JP7455346B2 - ケイ酸水溶液の製造方法 - Google Patents

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Description

特許法第30条第2項適用 平成30年9月10日発行の刊行物で発表
本発明は、抗火石由来の水溶性のオルトケイ酸を含有するケイ酸水溶液の製造方法に関する。
従来、抗火石を用いて水を改質する技術が知られている。たとえば特許文献1では、抗火石の加工品に水を接触させることにより、水の表面張力を低下させることが開示されている。また、同じく特許文献1では、水の表面張力を低下させることで、油中に微細な水滴が細かく均一に分散して長時間にわたりエマルジョン状態を維持し、着火安定性に優れたエマルジョン燃料を製造する油中水滴型エマルジョン燃料を製造することも開示されている。
特開2008-63355号公報 特開2011-174064号公報 特許3728314号公報
五十嵐正安ら、2017/07/27 Nature Communications
日本機能水学会の定義によれば、機能水とは「人為的な処理によって再現性のある有用な機能を獲得した水溶液の中で、処理と機能に関して科学的根拠が明らかにされたもの、及び明らかにされようとしているもの」と定義されている。「水溶液」である以上は、その性質は溶質の種類と量と、水溶液が置かれた温度と圧力によって決まってしまう。まずは、水分子以外の物質の種類と量を評価することが重要である。さらに液体構造にまで踏み込む場合は、溶質の周りの水の配置を調べたりしなければならない。
従来、抗火石を用いた水の改質技術において、有用な特性を有する改質水を製造することができるが、このような水を機能水として世に送り出す試みは未だなされていない。そこで、本発明は、抗火石を用いた水を機能水として提供することを目的とする。
また、本発明は、機能水としての抗火石を用いた水の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るケイ酸水溶液の製造方法は、溶質として抗火石由来の環状六量体のオルトケイ酸イオンを含み、ケイ素の含有量が水道水のそれより高い、20℃において比重が1を超える性質のケイ酸水溶液が、さらに水晶石由来の水溶性ケイ素、または、植物由来の水溶性ケイ素を含有する、環状六量体のオルトケイ酸イオンの含有量を高めるための水溶液である、ケイ酸水溶液の製造方法であって、抗火石および抗火石を原料とするセラミックス焼成体を充填した造水器内を、原水を複数回循環させた後に、水晶石由来の水溶性ケイ素、または、植物由来の水溶性ケイ素を添加し、水晶石由来の水溶性ケイ素、または、植物由来の水溶性ケイ素を添加した状態で、鉛直方向の振動を付与する
上記ケイ酸水溶液の製造方法において、前記鉛直方向の振動は周波数が7~14Hzであるように構成することができる。
本発明によれば、機能水としての抗火石を用いた水の製造方法を提供することができる。
非特許文献1に示された2量体、環状3量体、または環状4量体のケイ酸イオンの構造を抜粋して示す図面である。 本実施形態に係るケイ酸水溶液のオルトケイ酸イオンの環状六量体構造を説明するための図面である。 本実施形態に係るケイ酸水溶液のオルトケイ酸イオンが環状六量体構造で水に溶出されことを説明するための図面である。 第1実施形態に係るケイ酸水溶液の光学顕微鏡写真である。 第1実施形態に係るケイ酸水溶液の光学顕微鏡写真である。 第1実施形態に係るケイ酸水溶液の集合体を説明するための図である。 第1実施形態に係るケイ酸水溶液のゼータ電位および平均粒子径を説明するためのグラフである。 第1実施形態に係るケイ酸水溶液を泡立てた泡の光学顕微鏡写真である。 第1実施形態に係るケイ酸水溶液の比重の分析結果を示す図である。 第1実施形態に係るケイ酸水溶液を用いたゆずの育成試験の結果を示す図である。 第1実施形態に係るケイ酸水溶液を用いたコンクリートの製造試験の結果を示す図である。 第1実施形態に係るケイ酸水溶液の製造システムの構成図である。 本実施形態に係る造水器の構成図である。 第1実施形態に係るケイ酸水溶液を製造する際の造水器の循環時間と水温との関係を示すグラフである。 本実施形態に係るケイ酸水溶液のラジカル消去活性の測定結果を示すグラフである。 本実施形態に係るケイ酸水溶液のキノコ成分の抽出結果を示すグラフである。 第2実施形態に係るケイ酸水溶液の製造システムの構成図である。 第2実施形態に係るケイ酸水溶液の光学顕微鏡写真である。 第3実施形態に係るケイ酸水溶液の製造方法を説明するための図である。
以下に、本発明に係るケイ酸水溶液およびケイ酸水溶液の製造方法の実施形態を、図に基づいて説明する。本実施形態に係るケイ酸水溶液は、水溶性のオルトケイ酸を含み、25℃における比誘電率が30未満であり、20℃における比重が1を超えることを特徴とする。
(第1実施形態)
第1実施形態に係るケイ酸水溶液は、抗火石由来の水溶性のオルトケイ酸を含む水である。
ケイ素には、植物性、鉱物性、珪藻質の3つの由来があり、また、ケイ素はその原料や存在形態などにより溶解度が異なり、水にほとんど溶けださないようなものから溶けやすいものまでさまざまである。ケイ素(シリコン、Si)は酸素に次いで地殻上に二番目に多く存在する元素であり、主に鉱物の主成分として存在している。地球上におけるケイ素の循環は、海洋における主要な一次生産者である珪藻に始まる。珪藻の生育には、被殻の材料となる可溶性のケイ酸(Si[OH])が必須であり、大量のケイ素が取り込まれる。ケイ酸は主に鉱物(鉱物態シリカ)の風化作用によって生じ、それが河川を通じて海洋に流れ込むことで供給される。ケイ酸は珪藻に取り込まれ、生物態シリカへと変換される。シリカ被殻の比重は大きいため、珪藻やその遺骸は徐々に深層へと沈降する。また、珪藻が動物プランクトンなどに捕食されて生じる糞粒としても生物態シリカは有機物とともに沈降する。生物態シリカは非晶質であるため比較的溶解しやすく、大半は沈降の過程で再度溶解して可溶性のケイ酸に戻るが、一部は海底へと到達する。この過程で、有機物も一緒に海洋深層に沈降するため、シリカの沈降は炭素を海洋表層(有光層)から海洋深層へと引き込む「生物ポンプ」として機能している。沈降して堆積したシリカは、長い時間をかけて鉱物態シリカへと変化する。
鉱物の主成分として存在するケイ素は、地殻では酸素に次いで豊富に存在し、さまざまな酸化物やケイ酸塩が石英、長石、水晶、ザクロ石、オパール、雲母、石綿などの鉱物の形で産出する。水溶性ケイ素としてはケイ素やアルミナに近い成分の天然石を水と接触させ、水に溶出した水溶性ケイ素を用いることができる。自然界には石などから溶出したごく低濃度のオルトケイ酸がある(海水中の平均濃度0.00673g/l)と報告されている(非特許文献1)ように、水溶性ケイ素はオルトケイ酸塩である。
本実施形態では、抗火石を原水(たとえば水道水や井戸水)と接触させてオルトケイ酸(水溶性ケイ素)を原水中に溶出させることで、ケイ酸水溶液を製造することができる。ここで、抗火石とは、軽石の一種であり、スポンジ状の構造を持つガラス質であり、伊豆諸島の新島、式根島、神津島、伊豆半島の天城山などで産出される。また、抗火石は、たとえば新島産は石英の粒が付いており、天城産は玄武岩質のものが付着しているなど産地に応じて特徴がある。本実施形態に係るケイ酸水溶液では、天城山で産出される抗火石を用いることが好ましい。天城山で産出される抗火石は、たとえば特許文献2によると、ケイ酸73~77%、アルミナ13~15%が主成分で、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、その他よりなる独立気泡の多孔質ガラス質の天然セラミックスである。ケイ素やアルミナに近い成分の石は遠赤外線が出やすいことが知られている。
抗火石を通水してケイ酸水溶液を製造する場合、抗火石由来のオルトケイ酸を単に含有するだけではなく、抗火石により以下のような効果を付与することができる。すなわち、ケイ素やアルミナに近い成分の石は遠赤外線を出しやすいことが知られており、食品や微生物の組成の大部分を占める水や有機物質は遠赤外線をよく吸収し、遠赤外線は食品や人体に対して危険性は極めて少ないため、食品等に使用する場合の殺菌効果を有する。また、遠赤外線を吸収した物体は分子が振動することで、物体の温度を上げるとともに、水分子を細かくし、水の中に混入されている汚染物質を取り除くことで、水は酸性から弱アルカリになり、水を浄化する作用を有している。また、4~14ミクロンの太陽光線に含まれる電磁波の遠赤外線微弱エネルギーの振動によって長い水の重合を切断し、比重が増加する。また、遠赤外線により抗菌、脱臭、防カビの作用を有すると共に、ケイ酸塩(シリカ)は殺菌、抗菌、防カビ、防臭の作用を有して、ケイ酸が多くなると水はカビの発生のない腐らない水ともなる。
天城抗火石(石英粗面岩)は、マグマ(13000~15000℃)が噴火で流出し、黒曜石の層で急冷された多孔質の鉱物である。成分は、シリカ(SiO)73~77%、アルミナ(Al)13~15%、石灰(CaO)1~2%、苦土(MgO)0.65~0.77%、その他7.3~9%であり、外力により特定の振動周期をもつ性質があり、その性質が水に入れると水分子に影響を与える。化学的には、天城抗火石を水に入れると、常時0.4ppm以上のオルトケイ酸HSiOが溶出していることが知られている。
我々が利用できる地球殻を構成する物質の最大のものはケイ酸である。ケイ酸はケイ素(27.9%)と酸素(46.9%)が化合したもので岩や石の60~70%がケイ酸でできており、ゆえに不足することのない物質と言われてきた。植物が利用可能かどうかという点で肥料成分を見たのが可給態というものであるところ、植物が吸収することが出来るのは、可給態のケイ酸である。ケイ酸は原則水溶性ではなく、水溶性にもっとも近いケイ酸が求められている。真の水溶液といえる単分子や少分子のケイ酸は+イオンを捕まえる酸素の手を外へ数多く伸ばしているが、中高分子のコロイド溶液のケイ酸では内部はスクラム状態になって、外へ伸びる酸素の手は激減している。ケイ酸イオンが単独,鎖状,平面,三次元と変化するにつれて,Si1個当たりの相手陽イオンの電荷数は減少する。縮合の進んだケイ酸イオンの場合ほど鉱物、さらにそれがつくる岩石中での金属イオン含有量が少なくなる。
水道水にはケイ素が含まれるが、水道水に含まれるケイ素は、主に二酸化ケイ酸である。天然水中の溶存シリカの定量は何十年も前から大問題であって、元々どのような化学形であるのかさえ現在でもはっきりしていない。大部分はコロイド状ケイ酸(つまりシリカゾル)だといわれているが、二酸化炭素のとけ込んだ天然水では、いろいろな重合度の水和二酸化ケイ素の存在が考えられ、以前からもっぱら使われてきた比色分析法(ケイモリブデン酸を還元してモリブデンブルーをつくらせる)などでもなかなか再現性のよい結果が得られないのが現状である。わが国の水道水の場合には、溶存シリカの量は微々たるもので、カルシウムイオン濃度に比べると一桁以上は低い。
これに対して、本実施形態に係るケイ酸水溶液は、真の水溶液といえる単分子や少分子のケイ酸、オルトケイ酸を主に含むことを特徴とする。非特許文献1によると、「自然界には石などから溶出したごく低濃度のオルトケイ酸がある(海水中の平均濃度0.00673g/l)。植物(特にイネ科)は、天然のオルトケイ酸を吸収し、もみ殻や茎、葉などにシリカを蓄積させて、物理的に丈夫になるだけでなく、害虫や病原菌を防いでいる。また、天然水や麦(イネ科)から作られる飲料など(ビールなど)にはオルトケイ酸が溶け込んでおり、動物の骨や髪、皮膚、爪などの体組織の一部の原料となっている。動植物がオルトケイ酸を取り込むメカニズムの詳細を明らかにするためにも、オルトケイ酸の分子構造の解明が求められてきた。」そして、「オルトケイ酸の脱水縮合の過程で生成すると考えられているオリゴマー(2量体、環状3量体、環状4量体)も、同様の反応により合成し、X線結晶構造解析によってそれらの構造を明らかにした。」としている。このような分子構造でオルトケイ酸が自然界において存在するのである。上記論文に示された2量体、環状3量体、または環状4量体のケイ酸イオンの構造を抜粋して図1に示す。
自然界特に地球表面付近はケイ酸塩の世界といってもよいほどケイ酸塩は多く存在しており、ケイ酸イオン(SiO 4-、オルトケイ酸イオンともいう)の塩は自然界に広く分布している。それらをケイ酸イオンの構造に基づいて分類すると、単独、短鎖(一次元)、複鎖(一次元)、平面(二次元)、三次元のように整理され、この分類は普遍的に存在する造岩鉱物を鉱物学で分類する方法にも関係が深い。ケイ酸イオンの構造と造岩鉱物について、単独のイオンとしてカンラン石族の鉱物を造るのはSiO 4-であるが、これが線状につながったものにSiO 2-、Si11 6-があり、それぞれ輝石族、カクセン(角閃)石族の鉱物を与える。さらに縮合が面内に広がるとSi 2-の組成となり、雲母族鉱物を形成するが、これらは薄くはがれやすい。末端の-O-がなくなって、すべてSi-O-Siの共有結合で3次元に結び付いたのが二酸化ケイ素SiOである。
これらに共通な構造として、Si原子周りはほぼ正四面体であるが、-O-部分は色々の角度をもつものがあり、ケイ酸塩の多様性の原因となる。分子量の大きい縮合ケイ酸イオンのSi原子の一部をAl3+イオンで置き換えたものがアルミノケイ酸イオンで、その塩が長石族として自然界に広く分布している。遊離のケイ酸は得られないけれども,このように縮合ケイ酸塩は地球の主成分といってもよい。ケイ酸イオンの縮合が進むに伴い、Si原子1個当たりが担う負イオン価は減少する。すなわちケイ酸イオンが単独、鎖状、平面、三次元と変化するにつれて、Si1個当たりの相手陽イオンの電荷数は減少し、カンラン石がSi1個でMg2+2個を必要としたのに、雲母ではSi2個でMg2+1個で電荷が中和されている。縮合の進んだケイ酸イオンの場合ほど鉱物,さらにそれがつくる岩石中での金属イオン含有量が少なくなる。
本実施形態に係るケイ酸水溶液に含まれるオルトケイ酸は、図2に示すように、環状六量体として、その多くが存在している。これは、抗火石に含まれるアルミニウムが、それを核としてケイ素が6個以上結合した非晶質のアロフェン、モンモリロナイト、サポナイトの一種の様相を呈する。ただし、アロフェンは、アモルファスまたは結晶化度の低い水和アルミニウムケイ酸塩でできた粘土準鉱物である。 化学組成は、SiO・Al・HOである。モンモリロナイトは、鉱物(ケイ酸塩鉱物)の一種で、スメクタイトグループに属する。化学組成はNa0.66Si(Al3.34Mg0.66)O20(OH)。結晶系は単斜晶系。粘土鉱物の一つ。サポナイトは、粘土鉱物の一種モンモリロナイト族の中でMgに富む種。Na0.66(Si7.34l0.66)Mg20(OH)の組成であるが、Mgの一部をAlで置換した種をアルミニアンサポナイトと呼ぶ。
抗火石よりケイ素0.4ppm、マグネシウム0.2ppm溶出するが、アルミニウムは全く溶出しない。アルミニウムは分子量の大きい縮合ケイ酸イオンのSi原子の一部をAl3+イオンで置き換えたアルミノケイ酸イオンとして存在し、図3に示すように、オルトケイ酸がアルミニウムとアルミナ8面体を構成し、ケイ酸は+イオンを捕まえる酸素の手を外へ数多く伸ばしているため酸素と水が結合して、ケイ酸のみがケイ酸のオリゴマー環状六量体として水に溶出されると考えられる。
このように、ケイ酸水溶液は、オルトケイ酸が環状六量体を形成することで、構造的に安定化する。オルトケイ酸は六量体では、単量体や二量体などの低量体と比べて、外側表面がより多く負に帯電するため、外側表面に水分子が結合または引き寄せられてケイ酸を核とする水の集合体を形成することができる。
通常、溶媒中の水分子は、水分子が単体で浮遊している状態と、ある程度寄り集まって集合体を形成している状態とが併存していると考えられている。純水では、水分子同士が水素結合だけで集合体を形成するが、本実施形態に係るケイ酸水溶液では、図2に示すように、オルトケイ酸の六量体が化学結合により結合されているとともに、オルトケイ酸の六量体の周りに水分子が電気的に結合するため、純水と比べて強固な集合体を形成する。一方で、本実施形態に係るケイ酸水溶液の水の形態は、水道水と比べて、集合体の径が小さくなる。液相中での水のネットワーク構造は極めて寿命が短く、絶えず別のネットワーク構造へと変化し、特定の構造が記憶されることはないとされてはいるが、動的行動をとる集合体の径が小さくなる分、浸透性は高くなる。たとえば、水道水の集合体の径は200nm程度であるのに対して、本実施形態に係る水溶液の水の集合体の径は80~100nmとなる。
ここで、図4は、第1実施形態に係るケイ酸水溶液の光学顕微鏡写真の図であり、400倍に拡大したものである。また図4に示す光学顕微鏡写真は、特許文献3に記載の方法で観察したものであり、具体的には、光学顕微鏡観察用ガラスの上に試料(ケイ酸水溶液または水道水)を1~2滴滴下し、観察用ガラスの下より火炎を当てて試料を加熱乾燥した。このとき、析出物質が乾燥し過ぎて物質変化を起さない様に注意し、肉眼で水分が視認できなくなった直後に乾燥を止め、析出物質を析出顕在化させる。析出顕在化した析出物質のカバーガラスをかけないでプレパラートとする。その後、10~30秒程度でプレパラートが素手でつかめる温度になったらプレパラートを光学顕微鏡にセットして析出顕在化した析出物質の結晶を観察したものである。図4に示すように、本発明のケイ酸水溶液の水は一定の粒子径を有する集合体を含むことが分かる。
また、図5は、図4と同様に、本実施形態に係るケイ酸水溶液を光学顕微鏡で撮影した写真を示しており、図5では、異なるエネルギー状態におけるケイ酸水溶液の光学顕微鏡写真を示している。具体的には、図5(A)はエネルギー状態が比較的小さくケイ酸と水分子との集合体(一次集合体)が少ない状態におけるケイ酸水溶液の光学顕微鏡写真であり、図5(B)はエネルギー状態が比較的大きくケイ酸と水分子との集合体(一次集合体)が比較的多い状態におけるケイ酸水溶液の光学顕微鏡写真であり、図5(C)はエネルギー状態がさらに大きくケイ酸と水分子との集合体(一次集合体)がさらに多い状態におけるケイ酸水溶液の光学顕微鏡写真である。なお、図5(A)~(C)は、図4と同様に、本実施形態に係るケイ酸水溶液を微乾燥させて観察した写真である。ケイ酸水溶液のエネルギー状態は、外部からケイ酸水溶液にエネルギーが付与されることで変化し、本実施形態では、後述するように、抗火石を有する造水器30を循環させる回数が多いほど、抗火石から放射された赤外線やα線によりケイ酸水溶液にエネルギーが蓄積され、そのエネルギー状態に応じて、図5(A)~(C)に示すように、集合体の形態が変化する。
水分子同士は、水分子の水素原子が他の水分子の酸素原子に引きつけられて水素結合を行っているが、本実施形態に係るケイ酸水溶液では、ケイ酸が存在し、水分子の水素原子は、他の水分子の酸素原子よりも、ケイ酸の酸素原子に強く引きつけられると考えられる。そのため、本実施形態に係るケイ酸水溶液では、図2または図3に示すように、ケイ酸と水分子とが強く結合し、直径2nm以下の大きさの一次集合体を構成していると考えられる。また、ケイ酸水溶液では、一次集合体が多く存在することで、図5(A)に示すように、直径2nm以下の一次集合体同士が互いに集合し、直径0.4~1.2?m程度の二次集合体を形成すると考えられる。ここで、図6は、本実施形態に係るケイ酸水溶液の一次集合体および二次集合体を説明するための図であり、図6(A)は図5(A)に示す球状の二次集合体を、図6(B)は図5(A)に示すドーナツ状の二次集合体を図示したものである。
図6(A)に示すように、二次集合体の大きさが直径0.4~0.8μm程度である場合には、二次集合体内での電気的反発は強くないため、二次集合体は球状の形態をとる。しかしながら、ケイ酸水溶液のエネルギー状態が高くなると、二次集合体の大きさは大きくなり、二次集合体内での電気的反発が強くなるため、二次集合体が一体的に集合することができず、図6(B)に示すように、二次集合体は全体の直径が0.8~1.2μmのドーナツ状(中空型粒子)となる。図5(A)に示すケイ酸水溶液では、ケイ酸水溶液の二次集合体が図6(A)および図6(B)に示すように、主に球状またはドーナツ状の形態をとっているものと考えられる。さらに、ケイ酸水溶液のエネルギー状態が高くなると、ケイ酸水溶液の二次集合体は、図5(B)に示すように観察される。図5(B)に示す二次集合体は全体で直径1.5~2.5μmの大きさであり、二重層状となっている。これは、二次集合体がさらに大きくなり二次集合体内での電気的反発がさらに強くなることで、図6(C)に示すように、二次集合体が二重の層構造(三層型粒子)を形成したためと考えられる。さらにケイ酸水溶液のエネルギー状態が高くなると、ケイ酸水溶液の二次集合体は、図5(C)に示すように観察される。図5(C)に示す二次集合体は全体で直径3.0~6.0μm程度の大きさであり、多重層状となっている。これは、二次集合体内での電気的反発がさらに強くなり、図6(D)に示すように、二次集合体が多重の層構造を形成したためと考えられる。なお、エネルギー状態が一定を超えると、二次集合体は反対に、図6(D)から図6(C),(B)に示す形態へと形態を変化させることも分かっている。
このように、本実施形態に係るケイ酸水溶液では、ケイ酸‐水分子の一次集合体が様々な形態で集合しているが、いずれの形態においても集合体の表面は負に帯電する。これは、ケイ酸水溶液では、水分子のうち正電荷を有する水素原子がケイ酸の酸素原子に強く引きつけられるため、一次集合体の表面は負に帯電するためと考えられる。実際に、本実施形態に係るケイ酸水溶液のゼータ電位を測定してみると、水道水(一般的な水道水の平均値)と比べてゼータ電位は高く(負の値が大きく)なっている。具体的には、水道水のゼータ電位は-10~-15mV程度となるが、本実施形態に係るケイ酸水溶液ではゼータ電位は-20mV以下、好ましくは-30mV以下となる。ここで、図7は、本実施形態に係るケイ酸水溶液のゼータ電位および平均粒子径の測定結果の一例である。図7において、(A)は水道水のゼータ電位、(B)および(C)は本実施形態に係るケイ酸水溶液のゼータ電位の一例を示している。図7に示す例では、(A)の水道水ではゼータ電位は-17mVであり、(B)のケイ酸水溶液のゼータ電位は-68mVであり、(C)のケイ酸水溶液のゼータ電位は-36mVとなった。なお、(B)と(C)のケイ酸水溶液は、抗火石に水を浸した時間が異なり、エネルギー状態が異なるものである。
また、本実施形態に係るケイ酸水溶液では、抗火石から放射される低線量のα線により、水道水と比べて、水分子の解離度が大きく(解離指数が小さく)、多くの水分子が水素イオン(H)と水酸化物イオン(OH)とに分離し、ヒドロニウムイオン(H)およびヒドロキシルイオン(H )として多く存在している。なお、本実施形態に係るケイ酸水溶液において、水分子の解離度が水道水と比べて大きいことは、電気伝導率を測定することで実証されている。
このようなことから、本実施形態に係るケイ酸水溶液では、水道水と比べて、水分子の水素原子がケイ酸の酸素と結合しやすく、集合体の表面は負に帯電しやすくなっていることがわかる。そして、本実施形態に係るケイ酸水溶液では、表面が負に帯電することで、正に帯電しているゴミを引き寄せて除去することができ高い洗浄力を発揮することができる。さらに、本実施形態に係るケイ酸水溶液では、有機物のゴミをヒドロキシラジカルで酸化分解することもできるため、この点からも高い洗浄力を発揮することがわかる。また、本実施形態に係るケイ酸水溶液では、水分子の解離度が大きいため(解離指数が小さいため)、後述するように比誘電率も、水道水と比べて低くなる。このように、本実施形態に係るケイ酸水溶液は、負に帯電するため、仮に電気泳動を行えば正の電極に向けて移動する水分子の集合体を有する水溶液ということもできる。
また、水道水では、水分子同士が水素結合のネットワークで集合体を形成しているため、水分子同士が不特定で大きな形状の集合体を形成するが、本実施形態に係るケイ酸水溶液では、ケイ酸と水分子の水素原子とが強く水素結合すると考えられ、これにより、球状、ドーナツ状、多重層状の形態をとり、水道水(一般的な水道水の平均値)と比べて小さな集合体を形成する。図7に、水道水および本実施形態に係るケイ酸水溶液の平均粒子径の測定結果を示す。なお、図7に示す平均粒子径は、レーザー回析・散乱法により散乱光強度を測定することで算出したものであり、(A)の水道水、(B)および(C)のケイ酸水溶液は、ゼータ電位を測定した図7の(A)~(C)と同じ水道水、ケイ酸水溶液を用いて測定した結果を示している。図7に示す例において、(A)の水道水の平均粒子径は2397.6nm、(B)のケイ酸水溶液の平均粒子径は283.4nm、(C)のケイ酸水溶液の平均粒子径は62.2nmであった。このように本実施形態に係るケイ酸水溶液では、二次集合体の大きさが水道水と比べて小さくなるため、浸透性が水道水と比べて高くなる。
加えて、本実施形態に係るケイ酸水溶液では、水道水(一般的な水道水の平均値)と比べて、水分子が強い力で凝集するため、表面の自由エネルギーは小さくなり、表面張力は5~15%程度小さくなる。たとえば、25℃において水道水の表面張力を測定したところ72.7mN/mだったが、本実施形態に係るケイ酸水溶液の一例について表面張力を測定したところ62.5~63.4mN/Nとなった。また、表面張力が小さいと濡れ性は高くなる(濡れ易くなる)ため、本実施形態に係るケイ酸水溶液は、水道水(一般的な水道水の平均値)と比べて、洗浄対象物に付着しやすくなり、この点からも、高い洗浄力を発揮することができる。
また、図8(A)~(C)は、本実施形態に係るケイ酸水溶液に洗剤を添加して泡立てた状態のものを光学顕微鏡で撮影した写真であり、図8(D)は、水道水に洗剤を添加して泡立てた状態のものを光学顕微鏡で撮影した写真である。第1実施形態に係るケイ酸水溶液は、図8(A)~(C)に示すように、光学顕微鏡で観察した場合に、六角形の構造を有することが観察された。これは、第1実施形態に係るケイ酸水溶液がオルトケイ酸を含み、オルトケイ酸の六量体の構造を基本として水分子が周囲に集合するため、泡の形状が六角形の形で発現したものと考えられる。一方、図8(D)に示す水道水は、図8(A)~(C)に示すケイ酸水溶液と比べて、六量体の構造の含有量が少ないため、泡の形状は円形で発現していることが分かる。
このように、第1実施形態に係るケイ酸水溶液は、環状六量体のオルトケイ酸を主に含むため、水分子が環状六量体のオルトケイ酸の周囲に六角形の構造で集合するという特性を有する。また、本実施形態に係るケイ酸水溶液では、水分子が環状六量体のオルトケイ酸の周囲に六角形の構造で集合することで、以下に説明するように、比重や比誘電率についても、水道水とは異なる特性を有するものと考えられる。
図9は、第1実施形態に係るケイ酸水溶液の比重の分析結果である。図9に示すように、第1実施形態に係るケイ酸水溶液は、10℃、15℃および20℃における比重が1.002として測定された。これは、純水の比重が4℃で1.000であり、温度が高くなるほど比重が小さくなることと比べて、第1実施形態に係るケイ酸水溶液は比重が大きいことが分かる。また、第1実施形態に係るケイ酸水溶液は、80℃においても、比重が0.975となっており、通常の水よりも比重が高くなっている(純水の場合、80℃における比重は0.971)。純水は、不純物を除去した水であり、溶存物質が何らかの影響を受けるはずであり、実体はよくわからない点もあるが、第1実施形態に係るケイ酸水溶液と純粋で差が出ることはあり得る。現在最も信じられている液体水の集合体は、直鎖や枝分かれしたn量体の集合体と、四角形から十一角形にわたる多角形の集合体(このうち五角形の量比が最も多い)の混合状態と考えられている。水は水素結合を作りやすく、液体の状態でも集合体を形成したり、溶存物質と水素結合で結びつき、特異な性質を現したりする。これは、第1実施形態に係るケイ酸水溶液では、溶質の環状六量体のオルトケイ酸と水分子とが結合することで、水素結合だけで構成される純水よりも水分子の密度が高くなり、比重が高くなったことがうなずける。
また、下記表1は、本実施形態に係るケイ酸水溶液の比誘電率と、水の比誘電率との関係を示す表である。また、コントロールとしてイオン交換水の比誘電率も測定した。
比誘電率とは媒質の誘電率と真空の誘電率の比 ε / ε0 = εrのことである。比誘電率は無次元量であり、用いる単位系によらず、一定の値をとる。
下記表1に示すように、純水(H0)の比誘電率は、0℃で88.15であり、25℃で78.30であることが知られている。また、イオン交換水の比誘電率を測定したところ、0℃で102.61であり、25℃で79.2となり、水よりも高い比誘電率となった。一方、本実施形態に係るケイ酸水溶液の比誘電率を測定したところ、0℃で24.00となり、25℃で19.90となり、水と比べてかなり低い比誘電率となった。なお、下記表1に示す例においては、日本ルフト株式会社の液体用誘電率計(Model871)を用いて、イオン交換水およびケイ酸水溶液の比誘電率を測定した。
本実施形態に係るケイ酸水溶液において比誘電率がこのように低いのは、以下の理由によるためと考えられる。すなわち、亜臨界水では、溶液中の誘電体が高熱エネルギーにより低磁場から高磁場に遷移することで、比誘電率が低下していることが知られており、これと同様に、本実施形態に係るケイ酸水溶液においても、ケイ酸の負電荷力が水分子同士の水素結合の交換速度を阻害し、溶液中の誘電体が低磁場から高磁場に遷移されたことにより、ケイ酸水溶液全体の誘電率が低下したと考えられる。
このように本実施形態に係るケイ酸水溶液は比誘電率が低くいため、水と比べて、比誘電率が低い油などの親和性が高くなるという特徴を有している。ここで、図10は、本実施形態に係るケイ酸水溶液を用いた、ゆずの生育試験の結果を示す図であり、(A)は本実施形態に係るケイ酸水溶液を用いて生育したゆずのしぼり汁の光学顕微鏡写真であり、(B)は本実施形態に係るケイ酸水溶液を用いて生育したゆずの写真であり、(C)は従来の農業用水を用いて生育したゆずの写真である。従来、排気ガスなどとともに排出された鉱物油が土壌に付着し、このような土壌で生育したゆずには、図10(C)に示すように、黒い斑点がゆずの皮に沈着する傾向にあった。そこで、本実施形態に係るケイ酸水溶液を用いて、ゆずを生育したところ、図10(A)に示すように、ゆずの組織内においても、ケイ酸水溶液は、その溶存物質が環状六量体の構造で存在し、水がその溶存物質と水素結合で結びつき、特異な構造の集合体を形成していること、図10(B)に示すように、鉱物油の沈着を抑制することが分かった。これは、鉱物油の誘電率が2~2.5と低く、通常の水では鉱物油と混ざり合わないところ、本実施形態に係るケイ酸水溶液では、ケイ酸水溶液が鉱物油と混ざり合い、鉱物油が凝集することを防止し、鉱物油の沈着が抑えられたためと考えられる。
さらに、図11は、第1実施形態に係るケイ酸水溶液を用いたコンクリートの製造試験の結果を示す図であり、(A)は本実施形態に係るケイ酸水溶液を用いて製造した際のベースコンクリートの写真であり、(B)は本実施形態に係るケイ酸水溶液を用いて製造したコンクリートの写真であり、(C)は通常の水を用いて製造したコンクリートの写真である。従来、ベースコンクリートを製造する際に、コンクリート材料を水とともに十分に撹拌を行うが、コンクリートの比誘電率は6~8と小さいため、水とコンクリート材料とが十分に混ざらずに、図11(C)に示すように、気泡がコンクリート表面にでき、孔が開いてしまう場合があった。これに対して、第1実施形態に係るケイ酸水溶液を用いた場合、また、第1実施形態に係るケイ酸水溶液は粒子径が小さく浸透性が高いため、水とコンクリート材料とが十分に混ざることができ、図11(B)に示すように、気泡がコンクリート表面にできず、コンクリート表面に孔が生じしまうことを抑制することができる。
続いて、第1実施形態に係るケイ酸水溶液の製造方法について説明する。図12は、第1実施形態に係るケイ酸水溶液の製造システム1の構成図である。ケイ酸水溶液の製造システム1は、図12に示すように、軟水装置10と、循環用タンク20と、造水器30と、貯留タンク40と、を有する。第1実施形態に係るケイ酸水溶液の製造システム1では、水道水や井戸水などの原水を、軟水装置10を通水させた後、循環用タンク20に貯留し、循環用タンク20と造水器30とを一定時間循環させる。そして、造水器30により処理された原水は、第1実施形態に係るケイ酸水溶液となり、貯留タンク40に貯留される。以下、ケイ酸水溶液の製造システム1の各構成について説明する。
軟水装置10は、原水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどの陽イオンを吸着する。軟水装置10としては、特に限定されず、たとえば陽イオン交換樹脂(Na型)を充填したものなど、公知の軟水装置を用いることができる。
循環用タンク20は、陽イオン交換された原水や、造水器30を通水したケイ酸水溶液を一時的に貯留するためのタンクである。循環用タンク20に貯留された水は、造水器30との間で一定時間循環され、第1実施形態に係るケイ酸水溶液となった後、貯留タンク40に貯留される。
造水器30は、第1実施形態に係るケイ酸水溶液を製造するための装置である。図13は、第1実施形態に係る造水器30を示す構成図である。図13に示すように、造水器30は、抗火石塔31と、GO塔32と、RC塔33と、蛇口34と、を有する。
抗火石塔31は、加工していない天然の抗火石を充填した筒状の容器であり、循環用タンク20から移送された水は、まず抗火石塔31を通水する際に抗火石と接触する。また、抗火石塔31を通水した水は、GO塔32へと移送される。GO塔32には、抗火石の粉末を用いて製造された球形の素焼体(セラミック焼成体)が充填されている。この素焼体は、たとえば50マイクロメートル以上、550マイクロメートル以下の比較的粗い粒径に調整された抗火石粉末を70重量%以上使用し、粘土をバインダとして略球形状等の所望の形態に整えた後、1000℃から1500℃程度の温度で焼結して形成したものとすることができる。
GO塔32を通水した水は、蛇口34から、循環用タンク20へと再び戻される。また、第1実施形態に係る造水器30は、RC塔33も有し、原水の水質やケイ素水溶液の用途(たとえば、水の集合体の粒子径がより小さく高い浸透性が必要とされる工業的用途)によっては、RC塔33を通水させてから、循環用タンク20へと再び戻される。RC塔33は、抗火石の粉末を用いて製造された球形の焼成体が充填されている。この焼成体として、たとえば上述した素焼体の表面に、50マイクロメートル以上550マイクロメートル以下の抗火石粉末を97重量%使用し、さらに3重量%の合成糊及び適量の水を加えることによって形成した抗火石入りの釉薬を塗布し、1000℃から1500℃の焼成温度で焼成したものを使用することができる。
本実施形態では、軟水装置10から原水が循環用タンク20に移送させると、一定時間、循環用タンク20と造水器30とを水が循環し、第1実施形態に係るケイ酸水溶液が製造される。この間、軟水装置10から原水の供給は停止される。そして、一定時間が経過すると、循環用タンク20から貯留タンク40に、ケイ酸水溶液が移送され、必要に応じて適宜、ケイ酸水溶液が使用されることとなる。なお、造水器30の循環回数(循環時間)は、特に限定されないが、循環回数(循環時間)を多くするほど、ケイ酸水溶液中のオルトケイ酸の量が増え、これにより、オルトケイ酸が六量体を形成する割合も高くなる。
ここで、図14は、造水器30の循環時間と水温との関係である。25℃程度の原水を、造水器30内を循環させた場合、図14に示すように、水温が上昇することが分かる。特に、循環開始から50分間程度は略比例して温度が上昇しているが、50分を経過すると上昇の度合いは低下する。また、循環時間が長くなるほど、ケイ酸水溶液中の水の集合体の粒子径は小さくなる傾向にあり、たとえば水温が50℃程度となるまで循環させたケイ酸水溶液では、粒子径はおおよそ50~70nmとなる。
以上のように、第1実施形態に係るケイ酸水溶液は、抗火石由来の水溶性のオルトケイ酸を主に含み、オルトケイ酸が六量体を形成し表面が負に帯電し、その周囲に水分子が寄り集まって集合体を形成しており、純水のように水素結合のみからなる水分子の集合体とは異なる特性を有する。たとえば、第1実施形態に係るケイ酸水溶液は、25℃において比誘電率が30未満であるという特性を有する。そのため、第1実施形態に係るケイ酸水溶液は、従来の改質水と比べて、油などの比誘電率が小さい物質と混ざり合いやすくなるという特性を有することができる。その結果、図10に示すように鉱物油の農作物表面の沈着の防止や、図11に示すようなコンクリートの気泡孔の形成防止などに有用である。また、本実施形態に係るケイ酸水溶液は、抗火石による遠赤外線により水の重合が切断され、これにより、比重が1よりも大きくなり、水の集合体の粒子径が水道水や純水よりも小さくなる。その結果、物質に対する浸透性が高くなる。さらに、本実施形態に係るケイ酸水溶液は、比重が1よりも大きいため、空気の混入が少なく腐りにくい水となるという効果や、小型の均一な水の集合体が多くなり秩序性に優れ振動に共鳴しやすくなるという効果、凍りにくく、また沸騰しにくい比熱の大きい水となり、外部熱変動に対する耐力を維持できるという効果、さらには、比熱が大きく熱交換に優れ摩擦係数の小さいという効果を奏することができる。
また、本実施形態に係るケイ酸水溶液では、次のような効果を奏することができる。図15は、第1実施形態に係るケイ酸水溶液のラジカル消去活性の測定結果を示す図である。本実施形態に係るケイ酸水溶液は、循環用タンク20と造水器30とを循環させて製造しており、図14に示すように、循環時間に応じて、水温が上昇する。図15に示す例では、各時間循環させたケイ酸水溶液ごとに、ラジカル消去活性を測定した。図15に示すように、循環時間が長いケイ酸水溶液ほど、ラジカル消去活性が高くなることが分かった。
さらに、図16は、第1実施形態に係るケイ酸水溶液を用いた、越後白雪茸(Bashidiomycetes X)のキノコ成分の抽出結果を示すグラフである。図16に示す例では、各時間循環させたケイ酸水溶液の温度ごとに抽出物残渣量を測定した。図16に示すように、水温が50℃以上(おおよそ運転時間30分)となるまで循環させたケイ酸水溶液では抽出物残渣量が増加したが、水温が70℃以上となるまで循環させたケイ酸水溶液では、かえって抽出物残渣量が低下することが分かった。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るケイ酸水溶液について説明する。ここで、図17は、第2実施形態に係るケイ酸水溶液の製造システム1aを示す図である。第2実施形態では、図17に示すように、第1実施形態に係るケイ酸水溶液を、さらに第2造水器35を通水して製造する。
第2造水器35は、1~20nm程度のナノ銀を担持させた抗火石のセラミック焼成体を充填した筒形の容器である。ナノ銀を担持させた抗火石のセラミック焼成体として、たとえば上述した素焼体の表面に、1~20nm程度の銀の薄膜を担持させたものである。第1実施形態に係るケイ酸水溶液(すなわち、循環用タンク20と造水器30とを循環させたケイ酸水溶液)は、第2造水器35に流入し通水される。そして、第2造水器35を通水した水は、第2実施形態に係るケイ酸水溶液として、貯留タンク40に貯留される。
ここで、図18は、第2実施形態に係るケイ酸水溶液の光学顕微鏡写真を示す図である。図18に示すように、第2実施形態に係るケイ酸水溶液では水の辺縁部が滑らかではなく入り組んだようになっている。これはナノ銀の影響によりケイ酸水溶液の電荷が増えた影響であるものと考えられる。また、第2実施形態に係るケイ酸水溶液では、コロイドの粒子径が第1実施形態に係るケイ酸水溶液よりも小さくなる傾向にあり、40~60nmという大きさとなる。
このように、第2実施形態に係るケイ酸水溶液では、ナノ銀の作用により、抗菌性の強いケイ酸水溶液ができるだけではなく、電荷やコロイドの粒子径について、第1実施形態に係るケイ酸水溶液とは異なる特性を有することができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係るケイ酸水溶液について説明する。第3実施形態に係るケイ酸水溶液は、第1実施形態に係るケイ酸水溶液に、水晶石由来の水溶性ケイ素、または、植物由来の水溶性ケイ素を添加したものである。
水晶石由来の水溶性ケイ素、または、植物由来の水溶性ケイ素の添加量は、特に限定されないが、たとえば0.01~0.1重量%添加することができる。また、水晶石由来の水溶性ケイ素、または、植物由来の水溶性ケイ素の種類は、特に限定されないが、本実施形態では、市販品である「umo(ウモ)」(株式会社APAコーポレーションの登録商標)を用いることができる。
このように、第3実施形態に係るケイ酸水溶液は、水晶石由来の水溶性ケイ素、または、植物由来の水溶性ケイ素をさらに含むことで、ケイ酸水溶液の水溶性ケイ素の含有量を高めることができ、これにより、オルトケイ酸が六量体を形成しやすくすることができる。
特に、第3実施形態では、水晶石由来の水溶性ケイ素、または、植物由来の水溶性ケイ素を、第1実施形態に係るケイ酸水溶液に添加した後、単に撹拌するのではなく、鉛直方向における振動を与えることで撹拌することが好ましい。たとえば、水晶石由来の水溶性ケイ素、または、植物由来の水溶性ケイ素を添加したケイ酸水溶液を、図19に示すように、たとえば振動装置(タップマスター(登録商標)、有限会社ヤマナカ)の蓋部に載せて、7~14Hz(シューマン共振周波数)の周波数で鉛直方向に振動させることで、水晶石由来の水溶性ケイ素、または、植物由来の水溶性ケイ素を添加したケイ酸水溶液を撹拌するとともに、オルトケイ酸が六量体を形成することを促進することができる。さらに、この場合、周囲をGOボールやRCボールで囲って振動させることで、オルトケイ酸が六量体を形成することをより促進することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
たとえば、上述したケイ酸水溶液の製造システムでは、原水を軟水装置10で処理した後に循環用タンク20に移送する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、軟水装置10の後に、純水装置を用いて原水を処理し、その後に、循環用タンク20に移送する構成とすることもできる。
1…ケイ酸水溶液の製造システム
10…軟水装置
20…循環用タンク
30…造水器
31…抗火石塔
32…GO塔
33…RC塔
34…蛇口
40…貯留タンク

Claims (2)

  1. 溶質として抗火石由来の環状六量体のオルトケイ酸イオンを含み、ケイ素の含有量が水道水のそれより高い、20℃において比重が1を超える性質のケイ酸水溶液が、さらに水晶石由来の水溶性ケイ素、または、植物由来の水溶性ケイ素を含有する、環状六量体のオルトケイ酸イオンの含有量を高めるための水溶液である、ケイ酸水溶液の製造方法であって、
    抗火石および抗火石を原料とするセラミックス焼成体を充填した造水器内を、原水を複数回循環させた後に、水晶石由来の水溶性ケイ素、または、植物由来の水溶性ケイ素を添加し、
    水晶石由来の水溶性ケイ素、または、植物由来の水溶性ケイ素を添加した状態で、鉛直方向の振動を付与する、ケイ酸水溶液の製造方法。
  2. 前記鉛直方向の振動は周波数が7~14Hzである、請求項1に記載のケイ酸水溶液の製造方法。
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