以下、本発明の実施の形態に係る給紙装置(媒体供給装置の一例)について、図面を参照しながら説明する。
<一実施の形態>
図1は、一実施の形態に係る給紙装置1を備える印刷システム100を示す構成図である。
図2は、給紙装置1の制御構成を示す図である。
図1に示す印刷システム100は、給紙装置1と、印刷装置101とを備える。
給紙装置1は、印刷装置101の印刷部110へ用紙Pを供給する。なお、給紙装置1は、印刷装置101に一体に備えられていてもよい。また、給紙装置1が用紙Pを供給する対象は、印刷装置101に限られず、搬送装置などの他の装置であってもよい。また、用紙Pは、媒体の一例であり、媒体としては、フィルム等の他の媒体であってもよい。また、給紙装置1は、例えば上下に並んで複数配置され、複数の給紙装置1が単一の印刷装置101に対して用紙Pを供給してもよい。
図1に示すように、給紙装置1は、積載台10と、搬送機構20と、吸引機構30と、浮上エア吹き出し機構50と、分離エア吹き出し機構60とを備える。
また、図2に示すように、給紙装置1は、制御部71と、記憶部72と、インターフェース部73と、積載台昇降駆動部81と、搬送駆動部82とを備える。
図1に示す積載台10には、複数の用紙Pが積載される。積載台10は、図2に示す積載台昇降駆動部81の駆動によって昇降する。一例ではあるが、制御部71は、図示しない積載面検知センサの発光部が所定の積載面高さに水平に照射した光が、用紙Pによって遮蔽されなくなり積載面検知センサの受光部によって受光されると、積載台昇降駆動部81に対し積載台10を上昇させるように制御する。これにより、最上位の用紙P1の高さは、所定の積載面高さに維持される。
搬送機構20は、搬送ベルト21と、この搬送ベルト21が掛け渡されたプーリ22,23とを有する。プーリ22,23のうち一方は駆動プーリであり、他方は従動プーリである。駆動プーリは、図2に示す搬送駆動部82の駆動によって回転し、搬送ベルト21を回転させる。これにより、搬送機構20は、最上位の用紙P1を搬送方向D(図1における右側)に搬送する。
搬送ベルト21には、後述する吸引機構30により吸引される吸引エアA1,A2を通すための貫通孔が複数設けられている。なお、吸引エアA2は、吸引機構30により吸引される吸引エアのうち、搬送方向Dの上流側の一部の吸引エアであり、吸引エアA2以外が吸引エアA1である。また、図1、図3、図5A~図5C、図6A~図6D、図8A~図8D、及び図9において、吸引が少しでも遮断された状態の吸引エアA2を破線の矢印で示し、吸引が遮断されていない状態の吸引エアA2を実線の矢印で示す。
搬送機構20は、一例ではあるが、用紙Pの搬送方向Dに直交する幅方向の中央において、用紙Pの幅方向に2つ(複数の一例)並んで配置されている。この場合、後述する吸引機構30は、各搬送機構20に1つずつ配置されているとよい。もちろん、搬送機構20は、1つのみ配置されていてもよい。
なお、搬送機構20は、搬送部材として、搬送ベルト21に代えて搬送ローラ等の他の搬送部材を有するものであってもよい。搬送機構20が搬送ローラを有する場合には、搬送駆動部82は、駆動プーリではなく駆動ローラ(搬送ローラ)を回転させることになる。
図3に拡大して示す吸引機構30は、例えば、搬送機構20の搬送ベルト21によって囲まれた領域に配置されている。吸引機構30は、搬送ベルト21に設けられた複数の貫通孔を通して図示しない吸引源(例えば、吸引ファン)が吸引エアA1,A2を吸引することによって、積載台10に積載された複数の用紙Pのうち最上位の用紙P1を搬送機構20に吸着させる。
吸引機構30は、搬送方向Dの上流側の一部(一部のみ)における吸引エアA2の吸引を遮断する遮断部31を有する。この遮断部31は、遮断手段の一例である。遮断部31は、例えば、吸引機構30の内部(チャンバ内部)の底面に配置されている。なお、遮断部31は、吸引機構30の外部(チャンバ外部)の底面に配置されていてもよい。
図4A及び図4Bは、遮断部31を図3のIV方向から見た図(平面図)である。
図4Aに示すように、遮断部31は、シャッタ31aと、開口部材31bと、回転軸部材31cとを有する。
シャッタ31aは、図示しないシャッタ駆動部(例えば、モータ等のアクチュエータ)の駆動によって、回転軸部材31cを回転中心軸として、例えば45度の範囲で時計回り及び反時計回りの両方向に揺動(回転)する。
シャッタ31aは、例えば4つの羽根部31a-1を有する。この4つの羽根部31a-1は、シャッタ31aの回転方向において等間隔(例えば90度間隔)に設けられている。
開口部材31bは、例えば円板状の板材である。開口部材31bは、後述する吸引機構30により吸引される吸引エアA2を通すための例えば4つの貫通孔31b-1を有する。この4つの貫通孔31b-1は、羽根部31a-1と同様に、シャッタ31aの回転方向において等間隔(例えば90度間隔)に設けられている。
シャッタ31aは、図4Bに示すように、羽根部31a-1が貫通孔31b-1を覆うことで図3に示す吸引エアA2の吸引を遮断する遮断位置(1)と、図4Aに示すように、羽根部31a-1が貫通孔31b-1を覆わないことで吸引エアA2の吸引を遮断しない、遮断位置(1)から退避した退避位置(2)とに揺動(移動)する。
なお、開口部材31bが配置されていることによって、開口部材31bのうち貫通孔31b-1が設けられていない部分では、開口部材31bが吸引エアA2の吸引を遮断することになるが、開口部材31bによる吸引エアA2の吸引の遮断は用紙Pの吸着力に影響を与えにくいことから、吸引エアA2の吸引を遮断していないと考えることができる。また、吸引機構30の底面に設けられた貫通孔が開口部材31bの貫通孔31b-1と同一形状で貫通孔31b-1に重なるように設けられている場合や、開口部材31bが省略され、シャッタ31aが吸引機構30の底面に設けられた貫通孔を覆う遮断位置と退避位置とに移動する場合には、開口部材31bが吸引エアA2の吸引を遮断することにはならない。
図5A~図5Cは、第1変形例における搬送機構20及び吸引機構40を示す拡大図である。
図5A~図5Cに示す吸引機構40は、遮断部41の構成のみ吸引機構30(遮断部31)と相違する。
遮断部41は、例えば、吸引機構40の外部(チャンバ外部)の底面に配置されている。なお、遮断部41は、吸引機構40の内部(チャンバ内部)の底面に配置されていてもよい。
遮断部41は、シャッタ支持部41aと、第1シャッタ41bと、第2シャッタ41cとを有する。第1シャッタ41b及び第2シャッタ41cは、複数のシャッタの一例である。第1シャッタ41b及び第2シャッタ41cは、例えば、搬送ベルト21の吸着面(底面)に平行に配置された板材である。
第1シャッタ41bは、図5Aに示す退避位置(2)から、シャッタ支持部41aにガイドされた状態で、図示しないシャッタ駆動部(例えば、モータ等のアクチュエータ)の駆動によって搬送方向Dの下流側へ図5Bに示す遮断位置(1)に移動する。なお、第2シャッタ41cは、第1シャッタ41bの移動時には、第1シャッタ41bと一体に移動する。
第2シャッタ41cは、図5Bに示すように第1シャッタ41bが搬送方向Dの下流側に限界量まで移動した後も、図5Bに示す退避位置(2)から、第1シャッタ41bにガイドされた状態で、図示しないシャッタ駆動部の駆動によって、搬送方向Dの下流側へ図5Cに示す遮断位置(1)に移動する。
このように、遮断部41は、吸引エアA2の吸引を遮断する遮断位置(図5B及び図5Cに示す(1)参照)と、この遮断位置から退避した退避位置(図5Aに示す(2)参照)とに移動する第1シャッタ41b及び第2シャッタ41cを有する。
また、遮断部41では、図5Bに示すように第1シャッタ41bと第2シャッタ41cとが重なった状態よりも、図5Cに示すように第2シャッタ41cが第1シャッタ41bよりも搬送方向Dの下流側に移動した状態で、吸引エアA2の吸引の遮断面積が増加する。すなわち、第1シャッタ41b及び第2シャッタ41cが、図5Aに示す状態から、図5Bに示すように一体に搬送方向Dの下流側へ移動した後、図5Cに示すように第2シャッタ41cのみが搬送方向Dの下流側へ更に移動するため、第1シャッタ41b及び第2シャッタ41cは、搬送方向Dの下流側に向かって吸引エアA2の吸引の遮断面積を増加させるように位置を制御され、退避位置(2)から遮断位置(1)へ移動するといえる。ここで、制御部71は、最上位の用紙P1の搬送に従って搬送方向Dの下流側に向かって吸引エアA2の吸引の遮断面積を増加させるように第1シャッタ41b及び第2シャッタ41cの位置を制御するとよい。なお、単一のシャッタのみが配置される場合でも、このシャッタが搬送方向Dの下流側に移動する際には、最上位の用紙P1の搬送に従って搬送方向Dの下流側に向かって吸引エアA2の吸引の遮断面積を増加させるように位置を制御され、退避位置から遮断位置へ移動するといえる。
図6A~図6Dは、第2変形例における搬送機構20及び吸引機構90を示す拡大図である。
図6A~図6Dに示す吸引機構90は、遮断部91の構成のみ吸引機構30(遮断部31)及び吸引機構40(遮断部41)と相違する。
遮断部91は、例えば、吸引機構90の外部(チャンバ外部)の底面に配置されている。なお、遮断部91は、吸引機構90の内部(チャンバ内部)の底面に配置されていてもよい。
遮断部91は、第1シャッタ91aと、第2シャッタ91bと、第3シャッタ91cとを有する。第1シャッタ91a、第2シャッタ91b、及び第3シャッタ91cは、複数のシャッタの一例である。第1シャッタ91a、第2シャッタ91b、及び第3シャッタ91cは、例えば、図6Dに示す遮断位置(1)において搬送ベルト21の吸着面(底面)に平行に配置された板材である。また、第1シャッタ91aは、第2シャッタ91bよりも搬送方向Dの上流側に第2シャッタ91bに隣接して配置され、第2シャッタ91bは、第3シャッタ91cよりも搬送方向Dの上流側に第3シャッタ91cに隣接して配置されている。
第1シャッタ91a、第2シャッタ91b、及び第3シャッタ91cは、搬送方向Dに直交する用紙Pの幅方向(図6A~図6Dにおける奥行き方向)に延びる回転中心軸を中心に、図示しないシャッタ駆動部(例えば、モータ等のアクチュエータ)の駆動によって、図6Aに示す退避位置(2)と図6Dに示す遮断位置(1)とに回転(移動)する。
第1シャッタ91a、第2シャッタ91b、及び第3シャッタ91cは、すべて同時に図6Aに示す退避位置(2)から図6Dに示す遮断位置(1)に回転してもよいが、まず、図6Bに示すように第1シャッタ91aが退避位置(2)から遮断位置(1)に回転し、次に、図6Cに示すように第2シャッタ91bが退避位置(2)から遮断位置(1)に回転し、次に、図6Dに示すように第3シャッタ91dが退避位置(2)から遮断位置(1)に回転するとよい。
このように、遮断部91は、吸引エアA2の吸引を遮断する遮断位置(図6D等に示す(1)参照)と、この遮断位置から退避した退避位置(図6A等に示す(2)参照)とに移動する第1シャッタ91a、第2シャッタ91b、及び第3シャッタ91cを有する。
また、遮断部91では、図6Bに示すように第1シャッタ91aのみが遮断位置(1)にある状態よりも、図6Cに示すように第1シャッタ91a及び第2シャッタ91bが遮断位置(1)にある状態の方が吸引エアA2の吸引の遮断面積が増加する。また、図6Cに示すように第1シャッタ91a及び第2シャッタ91bが遮断位置(1)にある状態よりも、図6Dに示すように第1シャッタ91a、第2シャッタ91b、及び第3シャッタ91cのすべてが遮断位置(1)にある状態の方が吸引エアA2の吸引の遮断面積が増加する。すなわち、遮断部91では、図6Aに示す状態から、図6Bに示す状態、図6Cに示す状態、図6Dに示す状態の順に、第1シャッタ91a、第2シャッタ91b、及び第3シャッタ91cは、搬送方向Dの下流側に向かって吸引エアA2の吸引の遮断面積を増加させるように位置を制御され、退避位置(2)から遮断位置(1)へ移動するといえる。この場合も、制御部71は、最上位の用紙P1の搬送に従って搬送方向Dの下流側に向かって吸引エアA2の吸引の遮断面積を増加させるように第1シャッタ91a、第2シャッタ91b、及び第3シャッタ91cの位置を制御するとよい。
なお、上述の第1変形例及び第2変形例のように、搬送方向Dの下流側に向かって吸引エアA2の吸引の遮断面積を増加させるように位置を制御され、退避位置(2)から遮断位置(1)へ移動する遮断部としては、例えば、図3に示す遮断部31が搬送方向Dに複数並んで配置され、搬送方向Dの上流側の遮断部31から順に吸引エアA2の吸引を遮断するものであってもよい。
また、吸引エアA2の吸引の遮断面積を増加させるように位置を制御され、退避位置から遮断位置へ移動する遮断部としては、巻き取り及び巻き出し可能なシャッタを有し、このシャッタが搬送方向Dの下流側に巻き出されることで吸引エアA2の吸引を遮断する遮断位置に移動し、搬送方向Dの上流側に巻き取られることで遮断位置から退避した退避位置に移動するものなどであってもよく、遮断部31,41,91の構成は、特に制限されない。また、遮断部を一例とする遮断手段としては、吸引機構30の吸引源(例えば吸引ファン)が複数配置されている場合に、搬送方向Dの上流側の一部において吸引エアA2を吸引する吸引源の駆動を停止させる駆動回路などであってもよい。
図1に示す浮上エア吹き出し機構50は、積載台10に積載された複数の用紙Pよりも搬送方向Dの下流側に配置され、例えば、最上位の用紙P1を含む10枚程度の用紙Pを浮き上がらせるための浮上エアA3を吹き出す。
分離エア吹き出し機構60は、積載台10に積載された複数の用紙Pよりも搬送方向Dの下流側に配置され、最上位の用紙P1と2枚目の用紙P2とを分離させるための分離エアA4を吹き出す。
図2に示す制御部71は、給紙装置1全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU: Central Processing Unit)を有し、遮断部31(シャッタ駆動部)等の各部の動作を制御する。なお、給紙装置1が印刷装置101に一体に備えられる場合などには、制御部71は、印刷装置101の制御部が兼用してもよい。
記憶部72は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などである。
インターフェース部73は、印刷装置101の制御部等の外部機器との間で各種情報の授受を行う。例えば、インターフェース部73は、印刷装置101の制御部から、給紙要求や給紙停止要求などの情報を受け、制御部71は、これらの情報に基づき、給紙装置1の各部の動作を制御する。
積載台昇降駆動部81は、積載台10を昇降させるモータ(アクチュエータの一例)を有する。
搬送駆動部82は、搬送機構20のプーリ22,23のうちの一方である駆動プーリを回転させるモータ(アクチュエータの一例)を有する。
次に、印刷装置101について説明する。
印刷装置101は、印刷部110と、搬送部120と、第1給紙部130と、第2給紙部140と、第3給紙部150と、搬送ローラ対161~165と、レジストローラ対166とを備える。なお、図1には、給紙装置1、第1給紙部130、第2給紙部140、及び第3給紙部150から、印刷部110へ続く搬送経路Rを、太い実線で示す。
印刷部110は、例えば、印刷に用いられる各色分の図示しないラインヘッド型インクジェットヘッドを有する。なお、印刷部110の印刷方式は、インクジェット印刷方式以外の印刷方式であってもよい。
搬送部120は、印刷部110に対向するように配置されている。搬送部120は、例えば用紙Pを吸着しながら、搬送ベルトによって用紙Pを搬送する。
第1給紙部130、第2給紙部140、及び第3給紙部150は、給紙トレイ131,141,151と、スクレーパローラ132,142,152と、ピックアップローラ133,143,153とを有する。
給紙トレイ131,141,151には、複数の用紙Pが積載される。
スクレーパローラ132,142,152は、給紙トレイ131,141,151に積載された複数の用紙Pのうち最上位に位置する用紙Pを繰り出して搬送する繰り出しローラである。
ピックアップローラ133,143,153は、スクレーパローラ132,142,152によって繰り出された用紙Pを搬送経路Rへ搬送する。
搬送ローラ対161~165は、第1給紙部130、第2給紙部140、及び第3給紙部150からレジストローラ対166までの間の搬送経路Rに配置されている。
レジストローラ対166には、給紙装置1、第1給紙部130、第2給紙部140、及び第3給紙部150から搬送される用紙Pが突き当てられる。これにより、用紙Pの斜行が修正される。
なお、印刷部110によって印刷が行われた用紙Pは、図示しない排紙台へ搬送され、排紙台に積載される。
以下、図7及び図8A~図8Dを参照しながら給紙装置1の給紙動作を説明する。
なお、図7に示すフローチャートの各処理は、例えば印刷装置101の制御部から給紙動作を開始する信号を受けることによって、図2に示す制御部71によって行われる。
まず、制御部71は、吸引機構30による吸引エアA1,A2の吸引、浮上エア吹き出し機構50による浮上エアA3の吹き出し、及び、分離エア吹き出し機構60による分離エアA4の吹き出しを開始させる(ステップS1)。図8Aに示すように、浮上エア吹き出し機構50による浮上エアA3の吹き出しによって、最上位の用紙P1及び2枚目の用紙P2を含む10枚程度の用紙Pが浮き上がる。
次に、制御部71は、印刷装置101の制御部からの給紙停止要求(ステップS2)及び給紙要求(ステップS3)があるかの判定を繰り返す。
制御部71は、給紙要求を受けた場合(ステップS3:YES)、浮上エア吹き出し機構50により浮上エアA3が吹き出されているかを判定する(ステップS4)。
制御部71は、浮上エアA3が停止している場合(ステップS4:YES)、浮上エア吹き出し機構50に浮上エアA3を吹き出させる(ステップS5)。
次に、制御部71は、吸引機構30による吸引エアA1,A2の吸引によって最上位の用紙P1が搬送ベルト21に吸着されたかを、例えば、予め定められた搬送タイミングなどの時間に基づいて判定する(ステップS6)。
制御部71は、最上位の用紙P1が搬送ベルト21に吸着されたと判定すると(ステップS6:YES)、図8Bに示すように、浮上エア吹き出し機構50による浮上エアA3の吹き出しを停止させる(ステップS7)。また、制御部71は、搬送駆動部82の駆動制御によって搬送機構20による最上位の用紙P1の搬送を開始させる(ステップS8)。
このとき、分離エア吹き出し機構60が分離エアA4を吹き出しているため、最上位の用紙P1と2枚目の用紙P2とが分離され、最上位の用紙P1のみが搬送方向Dの下流側に搬送される。
次に、制御部71は、媒体情報の一例である後述する用紙情報に基づいて、搬送方向Dにおける用紙Pの長さが規定長さ以上であるかを判定する(ステップS9)。
制御部71は、搬送方向Dにおける用紙Pの長さが規定長さ以上でない場合(ステップS9:NO)には、上述のステップS2に戻り、ステップS2から再び処理を行う。
制御部71は、搬送方向Dにおける用紙Pの長さが規定長さ以上である場合(ステップS9:YES)、搬送機構20によって最上位の用紙P1を規定量搬送したかの判定(ステップS10)を繰り返す。この規定量は、図8Cに示すように、最上位の用紙P1が搬送されている途中に吸引機構30(遮断部31)が2枚目の用紙P2に対向するまでの長さであるとよい。なお、2枚目の用紙P2が最上位の用紙P1の搬送に伴って上方に露出して吸引機構30に対向すると、2枚目の用紙P2が吸引機構30のうち搬送方向Dの上流側の一部における吸引エアA2の吸引によって搬送ベルト21に吸着されてしまう。
制御部71は、搬送機構20によって最上位の用紙P1が規定量搬送されると(ステップS10:YES)、図8Dに示すように、搬送機構20によって最上位の用紙P1が搬送されている途中に、遮断部31のシャッタ31aを上述の図4Bに示すように遮断位置(1)へ回転させることで閉じ、吸引機構30のうち搬送方向Dの上流側の一部における吸引エアA2の吸引を遮断させる(ステップS11)。シャッタ31aが吸引エアA2の吸引を遮断するとき、シャッタ31aは、2枚目の用紙P2に対向しているため、2枚目の用紙P2が吸引機構30に吸着されないように吸引エアA2の吸引を遮断しているといえる。換言すると、シャッタ31aは、搬送機構20によって最上位の用紙P1が吸着されなくなった吸引エアA2の吸引を遮断する。
なお、ここでは、吸引機構30の遮断部31を例に説明しているが、上述の図5A~図5Cに示す第1変形例の遮断部41や、図6A~図6Dに示す第2変形例の遮断部91などが用いられてもよい。
制御部71は、規定時間が経過するまで(ステップS12)、シャッタ31aによって吸引エアA2の吸引を遮断し、規定時間が経過すると(ステップS12:YES)、搬送駆動部82による搬送機構20の駆動を停止させ、搬送を停止させる(ステップS13)。また、制御部71は、シャッタ31aを、図4Aに示すように吸引エアA2の吸引を遮断しない退避位置(2)へ回転させることで開く(ステップS14)。その後、制御部71は、上述のステップS2に戻り、ステップS2から再び処理を行う。
制御部71は、印刷装置101の制御部から給紙停止要求を受けると(ステップS2:YES)、搬送機構20による搬送が継続している場合には、搬送機構20を停止させるように搬送駆動部82を制御するとともに、吸引機構30による吸引エアA1,A2の吸引、及び、分離エア吹き出し機構60による分離エアA4の吹き出しを停止させ(ステップS15)、図7に示す処理を終了する。
ここで、上述のステップS9における用紙情報に基づく用紙Pの長さが規定長さ以上であるかの判定は、制御部71が、用紙情報に基づいて、遮断部31による吸引エアA2の吸引の遮断動作の有無及び遮断面積のうち少なくとも一方を調整するための判定の一例であり、制御部71は、搬送方向Dにおける用紙Pの長さの判定結果(ステップS9)に基づいて遮断部31の吸引エアA2の吸引の遮断動作(ステップS11)の有無を調整する。
用紙情報は、例えば、用紙Pのサイズ、用紙Pの向き、用紙Pの種類などである。なお、用紙情報は、例えば、印刷ジョブに基づいて制御部71によって取得される。
用紙Pのサイズは、例えば、A3(297×420mm)、A4(210×297mm)などである。用紙Pの向きは、用紙Pの長手方向が搬送方向Dに平行な縦、又は、用紙Pの長手方向が搬送方向Dに直交する横である。用紙Pの種類は、普通紙、厚紙、薄紙などであるが、坪量などであってもよい。制御部71は、上述の搬送方向Dにおける用紙Pの長さを、用紙Pのサイズ及び向きから取得することができる。
制御部71は、搬送方向Dにおける用紙Pの長さが規定長さ以上である場合(ステップS9:YES)に、2枚目の用紙P2が吸引機構30のうち搬送方向Dの上流側の一部における吸引エアA2の吸引によって搬送ベルト21に吸着されやすいため、遮断部31による吸引エアA2の吸引の遮断動作を行わせ、規定長さ未満である場合(ステップS9:NO)に、遮断部31による吸引エアA2の吸引の遮断動作を行わせない。
但し、搬送方向Dにおける用紙Pの長さが長いほど、2枚目の用紙P2の重量が大きくなるため、2枚目の用紙P2が吸引機構30の吸引によって搬送ベルト21に吸着されにくくなる場合がある。そのため、制御部71は、搬送方向Dにおける用紙Pの長さが規定長さ以上である場合に、遮断部31による吸引エアA2の吸引の遮断動作を行わないようにし、規定長さ未満である場合に、遮断部31による吸引エアA2の吸引の遮断動作を行わせてもよい。
また、制御部71は、用紙Pが厚紙である場合に、2枚目の用紙P2の重量が大きくなり、搬送ベルト21に吸着されにくくなる場合があるため、遮断部31による吸引エアA2の吸引の遮断動作を行わないようにしてもよい。このように、制御部71は、用紙Pの種類などの用紙情報に基づいて遮断部31による吸引エアA2の吸引の遮断動作を行わないようにしてもよい。
また、制御部71は、用紙情報に基づいて、遮断部31による吸引エアA2の吸引の上述の遮断面積を調整してもよい。例えば、制御部71は、用紙Pが、相対的に坪量が大きい厚紙である場合に、相対的に坪量が小さい薄紙である場合よりも、遮断部31による吸引エアA2の吸引の遮断面積を増やすとよい。或いは、制御部71は、用紙Pのサイズや向きなどによって遮断部31による吸引エアA2の吸引の遮断面積を調整してもよい。
なお、制御部71は、用紙情報に基づいて、浮上エア吹き出し機構50による浮上エアA3の風量や分離エア吹き出し機構60による分離エアA4の風量を調整してもよい。
また、制御部71は、上述の用紙情報に加えて(又は用紙情報に代えて)、給紙装置1が設置された環境の湿度、気流などの環境情報を図示しないセンサから取得し、この環境情報に基づいて、遮断部31による吸引エアA2の吸引の遮断動作の有無及び遮断面積のうち少なくとも一方を調整してもよい。例えば、湿度が低いほど用紙Pの重量が小さくなり、また、気流が強いほど2枚目の用紙P2が浮き上がりやすくなるため、2枚目の用紙P2が搬送機構20に吸着されやすくなる。制御部71は、このような2枚目の用紙P2の搬送機構20への吸着のされやすさに応じて、遮断部31による吸引エアA2の吸引の遮断動作の有無及び遮断面積のうち少なくとも一方を調整するとよい。
図9は、本実施の形態の第3変形例における給紙動作を説明するための図である。
上述の説明では、図8Dに示すように、遮断部31が、搬送機構20によって最上位の用紙P1が搬送されている途中に、この最上位の用紙P1の搬送に伴って上方に露出する2枚目の用紙P2に対向する状態で、吸引エアA2の吸引を遮断する例について説明した。
しかしながら、図9に示すように、遮断部31は、最上位の用紙P1の搬送方向Dの上流側(搬送方向Dの中心部よりも上流側)における少なくとも一部の吸着状態を解除させるように、最上位の用紙P1に対向する状態で、吸引エアA2の吸引を遮断してもよい。このように最上位の用紙P1の少なくとも一部の搬送機構20に対する吸着状態を解除することによって、最上位の用紙P1の一部が搬送ベルト21の吸着面(底面)よりも下方に垂れ下がり、ひいては2枚目の用紙P2が下方に押される。そのため、2枚目の用紙P2が吸引機構30による吸引エアA2の吸引によって搬送機構20に吸着されるのを防止することができる。この場合も、制御部71は、搬送機構20によって最上位の用紙P1が搬送されている途中に2枚目の用紙P2が搬送機構20に吸着されないように、遮断部31によって吸引エアA2の吸引を遮断させているといえる。
なお、遮断部31は、最上位の用紙P1に対向する状態で吸引エアA2の吸引の遮断を開始した後、2枚目の用紙P2に対向するまで吸引エアA2の吸引の遮断を継続するとよい。
以上説明した本実施の形態では、媒体供給装置の一例である給紙装置1は、複数の媒体の一例である複数の用紙Pが積載される積載台10と、この積載台10に積載された複数の用紙Pのうち最上位の用紙P1を搬送する搬送機構20と、吸引エアA1,A2を吸引することによって最上位の用紙P1を搬送機構20に吸着させる吸引機構30とを備え、この吸引機構30は、搬送機構20によって最上位の用紙P1が搬送される搬送方向Dの上流側の一部における吸引エアA2の吸引を遮断する遮断部31(遮断手段の一例)を有する。例えば、遮断部31は、搬送機構20によって最上位の用紙P1が吸着されなくなった吸引機構30の吸引エアA2の吸引を遮断する。
これにより、搬送機構20によって最上位の用紙P1が搬送されている途中に、最上位の用紙P1の搬送に伴って2枚目の用紙P2が上方に露出し、吸引機構30による吸引エアA2の吸引によって2枚目の用紙P2が搬送機構20に吸着されてしまうのを、遮断部31による吸引エアA2の吸引の遮断動作によって抑制することができる。よって、本実施の形態によれば、積載台10に積載された最上位の用紙P1とともに2枚目の用紙P2が搬送機構20によって搬送されるのを抑制することができる。これにより、2枚目の用紙P2が搬送機構20によって最上位の用紙P1とともに搬送され、2枚目の用紙P2の搬送方向Dにおける先端が積載台10の壁面に衝突し、紙折れが生じるのを防止することもできる。
また、本実施の形態では、遮断部31を制御する制御部71は、積載台10に積載された複数の用紙Pの用紙情報(媒体情報の一例)に基づいて、遮断部31による吸引エアA2の吸引の遮断動作の有無および遮断面積のうち少なくとも一方を調整する。これにより、用紙Pのサイズ、向き、種類などに起因する2枚目の用紙P2の搬送機構20への吸着のされやすさに合わせた制御を行うことができるため、2枚目の用紙P2が搬送機構20に吸着されてしまうのをより確実に抑制することができる。
また、本実施の形態並びに第1及び第2変形例では、遮断部31,41,91は、吸引エアA2の吸引を遮断する遮断位置(1)と、この遮断位置から退避した退避位置(2)とに移動するシャッタ31a,41b,41c,91a,91b,91cを有する。これにより、シャッタ31a,41b,41c,91a,91b,91cを移動させる簡単な構成で、2枚目の用紙P2が搬送機構20に吸着されてしまうのを抑制することができる。
また、遮断部31(遮断手段の一例)は、最上位の用紙P1(最上位の媒体の一例)の搬送に従って吸引機構30の吸引エアA2の吸引の遮断面積を増加させる。例えば、本実施の形態の図5A~図5Cに示す第1変形例及び図6A~図6Dに示す第2変形例では、シャッタ41b,41c,91a,91b,91cを制御する制御部71は、最上位の用紙P1の搬送に従って搬送方向Dの下流側に向かって吸引エアA2の吸引の遮断面積を増加させるようにシャッタ41b,41c,91a,91b,91cの位置を制御する。これにより、最上位の用紙P1の搬送方向Dの下流側への搬送に伴って2枚目の用紙P2が上方に露出する面積が増えるのに合わせて、遮断面積を増加させることができる。そのため、2枚目の用紙P2が搬送機構20に吸着されてしまうのをより確実に抑制することができる。
また、本実施の形態では、遮断部31を制御する制御部71は、搬送機構20によって最上位の用紙P1が搬送されている途中に、この最上位の用紙P1の搬送に伴って上方に露出する2枚目の用紙P2(他の媒体の一例)に遮断部31が対向する状態で、吸引エアA2の吸引を遮断させる。これにより、2枚目の用紙P2が直接的に吸引エアA2によって吸引されるのを防止することができるため、2枚目の用紙P2が搬送機構20に吸着されてしまうのをより確実に抑制することができる。
また、本実施の形態の図9に示す第3変形例では、遮断部31を制御する制御部71は、最上位の用紙P1の搬送方向Dの上流側の一部における搬送機構20への吸着状態を解除させるように、最上位の用紙P1に遮断部31が対向する状態で、吸引エアA2の吸引を遮断させる。このように、最上位の用紙P1の搬送方向Dの上流側の一部における搬送機構20への吸着状態を解除させることによって、最上位の用紙P1の搬送方向Dの上流側の一部が搬送機構20の吸着面よりも下方に移動するため、2枚目の用紙P2が最上位の用紙P1によって下方に押されることで、搬送機構20に吸着されるのを防止することができる。また、最上位の用紙P1の搬送に伴って2枚目の用紙P2が上方に露出し、吸引機構30に対向するタイミングで、2枚目の用紙P2が搬送機構20に吸着されてしまうのを防止することができる。更には、2枚目の用紙P2が上方に露出し遮断部31(吸引機構30)に対向するタイミングを正確に見極める必要がないため、簡単な制御で、2枚目の用紙P2が搬送機構20に吸着されてしまうのを抑制することができる。
また、本実施の形態では、吸引機構30は、最上位の用紙P1の下部に位置する2枚目の用紙P2(他の媒体の一例)が搬送機構20に吸着されないように、吸引機構30の吸引エアA2の吸引を遮断する遮断部31(遮断手段の一例)を有するといえる。これにより、搬送機構20によって最上位の用紙P1が搬送されている途中に、最上位の用紙P1の搬送に伴って2枚目の用紙P2が上方に露出し、吸引機構30による吸引エアA2の吸引によって2枚目の用紙P2が搬送機構20に吸着されてしまうのを、遮断部31による吸引エアA2の吸引の遮断動作によって抑制することができる。よって、本実施の形態によれば、積載台10に積載された最上位の用紙P1とともに2枚目の用紙P2が搬送機構20によって搬送されるのを抑制することができる。これにより、2枚目の用紙P2が搬送機構20によって最上位の用紙P1とともに搬送され、2枚目の用紙P2の搬送方向Dにおける先端が積載台10の壁面に衝突し、紙折れが生じるのを防止することもできる。
また、本実施の形態では、遮断手段の一例である遮断部31は、最上位の用紙P1が搬送機構20に吸着し搬送開始(ステップS8)された後、搬送機構20によって搬送される最上位の用紙P1が吸引機構30に対向する状態から吸引機構30に対向しなくなるまでの間の一部の期間(ステップS11~S13)で、吸引機構30のエアA2の吸引を遮断するといえる。これにより、搬送機構20によって最上位の用紙P1が搬送されている途中に、最上位の用紙P1の搬送に伴って2枚目の用紙P2が上方に露出し、吸引機構30による吸引エアA2の吸引によって2枚目の用紙P2が搬送機構20に吸着されてしまうのを、遮断部31による吸引エアA2の吸引の遮断動作によって抑制することができる。更には、遮断部31が吸引機構30の吸引エアA2の吸引を遮断している間の少なくとも一部の期間で、搬送機構20が最上位の用紙P1を搬送することによって、最上位の用紙P1が搬送されている途中に搬送機構20が停止している態様と比較して、最上位の用紙P1が搬送機構20に擦れること、ひいては搬送機構20の劣化や、搬送抵抗による搬送ジャムなどを抑制することができる。また、例えば、最上位の用紙P1が既に印刷済みの用紙Pである場合に、搬送機構20との擦れに起因して印刷面に汚れが発生するのを防止することもできる。また、遮断部31が吸引機構30の吸引エアA2の吸引を遮断しているため、2枚目の用紙P2が最上位の用紙P1とともに搬送されるのを抑制することもできる。
なお、上述の実施の形態では、吸引機構30は、搬送方向Dの上流側の一部における吸引エアA2の吸引を遮断する遮断部31(遮断手段の一例)を有する。しかしながら、遮断手段(遮断部)としては、搬送方向Dの全体に亘って吸引エアA1の吸引を遮断する遮断手段(遮断部)であってもよい。このような搬送方向Dの全体に亘って吸引エアA1の吸引を遮断する遮断手段(遮断部)等について、以下、他の実施の形態として説明する。
<他の実施の形態>
図11は、他の実施の形態に係る給紙装置301を備える印刷システム300を示す構成図である。
図12は、搬送機構20及び吸引機構330を示す拡大図である。
図11に示す印刷システム300は、給紙装置301と、印刷装置101とを備える。
本実施の形態における給紙装置301は、図1に示す給紙装置1と比較して、搬送方向Dの上流側の一部(一部のみ)における吸引エアA2の吸引を遮断する遮断部31に代えて、搬送方向Dの全体に亘って吸引エアA1の吸引を遮断する遮断部(遮断手段の一例)を備える。また、給紙装置301は、搬送ローラ対350(下流側搬送機構の一例)と、用紙検知センサ360とを更に備える。これらを除いて、本実施の形態は、上述の一実施の形態(第1~第3変形例を含む)で述べた事項と同様にすることができる。そのため、以下では詳細な説明は省略する。なお、搬送ローラ対350及び用紙検知センサ360は、上述の一実施の形態に係る給紙装置1においても配置されているとよい。
図12に示すように、吸引機構330は、搬送方向Dの全体に亘って吸引エアA1の吸引を遮断する遮断部331を有する。この遮断部311は、遮断手段の一例である。遮断部311は、例えば、吸引機構330の内部(チャンバ内部)の底面に配置されている。なお、遮断部331は、吸引機構330の外部(チャンバ外部)の底面に配置されていてもよい。
遮断部331は、例えば、図4A及び図4Bに示すシャッタ31a等を有する遮断部31が搬送方向Dの全体に亘って吸引エアA1の吸引を遮断する大きさで配置されたものであってもよいし、遮断部31が搬送方向Dに複数配列されたものであってもよいし、図5A~図5Cに示す第1変形例のように、退避位置と遮断位置とに搬送方向Dに移動する複数のシャッタを有する遮断部41であってもよいし、図6A~図6Dに示すように退避位置と遮断位置とに回転(移動)する複数のシャッタを有する遮断部91であってもよい。また、遮断部331は、巻き取り及び巻き出し可能で退避位置から遮断位置へ移動する遮断部であってもよいし、吸引エアA1を吸引する吸引源の駆動を停止させる駆動回路などであってもよい。このように、遮断部331の構成は、特に制限されない。
図11に示す搬送ローラ対350は、搬送機構20よりも搬送方向Dにおける下流側に配置された下流側搬送機構の一例であり、最上位の用紙P1をニップしながら搬送する。
用紙検知センサ360は、搬送ローラ対350よりも搬送方向Dにおける下流側に配置されている。用紙検知センサ360は、用紙Pの有無を検知する媒体検知センサの一例である。
以下、図13~図15Cを参照しながら、給紙装置301の給紙動作を説明する。
図13は、他の実施の形態における給紙動作を説明するためのタイミングチャートである。
図14は、比較例における給紙動作を説明するためのタイミングチャートである。
図15A~図15Cは、他の実施の形態における給紙動作を説明するための図である。 なお、図13に示すタイミングチャートの各処理は、例えば図2に示す制御部71によって行われる。
まず、制御部71は、図7に示すフローチャートのステップS8の処理のように、図2に示す搬送駆動部82の駆動制御によって搬送機構20による最上位の用紙P1の搬送が開始するタイミングで、図13に示すように、最上位の用紙P1の給紙が開始される(時間t1)。
この時間t1では、図15Aに示すように、用紙検知センサ360は、最上位の用紙P1を検知せず、遮断部331は、吸引エアA1の吸引を遮断しない退避位置(OPEN位置)にある。また、図示しない吸引源の一例である吸引ファンは、常時稼働(ON)している。また、浮上エア吹き出し機構50は、浮上エアA3を吹き出さず、分離エア吹き出し機構60は、分離エアA4を吹き出している。
その後、図15Bに示すように、最上位の用紙P1の搬送方向Dにおける先端が用紙検知センサ360に到達すると、用紙検知センサ360が最上位の用紙P1を検知する(時間t2)。このように用紙検知センサ360が最上位の用紙P1を検知すると、制御部71は、遮断部331を吸引エアA1の吸引を遮断する遮断位置(CLOSE位置)に移動させる。図15Bにおいては、吸引が遮断された状態の吸引エアA1を破線の矢印で示す。
なお、遮断部331が遮断位置に移動するタイミングは、時間t2に限られず、例えば、最上位の用紙P1の搬送途中に吸引機構330(遮断部331)が2枚目の用紙P2に対向する前又は対向しているときなどの任意のタイミングや、時間t2の規定時間前又は規定時間後などとすることができる。ここで、吸引機構330が2枚目の用紙P2に対向するタイミングは、用紙検知センサ360によって検知される最上位の用紙P1の搬送方向Dにおける先端の位置の検知タイミング、最上位の用紙P1の搬送速度、図示しない用紙Pのサイズ検知センサの検知結果(用紙Pの搬送方向Dにおける長さ)などに基づいて判別可能である。また、搬送ローラ対350が最上位の用紙P1をニップすると、最上位の用紙P1が搬送機構20に吸着されていなくとも最上位の用紙P1の搬送が行われるため、搬送ローラ対350が最上位の用紙P1をニップしたとき以降に、遮断部331が遮断位置に移動してもよい。また、用紙検知センサ360を吸引機構330の近傍(例えば、搬送方向Dにおける吸引機構330の上流側)に配置することによって、最上位の用紙P1の後端の通過を検知してもよい。
その後、図15Cに示すように、最上位の用紙P1の搬送方向Dにおける後端が用紙検知センサ360を抜けると、用紙検知センサ360が最上位の用紙P1を検知しなくなる(時間t3)。このように用紙検知センサ360が最上位の用紙P1を検知しなくなると、制御部71は、遮断部331を吸引エアA1の吸引を遮断しない退避位置(OPEN位置)に移動させる。また、制御部71は、搬送機構20による最上位の用紙P1の搬送を停止させる。
なお、遮断部331が退避位置に移動するタイミングは、時間t3に限られず、例えば、最上位の用紙P1が吸引機構330に対向しなくなったとき以降であるとよい。また、遮断部331が遮断位置に移動するタイミングは、搬送開始よりも後の時間t2である。そのため、遮断部331は、最上位の用紙P1が搬送機構20に吸着し搬送開始されるよりも後の時間t2から、最上位の用紙P1が吸引機構330に対向しなくなるまで、吸引機構330の吸引エアA1の吸引を遮断しているといえる。但し、上述の一実施の形態で述べたように、遮断部331は、最上位の用紙P1が搬送機構20に吸着し搬送開始された後、最上位の用紙P1が吸引機構330に対向する状態から吸引機構330に対向しなくなるまでの間の一部の期間で、吸引機構330の吸引エアA1の吸引を遮断するとよい。
また、搬送機構20は、遮断部331が吸引機構330の吸引エアA1の吸引を遮断している間(時間t2~時間t3)の少なくとも一部の期間(図13の例ではすべての期間)で、最上位の用紙P1を搬送する。
その後、制御部71は、最上位の用紙P1の給紙の開始(時間t1)と同様に、2枚目の用紙P2の給紙の開始を行う(時間t4)。
なお、用紙検知センサ360が最上位の用紙P1を検知している期間(時間t2~時間t3)では、制御部71は、遮断部331を、吸引エアA1の吸引を遮断しない退避位置(OPEN位置)から吸引エアA1の吸引を遮断する遮断位置(CLOSE位置)に移動させずに、吸引エアA1の一部の吸引を遮断する図13に破線で示す部分遮断位置(半OPEN位置)に遮断部331を移動させ(時間t2)、その後(時間t2a)、吸引エアA1の全体の吸引を遮断する遮断位置(CLOSE位置)に遮断部331を移動させてもよい。このように、遮断部331は、最上位の用紙P1の搬送に従って吸引機構330のエアA1の吸引の遮断面積を増加させるとよい。なお、遮断面積の増加は、例えば、80%OPEN、50%OPEN、20%OPEN、遮断位置(CLOSE位置)などのように断続的なものであってもよいし、或いは徐々に増加する連続的なものであってもよい。なお、図2に示す搬送駆動部82は、通電時にシャッタを遮断位置に移動させるソレノイドと、このソレノイドの非通電時にシャッタを退避位置に戻すバネなどの付勢機構とを有してもよいが、遮断面積を上述のように増加させる場合、モータと、停止位置を制御するセンサ又はエンコーダなどとを有するとよい。また、遮断部331は、時間t2~時間t3の期間、部分遮断位置(半OPEN位置)まで移動し、遮断位置(CLOSE位置)までは移動しなくてもよい。
また、遮断部331による吸引エアA1の遮断動作の有無や遮断面積は、上述の一実施の形態で述べたとおり、用紙情報、環境情報などに基づいて決定されてもよい。
図14に示す比較例では、遮断部331が設けられていないため、吸引機構330の吸引エアA1の吸引は、用紙検知センサ360が用紙Pを検知している間(時間t2~時間t3)も遮断されない。また、図14に示す比較例では、吸引機構330の吸引エアA1の吸引が遮断されないため、用紙検知センサ360が用紙Pを検知したとき(時間t2)以降、最上位の用紙P1とともに2枚目の用紙P2が搬送されてしまうのを抑制するために、搬送機構20による搬送が停止される。そのため、比較例では、最上位の用紙P1が搬送機構20に擦れ、ひいては搬送機構20の劣化や、搬送抵抗による搬送ジャムなどを生じさせ得る。また、例えば、最上位の用紙P1が既に印刷済みの用紙Pである場合に、搬送機構20との擦れに起因して印刷面に汚れが発生し得る。
本実施の形態では、上述の一実施の形態と同様の事項については同様の効果、すなわち、積載台10に積載された最上位の用紙P1とともに2枚目の用紙P2が搬送機構20によって搬送されるのを抑制することができるなどの効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、遮断部331(遮断手段の一例)は、最上位の用紙P1(最上位の媒体の一例)の搬送に従って吸引機構330の吸引エアA1の吸引の遮断面積を増加させる。例えば、制御部71は、遮断部331を、吸引エアA1の一部の吸引を遮断する図13に破線で示す部分遮断位置(半OPEN位置)に遮断部331を移動させ(時間t2)、その後(時間t2a)、吸引エアA1の全体の吸引を遮断する遮断位置(CLOSE位置)に遮断部331を移動させる。これにより、最上位の用紙P1の搬送方向Dの下流側への搬送に伴って2枚目の用紙P2が上方に露出する面積が増えるのに合わせて、遮断面積を増加させることができる。そのため、2枚目の用紙P2が搬送機構20に吸着されてしまうのをより確実に抑制することができる。
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
複数の媒体が積載される積載台と、
前記積載台に積載された前記複数の媒体のうち最上位の媒体を搬送する搬送機構と、
エアを吸引することによって前記最上位の媒体を前記搬送機構に吸着させる吸引機構とを備え、
前記吸引機構は、前記最上位の媒体の下部に位置する他の前記媒体が前記搬送機構に吸着されないように、当該吸引機構のエアの吸引を遮断する遮断手段を有する
ことを特徴とする媒体供給装置。
[付記2]
前記遮断手段は、前記最上位の媒体が前記搬送機構に吸着し搬送開始された後、前記搬送機構によって搬送される前記最上位の媒体が前記吸引機構に対向する状態から前記吸引機構に対向しなくなるまでの間の一部の期間で、前記吸引機構のエアの吸引を遮断する
ことを特徴とする付記1記載の媒体供給装置。
[付記3]
前記遮断手段は、前記最上位の媒体の搬送に従って前記吸引機構のエアの吸引の遮断面積を増加させる
ことを特徴とする付記1又は2記載の媒体供給装置。
[付記4]
前記遮断手段は、前記搬送機構によって前記最上位の媒体が搬送される搬送方向の上流側の一部におけるエアの吸引を遮断する
ことを特徴とする付記1から3のいずれか記載の媒体供給装置。
[付記5]
前記遮断手段は、前記搬送機構によって前記最上位の媒体が吸着されなくなった前記吸引機構のエアの吸引を遮断する
ことを特徴とする付記1から4のいずれか記載の媒体供給装置。
[付記6]
前記遮断手段を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記積載台に積載された前記複数の媒体の媒体情報に基づいて、前記遮断手段によるエアの吸引の遮断動作の有無及び遮断面積のうち少なくとも一方を調整する
ことを特徴とする付記1から5のいずれか記載の媒体供給装置。
[付記7]
前記遮断手段は、エアの吸引を遮断する遮断位置と、当該遮断位置から退避した退避位置とに移動するシャッタを有する
ことを特徴とする付記1から5のいずれか記載の媒体供給装置。
[付記8]
前記シャッタを制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記最上位の媒体の搬送に従って前記搬送方向の下流側に向かってエアの吸引の遮断面積を増加させるように前記シャッタの位置を制御する
ことを特徴とする付記7記載の媒体供給装置。