JP7459693B2 - センサ装置及び電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
本発明は、上記のような点に着目し、センサの何れかが故障した場合にも、検出対象となる物理量の出力を継続可能で、且つ他の部品の故障を抑制可能なセンサ装置及び電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
図1は、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置の全体構成を示す図である。
本実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、モータ11を制御して、ステアリング軸3にトルクを加えるEPS(Electric Power Steering)である。
本実施形態に係る電動パワーステアリング装置1では、図1に示すように、ステアリングホイール2のステアリング軸3は、減速ギア4、ユニバーサルジョイント5a及び5b、ラック・ピニオン機構6、タイロッド7a,7bを経て、更にハブユニット8a,8bを介して操向車輪9L,9Rに連結されている。また、ステアリング軸3のステアリングホイール2側には、ステアリングホイール2の操舵トルクTdを検出するためのセンサユニット10が取り付けられており、ステアリング軸3のラック・ピニオン機構6側には、操舵を補助するアシストトルクを発生するモータ11が減速ギア4を介して連結されている。また、モータ11には、モータ11の回転角θmを検出するためのセンサユニット12が取り付けられている。センサユニット10,12の出力信号は、電動パワーステアリング装置1を制御するためのコントロールユニット13(ECU:Electronic Control Unit)に出力される。コントロールユニット13にはバッテリ14から電力が供給される。
なお、本実施形態では、モータ11として、2系統の巻線組36,37を有する三相ブラシレスモータを用いる例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、3系統以上の複数系統の巻線組を有する三相ブラシレスモータを用いる構成としてもよい。
異常判定部46は、トルクセンサ15,16毎に、トルクセンサ15,16の出力信号に基づき、トルクセンサ15,16の出力信号の異常判定を行う。具体的には、出力信号の波形に基づく異常判定(以下、「第1の異常判定」とも呼ぶ)、異常判定信号ビットに基づく異常判定(以下、「第2の異常判定」とも呼ぶ)、及びトルク値に基づく異常判定(以下、「第3の異常判定」とも呼ぶ)を実行する。なお、本実施形態では、第1~第3の異常判定の3つを行う例を示したが、これらのうちの1つ又は2つを行う構成としてもよい。
電力供給部49は、第1の電源IC51を介して第1のトルクセンサ15に電力を供給する。同様に、第2の電源IC52を介して第2のトルクセンサ16に電力を供給する。
選択処理が実行されると、図4A及び図4Bに示すように、まず、そのステップS101で、判定実行部47は、異常判定部46から換算トルク値Td1,Td2,Td3,Td4及び判定結果を取得する。
続いてステップS102に移行して、判定実行部47は、この選択処理による過去の判定結果に基づき、第1のトルクセンサ15が故障しているか正常であるかを判定する。なお、「選択処理による過去の選択結果」の初期値としては、第1のトルクセンサ15が正常である、という判定結果を設定しておく。そして、判定実行部47は、第1のトルクセンサ15が故障していると判定した場合には(図4AのステップS102の「故障」)、ステップS107に移行する。一方、第1のトルクセンサ15が正常であると判定した場合には(図4AのステップS102の「正常」)、ステップS103に移行する。
ステップS104では、演算部50は、ステップS101で取得した換算トルク値Td1,Td2に基づき操舵トルクTdとして(Td1+Td2)/2を演算し、演算値(Td1+Td2)/2を選択操舵トルクTsとしてアシスト制御部44に出力した後、ステップS113に移行する。即ち、正常であると判定された第1のトルクセンサ15の出力信号に基づく操舵トルクTdの演算値((Td1+Td2)/2)を出力する。
ステップS108では、判定実行部47は、ステップS101で取得した判定結果に基づき、第2のトルクセンサ16の出力信号が異常であるか正常であるかを判定する。そして、出力信号が異常であると判定した場合には(図4AのステップS108の「異常」)、ステップS110に移行する。一方、出力信号が正常であると判定した場合には(図4AのステップS108の「正常」)、ステップS109に移行する。
これらステップS102「正常」,S103「異常」,S105「No」,S107「正常」,S108「正常」及びS109のフローにより、図7の時刻t3~t4に示すように、第1のトルクセンサ15及び第2のトルクセンサ16が正常であると判定されていたときに、第1のトルクセンサ15の出力信号が異常であると判定される異常状態が、第2の所定時間(10msec.)継続した場合には、第2のトルクセンサ16の出力信号のみに基づく操舵トルクTdの演算値((Td3+Td4)/2)が出力される。これにより、最新の演算値を出力することができ、選択操舵トルクTsの精度を向上することができる。
これらステップS102,S107及びS112のフローにより、トルクセンサ15,16の両方が故障していると判定された場合には、操舵トルクTdの演算値として「0」Nmが出力される。これにより、故障したトルクセンサ15,16の出力信号が用いられずに済み、モータ11による運転者が意図しないアシストトルクの発生等を防止できる。
ステップS114では、判定実行部47は、ステップS101で取得した判定結果に基づき、第1のトルクセンサ15の出力信号が異常であるかを判定する。そして、出力信号が異常であると判定した場合には(Yes)、ステップS115に移行する。一方、出力信号が正常であると判定した場合には(No)、ステップS117に移行する。
ステップS119では、判定実行部47は、ステップS101で取得した判定結果に基づき、第2のトルクセンサ16の出力信号が異常であり、異常であると判定されてからの経過時間が第2の所定時間(10msec.)以上であるかを判定する。そして、第2の所定時間以上であると判定した場合には(Yes)、ステップS120に移行する。一方、第2の所定時間未満であると判定した場合には(No)、この選択処理を終了する。
電流指令値演算部53は、トルクセンサ信号処理部43が出力する選択操舵トルクTsに基づき、操舵トルクTdに対応するアシストトルクをモータ11に発生させるための電流指令値Iref1を演算する。即ち、電流指令値演算部53では、トルクセンサ15,16の出力信号に基づき電流指令値Iref1を演算している、と言える。電流指令値Iref1の演算方法としては、例えば、図9に示すように、操舵トルクTdと、操舵トルクTdに対応するアシストトルクをモータ11に発生させる電流指令値Iref1との関係を表すアシストマップを用いる方法を採用できる。図9では、車速毎のアシストマップを例示している。
電流指令値補償部54は、電流指令値演算部53で演算された電流指令値Iref1に補償信号を加算して電流指令値Iref2を演算する。補償信号としては、例えば、ハンドル戻し制御トルク、ブレーキシビー補償トルク、収れん制御トルク等のための信号を採用できる。
故障判定部55は、回転角センサ26,27,28の故障判定及び電流センサ40,41の故障判定を実行し、これらの故障判定の判定結果をモータ制御部56に出力する。
回転角センサ26,27,28の故障判定では、回転角センサ26,27,28の出力信号に基づき、出力信号の波形に基づく異常判定、及び回転角に基づく異常判定を実行する。
出力信号の波形に基づく異常判定では、第1の回転角センサ26の出力信号を構成するsin信号の振幅及びcos信号の振幅の少なくとも一方が所定範囲外であるかを判定し、所定範囲外であると判定された場合に、第1の回転角センサ26の出力信号が異常であると判定する。同様に、第m(m=2,3)の回転角センサ27,28の出力信号を構成するsin信号の振幅及びcos信号の振幅の少なくとも一方が所定範囲外であるかを判定し、所定範囲外であると判定された場合に、第mの回転角センサ27,28の出力信号が異常であると判定する。これにより、回転角センサ26,27,28の出力信号の異常を容易に判定できる。
なお、出力信号の波形に基づく異常判定、及び回転角に基づく異常判定の何れにおいても「異常」であると判定されなかった出力信号については、「正常」であると判定する。
電流指令値制限部57は、故障判定部48による判定結果、及び故障判定部55による判定結果に基づき、複数のトルクセンサ15,16、複数の回転角センサ26,27,28及び複数の電流センサ40,41の全センサのうちの1つだけが故障しているかを判定する。そして、1つだけが故障していると判定された場合には、電流指令値補償部54で演算された電流指令値Iref2の上限値を制限する。電流指令値Iref2の上限値を制限する方法としては、例えば電流指令値Iref2が予め定めた制限値Ithより大きいかを判定し、制限値Ith以下であると判定した場合には、電流指令値Iref2を電流指令値Iref3として出力し、制限値Ithより大きいと判定した場合には、制限値Ithを電流指令値Iref3として出力する方法を採用できる。なお、制限値Ithは、30Nm~40Nmの値とすることができる。これにより、電流指令値補償部54で加算される補償信号の影響を無視して考えると(加算値「0」)、全センサが正常であると判定された場合には、図9に示したアシストマップによる電流指令値Iref1が電流指令値Iref3として出力され、全センサのうちの1つだけが故障していると判定された場合には、図12に示したアシストマップによる電流指令値Iref1が電流指令値Iref3として出力される。なお、図9に示すアシストマップと図12に示すアシストマップの横軸および縦軸の尺度は同一である。
また、例えば、異常であると判定されたトルクセンサ15,16への電力供給を継続するセンサ装置に比べ、無駄な電力消費を抑制でき、また無駄な演算処理を停止できる。
また、2つ以上のセンサが故障した場合にモータ11の駆動が停止されるため、モータ11によるトルクの発生が停止され、アシストトルクの発生が停止される。それゆえ、モータ11の動作継続に伴う連鎖的なセンサの故障等の不具合拡大を防止できる。また、連鎖的なセンサの故障が生じた場合にも、モータ11による運転者が意図しないアシストトルクの発生を防止できる。
(1)なお、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置1では、故障判定部48が、トルクセンサ15,16の故障判定を行い、故障判定部55が、回転角センサ26,27,28及び電流センサ40,41の故障判定を行う例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、故障判定部55が、回転角センサ26,27,28及び電流センサ40,41の故障判定に加え、インバータ38,39の故障判定を行う構成としてもよい。
Claims (7)
- 第1の物理量に関する第2の物理量に応じた信号を出力する複数の素子、及び前記素子からの信号を含む信号を出力する出力部を有する複数のセンサと、
前記センサの出力信号に基づき、前記センサの故障判定を行う故障判定部と、
正常であると判定された前記センサの出力信号に基づく前記第1の物理量の演算値を出力する演算部と、
前記センサに電力を供給する電力供給部とを備え、
前記故障判定部は、前記センサの故障判定において、前記センサ毎に、前記センサの出力信号に基づき、前記センサの出力信号の異常判定を行い、前記センサの出力信号が異常であると判定される状態が予め定められた所定時間継続した場合に、前記センサが故障していると判定し、更に、故障していると判定された前記センサの故障判定を停止し、正常であると判定された前記センサの故障判定を継続し、
前記電力供給部は、故障していると判定された前記センサへの電力供給を停止し、正常であると判定された前記センサへの電力供給を継続するとともに、
複数の前記センサは、第1及び第2のセンサであり、
前記故障判定部は、前記第1のセンサの出力信号が異常であると判定される状態が第1の所定時間継続した場合に、前記第1のセンサが故障していると判定し、
前記演算部は、前記第1のセンサが正常であると判定されているときに、前記第1のセンサの出力信号が正常であると判定された場合には、前記第1のセンサの出力信号のみに基づく前記第1の物理量の演算値を出力し、前記第1のセンサが正常であると判定されているときに、前記第1のセンサの出力信号が異常であると判定された場合には、異常であると判定される前に前記第1のセンサが出力していた出力信号に基づく前記第1の物理量の演算値を出力し、前記第1及び第2のセンサが正常であると判定されているときに、前記第1のセンサの出力信号が異常であると判定される異常状態が前記第1の所定時間よりも短い第2の所定時間継続したと判定された場合には、前記第2のセンサの出力信号のみに基づく前記第1の物理量の演算値を出力する
センサ装置。 - 前記故障判定部は、前記センサ毎に、前記センサの出力信号の波形が予め定められた基準を満たすかを判定し、満たさないと判定した場合に、前記センサの出力信号が異常であると判定する
請求項1に記載のセンサ装置。 - 前記出力部は、前記素子毎に、前記素子が故障しているかを判定して、判定結果を示す異常判定情報及び前記素子の出力信号を含む信号を出力し、
前記故障判定部は、前記センサ毎に、前記センサの出力信号が含む前記異常判定情報に基づき、前記センサの出力信号が異常であるかを判定する
請求項1又は2に記載のセンサ装置。 - 前記故障判定部は、前記センサ毎に、前記素子の出力信号に基づいて前記素子毎の前記第1の物理量を演算し、演算した前記第1の物理量間の差に基づき、前記センサの出力信号が異常であるかを判定する
請求項1から3の何れか1項に記載のセンサ装置。 - 前記故障判定部は、前記第2のセンサの出力信号が異常であると判定される状態が前記第2の所定時間継続した場合に、前記第2のセンサが故障していると判定する
請求項1から4の何れか1項に記載のセンサ装置。 - 前記第1の物理量は、操舵トルクであり、
前記演算部は、前記第1及び第2のセンサの両方が故障していると判定された場合には、前記第1の物理量の演算値として「0」Nmを出力する
請求項1から5の何れか1項に記載のセンサ装置。 - 請求項1から6の何れか1項に記載のセンサ装置と、
操舵を補助するアシストトルクを発生するモータとを備え、
前記第1の物理量は、操舵トルクであり、
前記操舵トルクに基づき、前記モータを制御するモータ制御部を更に備える
電動パワーステアリング装置。
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