JP7463653B2 - 圧電アクチュエータ - Google Patents

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Description

本発明は、電圧の印加により変位する圧電アクチュエータに関する。
圧電素子は、伸長時と収縮時で異なる変位特性(ヒステリシス)を示すこと、および電圧を印加し続けると変位クリープを起こし、次第に寸法が変化していくことから、半導体露光装置等の精密位置決めでは、変位センサによりフィードバック制御を行い位置決め精度を向上させて使用されている。また、精密な数値制御加工機の微動機構や医療用マニュピレータ、航空・宇宙用の精密な姿勢制御機構にも変位センサによりフィードバック制御を行った高精度の圧電アクチュエータが使用されている。さらに、半導体製造装置へ各種ガスを供給する流量調整バルブの駆動用としても圧電アクチュエータが使用されているが、制御流量の高精度化に伴い変位センサを内蔵したものが使用されるようになっている。
特許文献1は、ヒステリシスを有する圧電変位部を用い、ピストンの変位量を高い精度で制御することを目的として、印加電圧に応じて伸縮する圧電変位部、圧電変位部の一端の伸縮力を受けるピストン、圧電変位部の他端の伸縮力を受けるベースを備え、ピストンは、圧電変位部を覆う内筒を備え、この内筒の端にはベースに接近した変位検出部を備え、ベースには、変位検出部までの距離を検出する変位センサが固定されている圧電アクチュエータが記載されている。
特許文献2は、電歪効果素子を用いた圧電アクチュエータの電圧-変位特性のヒステリシスを解消し、微小な移動量の検出精度を改善することを目的として、金属ケース内に気密端子や金属部材によって密封した電歪効果素子の側面に変位センサを設けて電歪効果素子に電気接続する圧電アクチュエータが記載されている。
特開平8-153909号公報 特開平5-206536号公報
圧電アクチュエータ用の変位センサとしては非接触式の静電容量センサや渦電流センサが使用されることが多かった。しかしながら、特許文献1に示されるような、非接触式のセンサを用いたフィードバック制御方式を適用した場合、高精度な位置決めが可能になるが、システムが複雑で高価となり、用途も限定される。
これに対し、特許文献2に示されているように、電歪効果素子の側面の一部に歪ゲージなどの変位センサを直接貼付し、微小な移動量の検出精度を改善する圧電アクチュエータも提案されている。歪ゲージは多くの場合、圧電素子に直接貼り付けるだけであるため小型で安価な変位計となる。しかしながら、圧電素子に歪ゲージを直接貼り付けた場合、圧電アクチュエータの駆動による応力が歪ゲージに部分的にかかり、歪ゲージの部分的な破断の虞が生じるため、圧電アクチュエータの耐久性が阻害されることとなる。
これに対し、圧電アクチュエータを樹脂モールドし、樹脂モールド部に歪センサを貼付け、その歪出力によって圧電アクチュエータを制御する圧電アクチュエータも提案されている。
しかしながら、圧電アクチュエータを樹脂モールドすると、モールドした部分の平面精度確保が困難になり、またモールド樹脂が塑性変形するため、精密な制御を必要とする用途には向いていない。また、樹脂の水分吸着除去や樹脂の熱膨張、樹脂弾性による発生力の低下などが考えられ、樹脂モールドした圧電アクチュエータを金属キャップで封止すると大型化し、製造工数が増えることでコストが増大する。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、歪ゲージ電極が部分的に破断する虞を低減でき、歪ゲージを備える圧電アクチュエータの耐久性を向上させることができる圧電アクチュエータを提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明の圧電アクチュエータは、電圧の印加により変位する圧電アクチュエータであって、複数の圧電素子を直列に連結して形成され、または一つの圧電素子により形成された圧電アクチュエータ本体と、前記圧電アクチュエータ本体の側面に張り付けられた樹脂または金属からなるメッシュと、前記メッシュの前記圧電アクチュエータ本体の側面に張り付けられた側と対向する側の表面に張り付けられ、前記圧電アクチュエータ本体の変位変化時の歪を検知する歪ゲージと、前記圧電アクチュエータ本体の一端を支持する座と、前記圧電アクチュエータ本体を収容するキャップと、を備えることを特徴としている。
このように、歪ゲージが圧電アクチュエータ本体に直接貼り付けられるのではなく、樹脂または金属からなるメッシュを介して貼り付けられることで、圧電アクチュエータ駆動時に歪ゲージにかかる応力を均一化することができ、歪ゲージ電極が部分的に破断する虞を低減できる。その結果、歪ゲージを備える圧電アクチュエータの耐久性を向上させることができる。
(2)また、本発明の圧電アクチュエータにおいて、前記メッシュは、メッシュ♯150から♯450の範囲であることを特徴としている。
このように、メッシュサイズがメッシュ♯150から♯450の範囲であることで、圧電素子の変位を歪ゲージに適切に伝えることができる。
(3)また、本発明の圧電アクチュエータにおいて、前記メッシュは、前記圧電素子の変位方向に対し、バイアス0°±10°または45°±10°で張り付けられていることを特徴としている。
このように、メッシュが圧電素子の変位方向に対し、バイアス0°±10°または45°±10°で張り付けられていることで、圧電素子の変位をメッシュが抑制しつつ歪ゲージに伝えるため、歪ゲージが破断する虞をより低減でき、歪ゲージの耐久性を向上させることができる。
(4)また、本発明の圧電アクチュエータにおいて、前記歪ゲージは、主面の平面度が0.1mm以下であることを特徴としている。
歪ゲージの主面に凹凸が出来ると、曲率が大きくなる部分に応力が集中し破断の原因となることがあるが、このように、歪ゲージの主面の平面度が0.1mm以下であることで、圧電アクチュエータ本体の変位による歪ゲージの伸縮も均一になるため、破断する虞をさらに低減できる。
(5)また、本発明の圧電アクチュエータにおいて、前記メッシュは、ポリエステルで形成されていることを特徴としている。
このように、メッシュがポリエステルで形成されていることで、圧電素子の線膨張係数と歪ゲージの線膨張係数間の線膨張係数差を緩和させることができ、圧電素子の歪出力温度特性を平坦化させることができる。
(6)また、本発明の圧電アクチュエータにおいて、前記座は、前記座を貫通する端子を備え、前記端子の前記キャップの内側の端部と前記歪ゲージのリード線は、中空筒状で長手方向の中程に端子止め部を有する金属からなる接続部材を介しはんだ付けされることを特徴としている。
このように、端子のキャップの内側の端部と歪ゲージのリード線が、中空筒状で長手方向の中程に端子止め部を有する金属からなる接続部材を介しはんだ付けされることで、端子と歪ゲージのリード線との接続の信頼性を向上させることができる。
本発明によれば、圧電アクチュエータ駆動時に歪ゲージ電極が部分的に破断する虞を低減でき、歪ゲージを備える圧電アクチュエータの耐久性を向上させることができる。
(a)、(b)、それぞれ本発明の実施形態に係る圧電アクチュエータの一例を示す正断面図および側断面図である。 圧電素子の一例を示す正断面図である。 圧電素子の変形例を示す正断面図である。 (a)、(b)、それぞれ応力緩和層を有する圧電素子に直接歪ゲージを張り付けた例を示す部分断面、およびメッシュを介して歪ゲージを張り付けた例を示す部分断面図である。 (a)、(b)、それぞれ圧電素子の変位方向に対し、メッシュをバイアス0°で張り付ける場合、およびメッシュをバイアス45°で張り付ける場合の模式図である。 直交2軸型の歪ゲージを使用したときのブリッジ回路の一例を示す模式図である。 縦歪1ゲージ型の歪ゲージを使用したときのブリッジ回路の一例を示す模式図である。 (a)、(b)それぞれ本発明の実施形態に係る圧電アクチュエータの座および端子の一例を示す正断面図および底面図である。 変位制御システムの概略図である。 (a)は、製造途中の圧電素子の一例を示す断面図、(b)~(d)は、それぞれ(a)の圧電素子の製造に使用されるグリーンシートを示す模式図である。 (a)は、製造途中の圧電素子の一例を示す断面図、(b)~(e)は、それぞれ(a)の圧電素子の製造に使用されるグリーンシートを示す模式図である。 実施例および比較例の圧電アクチュエータに150Vの電圧を印加したときの歪の出力の温度変化を示すグラフである。 実施例および比較例の圧電アクチュエータに印加した電圧を示すグラフである。 実施例の圧電アクチュエータに繰り返し電圧を印加したときの、5サイクル目の印加電圧と、圧電アクチュエータの変位または歪ゲージの歪の出力との関係を表したグラフである。 実施例の圧電アクチュエータに繰り返し電圧を印加したときの、5サイクル目の圧電アクチュエータの変位と、印加電圧または歪ゲージの歪の出力との関係を表したグラフである。
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。なお、構成図において、各構成要素の大きさは概念的に表したものであり、必ずしも実際の寸法比率を表すものではない。
[実施形態]
(圧電アクチュエータの構成)
図1(a)、(b)は、それぞれ本実施形態に係る圧電アクチュエータ100の一例を示す正断面図および側断面図である。なお、図1(a)、(b)は、キャップのみ断面として表している。なお、参照図に示す圧電アクチュエータは一例であって、素子数等で本発明は限定されない。
圧電アクチュエータ100は、圧電アクチュエータ本体105、端子(駆動用の端子126、127、センサ用の端子146、147、148)、メッシュ130、歪ゲージ140、座150、およびキャップ(圧電アクチュエータ用金属筐体)160で構成され、電圧の印加により伸縮する。圧電アクチュエータ100は、例えばマスフローコントローラの弁の開閉制御部や精密位置決め装置のステージ駆動部に用いられ、その場合、被駆動体(弁、ステージ)を変位させる。
図1(a)、(b)に示されるように、圧電アクチュエータ100は、圧電アクチュエータ本体105にメッシュ130を介して歪ゲージ140が接続されている。また、歪ゲージ140には、歪ゲージの出力端子146、147、148が設けられている。これにより、歪ゲージ140を備えた圧電アクチュエータ100において、歪ゲージの出力端子146、147、148を介して圧電素子110の変位の信号を受けられる。歪ゲージ140の詳細は後述する。
(圧電アクチュエータ本体)
圧電アクチュエータ本体105は、圧電素子110、圧電アクチュエータ本体のリード線121、122、および突起120で構成されている。圧電アクチュエータ本体105を構成する複数の圧電素子110は、直列に配置、連結され(多連化)、その端面同士が接着剤により接着されている。複数の圧電素子110が接着されることで大きい変位量を確保できる。なお、直列とは、伸縮方向すなわち圧電素子110内の圧電層および内部電極の積層方向を意味する。本発明の圧電アクチュエータ100に使用される圧電アクチュエータ本体105は、複数の圧電素子110により形成されていても、一つの圧電素子110により形成されていてもよい。
圧電アクチュエータ本体105は、一対の圧電アクチュエータ本体のリード線121、122を介して一対の外部電極116、117に電圧が印加されたとき、各圧電素子110が伸縮することで先端が変位する。駆動用端子126、127は、圧電アクチュエータ本体のリード線121、122に接続されており、印加電圧をリード線121、122に伝える。
圧電アクチュエータ本体のリード線121、122は、駆動用端子126、127と各圧電素子110の外部電極116、117とを接続している。なお、図1(b)で示す側面とは反対側でも同様に接続がなされている。
突起120は、無機材料で形成され、圧電アクチュエータ本体105の被駆動体へ変位を伝える先端側に設けられている。突起120と圧電アクチュエータ本体105とは強固に接着されており、突起120はキャップ160のドーム形状の内側部分に接する。これにより、圧電アクチュエータ本体105の変位をキャップ160の外部に取り出すことができる。なお、本実施形態では、突起120は半球状であるが、これ以外の形状でもよい。また、圧電アクチュエータ本体105は、突起120を備えない構成でもよい。
(圧電素子)
図2は、圧電素子110の一例を示す正断面図である。圧電素子110は、印加電圧に対して変位を出力し、圧電層113、内部電極114、115および外部電極116、117を有している。圧電素子110は、圧電層113と内部電極114、115とが交互に積層されている。また、圧電素子110の側面において、外部電極116、117は、それぞれ内部電極114、115に接続されている。圧電層は、例えばPZT、チタン酸バリウム等の圧電材料で構成できる。電極材料には、Ag-Pd、Pt等を用いることができる。
図3は、圧電素子110の変形例を示す正断面である。図3では、内部電極114、115を細い実線で、応力緩和層118を点線で、応力緩和層118の端部の空隙部119を太い実線で表している。図3に示されるように、本実施形態に係る圧電素子110は、応力緩和層118が設けられていてもよい。
一般に積層型圧電素子内部には内部電極の周辺には、絶縁および外部環境からの汚染、防湿のため圧電不活性部が形成されている。圧電アクチュエータ用の積層型圧電素子では圧電不活性部による変位阻害を防止するために、全層もしくは一定の間隔で圧電不活性部にスリット状の空隙部119を有する応力緩和層118を形成することがある。すなわち、応力緩和層118は、圧電素子110の駆動時に素子内部に発生する応力を緩和するために設けられる。
図4(a)、(b)は、それぞれ応力緩和層118を有する圧電素子110に直接歪ゲージ140を張り付けた例を示す部分断面、およびメッシュ130を介して歪ゲージ140を張り付けた例を示す部分断面図である。図4(a)に示されるように、歪ゲージ140を接着する部分に応力緩和層118がある場合に、歪ゲージ140を直接貼り付けると、接着剤135の収縮等に伴い、応力緩和層118の直上の歪ゲージ140が応力緩和層118の空隙部119側に窪んで張り付けられたり、駆動時にその部分だけ大きな変位をしたりすることで、歪ゲージ140が部分的に破断する虞が増大する。
そこで、図4(b)に示されるように、メッシュ130を介して歪ゲージ140を張り付けることで、歪ゲージ140を接着する部分に応力緩和層118がある場合であっても、応力緩和層118の直上の歪ゲージ140が応力緩和層118の空隙部119側に窪んで張り付けられることが抑制される。また、圧電アクチュエータ駆動時に歪ゲージ140にかかる応力を均一化することができる。これらの結果、歪ゲージ電極が部分的に破断する虞を低減でき、歪ゲージ140を備える圧電アクチュエータ100の耐久性が向上する。すなわち、本発明の圧電アクチュエータ100は、圧電素子110に応力緩和層118がある場合により効果的である。
(メッシュ)
メッシュ130は、圧電アクチュエータ本体105の側面に直接張り付けられる。貼り付けは、エポキシ系接着剤、瞬間接着剤、フェノール系接着剤、ポリイミド系接着剤等の接着剤135を使用することができる。耐久性や高温での使用を考慮すると、エポキシ系接着剤を使用することが好ましい。圧電アクチュエータ本体105と歪ゲージ140との間にメッシュ130があることで、圧電アクチュエータ駆動時に歪ゲージ140にかかる応力を均一化することができるため、歪ゲージ電極が部分的に破断する虞を低減でき、歪ゲージ140を備える圧電アクチュエータ100の耐久性が向上する。
メッシュ130は、樹脂または金属からなる。メッシュ130を形成する樹脂は、例えば、ポリエステル、ナイロン等を使用することができる。また、メッシュ130を形成する金属は、例えば、銅、ステンレス、真鍮等を使用することができる。メッシュ130は、樹脂で形成されていることが好ましい。これにより、メッシュ130が電極等に接触してショートする虞が低減される。
また、メッシュ130は、圧電素子110の線膨張係数と歪ゲージ140の線膨張係数の間の線膨張係数を有する材料で形成されていることが好ましく、ポリエステルで形成されていることがより好ましい。これにより、圧電素子110の線膨張係数と歪ゲージ140の線膨張係数間の線膨張係数差を緩和させることができ、歪ゲージの歪の出力の温度特性を平坦化させることができるため、圧電アクチュエータ100が高温で使用された場合であっても、歪ゲージ140の歪の出力の信頼性が高くなる。
メッシュ130は、メッシュ♯150から♯450の範囲であることが好ましい。これにより、圧電素子110の変位を歪ゲージに適切に伝えることができる。なお、例えば、メッシュ♯150とは、1インチあたり150本の糸があることをいう。メッシュサイズが♯150より小さいと、メッシュ部の平面度が下がり更にメッシュが伸びにくくなるために圧電素子110の変位を阻害し、圧電素子伸縮時にメッシュから圧電素子に加わる応力が大きくなる。また、メッシュサイズが♯450より大きいと、メッシュ130が伸びやすくなるため、圧電素子110の変位を抑制して均一化する効果が低減する。
メッシュ130の線径は、25μm以上70μm以下であることが好ましい。メッシュ130の織り方は、どのようなものであっても問題ないが、厚さができるだけ均一になる織り方が好ましい。
図5(a)、(b)は、それぞれ圧電素子110の変位方向に対し、メッシュ130をバイアス0°で張り付ける場合、およびメッシュ130をバイアス45°で張り付ける場合の模式図である。メッシュ130は、図5(a)に示されるように、圧電素子110の変位方向に対し、バイアス0°±10°で張り付けられていることが好ましい。これにより、圧電素子110の変位をメッシュ130が抑制しつつ歪ゲージに伝えるため、歪ゲージ140が破断する虞をより低減でき、歪ゲージの耐久性を向上させることができる。また、メッシュ130は、例えば、金属メッシュのようにバイアス0°での伸びが小さい場合は、図5(b)に示されるように、圧電素子110の変位方向に対し、バイアス45°±10°で張り付けることが好ましい。また、バイアスは、メッシュ130の材質、メッシュサイズ、線径、圧電素子110の最大歪量等に応じて決定されることが好ましい。なお、バイアスとは、圧電素子110の変位方向に対するメッシュ130の一方の繊維方向のなす角度である。
(歪ゲージ)
歪ゲージ140は、圧電アクチュエータ本体105の変位変化時の歪を検知する。歪ゲージ140は、圧電アクチュエータ本体105に張り付けられたメッシュ130の圧電アクチュエータ本体105の側面に張り付けられた側と対向する側の表面に貼り付けられることで圧電アクチュエータ本体105と接続される。すなわち、歪ゲージ140は、圧電アクチュエータ本体105に、メッシュ130を介して貼り付けられる。貼り付けは、エポキシ系接着剤、瞬間接着剤、フェノール系接着剤、ポリイミド系接着剤等の接着剤135を使用することができる。耐久性や高温での使用を考慮すると、エポキシ系接着剤を用いることが好ましい。接着剤135はメッシュ130の網目を通過することから、歪ゲージ140の貼り付けは、メッシュ130の貼り付けと同時に行なわれることが簡便で好ましい。
図1の歪ゲージ140は、圧電アクチュエータ100の長さ方向の縦ゲージと幅方向の横ゲージの直交2軸型のゲージで構成されている例を示している。横ゲージ出力は座150の端子125へ、縦ゲージ出力は座150の端子127へ、縦ゲージと横ゲージの共通端子は座150の端子126に接続されている。図6は、直交2軸型の歪ゲージを使用したときのブリッジ回路の一例を示す模式図である。歪ゲージ140は、圧電アクチュエータ本体105の表面にメッシュ130を介して接続されているので、圧電アクチュエータ100が圧電アクチュエータ100の長さ方向に伸びたときに歪ゲージ140の縦ゲージが伸び、横ゲージは縮むこととなる。従って縦ゲージ抵抗が微増し、横ゲージ抵抗が微減することとなる。図6に示すように、直交2軸型の歪ゲージをブリッジ回路に接続することで、歪ゲージからの出力電圧が圧電素子のポアソン比に相当する約30%増大する。また、縦ゲージと横ゲージの熱膨張による変化が相殺されるため、温度補償され測定精度が向上する。
歪ゲージ140は、線歪ゲージ、箔歪ゲージ等を用いることができる。また、歪ゲージ140は、直交2軸型の歪ゲージに限られず、縦歪1ゲージ型の歪ゲージを用いることもできる。図7は、縦歪1ゲージ型の歪ゲージを使用したときのブリッジ回路の一例を示す模式図である。縦歪1ゲージ型の歪ゲージ140を使用とすると、端子を一つ減らすことができ、接続も容易になるので、コストを低減できる。歪量の精密な検知を必要とする場合、歪ゲージ140は直交2軸型の歪ゲージを使用することが好ましい。なお、図6、図7は一例であり、歪ゲージ140やブリッジ回路の構成は、これらに限定されない。
歪ゲージ140は、歪ゲージのリード線141、142、143に接続され、歪ゲージのリード線141、142、143が、歪ゲージの出力端子146、147、148にそれぞれ接続されることで、検知された変位信号が伝達される。これにより、圧電アクチュエータ本体105の変位を確認して、正確にその変位を把握することができフィードバック制御により圧電アクチュエータ100を使用した精密な位置決めが可能になる。歪ゲージのリード線141、142、143は、歪ゲージ140と一体的に形成されてものであってもよい。また、歪ゲージのリード線141、142、143の形状は、線、箔などどのようなものであってもよい。なお、歪ゲージのリード線141、142、143が他の電極部や金属部分に接触する虞がある場合、歪ゲージのリード線141、142、143の必要な箇所にシリコンチューブなどの絶縁被覆を被せてもよい。
歪ゲージ140の主面に凹凸が出来ると、曲率が大きくなる部分に応力が集中し破断の原因となることがあるため、歪ゲージ140は、主面の平面度が0.1mm以下であることが好ましい。これにより、圧電アクチュエータ本体105の変位による歪ゲージの伸縮も均一になるため、破断する虞をさらに低減できる。歪ゲージ140の貼り付けをメッシュ130の貼り付けと同時に行なうと、接着剤135の収縮の影響を受けにくくなるため、歪ゲージ140の主面の平面度を高くすることができる。
座150は、圧電アクチュエータ本体105の端部に接着され、その一端を固定し、圧電アクチュエータ本体105を支持する。そして、座150側の端部が固定された圧電アクチュエータ本体105の伸縮により先端側の突起120が変位する。
座150は、キャップ160の端部と固定されることで、圧電アクチュエータ本体105を密封する。湿度や腐食性ガスに弱い圧電アクチュエータ本体105と歪ゲージ140を、低湿度の不活性ガスで気密封止した構造とすることで信頼性と耐久性を向上できる。例えば、切削水で変位装置が濡れるような精密加工機、腐蝕性ガスの流量制御を行う圧電式バルブなどで用いられる場合、オープン制御では圧電アクチュエータを用いた位置決め精度が不十分であり、変位センサによりフィードバック制御を行うことが可能な圧電アクチュエータにより位置決め等を行うことが有効である。
このように、封止により高湿度、腐食性ガス下など過酷な環境でも問題なく、圧電アクチュエータを稼働することができる。キャップ160内が完全に気密構造となるため、湿度や腐食性ガス等の圧電素子110、歪ゲージ140の耐久性を阻害する環境下でも使用可能となり、用途拡大につながる。
図8(a)、(b)は、それぞれ本実施形態に係る圧電アクチュエータ100の座150および端子の一例を示す正断面図および底面図である。駆動用端子126、127、および歪ゲージの出力端子146、147、148は、座150に固定されている。駆動用端子126、127、および歪ゲージの出力端子146、147、148は、ハーメチック端子として座150を貫通して設けられていることが好ましい。この場合、貫通孔にはガラスまたは樹脂155が充填され、密封されている。座150には、駆動用端子126、127、および歪ゲージの出力端子146、147、148が圧電アクチュエータ100の中心軸の周りに歪ゲージの出力用および駆動用で明確に配置されていることが好ましい。これにより、駆動用端子126、127、および歪ゲージの出力端子146、147、148について容易に電気的な接続をとることができる。
キャップ160は、有底で開口端を有する円筒形状を有し、金属で形成されている。キャップ160は、圧電アクチュエータ本体105を積層方向に密着しつつ内部に収容し、座150にその開口端が接合され、キャップ160内部を封止している。これにより、圧電アクチュエータ100が保護され、耐久性が向上する。
キャップ160の直管部分は、キャップ160の中央から底部にかけて円筒に形成されている。キャップ160は、キャップの先端部分にドーム形状の部分に突起120が当接するダイヤフラムを有することが好ましい。キャップ160は、SUS316、SUS316L等の耐食性とばね性に優れている材質が望ましい。基台が座150を固定し、座150が圧電アクチュエータ本体105の端部を支持している。そして、キャップ160の先端が被駆動体に接することで、圧電アクチュエータ100から被駆動体に変位が伝わる。
図1(a)、(b)に示されるように、キャップ160内部には、圧電アクチュエータ本体105の他、歪ゲージ140も収容されている。キャップ160により周囲の環境から圧電アクチュエータ本体105と歪ゲージ140を保護できる。
圧電アクチュエータ100は、キャップ160内部に歪ゲージ140を配置し、歪ゲージの出力端子146、147、148を座150に設けている。これにより、歪ゲージ140を内蔵した圧電アクチュエータ100において、歪ゲージの出力端子146、147、148を介して圧電素子110の歪の信号を受けられる。圧電素子の歪量とポジショナの全長変化は比例関係となることから圧電素子の歪み信号から圧電アクチュエータの変位を得ることができる。
歪ゲージの出力端子146、147、148のキャップ160の内側の端部と歪ゲージのリード線141、142、143は、中空筒状で長手方向の中程に端子止め部を有する金属からなる接続部材165を介しはんだ付けされることが好ましい。これにより、歪ゲージの出力端子146、147、148と歪ゲージのリード線141、142、143との接続の信頼性を向上させることができる。
(接続部材)
接続部材165は、金属からなり、中空筒状で長手方向の中程に端子止め部167を有する。そして、接続部材165の中空筒状の内部でリード線と接続部材165、および端子と接続部材165とがそれぞれはんだ付けされることで、リード線と端子とを電気的に接続する。これにより、歪ゲージのリード線のように細く切れやすいリード線を座150の狭い範囲に接続しなければならない場合であっても、リード線と端子との接続を容易に行なうことができる。また、端子の表面がはんだの濡れ性が悪い場合であっても、端子と接続部材165とを容易にはんだ付けすることができる。これらの結果、リード線と端子との接続の信頼性を向上させることができる。
接続部材165の内径は、接続する端子の外径より少しだけ大きいことが好ましい。例えば、接続部材165の内径と端子の外径との差は、0.2mm以下であることが好ましい。これにより、毛細管現象によりはんだ付けを容易に行なうことができる。当該差の下限値は、毛細管現象が生じる値であればどのような値であってもよいが、例えば、0.05mm以上であることが好ましい。また、接続部材165の端子止め部167は、内部に中空部分を残しつつ、接続する端子が通過できない構造であることが好ましい。例えば、中空筒状のパイプの中程を内部に中空部分を残しつつ潰したり、内側方向に突起を設けたりすることで、このような構造にすることができる。これらの構造により、接続部材165の中空筒状の内部でのリード線と接続部材165、および端子と接続部材165とのはんだ付けを容易に行なうことができる。詳細は製造方法で説明する。
(変位制御システム)
上記の圧電アクチュエータ100を用いて変位制御システム190を構成できる。図9は、変位制御システム190の概略図である。図9に示されるように、変位制御システム190は、圧電アクチュエータ100、フィードバック制御装置170および駆動電源180を備えている。
歪ゲージの出力端子146、147、148は、フィードバック制御装置170に接続されている。検知された歪の信号は、フィードバック制御装置170に入力され、フィードバック制御装置170は、検知された信号を圧電アクチュエータ100の変位に変換し、検知された変位をもとに必要な駆動量を算出する。検知信号から変位への変換は、同相であり、例えば圧電アクチュエータの変位を一定に保ちたい場合、歪ゲージ140から歪増大の信号の入力があったときには、圧電アクチュエータ100の伸びの変位を意味する。フィードバック制御装置170は、算出された駆動量に応じて駆動電源180を制御し、歪信号が変動前の歪み値となる電圧を圧電アクチュエータ本体105に印加する。このようにして、誤差を低減した変位制御システム190を実現できる。
(圧電アクチュエータの製造方法)
次に、図1のように構成された圧電アクチュエータ100の製造方法を説明する。まず、圧電層と内部電極とが交互に積層された圧電素子110を作製する。図10(a)は、製造途中の圧電素子の一例を示す断面図、図10(b)~(d)は、それぞれ図10(a)の圧電素子の製造に使用されるグリーンシートを示す模式図である。図10(b)~(d)は、それぞれ焼成後に内部電極114となる電極ペースト214と圧電層113となる圧電セラミックス213が積層されたグリーンシート201、焼成後に内部電極115となる電極ペースト215と圧電層113となる圧電セラミックス213が積層されたグリーンシート202、および電極ペーストが積層されていない圧電セラミックス213のみのグリーンシート203を示す。これらを設計に応じて積層、圧着し、焼成することで、圧電層と内部電極とが交互に積層された、図10(a)に示される圧電素子110を作製できる。
圧電セラミックスのグリーンシートは、例えば、PZT、チタン酸バリウム等の圧電材料を使用することができる。電極ペーストは、例えば、PtやAg-Pd等を使用することができる。なお、圧電素子110の積層方向の端面は、保護層を形成するために、グリーンシート203を1層以上積層してもよい。
また、応力緩和層118を有する圧電素子110の作製方法を説明する。図11(a)は、製造途中の圧電素子の一例を示す断面図、図11(b)~(e)は、それぞれ図11(a)の圧電素子の製造に使用されるグリーンシートを示す模式図である。図11(b)~(e)は、それぞれ焼成後に内部電極114となる電極ペースト214と圧電層113となる圧電セラミックス213が積層されたグリーンシート201、焼成後に内部電極115となる電極ペースト215と圧電層113となる圧電セラミックス213が積層されたグリーンシート202、電極ペーストが積層されていない圧電セラミックス213のみのグリーンシート203、および焼成後に圧電層113となる圧電セラミックス213と応力緩和層118となる難焼結セラミックスペースト218が積層されたグリーンシート204を示す。これらを設計に応じて積層、圧着し、焼成することで、圧電層と内部電極とが交互に積層され、応力緩和層を有する、図11(a)に示される圧電素子110を作製できる。
このように、応力緩和層118を有する圧電素子110は、焼成後に応力緩和層118となる難焼結セラミックスペースト218が塗布されたグリーンシート204が所定の間隔で積層されて焼成されることで製造される。難焼結セラミックスペースト218としては、例えば、ジルコニア、チタン酸鉛などを使用することができる。なお、応力緩和層118の形状や間隔はこれに限られない。また、難焼結セラミックスペースト218を使用しないで応力緩和層118を形成してもよい。
次に、圧電素子110の側面に積層方向に沿って、内部電極114、115に接続された外部電極116、117を形成する。圧電素子110の側面に電極ペーストを印刷して焼成することで外部電極116、117を形成できる。得られた複数の圧電素子110の積層方向の端面には、エポキシ等の接着剤を塗布して接着し、直列方向に連結する。このようにして多連化を行い、接着剤を硬化させる。
次に、金属製で板状の圧電アクチュエータ本体のリード線121、122を、外部電極116、117に固着させる。
次に、圧電アクチュエータ100の設計に応じたメッシュ130を準備する。圧電アクチュエータ100の設計に応じて、メッシュ130の線径、メッシュサイズ、バイアスの角度を決定し、歪ゲージ140のサイズに合わせて切断する。
次に、歪ゲージ140、メッシュ130、または圧電アクチュエータ本体105の歪ゲージ140配置位置に接着剤を塗布して、歪ゲージ140をメッシュ130を介して圧電アクチュエータ本体105に貼り付ける。このように、歪ゲージ140とメッシュ130とを圧電アクチュエータ本体105に一度に貼り付けることで、歪ゲージ140の主面(表面)にしわが寄らず、平坦に張り付けることができる。なお、歪ゲージ140とメッシュ130は、別々に貼り付けてもよい。また、メッシュ130および歪ゲージ140は、1つの圧電素子110に貼り付けてもよいし、連続する複数の圧電素子110に貼り付けてもよい。
次に、メッシュ130および歪ゲージ140を貼り付けた圧電アクチュエータ本体105を座150に設置する。次に、圧電アクチュエータ本体のリード線121、122を駆動用端子126、127にそれぞれ接続する。また、歪ゲージのリード線141、142、143を歪ゲージの出力端子146、147、148にそれぞれ接続する。
歪ゲージのリード線141、142、143と歪ゲージの出力端子146、147、148との接続は、接続部材165を介して行なうことが好ましい。これにより、歪ゲージの出力端子146、147、148と歪ゲージのリード線141、142、143との接続の信頼性を向上させることができる。また、圧電アクチュエータ本体のリード線121、122と駆動用端子126、127との接続も、接続部材165を介して行なってもよい。
このとき、接続部材165が所定の形状である場合、以下のようにすることで接続作業がより簡便になる。まず、端子の端部に接続部材165の一端を被せて、接続部材165の他端にリード線を挿入する。端子側からはんだをあてて溶かすことで、はんだが毛細管現象により接続部材165の内部を上昇し、端子止め部167より上まで到達する。このはんだが固化することにより、一度のはんだ付けで歪ゲージの出力端子と接続部材165、および歪ゲージのリード線と接続部材165がそれぞれはんだ付けされ、歪ゲージの出力端子と歪ゲージのリード線とが接続される。
すなわち、接続部材165が所定の形状であるとは、接続部材165の内径が端子の外径より大きく端子止め部167まで端子を挿入することができ、かつ、接続部材165の内面と端子との間隙および端子止め部167の間隙が、はんだの毛細管現象が生じる程度の間隙であることである。なお、はんだが端子止め部167より上まで到達した場合であっても、接続部材165の上端からはんだを追加してもよい。これにより、接続の信頼性がさらに向上する。
最後に、キャップ160を被せて封止する。なお、駆動用端子126、127は駆動電源180に、歪ゲージの出力端子146、147、148はフィードバック制御装置170にそれぞれ電気的に接続される。
このようにすることで、圧電アクチュエータ駆動時に歪ゲージにかかる応力を均一化することができるので、歪ゲージ電極が部分的に破断する虞を低減でき、歪ゲージを備える圧電アクチュエータの耐久性を向上させることができる、本発明の圧電アクチュエータ100を製造できる。
[実施例および比較例]
実施例として、図1に示される形状の圧電アクチュエータを作製した。メッシュは、ポリエステル製で線径35μm、メッシュ♯305、バイアス0°とした。歪ゲージは、直交2軸型の箔ゲージを使用した。これらを、エポキシ系接着剤を使用して、圧電アクチュエータ本体に同時に張り付けた。
また、比較例として、メッシュを使用せず、歪ゲージを直接圧電アクチュエータ本体に張り付けた圧電アクチュエータを作製した。比較例の圧電アクチュエータは、メッシュを使用していないこと以外の構成は、実施例の圧電アクチュエータと同一である。
作製した実施例および比較例の圧電アクチュエータの駆動用端子を駆動用電源に接続し、歪ゲージの出力端子をフィードバック制御装置に接続した。そして、DC150Vの電圧を印加したときの歪ゲージの歪の出力の温度変化を確認した。図12は、実施例および比較例の圧電アクチュエータにDC150Vの電圧を印加したときの歪ゲージの歪の出力の温度変化を示すグラフである。
図12のグラフに示されるように、比較例の圧電アクチュエータは、温度が高くなると歪ゲージの歪の出力が大きくなっている。これは、圧電体と歪ゲージの線膨張係数が異なっていることに起因している。これに対し、実施例の圧電アクチュエータは、温度が高くなっても歪ゲージの歪の出力の増加はほぼ一定である。これは、メッシュの材料であるポリエステルと接着剤層の弾性体により圧電体と歪ゲージ間の線膨張差を緩和されるためと推定される。
これにより、メッシュが、圧電素子の線膨張係数と歪ゲージの線膨張係数の間の線膨張係数を有する材料で形成されている場合、圧電素子の線膨張係数と歪ゲージの線膨張係数間の線膨張係数差を緩和させることができ、歪ゲージの歪の出力の温度特性を平坦化させることができるため、圧電アクチュエータが高温で使用された場合であっても、歪の出力の信頼性が高くなることが確かめられた。
次に、実施例および比較例の圧電アクチュエータを85℃の高温環境に設置し、図13に示される波形の電圧を繰り返し印加した。比較例の圧電アクチュエータは、1000万回程度のサイクルで歪の出力が急に小さくなった。そこで、比較例の圧電アクチュエータのキャップの内部を確かめたところ、歪ゲージの縦ゲージの一部が破断していた。これに対し、実施例の圧電アクチュエータは、電圧の印加を1億回繰り返したが、歪ゲージの破断は起こらなかった。
これにより、歪ゲージをメッシュを介して圧電アクチュエータ本体に貼り付けることで、圧電アクチュエータ駆動時に歪ゲージにかかる応力を均一化することができるので、歪ゲージ電極が部分的に破断する虞を低減でき、歪ゲージを備える圧電アクチュエータの耐久性を向上させることができることが確かめられた。
次に、実施例の圧電アクチュエータの駆動用端子を駆動用電源に接続し、歪ゲージの出力端子をフィードバック制御装置に接続した。そして、図13に示される波形の電圧を印加した。そのときの圧電アクチュエータの変位と歪ゲージの歪の出力をそれぞれ測定した。図14は、実施例の圧電アクチュエータに繰り返し電圧を印加したときの、5サイクル目の印加電圧と、圧電アクチュエータの変位または歪ゲージの歪の出力との関係を表したグラフである。図14は、5サイクル目の印加電圧を横軸として、圧電アクチュエータの変位または歪ゲージの歪の出力を縦軸として表している。いずれのグラフも、それぞれ右上がりの矢印が記載されたグラフが印加電圧を上昇させたときのグラフを、左下がりの矢印が記載されたグラフが印加電圧を下降させたときのグラフを示している。
図14の実線のグラフに示されるように、圧電アクチュエータの変位は、印加電圧を上昇させたときと下降させたときでは異なる挙動を示し、ヒステリシスがあることが分かる。一方、図14の点線のグラフに示されるように、歪ゲージの歪の出力も、圧電アクチュエータの変位と類似するヒステリシスがあることが分かる。
圧電アクチュエータの変位のヒステリシスと歪ゲージの歪の出力のヒステリシスとの関係を確認するために、図15のグラフを作成した。図15は、実施例の圧電アクチュエータに繰り返し電圧を印加したときの、5サイクル目の圧電アクチュエータの変位と、印加電圧または歪ゲージの歪の出力との関係を表したグラフである。図15のグラフは、5サイクル目の圧電アクチュエータの変位を横軸として、印加電圧または歪ゲージの歪の出力を縦軸として表している。図15のグラフは、それぞれ右上がりの矢印が記載されたグラフが圧電アクチュエータの変位を増加させるために印加電圧を上昇させたときのグラフを、左下がりの矢印が記載されたグラフが圧電アクチュエータの変位を減少させるために印加電圧を下降させたときのグラフを示している。
図15の点線のグラフに示されるように、圧電アクチュエータの変位に対して、歪ゲージの歪の出力は直線的に変動し、印加電圧を上昇させたときも下降させたときも、ほぼ同一の対応関係を示すことが分かった。また、このときの関係を1次式で近似した近似式の重相関係数は0.999以上の値となった。これにより、本発明の圧電アクチュエータは、歪ゲージの歪の出力が圧電アクチュエータの変位に精密に対応していることが確かめられた。
以上により、本発明の圧電アクチュエータは、圧電アクチュエータ駆動時に歪ゲージにかかる応力を均一化することができるので、歪ゲージ電極が部分的に破断する虞を低減でき、歪ゲージを備える圧電アクチュエータの耐久性を向上させることができることが確かめられた。
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形および均等物に及ぶことはいうまでもない。また、各図面に示された構成要素の構造、形状、数、位置、大きさ等は説明の便宜上のものであり、適宜変更しうる。
100 圧電アクチュエータ
105 圧電アクチュエータ本体
110 圧電素子
113 圧電層
114、115 内部電極
116、117 外部電極
118 応力緩和層
119 空隙部
120 突起
121、122 圧電アクチュエータ本体のリード線
126、127 駆動用端子
130 メッシュ
135 接着剤
140 歪ゲージ
141、142、143 歪ゲージのリード線
146、147、148 歪ゲージの出力端子
150 座
155 ガラス、樹脂
160 キャップ
165 接続部材
167 端子止め部
170 フィードバック制御装置
180 駆動電源
190 変位制御システム
201、202、203、204 グリーンシート
213 圧電セラミックス
214、215 電極ペースト
218 難焼結セラミックスペースト

Claims (6)

  1. 電圧の印加により変位する圧電アクチュエータであって、
    複数の圧電素子を直列に連結して形成され、または一つの圧電素子により形成された圧電アクチュエータ本体と、
    前記圧電アクチュエータ本体の側面に張り付けられた樹脂または金属からなるメッシュと、
    前記メッシュの前記圧電アクチュエータ本体の側面に張り付けられた側と対向する側の表面に張り付けられ、前記圧電アクチュエータ本体の変位変化時の歪を検知する歪ゲージと、
    前記圧電アクチュエータ本体の一端を支持する座と、
    前記圧電アクチュエータ本体を収容するキャップと、を備えることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  2. 前記メッシュは、メッシュ♯150から♯450の範囲であることを特徴とする請求項1記載の圧電アクチュエータ。
  3. 前記メッシュは、前記圧電素子の変位方向に対し、バイアス0°±10°またはバイアス45°±10°で張り付けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧電アクチュエータ。
  4. 前記歪ゲージは、主面の平面度が0.1mm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
  5. 前記メッシュは、ポリエステルで形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
  6. 前記座は、前記座を貫通する端子を備え、
    前記端子の前記キャップの内側の端部と前記歪ゲージのリード線は、中空筒状で長手方向の中程に端子止め部を有する金属からなる接続部材を介しはんだ付けされることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
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