JP7465180B2 - タイヤ特性評価方法 - Google Patents

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Description

本発明はタイヤ特性評価方法に関する。
特許文献1に記載されているように、突起を有する試験面上でタイヤを転動させ、そのときにシャフトに作用する軸力の時系列変化の波形を収録し、収録された波形に合うように自由減衰振動の式を定め、その自由減衰振動の式を用いてタイヤの特性を評価する方法が知られている。
特開2014-238320号公報
ところで、タイヤが突起を乗り越えている最中は前記波形の減衰が始まっておらず、タイヤが突起を乗り越えている最中の部分を含む波形に基づき自由減衰振動の式を定めてしまうと、タイヤの特性を正確に評価できないという問題があった。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、タイヤの特性を正確に評価できる方法を提供することを課題としている。
実施形態のタイヤ特性評価方法は、突起を有する試験面上でタイヤを転動させる転動工程と、力を測定するセンサで、前記転動工程におけるタイヤの軸力を測定する測定工程と、前記測定工程で測定された軸力の時系列変化の波形に対し所定の関数でカーブフィットを行う評価工程と、を有するタイヤ特性評価方法において、前記カーブフィットは、前記波形における始点以降のデータに対して行われることとし、前記始点が(1)~(3)のいずれかとされることを特徴とする。
(1)前記波形における時刻が早い方から2番目のピークよりも遅い時間帯に、波形の中で最も値の小さいボトムが現れる場合、その最も値の小さいボトムの頂点
(2)前記波形における時刻が早い方から1番目のピークと2番目のピークとの間にボトムがなく、時刻が早い方から1番目のボトムが波形の中で最も値の小さいボトムである場合、その最も値の小さいボトムの頂点
(3)前記波形における時刻が早い方から3番目のピークの値が、時刻が早い方から4番目のピークの値より小さい場合、3番目のピークと4番目のピークの間のボトムの頂点
そのうえで、次の[1]~[3]の3つの方法がある。
[1]前記測定工程において、タイヤと試験面との接触位置におけるタイヤの接線方向である前後方向への軸力の時系列変化と、前記前後方向とタイヤ幅方向とに垂直な上下方向への軸力の時系列変化をそれぞれ測定し、前記評価工程において、前記前後方向の軸力の時系列変化の波形及び前記上下方向の軸力の時系列変化の波形のそれぞれについて、1つの周波数を有する1つの振動モードの波形を表現する関数、又は周波数の異なる複数の振動モードの波形の足し合わせとして表現される関数によるカーブフィットを行うこととし、前記測定工程で得られた前記前後方向及び前記上下方向のデータをそれぞれ周波数分析し、前後方向についてはレベルの大きさが1番目と2番目のピークの周波数を、上下方向についてはレベルの1番大きなピークの周波数を、前記カーブフィットにおける周波数の初期値とすることを特徴とする。
[2]前記測定工程において、タイヤと試験面との接触位置におけるタイヤの接線方向である前後方向への軸力の時系列変化と、前記前後方向とタイヤ幅方向とに垂直な上下方向への軸力の時系列変化をそれぞれ測定し、前記評価工程において、前記前後方向の軸力の時系列変化の波形及び前記上下方向の軸力の時系列変化の波形のそれぞれについて、1つの周波数を有する1つの振動モードの波形を表現する関数、又は周波数の異なる複数の振動モードの波形の足し合わせとして表現される関数によるカーブフィットを行うこととし、評価対象のタイヤを叩いてタイヤの軸力を測定するハンマリング試験を行い、前記ハンマリング試験の測定データを周波数分析し、前記前後方向についてはタイヤ前後ねじり及びタイヤ周方向前後1次の振動の周波数を、前記上下方向についてはタイヤ周方向上下1次の振動の周波数を、それぞれ特定するハンマリング試験工程を行い、前記ハンマリング試験工程において特定された周波数を、前記カーブフィットにおける周波数の初期値とすることを特徴とする。
[3]前記測定工程において、タイヤと試験面との接触位置におけるタイヤの接線方向である前後方向への軸力の時系列変化と、前記前後方向とタイヤ幅方向とに垂直な上下方向への軸力の時系列変化をそれぞれ測定し、前記評価工程において、前記前後方向の軸力の時系列変化の波形及び前記上下方向の軸力の時系列変化の波形のそれぞれについて、1つの周波数を有する1つの振動モードの波形を表現する関数、又は周波数の異なる複数の振動モードの波形の足し合わせとして表現される関数によるカーブフィットを行うこととし、有限要素法を用いた固有値解析で、前記前後方向についてはタイヤ前後ねじり及びタイヤ周方向前後1次の振動の周波数を、前記上下方向についてはタイヤ周方向上下1次の振動の周波数を、それぞれ特定し、前記固有値解析で特定された周波数を、前記カーブフィットにおける周波数の初期値とすることを特徴とする。
また、実施形態のタイヤ特性評価方法は、突起を有する試験面上でタイヤを転動させる転動工程と、力を測定するセンサで、前記転動工程におけるタイヤの軸力を測定する測定工程と、前記測定工程で測定された軸力の時系列変化の波形に対し所定の関数でカーブフィットを行う評価工程と、を有するタイヤ特性評価方法において、前記カーブフィットは、前記波形における始点以降のデータに対して行われることとし、タイヤが前記突起に乗り始めた時から前記突起を乗り越え終わる時までに要する時間を算出する算出工程を有し、前記波形の1つめのピークの始点の時刻に、前記算出工程で算出された時間を足した時刻を、前記始点とすることを特徴とする。
上記の方法によれば、タイヤの特性を正確に評価することができる。
実施形態のフローチャート。 実施形態の試験装置を示す図。 上下方向の軸力の時系列変化の波形を示す図。 (a)~(d)とも、図3とは別の波形を示す図。 図3、図4とは別の波形を示す図。 図3の波形のデータを周波数分析して得られた波形を示す図。
実施形態について図面に基づき説明する。なお、以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更されたものについては、本発明の範囲に含まれるものとする。
図1に示すように、実施形態の方法は、転動工程S1と、測定工程S2と、評価工程S3とを含んでいる。転動工程S1は、タイヤを、突起を有するドラム上で転動させる工程である。測定工程S2は、力を測定するセンサで、転動工程S1におけるタイヤの軸力を測定する工程である。なお、図1では転動工程S1の次に測定工程S2を記載してあるが、実際には転動工程S1の開始から間もなく測定工程S2が開始され、それ以降、転動工程S1と測定工程S2とが並行して行われる。評価工程S3は、測定工程S2で得られたデータに基づき、軸力の減衰特性を評価する工程である。
まずは、実施形態の方法のための装置等について説明する。
図2に示すように、転動工程S1で使用される試験装置には、回転ドラム10と、回転ドラム10を制御する制御装置11と、タイヤ12を保持して回転ドラム10に押し付ける保持装置13と、データ処理装置20とが設けられている。
回転ドラム10は円筒状で、その直径が例えば1.7~3.0mである。回転ドラム10の外周面には突起14が設けられている。突起14の、回転ドラム10の軸方向から見た形状は、図2のような長方形の他、台形や半円形等でも良い。突起14の高さは、タイヤ12を十分に加振することができ、かつタイヤ12が回転ドラム10の外周面から跳ね上がらないような高さであり、5mm以上20mm以下が好ましい。また、突起14の、回転ドラム10の回転方向への長さは、タイヤ12を十分に加振することができ、かつタイヤ12が突起14を乗り越えている時間があまり長くならないような長さであり、10mm以上30mm以下が好ましい。なお、図2では、突起14を誇張して大きく描いてある。
転動工程S1では、回転ドラム10及びタイヤ12が回転して突起14を乗り越えることになる。突起14を乗り越えることがタイヤ12に対する加振入力となる。この加振入力により生じるタイヤ12の軸力(タイヤ12の軸力とは、正確にはタイヤの回転軸(後述するシャフト17)に作用する軸力のことである)の時系列変化が、測定工程S2において後述するセンサ16で測定される。
回転ドラム10の回転は、制御装置11が不図示のモータを駆動させることにより行われる。制御装置11には不図示の操作パネルが設けられており、試験者が操作パネルで回転ドラム10の回転速度等を操作できる。
保持装置13には軸受を介してシャフト17が支持されており、そのシャフト17にホイール15及びタイヤ12が取り付けられている。それにより保持装置13はタイヤ12を回転自在な状態で保持している。保持装置13は回転ドラム10に対して近接及び離間可能であり、タイヤ12を保持したまま回転ドラム10に近接することによりタイヤ12を回転ドラム10に押し付けることができる。回転ドラム10に押し付けられることによってタイヤ12に荷重が負荷される。
シャフト17には分力計(ロードセル)等の力を測定可能なセンサ16が設けられている。センサ16はシャフト17に作用する少なくとも上下方向と前後方向の軸力を測定する。ここで、上下方向とは、回転ドラム10の径方向のことであり、回転ドラム10から遠くなる方向が上である。また、前後方向とは、タイヤ12と回転ドラム10とが接触している位置での回転ドラム10の接線方向で、図2の右側が前である。センサ16は、上下方向と前後方向それぞれの軸力の時系列変化(時間の経過に伴う軸力の大きさの変化)を測定する。なお、センサ16が軸力を正しく測定できるようにするために、シャフト17が動かないように固定することが可能となっている。
評価工程S3では、センサ16により測定されたデータを、データ処理装置20が処理する。データ処理装置20は、コンピュータであり、演算部21、信号処理部22、記憶部23、入出力部24を有している。演算部21は測定データに関する演算を実行する。ここで、測定データに関する演算とは、後述する周波数分析やカーブフィット等のことである。信号処理部22は、センサ16による測定データを取得し、軸力の時系列変化の波形を作成する。記憶部23は、演算部21による演算に使用されるコンピュータプログラムを記憶している。
入出力部24は、データ処理装置20と外部機器とを接続している。外部機器として、表示装置26及び入力装置25が接続されている。信号処理部22は、入出力部24を介して、入力装置25からセンサ16による測定データを取得する。また、演算部21は、入出力部24を介して、表示装置26に演算結果を表示する。
次に、実施形態の方法の詳細について説明する。
まず、転動工程S1では、評価対象のタイヤ12に内圧が付与され、荷重が負荷される。次に、シャフト17が動かないように固定される。その状態で、回転ドラム10が回転し、回転ドラム10に押し付けられているタイヤ12も回転する。タイヤ12の走行速度は例えば時速8~140kmである。そして、タイヤ12が突起14を乗り越えると、タイヤ12に対し加振入力され、タイヤ12が振動する。このとき生じるタイヤ12の振動モードには、タイヤの前後のねじり及びタイヤ周方向1次が含まれる。タイヤ12が振動することにより、タイヤ12が装着されているシャフト17に軸力が作用する。タイヤ12の振動及びシャフト17に作用する軸力は、時間の経過と共に減衰していく。
タイヤ12の主な振動モードとして、上記の通り、タイヤの前後のねじり(以下「タイヤ前後ねじり」とする)及びタイヤ周方向1次がある。タイヤ前後ねじりは前後方向への振動として現れ、シャフト17における前後方向への軸力を生じさせる。また、タイヤ周方向1次は前後方向及び上下方向への振動として現れ、シャフト17における前後方向及び上下方向への軸力を生じさせる。タイヤ周方向1次の前後方向への振動として現れるモードを「タイヤ周方向前後1次」とし、タイヤ周方向1次の上下方向への振動として現れるモードを「タイヤ周方向上下1次」とする。
シャフト17に作用する軸力はタイヤ12の振動に起因するため、タイヤ12の振動モードであるタイヤ前後ねじり、タイヤ周方向前後1次及びタイヤ周方向上下1次と同じモードが、軸力の時系列変化の中に現れる。
各振動モードの周波数は、タイヤ前後ねじりが16~58Hz、タイヤ周方向前後1次及びタイヤ周方向上下1次が35~160Hzである。
本実施形態では、回転ドラム10の回転が複数周行われ、タイヤ12が突起14を複数回(例えば64回)乗り越える。タイヤ12の振動及びシャフト17に作用する軸力は、タイヤ12が突起14を1回乗り越えた後、次にタイヤ12が突起14を乗り越える前に、十分に減衰する。
この転動工程S1と並行して測定工程S2が行われる。測定工程S2ではセンサ16が軸力を測定する。センサ16が測定するのは、正確には、前後方向への軸力と、上下方向への軸力の、それぞれの時系列データである。
センサ16による測定データは、記憶部23又は別の記録媒体に保存される。タイヤ12が突起14を通過するタイミングと関連付けられたトリガー信号が発せられ、そのトリガー信号に基づき、タイヤ12が突起14に乗り始める時の0.1~0.3秒前の測定データから保存される。保存される1つのデータ長は、回転ドラム10の1回転分、又は、1回転未満かつ突起14を乗り越えたことで生じる軸力の時系列変化が十分減衰するのに要する時間分である。従って回転ドラム10の回転の回数分の数の測定データが保存される。
測定工程S2の後に評価工程S3が行われる。評価工程S3では、センサ16による測定データに基づき軸力の時系列変化を示す波形(図3~図5参照)が作成され、その波形の一部を所定の関数で近似するカーブフィットが行われ、カーブフィットの結果に基づきタイヤ特性が評価される。ここで、カーブフィットの前に、前記波形の中のカーブフィットが行われる範囲(特に始点)が特定されるとともに、前記の所定の関数の初期値が特定される。
詳細に説明すると、まず、センサ16による測定データに基づき、データ処理装置20が軸力の時系列変化の波形を作成する。波形は、前後方向と上下方向それぞれの軸力について作成される。また、波形は、複数回分の測定データを平均化した数値に基づき作成される。参考のため、上下方向の軸力の時系列変化の波形の一例を図3に示す。図3において、横軸は測定開始からの経過時間、縦軸が軸力である。
図3からわかるように、波形には、軸力の極大値の部分であるピークと、軸力の極小値の部分であるボトムとが現れる。なお、ピーク及びボトムは、それぞれ、軸力の絶対値が所定値以上のものを指すものとする。例えば、タイヤ12が突起14を乗り越える前の小さな波形における極小値や極大値の部分は、絶対値が小さいので、ピークやボトムに含まれないものとする。タイヤ12が突起14を乗り越えた後の波形においても、極小値や極大値の絶対値が、タイヤ12が突起14を乗り越える前の小さな波形における極小値や極大値の絶対値以下のものについては、ピークやボトムに含まれないものとする。
また、図3の1つ目の大きな山(図中にAで示す範囲の山)には、複数の小さな山(図中に矢印Bで示す山)が表われている。このような場合、小さな山Bの極大値の部分のそれぞれがピークであるものとする。
ところで、シャフト17に作用する軸力はタイヤ12の振動に基づくため、シャフト17に作用する軸力の時系列変化は、タイヤ12の振動と同じ振動特性を持っている。すなわち、タイヤ12の前後方向の振動は主にタイヤ前後ねじり及びタイヤ周方向前後1次の振動モードの足し合わせであると言え、タイヤ12の上下方向の振動は主にタイヤ周方向上下1次の振動モードからなると言える。そしてこれと同じく、シャフト17に作用する軸力の時系列変化を振動と捉えると、前後方向の振動(前後方向の軸力の時系列変化)は主にタイヤ前後ねじり及びタイヤ周方向前後1次の振動モードの足し合わせであると言え、上下方向の振動(上下方向の軸力の時系列変化)は主にタイヤ周方向上下1次の振動モードからなると言える。そして、タイヤ12の振動と、軸力の時系列変化である振動とは、同じ振動特性を有しており、例えば同じ固有周波数を有している。
「タイヤ前後ねじり」、「タイヤ周方向前後1次」、「タイヤ周方向上下1次」及び「振動モード」と表現するとき、タイヤ12の振動を構成する成分として表現している場合もあるが、軸力の時系列変化を構成する成分として表現している場合もある。
さて、上記のようにして軸力の時系列変化の波形が作成されると、次にその波形に対してカーブフィットが行われるのだが、波形全体に対してカーブフィットが行われるのではなく、軸力が減衰している時間帯の波形に対してのみカーブフィットが行われる。なぜなら、タイヤ12が突起14を乗り越えている最中の時間帯の波形部分(以下「突起乗り越え中の波形部分」とする)では軸力の減衰が始まっておらず波形が不規則に変化し、突起乗り越え中の波形部分を含む範囲でカーブフィットが行われるとタイヤ特性が正しく評価されないからである。そのため、カーブフィットに使用されるデータからは、突起乗り越え中の波形部分のデータを除外する必要があるからである。
そこで、突起乗り越え中の波形部分を除く波形に対してカーブフィットが行われるようにするために、データ処理装置20の作成した軸力の時系列変化の波形の中から、カーブフィットの始点、つまりカーブフィットが行われる範囲の一番早い時刻(又は測定開始からの経過時間)が特定される(言い換えれば、カーブフィットに使用される一番早い時刻のデータ、すなわちカーブフィットの始点のデータが特定される)。
突起乗り越え中の波形部分は、データ処理装置20の作成した波形の最初の4つのピーク及び最初の4つのボトムの並ぶ範囲内である。そして、カーブフィットの始点のデータは、波形の最初の4つのピーク及び最初の4つのボトムの大小関係に基づき、次の方法で特定することができる。
(1)時刻が早い方から2番目のピークよりも後(時刻が遅い時間帯)に、波形の中で最も値の小さいボトムが現れる場合、その最も値の小さいボトムの頂点がカーブフィットの始点となる。
(2)時刻が早い方から1番目のピークと2番目のピークとの間に明確なボトムがなく、時刻が早い方から1番目のボトムが波形の中で最も値の小さいボトムである場合、その最も値の小さいボトムの頂点がカーブフィットの始点となる。
(3)時刻が早い方から3番目のピークの値が、時刻が早い方から4番目のピークの値より小さい場合、3番目のピークと4番目のピークの間のボトムの頂点が、カーブフィットの始点となる。
データ処理装置20の作成した波形のほとんどが(1)~(3)に記載のいずれかの形になることがわかっているので、この方法によりほとんどの波形のカーブフィットの始点を特定することができる。ちなみに、図3の波形の場合、(1)の方法で始点が特定され、その始点は図3に矢印Cで示されるものとなる。
また、図3の場合と同様の方法で得られた別の波形を図4の(a)~(d)に示す。これらの波形のいずれにおいても(1)の方法で始点が特定され、その始点は矢印Cで示されるものとなる。
また、図3の場合と同様の方法で得られたさらに別の波形を図5に示す。この波形の場合は(3)の方法で始点が特定され、その始点は矢印Cで示されるものとなる。なお図5に記載の1は1番目のピーク、2は2番目のピーク、3は3番目のピーク、4は4番目のピークを示している。
図3~5のいずれの波形においても、矢印Cで示される始点以降の時間帯において軸力が綺麗に減衰していることがわかる。
カーブフィットの始点は、上下方向の軸力の時系列変化の波形と前後方向の軸力の時系列変化の波形のそれぞれについて特定される。そのために、上下方向の軸力の時系列変化の波形に基づき上記の方法で始点が特定されるとともに、前後方向の軸力の時系列変化の波形に基づき上記の方法で始点が特定される。
また、必要な場合は、カーブフィットの終点、すなわちカーブフィットの対象となる時間帯の一番遅い時刻が、適宜設定される。
次に、データ処理装置20は、カーブフィットで使用する関数に入力する周波数の初期値を特定する。そのためにまず、データ処理装置20は、図3のような波形を描く各データの周波数分析を行う。周波数分析により、前後方向及び上下方向それぞれについての、周波数とレベルの関係を示す波形が得られる。参考のため、上下方向の測定データの周波数分析結果、つまり図3の波形のデータの周波数分析結果を、図6に示す。図6において、横軸が周波数、縦軸がレベルである。図6に示すように、周波数分析結果の波形には、レベルの大きなピークが現れる。
周波数分析結果の波形において、レベルの大きなピークが、その軸力の時系列変化において支配的な(つまりその軸力の時系列変化に大きく影響している)振動モードのピークである。さらに言えば、周波数分析結果の波形において、レベルの大きなピークが、その軸力を生じさせているタイヤ12の振動において支配的な振動モードのピークである。
そして、前後方向の軸力の時系列変化や前後方向のタイヤ12の振動には、タイヤ前後ねじり及びタイヤ周方向前後1次の2つの振動モードが支配的であることがわかっている。また、上下方向の軸力の時系列変化や上下方向のタイヤ12の振動には、タイヤ周方向上下1次の振動モードが支配的であることがわかっている。従って、これらの振動モードのピークが、周波数分析結果の波形に大きく現れることになる。
そこで、データ処理装置20は、前後方向の測定データの周波数分析結果の波形においてレベルの大きさが1番目と2番目のピーク(すなわち、タイヤ前後ねじり及びタイヤ周方向前後1次のピーク)を特定する。そして、それらのピークの周波数を、前後方向の軸力の時系列変化の波形に対するカーブフィットの際の周波数の初期値として特定する。
また、データ処理装置20は、上下方向の測定データの周波数分析結果の波形においてレベルの1番大きなピーク(すなわちタイヤ周方向上下1次のピーク)を特定する。そして、そのピークの周波数を、上下方向の軸力の時系列変化の波形に対するカーブフィットの際の周波数の初期値として特定する。
例えば、図6に示す上下方向の測定データの周波数分析結果の波形において、レベルの1番大きなピークの周波数は85Hzである。このピークは、レベルが一番大きいので、上下方向の軸力の時系列変化において支配的な振動モードのピークである。また、このピークは、タイヤ周方向上下1次の振動モードのピークであると言える。そこで、このピークの周波数である85Hzを、上下方向の軸力の時系列変化の波形のカーブフィットで使用する周波数の初期値として特定する。
図示省略するが、前後方向については、周波数分析結果の波形においてレベルの大きさが1番目と2番目のピークの周波数が、カーブフィットで使用する周波数の初期値として特定される。レベルの大きさが1番目と2番目のピークは、タイヤ前後ねじり及びタイヤ周方向前後1次の振動モードのピークである。
このような周波数の初期値の特定は、データ処理装置20が自動で行っても良いし、フーリエ変換を実行できる各種アプリケーションで行っても良い。このようにして周波数分析結果の波形のピークから各振動モードの周波数の初期値を特定する工程を、周波数初期値特定工程と言うこととする。
データ処理装置20は、上記の方法で特定したカーブフィットの始点以降のデータに対しカーブフィットを行う。カーブフィットには、複数の振動モードの波形の足し合わせとして表現される次の関数が用いられる。
Figure 0007465180000001
ここで、iは自由度の数(カーブフィットに使用される振動モードの数)である。前後方向の軸力の時系列変化の波形のカーブフィットにおいては、i=2である。そして、n=1がレベルの1番大きなピークの振動モード(タイヤ前後ねじり及びタイヤ周方向前後1次のいずれか一方)を、n=2がレベルの2番目に大きなピークの振動モード(タイヤ前後ねじり及びタイヤ周方向前後1次の他方)を、それぞれ意味する。つまり、前後方向の軸力の時系列変化の波形が、タイヤ前後ねじりの波形とタイヤ周方向前後1次の波形の足し合わせとして表現される。
また、上下方向の軸力の時系列変化の波形のカーブフィットにおいては、i=1である。n=1はレベルの1番大きなピークのモード(すなわちタイヤ周方向上下1次)を意味する。つまり、上下方向の軸力の時系列変化の波形が、タイヤ周方向上下1次の波形からなるものとして表現される。
また、数1において、Yは軸力、tは時刻、Aは振幅、τは減衰係数、fは周波数、Pは位相、Dは軸力0からのオフセット量である。
数1の関数を用いたカーブフィットが実行される前に、上記の方法でfの初期値が特定されることに加え、A、τ、P及びDについても初期値が設定される。A、τ、P及びDの初期値は、経験値等から適宜設定される。
上記のように、数1の関数で前後方向の軸力の時系列変化の波形のカーブフィットを行う際には、fの初期値として、周波数初期値特定工程で特定されたレベルの1番大きなピークの振動モード(タイヤ前後ねじり及びタイヤ周方向前後1次のいずれか一方)の周波数が使用される。また、fの初期値として、周波数初期値特定工程で特定されたレベルの2番目に大きなピークの振動モード(タイヤ前後ねじり及びタイヤ周方向前後1次の他方)の周波数が使用される。
また、数1の関数で上下方向の軸力の時系列変化の波形のカーブフィットを行う際には、fの初期値として、周波数初期値特定工程で特定されたレベルの1番大きなピークの振動モード(タイヤ周方向上下1次)の周波数が使用される。
また、数1の関数を用いたカーブフィットが実行される前に、A、τ、P、f及びDについて初期値からの変動の許容範囲も設定される。
数1の関数を用いた前後方向及び上下方向の軸力の時系列変化の波形のそれぞれのカーブフィットでは、最小二乗法等の近似手法が適宜用いられ、波形にフィットするようにA、τ、P、f及びDが計算される。A、τ、P、f及びDは、初期値から出発して、上記の許容範囲内の値に収束する。
こうして求まったA、τ、P、f、D又はこれらの数値が組み込まれた数1の関数が、タイヤ12の特性を評価する指標となる。例えば、減衰係数τの値から、タイヤ12の各振動モードの減衰のしやすさがわかる。また、振幅Aの値から、前後方向や上下方向へのタイヤ12の振動への、各振動モードの影響の大きさがわかる。
評価工程S3の最後に、カーブフィットの結果等が表示装置26に表示される。
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態では、タイヤ12の軸力の時系列変化の波形を数1の関数でカーブフィットするにあたり、カーブフィットの対象部分の始点が、前記波形における最初の4つのピーク及び最初の4つのボトムの大小関係に基づき特定される。具体的には、始点が次の(1)~(3)の方法で特定される。
(1)波形における時刻が早い方から2番目のピークよりも遅い時間帯に、波形の中で最も値の小さいボトムが現れる場合、その最も値の小さいボトムの頂点
(2)波形における時刻が早い方から1番目のピークと2番目のピークとの間にボトムがなく、時刻が早い方から1番目のボトムが波形の中で最も値の小さいボトムである場合、その最も値の小さいボトムの頂点
(3)波形における時刻が早い方から3番目のピークの値が、時刻が早い方から4番目のピークの値より小さい場合、3番目のピークと4番目のピークの間のボトムの頂点
これにより、上記の方法で特定される始点より前の時刻のピークやボトムが除外された範囲でカーブフィットが行われることとなり、従って軸力の時系列変化の波形における突起乗り越え中の波形部分が除外された範囲でカーブフィットが行われることとなる。そのため、タイヤ12の特性がより正確に評価されることとなる。
また、本実施形態では、測定工程S2において前後方向及び上下方向への軸力がそれぞれ測定され、評価工程S3において前後方向の軸力の時系列変化の波形及び上下方向の軸力の時系列変化の波形それぞれについて数1の関数によりカーブフィットが行われる。そして、測定工程S2で得られた前後方向及び上下方向のデータがそれぞれ周波数分析され、前後方向についてはレベルの大きさが1番目と2番目のピークの周波数が、上下方向についてはレベルの1番大きなピークの周波数が、数1の関数における周波数fの初期値とされる。
ここで、周波数分析結果においてレベルの大きなピークは、軸力の時系列変化及びタイヤ12の振動において支配的な振動モードのピークであると言える。また、前後方向への軸力の時系列変化にはタイヤ前後ねじり及びタイヤ周方向前後1次の2つの振動モードが支配的であることがわかっている。また、上下方向への軸力の時系列変化にはタイヤ周方向上下1次の振動モードが支配的であることがわかっている。
そして、カーブフィットにおいて、前後方向の軸力の時系列変化については数1の自由度が2とされて、レベルの大きさが1番目と2番目のピークの周波数が使用される。また、上下方向の軸力の時系列変化については数1の自由度が1とされて、レベルの1番大きなピークの周波数が使用される。そのことにより、支配的であることがわかっている振動モードについての式により、測定工程S2で測定された波形が近似されることになる。そのため、測定工程S2で測定された波形がより正確に近似できる。
以上の実施形態に対し様々な変更を行うことができる。ここでは変更例について説明する。
<変更例1>
転動工程S1において、回転ドラム10の回転を1周以下とし、タイヤ12が突起14を1回だけ乗り越えることとしても良い。その場合、1回の測定データに基づき評価工程S3を実施する。
<変更例2>
上記実施形態では(1)~(3)の方法で波形のカーブフィットの始点を特定したが、別の方法で特定しても良い。
例えば、タイヤ12が突起14に乗り始めた時から突起14を乗り越え終わる時までに要する時間を算出する算出工程を有し、軸力の時系列変化の波形の1つめのピークの始点(図3に矢印Dで示す)の時刻に、前記算出工程で算出された時間を足した時刻を、カーブフィットの始点として特定しても良い。この場合、特定されたカーブフィットの始点以後の時刻の波形を、カーブフィットに使用することとなる。
算出工程での算出方法は、例えば次の通りである。まず、回転中のタイヤ12の外周面(回転ドラム10の外周面でも良い)の周方向の速度V(m/s)、転動工程S1における内圧及び荷重でのタイヤ12の接地長すなわちタイヤ周方向長さL1(m)、及び突起14の回転ドラム10周方向の長さL2(m)が既知であるものとする。
タイヤ12が突起14に乗り始めた時から突起14を乗り越え終わる時までに要する時間は、タイヤ12が突起14に接触した時から、タイヤ12が突起14から離れる時までの時間である。従って、タイヤ12が突起14に乗り始めた時から突起14を乗り越え終わる時までに要する時間Tは、次の式により求まる。
Figure 0007465180000002
なお、速度V(m/s)の代わりに、回転ドラム10の角速度及び直径を利用して計算しても良い。
この変更例の方法でも、軸力の時系列変化の波形における突起乗り越え中の波形部分をカーブフィットの範囲から除外することができるので、タイヤ12の特性が正確に評価されることとなる。
<変更例3>
周波数初期値特定工程において特定した周波数fの初期値を、初期値のまま固定してカーブフィットを行っても良い。この場合、A、τ、P及びDをカーブフィットにより求めることになる。
<変更例4>
カーブフィットで使用する周波数の初期値の特定方法は、上記の周波数初期値特定工程の方法に限定されない。例えば次の方法で周波数の初期値を特定しても良い。
まず、試験者が、評価対象のタイヤ12を叩いて、タイヤ12が装着されたシャフト17に作用する軸力を測定するハンマリング試験を行う。このとき、軸力を測定するセンサ16が、上記実施形態と同様に前後方向及び上下方向の軸力をそれぞれ測定する。次に、データ処理装置20が、ハンマリング試験で測定された前後方向及び上下方向の軸力の測定データをそれぞれ周波数分析する。
そして、データ処理装置20が、周波数分析結果の波形に基づき、前後方向についてはタイヤ前後ねじり及びタイヤ周方向前後1次の振動モードの周波数を、上下方向についてはタイヤ周方向上下1次の振動の周波数を、それぞれ特定する。特定方法としては、前後方向については、周波数分析結果の波形においてレベルの大きさが1番目と2番目のピークをタイヤ前後ねじり及びタイヤ周方向前後1次のピークとし、上下方向については、周波数分析結果の波形においてレベルの大きさが1番目のピークをタイヤ周方向上下1次のピークとすれば良い。又は、タイヤ前後ねじりの振動モードのピークが16~58Hz、タイヤ周方向前後1次及びタイヤ周方向上下1次の振動モードのピークが35~160Hzの範囲内に現れることがわかっているので、それらの範囲内にある大きなピークを、それぞれの振動モードのピークとして特定しても良い。
このようにして特定されたタイヤ前後ねじり、タイヤ周方向前後1次及びタイヤ周方向上下1次の周波数が、カーブフィットで使用する周波数の初期値とされる。
<変更例5>
カーブフィットで使用する周波数の初期値の別の特定方法として、有限要素法による固有値解析を利用する方法がある。
有限要素法による固有値解析により、物体の特定の振動モードの周波数を求める方法が知られている。そこで、評価対象のタイヤ12の有限要素モデルが作成され、固有値解析により有限要素モデルのタイヤ前後ねじり、タイヤ周方向前後1次及びタイヤ周方向上下1次の各振動モードの周波数が計算で特定される。そして、特定された各周波数が、カーブフィットで使用する周波数の初期値とされる。
<変更例6>
カーブフィットには、数1のcosをsinに変更した関数、すなわち次の数3の関数を使用することもできる。
Figure 0007465180000003
なお、数1と数3では、Pがπ/2ずれることとなる。
<変更例7>
上下方向の軸力の時系列変化の波形と前後方向の軸力の時系列変化の波形が、同時に測定されたデータに基づく波形であるなら、これら2つの波形において、タイヤ12が突起14に乗り始めた時刻及び突起14を乗り越え終わった時刻が同じである。
そこで、上下方向の軸力の時系列変化の波形と前後方向の軸力の時系列変化の波形のうちの一方に基づき、その一方の波形のカーブフィットの始点が特定され、その始点と同じ時刻が、他方の波形のカーブフィットの始点として特定されても良い。
例えば、上下方向の軸力の時系列変化の波形は上記(1)~(3)のいずれかに記載の典型的な波形となるものの、前後方向の軸力の時系列変化の波形は上記(1)~(3)のいずれにも記載されていない非典型的な波形となる場合がある。そのような場合は、上下方向の軸力の時系列変化の波形のカーブフィットの始点が上記(1)~(3)のいずれかに記載の方法で特定され、その特定された始点と同じ時刻が、前後方向の軸力の時系列変化の波形のカーブフィットの始点とされれば良い。
10…回転ドラム、11…制御装置、12…タイヤ、13…保持装置、14…突起、15…ホイール、16…センサ、17…シャフト、20…データ処理装置、21…演算部、22…信号処理部、23…記憶部、24…入出力部、25…入力装置、26…表示装置

Claims (7)

  1. 突起を有する試験面上でタイヤを転動させる転動工程と、
    力を測定するセンサで、前記転動工程におけるタイヤの軸力を測定する測定工程と、
    前記測定工程で測定された軸力の時系列変化の波形に対し所定の関数でカーブフィットを行う評価工程と、を有するタイヤ特性評価方法において、
    前記カーブフィットは、前記波形における始点以降のデータに対して行われることとし、
    前記始点が(1)~(3)のいずれかとされ、
    (1)前記波形における時刻が早い方から2番目のピークよりも遅い時間帯に、波形の中で最も値の小さいボトムが現れる場合、その最も値の小さいボトムの頂点
    (2)前記波形における時刻が早い方から1番目のピークと2番目のピークとの間にボトムがなく、時刻が早い方から1番目のボトムが波形の中で最も値の小さいボトムである場合、その最も値の小さいボトムの頂点
    (3)前記波形における時刻が早い方から3番目のピークの値が、時刻が早い方から4番目のピークの値より小さい場合、3番目のピークと4番目のピークの間のボトムの頂点
    さらに、
    前記測定工程において、タイヤと試験面との接触位置におけるタイヤの接線方向である前後方向への軸力の時系列変化と、前記前後方向とタイヤ幅方向とに垂直な上下方向への軸力の時系列変化をそれぞれ測定し、
    前記評価工程において、前記前後方向の軸力の時系列変化の波形及び前記上下方向の軸力の時系列変化の波形のそれぞれについて、1つの周波数を有する1つの振動モードの波形を表現する関数、又は周波数の異なる複数の振動モードの波形の足し合わせとして表現される関数によるカーブフィットを行うこととし、
    前記測定工程で得られた前記前後方向及び前記上下方向のデータをそれぞれ周波数分析し、前後方向についてはレベルの大きさが1番目と2番目のピークの周波数を、上下方向についてはレベルの1番大きなピークの周波数を、前記カーブフィットにおける周波数の初期値とする、
    タイヤ特性評価方法。
  2. 突起を有する試験面上でタイヤを転動させる転動工程と、
    力を測定するセンサで、前記転動工程におけるタイヤの軸力を測定する測定工程と、
    前記測定工程で測定された軸力の時系列変化の波形に対し所定の関数でカーブフィットを行う評価工程と、を有するタイヤ特性評価方法において、
    前記カーブフィットは、前記波形における始点以降のデータに対して行われることとし、
    前記始点が(1)~(3)のいずれかとされ、
    (1)前記波形における時刻が早い方から2番目のピークよりも遅い時間帯に、波形の中で最も値の小さいボトムが現れる場合、その最も値の小さいボトムの頂点
    (2)前記波形における時刻が早い方から1番目のピークと2番目のピークとの間にボトムがなく、時刻が早い方から1番目のボトムが波形の中で最も値の小さいボトムである場合、その最も値の小さいボトムの頂点
    (3)前記波形における時刻が早い方から3番目のピークの値が、時刻が早い方から4番目のピークの値より小さい場合、3番目のピークと4番目のピークの間のボトムの頂点
    さらに、
    前記測定工程において、タイヤと試験面との接触位置におけるタイヤの接線方向である前後方向への軸力の時系列変化と、前記前後方向とタイヤ幅方向とに垂直な上下方向への軸力の時系列変化をそれぞれ測定し、
    前記評価工程において、前記前後方向の軸力の時系列変化の波形及び前記上下方向の軸力の時系列変化の波形のそれぞれについて、1つの周波数を有する1つの振動モードの波形を表現する関数、又は周波数の異なる複数の振動モードの波形の足し合わせとして表現される関数によるカーブフィットを行うこととし、
    評価対象のタイヤを叩いてタイヤの軸力を測定するハンマリング試験を行い、前記ハンマリング試験の測定データを周波数分析し、前記前後方向についてはタイヤ前後ねじり及びタイヤ周方向前後1次の振動の周波数を、前記上下方向についてはタイヤ周方向上下1次の振動の周波数を、それぞれ特定するハンマリング試験工程を行い、
    前記ハンマリング試験工程において特定された周波数を、前記カーブフィットにおける周波数の初期値とする、
    タイヤ特性評価方法。
  3. 突起を有する試験面上でタイヤを転動させる転動工程と、
    力を測定するセンサで、前記転動工程におけるタイヤの軸力を測定する測定工程と、
    前記測定工程で測定された軸力の時系列変化の波形に対し所定の関数でカーブフィットを行う評価工程と、を有するタイヤ特性評価方法において、
    前記カーブフィットは、前記波形における始点以降のデータに対して行われることとし、
    前記始点が(1)~(3)のいずれかとされ、
    (1)前記波形における時刻が早い方から2番目のピークよりも遅い時間帯に、波形の中で最も値の小さいボトムが現れる場合、その最も値の小さいボトムの頂点
    (2)前記波形における時刻が早い方から1番目のピークと2番目のピークとの間にボトムがなく、時刻が早い方から1番目のボトムが波形の中で最も値の小さいボトムである場合、その最も値の小さいボトムの頂点
    (3)前記波形における時刻が早い方から3番目のピークの値が、時刻が早い方から4番目のピークの値より小さい場合、3番目のピークと4番目のピークの間のボトムの頂点
    さらに、
    前記測定工程において、タイヤと試験面との接触位置におけるタイヤの接線方向である前後方向への軸力の時系列変化と、前記前後方向とタイヤ幅方向とに垂直な上下方向への軸力の時系列変化をそれぞれ測定し、
    前記評価工程において、前記前後方向の軸力の時系列変化の波形及び前記上下方向の軸力の時系列変化の波形のそれぞれについて、1つの周波数を有する1つの振動モードの波形を表現する関数、又は周波数の異なる複数の振動モードの波形の足し合わせとして表現される関数によるカーブフィットを行うこととし、
    有限要素法を用いた固有値解析で、前記前後方向についてはタイヤ前後ねじり及びタイヤ周方向前後1次の振動の周波数を、前記上下方向についてはタイヤ周方向上下1次の振動の周波数を、それぞれ特定し、
    前記固有値解析で特定された周波数を、前記カーブフィットにおける周波数の初期値とする、
    タイヤ特性評価方法。
  4. 突起を有する試験面上でタイヤを転動させる転動工程と、
    力を測定するセンサで、前記転動工程におけるタイヤの軸力を測定する測定工程と、
    前記測定工程で測定された軸力の時系列変化の波形に対し所定の関数でカーブフィットを行う評価工程と、を有するタイヤ特性評価方法において、
    前記カーブフィットは、前記波形における始点以降のデータに対して行われることとし、
    タイヤが前記突起に乗り始めた時から前記突起を乗り越え終わる時までに要する時間を算出する算出工程を有し、
    前記波形の1つめのピークの始点の時刻に、前記算出工程で算出された時間を足した時刻を、前記始点とすることを特徴とする、タイヤ特性評価方法。
  5. 前記測定工程において、タイヤと試験面との接触位置におけるタイヤの接線方向である前後方向への軸力の時系列変化と、前記前後方向とタイヤ幅方向とに垂直な上下方向への軸力の時系列変化をそれぞれ測定し、
    前記評価工程において、前記前後方向の軸力の時系列変化の波形及び前記上下方向の軸力の時系列変化の波形のそれぞれについて、1つの周波数を有する1つの振動モードの波形を表現する関数、又は周波数の異なる複数の振動モードの波形の足し合わせとして表現される関数によるカーブフィットを行うこととし、
    前記測定工程で得られた前記前後方向及び前記上下方向のデータをそれぞれ周波数分析し、前後方向についてはレベルの大きさが1番目と2番目のピークの周波数を、上下方向についてはレベルの1番大きなピークの周波数を、前記カーブフィットにおける周波数の初期値とする、
    請求項4に記載のタイヤ特性評価方法。
  6. 前記測定工程において、タイヤと試験面との接触位置におけるタイヤの接線方向である前後方向への軸力の時系列変化と、前記前後方向とタイヤ幅方向とに垂直な上下方向への軸力の時系列変化をそれぞれ測定し、
    前記評価工程において、前記前後方向の軸力の時系列変化の波形及び前記上下方向の軸力の時系列変化の波形のそれぞれについて、1つの周波数を有する1つの振動モードの波形を表現する関数、又は周波数の異なる複数の振動モードの波形の足し合わせとして表現される関数によるカーブフィットを行うこととし、
    評価対象のタイヤを叩いてタイヤの軸力を測定するハンマリング試験を行い、前記ハンマリング試験の測定データを周波数分析し、前記前後方向についてはタイヤ前後ねじり及びタイヤ周方向前後1次の振動の周波数を、前記上下方向についてはタイヤ周方向上下1次の振動の周波数を、それぞれ特定するハンマリング試験工程を行い、
    前記ハンマリング試験工程において特定された周波数を、前記カーブフィットにおける周波数の初期値とする、
    請求項4に記載のタイヤ特性評価方法。
  7. 前記測定工程において、タイヤと試験面との接触位置におけるタイヤの接線方向である前後方向への軸力の時系列変化と、前記前後方向とタイヤ幅方向とに垂直な上下方向への軸力の時系列変化をそれぞれ測定し、
    前記評価工程において、前記前後方向の軸力の時系列変化の波形及び前記上下方向の軸力の時系列変化の波形のそれぞれについて、1つの周波数を有する1つの振動モードの波形を表現する関数、又は周波数の異なる複数の振動モードの波形の足し合わせとして表現される関数によるカーブフィットを行うこととし、
    有限要素法を用いた固有値解析で、前記前後方向についてはタイヤ前後ねじり及びタイヤ周方向前後1次の振動の周波数を、前記上下方向についてはタイヤ周方向上下1次の振動の周波数を、それぞれ特定し、
    前記固有値解析で特定された周波数を、前記カーブフィットにおける周波数の初期値とする、
    請求項4に記載のタイヤ特性評価方法。
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