JP7451921B2 - 布帛及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、布帛及びその製造方法に関する。更に詳しくは、に識別性が付与された布帛及びその製造方法に関する。
表面と裏面との差異に乏しく、表裏判別が難しい布帛が存在する。このような布帛を利用する場合、その表裏を識別するという要請が生じる。しかしながら、このような布帛は意匠面を構成することもあり、製造時には明瞭な識別性を要しながら、製品となった状態では、その識別因子が利用者に認識されないようにしたいという背反が存在する。従来、このような場合、染料を主体としたインクを布帛の裏面のみに印刷し、識別因子として識別マークを形成することで解決している(特許文献1及び2参照)。
特開平5-247838号公報 特開平7-070950号公報
しかしながら、印刷により識別マークを形成する場合、裏面全面に印刷を行うことは躊躇される。即ち、その識別マークが製品の完成状態では、利用者に認識されないようにする要請や、印刷面積が大きいとその分、機械接触面積が増えることとなり、不良を生じるリスクを大きくしてしまうという問題があるからである。即ち、印刷装置内で布帛を走行させると、汚損されるリスクを生じたり、毛羽立ちを生じたりと、意図しない変化を起こしてしまう可能性がある。一方で、上述の危惧から、識別マークの印刷領域を縮小すれば、見落としの確率は大きくなる。従って、印刷領域を小さくするため、ワンポイントの識別マークを印刷することも考えられるが、その分、識別性は低下してしまうことになる。
同様に、ノッチマーク(凸、凹、三角、四角等の形状印刷)によるスタート位置や合わせ位置の指示を施しても見落としを防ぎ切れていない。また、チャコペン等を用いて裏面にマーキングを施すこともなされるが、手作業によるため工数が過大となることに加え、汚損のリスクが印刷装置に比べて低下されているとはいえない状況がある。
例えば、乗物用シートの表皮は、複数枚の布帛パーツを縫い合わせて構成されるが、シート左側のパーツとシート右側のパーツとが同形状であり、表裏のみが異なる場合がある。このようなパーツの場合、裁断前に表裏を識別するマーキングを行ったとしても、その裁断後のパーツにマークが収まっているかの確認が必要になってしまう。一方、裁断後にマーキングを行うと、裁断前の布帛にマーキングを行うのに比べて工数が増えてしまうことになる。そして、本来はシート左側のパーツである布帛の表裏を取り違えて縫製を行うと、表皮の表面(意匠面)に布帛の裏面が露出することになるが、外観上、この表裏の判別は困難であるとしても、その表裏で物性に差異を持たせている場合もあり、このような間違いを生じないためのより良い対策が求められる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、優れた識別力を有しながらも製品になった状態では識別因子が目立ち難い布帛を提供することを目的とする。更に、このような布帛の製造方法であって、識別因子の付与による布帛への影響が抑制された布帛の製造方法を提供することを目的とする。
即ち、上記問題を解決するために、本発明は以下に示される。
[1]本発明の布帛は、布帛本体と、
前記布帛本体の裏面のみに設けられた複数の樹脂製ドットと、を有し、
前記樹脂製ドットによって、前記布帛本体の表裏の識別、及び/又は、前記布帛本体の方向の識別、が可能にされていることを要旨とする。
[2]本発明の布帛では、前記樹脂製ドットを各々凸形状を呈するものにすることができる。
[3]本発明の布帛では、前記樹脂製ドットの平均高さをD(mm)とし、平均直径をD(mm)とした場合に、比(D/D)を0.8以下にすることができる。
[4]本発明の布帛では、前記樹脂製ドットの設置密度を0.005個/cm以上1個/cm以下にすることができる。
[5]本発明の布帛では、前記樹脂製ドットを180℃における粘度が1.5Pa・s以下である熱可塑性樹脂からなるものとすることができる。
[6]本発明の布帛では、布帛本体をトリコットにすることができる。
[7]本発明の布帛は、乗物用シートの表皮材にすることができる。
[8]本発明の布帛の製造方法は、前記裏面となる前記布帛本体の前記一面から離間させたノズルから、前記樹脂製ドットを形成することとなる樹脂を吐出し、前記一面に樹脂をドット状に付着させる付着工程を備えることを要旨とする。
本発明の布帛によれば、優れた識別力を有しながらも製品になった状態では識別因子が目立ち難い布帛を提供できる。即ち、本発明の布帛は、識別因子として樹脂製ドットを備える。これにより、視覚による優れた識別力を有することができる。とりわけ見る角度に依存しない識別力を有することができる。その一方で、樹脂製ドットは、非常に小さな識別因子として存在させることができるため、低密度で高い識別力を発揮させることができる。従って、広い面積に低密度で識別因子を付与することができ、識別因子の存在が他面側からは目立ち難い布帛とすることができる。
本発明の布帛において、樹脂製ドットが各々凸形状を呈する場合は、凸形状でない場合に比べて識別力を向上させることができる。従って、照度を確保し難い環境下や、照明方向を一定にし難い環境下等、においても確実な識別を可能にすることができる。
本発明の布帛において、樹脂製ドットの平均高さをD(mm)と平均直径をD(mm)との比(D/D)が0.8以下である場合には、視覚による優れた識別性を確立させながらも、識別因子が存在することを他面側からは目立ち難くすることができる。
本発明の布帛において、樹脂製ドットの設置密度が0.005個/cm以上1個/cm以下である場合は、優れた識別力を得ながら、また、目付上昇を抑えながら、識別因子が存在することを表面側からは目立ち難くすることができる。
本発明の布帛において、樹脂製ドットが、180℃における粘度が1.5Pa・s以下の熱可塑性樹脂からなる場合は、上述の機能を有する樹脂製ドットを非接触で布帛本体の表面に形成させることができる。このため、布帛本体が汚損したり、表面性状が意図せず変化したりすることを防止できる。
本発明の布帛において、布帛本体がトリコットである場合は、上述の機能を有する樹脂製ドットをとりわけ効果的に活用できる。即ち、布帛本体がトリコットである場合は、視覚による表裏識別が困難となり易い。その一方、トリコットは弾力のある厚みを有することができる。従って、樹脂製ドットの存在を視覚によって捉え易くすることができる。また、視認し易い凸形状等の樹脂製ドットを形成しても、その弾力のある厚みに起因し、表面からその存在を分かり難くすることができる。
本発明の布帛において、乗物用シートの表皮材である場合は、上述の効果をとりわけ優位に発揮させることができる。
本発明の布帛の製造方法によれば、識別因子の付与による布帛への影響が抑制された布帛の製造方法を提供できる。即ち、識別因子を形成するためのノズルを布帛本体から遠ざけた状態で識別因子を布帛本体に形成させることができる。このため、識別因子の付与によって、布帛本体を汚損したり、表面性状が意図せず変化したりすることを防止できる。また、高い識別力を低い設置密度で付与できることから、布帛本体の目付変動を抑えて識別力を付与できる。従って、広範な領域に識別因子を形成し、後裁断することができる。即ち、裁断前に広い面積に識別因子を付与しつつ、裁断後にも高い識別性を引き継ぐことができる。従って、裁断後に個別に識別因子を付与する場合に比べて効率よく布帛を製造できる。
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
本発明の布帛の一例を模式的に示す斜視図である。 本発明の布帛の他例を模式的に示す断面図である。 樹脂製ドットのバリエーションを説明する説明図である。 本発明の布帛の他例を模式的に示す斜視図である。 本発明の布帛の他例を模式的に示す斜視図である。 付着工程と裁断工程とについて説明する説明図である。
ここで示される事項は、例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
[1]布帛
本発明の布帛(1)は、布帛本体(2)と、
布帛本体(2)の裏面(2b)のみに設けられた複数の樹脂製ドット(3)と、を有している。そして、樹脂製ドット(3)が存在することによって、布帛本体(2)の表裏(2a又は2b)の識別、及び/又は、布帛本体の方向の識別、が可能にされていることを特徴とする(図1~図5参照)。
上記「布帛本体(2)」は、どのような布帛であってもよい。即ち、編物であってもよく、織物であってもよく、不織布であってもよい。これらのなかでは、編物又は不織布が好ましい。編物及び不織布は、表裏の意匠柄の差異が小さいものが多く、織物に比べて厚さをより多く有することができるからである。更に、編物及び不織布のうちでは、編物がより適する。布帛本体が編物である場合、編物は、経編であってもよいし、緯編であってもよいが、本発明に用いる布帛本体としては、経編の編物がより効果的である。
経編の編物としては、トリコット、ラッセル等が挙げられる。これらのうちでは、トリコットが好ましい。トリコットは、織物等に比べて表裏識別が困難となり易い。即ち、平織物のように表裏で全く同じ意匠となるわけではない一方、表裏の柄の差が小さく、表裏の識別を要するにも関わらず、その識別が難しい傾向にある。更に、無地調の柄であることが多く、色も単調であることが多く、特に濃色の場合に、表裏の識別が難しくなる傾向にある。他方で、トリコットは弾力のある厚みを有することができる。従って、樹脂製ドットを用いて、その存在を視覚によって捉え易くすることができる。また、視認し易い凸形状等の樹脂製ドットを形成しても、その弾力のある厚みに起因し、反対面からその存在を分かり難くすることができる。特に無地のトリコット、濃色のトリコット、柄を有していても柄が小さいトリコット等においてより有効である。
上記「樹脂製ドット(3)」は、布帛本体2の裏面2bのみに設けられた複数の識別因子である。即ち、個々の識別因子は、樹脂によって形成された点状物である。従って、染料等のインクにより布帛本体を構成する繊維や繊維間が染色された形態(通常インクは布帛本体に染み込んでしまう)とは異なり、樹脂によって形成された点状物が、布帛本体の表面に設けられた状態となっている。これにより、識別因子を染料等のインクを用いて形成した場合と比べ、樹脂製ドット3を利用することにより、布帛本体2を構成する構成繊維との光沢差を明確にすることができ、識別性を向上させることができる。より具体的には、樹脂製ドットが樹脂から形成されることにより、光を反射し得る光沢面を形成できるため、構成繊維との光沢差を明確にできるものと考えられる。
本発明の布帛1は、樹脂製ドット3の存在により、〈1〉布帛本体2の表裏の識別、〈2〉布帛本体2の方向の識別、のうちの少なくとも一方の識別が可能にされている。
このうち、識別〈1〉において、布帛本体2の表裏の識別とは、布帛本体2の所定の一面が表面2aであるのか、又は、裏面2bであるのか、を識別することを意味する(図1参照)。
この識別は、布帛本体2の裏面2bのみに樹脂製ドットが設けられていることで可能となっている。即ち、例えば、樹脂製ドット3を設けている面が布帛本体2の裏面2bであるため、樹脂製ドット3の存在が確認される面が、布帛本体2の裏面2bであると識別できる。同様に、樹脂製ドット3の存在が確認されない面が、布帛本体2の表面2aであると識別できる。
また、識別〈2〉において、布帛本体の方向の識別とは、布帛本体2の所定の方向が、上方向、下方向、左方向及び右方向の4つの方向のうちのいずれの方向であるのかを識別することを意味する。
この識別は、樹脂製ドットの大きさ、形状、色、設置密度等に変化を付けることで可能となる。即ち、樹脂製ドット3を設けた裏面2b内において、所定部分の樹脂製ドット3の大きさ、形状、密度等が、他部と異なることで上述の識別を可能にできる。具体的には、樹脂製ドット3を設けた裏面2bにおいて、当該布帛本体2の上側にのみ樹脂製ドット3を設けた場合(図4参照)は、この樹脂製ドット3が存在する領域を上側へ向けることで、反対方向が下側であり、更には、上側及び下側が識別されることで、それに対応して、右側及び左側も識別することができるようになる。このように、方向付けを行う方法として、樹脂製ドット3の大きさを一定の方向へ向かって変化させること、樹脂製ドット3の形状を一定の方向へ向かって変化させること、樹脂製ドット3の設置密度大きさを一定の方向へ向かって変化(図5参照)させること、などにより行うことができる。
樹脂製ドットの個々の形状は限定されず、同じであってもよいし、異なっていてもよい。通常、1つの樹脂製ドットの見え方(視認される形状)は、布帛本体2との接触面の形状の影響を受ける。例えば、布帛本体2との接触面が丸い樹脂製ドットは、丸い樹脂製ドットとして視認される傾向にある。本発明において、樹脂製ドットは、例えば、略円形、略楕円形、略多角形(略三角形、略四角形など)等とすることができる。
この樹脂製ドットは、布帛本体2の厚さ方向への高さを有さなくてもよいが、布帛本体2の厚さ方向への高さを有することができる。即ち、その概形を凸形状にすることができる。通常、より高さの高い樹脂製ドット3は、そうでない樹脂製ドットに比べ、溶融粘度の大きい樹脂を利用したり、付着させる樹脂量を多くしたりすることで形成できる。
樹脂製ドットが凸形状を呈することで、凸形状でない場合と比べ、見る角度に依存しない識別力を向上させることができる。従って、照度を確保し難い環境下や、照明方向を一定にし難い環境下、照明方向を変更し難い環境下等、においても確実な識別を可能できる。
樹脂製ドットが凸形状を呈する場合、その具体的な形状は限定されないが、例えば、布帛本体2との接触面(接触部)と同面積で頂部まで盛り上がった形状(図3a参照)や、布帛本体2との接触面(接触部)が最大面積となり頂部へ向かって窄まった形状(図3b参照)、布帛本体2との接触面(接触部)が最大面積となり頂部へ向かって窄まるとともに頂部が凸曲面となった形状(図3c参照)、などが挙げられる。これらのなかでは、頂部が凸曲面となった凸形状が最も好ましい。
樹脂製ドットの大きさは限定されないが、例えば、平均直径(樹脂製ドットと布帛本体と接触面の形状に関わらず、接触面が円形であると仮定した場合の平均直径)が、布帛本体2を構成する構成繊維の平均繊維径よりも大きいことが好ましい。構成繊維の太さとの差異が大きいことにより識別力を向上させることができる。
より具体的には、布帛本体2を構成する構成繊維の平均繊維径をD(mm)とし、樹脂製ドット3の平均直径をD(mm)とした場合に、D/D≧10であることが好ましい。この値は、更に、10≦D/D≦200とすることができ、15≦D/D≦100がより好ましく、20≦D/D≦90が特に好ましい。
更に、Dの値は限定されないが、例えば、0.1mm(100μm)以下とすることができる。この場合には、光沢差を顕著に得ることができ、視覚による識別性に特に優れる。また、布帛の難燃性に実質的に変化を生じさせることなく(特に自己消火性を維持しながら)、優れた識別性を付与できる。Dは、更に、0.001≦D(mm)≦0.1が好ましく、0.004≦D(mm)≦0.05がより好ましく、0.008≦D(mm)≦0.02が特に好ましい。即ち、1μm≦D≦100μmが好ましく、4μm≦D≦50μmがより好ましく、8μm≦D≦20μmが特に好ましい。
一方、樹脂製ドットの平均直径Dとしては、0.1mm以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましく、0.5以上であることが特に好ましい。一方、その平均直径Dは2.5mm以下であることが好ましく、2.0mm以下であることがより好ましく、1.5mm以下であることが特に好ましい。
尚、樹脂製ドットの平均直径(D)は、3D形状測定機(例えば、株式会社キーエンス製のワンショット3D形状測定機VRシリーズ等)により測定される。具体的には、無作為に選択した5個の樹脂製ドット3の各々を3D形状測定機により測定し、形状データを得る。そして、得られた形状データのうち、樹脂製ドット3の見掛け面積(垂直上方から見た場合の樹脂製ドットの面積)を得る。そして、樹脂製ドット3が先に得られた見掛け面積を有する真円と仮定し、真円の直径を算出する。この直径が当該1つの樹脂製ドット3の直径であるものとし、同様に測定される5個の樹脂製ドットの直径の平均値を、上述した樹脂製ドット3の平均直径とする。但し、3D形状測定機を利用できない場合、上述の見掛け面積は、布帛1の裏面(樹脂製ドットの形成面)に対して垂直上方から撮影した画像を取得し、得られた画像(拡大画像であってもよい)から算出するものとする。
また、平均繊維径(D)は、布帛本体2から、その構成繊維を分取したうえで、鋭利な刃物を用い、繊維軸に対して垂直な方向に切断する(切断面を潰さないように切断)。このように得られた構成繊維の切断面を、光学顕微鏡を用いて実測する。尚、無作為に取り出した構成繊維5本の直径の平均値を平均直径とする。また、繊維径が異なる複数種の繊維が含まれる場合はこれを考慮する。例えば、20%(本数換算)の第1繊維、30%(本数換算)の第2繊維、50%(本数換算)の第3繊維が含まれる場合、「(第1繊維の平均直径×0.2)+(第2繊維の平均直径×0.3)+(第3繊維の平均直径×0.5)=平均直径」とする。また、異形断面を有する繊維である場合には、外接円の直径を当該繊維の繊維径とする。
尚、布帛本体を構成する繊維は限定されず、スパンヤーンであってもよく、フィラメントヤーンであってもよく、その併用であってもよい。また、モノフィラメントであってもよく、マルチフィラメントであってもよく、その併用であってもよい。また、繊維材料も限定されず、合成繊維であってもよく、天然繊維(例えば、綿繊維及び麻繊維等)であってもよい。合成繊維である場合、繊維の構成材料は限定されず、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタン等を利用できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、樹脂製ドットが凸形状を呈する場合、樹脂製ドットの高さ(D)は限定されないが、例えば、その平均高さDを0.01mm以上にすることができる。この平均高さDは、更に、0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましく、0.3mm以上が特に好ましい。Dを0.05mm以上にすることで優れた識別力を付与できる。一方、その平均高さDは1.0mm以下が好ましく、0.8mm以下がより好ましく、0.6mm以下が特に好ましい。Dを1.0mm以下にすることで違和感のない触感を与えるとともに、耐摩耗特性を良好に維持できる。特に樹脂製ドットの平均高さDが0.01mm以上1.0mm以下である場合は、優れた識別力を付与しながら、識別因子の脱落を防止でき、引っ掛かり等の作業時の不具合を防止できる。また、布帛の難燃性に実質的に変化を生じさせることなく(特に自己消火性を維持しながら)、優れた識別性を付与できる。更に、裏面2bに配置した樹脂製ドット3により、表面2aからの触感による違和感を低減しつつ、十分な耐摩耗性を与えることができる。
尚、樹脂製ドットの平均高さ(D)は、3D形状測定機(例えば、株式会社キーエンス製のワンショット3D形状測定機VRシリーズ等)により測定される。具体的には、無作為に選択した5個の樹脂製ドット3の各々を3D形状測定機により測定し、形状データを得る。そして、得られた形状データのうち、樹脂製ドット3の見掛け高さ(側断面から見た場合の樹脂製ドットの5点以上の平均高さ)を得る。そして、同様に測定される5個の樹脂製ドットの見掛け高さの平均値を、上述した樹脂製ドット3の平均高さとする。但し、3D形状測定機を利用できない場合、上述の見掛け高さは、布帛1の側断面に対して平行に撮影した画像を取得し、得られた画像(拡大画像であってもよい)から5点以上の平均高さとして算出するものとする。
特に本発明の布帛においては、上述した平均高さをD(mm)と、上述した平均直径をD(mm)との比(D/D)を0.8以下とした場合に、視覚による優れた識別性を得ながら、識別因子が存在することを表面側からより目立ち難くすることができる。また、布帛の難燃性に実質的に変化を生じさせることなく(特に自己消火性を維持しながら)、優れた識別性を付与できる。この比(D/D)は、更に、0.05≦D/D≦0.80であることが好ましく、0.10≦D/D≦0.70であることがより好ましく、0.15≦D/D≦0.55であることが更に好ましく、0.20≦D/D≦0.40であることが特に好ましい。
樹脂製ドットの設置密度は限定されないが、0.005個/cm以上1個/cm以下にすることができる。樹脂製ドットの設置密度が0.005個/cm以上1.00個/cm以下である場合は、優れた識別力を得ながら、また、目付上昇を抑えながら、識別因子が存在することを表面側からは目立ち難くすることができる。また、布帛の難燃性に実質的に変化を生じさせることなく(特に自己消火性を維持しながら)、優れた識別性を付与できる。この樹脂製ドットの設置密度は、更に、0.01個/cm以上0.75個/cm以下がより好ましく、0.02個/cm以上0.50個/cm以下が更に好ましく、0.04個/cm以上0.25個/cm以下が特に好ましい。
尚、樹脂製ドットの設置密度の測定方法は、以下の通りである。即ち、布帛1を平面に載置し、無作為に選択した1m四方(1m四方を取ることができない場合には全表面)の布帛1の裏面内に認められる樹脂製ドット3の設置数(即ち、1m換算の設置密度に相当)を測定する。同様に、異なる4ヶ所の1m四方の布帛1の裏面内に認められる樹脂製ドット3の設置数を測定し、合計5ヶ所における平均設置数を算出する。得られた値の10000分の1の値を設置密度(個/cm)とする。
樹脂製ドット3を構成する樹脂種は限定されない。熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)でもよく、硬化樹脂でもよい。これらは1種のみを利用してもよく2種以上を併用してもよい。熱可塑性樹脂を用いる場合には、溶融させた状態で布帛本体2へ付着させた後、温度降下により熱可塑性樹脂を固化して定着させることができる。また、硬化樹脂を用いる場合には、硬化前の樹脂(硬化性樹脂)を布帛本体2へ付着させた後、光硬化、熱硬化等、適宜の硬化手段を講じて、硬化性樹脂を硬化させて定着させることができる。目的とする凸形状を達成するために、熱可塑性樹脂及び/又は硬化樹脂を適宜選択し、その粘度や温度環境をコントロールすることができる。
このうち、熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらは1種のみを利用してもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、軟化温度が低いため、布帛本体2をなす構成繊維を痛め難く、比重がより小さいという観点から、オレフィン系樹脂を利用することが好ましい。
尚、例えば、布帛本体2の構成繊維がポリアミド系樹脂である場合に、樹脂製ドット原料としてポリアミド系樹脂を選択することができる。同様に、布帛本体2の構成繊維がポリエステル系樹脂である場合に、樹脂製ドット原料としてポリエステル系樹脂を選択することができる。このように繊維を構成する樹脂と樹脂製ドットを構成する樹脂とを揃えることにより両者に親和性を持たせて、接合性を向上させることができる。
上述のうち、オレフィン系樹脂はオレフィンをモノマーとして合成された樹脂を意味する。オレフィンとしては、エチレン、プロピレン及び炭素数4~8のα-オレフィン等が挙げられる。炭素数4~8のα-オレフィンとしては、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
具体的には、オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ1-ブテン、ポリ1-ヘキセン、ポリ4-メチル-1-ペンテン等が挙げられる。これら重合体は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。即ち、オレフィン系樹脂は上記重合体の混合物であっても良い。
更に、上述のうち、ポリエチレン樹脂としては、エチレン単独重合体、及び、エチレンと他のオレフィン(他のオレフィンにエチレンは含まれない)との共重合体が挙げられる。後者としては、エチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・1-へキセン共重合体、エチレン・1-オクテン共重合体、エチレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体等が挙げられる(但し、全構成単位数のうち50%以上がエチレンに由来単位である)。
また、上述のうち、ポリプロピレン樹脂としては、プロピレン単独重合体、及び、プロピレンと他のオレフィン(他のオレフィンにプロピレンは含まれない)との共重合体が挙げられる。後者としては、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体等が挙げられる(但し、全構成単位数のうち50%以上がプロピレン由来単位である)。
更に、オレフィン系樹脂は、非変性のオレフィン系樹脂のみであってもよいが、布帛本体2との接合性を向上させる観点から、極性基を導入して変性された変性オレフィン系樹脂を含むことができる。この極性基としては、無水カルボン酸基(-CO-O-OC-)、カルボン酸基(-COOH)、カルボニル基(-CO-)、ヒドロキシル基(-OH)、アミノ基(-NH)、ニトロ基(-NO)、ニトリル基(-CN)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
更に、樹脂製ドットを構成する樹脂は、比較的低温において比較的低い粘度を有することが好ましい。具体的には、180℃における粘度が1.5Pa・s以下である樹脂が好ましく、更に、この樹脂は熱可塑性樹脂であることが好ましい。このように180℃における粘度が1.5Pa・s程度と低い場合には、樹脂を非接触によって布帛本体2へ吐着させることができるため好ましい。即ち、非接触により布帛本体2の一面(布帛1の裏面となる一面)に樹脂を付着させることができるため、布帛本体2が汚損したり、表面性状が意図せず変化したりすることを防止できる。上述の180℃における粘度は、更に、1.3Pa・s以下であることがより好ましく、1.1Pa・s以下であることが特に好ましい。尚、上述の180℃における粘度の下限値は限定されないが、0.3Pa・s以上が好ましく、0.5Pa・s以上がより好ましく、0.7Pa・s以上が特に好ましい。尚、この溶融粘度は、JIS K6862に準拠し、温度180℃で測定される溶融粘度である。
また、樹脂製ドットを構成する樹脂が熱可塑性樹脂である場合、その軟化点は限定されないが、例えば、70℃以上150℃以下とすることができ、80℃以上130℃以下が好ましく、90℃以上110℃以下がより好ましい。尚、この軟化点は、JIS K6863に準拠して測定される軟化点である。
樹脂製ドットが凸形状を呈し、平均高さD(mm)及び平均直径D(mm)の比(D/D)が0.8以下(例えば、0.05≦D/D≦0.80)であり、平均直径Dが2.0mm以下であり、更に、構成樹脂がオレフィン系樹脂である場合、樹脂製ドットの1つの平均質量は、例えば、2mg/個以下にすることができる。更に、その設置密度を0.001個/cm以上1個/cm以下にすることで、優れた識別性を付与しながら、識別因子を設置したことによる目付増加を効果的に抑制できる。即ち、目付増加を抑制しながら、優れた識別性を付与できる。また、少ない樹脂量で識別性を付与できるため、材料コストを抑制できる。
更に、樹脂製ドットを構成する樹脂としては、前述の通り、硬化樹脂を利用することもできるが、比較的低温において比較的低い粘度を有することが好ましいという観点から、熱可塑性樹脂が好ましい。更に、目付抑制という観点から、より密度の小さい熱可塑性樹脂が好ましいため、オレフィン系樹脂が好ましい。更に、後工程の取り扱い中に剥離、脱落しない高い接合力を有していることが望ましい。このような観点から、樹脂製ドットを構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂を用いたホットメルト接着剤が好ましく、なかでも、オレフィン系ホットメルト接着剤が好ましい。
[2]布帛の製造方法
本発明の布帛の製造方法は、前述した本発明の布帛の製造方法である。即ち、裏面2bとなる布帛本体2の一面から離間させたノズルから、樹脂製ドットを形成することとなる樹脂を吐出し、一面に樹脂をドット状に付着させる付着工程(R1)を備えることを特徴とする(図6参照)。
本方法によれば、識別因子(樹脂製ドット3)の付与による布帛への影響が抑制された布帛の製造方法を提供できる。即ち、識別因子を形成するためのノズルを布帛本体2から離間させた状態で樹脂製ドット3を布帛本体2に形成できる。具体的には、ノズル先端と布帛本体の付着面(一面)との間の距離を1mm以上離間させて樹脂製ドットを形成することができる。この離間距離は、更に、1mm以上500mm以下とすることができ、2mm以上100mm以下とすることができ、3mm以上50mm以下とすることができる。
従って、樹脂製ドット3の設置によって、布帛本体2を汚損したり、表面性状が意図せず変化したりすることを防止できる。また、高い識別力を低い設置密度で付与できることから、布帛本体2の目付変動を抑えて識別力を付与できる。従って、広範な領域に識別因子を形成し、後裁断することができる。即ち、裁断前に広い面積に樹脂製ドットを設置しつつ、裁断後にも高い識別性を引き継ぐことができる。従って、裁断後に個別に樹脂製ドット3を設置する場合に比べて効率よく布帛を製造できる。
本方法では、上述した付着工程R1以外に、他工程を備えることができる。他工程としては、得られた布帛(樹脂製ドットを備えるが個片化されていない布帛)を裁断して、布帛を接合用パーツ5A、5B、6A及び6B(縫製や接着等により一体化するためのパーツ)へと個片化する裁断工程R2(図6参照)が挙げられる。本方法では、この裁断工程R2よりも前に、付着工程R1を行うことができる。これにより、個片化する以前に一括して、識別因子を付与することができるため、裁断工程を付着工程以後に行う場合に比べて、識別性を付与する作業を効率的に行うことができる。更に、前述の通り、樹脂製ドット3を有する布帛1を裁断することで、左右対称の形状を有する接合用パーツ同士(例えば、5Aと5B、6Aと6B)であっても、その表裏を明確に識別できるため、パーツの取り違えを確実に防止できる。
尚、付着工程において形成する樹脂製ドットに適した樹脂や、その設置密度等については、前述の通りである。
尚、これまでの記載の通り、通常は、原反である布帛本体2に対して樹脂製ドット3を付与することができる。一方で、原反から切り出した裁断物に対して樹脂製ドット3を付与することも当然ながら可能である。具体的には、裁断物の形状をカメラ等を用いて認識させつつ、縫い始め箇所のマークとして樹脂製ドット3を付与したり、位置合わせマークとして樹脂製ドット3を付与したりすることができる。
本発明の布帛1の用途は限定されない。布帛1は、例えば、自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の乗物用途に広く利用される。特にこれら乗物の内装材等として利用でき、とりわけこれらの表皮として用いることができる。その他、建築物及び家具等の内装材等として利用でき、とりわけこれらの表皮として用いることができる。
乗物用途の表皮としては、例えば、シート、インストルメントパネル、センタークラスター、ドアトリム、クオータートリム、ルーフライニング、ピラーガーニッシュ、デッキトリム、トノボード、パッケージトレイ、ダッシュボード、コンソールボックス、シートバック、アームレスト、サンバイザなどの表皮が挙げられる。
また、建築物及び家具等の表皮としては、例えば、ソファ、ベッド、ベッドマットなどの表皮が挙げられる。更に、壁紙としても利用される。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]布帛の製造
〈1〉実施例1
下記布帛本体を、巻き返し機により巻替えする間に、下記吐出装置を用い、下記樹脂材料を下記吐出条件で吐出して2.5cm間隔(2.5cm四方に1つの樹脂製ドットを有する)で樹脂製ドットを設けた実施例1の布帛を得た。
・布帛本体:3barトリコット(3列針床を用いて得られるトリプルトリコット)であり、乗物用シート表皮として利用(黒色、目付250g/m
・樹脂材料:オレフィン系ホットメルト接着剤(積水フーラー株式会社製、軟化点101℃、180℃溶融粘度0.94Pa・s)
・吐出装置:ホットメルトアプリケータ(ノードソン株式会社製、型式「ミニブルーII シュアビード」)
・吐出条件:布帛本体とノズル先端との距離5mm、吐出時間0.2m秒、アプリケータ温度200℃、メルター温度180℃、ホース温度180℃
得られた実施例1の布帛には、設置密度0.16個/cmで樹脂製ドットが形成された。また、3D形状測定機(株式会社キーエンス製、形式「VR-5000」)を用いて、前述の通りにして、樹脂製ドット3の平均高さD(mm)、平均直径D(mm)、及び、布帛本体の構成繊維の平均繊維径D(μm)を測定した。その結果、平均高さD=0.45mm、平均直径D=1.3mm、平均繊維径D=17μm(0.017mm)であった。従って、樹脂製ドットは、比D/D=0.346である凸形状を呈するとともに、比D/D=76.5であった。
その結果、縫製現場を考慮して、JIS C7612に準拠して測定される照度が400ルクスである室内において、実施例1の布帛から、0.4m離れた位置(縫製工程を想定した距離)、及び、2.0m離れた位置(縫製物を床へ落した場合を想定した距離)のいずれにおいても樹脂製ドットの存在を視認できた。加えて、いずれの離間距離においても、90度づつ異なる4方向からの視認性にも差を生じなかった。また、実施例1の布帛を用いてシートカバーを作成し、樹脂製ドットの設置面(裏面2b)がウレタンパッド側に位置するよう、ウレタンパッドに被せて、意匠面(表面2a)側から触診したが、異物感は確認できなかった。また、FMVSS 302に準拠した自己消火性は、樹脂製ドットを設置していない布帛本体と同レベルに維持された。
〈2〉実施例2
下記布帛本体を、巻き返し機により巻替えする間に、下記吐出装置を用い、下記樹脂材料を下記吐出条件で吐出して2.5cm間隔(2.5cm四方に1つの樹脂製ドットを有する、設置密度0.16個/cm)で樹脂製ドットを設けた実施例2の布帛を得た。
・布帛本体:実施例1と同じ
・樹脂材料:実施例1と同じ
・吐出装置:実施例1と同じ
・吐出条件:布帛本体とノズル先端との距離5mm、吐出時間0.5m秒、アプリケータ温度230℃、メルター温度180℃、ホース温度180℃
得られた実施例2の布帛には、設置密度0.16個/cmで樹脂製ドットが形成された。また、3D形状測定機(株式会社キーエンス製、形式「VR-5000」)を用いて、前述の通りにして、樹脂製ドット3の平均高さD(mm)、平均直径D(mm)、及び、布帛本体の構成繊維の平均繊維径D(μm)を測定した結果、平均高さD=0.65mm、平均直径D=1.8mm、平均繊維径D=17μm(0.017mm)であった。従って、樹脂製ドットは、比D/D=0.361である凸形状を呈するとともに、比D/D=105.9であった。
その結果、縫製現場を考慮して、JIS C7612に準拠して測定される照度が400ルクスである室内において、実施例2の布帛から、0.4m離れた位置(縫製工程を想定した距離)、及び、2.0m離れた位置(縫製物を床へ落した場合を想定した距離)のいずれにおいても樹脂製ドットの存在を視認できた。加えて、いずれの離間距離においても、90度づつ異なる4方向からの視認性にも差を生じなかった。また、実施例2の布帛布帛を用いてシートカバーを作成し、樹脂製ドットの設置面(裏面2b)がウレタンパッド側に位置するよう、ウレタンパッドに被せて、意匠面側から触診したが、異物感は確認できなかった。また、FMVSS 302に準拠した自己消火性は、樹脂製ドットを設置していない布帛本体と同レベルに維持された。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的及び例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施例を参照したが、本発明をここに掲げる開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
1;布帛、
2;布帛本体、2a;表面、2b;裏面、
3;樹脂製ドット、
5A、5B、6A、6B;接合用パーツ、
R1;付着工程、
R2;裁断工程。

Claims (6)

  1. 布帛本体と、
    前記布帛本体の裏面のみに設けられた複数の樹脂製ドット(但し、消臭性粒子が含有されているドット状の樹脂を除く)と、を有する乗物用シートの表皮材であって、
    前記樹脂製ドットは、その平均直径をD(mm)とした場合に、0.5≦D≦2.5であり、
    前記樹脂製ドットは、設置密度が0.005個/cm以上1個/cm以下であり、
    前記樹脂製ドットによって、前記布帛本体の表裏の視認による識別、及び/又は、前記布帛本体の方向の視認による識別、が可能にされていることを特徴とする乗物用シートの表皮材
  2. 前記樹脂製ドットは、各々凸形状を呈する請求項1に記載の乗物用シートの表皮材
  3. 前記樹脂製ドットは、その平均高さをD(mm)とし、その平均直径をD(mm)とした場合に、比(D/D)が0.8以下である請求項1又は2に記載の乗物用シートの表皮材
  4. 前記樹脂製ドットは、180℃における粘度が1.5Pa・s以下である熱可塑性樹脂からなる請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の乗物用シートの表皮材
  5. 前記布帛本体は、トリコットである請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の乗物用シートの表皮材
  6. 請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の乗物用シートの表皮材の製造方法であって、
    前記裏面となる前記布帛本体の一面から離間させたノズルから、前記樹脂製ドットを形成することとなる樹脂を吐出し、前記一面に樹脂をドット状に付着させる付着工程を備えることを特徴とする乗物用シートの表皮材の製造方法。
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