JP7462107B2 - クラッチ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、クラッチ制御装置に関する。
本願は、2021年3月31日に、日本に出願された特願2021-062061号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年の鞍乗り型車両において、クラッチ装置の断接操作を電気制御により自動で行うようにした自動クラッチシステムが提案されている(例えば特許文献1参照)。
特許第5004915号公報
上記従来の技術では、油圧アクチュエータからスレーブシリンダに油圧を供給してクラッチ装置を切断する構成である。クラッチ装置の制御は、油圧の値に基づき行われている。
ところで、油圧を介したクラッチ制御では、油圧を発生するアクチュエータを含む油圧回路が必要となり、コストアップが大きい。そこで、油圧を介さず電気モータで直接的にレリーズ機構を作動させる構成が検討されている。この場合、既存のマニュアル操作も介入させやすい。一方で、任意のタイミングのマニュアル操作を効率よく検知可能な構成が要望されている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、クラッチ装置の断接を制御するクラッチ制御装置において、任意のタイミングのマニュアル操作の介入を効率よく検知可能とすることを目的とする。
上記課題の解決手段として、本発明の一態様は、原動機(13)と出力対象(21)との間との間の動力伝達を断接するクラッチ装置(26)と、前記クラッチ装置(26)を作動させるための駆動力を出力するクラッチアクチュエータ(50)と、前記クラッチアクチュエータ(50)を駆動制御する制御部(40)と、前記クラッチ装置(26)を前記クラッチアクチュエータ(50)の駆動に関わらず作動可能なクラッチ操作子と、を備え、前記制御部(40)は、前記クラッチ装置(26)を作動させる前記クラッチアクチュエータ(50)の基準出力値と、前記クラッチアクチュエータ(50)の出力値の実測値と、の間に、予め定めた値以上の差を検知したときは、前記クラッチ操作子によるマニュアル操作があったことを検知する。
上記態様において、前記制御部(40)は、前記マニュアル操作があったことを検知した場合には、予め定めたマニュアル操作介入制御に移行してもよい。
上記構成によれば、以下の場合に、マニュアル操作の介入があったものと判定し、マニュアル操作介入制御に移行することができる。その場合とは、クラッチアクチュエータの基準出力値に対し、現在のクラッチアクチュエータの出力値の実測値が規定以上の差を持つ場合である。前記基準出力値とは、マニュアル操作が介入しない状態でのクラッチアクチュエータの出力値である。
このように、任意のタイミングのマニュアル操作の介入を効率よく検知可能とすることで、以下の効果を奏する。すなわち、運転者の操作による任意のタイミングで、自動クラッチ制御からマニュアル介入制御への切り替えを実現することができる。
上記態様において、前記制御部(40)は、前記マニュアル操作の介入を検知したとき、この検知時の前記クラッチアクチュエータ(50)の出力値を、予め定めた条件内で維持してもよい。
この構成によれば、マニュアル操作の介入時に、クラッチアクチュエータの出力値が急に消失することによる運転者の違和感を抑えることができる。また、このとき、適宜マニュアル操作介入制御に移行することができる。
上記態様において、前記制御部(40)は、前記マニュアル操作の介入を検知したとき、この検知時の前記クラッチアクチュエータ(50)の出力値を、マニュアル操作量が予め定めた値になるまで維持し、その後に徐々に出力値を低下させてもよい。
この構成によれば、マニュアル操作の介入時に、クラッチアクチュエータの出力値が急に消失することによる運転者の違和感を抑えることができる。また、このとき、クラッチアクチュエータの出力が続くことによる電力消費を抑えることができる。
上記態様において、前記制御部(40)は、自動制御によるクラッチ切断時に前記マニュアル操作の介入を検知したとき、クラッチ切断状態を予め定めた条件内で維持してもよい。
この構成によれば、自動制御によるクラッチ切断時にマニュアル操作が介入したとき、所定の間はクラッチ切断状態を維持することで、以下の効果を奏する。すなわち、マニュアル操作後に急なクラッチ接続操作がなされることの影響を抑えることができる。
本発明によれば、クラッチ装置の断接を制御するクラッチ制御装置において、マニュアル操作の介入を効率よく検知可能とすることができる。
本実施形態の自動二輪車の右側面図である。 上記自動二輪車の変速機およびチェンジ機構の断面図である。 上記自動二輪車の変速システムのブロック図である。 上記自動二輪車のクラッチ制御モードの遷移を示す説明図である。 図1のV矢視図であり、クラッチアクチュエータの軸方向視を示す。 上記クラッチアクチュエータの軸方向に沿う展開断面図である。 クラッチ装置を作動させるレリーズシャフトの斜視図である。 図7のVIII-VIII断面図である。 上記レリーズシャフトの半クラッチ領域での作用を示す図8に相当する断面図であり、クラッチアクチュエータでの駆動時を示す。 上記レリーズシャフトの半クラッチ領域での作用を示す図8に相当する断面図であり、マニュアル介入時を示す。 上記レリーズシャフトの待機位置での作用を示す図8に相当する断面図であり、クラッチアクチュエータでの駆動時を示す。 上記レリーズシャフトの待機位置での作用を示す図8に相当する断面図であり、マニュアル介入時を示す。 上記クラッチアクチュエータを右カバーに取り付けた状態の図6に相当する断面図である。 クラッチ制御の特性を示すグラフであり、縦軸はクラッチアクチュエータの出力値、横軸をレリーズ機構の作動量をそれぞれ示す。 図12に相当するグラフであり、実施形態の第一の作用を示す。 図12に相当するグラフであり、実施形態の第二の作用を示す。 上記自動二輪車の要部を示す右側面図である。 上記自動二輪車の要部を示す上面図である。 上記自動二輪車の要部を示す分解斜視図である。 実施形態の変形例のクラッチアクチュエータの要部を示す斜視図である。 上記変形例のクラッチアクチュエータの車両搭載状態を示す説明図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。また以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UP、が示されている。
<車両全体>
図1に示すように、本実施形態は、鞍乗り型車両の一例としての自動二輪車1に適用されている。自動二輪車1の前輪2は、左右一対のフロントフォーク3の下端部に支持されている。左右フロントフォーク3の上部は、ステアリングステム4を介して、車体フレーム5の前端部のヘッドパイプ6に支持されている。ステアリングステム4のトップブリッジ上には、バータイプの操向ハンドル4aが取り付けられている。
車体フレーム5は、ヘッドパイプ6と、ヘッドパイプ6から車幅方向(左右方向)中央を下後方へ延びるメインフレーム7と、メインフレーム7の後端部の下方に設けられるピボットフレーム8と、メインフレーム7およびピボットフレーム8の後方に連なるシートフレーム9と、を備えている。ピボットフレーム8には、スイングアーム11の前端部が揺動可能に枢支されている。スイングアーム11の後端部には、自動二輪車1の後輪12が支持されている。
左右メインフレーム7の上方には、燃料タンク18が支持されている。燃料タンク18の後方でシートフレーム9の上方には、前シート19および後シート19aが支持されている。燃料タンク18の後部の左右両側には、車幅方向内側に凹んだニーグリップ部18aが形成されている。左右ニーグリップ部18aは、以下の部位に整合するように形成されている。その部位とは、前シート19に着座した運転者の左右の膝周辺の内側である。前シート19の下方の左右両側には、ステップ18bが支持されている。ステップ18bには、運転者が足首から先の足部を載せる。
メインフレーム7の下方には、自動二輪車1の原動機を含むパワーユニットPUが懸架されている。パワーユニットPUは、その前側に位置するエンジン(内燃機関、原動機)13と、後側に位置する変速機21と、を一体に有している。エンジン13は、例えばクランクシャフト14の回転軸を左右方向(車幅方向)に沿わせた複数気筒エンジンである。
エンジン13は、クランクケース15の前部上方にシリンダ16を起立させている。クランクケース15の後部は、変速機21を収容する変速機ケース17とされている。クランクケース15の右側部には、変速機ケース17の右側部に渡る右カバー17aが取り付けられている。右カバー17aは、クラッチ装置26を覆うクラッチカバーでもある。パワーユニットPUは、後輪12と、例えばチェーン式伝動機構(不図示)を介して連係されている。
<変速機>
図2を併せて参照し、変速機21は、有段式のトランスミッションである。変速機21は、メインシャフト22およびカウンタシャフト23ならびに両シャフト22,23に跨る変速ギヤ群24を有する。カウンタシャフト23は、変速機21ひいてはパワーユニットPUの出力軸を構成している。カウンタシャフト23の左端部は、変速機ケース17の後部左側に突出し、前記チェーン式伝動機構を介して後輪12に連結されている。
変速機21のメインシャフト22及びカウンタシャフト23は、クランクシャフト14の後方に配置されている。メインシャフト22の右端部には、クラッチ装置26が同軸配置されている。クラッチ装置26は、エンジン13のクランクシャフト14と、変速機21のメインシャフト22と、の間の動力伝達を断接させる。クラッチ装置26は、乗員によるクラッチ操作子(例えば不図示のクラッチレバー)の操作、および後に詳述するクラッチアクチュエータ50の作動、の少なくとも一方により断接作動する。
クラッチ装置26は、例えば湿式多板クラッチであり、いわゆるノーマルクローズクラッチである。クランクシャフト14の回転動力は、クラッチ装置26を介してメインシャフト22に伝達され、メインシャフト22から変速ギヤ群24の任意のギヤ対を介してカウンタシャフト23に伝達される。カウンタシャフト23におけるクランクケース15の後部左側に突出した左端部には、前記チェーン式伝動機構のドライブスプロケット27が取り付けられている。
変速機ケース17内で変速機21の近傍には、変速ギヤ群24のギヤ対を切り替えるチェンジ機構25が収容されている。チェンジ機構25は、両シャフト22,23と平行な中空円筒状のシフトドラム32を有する。このシフトドラム32の回転により、チェンジ機構25は、複数のシフトフォーク32aを作動させる。この作動は、シフトドラム32の外周に形成されたリード溝のパターンに応じてなされる。この作動により、チェンジ機構25は、変速ギヤ群24における両シャフト22,23間の動力伝達に用いるギヤ対を切り替える。
ここで、自動二輪車1は、変速機21の変速操作(シフトペダル(不図示)の足操作)のみを運転者が行い、クラッチ装置26の断接操作は前記シフトペダルの操作に応じて電気制御により自動で行う。すなわち、自動二輪車1は、いわゆるセミオートマチックの変速システム(自動クラッチ式変速システム)を採用している。
<変速システム>
図3に示すように、上記変速システム30は、クラッチアクチュエータ50、ECU40(Electronic Control Unit、制御部)、各種センサ41~46,57d,58d、各種装置47,48,50を備えている。
ECU40は、点火装置47および燃料噴射装置48を作動制御するとともに、クラッチアクチュエータ50を作動制御する。この制御は、加速度センサ41、ギヤポジションセンサ42、およびシフト荷重センサ43(例えばトルクセンサ)からの検知情報、ならびにスロットル開度センサ44、車速センサ45およびエンジン回転数センサ46等からの各種の車両状態検知情報等に基づいてなされる。
加速度センサ41は、車体の挙動を検知する。ギヤポジションセンサ42は、シフトドラム32の回転角から変速段を検知する。シフト荷重センサ43は、チェンジ機構25のシフトスピンドル31(図2参照)に入力された操作トルクを検知する。スロットル開度センサ44は、スロットル開度を検知する。車速センサ45は、車速を検知する。エンジン回転数センサ46は、エンジン回転数を検知する。
図5、図6を併せて参照し、クラッチアクチュエータ50は、クラッチ装置26を断接するために、レリーズシャフト53に付与する作動トルクを制御する。クラッチアクチュエータ50は、駆動源としての電気モータ52(以下、単にモータ52という。)と、モータ52の駆動力をレリーズシャフト53に伝達する減速機構51と、を備えている。減速機構51は、第一リダクション軸57および第二リダクション軸58を備えている。これら各軸57,58には、回転角度を検出する第一回転角度センサ57dおよび第二回転角度センサ58dが設けられている。
ECU40は、予め設定された演算プログラムに基づいて、以下の電流値を演算する。その電流値は、クラッチ装置26を断接するためにモータ52に供給する電流の値である。モータ52への供給電流は、モータ52に出力させるトルクとの相関から求められる。モータ52の目標トルクは、レリーズシャフト53に付与する作動トルク(後述する従動クラッチレバートルク)に比例する。モータ52に供給する電流値は、ECU40に含む電流センサ40bで検出される。この検出値の変化に応じて、クラッチアクチュエータ50が作動制御される。クラッチアクチュエータ50については後に詳述する。
<クラッチ装置>
図2、図11に示すように、実施形態のクラッチ装置26は、複数のクラッチ板35を軸方向で積層した多板クラッチであり、右カバー17a内の油室に配置された湿式クラッチである。クラッチ装置26は、クラッチアウタ33と、クラッチセンタ34と、複数のクラッチ板35と、を備えている。
クラッチアウタ33は、クランクシャフト14から回転動力が常時伝達されて駆動する。クラッチセンタ34は、クラッチアウタ33内に配置されてメインシャフト22に一体回転可能に支持される。複数のクラッチ板35は、クラッチアウタ33及びクラッチセンタ34の間に積層されてこれらを摩擦係合させる。
積層されたクラッチ板35の右方(車幅方向外側)には、クラッチ板35と略同径のプレッシャープレート36が配置されている。プレッシャープレート36は、クラッチスプリング37の弾発荷重を受けて左方に付勢され、積層されたクラッチ板35同士を圧接(摩擦係合)させる。これにより、クラッチ装置26は、動力伝達可能な接続状態となる。クラッチ装置26は、外部からの入力のない通常時には接続状態となるノーマルクローズクラッチである。
前記圧接(摩擦係合)の解除は、右カバー17a内側のレリーズ機構38の作動によりなされる。レリーズ機構38の作動は、乗員によるクラッチレバー(不図示)の操作、およびクラッチアクチュエータ50によるトルクの付与、の少なくとも一方によりなされる。
<レリーズ機構>
図2、図11に示すように、レリーズ機構38は、リフターシャフト39と、レリーズシャフト53と、を備えている。
リフターシャフト39は、メインシャフト22の右側部内に軸方向で往復動可能に保持される。レリーズシャフト53は、リフターシャフト39と軸方向を直交させて配置され、右カバー17aの外側部に軸心回りに回動可能に保持される。
図中線C3は、上下方向に延びるレリーズシャフト53の中心軸線を示す。レリーズシャフト53は、メインシャフト22の軸方向視(車両側面視)で、垂直方向に対して上側ほど後側に位置するように軸方向を後傾させている(図1参照)。レリーズシャフト53の上部は、右カバー17aの外側に突出し、このレリーズシャフト53の上部に、従動クラッチレバー54が一体回転可能に取り付けられている。従動クラッチレバー54は、前記クラッチレバーと操作ケーブル(不図示)を介して連結されている。
レリーズシャフト53における右カバー17aの内側に位置する下部には、偏心カム部38aが備えられている。偏心カム部38aは、リフターシャフト39の右端部に係合している。レリーズシャフト53は、軸心回りに回動することで、偏心カム部38aの作用によりリフターシャフト39を右方に移動させる。リフターシャフト39は、クラッチ装置26のプレッシャープレート36と一体的に往復動可能に構成されている。したがって、リフターシャフト39が右方へ移動すると、プレッシャープレート36がクラッチスプリング37の付勢力に抗して右方に移動(リフト)する。これにより、積層されたクラッチ板35同士の摩擦係合を解除させる。これにより、ノーマルクローズのクラッチ装置26が、動力伝達不能な切断状態となる。
なお、レリーズ機構38は、偏心カム機構に限らず、ラック&ピニオンや送りネジ等を備えるものでもよい。前記クラッチレバーと従動クラッチレバー54とを連結する機構は、操作ケーブルに限らず、ロッドやリンク等を備えるものでもよい。
<クラッチ制御モード>
図4に示すように、本実施形態のクラッチ制御装置40Aは、三種のクラッチ制御モードを有している。クラッチ制御モードは、自動制御を行うオートモードM1、手動操作を行うマニュアルモードM2、および一時的な手動操作を行うマニュアル介入モードM3、を有している。クラッチ制御モードは、前記三種のモード間で、クラッチ制御モード切替スイッチ49(図3参照)およびクラッチ操作子の操作に応じて適宜遷移する。なお、マニュアルモードM2およびマニュアル介入モードM3を含む対象をマニュアル系M2Aという。
オートモードM1は、自動発進・変速制御に応じて、走行状態に適したクラッチ容量を演算して、クラッチ装置26を制御するモードである。マニュアルモードM2は、乗員によるクラッチ操作指示に応じてクラッチ容量を演算して、クラッチ装置26を制御するモードである。マニュアル介入モードM3は、オートモードM1中に乗員からのクラッチ操作指示を受け付け、クラッチ操作指示からクラッチ容量を演算して、クラッチ装置26を制御するモードであり、一時的なマニュアル操作モードである。なお、マニュアル介入モードM3中に、例えば乗員がクラッチ操作子の操作をやめた状態(完全にリリースした状態)が規定時間続くと、オートモードM1に戻るよう設定されてもよい。
例えば、クラッチ制御装置40Aは、システム起動時には、オートモードM1でクラッチオンの状態(接続状態)から制御を始める。また、クラッチ制御装置40Aは、エンジン13停止時(システムオフ時)には、オートモードM1でクラッチオンに戻るように設定されている。ノーマルクローズのクラッチ装置26において、クラッチオン時には、クラッチアクチュエータ50のモータ52への電力供給が無くて済む。一方、クラッチ装置26のクラッチオフ状態(切断状態)には、モータ52への電力供給を保持する。
オートモードM1は、クラッチ制御を自動で行うことが基本である。オートモードM1は、レバー操作レスで自動二輪車1を走行可能とする。オートモードM1では、スロットル開度、エンジン回転数、車速およびシフトセンサ出力等に基づき、クラッチ容量をコントロールしている。これにより、自動二輪車1をスロットル操作のみでエンスト(エンジンストップまたはエンジンストール(engine stall)の意)することなく発進可能である。また、自動二輪車1をシフト操作のみで変速可能である。また、オートモードM1では、乗員が前記クラッチレバーを握ることで、マニュアル介入モードM3に切り替わる。これにより、クラッチ装置26を任意に切ることが可能である。
一方、マニュアルモードM2では、乗員によるレバー操作により、クラッチ容量をコントロール可能とする(すなわち、クラッチ装置26を断接可能とする)。オートモードM1とマニュアルモードM2とは、相互に切り替え可能である。この切り替えは、例えば、自動二輪車1の停車中かつ変速機21のニュートラル中に、クラッチ制御モード切替スイッチ49(図3参照)を操作することでなされる。なお、クラッチ制御装置40Aは、マニュアル系M2A(マニュアルモードM2又はマニュアル介入モードM3)への遷移時に、マニュアル状態であることを示すインジケータを備えてもよい。
マニュアルモードM2は、クラッチ制御を手動で行うことが基本である。マニュアルモードM2は、前記クラッチレバーの作動角(ひいては従動クラッチレバー54の作動角)に応じて、クラッチ容量を制御可能である。これにより、乗員の意思のままにクラッチ装置26の断接をコントロール可能である。なお、マニュアルモードM2であっても、クラッチ操作なしにシフト操作がされたときは、クラッチ制御が自動で介入可能である。以下、従動クラッチレバー54の作動角を従動クラッチレバー作動角という。
オートモードM1では、クラッチアクチュエータ50により自動でクラッチ装置26の断接が行われる。このとき、前記クラッチレバーに対するマニュアルクラッチ操作が行われることで、クラッチ装置26の自動制御に一時的に手動操作を介入させることが可能である(マニュアル介入モードM3)。
<マニュアルクラッチ操作>
図1に示す自動二輪車1において、操向ハンドル4aの左グリップの基端側(車幅方向内側)には、クラッチ手動操作子としてのクラッチレバー(不図示)が取り付けられている。
図2を併せて参照し、前記クラッチレバーは、クラッチ装置26のレリーズシャフト53に取り付けられた従動クラッチレバー54に対し、操作ケーブル(不図示)を介して連結されている。従動クラッチレバー54は、レリーズシャフト53における右カバー17aの上部に突出した上端部に、一体回転可能に取り付けられている。
また、例えば操向ハンドル4aに取り付けられたハンドルスイッチには、前記クラッチ制御モード切替スイッチ49が設けられている。これにより、通常の運転時に、乗員が容易にクラッチ制御モードを切り替えることが可能である。
<クラッチアクチュエータ>
図1に示すように、クランクケース15右側の右カバー17aの後上部には、クラッチアクチュエータ50が取り付けられている。
図5、図6を併せて参照し、クラッチアクチュエータ50は、モータ52と、減速機構51と、を備えている。
モータ52は、例えばDCモータであり、例えばレリーズシャフト53と軸方向を平行にして配置されている。モータ52は、駆動軸55を上方に突出させるように配置されている。減速機構51は、モータ52の駆動力をレリーズシャフト53に伝達する。
実施形態では、単一のクラッチアクチュエータ50に対し、複数(二つ)のモータ52を備えている。以下、クラッチアクチュエータ50の車両前方側に位置するモータ52を第一モータ521、第一モータ521に対して車両後方側かつ車幅方向内側に位置するモータ52を第二モータ522、と称する。図中線C01,C02は、それぞれ各モータ521,522の中心軸線(駆動軸線)を示す。説明都合上、両モータ521,522をモータ52と総称することがある。また、両軸線C01,C02を軸線C0と総称することがある。
減速機構51は、モータ52から出力される回転動力を減速してレリーズシャフト53に伝達する。減速機構51は、例えばレリーズシャフト53と軸方向を平行にしたギヤ列を備えている。減速機構51は、駆動ギヤ55aと、第一リダクションギヤ57aと、第一小径ギヤ57bと、第二リダクションギヤ58aと、第二小径ギヤ58bと、被動ギヤ63aと、ギヤケース59と、を備えている。
駆動ギヤ55aは、各モータ521,522の駆動軸55に一体に設けられる。第一リダクションギヤ57aは、各駆動ギヤ55aが噛み合う。第一小径ギヤ57bは、第一リダクションギヤ57aと同軸に設けられる。第二リダクションギヤ58aは、第一小径ギヤ57bが噛み合う。第二小径ギヤ58bは、第二リダクションギヤ58aと同軸に設けられる。被動ギヤ63aは、第二小径ギヤ58bが噛み合う。ギヤケース59は、各ギヤを収容する。
第一リダクションギヤ57aおよび第一小径ギヤ57bは、第一支持軸57cに一体回転可能に支持される。第一リダクションギヤ57a、第一小径ギヤ57bおよび第一支持軸57cは、第一リダクション軸57を構成している。第二リダクションギヤ58aおよび第二小径ギヤ58bは、第二支持軸58cに一体回転可能に支持される。第二リダクションギヤ58a、第二小径ギヤ58bおよび第二支持軸58cは、第二リダクション軸58を構成している。第一支持軸57cおよび第二支持軸58cは、それぞれギヤケース59に回転可能に支持されている。第二リダクションギヤ58aは、第二支持軸58c中心の扇形ギヤである。第二リダクションギヤ58aは、第二支持軸58cの前方かつ車幅方向外側に広がるように設けられている。図中線C1は、第一リダクション軸57の中心軸線、線C2は、第二リダクション軸58の中心軸線をそれぞれ示す。
被動ギヤ63aは、レリーズシャフト53に一体回転可能に設けられている。被動ギヤ63aは、レリーズシャフト53中心の扇形ギヤである。被動ギヤ63aは、レリーズシャフト53の前方に広がるように設けられている。減速機構51における下流側のギヤは、回転角度が小さい。このため、第二リダクションギヤ58aおよび被動ギヤ63aを、回転角度が小さい扇形ギヤとすることが可能である。
その結果、減速機構51ひいてはクラッチアクチュエータ50の小型化が可能となる。すなわち、減速比を稼ぐために大径の減速ギヤを設ける場合にも、この減速ギヤの噛み合い範囲以外を切り欠いて扇形とすることで、以下の効果を奏する。すなわち、特に減速機構51の車幅方向外側への張り出しを抑えることが可能であり、かつ減速機構51の軽量化を図ることが可能である。
係る構成により、モータ52とレリーズシャフト53とは、減速機構51を介して常時連動可能である。これにより、クラッチアクチュエータ50で直接的にクラッチ装置26を断接させるシステムが構成されている。
各ギヤは、軸方向厚さを抑えた偏平の平歯車であり、ギヤケース59も、軸方向の厚さを抑えた偏平状に形成されている。これにより、減速機構51が車両側面視で目立ち難くなる。ギヤケース59の上面側には、第一回転角度センサ57dおよび第二回転角度センサ58dが設けられる。第一回転角度センサ57dおよび第二回転角度センサ58dは、第一リダクション軸57および第二リダクション軸58の各々の一端部に連結されて、これらの回転角度を検出する。
モータ52は、ギヤケース59の前部から下方に突出するように配置される。これにより、モータ52が以下のように配置可能となる。すなわち、右カバー17aにおけるクラッチ装置26を覆う膨出部17bを前方に避けて配置可能となる。このため、クラッチアクチュエータ50の車幅方向外側への張り出しが抑えられる。
モータ52の駆動力は、以下のように減速されて、レリーズシャフト53に伝達される。すなわち、モータ52の駆動力は、駆動ギヤ55aと第一リダクションギヤ57aとの間で減速され、かつ第一小径ギヤ57bと第二リダクションギヤ58aとの間で減速され、さらに第二小径ギヤ58bと被動ギヤ63aとの間で減速される。
実施形態では、減速機構51のギヤ列の最終段(第二小径ギヤ58bおよび被動ギヤ63aの間)よりも手前に、ストッパ59aを備えている。ストッパ59aは、レリーズシャフト53の初期位置(クラッチ切断方向とは逆の戻り方向の停止位置)を規定する。ストッパ59aは、例えばギヤケース59の内側に一体形成される。ストッパ59aは、扇形の第二リダクションギヤ58aの側辺を当接させることで、第二リダクションギヤ58aの停止位置を規定する。減速機構51の最終段に比べてトルクの小さい段階にストッパ59aを設けることで、以下の効果を奏する。すなわち、ギヤケース59の強度を抑えた上で、確実にレリーズシャフト53の初期位置を規定することができる。また、減速により最もトルクが大きくなる最終段への過大荷重入力を防ぎ、ギヤを小型軽量にすることができる。
<クラッチアクチュエータの配置>
図15~図17に示すように、クラッチアクチュエータ50は、車両側面視で、燃料タンク18右側のニーグリップ部18aの鉛直下方に配置されている。クラッチアクチュエータ50は、図16の車両上面視で、燃料タンク18右側のニーグリップ部18aよりも車幅方向外側に張り出して配置されている。図中線L1は、運転者の脚の大腿部、線L2は、膝から下の下腿部、線L3は、足首から先の足部をそれぞれイメージしている。
運転者の脚は、車両側面視で、ニーグリップ部18aから後下方へ斜めに下腿部L2を延ばし、ステップ18bに足部L3を載せる。クラッチアクチュエータ50は、ニーグリップ部18aよりも車幅方向外側に張り出す。クラッチアクチュエータ50は、車両側面視で運転者の脚の下腿部L2を前方に避けた配置となる。これにより、運転者の脚の配置スペースに対するクラッチアクチュエータ50の干渉が抑えられる。クラッチアクチュエータ50は、運転者が脚を伸ばして足部L3を着地させた場合にも、車両側面視で運転者の脚の下腿部L2を前方に避けた配置となる。この点でも、運転者の脚の配置スペースに対するクラッチアクチュエータ50の干渉が抑えられる。
図17を参照し、右カバー17aは、以下の範囲を、車幅方向外側に膨出した膨出部17bとしている。前記範囲は、車両側面視でクラッチ装置26と同軸の円形の範囲である。膨出部17bにおける後上方に臨む部位には、カバー凹部17cが形成されている。カバー凹部17cは、残余の部位に対して外側面を車幅方向内側に変化させる。カバー凹部17cは、車両側面視で半円形状をなしている。
カバー凹部17cの前記半円形状の弦部分は、車両側面視でレリーズシャフト53の軸方向と直交する直線状に形成されている。この弦部分は、膨出部17bの外側面を段差状に変化させる段差部17dを形成している。段差部17dは、車両側面視で後ろ下がりに傾斜している。段差部17dには、レリーズシャフト53の上部が斜め上後方に突出している。レリーズシャフト53は、カバー凹部17cの段差部17dを貫通して、カバー外側に突出している。クラッチアクチュエータ50は、カバー凹部17cに入り込むように配置された状態で、右カバー17aに取り付けられている。
<レリーズシャフト>
図6~図8に示すように、レリーズシャフト53は、クラッチアクチュエータ50からの入力と、乗員の操作による入力と、を個別に受けて回動可能とするために、複数の要素に分割されている。
レリーズシャフト53は、上部を構成する上部レリーズシャフト61と、下部を構成する下部レリーズシャフト62と、中間レリーズシャフト63と、を備えている。中間レリーズシャフト63は、上部レリーズシャフト61の下端部と下部レリーズシャフト62の上端部とに跨って配置される。
上部レリーズシャフト61は、円柱状をなしている。上部レリーズシャフト61は、ギヤケース59の上ボス部59bに回転可能に支持されている。上部レリーズシャフト61は、上端部がギヤケース59の外側に突出している。上部レリーズシャフト61の上端部には、従動クラッチレバー54が一体回転可能に支持されている。従動クラッチレバー54には、リターンスプリング54sが取り付けられている。リターンスプリング54sは、クラッチ操作子の操作による回動(クラッチ切断方向の回動)とは逆方向の付勢力を従動クラッチレバー54に付与する。
下部レリーズシャフト62は、円柱状をなしている。下部レリーズシャフト62は、下部が右カバー17aの内側に回転可能に支持されている。下部レリーズシャフト62の下部は、ギヤケース59内に臨んでいる。この下部には、レリーズ機構38の偏心カム部38aが形成されている。下部レリーズシャフト62の下端部には、下部リターンスプリング62sが取り付けられている。下部リターンスプリング62sは、クラッチ切断方向の回動とは逆方向の付勢力を下部レリーズシャフト62に付与する。
上部レリーズシャフト61の下端部には、断面扇形をなして軸方向に延びる手動操作側カム61bが設けられている。
下部レリーズシャフト62の上端部には、断面扇形をなして軸方向に延びるクラッチ側カム62bが設けられている。クラッチ側カム62bは、周方向又は軸方向で手動操作側カム61bを避けた範囲に設けられている。
上部レリーズシャフト61の下端部(手動操作側カム61b)と、下部レリーズシャフト62の上端部(クラッチ側カム62b)とは、互いに周方向で避けつつ軸方向位置をラップさせている。又は、手動操作側カム61bとクラッチ側カム62bとは、互いに軸方向で避けつつ周方向位置をラップさせている。これにより、手動操作側カム61bの周方向一側面61b1で、クラッチ側カム62bの周方向他側面62b2を押圧し、下部レリーズシャフト62を回転させることが可能である(図9B、図10B参照)。
手動操作側カム61bの周方向他側面61b2と、クラッチ側カム62bの周方向一側面62b1とは、周方向又は軸方向で互いに離間している。これにより、クラッチ側カム62bにクラッチアクチュエータ50からの入力があった場合には、上部レリーズシャフト61から独立して、下部レリーズシャフト62が回転可能である(図9A、図10A参照)。
中間レリーズシャフト63は、円筒状をなしている。中間レリーズシャフト63は、上部レリーズシャフト61の下端部と、下部レリーズシャフト62の上端部と、の係合部分(上下シャフト係合部)を挿通可能である。中間レリーズシャフト63には、被動ギヤ63aが一体回転可能に支持されている。
中間レリーズシャフト63には、断面扇形をなして軸方向に延びる制御操作側カム63bが設けられている。
中間レリーズシャフト63および被動ギヤ63aは、クラッチアクチュエータ50の他の構成部品に対する接触を抑えている。具体的に、中間レリーズシャフト63は、ギヤケース59に支持する軸受けの他には、以下の部位に内周部を接触させるのみである。その部位とは、上部レリーズシャフト61の下端部(手動操作側カム61b)、および下部レリーズシャフト62の上端部(クラッチ側カム62b)である。
中間レリーズシャフト63の制御操作側カム63bは、以下の部位に対して、軸方向でクリアランスを空けて係合している。その部位とは、上部レリーズシャフト61の手動操作側カム61b、および下部レリーズシャフト62のクラッチ側カム62bである。
また、被動ギヤ63aは、第二小径ギヤ58bにギヤ歯を接触させるのみである。これにより、制御ギヤである被動ギヤ63aのフリクションを極力低減し、レリーズシャフト53の制御の精度を向上させている。
中間レリーズシャフト63の制御操作側カム63bと、下部レリーズシャフト62のクラッチ側カム62bとは、互いに周方向で避けつつ軸方向位置をラップさせている。又は、制御操作側カム63bとクラッチ側カム62bとは、互いに軸方向で避けつつ周方向位置をラップさせている。これにより、制御操作側カム63bの周方向一側面63b1でクラッチ側カム62bの周方向他側面62b2を押圧し、下部レリーズシャフト62を回転させることが可能である。
また、制御操作側カム63bは、上部レリーズシャフト61の手動操作側カム61bを、軸方向又は径方向で避けて配置されている。これにより、クラッチアクチュエータ50からの入力をクラッチ側カム62bに伝達する際、上部レリーズシャフト61から独立して、下部レリーズシャフト62を回転可能である。また、手動操作があった場合には、上部レリーズシャフト61を制御側の中間レリーズシャフト63から独立して回転可能である。
制御操作側カム63bの周方向他側面63b2と、クラッチ側カム62bの周方向一側面62b1とは、周方向で互いに離間している。これにより、クラッチ側カム62bに手動操作側カム63bからの入力があった場合には、中間レリーズシャフト63から独立して、下部レリーズシャフト62が回転可能である。
図11、図17を参照し、クラッチアクチュエータ50は、上部レリーズシャフト61および中間レリーズシャフト63を、ギヤケース59で回動可能に保持している。クラッチアクチュエータ50は、上部レリーズシャフト61および中間レリーズシャフト63を含んで、一体のアクチュエータユニット50Aを構成している。
下部レリーズシャフト62は、右カバー17aに回転可能に保持されている。右カバー17aの前記カバー凹部17cの段差部17dには、開口部17eが設けられるとともに、ギヤケース59の締結部17fが設けられる。開口部17eからは、下部レリーズシャフト62の上端部が突出する。ギヤケース59における前記カバー凹部17cの段差部17dとの対向部分には、開口部59cが設けられる。開口部59cは、下部レリーズシャフト62の上端部をギヤケース59内に臨ませる。
係る構成において、アクチュエータユニット50Aを右カバー17aに取り付けると、直線状のレリーズシャフト53が構成される。レリーズシャフト53は、上部レリーズシャフト61、中間レリーズシャフト63および下部レリーズシャフト62が相互に連結されて構成される。
実施形態のパワーユニットPUは、クラッチ装置26の断接操作を電気制御で行わずに運転者の操作で行うマニュアルクラッチ式のパワーユニットに対し、以下のように構成可能である。すなわち、パワーユニットPUは、右カバー17aおよびレリーズシャフト53を交換し、アクチュエータユニット50Aを後付けすることで構成可能である。このため、機種違いのパワーユニットに対しても、アクチュエータユニット50Aを取り付け可能である。このため、多機種間でアクチュエータユニット50Aを共有して、容易にセミオートマチックの変速システム(自動クラッチ式変速システム)を構成可能である。
<クラッチ制御>
次に、実施形態のクラッチ制御について、図12のグラフを参照して説明する。図12のグラフは、前記オートモードM1におけるクラッチ特性をイメージしている。図12のグラフにおいて、縦軸は従動クラッチレバー54に付与されるトルク(Nm)およびクラッチ容量(%)、横軸は従動クラッチレバー54の作動角(deg)をそれぞれ示している。従動クラッチレバー54の作動角は、下部レリーズシャフト62の作動角である。
従動クラッチレバー54のトルクは、下部レリーズシャフト62の発生トルクである。このトルクは、以下の一次トルク値に、減速機構51の減速比を乗じて算出されるトルク値に相当する。前記一次トルク値は、モータ52への供給電流とモータ52が発生するトルクとの相関から、モータ52への供給電流値に基づき得られる。
以下、従動クラッチレバー54のトルクを従動クラッチレバートルクという。従動クラッチレバー作動角と従動クラッチレバートルクとの相関をグラフ中線L11で示す。従動クラッチレバー作動角とクラッチ容量との相関をグラフ中線L12で示す。線L11は、マニュアル操作が介入しない状態でクラッチ装置26を断接する際の、クラッチアクチュエータ50の出力値(基準出力値)を示す線でもある。
ノーマルクローズクラッチのオートモードM1において、従動クラッチレバートルク(モータ出力)が「0」のとき、クラッチ装置26に対する操作入力(切断側への入力)はなく、クラッチ容量は100%となる。すなわち、クラッチ装置26は、接続状態を維持する。この状態は、図12の横軸の領域Aに相当する。領域Aは、従動クラッチレバー54の遊び領域である。領域Aでは、モータ出力がなく、従動クラッチレバートルクは「0」で推移する。領域Aでは、クラッチ装置26の作動がなく、クラッチ容量は100%で推移する。
図8を併せて参照し、領域Aでは、レリーズシャフト53の手動操作側カム61bの周方向一側面61b1が、クラッチ側カム62bの周方向他側面62b2を押圧しない。このとき、手動操作側カム61bは、リターンスプリング54sの付勢力により、クラッチ側カム62bから離間している(図8中鎖線で示す)。領域Aでは、従動クラッチレバー54は、手動操作側カム61bが、クラッチ側カム62bに対して、図中角度A1だけ接近離反可能な遊び状態にある。例えば、領域Aでは、制御操作側カム63bの周方向一側面63b1が、クラッチ側カム62bの周方向他側面62b2に当接した状態にある。
図12を参照し、従動クラッチレバー作動角が増加して遊び領域Aを過ぎると、従動クラッチレバー作動角が半クラッチ領域Bに移行する。半クラッチ領域Bでは、モータ52の作動により、従動クラッチレバートルクが増加を開始する。
図9Aを併せて参照し、半クラッチ領域Bでは、制御操作側カム63bがクラッチ側カム62bを押圧して、下部レリーズシャフト62を回転させる。従動クラッチレバートルクが増加すると、レリーズ機構38がクラッチ装置26をリフト作動させ、クラッチ容量を減少させる。すなわち、クラッチ装置26は、一部の動力伝達を可能とした半クラッチ状態となる。図12中符号SPは、遊び領域Aから半クラッチ領域Bに切り替わる作動の開始位置(作動開始位置)を示す。半クラッチ領域Bにおいて、マニュアル操作が介入すると、手動操作側カム61bがクラッチ側カム62bに当接する。このとき、手動操作側カム61bは、制御操作側カム63bと協働して、下部レリーズシャフト62を回転させる(図9B参照)。
図12を参照し、半クラッチ領域Bにおいて、従動クラッチレバートルクは、従動クラッチレバー作動角の増加に伴い急峻に増加し、クラッチ装置26を切断側に作動させる。例えば、半クラッチ領域Bの初期には、不図示のクラッチジャダースプリング反力の影響がある。これにより、半クラッチ領域Bの初期には、従動クラッチレバー作動角の増加に対する従動クラッチレバートルクの増加を緩やかにした減速領域B1が設定される。
半クラッチ領域Bにおいて、クラッチ容量は、従動クラッチレバートルクの増加に反比例するように、従動クラッチレバー作動角の増加に伴い急峻に減少する。半クラッチ領域Bの初期の減速領域B1において、クラッチ容量は、従動クラッチレバートルクの増加が緩やかなることに伴い、減少を緩やかにする。
従動クラッチレバー作動角が、半クラッチ領域Bの終点であるタッチポイントTPを過ぎると、従動クラッチレバートルクの増加は、減速領域B1よりも緩やかになる。従動クラッチレバー作動角におけるタッチポイントTP以降の領域は、例えば、クラッチ容量が「0」相当のまま推移するクラッチ切断領域Cとなる。クラッチ切断領域Cは、例えば、従動クラッチレバー54等が機械的な作動限界位置まで作動するための作動余裕領域である。クラッチ切断領域Cでは、従動クラッチレバートルクが微増する。この増加分は、クラッチ装置26のリフト部品の移動に伴うクラッチスプリング荷重の増加分に相当する。図12中符号EPは、クラッチ切断領域Cの終点であるフルリフト位置を示す。
例えば、クラッチ切断領域Cの中間には、待機位置DPが設定される。待機位置DPでは、以下の従動クラッチレバートルクが付与される。このときの従動クラッチレバートルクは、クラッチ装置26が接続を開始するタッチポイントTPのトルクよりも若干高い。タッチポイントTPでは、作動誤差により若干のトルク伝達が生じることがある。これに対し、待機位置DPのトルクまで従動クラッチレバートルクを付与することで、クラッチ装置26のトルク伝達は完全に遮断される。また、待機位置DPでは、フルリフト位置EPに対して若干低い従動クラッチレバートルクが付与されることで、クラッチ装置26の無効詰めを行うことが可能となる。すなわち、待機位置DPでは、クラッチ装置26における各部のガタや作動反力のキャンセル等が可能となり、クラッチ装置26の接続時の作動応答性を高めることができる。
なお、クラッチ装置26が接続状態から切断側へ作動する際、作動開始位置SPおよびタッチポイントTPは以下のように定まる。すなわち、従動クラッチレバートルクが立ち上がるポイント(半クラッチ領域Bの始点)が作動開始位置SPである。また、クラッチ装置26が完全に切れるポイント(半クラッチ領域Bの終点)がタッチポイントTPである。
逆に、クラッチ装置26が切断状態から接続側へ作動する際、タッチポイントTPおよび作動開始位置SPは以下のように定まる。すなわち、クラッチ装置26が接続し始めるポイントがタッチポイントTPである。また、クラッチ装置26が完全に接続するポイントが作動開始位置SPである。
図13を参照し、半クラッチ領域Bにおいて、モータ52の駆動は、リフト荷重に基づき制御される。
係る制御では、まず、クラッチスプリング37の弾発力に基づき、予めクラッチスプリング荷重を設定する。次に、従動クラッチレバートルクに応じて、クラッチ装置26に作用するリフト荷重(クラッチスプリング荷重に抗する操作荷重)を推定する。そして、クラッチスプリング荷重からリフト荷重を減じた荷重を、実際にクラッチ装置26に作用させるクラッチ押付荷重とする。
クラッチ容量は、「クラッチ押付荷重/クラッチスプリング荷重」で求められる。クラッチ容量が目標値となるように、モータ52への供給電力を制御し、従動クラッチレバートルクひいてはリフト荷重を制御する。前記作動開始位置SPおよびタッチポイントTPの各々におけるモータ電流値およびレバー作動角は、予め既定値に設定する。あるいは、前記モータ電流値およびレバー作動角は、後述するように、自動二輪車1の電源オン時またはオフ時等に学習制御によって設定する。
センシング構成の一例として、以下の構成が挙げられる。すなわち、モータ制御装置(ECU40)内に電流センサ40bを設け、この検出値をモータトルクに換算し、さらに従動クラッチレバートルク(クラッチ操作トルク)に換算することが挙げられる。
図13に示すように、半クラッチ領域Bにおいて、前記クラッチレバーの操作(マニュアル操作)の介入があると、以下の作用がある。すなわち、予め設定した従動クラッチレバートルクの相関線L11に対し、従動クラッチレバートルクの実測値が減少する(図中F部参照)。このとき、従動クラッチレバートルクの減少量が予め定めた閾値d1を越えると、マニュアル操作の介入があったものと判定し、予め定めたマニュアル操作介入制御に移行する。
マニュアル操作介入制御では、例えば、マニュアル操作介入を検知してから、従動クラッチレバー作動角の増加分が予め定めた角度以上となるまで、以下のように制御する。すなわち、従動クラッチレバートルクが閾値d1だけ減少した後のトルクd2を維持するように、モータ52をフィードバック制御する。このときの電流制御中は、タッチポイントTP以降では角度に応じた電流制限を設けている。このため、電流制御の途中でモータ出力はほぼ0となる。その時の負荷が十分に低いので、マニュアル介入したと判断する。これにより、前記クラッチレバーの操作後に、急にモータ52からのトルクが無くなることによる違和感を抑止することができる。従動クラッチレバー作動角の増加分が規定角度以上となった後は、徐々に従動クラッチレバートルクを減少させる(図中G部参照)。これにより、前記違和感を抑えつつ、モータ52を駆動し続けることによる電力消費を抑えることができる。
クラッチ切断領域Cにおいて、モータ52の駆動は、レバー位置(角度)に基づき制御される。
前述のように、クラッチ切断領域Cでは、クラッチ装置26のリフトに伴う従動クラッチレバートルクの増加が少ない。このため、クラッチ切断領域Cでは、従動クラッチレバー作動角に基づき、モータ52への供給電力を制御する。これにより、クラッチ装置26が接続を開始するタッチポイントTP以降において、クラッチ装置26の切れ量をより細かく制御することが可能となる。
センシング構成の一例として、以下の構成が挙げられる。すなわち、第一リダクション軸57および第二リダクション軸58に、それぞれ第一回転角度センサ57dおよび第二回転角度センサ58dを設ける。そして、これら各センサの検出値を、従動クラッチレバー作動角(クラッチ操作角)に換算することが挙げられる。第一回転角度センサ57dおよび第二回転角度センサ58dは、フェール用に一対設けているが、これらの何れか一方のみとしてもよい。
図13に示すように、クラッチ切断領域Cにおいて、前記クラッチレバーの操作(マニュアル操作)の介入があると、以下の作用がある。すなわち、予め設定した従動クラッチレバートルクの相関線L11に対し、従動クラッチレバートルクの実測値が減少する(図中H部参照)。
図10Aを併せて参照し、例えば、オートモードM1において、制御操作側カム63bがクラッチ側カム62bに付与するトルクは、待機位置DPに至るまでのトルクを上限とされる。クラッチ側カム62bが待機位置DPを越えてフルリフト位置EPに至るまでのトルクは、前記クラッチレバーを握り込むマニュアル操作が介入した場合に付与される。このとき、待機位置DPを越えるだけのトルクが、手動操作側カム61bからクラッチ側カム62bに付与される(図10B参照)。このとき、制御操作側カム63bはクラッチ側カム62bから離間し、モータ出力は実質0となる。
待機位置DPに至る手前であっても、従動クラッチレバー作動角がタッチポイントTPを越えたクラッチ切断領域Cにあると、以下の作用がある。すなわち、マニュアル操作の介入によって、従動クラッチレバートルクの実測値は実質0となる。したがって、クラッチ切断領域Cにおいて、従動クラッチレバートルクの実測値が実質0となる範囲に変化した場合には、マニュアル操作の介入があったものと判定する。そして、予め定めたマニュアル操作介入制御に移行する。
マニュアル操作介入制御では、例えば、マニュアル操作介入を検知してから従動クラッチレバー作動角の増加分が予め定めた角度以上となるまで、以下のように制御する。すなわち、従動クラッチレバー作動角が、実質的なクラッチ切断位置であるタッチポイントTPを維持するように、モータ出力を保持する。これにより、マニュアル操作の介入後にクラッチレバーが急に解放された場合にも、エンストの発生を抑止する。
このように、クラッチ装置26の状況に応じて、荷重(電流)制御と位置(角度)制御とを使い分けることで、より細やかなクラッチ制御(クラッチ装置26の状態や特性に応じた最適な制御)を行うことが可能となる。
実施形態では、従動クラッチレバー作動角(減速機構51のギヤ軸の回転角)を検出し、以下のように制御する。すなわち、予め設定した(又は学習した)タッチポイントTPまでの領域(半クラッチ領域B)では、電流値の基準を増した制御とした。タッチポイントTP以降の領域(クラッチ切断領域C)では、作動角の基準を増した制御とした。
また、実施形態では、従動クラッチレバー作動角に対するモータ52の電流値(トルク値に換算)の変化を、予め定めたタイミングで学習(更新)し、クラッチ装置26の状況に応じた目標値を設定する。この目標値とECU40の電流センサ40bの検出値とに基づき、モータ52の駆動がフィードバック制御される。
<制御基準値の補正>
次に、実施形態のタッチポイントTP等における電流と角度とを学習する制御について、図14のグラフを参照して説明する。図14のグラフは、図12、図13に示したクラッチ特性を示す相関線L11が、クラッチ板35の摩耗やエンジン13の温度(例えば冷却水温)に応じて変化する様を示す。図14において、縦軸は従動クラッチレバートルク(Nm)、横軸は従動クラッチレバー作動角(deg)をそれぞれ示している。
実施形態では、例えば自動二輪車1のメインスイッチ(電源)のオン時またはオフ時において、クラッチ容量制御の際の0点(作動開始位置SPおよびタッチポイントTP)を補正する。モータ52の電流制御では、温度変化がモータトルクに影響することから、相関線L11の高さが温度によって変化する(図中J参照)。そこで、例えば、エンジン温度が80度以上か否か(エンジン暖機後か否か)といった複数の温度範囲の各々で、0点の補正を行う。このときの0点はメモリに記憶し、次回のクラッチ容量制御に利用する。
作動開始位置SPおよびタッチポイントTPの設定(学習)の手順の一例を説明する。まず、例えば、ECU40の電源オン時またはオフ時に、クラッチアクチュエータ50を作動させる。このとき、クラッチ装置26の切断までの電流値の変化を計測する。次に、遊び領域Aから半クラッチ領域Bに至る際の電流値の変化の傾き(変化率)を検出する。また、半クラッチ領域Bからクラッチ切断領域Cに至る際の電流値の変化の傾き(変化率)を検出する。前者の傾きが閾値以上となるポイントを作動開始位置SPとする。後者の傾きが閾値以下となるポイントをタッチポイントTPとする。
別案として、以下の部分を作動開始位置SPとして学習してもよい。その部分とは、クラッチ遊び領域からから電流をランプで増加させ、前記回転角度センサの角速度が加速したところから減速し始める部分(最高速度になる部分)である。
逆に、以下の部分をタッチポイントTPとして学習してもよい。その部分とは、クラッチ切断状態(領域で保持)からランプで電流を減少させ、前記回転角度センサの角速度が加速したところから減速し始める部分(最高速度になる部分)である。
また、上記同様のタイミングで、従動クラッチレバー作動角に規定値以上の減少が生じているか否かを判定する。従動クラッチレバー作動角が大きく減少している場合、クラッチ板35の磨耗が生じている虞がある。
すなわち、ノーマルクローズクラッチにおいて、クラッチ板35が摩耗すると、リフターシャフト39がレリーズ機構38から離れる側に移動する。これにより、クラッチ板35が摩耗すると、レリーズ機構38の遊びが減る。これにより、レリーズシャフト53は、少ない作動角でクラッチ装置26を切断側に作動させる。これにより、遊び領域Aから半クラッチ領域Bに切り替わる作動開始位置SPにおいて、従動クラッチレバー作動角が減少する(図中K参照)。したがって、作動開始位置SPの従動クラッチレバー作動角が規定値以上に減少している場合、クラッチ板35の磨耗が生じていると予測することが可能である。クラッチ板35の摩耗を予測(検出)した場合には、メータ装置等に備えるインジケータ40c(図3参照)を利用して、ユーザに警告を行うことができる。
タッチポイントTP等におけるモータ電流とレバー作動角とは、自動二輪車1の電源オン時またはオフ時に毎回学習する。これにより、高い精度でタッチポイントTP等を利用した制御を行うことが可能となる。また、クラッチ板35の磨耗を予測(検出)することも可能となる。
レバー作動角とモータ電流との関係から、クラッチ装置26が接続を開始するタッチポイントTPでのモータ電流とレバー作動角とを学習する。これにより、フリクションや磨耗、温度の影響を踏まえて、クラッチ制御を行うことが可能となる。
以上説明したように、上記実施形態におけるクラッチ制御装置は、エンジン13と変速機21との間との間の動力伝達を断接するクラッチ装置26と、前記クラッチ装置26を作動させるための駆動力を出力するクラッチアクチュエータ50と、前記クラッチアクチュエータ50を駆動制御するECU40と、を備える。前記ECU40は、前記クラッチアクチュエータ50の駆動による前記クラッチ装置26の自動制御中に、クラッチ操作子によるマニュアル操作の介入を可能とし、前記マニュアル操作の介入があった場合は、予め定めたマニュアル操作介入制御に移行する。前記ECU40は、前記マニュアル操作が介入しない状態での前記クラッチアクチュエータ50の基準出力値(線L11)を設定する。前記ECU40は、前記基準出力値と前記クラッチアクチュエータ50の出力値の実測値との間に、予め定めた値d1以上の差を検知したときは、前記マニュアル操作の介入があったことを検知する。
この構成によれば、以下の場合に、マニュアル操作の介入があったものと判定し、マニュアル操作介入制御に移行することができる。その場合とは、クラッチアクチュエータ50の基準出力値に対し、現在のクラッチアクチュエータ50の出力値の実測値が規定以上の差を持つ場合である。前記基準出力値とは、マニュアル操作が介入しない状態でのクラッチアクチュエータ50の出力値である。これにより、運転者の操作による任意のタイミングで、自動クラッチ制御からマニュアル介入制御への切り替えを実現することができる。
また、上記クラッチ制御装置において、前記ECU40は、前記マニュアル操作の介入を検知したとき、この検知時の前記クラッチアクチュエータ50の出力値を、予め定めた条件内で維持する。
この構成によれば、マニュアル操作の介入時に、クラッチアクチュエータ50の出力値が急に消失することによる運転者の違和感を抑えることができる。また、このとき、適宜マニュアル操作介入制御に移行することができる。
また、上記クラッチ制御装置において、前記ECU40は、前記マニュアル操作の介入を検知したとき、この検知時の前記クラッチアクチュエータ50の出力値を、マニュアル操作量が予め定めた値になるまで維持し、その後に徐々に出力値を低下させる。
この構成によれば、マニュアル操作の介入時に、クラッチアクチュエータ50の出力値が急に消失することによる運転者の違和感を抑えることができる。また、このとき、クラッチアクチュエータ50の出力が続くことによる電力消費を抑えることができる。
また、上記クラッチ制御装置において、前記ECU40は、自動制御によるクラッチ切断時に前記マニュアル操作の介入を検知したとき、クラッチ切断状態を予め定めた条件内で維持する。
この構成によれば、自動制御によるクラッチ切断時にマニュアル操作が介入したとき、所定の間はクラッチ切断状態を維持することで、以下の効果を奏する。すなわち、マニュアル操作後に急なクラッチ接続操作がなされることの影響を抑えることができる。
<クラッチアクチュエータの変形例>
ここで、図18、図19を参照し、クラッチアクチュエータ50の変形例について説明する。
上記実施形態のクラッチアクチュエータ50は、モータ52および減速機構51の各軸とレリーズシャフト53とを、互いに軸方向を平行にして配置している。これに対し、図18、図19の変形例のクラッチアクチュエータ150は、モータ52および減速機構51の各軸とレリーズシャフト53とを、互いに軸方向を直交させた配置としている。変形例では、例えば、第二小径ギヤ58bおよび被動ギヤ63aといった互いに噛み合うギヤ対を、互いに軸方向を直交させるギヤ(例えばねじ歯車やかさ歯車等)で構成している。
変形例のクラッチアクチュエータ150では、モータ52および減速機構51の各軸とレリーズシャフト53とを、互いに軸方向を直交させて配置している。また、モータ52および減速機構51の各軸とクラッチ装置26とを、互いに軸方向を平行にして配置している。これにより、減速機構51に減速比を稼ぐための大径の減速ギヤを設ける場合にも、この減速ギヤを単純な円形としたままで、特に減速機構51の車幅方向外側への張り出しを抑えることができる。また、軸方向寸法の大きいモータ52を、右カバー17aおよびクランクケース15等を避けつつ、減速機構51の車幅方向に突出させるように配置することができる。すなわち、シリンダ16の側方または後方のスペースを利用して、モータ52の配置スペースを稼ぎ、クラッチアクチュエータ150を効率よく配置することができる。
これにより、車両側面視で外観されるクラッチユニットのサイズを抑えて、外観性を向上させることができる。また、エンジン13側部に張り出すクラッチユニットのボリュームを抑えて、車体バンク角への影響を抑えることができる。
なお、本発明は上記実施例に限られるものではない。例えば、クラッチ操作子は、クラッチレバーに限らず、クラッチペダルやその他の種々操作子であってもよい。クラッチ装置は、エンジンと変速機との間に配置されるものに限らず、原動機と変速機以外の任意の出力対象との間に配置されるものでもよい。原動機は内燃機関に限らず電気モータであってもよい。
上記実施形態のようにクラッチ操作を自動化した鞍乗り型車両への適用に限らない。例えば、マニュアルクラッチ操作を基本としながら、所定の条件下でマニュアルクラッチ操作を行わずに、駆動力を調整して変速を可能とする鞍乗り型車両(いわゆるクラッチ操作レスの変速装置を備える鞍乗り型車両)にも適用可能である。
また、前記鞍乗り型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪の車両も含まれ、かつ電気モータを原動機に含む車両も含まれる。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
1 自動二輪車(鞍乗り型車両)
13 エンジン(原動機)
21 変速機(出力対象)
26 クラッチ装置
40 ECU(制御部)
40A クラッチ制御装置
50,150 クラッチアクチュエータ

Claims (5)

  1. 原動機(13)と出力対象(21)との間との間の動力伝達を断接するクラッチ装置(26)と、
    前記クラッチ装置(26)を作動させるための駆動力を出力するクラッチアクチュエータ(50)と、
    前記クラッチアクチュエータ(50)を駆動制御する制御部(40)と、
    前記クラッチ装置(26)を前記クラッチアクチュエータ(50)の駆動に関わらず作動可能なクラッチ操作子と、を備え、
    前記制御部(40)は、前記クラッチ装置(26)を作動させる前記クラッチアクチュエータ(50)の基準出力値と、前記クラッチアクチュエータ(50)の出力値の実測値と、の間に、予め定めた値以上の差を検知したときは、前記クラッチ操作子によるマニュアル操作があったことを検知するクラッチ制御装置。
  2. 前記制御部(40)は、前記マニュアル操作があったことを検知した場合には、予め定めたマニュアル操作介入制御に移行する請求項1に記載のクラッチ制御装置。
  3. 前記制御部(40)は、前記マニュアル操作の介入を検知したとき、この検知時の前記クラッチアクチュエータ(50)の出力値を、予め定めた条件内で維持する請求項1又は2に記載のクラッチ制御装置。
  4. 前記制御部(40)は、前記マニュアル操作の介入を検知したとき、この検知時の前記クラッチアクチュエータ(50)の出力値を、マニュアル操作量が予め定めた値になるまで維持し、その後に徐々に出力値を低下させる請求項3に記載のクラッチ制御装置。
  5. 前記制御部(40)は、自動制御によるクラッチ切断時に前記マニュアル操作の介入を検知したとき、クラッチ切断状態を予め定めた条件内で維持する請求項1から4の何れか一項に記載のクラッチ制御装置。
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