JP7460198B2 - 液体物を散布するドローン及びドローンの制御方法 - Google Patents

液体物を散布するドローン及びドローンの制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、液体物を散布するドローン及びドローンの制御方法に関する。
本技術分野の背景技術として、特開2019-64544号公報(特許文献1)がある。この公報には、「空中散布装置11(無人飛行体システム10)は、1以上のドローン(無人飛行体)14と、1以上のドローン14の少なくとも1つに有線接続される地上のステーション12と、を含む。ドローン14は、ステーション12又は他のドローン14に接続されるドローン側ケーブル86と、ドローン側ケーブル86の繰り出し又は引き込みを行うドローン側ケーブル機構部108と、を備える。」と記載されている(要約参照)。
特開2019-64544号公報
前記特許文献1には、散布剤を散布するドローンが記載されている。しかしながら、本特許文献1はステーションから常に給電及び燃料を補充可能な構成であり、散布フライトに使用される薬剤の十分な管理がなされていなかった。
そこで、本発明は、散布フライトに使用される薬剤の管理を行う仕組みを提供する。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、液体物を散布するドローンであって、本体と、前記本体を飛行させるための複数の回転翼と、飛行を制御する制御部と、無線通信または有線通信を行う通信部と、液体物を収容するタンクと、前記タンクに収容された前記液体物の特性に関する情報を取得するセンサと、を備え、前記センサにより取得された前記液体物の特性に関する情報が所定の条件を満たさない場合に、前記制御部が、前記ドローンの飛行の禁止、飛行中の前記ドローンの飛行の停止、前記ドローンによる前記液体物の散布の禁止、散布中の前記ドローンによる散布の停止、の少なくともいずれかを行うことを特徴とする。
本発明によれば、散布フライトに使用される薬剤の管理を行う仕組みを提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
ドローンの平面図の例である。 ドローンの正面図の例である。 ドローンの右側面図の例である。 ドローンの背面図の例である。 ドローンの斜視図の例である。 ドローンの制御機能を表したブロック図の例である。 ドローン管理システム700全体の接続構成図の例である。 モバイル端末701に表示される圃場情報表示画面800の例である。 モバイル端末701に表示されるドローン操作画面900の例である。 モバイル端末701のハードウェア構成の例である。 管理サーバ702のハードウェア構成の例である。 管理端末703のハードウェア構成の例である。 圃場管理情報1300の例である。 機器管理情報1400の例である。 ユーザ管理情報1500の例である。 薬剤管理情報1600の例である。 エネルギー管理情報1700の例である。 飛行経路管理情報1800の例である。 スケジュール管理情報1900の例である。 補給器2000から補給器ノズルにより薬剤タンク104に液体物を補充する構成を説明する図の例である。 補給器2000に備えられた蓋2003の概要を説明する図の例である。 流路弁2240の機能及び構造を説明する図の例である。 補給器の液体物監視フロー2300の例である。 流路弁2240の開閉処理フロー2400の例である。 ドローン100の散布フライト判定処理フロー2500の例である。 別の散布フライト判定処理フロー2600の例である。
以下、実施例を図面を用いて説明する。
ドローンは、農機の例である。本明細書において、ドローンとは、動力手段(電力、原動機等)、操縦方式(無線であるか有線であるか、および、自律飛行型であるか手動操縦型であるか等)を問わず、複数の回転翼を有する飛行体全般を指すこととする。
図1は、ドローンの平面図の例である。
図2は、ドローンの正面図の例である。
図3は、ドローンの右側面図の例である。
図4は、ドローンの背面図の例である。
図5は、ドローンの斜視図の例である。
回転翼101-1a、101-1b、101-2a、101-2b、101-3a、101-3b、101-4a、101-4b(ローターとも呼ばれる)は、ドローン100を飛行させるための手段であり、飛行の安定性、機体サイズ、および、電力消費量のバランスを考慮し、8機(2段構成の回転翼が4セット)備えられている。各回転翼101は、ドローン100の本体110からのび出たアームにより本体110の四方に配置されている。すなわち、進行方向左後方に回転翼101-1a、101-1b、左前方に回転翼101-2a、101-2b、右後方に回転翼101-3a、101-3b、右前方に回転翼101-4a、101-4bがそれぞれ配置されている。なお、ドローン100は図1における紙面下向きを進行方向とする。回転翼101の回転軸から下方には、それぞれ棒状の足107-1,107-2,107-3,107-4が伸び出ている。
モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、102-4a、102-4bは、回転翼101-1a、101-1b、101-2a、101-2b、101-3a、101-3b、101-4a、101-4bを回転させる手段(典型的には電動機であるが発動機等であってもよい)であり、1つの回転翼に対して1機設けられている。モーター102は、推進器の例である。1セット内の上下の回転翼(例えば101-1aと101-1b)、および、それらに対応するモーター(例えば102-1aと102-1b)は、ドローンの飛行の安定性等のために軸が同一直線上にあり、かつ、互いに反対方向に回転する。
図2、および、図3に示されるように、ローターが異物と干渉しないよう設けられたプロペラガードを支えるための放射状の部材は水平ではなくやぐら状の構造である。衝突時に当該部材が回転翼の外側に座屈することを促し、ローターと干渉することを防ぐためである。
薬剤ノズル103-1、103-2、103-3、103-4は、薬剤を下方に向けて散布するための手段であり4機備えられている。なお、本明細書において、薬剤とは、農薬、除草剤、液肥、殺虫剤、種、水などの圃場に散布される液体、粉体又は微粒子である。
薬剤タンク104は散布される薬剤を保管するためのタンクであり、重量バランスの観点からドローン100の重心に近い位置でかつ重心より低い位置に設けられている。薬剤ホース105-1、105-2、105-3、105-4は、薬剤タンク104と各薬剤ノズル103-1、103-2、103-3、103-4とを接続する。薬剤ホースは硬質の素材から成り、当該薬剤ノズルを支持する役割を兼ねていてもよい。ポンプ106は、薬剤をノズルから吐出するための手段である。
図6は、ドローンの制御機能を表したブロック図の例である。
フライトコントローラー501は、ドローン全体の制御を司る構成要素であり、具体的にはCPU、メモリ、関連ソフトウェア等を含む組み込み型コンピュータであってよい。フライトコントローラー501は、モバイル端末701から受信した入力情報、および、後述の各種センサから得た入力情報に基づき、ESC(Electronic Speed Control)等の制御手段を介して、モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、104-a、104-bの回転数を制御することで、ドローン100の飛行を制御する。モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、104-a、104-bの実際の回転数はフライトコントローラー501にフィードバックされ、正常な回転が行なわれているかを監視できる構成になっている。あるいは、回転翼101に光学センサ等を設けて回転翼101の回転がフライトコントローラー501にフィードバックされる構成でもよい。
フライトコントローラー501が使用するソフトウェアは、機能拡張・変更、問題修正等のために記憶媒体等を通じて、または、Wi-Fi通信やUSB等の通信手段を通じて書き換え可能になっている。この場合において、不正なソフトウェアによる書き換えが行なわれないように、暗号化、チェックサム、電子署名、ウィルスチェックソフト等による保護が行われている。また、フライトコントローラー501が制御に使用する計算処理の一部が、モバイル端末701上、または、管理サーバ702上や他の場所に存在する別のコンピュータによって実行されてもよい。フライトコントローラー501は重要性が高いため、その構成要素の一部または全部が二重化されていてもよい。
フライトコントローラー501は、Wi-Fi子機機能503を介して、さらに、基地局710を介してモバイル端末701とやり取りを行ない、必要な指令をモバイル端末701から受信すると共に、必要な情報をモバイル端末701に送信できる。この場合に、通信には暗号化を施し、傍受、成り済まし、機器の乗っ取り等の不正行為を防止するようにしてもよい。基地局710は、Wi-Fiによる通信機能に加えて、RTK-GPS基地局の機能も備えている。RTK基地局の信号とGPS測位衛星からの信号を組み合わせることで、フライトコントローラー501により、ドローン100の絶対位置を数センチメートル程度の精度で測定可能となる。フライトコントローラー501は重要性が高いため、二重化・多重化されていてもよく、また、特定のGPS衛星の障害に対応するため、冗長化されたそれぞれのフライトコントローラー501は別の衛星を使用するよう制御されていてもよい。なお、フライトコントローラー501、基地局710、モバイル端末701間の通信はWi-Fiではなく、LTE等のモバイルネットワークを用いる場合もある。
6軸ジャイロセンサ505はドローン機体の互いに直交する3方向の加速度を測定する。さらに、加速度の積分により速度を計算する。6軸ジャイロセンサ505は、上述の3方向におけるドローン機体の姿勢角の変化、すなわち角速度を測定する。地磁気センサ506は、地磁気の測定によりドローン機体の方向を測定する。気圧センサ507は、気圧を測定し、間接的にドローンの高度を測定することもできる。レーザーセンサ508は、レーザー光の反射を利用してドローン機体と地表との距離を測定するものであり、IR(赤外線)レーザーであってもよい。
ソナー509は、超音波等の音波の反射を利用してドローン機体と地表との距離を測定する。これらのセンサ類は、ドローンのコスト目標や性能要件に応じて取捨選択してよい。また、機体の傾きを測定するためのジャイロセンサ(角速度センサ)、風力を測定するための風力センサなどが追加されていてもよい。また、これらのセンサ類は、二重化または多重化されていてもよい。同一目的複数のセンサが存在する場合には、フライトコントローラー501はそのうちの一つのみを使用し、それが障害を起こした際には、代替のセンサに切り替えて使用するようにしてもよい。あるいは、複数のセンサを同時に使用し、それぞれの測定結果が一致しない場合には障害が発生したと見なすようにしてもよい。
流量センサ510は薬剤の流量を測定するものであり、薬剤タンク104から薬剤ノズル103に至る経路の複数の場所に設けられている。液切れセンサ511は薬剤の量が所定の量以下になったことを検知するセンサである。マルチスペクトルカメラ512は圃場720を撮影し、画像分析のためのデータを取得する手段である。障害物検知カメラ513は障害物を検知するためのカメラであり、画像特性とレンズの向きがマルチスペクトルカメラ512とは異なるため、マルチスペクトルカメラ512とは別の機器である。
スイッチ514はドローン100の使用者が様々な設定を行なうための手段である。障害物接触センサ515はドローン100、特に、そのローターやプロペラガード部分が電線、建築物、人体、立木、鳥、または、他のドローン等の侵入者に接触したことを検知するためのセンサである。なお、障害物接触センサ515は、6軸ジャイロセンサ505で代用してもよい。カバーセンサ516は、ドローン100の操作パネルや内部保守用のカバーが開放状態であることを検知するセンサである。
薬剤注入口センサ517は薬剤タンク104の注入口が開放状態であることを検知するセンサである。これらのセンサ類はドローンのコスト目標や性能要件に応じて取捨選択されてもよく、二重化・多重化してもよい。また、ドローン100外部の基地局710、モバイル端末701、または、その他の場所にセンサを設けて、読み取った情報をドローン100に送信してもよい。たとえば、基地局710に風力センサを設け、風力・風向に関する情報をWi-Fi通信経由でドローン100に送信するようにしてもよい。
フライトコントローラー501はポンプ106に対して制御信号を送信し、薬剤吐出量の調整や薬剤吐出の停止を行なう。ポンプ106の現時点の状況(たとえば、回転数等)は、フライトコントローラー501にフィードバックされる構成となっている。
LED107は、ドローンの操作者に対して、ドローンの状態を知らせるための表示手段である。LEDに替えて、または、それに加えて液晶ディスプレイ等の表示手段を使用してもよい。ブザー518は、音声信号によりドローンの状態(特にエラー状態)を知らせるための出力手段である。Wi-Fi子機機能519はモバイル端末701とは別に、たとえば、ソフトウェアの転送などのために外部のコンピュータ等と通信するためのオプショナルな構成要素である。Wi-Fi子機機能に替えて、または、それに加えて、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、NFC等の他の無線通信手段、または、USB接続などの有線通信手段を使用してもよい。また、フライトコントローラー501、モバイル端末701、基地局710の各機器間の通信は、Wi-Fi子機機能に替えて、3G、4G、およびLTE等の移動通信システムにより相互に通信可能であってもよい。
スピーカー520は、録音した人声や合成音声等により、ドローンの状態(特にエラー状態)を知らせる出力手段である。天候状態によっては飛行中のドローン100の視覚的表示が見にくいことがあるため、そのような場合には音声による状況伝達が有効である。警告灯521はドローンの状態(特にエラー状態)を知らせるストロボライト等の表示手段である。これらの入出力手段は、ドローンのコスト目標や性能要件に応じて取捨選択してよく、二重化・多重化してもよい。
図7は、ドローン管理システム700全体の接続構成図の例である。
ドローン管理システム700は、ドローン100、モバイル端末701、管理端末703及び基地局710を備え、それぞれがネットワークを介して管理サーバ702に接続されている。なお、ネットワークは有線、無線を問わず、それぞれの端末はネットワークを介して情報を送受信することができる。
ドローン100及びモバイル端末701は圃場720において基地局710を介して通信を行うことが可能であり、ドローン100が薬剤の散布フライトを行う。
ネットワークは1つの通信規格により通信するネットワークでもよいし、複数の通信規格網が組み合わされたネットワークであってもよい。例えば、ドローン100とモバイル端末701はそれぞれ基地局710が提供するWi-Fiによりネットワーク接続されてもよいし、ドローン100とモバイル端末701はそれぞれLTE等の携帯通信網によりネットワーク接続されてもよい。また、ドローン100が基地局710により提供されるWi-Fiにより接続され、基地局710とモバイル端末701は携帯通信網により接続される構成としてもよい。
モバイル端末701は使用者の操作によりドローン100に指令を送信し、また、ドローン100から受信した情報(例えば、位置、薬剤量、電池残量、カメラ映像等)を表示する。例えばタブレット端末やスマートフォン等の携帯情報機器によって実現される。ドローン100は管理サーバ702からの指示により自律飛行を行なうが、モバイル端末701により、離陸や帰還などの基本操作時、および、緊急時にはマニュアル操作を行うことができる。モバイル端末701は、基地局710と接続されており、基地局710を介して、若しくは直接管理端末703と通信を行うことができる。
管理サーバ702は、例えばクラウド上に配置されたサーバであり、圃場管理情報1300に基づいてドローン100の散布飛行ルートを算出し、ドローン100の自立飛行を制御する。また、ドローン100に搭載されたカメラや各種センサから取得された情報を収集し、圃場や作物の状態等、様々な分析を行うことができる。
管理端末703は、管理サーバ702を操作する端末であり、管理サーバ702の各種設定を行う。また、ドローン100やモバイル端末701を制御することも可能である。
基地局710は、圃場720に設置され、Wi-Fi通信の親機機能等を提供する装置であり、RTK-GPS基地局としても機能し、ドローン100の正確な位置を提供できるようになっている(Wi-Fi通信の親機機能とRTK-GPS基地局が独立した装置であってもよい)。また、基地局710は、3G、4G、およびLTE等の携帯通信網を用いて、管理サーバ702と通信可能である。
ドローン管理システム700のそれぞれの端末や管理サーバ702は、例えば、スマートフォン、タブレット、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)などの携帯端末(モバイル端末)でもよいし、メガネ型や腕時計型、着衣型などのウェアラブル端末でもよい。また、据置型または携帯型のコンピュータや、クラウドやネットワーク上に配置されるサーバでもよい。また、機能としてはVR(仮想現実:Virtual Reality)端末、AR端末、MR(複合現実:Mixed Reality)端末でもよい。あるいは、これらの複数の端末の組合せであってもよい。例えば、1台のスマートフォンと1台のウェアラブル端末との組合せが論理的に一つの端末として機能し得る。またこれら以外の情報処理端末であってもよい。
ドローン管理システム700のそれぞれの端末や管理サーバ702は、それぞれオペレーティングシステムやアプリケーション、プログラムなどを実行するプロセッサ(制御部)と、RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置と、ICカードやハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、ネットワークカードや無線通信モジュール、モバイル通信モジュール等の通信制御部と、タッチパネルやキーボード、マウス、音声入力、カメラ部の撮像による動き検知による入力などの入力装置と、モニタやディスプレイ等の出力装置とを備える。なお、出力装置は、外部のモニタやディスプレイ、プリンタ、機器などに、出力するための情報を送信する装置や端子であってもよい。
主記憶装置には、各種プログラムやアプリケーションなど(モジュール)が記憶されており、これらのプログラムやアプリケーションをプロセッサが実行することで全体システムの各機能要素が実現される。なお、これらの各モジュールは集積化する等によりハードウェアで実装してもよい。また、各モジュールはそれぞれ独立したプログラムやアプリケーションでもよいが、1つの統合プログラムやアプリケーションの中の一部のサブプログラムや関数などの形で実装されていてもよい。
本明細書では、各モジュールが、処理を行う主体(主語)として記載をしているが、実際には各種プログラムやアプリケーションなど(モジュール)を処理するプロセッサが処理を実行する。
補助記憶装置には、各種データベース(DB)が記憶されている。「データベース」とは、プロセッサまたは外部のコンピュータからの任意のデータ操作(例えば、抽出、追加、削除、上書きなど)に対応できるようにデータ集合を記憶する機能要素(記憶部)である。データベースの実装方法は限定されず、例えばデータベース管理システムでもよいし、表計算ソフトウェアでもよいし、XML、JSONなどのテキストファイルでもよい。
モバイル端末701を情報処理装置と呼ぶこともあるし、管理サーバ702を情報処理装置と呼ぶこともある。
図8は、モバイル端末701に表示される圃場情報表示画面800の例である。
モバイル端末701の画面表示モジュール1011は、モバイル端末701に記憶された地図情報1200及び圃場管理情報1300を取得し、圃場情報表示画面800を生成して、画面等の出力装置1005に出力する。
なお、画面表示モジュール1011は、管理サーバ702に記憶された地図情報1200や1200及び圃場管理情報1300をネットワーク経由で取得して、圃場情報表示画面800を生成する構成であってもよい。
圃場情報表示画面800の背面には地図801が表示されており、その中で圃場の情報が圃場管理情報1300に記憶されている圃場802、803、804に、情報が登録されていることを示すアンカー805が表示されている。
圃場とは、ドローン100による薬剤散布の対象となる田圃や畑等である。実際には、圃場の地形は複雑であり、事前に地形図が入手できない場合、あるいは、地形図と現場の状況が食い違っている場合がある。通常、圃場は家屋、病院、学校、他作物圃場、道路、鉄道等と隣接している。また、圃場内に、建築物や電線等の侵入者が存在する場合もある。圃場は、薬剤散布の対象エリアの1つの例である。
画面表示モジュール1011は、画面のタップなどにより入力装置1004を介してユーザから圃場802の選択を受け付けると、圃場802に対応する情報を、圃場管理情報1300から取得し、圃場情報表示領域810に表示する。また画面表示モジュール1011は、選択された圃場802の周囲を明るい色の太線に変更するなど、圃場802が選択されていることを示すハイライト表示を行う。
圃場情報表示領域810には、圃場名811、住所812、面積813、作付作物名814等、圃場管理情報1300から取得される情報が表示される。
散布情報表示領域820には、薬剤の散布に関連する情報が表示される。作付作物名814や散布時期などによって散布される薬剤は変わり、近い時期に散布すべき薬剤情報を薬剤管理情報1600から取得して表示する。
散布情報表示領域820には、管理サーバ702の散布関連情報管理モジュール1114が取得または算出した薬剤の散布に関連する情報、例えば圃場の散布フライトに必要な薬剤名、散布量、希釈量、エネルギー量などを表示する。
状態830には、選択された圃場802に対する現在の状態として、例えば、「測量済」、「飛行経路あり」などの情報が表示される。
最新飛行日時840には、最新の散布フライト日時の情報が表示される。
飛行ステータス表示欄850には、ドローンの散布飛行の現在のステータスが表示される。
コンパス861は、地図801が表示している方位を示す。
圃場全体表示ボタン862が選択されると、画面表示モジュール1011は、選択された圃場が画面いっぱいになるように表示の縮尺を変更する。
現在地移動ボタン863が選択されると、画面表示モジュール1011は、モバイル端末701のGPSにより取得された現在地が画面の中心になるように表示を変更する。
スケジュール表示ボタン870が選択されると、画面表示モジュール1011は、当日の薬剤散布スケジュールを表示する。
図9は、モバイル端末701に表示されるドローン操作画面900の例である。
ドローンバッテリー表示901にはドローンの現在のバッテリー残量が表示される。
ドローン位置902には、ドローン100の現在の位置情報が表示される。
散布フライト進捗情報912には、現在の散布フライトの進捗情報が表示される。例えば散布フライトの飛行ルートの進捗状況や、散布薬剤の残量、バッテリー残量等が表示される。
飛行ステータス表示欄921には、ドローン100の散布飛行の現在のステータスが表示される。
メッセージ表示欄922には、ドローン100との通信内容や飛行状態等を示すメッセージが表示される。
高度変更ボタン923、924は、ドローン100の飛行高度を変更するためのボタンである。マイナスを押すと高度が下がり、プラスを押すと高度が上がる。
緊急停止ボタン925は、飛行しているドローン100を緊急停止等するボタンであり、その場でホバリングを行う一時停止の他、飛行開始地点に戻るオプションや、その場でモーターを緊急停止するオプション等も表示可能である。
ドローン操作画面900の例では、薬剤散布の対象となる圃場930が地図上に表示されており、圃場930上の散布フライトの飛行経路931が表示されている。ドローン100は、モバイル端末701または管理サーバ702に記憶された飛行経路管理情報1800に従い、指定された飛行座標を順に飛行する。
高度変更ボタン923、924や緊急停止ボタン925等、ドローン100への操作を必要とする操作を受け付けると、ドローン操作モジュール1012が、これらの操作に対応するコマンド等の情報をドローン100に送信し、ドローン100を操作することができる。
次の散布スケジュール表示ボタン940は、現在実行されている散布フライトの次の散布フライトのスケジュールを表示するためのボタンである。このボタンが押されると、スケジュール管理情報1900から取得された次の散布フライトに関する情報が表示される。
図10は、モバイル端末701のハードウェア構成の例である。
モバイル端末701は、例えばタブレットやスマートフォン、ヘッドマウントディスプレイ等の端末である。
主記憶装置1001には、画面表示モジュール1011、ドローン操作モジュール1012、スケジュール管理モジュール1013等のプログラムやアプリケーションが記憶されており、これらのプログラムやアプリケーションをプロセッサ1003が実行することでモバイル端末701の各機能要素が実現される。
画面表示モジュール1011は、圃場情報表示画面800や、ドローン操作画面900を表示パネルなどの出力装置1005に表示する。
ドローン操作モジュール1012は、ユーザによる高度変更ボタン923、924や、緊急停止ボタン925等の操作を受け付けた場合に、これらの操作に対応するコマンド等の情報をドローン100に送信し、ドローンのフライトを操作する。
スケジュール管理モジュール1013は、複数の圃場に連続して散布フライトを行う場合に、それぞれの散布フライトのスケジュールを管理する。
補助記憶装置1002は、地図情報1200、圃場管理情報1300、機器管理情報1400、ユーザ管理情報1500、薬剤管理情報1600、エネルギー管理情報1700、飛行経路管理情報1800、スケジュール管理情報1900等の各種情報を記憶する。
図11は、管理サーバ702のハードウェア構成の例である。
管理サーバ702は、例えばクラウド上に配置されたサーバで構成される。
主記憶装置1101には、画面出力モジュール1111、飛行管理モジュール1112、ユーザ・機器管理モジュール1113、散布関連情報管理モジュール1114、飛行経路管理モジュール1115、スケジュール管理モジュール1116が記憶されており、これらのプログラムやアプリケーションをプロセッサ1103が実行することで管理サーバ702の各機能要素が実現される。
画面出力モジュール1111は、圃場情報表示画面800や、ドローン操作画面900を表示するための情報を抽出・生成し、モバイル端末701に送信する。画面情報そのものを生成し、モバイル端末701等で表示することとしてもよい。
飛行管理モジュール1112は、圃場管理情報1300や飛行経路管理情報1800等の情報に基づいて、ドローン100の散布フライトを管理する。
ユーザ・機器管理モジュール1113は、ドローン100を使用するユーザに関する情報をユーザ管理情報1500に登録し、管理する。
散布関連情報管理モジュール1114は、散布フライトに必要な薬剤散布量や薬剤量、希釈量、希釈に要する水の量、バッテリー数などのエネルギー量を管理する。
飛行経路管理モジュール1115は、圃場管理情報1300に基づいて、ドローン100の散布フライトの飛行経路を算出する。
スケジュール管理モジュール1116は、複数の圃場や、複数日にまたがる散布フライトのスケジュールを生成し、管理する。生成された薬剤散布スケジュールは、スケジュール管理情報1900に記憶される。
補助記憶装置1102は、地図情報1200、圃場管理情報1300、機器管理情報1400、ユーザ管理情報1500、薬剤管理情報1600、エネルギー管理情報1700、飛行経路管理情報1800、スケジュール管理情報1900等の各種情報を記憶する。
なお、モバイル端末701と管理サーバ702で同じ情報が記憶されているが、これはそれぞれの情報が同期されてもよいし、単にどちらかの情報をコピーしても構わない。また一部または全ての情報を管理サーバ702上に記憶しておき、モバイル端末701からは必要に応じて管理サーバ702から情報をダウンロードする構成であっても構わない。
図12は、管理端末703のハードウェア構成の例である。
管理端末703は、例えばデスクトップPC、ノートPCやタブレット等の端末である。
主記憶装置1201には、ドローン設定モジュール1211や管理サーバ設定モジュール1212等のプログラムやアプリケーションが記憶されており、これらのプログラムやアプリケーションをプロセッサ1203が実行することで管理端末703の各機能要素が実現される。
ドローン設定モジュール1211は、ドローン100の散布フライト設定や初期設定などの各種操作や設定を行う。
管理サーバ設定モジュール1212は、管理サーバ702の初期設定などの各種設定を行う。
補助記憶装置1202は、ドローン設定情報1221や管理サーバ設定情報1222等の各種情報を記憶する。
図13は、圃場管理情報1300の例である。
圃場管理情報1300は、薬剤散布を行う対象である圃場に関する各種情報を記憶しており、圃場ID、圃場名、圃場位置、圃場周囲座標、圃場面積、作付作物等の情報を記憶する。圃場管理情報1300を単に圃場情報と呼ぶこともある。
圃場IDは、圃場を一意に特定する識別情報である。
圃場位置1311は、圃場の位置座標を示し、例えば圃場の中心の緯度・経度の情報を有する。
圃場周囲座標1312は、圃場の周囲の座標を示し、例えば4角形の圃場であれば角の4点の位置座標である。サンプル値のGC007は、位置座標が連続してカンマ区切りなどで記憶された情報へのリンクを示す。
圃場面積1313は、圃場IDに対応する圃場の総面積である。
作付作物1314は、圃場に作付けされている作物等を特定する情報を記憶する。
図14は、機器管理情報1400の例である。
機器管理情報1400は、ドローン100を管理するための情報を記憶しており、機器ID、機器名、型番、仕様、ユーザ、エネルギー、飛行可能時間などの情報を記憶する。
機器IDは、ドローン100を一意に特定する識別情報である。
ユーザは、現在そのドローン100を使用しているユーザの情報であり、ユーザ管理情報1500のユーザIDを記憶する。
エネルギー1411は、ドローン100に搭載可能なエネルギーに関する情報であり、エネルギー管理情報1700のエネルギーIDを記憶する。
飛行可能時間1412は、ドローン100に搭載できるエネルギーによる飛行可能時間を示す。例えばバッテリー2個1セットで15分飛行可能であること等の情報が記憶されている。
図15は、ユーザ管理情報1500の例である。
ユーザ管理情報1500は、ドローン100を操作するユーザの情報を記憶しており、ユーザID、ユーザ表示ID、名前、メールアドレス、生年月日、性別等の情報を記憶する。
ユーザIDは、ユーザを一意に特定する識別情報である。
ユーザ表示IDは、モバイル端末701等に表示されるユーザの情報であり、例えば、ユーザが登録したニックネーム等である。
図16は、薬剤管理情報1600の例である。
薬剤管理情報1600は、散布する薬剤の情報を記憶しており、薬剤ID、薬剤名、品番、仕様、希釈率、散布量等を記憶する。
薬剤IDは、薬剤を一意に特定する識別情報である。
薬剤名1602は、例えば農薬、除草剤、液肥、殺虫剤、種などの圃場に散布される液体、粉体又は微粒子の商品等の名前を示す。
仕様1603は、薬剤の使用方法や希釈方法、対象作物、散布方法などの情報が記憶されており、仕様1603に記載された内容に従って、薬剤の希釈や散布処理を実行する。
希釈率1604は、薬剤を希釈する割合が記憶されており、例えば薬剤対水の割合や、希釈に用いる薬剤と水の量等が記憶される。
散布量1605は、希釈された希釈後薬剤(散布薬剤)の散布量を記憶する。例えば1haあたり10Lの散布薬剤を散布することが示されている。
図17は、エネルギー管理情報1700の例である。
エネルギー管理情報1700は、ドローン100のフライトに必要な例えばバッテリーなどのエネルギーに関する情報を記憶しており、エネルギーID、エネルギー名、型番、種類、仕様等の情報を記憶する。
エネルギーIDは、エネルギーを一意に特定する識別情報である。
種類は、エネルギーの種類を示し、例えば電池(バッテリー)やガソリン、ジェット燃料等が記憶される。
図18は、飛行経路管理情報1800の例である。
飛行経路管理情報1800は、ドローン100のフライトの経路を示す情報を記憶しており、経路ID、対象ID、経路座標、経路合計距離などを記憶する。
経路IDは、飛行経路を一意に特定する識別情報である。
対象IDは、飛行経路を算出した対象である圃場や、圃場と圃場の間の移動経路等を特定する情報である。例えばfarm003は対象が圃場でることを示し、route002は対象が圃場外の移動経路であることを示す。
経路座標1811は、フライトの経路座標を示す情報へのリンクであり、フライトの経路座標は、例えば連続する複数の位置座標の組み合わせで表現される。位置座標としては、緯度と経度の組み合わせや、緯度と経度と高度の組み合わせ等が考えられる。
経路合計距離1812は、フライトの開始からスケジュールまでの飛行経路全体を飛んだ場合の経路の合計距離を示す。
図19は、スケジュール管理情報1900の例である。
スケジュール管理情報1900は、複数の圃場を散布フライトする場合のスケジュールを規定する情報であり、スケジュールID、スケジュール名、日時、開始場所、スケジュール等の情報を記憶する。
スケジュール1901は、散布フライトを行う圃場や、圃場間の移動経路などを特定する情報を記憶する。例えばサンプル値の例だと、farm006、farm005で特定される圃場2つを飛行した後に、route001で示される移動経路を飛行した後、farm003で特定される圃場を飛行し、other001で指定されるその他のイベント(例えば昼食時間など)を経過した後、farm002で特定される圃場を飛行するスケジュールである。
散布関連情報1902は、全スケジュール総合の薬剤散布量、希釈量、エネルギー量等を記憶する。なお、各圃場毎の薬剤散布量、希釈量、エネルギー量等を記憶してもよい。
スケジュールの規定方法は一例であって、その他のスケジュール管理方法であっても構わない。
一般的に薬剤と水を混合した後時間が経つと、混合液中の薬剤が沈殿してしまうことが多いため、ドローンにより薬剤を含む液体物を散布する場合、薬剤と水を散布フライトの直前に混合し、タンクに補給した後、散布フライトを行うことが多い。
しかしながら、この場合薬剤と水の混合や補給はユーザに委ねられており、正しい薬剤が選択されているのか、混合割合は正しいのか等、散布フライトに使用される散布薬剤の管理が十分になされていなかった。
また、散布フライトに使用される散布薬剤の管理がなされておらず、予め許可されている薬剤以外の薬剤を入替や注入を行えることとすると、例えば、下記に示すような問題が生じる虞がある。
一点目に、収穫される作物の品質が所定品質以上であることを保証するために守るべき散布薬剤の量や薬種を逸脱して散布を行ってしまうことにより、収穫される作物の品質が悪化してしまう虞がある。また、同様の理由で、薬剤が散布された圃場の土壌を汚染してしまう虞がある。
また二点目として、散布ドローンを悪用して、毒物等の化学液体物をドローンを使って散布するテロ行為を未然に防止できない虞がある。このようなテロ行為を防止するためには、散布ドローンのタンクに収容される液体物を管理し、毒物等の化学液体物を搭載できないようにすることが求められる。
図20は、補給器2000から補給器ノズルにより薬剤タンク104に液体物を補充する構成を説明する図の例である。
また、図21は、補給器2000に備えられた蓋2003の概要を説明する図の例である。
補給器2000は、水を収容する水用容器2001と薬剤を格納する薬剤用容器2002を備え、これらを混合容器2005部分で混合し、薬剤を希釈することで散布薬剤を準備する。
散布薬剤は、補給器2000から補給口2040に補給され、薬剤タンク104に収容される。収容された液体物は各薬剤ノズル(吐出ノズル)103-1、103-2、103-3、103-4から吐出され、散布される。液体物には、農薬、除草剤、液肥、殺虫剤、水などが含まれる。
水用容器2001と薬剤用容器2002には蓋2003が備えられており、鍵2101を有する管理者のみが蓋2003を開くことができる。鍵2101は物理的な鍵に限られず、暗証番号を入れるような電子的な鍵でもよいし、補給器2000が備えるリーダ2004が管理者のIDカードを読み取る等の認証を行うことで鍵が開く仕組みであってもよい。各種認証は補給器2000が備える管理コントローラ2007によって実行される。
また、水用容器2001や薬剤用容器2002に収容される水や薬剤を識別するバーコード等の識別情報を、カメラ等のリーダ2004により読み取ることで、それぞれの蓋2003が開く仕組みにしてもよい。
例えば、薬剤ボトルのラベル、ボトル形状、バーコード等が管理コントローラ2007又は、管理サーバ702に登録されており、これらの一部またはすべての情報をリーダ2004で読み取ることで薬剤ボトルを認証し、認証が正しく行われた場合にのみ薬剤用容器2002の蓋2003が開き、薬剤ボトルから薬剤の補給を行うことができる。
このような認証を行うことで、確実に識別された水又は薬剤のみが水用容器2001又は薬剤用容器2002に補給される。
また、水用容器2001及び薬剤用容器2002は、pHセンサ、IMS方式(イオンモビリティスぺクトロメトリー方式)を用いた化合物分析センサ、揮発性検知センサ、粘度検知センサ、レーザーによる透過性検知センサ、水量センサ等の各種センサを備えることができる。
管理コントローラ2007は、これらのセンサからの計測値に基づいて水用容器2001及び薬剤用容器2002に収容された液体物の特性をモニタリングし、補給された水又は薬剤が、管理された正しい水又は薬剤であることを常時監視する。
図23は、補給器の液体物監視フロー2300の例である。
管理コントローラ2007は、補給器2000の水用容器2001及び薬剤用容器2002に備えられた水量センサの計測値により、水又は薬剤の液量が増加したことを検知する(ステップ2310)。
管理コントローラ2007は、液量が増加していた場合には、水用容器2001及び薬剤用容器2002に収容されている液体物として管理されている液体物の条件を満たすかどうかを判定する(ステップ2320)。
管理されている液体物の条件は、水用容器2001であれば、例えば水が収容されているはずであるが、この水の特性と同一の特性を有していること、又は水の特性から誤差などを考慮した所定の範囲内の特性を有していること、である。
管理されている液体物の条件は、薬剤用容器2002であれば、例えば管理サーバ702や補給器2000の管理コントローラ2007により管理されている薬剤用容器2002に収容する薬剤と同一の特性を有していること、又は薬剤の特性から誤差などを考慮した所定の範囲内の特性を有していること、である。
ここで液体物の特性とは、例えば液体物についての、pHセンサにより検知されるpH、IMS方式(イオンモビリティスぺクトロメトリー方式)を用いた化合物分析センサにより検知されるイオン移動度やイオン質量、スペクトル等、揮発性検知センサにより検知される揮発性ガス、粘度検知センサにより検知される粘度、レーザーによる透過性検知センサにより検知される透過度、等が考えられる。
所定の範囲とは、例えば誤差5%以内等の、測定誤差や若干の変質、希釈等を考慮しても同一の液体物であることを特定できる範囲とするとよい。
これら液体物の条件を満たす場合には、管理サーバ702や補給器2000の管理コントローラ2007により管理されている水や薬剤と同じ液体物が補給され、液量が増加したものと判断できる。
一方、これら液体物の条件を満たさない場合には(ステップ2320がNo)、想定しない薬剤や毒物などの液体物や化合物が補給又は混入された可能性があると判断し、管理コントローラ2007は、管理サーバ702や管理端末703にアラートを出力したうえで、補給器ノズル2010から薬剤タンク104への散布用薬剤の補給を停止する(ステップ2340)。
管理コントローラ2007は、管理終了指示を受け付けるまで、補給器2000の液体物の監視を続ける(ステップ2330)。
図23における各種センサからの情報の取得や、管理している液体物かどうかの判定は、管理コントローラ2007が、ソフトウェアによる情報処理を実行することにより実現することができる。
この場合、管理コントローラ2007は、例えば、図23に示すような情報取得や判定処理を行うプログラムを格納したマイクロコンピュータ等で実現することができる。
図20に戻って補給器2000の較正を説明する。
混合容器2005は、水用容器2001に収容された水と薬剤用容器2002に収容された薬剤とを混合し希釈して散布薬剤を作り、保管する部分である。ユーザにより入力された希釈率や、管理サーバ702や管理端末703により設定された希釈率に基づいて、管理コントローラ2007が、水と薬剤をと混合する。
混合された散布薬剤はポンプ及び弁2006により吸い上げられ、補給器ノズル2010から補給口2040へ補給される。
散布薬剤を補給するユーザは、補給器ノズル2010のレバー2020を引くことで、散布薬剤を補給し、レバー2020を戻すと補給が停止する。なお、レバー2020の代わりに、補給用ボタンやスイッチを設ける構成でもよい。また、管理コントローラ2007により、補給量が管理されて、補給器ノズル2010を補給口2040に挿入して認証された場合に自動的に補給が始まる構成であってもよい。
薬剤タンク104の補給口2040には後述する流路弁2240が備えられており、補給器ノズル2010が補給口2040に挿入され、物理的及び/又は電子的に認証されると流路弁2240が開かれ、散布薬剤の補給を受けることができる。
流路弁制御部2060は、電子的な認証を行ない、流路弁2240の開閉を制御する。また流路弁2240の開閉の状態や、開閉履歴等の開閉情報を取得し記憶する。また各種センサ2070の故障や破壊等の異常を検知する。
薬剤タンク104には、pHセンサ、IMS方式(イオンモビリティスぺクトロメトリー方式)を用いた化合物分析センサ、揮発性検知センサ、粘度検知センサ、レーザーによる透過性検知センサ、水量センサ等の一部またはすべてのセンサ2070が備えられており、収容する液体物の特性を検知する。
補給器ノズル2010には補給器側認証部2030が備えられ、薬剤タンク104に備えられたタンク側認証部2050との間で認証を行うことで、流路弁2240の開閉が制御される。
図22は、流路弁2240の機能及び構造を説明する図の例である。
薬剤タンク104の補給口2040部分には流路弁2240が設けられており、予め定められた形状を有する、補給口2040に適合する補給器ノズル2010の挿入のみを受け付ける仕組みになっている。
補給器ノズル断面2220は補給器ノズル2010のノズル先端2203の断面図の例を示しており、補給口断面2230は補給口2040の断面図の例を示している。
補給口2040は内側に向かって凸部2231を備えており、通常の断面が円形のノズルでは凸部に引っかかり挿入できない、もしくは挿入しにくい構造になっている。
一方、補給器ノズル2010のノズル先端2203は、前記補給口の凸部を有する断面形状に嵌合する形状を有している。すなわち、ノズル口2222は、内側に凹部2221を有している。
なお、補給口2040とノズル先端2203の凸部と凹部は図22に示す例の構造には限られず、別の嵌合する構造であっても構わない。また図22の例とは逆に、補給口2040が凹部を有し、ノズル先端2203が凸部を有する構造であっても構わない。
補給器ノズル2010を補給口2040に嵌合させることにより流路弁2240が開かれる仕組みになっている
流路弁2240の補給口蓋2245は、薬剤タンク104に不特定の薬剤やその他液体物が注入されることを防ぐ蓋であり、補給器ノズル2010を補給口2040に嵌合させ奥まで押し込むことにより、バネ2243が押し下げられ、流路2244と導通することにより補給口蓋2245が開かれる。
なお、補給器ノズル2010を補給口2040に挿入する構造ではなく、逆に補給口2040を補給器ノズル2010に挿入する構造にしてもよい。また、流路弁2240は補給口2040側に設けるのではなく、補給器ノズル2010側に設ける構造であってもかまわないし、両方に流路弁を設けて連携して作動する構造であっても構わない。流路弁2240を補給器ノズル2010側のみに設ける場合、ドローン100に流路弁2240の構造が不要となり、軽量化できてドローン100の持続飛行時間を伸ばすことが可能となる。
補給器ノズル2010と補給口2040の挿入関係が逆になっても、補給口2040が断面に凹部又は凸部の形状を有し、補給器ノズル2010がその形状に嵌合する形状を有していれば、補給器ノズル2010と補給口2040とを嵌合することによって流路弁2240を開くことができる。
また、前記補給器ノズル2010と補給口2040の一方を他方に挿入する構成だけでなく、補給器ノズル2010と補給口2040を結合して作動する構成にしてもよい。例えば、補給器ノズル2010と補給口2040がそれぞれフランジ継手のような構造を有しており、それぞれのフランジ部分を機械的、電気的に接続し、管をつなぎ合わせる構造にしてもよい。
また、補給器ノズル2010が補給口2040に挿入された後、回転されることにより、流路弁2240が開かれる仕組みにしてもよい。
例えば補給口蓋2245に引っ掛け部2242を設け、補給器ノズル2010を補給口2040に挿入した後、例えば時計回りに回転させることで、ノズル先端2203の引っ掛け部と補給口蓋2245の引っ掛け部2242とが当接し、補給口蓋2245が共に回転する。次に、補給口蓋2245が回転することで流路2244が導通し、流路弁2240が開かれる。
このような構造にすることで、前記補給器ノズルが前記補給口に挿入された後、さらに回転しなければ流路弁が開かれず、単に細いノズルを補給口2040に挿入しただけでは補給口蓋2245が解放されることがなくなるため、不特定の液体物等の混入を防ぐことができる。
なお、補給器ノズル2010と補給口2040の挿入関係が逆になっても同様の構成を取ることが可能であり、補給器ノズル2010と補給口2040が結合された後、又は補給器ノズル2010と補給口2040の一方が他方に挿入された後、さらに補給器ノズル2010と補給口2040の一方が他方に対して相対的に回転された場合に、流路弁2240が開かれる構成にすることができる。
また、逆に、補給器ノズル2010と補給口2040の一方が他方に対して相対的に回転された後に、さらに補給器ノズル2010と補給口2040が結合され、又は補給器ノズル2010と補給口2040の一方が他方に挿入されることにより、流路弁2240が開かれる構成にしてもよい。
また、流路弁2240は、ソレノイド弁などの電磁弁で構成し、電子的又は電気的な認証を行うことで流路弁2240が開かれる仕組みにすることもできる。
すなわち、補給器ノズル2010と補給口2040が結合された場合、又は補給器ノズル2010と補給口2040の一方が他方に挿入された場合に、補給器ノズル2010の補給器側認証部とタンク側認証部とが電気的に接続されることにより認証を行うができる。
例えば、補給器ノズル2010を補給口2040に挿入した後、回転した場合に、補給口2040の凸部2231の先端に配置されたタンク側認証端子2241と、補給器ノズル2010の回転受け2202に配置された補給器側認証端子2201とが電気的に接続することで、薬剤タンク104の流路弁制御部2060が補給器ノズル2010を認証する。
また例えば、補給器側認証端子2201に認証チップを埋め込み、タンク側認証端子2241と接触した際に、認証チップから認証情報を読み出し、これを流路弁制御部2060が読み込むことで電子的に認証を実行する。
流路弁制御部2060は、認証が行われると、補給口蓋2245の軸2246の下部に設けられた電磁石に通電して磁力を発生させ、補給口蓋2245を開放する。
また、補給器側認証端子2201が補給器ノズル2010の補給器側認証部2030と接続されており、タンク側認証端子2241が薬剤タンク104のタンク側認証部2050と接続されていて、これらの端子同士が接触することで、補給器側認証部2030とタンク側認証部2050とが電気的に接続することにより認証を行う構成でもよい。
また、電気的な接続だけでなく、無線通信による認証を用いてもよい。
例えば、補給器ノズル2010と補給口2040が結合された場合、又は補給器ノズル2010と補給口2040の一方が他方に挿入された場合に、タンク側認証部2050が無線通信により補給器側認証部2030と通信することで認証を行い、認証された場合に流路弁制御部2060が流路弁2240を開放する。
この場合、タンク側認証部2050と補給器側認証部2030は非常に近接した距離になるため、非接触型短距離無線通信により認証を行うとよい。
また、タンク側認証部2050と補給器側認証部2030のどちらか一方が認証装置の機能を有し、他方は認証情報を格納したチップで構成することもできる。
なお、図22の構造は例示であり、補給器ノズル2010と補給口2040の連携による認証や流路弁2240の開閉処理は図22の構造や構成に限られず、以下に列挙するような流路弁2240の開閉ができればどのような構成であっても構わない。またこれらの構成の全て又ははいくつかの組合わせにより、流路弁2240の開閉を行う構成であっても構わない。
・補給口2040は断面に凹部又は凸部の形状を有し、補給器ノズル2010はその形状に嵌合する形状を有しており、前記補給器ノズルを前記補給口と嵌合させることにより流路弁2240が開かれる。
・補給器ノズル2010と補給口2040が結合された後、又は補給器ノズル2010と補給口2040の一方が他方に挿入された後、回転されることにより、流路弁2240が開かれる。
・補給器ノズル2010と補給口2040の一方が他方に対して相対的に回転された後、補給器ノズル2010と補給口2040が結合される、又は補給器ノズル2010と補給口2040の一方が他方に挿入されることにより、流路弁2240が開かれる。
・補給器ノズル2010又は補給器2000に備えられた補給器側認証部2030と連携し認証を行うタンク側認証部2050を備え、タンク側認証部2050が補給器側認証部2030の認証を行った場合に、流路弁2240が開かれる。
・補給器ノズル2010と補給口2040が結合された場合、又は補給器ノズル2010と補給口2040の一方が他方に挿入された場合に、補給器ノズル2010の補給器側認証部2030とタンク側認証部2050とが電気的に接続することにより認証を行う。
・補給器ノズル2010と補給口2040が結合された場合、又は補給器ノズル2010と補給口2040の一方が他方に挿入された場合に、タンク側認証部2050が無線通信により補給器側認証部2030と通信することで認証を行う。
図24は、流路弁2240の開閉処理フロー2400の例である。
ユーザにより補給器ノズル2010が補給口2040に挿入される(ステップ2410)。
流路弁制御部2060は、補給器ノズル2010が正しく挿入されたかどうか判定し(ステップ2420)、正しく挿入されていない場合には流路弁2240を開かず閉じたままにする(ステップ2450)。
補給器ノズル2010が補給口2040に正しく挿入されている場合に、流路弁制御部2060は補給器ノズル2010が認証されたかどうかを判定する(ステップ2430)。
補給器ノズル2010が認証されなかった場合には流路弁2240を開かず閉じたままにする(ステップ2450)。
流路弁制御部2060は、補給器ノズル2010が認証された場合には、流路弁2240を開放する(ステップ2440)。
なお、薬剤タンク104側の流路弁制御部2060が、補給器ノズル2010を認証する構成としたが、逆に、補給器ノズル2010側に備えられた制御部や認証部が、薬剤タンク104側のタンク側認証部2050や流路弁制御部2060を認証する構成であってもよい。また、薬剤タンク104側と補給器ノズル2010側が相互に認証しあう構成であってもよい。
これらのノズルの挿入判定や、ノズルの認証は、流路弁制御部2060が、ソフトウェアによる情報処理により実行する構成としてもよいし、補給器ノズル2010の挿入や回転、認証等を電気的な計測や通電により判定、認証する構成としてもよい。
ソフトウェアによる情報処理により実行する場合には、流路弁制御部2060は例えば、開閉処理フロー2400に示すような判定や認証処理を行うプログラムを格納したマイクロコンピュータ等で実現することができる。
図25は、ドローン100の散布フライト判定処理フロー2500の例である。
今まで予め特定された補給器ノズル2010のみからの散布薬剤の補給を受け付ける補給口2040の構成を説明してきた。
しかしながら、このような厳格な薬剤の補給管理を行ったとしても、薬剤タンク104に穴をあけられ毒物などの液体物や化合物を混入される可能性がある。また、流路弁2240を破壊されて不特定の液体物や化合物を混入されることも考えられる。
そこで図25の散布フライト判定処理フロー2500では、ドローン100の飛行指示を受け付けた場合に、上述のような異常な状態が発生しておらず、飛行可能条件を満たすかどうかを判定し、満たす場合にのみ散布フライトを可能とする。
フライトコントローラー501は、ユーザや管理サーバ702や管理端末703からの散布フライト指示を受け付ける(ステップ2510)。
フライトコントローラー501は、薬剤タンク104に備えられた液量センサにより、前回のフライトから薬剤タンク内の液量が増加したかどうかを判定し(ステップ2520)、増加していなかった場合には、前回のフライトからの継続的なフライトであると判断して、散布フライトを開始する(ステップ2540)。
液量が増加していた場合に、フライトコントローラー501は、散布フライト可能条件を満たすかどうかを判定する(ステップ2530)。
条件を満たした場合には、フライトコントローラー501は散布フライトを開始する(ステップ2540)。一方条件を満たさなかった場合には、フライトコントローラー501は、散布フライトを停止する(ステップ2550)。すなわち、ドローン100の飛行を禁止する、又は飛行中のドローン100の飛行を停止する、又は飛行は許可するが吐出ノズルを閉じる等により液体物の散布を禁止する、又は散布中のドローン100の散布を停止する、若しくは飛行及び散布の両方を停止する。
飛行可能条件を満たすかどうかは例えば以下に列挙するような条件で判定することが想定される。
・流路弁制御部2060が流路弁2240の異常検知機能を備え、流路弁制御部2060が、流路弁2240の故障や破壊等の異常を検知した場合に、飛行条件を満たさないこととする。
・流路弁制御部2060が、流路弁2240の開閉の状況を示す開閉情報を取得し及び記憶し、開閉情報に流路弁2240が開かれたことを示す情報が無く、かつ薬剤タンク104内の液体物の液量が増加している場合に、飛行条件を満たさないこととする。
この他には、補給器2000から散布薬剤を補給した際に、補給器2000や管理サーバ702、管理端末703から液体物の補給に関する補給情報を受信し、タンク側認証部2050に記憶して、散布フライト前に認証する構成とすることもできる。タンク側認証部2050の他に、薬剤タンク104に独立した記憶部を設ける構成であってもよい。
フライトコントローラー501は、タンク側認証部2050から補給情報に、収容されている液体物の補給がなされたことを示す情報が無く、かつ薬剤タンク104内の液体物の液量が増加している場合に、飛行条件を満たさないこととする。
または、ドローン100の通信制御部が補給器2000と通信を行い、補給器2000から散布薬剤を補給した際に補給器2000に記憶される液体物の補給情報を取得し、この補給情報に液体物の補給がなされたことを示す情報が無く、かつ薬剤タンク104内の液体物の液量が増加している場合に、飛行条件を満たさないこととする。
なお、薬剤タンク104はドローン100の本体から着脱可能な構成とすることもできる。
この場合、ドローン100は、着脱可能な薬剤タンク104と通信する通信部を備え、薬剤タンク104が本体に装着された場合に、この通信部が薬剤タンク104と通信を行って、薬剤タンク104がドローン100に装着される前の補給情報をタンク側認証部2050または独立したタンク記憶部から取得する。
又は、補給器と通信する通信部を備え、薬剤タンク104が本体に装着された場合に、通信部が補給器2000と通信を行って、薬剤タンク104がドローン100に装着される前の補給情報を補給器2000から取得する。
この場合、例えば、ドローン100の通信制御部による補給器2000からの補給情報の取得のトリガを、薬剤タンク104がドローン100の本体に装着されたこと検知したタイミングとすることもできる。
なお、薬剤タンク104内の液量が増加したことは、薬剤タンク104内に設けられた水面レベルセンサから取得された情報に基づいて算出することも可能であるし、またはドローン100が飛行する場合の回転翼による推進力に関する情報に基づいて算出することとも可能である。
図26は、別の散布フライト判定処理フロー2600の例である。
この判定処理では、ドローン100の飛行指示を受け付けた場合に、各種センサ2070により取得された薬剤タンク104内の散布薬剤が、予め管理されている液体物の特性と異なっている場合に、何らかの異物が混入されている可能性があると判断して、散布フライトを禁止する。
フライトコントローラー501は、ユーザや管理サーバ702や管理端末703からの散布フライト指示を受け付ける(ステップ2610)。
フライトコントローラー501は、薬剤タンク104に備えられた各種センサ2070により、薬剤タンク104内の液体物の特性情報を取得する(ステップ2620)。
フライトコントローラー501は、取得した液体物の特性情報が、飛行可能条件を満たすかどうかを判定する(ステップ2630)。
各種センサ2070としては、pHセンサ、IMS方式(イオンモビリティスぺクトロメトリー方式)を用いた化合物分析センサ、揮発性検知センサ、粘度検知センサ、レーザーによる透過性検知センサのうちのいずれか又はこれらの組み合わせが想定される。
条件を満たした場合には、フライトコントローラー501は散布フライトを開始する(ステップ2640)。一方条件を満たさなかった場合には、フライトコントローラー501は、散布フライトを停止する(ステップ2650)。すなわち、ドローン100の飛行の禁止を行う、飛行中のドローン100の飛行を停止する、または飛行は許可するが吐出ノズルを閉じる等により液体物の散布を禁止する、散布中である場合には散布を停止する、若しくは飛行及び散布の両方を停止する、等の処理を実行する。
飛行可能条件は、例えば、薬剤タンク104内の散布薬剤が、予め管理されている液体物の特性と同一の特性を有していること、又はほぼ同一の特性を有していること、すなわち散布薬剤の特性から測定誤差や液体物の変化や蒸発等(以下誤差等)を考慮した上で同一の液体物であると特定できる所定の範囲内の特性を有していること、である。
従って、散布薬剤が補給器2000から補給される場合には、補給器2000で管理されている散布薬剤の特性と同一の特性を有しているか、又は散布薬剤の特性から誤差等を考慮した所定の範囲内の特性を有しているか、が判定される。
管理されている液体物の特性とは、例えば補給器2000、管理サーバ702、補給器2000の管理コントローラ2007等により管理されている薬剤タンク104に収容する散布薬剤の特性である。
ここで液体物の特性とは、例えば液体物についての、pHセンサにより検知されるpH、IMS方式(イオンモビリティスぺクトロメトリー方式)を用いた化合物分析センサにより検知されるイオン移動度やイオン質量、スペクトル等、揮発性検知センサにより検知される揮発性ガス、粘度検知センサにより検知される粘度、レーザーによる透過性検知センサにより検知される透過度、等が考えられる。
所定の範囲とは、例えば誤差5%以内等の、測定誤差や若干の変質、希釈等を考慮しても同一の液体物であることを特定できる範囲とするとよい。
なお、ドローン100のWi-Fi子機機能503等の通信部が、補給器2000に収容された液体物の特性に関する液体物情報を管理サーバ702又は管理端末703若しくは補給器2000から受信し、フライトコントローラー501が、この液体物情報を飛行可否判断の基準となる液体物の特性として設定することで、飛行可能条件を設定することができる。
また別には、補給器2000とドローン100とが対応付けられており、補給器2000に収容されている液体物の特性に関する情報を、飛行可否判断の基準となる液体物の特性として設定することで、飛行可能条件を設定することができる。
さらに安全を期すために、通信部が管理サーバ702、管理端末703、又は補給器2000から液体物情報を受信できなかった場合に、フライトコントローラー501が、ドローン100の飛行の停止または液体物の散布の停止を行うこととしてもよい。
また、フライトコントローラー501が、各種センサ2070の故障や破壊等の異常を検知した場合に、ドローン100の飛行の停止または前記液体物の散布の停止を行うこととしてもよい。
また、フライトコントローラー501が、各種センサ2070から液体物の特性に関する情報を取得できなかった場合に、ドローン100の飛行の停止または前記液体物の散布の停止等を行うこととしてもよい。
図25や図26における各種センサ2070からの情報の取得や、飛行可能条件の判定、散布フライトの実行及び停止処理は、フライトコントローラー501が、ソフトウェアによる情報処理を実行することにより実現することができる。
この場合、フライトコントローラー501は、例えば、図25や図26に示すような情報取得や判定処理を行うプログラムを格納したマイクロコンピュータ等で実現することができる。
なお、フライトコントローラー501は、液体物の散布を停止する場合には、例えば吐出ノズルを閉じることにより散布を停止する、または、吐出のためのポンプの駆動を停止する等により液体物の散布の停止を行うことができる。
上述のような液体物の特性に関する情報の取得や、条件との比較の処理、飛行開始及び飛行停止等の飛行制御の処理等はフライトコントローラー501が実行するが、これは予めこのような機能が組み込まれたハードウェアチップにより実現されてもよいし、このような各処理を実行させるための制御プログラムを汎用的なマイクロコントローラ等が実行することにより実現されてもよい。
本実施例に記載の構成によれば、散布フライトに使用される薬剤の管理を行う仕組みを提供することができる。また、薬剤タンク104に対する管理されていない不特定の液体物や化合物等の混入を防ぐことができる。また、例え不特定の液体物や化合物等が薬剤タンク104に混入された場合であっても、ドローン100の散布フライトを停止し、農作物や人体、建造物等に不測の損害を与えることを防止することができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
なお、上述の実施例は少なくとも特許請求の範囲に記載の構成を開示している。
100…ドローン、104…薬剤タンク、701…モバイル端末、702…管理サーバ、703…管理端末、710…基地局、2000…補給器、2010…補給器ノズル、2040…補給口

Claims (8)

  1. 液体物を散布するドローンであって、
    本体と、
    前記本体を飛行させるための複数の回転翼と、
    飛行を制御する制御部と、
    無線通信または有線通信を行う通信部と、
    前記液体物を収容するタンクと、
    を備え、
    前記タンクに前記液体物を補給する補給器と前記ドローンとが対応付けられており、
    前記通信部は、前記補給器に収容されている液体物の特性に関する情報であって、前記タンクに補給された前記液体物に関する情報である液体物情報を受信し、
    前記制御部は、前記補給器から受信した前記液体物情報に基づいて所定の条件を設定するように構成されており、前記液体物情報が前記所定の条件を満たさない場合に、前記制御部は、前記ドローンの飛行の禁止、飛行中の前記ドローンの飛行の停止、前記ドローンによる前記液体物の散布の禁止、散布中の前記ドローンによる散布の停止、の少なくともいずれかを行うドローン。
  2. 前記所定の条件は、前記タンクに収容された前記液体物が、予め管理されている液体物の特性と同一又はほぼ同一の特性を有していることである請求項1に記載のドローン。
  3. 前記ほぼ同一の特性を有しているとは、前記予め管理されている液体物の特性から、測定誤差、当該液体物の変化、又は蒸発を考慮した上で同一の液体物であると特定できる所定の範囲内の特性を有していることである請求項2に記載のドローン。
  4. 前記予め管理されている液体物の特性とは、前記タンクに前記液体物を補給する補給器に収容されている液体物の特性である請求項2又は3に記載のドローン。
  5. 前記通信部が前記液体物情報を受信できなかった場合に、前記制御部が、前記ドローンの飛行の禁止、飛行中の前記ドローンの飛行の停止、前記ドローンによる前記液体物の散布の禁止、散布中の前記ドローンによる散布の停止、の少なくともいずれかを行う請求項1に記載のドローン。
  6. 前記制御部が、前記液体物の特性を取得できなかった場合に、前記ドローンの飛行の禁止、飛行中の前記ドローンの飛行の停止、前記ドローンによる前記液体物の散布の禁止、散布中の前記ドローンによる散布の停止、の少なくともいずれかを行う請求項1~のいずれか1項に記載のドローン。
  7. 液体物を散布するドローンの制御方法であって、
    前記ドローンは、
    本体と、
    前記本体を飛行させるための複数の回転翼と、
    飛行を制御する制御部と、
    無線通信または有線通信を行う通信部と、
    前記液体物を収容するタンクと、
    を備え、
    前記タンクに前記液体物を補給する補給器と前記ドローンとが対応付けられており、
    前記通信部は、前記補給器に収容されている液体物の特性に関する情報であって、前記タンクに補給された前記液体物に関する情報である液体物情報を受信し、
    前記制御部は、前記補給器から受信した前記液体物情報に基づいて所定の条件を設定するように構成されており、前記液体物情報が所定の条件を満たさない場合に、前記制御部は、前記ドローンの飛行の禁止、飛行中の前記ドローンの飛行の停止、前記ドローンによる前記液体物の散布の禁止、散布中の前記ドローンによる散布の停止、の少なくともいずれかを行う
    ドローンの制御方法。
  8. 液体物を散布するドローンの制御プログラムであって、
    前記ドローンは、
    本体と、
    前記本体を飛行させるための複数の回転翼と、
    飛行を制御する制御部と、
    無線通信または有線通信を行う通信部と、
    前記液体物を収容するタンクと、
    を備え、
    前記タンクに前記液体物を補給する補給器と前記ドローンとが対応付けられており、
    前記通信部に、前記補給器に収容されている液体物の特性に関する情報であって、前記タンクに補給された前記液体物に関する情報である液体物情報を受信するステップを実行させ、
    前記補給器から受信した前記液体物情報に基づいて所定の条件を前記制御部に設定させるステップと、前記液体物情報が所定の条件を満たさない場合に、前記制御部に、前記ドローンの飛行の禁止、飛行中の前記ドローンの飛行の停止、前記ドローンによる前記液体物の散布の禁止、散布中の前記ドローンによる散布の停止、の少なくともいずれかを行わせるステップと、
    を実行させるための制御プログラム。
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