JP7468095B2 - 内燃機関制御システム及び内燃機関制御プログラム - Google Patents

内燃機関制御システム及び内燃機関制御プログラム Download PDF

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Description

この発明は、内燃機関制御システム及び内燃機関制御プログラムに関する。
特許文献1に開示された多気筒内燃機関には、吸気通路及び排気通路を跨いで過給機が設けられている。すなわち、吸気通路には、過給機のコンプレッサホイールが配置され、排気通路には、過給機のタービンホイールが配置されている。排気通路における、タービンホイールよりも上流側及び下流側は、バイパス通路で接続されている。バイパス通路には、当該バイパス通路を開閉するウェイストゲートバルブが配置されている。排気通路における、タービンホイールよりも下流側且つバイパス通路との接続箇所よりも下流側には、空燃比センサが取り付けられている。
この多気筒内燃機関の制御装置は、空燃比センサの検出値に基づいて、気筒間の空燃比のばらつきを診断するインバランス診断を行う。制御装置は、予め定められた開度にウェイストゲートバルブの開度を調整して、インバランス診断を行う。
特開2014-214668号公報
インバランス診断を行う特許文献1のような技術において、インバランス診断を行う際のウェイストゲートバルブの開度として全閉を定めることがある。ここで、ウェイストゲートバルブを全閉にした場合、排気がタービンホイールに流れてタービンホイールが回転し、それとともにコンプレッサホイールが回転する。コンプレッサホイールの回転とともに当該コンプレッサホイールよりも上流側で吸気の流速が高くなると、吸気通路の凹凸形状に起因してコンプレッサホイールよりも上流側で乱流と共に異音が発生することがある。特許文献1の技術では、インバランス診断を行う際の異音の発生について何ら着目しておらず、この異音を防止することについて改善の余地がある。
上記課題を解決するための内燃機関制御システムは、多気筒内燃機関と、前記多気筒内燃機関を制御する制御装置とを備える内燃機関制御システムであって、前記多気筒内燃機関は、吸気通路に配置されたコンプレッサホイール及び排気通路に配置されたタービンホイールを備えた過給機と、前記排気通路における、前記タービンホイールよりも上流側及び下流側を接続する排気バイパス通路と、前記排気バイパス通路を開閉するウェイストゲートバルブと、前記排気通路における、前記タービンホイールよりも下流側且つ前記排気バイパス通路との接続箇所よりも下流側に配置され、気筒内の空燃比を検出する空燃比センサとを有し、前記制御装置は、前記ウェイストゲートバルブを全閉とした状態で気筒間での空燃比のばらつきを診断するインバランス診断を、予め定められた所定回数繰り返すインバランス診断繰り返し処理を実施する診断実施部と、前記インバランス診断繰り返し処理が開始されてから終了するまでの間に、前記タービンホイールの回転数が予め定められた所定回転数以上である状態の継続時間を計測する時間計測部とを有し、前記診断実施部は、前記継続時間が予め定められた第1規定時間以上になった場合、前記インバランス診断繰り返し処理を中断すると共に前記ウェイストゲートバルブを全閉よりも大きな開度とし、前記インバランス診断繰り返し処理を中断してからの中断時間が予め定められた第2規定時間以上になった場合、前記インバランス診断繰り返し処理を再開する。
上記構成では、インバランス診断繰り返し処理の実施に伴ってウェイストゲートバルブを全閉としている状態においてタービンホイールが所定回転数以上の状態の継続時間を計測する。そして、継続時間が第1規定時間以上になった場合、一旦ウェイストゲートバルブを全閉よりも大きな開度とする。このことにより、異音が発生する前にタービンホイール及びコンプレッサホイールの回転数を低下させてコンプレッサホイールよりも上流側の吸気の流速を低下させることができる。このようにして吸気の流速をコントロールすることで、インバランス診断繰り返し処理の実施中に吸気通路におけるコンプレッサホイールよりも上流側で異音が発生することを防止できる。
内燃機関制御システムは、前記多気筒内燃機関が搭載されている車両の走行速度である車速を検出する車速センサを有し、前記時間計測部は、前記インバランス診断繰り返し処理が開始されてから終了するまでの間に、前記タービンホイールの回転数が前記所定回転数以上であり且つ前記車速が予め定められた規定車速未満である状態の継続時間を計測し、前記診断実施部は、前記継続時間が前記第1規定時間以上になった場合、前記インバランス診断繰り返し処理を中断すると共に前記ウェイストゲートバルブを全閉よりも大きな開度としてもよい。
車速が相応に高いときには、走行音が大きくなることから、仮に吸気通路で異音が発生したとしても走行音にかき消されて、車室内で異音として知覚され難い。上記構成では、このような、異音が車室内で知覚され難い状況については継続時間の計測対象から外す。このことから、継続時間を計測する機会が減り、それに伴って、インバランス診断繰り返し処理を中断する機会も減る。つまり、上記構成では、インバランス診断繰り返し処理の中断を極力避けることができる。
内燃機関制御システムにおいて、前記多気筒内燃機関は、前記吸気通路における、前記コンプレッサホイールよりも上流側及び下流側を接続する吸気バイパス通路と、前記吸気バイパス通路を開閉するバイパスバルブとを有し、前記制御装置は、前記多気筒内燃機関が始動してから当該多気筒内燃機関の運転が継続されることに応じて増加するパラメータである運転継続パラメータを算出する継続パラメータ算出部を有し、前記診断実施部は、前記運転継続パラメータが予め定められた完了規定値に至ったタイミング以降で前記インバランス診断繰り返し処理を行う場合には、前記バイパスバルブを全閉よりも大きな開度にする共に、前記継続時間が前記第1規定時間以上になっても前記インバランス診断繰り返し処理を中断することなく継続してもよい。
バイパスバルブを開くと、吸気通路におけるコンプレッサホイールよりも下流側の吸気の圧力が逃がされることで、気筒に充填される吸気量さらには気筒内の燃焼エネルギーが低下し、タービンホイールの回転数が低下する。これに伴い、コンプレッサホイールの回転数が低下することから、吸気通路におけるコンプレッサホイールよりも上流側の吸気の流速が低下し、異音が生じ難い。このことから、バイパスバルブを開いた場合には、異音の発生に注意を払わずにインバランス診断処理を行うことができる。一方で、バイパスバルブを開いた場合には、吸気通路におけるコンプレッサホイールよりも下流側の吸気の圧力を逃がすことから、機関出力に制限がかかる。
上記構成では、運転継続パラメータが完了規定値に至るまでは、機関出力を考慮して、中断を挟みつつインバランス診断繰り返し処理を行う。そして、運転継続パラメータが完了規定値以上になってもインバランス診断繰り返し処理が完了していないときには、インバランス診断繰り返し処理を完了させることを優先し、バイパスバルブを開いた状態でインバランス診断繰り返し処理を行う。これにより、異音を発生させることなく確実にインバランス診断繰り返し処理を完了させることができる。
上記課題を解決するための内燃機関制御システムは、多気筒内燃機関と、前記多気筒内燃機関を制御する制御装置とを備える内燃機関制御システムであって、前記多気筒内燃機関は、吸気通路に配置されたコンプレッサホイール及び排気通路に配置されたタービンホイールを備えた過給機と、前記吸気通路における、前記コンプレッサホイールよりも上流側及び下流側を接続する吸気バイパス通路と、前記吸気バイパス通路を開閉するバイパスバルブと、前記排気通路における、前記タービンホイールよりも上流側及び下流側を接続する排気バイパス通路と、前記排気バイパス通路を開閉するウェイストゲートバルブと、前記排気通路における、前記タービンホイールよりも下流側でありさらに前記排気バイパス通路との接続箇所よりも下流側に配置され、気筒内の空燃比を検出する空燃比センサとを有し、前記制御装置は、前記ウェイストゲートバルブを全閉とした状態で気筒間での空燃比のばらつきを診断するインバランス診断を、予め定められた所定回数繰り返すインバランス診断繰り返し処理を実施する診断実施部を有し、前記診断実施部は、前記インバランス診断繰り返し処理を実施する場合には、前記バイパスバルブを全閉よりも大きな開度とする。
バイパスバルブを開くと、吸気通路におけるコンプレッサホイールよりも下流側の吸気の圧力が逃がされることで、気筒に充填される吸気量さらには気筒内の燃焼エネルギーが低下し、タービンホイールの回転数が低下する。これに伴ってコンプレッサホイールの回転数が低下することから、吸気通路におけるコンプレッサホイールよりも上流側の吸気の流速が低下する。
上記構成では、インバランス診断繰り返し処理を実施する場合、バイパスバルブを全閉よりも大きな開度とする。したがって、インバランス診断繰り返し処理の実施に際してコンプレッサホイールよりも上流側の吸気の流速を抑えることができ、乱流及び異音の発生を防止できる。
内燃機関制御システムは、前記多気筒内燃機関が搭載されている車両の走行速度である車速を検出する車速センサを有し、前記診断実施部は、前記車速が予め定められた規定車速未満であるときに前記インバランス診断繰り返し処理を実施する場合には、前記バイパスバルブを全閉よりも大きな開度とし、前記車速が前記規定車速以上であるときに前記インバランス診断繰り返し処理を実施する場合には、前記バイパスバルブを全閉としてもよい。
バイパスバルブを開いた場合には、吸気通路におけるコンプレッサホイールよりも下流側の吸気の圧力を逃がすことから、機関出力に制限がかかる。ここで、車速が相応に高いときには、走行音が大きくなることから、仮に吸気通路で異音が発生したとしても走行音にかき消されて、車室内で異音として知覚され難い。上記構成では、このような、異音が車室内で知覚され難い状況ではバイパスバルブを全閉としてインバランス診断繰り返し処理を行うことから、インバランス診断繰り返し処理を実施することに伴って機関出力に制限がかかる状況を極力避けることができる。
上記課題を解決するための内燃機関制御プログラムは、吸気通路に配置されたコンプレッサホイール及び排気通路に配置されたタービンホイールを備えた過給機と、前記排気通路における、前記タービンホイールよりも上流側及び下流側を接続する排気バイパス通路と、前記排気バイパス通路を開閉するウェイストゲートバルブと、前記排気通路における、前記タービンホイールよりも下流側且つ前記排気バイパス通路との接続箇所よりも下流側に配置され、気筒内の空燃比を検出する空燃比センサとを有する多気筒内燃機関の制御装置に、前記ウェイストゲートバルブを全閉とした状態で気筒間での空燃比のばらつきを診断するインバランス診断を、予め定められた所定回数繰り返すインバランス診断繰り返し処理を実施する診断実施処理と、前記インバランス診断繰り返し処理が開始されてから終了するまでの間に、前記タービンホイールの回転数が予め定められた所定回転数以上である状態の継続時間を計測する時間計測処理とを実行させ、前記診断実施処理は、前記継続時間が予め定められた第1規定時間以上になった場合、前記インバランス診断繰り返し処理を中断すると共に前記ウェイストゲートバルブを全閉よりも大きな開度とし、前記インバランス診断繰り返し処理を中断してからの中断時間が予め定められた第2規定時間以上になった場合、前記インバランス診断繰り返し処理を再開する処理である。
上記構成では、インバランス診断繰り返し処理の実施に伴ってウェイストゲートバルブを全閉としている状態においてタービンホイールが所定回転数以上となる状態の継続時間を計測する。そして、継続時間が第1規定時間以上になった場合、一旦ウェイストゲートバルブを全閉よりも大きな開度とする。このことにより、異音が発生する前にタービンホイール及びコンプレッサホイールの回転数を低下させてコンプレッサホイールよりも上流側の吸気の流速を低下させることができる。このようにして吸気の流速をコントロールすることで、インバランス診断繰り返し処理の実施中に吸気通路におけるコンプレッサホイールよりも上流側で異音が発生することを防止できる。
内燃機関の概略構成図。 排気通路中流部の断面図。 機関運転領域とタービンホイールの回転数との関係性を表した図。 WGV時間制限処理の処理手順を表したフローチャート。 バイパスバルブ利用処理の処理手順を表したフローチャート。
以下、内燃機関制御システムの一実施形態を、図面を参照して説明する。
先ず、内燃機関の概略構成を説明する。
図1に示すように、車両100には、当該車両100の駆動源となる内燃機関10が搭載されている。内燃機関10は、複数の気筒12が区画された機関本体11を有する。この実施形態では、気筒12は4つ区画されている。すなわち、内燃機関10は多気筒内燃機関である。図示は省略するが、各気筒12には往復動可能にピストンが収容されている。ピストンは、コネクティングロッドを介してクランクシャフト14に連結されている。クランクシャフト14は、ピストンの往復動に応じて回転する。クランクシャフト14の近傍には、クランクシャフト14の回転位置CRを検出するクランク角センサ15が配置されている。
内燃機関10には、外部からの吸気が流通する吸気通路20が設けられている。吸気通路20の途中には、吸気通路20を流通する吸気量GAを検出するエアフロメータ21が取り付けられている。吸気通路20における、エアフロメータ21よりも下流側には、過給機16のコンプレッサホイール16aが配置されている。吸気通路20における、コンプレッサホイール16aよりも下流側には、吸気を冷却するインタークーラ22が配置されている。吸気通路20における、インタークーラ22よりも下流側には、吸気通路20を流通する吸気量GAを調整するスロットルバルブ24が配置されている。吸気通路20は、スロットルバルブ24よりも下流側において気筒12毎に分岐して各気筒12に接続されている。図示は省略するが、吸気通路20における、分岐箇所よりも下流側には、燃料を噴射する燃料噴射弁が気筒12毎に設けられている。また、図示は省略するが、吸気通路20における、各気筒12との接続口には、当該接続口を開閉する吸気バルブが気筒12毎に設けられている。なお、吸気通路20は、複数の管を繋ぎあわせて構成されており、管同士の接合部には凹凸がある。
吸気通路20における、エアフロメータ21とコンプレッサホイール16aとの間からは、吸気バイパス通路26が延びている。吸気バイパス通路26は、吸気通路20における、コンプレッサホイール16aとインタークーラ22との間に接続されている。吸気バイパス通路26の途中には、当該吸気バイパス通路26を開閉するバイパスバルブ28が配置されている。バイパスバルブ28は開度調整が可能である。
内燃機関10には、各気筒12内の排気を外部に排出するための排気通路30が設けられている。排気通路30は、各気筒12から延びて一つに合流している。図示は省略するが、排気通路30における各気筒12との接続口には、当該接続口を開閉する気筒12毎の排気バルブが配置されている。また、排気通路30における、合流箇分よりも下流側には、過給機16のタービンホイール16bが配置されている。タービンホイール16bは、コンプレッサホイール16aと連結されている。そして、タービンホイール16bが排気の流れに伴って回転すると、コンプレッサホイール16aがタービンホイール16bと一体回転して吸気が過給される。
排気通路30における、タービンホイール16bよりも下流側には、気筒12内の吸気と燃料との混合気の空燃比ASを検出する空燃比センサ33が配置されている。空燃比センサ33は、内燃機関10の1サイクルにおいて4つの気筒12の空燃比ASを順に検出する。内燃機関10の1サイクルとは、4つの気筒12のそれぞれにおいて吸気工程から排気工程までが完了する動作周期であり、クランクシャフト14の2回転分に相当する。排気通路30における、空燃比センサ33よりも下流側には、排気を浄化する触媒35が配置されている。
排気通路30における、タービンホイール16bよりも上流側からは、排気バイパス通路37が延びている。排気バイパス通路37は、排気通路30における、タービンホイール16bと空燃比センサ33との間に接続されている。排気バイパス通路37の下流端には、排気バイパス通路37を開閉するウェイストゲートバルブ(以下、WGVと記す。)38が配置されている。なお、図1では便宜上、排気バイパス通路37の途中にWGV38を示している。WGV38は、開度調整が可能である。
次に、排気通路30における、タービンホイール16bから触媒35に至る部分である排気通路中流部30Aの構造について詳述する。
図2に示すように、排気通路中流部30Aは、下流側ほど車両後側に位置するように延びている。ここで、排気通路30における、タービンホイール16bが収容されている部分を収容通路17としたとき、収容通路17は直線状に延びている。収容通路17は、略水平に配置されている。この収容通路17よりも上側に、排気バイパス通路37が配置されている。排気バイパス通路37は、略直線状に延びている。排気バイパス通路37の中心軸線37Jは、当該排気バイパス通路37の下流側ほど収容通路17の中心軸線17Jに近づくように当該中心軸線17Jに対して傾斜している。
排気通路中流部30Aにおける、排気バイパス通路37の接続箇所から触媒35に至る部分である触媒上流部18の中心軸線18Jは、排気バイパス通路37の中心軸線37Jと概ね一致している。そして、排気バイパス通路37及び触媒上流部18及び排気バイパス通路37の中心軸線18J,37J上に、触媒35の上流側の端面の略中央が位置している。このように、排気バイパス通路37は、触媒35を指向するように位置が定められている。そして、WGV38が開かれた場合(図2の実線参照)、排気は触媒35に向けて流れる。
さて、触媒上流部18は、車両後側へ向けて斜め下側へ延びている。この触媒上流部18の上側の壁部を貫通した状態で空燃比センサ33が取り付けられている。空燃比センサ33は、概ね円柱状になっている。空燃比センサ33の中心軸線は、概略的には上下方向に沿っている。空燃比センサ33は、車両100の衝突時に備え、排気通路中流部30Aよりも車両後側に位置している車室102を指向しないように向きが定められている。また、空燃比センサ33は、排気通路30内の水滴の付着を避けるべく、排気通路30内に露出する部分の寸法が相当に小さくなっている。このような空燃比センサ33の向きや露出量に因り、空燃比センサ33における、排気通路30内に露出している部分は、排気バイパス通路37をその中心軸線37Jに沿って仮想的に下流側へ延長させた領域から外れた位置に位置している。一方で、空燃比センサ33における、排気通路30内に露出した部分の先端は、収容通路17の中心軸線17J上に近い位置に位置している。空燃比センサ33と収容通路17とのこうした位置関係に因り、収容通路17から流れる排気は空燃比センサ33に向けて流れる。WGV38を全閉とした場合(図2の二点鎖線参照)には、空燃比センサ33に至る排気の流量が多くなり、空燃比センサ33による空燃比ASの検出精度が高くなる。
次に、内燃機関10の制御構成を説明する。
図1に示すように、車両100には、内燃機関10を制御する制御装置70が搭載されている。制御装置70は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサとして構成し得る。なお、制御装置70は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、またはそれらの組み合わせを含む回路(circuitry)として構成してもよい。プロセッサは、CPU及び、RAM並びにROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
制御装置70には、車両100に取り付けられている各種センサからの検出信号が入力される。制御装置70には、内燃機関10のエアフロメータ21が検出する吸気量GAに関する信号が入力される。制御装置70には、内燃機関10のクランク角センサ15が検出するクランクシャフト14の回転位置CRに関する信号が入力される。制御装置70には、内燃機関10の空燃比センサ33が検出する空燃比ASに関する信号が入力される。また、制御装置70には、車両100に取り付けられている車速センサ104が検出する車両100の走行速度である車速SPに関する信号が入力される。また、制御装置70には、車両100に取り付けられているアクセルペダルセンサ106が検出する車両100のアクセルペダルの操作量ACCに関する信号が入力される。
制御装置70は、クランクシャフト14の回転位置CRに基づいて、単位時間当たりのクランクシャフト14の回転数である機関回転数NEを算出する。また、制御装置70は、機関回転数NE及び吸気量GAに基づいて、機関負荷率KLを算出する。
制御装置70は、スロットルバルブ24の開度制御や燃料噴射弁の燃料噴射制御といった各種の機関制御を実施する制御実施部79を有する。制御実施部79は、各種センサの検出信号に基づいて、各種の機関制御を行う。制御実施部79は、機関制御の一環として、WGV38の開度制御やバイパスバルブ28の開度制御を行う。制御実施部79は、例えばアクセルペダルの操作量ACCに応じて過給が要求される状況下では、WGV38を全閉状態に制御し、バイパスバルブ28を全閉状態に制御する。
ここで、気筒12毎の燃料噴射弁の噴射性能のばらつきや、吸気の分配量のばらつきなどに起因して、気筒12間で空燃比ASのばらつきが生じることがある。制御装置70は、気筒12間での空燃比ASのばらつきを診断する診断実施部72を有する。診断実施部72は、具体的には、気筒12間での空燃比ASのばらつきを診断するインバランス診断を所定回数FA繰り返すインバランス診断繰り返し処理を行う。そして、診断実施部72は、所定回数FAのインバランス診断の結果に基づいて、気筒12間の空燃比ASのばらつきが許容される範囲内のものであるか否かを判定する。診断実施部72は、所定回数FAを予め記憶している。所定回数FAは、気筒12間での空燃比ASのばらつきの判定に関して信頼性の高い結果を得るのに十分な回数として、統計的な観点から定められている。
診断実施部72は、空燃比センサ33が検出する空燃比ASに基づいて、インバランス診断を行う。上記のとおり、内燃機関10では、WGV38の全閉状態(図2の二点鎖線参照)において空燃比センサ33の検出精度が高くなる。そこで、診断実施部72は、WGV38の全閉状態でインバランス診断を行う。
図3に示すように、診断実施部72は、機関回転数NEと機関負荷率KLとの組み合わせによって規定される機関運転領域Dが、インバランス診断を行うのに適した機関運転領域Dの範囲として定められた診断用範囲DA内であるときにインバランス診断を行う。診断実施部72は、診断用範囲DAを規定する機関回転数NEの範囲及び機関負荷率KLの範囲を予め記憶している。診断用範囲DAは、吸気バルブ及び排気バルブの双方が同時に開弁する所謂バルブオーバーラップが生じない機関運転領域Dの範囲となっている。ここで、バルブオーバーラップが生じる状況下では、気筒12内に流入した吸気や燃料が燃焼することなく排気通路30に吹き抜けることがある。この場合、仮に燃料噴射弁の噴射性能のばらつきや吸気の分配量のばらつきがあったとしても、空燃比センサ33が検出する空燃比ASにはそうしたばらつきが反映され難い。こうした事情を踏まえ、診断実施部72は、バルブオーバーラップが生じない機関運転領域Dの範囲である上記診断用範囲DAにおいてインバランス診断を行う。診断用範囲DAは、実験やシミュレーションによって定められている。なお、診断用範囲DAを規定する機関負荷率KLの範囲は例えば50%~70%である。また、診断用範囲DAを規定する機関回転数NEの範囲は例えば1500rpm~2500rpmである。
診断実施部72は、上記インバランス診断繰り返し処理を行っている間において、タービンホイール16bの回転数(以下、タービン回転数と記す。)Tが所定回転数TZ以上である状態の継続時間H1が第1規定時間H1A以上になった場合、インバランス診断の繰り返しを中断する。この場合、診断実施部72は、WGV38を全閉よりも大きな開度とする。そして、診断実施部72は、インバランス診断の繰り返しを中断してからの中断時間H2が第2規定時間H2A以上になると、インバランス診断の繰り返しを再開する。この実施形態では、診断実施部72は、インバランス診断の繰り返しを中断している間は、WGV38を全開にする。
診断実施部72は、上記の所定回転数TZを予め記憶している。ここで、インバランス診断を行うのに付随してWGV38を全閉状態へと移行させた場合、WGV38が全閉状態になることに伴ってタービン回転数Tが上昇する。そして、それとともにコンプレッサホイール16aの回転数が上昇する。この場合、吸気通路20における、コンプレッサホイール16aよりも上流側の吸気の流速が高くなり、当該上流側で乱流とともに異音が発生し得る。つまり、タービン回転数Tが高いと、吸気通路20で異音が発生し得る。さて、吸気通路20で異音が発生しないタービン回転数Tの最大値を限界回転数TAとしたとき、上記の所定回転数TZは、限界回転数TAよりも低い値として定められている。さらに、所定回転数TZは、診断用範囲DAとの関連で定められている。前提として、機関運転領域Dとタービン回転数Tとには、同一の機関回転数NEであれば、機関負荷率KLが高いほど、WGV38の全閉状態でのタービン回転数Tが高いという関係性がある。上記所定回転数TZは、診断用範囲DAを規定する機関回転数NEの略全範囲に関して、診断用範囲DAを規定する機関負荷率KLの最小値に略等しいタービン回転数Tになっている。つまり、診断実施部72が診断用範囲DA内でインバランス診断を行うことは、タービン回転数Tが所定回転数TZ以上の状態でインバランス診断を行うことに相当する。なお、診断用範囲DAのうち機関負荷率KLが高い領域の一部は、タービン回転数Tが限界回転数TA以上の領域となっている。したがって、診断用範囲DAを利用してインバランス診断を行う場合においてタービン回転数Tが高い状況、すなわち機関負荷率KLが高い状況では、吸気通路20で異音が発生し得る。
診断実施部72は、インバランス診断を繰り返す際の継続時間を規定する上記第1規定時間H1Aを予め記憶している。第1規定時間H1Aは、WGV38の全閉状態においてタービン回転数Tが所定回転数TZから限界回転数TAまで上昇するのに要する時間として定められている。この第1規定時間H1Aは、診断用範囲DA内で機関運転領域Dが変位する場合を対象として、タービン回転数Tが限界回転数TAまで上昇するのに要する時間を実験やシミュレーションから定めたものである。第1規定時間H1Aは、例えば1秒である。
診断実施部72は、インバランス診断の繰り返しの中断時間を規定する上記第2規定時間H2Aを予め記憶している。第2規定時間H2Aは、WGV38が全開状態にされることに伴ってタービン回転数Tが限界回転数TAから設定回転数TBまで低下するのに要する時間として定められている。この実施形態では、設定回転数TBは、所定回転数TZである。この第2規定時間H2Aは、診断用範囲DA内で機関運転領域Dが変位する場合を対象として、タービン回転数Tが設定回転数TBまで低下するのに要する時間を実験やシミュレーションから定めたものである。第2規定時間H2Aは、例えば1秒である。
診断実施部72は、バイパスバルブ28の開度を制御しつつインバランス診断を繰り返す場合がある。具体的には、この実施形態では、診断実施部72は、内燃機関10が始動されてからの経過時間を運転継続時間として取り扱う。そして、診断実施部72は、運転継続時間が完了規定値に至ったタイミング以降でインバランス診断を行う場合には、バイパスバルブ28を全閉よりも大きくする。この場合、診断実施部72は、タービン回転数Tが所定回転数TZ以上である状況が継続する上記継続時間H1が第1規定時間H1A以上になってもインバランス診断の繰り返しを中断することなく継続する。この実施形態では、診断実施部72は、バイパスバルブ28を全開にする。なお、運転継続時間は、内燃機関10が始動してから当該内燃機関10の運転が継続されることに応じて増加する運転継続パラメータである。
診断実施部72は、上記完了規定値を予め記憶している。ここで、内燃機関10の始動後、気筒12間の空燃比ASのばらつきが許容範囲内である状態で当該内燃機関10が動作していることを極力早い段階で把握することが望まれる。内燃機関10の始動後に上記のことを把握するのに許容される最大時間を要把握最大時間とし、インバランス診断の繰り返しを中断することなく継続したときにインバランス診断を所定回数FA行うのに要する時間を連続時所要時間としたとき、完了規定値は、要把握最大時間から連続時所要時間を減じた値となっている。完了規定値は、実験やシミュレーションによって定められている。
制御装置70は、インバランス診断を繰り返し行っている間において、タービン回転数Tが所定回転数TZ以上である状況が継続する上記継続時間H1を計測する時間計測部74を有する。この実施形態では、時間計測部74は、実質的にはWGV38を全閉にしている状態の継続時間H1を計測する。時間計測部74は、インバランス診断の繰り返しの中断時間H2も計測する。時間計測部74は、実質的には、WGV38を全開にしている状態の継続時間を中断時間H2として計測する。
制御装置70は、運転継続時間を計測する継続パラメータ算出部76を有する。継続パラメータ算出部76は、内燃機関10が始動されると、運転継続時間の計測を開始する。
次に、診断実施部72が時間計測部74とともに実施するWGV時間制限処理及びバイパスバルブ利用処理について説明する。先ず、これらWGV時間制限処理及びバイパスバルブ利用処理の実施に係る全般的な流れを説明し、その後それぞれの処理の手順を詳述する。
WGV時間制限処理及びバイパスバルブ利用処理は、ともにインバランス診断繰り返し処理を含んだ処理となっている。すなわち、WGV時間制限処理は、WGVの全閉状態と全開状態とを切り替えつつインバランス診断を繰り返す処理である。バイパスバルブ利用処理は、バイパスバルブ28の開度を制御しつつインバランス診断を繰り返す処理である。
診断実施部72は、内燃機関10の始動後、WGV時間制限処理とバイパスバルブ利用処理のうち、先ずWGV時間制限処理を行う。なお、イグニッションスイッチがオンにされた時点では、インバランス処理の繰り返し回数Fはゼロになっている。診断実施部72は、継続パラメータ算出部76が算出する運転継続時間が完了規定値に至ってもインバランス処理の繰り返し回数Fが所定回数FAに至っていない場合、すなわちインバランス繰り返し処理が完了していない場合、WGV時間制限処理を強制的に終了してバイパスバルブ用処理を行う。診断実施部72は、バイパスバルブ利用処理を行う場合、WGV時間制限処理を強制終了した時点での繰り返し回数Fを引き継いで繰り返し回数Fを更新していく。すなわち、診断実施部72は、WGV時間制限処理を強制終了しても繰り返し回数Fをリセットしない。診断実施部72は、運転継続時間が完了規定値に至ったときにインバランス繰り返し処理が完了している場合には、バイパスバルブ利用処理を行わない。
診断実施部72は、インバランス診断繰り返し処理が1度完了すると、それ以降ではWGV時間制限処理もバイパスバルブ利用処理も行わない。すなわち、イグニッションスイッチがオンになってからオフになるまでの間を1トリップとしたとき、診断実施部72は、インバランス診断繰り返し処理を1トリップにつき1回行う。
WGV時間制限処理の処理手順について説明する。なお、本処理によって指示されるWGV38の開度とは異なる開度が制御実施部79から指示された場合、診断実施部72は本処理を中止する。診断実施部72は、本処理を中止した場合、本処理を最初のステップからやり直す。このとき、診断実施部72は、繰り返し回数Fをリセットせず、本処理を中止した時点で保持していた繰り返し回数Fを引き継ぐ。なお、本処理において診断実施部72がWGV38の開度変更を許容しているときに制御実施部79からWGV38の開度を制御する要求があった場合には、診断実施部72は本処理を中止することなく継続する。
診断実施部72は、イグニッションスイッチがオンになって内燃機関10が始動されると、WGV時間制限処理を開始する。図4に示すように、診断実施部72は、WGV時間制限処理を開始すると、ステップS100の処理を行う。ステップS100において、診断実施部72は、WGV38に対する全閉制御又は全開制御をキャンセルする。ここで、WGV時間制限処理では、ステップS100に処理が進んだ時点で診断実施部72自身がWGV38を全閉状態または全開状態に制御していることがある。このステップS100の処理では、診断実施部72は、自身がWGV38を全閉状態または全開状態に制御している場合、これらの制御をキャンセルし、WGV38の開度変更を許容する。一方、診断実施部72は、WGV38を全閉状態にも全開状態にも制御していない場合、このステップS100では何もしない。診断実施部72は、ステップS100の処理を行うと、処理をステップS110に進める。
ステップS110において、診断実施部72は、現在の機関運転領域Dが初回診断用範囲DB内であるか否かを判定する。図3に示すように、初回診断用範囲DBは、診断用範囲DAのうち、機関負荷率KLが相当に小さい機関運転領域Dの範囲であってタービン回転数Tが所定回転数TZであるときの機関運転領域D周辺の範囲として定められている。ここで、この後の処理においてWGV38が全閉状態に制御される際、機関運転領域Dが診断用範囲DAのうち機関負荷率KLの高い領域のものである場合、その後タービン回転数Tが上昇したときに僅かな時間でタービン回転数Tが限界回転数TAに至ってしまう。こうした事情を考慮して、初回診断用範囲DBは診断用範囲DAの中でも機関負荷率KLが小さい機関運転領域Dとして設定されている。
診断実施部72は、図4に示すステップS110の判定に際して、先ず、最新の機関回転数NE及び機関負荷率KLを取得する。そして、診断実施部72は、これら最新の機関回転数NE及び機関負荷率KLによって規定される現在の機関運転領域Dが初回診断用範囲DB内であるか否かを判定する。診断実施部72は、機関運転領域Dが初回診断用範囲DB外である場合(ステップS110:NO)、再度ステップS100及びステップS110の処理を実行する。診断実施部72は、機関運転領域Dが初回診断用範囲DB内になるまでステップS100及びステップS110の処理を繰り返す。診断実施部72は、機関運転領域Dが初回診断用範囲DB内になると(ステップS110:YES)、ステップS120に処理を進める。
ステップS120において、診断実施部72は、WGV38を全閉状態に制御する。診断実施部72は、処理がステップS120に至った時点でWGV38が全閉よりも大きい開度の場合には、WGV38を全閉状態に移行させる。また、診断実施部72は、処理がステップS120に至った時点でWGV38が全閉状態である場合には、その状態を維持する。診断実施部72は、ステップS120の処理を行うと、処理をステップS130に進める。なお、診断実施部72は、この後他のステップでWGV38に係る処理を行うまでWGV38の全閉状態を継続する。
ステップS130において、時間計測部74は、継続時間H1をリセットする。そして、時間計測部74は、処理をステップS140に進める。
ステップS140において、時間計測部74は、継続時間H1の計測を開始する。そして、時間計測部74は、処理をステップS150に進める。
ステップS150において、診断実施部72は、インバランス診断を行う。このインバランス診断において、診断実施部72は、空燃比センサ33が検出する空燃比ASを取得する。具体的には、診断実施部72は、内燃機関10の1サイクル分の空燃比ASを継続的に取得するとともに、取得した空燃比ASを時系列データとして記憶する。診断実施部72は、時系列データの取得が完了するまでは待機する。さて、内燃機関10の1サイクル分の空燃比ASの時系列データには、4つの気筒12の空燃比ASがクランクシャフト14の半回転に相当する時間間隔で順に表れる。この時系列データの振幅が大きければ、気筒12間の空燃比ASのばらつきが大きいことになる。そこで、診断実施部72は、取得した空燃比ASの時系列データにおいて空燃比ASが上昇から下降に転じる上側ピークと、空燃比ASが下降から上昇に転じる下側ピークとを特定し、上側ピークと下側ピークとの差分を算出する。そして、診断実施部72は、この差分を基準値で除した値をインバランス用判定値として記憶する。診断実施部72は、基準値を予め記憶している。基準値は、気筒12間の空燃比ASのばらつきが許容範囲内である場合における、上記上側ピークと下側ピークとの差分の平均的な値として実験やシミュレーションによって定められている。診断実施部72は、インバランス診断を行うと、処理をステップS160に進める。
ステップS160において、診断実施部72は、インバランス診断の繰り返し回数Fを更新する。具体的には、診断実施部72は、現在の繰り返し回数Fに1を加算し、加算後の繰り返し回数Fを最新の繰り返し回数Fとして保持する。この後、診断実施部72は、処理をステップS170に進める。
ステップS170において、診断実施部72は、繰り返し回数Fが所定回数FAに至ったか否かを判定する。診断実施部72は、繰り返し回数Fが所定回数FA未満である場合(ステップS170:NO)、処理をステップS200に進める。
ステップS200において、診断実施部72は、継続時間H1が第1規定時間H1A以上であるか否かを判定する。診断実施部72は、継続時間H1が第1規定時間H1A未満である場合(S200:NO)、処理をステップS300に進める。
ステップS300において、診断実施部72は、現在の機関運転領域Dが診断用範囲DA内であるか否かを判定する。具体的には、診断実施部72は、最新の機関回転数NE及び機関負荷率KLを取得する。そして、診断実施部72は、これら最新の機関回転数NE及び機関負荷率KLによって規定される現在の機関運転領域Dが診断用範囲DA内であるか否かを判定する。診断実施部72は、機関運転領域Dが診断用範囲DA外である場合(ステップS300:NO)、ステップS100の処理に戻る。一方、診断実施部72は、機関運転領域Dが診断用範囲DA内である場合(ステップS300:YES)、ステップS150に処理を進める。そして、診断実施部72は、インバランス処理を行う。この後、診断実施部72は処理をステップS160に進めて繰り返し回数Fを更新するとともにさらに処理をステップS170に進めて繰り返し回数Fの判定を行う。
診断実施部72は、繰り返し回数Fが所定回数FA未満の状況下において(ステップS170:NO)、継続時間H1が第1規定時間H1A未満(ステップS200:NO)且つ、機関運転領域Dが診断用範囲DA内(ステップS300:YES)である状況が継続する場合、ステップS150、ステップS160、ステップS170、ステップS200、ステップS300の処理を繰り返す。この繰り返しの処理は、インバランス診断繰り返し処理の過程の一部に相当する。
さて、上記の処理の繰り返しの間において継続時間H1が第1規定時間H1Aに至った場合(ステップS200:YES)、診断実施部72は処理をステップS210に進める。この場合、診断実施部72は、インバランス診断繰り返し処理を一旦中断することになる。ステップS210において、診断実施部72は、WGV38を全開状態に制御する。そして、診断実施部72は、処理をステップS220に進める。なお、診断実施部72、この後他のステップでWGV38に係る処理を行うまではWGV38の全開状態を継続する。
ステップS220において、時間計測部74は、中断時間H2をゼロにリセットする。そして、時間計測部74は、処理をステップS230に進める。
ステップS230において、時間計測部74は、中断時間H2の計測を開始する。そして、時間計測部74は、処理をステップS240に進める。
ステップS240において、診断実施部72は、中断時間H2が第2規定時間H2A以上であるか否かを判定する。診断実施部72は、中断時間H2が第2規定時間H2A未満である場合(ステップS240:NO)、再度ステップS240の処理を実行する。診断実施部72は、中断時間H2が第2規定時間H2A以上になるまでステップS240の処理を繰り返す。すなわち、診断実施部72は、中断時間H2が第2規定時間H2A以上になるまで待機する。診断実施部72は、中断時間H2が第2規定時間H2Aに至ると(ステップS240:YES)、ステップS100の処理に戻る。
この後、診断実施部72は、ステップS100以降の処理を再度行う。ステップS100以降の処理を行っている間において繰り返し回数Fが徐々に増え、やがてステップS170において繰り返し回数Fが所定回数FAに至ると(ステップS170:YES)、診断実施部72は処理をステップS180に進める。
ステップS180において、診断実施部72は、気筒12間の空燃比ASのばらつきの有無、すなわち気筒12間の空燃比ASのばらつきが許容範囲内であるか否かを判定する。具体的には、診断実施部72は、インバランス診断毎に記憶したインバランス判定値の積算値を算出する。そして、診断実施部72は、この積算値と判定閾値とを比較する。診断実施部72は、積算値が判定閾値以下の場合、気筒12間の空燃比ASのばらつきが許容範囲内であると判定する。一方、診断実施部72は、積算値が判定閾値より大きい場合、気筒12間の空燃比ASのばらつきは許容範囲を越えていると判定する。なお、診断実施部72は、判定閾値を予め記憶している。判定閾値は、気筒12間の空燃比ASのばらつきが許容範囲内である場合にインバランス判定値が取り得る最大値として実験やシミュレーションによって定められている。診断実施部72は、気筒12間の空燃比ASのばらつきの有無を判定すると、WGV時間制限処理の一連の処理を終了する。この場合、診断実施部72は、WGV38に対する制御を終了する。
次に、バイパスバルブ利用処理の処理手順について説明する。なお、本処理によって指示されるWGV38の開度とは異なる開度が制御実施部79から指示された場合、診断実施部72は本処理を中止する。また、本処理によって指示されるバイパスバルブ28の開度とは異なる開度が制御実施部79から指示された場合も、診断実施部72は本処理を中止する。診断実施部72は、本処理を中止した場合、本処理を最初のステップからやり直す。このとき、診断実施部72は、繰り返し回数Fをリセットせず、本処理を中止した時点で保持していた繰り返し回数Fを引き継ぐ。本処理において診断実施部72がWGV38やバイパスバルブ28の開度変更を許容しているときに制御実施部79からこれらのバルブの開度を制御する要求があった場合には、診断実施部72は本処理を中止することなく継続する。
診断実施部72は、運転継続時間が完了規定値に至ってもインバランス繰り返し処理が完了していない場合、バイパスバルブ利用処理を開始する。図5に示すように、診断実施部72は、バイパスバルブ利用処理を開始すると、ステップS410の処理を実行する。ステップS410において、現在の機関運転領域Dが診断用範囲DA内であるか否かを判定する。この判定の手法はWGV時間制限処理と同じであるため、説明は割愛する。診断実施部72は、機関運転領域Dが診断用範囲DA外である場合(ステップS410:NO)、処理をステップS510に処理を進める。
ステップS510において、診断実施部72は、WGV38に対する全閉制御をキャンセルする。ここで、バイパスバルブ利用処理では、ステップS510に処理が進んだ時点で診断実施部72自身がWGV38を全閉状態に制御していることがある。このステップS510の処理では、診断実施部72は、自身がWGV38を全閉状態に制御している場合、この制御をキャンセルし、WGV38の開度変更を許容する。一方、診断実施部72は、WGV38を全閉状態に制御していない場合、何もしない。診断実施部72は、ステップS510の処理を行うと、処理をステップS520に進める。
ステップS520において、診断実施部72は、バイパスバルブ28に対する全開制御をキャンセルする。上記ステップS510と同様、バイパスバルブ利用処理では、ステップS520に処理が進んだ時点で診断実施部72がバイパスバルブ28を全開状態に制御していることがある。このステップS520の処理では、診断実施部72は、自身がバイパスバルブ28を全開状態に制御している場合、この制御をキャンセルし、バイパスバルブ28の開度変更を許容する。一方、診断実施部72は、バイパスバルブ28を全開状態に制御していない場合、何もしない。診断実施部72は、ステップS520の処理を行うと、ステップS410の処理に戻る。
このように、診断実施部72は、ステップS510及びステップS520の処理を挟みつつ、機関運転領域Dが診断用範囲DA内になるまでステップS410の処理を繰り返す。そして、診断実施部72は、機関運転領域Dが診断用範囲DA内になると(ステップS410:YES)、処理をステップS420に進める。
ステップS420において、診断実施部72は、WGV38を全閉状態に制御する。WGV時間制限処理の場合と同様、診断実施部72は、処理がステップS420に至った時点でWGV38が全閉よりも大きい開度の場合には、WGV38を全閉状態に移行させる。また、診断実施部72は、処理がステップS420に至った時点でWGV38が全閉状態である場合には、その状態を維持する。この後、診断実施部72は、処理をステップS430に進める。なお、診断実施部72、この後他のステップでWGV38に係る処理を行うまでWGV38の全閉状態を継続する。
ステップS430において、診断実施部72は、バイパスバルブ28を全開状態に制御する。ステップS420と同様、診断実施部72は、処理がステップS430に至った時点でバイパスバルブ28が全開よりも小さい開度の場合には、バイパスバルブ28を全開状態に移行させる。また、診断実施部72は、処理がステップS430に至った時点でバイパスバルブ28が全開状態である場合には、その状態を維持する。この後、診断実施部72は、処理をステップS440に進める。なお、診断実施部72、この後他のステップでバイパスバルブ28に係る処理を行うまでバイパスバルブ28の全閉状態を継続する。
ステップS440において、診断実施部72は、インバランス診断を行う。インバランス診断の手法は、WGV時間制限処理の場合と同じであるため説明は割愛する。診断実施部72は、ステップS440の処理の後、処理をステップS450に進める。
ステップS450において、診断実施部72は、繰り返し回数Fを更新する。そして、診断実施部72は、処理をステップS460に進める。
ステップS460において、診断実施部72は、繰り返し回数Fが所定回数FAに至ったか否かを判定する。診断実施部72は、繰り返し回数Fが所定回数FA未満である場合(ステップS460)、ステップS410の処理に戻る。
この後、診断実施部72は、ステップS410以降の処理を再度行う。診断実施部72は、繰り返し回数Fが所定回数FA未満の状況下において(ステップS460:NO)、機関運転領域Dが診断用範囲DA内(ステップS410:YES)である状況が継続する場合、ステップS420、ステップS430、ステップS440、ステップS450、ステップS460の処理を繰り返す。この繰り返しの処理は、インバランス診断繰り返し処理の過程の一部に相当する。
上記の繰り返しの処理を行っている間において繰り返し回数Fが徐々に増え、やがてステップS460において繰り返し回数Fが所定回数FAに至ると(ステップS460:YES)、診断実施部72は処理をステップS470に進める。
ステップS470において、診断実施部72は、気筒12間の空燃比ASのばらつきの有無を判定する。判定の手法は、WGV時間制限処理の場合と同じであるため説明を割愛する。診断実施部72は、気筒12間の空燃比ASのばらつきの有無を判定すると、バイパスバルブ利用処理の一連の処理を終了する。この場合、この場合、診断実施部72は、WGV38に対する制御を終了する。
次に、本実施形態の作用について説明する。
内燃機関10が始動されると、診断実施部72はWGV時間制限処理を開始する。暫くして機関運転領域Dが初回診断用範囲DB内に至ったものとする(ステップS110:YES)。この場合、診断実施部72は、インバランス診断のためにWGV38を全閉状態に制御する(ステップS120)。これに伴いタービン回転数Tは概ね所定回転数TZとなる。このままWGV38の全閉状態を継続すると、図3の矢印Y1で示すように、機関負荷率KLや機関回転数NEとともにタービン回転数Tが上昇する。この上昇中、機関運転領域Dは診断用範囲DA内を変位することから(ステップS300:YES)、診断実施部72は、インバランス診断(ステップS150)を繰り返し行い、その都度繰り返し回数Fを更新する(ステップS160)。すなわち、診断実施部72は、インバランス診断繰り返し処理を行う。
WGV38の全閉状態を継続していると、やがてWGV38を全閉状態としてからの継続時間H1であってタービン回転数Tが所定回転数TZ以上の状態の継続時間H1が第1規定時間H1Aに至る(ステップS200:YES)。このとき、タービン回転数Tは、図3の矢印Y1の先端で示すように、異音発生の限界回転数TA近傍に至っている。すると、診断実施部72は、WGV38を全開状態とする(ステップS210)。これに伴い、図3の矢印Y2で示すように、機関負荷率KLや機関回転数NEとともにタービン回転数Tが低下する。タービン回転数Tが低下している間、診断実施部72は、インバランス診断を行わない。すなわち、インバランス診断繰り返し処理は中断される。そして、WGV38を全開としてインバランス診断を行わない中断時間H2が第2規定時間H2Aに至ると(ステップS240:YES)、診断実施部72は、再度WGV38を全閉状態(ステップS120)としてインバランス診断を繰り返し行う(ステップS150)。
このようにして診断実施部72はWGV38を全閉状態と全開状態とに交互に制御し、タービン回転数Tが限界回転数TAに至らないようにしつつインバランス診断繰り返し処理を行う。
さて、WGV時間制限処理によって上記のようにインバランス診断繰り返し処理を行っていたものの、繰り返し回数Fが所定回数FAに至るよりも前に、内燃機関10を始動してからの運転継続時間が完了規定値に至ったものとする。この場合、診断実施部72は、WGV時間制限処理を強制終了し、バイパスバルブ利用処理を開始する。
診断実施部72は、機関運転領域Dが診断用範囲DA内になると(ステップS410:YES)、WGV38を全閉状態に制御する(ステップS420)とともにバイパスバルブ28を全開状態に制御する(ステップS430)。バイパスバルブ28を全開状態にすると、吸気通路20におけるコンプレッサホイール16aよりも下流側の吸気の圧力が逃がされることで、気筒12に充填される吸気量GAさらには気筒12内の燃焼エネルギーが低下し、タービン回転数Tが低下する。したがって、タービン回転数Tは異音発生の限界回転数TAよりも低い値に維持される。こうした状態で、診断実施部72は、インバランス診断を繰り返し行い(ステップS440)、WGV時間制限処理を強制終了した時点での繰り返し回数Fを更新していく(ステップS450)。このように、診断実施部72は、WGV時間制限処理から引き継いでインバランス診断繰り返し処理を行う。やがて繰り返し回数Fが所定回数FAに至り(ステップS460:YES)インバランス診断繰り返し処理が完了すると、診断実施部72は、気筒12間の空燃比ASのばらつきの有無を判定する(ステップS470)。
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)上記構成では、空燃比センサ33の検出精度との兼ね合いから、WGV38の全閉状態においてインバランス診断を行う。一方で、WGVを全閉状態にするとタービン回転数Tが上昇し、それに付随して吸気通路20で異音が発生し得る。
そこで、WGV時間制限処理では、インバランス診断繰り返し処理の実施に伴ってWGV38を全閉としている状態の継続時間H1を計測し、継続時間H1が第1規定時間H1Aに至った場合、一旦WGV38を全開状態にする。このことにより、タービン回転数Tが限界回転数TAに至る前にタービン回転数Tを低下させることができる。これに伴ってコンプレッサホイール16aの回転数さらには吸気の流速が低下することで、吸気通路20での異音の発生を防止できる。
(2)上記作用に記載したとおり、バイパスバルブ28を全開状態にすると、タービン回転数Tを異音発生の限界回転数TAよりも低い値に維持できる。この場合、吸気通路20では、吸気の流速が低い状態、すなわち異音が発生しない状況が維持される。したがって、異音の発生に注意を払わずにWGV38を全閉状態としてインバランス診断繰り返し処理を行うことができる。一方で、バイパスバルブ28を全開状態にした場合には、吸気通路20におけるコンプレッサホイール16aよりも下流側の吸気の圧力を逃がすことから、内燃機関10の出力に制限がかかる。
上記構成では、運転継続時間が完了規定値に至るまでは、内燃機関10の出力を考慮して、バイパスバルブ28を開かないWGV時間制限処理を行う。そして、運転継続時間が完了規定値に至ってもインバランス診断繰り返し処理が完了していないときには、当該処理を完了させることを優先し、バイパスバルブ利用処理によってバイパスバルブ28を開く。これにより、異音を発生させることなく確実にインバランス診断繰り返し処理を完了させることができる。
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・WGV時間制限処理において、機関運転領域Dが診断用範囲DA内であることをもってタービン回転数Tが所定回転数TZ以上であるとみなす構成に代えて、タービン回転数Tを検出し、実際にタービン回転数Tが所定回転数TZ以上であるか否かを判定してもよい。そして、タービン回転数Tが所定回転数TZ以上である状態の継続時間H1を計測してもよい。タービン回転数Tの判定のためにタービン回転数Tを把握する上では、例えばタービンホイール16bの回転位置を検出する検出センサをタービンホイール16bの近傍に配置してタービン回転数Tを実測すればよい。
・上記変更例のようにタービン回転数Tを判定する場合において、タービン回転数Tを実測するのではなく推定してもよい。例えば、タービンホイール16bよりも上流側及び下流側の圧力差を利用すれば、タービン回転数Tを推定することができる。
・所定回転数TZは、上記実施形態の例に限定されない。つまり、所定回転数TZは、診断用範囲DAを規定する機関負荷率KLの最小値と関連させずに設定してもよい。上記変更例のように、診断用範囲DAの判定とは別の処理としてタービン回転数Tの判定を組み込むのであれば、所定回転数TZを診断用範囲DAと関連付けて設定する必要はない。
・初回診断用範囲DBは、上記実施形態の例に限定されない。例えば、初回診断用範囲DBは、診断用範囲DAのうち、当該診断用範囲DAを規定する機関負荷率KLの上限値と下限値との中間値以下となる機関運転領域Dの範囲として定めてもよい。
・WGV時間制限処理において、インバランス診断繰り返し処理を中断しているときのWGV38の開度は、上記実施形態に限定されない。このときのWGV38の開度は、全閉よりも大きな開度であればよい。WGV38の開度にあわせて第2規定時間H2Aを適宜調節すればよい。また、WGV38の開度を時間とともに変化させてもよい。
・第2規定時間H2Aを設定するためのタービン回転数Tの設定回転数TBは、上記実施形態の例に限定されない。つまり、設定回転数TBは所定回転数TZとは異なる値であってもよい。設定回転数TBが限界回転数TAよりも相当に小さい値であれば、次にタービン回転数Tが上昇するときにタービン回転数Tが限界回転数TAに至るまでの時間を長く確保できる。
・WGV時間制限処理において、タービン回転数Tが所定回転数T以上であり且つ車速SPが予め定められた規定車速SPA未満である状態の継続時間H1を計測し、この継続時間H1が第1規定時間H1A以上になった場合に、インバランス診断繰り返し処理を中断してもよい。つまり、WGV時間制限処理において、車速SPが規定車速SPA未満であるか否かの判定を追加し、タービン回転数Tが所定回転数TZ以上であり、かつ、車速SPが規定車速SPA未満である時間を、継続時間H1として計測してもよい。ここで、車速SPが相応に高いときには、走行音が大きくなることから、仮に吸気通路20で異音が発生したとしても走行音にかき消されて、車室102内で異音として知覚され難い。上記構成では、このような、異音が車室102内で知覚され難い状況については継続時間H1の計測対象から外す。このことから、継続時H間を計測する機会が減り、それに伴って、インバランス診断繰り返し処理を中断する機会も減る。規定車速SPAは、走行音に伴って異音が車室102内に聞こえない車速SPの最低値として実験やシミュレーションによって予め定めておけばよい。
・バイパスバルブ利用処理において、インバランス診断を行う際のバイパスバルブ28の開度は上記実施形態の例に限定されない。このときのバイパスバルブ28の開度は、全閉よりも大きな開度であればよい。バイパスバルブ28が少しでも開いていれば、吸気通路20における、コンプレッサホイール16aよりも下流側の吸気の圧力を開放できることから、異音発生の防止につながる。
・バイパスバルブ利用処理において、インバランス診断を行うのに付随してバイパスバルブ28を全閉よりも大きな開度にするのに際し、タービン回転数Tを考慮してもよい。つまり、タービン回転数Tが限界回転数TAよりも低い判定回転数以上であるときにインバランス診断繰り返し処理を行う場合にはバイパスバルブ28を全閉よりも大きな開度とし、タービン回転数Tが判定回転数未満であるときにインバランス診断繰り返し処理を行う場合にはバイパスバルブ28を全閉としてもよい。ここで、タービン回転数Tが限界回転数TAよりも相応に低い場合には異音が生じない。このようなときにまでバイパスバルブ28を開くと、異音が発生しないタービン回転数Tであるときに内燃機関10の出力を制限することになる。上記構成では、インバランス診断に付随して内燃機関10の出力に制限がかかることを極力回避できる。
・バイパスバルブ利用処理において、インバランス診断を行うのに付随してバイパスバルブ28を全閉よりも大きな開度にするのに際し、車速SPを考慮してもよい。つまり、車速SPが上記規定車速SPA未満であるときにインバランス診断繰り返し処理を行う場合にはバイパスバルブ28を全閉よりも大きな開度とし、車速SPが上記規定車速SPA以上であるときにインバランス診断繰り返し処理を行う場合にはバイパスバルブ28を全閉としてもよい。上記構成では、車速SPが大きくて異音が車室102内で知覚され難いときには、バイパスバルブ28を全閉とすることから、インバランス診断に付随して内燃機関10の出力に制限がかかることを極力回避できる。
・WV時間制限処理及びバイパスバルブ利用処理の双方に関して、診断用範囲DAは、上記実施形態の例に限定されない。診断用範囲DAを規定する機関回転数NEや機関負荷率KLの範囲を大きくすれば、インバランス診断を行う機会を増やすことができる。ただし、診断用範囲DAは、空燃比センサ33によって各気筒12の空燃比ASを適切に検出できる機関運転領域Dの範囲である必要がある。
・WV時間制限処理及びバイパスバルブ利用処理の双方に関して、インバランス診断の手法は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、空燃比ASの時系列データにおいて空燃比ASが上側ピークから下側ピークに向かうときの時間変化の傾きをインバランス用判定値として算出してもよい。インバランス用判定値として使用するパラメータを変更する場合、それに合わせて、最終的な気筒12間の空燃比ASのばらつきを判定する際の判定閾値を変更すればよい。
・運転継続パラメータは、上記実施形態の例に限定されない。運転継続パラメータとして、例えば吸気量GAの積算値を作用してもよい。この場合も、運転継続時間の場合と同様の考え方を吸気量GAの積算値に適用して完了規定値を設定すればよい。すなわち、インバランス診断繰り返し処理を完了させるべき吸気量GAの積算値から逆算して完了規定値を定めればよい。
・内燃機関10が始動してからインバランス診断繰り返し処理を完了させるまでの時間に制約がないのであれば、運転継続パラメータが完了規定値に至った後もWGV時間制限処理を継続してよい。そして、WGV時間制限処理のみによってインバランス診断繰り返し処理を完了させてもよい。この場合、バイパスバルブ利用処理は不要である。
・内燃機関10の出力を考慮しないのであれば、内燃機関10の始動とともにバイパスバルブ利用処理を行ってもよい。この場合、WGV時間制限処理は不要である。
・内燃機関10の構成は上記実施形態の例に限定されない。例えば気筒12の数を変更してもよい。ここでいう内燃機関10の構成には、排気通路30の配置や向きも含まれる。例えば、排気通路中流部30Aの構成が上記実施形態の例とは異なる場合もある。
・吸気通路20の形状によっては、吸気通路20における、管同士の接合部以外の箇所に凹凸があることもある。このような凹凸に起因して異音が発生することもある。
10…内燃機関
12…気筒
16…過給機
16a…コンプレッサホイール
16b…タービンホイール
20…吸気通路
26…吸気バイパス通路
28…バイパスバルブ
30…排気通路
33…空燃比センサ
37…排気バイパス通路
38…ウェイストゲートバルブ
70…制御装置
72…診断実施部
74…時間計測部
76…継続パラメータ算出部
100…車両
104…車速センサ

Claims (4)

  1. 多気筒内燃機関と、前記多気筒内燃機関を制御する制御装置とを備える内燃機関制御システムであって、
    前記多気筒内燃機関は、
    吸気通路に配置されたコンプレッサホイール及び排気通路に配置されたタービンホイールを備えた過給機と、
    前記排気通路における、前記タービンホイールよりも上流側及び下流側を接続する排気バイパス通路と、
    前記排気バイパス通路を開閉するウェイストゲートバルブと、
    前記排気通路における、前記タービンホイールよりも下流側且つ前記排気バイパス通路との接続箇所よりも下流側に配置され、気筒内の空燃比を検出する空燃比センサとを有し、
    前記制御装置は、
    前記ウェイストゲートバルブを全閉とした状態で気筒間での空燃比のばらつきを診断するインバランス診断を、予め定められた所定回数繰り返すインバランス診断繰り返し処理を実施する診断実施部と、
    前記インバランス診断繰り返し処理が開始されてから終了するまでの間に、前記タービンホイールの回転数が予め定められた所定回転数以上である状態の継続時間を計測する時間計測部とを有し、
    前記診断実施部は、前記継続時間が予め定められた第1規定時間以上になった場合、前記インバランス診断繰り返し処理を中断すると共に前記ウェイストゲートバルブを全閉よりも大きな開度とし、前記インバランス診断繰り返し処理を中断してからの中断時間が予め定められた第2規定時間以上になった場合、前記インバランス診断繰り返し処理を再開する
    内燃機関制御システム。
  2. 前記多気筒内燃機関が搭載されている車両の走行速度である車速を検出する車速センサを有し、
    前記時間計測部は、前記インバランス診断繰り返し処理が開始されてから終了するまでの間に、前記タービンホイールの回転数が前記所定回転数以上であり且つ前記車速が予め定められた規定車速未満である状態の継続時間を計測し、
    前記診断実施部は、前記継続時間が前記第1規定時間以上になった場合、前記インバランス診断繰り返し処理を中断すると共に前記ウェイストゲートバルブを全閉よりも大きな開度とする
    請求項1に記載の内燃機関制御システム。
  3. 前記多気筒内燃機関は、
    前記吸気通路における、前記コンプレッサホイールよりも上流側及び下流側を接続する吸気バイパス通路と、
    前記吸気バイパス通路を開閉するバイパスバルブとを有し、
    前記制御装置は、
    前記多気筒内燃機関が始動してから当該多気筒内燃機関の運転が継続されることに応じて増加するパラメータである運転継続パラメータを算出する継続パラメータ算出部を有し、
    前記診断実施部は、前記運転継続パラメータが予め定められた完了規定値に至ったタイミング以降で前記インバランス診断繰り返し処理を行う場合には、前記バイパスバルブを全閉よりも大きな開度にする共に、前記継続時間が前記第1規定時間以上になっても前記インバランス診断繰り返し処理を中断することなく継続する
    請求項1又は2に記載の内燃機関制御システム。
  4. 吸気通路に配置されたコンプレッサホイール及び排気通路に配置されたタービンホイールを備えた過給機と、
    前記排気通路における、前記タービンホイールよりも上流側及び下流側を接続する排気バイパス通路と、
    前記排気バイパス通路を開閉するウェイストゲートバルブと、
    前記排気通路における、前記タービンホイールよりも下流側且つ前記排気バイパス通路との接続箇所よりも下流側に配置され、気筒内の空燃比を検出する空燃比センサとを有する多気筒内燃機関の制御装置に、
    前記ウェイストゲートバルブを全閉とした状態で気筒間での空燃比のばらつきを診断するインバランス診断を、予め定められた所定回数繰り返すインバランス診断繰り返し処理を実施する診断実施処理と、
    前記インバランス診断繰り返し処理が開始されてから終了するまでの間に、前記タービンホイールの回転数が予め定められた所定回転数以上である状態の継続時間を計測する時間計測処理とを実行させ、
    前記診断実施処理は、前記継続時間が予め定められた第1規定時間以上になった場合、前記インバランス診断繰り返し処理を中断すると共に前記ウェイストゲートバルブを全閉よりも大きな開度とし、前記インバランス診断繰り返し処理を中断してからの中断時間が予め定められた第2規定時間以上になった場合、前記インバランス診断繰り返し処理を再開する処理である
    内燃機関制御プログラム。
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