じて種々の容器を用いることができる。また、各番重T1、T2に収容される物品Wは上下に重ねた状態としても重ねていない状態としてもよい。
また、移送部5の保持部51による物品Wの最大保持個数は2個以上にする等、変更してもよい。
また、製品番重コンベア31及び出荷番重コンベア41の延出方向は、湾曲する方向としてもよく、上から見たときの交差角度は、90°以外の角度に変更してもよい。
また、移送部5の設置位置は、床面に限定されずに天井や筐体(不図示)としてもよく、移送部5の設置数は2台に限定されず、1台あるいは3台以上としてもよい。