JP7463272B2 - キャピラリー電気泳動による純度の決定方法 - Google Patents

キャピラリー電気泳動による純度の決定方法 Download PDF

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関連出願の相互参照
本願は、米国仮特許出願第62/555335号(2017年9月7日出願)の優先権を主張し、この開示は引用によってその全体が本明細書に援用される。
キャピラリー電気泳動によってタンパク質ピーク分離効率(PSE)を向上させることができる方法。当該方法は、界面活性剤のタンパク質への親和性を向上させることによってタンパク質分離効率(PSE)を向上させるために、界面活性剤の疎水性を上昇させることを含む。
本出願にわたって、様々な文献が、括弧内において、著者名および日付によって、または特許番号または特許公開番号によって参照される。これらの文献の開示は、本明細書に記載および請求される開示の日付に当業者に既知の技術水準をさらに完全に記載するために、本明細書において引用によってその全体が本出願に援用される。しかしながら、本明細書における参照文献の引用は、そのような文献が本開示の先行文献であると認識するものとみなされるべきではない。
治療用タンパク質の商業化には、生合成の複雑さから生成物の不均一性を測定することができる分析技術が必要である(Chirino, A. J., et.al.(2004) Characterizing Biological Products and Assessing Comparability Following Manufacturing Changes. Nat Biotechnol. 22, 1383-1391,2; Zhao, S., et.al.(2014) Applications of Capillary Electrophoresis in Characteriziong Recombinant Protein Therapeutics. Electrophoresis 35, 96-108)。この目的のために、キャピラリーゲル電気泳動(CGE)は、分子量および流体力学半径によってタンパク質を分離し、定量的に検出することによって、タンパク質サイズの不均一性を理解することに寄与する(Rustandi, R.. et.al. (2008) Applications of CE SDS Gel in Development of Biopharmaceutical Antibody-Based Products. Electrophoresis 29, 3612-3620-4; Chen, T., et.al. (2016) Antibody-Drug Conjugate Characterization by Chromatographic and Electrophoretic Techniques. J. Chromatogr. B 1032, 39-50)。この方法において、タンパク質は帯電した界面活性剤によって変性されて、親水性ゲル緩衝溶液にみたされたキャピラリーを通ってふるいにかけられて、分子量に応じて分離される、均一の分子量/電荷比を有する、タンパク質-界面活性剤複合体を生じる。その後、UV検出は理想的には、ピークの定量化が起こりうるキャピラリーに沿った場所で行われ、これには高い段数および分離によって定義される、適切なタンパク質ピーク分離効率(PSE)が必要である。この点において、CGEはほとんどの治療タンパク質、特にIgGについてよく機能し、バイオテクノロジー産業において製品純度の評価の基準として受け入れられてきた (Nunally, B., et.al. (2006) A Series of Collaborations Between Various Pharmaceutical Companies and Regulatory Authorities Concerning the Analysis of Biomolecules Using Capillary Electrophoresis. Chromatographia 64, 359-368)。
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)は、従来のポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)において確率されているため、主にCGE分離のための既定の界面活性剤として使用されてきた(Laemmli, U. K. (1970) Cleavage of Structural Proteins During the Assembly of the Head of Bacteriophage T4. Nature 227, 680-685; Otzen, D. E. (2015) Proteins in a Brave New Surfactant World. Curr. Opin. Colloid Interface Sci. 20, 161-169)。さらに、SDSは1gのタンパク質に対して1.4gのSDSの比で、一般的なタンパク質に均一に結合することができ、ほとんどの場合、SDS:タンパク質複合体の均一な質量/電荷比を保証する(Reynolds, J. A., et.al.(1970) Binding of Dodecyl Sulfate to Proteins at High Binding Ratios. Possible Implications for the State of Proteins in Biological Membrane. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 66, 1002-1007)。したがって、CGEは一般にSDS-CGEまたはCE-SDSと称される。
本発明の実施態様は、疎水性界面活性剤ゲル緩衝液を含む、キャピラリー電気泳動によって、サンプル中の変性された対象のタンパク質を分離することを含む、タンパク質サンプルの解析方法である。
本発明の実施態様は、疎水性界面活性剤ゲル緩衝液において、サンプル中の変性された対象のタンパク質を分離することを含む、キャピラリー電気泳動タンパク質ピーク分離効率(PSE)を向上させる方法である。
本発明の実施態様は、疎水性界面活性剤ゲル緩衝液において、サンプル中の変性された対象のタンパク質を分離することを含む、キャピラリー電気泳動によってタンパク質純度決定を向上させる方法である。
本発明の別の実施態様は、疎水性界面活性剤ゲル緩衝液を含むキャピラリー電気泳動によって、サンプル中の変性された対象のタンパク質を分離することを含む、タンパク質サンプルを解析する方法であって、ここで、疎水性界面活性剤は同じ電荷の硫酸ヘッド基、および11、14、および16から選択されるアルキル鎖長を有するナトリウム対イオンを有する。
本発明の別の実施態様は、疎水性界面活性剤ゲル緩衝液における、サンプル中の変性された対象のタンパク質を分離することを含む、キャピラリー電気泳動タンパク質ピーク分離効率(PSE)を向上させる方法であって、ここで、疎水性界面活性剤は同じ電荷の硫酸ヘッド基、および11、14、および16から選択されるアルキル鎖長を有するナトリウム対イオンを有する。
本発明の別の実施態様は、疎水性界面活性剤ゲル緩衝液における、サンプル中の変性された対象のタンパク質を分離することを含む、キャピラリー電気泳動によるタンパク質純度の決定を向上させる方法であって、ここで、疎水性界面活性剤は同じ電荷の硫酸ヘッド基、および11、14、および16から選択されるアルキル鎖長を有するナトリウム対イオンを有する。
本発明の別の実施態様は、ウンデシル硫酸ナトリウム(SUS)、テトラデシル硫酸ナトリウム(STS)、およびヘキサデシル硫酸ナトリウム(SHS)から成る群から選択される、疎水性界面活性剤ゲル緩衝液を含む、キャピラリー電気泳動によるサンプル中の変性された対象のタンパク質を分離することを含む、タンパク質サンプルを解析する方法である。
本発明の別の実施態様は、ウンデシル硫酸ナトリウム(SUS)、テトラデシル硫酸ナトリウム(STS)、およびヘキサデシル硫酸ナトリウム(SHS)から成る群から選択される、疎水性界面活性剤ゲル緩衝液において、サンプル中の変性された対象のタンパク質を分離することを含む、キャピラリー電気泳動タンパク質ピーク分離効率(PSE)を向上させる方法である。
本発明の別の実施態様は、ウンデシル硫酸ナトリウム(SUS)、テトラデシル硫酸ナトリウム(STS)、およびヘキサデシル硫酸ナトリウム(SHS)から成る群から選択される、疎水性界面活性剤ゲル緩衝液における、サンプル中の変性された対象のタンパク質を分離することを含む、キャピラリー電気泳動によるタンパク質純度決定を向上させる方法である。
本発明の別の実施態様は、ヘキサデシル硫酸ナトリウム(SHS)ゲル緩衝液を含む、キャピラリー電気泳動によるサンプル中の変性された対象のタンパク質を分離することを含む、タンパク質サンプルの解析方法である。
本発明の別の実施態様は、ヘキサデシル硫酸ナトリウム(SHS)ゲル緩衝液における、サンプル中の変性された対象のタンパク質を分離することを含む、キャピラリー電気泳動タンパク質ピーク分離効率(PSE)を向上させる方法である。
本発明の別の実施態様は、ヘキサデシル硫酸ナトリウム(SHS)ゲル緩衝液において、サンプル中の変性された対象のタンパク質を分離することを含む、キャピラリー電気泳動によって決定されるタンパク質純度決定を向上させる方法である。
本発明の別の実施態様は、疎水性界面活性剤を含む、タンパク質分離解析のためのキャピラリー電気泳動ゲル緩衝液である。
いくつかの実施態様において、本開示に有用な電気泳動緩衝組成物は、硫酸ヘッド基、および12個より多い炭素原子を有するアルキル鎖を含む疎水性テールを含む、疎水性界面活性剤を含む。
いくつかの実施態様において、疎水性界面活性剤は、19または20より少ない炭素原子を有するアルキル鎖を有する。いくつかの実施態様において、疎水性界面活性剤のアルキル鎖は、13、14、15、16、17、または18個の炭素原子を有する。いくつかの実施態様において、緩衝組成物は、ドデシル硫酸ナトリウムよりも疎水性の大きい疎水性界面活性剤を含む。
当該方法は、タンパク質ピーク分離効率を向上させるのに有効でありうる。いくつかの実施態様において、疎水性界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウムと比較して、キャピラリーふるい電気泳動によるタンパク質ピーク分離効率の向上を誘導することができる。別の実施態様において、疎水性界面活性剤は、HMW種人工物を除去することができる。
いくつかの実施態様において、緩衝組成物は、トリデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム(STS)、ペンタデシル硫酸ナトリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウム(SHS)、ヘプタデシル硫酸ナトリウム、およびオクタデシル硫酸ナトリウム(SOS)から成る群から選択される界面活性剤を含む。いくつかの実施態様において、疎水性界面活性剤はヘキサデシル硫酸ナトリウム(SHS)である。いくつかの実施態様において、疎水性界面活性剤は約0.02%から約4%w/vの濃度である。
いくつかの実施態様において、緩衝組成物はさらに追加の成分を含みうる。いくつかの実施態様において、緩衝組成物はさらに、緩衝成分、有機性添加剤、親水性ポリマー、金属キレーター、およびそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、1つ以上の追加の成分を含む。いくつかの実施態様において、緩衝成分はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施態様において、有機性添加剤はマンニトール、グリセロール、エチレングリコール、エタノール、メタノール、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施態様において、疎水性ポリマーはデキストラン、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施態様において、金属キレーターはエチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、またはそれらの任意の組み合わせである。
当該方法は、電気泳動によって対象のタンパク質を分離するために有用であって、ここで、電気泳動緩衝液は、サンプル緩衝液、泳動緩衝液、および/またはゲル自体に加えられる。いくつかの実施態様において、電気泳動によって対象のタンパク質を分離するための方法は、サンプル緩衝液において、対象のタンパク質を変性させることを含む。いくつかの実施態様において、当該方法はさらに、泳動緩衝液において、電気泳動ゲルを泳動することを含む。いくつかの実施態様において、泳動緩衝液および/または電気泳動ゲルは、電気泳動緩衝組成物を含む。
当該方法は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いて行った分離のタンパク質ピーク分離効率(PSE)と比較して、タンパク質ピーク分離効率(PSE)を向上させるのに有用である。いくつかの実施態様において、電気泳動によって対象のタンパク質のピーク分離効率を向上させる方法は、サンプル緩衝液において対象のタンパク質を変性させること、および/または泳動緩衝液においてサンプルを電気泳動させることを含み、ここで、タンパク質ピーク分離効率(PSE)は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いて行った分離のタンパク質ピーク分離効率(PSE)と比較して、タンパク質ピーク分離効率(PSE)が向上する。いくつかの実施態様において、電気泳動はキャピラリーゲル電気泳動である。いくつかの実施態様において、電気泳動ゲルは、ドデシル硫酸ナトリウムを用いて行った電気泳動ゲルと比較して、人工高分子量種が少ないことを示す。
いくつかの実施態様において、変性は少なくとも約60℃、少なくとも約65℃、少なくとも約70℃、少なくとも約75℃、または少なくとも約80℃の温度で行われる。いくつかの実施態様において、変性は約60℃および約70℃の間、約65℃および約70℃の間、または約60℃および約65℃の間の温度で行われる。いくつかの実施態様において、変性は少なくとも約3分、少なくとも約4分、少なくとも約5分、少なくとも約6分、少なくとも約7分、少なくとも約8分、少なくとも約9分、少なくとも約10分にわたって行われる。
いくつかの実施態様において、対象のタンパク質は抗体である。いくつかの実施態様において、抗体はIgM、IgA、IgE、IgD、およびIgGから選択されるアイソタイプである。いくつかの実施態様において、IgG抗体はIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4から選択される。いくつかの実施態様において、対象のタンパク質は、酵素、ホルモン、サイトカイン、細胞表面受容体、プロテアーゼ、サイトカイン受容体、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施態様において、対象のタンパク質は融合タンパク質である。いくつかの実施態様において、融合タンパク質は非相同部位に融合する。いくつかの実施態様において、非相同部位は半減期延長部位である。いくつかの実施態様において、半減期延長部位はFcを含む。
図1A-1Cは、ゲル緩衝液溶液に加えた0.2%ヘキサデシル硫酸ナトリウム(SHS)が存在する、または存在しない結果を比較した、組み換え治療タンパク質-1(RTP-1)のキャピラリーゲル電気泳動(CGE)の電気泳動図を示す。画像は対象の領域のみを表示するようにトリミングした。図1AはSDSおよびSHSゲル緩衝液のピーク分離効率(PSE)における相対的な差異を示す、高レベルのオーバーレイを示す。メインRTP-1ピークからの不純物ピーク1(IP1)の分離における、効果またはSDSゲル(図1B)およびSHSゲル(図1C)を強調するベースライン拡大図。
図2Aおよび2Bは、RTP-1純度方法の範囲における、SHSの影響を示す(直線性)。図2Aは、ふるいゲル緩衝液中にSDS、0.2%SHS、または0.4%SHSと共に存在する、IPの見かけの相対的割合を示す。図2Bは、SDS、0.2%SHS、または0.4%SHSと比較したIP領域シグナルの直線性を示す。SHSが存在する場合、試験した濃度範囲全体で一貫性があることに注意されたい。合わせて、データは、SHSを用いた場合には30kであったのに対して、SHSなしでは、アッセイ範囲はピーク領域シグナル10kに限定されたことを示す。
図3は、RTP-1 PSEにおける様々な界面活性剤の影響を示す電気泳動図を示す(少しのオフセットを含む関連する領域に範囲を狭めた)。挿入図:ゲル緩衝溶液に加えた界面活性剤の構造。注入したRTP-1サンプルおよびゲル緩衝液は、電気泳動図の上に記載した界面活性剤のみを含む。メインピークおよびIP1の間のメインピーク段数および分離における、ゲル緩衝液界面活性剤組成物の影響を表1に列挙する。
図4は、RTP-1メインピーク段数における、ゲル緩衝液のSDS(0.2%、1%、2%、または4%)またはSHS(0.2%または1%)濃度を変化させた影響を示す。段数におけるSDSの影響は、濃度が>2.0%で飽和に近づいた。
図5Aおよび図5Bは、RTP-1のドメイン2部位の電荷表面プロファイルを示す。赤および青はそれぞれ、負および正の静電荷を示す。図5Aおよび図5Bは、反対表面露出図を示す。図5Aに示される表面の高い負電荷に注意されたい。これは、タンパク質の疎水性コアとのエネルギー的に有利な相互作用をよりよく確立することによって、アンフォールディングを開始させることができる、SHSなどのより長い疎水性テールを有するものを除いて、界面活性剤の結合の障壁となりうる。
図6A~6Dは、SDS:RTP-1およびSHS:RTP-1示差走査熱量測定(DSC)プロファイルの比較を示す。図6Aは、SDS濃度変化のRTP-1 DSCプロファイルにおける影響を示し、図6Bは、SHS濃度変化の影響を示す。それぞれドメイン1および2を表す2つの吸熱プロファイル、EおよびEを明確に見ることができ、これらを変性温度(Tm1およびTm2)およびエンタルピー(ΔHおよびΔH)について評価した。これらの関数についての値は、表2に列挙する。界面活性剤濃度に対する2つのドメインのエンタルピー変化のプロットは、図6Cおよび6Dに示す。
図7Aおよび7Bは、SDSおよびSHSゲル緩衝溶液:mAbs RTP-2(図7A)およびRTP-3(図7B)を用いて得た他のタンパク質のCGEプロファイルを示す。RTP-2(RTP-2と表す)は、RTP-3(RTP-3と表す)と比較して、比較的高い割合の表面の疎水性を有し、タンパク質PSEとタンパク質/界面活性剤の疎水性の相関関係が示唆される。黒および赤のトレースは、それぞれSDSおよびSHSゲル緩衝溶液から得た電気泳動図である。
図8は、評価した界面活性剤(SUS、SDS、STS、およびSHS)の化学構造を示す。
図9Aおよび9Bは、CE-SDSトレースによる還元されたmAb-1およびmAb-3の電気泳動図のオーバーレイを示す。(B)はベースラインの位置で(A)を拡大して、NGHCおよびHC後のHMW種のピーク形状を示す。LC=軽鎖;HC=重鎖;NGHC=非グリコシル化重鎖;HMW=高分子量。図9Aは全体図を示し、図9Bは拡大図を示す。図9Aおよび9Bのいずれについても、上線はmAb-1を示し、下線はmAb-3を示す。
図10は、非還元(2-メルカプトエタノール(BME)なし)、部分的に還元(0.005%および0.02%のBME)、および還元(5%BME)条件下でのCE-SDSによる、mAb-1の拡大した電気泳動図のオーバーレイを示す。注:アルキル化試薬IAMを、ジスルフィド結合交換によって生じるmAb-1分子の断片を抑制するために、非還元および部分的に還元されたCE-SDS条件に加えた。一番上の最初の線は5%BME(完全に還元された)についてであり;二番目の線は0.02%BMEについてであり;三番目の線は0.005%BMEについてであり;四番目の線はBMEなし(還元されない)についてである。
図11Aおよび11Bは、0.23-1.23mg/mLの範囲内のタンパク質濃度の関数としての、純度の相対百分率(LC+HC)(図11A)および総HC後HMW種(図11B)のプロットを示す。
図12は、0.5%-4%SDSを含むサンプル緩衝液を用いて調整し、SDSに基づくゲルによって分離した、還元されたmAb-1サンプルの拡大した電気泳動図のオーバーレイを示す。一番上の最初の線は4%SDSについてであり;二番目の線は3%SDSについてであり;三番目の線は2%SDSについてであり;四番目の線は1%SDSであり、一番下の五番目の線は0.5%SDSについてである。
図13は、1%SDSを含むサンプル緩衝液を用いて調製し、0.2%-4%SDSを含むゲルマトリクスを用いて分離した、還元されたmAb-1サンプルの拡大した電気泳動図のオーバーレイを示す。一番上の最初の線は0.2%SDSゲルについてであり;二番目の線は0.5%SDSゲルについてであり;三番目の線は1%SDSゲルについてであり;四番目の線は2%SDSゲルについてであり;一番下の五番目の線は4%SDSゲルについてである。
図14Aおよび14Bは、CE-SDS(1%SDSサンプル緩衝液+SDSに基づくゲル)によって、異なるインキュベーション条件を用いて調製した、還元されたmAb-1(図14A)およびmAb-3(図14B)サンプルの拡大した電気泳動図のオーバーレイを示す。図14Aおよび14Bの両方について、一番上の最初の線は、5分間60℃のインキュベーション条件を表し;二番目の線は10分間60℃を表し;三番目の線は10分間70℃を表し;四番目の線は10分間80℃を表し;一番下の五番目の線は15分間90℃を表す。
図15は、CE-SDSによるサンプルのオンボード安定性試験における、還元されたmAb-1の拡大した電気泳動図のオーバーレイを示す。一番下の線は、保存の開始時にサンプルを15℃で保存した結果の電気泳動図を示し;真ん中の線は10時間後であり;一番上の線は20時間後である。
図16Aおよび16Bは、異なるサンプル緩衝液およびゲルマトリックス条件の組み合わせによって解析した、還元されたmAb-1サンプルの拡大した電気泳動図のオーバーレイを示す。図16Aにおいて、還元されたmAb-1サンプルは、異なる界面活性剤(2%SC10Sサンプル緩衝液、1%SDSサンプル緩衝液、および0.5%STSサンプル緩衝液)を含むサンプル緩衝液を用いて、SDSに基づくゲル(AB Sciex)の泳動によって分離して調製した。一番上の線は、2%SC10Sサンプル緩衝液の電気泳動の結果を示す。真ん中の線は、1%SDSサンプル緩衝液の電気泳動の結果を示す。一番下の線は、0.5%STSサンプル緩衝液の電気泳動の結果を示す。図16Bにおいて、還元されたmAb-1サンプルは、異なる界面活性剤(2%SC10Sサンプル緩衝液、1%SDSサンプル緩衝液、および0.5%STSサンプル緩衝液)を含むサンプル緩衝液を用いて調製し、SHSに基づくゲルの泳動によって分離した。一番上の線は、2%SC10Sサンプル緩衝液の電気泳動の結果を示す。真ん中の線は、1%SDSサンプル緩衝液の電気泳動の結果を示す。一番下の線は、0.5%STSサンプル緩衝液の電気泳動の結果を示す。
図17は、界面活性剤、0.2%SHS、またはSDSおよびSHSの混合物(1%SDS+0.2%SHSまたは0.5%SDS+0.2%SHS)を含むサンプル緩衝液を用いて調製し、SHSに基づくゲルの泳動によって分離した、還元されたmAb-1サンプルの拡大した電気泳動図のオーバーレイを示す。一番上の線は、1%SDS+0.2%SHSサンプル緩衝液の電気泳動の結果を示す。真ん中の線は、0.5%SDS+0.2%SHSサンプル緩衝液の電気泳動の結果を示す。一番下の線は、0.2%SHSサンプル緩衝液の電気泳動の結果を示す。
図18は、STSを含むサンプル緩衝液を用いて調製し、SHSおよびSTSに基づくゲルを泳動させることによって分離した、還元されたmAb-1サンプルの拡大した電気泳動図のオーバーレイを示す。上線は、STSに基づくゲルの結果を示し;下線はSHSに基づくゲルの結果を示す。
図19Aおよび19Bは、CE-SDS法(図19A)およびCE-SCXS法(同じヘッド基を有するがアルキル鎖長がSDSと異なる、疎水性界面活性剤を用いた方法)による、還元されたmAbサンプルの拡大された電気泳動図のオーバーレイを示す。図19Aは、SDS含有サンプル緩衝液、およびSDSに基づくふるいゲル(AB Sciex)の結果を示し;図19Bは、STS含有サンプル緩衝液およびSHSに基づくふるいゲルの結果を示す。一番上の線はmAb-2の結果を示し;真ん中の線はmAb-1の結果を示し;一番下の線はmAb-3の結果を示す。
図20は、SC10S、SDS、およびSDSよりも疎水性である6個の界面活性剤(SC13SからSC18S)の化学構造を示す。
本発明の詳細な説明
I.用語
本開示をさらに容易に理解することができるように、いくつかの用語を最初に定義する。本開示で用いられる場合、本明細書で別段の定めがない限り、以下のそれぞれの用語は、以下に記載される意味を有するものとする。本開示全体にわたって、追加の定義が記載される。
本明細書で用いられる用語「および/または」は、他の有無を問わず、2つの特定の特徴または構成要素のそれぞれの具体的な開示として解釈されるべきである。したがって、本明細書において「Aおよび/またはB」などの語句において用いられる用語「および/または」は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、および/またはC」などの語句において用いられる用語「および/または」は、以下のそれぞれの局面:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)を含むことが意図される。
「含む」という用語を用いて本明細書において局面が記載されている場合は常に、「から成る」および/または「本質的に~から成る」の用語で記載される同様の局面もまた提供されることが理解される。
別段定義されない限り、本明細書において用いられる全ての技術的および科学的用語は、本開示が関連する技術分野における当業者に一般に理解されるものと同様の意味を有する。例えば、the Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology, Juo, Pei-Show, 2nd ed., 2002, CRC Press; The Dictionary of Cell and Molecular Biology, 3rd ed., 1999, Academic Press; and the Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology, Revised, 2000, Oxford University Pressは、本開示で用いられる多くの用語の一般的な辞書を当業者に提供する。
単位、接頭語、および記号は、国際単位系(SI)に許容された形式で記載される。数値範囲には、その範囲を定義する数値が含まれる。本明細書で提供される見出しは、本開示の様々な局面を限定するものではなく、それらは明細書全体を参照することによって得られうる。そのため、直後で定義される用語は、明細書全体を参照することによりより完全に定義される。
選択肢(例えば、「または」)の使用は、選択肢の1つ、両方、またはその任意の組み合わせのいずれかを意味することが理解されるべきである。本明細書で用いられる不定冠詞「a」または「an」は、「1つ以上」の引用される、または列挙される任意の構成要素をいうことが理解されるべきである。
用語「約」または「本質的に~を含む」は、当業者によって決定される、特定の値または組成物についての許容可能な誤差範囲内である、値または組成物をいい、これは値または組成物が、測定または決定される方法、すなわち測定系の制限に部分的に依存する。例えば、「約」または「本質的に~を含む」は、当技術分野の実施ごとに、1以内または1を超える標準偏差内であることを意味しうる。あるいは、「約」または「本質的に~を含む」は、最大で20%の範囲を意味しうる。さらに、特に生物学的システムまたはプロセスに関して、当該用語は最大で10倍または最大で5倍の値を意味しうる。特定の値または組成物が本出願および特許請求の範囲において提供されている場合、特に断らない限り、「約」または「本質的に~を含む」の意味は、その特定の値または組成物についての許容可能な誤差範囲の範囲内であると推定されるべきである。
本明細書で記載される、任意の濃度範囲、百分率範囲、比率範囲、または整数範囲は、列挙された範囲内の任意の整数の値、および適切な場合、特に言及されない限り、その分数(整数の1/10、および1/100など)の値を含むことが理解されるべきである。
本明細書で用いられる用語「対象のタンパク質」は、その最も広い意味で用いられ、精製が望ましい、混合物中に存在する任意のタンパク質(天然または組み換えのいずれか)を含む。そのような対象のタンパク質としては、限定されないが、酵素、ホルモン、増殖因子、サイトカイン、免疫グロブリン(例えば、抗体)、および/または任意の融合タンパク質が挙げられる。
本明細書で交互に用いられる用語「分離する」または「単離する」は、対象のタンパク質および1つ以上の不純物を含む、組成物またはサンプルから、対象のタンパク質の純度を上昇させることをいう。分離または単離は電気泳動を介して生じ、ここで電場を使用して、物質を介して負電荷に帯電した分子を移動させる。分子が同じ均一な電荷を有している場合、それらは大きさに基づいて電場を介して移動し、移動速度の違いにより、対象のタンパク質などの分子が分離または単離される。
本明細書で用いられる用語「緩衝液」は、溶液中に存在することにより、pHの単位変化を生じさせるために添加しなければならない酸またはアルカリの量を増加させる物質をいう。緩衝液は、その酸-塩基共役成分の作用によって、pHの変化に抵抗する。生物学的試薬と共に使用するための緩衝液は、一般に、溶液のpHが生理学的範囲内になるような一定濃度の水素イオンを維持することができる。従来の緩衝成分としては、限定されないが、有機および無機塩、酸、および塩基が挙げられる。
本明細書で用いられる用語「電気泳動緩衝組成物」は、タンパク質を変性させることができる、少なくとも1つの界面活性剤を含む物質をいう。電気泳動緩衝組成物は、サンプル緩衝液の一部としてサンプル組成物に、電気泳動緩衝液、電気泳動ゲル自体に、直接添加することができる。電気泳動緩衝組成物の例は、本明細書の他の場所に記載される。
用語「泳動緩衝液」は、電気泳動プロセス中に電流が流れる時に、特定のpH範囲を維持するのを助けるために、電気泳動において用いられる電気泳動緩衝液をいう。それは、溶液中に存在することによって、pHの単位変化を生じさせるために添加しなければならない酸またはアルカリの量を増加させる物質をいう。緩衝液は、その酸-塩基共役成分の作用によって、pHの変化に抵抗する。
用語「サンプル緩衝液」は、電気泳動による解析のためにゲル上で泳動させるために調製される、タンパク質サンプルに添加する緩衝液をいう。これは、溶液中に存在することによって、pHの単位変化を引き起こすために添加しなければならない酸またはアルカリの量を増加させる物質をいう。緩衝液は、酸塩基共役成分の作用によって、pHの変化に抵抗する。サンプル緩衝液は、タンパク質を変性させ、負電荷に帯電させるために用いられる界面活性剤を含みうる。サンプル緩衝液はまた、ジスルフィド結合を破壊するために用いられるβ-メルカプトエタノール、またはゲル中のタンパク質サンプルの泳動後に用いられるブロモフェノールブルーなどの他の成分も含みうる。
用語「ピーク分離効率」または「PSE」は、段数(plate count)および/または分離能によって定義される。段数は、カラムの効率を示す指標である、理論段数(N)をいう。これは段数理論に従って定義された段数を表し、理論上の段数が大きくなるほど、ピークが鋭くなる計算に基づいて、カラム効率を決定するために用いることができる。理論段数は、カラムの取扱説明書や検査報告書に数値として記載される。ガウス分布(正規分布)を想定すると、理論段数は次のように計算できる:
N=16(R/W)
[式中、N=理論段数(段数)、Rtはピークの保持/移動時間、およびWはピーク高の61%に描かれた接線を有するベースラインにおけるピーク幅。]
比較すると、溶出の分解能は、2つの溶出ピークがクロマトグラフィー分離においてどれだけうまく区別することができるかの定量的な尺度である。これは、溶出ピークの合計幅で割った、2つのピーク間の保持時間の違いとして定義され、以下のように表される:
R=2(Rt2-Rt1)/(W+W
[式中、R=2つのピーク間の分離、Rt1およびRt2はそれぞれ、ピーク1および2の保持/移動時間、およびW+Wはピーク高の50%に描かれた接線を有するベースラインにおけるピーク幅の合計。]
本明細書で用いられる用語「不純物」は、混合物内の任意の望ましくない成分または化合物を含む、最も広い意味で用いられる。細胞培養、細胞溶解液、または浄化バルク(例えば、浄化細胞培養上清)において、不純物としては、例えば、宿主細胞核酸(例えば、DNA)、および細胞培地に存在する宿主細胞タンパク質が挙げられる。宿主細胞不純物タンパク質としては、限定されないが、宿主細胞によって生産される天然または組み換えタンパク質、並びに対象のタンパク質に関連する、または由来するタンパク質(例えば、タンパク質分解フラグメント)、および他の工程に関連する不純物が挙げられる。いくつかの実施態様において、不純物沈殿は、遠心分離、滅菌濾過、デプス濾過、タンジェンシャルフロー濾過などの手段を用いて、細胞培養から分離される。
用語「抗体」は、いくつかの実施態様において、ジスルフィド結合によって分子間結合した、少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含むタンパク質をいう。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(本明細書においてVHと省略される)、および重鎖定常領域(本明細書においてCHと省略される)から成る。いくつかの抗体、例えば天然に存在するIgG抗体において、重鎖定常領域はヒンジおよび3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3から成る。いくつかの抗体、例えば、天然に存在するIgG抗体において、それぞれの軽鎖は軽鎖可変領域(本明細書においてVLと省略される)、および軽鎖定常領域から成る。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(本明細書においてCLと省略される)から成る。VHおよびVL領域はさらに、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域にさらに細分化することができ、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存性の高い領域が分散している。それぞれのVHおよびVLは、3つのCDRおよび4つのFRから成り、アミノ末端からカルボキシ末端にかけて以下の順番で配置されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。重鎖はC末端リシンを含んでも、含まなくてもよい。用語「抗体」としては、二重特異性抗体または多特異性抗体が挙げられる。
本明細書で用いられる「IgG抗体」、例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4抗体は、いくつかの実施態様において、天然に存在するIgG抗体の構造を有する、すなわち、同じサブクラスの天然に存在するIgG抗体と同じ数の、重鎖および軽鎖、およびジスルフィド結合を有する。例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4抗体は、2つの重鎖(HC)および2つの軽鎖(LC)から成り、ここで、(抗体がジスルフィド架橋を変更するような変異を有さない限り)2つのHCおよびLCは、それぞれ天然に存在するIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4抗体におい存在するジスルフィド結合と、同じ数および部位で結合する。
免疫グロブリンは、限定されないが、IgA、分泌型IgA、IgG、およびIgMなどの周知の任意のアイソタイプから選択されうる。IgGアイソタイプは、いくつかの種類においてサブクラスに分類される:ヒトにおけるIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4、並びにマウスにおけるIgG1、IgG2a、IgG2b、およびIgG3。免疫グロブリン、例えば、IgG1は、いくつかのアロタイプで存在し、それらは最大で数個のアミノ酸が互いに異なる。「抗体」としては、例えば、天然および非天然のいずれの抗体;モノクローナルおよびポリクローナル抗体;キメラおよびヒト化抗体;ヒトおよび非ヒト抗体および全合成抗体が挙げられる。
本明細書で用いられる用語、抗体の「抗原結合部位」は、抗原に特異的に結合することができる能力を有する抗体の1つ以上のフラグメントをいう。抗体の抗原結合能は、完全長抗体のフラグメントによって発揮できることが示されている。用語、抗体の「抗原結合部位」に含まれる結合フラグメントの例としては、(i)Fabフラグメント(パパイン切断からのフラグメント)、またはVL、VH、LCおよびCH1領域から成る、同様の一価フラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメント(ペプシン切断からのフラグメント)、またはヒンジ領域におけるジスルフィド架橋によって結合される2つのFabフラグメントを含む、同様の二価フラグメント;(iii)VHおよびCH1領域から成るFdフラグメント;(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインから成るFvフラグメント;(v)VH領域から成る、dAbフラグメント(Ward et al., (1989) Nature 341:544-546);(vi)単離した相補性決定領域(CDR);および(vii)適宜合成リンカーと組み合わせられうる、2つ以上の単離したCDRの組み合わせが挙げられる。さらに、Fvフラグメントの2つの領域、VL、およびVHは、別の遺伝子にコードされているが、それらは組み換え法を用いて、VLおよびVH領域が対になって単一の分子(単一鎖Fv(scFv)として知られている;例えば、 Bird et al. (1988) Science 242:423-426; および Huston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883を参照されたい)を形成しているような単一のタンパク質鎖を作成することが可能な、合成リンカーによって組み合わせることができる。そのような単一鎖抗体はまた、用語、抗体の「抗原結合部位」に含まれることが意図される。これらの抗体フラグメントは、当業者に既知の従来の技術を用いて得られ、フラグメントは無傷の抗体と同様の方法で、有用性についてスクリーニングされる。抗原結合部位は、組み換えDNA技術によって、または無傷の免疫グロブリンの酵素的または化学的切断によって製造することができる。
「Fc領域」(フラグメント結晶化可能領域)、「Fcドメイン」、または「Fc」は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)に存在するFc受容体に対する結合、または古典補体系の第一成分(C1q)に対する結合などの、宿主組織または因子に対する免疫グロブリンの結合を介在する、抗体の重鎖のC末端領域をいう。そのため、Fc領域は第一定常領域免疫グロブリンドメイン(例えば、CH1またはCL)を除く、抗体の定常領域を含む。IgG、IgA、およびIgD抗体アイソタイプにおいて、Fc領域は、抗体の2つの重鎖の第二(CH2)および第三(CH3)定常領域に由来する、2つの同一のタンパク質フラグメントを含み;IgMおよびIgEのFc領域は、それぞれのポリペプチド鎖における3つの重鎖定常領域(CH領域2~4)を含む。IgGアイソタイプは、いくつかの種においてサブクラスに分類される:ヒトにおけるIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4、並びにマウスにおけるIgG1、IgG2a、IgG2b、およびIgG3。IgGについて、Fc領域は免疫グロブリンドメインCH2およびCH3、並びにCH1およびCH2ドメインのヒンジを含む。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界の定義は様々でありうるが、本明細書で定義されるヒトIgG重鎖Fc領域は、IgG1のD221、IgG2のV222、IgG3のL221、およびIgG4のP224のアミノ酸残基から、重鎖のカルボキシ末端に広がると定義され、ここで、番号付けはKabatにおけるEU指標に従う。ヒトIgGのFc領域のCH2ドメインは、237番目のアミノ酸から340番目のアミノ酸から広がり、CH3ドメインはFc領域におけるCH2ドメインのC末端側に位置する、すなわち、IgGの341番目のアミノ酸から447または(C末端リシン残基が存在しない場合は)446番目、または(C末端のグリシンおよびリシン残基が存在しない場合は)445番目のアミノ酸から広がる。本明細書で用いられるFc領域は、任意のアロタイプ変異体、変異型Fc(例えば、非天然で生じるFc)を含む、天然のFc配列でありうる。
「Fc受容体」または「FcR」は、免疫グロブリンのFc領域に結合する受容体である。IgG抗体に結合するFcRは、これらの受容体の対立遺伝子変異体、および選択的スプライシングされた形態などの、FcγRファミリーの受容体を含む。FcγRファミリーは、3つの活性型受容体(マウスにおけるFcγRI、FcγRIII、およびFcγRIV;ヒトにおけるFcγRIA、FcγRIIA、およびFcγRIIIA)、および1つの阻害型受容体(FcγRIIB)から成る。ヒトFcγRの様々な性質が、当技術分野において既知である。先天性のエフェクター細胞型の大部分は、1つ以上の活性型FcγRおよび阻害型FcγRIIBを共発現するが、ナチュラルキラー(NK)細胞は1つの活性型Fc受容体(マウスにおけるFcγRIII、およびヒトにおけるFcγRIIIA)を選択的に発現するが、マウスおよびヒトにおける阻害型FcγRIIBは発現しない。ヒトIgG1はほとんどのヒトFc受容体に結合し、結合する活性型Fc受容体の種類に関してはマウスIgG2aと同じであると考えられる。
本明細書で用いられる用語「組み換えヒト抗体」は、(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子の遺伝子組み換え、または染色体導入された動物(例えば、マウス)、またはそれらから調製されたハイブリドーマから単離した抗体、(b)抗体を発現するように形質転換された宿主細胞、例えば、トランスフェクトーマから単離した抗体、(c)組み換え、組み合わせヒト抗体ライブラリー(recombinant, combinatorial human antibody library)から単離した抗体;および(d)ヒト免疫グロブリン遺伝子配列を他のDNA配列にスプライシングすることを含む他の任意の手段によって製造、発現、作成、または単離された抗体などの、組み換え法によって製造、発現、作成、または単離された全てのヒト抗体を含む。
本明細書で用いられる「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされた、抗体のクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD、およびIgE抗体)をいう。
アミノ酸は一般に知られている3文字の記号によって、またはIUPAC-IUB生化学命名法委員会によって推奨される1文字の記号によって、本明細書において言及される。同様に、ヌクレオチドは一般に受け入れられている1文字の記号によって言及される。
本明細書で用いられる用語「ポリペプチド」は、アミド結合(ペプチド結合としても知られている)によって直線的に結合されたモノマー(アミノ酸)から構成される分子をいう。用語「ポリペプチド」は、2つ以上のアミノ酸の任意の鎖をいい、生成物の特定の長さをいうものではない。本明細書で用いられる用語「タンパク質」は、1つ以上のポリペプチドから構成される分子を含むことが意図され、これはいくつかの場合において、アミド結合以外の結合によって結合しうる。一方で、タンパク質はまた、単一のポリペプチド鎖でありうる。後者の例において、単一のポリペプチド鎖は、いくつかの例において、互いに融合してタンパク質を形成する、2つ以上のポリペプチドサブユニットを含みうる。用語「ポリペプチド」および「タンパク質」はまた、限定されないが、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解切断、または非天然アミノ酸による修飾などの、発現後の修飾の生成物をいう。ポリペプチドまたはタンパク質は、天然に由来しうる。用語「HMW種」は、対象の無傷のタンパク質、例えばmAb-1に対する相対的な見かけの分子量が高い、任意の1つ以上のタンパク質をいう。HMW種は、目的のタンパク質と無関係でありうるか、あるいは、凝集体、例えば、二量体または多量体、無傷のタンパク質およびその任意のフラグメントの任意の組み合わせである。分子量の異なる2つのタンパク質またはそのタンパク質フラグメントは、タンパク質の界面活性剤コーティングが不均一であるために、電荷密度が不均一であることによって、電気泳動中に共に移動する可能性がある。
生物源または組み換え技術によって生成されるが、設計した核酸配列から必ずしも翻訳される訳ではない。それは、化学合成などの任意の方法によって生成されうる。
本明細書に記載される任意の濃度範囲、パーセント範囲、比率範囲、または整数範囲は、特に言及されない限り、列挙された範囲内の任意の整数値、および適切な場合は、その分数(整数の10分の1、および100分の1など)を含むと理解されるべきである。
本明細書で用いられる、用語「HMW種人工物」または「HMW人工物」は、還元および/または非還元条件下での不十分な電気泳動の結果として表れうるピークまたはバンドをいう。HMW人工物はそのため、純度の結果が過小評価され、アッセイの頑強性が不十分になることにつながる可能性がある。非還元条件下において、2つのmAbのプロファイルにおいて示されるHMW人工物は、完全に変性しておらず、そのため、界面活性剤に均一にコーティングされていないタンパク質種であり、これは固有のタンパク質凝集種と共に移動する。非還元CE-SDS法によって測定される、HMW種人工物の凝集量は、ネイティブサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)および分析超遠心分離(AUC)などの、他の直交的な方法によって報告された値よりも有意に高くなり得る。
本明細書で用いられる用語「mAb-1」は、抗IL8抗体(HuMax-IL8)をいう。任意の抗IL-8抗体が本開示に用いられうるが、本明細書で実施例として用いられる抗IL8抗体は、2004年7月15日に公開されたWO2004/058797のPCT公報ににおいて記載される。
本明細書で用いられる用語「mAb-2」または「RTP-2」は、抗TIGIT抗体をいう。任意の抗TIGIT抗体が本開示に用いられうるが、本開示で用いられる抗TIGIT抗体は、2016年6月30日に公開されたWO2016/106302のPCT公報において記載される。
本明細書で用いられる用語「mAb-3」は、抗IP-10抗体をいう。任意の抗IL-10抗体が本開示に用いられうるが、本開示で用いられる抗IP-10抗体は、2005年6月30日に公開されたWO2005/058815、2017年6月8日に公開されたWO2017/095875、および2016年8月30日に公開されたUS特許第9,429,581号において記載される。
本開示の様々な局面が、以下のサブセクションにおいてさらに詳細に記載される。
II.電気泳動緩衝組成物
組み換えタンパク質発現、例えば、組み換えモノクローナル抗体の発現は複雑であり、化学的および物理的分解と共に多数の翻訳後修飾を必要とする。そのため、治療タンパク質の発現には、開発と生産の各段階において定期的な観察が必要である。タンパク質の純度、不均一性、および安定性の、信頼できる頑強な評価を提供することができる分析方法が、治療タンパク質のプロセス開発および品質管理における製品の特性評価を助けるために必要である。
一般にCE-SDSと称されるドデシル硫酸ナトリウムを用いた、キャピラリーゲル電気泳動(CGE)は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)のキャピラリー形式であり、ここで、ポリアクリルアミドスラブゲルは、交換可能なポリマーふるいマトリクスで充填された細径ガラスキャピラリーで置き換えられている。従来の労働不感受性(labor-insensitive)SDS-PAGEに対して、CE-SDSは全体的な断片化パターンを測定することができ、直接的なオンカラムUVまたは蛍光検出、自動化、並びに向上した分離および再現性などの利点を有する、正確なタンパク質の定量化を行うことができる。
SDSは、SDS-PAGEおよびCE-SDS技術の両方において、タンパク質変性のためのデフォルトの界面活性剤として広く用いられており、これはタンパク質が重量ベースで比較的一定量のSDSに結合し(~1.4gのSDS/1gのタンパク質)、ほとんどの場合においてSDS-タンパク質複合体の均一な分子量/電荷比を生じるという、広く受け入れられている事実に起因しうる。その結果、タンパク質分子の内因性ポリペプチドの電荷は無視できるほどになり、最終的な分離は変性したポリペプチドの相対的な分子量の違いに完全に依存する。
しかしながら、電荷およびグリコシル化特性によって、SDSがいくつかのタンパク質に均一に結合できず、そのため低いタンパク質ピーク分離効率が生じるというシナリオが存在し、このことから比較的低いSDS結合親和性および/または不完全な変性が示唆される。この最近特定された、分析における問題は、高分子量(HMW)人工物は、非還元および還元CE-SDS条件の両方で、タンパク質分子の純度解析において生じ、これによって過小評価された純度結果および不十分なアッセイの頑強性を生じるという事実に部分的に起因する。非還元条件下において、2つのmAbの特性において示されるHMW人工物は、完全に変性しておらず、そのため界面活性剤SDSで均一にコーティングされておらず、内因性のタンパク質凝集体種と共に移動したタンパク質種であった可能性がある。非還元CE-SDS法によって測定された、これらの凝集体量は、ネイティブサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)および分析超遠心分離(AUC)などの、他の直交的方法によって報告された値よりも、有意に高かった。SHS含有ふるいゲルを用いること、および通常のSDSに基づくサンプル緩衝液を用いてサンプル変性を維持することによって、HMW種の生成はうまく抑えられ、そのため合理的な凝集体量を伴う、さらに信頼性のある純度結果が、これらの2つのmAbについて報告された。これらの人工物の量は、タンパク質濃度、サンプル緩衝液、泳動緩衝液、またはゲルマトリックス中のSDS量などの、サンプル生成パラメーターによって、有意に影響を受けた。サンプルにゲル緩衝液だけでなく、比較的疎水性の界面活性剤を加えることによって、モノクローナル抗体1(mAb-1)およびモノクローナル抗体2(mAb-2)のHCを十分に変性させる、改良された能力が発揮され、そのためHC後のHMW人工物の生成が抑制されることが発見された。
本開示において評価された、および有用な界面活性剤は、アルキル鎖長のみが異なる、同様に荷電した硫酸ヘッド基およびナトリウム対イオンを含むことができる。界面活性剤は、緩衝液および/またはゲル中に、電気泳動緩衝組成物として含まれうる。いくつかの実施態様において、本開示の電気泳動緩衝組成物は、硫酸ヘッド基、および11個の炭素原子を有するアルキル鎖、または12個より多い炭素原子を有するアルキル鎖を含む疎水性テールを含む、疎水性界面活性剤を含む。いくつかの実施態様において、電気泳動緩衝組成物は、19または20個未満の炭素原子を有するアルキル鎖を含む、疎水性界面活性剤を含む。いくつかの実施態様において、疎水性界面活性剤は、13から20個の炭素原子、13から19個の炭素原子、13から18個の炭素原子、14から18個の炭素原子、14から19個の炭素原子、14から20個の炭素原子、15から20個の炭素原子、15から19個の炭素原子、15から18個の炭素原子、16から20個の炭素原子、16から19個の炭素原子、16から18個の炭素原子、17から20個の炭素原子、17から19個の炭素原子、または17から18個の炭素原子を有する、硫酸ヘッド基およびアルキル鎖を有する。別の実施態様において、疎水性界面活性剤は、硫酸ヘッド基、および13、14、15、16、17、18、19、または20個の炭素原子を有するアルキル鎖を有する。別の実施態様において、疎水性界面活性剤は、硫酸ヘッド基、および18個の原子を有するアルキル鎖を有する。いくつかの実施態様において、疎水性界面活性剤は、硫酸ヘッド基、および16個の原子を有するアルキル鎖を有する。本開示の目的のために、疎水性界面活性剤における硫酸ヘッド基は、ドデシル硫酸ナトリウムにおける硫酸ヘッド基と少なくとも同じ程度に高い、正味の負の点電荷を有する。いくつかの実施態様において、疎水性界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウムよりもさらに疎水性である。別の実施態様において、疎水性界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウムに比べて、キャピラリーふるい電気泳動によって、向上したタンパク質ピーク分離効率を生じることができる。
いくつかの実施態様において、疎水性界面活性剤は、トリデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム(STS)、ペンタデシル硫酸ナトリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウム(SHS)、ヘプタデシル硫酸ナトリウム、およびオクタデシル硫酸ナトリウム(SOS)から成る群から選択される。いくつかの実施態様において、疎水性界面活性剤はヘキサデシル硫酸ナトリウム(SHS)である。これらの実施態様は、図20に示される。
いくつかの実施態様において、疎水性界面活性剤は、サンプル緩衝液、泳動緩衝液、および/またはゲル中に約0.001%から約4%w/vの濃度で存在する。いくつかの実施態様において、本開示の電気泳動緩衝液またはゲルの調製のために用いることができる、疎水性界面活性剤の濃度の範囲は、例えば、約5%以下、約4.5%以下、約4%以下、約3.5%以下、約3%以下、約2.5%以下、約2%以下、約1.5%以下、約1%以下、約0.9%以下、約0.8%以下、約0.7%以下、約0.6%以下、約0.5%以下、約0.4%以下、約0.3%以下、約0.2%以下、約0.1%以下、約0.09%以下、約0.08%以下、約0.07%以下、約0.06%以下、約0.05%以下、約0.04%以下、約0.03%以下、約0.02%以下、約0.01%以下、または約0.001%以下である。疎水性界面活性剤の範囲は、約0.001%から約0.5%、0.01%から約0.5%、約0.02%から約0.5%、0.03%から約0.5%、0.04%から約0.5%、0.05%から約0.5%、0.06%から約0.5%、0.07%から約0.5%、0.08%から約0.5%、0.09%から約0.5%、約0.1%から約0.5%、約0.2%から約0.5%、約0.3%から約0.5%、約0.4%から約0.5%、約0.02%から約0.4%、0.03%から約0.4%、0.04%から約0.4%、0.05%から約0.4%、0.06%から約0.4%、0.07%から約0.4%、0.08%から約0.4%、0.09%から約0.4%、約0.1%から約0.4%、約0.2%から約0.4%、約0.3%から約0.4%、約0.02%から約0.3%、0.03%から約0.3%、0.04%から約0.3%、0.05%から約0.3%、0.06%から約0.3%、0.07%から約0.3%、0.08%から約0.3%、0.09%から約0.3%、約0.1%から約0.3%、約0.2%から約0.3%、約0.02%から約0.2%、0.03%から約0.2%、0.04%から約0.2%、0.05%から約0.2%、0.06%から約0.2%、0.07%から約0.2%、0.08%から約0.2%、0.09%から約0.2%、約0.1%から約0.2%、約0.02%から約0.1%、0.03%から約0.1%、0.04%から約0.1%、0.05%から約0.1%、0.06%から約0.1%、0.07%から約0.1%、0.08%から約0.1%、または約0.09%から約0.1%でありうる。別の実施態様において、疎水性界面活性剤の濃度範囲は、約0.001%から約4%、約0.01%から約4%、約0.02%から約4%、約0.03%から約4%、約0.04%から約4%、約0.05%から約4%、約0.06%から約4%、約0.07%から約4%、約0.08%から約4%、約0.09%から約4%、約0.1%から約4%、約0.2%から約4%、約0.3%から約4%、約0.4%から約4%、約0.5%から約4%、約0.6%から約4%、約0.7%から約4%、約0.8%から約4%、約0.9%から約4%、約1%から約4%、約0.1%から約3%、約0.2%から約3%、約0.3%から約3%、約0.4%から約3%、約0.5%から約3%、約0.6%から約3%、約0.7%から約3%、約0.8%から約3%、約0.9%から約3%、約1%から約3%、約0.1%から約2%、約0.2%から約2%、約0.3%から約2%、約0.4%から約2%、約0.5%から約2%、約0.6%から約2%、約0.7%から約2%、約0.8%から約2%、約0.9%から約2%、約1%から約2%、約0.1%から約1%、約0.2%から約1%、約0.3%から約1%、約0.4%から約1%、約0.5%から約1%、約0.6%から約1%、約0.7%から約1%、約0.8%から約1%、約0.9%から約1%、または約1%から約2%である。いくつかの実施態様において、疎水性界面活性剤の濃度は、約0.001%、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2.0%、約2.1%、約2.2%、約2.3%、約2.4%、約2.5%、約2.6%、約2.7%、約2.8%、約2.9%、または約3.0%でありうる。
いくつかの実施態様において、電気泳動緩衝組成物は2つ以上の界面活性剤を含み、ここれ、少なくとも1つの界面活性剤は疎水性界面活性剤である、すなわち、少なくとも13個の炭素原子を有するアルキル鎖を有する、例えば、SC13S、SC14S、SC15S、SC16S、SC17S、またはSC18Sである。いくつかの実施態様において、電気泳動緩衝組成物は、SDSと、疎水性界面活性剤、すなわち、少なくとも13個の炭素原子を有する、例えば、SC13S、SC14S、SC15S、SC16S、SC17S、またはSC18Sとの混合物を含む。別の実施態様において、電気泳動緩衝組成物は、2つの疎水性界面活性剤の混合物、例えば、SC13SおよびSC14S、SC13SおよびSC15S、SC13SおよびSC16S、SC13SおよびSC17S、SC13SおよびSC18S、SC14SおよびSC15S、SC14SおよびSC16S、SC14SおよびSC17S、SC14SおよびSC18S、SC15SおよびSC16S、SC15SおよびSC17S、SC15SおよびSC18S、SC16SおよびSC17S、SC16SおよびSC18S、またはSC17SおよびSC18Sを含む。
いくつかの実施態様において、電気泳動に有用な界面活性剤の種類の決定は、対象のタンパク質の分子量に基づきうる。いくつかの実施態様において、SDSと、疎水性界面活性剤、すなわち、少なくとも13個の炭素原子を有するアルキル鎖を有するもの、例えば、SC13S、SC14S、SC15S、SC16S、SC17S、またはSC18Sとの混合物によって分離することができる、対象のタンパク質は、約20kDa未満、約19kDa未満、約18kDa未満、約17kDa未満、約16kDa未満、約15kDa未満、約14kDa未満、約13kDa未満、約12kDa未満、約11kDa未満、または約10kDa未満、例えば、5kDから15kDの分子量を有する。
他の実施態様において、疎水性界面活性剤、すなわち、少なくとも13個の炭素原子を有するアルキル鎖を有するもの、例えば、SC13S、SC14S、SC15S、SC16S、SC17S、またはSC18Sによって分離することができる、対象のタンパク質は、約20kDaより大きい、約30kDaより大きい、約40kDaより大きい、約50kDaより大きい、約60kDaより大きい、約70kDaより大きい、約80kDaより大きい、約90kDaより大きい、約100kDaより大きい、約110kDaより大きい、約120kDaより大きい、約130kDaより大きい、約140kDaより大きい、約150kDaより大きい、約160kDaより大きい、約170kDaより大きい、約180kDaより大きい、190kDより大きい、または約200kDaより大きい分子量を有する。
いくつかの実施態様において、組成物はさらに、緩衝成分、有機性添加剤、親水性ポリマー、金属キレーター、およびおそれらの任意の組み合わせをさらに含む。
有用でありうる生物学的緩衝液の例としては、限定はされないが、ビストリス(2-ビス[2-ヒドロキシエチル]アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール)、ADA(N-[2-アセトアミド]-2-イミノ二酢酸)、ACES(2-[2-アセトアミノ[-2-アミノエタンスルホン酸)、PIPES(1,4-ピペラジンジエタンスルホン酸)、MOPSO(3-[N-モルホリノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、ビストリスプロパン(1,3-ビス[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノプロパン])、BES(N,N-ビス[2-ヒドロキシエチル]-2-アミノエタンスルホン酸)、MOPS(3-[N-モルホリノ]プロパンスルホン酸)、TES(2-[2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチルアミノ]エタンスルホン酸)、HEPES(N-[2-ヒドロキシエチル]ピペラジン-N’-(2-エタンスルホン)酸)、DIPSO(3-N,N-ビス[2-ヒドロキシエチル]アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、MOBS(4-N-モルホリノブタン硫酸)、TAPSO(3[N-トリス-ヒドロキシメチル-メチルアミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、トリス(2-アミノ-2-[ヒドロキシメチル]-1,3-プロパンジオール)、HEPPSO(N-[2-ヒドロキシエチル]ピペラジン-N’-[2-ヒドロキシプロパンスルホン]酸)、POPSO(ピペラジン-N,N’-ビス[2-ヒドロキシプロパンスルホン]酸)、TEA(トリエタノールアミン)、EPPS(またはHEPPS)(N-[2-ヒドロキシエチル]-ピペラジン-N’-[3-プロパンスルホン]酸)、Tリシン(N-トリス[ヒドロキシメチル]メチルグリシン)、GLY-GLY(ジグリシン)、BICINE(N,N-ビス[2-ヒドロキシエチル]グリシン)、HEPBS(N-[2-ヒドロキシエチル]ピペラジン-N’-[4-ブタンスルホン]酸)、TAPS(N-トリス[ヒドロキシメチル]メチル-3-アミノプロパンスルホン酸)、AMPD(2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール)、TABS(N-トリス[ヒドロキシメチル]メチル-4-アミノブタンスルホン酸)、AMPSO(3-[(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、CHES(2-(N-シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸)、CAPSO(3-[シクロヘキシルアミノ]-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸)、AMP(2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール)、CAPS(3-シクロヘキシルアミノ-1-プロパンスルホン酸)、CABS(4-[シクロヘキシルアミノ]-1-ブタンスルホン酸)、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。別の実施態様において、緩衝成分は、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
別の実施態様において、電気泳動緩衝組成物は、1つ以上の有機性添加剤を含む。いくつかの実施態様において、有機性添加剤は、マンニトール、グリセロール、エチレングリコール、エタノール、メタノール、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施態様において、1つ以上の有機性添加剤としては、限定されない例として、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールのモノメチルエーテル、ジエチレングリコールのジメチルエーテル、メチルカルビトール、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、ジメチルホルムアミド、スルホラン、または1~4個の炭素原子を有するアルコールなどの代替溶媒が挙げられる。
いくつかの実施態様において、電気泳動緩衝組成物は、1つ以上のポリマーを含む。いくつかの実施態様において、ポリマーは親水性ポリマーである。別の実施態様において、ポリマーは疎水性ポリマーである。いくつかの実施態様において、親水性ポリマーは、デキストラン、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
別の実施態様において、電気泳動緩衝組成物はさらに、金属キレーター、すなわち、Ca2+およびFe3+などの金属イオンを捕捉することができる分子を含む。いくつかの実施態様において、金属キレーターは、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、またはそれらの任意の組み合わせを含む。金属キレーター、例えば、EDTAによって結合された後は、金属イオンは溶液中に残るが、低下した反応性を示す。他のキレート剤としては、エチレングリコールテトラ酢酸(EGTA)、ニトリロ三酢酸三ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン酢酸三ナトリウム(HEDTA三ナトリウム)、ジエチレントリアミノ酢酸五ナトリウムまたはウラミル酢酸二ナトリウムが挙げられる。
本開示の電気泳動緩衝組成物の調製に用いることができる金属キレーター、例えば、EDTAの濃度範囲は、約0.5%以下、または約0.4%以下、または約0.3%以下、または約0.2%以下、または約0.1%以下、または約0.05%以下、または約0.03%から約0.5%、または約0.05%から約0.5%、または約0.1%から約0.5%、または約0.2%から約0.5%、または約0.3%から約0.5%、または約0.4%から約0.5%、または約0.03%から約0.4%、または約0.05%から約0.4%、または約0.1%から約0.4%、または約0.2%から約0.4%、または約0.3%から約0.4%、または約0.03%から約0.3%、または約0.05%から約0.3%、または約0.1%から約0.3%、または約0.2%から約0.3%、または約0.03%から約0.5%、または約0.05%から約0.2%、または約0.1%から約0.2%、または約0.03%から約0.1%、または約0.05%から約0.1%、または約0.03%から約0.05%である。好ましくは、約0.05%以下、最も好ましくは0.03%である。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される電気泳動緩衝組成物は、サンプル緩衝液、泳動緩衝液、および/またはキャピラリーゲル電気泳動のためのゲルに添加することができる。
いくつかの実施態様において、電気泳動緩衝組成物は、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、約9.0、約9.5、または約10.0より高いpHを有する。別の実施態様において、電気泳動緩衝組成物は、約6.0から約11.0の間、約6.5から約11.0の間、約7.0から約10.5の間、約7.0から約10.0の間、約7.0から約9.5の間、約7.0から約9.0の間、約7.0から約8.5の間、約7.0から約8.0の間、または約7.0から約7.5の間のpHを有する。別の実施態様において、電気泳動緩衝組成物は、約6.5、約7.0、約7.2、約7.4、約7.6、約7.8、約8.0、約8.2、約8.4、約8.6、約8.8、約9.0、約9.2、約9.4、約9.6、約9.8、約10.0、約10.5、約11.0、または約11.5のpHを有する。
いくつかの実施態様において、電気泳動緩衝組成物は、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、約9.0、約9.5、または約10.0より高いpHを有する。いくつかの実施態様において、電気泳動緩衝組成物は、約5.0、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、または約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、または約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8.0、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9、約9.0、約9.1、約9.2、約9.3、約9.4、約9.5、約9.6、約9.7、または約9.8、約9.9、または約10.0より高いpHを有する。いくつかの実施態様において、電気泳動緩衝組成物は、約5.0、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、または約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、または約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8.0、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、約8.5、約8.6、約8.7、約8.8、約8.9、約9.0、約9.1、約9.2、約9.3、約9.4、約9.5、約9.6、約9.7、約9.8。約9.9、または約10.0のpHを有する。
III.タンパク質分離の方法
本開示は、本開示の電気泳動緩衝組成物を含むサンプル緩衝液中で、対象のタンパク質を変性させることを含む、電気泳動によって対象のタンパク質を分離する方法に関する。いくつかの実施態様において、電気泳動はキャピラリーゲル電気泳動である。
キャピラリー電気泳動(CE)は、mm未満の直径のキャピラリー、並びにマイクロおよびナノ流体チャネルにおいて行われる、界面動電分離法のファミリーである。CEはキャピラリーゾーン電気泳動(CZE)を含みうるが、キャピラリーゲル電気泳動(CGE)、キャピラリー等電点電気泳動(CIEF)、キャピラリー等電点電気泳動、およびミセル動電クロマトグラフィー(MEKC)などの他の電気泳動技術を含みうる。CE法において、対象のタンパク質などの分析物は、電界の影響下で、電解質溶液を介して移動する。分析物は、イオン移動度および/または非共有結合性相互作用を介した他の相への分配によって、分離することができる。さらに、分析物は、伝導度およびpHの勾配によって、濃縮または「着目」されうる。
いくつかの実施態様において、当該方法はさらに、泳動緩衝液中における電気泳動ゲルの泳動を含む。いくつかの実施態様において、泳動緩衝液および/またはゲルは、本明細書に記載される電気泳動緩衝組成物を含む。
本開示はまた、本明細書に記載される電気泳動緩衝組成物を含むサンプル緩衝液中で、対象のタンパク質を変性させること、および泳動緩衝液中で電気泳動ゲルを泳動させることを含む電気泳動によって、対象のタンパク質のピーク分離効率を向上させるための方法を含む。いくつかの実施態様において、タンパク質ピーク分離効率(PSE)は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いて行った分離の、タンパク質ピーク分離効率(PSE)と比較して、向上している。いくつかの実施態様において、電気泳動ゲルの結果から、、SDSを用いて行った電気泳動ゲルに比べて、人工的な高分子量種が少ないことが示される。
いくつかの実施態様において、変性は少なくとも約60℃、少なくとも約65℃、少なくとも約70℃、少なくとも約75℃、または少なくとも約80℃の温度、例えば、約60℃と約70℃の間、約65℃と約70℃の間、または約60℃と約65℃の間の温度で行われうる。別の実施態様において、変性は少なくとも約3分、少なくとも約4分、少なくとも約5分、少なくとも約6分、少なくとも約7分、少なくとも約8分、少なくとも約9分、または少なくとも約10分にわたって行われる。
本開示の方法はさらに、分離の後に対象のタンパク質を検出することを含みうる。検出のためのシステムは、UVまたはUV-Vis吸光度を主な検出モードとして用いうる。これらの系において、キャピラリー自体の一部を、検出セルとして用いることができる。チューブ上での検出を用いることによって、分解能を失わずに、分離した分析物を検出することが可能になる。
蛍光検出もまた、自然に蛍光性であるか、あるいは蛍光タグを含むように化学的に修飾されているサンプルのキャピラリー電気泳動において用いることができる。この検出モードは、これらのサンプルについて高い感度、および向上した選択性を提供するが、蛍光性でないサンプルに用いることはできない。蛍光誘導体、またはタンパク質およびDNAなどの非蛍光分子の結合体を製造するために、多数の標識技術が用いられる。
サンプル成分の同一性を獲得するために、キャピラリー電気泳動は直接、質量分析器または表面増強ラマン分光計(SERS)と組み合わせることができる。ほとんどの系において、キャピラリー出口は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)を用いたイオン源に導入される。得られたイオンを次いで、質量分析器によって分析する。この装置には揮発性緩衝溶液が必要であり、これが使用できる分離モードの範囲、および達成できる分離度に影響する。測定および分析は、ほとんどの場合、専用のゲル解析ソフトによって行われる。
CE-SERSの場合、キャピラリー電気泳動溶出剤は、SERS活性基板上に堆積しうる。キャピラリー電気泳動の間、一定速度でSERS活性基板を移動させることによって、分析物の保持時間は空間距離に変換することができる。これにより、次の分光技術に特定の溶出剤を適用して、高感受性の同定を行うことができる。SERS活性基板は、分析物のスペクトルに干渉しないものが選択されうる。
いくつかの実施態様において、分析物またはサンプル緩衝液における対象のタンパク質は、単離された天然に存在するタンパク質、または組み換えによって調製したタンパク質である。別の実施態様において、対象のタンパク質は、酵素、ホルモン、サイトカイン、細胞表面受容体、プロテアーゼ、サイトカイン受容体、またはそれらの任意の組み合わせでありうる。別の実施態様において、対象のタンパク質は抗体である。
いくつかの実施態様において、抗体は、IgM、IgA、IgE、IgD、およびIgGから選択されるアイソタイプである。別の実施態様において、IgG抗体はIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4から選択される。
別の実施態様において、対象のタンパク質は融合タンパク質である。いくつかの実施態様において、融合タンパク質は酵素、ホルモン、サイトカイン、細胞表面受容体、プロテアーゼ、サイトカイン受容体、またはそれらの任意の組み合わせである。別の実施態様において、融合タンパク質は非相同部位に融合している。いくつかの実施態様において、非相同部位は半減期延長部位である。別の実施態様において、半減期延長部位はFcを含む。
いくつかの実施態様において、本開示の方法によって解析される、対象のタンパク質は、約5kD、約10kD、約15kD、約20kD、約25kD、約30kD、約35kD、約40kD、約50kD、約60kD、約70kD、約80kD、約90kD、約100kD、約110kD、約120kD、約130kD、約140kD、約150kD、約160kD、約170kD、約180kD、約190kD、または約200kDより大きい分子量を有する。いくつかの実施態様において、対象のタンパク質は、約15kDより大きい分子量を有する。別の実施態様において、対象のタンパク質は、約15kDと約200kD、約20kDと約200kD、約30kDと約200kD、約40kDと約200kD、約50kDと約200kD、約30kDと約150kD、約40kDと約150kD、約50kDと約150kDの間の分子量を有する。
本開示はさらに、以下の実施例によって説明されるが、これらはさらなる限定として解釈されるべきではない。本出願にわたって引用される全ての引用文献の内容は、引用によって本明細書に明示的に援用される。
以下の実施例は、本発明を説明するために、本発明の特定の局面を記載し、当業者に本発明の方法の説明を提供する。実施例は単に、本発明およびその様々な局面の理解および実施において有用である、特定の方法および例示を提供するだけであるから、実施例は本発明を限定すると解釈されるべきではない。
実施例1
発明者らは、CE-SDSによるPSEが不十分なタンパク質について、界面活性剤の疎水性を増加させることによって、界面活性剤のタンパク質に対する親和性が向上し、PSEを向上させることができることを発見した。図1は、典型的なCE-SDS条件下で、ヘキサデシル硫酸ナトリウム(SHS)を含むゲルマトリクスを用いた、組み換え治療タンパク質-1(RTP-1)の泳動の、電気泳動図のオーバーレイを示す。SHSの存在によって、PSEにおいて認識できる向上が生じ、顕著な不純物ピーク(不純物ピーク1、またはIP、図1)から主要なタンパク質ピークをベースライン分離することができた。ピーク形状と分離能の向上によって、検出および定量化限界などのアッセイの測定範囲が拡大した。特に、サンプルの添加量は、直線性を失うことなく向上させることができるため、アッセイ感度は3~4倍増加した(図2)。
評価した界面活性剤は、アルキル鎖長のみが異なる、同じ電荷の硫酸ヘッド基およびナトリウム対イオンを含む。アルキル鎖長をRTP-1 PSEにおける潜在的な向上に直接帰属させるため、最初の実験は、泳動ゲル緩衝液とサンプル溶液の両方において、対象の界面活性剤のみを含んでいた。図3に示すように、PSEはより長いアルキル鎖で有意に向上し、SHSはSDSに対して段数を8倍向上させ(11820/1450、図4)、主要ピークと不純物IPとの分離を約2.3倍向上させた(1.8/0.8、図4)。SUSは、SDSと比べて僅かにPSEを向上させ、この現象は以前僅かに小さいデシル硫酸ナトリウム(17)で観測され、より小さいアルキル鎖を有する界面活性剤が、(親和性は低いが)細長いタンパク質をより均一にコーティングすることができる能力に起因していた。興味深いことに、これらの著者はまた、STSおよびSHSが、PAGEによるこれらのモデルタンパク質のPSEを減少させることを発見した(17)。この説明の1つは、RTP-1は、(以下で議論されるように)その特性を考えると、場合によっては、これらのモデルタンパク質によっては代表されないことである。
濃度に関係なく、SDSはSHSと同じ程度のPSEを達成することはできないため、長鎖の界面活性剤によるCGE分離能は、単に濃度に依存するわけではなかった(図4)。
より長い炭化水素鎖の界面活性剤とRTP-1の分離能の向上との相関。仮説として、さらに安定な界面活性剤:タンパク質複合体は、構造がより均一になるため、より高い分離効率をもたらすはずである(17)。RTP-1の特定の物理的性質に基づいて、SDSは均一に変性したRTP-1複合体を安定化するには不十分である可能性があり、その代わりに、さらに疎水性の界面活性剤が必要である可能性がある。「ドメイン2」と呼ばれる、RTP-1の2つのドメインのうちの1つは、好熱性、すなわち、全体的な構造が剛直であることが示唆される性質であり(18)、比較的疎水性のコアを含む(19)。未変性または変性条件下で(SDSを含む、または含まずに)、好熱性のタンパク質はしばしば、典型的なタンパク質と比較して、変性に対してより高い遷移状態エネルギー障壁を越える必要がある(18、20)。モデリング研究によって、ドメイン2の1つの面が、負に帯電した電位を高い割合で有し、これが界面活性剤の硫酸基の静電的反発を引き起こしうることが示される。この反発にはSHSのより疎水性のテールが必要であり、タンパク質の疎水性コアとの、全体的にエネルギー的に有利な相互作用が確立され、アンフォールディングが開始しうる(図5)。
示差走査熱量測定(DSC)を用いて、SHSおよびSDSがRTP-1を完全に変性させるのに必要なエネルギーを定量化した(21)。界面活性剤:RTP-1複合体のの吸熱プロファイルは二相性であり、図6Aおよび6BにおいてピークEおよびEとして表される。EおよびEは、それぞれRTP-1ドメイン1および2に帰属する(データは示されていない)。熱力学データは表1にまとめる。
表1.様々なゲル緩衝液界面活性剤を用いて得た、RTP-1ピーク分離効率(PSE)の値
Figure 0007463272000001


RTP-1サンプル溶液は対応する界面活性剤を含んでいた。
ピークによって表される、ドメイン1の熱変性の間に観察された、エンタルピー変化は、いずれの界面活性剤についても同等である(図6C)。
表2.様々な濃度のSDSまたはSHSのいずれかをRTP-1に添加して得られたDSCの機能
Figure 0007463272000002

a、b 界面活性剤の種類に関係なく、[界面活性剤]と同等のTmの減少
界面活性剤の種類に関係なく、[界面活性剤]と同等のΔHの減少(図6C)
ΔHは、特定の濃度(0.1mM SDSおよび0.013mM SHS)に達した後、SHSによってさらに著しく減少した(図6D)。
しかしながら、図6Dに示されるように、好熱性ドメイン2、またはEの熱変性プロファイルは、界面活性剤によって異なっていた。SHSがこのドメインを変性させるのに必要なエネルギーは、特に予想される臨界ミセル濃度(CMC)の範囲内で、より少なく、これはSDSで8mM未満、SHSで2mM未満(22)であり、このことは、SHS:RTP-1複合体は、SHSの結合によってより安定であることを示唆する。
SHSを用いてより分離される他のタンパク質。SHSを用いたCGE分離力の向上と、タンパク質の疎水性との間の相関は、他のいくつかのタンパク質についても保持された。図7Aは、SDSと比較して、SHSゲル緩衝液を用いた、第二のタンパク質、RTP-2の実質的に向上したCGEプロファイルを示す。RTP-2は、空間的凝集傾向(SAP)指標によって決定される、表面の疎水性パッチの割合の高いmAbである(26)。対象的に、RTP-3(図7B)は、RTP-2よりもはるかに低いSAP指標を有する、比較的親水性のmAbであり、ゲル緩衝液中の界面活性剤(SDSまたはSHS)の存在に関わらず、高いPSEを示した。
SHS含有ゲル緩衝液の開発および生成物放出についてのCE-SHS純度法の定量化。SHSゲル緩衝組成物は、頑強で再現性があり、15ヶ月の有効期限を有する安定性があるように、開発した。最終的なRTP-1純度法は、完全に最適化されたCE-SDS条件下で得られた場合よりも、3~4倍高いみかけのタンパク質充填によって、うまく適用した(図2)。
材料および方法
試薬。グリセロール(99%)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA、99%)、デキストラン(MW~2000kDa)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリズマ、99.9%)、ホウ酸(99.5%)、およびβ-メルカプトエタノール(99%)は、Sigma (St. Louis, MO)から購入した。ウンデシル硫酸ナトリウム(SUS、99%)、テトラデシル硫酸ナトリウム(STS、>95%)、およびヘキサデシル硫酸ナトリウム(SHS、>98%)の粉末は、Alfa Aesar (Wood Hill、MA)から購入した。ドデシル硫酸ナトリウム(SDS、>99%)の粉末は、Avantor (Center Valley、PA)から購入した。CGEアッセイ応用においては、10kDa 内部標準(I.S.)、0.1N 酸/塩基洗浄溶液、SDS-MWゲルおよびSDS-サンプル緩衝液、組立済みのベアフューズドシリカキャピラリーカートリッジ、および2mL ユニバーサルバイアルおよびキャップは、AB Sciex (Framingham、MA)から購入した。
サンプル調製。特に言及されない限り、RTP-1は0.9mg/mLで、0.76% SDS、5% β-メルカプトエタノールおよび76mM トリス-HClと共に調製した。SI分析プローブを備えたSchott pHメーターを用いて、500mM トリス-HCl pH9.0を調製し、次いで脱イオン水および界面活性剤の粉末を加えて目的の濃度にした。比較的疎水性の界面活性剤については、粉末をトリス-HCl緩衝液に溶解させるのに、超音波処理および70℃の水浴における加熱の組み合わせが必要であった。
ゲル緩衝溶液の調製。ゲル緩衝溶液は以下のように調製した:トリズマ塩基、ホウ酸、EDTA、およびグリセロールを共に混合し、0.2ミクロンフィルターを介して濾過した。界面活性剤およびデキストランを続いて加えた。全ての成分が溶解した後、Thermo Scientific (Waltham、MA)から購入した、適切な大きさのPTFEボトルにゆっくりと液体を注ぎ、室温で保管した。
キャピラリー電気泳動。CGE実験は、フォトダイオードアレイ検出器および32Karat取得ソフトウェア(Version9)を備えた、PA800+機器(AB Sciex、Framingham、MA)において行った。電気泳動分離は、サンプル注入点から20cmの位置におけて検出を行い、15kVの定電圧で、内径50μmのプレカットキャピラリーにおいて生じた。32karatからのデータは、データ処理のためにEmpower3(Build 3471、Waters、Milford、MA)に転送した。Empowerはクロマトグラフィーに基づくソフトウェアであり、そのためPSEを評価する時のように、移動時間が保持時間に変換され、計算されることに注意されたく、以下の式(1)および(2)を参照されたい。
ピーク分離効率(PSE)の評価。PSEは、段数(式(1))および分離(式(2))についての以下の式を用いて評価した(United States Pharmacopeia, Chapter 621)。Empowerは、これらの値を自動的にフィールドオプションとして計算する。
Figure 0007463272000003
式中、N=理論段数(段数)、Rはピークの保持/移動時間であり、Wは、ピーク高の61%において描かれた接線を有するベースラインにおけるピーク幅である。
Figure 0007463272000004
式中、R=2つのピーク、それぞれピーク1および2の保持/移動時間である、Rt1およびRt2の分離、W+Wは、ピーク高の50%において描かれた接線を有するベースラインにおけるピーク幅の合計である。
示差走査熱量測定。RTP-1を、1xPBS(150mM NaClおよび20mM ホスフェート pH7.2)で、様々な分量のSDSまたはSHSを含む0.5mg/mLに希釈した。測定は、約0.5mLの細胞体積で、Malvern MicroCal VP-DSC システム (Malvern Instruments、Northampton、MA)において行った。温度スキャンは、1℃/分のスキャン速度において、20~95℃で行った。濃度の標準化の前に、それぞれのサンプルスキャンから緩衝液参照スキャンを差し引いた。移動前および移動後のベースラインの立方体補間によって、Origin 7.0 (Origin Lab、Northampton、MA)においてベースラインを作成した。
タンパク質モデリング。RTP-1の2つのドメイン(ドメイン2)のうちの1つのアミノ酸配列は、テンプレートとして既知の構造を有する類似のドメインにアライメントした。ドメインの3D構造は、相同性モデリングツールMODELLERを用いて構築した(15)。相同性モデルは、側鎖の最適化および最小化のステップを経て、次いでモデルの検証が行われた。ドメインの表面電荷は、Adaptive Poisson-Boltzmann Solverを用いたPropka output fileにおいて、残基の電荷および残基の接近可能性に基づいて計算した(16)。最後に、PyMOLプログラムによって、静電マップを可視化した(Schrodinger, LLC)。
実施例2
チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて、組み換えIgG1タンパク質mAb-1、mAb-2およびmAb-3を製造した。タンパク質を使用前に-80℃から解凍した。グリセロール(99%)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA、99%)、デキストラン(MW~2000kDa)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリズマ、99.9%)、1M トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンヒドロクロライド溶液(バイオパフォーマンス認定)、ホウ酸(99.5%)、β-メルカプトエタノール(BME、99%)、ヨードアセトアミド(IAM、99%)および粉末デシル硫酸ナトリウム(SC10S、99%)を、Sigma-Aldrich (St. Louis、MO)から購入した。粉末ヘキサデシル硫酸ナトリウム(SHS、>98%)および1-テトラデシル硫酸ナトリウム(STS、>95%)は、Alfa Aesar (Wood Hill、MA)から購入し、粉末ドデシル硫酸ナトリウム(SDS、>99%)は、Avantor (Center Valley、PA)から購入した。CGE応用については、10kDa 内部標準(I.S.)、0.1N 酸/塩基洗浄溶液、組立済みのベアフューズドシリカキャピラリーカートリッジ、および2mL ユニバーサルバイアルおよびキャップは、AB Sciex (Framingham、MA)から購入した。
サンプル緩衝液およびゲル緩衝液の調製
CE-SDS応用について、SDS-MWゲル緩衝液およびSDS-MWサンプル緩衝液(100mM トリス-HCl、1%w/v SDS、pH9.0)は、AB Sciex (Framingham、MA)から購入した。トリズマ塩基、ホウ酸、EDTA、およびグリセロールを合わせて、0.2μmフィルターを介して濾過した。界面活性剤およびデキストランを次に加えた。全ての成分が溶解した後、Thermo Scientific (Waltham、MA)から購入した、適切な大きさのPTEEボトルに液体をゆっくりと注いだ。別の界面活性剤を含むサンプル緩衝液は、以下のように調製した:特定のpH値において、1M トリス-HCl溶液を適切な濃度に希釈し、さらに界面活性剤を混合して、均一な溶液を作成した。
以下の成分を含むサンプル緩衝液を調製した:SC16S(SHS)含有サンプル緩衝液(50mM トリス-HCl、0.2%w/v SHS、pH8.0);SC14S(STS)含有サンプル緩衝液(50mM トリス-HCl、0.5%w/v STS、pH8.0);およびSC10S含有サンプル緩衝液(50mM トリス-HCl、2%w/v SC10S、pH9.0)。
非還元および還元条件下におけるサンプル調製
非還元条件下におけるCGE応用については、SDSサンプル緩衝液(100mM トリス-HCl、1%w/v SDS、pH9.0、AB Sciex)を用いて、0.9mg/mLの最終タンパク質濃度および30mM IAMで、mAbサンプルを調製した。還元条件下におけるCGE応用については、SDS-MWサンプル緩衝液、SHS含有サンプル緩衝液(0.2%w/v SHS)、STS含有サンプル緩衝液(0.5%w/v SHS)、およびSC10S含有サンプル緩衝液(2%w/v、SC10S)などの、異なるサンプル緩衝液条件を用いて、0.9mg/mLの最終タンパク質濃度および5%v/v BMEで、mAbサンプルを調製した。他に言及されない限り、非還元条件下および還元条件下におけるサンプル変性は、それぞれ70℃で5分間、および70℃で10分間行った。
キャピラリー電気泳動法
CGE実験は、UV検出器および32Karat取得ソフトウェア(Version9)を備えた、PA800+機器(AB Sciex、Framingham、MA)において行った。電気泳動分離は、サンプル注入点から20cmの位置におけて検出を行い、15kVの定電圧で、内径50μmのプレカットキャピラリーにおいて生じた。32karatからのデータは、データ処理のためにEmpower3(Build 3471、Waters、Milford、MA)に転送した。
mAbの主なクラスである、IgG分子の構造およびサイズの類似性により、いずれのサンプル緩衝液およびふるいゲル緩衝液においてもSDSが用いられる、一般的なCE-SDS法は通常、幅広い範囲のIgG分子の分析に適切である。還元条件下において、IgG分子はβ-メルカプトエタノール(BME)などの還元剤によって処理され、ジスルフィド結合が切断される。軽鎖(LC)、重鎖(HC)、および非グリコシル化重鎖(NGHC)などのタンパク質フラグメントが、大きさおよび電気泳動移動度によって分離される。
実施例3(HC後のHMW種および人工物の確認)
図9は、一般的なCE-SDS還元条件下における、mAb-1およびmAb-3の泳動の電気泳動図のオーバーレイを示す。これらの2つの還元されたmAb分子は、主な成分に関しては同等の分離プロファイルを示すが、HC後の高分子量領域において、マイナー種の異なるパターン(図9BにおいてA~Dと表示)を示す。これらのマイナー種のうち、種A(赤い長方形で強調される)がmAb-1およびmAb-3のサンプルトレースにおいて見られる。ピークAの移動時間は、1つの重鎖および1つの軽鎖(H:L)から成る半抗体フラグメントに対応する。種D(矢印で示される)はまた、有意なレベルにおいて両方のサンプルトレースにおいて見られ、これは非還元CE-SDS条件下で観察された、抗体の重鎖-重鎖フラグメントに非常に近い分子量を有する(図9)。2つの共通のマイナー種に加えて、mAb-1サンプルトレースのHC後領域に存在する、さらなるグループB(破線の長方形で囲まれる)およびピークC(一部ピークDと共に移動する)が存在し、これはAおよびD種に対する移動位置から、75~100kDaの範囲内の分子量(MW)を有すると推定される。CE-SDS還元条件を用いて、mAb-1の純度は、LC(31.2%)およびHC(64.0%)の相対率の合計を含めて、95.3%と測定された。NGHC種は0.6%であり、これは純度の計算から除外された。mAb-1の全てのHC後のHMW種の合計パーセントは、3.0%と決定され、グループB種は約2.0%であった。
mAb-1電気泳動図のHC後領域において観察される、いくつかのHMW種は、CE-SDS還元条件下において誘発された人工物であるように見えた。第一に、非還元条件下におけるmAb-1のCE-SDS分析において、当該方法は、非変性および変性SEC測定のそれぞれ0.8%および0.4%よりも、はるかに高い凝集量(~2.5%)を報告した。このmAb分子のAUC評価はさらに、SECが凝集の結果を過小評価しておらず、CE-SDS分析において観察された、高いHMW量が実際に、SDSが完全なmAb-1分子を均一にコーティングすることができなかった可能性によって、不完全なタンパク質の変性の結果であったことを確認した。同じSDSサンプル緩衝液、およびSDSに基づくゲルマトリックスが、非還元および還元CE-SDS分析の両方において用いられ、そのため、還元されたmAb-1分子フラグメントに対して不完全な変性もまた生じうる。第二に、全てのHC後HMW種が固有の製品関連不純物であるかどうかを調べるために、CE-SDS非還元、部分的還元、および完全還元の条件下において、mAb-1分子の泳動によって研究を行った。
図10において重ねられる電気泳動図は、還元されたmAb-1サンプルトレースにおいて示されるHC後のグループB種が、非還元サンプルおよび2つの部分的に還元されたサンプルのプロファイルにおいて確認されなかったこと明確に示した。対照的に、ピークA種は4つのトレース全てにおいて見られた。この観察によって、グループB種は、完全に還元されたmAb-1フラグメントの不完全な変性によって生じる人工物である可能性が非常に高いことが示唆される。最後に、mAb-1のHC後の全てのHMW種の合計比率は、タンパク質濃度と強い関係を示した。図11は、みかけのタンパク質濃度(0.9mg/mL)の25%-135%の範囲において測定された%純度および%総HMWのプロットを示す。これらの2つの応答の傾向線は、用いたCE-SDS法は、異なるタンパク質濃度において、十分で一貫したサンプル変性に達しておらず、それによって、低濃度の場合(0.23mg/mL)と比較して、高タンパク質濃度(1.23mg/mL)条件下において、%総HMWの2.5%より大きい増加が観測され、純度測定においても減少の結果を伴うことを示す。グループBおよびピークC種のバリエーションが%総HMWの変化に主に寄与し、一方でAおよびD種の相対率は一定に維持された(データは示されていない)ことがさらに発見された。これらの研究の結論として、HC後のグループBおよびC種は、実際の製品関連の不純物というよりは、方法に起因する人工物であるため、還元CE-SDS法は、mAb-1分子の純度を完全に反映させることはできない。そのため、用いたCE-SDS法は、バイアスのない純度測定を達成することができるように最適化される必要がある。
HMW種の形成を排除することができる最終的な溶液を特定する前に、サンプル緩衝液およびゲルマトリックスにおいて用いられるSDSの量、並びにインキュベート時間などの、通常タンパク質変性において大きな影響を与えるいくつかのパラメーターを最初に評価した。
実施例4(SDSマトリックス研究)
サンプル緩衝液/ゲルマトリックス調製
多くの場合、タンパク質サンプルに作用するサンプル緩衝液のSDS量を増加させることが、タンパク質変性の完了を促進させるための最初の試みである。開始時のCE-SDSサンプル緩衝液のSDS%を0.5%から4%で変化させることによって、1成分ずつ(OFAT)の研究を行い、還元mAb-1サンプルの得られた電気泳動図を、図12において重ねた。SDS%はサンプルロード効率に影響するため、サンプル泳動の注入時間は、標準化したピーク面積に到達するように適宜調節した。より高いSDS%を含むサンプル緩衝液によって調製した還元mAb-1サンプルにおいて、より多くのグループBのHMW人工物がさらに観察され、一方で試験範囲においてA種の量は一定に保たれた。サンプル緩衝液のSDS%が0.5%から4%で変化するとき、%総HMWの全体的な増加は、約1.5%(絶対値)であった。一方で、ふるいゲルマトリックスに存在するSDS%の影響もまた調査した。図13は、1%SDSサンプル緩衝液を用いて生成し、0.2%~4%SDSを含むゲルマトリックスによって分離した、還元mAb-1サンプルの電気泳動図を比較する。サンプル緩衝液のSDS%のOFAT研究において観測された傾向と同様に、グループBのHMW種における有意な上昇もまた、ゲルマトリックスにおいて存在するSDS%の上昇と共に認められた。上記の2つの実験のセットから得られた結果によって、サンプルおよびゲル緩衝液の両方におけるSDSの濃度の単純な調整では、HMW人工物の問題を軽減することはできないことが確認された。
変性/還元のインキュベート条件
温度および時間などの、サンプルインキュベート条件が、タンパク質の変性に大きな影響を与えることは周知である。タンパク質の変性が不十分であるため、穏やかなインキュベート条件下で変性させたmAbサンプルのCE-SDSプロファイルにおいては、通常明らかにHMW種が存在する。インキュベート条件の変更が、人工HMW種の生成を抑制するのに有効であるかとうかを調査するために。60℃、5分から90℃、15分にわたる、異なるインキュベート条件セットにおいて、mAb-1サンプルを変性および還元させた。その後、販売会社によって供給されたSDSに基づくゲルを用いて、還元mAb-1サンプルを分離し、得られた電気泳動図を図14Aに示す。60℃、5分の最も穏やかなインキュベート条件において、11%より多いグループB種が生じた。インキュベート時間を10分に延長することによって、グループB種の量は3.5%に劇的に減少したが、さらに厳しいインキュベート条件を適用しても、その生成は有意に減少しなかった。比較のために、典型的なCE-SDS条件下で良好な挙動を示すmAb-3分子もまた、同様のインキュベート条件を用いて評価し、得られた分離プロファイルを図14Bに列挙する。mAb-1サンプルにおいて見られるグループB種と同等のMWを有するHMW種はまた、60℃、3分の穏やかなインキュベート条件下で、mAb-3サンプルにおいても生じたことが分かった。
しかしながら、これらのHMW種はインキュベート条件が70℃、10分に達すると、徐々に目立たない量に減少し、さらに厳しい条件下においても再生成されず、サンプルの変性/還元が完了したことが証明された。このインキュベート条件試験における2つのmAb分子間のプロファイルの比較によって、グループBのHMW種が、事実上方法に誘発された人工物であるということの、より高いレベルの1つの確証が示された。通常の場合と異なり、還元mAb-1分子において観察された、グループBのHMW人工物は、90℃、15分の最も厳しいインキュベート条件においても、SDS変性に対して耐性があり、これはこのタンパク質の特定のアミノ酸残基に対するSDSの親和性が低いことに関連しうる。しかしながら、さらなる研究によって、サンプル緩衝液およびゲルマトリックスの両方において、SHSまたはSTSなどの比較的疎水性の界面活性剤を用いることにより、全てのグループBのHMW人工物は、mAb分子の大部分に適切な典型的なインキュベート条件(例えば、70℃、10分)において完全に除去され、mAb-1分子もまた、還元条件下で完全に変性することができることが示された。
CE-SDS法を用いた泳動によって、15℃のオートサンプラーに保管された還元mAb-1サンプルのオンボード安定性もまた調査した。図15は、24の注入シーケンスの開始(T0)、中間(T10時間)および終了(T20時間)において実行される、還元mAb-1サンプルの分離プロファイルを図示する。最初のサンプル注入(T0)から最後の注入(T20時間)まで、グループB種のプロファイルに識別可能な違いが認められた。これらのプロファイルの変化に伴って、グループB種の割合が0.6%増加(絶対値)し、それに対応する%純度が0.6%減少し、これは還元CE-SDS法によって解析されたmAb-1分子のオンボード不安定性が上昇したことを示す。
サンプル緩衝液およびゲルマトリックスの両方において界面活性剤を変化させることによる、HC後HMW人工物の最小化
通常のCE-SDS法の最適化戦略は、還元条件下におけるmAb-1分子の十分な変性を助けることができなかった。非還元条件下におけるHMW人工物の抑制に関して、mAb-1分子の純度解析にSHSゲルを用いることによってもたらされる利益を考慮すると、サンプル緩衝液および/またはふるいゲルマトリックスにおいて用いられる、標準的な界面活性剤SDSを、さらに疎水性の界面活性剤に置き換えることによって、還元mAb-1分子のHC後HMW人工物に対処する可能性があるという仮説を立てた。
mAb-1分子の変性および還元における、界面活性剤の疎水性の影響をさらに理解するために、別の界面活性剤、デシル硫酸ナトリウム(SC10S)およびテトラデシル硫酸ナトリウム(SC14SまたはSTS)を、さらなる最適化方法についての代表的な界面活性剤として選択した。界面活性剤SC10SおよびSC14S(STS)は、同じ硫酸ヘッド基を有するが、標準的な界面活性剤SDS(SC12Sとも称される)と比較して、それぞれ2つ少ない、または2つ多いアルキル炭素鎖を有し、そのためSDSよりも小さい、または大きい疎水性を示す。2%(w/v)SC10S、1%(w/v)SDS、または0.5%(w/v)STSを含むサンプル緩衝液を用いて、いくつかの還元mAb-1サンプルを調製し、次いでSDSに基づくゲル(AB Sciexから供給される)および我々の手製のSHSに基づくゲルなどの2つの種類のふるいゲルを用いて、それぞれ分離した。本研究のサンプル緩衝液およびゲルマトリックス条件の異なる組み合わせにおいて生じた、還元mAb-1サンプルの電気泳動図を、図16において比較する。生じた方法応答は、純度、主な成分のピーク、およびHC後HMWの正しいピーク面積の相対割合に関して、表2にまとめる。
表2.還元mAB-1サンプル解析におけるピーク率
Figure 0007463272000005
SDSに基づくゲルによる、還元mAb-1サンプルの泳動によって、1倍を超える減少を有する、測定された%HMW人工物は、サンプル緩衝液の界面活性剤のアルキル炭素鎖長が10から14に増加するにつれ、4.4%から1.8%まで変化した。この観察は我々の予想に一致し、これは、グループB種の還元された量およびさらに中心によったピーク形状によって証明されるように、より疎水性の界面活性剤の、還元mAb-1フラグメントに対する親和性が向上したことに起因しうる。さらに、サンプル緩衝液の界面活性剤のアルキル鎖長が16に伸びても、さらなる向上は示されず、当該方法はグループBのHMW種が存在するため、過小評価された純度結果および不十分な頑強性によっても依然として妥協されていた。さらに長い鎖長を有する界面活性剤は、水溶液における溶解度の限界のために、評価されなかった。一方で、%HMW人工物とサンプル緩衝液の界面活性剤のアルキル鎖長との同様の関係はまた、SHSに基づくゲルに変更したときにも見られた。さらに重要なこととして、HC後HMW人工物の抑制における劇的な改善は、サンプル緩衝液およびゲルマトリックスの両方において、比較的疎水性の界面活性剤、この場合ではそれぞれ、STSおよびSHSである、の適用によって、還元mAb-1サンプルのトレースから、グループB種が完全に除去されることに気付くことによって達成された。その結果、この共同適用を用いて測定した純度結果は96.5%であり、これは通常のCE-SDS法によって得られた値よりも約2.4%(絶対値)低かった。さらに、表1に示す主なピーク成分の量をモニターすることによって、%LCおよび%NGHCが異なる界面活性剤の条件下で明らかに変化していないことを見つけるのは難しくない。そのため、%HCおよび%純度における変動は、%HMW人工物の変化と主に相関する可能性があり、これらのHC後HMW人工物は、完全に変性されていないmAb-1 HC種である可能性が非常に高いという結論に至った。
ここで、HMW人工物の部分的な軽減が、サンプル緩衝液またはゲルマトリックスのいずれかに、比較的疎水性の界面活性剤SHSまたはSTSのみが存在するシナリオにおいて観測された。これらの現象は、タンパク質/フラグメントに結合した界面活性剤ミセルと、ゲルマトリックス中に存在するものとの間の動的平衡に関連しうる。存在する界面活性剤-分析物複合体に対して異なる親和性を有する、界面活性剤ミセルの競合的な解離および再結合は、これらの種が通常の分離温度(例えば25℃)において、特定の時間枠内(例えば30分)で、キャピラリーを移動する時に生じうる。SDSサンプル緩衝液およびSHSゲルを適用した場合、SDSの低い親和性のために、還元mAb-1分子は最初、完全に変性しなかった。そして、さらにキャピラリー内でサンプル変性が生じうるが、ゲルマトリックスに存在するさらに相対的に疎水性のSHSミセルによって、相対的に低い親和性のSDSミセルが徐々に部分的に置き換えられることによって、分離の間完全には完了しない。したがって、HMW人工物は、0.9%の量でも未だ検出可能であった。逆の界面活性剤応用(STSサンプル緩衝液およびSDSゲル)の状況においては、さらに十分に変性されたmAb-1フラグメントは、元々結合していたSTSミセルがさらに、ゲル中に存在している疎水性の低いSDSミセルと部分的に交換される影響を受ける可能性があるが、このプロセスはタンパク質親和性の点ではあまり好ましくなく、HMW人工物が約1.8%の量で再生成される。
この応用に用いることができる比較的疎水性の界面活性剤の範囲を拡大するために、0.2%(w/v)SHS、または異なる量の組み合わせのSHSおよびSDSの混合物を含むサンプル緩衝液を評価した。図17に示すように、この界面活性剤はSTSよりも、さらに疎水性であるため、SHSに基づくゲルとの組み合わせにおいて、SHSを含むサンプル緩衝液は、HC後のHMW人工物の除去において、予想された効果を発揮した。さらに、HMW人工物は、SHSサンプル緩衝液に0.5%(w/v)SDSを加えることによって再生成が始まり、SDSの量を上昇させるにつれてさらに増加した。SDSがSHSよりも低い親和性を有しているとしても、この発見は、SHSおよびSDSミセルのmAb-1フラグメントへの競合的な結合に起因する可能性がある。この評価に加えて、元の界面活性剤SHSを、SDSよりも低い疎水性を有するが、mAb-1に対して高い親和性を有するSTSに置き換えることによって、他のゲルもまた作成した。図18は、SHSおよびSTSに基づくふるいゲルによって泳動した、同様に還元されたmAb-1サンプルの比較分離プロファイルを示す。両方の場合において、HC後HMW人工物は観測されなかった。
他のmAb分子のCGE分析における、比較的疎水性の界面活性剤の応用
還元条件下におけるmAb-2分子の純度測定はまた、偏りのない純度結果および向上した分離効果を得ることができるように、、サンプル緩衝液およびふるいゲルマトリックスの両方において、比較的疎水性の界面活性剤が存在する必要がある。対照的に、mAb-3分子は、相対的な疎水性界面活性剤、または通常のCE-SDS法において用いられる標準的な界面活性剤SDSを用いて、同等のCGE効果を得た。
図19Aにおいて示されるように、通常のCE-SDS還元条件下におけるmAb-2分子のプロファイルにおいて、多くの変則的なHC後HMW種(グループBおよびE)だけでなく、異常な幅広いHCピークもまた観測され、これは比較的疎水性の界面活性剤が、さらに適切なサンプル変性に必要であることを強く示唆する。サンプル緩衝液およびふるいゲル中にそれぞれ、比較的疎水性の界面活性剤STSおよびSHSを有する、最適化された方法を用いて、図19Bに示す方法の効果において、全ての変則的なHMW種の除去、およびピーク高のおよびHC種の段数の、それぞれ3.5倍および6倍の上昇など、顕著な向上が達成された。
***
概要および要約のセクションではなく、詳細な説明のセクションは、特許請求の範囲の解釈として用いられることが意図されることが理解されるべきである。概要および要約のセクションは、発明者によって解釈される本発明の1つ以上、しかし全てではない例示的な局面を記載する可能性があり、そのため、本発明および付属の特許請求の範囲を限定することは決して意図されていない。
本発明は、特定の機能およびそれらの関係の実現を示す、機能的な構成要素を用いて、前記に記載されている。これらの機能的な構成要素の境界は、説明の便宜上、本明細書において任意に定義されている。特定の機能およびそれらの関係が適切に実行される限り、別の境界が定義されうる。
特定の局面の前記の記載は、他者が、当技術分野の範囲内の知識を用いて、過度な実験を行わず、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、そのような特定の局面の様々な応用のために、容易に変更および/または適応させることができるように、本発明の全体的な本質を完全に明らかにする。そのため、そのような応用および変更は、本明細書に提示される教示および指示に基づいて、開示される局面と均等な意味および範囲内であることが意図される。本明細書における用語または専門用語は、限定ではなく、説明のためのものであり、本明細書の用語または専門用語は、教示および指示に照らして、当業者によって解釈されるべきであることが理解されるべきである。
本発明の広さおよび範囲は、前記の任意の例示的な局面のいずれによっても限定されるべきではないが、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。

Claims (32)

  1. 硫酸ヘッド基および14個より多い炭素原子を有するアルキル鎖を含む疎水性テールを含む、疎水性界面活性剤を含む緩衝組成物中で、キャピラリー電気泳動によって、サンプル中の変性された対象のタンパク質を分離することを含む、タンパク質サンプルの解析方法。
  2. 硫酸ヘッド基および14個より多い炭素原子を有するアルキル鎖を含む疎水性テールを含む、疎水性界面活性剤を含む緩衝組成物中で、サンプル中の変性された対象のタンパク質を分離することを含む、キャピラリー電気泳動タンパク質ピーク分離効率(PSE)を向上させる方法。
  3. 硫酸ヘッド基および14個より多い炭素原子を有するアルキル鎖を含む疎水性テールを含む、疎水性界面活性剤を含む緩衝組成物中で、サンプル中の変性された対象のタンパク質を分離することを含む、キャピラリー電気泳動によって決定されるタンパク質純度を向上させる方法。
  4. 疎水性界面活性剤が同じ電荷の硫酸ヘッド基、および16のアルキル鎖長のナトリウム対イオンを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. アルキル鎖が19または20より少ない炭素原子を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  6. アルキル鎖が15、16、17、または18個の炭素原子を有する、請求項5に記載の方法。
  7. 疎水性界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムよりも疎水性である、請求項1~3および5~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 疎水性界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウムと比較して、キャピラリーふるい電気泳動によるタンパク質ピーク分離効率の向上を誘導することができる、請求項1~3および5~6のいずれか1項に記載の方法。
  9. 疎水性界面活性剤が、ペンタデシル硫酸ナトリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウム(SHS)、ヘプタデシル硫酸ナトリウム、およびオクタデシル硫酸ナトリウム(SOS)から成る群から選択される、請求項1~3および5~6のいずれか1項に記載の方法。
  10. 疎水性界面活性剤がヘキサデシル硫酸ナトリウム(SHS)である、請求項9に記載の方法。
  11. 疎水性界面活性剤が約0.001%から約4%w/vの濃度である、請求項1~3および5~6のいずれか1項に記載の方法。
  12. 組成物がさらに、緩衝成分、有機性添加剤、親水性ポリマー、金属キレーター、およびそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される、1つ以上のさらなる成分を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 緩衝成分がトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項12に記載の方法。
  14. 有機性添加剤がマンニトール、グリセロール、エチレングリコール、エタノール、メタノール、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項12または13に記載の方法。
  15. 親水性ポリマーがデキストラン、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 金属キレーターがエチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項12~15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 硫酸ヘッド基および14個より多い炭素原子を有するアルキル鎖を含む疎水性テールを含む、疎水性界面活性剤を含む緩衝組成物中で、対象のタンパク質を変性させることを含む、電気泳動によるサンプル中の対象のタンパク質の分離方法。
  18. さらにサンプルを泳動緩衝液中の電気泳動ゲルに泳動させることを含む、請求項17に記載の方法。
  19. 泳動緩衝液が、硫酸ヘッド基および14個より多い炭素原子を有するアルキル鎖を含む疎水性テールを含む疎水性界面活性剤を含む、請求項18に記載の方法。
  20. 電気泳動によるサンプル中の対象のタンパク質のピーク分離効率を向上させる方法であって、硫酸ヘッド基および14個より多い炭素原子を有するアルキル鎖を含む疎水性テールを含む、疎水性界面活性剤を含む緩衝組成物中で、対象のタンパク質を変性させること、およびサンプルを泳動緩衝液中の電気泳動ゲルに泳動させることを含み、タンパク質ピーク分離効率(PSE)が、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いて行った分離のタンパク質ピーク分離効率(PSE)に比べて向上する、方法。
  21. 電気泳動がキャピラリーゲル電気泳動である、請求項17~20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 変性が、少なくとも約60℃の温度で行われる、請求項1~3および17~21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 変性が、約60℃および約70℃の間の温度で行われる、請求項1~3および17~22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 変性が、少なくとも約3分にわたって行われる、請求項1~3および17~23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 対象のタンパク質が抗体である、請求項1~3および17~24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 抗体がIgM、IgA、IgE、IgD、およびIgGから選択されるアイソタイプである、請求項25に記載の方法。
  27. IgG抗体がIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4から選択される、請求項26に記載の方法。
  28. 対象のタンパク質が、酵素、ホルモン、サイトカイン、細胞表面受容体、プロテアーゼ、サイトカイン受容体、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1~3および17~24のいずれか1項に記載の方法。
  29. 対象のタンパク質が融合タンパク質である、請求項28に記載の方法。
  30. 融合タンパク質が非相同部位に融合している、請求項29に記載の方法。
  31. 非相同部位が半減期延長部位である、請求項30に記載の方法。
  32. 半減期延長部位がFcを含む、請求項31に記載の方法。
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