一般に、おにぎり及びサンドイッチなどの食品は、フィルム等の包装材料によって包装されるが、変形し易く、外力により一度変形すると、外力を除いても元の形には戻らない。上記従来の装置は、1又は複数の食品を所定の高さから落下させることにより食品を容器に詰め込む。このため、食品が落下した際に食品が外力を受けて変形すると、食品の変形により商品価値が損なわれるだけでなく、容器内の所定の詰め込み位置からずれてしまう可能性がある。その結果、食品同士や食品と容器の内壁面の間のデッドスペースが生じ、食品の収容効率が低下してしまうおそれがある。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、食品の箱詰め作業において食品の収容効率の向上を図ることを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明のある形態に係る食品の箱詰め装置は、上面が開口した容器に食品を箱詰めする箱詰め装置であって、前記食品を保持又は解放可能に構成された保持部を有する食品供給部と、主面を有し、前記食品を所定の方向に案内可能に構成された食品ガイド部と、前記食品供給部および前記食品ガイド部の動作を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記保持部により保持された食品を所定の高さから解放し、前記食品の一方の側面を前記食品ガイド部の主面に接触させることにより食品の落下方向を前記容器の底面方向に規制し、前記食品ガイド部の主面を前記容器内に落下した食品の他方の側面に接触させた状態で、当該接触した側面から他方の側面に向かう第1方向に移動させ、当該食品を前記容器内の所定の箱詰め位置に整列させるように、前記食品供給部および前記食品ガイド部の動作を制御する。
上記構成によれば、所定の高さから解放された食品の一方の側面を食品ガイド部の主面に接触させることにより、食品の落下方向が前記容器の底面方向に規制される。そして、食品ガイド部の主面を、容器内に落下した食品の他方の側面に接触させた状態で、当該接触した食品の側面から他方の側面に向かう方向に移動させる。食品は容器内の所定の箱詰め位置に整列する。これにより、食品の箱詰め作業において、容器内の食品と容器内壁面との間のデッドスペースや食品同士の間のデッドスペースを減少させることができるので、食品の収容効率が向上する。尚、容器は、例えば矩形の底面を有し、当該矩形の底面の縁に沿って、当該底面と略垂直方向に設けられた側面を有する番重である。
また、前記制御装置は、前記容器内の食品と前記容器の内壁面との間のスペースが、前記食品の幅よりも狭い場合は、前記食品ガイド部を前記容器内のスペースに挿入し、前記食品ガイド部の主面を前記容器内の食品に接触させた状態で、前記第1方向に移動させることにより前記容器内において前記食品の占めるスペースを確保するように、前記食品ガイド部の動作を制御するようにしてもよい。
上記構成によれば、箱詰め作業の最終段階では、容器内の食品と容器の内壁面との間のスペースが狭くなる。この場合は、食品ガイド部を容器内のスペースに挿入し、食品ガイド部の主面を容器内の食品に接触させた状態で、第1方向に移動させる。これにより容器内において食品の占めるスペースを確保することができるので、最後の食品まで確実に箱詰めすることができる。
また、前記保持部は、前記食品をその両側から挟み込むように構成された一対の把持部材を備え、前記一対の把持部材は、前記食品を保持した状態で、一方の把持部材の先端が前記食品の最下位よりも下の位置まで伸延しており、前記制御装置は、前記一対の把持部材により保持された食品を所定の高さから解放し、前記食品の一方の側面を前記食品ガイド部の主面に接触させるとともに、前記食品の他方の側面を前記一方の把持部材の内壁面に接触させることにより食品の落下方向を前記容器の底面方向に規制するようにしてもよい。
上記構成によれば、保持部が、食品をその両側から挟み込むように構成された一対の把持部材を備え、一対の把持部材が、食品を保持した状態で、一方の把持部材の先端が食品の最下位よりも下の位置まで伸延している。これにより、一対の把持部材により保持された食品を所定の高さから解放し、食品の一方の側面が食品ガイド部の主面に接触するとともに、食品の他方の側面が一方の把持部材の内壁面に接触する。これにより食品の落下方向を確実に規制することができる。
尚、前記食品ガイド部は、平板状の部材を有していてもよい。
食品ガイド部は、主面により食品を容器の底面に案内した後は、容器の底に位置することになるが、次の作業に移行するために容器の上方に退避しなければならない。食品ガイド部が平板状の部材を有するので、容器の内壁面や食品と接触することなく、容器の底から上空に退避することができる。例えば食品が容器内に起立状態であっても転倒しにくい。食品の収容効率が向上する。また、箱詰め作業の最終段階では、食品ガイド部は、容器内の食品と容器の内壁面との間のスペースに挿入されるが、食品ガイド部が平板状の部材を有するので、スペースに挿入し易くなる。
また、前記箱詰め装置本体の近傍に一の前記容器に隣接して他の前記容器が載置されており、前記制御装置は、前記一の容器に対する食品の詰め込み作業が終了した後は、前記平板の一方の主面を、前記他の容器の内壁面に接触させた状態で、当該容器を前記箱詰め装置本体の方向に引き寄せ、当該他の容器に対する食品の詰め込み作業を開始するように、食品ガイド部の動作を制御するようにしてもよい。
上記構成によれば、一の容器に対する詰め込み作業が終了した場合は、食品ガイド部(平板)の一方の主面を、他の容器の内壁面に接触させた状態で、容器を箱詰め装置本体の方向に引き寄せる。作業者が容器の準備作業を行う必要が無いので、他の容器に対する次の詰め込み作業を迅速に開始することができる。作業の効率が高まる。
また、前記食品ガイド部は、前記主面に対向して配置された主面を更に有し、前記対向する主面が互いに接近又は離反可能に構成され、前記制御装置は、前記食品ガイド部の対向する主面同士の間隔を、前記食品が通過可能な第1間隔に制御することによりシュート面を形成し、前記保持部により保持された食品を所定の高さから解放するとともに、前記シュート面により、解放された食品の落下方向を前記容器の底面方向に案内するように、前記食品供給部及び食品ガイド部の動作を制御するようにしてもよい。
上記構成によれば、食品ガイド部の対向する主面同士の間隔を、食品が通過可能な所定間隔に制御することによりシュート面が形成される。シュート面により、解放された食品の落下方向を確実に規制することができる。
前記制御装置は、前記容器内の食品と前記容器の内壁面との間のスペースが、前記食品の幅よりも狭い場合は、前記食品ガイド部の対向する主面同士の間隔を縮め、この状態で当該食品ガイド部を前記容器内のスペースに挿入し、前記食品ガイド部の対向する主面同士の間隔を前記第1間隔まで拡げることにより前記容器内において前記食品の占めるスペースを確保するように、前記食品ガイド部の動作を制御するようにしてもよい。
上記構成によれば、箱詰め作業の最終段階では、容器内の食品と容器の内壁面との間のスペースが狭くなるが、この場合であっても、食品ガイド部の対向する主面同士の間隔を縮め、この状態で当該食品ガイド部を前記容器内のスペースに挿入し、食品イド部の対向する主面同士の間隔を拡げる。これにより、容器内において食品の占めるスペースを確保することができるので、最後の食品まで確実に箱詰めすることができる。
尚、前記食品ガイド部は、主面が対向して配置された2枚の平板状の部材を有していてもよい。
食品ガイド部は、シュート面により食品を容器の底面に案内した後は、容器の底に位置することになるが、次の作業に移行するために容器の上方に退避しなければならない。主面が対向して配置された2枚の平板状の部材を食品ガイド部が有しているので、容器の内壁面や食品と接触することなく、容器の底から上空に退避することができる。例えば食品が容器内に起立状態であっても転倒しにくい。食品の収容効率が向上する。また、箱詰め作業の最終段階では、食品ガイド部は、容器内の食品と容器の内壁面との間のスペースに挿入されるが、主面が対向して配置された2枚の平板状の部材を食品ガイド部が有しているので、スペースに挿入し易くなる。
また、前記箱詰め装置本体の近傍に一の前記容器に隣接して他の前記容器が載置されており、前記制御装置は、前記一の容器に対する食品の詰め込み作業が終了した後は、前記シュート面とは反対側のいずれか一方の主面を、前記他の容器の内壁面に接触させた状態で、当該容器を前記箱詰め装置本体の方向に引き寄せ、当該他の容器に対する食品の詰め込み作業を開始するように、食品ガイド部の動作を制御するようにしてもよい。
上記構成によれば、一の容器に対する詰め込み作業が終了した場合は、シュート面とは反対側のいずれか一方の主面を、他の容器の内壁面に接触させた状態で、容器を箱詰め装置本体の方向に引き寄せる。作業者が容器の準備作業を行う必要が無いので、他の容器に対する次の詰め込み作業を迅速に開始することができる。作業の効率が高まる。
また、前記食品ガイド部は、ベースに対して移動可能に構成されたロボットアームの先端に取り付けられ、前記制御装置は、前記ロボットアームの動作を制御するようにしてもよい。
上記構成によれば、食品の箱詰め装置を、例えば人と共存して作業可能なロボットによって構成し、食品の製造現場に導入することで作業効率が高まる。
尚、前記保持部は、所定の方向に並べられた複数の前記食品を保持又は解放可能に構成されてもよい。
上記構成によれば、複数の食品毎に詰め込み作業ができるので、作業効率が高まる。
本発明は、以上に説明した構成を有し、食品の箱詰め作業において食品の収容効率の向上を図ることができるという効果を奏する。
以下、好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一または相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したものである。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る食品の箱詰め装置の全体の構成を概略的に示す平面図である。本実施形態の食品の箱詰め装置は、例えば食品の製造現場に導入される。図1に示すように、食品の箱詰め装置は、一対のロボットアーム(以下、単に「アーム」と記載する場合がある)13,13を備えたロボット11により構成される。以下では、一対のアームを広げた方向を左右方向と称する。基軸の軸心に平行な方向を上下方向と称する。左右方向および上下方向に直交する方向を前後方向と称する。
ロボット11の前方には第1コンベア51及び第2コンベア52が配置される。第1コンベア51は食品40を第2コンベア52まで移送するための装置である。第1コンベア51は前後方向に延びている。第2コンベア52は食品40をロボット11の手前まで移送するための装置である。第2コンベア52は左右方向に延びている。第2コンベア52は第1コンベア51よりも低い位置に設けられている。第1コンベア51の末端は下方に傾斜しているので、食品40は第2コンベア52上に落下する。第1コンベア51の末端には案内部材51aが設けられている。案内部材51aにより食品40の落下方向が第2コンベア52上の中央付近に案内される。第2コンベア52上の中央には搬送方向に沿って一対の規制部材52aが設けられる。一対の規制部材52aは、長手方向に所定の間隔を空けて配置される。案内部材51aにより食品40が一対の規制部材52aの間に導かれ、第2コンベア52上の食品40の姿勢が起立状態に維持される。
ロボット11のベース12の左側近傍には作業テーブル50が設置される。作業テーブル50の上には上方から食品40が供給されるように上面が開口した容器41が配置される。本実施形態では、容器41は、矩形の底面41aを有し、矩形の底面41aの縁に沿って、底面41aと略垂直方向に設けられた側面41bを有する番重である。番重は50個(5×10)の食品40を収納可能な容器である。また、作業テーブル50上には矩形状の容器41の底部を固定するための第1部材50a、及び、第2部材50bが設けられている。第1部材50aは、作業テーブル50上において容器41底部の短辺側の外側面を支持する。第2部材50bは、作業テーブル50上に配置された容器41底部の長辺側の外側面を支持する。ここでは、作業テーブル50の上には、一の容器41に隣接して他の容器41が載置されている。本実施形態では、ロボット11は、左右のアーム13,13を動作させて、先端に設けられたエンドエフェクタ18、19により、第2コンベア52上の食品40を順次容器41に詰め込むように構成されている。
ロボット11の左側後方には作業テーブル50に隣接して第3コンベア53が配置される。作業テーブル50上の第1部材50aは容器41の外側面に接触した状態で第3コンベア53の方向(図では後方)に駆動可能に構成される。これにより、詰め込み作業が終了した容器41は後方に位置する第3コンベア53の始端に移動する。第3コンベア53は前後方向に延びている。第3コンベア53により食品40が詰め込まれた容器41は出荷作業を行う作業者(図示せず)の近傍まで移送される。
図2は、食品40を概略的に示す斜視図である。図2に示すように、食品40は、一定の形状を有する食品本体が袋体に収容された包装体である。本実施形態では食品40は、円柱状の丸型おにぎりがフィルムなどの包装材料によってピロー包装されたピロー包装体である。食品40は、自立可能であって、且つ、互いに平行な第1側面40aと第2側面40bを有する。なお、自立可能とは、互いに平行な第1側面40a及び第2側面40bが鉛直方向に沿った状態(起立状態)で食品40が安定して静止可能であることを意味する。また、2つの側面(40a、40b)が平行であるとは、厳密な平行に限定されず、僅かな傾きを許容するものである。一般に食品40出荷前には安全性確保のため異物検査が行われる。X線検査では上方からX線が照射されるため、食品40は、第1コンベア51により、第1側面40a及び第2側面40baを水平にした状態で搬送される。その後、食品40の姿勢は、第2コンベア52上で、第1側面40a及び第2側面40bが鉛直方向に沿った起立状態に変更される(図1参照)。
図3は、ロボット11の一例の全体的な構成を概略的に示す平面図である。図3に示すように、ロボット11は、台車に固定されたベース12と、ベース12に支持された一対のアーム13、13と、ベース12内に収納された制御装置14とを備えている。ベース12の寸法は例えば610mm×620mmである。このため、ロボット11は、人一人分に相当する限られたスペースに設置することができる。各アーム13は、ベース12に対して移動可能に構成された水平多関節型ロボットアームである。アーム13は、アーム部15と、リスト部17と、を備えている。また、左右のアーム13,13は、独立して動作したり、互いに関連して動作したりすることができる。
アーム部15は、本例では、第1リンク15aおよび第2リンク15bとで構成されている。第1リンク15aは、ベース12の上面に固定された基軸16と回転関節J1により連結され、基軸16の軸心を通る回転軸線L1まわりに回動可能である。第2リンク15bは、第1リンク15aの先端と回転関節J2により連結され、第1リンク15aの先端に規定された回転軸線L2まわりに回動可能である。
リスト部17は、昇降部17aおよび回動部17bにより構成されている。昇降部17aは、第2リンク15bの先端と直動関節J3により連結され、第2リンク15bに対し昇降移動可能である。回動部17bは、昇降部17aの下端と回転関節J4により連結され、昇降部17aの下端に規定された回転軸線L3まわりに回動可能である。右のアーム13のリスト部17の回動部17bにはエンドエフェクタ18が連結されている。左のアーム13のリスト部17の回動部17bにはエンドエフェクタ19が連結されている。
上記構成の各アーム13は、各関節J1〜J4を有する。そして、アーム13には、各関節J1〜J4に対応付けられるように、駆動用のサーボモータ(図示せず)、および、そのサーボモータの回転角を検出するエンコーダ(図示せず)等が設けられている。また、2本のアーム13、13の第1リンク15a、15aの回転軸線L1は同一直線上にあり、一方のアーム13の第1リンク15aと他方のアーム13の第1リンク15aとは上下に高低差を設けて配置されている。
図4(A)及び図4(B)は、右アーム13に先端に取り付けられたエンドエフェクタ18の正面図及び側面図である。エンドエフェクタ18は、所定の方向(ここでは左右方向)に並べられた複数の食品40を保持するためのものである。図4(A)に示すように、エンドエフェクタ18は、正面視で回転軸線L3と垂直な方向に伸延している回動部17bを含む基部20と、基部20に設けられた複数の保持部21とを有する。各保持部21は、食品40をその両側から挟み込むように構成された一対の把持部材22を備える。一対の把持部材22は回転軸線L3に平行な方向(ここでは上下方向)に伸延している。
図4(B)に示すように、把持部材22の一方(ここでは前側)の長手方向(ここでは上下方向)の長さは、他方(ここでは後側)の長手方向の長さよりも長い。このため、一対の把持部材22により食品40を保持した状態では、把持部材22の一方の先端は食品40の最下位よりも下の位置まで伸延している。一対の把持部材22の内側には一対の把持パッド22aが設けられる。一対の把持パッド22aは対向して配置され、食品40の側面に当接される。また、各保持部21は、一方の把持部材22が取り付けられた本体部23と、他方の把持部材22が取り付けられた直動軸24とを備える。本体部23は、直動軸24を中心軸(L4)に沿って前後方向に駆動するアクチュエータ(図示せず)を内部に備える。これにより、一方の把持部材22に設けられた把持パッド22aの当接面と、他方の把持部材22に設けられた把持パッド22aの当接面とを互いに接近又は離反させることができる。各保持部21は、起立状態の食品40をその両側から挟むことができる。本実施形態ではエンドエフェクタ18は、所定の方向(ここでは左右方向)に5つの保持部21を備えているので、所定の方向に並べられた5つの食品40を保持又は解放することができる。尚、本実施形態では、エンドエフェクタ18を有する右のアーム13が本発明の「食品供給部」に相当する。
図5(A)及び図5(B)は、左アーム13の先端に取り付けられたエンドエフェクタ19の正面図及び側面図である。エンドエフェクタ19は、食品40を所定の方向(ここでは前後方向)に案内するためのものである。図5(A)に示すように、エンドエフェクタ19は、リスト部17の回動部17bを含む基部30と、基部30に設けられた第1平板部31とを有する。回動部17bは、正面視で回転軸線L3と垂直な方向に伸延している。第1平板部31は、平板状の部材を有し、取付部材60を介して基部30に取り付けられている。第1平板部31は、正面視で長方形状を有する平板である。第1平板部31の長手方向は回転軸線L3と垂直な方向に伸延している。第1平板部31の長手方向の幅は、エンドエフェクタ18によって保持される食品40の側面をカバーする。本実施形態では、第1平板部31の長手方向の幅は、5つの食品40の側面をカバーする。
また、図5(B)に示すように、取付部材60は側面視でL字形状を有し、取付部材60の下端に第1平板部31が接続されている。第1平板部31の両側の主面は直動関節J4の回転軸線L3に平行である。本実施形態では、第1平板部31において、回転軸線L3に遠い側の主面を第1主面31aと定義し、回転軸線L3に近い側の主面を第2主面31bと定義する。第1平板部31の第1主面31a又は第2主面31bにより、5つの食品40を所定の方向に案内することができる。本実施形態では、エンドエフェクタ19が本発明の「食品ガイド部」に相当する。
図6は、図3のロボット11の制御装置14の構成を概略的に示す機能ブロック図である。図6に示すように、制御装置14は、CPU等の演算部14aと、ROM、RAM等の記憶部14bと、サーボ制御部14cと、を備える。制御装置14は、例えばマイクロコントローラ等のコンピュータを備えたロボットコントローラである。なお、制御装置14は、集中制御する単独の制御装置14によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置14によって構成されていてもよい。
記憶部14bには、ロボットコントローラとしての基本プログラム、各種固定データ等の情報が記憶されている。演算部14aは、記憶部14bに記憶された基本プログラム等のソフトウェアを読み出して実行することにより、ロボット11の各種動作を制御する。すなわち、演算部14aは、ロボット11の制御指令を生成し、これをサーボ制御部14cに出力する。サーボ制御部14cは、演算部14aにより生成された制御指令に基づいて、ロボット11の各アーム13の関節J1〜J4に対応するサーボモータの駆動を制御するように構成されている。また、エンドエフェクタ18による食品40の保持動作の制御も制御装置14によって行われる。よって、制御装置14は、ロボット11全体の動作の制御を行う。
次に、本実施形態の食品40の詰め込み動作について図面を参照して説明する。まず、制御装置14は、図1に示すように、右のアーム13の動作を制御して、エンドエフェクタ18により第2コンベア52上の5つの食品40を保持し、作業テーブル50の上に配置された空の容器41の直上まで搬送する。このとき、制御装置14は、左のアーム13の動作を制御して、エンドエフェクタ19の第1平板部31の第2主面31bを、容器41のベース12側の側面41bに接触させておく。図7は、箱詰め作業時の容器41を前方から見た場合の一部断面図である。図7では、エンドエフェクタ18(図4参照)は、把持部材22及び把持パッド22aのみ示し、エンドエフェクタ19(図5参照)は、第1平板部31のみ示している。
次に、制御装置14は、右のアーム13の動作を制御して、エンドエフェクタ18により保持された5つの食品40(以下、一列目の食品ともいう)を所定の高さから解放する。具体的には、制御装置14は、図7(A)に示すように、一方の把持部材22(図では左側)に取り付けられた把持パッド22aを容器41のベース12側の側面41bに接触させた状態から、一方の把持部材22を左方向に移動させることにより、一対の把持部材22により保持された食品40が解放される。解放された一列目の食品40の一方(図では右側)の側面40aは、第1平板部31の第1主面31aに接触する。また、一対の把持部材22は、食品40を保持した状態で、一方把持部材22(図は左側)の先端が食品40の最下位よりも下の位置まで伸延しているので、解放された一列目の食品40の他方(図では左側)の側面40bは、一方の把持部材22の下端の内壁面に接触する。これにより食品40の落下方向が容器41の底面41a方向に規制される。
次に、制御装置14は、図7(B)に示すように、左のアーム13の動作を制御して、エンドエフェクタ19の第1平板部31の第2主面31bを容器41内に落下した一列目の食品40の他方(図は左側)の側面40bに接触させる。
次に、制御装置14は、図7(C)に示すように、左のアーム13の動作を制御して、エンドエフェクタ19の第1平板部31の第2主面31bを容器41内に落下した一列目の食品40の他方(図は左側)の側面40bに接触させた状態で、一列目の食品40の側面40bから側面40aに向かう第1方向(図では右方向)に移動させる。これにより一列目の食品40が容器41内の右端の箱詰め位置に整列する。これにより、容器41の側面41bと1列目の食品40との間のデッドスペースを減少させることができる。尚、第1平板部31の第1方向への移動は、第1平板部31の第1主面31aを食品40の側面40bに接触させた状態で行ってもよい。
次に、制御装置14は、右のアーム13の動作を制御して、エンドエフェクタ18により保持された2列目の食品40を所定の高さから解放する。このとき、図7(D)に示すように、エンドエフェクタ19の第1平板部31の第2主面31bは、容器41の右端に整列された一列目の食品40の他方の側面40bに接触させた状態である。制御装置14は、エンドエフェクタ18の把持パッド22aの一方の側面と、エンドエフェクタ19の第1平板部31の第1主面31aとが連なった状態から、把持パッド22aの他方(ここでは左側)を左方向に移動させることにより、一対の把持部材22により保持された2列目の食品40が解放される。このとき、解放された2列目の食品40の一方の側面40aが、第1平板部31の第1主面31aに接触する。また、一対の把持部材22は、食品40を保持した状態で、一方把持部材22(図では左側)の先端が食品40の最下位よりも下の位置まで伸延しているので、解放された食品40の他方の側面40bが、一方の把持部材22の下端の内壁面に接触する。これにより2列目の食品40の落下方向が容器41の底面41a方向に規制される。
尚、第1平板部31は、食品40を載置する度に、容器41の底から容器41の上方に退避しなければならないが、平板形状を有するので、退避時に容器41の側面41bや食品40の側面40a、40bに接触することはない。
以上のような動作を繰り返し行う。箱詰め作業の最終段階では、容器41内に配置された食品40と容器41の側面41bとの間のスペースが狭くなる場合がある。図8は、箱詰め作業の最終段階での容器41を前方から見た場合の一部断面図である。図8においても、エンドエフェクタ18(図4参照)は、把持部材22及び把持パッド22aのみ示し、エンドエフェクタ19(図5参照)は、第1平板部31のみ示している。図8(A)に示すように、容器41内の左右方向に配置された9列の食品40の9列目の食品40と容器41の側面41bとの間のスペースが食品40の幅よりも狭くなり、食品40を配置するには不十分なスペースである。
この場合は、制御装置14は、図8(B)に示すように、左のアーム13の動作を制御して、エンドエフェクタ19の第1平板部31を容器41内のスペースに挿入する。第1平板部31は平板形状を有するので、狭いスペースに挿入し易い。
次に、制御装置14は、図8(C)に示すように、左のアーム13の動作を制御して、第1平板部31の第2主面31bを容器41内の9列目の食品40の側面40bに接触させた状態で、第1方向(ここでは右方向)に移動させる。これにより容器41内において10列目の食品40の占めるスペースを確保することができる。尚、食品40の第1方向への移動は、第1平板部31の第1主面31aを食品40の他方の側面40bに接触させた状態で行ってもよい。
最後に、図8(D)に示すように、容器41内に最終列の食品40のスペースが確保されているので、制御装置14は、右のアーム13の動作を制御して、エンドエフェクタ18により保持された最終列(10列)目の食品40を所定の高さから解放する。これにより、最後の食品まで確実に箱詰めすることができる。
その後、詰め込み作業が終了した容器41は後方に位置する第3コンベア53の始端に移動する(図1参照)。第3コンベア53により容器41は出荷作業を行う作業者(図示せず)の近傍まで移送される。本実施形態では、図9に示すように、ロボット11のベース12近傍に設置された作業テーブル50の上には、第3コンベア53上に移動した容器41が置かれていたスペースに隣接して次の容器41が載置されている。制御装置14は、左のアーム13の動作を制御して、第1平板部31の第2主面31bを、次の容器41の側面41bに接触させた状態で、容器41を、ベース12の方向に引き寄せる。つまり、作業者が容器41の準備作業を行う必要が無いので、次の詰め込み作業を迅速に開始することができる。作業の効率が高まる。
尚、隣の容器41のベース12方向への移動は、第1平板部31の第1主面31aを、容器41の側面41bに接触させた状態で行ってもよい。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について説明する。本実施形態の食品40の保持装置10の基本的な構成は、第1実施形態と同様である。以下では、第1実施形態と共通する構成の説明は省略し、相違する構成についてのみ説明する。
図10は、本発明の第2実施形態に係る食品の箱詰め装置を示す図である。図11は、図10の右アーム13のエンドエフェクタ18Aの構成を示した図である。図11に示すように、本実施形態のエンドエフェクタ18Aは、第1実施形態(図4)と比較すると、一対の把持部材22の長手方向(ここでは上下方向)の長さが同じである点が異なるが(図11(B)参照)、その他の構成は同じであるので、詳細な説明は省略する。
図12は、図10の左アーム13のエンドエフェクタ19Aの構成を示した図である。図12に示すように、本実施形態のエンドエフェクタ19Aは、第1実施形態(図5)と比較すると、主面が互いに対向して配置された第1平板部31および第2平板部32を有する点が異なる。本実施形態では、第1平板部31において、回転軸線L3に遠い側の主面を第1主面31aと定義し、回転軸線L3に近い側の主面を第2主面31bと定義する。第2平板部32においては、第1平板部31の第1主面31aに対向する主面を第1主面32aと定義し、他方の主面を第2主面32bと定義する。本実施形態では、第1平板部31の第1主面31a及び第2平板部32の第1主面32aにより食品40のシュート面が形成される。
具体的には、エンドエフェクタ19Aは、リスト部17の回動部17bを含む基部30と、基部30に設けられた第1平板部31、および、第1平板部31に対向して配置された第2平板部32とを備える。回動部17bは、正面視で回転軸線L3と垂直な方向に伸延している。基部30は、第1平板部31が第1取付部材35を介して取り付けられた本体部33と、第2平板部32が第2取付部材36を介して取り付けられた直動軸34とを備える。本体部33は、直動軸34を中心軸(L4)に沿って前後方向に駆動するアクチュエータ(図示せず)を内部に備える。これにより、第1平板部31の第1主面31aと、第2平板部32の第1主面32aとを互いに接近又は離反させることができる。
次に、本実施形態の食品40の詰め込み動作について図面を参照して説明する。まず、制御装置14は、右のアーム13の動作を制御して、エンドエフェクタ18Aにより第2コンベア52上の5つの食品40を保持する。5つの食品40(以下、一列目の食品ともいう)は起立状態で所定の方向に並んだ状態で、作業テーブル50の上に配置された空の容器41の直上まで搬送される(図10参照)。このとき、制御装置14は、左のアーム13の動作を制御して、対向する主面(31a,32a)同士の間隔を、1列目の食品40が通過可能な第1間隔に制御することによりシュート面を形成する。また、一列目の食品40が容器41における箱詰め位置の近傍に落下するように、エンドエフェクタ19Aの第1平板部31の第2主面31bを容器41の側面41bに接触させておく。
次に、制御装置14は、右のアーム13の動作を制御して、エンドエフェクタ18Aにより保持された1列目の食品40を所定の高さから解放する。図13は、箱詰め作業時の容器41を前方から見た場合の一部断面図である。図13では、エンドエフェクタ18A(図11参照)は、一対の把持パッド22aのみ示し、エンドエフェクタ19A(図12参照)は、第1平板部31及び第2平板部32のみ示している。具体的には、制御装置14は、図13(A)に示すように、食品40を保持した一対の把持パッド22a,22aの一方を左方向に移動させることにより、各食品40が解放される。このとき、第1平板部31及び第2平板部32のシュート面(31a,32a)により、解放された一列目の食品40の落下方向が容器41の底面41a方向に案内される。
次に、制御装置14は、図13(B)に示すように、左のアーム13の動作を制御して、対向する主面(31a,32a)同士の間隔を、1列目の食品40の幅が通過可能な第1間隔に維持したまま、第1平板部31のシュート面とは反対側の主面31bを、容器41内に落下した食品40に接触させる。
次に、制御装置14は、図13(C)に示すように、左のアーム13の動作を制御して、対向する主面(31a,32a)同士の間隔を、1列目の食品40が通過可能な第1間隔に維持したまま、第1平板部31のシュート面とは反対側の主面31bを、容器内に落下した食品に接触させた状態で、第1方向(ここでは右方向)に移動させる。1列目の食品40が容器41内の所定の箱詰め位置に整列する。これにより、容器41の側面41bと1列目の食品40との間のデッドスペースを減少させることができるので、食品の収容効率が向上する。尚、食品40の第1方向への移動動作は、第2平板部32のシュート面とは反対側の主面32bを、容器内に落下した食品に接触させた状態で行ってもよい。
次に、制御装置14は、図13(D)に示すように、右のアーム13の動作を制御して、エンドエフェクタ18により保持された2列目の食品40を所定の高さから解放する。このとき、シュート面により、解放された2列目の食品40の落下方向が容器41の底面41a方向に案内される。
尚、第1平板部31及び第2平板部32は、食品40を載置する度に、容器41の底から容器41の上方に退避しなければならないが、平板形状を有するので、退避時に容器41の側面41bや食品40の側面40a、40bに接触することはない。
以上のような動作を繰り返し行う。箱詰め作業の最終段階では、容器41内に配置された食品40と容器41の側面41bとの間のスペースが狭くなる場合がある。図14(A)に示すように、容器41内の左右方向に配置された9列の食品40の9列目の食品40と容器41の側面41bとの間のスペースが狭くなり、食品40を配置するには不十分なスペースである。
この場合は、制御装置14は、図14(B)に示すように、第1平板部31及び第2平板部32の対向する主面同士の間隔を縮め、この状態で当該第1平板部31及び第2平板部32を容器41内のスペースに挿入する。第1平板部31及び第2平板部32は、主面が対向して配置された2枚の平板形状を有するので、狭いスペースに挿入し易い。
次に、制御装置14は、図14(C)に示すように、第1平板部31及び第2平板部32の対向する主面同士の間隔を第1間隔まで拡げることによりシュート面を形成する。これにより、容器41内において最終列(10列)の食品40の占めるスペースが確保される。ここでは第2平板部32の外側の主面32aを容器41の側面に接触させた状態で第1平板部31を第1方向(ここでは右方向)に移動させる。
最後に、図14(D)に示すように、容器41内に最終列の食品40のスペースが確保されているので、制御装置14は、右のアーム13の動作を制御して、エンドエフェクタ18Aにより保持された最終列(10列)目の食品40を所定の高さから解放する。これにより、最後の食品まで確実に箱詰めすることができる。
その後、制御装置14は、第1実施形態(図9参照)と同様に、左のアーム13の動作を制御して、第1平板部31のシュート面とは反対側の第2主面31bを、隣の容器41の側面41bに接触させた状態で、ベース12の方向に引き寄せ、次の容器41に対する食品の詰め込み作業を開始する。
尚、隣の容器41のベース12方向への移動は、第2平板部32のシュート面とは反対側の主面32bを、容器41の側面41bに接触させた状態で行ってもよい。
(変形例)
次に、本実施形態のロボット11のエンドエフェクタ19Aの変形例について説明する。図15は、エンドエフェクタ19Aの変形例の構成を示す図である。本変形例のエンドエフェクタ19Bは、第2実施形態のエンドエフェクタ19A(図12)と比較すると、付勢部材38を有し、この付勢部材38の付勢力によって、第1平板部31及び第2平板部32の主面同士が互いに接近又は離反可能に構成されている点が異なる。
具体的には、図15に示すように、エンドエフェクタ19Bが、回動部17bを含む基部30と、基部30に取り付けられた第1平板部31、および、第1平板部31に対向して配置された第2平板部32と、支持部材37と、付勢部材38と、を備える。
第1平板部31は取付部材39を介して基部30に取り付けられている。第2平板部32は付勢部材38を介して基部30に取り付けられている。第1平板部31と第2平板部32は、取付部材39及び付勢部材38を介して接続されている。また、第2平板部32の内側の主面32aは支持部材37の先端に取り付けられている。支持部材37は円柱形状を有し、円筒形状の取付部材39の内部に配置されているので、取付部材39は支持部材37の中心軸(L4)に沿って前後方向に移動可能に構成されている。これにより、取付部材39に取り付けられた第1平板部31の主面31aが、付勢部材38の付勢力によって、第2平板部32の主面32a方向に接近又は離反する。
次に、本変形例に係る最終段階の食品40の詰め込み動作について図16を参照して説明する。箱詰め作業の最終段階では、図16(A)に示すように、容器41内の左右方向に配置された9列の食品40の9列目の食品40と容器41の側面41bとの間のスペースが狭くなり、食品40を配置するには不十分なスペースである。
この場合は、制御装置14は、図16(A)に示すように、左のアーム13の動作を制御して、エンドエフェクタ19Bにより、第2平板部32のシュート面とは反対側の主面32bを容器41の側面41bに接触した状態で、第1平板部31を側面41bの方向(ここでは左側)に移動させることにより、対向する主面同士の間隔を縮める。
次に、制御装置14は、図16(B)に示すように、左のアーム13の動作を制御して、この状態で当該第1平板部31及び第2平板部32を容器41内のスペースに挿入する。
次に、制御装置14は、図16(C)に示すように、第1平板部31を食品40の方向(ここでは右側)に移動させることにより、対向する主面同士の間隔を第1間隔まで拡げることによりシュート面を形成する。これにより、容器41内において最終列(10列)の食品40の占めるスペースが確保される。
最後に、図16(D)に示すように、容器41内に最終列の食品40のスペースが確保されているので、制御装置14は、右のアーム13の動作を制御して、最終列(10列)目の食品40を所定の高さから解放する。これにより、最後の食品まで確実に箱詰めすることができる。
(その他の実施形態)
尚、上記各実施形態の食品の箱詰め装置は、水平多関節型の双腕ロボットで構成されたが、垂直多関節型の双腕ロボットを採用してもよい。
尚、上記各実施形態では、容器41は番重であったが、上方が開口した容器であれば、その他の容器であってもよい。また容器41は50個の食品40が収納可能であったが、収納容積はこれに限られない。
尚、上記各実施形態では、エンドエフェクタ18は、所定の方向に並べられた5つの食品40を保持又は解放可能に構成されたが、容器41の収納容積に応じて食品40の保持数は異なってもよい。例えば、1個乃至3個の食品40を保持してもよいし、6個以上の食品40を保持してもよい。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。