JP7453145B2 - Hsp47の阻害物質を用いた、化学療法剤感受性の増強 - Google Patents

Hsp47の阻害物質を用いた、化学療法剤感受性の増強 Download PDF

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Description

本発明は、癌患者の化学療法剤感受性を増強するための医薬およびその方法に関する。
癌に対する治療法には、外科的治療、放射線治療、粒子線治療、化学療法、及び分子標的治療などが存在する。このうち、化学療法剤による治療は、癌治療において重要な位置づけとなっているが、癌の中には化学療法剤に対して耐性を有するものが存在し、また、化学療法剤を大量に投与すると副作用が生じる場合もある。
癌治療においては、異なる利点を有する1種類以上の化学療法剤を組み合わせて投与する併用療法も行われている。癌の併用療法においては、例えば、シスプラチンおよび5-フルオロウラシルなどが使用されている。しかしながら、化学療法剤による治療が困難な癌が、依然として、多数存在しており、新たな治療方法が求められている。
特許文献1には、HSP47を標的化する分子を用いて悪性腫瘍を治療する方法が記載されているが、HSP47を標的化する分子が、癌患者の化学療法剤感受性を増強できることは記載されていない。
米国特許出願公開第2017/0218365号公報
本発明は、癌患者の化学療法剤感受性を増強することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねる中で、HSP47を標的化する分子とシスプラチンまたは5-フルオロウラシルとを投与する場合には、HSP47を標的化する分子を単独で投与する場合と比較して、あるいは、シスプラチンまたは5-フルオロウラシルを単独で投与する場合と比較して、各種癌細胞の増殖を顕著に抑制できること、すなわち、HSP47を標的化する分子が癌患者の化学療法剤感受性を増強できることを見出し、本発明を完成するに至った。DNA合成阻害やDNA損傷などの作用がある化学療法剤は、小胞体ストレスを誘導して細胞死を誘導できる。HSP47の阻害物質は、HSP47による小胞体ストレス緩和効果を阻害して、細胞内の小胞体ストレスを増大させていることが予想される。
すなわち、本発明は、以下に関するものである。
(1)癌患者の化学療法剤に対する感受性を増加させるための、HSP47の阻害物質を含む医薬。
(2)HSP47の阻害物質が、HSP47に対する干渉核酸、リボザイム、アンチセンス核酸、マイクロRNA、短鎖ヘアピンRNA、これらを発現するベクター、またはこれらで形質転換された細胞である、(1)に記載の医薬。
(3)HSP47に対する干渉核酸がsiNAまたはsiRNAである、(2)に記載の医薬。
(4)癌患者が乳癌、大腸癌、結腸癌、または膵癌の患者である、(1)~(3)のいずれかに記載の医薬。
(5)化学療法剤が、アルキル化剤、代謝拮抗薬、抗腫瘍性抗生物質、アルカロイド、ホルモン療法剤、白金錯体、血管新生阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、または微小管作用薬である、(1)~(4)のいずれかに記載の医薬。
(6)化学療法剤が、シスプラチン(CDDP)または5-フルオロウラシル(5-FU)である、(1)~(5)のいずれかに記載の医薬。
(7)HSP47の阻害物質および化学療法剤を含む、癌を治療するための医薬。
(8)癌を治療するための医薬の製造における、HSP47の阻害物質の使用であって、前記治療が、化学療法剤とHSP47の阻害物質とが併用して投与される治療である、使用。
(9)癌の治療における使用のための、HSP47の阻害物質を含む組成物であって、前記治療が、化学療法剤とHSP47の阻害物質とが併用して投与される治療である、組成物。
(10)有効量のHSP47の阻害物質を癌患者に投与することを特徴とする、癌患者の化学療法剤に対する感受性を増加させるための方法。
(11)HSP47の阻害物質を含む医薬による処置を必要としている患者を同定する工程をさらに含む、(10)に記載の方法。
(12)前記工程が、癌患者から単離した腫瘍組織でのHSP47発現を定量する工程である、(11)に記載の方法。
(13)有効量のHSP47の阻害物質および化学療法剤を癌患者に投与することを特徴とする、癌の治療方法。
(14)癌患者由来の癌細胞を、有効量のHSP47の阻害物質および化学療法剤を用いてインビトロで処置することを含む、インビトロで癌細胞を処置する方法。
本発明の医薬は、癌細胞におけるHSP47の発現(HSP47 mRNAおよびタンパク質の両方またはいずれかの発現を含む)を阻害することにより、各種癌患者の化学療法剤感受性を増強させることができる。
本発明の併用療法により、効率的に各種癌細胞の増殖を抑制し、癌を処置または治療することができる。
本発明により、癌治療において、化学療法剤の投与量を大幅に低減することができ、化学療法剤による副作用リスクを低減しつつ抗癌治療を行うことができる。
図1は、HSP47をサイレンシングしたヒト癌細胞に対して、シスプラチン(CDDP)を処理した後のヒト癌細胞の生存率を示す。MIA-PaCa-2細胞およびMDA-MB-231細胞に対照siRNA(siControl、10nM)および3つのバッチ(A、BおよびC)のいずれかのHSP47 siRNA(siHSP47、10nM)をトランスフェクトし、48時間培養した。siRNAのトランスフェクションから48時間後、細胞を、0、1、5、10、20または50μMの濃度のシスプラチン(CDDP)で処理し、24時間培養した。CDDPでの処理から24時間後、細胞の生存率を色素排除法(Dye-exclusion assay)によって決定した。縦軸は、細胞生存率(%)、横軸はシスプラチンの濃度(μM)を示す。
図2は、CDDPで処理したHSP47ノックアウトヒト癌細胞の生存率を示す。ヒト癌細胞(Mock)およびHSP47ノックアウト(KO)癌細胞を、0、1、5、10、20または50μMの濃度のシスプラチン(CDDP)で処理した。CDDPでの処理から24時間後、細胞の生存率を色素排除法によって決定した。縦軸は、細胞生存率(%)、横軸はシスプラチンの濃度(μM)を示す。 図3は、5-FUで処理したHSP47ノックアウトヒト癌細胞の生存率を示す。ヒト癌細胞(Mock)およびHSP47ノックアウト(KO)癌細胞を、0、1、5、10、20または50μMの濃度の5-フルオロウラシル(5-FU)で処理した。5-FUでの処理から24時間後、細胞の生存率を色素排除法によって決定した。縦軸は、細胞生存率(%)、横軸は5-フルオロウラシルの濃度(μM)を示す。
本明細書において、癌患者の化学療法剤に対する感受性を増加させるための、HSP47の阻害物質を含む医薬、これを用いる方法およびキット、ならびにHSP47の阻害物質を投与することを含む化学療法剤に対する感受性を増強するための方法(以下、化学療法剤感受性増強方法と称することがある)、HSP47の阻害物質および化学療法剤を投与することを含む癌の治療方法(以下、併用療法と称することがある)が提供される。
本発明の医薬、方法およびキットは、HSP47の転写体RNA(pre-mRNAおよびmRNAを含む)、例えば配列番号1によって例示されるHSP47の転写体RNAに結合する核酸分子(例えば短鎖干渉核酸(siNA)、短鎖干渉RNA(siRNA)、二本鎖(double-stranded)RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)または短鎖ヘアピンRNA(shRNA))を使用すること、あるいは、HSP47遺伝子をゲノム編集技術を使用してノックアウトすること、例えば、HSP47ゲノムに特異的な単鎖ガイドRNA(sgRNA, gRNA)(例えば配列番号8)を利用するCRISPR-Cas9を使用することを特徴とする。
また、本発明の医薬、方法およびキットは、上記のHSP47の転写体RNAに結合する核酸分子(例えば短鎖干渉核酸(siNA)、短鎖干渉RNA(siRNA)、二本鎖(double-stranded)RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)または短鎖ヘアピンRNA(shRNA))を使用すること、あるいは、HSP47遺伝子をゲノム編集技術を使用してノックアウトすること、例えば、HSP47ゲノムに特異的な単鎖ガイドRNA(sgRNA, gRNA)(例えば配列番号8)を利用するCRISPR-Cas9に加えて、化学療法剤を併用することを特徴としていてもよい。
1.本発明の医薬
本発明の一側面は、HSP47の阻害物質を含む医薬、例えば、HSP47の発現の阻害剤を含む、癌患者の化学療法剤感受性を増強するための医薬に関する。
HSP47遺伝子の塩基配列およびアミノ酸配列は、当該技術分野で公知であり、本発明において、HSP47のmRNA配列は、配列番号1によって示される。
本発明において、HSP47の転写体RNAは、例えば、ヒト由来であり、配列番号1で示される塩基配列またはこの各塩基配列において1若しくは数個のヌクレオチドの欠失、置換、付加又は挿入を含む塩基配列、或いは、上記の各塩基配列と70%以上、80%以上又は90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上もしくは99%以上の配列同一性を有する塩基配列であってもよい。
本明細書において、「数個」とは、2~10個、好ましくは2~5個、より好ましくは2~3個の塩基数をいう。また、配列同一性は、例えばBLASTなどの公知のアルゴリズムを使用して決定することができる。
本発明において、HSP47の発現の阻害剤は、HSP47の発現を阻害する成分、又はHSP47タンパク質の機能を阻害する成分であってもよく、例えば、RNA干渉(RNAi)作用を有する、siRNA(例えば、センス鎖のsiHSP47-A:5’-CUACGACGACGAGAAGGAAtt-3’(配列番号2)またはsiHSP47-B:5’-AGCCCUCUUCUGACACUAAtt-3’(配列番号4)またはsiHSP47-C:5’-GGACAGGCCUCUACAACUAtt-3’(配列番号6)を含むか、あるいは、アンチセンス鎖のsiHSP47-A:5’- UUCCUUCUCGUCGUCGUAGta -3’(配列番号3)またはsiHSP47-B:5’- UUAGUGUCAGAAGAGGGCUgg -3’(配列番号5)またはsiHSP47-C:5’- UAGUUGUAGAGGCCUGUCCtt -3’(配列番号7)を含む)若しくはその前駆体RNA(例えば、shRNA)、又はそれらの修飾RNA、或いは、HSP47遺伝子の転写体RNAに対するsiRNAをコードするDNAを含むベクターを包含する。また、本発明において、HSP47の発現の阻害剤は、例えば、siNA、リボザイム、shRNA、miRNAなどであってもよい。ベクターは、アンチセンスRNA若しくはアンチセンスDNA、該アンチセンスRNAをコードするDNA若しくは該アンチセンスDNAを含んでいてもよい。本発明において、ベクターは、例えば、5’-CCGACTGTACGGACCCAGCTCAG-3’(配列番号8)の配列を含んでいることが好ましく、当該配列番号8の配列を含むベクターは、さらにCas9配列(配列番号9)を含んでいることが好ましい。
本発明において、siRNAは、HSP47遺伝子の転写体RNAの一部に実質的に相補的な18~25ヌクレオチド、好ましくは20~24ヌクレオチド、さらに好ましくは、21~23ヌクレオチドを含むアンチセンスRNA、を有し、かつRNAi(RNA干渉)作用を有する、センスRNAとアンチセンスRNAとからなる二本鎖RNAであってもよい。
本発明において、「相補的」とは、核酸が、他の核酸配列と、古典的なワトソン-クリック型か、または他の非古典的なタイプにより水素結合を形成できることを意味する。
また、本発明において、「実質的に相補的」とは、核酸配列の全ての連続する残基が、他の核酸配列における同じ数の連続する残基と水素結合を形成する場合のみならず、核酸配列の全ての残基のうち、例えば、70%、80%、および90%の残基が、他の核酸配列の残基と水素結合を形成する場合も含む。
したがって、本発明において、siRNAは、HSP47遺伝子の転写体RNAの一部に100%相補的なヌクレオチドから数塩基変更されているヌクレオチドを含むアンチセンスRNAを有していてもよい。
また、本発明において、センスRNAとアンチセンスRNAの各3'末端には、2~5ヌクレオチド、好ましくは2ヌクレオチドの突出末端を有していてもよい。また、本発明において、siRNAは、修飾siRNAであってもよい。
本発明において、HSP47の阻害物質は、例えば、センス鎖と、アンチセンス鎖とを含むsiRNAの組み合わせであってもよく、例えば、以下の組合せが好ましい。
センス鎖の5’- CUACGACGACGAGAAGGAAtt -3’(配列番号2)とアンチセンス鎖の5’- UUCCUUCUCGUCGUCGUAGta -3’(配列番号3)の組合せ(siHSP47-A)(Ambion)
センス鎖の5’- AGCCCUCUUCUGACACUAAtt -3’(配列番号4)とアンチセンス鎖の5’- UUAGUGUCAGAAGAGGGCUgg -3’(配列番号5)の組合せ(siHSP47-B)(Ambion)
センス鎖の5’- GGACAGGCCUCUACAACUAtt -3’(配列番号6)とアンチセンス鎖の5’- UAGUUGUAGAGGCCUGUCCtt -3’(配列番号7)の組合せ(siHSP47-C)(日東電工株式会社において作成)
HSP47の阻害物質の細胞への導入は、任意の既知の導入手法、例えば、限定されずに、リポフェクタミン法、リポフェクション法、リン酸カルシウム法、超音波導入法、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法、ウイルスベクター(例えば、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターなど)を利用する方法、またはマイクロインジェクション法などを用いることができる。
ウイルスベクターを使用する場合、ウイルスの力価としては1×10~1×1015p.f.u.(プラーク形成単位)であってもよく、好ましくは1×10~1×1013、より好ましくは1×10~1×1011、さらに好ましくは1×10~1×1010で用いることができる。
上記核酸分子は、裸の核酸として使用しても、種々の核酸構築物またはベクターに組み込んで使用してもよい。ベクターとしては、プラスミドベクター、ファージベクター、ファージミドベクター、コスミドベクター、ウイルスベクター等の公知の任意のものを利用することができる。核酸構築物またはベクターは、例えば哺乳動物、微生物、ウイルス、または昆虫遺伝子から誘導される適当な転写または翻訳制御配列を少なくとも含んでいることが好ましい。かかる制御配列は、遺伝子発現において調節的役割を有する配列、例えば転写プロモーターまたはエンハンサー、転写を調節するためのオペレーター配列、メッセンジャーRNA内部のリボゾーム結合部位をコードしている配列、ならびに、転写、翻訳開始または転写終了を調節する適切な配列を包含する。
本発明の医薬は、上記のHSP47の阻害物質を含むため、癌患者の化学療法剤感受性を増強することができ、医薬の有効成分として有用である。本発明の医薬は、HSP47の阻害物質に加えて、化学療法剤を含んでいてもよい。本発明の医薬は、上記のHSP47の阻害物質と、1または2以上の薬学的に許容し得る界面活性剤、担体、希釈剤および/または賦形剤を含んでもよい。薬学的に許容し得る担体、希釈剤等は医薬分野でよく知られており、例えば、その全体を本明細書に援用するRemington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA (1990)などに記載されている。
上記医薬は、その構成要素に依存して、例えば、化学療法剤に対する感受性の増強、より詳細には、化学療法剤に対する感受性の増強を伴って行う癌治療に用いることができる。
HSP47の阻害物質を併用したときに化学療法剤に対する感受性が増加しているか否かは、HSP47の阻害物質を使用しないで癌細胞の生存率を50%に誘導するために必要な化学療法剤の濃度と比較したときに、より低い濃度で50%生存率を誘導できるか否かによって判断する。HSP47の阻害物質を使用しないで癌細胞の生存率を50%に誘導するために必要な化学療法剤の濃度の相対値を100としたときに、化学療法剤濃度の相対値が100未満であると感受性が増加しているといえ、50未満であると著しく増加しているといえる。化学療法剤濃度の相対値が50未満であると、化学療法剤による副作用のリスクを低減しつつ抗癌治療を行うことができる。
癌細胞の生存率は、HSP47の阻害物質や化学療法剤による処理の前の癌細胞の数を100%としたときに、生存している癌細胞の数の相対値(%)を示しており、色素排除法(Dye-exclusion assay)によって測定することができる。色素排除法(Dye-exclusion assay)は、例えば、トリパンブルー染色の有無により細胞の生死を判断し、生存細胞数を測定することができる。トリパンブルー染色による色素排除法は、例えば、0.4%トリパンブルー溶液(販売元:富士フィルム和光純薬株式会社、商品コード:20717081)と、細胞を培養培地に浮遊させた細胞浮遊液とを等量混和し、血球計算盤上において、染色された細胞と染色されていない細胞の数を数えることにより行うことができる。
本発明が対象とする癌としては、HSP47の転写体RNAを発現している限り限定されないが、例えば、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、脂肪肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、血管肉腫、カポジ肉腫、リンパ管肉腫、滑膜肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫などの肉腫、脳腫瘍、頭頚部癌、乳癌、肺癌、食道癌、胃癌、十二指腸癌、虫垂癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、肝癌、膵癌、胆嚢癌、胆管癌、肛門癌、腎癌、尿管癌、膀胱癌、前立腺癌、陰茎癌、精巣癌、子宮癌、卵巣癌、外陰癌、膣癌、皮膚癌などの癌腫、さらには白血病や悪性リンパ腫などが挙げられる。これらの中でも、固形癌が好ましく、乳癌、大腸癌、結腸癌、肺癌、および膵癌がより好ましい。
癌細胞がHSP47を発現しているか否かは、HSP47の転写体RNAの発現を、遺伝子レベルで検出することにより判断できる。具体的には、遺伝子レベルでは、例えば、ノーザンブロッティング法、RNaseプロテクションアッセイ、RT-PCR、リアルタイムPCR等のPCR法、in situハイブリダイゼーション法、in vitro転写法等の任意の公知の遺伝子発現解析法により検出することができ、リアルタイムPCRによる検出が好ましい。また、癌細胞がHSP47を発現しているか否かは、HSP47の発現を、タンパク質レベルで検出することにより判断できる。具体的には、例えば、免疫沈降法、EIA(enzyme immunoassay)(例えば、ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)など)、RIA(radio immuno assay)(例えば、IRMA(immunoradiometric assay)、RAST(radioallergosorbent test)、RIST(radioimmunosorbent test)など)、ウエスタンブロッティング法、免疫組織化学法、免疫細胞化学法、フローサイトメトリー法により検出することができる。HSP47の転写体RNAは、癌細胞において発現しているが、正常細胞では、一般的に、線維芽細胞や筋線維芽細胞を除き、実質的に発現していない。本発明において、癌細胞は、HSP47タンパク質を発現している。
本発明の1つの態様において、本発明の医薬は、癌患者の化学療法剤に対する感受性を増加させるための、HSP47の阻害物質を含んでいる。本発明の別の態様において、本発明の医薬は、対象とする疾患を処置するのに有用な他の化学療法剤をさらに含んでもよい。
化学療法剤としては、細胞透過性抗癌剤などの、癌治療に用いられる化学療法剤が好ましく、細胞透過性抗癌剤としては、限定されずに、殺細胞作用や増殖阻害作用などの細胞障害作用を有する化学療法剤、例えば、アルキル化剤、代謝拮抗剤(例えば、5-フルオロウラシル、ゲムシタビン)、抗腫瘍性抗生物質、アルカロイド、ホルモン療法剤、白金錯体(例えば、シスプラチン)、血管新生阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、および微小管作用薬などが挙げられる。これらの中でも、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍性抗生物質、白金借体またはトポイソメラーゼは、DNA合成阻害やDNA損傷を誘導し、小胞体ストレスを誘導することができる化学療法剤であり、HSP47の阻害物質との併用で、化学療法剤による抗癌作用が特に増強される点で好ましい。本発明の医薬において、HSP47の阻害物質と、シスプラチンまたは5-フルオロウラシルとの組み合わせが最も好ましい。これらを組み合わせて投与する場合、HSP47の阻害物質の好ましい濃度は、最終濃度が1nM~100nMであり、シスプラチンおよび5-フルオロウラシルの好ましい濃度は、5μM~100μMである。
本発明の医薬において、HSP47の阻害物質と化学療法剤とを組み合わせて用いる場合、これらを単一の組成物に含めてもよく、複数の組成物に別々に含ませ、それらを別々に用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
本発明の種々の態様において、上記の医薬は、種々の薬物送達担体に担持させて使用することもできる。かかる担体としては、限定されずに、例えば、ポリマーナノ粒子、ポリマーミセル、デンドリマー、リポソーム、ウイルスナノ粒子、カーボンナノチューブ等が挙げられる(Cho K. et al., Clin Cancer Res. 2008 Mar 1;14(5):1310-6など参照)。
本発明の医薬は、経口および非経口の両方を包含する種々の経路、たとえば、限定することなく、経口、静脈内、筋肉内、皮下、局所、直腸、腫瘍内、動脈内、門脈内、骨髄内、歯髄内、舌下、口腔内、心室内、経粘膜、経皮、鼻内、腹腔内、肺内および子宮内等の経路で投与してもよく、各投与経路に適した剤形に製剤してもよい。かかる剤形および製剤方法は任意の公知のものを適宜採用することができる(たとえば、標準薬剤学、渡辺喜照ら編、南江堂、2003年、上記Remington's Pharmaceutical Sciencesなどを参照)。
例えば、経口投与に適した剤形としては、限定することなく、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤、ゲル剤、シロップ剤などが挙げられ、また非経口投与に適した剤形としては、溶液性注射剤、懸濁性注射剤、乳濁性注射剤、用時調製型注射剤などの注射剤が挙げられる。非経口投与用製剤は、水性または非水性の等張性無菌溶液または懸濁液の形態であり得る。
2.本発明のキット
本発明は、本発明の医薬に含まれ得る活性成分(例えば、HSP47の阻害物質)および必要に応じて化学療法剤を、単独でもしくは組み合わせて含む1個または2個以上の容器を含む組成物の調製キット、ならびに、そのようなキットの形で提供される医薬の必要構成要素にも関する。本発明のキットは、上記のほか、本発明の医薬の調製方法や投与方法などが記載された指示、例えば説明書や、CD、DVD等の電子記録媒体等を含んでいてもよい。
3.本発明の方法
本発明の一態様は、HSP47の阻害物質を投与することを特徴とする、癌患者の化学療法剤に対する感受性を増加させるための方法(化学療法剤感受性増強方法)に関する。
本発明の他の態様は、HSP47の阻害物質および化学療法剤を投与することを特徴とする、癌の治療方法(併用療法)に関する。
本発明の方法において、投与される患者は、典型的には化学療法剤による治療を必要とする癌患者である。かかる患者としては、限定されずに、例えば、上記のHSP47の高発現に関連する癌を患っているか、これらの癌を有すると診断されたか、これらの癌を発症するリスクが高い患者である。したがって、本発明の方法は、本発明のHSP47の阻害物質を含む医薬による処置を必要としている患者を同定する工程をさらに含んでもよい。上記工程は、例えば、癌患者から単離した腫瘍組織でのHSP47のmRNAまたはタンパク質の発現を定量する工程である。癌の具体例は、医薬に関して上記したとおりである。
本発明の方法においては、本発明の医薬を、対象とする癌を処置するのに有用な他の作用物質または処置方法と併用することもできる。本発明の方法は、処置方法として、放射線治療などの物理療法や外科手術などの外科的治療などと併用することができる。癌患者を外科的治療で治療する場合には、本発明の術前化学療法及び術後化学療法の何れか一方又は双方において適用することができる。
本発明の治療または処置方法における有効量とは、例えば、疾患の症状を低減し、または疾患の進行を遅延もしくは停止する量であり、好ましくは、疾患を抑制し、または治癒する量である。また、投与による利益を超える悪影響が生じない量が好ましい。かかる量は、培養細胞などを用いたin vitro試験や、マウス、ラット、イヌまたはブタなどのモデル動物における試験により適宜決定することができ、このような試験法は当業者によく知られている。また、本発明の処置方法に用いる薬物の用量は当業者に公知であるか、または、上記の試験等により適宜決定することができる。本発明において、シスプラチンおよび5-フルオロウラシルなどの化学療法剤の好ましい濃度は、5μM~100μMである。
本明細書に記載される本発明の方法において投与する活性成分(例えば、HSP47の阻害物質)の具体的な用量は、処置を要する対象に関する種々の条件、例えば、症状の重篤度、対象の一般健康状態、年齢、体重、対象の性別、食事、投与の時期および頻度、併用している医薬、治療への反応性、剤形、および治療に対するコンプライアンスなどを考慮して決定され得る。本発明の方法に用いる薬物の用量は、好ましくは、ヒトの場合、1回あたり、かつ成人1kg体重あたりsiRNA分子に換算して例えば約0.1mg~約1,000mgである。本発明の処置方法に用いる薬物の濃度は、好ましくは、siRNAの場合、5nM~180μMが好ましい。
投与経路としては、経口および非経口の両方を包含する種々の経路、例えば、経口、静脈内、筋肉内、皮下、局所、腫瘍内、直腸、動脈内、門脈内、骨髄内、歯髄内、舌下、口腔内、心室内、経粘膜、経皮、鼻内、腹腔内、肺内および子宮内等の経路が含まれる。
投与頻度は、用いる剤や組成物の性状や、上記のものを含む対象の条件によって異なるが、例えば、1日多数回(すなわち1日2、3、4回または5回以上)、1日1回、数日毎(すなわち2、3、4、5、6、7日毎など)、1週間毎、数週間毎(すなわち2、3、4週間毎など)であってもよい。
本発明の併用療法においては、HSP47の阻害物質と化学療法剤を、別々に投与してもよいし、同時に投与してもよいが、別々に投与する場合には、HSP47の阻害物質を先に投与することが好ましい。HSP47の阻害物質の投与後に化学療法剤を投与する場合には化学療法剤の投与は、HSP47の阻害物質の投与の1時間~70時間後が好ましく、2時間後~60時間後がより好ましく、4時間後~50時間後が特に好ましい。HSP47の阻害物質の投与から、4時間後~50時間後に化学療法剤を投与すると、HSP47のタンパク質の発現低下が十分に発揮された状態で化学療法剤による癌治療ができるため、癌細胞の生存率を著しく低下することができる。
本明細書で用いる場合、用語「患者」は、任意の生物個体を意味するが、例えば、動物、哺乳動物、またはヒト個体である。本発明において、「患者」は、典型的には化学療法剤による治療を必要とする癌患者を意味する。
また、用語「処置」は、本明細書で用いる場合、疾患の治癒、一時的寛解または予防などを目的とする医学的に許容される全ての種類の予防的および/または治療的介入を包含するものとする。例えば、「処置」の用語は、疾患の進行の遅延または停止、病変の退縮または消失、発症の予防または再発の防止などを含む、種々の目的の医学的に許容される介入を包含する。
今回本発明者により、本発明の医薬が、HSP47の転写体RNA(配列番号1)の発現を抑制することにより、乳癌、大腸癌、結腸癌、または膵癌の細胞株において、化学療法剤に対する感受性を増強できること、結果として、癌の併用療法が可能となることが明らかになった。
また、本発明により、癌治療において、化学療法剤の投与量を大幅に低減することができ、化学療法剤による副作用リスクを低減しつつ抗癌治療を行うことができる。
したがって、本発明はまた、HSP47の阻害物質を含む、上記作用を提供するための医薬、上記作用を提供するための医薬の製造における使用、ならびに、HSP47の阻害物質の上記作用を提供するための使用にも関する。
本発明を下記の実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施例に限定されないものとする。
例1:細胞株の取得および培養
本願明細書中で使用した全てのヒト癌細胞株(MDA-MB-231、HCT116、SW480、PANC-1、Suit2およびMIA-PaCa-2)は、American Type Culture Collectionから購入した。MDA-MB-231細胞、HCT116細胞、SW480細胞、Suit2細胞およびMIA-PaCa-2細胞を、10%胎児ウシ血清(FBS, Invitrogen Life Technologies)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM, Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)で培養した。PANC-1細胞は、10%FBSを補充したRPMI1640培地で培養した。
例2:siRNAのトランスフェクション
癌細胞を、Lipofectamine RNAiMAX (Invitrogen Life Technologies)を使用して、対照siRNA (siControl, Ambion, Foster City, CA)、HSP47-A siRNA (siHSP47-A, sense: 5’-CUACGACGACGAGAAGGAAtt -3’ (配列番号2); antisense: 5’-UUCCUUCUCGUCGUCGUAGta-3’ (配列番号3))、HSP47-B siRNA (siHSP47-B, sense: 5’-AGCCCUCUUCUGACACUAAtt-3’ (配列番号4); antisense: 5’-UUAGUGUCAGAAGAGGGCUgg-3’ (配列番号5)) またはHSP47-C siRNA (siHSP47-C, sense: 5’-GGACAGGCCUCUACAACUAtt-3’ (配列番号6); antisense: 5’-UAGUUGUAGAGGCCUGUCCtt-3’ (配列番号7))でトランスフェクトし、大気中37℃で5時間培養した。siRNAでのトランスフェクションの5時間後、細胞を、10%FBSを補充したDMEMで培養した。
例3:HSP47 -/- 細胞の樹立
pCG SapI ベクター(信州大学大学院医学系研究科櫻井博士より譲受)は、Cas9配列(配列番号9)および標的gRNA配列(配列番号8)挿入のためのクローニング部位を含む(Uemura et al., Sci Rep.2016 Oct 26;35861, Takei et al., Sci. Rep.2017 Aug 24 7(1); 9389)。ヒトHSP47ゲノムのエクソン2について特異的に設計したgRNA配列(5’-CCGACTGTACGGACCCAGCTCAG-3’ (配列番号8))を、pCG SapIベクターに挿入した。構築した標的化ベクターおよびpcDNA3.1(+)を、Lipofectamine 2000 (Thermo Fisher Scientific)を使用して、癌細胞(SW480、HCT116、PANC1、Suit2、MIA-PaCa-2、MDA-MB-231)に共トランスフェクトした。細胞を、10%FBSおよびG418 (1000μg/mL)で補充したDMEM培地で培養し、HSP47を安定してサイレンシングする細胞株を選択した。DNA配列決定分析により、単一の細胞クローンを評価し、標的対立遺伝子中のインデル(挿入/欠失)を検出した。また、選択したクローンにおけるHSP47タンパク質の発現レベルをウエスタンブロッティングによって確認した。対照細胞クローン(mock)は、空ベクターをトランスフェクトすることによって作成した。
例4:抗癌剤で処理した細胞の生存率
例2,3でトランスフェクトした癌細胞を、1、5、10、20、50μMの濃度のシス-ジアミンジクロロ白金(II)(CDDP, Sigma-Aldrich)、または、1、5、10、20、50μMの濃度の5-フルオロウラシル(Wako Pure Chemical, Tokyo, Japan)で24時間処理した。処理した細胞の生存率は、色素排除法(Dye-exclusion assay)によって決定した。
結果を図1~3に示す。全てのデータは、平均±標準偏差として示す。群間の相違は、スチューデントt検定または分散分析(ANOVA)を使用して統計学的有意性について試験した。統計学的有意性は、P<0.05で決定した。
本発明の医薬は、HSP47の発現を阻害することにより、乳癌、大腸癌、結腸癌、膵臓腺癌、または膵癌などの各種癌細胞の化学療法剤感受性を増強させることが示された。
図1において、HSP47の阻害物質を使用しない(siControlの群)で癌細胞の生存率を50%に誘導するために必要な化学療法剤の濃度相対値を100としたときに、HSP47の阻害物質を使用した場合(siHSP47-A、siHSP47-B、siHSP47-C)には化学療法相対値がいずれも50未満であり、著しく感受性が増加していた。

Claims (6)

  1. 癌患者の化学療法剤に対する感受性を増加させるための、HSP47の阻害物質を含む医薬であって、HSP47の阻害物質が、HSP47に対するsiNAまたはsiRNAであり、化学療法剤が、代謝拮抗薬または白金錯体であり、癌患者が乳癌または膵癌の患者である、前記医薬。
  2. 化学療法剤が、シスプラチン(CDDP)または5-フルオロウラシル(5-FU)である、請求項に記載の医薬。
  3. HSP47の阻害物質および化学療法剤を含む、癌を治療するための医薬であって、HSP47の阻害物質が、HSP47に対するsiNAまたはsiRNAであり、化学療法剤が、代謝拮抗薬または白金錯体であり、癌が乳癌または膵癌である、前記医薬。
  4. 癌を治療するための医薬の製造における、HSP47の阻害物質の使用であって、前記治療が、化学療法剤とHSP47の阻害物質とが併用して投与される治療であり、HSP47の阻害物質が、HSP47に対するsiNAまたはsiRNAであり、化学療法剤が、代謝拮抗薬または白金錯体であり、癌が乳癌または膵癌である、前記使用。
  5. 癌の治療における使用のための、HSP47の阻害物質を含む組成物であって、前記治療が、化学療法剤とHSP47の阻害物質とが併用して投与される治療であり、HSP47の阻害物質が、HSP47に対するsiNAまたはsiRNAであり、化学療法剤が、代謝拮抗薬または白金錯体であり、癌が乳癌または膵癌である、前記組成物。
  6. 癌患者由来の癌細胞を、有効量のHSP47の阻害物質および化学療法剤を用いてインビトロで処置することを含む、インビトロで癌細胞を処置する方法であって、HSP47の阻害物質が、HSP47に対するsiNAまたはsiRNAであり、化学療法剤が、代謝拮抗薬または白金錯体であり、癌患者が乳癌または膵癌の患者である、前記方法。
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