JP7451953B2 - 部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂 - Google Patents

部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂 Download PDF

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本発明は、特定の部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂に関するものであり、各種樹脂、ゴム、エラストマーとの相溶性に優れ、色調に優れ、溶剤溶解性の向上までをも可能とする新規な部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂に関するものである。
タイヤ性能や加工性を向上することを目的に、ゴムに樹脂を配合することが提案されている。ゴムに相溶性の高い水素添加樹脂を配合することでウェットグリップ性を改良する方法が提案されている(例えば特許文献1~4参照。)。その際の水素化する原料の樹脂として、スチレン系樹脂、C5留分またはC9留分を重合して得られる石油樹脂、C5留分とC9留分を共重合して得られる石油樹脂、ジシクロペンタジエン等を重合して得られる石油樹脂、不飽和環式化合物で変性したC9系石油樹脂等が提案されている。
また、ウェットグリップ性を改良するため、イソブチレンと芳香族ビニル化合物からなるブロック共重合体とゴム成分に粘着付与樹脂を配合することが提案されている(例えば特許文献5参照。)。そして、粘着付与樹脂として、脂環族系石油樹脂及びその水素化物、芳香族系石油樹脂及びその水素化物、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂及びその水素化物、ジシクロペンタジエン系石油樹脂及びその水素化物等が提案されている。
スチレン-ブタジエン共重合体ゴムとの相溶性に優れた水添スチレン系共重合樹脂が提案されている(例えば特許文献6参照。)。
スチレンまたは置換スチレンと、ジシクロペンタジエンより作製した熱重合共重合体、およびそれらの部分水素化物が提案されている(例えば特許文献7参照。)。熱重合の際、ジシクロペンタジエンの一部が熱分解によりシクロペンタジエンとなり、ディールスアルダー反応により、スチレンやジシクロペンタジエンと反応することでジシクロペンタジエンより環構造が大きく変化することが報告されている。カチオン重合と熱重合で生成物の構造が異なると報告されている。
さらに、ジシクロペンタジエン樹脂の重合法による分子構造の違いが報告されている(例えば非特許文献1,2参照。)。そして、非特許文献1には、フリーデルクラフツ触媒による重合(カチオン重合)と、ディールスアルダー反応を伴う重合(熱重合)により得られたジシクロペンタジエン樹脂の分子構造について報告されている。カチオン重合では、ジシクロペンタジエンのように炭素数10個の環構造を維持したまま、重合が進行する。一方、熱重合では、ジシクロペンタジエンの一部が熱分解によりシクロペンタジエンとなり、ディールスアルダー反応により炭素数が5、10、15、20個程度の環構造に変化すると共に、それらのビニレン基の重合反応が進行する。熱重合ではジシクロペンタジエンから環構造が変化するため、カチオン重合により得られたジシクロペンタジエン樹脂との分子構造が大きく異なることが報告されている。
また、非特許文献2には、ジシクロペンタジエンのカチオン重合において、2つのビニレン基の反応、及びそれらの異性化により、炭素数10個の環構造ではあるが、4つの分子構造を形成することが報告されている。
特開2008-174696号公報 特開2009-138025号公報 特開2011-88988号公報 特開2011-88998号公報 特開2003-113287号公報 特開2018-131515号公報 特表2004-515618号公報
石油学会誌,27巻,26頁(1984年) Journal of Polymer Science:PartA,34巻,3527頁(1996年)
しかし、特許文献1~7に提案の方法においては、ゴム、樹脂等との相溶性が不十分であり、ウェットグリップ性が満足できない、ゴムよりガラス転移点が高い樹脂を配合するため転がり抵抗性が増加し低燃費性が悪化する、粘度が高くなるため加工性が悪化しフィラーやゴムの使用量が制限される、混練不良によりタイヤ性能が低下する、という課題を有するものである上に、(部分)水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂の分子構造について何ら言及されていないものであった。
また、非特許文献1、2には、重合方法の選択により分子構造の異なるジシクロペンタジエン系樹脂が得られることの記載はなされているが、(部分)水添ジシクロペンタエン-芳香族系単量体共重合樹脂については何ら言及のなされていないものであった。
そこで、本発明は、各種樹脂、ゴム、エラストマーとの相溶性に優れ、色調に優れ、溶剤溶解性の向上までをも可能とする新規な部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、特定の部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂とすることにより、各種樹脂やゴム、エラストマーとの相溶性に優れ、色調に優れ、溶剤溶解性の向上までをも可能とすることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂であって、重クロロホルム中、室温下でH-NMRにて測定したスペクトルにおいて、6.5~7.5ppmのピーク面積が全ピーク面積に対して0.5%以上20.0%以下の範囲内にあり、5.8~6.5ppmのピーク面積(A)と4.8~5.8ppmのピーク面積(B)の合計が全ピーク面積に対して0%を超え、8.0%以下の範囲内にあり、その際のピーク面積(A)とピーク面積(B)の比として表される(A/B)が0.01以上0.2以下の範囲内にあることを特徴とする部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂に関するものである。
以下に、本発明に関して詳細に説明する。
本発明の部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂は、重クロロホルム中、室温下でH-NMRにて測定したスペクトルにおいて、6.5~7.5ppmのピーク面積が全ピーク面積に対して0.5%以上20.0%以下の範囲内にあり、5.8~6.5ppmのピーク面積(A)と4.8~5.8ppmのピーク面積(B)の合計が全ピーク面積に対して0%を超え、8.0%以下の範囲内にあり、その際のピーク面積(A)とピーク面積(B)の比として表される(A/B)が0.01以上0.2以下の範囲内にあるものである。
本発明の部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂は、重クロロホルム中、室温下でH-NMR(プロトン核磁気共鳴装置と称される場合もある。)にて測定したスペクトルにおいて、6.5~7.5ppmのピーク面積が全ピーク面積に対して0.5%以上20.0%以下の範囲内にあり、5.8~6.5ppmのピーク面積(A)と4.8~5.8ppmのピーク面積(B)の合計が全ピーク面積に対して0%を超え、8.0%以下の範囲内、ピーク面積(A)とピーク面積(B)の比として表される(A/B)が0.01以上0.2以下の範囲内にある部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂である。その際の6.5~7.5ppmのピークは、芳香族系単量体残基単位のベンゼン環に付加したプロトンに由来する。また、5.8~6.5ppmのピークは、ジシクロペンタジエン残基単位のノルボルネン環のプロトンに由来する。さらに、4.8~5.8ppmのピークは、ジシクロペンタジエン残基単位のシクロペンテン環のビニレン基のプロトンに由来するものである。そして、ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂を(部分)水添することによりこれらピークは減少するものである。ここで、部分水添物であること、ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合体であることにより、各種樹脂やゴムとの相溶性に優れ、加工性に優れる、等の効果を奏するものであり、未水添物、完全水添物、ジシクロペンタジエン単独重合体、芳香族系単量体単独重合体である場合、これら効果を奏するものとすることは困難となる。
該部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂は、6.5~7.5ppmのピーク面積が全ピーク面積に対して0.5%以上20.0%以下の範囲内にあることにより、各種樹脂やゴムとの相溶性、取扱性に優れ、特に0.5%以上15.0%以下の範囲内にあることが好ましい。また、ピーク面積(A)とピーク面積(B)の合計が全ピーク面積に対しては、0%を超え、8.0%以下の範囲内にあることにより、各種樹脂やゴム、エラストマーとの相溶性、取扱性に優れ、特に0.1%以上7.0%以下の範囲内にあることが好ましい。ここで、ピーク面積(A)とピーク面積(B)の合計が、0%である場合、又は8.0%を超える場合、各種樹脂やゴムとの相溶性に劣る。また、ピーク面積(A)とピーク面積(B)の比である(A/B)は、0.01以上0.2以下の範囲内であることにより各種樹脂やゴムの改質効果に優れるものなり、好ましくは0.01以上0.15以下の範囲内である。ここで、(A/B)が0.01未満又は0.2を超えるものである場合、各種樹脂やゴム、エラストマーとの相溶性に劣る。
また、該部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂は、ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂(以下、DCPD-芳香族系樹脂と記す場合もある。)を部分水素化してなるものであり、水素化の際には主にDCPD-芳香族系樹脂を構成する炭素-炭素二重結合の水素化が進行するものである。この際、ジシクロペンタジエン残基単位の炭素-炭素二重結合の水素化が、芳香族系単量体残基単位の炭素-炭素二重結合の水素化より優先的に進行する。そして、特にゴムとの相溶性に優れ、その改質効果に優れることが可能となると共に、色調にも優れるものとなることから該炭素-炭素二重結合の水素化率は、ジシクロペンタジエン残基単位の水素化率が50~99.9%、芳香族系単量体残基単位の水素化率が0~95%のものであることが好ましく、特にジシクロペンタジエン残基単位の水素化率が60~99.9%、芳香族系単量体残基単位の水素化率が0~90%のものであることが好ましい。
さらに、該部分水添DCPD-芳香族系樹脂は、特に各種樹脂やゴム、エラストマーとの相溶性に優れ、溶剤溶解性をも向上するものとなることから、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用い、標準ポリスチレン換算値として測定した際の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比が3.0以下であることが好ましい。この際、Mwが600以上2500以下のものが好ましく、特に600以上2000以下のものが好ましい。
また、該部分水添DCPD-芳香族系樹脂は、特に各種樹脂、ゴム、エラストマーとの相溶性、溶剤溶解性や加工性に優れるものとなることから、JIS K-2207を準拠した軟化点が70℃以上150℃以下のものであることが好ましく、更に80℃以上140℃以下のものが好ましく、特に110℃以上140℃以下のものが好ましい。
該部分水添DCPD-芳香族系樹脂は、DCPD-芳香族系樹脂を部分水素化することにより入手可能であり、その際のDCPD-芳香族系樹脂としては、本発明の部分水添DCPD-芳香族系樹脂とすることが可能であれば如何なるものであってもよく、ジシクロペンタジエン類と、芳香族系単量体を共重合することにより得ることが可能である。
ジシクロペンタジエン類としては、一般的に石油類の熱分解および精製により得られるジシクロペンタジエン類として知られているものであれば如何なるものを用いることも可能であり、例えばジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン、これらの混合物等のジシクロペンタジエン類を挙げることができる。
芳香族系単量体としては、例えばスチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、イソプロぺニルトルエン等のスチレン類;インデン、メチルインデン、ジメチルインデン等のインデン類等が挙げられる。なかでもジシクロペンタジエン類との共重合性に優れるため、芳香族系単量体は特にスチレン類が好ましい。また、芳香族系単量体としては、これらの純単量体を用いても、石油類の熱分解により得られる沸点範囲が140~280℃の範囲にあるC9留分を蒸留精製して用いても良い。
該部分水添DCPD-芳香族系樹脂は、部分的に水素化することによりゴム改質、特に反発弾性、伸び、強度等の改質性能に優れるゴム改質剤としての適用を可能とすることから、ジシクロペンタジエン残基単位量が50~95モル%、芳香族系単量体残基単位量が5~50モル%であることが好ましく、更に芳香族系単量体残基単位中に占めるスチレン類の残基単位量が50モル%以上であることが好ましい。
また、該部分水添DCPD-芳香族系樹脂は、その効果・目的を逸脱しない範囲において、他の単量体成分を共重合することも可能である。例えばイソプレン、ピペリレン、シクロペンタジエン等のC5単量体等を挙げることができる。
そして、該部分水添DCPD-芳香族系樹脂の製造方法としては、該部分水添DCPD-芳香族系樹脂の製造が可能であれば如何なる方法であってもよく、例えば水素化触媒の存在下でDCPD-芳香族系樹脂を(部分)水素化添加する方法を挙げることができる。
この際のDCPD-芳香族系樹脂は、例えばフリーデルクラフツ型触媒を用いたカチオン重合法により得れるDCPD-芳香族系樹脂、熱重合法により得られるDCPD-芳香族系樹脂、等を挙げることができる。そして、中でもより部分水添を容易に進行することが可能となる分子構造を有することからカチオン重合法により得られるDCPD-芳香族系樹脂であることが好ましい。カチオン重合法における該フリーデルクラフツ型触媒としては、例えば三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三フッ化ホウ素、これらのフェノール錯体,これらのブタノール錯体,これらのメタノール錯体、これらのジメチルエーテル錯体、これらのジエチルエーテル錯体等が挙げられ、中でも三フッ化ホウ素フェノール錯体、三フッ化ホウ素ブタノール錯体、三フッ化ホウ素メタノール錯体、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体が好ましい。その際の重合温度は0℃以上100℃以下が好ましく、特に好ましくは0℃以上80℃以下である。また、フリーデルクラフツ型触媒の添加量としては、任意であり、その中でも特に生産効率に優れた製造方法となることから、該混合物100重量部に対して0.1重量部以上2.0重量部以下であることが好ましい。さらに、重合時間としては、0.1時間以上10時間以下の範囲が好ましい。反応圧力は大気圧以上1MPa以下が好ましい。
該部分水添DCPD-芳香族系樹脂は、DCPD-芳香族系樹脂を水素化触媒存在下、公知の方法により部分水素化することで製造することが出来る。水素化触媒としては、例えばニッケル、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金、モリブデン等に代表される金属の酸化物、硫化物等の金属化合物が挙げられ、多孔質で表面積の大きい珪藻土、アルミナ、シリカ、カーボン、チタニア等の担体に担持したのものでも良い。水素化反応の条件は、所望の水素化率となるように水素圧、温度、触媒量、溶剤の使用量を適宜調整すればよい。
本発明の部分水添DCPD-芳香族系樹脂は、各種樹脂やゴム、エラストマーとの相溶性に優れ、色調に優れ、溶剤溶解性をも向上することから、粘・接着剤、制振材、ゴム改質剤、樹脂改質剤、インキ、塗料等の用途又はその好適な原料となる。この際の樹脂としてはエチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、テルペン樹脂等;ゴム、エラストマーとしてはスチレン-ブタジエンゴム、スチレン-イソプレンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、スチレン系エラストマー;溶剤としてはインキ・塗料用の植物油やアロマフリー溶剤等が挙げられる。
本発明により、各種樹脂、ゴム、エラストマーとの相溶性に優れ、色調に優れ、溶剤溶解性の向上までをも可能とする新規な部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂を提供することが可能となる。
以下に、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例において用いた原料、分析、試験法は下記の通りである。
1.原料
(1)ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂原料
ジシクロペンタジエン:富士フィルム和光純薬製試薬。
メチルシクロペンタジエンダイマー:アルドリッチ製試薬。
スチレン:富士フィルム和光純薬製試薬。
ビニルトルエン:富士フィルム和光純薬製試薬。
インデン:富士フィルム和光純薬製試薬。
トルエン:富士フィルム和光純薬製試薬、超脱水グレード。
所定の組成となるように重合に用いる原料を調製した。原料の組成を表1に示す。なお、表1中のDCPDはジシクロペンタジエンの略記である。
重合触媒:三フッ化ホウ素メタノール(アルドリッチ製)。
(2)ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂の(部分)水素化
水素化触媒:パラジウム-カーボン(アルドリッチ製、パラジウム30%)。
溶媒:メチルシクロヘキサン(富士フィルム和光純薬製試薬)。
(3)曇点測定用原料
エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA):東ソー株式会社製(商品名)ウルトラセン722、酢酸ビニル含量=28重量%、MI=400g/10分。
2.分析方法
(1)DCPD-芳香族系樹脂の共重合組成、スチレン類含量
JIS K-0114(2000年)に準拠してガスクロマトグラフ法により重合前後の油中の単量体量の測定を行い、単量体転化率より共重合組成(DCPD類単量体残基含量、芳香族系単量体残基含量)、芳香族系単量体残基含量中に占めるスチレン類残基含量を算出した。
(2)軟化点
JIS K-2207に従って測定。
(3)平均分子量
標準ポリスチレンを標準物質としてゲル浸透クロマトグラフィーにより、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定した。
(4)部分水添DCPD-芳香族系樹脂のH-NMR測定
重クロロホルム中で核磁気共鳴測定装置(日本電子製、(商品名)JNM-ECZ400S/LI、周波数400MHz)によりH-NMRスペクトルを測定した。
(5)水素化率
H-NMRスペクトルの測定における4.8~6.5ppm、6.5~7.5ppmの炭素-炭素二重結合由来のピーク面積を基に、以下の式により水素化率を算出した。
DCPD類残基単位の水素化率=(1-(部分水添DCPD-芳香族系樹脂の4.8~6.5ppmのピーク面積/DCPD-芳香族系樹脂の4.8~6.5ppmのピーク面積))×100(%)
芳香族系残基単位の水素化率=(1-(部分水添DCPD-芳香族系樹脂の6.5~7.5ppmのピーク面積/DCPD-芳香族系樹脂の6.5~7.5ppmピーク面積))×100(%)
(6)色相(ガードナー)
50重量%トルエン溶液として、ASTM D-1544-63Tに従って測定した。
(7)曇点測定
部分水添DCPD-芳香族系樹脂20g、エチレン-酢酸ビニル共重合体(東ソー株式会社製、商品名ウルトラセン722)20gを混合溶融させ、JIS K-2269 石油製品曇り点試験方法に準拠して測定した。曇点が低いほど、部分水添DCPD-芳香族系樹脂とエチレン-酢酸ビニル共重合体との相溶性が高いことを示す。
(8)ヘキサントレランス測定
部分水添DCPD-芳香族系樹脂を大豆白絞油に溶解させて50重量%溶液を調製した。この溶液をn-ヘキサンにより滴定して白濁を開始する滴定量を求め、ヘキサントレランスとし、部分水添DCPD-芳香族系樹脂の大豆白絞油に対する溶解性の指標とした。ヘキサントレランスが大きいほど、インキ用アロマフリー溶剤への溶解性が高いことを示す。
製造例1(原料油の調製)
市販の原料を用いて所定の濃度に調製し、原料油A~Cとした。原料油の組成を表1に示す。
製造例2(ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂の製造)
下記に示す方法により、原料油A~Cのそれぞれを用い、ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂A(樹脂A)、ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂B(樹脂B)、ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂C(樹脂C)のそれぞれを製造した。
内容積2リットルのガラス製オートクレーブに表1に示す原料油500gを仕込んだ。次に、窒素雰囲気下で70℃に加熱した後、フリーデルクラフツ型触媒として三フッ化ホウ素メタノール錯体(アルドリッチ製)を原料油100重量部に対して、0.5重量部を加えて70℃で2時間重合した。苛性ソーダ水溶液を添加した後、水相を除去した。
そして、窒素導入管、温度計および脱気管が付いた0.5リットルセパラブルフラスコに得られた油相400gを添加した。窒素導入管より7ml/分の流速で窒素を導入し、30分かけて200℃に昇温した後、更に30分加熱し未反応油の蒸留除去を行い、ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂を得た。
原料油A、B、Cのそれぞれを用いて得られた樹脂A、樹脂B、樹脂Cそれぞれの重合収率、物性(分子量、軟化点、NMR分析値)を表2に示す。
実施例1
1Lオートクレーブに樹脂A100g、表3に示す所定量のパラジウム-カーボン触媒、及びメチルシクロヘキサン100gを添加した。170℃に昇温し、水素圧4MPaで5時間水素化を行った。
そして、濾過により水素化触媒を除去後、窒素導入管、温度計および脱気管が付いた1リットルセパラブルフラスコに得られた樹脂溶液を添加し、窒素導入管より7ml/分の流速で窒素を導入し、30分かけて200℃に昇温した後、更に30分加熱し溶剤の蒸留除去を行い、部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂A1を得た。
水素化反応条件、及び得られた部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂A1の物性(水素化率、分子量、軟化点、色相、NMR分析値)、評価結果(曇点、ヘキサントレランス)を表3に示す。
実施例2
水素化触媒の量、水素化温度、水素化時間を表3に示す通りとした以外は、実施例1と同様の方法により、部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂A2(樹脂A2)を得た。
水素化反応条件、及び得られた部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂A2の物性(水素化率、分子量、軟化点、色相、NMR分析値)、評価結果(曇点、ヘキサントレランス)を表3に示す。
実施例3
水素化温度、水素化時間を表3に示す通りとした以外は、実施例1と同様の方法により、部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂A3(樹脂A3)を得た。
水素化反応条件、及び得られた部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂A3の物性(水素化率、分子量、軟化点、色相、NMR分析値)、評価結果(曇点、ヘキサントレランス)を表3に示す。
比較例1
水素化触媒の量、水素化温度、水素化時間を表3に示す通りとした以外は、実施例1と同様の方法により、部分水添DCPD-芳香族系樹脂A4(樹脂A4)を得た。
水素化反応条件、及び得られた部分水添DCPD-芳香族系樹脂A4の物性(水素化率、分子量、軟化点、色相、NMR分析値)、評価結果(曇点、ヘキサントレランス)を表3に示す。
比較例2
水素化温度、水素化時間を表3に示す通りとした以外は、実施例1と同様の方法により、部分水添DCPD-芳香族系樹脂A5(樹脂A5)を得た。
水素化反応条件、及び得られた部分水添DCPD-芳香族系樹脂A4の物性(水素化率、分子量、軟化点、色相、NMR分析値)、評価結果(曇点、ヘキサントレランス)を表3に示す。
実施例4
樹脂Aの代わりに樹脂Bとし、水素化触媒の量、水素化温度、水素化時間を表3に示す通りとした以外は、実施例1と同様の方法により、部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂B1(樹脂B1)を得た。
水素化反応条件、及び得られた部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂B1の物性(水素化率、分子量、軟化点、色相、NMR分析値)、評価結果(曇点、ヘキサントレランス)を表3に示す。
実施例5
樹脂Aの代わりに樹脂Bとし、水素化触媒の量、水素化温度、水素化時間を表3に示す通りとした以外は、実施例1と同様の方法により、部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂B2(樹脂B2)を得た。
水素化反応条件、及び得られた部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂B2の物性(水素化率、分子量、軟化点、色相、NMR分析値)、評価結果(曇点、ヘキサントレランス)を表3に示す。
実施例6
樹脂Aの代わりに樹脂Bとし、水素化触媒の量、水素化温度、水素化時間を表3に示す通りとした以外は、実施例1と同様の方法により、部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂B3(樹脂B3)を得た。
水素化反応条件、及び得られた部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂B3の物性(水素化率、分子量、軟化点、色相、NMR分析値)、評価結果(曇点、ヘキサントレランス)を表3に示す。
比較例3
水素化触媒の量、水素化温度、水素化時間を表3に示す通りとした以外は、実施例4と同様の方法により、部分水添DCPD-芳香族系樹脂B4(樹脂B4)を得た。
水素化反応条件、及び得られた部分水添DCPD-芳香族系樹脂B4の物性(水素化率、分子量、軟化点、色相、NMR分析値)、評価結果(曇点、ヘキサントレランス)を表3に示す。
比較例4
水素化触媒の量、水素化温度、水素化時間を表3に示す通りとした以外は、実施例4と同様の方法により、部分水添DCPD-芳香族系樹脂B5(樹脂B5)を得た。
水素化反応条件、及び得られた部分水添DCPD-芳香族系樹脂B5の物性(水素化率、分子量、軟化点、色相、NMR分析値)、評価結果(曇点、ヘキサントレランス)を表3に示す。
比較例5
樹脂Aの代わりに樹脂Cとし、水素化触媒の量、水素化温度、水素化時間を表3に示す通りとした以外は、実施例1と同様の方法により、部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系樹脂C1(樹脂C1)を得た。
水素化反応条件、及び得られた部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系樹脂C1の物性(水素化率、分子量、軟化点)を表3に示す。
本発明は、各種樹脂、ゴム、エラストマーとの相溶性に優れ、色調に優れ、溶剤溶解性の向上までをも可能とする新規な部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂を提供するものであり、その産業的利用可能性は極めて高いものである。

Claims (7)

  1. 部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂であって、重クロロホルム中、室温下でH-NMRにて測定したスペクトルにおいて、6.5~7.5ppmのピーク面積が全ピーク面積に対して0.5%以上20.0%以下の範囲内にあり、5.8~6.5ppmのピーク面積(A)と4.8~5.8ppmのピーク面積(B)の合計が全ピーク面積に対して0%を超え、8.0%以下の範囲内、ピーク面積(A)とピーク面積(B)の比として表される(A/B)が0.01以上0.2以下の範囲内にあり、ジシクロペンタジエン残基単位50~95モル%、芳香族系単量体残基単位5~50モル%、芳香族系単量体残基単位中に占めるスチレン類の残基単位が50モル%以上であるジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂の部分水添物であることを特徴とする部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂。
  2. ゲル浸透クロマログラフィーにより、標準ポリスチレン換算値として測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂。
  3. 50重量%トルエン溶液のガードナー色相が7以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂。
  4. ジシクロペンタジエン残基単位の水素化率が50~99.9%、芳香族系単量体残基単位の水素化率が0~95%であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂。
  5. カチオン重合系ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂の部分水添物であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の部分水添ジシクロペンタジエン-芳香族系単量体共重合樹脂を含んでなることを特徴とする改質剤。
  7. ゴム改質剤であることを特徴とする請求項6に記載の改質剤。
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