(定義)
「家電機器」400とは、主に家庭で使用されることを想定して設計された電気機器をいう。家電機器400には、後述する誘導加熱調理器1や冷蔵庫401、テレビジョン受像機402、空気調和機403、空気清浄機404、換気装置405、電気炊飯器(電気ジャー炊飯器)406、電子レンジ408、照明器具409、空気清浄機410が含まれる。なお、以下の説明では、「冷蔵庫」とは、特に断りがない限り、冷凍庫(冷凍室)を内蔵した冷凍冷蔵庫と、冷凍機能だけを備えた冷凍庫の双方を含む。
家電機器400の「機器識別情報」とは、家電機器400を特定するための固有の情報である。具体的には、情報通信を行う場合に必要となる重要な情報であり、MACアドレス、家電機器400の製造者名、型名(モデル名)、形式番号、製造番号等である。
「ホーム・ゲートウエイ」411とは、1つの家庭における、2つ以上の家電機器400の間の情報を中継し、連携した動作をさせるための情報処理装置をいう。また、これに加えて、1つの家電機器400に指令信号を与えること、又は1つの家電機器400から情報(「データ」ともいう)を取得する動作を行うものである。
前記ホーム・ゲートウエイ411は、前記家電機器400の全部又は一部について、1つの家庭の総電力使用量を管理させるために、ピークカット機能等の電力制御機能を持たせている場合があり、その場合、「電力制御装置」や「統合管理装置」等と呼ばれる場合がある。
前記ホーム・ゲートウエイ411は、家電機器400の運転や停止、待機状態等の現在状況に関する情報を、有線又は無線信号で家電機器400から取得する機能を有する。
前記ホーム・ゲートウエイ411は、無線通信を利用する場合、前記機器識別情報を利用して目的の家電機器400と接続される。
前記ホーム・ゲートウエイ411が、1つの家電機器(例えば、誘導加熱調理器1)400に対して、「統合管理装置」又は「電力指令装置」として機能する場合があっても、他の家電機器(例えば、照明器具409)に対しては、消費電力を制限しない場合には、「統合管理装置」又は「電力指令装置」には相当しない。例えば、当該ホーム・ゲートウエイ411が、照明器具409の運転情報を取得しても、他の家電機器400の消費電力と合わせた総消費電力が、規定の総消費電力の上限を超えないように、照明器具409自体の消費電力を規制する機能がない場合である。そのため、照明器具409から見てホーム・ゲートウエイ411は、統合管理装置又は電力指令装置に相当しない。
実施の形態1.
図1~図107は、実施の形態1を開示したものである。この実施の形態1では、ビルトイン式複合型(誘導)加熱調理器1を開示している。なお、以下の説明では、特に矛盾が起こらない限り、単に「加熱調理器」と呼ぶ。
各図中、符号RTは、加熱調理器1の右方向を示し、LEは左方向を示す。またFTは前方を示し、BKは後方を示す。
この実施の形態1において「誘導加熱調理器」とは、誘導加熱原理に基づく加熱部を有したものをいう。加熱部が複数ある場合、その中に誘導加熱方式と異なる方式、例えば輻射式電熱源等の他の方式を利用した加熱源があっても良い。
この実施の形態1において「複合型加熱調理器」とは、マイクロ波加熱源の他に、これと異なる加熱原理である「誘導加熱源」を備え、それら2種類の加熱源によって、1つの加熱室において加熱調理ができるものをいう。なお、更に誘導加熱源とは別の種類の加熱源を加えても良い。例えば、1つの加熱室が、シーズヒータやマイカヒータ等の輻射式電熱源によって加熱され、またその加熱室の内部がマイクロ波によって加熱される形態は、「複合型加熱調理器」の1種である。
この実施の形態1において、加熱室113の『加熱手段(以下の説明では「オーブン加熱源」という)』とは、加熱室113の壁面を、その外側から加熱する加熱源、加熱室113の内部空間に設置した加熱源の、何れでも良い。
また、誘導加熱方式で高温になる発熱部材を配置し、この発熱部材で加熱室113の壁面を外側から加熱したり、又は加熱室113内部の空気を加熱したりする何れの形態であっても良い。
例えば、日本の特許文献で、特開2017-74305号公報には、加熱室(グリル庫)内に配置されて被調理物を載置する調理皿を、下方から被調理物を加熱する第2の加熱体(誘導加熱コイル)と、側方から被調理物を加熱する第3の加熱体(誘導加熱コイル)と、を備えた加熱調理器が提案されている。
さらに、特開2016-85996号公報には、加熱室の下方に電気絶縁体を設け、その電気絶縁体の下方空間に誘導加熱コイル(以下、「IHコイル」と呼ぶ)を設け、前記IH熱コイルの上に置いた調理プレートを誘導加熱する構成が提案されている。調理プレートは、誘導加熱可能な素材で形成され、例えば、鉄、ステンレス、カーボン含有率90%以上の炭素材、導電材料としてSi(シリコン)またはFeSi(フェロシリコン)を含有するセラミック素材等が用いられている。
また、誘導加熱方式で高温になる発熱部材を配置した代表的なものとして、特開2005-071695号公報には、IHコイルに高周波電流を供給して、IHコイルに高周波磁束を発生させ、その高周波磁束を加熱庫内に配設されたヒータと鎖交させて、ヒータに誘導電流が流れるようにし、ヒータ自身の電気抵抗によって発生するジュール熱で加熱庫内の調理物を加熱調理することが開示されている。
さらに、特開2013-247048号公報には、加熱室の内部に、電気的に閉回路のヒータを配置し、このヒータに、加熱室の外部に配設されたIHコイルから生じる高周波磁束を鎖交させ、ヒータを高温にして加熱室内に放熱させることが提案されている。なお、ここでいうヒータとは、電気的に閉回路を形成しており、ステンレスや高ニッケル合金等の丸棒や丸パイプを所定の形状に曲げて、両端を互いに溶接やロウ付け等によって接合して無端状に形成したものである。
この実施の形態1でいう「IHコイル」の代表的なものとして、0.1mm~0.3mm程度の細い銅線やアルミ線を30本程度束にして、この束を複数本撚りながら渦巻状に巻いて構成したものがある(例えば、日本の特許文献で、特開2012-79580号公報)。あるいは、0.05mm程度のものを1000本~1500本程度巻いて構成したものもある。
また、別の特許文献である特開2018-32551公報には、平板状の導電材料で、環状に形成した環状導電体を、IHコイルとして使用した誘導加熱調理器が提案されている。
これら何れの形態のものも誘導加熱源の主要部となる「IHコイル」に相当する。
この実施の形態1において、「連携調理」とは、1つの被調理物(食品、肉、野菜等を含む)に対する加熱場所が異なり、かつ独立して加熱動作条件が設定可能な2種類の加熱源を使用して行う調理をいう。
前記「連携調理」は、複数の加熱源を、時間差を置いて使用する場合が該当する。例えば1つの調理を完成させる過程で、マイクロ波加熱を終えて予備加熱したあと、被調理物を別の場所に移し、移動後の場所で、後述するIHコイル17Lで加熱して完成させる調理の場合は、ここでいう「連携調理」の一種である。
連携調理については、日本の特許第5833699号公報や、同じく特許第5500944号公報において、ビルトイン式加熱調理器の形態で提案されている。
(全体構成と家電機器の運転管理システム)
最初に家電機器の運転管理システムについて説明する。
図1において、HAは、1つの家屋を示したものである。
家屋HAの中は、実際には図示していないが、壁やドアによって複数の居住空間に区画されており、その1つの居住空間であるキッチンKT(図2参照)には、冷蔵庫401、誘導加熱調理器1、電子レンジ408、電気炊飯器406などの家電機器400と、厨房家具2が配置されている。なお、居住空間には、この図1には示していないが、そのほかに「居間」や「浴室」等、またトイレのある部屋も含まれる。居住空間には、これ以外の部屋があっても良い。
全ての居住空間には、家屋の外部にある電力会社の商用電源EPから例えば200Vの電力が供給されている。その電力は、電力量計414を介して家屋HAの内部に引き込まれている。
415は、200Vの電圧の商用電源EPに対し、ブレーカーBKを介して接続された電源線(主幹線)である。この電源線415には、各種放送受信できるテレビジョン受像機(以下、「TV受像機」という)402、空気調和機403、照明器具409、誘導加熱調理器1、電子レンジ408、電気炊飯器406、ホーム・ゲートウエイ411及び環境検知部413が、それぞれ接続されている。
ホーム・ゲートウエイ410、環境検知部413、TV受像機402、空気調和機403、加熱調理器1、冷蔵庫401、照明器具409は、常に所定の電源コードを介して電源線415に接続されている。なお、照明器具409は、1つだけではないが、他のものは図示を省略している。
引き続いて図1を説明する。
416は、広域通信回路網(「通信ネットワーク」又は「インターネット」と称する場合がある)である。
この広域通信回路網416は、ホーム・ゲートウエイ411に対して、ルーター(図示せず)を介して接続される。
417は、ホーム・ゲートウエイ411や情報通信端末機器418に対して、有益な情報を発信する外部サーバーである。例えば、特定地域の地震情報提供機関や電力会社等の外部機関が設置したサーバーでも良いし、加熱調理器1を製造したメーカが用意したサーバーでも良い。この外部サーバーは、いわゆる「クラウドサーバー」と呼ばれる分散処理型のサーバーでも良い。なお、クラウドサーバーを利用する「クラウドコンピューティング」には、「IaaS」、「PaaS」、「SaaS」の3種類があることが知られている。
ホーム・ゲートウエイ411は、外部サーバー417から、各種のコンテンツの配信サービスを受けることができる。このコンテンツの中には、各種調理のレシピ情報(文字、画像)も含まれる。
なお、図示していないが、上記した環境検知部413の環境センサーは、家屋の外部の気温と湿度とを検知する温度センサーや湿度センサーを追加して設けても良い。
また、外部サーバー417は、前記家電機器400に対する情報提供手段として機能するものである。つまり、外部サーバー417は、家電機器400の製造業者(メーカ)、販売業者、修理業者、あるいは情報サービス提供業者等の組織が、単独で、又は2つ以上の組織が共同で設置したものでも良く、家電機器400に関する各種サービスを、広域通信回路網416を介してユーザーに提供するものである。
また、前記外部サーバー417は、一般に「Webサーバー」(以下「ウェブサーバー」という)と呼ばれているものでも良い。ウェブサーバーは、HTTP(HTML文書や画像などのデータをWebサーバーとWebブラウザ間でやり取りするために使われるプロトコル)に則り、各種情報通信端末機器418や、ホーム・ゲートウエイ410等のような、「情報を受け取る側」の情報処理機器(クライアント)側ソフトウェアのウェブ・ブラウザに対して、HTMLやオブジェクト(画像など)の表示情報を提供するサービスプログラム及び、そのサービスが動作するサーバーコンピュータを指す。
前記外部サーバー417には、家屋HAやその遠隔地から、ホーム・ゲートウエイ411を遠隔制御することができるようにした制御用アプリケーション・ソフトウェアが格納・記憶されている。後で詳しく述べる情報通信端末機器418、例えばスマートフォンと呼ばれている機器からは、外部サーバー417にアクセスして制御用アプリケーション・ソフトウェアをダウンロード(読み込み)することにより、前記した遠隔制御を実現することができる。
前記情報通信端末機器418は、ユーザーが気軽に携帯して屋内や屋外、その他外出先等で通話やデータ(メール情報を含む)の通信を行える。広域通信回路網416を介して屋外の情報提供サイトから情報をダウンロードしたり、メールを送信・受信したり、遠隔操作信号を発信できる機器であるが、通話できない機器でも良く、そのような携帯用通信機器を総称して情報通信端末機器418と呼んでいる。なお、小型の携帯用パーソナル・コンピュータも情報通信端末機器418の一種である。
本実施の形態1における情報通信端末機器418は、各家電機器400の入出力部に数センチメートル程度接近(又は接触させても良い)した状態で、近距離通信で信号の授受をする機能を備えている。なお、この近距離通信とは、Near Field Communication(略称:NFC)として知られている無線通信の国際規格技術のことである。
このNFCの通信では、誘導加熱調理器1や冷蔵庫401を含む家電機器400側に、いわゆる無線タグ(NFCタグ)が埋め込まれている。
一方、情報通信端末機器418側から制御データ(「制御コマンド」ともいう)を家電機器400のNFC記憶部へ送り、家電機器400を、前記制御コマンドに従って制御することもできる。
この実施の形態1においては、情報通信端末機器418から家電機器400側に対する直接的な遠隔操作はできないようにしてある。家電機器400の中には、加熱調理器1等のように高熱を発するものもあるため、家屋413の外から多くの人が利用するインターネットを経由して遠隔操作することは採用していない。その代わり、統合的な情報処理装置として、前記ホーム・ゲートウエイ411を経由して全ての家電機器400の操作が可能となるようにしている。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態1のホーム・ゲートウエイ411は、1つの家庭における、2つ以上の家電機器400の間の情報を中継し、連携した動作をさせるための情報処理装置をいう。また、これに加えて、1つの家電機器400に指令信号を与えること、又は1つの家電機器400から情報(データともいう)を取得する動作を行う。
図1においては、図示していないが、この家屋HAの中のキッチンKTには、後述するレンジフード422と、天井埋込型の空気清浄機404が設置されている。
413Aは、ホーム・ゲートウエイ411の環境検知部413のセンサー部である。このセンサー部413Aには、この図1には図示していないが、環境センサー453(図4参照)と、人の存在を(赤外線や超音波で)検知する人感センサー452(図4参照)と、を有している。なお、環境検知部413については、後で詳しく説明する。
前記「環境情報」とは、加熱調理器1や冷蔵庫401を使用する空間(キッチンKT)の雰囲気の温度情報と、塵埃飛散量情報、光量情報の3種類をいう。塵埃飛散量情報とは、空気中に存在する塵埃(花粉を含む)の量を計測した結果である。
「環境情報の利用」には、以下のような例を含む。
(1)温度が高い場合、電気炊飯器406の保温機能を炊飯工程の終了に連続して動作させる。また、冷蔵庫401の冷蔵目標温度、冷凍目標温度を、標準値よりも上げる。
(2)湿度が高い場合、空気調和機403を「除湿モード」又は「冷房モード」で動作させる。または換気装置405の運転を開始する。あるいは、空気調和機403が運転中であった場合、その運転条件(目標とする室温など)を変える。
(3)空中を浮遊するような微細な塵埃が飛散している場合、空気清浄機404を動作させる。または換気装置405の運転を開始する。
(4)花粉飛散量が多い場合、空気清浄機404の運転を開始する。
(5)光量(可視光線量)が少ない場合、照明器具409を点灯させる。
「居住者」とは、図1に示した1つの家屋HAに居住する者をいう。居住者には、血縁関係にある親子、兄弟、姉妹等が含まれる。なお、家電機器400を使用した場合には、居住者を「ユーザー」と呼ぶ。
「家庭」とは、特定の管理者が管理する1つの家屋HAを意味しており、複数の部屋があり、複数の家族が入居している集合住宅も含む場合がある。すなわち、そのような集合住宅でも、1つの家屋HAの場合と同様に商用電力の上限が1つの電力遮断機器(1つのブレーカーBK、あるいは複数の電力遮断器等)で、一元的に管理されている場合は、ここでいう家庭とみなす。
「家電機器側の電力制限情報」とは、ホーム・ゲートウエイ411から家電機器400が受ける、電力消費量に関する何らかの信号に関する情報をいう。この「家電機器側の電力制限情報」とは、後述する電力削減要請信号AS1、電力削減指令信号AS2等のような送信指令に関する情報を含んだものをいう。それら情報には、その信号の受信時期(年月と秒単位の時刻)と信号の意味を示す情報が含まれる。例えば、加熱調理器1に対するある時点の電力削減指令信号AS2についての「受信時刻:2020年4月1日 17時00秒 瞬間最大消費電力量を2%下げ」のような情報である。
家電機器側の電力制限情報は、例えば加熱調理器1では、その後述する統合制御装置MCの記憶装置MMの中に時系列で記憶されており、主電源スイッチ98をON又はOFFしても消えない。主電源スイッチ98をONし、OFFしたことを1回の調理と考えて、少なくとも数回分は記憶保持されるようになっている。それを超えた分が順次自動的に消去される。
次に図2について説明する。
図2は、本実施形態1の加熱調理器1と家電機器の運転管理システムが適用されたハードウエアの構成例を示している。1つの居住空間として、キッチンKTを例にして以下説明する。
本実施の形態1が適用されたキッチンKTには、天井面(水平壁面)420上に設置された空気清浄機404、冷凍温度の異なる複数個の冷凍室401Aと、冷蔵室401Bとを備えた冷蔵庫401、電子レンジ408、厨房家具2に配置されたビルトイン式の(誘導)加熱調理器1、加熱調理器1の真上の位置に配置されるレンジフード(換気装置405の一種)422、ホーム・ゲートウエイ411が、それぞれ設置されている。なお、図1で説明した電気炊飯器406、空気調和機403や照明器具409の図示は省略している。
前記冷蔵庫401における複数個の冷凍室401Aは、例えばマイナス18℃±2℃、マイナス10℃、マイナス2℃等、冷凍食品(加工食品含む)や生鮮食材(肉、魚等)に適当な冷凍温度(温度帯)の冷凍室を選択できるようにしている。
また、前記冷凍温度や冷凍の温度帯は、生鮮食材(例えば、牛肉)を長期に保存した場合の、熟成にも影響するので、同じ冷凍室であっても、食材の種類によって、その都度適宜変更することができるようになっている。
前記レンジフード422は、前記天井面420を貫通している排気口423を有しており、この排気口423には、屋外に連通しているダクト424の一端部が接続されている。
425は、下面全体が吸込口425Aとして開放されたフードであり、このフードの内部には排気用の電動ファン426が設置されている。なお、このレンジフード422は、天井面420に固定されているが、詳しい構成については説明を省略する。
このレンジフード422の運転状況は、ホーム・ゲートウエイ411の中央制御部447(後で詳しく述べる)に随時送信される。このため、レンジフード422の内部には、ホーム・ゲートウエイ411の間で、排気運転の開始、停止と、運転の強度(排気能力の大小)等の各種運転情報を送信する送信部(図示せず)と、受信部(図示せず)とを備えている。例えば、それら送信部と受信部をハードウエアでは一体化し、通信部427として備えている。この通信部427はホームゲートウエイ411との無線通信又は赤外線通信で情報の授受を行う。
電動ファン426が回転駆動されると、レンジフード422の吸込口425Aから空気を吸引し、調理時の臭いや煙も吸引して、ダクト424を通して家屋HAの外部に排気するものである。なお、レンジフード422は、加熱調理器1の側から赤外線信号等の運転信号を受信して、排気運転を開始する方式である。これについては、後で説明する。
図2において、矢印FF1は、加熱調理器1から上昇する気流を示す。FF2は、ダクト424からの排気流を示す。FF3は、天井面420の近くを横に移動する空気流を示す。FF4は、空気清浄機404から吹き出される空気流を示している。
レンジフード422に、加熱調理器1の方向に向けて熱感知センサー(熱起電力素子)を配置しても良い。この構成によれば、レンジフード422自身が加熱調理器1の運転開始を感知し、電動ファン426の運転を制御する。
天井埋込型の空気清浄機404は、天井面420に埋め込む形で設置されている。空気清浄機404の箱型本体428の内部には、送風ファン429とフィルター430が備えられている。
431は、空気案内板であり、空気清浄機404の下方全体を覆っている。432は、空気案内板431によって一方の端部(前記レンジフード422に近い側)に形成した吸込口である。433は、空気案内板431によって前記吸込口432とは反対側の端部に形成した吹出口である。
前記送風ファン429は、キッチン内の汚れた空気を吸込口432から吸引し、フィルター430を通過させて清浄化した空気を、前記吹出口433からキッチンKTの下方に向けて排出する。このようにして、空気中のほこりや臭いを取り除き、室内の空気を清浄化するものである。
434は、空気清浄機404の臭いセンサーであり、前記吸込口432の入口部に臨むように配置されている。これは、運転時に空気清浄機404に取り込む空気の中から、臭いを検出し、空気の汚染度を検出している。なお、臭いセンサー434の位置は、吸込口432側の風路で、かつフィルター430の前段であれば、どこに配置してもその効果に大きな差異はない。
前記臭いセンサー434の検出結果は、空気清浄機404の本体428の内部に配置された臭い感知部(図示せず)で、臭いの強度が判定され、またその結果は、前記ホーム・ゲートウエイ411の環境検知部413に随時送信される。このため、空気清浄機404の内部には、ホーム・ゲートウエイ411との間で、空気清浄運転の開始、停止、臭いの強度の判定結果等の各種情報を送信する送信部(図示せず)と、受信部(図示せず)とを備えている。例えば、それら送信部と受信部をハードウエアでは一体化し、通信部435として備えている。通信部435は、ホームゲートウエイ411との間で、無線通信又は赤外線通信によって情報の授受を行う。
空気清浄機421が、臭いを検出できるのは、空気清浄機404が運転中であり、しかも、キッチンKTのどこかの場所で発生した臭いが、その発生場所から空気清浄機404に到達したときである。
この空気清浄機404は、一般的に空気中の塵埃や花粉等を捕捉するために、微細な空気の通路を有したフィルター430を1枚又は複数枚(複数層)備えた構成である。そのため、加熱調理器1によって食用油を使った調理で発生した油煙を濾過すると、油の粒子がフィルター430の表面に付着し、その油の粒子が結合して油膜を形成する。
この油膜が原因で、フィルター430の濾過性能が低下する。すなわち、フィルター430を通過する空気の量が低下し、空気清浄機404の空気浄化能力が低下する事態を招く。そこで、加熱調理で発生した排気の中に油調理で発生した油煙が含まれる場合には、空気清浄機404の運転をできるだけ避けるというアイデアが既に提案されている(例えば、特許文献 特開2016-95126号公報)。
図2において、冷蔵庫401は、厨房家具2の右側近傍に設置されているように描いてあるが、実際の場面では、この図2と異なる場所に設置していても良い。また、冷蔵庫401は、1つだけではなく、複数台使用していても良い。
412は、ホームゲートウエイ411の外郭を構成する本体ケースである。この本体ケース412は、居住者が入力操作や表示を確認できるような高さで、キッチンの垂直壁面436に固定されている。
445は、本体ケース412の近くの垂直壁面436に固定されている警報装置であり、あとで詳しく説明する。2Dは、厨房家具2に設置した水道の給水口2Dである。
次に図3について説明する。図3は、加熱調理器1とレンジフード422との関係を示した縦断面模式図である。
図3において、440は、加熱調理器1の温度監視装置である。この温度監視装置は、この実施の形態1では、ハードウエア上で前記レンジフード422の1つの構成部分としている。しかし、ハードウエア上で、前記ホームゲートウエイ411の1つの構成部分として構成しても良い。
温度監視装置440は、温度検出部441と、通信部442を備えている。温度検出部441は、赤外線センサー(図示せず)と、熱画像カメラ(図示せず)と、温度判定回路443と、を備えている。
温度監視装置440は、図2に示しているように、ハードウエア上で前記レンジフード422の1つの構成部分であっても、レンジフード422の排気運転とは無関係に常時通電されている。言い換えると、排気運転していない状態でも温度監視装置440は常時温度の監視動作を実行している。
前記温度検出部441は、例えば、後述するトッププレート15の全領域を、少なくとも64の領域(縦8個×横8個)(以下、「検知領域」という)に区画し、各領域の温度を検出する。
前記検知領域は、後述する加熱調理器1の誘導加熱部17Hを含んでいる。
前記温度監視装置440は、温度検出部441で監視している検知領域の温度を、前記レンジフード421の運転中はもちろん、運転停止中の期間も、所定の時間間隔で繰り返し計測する。
前記温度監視装置440は、計測した温度の監視情報を、前記通信部442から前記ホーム・ゲートウエイ411に送信する。なお、前記ホーム・ゲートウエイ411に送信することに加え、前記加熱調理器1に直接送信する構成を採用しても良い。また、温度監視情報を得るための、温度計測間隔は、一定時間(例えば5秒おき)ではなく、温度が高い領域においては、時間間隔を短くしている。
前記温度監視装置440は、前記加熱調理器1の赤外線送信部48からの赤外線信号を、前記レンジフード421の受光部444が受けたことを検知し、当該レンジフード421が運転開始された時点で、温度情報の取得を開始する。
前記温度監視装置440は、前記加熱調理器1の運転終了を示す(赤外線送信部48からの)赤外線信号をレンジフード421が受けたあとも、温度取得動作を継続する。そして、トッププレート15の全領域の推定温度が、事前に定めた所定温度(例えば、40℃)以下になるまで温度情報の取得を所定の時間間隔で継続する。なお、当該所定温度よりも低温になった段階で、温度計測動作の間隔は遅くなる。なお、低い温度になった場合には、上記のような監視運転を一旦終了しても良いが、少なくとも、前記加熱調理器1の運転開始時点では、再度温度監視動作を開始する。
加熱調理器1は、後で詳しく説明するが、厨房家具2の中に設置されている。113は、加熱調理器1の内部に形成した加熱室、114は、当該加熱室113の前面開口部113Aを開閉自在に覆うドアである。
加熱調理器1は、その上面を覆うトッププレート15の上に被加熱物Nを載置し、IHコイル17によって誘導加熱する。16Sは、加熱調理器1の内部を上下2つに空間に区画する底壁面である。
CKは、前記底壁面16Sより上方にある設置空間であり、前記IHコイル17が収容されている。
次に図4について説明する。図4は、ホーム・ゲートウエイ411と家電機器400及び温度監視装置440との関係を示したブロック図である。なお、家電機器400の内、加熱調理器1と電子レンジ408は、ホーム・ゲートウエイ411から電力量制御を受ける。
このため、ホーム・ゲートウエイ411は、加熱調理器1と電子レンジ408に対しては、電力指令装置を兼ねているが、この点は前に説明したので、ここでは詳しく説明しない。なお、この図4には示していないが、前記空気調和機403も電力量制御を受ける機器である。
電力量制御部448は、対象となる家電機器(例えば、加熱調理器1と、電子レンジ408)から使用する電力量の情報を常に取得し、事前に設定された総電力量を超えないように、当該家電機器400の消費電力を制限する機能を有しており、既にHEMS(家庭用電力マネージメントシステム)という名称で知られている。電力量制御部448は、通信部446を介して外部から電力削減要請又は電力削減指示を示す情報を取得した場合、事前に定めた優先順位に従って対象となる家電機器(例えば、加熱調理器1と、電子レンジ408、空気調和機403)の消費電力を削減する動作を行う。
図4において、ホーム・ゲートウエイ411の中には、人感知センサー452の検知出力を受ける人感知部413Hを内蔵した環境検知部413がある。統合環境検知部413は、花粉センサー(図示せず)やキッチンの気温と湿度を検知するセンサー等からの検知結果も所定の形式のデータで受信している。453は、キッチンKTの気温や湿度等を計測する環境センサーである。
前記人感知センサー452は、キッチンKTの中の、特に加熱調理器1の前方と冷蔵庫401のドア(図示せず)の前方エリアにおいて、人が居ることを検知するものであるため、1つ又は複数個使用している。
例えば、加熱調理器1前方と冷蔵庫401のドアとの距離が近い場合には、その加熱調理器1前方と冷蔵庫401の間の空間に向けて、キッチンKTの天井面420等に前記人感知センサー452を設置する。
また、加熱調理器1前方と冷蔵庫401のドアとの距離が少し離れている場合には、1つの人感知センサー452は、その加熱調理器1前方近傍の空間に向けて、キッチンKTの天井面420等に設置する。そして、もう1つの人感知センサー453は、冷蔵庫401のドアの前方空間に向けて、キッチンKTの天井面420等に設置すると良い。
前記レンジフード422のフード425の下端部に1つの人感知センサー452を取り付けて、加熱調理器1の前方にユーザーが居ることを感知させても良い。
以上のように、人感知センサー452、453の設置する場所は、冷蔵庫401と加熱調理器1の位置関係と、人感知センサーの感知能力を考慮して適宜決めれば良い。
前記人感知センサー452は、環境検知部413の1つのセンサーとして機能させているが、家屋HAの内部、すなわちキッチンKT等に人間が居るということを検知するための在宅検知装置(図示せず)の1つのセンサーとして機能させても良い。その場合、家屋HAの玄関(入口)のドアの錠を開けたことを検知する開錠センサー等の情報も、前記在宅検知装置で利用すれば良い。これにより、在宅と留守の判定処理における、精度を向上させることができる。
入力部449は、液晶表示画面に形成されたタッチ入力式のキーを操作して、ホーム・ゲートウエイ411の各種機能を設定できる。その機能の1つとして、消費電力の上限値を設定する家電機器400を特定し、その上で消費電力の上限値や使用できる時間帯等も設定できる。例えば、ユーザーは、加熱調理器1の最大消費電力を、例えば、4800W、5400Wのように入力することができる。
前記入力部449は、液晶表示画面に形成されたタッチ入力式のキーを操作して入力する機能に加え、音声で入力する機能も備えており、居住者が発する音声を、マイク部(図示せず)に向けて発することで、希望する各種機能を入力できる。
445は、音や光の手段で居住者に警報を発する警報装置である。前記環境検知部413からの計測データや、温度監視装置440からの監視データを前記中央制御部447が受けて、警報指示信号を警報装置445に送信する。なお、この警報装置445は、電力量制御部448による制御対象にはなっていないので、家電機器400の消費電力の変化によって、電力が制限・遮断されることはない。
図4において、ホーム・ゲートウエイ411の中には、通信部(受信部・送信部)446と、中央制御部447と、記憶装置450と、を更に備えている。
前記通信部446は、加熱調理器1や冷蔵庫401等の家電機器400と個別に無線通信や赤外線通信ができる通信部である。
図4において、記憶装置450は、ホーム・ゲートウエイ411の運転履歴情報や、家電機器400の毎日の電力制御の履歴情報、更には環境検知部413で取得した毎日の「環境情報」等、比較的大きなデータ量の情報を記録する装置である。記憶装置450は、例えば各種半導体メモリーやHDD等である。
中央制御部447には、情報処理の中核となるマイクロコンピューターと、ROM及びRAMを内蔵し、各種動作を規定するコンピュータプログラムが格納されている。
図4において、416は、通信部(受信部・送信部)と無線通信を行う広域通信回路網(インターネット)である。なお、この図4では、通信部446が1つだけ記載されているが、家電機器400用の通信部(受信部・送信部)と広域通信回路網(インターネット)416用の通信部を、それぞれ個別に設けても良い。また、情報通信端末器418が備えたNFC(近距離無線通信)との間で、無線通信によって、直接情報の授受ができるようにNFC通信部を別に設けても良い。
451は、スケジュール管理部である。このスケジュール管理部は、カレンダー機能を有しており、少なくとも1月(最大31日間)におけるイベントの予定情報を記憶させることができる。
スケジュール管理機能自体については、既に多くの特許文献で提案されている。この実施の形態1では、前記入力部449によって、居住者毎のイベント(例えば、買い物、外出等)の予定日と開始予定時刻(又は、時間帯)が登録できる。
前記スケジュール管理部451に、イベント情報を記憶させておくと、記憶された日時になると、前記スケジュール管理部451から通知が出される。通知の形態は、前記入力部449の液晶表示画面で表示したり、音声合成装置(図示せず)で報知したりすることである。また、居住者が所持する情報通信端末機器418に向けて通知を発する方法でも良い。
加熱調理器1等の家電機器400が起動している場合には、前記スケジュール管理部451から登録されたイベント情報に基づいて通知が行われる場合がある。
(加熱調理器の概要)
次に図5~図110において、本実施の形態1の加熱調理器1について説明する。
図5において、加熱調理器1は、厨房家具(システムキッチンという家具も含む)2に組み込まれる加熱調理器である。2Aは、厨房家具2に形成された設置口である。加熱調理器1には、後述するように商用電源99から、電圧200V、周波数50Hz又は60Hzの交流電力が供給される。
図5と図19に示しているように、加熱調理器1は、誘導加熱部を左右に2個所有している。
図19において、CL1は、上部ユニット100の左右の中心点を前後方向に通る中心線、ALは、トッププレート15が上部ユニット100の上面で露出している範囲を示している。
図19において、17HRは、中心線CL1から右側の範囲に設けた右加熱部(「第1加熱部」に相当する)であり、この真上で誘導加熱できる。
17HLは、中心線CL1から左側の範囲に設けた左加熱部(「第2加熱部」に相当する)であり、この真上で誘導加熱できる。このように、この加熱調理器1は、トッププレート15の上面に「加熱口」を2つ(2口)設けた調理器である。
なお、左右中心線CL1を跨ぐように、右加熱部17HRと左加熱部17HLの間に、更に別の誘導加熱部を設け、3口の加熱調理器としても良い。または、右加熱部17HR又は左加熱部17HLを構成するIHコイル17L、17R(詳しくは後述する)の、何れか1つを、ラジエントヒータや赤外線ヒータ等の輻射式電熱源に代えても良い。
以下の説明では、「誘導加熱部」という場合は、参照符号として17Hを用いる。
図1と図19に示すように、金属製の鍋やプレート(焼き板)等の被加熱物N(図3参照)を載置する望ましい位置を示すための、円形の位置マーク17LS、17RSを、トッププレート15の上面に設けている。位置マーク17LS、17RSは、トッププレート15の上面に印刷によって形成されている。
前記位置マーク17LS、17RSを見ることによって、加熱調理器1のユーザー(使用者)は、誘導加熱部17Hが左右に2個所あると認識できる。なお、後述する音声合成装置95の音声ガイドによってもユーザーは、誘導加熱部が左右に2個所あることを認識できる。
前記位置マーク17LS、17RSの真下には、後述するIHコイル(誘導加熱コイル)17L、17Rが設置されている。なお、位置マーク17LS、17RSは、円形である必要はなく、例えば被加熱物Nを載置する望ましい位置の中心点だけを、図形や「+」のような記号、あるいは文字で示しても良い。
前記位置マーク17LS、17RSは、IHコイル17L、17Rによって誘導加熱できる目安的な位置を表示した円形マークであるため、当該IHコイル17L、17Rの最大外径よりも少し大きな直径で描かれている。
この実施の形態1では、前記IHコイル17L、17Rを総称して、IHコイルと呼ぶ場合、符号は17を用いる。従って、「IHコイル」17と呼んだ場合には、左側のIHコイル17Lと右側のIHコイル17Rの両方と、何れか一方の場合がある。
この実施の形態1で、「誘導加熱源」9とは、前記IHコイル17と、後述するインバーター回路81R、81Lを含んだ構成をいう。
(加熱源と制御メニューの基本)
この実施の形態1の加熱調理器1は、加熱原理の異なる3種類の加熱手段を備えている。すなわち、第1の加熱手段は誘導加熱源9であり、第2の加熱手段はマイクロ波加熱源189である。更に、第3の加熱手段は、オーブン加熱源188である。
前記3つの加熱手段は、以下のように使用できる。
(1)誘導加熱源9、オーブン加熱源188及びマイクロ波加熱源189は、互いに独立して通電可能であるため、各加熱手段単独で加熱調理ができる(この形態の加熱制御メニューを「単独制御メニュー」と呼ぶ)。これを実施する運転パターンが「単独調理モード」ある。
(2)誘導加熱源9、オーブン加熱源188、マイクロ波加熱源189の3者を併用して、異なる2個所以上の場所を利用して1つの調理ができる。これが後述する「連携制御メニュー」であり、これを実施する運転パターンが「連携調理モード」である。
(3)オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189の2者を併用して1つの調理ができる。これが後述する「複合加熱制御メニュー」である。以下、「複合加熱制御メニュー」は、「複合調理メニュー」と呼ぶ。この複合調理メニューを実施する運転パターンが「複合調理モード」である。なお、ここでいう「運転パターン」とは、オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189の2者が、シリーズで運転される場合、同時に運転される場合、あるいは、時間差を持って運転される場合の、何れも含む。
(4)誘導加熱源9は、専用の入力操作部がある。具体的には、右操作部40Rと左操作部40Lである。右操作部40Rと左操作部40Lを操作すれば、誘導加熱動作の開始、加熱条件(火力等)の設定、及び誘導加熱動作の停止ができる。
(5)オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189の両者には、専用の入力操作部がない。中央操作部40Mを共用している。
(6)誘導加熱源9、オーブン加熱源188及びマイクロ波加熱源189の何れか1つを使用した単独調理モードと、連携調理モード及び複合調理モードの間には、優劣関係はない。あくまでも先に使用を開始した加熱源の調理が優先するルールになっている。このため、例えば、誘導加熱源9を使用する連携調理モードを選択しようとしても、先に誘導加熱源9が、別の調理のために既に単独加熱動作をしていれば、当該連携調理モードでは、その誘導加熱源9は使用できないから、結局、連携調理モードでは、加熱源が制約されることになる。
(7)入力操作についても、誘導加熱源9、オーブン加熱源188及びマイクロ波加熱源189の何れか1つを使用した単独加熱調理と、連携調理モード及び複合調理モードの間には、優劣関係はない。従って、例えば、連携調理モードを設定しようとして、入力を途中まで行ったまま、連携調理モードに移行しない状態で放置しておく(例えば30秒間、何も入力しない)と、自動的にそれまでの入力がキャンセルされる。また途中で、例えば、誘導加熱源9の右操作部40Rから単独調理モード用の入力が行われると、誘導加熱の調理に進めることができる。
(厨房家具2)
図5~図8に示すように、加熱調理器1は、設置口2Aの口縁部上面2Pに載せて支持されている。厨房家具2は、この実施の形態1では図6に示すように、水道の給水口2Dから出る水を一時的に貯めることができる水槽2CPを備えている。2Bは、厨房家具2の所定の位置に形成した前方開口である。この前方開口2Bは、加熱調理器1を組み込んだ際に、その前面構成部分(後述するドア114と前カバー112)を前方へ露出させるためのものである。
前記厨房家具2の前方開口2Bと設置口2Aの大きさは、標準的なものである場合、業界によって標準化が推進されているため、標準的な寸法で事前に形成されていることが殆どである。これについては、あとで詳しく説明する。
加熱調理器1を厨房家具2に組み込む通常の方法は、図7に示している通りである。この図7は、厨房家具2へ組み込む作業の、途中段階を示す模式図である。
図7のように、加熱調理器1の前方側(手前側)が下になるように傾けたまま、前記設置口2Aの中に加熱調理器1を入れ、その後、加熱調理器1の後方側を、実線の矢印BDで示すように下げると、加熱調理器1が厨房家具2の設置口2Aの周縁部に載せられた状態になる。
この後、ネジを締めて、後述する下部ユニット100の後部周縁部に設置してある固定金具(図示せず)を移動(回動)させ、当該固定金具を厨房家具2に強く押し当てた状態にして設置が完了する。なお、このような設置方法は既に広く採用されているので、詳しい構造については説明を省略する。
加熱調理器1の本体110は、図7に示しているように、上部ユニット100と下部ユニット200を上下に重ねた状態で、結合されて一体化されており、そのような一体化された形態でメーカから出荷されるため、図7の組込作業では、上記ネジで厨房家具2に(直接)固定されるのは、上部ユニット100のみである。前記固定金具(図示せず)を外せば、加熱調理器1の全体を厨房家具2から取り出すことができる。これにより、以後、点検や修理が厨房家具2の外側で行える。なお、上部ユニット100だけの範囲で「本体」と呼ぶ場合は、符号10を付して区別する。
この実施の形態1において、「本体ケース」HCとは、上部ユニット100の外殻を構成する上部ケース16と、下部ユニット200の外殻を構成する下部ケース101との総称である。なお、上部ケース16と下部ケース101を一体のケース(筐体)で構成しても良い。
厨房家具2に形成された設置口2Aは、図6に示すように平面形状が長方形である。但し、4つの角部は円弧状になっている。
設置口2Aの横幅寸法W1は、560mm~564mmである。また前後方向の寸法D1は、460mm~464mmに形成されている。
図5と図6において、3と4は、厨房家具2の表面を構成する表面材である。5及び6は、厨房家具2に加熱調理器1を組み込んだ場合、その左右両側に隣接する表面材である。
これら表面材3~6の前面は、厨房家具2の中に加熱調理器1を組み込んだ場合、その加熱調理器1の前面と、ほぼ面一状態となる。言い換えると、加熱調理器1を組み込んだ場合、表面材3~6と加熱調理器1は、統一された平面になっているような意匠感覚をユーザーに呈することができる。
図7において、8は、厨房家具2の内部を上下に複数の部屋に仕切る壁であり、この壁の下方は、例えば、台所用品や食料等の保存庫として利用する例が多い。なお、図6では壁8の図示を省略している。また、壁8が、着脱可能なように厨房家具2の内部に設置されている形態でも良い。
以上説明した構成により、厨房家具2の中に加熱調理器1を組み込んだ場合、厨房家具2の前面全体は、略一つの平面を呈する。ユーザーが厨房家具2を見た場合、全体に前面(正面)が、すっきりした統一感のあるデザインであると認識できるように設計されている。
厨房家具2と、加熱調理器1は、同じ製造業者が設計したものでなくとも良く、厨房家具は、厨房家具や住宅設備業者が製造販売し、一方、加熱調理器1は家電機器業者が製造販売している場合が多い。
図5と図6において、7は、表面材3~5の前面に印刷で表示した枠線であり、表面材3~5の前面に物理的な凹凸を形成するものではない。なお、光沢のある金属製の細い化粧板やテープ等を貼り付けて、枠線7の存在を示して高級感を出したものでも良い。逆に、枠線7を省略しても良い。
前記4種類の表面材3~6は同じものであっても良い。またこれら表面材3~6は、扉や引き出しのように、前後に移動するものでなくとも良い。例えば厨房家具2の表面に常に固定状態で存在し、全く移動しないものであっても良い。
前記4種類の表面材3~6は、その前面の色と表面形態(模様や光沢の有無、凹凸状態等)を統一させると、厨房家具2としての統一的意匠感が高まる。例えば、表面材4の正面全体が、単一の色や木目調で統一されている場合、表面材3の前面も、同じ単一の色や木目調デザインで統一すれば良い。
次に図8と図9について説明する。図8は、図1の厨房家具2と加熱調理器1の寸法関係を示す縦断面模式図である。図9は、図8に示す厨房家具2の前方の一部を拡大して示す縦断面模式図である。
厨房家具2等は、日本では日本工業規格(JIS)の他、「長期使用住宅部材標準化推進協議会」(略称:長住協)によって住宅部品・部材の標準(共通)化が推進されている。
前記「長住協」が制定された「IHクッキングヒーター(ビルトイン)に関する「長期使用対応部材基準書」によれば、当該IHクッキングヒーターを取り付けるカウンタートップ(厨房家具2)が具備すべき条件として、以下の通り規定されている。
(1)設置口2Aの寸法は、横幅寸法W1が、560mm~564mm。また前後方向の寸法D1は、460mm~464mmであること。
(2)前下がり部2Fの高さ寸法C1は、40mm以下であること。
(3)前下がり部2Fの奥行(前後方向)寸法D3は、45mm以下であること。
(4)前下がり部2Fの天井部奥行(前後方向)寸法D2は、58mm~70mmであること。
さらに、前記「長期使用対応部材基準書」によれば、ビルトイン式IHクッキングヒーター(誘導加熱調理器)の外形寸法も、以下の通り規定されている。
(1)トッププレート下端から前面パネル下端までの高さ寸法H2は、215mm~223mmであること。
以上のような各種の制約条件を満たすように本開示の加熱調理器1は設計されている。
図8において、A1は、後述するトッププレート15の前後方向の寸法であり、510mmである。A2は、本体110の前面を覆う前カバー112前面から、本体110の最後尾までの前後方向の最大寸法であり、498mmである。A3は、本体110の後部に形成した傾斜部111から前記前カバー112の前面までの前後方向の寸法であり、451mmである。
前カバー112は、プラスチック又は金属の一体成形によって形成されている。また、この前カバー112は、左右対称形状に形成され、装着される背面側には突起状の取付脚112Pが数個所形成されている(図18参照)。この取付脚112Pを、下部ケース101の前板102に形成した複数の縦長の嵌合孔(図示せず)に挿入し、下方へ少し摺動させて当該嵌合孔に取付脚112Pが係合するようにしている。この状態で前カバー112は、固定具(図示せず)によって下部ケース101に固定されている。この固定によって前カバー112は、上方には移動しないようになるので、下部ケース101に装着された状態となる。
図8において、113は、後述する加熱室であり、下部ユニット200の内部に形成されている。前記加熱室113の前面には、フライパン等の調理器具、あるいは被調理物等を出し入れできる開口113A(図15参照)が形成されている。その開口113Aは、ドア114によって開閉自在に覆われている。
ドア114の前面と、前記前カバー112の前面は、面一となるように設計されている。そして前記ドア114は、その前面が、取っ手部115を除いて前記前カバー112前面に面一となるように、2個のヒンジ176(図12参照)と、左右に2本配置したアーム116(図示せず)とにより、本体110に対して回動自在に支持されている。このため、ドア114は、その下端部のヒンジ176を支点(回動中心)として前方に開く「前開き」ドアとして機能する。
前記前カバー112は、加熱調理器1を厨房家具2の中に設置した後で、販売店や設置業者等の専門家が、加熱調理器1の前面に装着する。なお、ドア114は、加熱調理器1を工場で出荷する段階で装着しており、専門業者以外の者、すなわち各家庭のユーザーが事後的に取り外せないようにしている。これは加熱室113の内部からのマイクロ波漏洩を確実に防止するためである。
図8において、H1は、加熱調理器1の最大高さ寸法である。つまり、前記トッププレート15の上面から下部ユニット200の底面までの寸法であり、227mmである。
図8において、H2は、トッププレート15下端から前カバー112の下端までの高さ寸法であり、215mm~223mmである。H3は、前記前カバー112又は前記ドア114の上端から下端までの寸法であり、171mmに設定してある。H4は、前記トッププレート15の高さ方向の寸法であり、11mmである。なお、このような寸法関係にすることで、加熱調理器1を設置した際に、ドア114の下面と前カバー112の下面のそれぞれ下方には、後述する前方空隙302(図12参照)が確保されるようになっている。
次に図10について説明する。図10は、図1と図2に示した厨房家具の斜視図である。この図10において、2Gは、前記前方開口2Bの左右両側角部に形成された段部である。この段部は、後述する下部ユニット200の前カバー112が近接して対面する部分である。W2は、設置口2Aの真下に形成される設置空間の最大横幅寸法である。この最大横幅寸法W2は、560mm程度である。
次に実施の形態1の加熱調理器1の構成について、図11~図24を参照しながら詳細に説明する。
図11は、図5に示した加熱調理器1の平面図である。図12は、加熱調理器1を、図11のZ-Z線で切断した場合の縦断面図である。図13は、加熱調理器1を、図11のZ-Z線で切断し、冷却風の流れを示した縦断面図である。図14は、加熱調理器1を、図12のW-W線で切断した場合の縦断面図である。図15は、加熱調理器1を、図11のY-Y線で切断した場合の縦断面図である。図16は、加熱調理器1を、図12のV-V線で切断した場合の縦断面図である。図17は、加熱調理器1を、図12のX-X線で切断した場合の縦断面図である。図18は、加熱調理器1を、厨房家具2に設置した場合の右側要部横断面図である。図19は、加熱調理器1の入力操作部40を説明するための簡略平面図である。図20は、加熱調理器1において、入力操作部40と各種表示部の配置を説明するための前方部分の平面図である。図21は、加熱調理器1の中央操作部40Mと統合表示部30を示す拡大平面図である。図22は、加熱調理器1の右操作部40Rと右側表示部31Rの拡大平面図である。図23は、加熱調理器1の左操作部40Lと左側表示部31Lの拡大平面図である。図24は、加熱調理器1の上部ユニット100内部の冷却風の流れを示す簡略横断面図である。
(上部ユニット100)
この実施の形態1では、前記上部ユニット100単体でも加熱調理器1として機能する。そのために、商用(交流)電源99は上部ユニット100だけに供給される。但し、商用電源99にプラグ106A(図示せず)を介して直接接続するための電源コード106(図示せず)は、下部ユニット200から加熱調理器1の外部に引き出される。
上部ユニット100は、本体10の外郭を構成する箱形形状の上部ケース(上筐体)16と、この上部ケースの上部に固定された金属製の額縁状の補強板(支持枠)22(図12参照)と、この補強板22の上面の、後部を除く略全体を覆うように、その上面に重ねて取り付けられた耐熱強化ガラス又は結晶化ガラス製のトッププレート15と、から構成されている。言い換えると、上部ユニット100の本体10は、外殻となる上部ケース16とトッププレート15と、をそれぞれ備えている。
前記上部ケース16は、1枚の亜鉛鋼板等の金属製薄板をプレス加工して形成される。または複数枚の金属製薄板をスポット溶接やネジ等で接合して箱形形状に形成される。
実施の形態1では、この上部ケース16は、後述するように1枚の金属薄板の周辺部を、垂直に折り曲げて、底壁(底壁面)16S、後方壁16B、前方垂直壁16F、(左右の)側方垂直壁16L、16Rを、それぞれ一体に形成している。この底壁16Sは、後で説明するように、「仕切り壁」を兼ねている。
前記上部ケース16は、別の形態で形成しても良い。例えば、1枚の金属製平板をプレス加工して、底壁(底壁面)16S、後方壁16B及び前方垂直壁16Fの3つの面が形成された1つの「胴部」を形成する。一方、これとは別に2つの側方垂直壁16L、16Rを個々に形成する。そしてこれら2枚の側方垂直壁16L、16Rを、ネジやスポット溶接等で、前記した「胴部」の端部に取り付けて、最終的に上面全体が開口した箱形形状にする。
トッププレート15は、全体の厚みが略均等な平板状に形成されており、その下面全体は、可視光線が透過しない塗装面で覆われている。このため、トッププレート15の上方からは、その下方の機能部品、例えばIHコイル17が視認できないようになっている。
右側のIHコイル17Rは、平面形状がドーナッツ状形状を有している。そしてこのIHコイル17Rの最大火力は3200Wである。最大外形寸法(直径)は168mmである。
また、左側のIHコイル17Lも同様にドーナッツ状形状を有している。このIHコイル17Lの最大火力は3200Wである。最大外形寸法(直径)は168mmである。なお、大きな鍋やフライパン等の被加熱物にも対応できるように、180mm程度まで直径を拡大しても良い。図11は、左側のIHコイル17Lの直径を、右側のIHコイル17Rよりも大きくした場合を示している。
図12において、18は、前記上部ケース16の後部に横に長く形成した開口、19は、この開口の上方に設置される排気カバーであり、通気性を持たせるために鎧戸又は多数の貫通孔が形成されている。20は、前記排気カバー19と開口18の間で形成される排気口である。
図12と図14において、22は、前述したように、上部ケース16の後部上端部に固定された金属製の補強板である。この補強板22は、上部ケース16の後縁部横幅と同等の長さを有している。
21は、補強板22の上面に固定された金属製の飾り枠である。この飾り枠は、上部ケース16の後方に張り出しており、また上部ケース16の横幅よりも長く形成されている。つまり、上方から見た場合、排気カバー19の後方と左右両側を一連に囲んでいるように見える(図11参照)
図11、図12と図14において、25は、金属製の飾り枠であり、図11に示すようにトッププレート15の左右端面と前方の端面を、外部からの衝撃から保護するように設置されている。
26は、弾力性に富む素材、例えばシリコンゴム等から形成された環状のクッション材であり、前記飾り枠21、25の下面全周に貼りつけてある。これにより上部ユニット100は、このクッション材26を介して厨房家具2に載置される。なお、トッププレート15の左右端面と前方の端面の3つの部分(辺)又は後方の端面を含む4つの部分(周囲4辺)を、1つの飾り枠25で囲むようなデザインにしても良い。
(統合表示部30と左右の表示部30L、30R)
図11と図19において、30は、統合表示部である。この統合表示部30は、トッププレート15の前方部で、かつ左右中心部の下方に設置されている。
31Lは、左側表示部であり、31Rは右側表示部である。これら左右表示部31L、31Rも、トッププレート15の前方部左側と、右側の下方に、それぞれ1つずつ設置されている。
前記統合表示部30は、後述する連携調理モードと複合調理モードにおいて使用される表示手段である。つまり、マイクロ波加熱調理時とオーブン加熱調理時において使用される。
この統合表示部30には、前記連携調理モードで使用される第1特定画面30SP(図53参照)と、前記複合調理モードで使用される第2特定画面30SC(図51参照)が、それぞれ択一的に表示される。
前記統合表示部30と、左右の表示部31L、31Rは、液晶表示画面(図示せず)を主体に構成されており、これら統合表示部30、左右の表示部31L、31Rは、左右方向に設置している水平な操作基板41の上に設置されている。なお、これら統合表示部30、左右の表示部31L、31Rの真上の位置に対応して、前記トッププレート15の下面には、前記したような可視光線を遮断する塗装面を設けていない。このため、統合表示部30、左右の表示部31L、31Rの表示内容は、トッププレート15の上方から視認できる。
前記統合表示部30は、加熱調理器1の共通的な情報や警報を表示する。例えば、この加熱調理器1の3種類の加熱源の選択結果や、それら加熱源の動作状態を示す注意情報、警告情報を表示する。すなわち、前記統合表示部30は、誘導加熱源17と、後述するオーブン加熱源188と、マイクロ波加熱源189の、3つの加熱源に関係する情報を表示する場合があるため、統合表示部30と称している。
また、前記統合表示部30は、後述する「連携調理モード」に対応した各種調理の名称や、その制御条件等を表示する機能もある。
更に、前記統合表示部30には、後述する冷蔵庫401の「在庫情報」を表示する機能もある。
(右側表示部31R・左側表示部31L)
左側表示部31Lは、左側のIHコイル17Lの動作に関する情報を表示する。例えば、後述するように、タイマー調理をセットする場合には、1分単位で設定でき、その設定した時間を表示できる。また加熱動作を開始してからの経過時間や、タイマー設定時間が終了するまでの「残時間」も表示する。更に、予熱調理を選択した場合には、自動的に設定された温度(デフォルト温度)や、現在の温度などを表示する。なお、上記「残時間」は、10分未満になった段階から9分59秒という表示が行われ、1秒単位で残時間が表示される。
同様に、右側表示部31Rは、右側のIHコイル17Rの動作に関する情報を表示する。この右側表示部31Rは、基本的に左側表示部31Lと同様に、右側のIHコイル17Rのタイマー設定時間や、予熱温度、経過時間等の各種制御条件に関する情報を表示する。
(入力操作部40)
図19において、40は、入力操作部である。この入力操作部40は、トッププレート15の前端縁部に沿って、横に長く配置されている。
前記入力操作部40は、横に長く、かつ帯状に設置してある操作基板41の上面に配置されている。
前記操作基板41には、各種の電子部品類を実装している。前記操作基板41は、電気絶縁性に富むプラスチック材料で形成されている。上部ユニット100の操作基板41の後方側には、ホルダー50に支持された中央操作基板32がある。後述する統合制御装置MCは、前記中央操作基板32の裏面側に実装されている。
前記操作基板41の下方には、この操作基板41と空隙を置いて対面するように、平板状の補助支持板(図示せず)が上下に重なるように設置されている。つまり、間隔を置いて対面する上下2層(2枚)構造になっており、できるだけ多くの電気部品や回路を実装できるようになっている。
F2は、後述する第2冷却ファン61からの冷却風が流れる第2風路であり、後述するカバー70と、前記上部ケース16の前方にある前方垂直壁16Fとの間の空間によって形成される(図12、図24参照)。
図12において、16Bは、前記上部ケース16の後方垂直壁である。後述する下部ケース101と上部ケース16は、複数個所において、それぞれネジ51によって一体化されている。
図12から明らかなように、上部ケース16の後方垂直壁16Bと下部ケース101の上端部とは、20mm~30mm程度の範囲で、緊密に対面しており、その対面部分を前記ネジ51によって締め付けて固定されている。なお、なお、このネジ51とは別に、上部ケース16と下部ケース101の対面部を固定するネジ51F(図示せず)も設けており、上部ケース16と下部ケース101は、複数の個所で結合されている。
16BXは、後方垂直壁16Bの上端部を更に後方BKに折り曲げて形成した水平折り曲げ部である。この水平折り曲げ部16BXと、後述するフランジ16A(図14参照)の位置は、同じ水平線の上にある。
上記構成のため、上部ケース16と下部ケース101の両方の重量物を、厨房家具2が支える場合には、このフランジ16Aと水平折り曲げ部16BXが協働して、そのような荷重を強固に支える部分として機能する場合があり得る。つまり、金属製板を一連に折り曲げて機械的強度が増しているフランジ16Aと、水平折り曲げ部16BXとが、上部ケース16自身を支え、結果的に下部ケース101も確実に支持するという構造が実現されている。なお、この実施の形態1では、水平折り曲げ部16BXは、図12に示すように厨房家具2の上面に直接接触しない。
図12において、104は、深さも平面積も大きな空洞である。この空洞104は、上部ケース16の底壁(底面)16S下面から、後述する下部ユニット200の後部の底板101U上面までの空間である。BHは、その空洞104の深さ(垂直方向)寸法を示している。
この図12に示す構造から明らかなように、この実施の形態1では、前記トッププレート15によって上面の開口部が閉鎖された扁平な(本体10の外殻を構成する)上部ケース16を有している。そして、この上部ケース16を後述する下部ケース101の上に載置した状態では、当該上部ケース16の底壁16Sが前記下部ケース101の天井面を兼ねている構成である。
図12で説明したように、上部ケース16の底壁16Sと、下部ケース101の底板101Uとの対向間隔が最も大きい空間が、前記空洞104である。
前記空洞104には、後述するマイクロ波加熱装置120の一部を構成する導波管123が、前記加熱室113の背後において左右方向に長く配置されている。
さらに導波管123よりも後方には、マイクロ波加熱制御部130に電力を供給する回路部品を実装した電源回路基板127の収容用ケースC154が、左右方向に長く配置されている。
マイクロ波加熱制御部130は、マイクロコンピューターを主体に構成されており、前記ケースC154の内部の、前記電源回路基板127に実装している。言い換えると、ケースCの内部に格納された電源回路基板127は、マイクロ波加熱制御部130を実装した制御基板を兼ねている。なお、このような制御基板と電源回路基板127を、別々に設けても良いが、この実施の形態1では、設置スペースを最小にするため、一体化している。
図12において、101Tは、下部ケース101の前方側に設けた金属板製の前方水平壁である。この前方水平壁101Tは、下部ケース101の前板101F(図15参照)上端を後方に折り曲げて形成したものである。
198は、金属製板から形成された連結用の支持金具であり、水平部198Hと垂直部198Vとを備えている。そして、その水平部198Hは、前記下部ケース101の前方水平壁101Tに固定されている。
上部ケース16と下部ケース101の一方又は双方が、薄い金属製板で形成された箱状であり、前記ネジ51、51Fの締結によって、上部ケース16と下部ケース101とは、強固な1つの箱形構造物になっている。
この実施の形態1では、上部ケース16と、前記下部ケース101は、以下の通り、緊密な状態で嵌合している。
すなわち、前記下部ケース101の上面開口の縦横寸法(内側最大縦横寸法)は、上部ケース16の前後方向最大幅寸法D5(図示せず)と、左右方向最大幅寸法W4(図示せず)と、設計上では同じ寸法である。あるいは、下部ケース101の上面開口の前後方向最大寸法D5と左右方向最大寸法W4よりも(最大でも)僅か0.2mmだけ大きいだけである。
左右の垂直壁101L、101Rや後壁面(後方垂直壁)101Bの上端部に、外側方向へ少し力を加えると、下部ケース101の上面開口が少し広がるので、その内側に上部ケース16を緊密に(ぴったりと)嵌めることができる。
この実施の形態1でいう「嵌合」とは、必ずしも上記実施の形態1のように、緊密に嵌り合う状態をいうのではない。外側になる下部ケース101の内側(前後・左右方向の)寸法に対し、内側に挿入される上部ケース16の外側寸法が、最大で1mm程度異なっていても良く、全体で緊密に密着している状態でなくとも良い。また、そのように若干の寸法差がある場合でも、ネジ51等で固定して強固な本体ケースHCにすることができる。
上部ケース16と下部ケース101は、強固な1つの箱形構造物になっているため、後述するドア114の支持構造も強固に実現でき、ドア114部分におけるマイクロ波漏洩防止に有益である。
特に上部ユニット100のトッププレート15は、厨房家具2の上面に支持されて下部ユニット200の全荷重を受けるので、上部ケース16と下部ケース101の全体が歪んだり、変形したりしない構造にすることは重要である。なお、前記クッション26が、前記飾り枠21、25の下面全周に貼りつけてあるため、実際に厨房下部2の上面に接触するのは、前記クッション材26である。
図12において、80は、インバーター回路基板であり、上部ケース16の中央部に設置されている。
前記インバーター回路基板80は、平面形状が左右方向に長い長方形である。インバーター回路基板80の長さW16は、316mm、前後方向の長さ(幅)W7は、195mmである(図25参照)。
この種のインバーター回路基板は、様々な電子部品で回路を作成する際に、絶縁体の基板に半導体集積回路や抵抗器、コンデンサー、トランジスタ等の部品を固定し、それら部品間は銅箔で配線して形成する。このような複雑で細かい作業であるため、現在では自動装入機械等で実装して量産している。そのため、前記基板の形状や大きさには色々制約があり、この種の加熱調理器で使用する場合でも、回路基板の形状は正方形や長方形が基本である。そこで、上部ユニット100の中の限られたスペースに、この種のインバーター回路基板を収容するには、周囲の部品との干渉や重なり等を回避するための工夫が求められる。しかも、インバーター回路の数を増やすと、実装する部品数も増加し、インバーター回路基板の面積も必然的に大きくなる。
前記インバーター回路基板80の上に実装されているインバーター回路81は、左側のIHコイル17Lに対して高周波電力を供給するインバーター回路81Lと、前記右側のIHコイル17Rに対して高周波電力を供給するインバーター回路81Rと、から構成されている。これらについては、図29、図30及び図33を参照しながら後で説明する。
前記インバーター回路基板80の上面には、アルミニウム製のヒートシンク(放熱シンク)82が合計4個取り付けられている。前記ヒートシンク82は、図12、図15、図26に示している。すなわち、2つの放熱フィン82FN同士を向かい合うように、2列並べ、かつ数mm~10mm程度まで接近させて互いに向かい合うように設置している。
GP2は、図27に示しているように、2つのヒートシンク82の放熱フィン82FN同士が向かい合って形成された空隙である。この空隙の大きさ(前後方向の幅)は、前後2列のヒートシンク82の、左右方向全体に亘って同じである。例えば、8mmになっている。後述する(第2の)空隙GP12と区別するため、この空隙GP2は、「第1の空隙」と呼ぶ場合がある。
前記ヒートシンク(放熱シンク)82には、図12と図26から分かるように、互いに向かい合っている側と反対側にある傾斜面の上に、前記インバーター回路81L、81Rの一部を構成する電力制御用スイッチング素子83が、それぞれ取り付けてある。そのため、スイッチング素子83の動作時に発生する熱を、放熱フィン82FNの周囲を通過する冷却風RF1、RF2によって冷却できる。
前記電力制御用スイッチング素子83は、例えばIGBT(絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)である。一方の前記インバーター回路81L側の電力制御用スイッチング素子83は、前後2列あるヒートシンク82の後方側、また他方のインバーター回路81R側の電力制御用スイッチング素子83は、前後2列あるヒートシンク82の前方側に取り付けてある。なお、この逆の側に取り付けるようにしても良い。
図12と図26において、70は、前記インバーター回路基板80の上方全体を覆う金属製薄板又はプラスチック材料から一体に形成されたカバーである。このカバー70の左右両側端部は開放されており、図24に示すようにカバー70の左側端面側が、後述する冷却風RF1、RF2の入口FIとなり、カバー70の右側端面側が冷却風RF1、RF2の出口FOを構成する。
前記カバー70は、前記IHコイル17L、17Rを支持するコイルベース17Cの下面との間に一定の空隙(直線距離で、1mm~最大で数mm程度)GP11を確保している位置にある(図26参照)。
この実施の形態1では、前記空隙GP11は、2mmである。これにより、IHコイル17L、17Rの下面とカバー70の上面との間には、最低でも5mm以上の空間が確保される。この空間は、前記IHコイル17L、17Rからカバー70に対する磁気的影響を緩和し、またカバー70とIHコイル17L、17Rの下面との間に、冷却用の空気が流れやすくする効果がある。
前記カバー70は、前記インバーター回路基板80の最上面とも一定の空隙GP12を確保する大きさである。この実施の形態1では、GP12は、20mmである。
前記(第1の)空隙GP2と区別するため、この空隙GP12は、「第2の空隙」と呼ぶ場合がある。
図26において、H5は、カバー70の高さ寸法である。H5は27mmである。
H6は、上部ケース(上筐体)16の底面16Sからの高さ寸法であり、28mmである。H7は、同じく底面16Sからの高さ寸法であり、31mmである。なお、71は、支持板であり、後で説明する。この支持板71の上面とカバー70又はインバーター回路基板80との間に、絶縁性シートや防磁シート(アルミ製の薄い板等)を設置しても良い。
図26において、H9は、IHコイル設置空間CKの最大高さ寸法である。言い換えると、トッププレート15の下面から上部ケース16の底壁面までの直線距離である。この実施の形態1では、この高さ寸法は、44mm又は44.5mmである。なお、図16、17で説明した、上部ケース16の側壁面最大高さ寸法H10は、40mmである。この高さ寸法H10と前記IHコイル設置空間CKの最大高さ寸法H9が一致していないのは、トッププレート15が水平なフランジ16A等の上方に設置されているからである。
前記カバー70が、IHコイル17Lの真下にあって、かつそれと接近している状態になるから、カバー70に防磁効果を期待する場合には、カバー70をアルミニウム等の非磁性金属製にすると良い。鉄や磁性ステンレス等で形成すると、カバー71が漏洩磁束で加熱されて温度上昇する懸念があるので、その場合は、カバー71の上面を、非磁性金属で覆うと良い。例えば、アルミニウムのシートを重ねたり、アルミニウムのテープを貼り付けたりするという手段を採用すると良い。
なお、前記カバー70を金属で形成した場合には、上部ケース16に電気的に繋がるようにすると更に良い。例えば、カバー70を取り付けるための金属製ネジ(図示せず)が、直接カバー70のネジ孔まで届いている状態にする。
上部ケース16は、後述する下部ケース101と金属製ネジ等で連結されるので、下部ケース101に設けているアース端子(図示せず)にも電気的に繋がり、アースにノイズが吸収される。このようにすると、カバー70の防磁効果により、インバーター回路基板80の上に実装した各種電気部品に対するノイズ遮蔽効果が期待できる。
また、カバー70をプラスチック材料で射出成形するようにすれば、カバー70の断面形状も比較的自由に決定できる。このため、第1風路F1を流れる冷却風RF1の流れ(方向)を調整することもできる利点がある。例えば、特にヒートシンク82の特定部位へ多くの冷却風RF1が流れるように、リブ状の風向板等をカバー70の下面に、一体に形成しても良い。
次に、前記カバー70について更に詳しく説明する。
図26において、FHは、全てのヒートシンク82(82F、82B)の高さ寸法であり、20mmである。
インバーター回路基板80の上面とカバー70の天井面との空隙GP12は、21mm程度確保されており、この空隙GP12の高さが、前記第1風路F1の高さにもなる。
カバー70の天井部上面とトッププレート15の下面との間隔(空隙)寸法GP13は、13mm程度である。カバー70の前後両方の端縁から下方には、一連の垂下壁70Bが形成されている。
前後1対の垂下壁70Bの対向間隔、すなわち、前後方向の空間の寸法W9(図26参照)は、205mmである。垂下壁70Bの下端面は、支持板71の上面と当接しているが、両者の間に微小な空隙があっても冷却風の案内効果には支障はない。
図26において、GP16は、前記ヒートシンク82の放熱フィン82FN上面と、前記カバー70の天井面との間に形成された空隙である。この空隙GP16は、例えば、1mm程度である。
以上の構成により、前記第1風路F1は、カバー70の内側に形成された前記空隙GP12、GP16及び放熱フィン82FNの相互間に形成されることになる。
図26において、W7は、インバーター回路基板80の前後方向の幅であり、195mmである。また、W9は、垂下壁70Bの対向間隔(前後方向の空間の寸法)であり、205mmである。
図25において、W10は、カバー70の右側端面、すなわち、出口側端面から上部ケース16の側方垂直壁16Rまでの距離を示している。この距離W10は、110mm程度であり、この距離の空間があるため、その空間を利用して電源回路基板55を配置している。
図25において、70Aは、カバー70の左側端縁、すなわち、入口側端部に形成した前方切り欠き部である。この前方切り欠き部70Aは、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の冷却風の一部を、前記カバー70の直前で外側へ案内するためのものである。
前方切り欠き部70Aは、複数個形成しても良い。
図25において、GP14は、第1冷却ファン60とカバー70の左側端面との空隙を示している。この空隙GP14は40mm程度である。なお、前方側にある第2冷却ファン61とカバー70の左側端面との間にも空隙GP15(図示せず)を設けても良い。図25では、当該空隙GP15は僅少なので、図示していない。
図25において、XBは、第1冷却ファン60の吹出口60Aの中心点を通り、かつその吹出口60Aの先端面に直交する「吹出線」FL1と、前記仕切壁11との交差する点を示している。
第1冷却ファン60の吹出口60Aは、2つのIHコイル17L、17Rの各中心点を左右方向に横切る中心線CL5に対し、所定の角度θ1だけ傾いている。なお、IHコイル17L、17Rの各中心点を左右方向に横切る中心線CL5ではなく、単に仕切壁11を横切る直線(図27の基準線BLが該当)に対して傾斜しても良い。
XFは、第2冷却ファン61の吹出口61Aの中心点を通り、かつその吹出口61Aの先端面に直交する「吹出線」FL2と、前記仕切壁11との交差する点(交点)を示している。これらの交点XB、XFについては、後で図27を参照しながら詳しく説明する。なお、吹出線FL1と吹出線FL2は、本実施形態1の説明のために便宜上設けた架空の直線であり、冷却風が実際にこの吹出線FL1、FL2に沿って進むというものではない。
第2冷却ファン61の吹出口61Aは、前記中心線CL5に対し、所定の角度θ2だけ傾いている。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の、中心点で計測した設置間隔W14は、150mmである。
図27から明らかなように、第1冷却ファン60の吹出口60Aと、前記ヒートシンク82(82B)は、直線距離(最短距離)LD1だけ離れている。この直線距離LD1は、110mm程度である。
また、第2冷却ファン61の吹出口61Aと、前記ヒートシンク82(82F)は、直線距離(最短距離)LD2だけ離れている。この直線距離LD2は、100mm程度である。
以上の構成によって、前記第1冷却ファン60の吹出口60Aは、前記空隙GP2の中心部を貫通する直線(基準線)BLを挟んで、その後方から前記第1のヒートシンク82Fと前記第2のヒートシンク82Bに向けられている。前記直線(基準線)BLに対して斜め(角度はθ1)になっている。
逆に、第2冷却ファン61の吹出口61Aは、前記直線(基準線)BLを挟んで、その前方向から前記直線(基準線)BLに対して斜め(角度はθ2)になっている。
なお、この角度θ1とθ2の大小関係は、「θ1>θ2」となっているが、同等でも良い。
この実施の形態1では、図27でも分かるように、2つの交点XB、XFは同じ位置ではない。前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の位置や、前記第1冷却ファン60の吹出口60Aと、前記第2冷却ファン61の吹出口61Aの方向によって変化する。
前記ヒートシンク82は、図28に示しているように、前方FR側のヒートシンク82Fとして、82F1と82F2がある。後方BK側のヒートシンク82Bとして、82B1と82B2とがある。なお、加熱調理器1の前方側から見て、前後2列あるヒートシンク82の内、前方左側にあるヒートシンクを「前方の第1ヒートシンク」82F1と呼び、前方右側に少し離れて設置してあるヒートシンクを「前方の第2ヒートシンク」82F2と呼ぶ場合がある。
同様に、図28に示すように、前後2列あるヒートシンク82の内、後方左側にあるヒートシンクを「後方の第1ヒートシンク」82B1と呼び、後方右側に少し離れて設置してあるヒートシンクを「後方の第2ヒートシンク」82B2と呼ぶ場合がある。
図26において、11は、カバー70の天井面から下方へ一体に突出するように一体に形成された仕切壁である。カバー70がプラスチック材料で射出成形されている場合は、上記のように一体に形成できるが、カバー70と別の板状部材を使用しても良く、その場合は、仕切部材11と呼ぶ。以下、説明を簡単にするため、総称として「仕切壁」11と呼ぶ。
この仕切壁11は、その右端部から左端部までの全長に亘り、表面と裏面(背面)は、平坦に形成されている。これは、第1風路F1を流れる冷却風RF1、RF2の風路抵抗を出来るだけ小さくするためである。仕切壁の厚さは2.0mm程度である。
仕切壁11は、電気絶縁性の高い材料(例えば、プラスチック材料)で形成することが望ましい。なお、図12、図13及び図15では、仕切壁11の図示を省略している。
図24と図25に戻って、D6は、上部ケース16の内部空間の大きさを決定する前後方向最大幅寸法である。この寸法D6は、後述する仕切り板52と前記前方垂直壁16Fとの間隔で決まる(図12参照)。
GP1は、仕切り板52の背後側に横方向に連続して形成された空隙である。
図24と図25において、D7は、上部ケース16の後方垂直壁16Bと、後述する仕切り板52との対向間隔であり、前記空隙GP1(図9参照)の大きさを決定する寸法である。W8は、上部ケース16の内部空間の大きさを決定する左右方向最大(横幅)寸法である。
2つのIHコイル17L、17は、耐熱性プラスチックで形成されたコイルベース17C(図12参照)という部品で下方から支持されている、コイルベース17Cは、2つのIHコイル17L、17Rの個々に設けても良いし、2つのIHコイル17L、17Rに共通に1つの構造物で形成しても良い。
前記コイルベース17Cは、カバー70の上面に直接載せられて、カバー70にネジ等の固定具で固定する構造である。あるいは、カバー70の上面との間に圧縮バネ等の弾性体を介在させて、前記トッププレート15側に常に押し上げられた形で支持された構成である。これら支持構造の詳細な説明は省略する。何れにしても、IHコイル17L、17Rは、トッププレート15の裏面(下面)との対向間隔(距離)が、長期間に亘り変化しない。
上記構成のため、誘導加熱調理時においては、トッププレート15の上に載置される被加熱物Nである調理容器とIHコイル17L、17Rとの距離が変化しない。この結果、IHコイル17L、17Rに高周波電流を供給するインバーター回路81L、81Rに発生する高周波電圧および高周波電流の変化を抑制でき、誘導加熱性能を安定化することができる。
前記IHコイル17L、17Rは、インバーター回路基板80の上面に一致した第1の水平面HP1よりも、上方に離れた位置にある。言い換えると、第2の水平面HP2の上に存在している(図15参照)。
前記カバー70は、IHコイル17L、17Rの下方に配置されている前記コイルベース17Cと、ヒートシンク82の両方に接触していない位置にある。
前記カバー70は、このカバー70の平面形状よりも大きな平板状の支持板71の上面に密着するように固定されている。そしてインバーター回路基板80とカバー70との間には、図24、図25に示しているように左右方向に長い第1風路F1が区画形成される。なお、支持板71は、絶縁性材料、例えば耐熱性プラスチックから形成されている。
図12と図15において、102は、下部ユニット200からの排気流が案内される金属製の排気ダクトである。この排気ダクト102の排出口側末端部102Eは、後述する仕切り板52と上部ケース16の後方垂直壁16Bとの間に形成された空隙GP1の中を貫通している(図13参照)。つまり、排気ダクト102は、空隙GP1の中を煙突のように垂直に貫通している。
図14において、16Aは、前記上部ケース16の側方垂直壁16L、16Rの上端部から一連に、外側へ直角に折り曲げて形成された水平なフランジである。
101Aは、後述する下部ケース101の側方垂直壁101L、101Rの上端部から一連に、外側へ直角に折り曲げて形成された水平なフランジである。
上部ケース16と、下部ケース101は、前記したフランジ16Aがフランジ101Aの上に重なっている。この重合状態で、上部ケース16側壁面と下部ケース101の側壁面とは、前述したネジ51(図12参照)で固定されている。そのためネジ51による固定と、このフランジ16Aとフランジ101Aとの密着固定によって、上部ケース16と、下部ケース101は、強固な一体構造物となっている。言い換えると、上部ケース16の総重量は、下部ケース101のフランジ101Aの上面が受けるので、仮に上部ケース16と、下部ケース101が、薄い金属製板で形成された場合でも、一体化された状態では、機械的な強度を備えた箱形構造物にできる。
フランジ16Aとフランジ101Aとが重なった状態で固定する手段は、前記ネジ51ではなく、ボルトとナット等のような、他の締結手段でも良い。なお、前記フランジ16Aとフランジ101Aは、厨房家具2の上面には接触しない。これらフランジ16Aとフランジ101Aは固い材料(金属)で形成されているので、厨房家具2を傷つける懸念がある。またこのフランジ16Aとフランジ101Aが厨房家具2に当たってしまうと、クッション材26を圧縮したまま設置することができないことになる。クッション材26が密着した状態になっていないと、水等の侵入防止効果を損なう懸念がある。
次に、加熱調理器1の外殻(筐体)である本体ケースHCと、厨房家具2との間の空隙について説明する。
図8、図12~図15において、311は、本体ケースHCの外殻を構成する下部ケース101の底板101Uと、厨房家具2との間に形成された下部空隙であり、約10mmの大きさである。
301Rは、同じく下部ケース101の右側の側方垂直壁101Rと厨房家具2との間に形成された右側空隙であり、約5mmの大きさである。
301Lは、同じく下部ケース101の左側の側方垂直壁101Lと厨房家具2との間に形成された左側空隙であり、約5mmの大きさである。
302は、ドア114を閉じた状態で、そのドア114の下面又はヒンジ部176の下面と、厨房家具2との間に形成された前方空隙であり、10mm程度の大きさである。なお、前カバー112の下面の位置も、ドア114の下面の位置とは、水平面上で一致しているので、前カバー112の下方にも前方空隙302と同等に大きさの空隙が確保されている構成である。
前記前方空隙302は、ドア114の開閉によって大きさが変化するが、図12に示すように、ドア114を閉じた状態で外気の吸引が可能なような大きさ(例えば5mm~10mm程度)が確保されれば良い。なお、以下の説明で「外気」とは、加熱調理器1の外部に存在する空気をいうもので、屋外の空気を指すものではない。
前記下部空隙311、右側空隙301R、左側空隙301L及び前方空隙302は、相互に連通している。このため、加熱調理器1の運転開始によって、前方空隙302から外気が吸い込まれると、下部空隙311、右側空隙301R及び左側空隙301Lに、吸込まれた外気がそれぞれ適宜分配される。なお、図18で説明する空隙303も、それら各空隙311、右側空隙301R、左側空隙301L及び前方空隙302に連通する。
次に図18について説明する。
W3は、加熱調理器1の前面部における最大横幅寸法である。この横幅寸法W3は、前記厨房家具2の設置空間の最大横幅寸法W2(560mm)よりも大きく、例えば595mmである。303は、厨房家具2の設置空間の右側に存在する右側壁面材の内面(以後、「右側面」という)と、前記、前カバー112の右端面との間に形成される空隙である。この空隙は、加熱調理器1を設置する際に厨房家具2と衝突しないように確保されるものである。大きさは1~2mm程度で良い。
左側の前カバー112においても、厨房家具2の設置空間の左側に存在する左側壁面材の内面(以後、「左側面」という)との間に、前記空隙303と同じような空隙が形成される。なお、加熱調理器1の設置によっては、左右の空隙303の大きさは多少異なることがある。また、厨房家具2のタイプによっては、弾力性のあるシール材(クッション材)を段部2G(図10参照)に配置していて、空隙303が殆ど塞がれた状態で設置される場合もあるが、そのような状態でも、この加熱調理器1の内部冷却機能には何ら支障はない。
前記前カバー112が、図18に示しているように右側空隙301Rと左側空隙301Lよりも、外側まで伸びている。このため、加熱調理器1を設置した状態では、左右2つの前カバー112によって、前記右側空隙301Rと左側空隙301Lの前方側が覆われる。このため、ユーザーが正面側から厨房家具2を見た場合、加熱調理器1と厨房家具2との間に、大きな隙間が存在するような感覚を与えることはない。そして、加熱調理器1の設置状態では、前記右側空隙301Rと左側空隙301Lが確保されるので、後述する上部ユニット100の上部風路AHと下部ユニット200の下部風路UHのための外気の導入が確実に行える。
図18において、WSは、ドア114が前記下部ケース101の前板101Fに対面する横幅寸法である。この横幅寸法は、ドア114と下部ケース101が密着してマイクロ波の漏洩防止をするため、及び開口113Aの前後・左右の位置に、後述するチョーク室194を形成するためにも必要である(図11参照)。
(第1冷却ファン60・第2冷却ファン61)
図24に示しているように、上部ケース16の左側にある側方垂直壁16Lの近くには、第1冷却ファン60(上部冷却ファン)と第2冷却ファン61が、それぞれ設置されている。これら第1冷却ファン60、第2冷却ファン61の回転翼(図示せず)の中心部にある回転軸60T(図示せず)は、鉛直(垂直)方向に伸びており、前記回転翼は、1つの水平面(第1の水平面HP1)上を回転する。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、遠心ファン(ブロワー)が採用されている。この理由は、静圧が高く、高実装密度の空間で通風抵抗が大きいことを考慮したためである。なお、一般的に遠心ファンには、吸込み口が1個所で、吹き出し(吐き出し)方向が全半径方向となっているタイプも存在する。しかし、この実施の形態1のものは、吹き出し方向が1つだけのタイプである。
図24において、60Aは、第1冷却ファン60のファンケース60Cと一体に形成された吹出口、61Aは、第2冷却ファン61のファンケース61Cと一体に形成された吹出口である。
前記吹出口60A、61Aは、前記インバーター回路基板80に向けられている。つまり2つの吹出口60A、61Aは、何れも共通な第1の水平面(HP1)の上方に存在し、かつ右方向に向けられている。なお、この実施の形態1でいう「第1の水平面」HP1とは、インバーター回路基板80の上面をいう。
図12に示した前記ホルダー50は、絶縁性のある材料、例えばプラスチック材料で形成されている。このホルダー50は、入力操作部40の全域と前記統合表示部30、右側表示部31R、左側表示部31Lの範囲に対応した大きさを有し、左右方向に長く帯状に設けてある。このホルダー50の下面に少し間隙を保って、中央操作基板32が重なるように取り付けてある。
前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、全く同じ構造、同じ形状、同じ「定格仕様」であり、平常な誘導加熱動作時は、同じ回転数で運転されることを想定している。しかしながら、本実施の形態1では、IH制御部90によって回転数を異ならせて、送風量を変化させている。例えば、IHコイル17L、17Rに加える駆動電力を大きくして加熱能力を上げる場合や、前記統合表示部30や入力操作部40の温度が平常時よりも上昇していることが検知された場合、冷却効果を上げるために回転数を増加させて、送風量を増加させる場合がある。また、後述する「うなり音」対策によって第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、互いに回転数を異ならせて運転する場合がある。
定格仕様とは、例えば、定格電圧、使用電圧範囲、定格電流、定格回転数、最大風量、最大静圧、音圧レベル等である。使用電圧範囲の中で印加する電圧又は電圧印加時間(オンDUTY時間)を変化させれば、回転数を変化させることができる。
これに対し、本実施の形態1では、PWM制御(Pulse Width Modulation)方式を採用しており、入力信号(DCレベル)の大きさに応じて、パルス幅のデュ-ティ・サイクル(パルス幅のHとLの比)を変え、第1冷却ファン60のモータを制御している。このPWM制御は、第2冷却ファン61でも採用している。
前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、回転翼(図示せず)の周囲をファンケース60C、61Cで囲った構成であり、そのファンケースの下面には、円形の吸込口(図示せず)を設けている。
前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の、それぞれの前記吸込口(図示せず)の直下になる位置には、多数の丸孔又は楕円形の孔から構成される通気孔64(図14と図16参照)がある。この通気孔64は、下ケース16の底壁面に形成してある。この通気孔64は、後述する下部ケース101の左側側壁面に形成した通気孔164に連通している。そのため、前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、その通気孔164を介して、下部ケース101の外部から直接外気を導入できる。
図14において、165は凹部(吸気ダクト)であり、前記通気孔64を下部ケース101の通気孔164に直接連通させるために設けている。この凹部165は、左側から一定の深さ(寸法)DP1だけ凹ませて形成してある。なお、この寸法DP1は99mmである。
図14に示すように、前記第1冷却ファン60の吹出口60Aの上下方向の中心点と、前記ヒートシンク82の上下方向の中心点、及び後述する電源回路基板55の上面に実装された電気部品85の上下方向の中心点は、1つの水平線HL1の位置にある。言い換えると、第1冷却ファン60の吹出口60Aから吹き出された冷却風RF1が、真っすぐに右側方向に進行すると、ヒートシンク82と電気部品85に到達するような位置関係になっている。この水平線HL1で確定される水平面は、前記第1の水平面HP1よりも上にある。
図14において、前記電源回路基板55には、商用交流電源99からの交流電力が、後述するフィルター回路基板54を介して供給される。そして、この電源回路基板55において、交流から直流に変換する。そのため、交流から直流に変換するためのダイオード、トランス57(図示せず)等の電気部品85が実装されている。
インバーター回路基板80のヒートシンク82の温度が異常に上がった場合、誘導加熱調理を制御するIH制御部90は、前記IHコイル17L、17Rの加熱量を低減させる。なお、この動作に加えて第1冷却ファン60の単位時間あたりの送風量を、一時的に増加させるようにしても良い。ヒートシンク82の温度は、ヒートシンク82の表面に密着状態に固定されたサーミスタ等のような接触型の温度センサーTS8、TS9(図24参照)によって検知している。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61を、全く同じ構造、同じ形状、同じ定格仕様で揃えた場合、製造時の調達コストを安価にできる。
同一仕様の冷却ファンを並列配置し運転させると、うなり音が発生する可能性が高い。このため、この実施の形態1では、うなり音対策として、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の回転数は、うなり音が発生しやすい範囲では、異なる値になるような制御を行っている。つまり、常に異なる回転数で運転している訳ではない。
図24において、52は、上部ケース16の後部において左右に長く設置している金属製の仕切り板であり、上部ケース16に固定されている。この仕切り板52は、上部ケース16の内部空間を、前後に区画するように垂直に伸びた壁となっている。なお、ここでいう「区画する」とは、空気の流通を完全に遮断するような厳密な遮蔽を意味していない。仕切り板52の上端面を越えて、前記第1冷却ファン60、第2冷却ファン61からの冷却風が後方へ流れることを、ある程度抑制できる程度であれば良い。
後述する上部風路AHは、前記上部ユニット100の内部において、前記通気孔64から仕切り板52までの範囲の風路をいう。この仕切り板52の背後側に形成された前記空隙GP1の中には、前記した下部ユニット200からの排気ダクト102が存在している。このため、後述する下部風路UHは、前記上部通路AHの中を通過せず、実質的に加熱調理器1の外部に連通する構造となっている。
図24において、52Aは、前記仕切り板52の左半分に形成した排気窓、53は、その排気窓52Aの前方側を覆うように設置した排気口板であり、多数の貫通孔53Aが形成され、仕切り板52の排気窓52Aに向かう冷却風が通過するようになっている。なお、この排気窓52Aを通過した冷却風は、前記排気カバー19を介して加熱調理器1の外部空間へ放出される。
図24において、LFは、IHコイル17L、17Rの設置空間CKから排気される排気について、後述する区画板12より左側の範囲(横幅寸法)を示した排気口寸法である。この排気口寸法は、前記貫通孔53Aの形成範囲と、排気窓52Aの横幅寸法によって定まる。排気窓52Aの横幅寸法の方が貫通孔53Aの形成範囲よりも狭い場合(図24に示した形態)では、その排気窓52Aの横幅寸法によって排気範囲LFが定まる。右側の排気窓52Bの横幅寸法と貫通孔53Bの形成範囲は、同等である。
図24において、54は、上部ケース16の後部の右隅部に配置したフィルター回路基板である。このフィルター回路基板では、商用電源99からの電源の中のノイズを除去して出力端子側へ供給し、また逆にノイズを、入力端子側にある商用電源側へ流出(逆流)させないようにしており、抵抗とインダクタ(チョークコイル)、ライン間コンデンサー、リレー、電流ヒューズ等の電気部品(図示せず)を実装している。なお、商用電源99にプラグを介して接続された電源ケーブル(図示せず)の末端部は、後述する下部ユニット200の内部を経由して、このフィルター回路基板54に接続されている。
前記電源回路基板55は、前記インバーター回路基板80を挟んで前記第1冷却ファン60と反対側(右側)にある。言い換えると、この電源回路基板55は、前記インバーター回路基板80とカバー70との間に形成された第1風路F1の出口FOの右側にあるため、第1風路F1から出た直後の冷却風によって冷却される。
図24において、CL3は、左側のIHコイル17Lの中心点を前後方向に通る中心線、CL4は、右側のIHコイル17Rの中心点を前後方向に通る中心線である。
CL5は、2つのIHコイル17L、17Rの各中心点を左右方向に横切る中心線である。CL2は、前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61における、各回転翼(図示せず)の回転中心を前後方向に貫通する中心線である。この図24から明らかなように、前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、前後方向の一直線上に並んでいる。
図24において、RF1は、第1冷却ファン60から吹出された冷却風を示す。RF2は、第2冷却ファン61から吹出された冷却風を示す。
RF3は、第1風路F1の出口FOから出たあとの冷却風を示す。また、RF4は、第2風路F2を通過したあとの冷却風を示す。なお、出口FOから出たあとの冷却風RF3と第2風路F2を通過したあとの冷却風RF4は、その一部が途中で合流する。つまり、排気口板53の貫通孔53Aに至る前に、冷却風RF3と冷却風RF4は合流する。
図24において、GP1は、仕切り板52と上部ケース16の後方垂直壁16Bとの間に形成された空隙である。この空隙GP1の前後方向の幅は、30mm~50mm程度である。
図24と図25において、12は、区画板であり、仕切り板52の背後側に形成された前記空隙GP1の中に垂直に設置されている。13は、同じく区画板であり、仕切り板52の背後側に形成された前記空隙GP1の中に垂直に設置されている。
区画板12によって、仕切り板52の背後側に形成された前記空隙GP1の中が左右に区画される。この区画板12の左側には、下方から排気ダクト102が垂直に存在している。また、この区画板13の右側には、前記下部ユニット200のマグネトロン122を冷却した後の空気を排出する排気ダクト307(図示せず)の終端部(排気口)を配置する場合がある。しかし、この実施の形態1では、そのような排気ダクト307(図示せず)は、配置していない。
図24と図25において、14は、垂直に設置された板状又はリブ形状(隆起物状)の仕切壁である。この仕切壁14は、前記上部ケース16の底壁面16Sの上に重なるように設置された支持板29(図示せず)の上面に一体に形成するか、または固定されている。
前記支持板29(図示せず)は、前記支持板71のように電気絶縁性のあるプラスチック材料で形成されている。
前記仕切壁14は、カバー70の後方から前記仕切り板52の前面まで形成されている。但し、前記仕切壁14は、トッププレート15の下面に接触するような位置まで垂直に伸びている訳ではない。つまり、前記仕切壁14は、トッププレート15の下面の近くまで伸びているが、仕切壁14によってカバー70の後方の空間が完全に、左右2つに仕切られている状態ではない。
図25に示すように、主に第1風路F1を経由してカバー70の右側へ案内された冷却風RF4の一部は、前記仕切壁14によって2つの冷却風RF4LとRF4Lの2つに分けられ、排気窓52Aと52B方向へ案内される。
図25に示すように、主に第1風路F1を経由してカバー70の右側へ案内された冷却風RF4の一部を、前記仕切壁14によって2つの冷却風RF4LとRF4Lの2つに分け、排気窓52A、52B方向へ案内することができる。
以上の構成によって、図24に示したように、冷却風RF4L、RF4Rは、IHコイル17L、17Rの設置空間CKから排気窓52A、52Bを介して排気される。
なお、図24と図25では、仕切壁14の右側から排気される冷却風をRF4Rと表示し、仕切壁14の左側から排気される冷却風をRF4Lと表示している。これら2つの冷却風を総称する場合には、以下の説明では、符号はRF4を使用する。
(入力操作部40の細部構成)
次に図19と図20に戻り、前記入力操作部40の主要部について説明する。
図19と図20において、40は、トッププレート15の前方側上面に形成された入力操作部であり、以下述べるように、ユーザーが指等で軽く触れた時の静電容量の変化を利用して入力できる方式の各種入力キーを、横方向に一直線状に配置している。
入力操作部40は、右操作部40R、中央操作部40M及び左操作部40Lの3つを含んでいる。98は、後述する商用電源99を供給すること、及び遮断することができる主電源スイッチ97の操作ボタン又は操作キー(タッチ入力式)である。この操作ボタン又は操作キー98は、右操作部40Rの右端部に隣接した位置に配置されている。なお、この操作ボタン又は操作キー98は、入力操作部40の範囲内(図19参照)にあるという前提で以下説明する。
前記右操作部40Rは、誘導加熱源9だけの入力操作を行うものであるため「個別操作部」と呼ぶ場合がある。同様に左操作部40Lも、「個別操作部」と呼ぶ場合がある。
これに対して、前記中央操作部40Mは、マイクロ波加熱源189と、オーブン加熱源188の2つに共通して使用されることから「共用操作部」と呼ぶ場合がある。なお、この「共用操作部」は、後述する連携調理モードを実行するための「連携操作部」40MCも含んでいる。これらについては、図21で詳しく説明する。
前記主電源スイッチ97は、図24と図25に示すように上部ユニット100のフィルター基板54に取り付けてある。商用電源99は、電源回路基板55、インバーター回路81、下部ユニット200の電源回路部(図25では図示せず)に供給されている。
図20と図22に示すように、前記右操作部40Rには、合計5つのタッチ式入力キー43R1~43R4、44Rを配置してある。これら入力キー43R1~43R4、44Rは、以下に述べるように、1つ又は複数の入力機能が割り当てられている。
43R1は、右加熱部17HRでの加熱を選択する入力キーである。また、加熱動作を開始した右側のIHコイル17Rの動作を、停止することができる。このため、最初に1回押した場合には、右加熱部17HRの選択機能を発揮し、その次に1回押した場合には、瞬時に加熱動作の停止指令を発する機能がある。このように、この入力キー43R1は、1回タッチする毎に、後述するIH制御部90に対する指令の内容が自動的に切り替わる。
前記入力キー43R1は、第3の選択手段と呼ぶ場合がある。すなわち、前記入力キー43L1とこの入力キー43R1は、誘導加熱源9の右加熱部17HR又は左加熱部17HLの何れか1つを使用する「単独(加熱)調理」のモードで、加熱動作開始を指令する手段である。
43R2と43R3は、誘導加熱時の火力(消費電力)を指定する1対の入力キーである。
2つある入力キー43R2の内、左側の入力キー43R2にタッチすると、その操作の度に、1段階ずつ火力が下げられる。例えば、3200W(定格最大火力:火力レベル9)である場合、この入力キー43R2に1回タッチすると、2500W(火力レベル:8)に下げられる。
右側の入力キー42R3にタッチすると、その操作の度に、1段階ずつ火力が上げられる。例えば、2500W(火力レベル8)の火力である場合、この入力キー42R3に1回タッチすると、3200W(定格最大火力:火力レベル9)を選択できる。
43R4は、タイマー調理の制御メニューを選択する入力キーである。タイマー調理とは、ユーザーが調理時間を設定すると、その設定時間の間だけ誘導加熱動作が行える制御方法である。例えば、10分間を指定してタイマー調理を開始した場合、10分経過時に所定の表示が右側表示部31Rで行われ、また後述する音声合成装置95からも、音声で調理終了の報知が自動的に行われる。設定時間(例えば、10分間)の経過時には自動的に誘導加熱が停止するが、設定時間経過前に延長操作をして、誘導加熱時間を延長することもできる。
この実施の形態1では、統合表示部30や右表示部31R等の表示部と、音声合成装置95の両者を総称して「報知部」ANと呼ぶ場合がある。
44Rは、誘導加熱調理の「制御メニュー」を選択するタッチ式入力キーであり、タッチ操作する毎に複数の制御メニューの中から1つを選択できる。なお、この誘導加熱調理において「制御メニュー」とは、図38に示しているような、例えば、「湯沸し」、「茹で」、「揚げ物(自動調理)」等のように、誘導加熱源9の制御モード、言い換えると制御の種類である。つまり、「湯沸し」や「煮込み」、「揚げ物」等は、IHコイル17Rの駆動時間や、火力、火力を変化させる駆動パターン等が異なるのである。
右加熱部17HRのための「制御メニュー」とは、誘導加熱して得られる最終的な被調理物の名称や食材の名称とは異なる。例えば「ハンバーグ」や「天ぷら」は被調理物の名称であり、ここでいう「制御メニュー」ではない。言い換えると、「制御メニュー」とは、調理を完成させるまでの加熱の種類、調理方法や条件等を総括的に表現したものとも言える。
誘導加熱源9の制御メニューは、他の加熱源の制御メニューと区別するため、「IH制御メニュー」と呼ぶ場合がある。
次に図20と図23を参照しながら、左操作部40Lについて説明する。左操作部40Lには、合計5つのタッチ式入力キー43L1~43L4、44Lを備えている。
43L1は、左加熱部17HLによる調理を選択する入力キーである。また、左側のIHコイル17Lの加熱動作が開始された後は、その動作を随時停止させることができる。つまり、最初に1回押した場合には、左加熱部17HLを選択する機能を発揮し、誘導加熱が開始されてから次に1回押した場合には、瞬時にその加熱動作を停止できる。
前記入力キー43L1は、第3の選択手段と呼ぶ場合がある。
43L2と43L3は、前記右操作部40Rの入力キー43R2~43R3と同様に、左加熱部17HLにおける火力(消費電力)を指定する1対の入力キーである。前記右操作部40Rの入力キー43R2、43R3と同様に、1回タッチする度に、規定されている火力値のデータテーブルの中で、1段階上げた火力を選択し、又は1段階下げた特定の火力を選択できる。
43L4は、タイマー調理を選択する入力キーである。この入力キー43L4は、右操作部40Rの入力キー43R4と同様に、誘導加熱調理の時間を指定することができる。また、タイマー調理終了時には、入力キー43R4と同様に、左側表示部31Lにおいてタイマー調理の終了が表示され、音声合成装置95によっても報知される。
44Lは、誘導加熱調理の「制御メニュー」を選択できるタッチ式入力キーである。前記右操作部40Rの入力キー44Rと同様に、複数の「制御メニュー」の中から1つの制御メニューを選択できる。なお、左側の入力キー44Lで選択できる制御メニューは、右側の入力キー44Rで選択できる制御メニューと全く同じである。
この左操作部40Lに配置された合計5つのタッチ式入力キー43L1~43L4、44Lは、図20と図23から明らかなように、左右方向に1直線上に並んでいる。
図20と図21において、前記中央操作部40Mには、合計10個のタッチ式入力キーを配置してある。これら入力キーは、1つ又は複数の入力機能が割り当てられている。
以下、10個のタッチ式入力キーについて説明する。
最も左側にある入力キー43KPは、加熱調理器1全体の各種動作や表示等を、ユーザーの希望通りに設定できるようにするためのものである。
入力キー43KPを押すと、後述する統合制御装置MCは「機能モード」に切り替わり、統合表示部30の表示画面30Dに以下のような「機能設定メニュー」を表示する。
(1)チャイルドロック設定(各種入力キーの操作無効化設定)
(2)換気扇連動モード設定
(3)お掃除ガイド設定(加熱室113と排気カバー19の清掃時期自動報知機能設定)
(4)ピークカット設定(最大消費電力を、5700W、5000W、4800W及び4000Wの4段階から1つ選択)
(5)音声ガイドの音声設定
(6)音声ガイドの音量設定
(7)加熱室113からの被調理物、調理器具等の出し忘れを防止する設定(音声合成装置95と統合表示部30での警報の要否)
(8)HEMS登録設定(家庭用電力制御装置による電力使用制限機能に関する設定)
(9)タイマー調理の時間単位(1分単位設定を、5分や30分単位へ変更)設定
(10)初心者モードと通常(習熟者)モードの切り替え
(11)冷蔵庫401から取得する在庫情報の種類(範囲)の設定
前記初心者モードとは、加熱調理器1の使用に不慣れな人(ユーザー)のための、オプション機能であり、この初心者モードに設定すると、音声合成装95における音声ガイドの内容が、より細かく、丁寧になる。また、入力操作部40での入力操作について、音声ガイドが増えたり、統合表示部30の表示画面30Dの表示情報が増える。
前記初心者モードに設定した場合は、特に、連携調理モードにおける調理の場合、調理工程1と調理工程2において、統合表示部30の表示画面30Dで表示する参考情報(後述する付加情報331を含む)の量が増え、又は音声合成装置95における音声ガイドの内容が増える。このため、ユーザーの入力操作を支援できる機能が強化される。
前記冷蔵庫401から取得する在庫情報の種類(範囲)とは、例えば、冷凍食品だけに限定したり、マイクロ波加熱源189によって加熱できる食材だけに限定することである。
入力キー43KPを押して、統合表示部30の表示画面を「機能モード」に切り替えた上で、前記中央操作部40Mに配置された後述するタッチ式入力キー43M1~43M3を操作すれば、加熱調理器1の「機能設定メニュー」に定めてある上記11種類の個別機能を、個々に変更することができる。
統合表示部30において、マイクロ波加熱源189やオーブン加熱源188の制御モードや制御条件(温度や火力、時間など)を選択している段階では、機能モードの切り替えをしないように、入力キー43KPの入力機能は無効にしてある。そのため、入力キー43KPに対応する発光部27M1は、制御モードや制御条件の設定作業中には発光しない(図21参照)。
例えば、加熱調理器1のピークカット値の設定について述べる。メーカからの出荷時点のデフォルト値が、仮に5400Wであったとしても、ユーザーの自宅に設置した際に、5000W、4800W又は4000Wの何れにも設定できる。このように、加熱調理器1の機能を、ユーザーの希望や使用環境(設置家庭の電力事情)等に合わせて変更することができる。なお、このようなピークカット値の設定を行うと、この設定結果は、統合制御装置MC又は電力制御部72に記憶されるので、後述するように連携調理モードをユーザーが選択した際に、その連携調理モードの使用を許可するかどうかの判定に利用される。
図21に示しているように、前記中央操作部40Mの範囲には、マイクロ波加熱源189と、オーブン加熱源188の2つに共通して使用される共用操作部又はRG操作部40M2と呼ぶ範囲を含んでいる。中央操作部40Mの範囲は、図21に一点鎖線で囲んだ範囲である。
一方、その中央操作部40Mの範囲で、入力キー43KPを除いた範囲は、後述する連携調理モードを実行するための連携操作部40MCである。
なお、以下の説明では、前記「個別操作部」40M2は、マイクロ波加熱源189(第2の加熱手段)の入力操作部を兼ねているため、「第2操作部」40M2と呼ぶ場合がある。
43MCは、前記連携操作部40MCの左端部に配置された連携調理モードの選択用入力キーである。タッチ式キーから構成されている。
この入力キー43MCは、発光ダイオード(LED)等によって下方から照らされ、「連携調理」という文字や、それを示す図形等が、ユーザーから容易に確認できるようになっている。但し、連携調理モードの期間中しか当該入力キー43MCは光って見えない。つまり、連携調理モードの全ての調理工程を終えた後は、前記LEDは発光を停止し、連携調理モードが有効でないことを表示するようになっている。
前記入力キー43MCは「第1入力キー」と呼ぶ場合がある。
43M1は、オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189によって、加熱室113において加熱調理することを選択する入力キーである。オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189の両方を使用する複合調理モードも選択できる。つまり、この入力キー43M1は、「複合調理モード」を選択する入力手段(入力キー)である。なお、入力キー43M1を操作した場合、後述するように、「複合調理モード」の実行により、マイクロ波加熱又はオーブン加熱の何れか一方の単独加熱調理も可能である。
前記入力キー43M1が操作されると、前記統合表示部30は、特別な表示画面構成に切り替わる。すなわち、前記複合調理モードに使用される第2特定画面30SCが表示される。この点については、図48~図52を参照して後で説明する。
また、前記入力キー43MCが操作されると、前記統合表示部30は、連携調理モードを実行できるように、特別な表示画面を表示する。すなわち、第1特定画面30SPを表示する構成に切り替わる。この点については、図53、図70~図97を参照して後で説明する。
前記統合表示部30の表示画面30Dは、ハードウエア上は1枚の液晶表示画面であるが、図21に示しているように、表示部駆動回路63によって最大で3つの表示エリア30L、30M、30Rに分けて表示される。
3つの表示エリアの内、左側に位置する表示エリア30Lを、以後、「第1エリア」という。また中央に位置する表示エリア30Mを、以後、「第2エリア」という。右側に位置する表示エリア30Rを、以後、「第3エリア」という。なお、このように1つの表示画面の中を、複数に区分して表示させる方法は、例えば日本の特許第5425171号公報や特開2017-172940号公報で提案されているため、詳細な説明は省略する。
43M1は、前記入力キー43MCを操作した後、前記表示画面30Dの第1エリア30Lに表示された画面を切り替えるための、左右で1対の入力キーである。第1エリア30Lに表示される情報は、統合制御装置MCの表示プログラムに従って前記表示部駆動回路63で選択される。
次に、前記入力キー43M1を操作して、統合表示部30に「複合調理モード」や「単独調理モード」を示す個別の名称が表示された状態について説明する。
以下の説明では、「複合調理モード」と、加熱手段を単独で駆動させる「単独調理モード」、及び後述する「連携調理モード」の3者を総称して、「制御メニュー」と呼ぶ。
左右に並んだ2つの入力キー43M1の内、左側の入力キー43M1が操作されると、第1エリア30Lの表示画面は前方に移動して、後方側に表示されている情報が前後中央に表示されるイメージで表示画面が切り替わる。つまり、左側の入力キー43M1が1回操作されると、統合制御装置MCに記憶させてある「制御メニュー」等の表示情報群の中から、希望する表示情報の1つ(例えば、制御メニューの1つを特定する名称)を選択できる。なお、表示画面自体が、実際に前方に移動する訳ではなく、視覚上で前方に移動したように見えるだけである。
逆に、右側の入力キー43M1が1回操作されると、第1エリア30Lの表示画面は後方に移動し、代わりに別の情報が、今度は第1表示エリアの前後中央に表示されるイメージで、表示画面が切り替わる。つまり、右側の入力キー43M1を操作しても、統合制御装置MCの表示プログラムで規定されている「表示情報群」の中の1つが選択されるが、表示される情報の選択方向(選択順位)が逆となる。
このように、ユーザーは、右側の入力キー43M1と左側の入力キー43M1の何れかを操作すれば、表示情報群の中から、希望する情報を第1エリア30Lの中央部に表示させることができる。
43M2は、前記表示画面30Dの第2エリア30Mに表示された画面を切り替える1対の入力キーである。この入力キー43M2の何れか1つを操作すれば、前記入力キー43M1と同様に、第2エリア30Mの表示情報を1つずつ順次切り替えることができる。
43M3は、前記表示画面30Dの第3エリア30Rに表示された画面を切り替える1対の入力キーである。この入力キー43M3の何れか1つを操作すれば、前記入力キー43M1と同様に、第3エリア30Rの表示情報を1つずつ順次切り替えることができる。
43MSは、加熱室113を利用したマイクロ波加熱調理とオーブン加熱調理の動作開始を指令することができるタッチ式入力キーである。また、連携調理モードへの移行を指令することができる入力キーも兼ねている。
45MTは、逆にマイクロ波加熱とオーブン加熱の動作を停止させることができるタッチ式入力キーである。また、連携調理モードへの移行を取り消すための指令を発することができる入力キーも兼ねている。
主電源スイッチの操作キー98を押して、加熱調理を開始する場合、例えば、右操作部40Rにおいては、5つのタッチ式入力キー43R1~43R4、44Rは、常に入力機能が必要ではない。
同様に、左操作部40Lにおいても、5つのタッチ式入力キー43L1~43L4、44Lは、常に入力機能が必要ではない。中央操作部40Mにおいても同じである。ユーザーが認識しないまま触れた場合等、不必要な入力を避けるために、統合制御装置MCでは、加熱調理器1の起動直後から、調理条件の入力過程や、調理の進行度合い等に応じて、入力が必要な入力キーを除いて、その他の入力キーの入力機能は一時的に無効にし、入力を受け付けないようにしている。
そこで、以上のような各入力キーの入力機能が有効であることを示すために、図20~図23に示すように、3つの操作部40R、40L、40M毎に、発光表示部27R、27L、27Mを設けている。
図20と図22に示しているように、右操作部40Rにおいては、5つのタッチ式入力キー43R1~43R4、44Rの直ぐ後方に個別発光部27R1~27R4を配置している。入力キー43R2と43R3は、1対であるので、個別発光部27R2は、1つを共用している。
個別発光部27R1~27R4は、右操作部40Rの下方に発光ダイオード(LED)を1つ又は複数個ずつ配置してあり、表示部駆動回路63によって個々の個別発光部27R1~27R4は発光と消灯が制御される。あるいは発光色を変化させるように制御される。
例えば、右操作部40R(右加熱部17HR用の個別操作部)の入力キー43R1(図22参照)が操作される前には、その入力キー43R1の直ぐ後方に隣接している個別発光部27R1は、青く発光している。これにより、操作入力を受け付けることができる状態であることが分かる。
ユーザーが入力キー43R1を操作し、統合制御装置MCが当該入力を受け付けた場合には、個別発光部27R1は、統一された色(赤色)で発光して、ユーザーに操作を受け付けていることを表示する。この表示のための制御は、統合制御装置MCの指令に基づき、表示部駆動回路63が行う。なお、1つの色で発光させず、例えば青色から赤色に発光色を変えて、ユーザーに操作を受け付けていることを表示するようにしても良い。これは、後で述べる個別発光部27M1~27M6、27L1~27L4についても言える。
なお、入力キー43R1が操作される前には、その入力キー43R1の直ぐ後方に隣接している個別発光部27R1を発光させず、操作を受け付けた時点で発光開始し、発光を継続する方式でも良い。また、操作入力が可能であることだけを事前(操作前の段階)に発光で示し、操作入力を受け付けたことは、光で表示させない方式にしても良い。さらには、操作入力が可能で入力待ちの状態では点滅させ、操作入力を受け付けた段階で連続発光に変化させるような形態を採用しても良い。
同様に、図20と図23に示しているように、左操作部40Lにおいても、5つのタッチ式入力キー43L1~43L4、44Lの直ぐ後方に、個別発光部27L1~27L4を配置している。入力キー43L2と43L3は、1対であるので、個別発光部27L4は、1つを共用している。
図20と図21に示しているように、中央操作部40Mにおいても、10個のタッチ式入力キー43KP、43MC、43M1~43M3、43MS、43MTの直ぐ後方に、個別発光部27M1~27M6を配置している。
入力キー43MSを押し、誘導加熱が始まった場合は、中央操作部40Mにおける各入力キー(43M1、43M2など)は、入力できなくなる。但し、入力キー43MTの入力機能は有効に維持される。そのため、連携調理モードの加熱動作をいつでも停止し、連携調理モードを解除できる。
前記入力キー43MTは、制御メニューや連携調理モードの入力を取り消すことができる。例えば、連携調理モードの調理工程が開始された場合、この入力キー43MTを押すと、途中で連携調理モードの設定は取り消され、後述するように、当該連携調理モードで使用していた左加熱部17HLの占用状態は、即時解除される。
従って、この解除後は、他の調理のために左加熱部17HLを使った単独調理モードの入力を開始できる。
前記入力キー43MTは、「第2入力キー」と呼ぶ場合がある。
入力キー43M1や、入力キー43MCを操作して連携調理モードや複合調理モードを統合表示部30に表示させた段階で、調理工程開始前に入力キー43MTを操作すると、それ以前の入力設定はすべて解除される。そのため、仮に連携調理モードを表示させるには、再度入力キー43MCを操作する必要がある。
個別発光部27M1~27M6は、中央操作部40Mの下方に発光ダイオードを1つ又は複数個ずつ配置してあり、表示部駆動回路63(図30参照)によって個々の個別発光部27M1~27M6は、統一された発光色での発光と消灯が制御される。さらには、操作入力が可能で入力待ちの状態では点滅させ、操作入力を受け付けた段階で連続発光に変化させるような形態を採用しても良い。
図21に示しているように、1対の入力キー43M1は、1つの個別発光部27M3を共用している。2つの入力キー43M2と43M3についても、それぞれ1対であるので、個別発光部27M4と27M5は、1つずつ共用している。以下の説明で、中央操作部40Mにおける個別発光部を総称する場合には、符号は27Mを用いる。
図22に示すように、右操作部40Rの右端部に隣接した位置にある前記主電源スイッチ97の操作キー(又は操作ボタン)98の真後ろにも、個別発光部27R5を配置してある。
以上のような発光表示部27R、27L、27Mの発光形態(連続発光、点滅、発光色等)は、ユーザーの無用な混乱、誤解を避けるため、3つの操作部で統一することが望ましい。そこで、この実施の形態1では、右操作部40R、左操作部40L及び中央操作部40Mにおいて、発光表示部27R、27L、27Mの発光形態を統一している。
各入力キーの入力機能が有効であることを示すために、入力キーの操作部自体を発光させる方法もあるが、その場合、入力キーの操作部真下に発光部を配置し、かつ当該操作部を、光透過性の材料で製造する必要もあり、入力キーの操作部の感度を確保する課題もあるので、構造やコスト面で課題が多い。そこで、この実施の形態1では、上記のように発光表示部27R、27L、27Mを、入力キーの操作部を避けて、隣接した位置に設けている。ここでいう「隣接」とは、例えば入力キー43R1と発光表示部27Rの関係のように、ユーザーの視点から見て両者が接近しており、1対1の関係が瞬時に分かる位置関係をいう。そのため、例えば入力キー43R1と発光表示部27Rの間が、入力キー43R1の表面を基準にして、上方に突出した壁等の構造物で仕切られている場合を除く。但し、入力キー43MCは、特に連携調理モードを示すために重要であるから、下方から光で照らす構造を採用している。
図20において、右操作部40Rと左操作部40Lの後方位置には、誘導加熱調理時の火力段階を示すように火力表示部67L、67Rを設けている。
これら火力表示部67L、67Rは、右加熱部17HRと左加熱部17HLにおける火力段階を発光(赤色)によって示すものである。定格最小火力(火力レベル1:150W)~定格最大火力(火力レベル9:3200W)までの、9段階を光で示す。
火力表示部67L、67Rは、右操作部40Rと左操作部40Lの下方空間に設置した複数の発光ダイオード(LED)によって構成されている。発光色は、火力の大きさによって変化させても良い。この実施の形態1では、例えば火力レベル1と2は、以下のように構成している。
(1)(最小)火力レベル1:赤色点灯1個、残り8個は青色点灯
(2)火力レベル2:赤色点灯2個、残り7個は青色点灯
なお、火力表示部67L、67Rの左端部には、最小火力レベル1よりも小さな火力で被加熱物を加熱する「保温モード」(図47の「表示画面3A」参照)で動作させた場合に、LEDを発光させて表示する保温表示部67Hを設けている。
前記左表示部31Lには、左加熱部17HLの火力レベル値が、数字の1~9で表示される。最小火力レベル1のときは「1」、最大火力レベル9のときは「9」が表示される。この左表示部31Lでの火力表示は、火力表示部67Lによって表示される火力段階と合致しており、同じタイミングで表示される。
また、右表示部31Rでも、右加熱部17HRの火力レベル値が、数字の1~9で表示される。表示の条件は、左表示部31Lの場合と全く同じである。
図20から分かるように、前記3つの発光表示部27L、27M、27Rと、2つの火力表示部67L、67Rは、それぞれが左右方向に1直線上に並んでいる。しかも、前記3つの発光表示部27L、27M、27Rと、2つの火力表示部67L、67Rは、左右方向において並んでいる。
このように、前記3つの発光表示部27L、27M、27Rと、2つの火力表示部67L、67Rが、3つの入力操作部40L、40M、40Rに対して、その後方において左右方向に1直線上に並んでいるため、操作性と視認性が良い。更に統合表示部30と、左側表示部31L及び右側表示部31Rも、横方向に一直線上に並んでおり、加熱調理器1の前方側に立って操作するユーザーの立場から見て、全体の操作性と視認性が良いデザインとなっている。
図20において、68は、前記統合表示部30の後方に配置した加熱源表示部である。
この加熱源表示部68は、中央操作部40Mを使用して複数の加熱源を使用するため、実際に動作している加熱源をLEDの光で表示するものである。
加熱源表示部68は、図21に示しているように、3つの表示部から構成されている。最も左端の表示部68Lは、マイクロ波加熱源189を使用していることを示す表示部であり、手前側近傍には文字で「レンジ」という表示をし、マイクロ波加熱であることが容易に分かるようにしてある。
中央の表示部68Mは、加熱室113にて、上部ヒータ163A又は下部ヒータ163Bの両方又は何れか一方を使用して「グリル調理」をしている場合を示す表示部である。手前側に「グリル」と記載し、グリル調理であることが容易に分かるようにしてある。
最も右側の表示部68Rは、加熱室113にて、上部ヒータ163A又は下部ヒータ163Bの両方又は何れか一方を使用して「オーブン調理」をしている場合を示す表示部である。
「オーブン調理」は、グリル調理とは異なり、加熱室113の中の温度を把握して上部ヒータ163A、下部ヒータ163Bの通電制御に反映させる(フィードバックさせる)ものである。これらについては、後で詳しく説明する。
図20と図21において、69は、前記加熱源表示部68の直ぐ後方位置に設けた高温表示部である。この高温表示部69は、統合制御装置MCからの指令に基づきLED発光部を発光させて、温度監視対象部分が高温であることを表示する。
統合制御装置MCは、後述するように各種温度センサーからの温度検出信号を受ける温度検出回路93や加熱室制御部159からの温度情報に基づき、高温表示を指令する。
高温表示部69は、図19には示していない。
高温表示部69は、温度監視対象部分として、左加熱部17HLと、加熱室113と、右加熱部17HRの3つを定めてあり、これら温度監視対象部分の状況を個別に表示する。そのため、例えば、左加熱部17HLで誘導加熱調理をした後、左加熱部17HLに対応しているトッププレート15の中央から左側範囲が高温になっていることを報知し、ユーザーに注意喚起できる。
高温表示部69で高温表示している期間を可能な限り短くするため、例えば1つの誘導加熱調理が終わった直後の時点で、まだトッププレート15の温度が高い場合には、前記IH制御部90は、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の運転を継続し、外気によって上部ユニット100の内部空間、つまり上部空間300Aを冷却するようにしている。
図19に戻って説明する。
47は、統合制御装置MCに対して無線通信を求めるインターネット接続指令用のタッチ式入力キーである。この入力キー47を押せば、その都度、前記ホーム・ゲートウエイ411に無線で接続され、ホーム・ゲートウエイ411を経由して外部からの情報を取得できる。
46L、46Rは、外部に設置された換気装置405(レンジフード422)に対して、運転開始用の指令信号となる赤外線信号を送信する窓である。この窓の下方には、赤外線発信部48(図29、30参照)が設置されている。なお、実際には、この窓46L、46Rは、トッププレート15の上方からは視認できないように、目立たないような表面シートで覆っている。そのシートは、当然ながら赤外線信号を透過させる材料から形成されている。
前記連携調理モードの調理工程1を実行中に、手動によって冷蔵庫401の在庫情報の詳細を統合表示部30に一時的に表示させる場合、この入力キー47を押せば良い。一定時間だけ、統合表示部30の第1エリア30Lから第3エリア30Rの、全部又は一部において、具体的な在庫情報が自動的に表示される。なお、その場合の、在庫情報とは、例えば、冷凍食品の名称(例えば、「ご飯」や「餃子」)と、その量(1人前や、重量200gなど)が表示されると良い。
連携調理モードの調理工程1を実行中に、加熱調理器1は上記入力キー47の操作に関係なく、自動的に所定のタイミングで在庫情報を取得する。これについては、図98と図99を参照しながら後で説明する。
図19において、49は、無線通信部(通信モジュール)であり、外部からの電波を受信し、また外部へ電波又は赤外線信号を送信するアンテナ(図示せず)と送受信回路(図示せず)を備えている。この無線通信部49は、前記表示基板41の右側端部の下方で、上部ケース16の底壁面16Sと少し間隔を保って設置してある。このように間隔を保っている目的は、上部ケース16の底壁面16Sに接近しすぎると、電波の受信感度が低くなる懸念があるためである。
厨房家具2に設置された状態では、加熱調理器1の上面は、当該厨房家具2の上に露出する。このため、入力操作部40も上方から操作でき、また排気ダクト102の排出口側末端部102E(図15参照)からの排気も、同様に厨房家具2の上方に放出できる。
(上部ユニット100の制御手段)
次に、上部ユニット100の制御手段について、図29~図31を参照しながら説明する。
図29~図31では、一部構成については記載を省略しており、前記フィルター回路基板54のフィルター回路は記載していない。
図29は、上部ユニット100の制御手段と下部ユニット200の制御手段を示している。図31では、図29の中の主要な制御手段だけを抽出して、制御指令信号の授受や、電力の供給関係等を、矢印によって示している。
図30において、97は、ユーザーによって開閉操作される主電源スイッチで、200Vの商用電源99に電源コードと電源プラグ(図示せず)介して接続されている。91は、前記主電源スイッチ97を介して電気エネルギーが供給される電源回路、92は、商用電源からの交流電力を直流に変換する直流電源変換部である。この電源回路91が、前記電源回路基板55(図25参照)の上に実装されている。
図29と図30において、MCは、統合制御装置であり、メインコントローラ又はホストコンピュータの機能を有する。この統合制御装置MCは、マイクロコンピューターを中心に構成されている制御装置である。この統合制御装置MCは、前記電源回路91から所定の定圧電流が供給される。
前記統合制御装置MCは、前述したように、前記中央操作基板32の下面にある(図24と図25に破線の枠で示している)。しかし、これを前記操作基板41の裏(下)面側に配置しても良い。何れにしても、統合制御装置MCは、上部ユニット100に内蔵されており、下部ユニット200には設けていない。
前記統合制御装置MCは、入力部と、出力部と、記憶部と、CPU(演算制御部)の4つの部分から構成され、その記憶部には、3つの加熱源の通電制御プログラムが予め記憶(格納)されている。また、前記マイクロコンピューターの記憶部(ROM、RAM)とは別に、異常監視情報を記録する大容量の記憶装置(メインメモリー)MMを内蔵している。この記憶装置MMに、3つの加熱源の通電制御プログラムを記憶させても良い。
90は、誘導加熱時の制御を司るIH制御部であり、マイクロコンピューターを中心に構成されている。このIH制御部90には、誘導加熱時の、各種制御メニューに対応した通電制御プログラムが予め記憶(格納)されている。また、異常監視情報を記録する記憶装置(図示せず)を内蔵している。
なお、このIH制御部90の機能の一部を第2のIH制御部90A(図示せず)に担当させても良い。例えば、前記インバーター回路基板80の上に、マイクロコンピューターを実装して、当該マイクロコンピューターでインバーター回路81L、81Rの入力と出力制御を担当させても良い。
誘導加熱調理やマイクロ波加熱調理等、全ての加熱調理動作中は、電気的な異常状態の有無の監視が、統合制御装置MCによって集中して実施されている。
図30において、96は、リアルタイム・クロックとも呼ばれている時計回路であり、前記主電源スイッチ97に繋がる電源回路91とは別の専用電源(内蔵電池)BT1から電源が供給され、長期間に亘って駆動されるようになっている。これは例えば電波時計でも良く、常に統合制御装置MCから求めがあれば、現在の日にちと正確な時刻を秒単位で知らせるものであり、この加熱調理器1の製造段階で正しい日時にセットされている。
加熱調理器1の主電源を切り、その後再度主電源を投入しても、前記時計回路96の時刻情報は影響受けず、常に最新の正しい時刻を統合制御装置MCに伝える機能がある。このため、前記統合制御装置MCの記憶装置MMに記録される異常監視情報も、常に正確な時間が同時に記録されて保存されることになる。なお、この時計回路96を省略し、計時機能を統合制御装置MCに保有させても良い。
図30において、72は、電力制御部(「デマンド制御部」ともいう)である。この電力制御部72は、統合制御装置MCによる誘導加熱やマイクロ波加熱を行う指令信号を解析し、加熱調理器1の総電力消費量が、規定値又はユーザーが個別に設定した上限値を超えないように監視する機能があり、また総電力消費量が、規定値又は任意設定値を超えないよう、誘導加熱やマイクロ波加熱、オーブン加熱時の火力(消費電力)を自動的に制限する機能がある。
一般に、「デマンド制御装置」又は「デマンドコントロール装置」とは、デマンド(需要電力)の値を制御するものをいう。自動的に電力の使用状況をチェックし、設定した値を超過しそうな場合は、警報等で報知し、停止可能な機器の自動停止を設定しておけば、装置自体が決められたとおりに停止可能な電気機器を自動的に停止する。その後、一定の時間が経過すればその電気機器を自動的に復帰させるものとして知られており、各家庭においても電力会社との契約電力管理に大きな威力を発揮すると言われている。
この実施の形態1の電力制御部72は、加熱調理器1自体に上記したような消費電力の抑制機能を持たせるために設けている。なお、電力制御部72は、特別なハードウエアを設けず、前記統合制御装置MCの中の制御機能として設けても良く、デマンド用の制御プログラムを統合制御装置MCの中に最初から組込み、あるいはあとから追加したものでも実現できる。
この実施の形態1の電力制御部72は、加熱調理器1全体の最大消費電力を、前述したように4段階の中から1つだけを、機能設定用入力キー43KPの操作によって設定できる。なお、この設定は、入力操作部40の中の特定のキーを複数個同時に押した場合に、統合表示部30に表示される上記4段階の数値を見ながら、その入力操作部40で設定できる。このような簡単な設定方法は、例えば、日本特許第6012780号公報で紹介されている。
図20、図21で説明したように、中央操作部40Mの入力キー43KPを押すと、統合制御装置MCは「機能モード」に切り替わり、統合表示部30の表示画面30Dには、「ピークカット値設定」や「HEMS登録設定」をできる表示が行われるので、上記したような加熱調理器1の総電力消費量の抑制機能は、簡単に追加設定したり、機能の変更・取消し等を設定したりすることができる。後述する「許可条件」の判定では、この電力制御部72に設定された最大消費電力(総電力消費量)の上限値のデータが利用される。
73は、上部ユニット100と下部ユニット200との間で、各種制御信号を伝達するために設けた信号伝達部である。例えば、有線で信号を伝達できる信号線とコネクターが該当する。また、無線で信号を授受できるように例えば、赤外線通信部であっても良い。なお、信号伝達部73は、前記統合制御装置MCとIH制御部90の間にも設けている。
前記IH制御部90は、温度検出回路93から温度情報を得て、上部ユニット100の主要な部分が異常な高温度になっていないかどうかを監視している。例えば前記中央操作部40Mには、前記した各種入力キー43M1~43M3、43MS、43MT等に対応する電子部品や半導体部品を配置してあるが、それら部品類は比較的熱に弱いので、所定温度(例えば60℃)を超えないように温度検出回路93を通じて監視している。
計測された温度が、前記所定温度を超えた時点で「異常予備状態」であるとIH制御部90によって判定される。なお、異常予備状態は、検出温度が60℃~65℃の範囲にある場合に限る。65℃を超えると危険度高まり、IH制御部90は本当の異常状態と認定する。
この異常予備状態では直ちに誘導加熱動作は停止せず、誘導加熱の火力を下げる制御を行う。しかし65℃を超えた時点で異常状態とIH制御部90によって判定され、直ちに誘導加熱動作を停止する。具体的には、例えば、駆動されているIHコイルが、右側のIHコイル17Rである場合、当該IHコイル17Rに高周波電力を供給しているインバーター回路81Rの電源供給を遮断する。そしてIHコイル17Rや共振用コンデンサー等を含む誘導加熱回路94Rの動作を停止させる。なお、94Lは、左側のIHコイル17L用の誘導加熱回路である。
上記した異常予備状態では誘導加熱の火力を維持したまま、上部ユニット100のIHコイル設置空間CKを冷却している第2冷却ファン61のモータ61Mの送風能力を上げることで改善しても良い。更に、誘導加熱の火力を下げる対策と併用しても良い。
そして、少なくともこのような異常予備状態から緊急停止までの期間における誘導加熱時の主要な部分の電気的、物理的(一例として前記した統合表示部30の温度)な変化状況を示す(異常監視)情報が、IH制御部90の記憶装置90Rの中に格納される。
前記した異常予備状態では直ちに誘導加熱動作は停止せず、また第2冷却ファン61のモータ61Mの送風能力を上げることもせず(回転翼の回転数を変化させず)、IHコイル17L、17Rの火力を、強制的に下げることで改善するようにしても良い。
前記IH制御部90の記憶装置に記憶される異常監視情報は、統合制御装置MCから起動指令を受けた時点から調理を正常に終了するまで期間中に取得される。そのため、前記「IH制御メニュー」(例えば、左操作部40Lの場合の、「湯沸し」、「煮込み」、「揚げ物」など)や、誘導加熱の火力の情報も、時系列で記録される。途中で異常状態が原因で緊急停止した場合は、その時点まで異常監視情報とIH制御メニューを識別する情報が、前記記憶装置90Rに時系列で保存されることになる。
更に、この実施の形態1では、より広範囲にわたって加熱調理器1の動作を監視してデータを取得するため、主電源スイッチ97をONにしてから、上部ユニット100と下部ユニット200側における全ての加熱調理状態に関する監視情報を、統合制御装置MCが取得している。前記加熱室制御部159とマイクロ波加熱制御部130から、信号伝達部73を介して、異常有無の監視情報を統合制御装置MCが取得する。
前記インバーター回路基板80の中には、右側のIHコイル17R専用のインバーター回路81Rと、左側のIHコイル17L専用のインバーター回路81Lが、1つずつ実装されている。
そしてこれら2つのインバーター回路81L、81Rは、前記IH制御部90によって互いに独立して駆動されるようになっている。なお、これらインバーター回路を総称する場合、符号は「81」を使用する。
2つのインバーター回路81L、81Rの詳細は、図33を参照しながら後で説明する。
図29、30において、95は、電子的に作成した音声を合成する音声合成装置である。この音声合成装置95は、ユーザーに対する入力操作の案内や、異常発生時の報知などをスピーカー95Sから音声でその都度報知する。音声合成装置95は、報知部ANを構成する一部分である(図29参照)。
前記した温度検出回路93は、少なくとも7個の温度センサーTS3~TS9に接続されている。具体的には、トッププレート15の温度や、IHコイル設置空間CKの雰囲気温度、インバーター回路基板80のヒートシンク82の温度、統合表示部30等の温度を検知するため、温度センサーTS3~TS9がある。温度検出回路93は、前記温度センサーTS3~TS9から、それぞれ温度検知情報を受け取り、それら温度検出結果をIH制御部90に送る。
前記温度センサーTS3~TS9は、赤外線センサーのような非接触型、あるいはサーミスタのような接触型の何れであっても良く、それらを単独で、又は組み合わせて使用している。
前記温度センサーTS3~TS9の内、2つの温度センサーTS5、TS6は、赤外線センサーのような非接触型センサーである。これら2つの温度センサーTS5、TS6は、図19に示しているように前記IHコイル17L、17Rの中心部の、空隙部にそれぞれ配置されており、トッププレート15方向からの赤外線信号を受信する。つまり、これによって被調理物を入れた金属製の鍋やフライパン等の被加熱物Nの底面温度を、非接触で計測できる。
前記温度センサーTS3~TS9の内、2つの温度センサーTS3、TS4は、接触型センサーとしてサーミスタを使用している。これら温度センサーTS3、TS4は、トッププレート15の下面に直接接触し、又は熱伝導性のある介在物を介してトッププレート15の下面に接触している。これにより、トッププレート15の温度を計測できる。
前記温度センサーTS3~TS9の内、1つの温度センサーTS7(図19参照)は、接触型センサーとしてサーミスタを使用しており、ホルダー50の上面に設置されている。そして統合表示部30や入力操作部40の雰囲気温度を検知する。また2つの温度センサーTS8、TS9は、サーミスタを使用したものであり、前述したようにヒートシンク82の上面に取り付けてある。
下部ユニット200側にも、下部ユニット200の内部空間温度を検出するため、少なくとも2つの温度センサーTS1、TS2を備えているが、詳細は後で説明する。
図29、30において、62は、冷却ファン駆動回路であり、前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の駆動用モータ60M、61Mの駆動用電力を制御する。つまり、冷却ファン駆動回路62による制御によって第1冷却ファン60と第2冷却ファン61との、送風能力が互いに独立して、それぞれ多段階に変更される。
図30において、63は、表示部駆動回路であり、前記統合表示部30、左側表示部31L、右側表示部31Rの動作を制御でき、必要な情報を表示させる機能がある。
表示部駆動回路63は、専用のマイクロコンピューターによって構成しても良い。またこの表示部駆動回路63の機能を発揮する制御プログラム(ソフトウエア)は、統合制御装置MCの中に組み込んでも良い。表示部駆動回路63は、前記操作基板41の上面に実装されている(図24、25参照)。
図30において、84は、地震発生時の揺れを検知する感振機器であり、所定の震度(加速度)以上を感知した場合、振動感知信号を前記統合制御装置MCに送り、統合制御装置MCではその信号を受けて地震発生と判断し、使用中の全ての加熱手段の電源を瞬時に遮断する動作を行う。
図29、30において、49は、図19にも示した無線通信部であり、前記統合制御装置MCからの指令を受けて情報を発信する。また、前記統合制御装置MCからの指令を受けて外部からの情報を取得する。例えば、総電力消費量を削減する「ピークカット信号」を受信する。
(下部ユニット200)
次に下部ユニット200について説明する。
図12~図17において、101は、下部ユニット200の本体110の外殻を構成する下部ケース(下筐体)である。この下部ケース101は、1枚の亜鉛鋼板等の金属製薄板をプレス加工して形成されるか、または複数枚の金属製薄板をスポット溶接やネジ等で接合して形成される。実施の形態1では、以下説明する通り、3枚の金属製薄板から構成されている。
101Hは、下部ケース101の後方と左右部分の3つの面(垂直面)を構成する胴部、101Uは、前記胴部101Uの底面開口部を完全に閉鎖する平板状の底板である。101Cは傾斜部であり、加熱調理器1を厨房家具2に設置する際に、厨房家具2の設置口2Aに当たらないよう、下方に行くに従って前方へ傾斜した壁面である。
101Fは、下部ケース101の前面を構成する前板であり、全体が1枚の平らな板である。この前板101Fの前面には、前記ドア114の閉鎖時に、そのドア114の後面が密着し、前板101Fとドア114の間の隙間からマイクロ波が漏洩しないようにしている。101Bは、下部ケース101の傾斜部101Cの上端に連続して垂直に立ち上がっている後壁面(後方垂直壁)である。
下部ユニット200は、2つの独立した加熱源を備えている。その内の1つはマイクロ波加熱装置120のマイクロ波加熱源189である。もう1つはオーブン加熱装置140のオーブン加熱源188である。オーブン加熱源188は、加熱室(オーブン庫)113を、その壁面の外側から加熱するものであるが、加熱室113の内部に存在して、被調理物を直接加熱するものでも良い。なお、以下の説明では、特に矛盾が起こらない限り、「マイクロ波加熱源189」とは、後述する「インバーター回路基板121」を含まないという前提で説明する。
図12、図13、図15は、マイクロ波加熱装置120の主要部分を示している。
前方側から、以下の順番で順次設置している。
最も前方側には、インバーター回路121A(図30参照)を実装したインバーター回路基板121(図14参照)を配置している。
このインバーター回路基板121の後方には、マイクロ波の発生源となるマグネトロン122、当該マグネトロン122の発振部122Aを包囲した導波管123を配置している。
さらに、導波管123の後方には、導波管123に接続されているアンテナケース124と、アンテナケースの中にあるアンテナ125とを、それぞれ配置している。
アンテナケース124の後方には、マイクロ波加熱時にアンテナ125を回転又は回動させるモータ126を配置している(図15参照)。
図13において、127は、マイクロ波加熱の出力や前記マグネトロン122に電力を供給する電源回路基板であり、前記フィルター回路54からの商用電源を受ける電源回路部120P(図示せず)と、後述するマイクロ波加熱制御部130とを、実装している。
図12、図13において、128は、第3冷却ファン(下部冷却ファン)であり、前記インバーター回路基板121を収容した箱形形状のケースA150の真下に配置されている。ケースA150は、下面全体が開放されている。つまり、底面が無い箱形形状である。
129は、第4冷却ファン(下部冷却ファン)であり、前記マグネトロン122の放熱部122Hを載置した箱形形状のケースB151の真下に配置されている。放熱部122Hには、第4冷却ファン129からの冷却風が通過するための、数枚の放熱フィンが並列状に形成されている。ケースB151は、下面全体が開放され、底面が無い箱状である。
前記ケースA150は、下部風路UHの入口端部の1つを構成する。
ケースA150には、図13と図14に示すように、前記吸気口152Fの真上の位置で前記加熱室113の側壁面から離れて上下方向に伸びている垂直部308がある。
前記マイクロ波加熱源188用のインバーター回路基板121は、前記垂直部308の中に、縦方向に収容されている。
前記第3冷却ファン128と第4冷却ファン129は、例えば、軸流型ファンである。そして回転翼の中心部にある回転軸が鉛直(垂直)方向になるように、下部ケース101の底板101Uに支持されている。
前記ケースA150と、ケースB151は、前述したように底面全体が開口しており、その開口の内側に、前記第3冷却ファン128と第4冷却ファン129が、それぞれ横たわるように配置されている。
図12において、ケースA150の内部に2列に設けた風向板199は、前記ケースA150の内側に一体又は別個に形成されたものである。この風向板199は、インバーター回路基板121と、後述する2つの連通口138A、138Bに対して、前記第3冷却ファン128からの冷却風を効率良く流すために設置してある。
図12、13において、152Fは、前方側の吸気口であり、下部ケース101の底板101Uに形成されている。この吸気口は、多数の小さな円形の貫通孔、または長方形や楕円形の貫通孔から構成されている。この吸気口152Fは、前記第3冷却ファン128用である。
図12、13において、152Bは、後方側の吸気口であり、下部ケース101の底板101Uに形成されている。この吸気口は、多数の小さな円形の貫通孔、または長方形や楕円形の貫通孔から構成されている。この吸気口152Bは、前記第4冷却ファン129用である。
図14に示した通り、前記誘導加熱源9の冷却用の外気を前記上部ユニット100の内部に導入する通気孔(第1の吸気口)164と、前記マイクロ波加熱源189の冷却用の外気を下部ユニット200の内部に導入する第2の吸気口152B、152Fは、前記加熱室113を挟んで、互いに反対側に配置されている。
言い換えると、加熱調理器1を前方側から見た場合、加熱室113を挟んで、右側には第2の吸気口152B、152Fがあり、反対に左側には通気孔(第1の吸気口)164と通気孔64がある。
図13において、153は、前記放熱部122Hの上部に設置されたダクトであり、放熱部122Hを通過した第4冷却ファン129からの冷却風RF6を、図16に示すように下流側へ案内するものである。
図12と図13において、154は、ケースCであり、電源回路基板127とマイクロ波加熱制御部130とを密封状態に収容している。このケースC154は、電気絶縁性に富むプラスチック材料から形成されている。
前記ケースC154は、後方側の蓋154Aと、前方側にある容器状又は箱形状の本体154Bと、の2者を重ね合わせて構成している。本体154Bの前面側に形成した大きな開口部を、前記蓋154Aが後方から塞いでいる。
ケースC154は、前方側にある本体154Bに、電源回路基板127と、マイクロ波加熱制御部130を取り付けた基板(図示せず)を取り付けてある。保守点検時には、この蓋154Aを開けて内部にある電源回路基板127や、マイクロ波加熱制御部130の各種点検や修理ができるようにしている。
このケースC154は、加熱室113からの熱の影響を受けないように、加熱室113の背面からできるだけ離して設置されている。また前記底板101Uからも離して設置してあり、万一、下部ケース101内部に、上部ユニット100側から水や調理液などの液体が浸入した場合でも、電気絶縁性を損なうことが無いようにしている。
図12で説明したように、上部ケース16の底壁16Sと下部ケース101の底板101Uとの対向間隔が最も大きい空間が、前記空洞104である。
前記空洞104には、マイクロ波加熱装置120の一部を構成する導波管123が、前記加熱室113の背後において左右方向に長く配置され、前記導波管123よりも後方には、前記ケースC154が、左右方向に長く配置されている。
図12で説明したように、下部ケース101の前方側に設けた金属板製の前方水平壁101Tは、下部ケース101の前板101F上端を後方に折り曲げて形成したものである。そして、下部ケース101側の支持金具198は、前記上部ケース16に固定されている。
図12と図13において、131は、マイクロ波加熱時の電波漏洩対策として設けているドア開閉検知機構である。
マイクロ波加熱装置の安全性を担保するため、ドア開閉検知機構131の搭載が法的に要求されている。この種の代表的なドア開閉検知機構131は、日本特許第4372099号公報、特開平11-214147号公報等の特許文献で知られている。
前記特許文献によれば、ドア開閉検知機構131として、ラッチスイッチ、ドアスイッチ、モニタースイッチの3種類のスイッチを内蔵させ、これらのスイッチをドアの開閉に連動して、時間差をつけて開閉検知することが提案されている。
また特開平11-214147公報では、第1インターロックスイッチと、第2インターロックスイッチとにより、インバーター回路の電源を開閉し、また、第1インターロックスイッチが短絡故障した時に、電源回路に挿入されているヒューズをOFF状態するため、モニタースイッチを設けることが提案されている。
図12と図13には、実施の形態1で採用しているドア開閉検知機構131の主要部分を示している。これら図において、132Aは、ラッチスイッチ、132Bは、ドアスイッチである。なお、前記ラッチスイッチ132Aと、ドアスイッチ132Bの何れか一方、又は双方が異常によって開放されない場合、前記インバーター回路基板121に実装されたインバーター回路121Aの電源を遮断するための、モニタースイッチ133(図示せず)も設けてある。
前記ラッチスイッチ132Aは、ドア114側に固定されて突出しているピン134で押されて、内蔵した接点が開閉される。前記ドアスイッチ132Bは、ドア114側に固定されて突出しているピン135に押され、内蔵した接点が開閉される。
図12において、136Aは、ドア114の動きをラッチスイッチ132Aに伝える連動棒であり、常にドア側へ復帰するように圧縮バネでドア方向に付勢されている。
136Bは、ドア114の動きをドアスイッチ132Bに伝える連動棒であり、常にドア側へ復帰するように圧縮バネでドア方向に付勢されている。
図12において、137は、前記ラッチスイッチ132A、ドアスイッチ132B、モニタースイッチ133(図示せず)、連動棒136A、136B等を、一括して取り付けてある支持板である。この支持板137は、下部ケース101に対して、複数個のネジによって固定されている。ドア開閉検知機構131は、このように支持板137の上に装着された各種スイッチを中心として構成されている。
前記ラッチスイッチ132Aやドアスイッチ132Bの製造過程における取付け位置にバラツキが発生した場合、各々のスイッチを動作させるタイミングが規定値から外れることが懸念させる。そこで、この実施の形態1では、前記支持板137に、後述するドア114の閉鎖検知部139(図30参照)を取り付け、この支持板137の全体を取外し可能にしている。具体的には、前記したように複数のネジで支持板137に下部ケース101を強固に固定している。製造時やアフターサービス時において、閉鎖検知部139の動作確認や調整、交換等を行える。
図12と図14において、138Aは、インバーター回路基板121を収容したケースA150の上部に形成した連通口、138Bは、ケースA150の上下中間部に形成した連通口である。
前記連通口138Aは、図14に示しているように第3冷却ファン128からの冷却風RF5の一部分を、後述する空間141に案内するものである。
前記連通口138Bは、図14に示しているように第3冷却ファン128からの冷却風RF5の一部分を、後述する空間142に案内し、後述する赤外線式温度センサー160の冷却用に利用している。
温度センサー160は、中空状のセンサーケースと、センサーケースの内部に収納されるセンサー基板と、このセンサー基板の表面に搭載される1つ又は複数個の赤外線検出素子と、この赤外線検出素子に臨んで前記センサーケースに取付け固定されるレンズと、を主な構成要素として構成させている。
温度センサー160は、加熱室113の複数個所に設けて広い範囲の温度検知ができるようにしても良く、また温度センサー160の方向を固定せず、自動的にある角度範囲で揺動させて、広い角度の温度を検知させる形態でも良い。例えば、日本の特許文献として特開2018-54250公報には、複数の温度センサーを利用することが提案されている。
図14において、161は、前記温度センサー160を臨ませた検知窓であり、前記温度センサー160の外周面との間に、冷却風が通過するような間隙を形成しても良い。実施の形態1では、数mm程度の間隙が形成されている。
図14と図15において、162は、磁器や耐熱性プラスチックで形成された調理皿である。この調理皿162は、加熱室113の前面開口113Aから出したり、入れたりできるような外形寸法に形成されている。
図14において、HVは、前記調理皿162の上面から加熱室113の天井面までの有効高さ寸法である。図15において、HXは、調理皿162の上面から加熱室113の中央に形成した凹部113Tの天井面までの最大高さ寸法である。
この実施の形態1では、前記有効高さ寸法HVは、94mm、最大高さ寸法HXは100mmである。これは1例であって、本開示はこの寸法の構成に何ら限定されたものではない。
図14において、WHは、加熱室113の内側横幅寸法である。加熱室113は、この内側横幅寸法で前方の開口113Aまで形成してあるので、被調理物やフライパン等の調理器具が挿入できるかどうかを決定する間口寸法とも言える。この内側横幅寸法WHは、310mmである。
図15において、WBは、加熱室113の奥行寸法である。前記横幅寸法WH(図14参照)と同様に、被調理物や調理皿162、フライパン等の調理器具が挿入できるかどうかを決定する寸法と言える。この奥行寸法WBは、約310mmである。
前記オーブン加熱源188は、ヒータ163を有している。
このヒータ163は、加熱室113を外部から加熱する電気輻射式のヒータであり、例えばシーズヒータである。あるいは、薄いマイカ製の支持板全体にヒータ線を巻き付けた形態の、マイカヒータである。
ヒータ163は、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの、2つから構成されている。これら2つのヒータ163A、163Bは、互いに独立して通電が制御される。
163Aは、加熱室113の天井面の上に密着又は近接して固定されている上部ヒータであり、163Bは、加熱室113の底面の下に密着又は近接して固定されている下部ヒータである。
上部ヒータ163Aは、最大火力1000W~最小火力50Wまでの範囲で、多段階の火力を選択できる。また下部ヒータも、最大火力1000W~最小火力50Wまでの範囲で、多段階の火力を選択できる。
図14において、166Rは、前記加熱室113の右側壁面との間に、空隙GP5Rを形成するように垂直に設置された右側仕切板であり、金属製薄板から形成されている。
166Lは、前記加熱室113の左側壁面との間に、空隙GP5Lを形成するように垂直に設置された左側仕切板であり、金属製薄板から形成されている。
加熱室113の左側と右側にある前記空隙GP5L、GP5Rには、断熱材(図示せず)が挿入されており、加熱室113からの熱伝導(放熱)を抑制している。
167は、前記上部ヒータ163Aの上方全体を覆う上部遮熱板であり、金属製の薄板又は耐熱性プラスチックから形成されている。
GP6は、前記上部遮熱板167と上部ヒータ163Aとの間に形成した空隙であり、大きさは数mm~10mm程度である。この空隙GP6は外部と空気の流通がないように、密閉空間になっている。上部遮熱板167の周縁部は、前記右側仕切板166R及び左側仕切板166Lとの上端縁を間に挟んだ形で、加熱室113の天井面に密着状態に固定されている。
168は、前記上部遮熱板167と上下対称形の縦断面形状を有する下部遮熱板である。この下部遮熱板は、下部ヒータ163Bの下方全体を覆っており、金属製の薄板又は耐熱性プラスチックから形成されている。
GP7は、前記下部遮熱板168と下部ヒータ163Bとの間に形成した空隙であり、大きさは数mm~10mm程度である。この空隙は外部との空気の流通をしないように、密閉空間になっている。下部遮熱板168の周縁部は、前記右側仕切板166R及び左側仕切板166Lの下端縁を間に挟んだ形で、加熱室113の底壁面に密着状態に固定されている。
169は、前記上部遮熱板167の上方全体を覆うように、その上部遮熱板167の周辺部に重ねてある上部ケースである。170は、前記下部遮熱板168の下方全体を覆うように、その下部遮熱板168の周辺部に重ねてある下部ケースである。
上部ケース169と下部ケース170は、図14に示すように、縦断面形状が上下対称形状であり、金属製薄板又は耐熱性プラスチックで形成されている。GP8は、前記上部ケース169と上部遮熱板167との間に形成した空隙であり、大きさは数mm~10mm程度である。この空隙GP8は外部との間で空気の流通がないように、密閉空間になっている。
GP9は、前記下部ケース170と下部遮熱板168との間に形成した空隙であり、大きさは数mm~10mm程度である。この空隙GP9も空気の流通がないように、密閉空間になっている。
前記空隙GP6の中には、シート又は板状の断熱材175A(図示せず)を配置している。同じく空隙GP8の中には、シート又は板状の断熱材175B(図示せず)を配置している。
前記空隙GP7の中には、シート又は板状の断熱材175C(図示せず)を配置している。同じくGP9の中には、シート又は板状の断熱材175D(図示せず)を配置している。これらの各断熱材175A~175Dは、1層構造ではなく、複数層を重ねた形態にすると、更に断熱性能が向上する。なお、各断熱材175A~17Dの平面的な大きさ(縦・横寸法)は、少なくとも上部ヒータ163と下部ヒータ163Bの、それぞれの設置範囲よりも大きい。
図14において、171は、前記上部ケース169の上方に、冷却風RF5が流れる通路172を区画形成した仕切板である。前記仕切板171後方壁面上部には、連通口173が開口しており、この連通口173に前記排気ダクト102の入口端部が接続されている。
図15において、174は、加熱室113の天井面の後部に形成した連通口であり、この連通口174に前記排気ダクト102の入口部が接続されている。102Eは、冷却風の最終出口となる終端部である。
図15に示しているように、前記排気ダクト102は、上下に2つの独立した内部通路102A、102Bを備えており、その内、上側にある内部通路102Aには、前記インバーター回路基板121を冷却したあとの冷却風RF5が流れる。
また、もう一方の内部通路102Bには、前記加熱室113内部に導入されて温度の上がった冷却風RF6が流れる。
図32で詳しく説明するが、前記排気ダクト102は、加熱室113の外部を経由している内部通路(内部経路)102Aと、加熱室113内部を経由している内部通路(内部経路)102Bが合流する部分である。
風路の開口面積を絞った冷却風RF5の排出口により、冷却風RF5の風速は大きくなる。このため、排出口付近において冷却風RF6が、前記冷却風RF5によって誘引される。このような作用により、加熱室113内部の気体が、内部通路102Bに吸引される。
これにより、2つの冷却風RF5、RF6が、ともに前記排気口20から加熱調理器1の外部へ効率良く排出される。なお、このような誘引構造を採用せず、排気ダクト102に入る前の上流段階で合流させる方式を採用しても良い。
図15において、180は、前記加熱室113の背面壁(後壁面)113Bに形成した大きな給電口、181は、この給電口180を外側から閉鎖するカバーであり、マイクロ波を透過させる耐熱性プラスチックや耐熱性ガラスから板状に形成されている。カバー181は、背面壁(後壁面)113Bの外側に固定されている。
カバー181は、背面壁(後壁面)113Bに密着している。このカバー181の背面側全体を覆うように、前記アンテナケース124が前記加熱室113の背面壁113Bに固定されている。カバー181は、図15に示しているようにアンテナケース124の前面開口部の内側に挿入されている。
図15において、123は、前記カバー181の更に背面側に接続された導波管である。前記アンテナ駆動用のモータ126は、このように導波管123の背面側に、耐熱性シール材184を介して固定されている。
126Aは、アンテナ駆動用モータ126の回動軸であり、前後方向に向けて水平に設置されている。回動軸126Aの自由端側(前方端部)には、前記アンテナ125が固定されている。なお、回動軸126Aは、プラスチックやセラミック材から形成されているが、アンテナ125側から一定の範囲だけを金属製にし、そこからアンテナ駆動用モータ126まではプラスチック、セラミック等の耐熱性と絶縁性に富む材料で形成しても良い。
図15において、185は、前記回動軸126Aを中心として、その周囲に所定の寸法で形成されている電波封印室である。この電波封印室は、いわゆるチョーク室構造になっている。また更に効果的なマイクロ波漏洩防止のために、チョーク構造物よりもアンテナ駆動用モータ126に近い側に、電波吸収体(図示せず)を配置し、前記回転軸126Aの周囲からのマイクロ波漏洩防止を図っても良い。なお、マイクロ波加熱装置におけるチョーク構造は、日本の特許文献として、例えば特開2011-174669号公報、特開2010-255978号公報、特開昭63-172828号公報(4分の1波長のチョーク室と電波吸収体の併用)等があるので、詳しい説明は省略する。
図15において、LAは、加熱室113の背面壁(後壁面)113Bを起点にして、前記アンテナ駆動用モータ126の最後尾までの寸法を示している。以後、この寸法を「突出寸法」と呼ぶ。この突出寸法LAを小さくすることが望ましいが、現実には上述したように、アンテナケース124、電波封印室185の寸法も必要であり、アンテナ駆動用モータ126の外形寸法を小さくしても、限界がある。この突出寸法LAは70mmである。
図15において、GP10は、前記アンテナ駆動モータ126の背面から下部ケース101の傾斜部101Cまでの間の空隙であり、モータ126の上端では69mm、逆に下端と下部ケース101Cとの空隙は、53mm程度である。この空隙GP10の中に、前記ケースC154を配置することは寸法上無理である。そのため、この実施の形態1では、前記ケースC154を、前記アンテナ駆動モータ126の真後ろ(背後)から右方向にずらして配置している。
これにより、マイクロ波加熱装置120を加熱室113の背後の狭い空間に内蔵させることが可能となった。
(ドア114)
次に、ドア114の内部構造について説明する。
図15において、190は、ドア114の外殻を構成する金属製又はプラスチック製のフレームであり、前方側から見ると額縁状に形成されている。192は、内枠であり、金属製板から形成されている。この内枠192の中央部には、覗き窓192Wとなる開口が形成されている。
191は、前記内枠192の前方側全体を覆うように、当該内枠192と前記フレーム190との間に外周縁部を固定されたカバーであり、加熱室113を覗けるように透明な耐熱性プラスチックやガラス等で形成してある。
193は、前記覗き窓192Wに対応する部分に、マイクロ波が透過しない寸法の、無数の小孔を形成した内側シール枠である。この内側シール枠は、全体が金属製薄板をプレス成形して形成され、外周縁部には、加熱室113側に入口(スリット)を形成したチョーク室194を形成している。
195は、金属製の薄板からなるシール板である。このシール板195の外周縁部は、図15に示すように内側シール枠193側に一連に曲がっている。前記チョーク室194は、このシール板195の外周縁部と前記内側シール枠193で囲まれた空間である。
ドア114を完全に閉じた状態では、前記シール板195の外周縁部と前記内側シール枠193の両者が、前記下部ケース101の前板101F表面に接触した状態となる。そのため、加熱室113内部に供給されたマイクロ波が、このドア114と加熱室113の前面の開口113Aから漏洩しない。
196は、前記内枠192の覗き窓192Wに対応する部分の内側に設けた透明なシール板であり、耐熱性ガラスで製造されている。197は、前記ドア114の上面に沿って、少なくともドア114の横幅と同等な横幅寸法を有する金属製の上部遮蔽板である。この上部遮蔽板197は、ドア114の上面に近接して庇状に設けてあり、かつ下部ケース101に電気的に繋がるよう金属製ネジ等の固定具で下部ケース101に固定されている。
前記ドア114は、その下部が下部ケース101にヒンジ176(図12、13参照)によって支持されているため、取っ手部115を持って手前に引けばドア114を、水平位置まで開けることができる。
このような開放の初期においてドア114と下部ケース101との重合部が、瞬間的に空隙が生じてマイクロ波の一部分が漏洩する懸念があるが、この実施の形態1では、前記上部遮蔽板197によって、そのような不要なマイクロ波の漏洩をドア114の上方で抑制できる。
図5で説明したように、厨房家具2の前下がり部2Fの高さ寸法C1が、40mm以下が推奨されていることに鑑み、図16、17において、H10は、上部ケース16の底壁面16Sからフランジ16Aの下面まで高さ寸法である。この実施の形態1では、40mmに設定されている。
上記のように、厨房家具2の前下がり部2Fの高さ寸法C1と、上部ケース16のフランジ16Aより下方の高さ寸法H10が同一(40mm)であるため、厨房家具2に設置した場合、上部ケース16は、前下がり部2Fよりも下方には突出しない。このため、この上部ケース16の下方空間が従来よりも大きなものとなり、以下説明するような、下部ケース101を設置する場合にも有利である。
図17において、201は、前記加熱室113の右側壁面の前方部に形成した導入口であり、マイクロ波が漏洩しないような口径の、多数の貫通した孔から形成されている。この導入口201を加熱室113の右側壁面の前方部に設けた理由は、ドア114の内側付近へ前記冷却風RF6の一部を供給し、ドア114の覗き窓192Wの曇りを抑制するためである。
前記導入口201には、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却した後の冷却風RF6が、空隙GP5Rによって案内される。
導入口201よりも冷却風RF6の流れで上流側には、前記温度センサー160があり、その温度センサー160の部分で、一部の冷却風RF6は、加熱室113の内部へ吹き出されるので、導入口201に至る冷却風RF6の量は、少ない。しかし、この導入口201から空気を入れている目的は、前記ドア114の内側にあるシール板196の「曇り抑制」であり、少ない風量で何ら問題はない。なお、この温度センサー160の周囲にある狭い間隙から空気を供給することを採用しなくとも良い。
(下部ユニット200の制御手段)
次に、再び図30に示すブロック図を参照しながら、下部ユニット200における各種制御手段の詳細について説明する。
図30において、マイクロ波加熱制御部130は、前記インバーター回路基板121のインバーター回路121Aや前記マグネトロン122、アンテナ駆動用モータ126、及び2つの冷却ファン128、129に供給される電力を制御し、それらの動作の開始、停止や動作条件等を制御するものである。
このマイクロ波加熱制御部130の電源回路は、前記電源回路基板55に実装されている電源回路91と別に用意されており、マイクロ波加熱装置120の専用回路である。なお、電源回路91から電源を供給しても良い。
マイクロ波加熱制御部130の電源回路は、電源回路基板127(図12参照)の上に実装されている。この電源回路基板127の上には、交流電源を直流に変換する各種電気部品(ダイオード等)が実装され、ケースC154の中に密封状態に収容されている。
マイクロ波加熱制御部130は、前記電力制御部72からの指令信号を受信した場合、その指令信号に応じて、マイクロ波加熱装置120の総電力消費量を減らすように動作し、マグネトロン122の出力を下げるような指令信号を、インバーター回路121Aへ送信する機能がある。
前記マイクロ波加熱制御部130には、マグネトロン122の放熱部122Hの温度を検出する温度センサーTS1を備えている。マイクロ波加熱調理が終わっても、マグネトロン122の放熱部122Hの温度が規定値よりも高い場合には、温度が下がるまで第4冷却ファン129の運転を継続させるための指令信号を当該第4冷却ファン129に対して発信する。なお、図30では、第3冷却ファン128と第4冷却ファン129のための、冷却ファン駆動回路は図示を省略している。
139は、ドア114の閉鎖検知部である。この閉鎖検知部139は、ラッチスイッチ132A、第2ドアスイッチ132B、モニタースイッチ133のいずれかまたは2つ以上の開閉状況を各回路に流れる電流または開閉信号によって電気的に検知するものである。つまり、前記したドア開閉検知機構131の動作に対応した検知部である。
この閉鎖検知部139を構成する回路基板は、前記支持板137に取り付けてあるので、支持板137を取り外して検査したり、設置したまま計測したりして、正常に動作するものであるかどうかの検査ができる(図12参照)。
158は、加熱室113の中に置かれた食品や調理器具等の温度を検出する非接触温度計測部(赤外線温度計測部)であり、前記温度センサー160と、この温度センサーからの計測信号を解析して温度情報に変換する回路(図示せず)等と、から構成されている。
加熱室制御部159は、前記上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bに供給される電力を制御し、それらの動作の開始、停止や動作条件(火力、すなわち発熱量)等を制御するものである。この加熱室制御部159の制御回路は、電源回路基板127(図13参照)に実装されている。
加熱室制御部159は、前記電力制御部72からの指令信号を受信した場合、その指令信号に応じて、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの総電力消費量を減らすように動作し、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163の出力を下げるような指令信号を送信する機能がある。なお、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163の出力を下げるために単位時間あたりの通電率を変化させて実質的な火力を変化させることも行う。
(誘導加熱源9の駆動回路)
次に加熱調理器1のIHコイル17L、17Rの駆動回路の構成例について説明する。説明を簡潔にするため、図33では、1つのIHコイル17Rだけを示した回路の例で説明する。
加熱調理器1では、駆動回路74により高周波電力が各IHコイル17L、17Rに供給されることで、誘導加熱動作が行われる。
前記駆動回路74は、IHコイル毎に備える。図33では、右側のIHコイル17Rの駆動回路74の構成例を示す図である。左側のIHコイル17Lでも駆動回路は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
駆動回路74は、図33に示すように、直流電源回路75、インバーター回路81R、共振コンデンサー76、入力電流検出部77aおよび出力電流検出部77bを備える。
入力電流検出部77aと出力電流検出部77bの電流検出データは、IH制御部90へ送られる。
入力電流検出部77aは、交流電源99から直流電源回路22へ入力される電流、すなわち駆動回路74へ入力される電流を検出し、検出した値すなわち入力電流値を示す電圧信号をIH制御部90へ出力する。99は、商用交流電源である。
直流電源回路75は、ダイオードブリッジ78a、リアクタ78b、平滑コンデンサー78cと、を備え、交流電源99から入力される交流電圧を直流電圧に変換して、インバーター回路81Rへ出力する。
インバーター回路81Rは、前記スイッチング素子83としてのIGBT79a、79bが直流電源回路75の出力に直列に接続された、いわゆるハーフブリッジ型のインバーターである。インバーター回路81Rでは、フライホイールダイオードとしてダイオード79c、79dがそれぞれIGBT79a、79bと並列に接続されている。
インバーター81Rは、直流電源回路75から出力される直流電力を、20kHz~80kHz程度の高周波の交流電力、いわゆる高周波電力に変換して、IHコイル17Rと共振コンデンサー76とからなる共振回路に供給する。
共振コンデンサー76を含む共振回路は、IHコイル17Rのインダクタンスおよび共振コンデンサー76の容量等に応じた共振周波数を有する。
このように構成することで、IHコイル17Rには数十A程度の高周波電流が流れ、流れる高周波電流により発生する高周波磁束によってIHコイル17Rの直上のトッププレート15上にある被加熱物Nが誘導加熱される。
IGBT79a、79bは、例えばシリコン系からなる半導体で構成されているが、炭化珪素、あるいは窒化ガリウム系材料などのワイドバンドギャップ半導体を用いた構成でも良い。
図12で説明した電力制御用スイッチング素子83は、この図33でいうIGBT79a、79bである。
このIGBTに、ワイドバンドギャップ半導体を用いることで、スイッチング素子としての通電損失を減らすことができる。またスイッチング周波数すなわち駆動周波数を高周波にしても、すなわち高速にスイッチングしても放熱が良好となる。このため、スイッチング素子(IGBT)79a、79bを取り付けたヒートシンク82の放熱フィンを小型にすることができ、駆動部の小型化および低コスト化を実現することができる。
出力電流検出部77bは、IHコイル17Rと共振コンデンサー76とからなる共振回路に接続されている。出力電流検出部77bは、例えば、IHコイル17Rに流れる電流、すなわち駆動回路74から出力される電流を検出し、検出した値に相当する電圧信号をIH制御部90に出力する。本構成ではハーフブリッジ型のインバーターで説明したが、IHコイル17Rを駆動する回路は、フルブリッジ型のインバーターでも良い。また、図33で説明した回路は、電流共振型であったが、電圧共振型を採用しても良い。
無線通信部49は、図19でも説明したが、家庭内の家電機器400の電力使用量や運転情報等を統合的に管理しているホーム・ゲートウエイ411と無線通信を行うための無線通信手段であり、無線信号を送受信することができる。
前記無線通信部49は、統合制御装置MCと通信用配線により接続されているが、配線が長いほどノイズの影響を受けやすいため、無線通信部49と統合制御装置MCは近くに配置し、無線通信部49と統合制御装置MCを接続する配線を短くすることが望ましい。
前記したノイズの影響を考えて、この実施の形態1では、無線通信部49は、入力操作部40の右端部に設置してある。具体的には、無線通信部49は操作基板41の右端部に設置してある。また、統合制御装置MCは、入力操作部40の左右中央部に設置してある(図19参照)
(冷却風路)
次に冷却風路の構成について説明する。
図12において、実施の形態1の加熱調理器1は、厨房家具2の中に設置された本体ケースHCの内部が、金属製の上部ケース16の底面16Sによって上部空間300Aと、前記仕切り壁の下方に形成された下部空間300Bと、の2つの空間に区画されている。つまり前記底面が「仕切り壁」16Sとして機能し、本体ケースHCの中を上下2つの空間に区画している。
前記上部空間300Aに収容されたIHコイル17L、17Rと、当該IHコイル用のインバーター回路基板80に冷却用空気を導く上部風路AHは、前記仕切り壁16Sを貫通している前記通気孔64を介して、前記下部ケース101の外側から外気が導入される。
一方、マイクロ波加熱装置120用の冷却用空気を導く下部風路UHは、前記下部空間300Bに形成されている。そして、前記マイクロ波加熱装置120の放熱部122Hは、前記下部風路UHに配置されている。この放熱部122Hは、下部ケース101の底面の右端部に形成した第2の吸気口152Bから導入された空気によって冷却される。また、マイクロ波加熱装置120のインバーター回路基板121は、下部ケース101の底面の右端部に形成した第2の吸気口152Fから導入された空気によって冷却される。
そして、上部風路AHの中を流れた冷却用空気と、下部風路UHを流れた冷却用空気は、途中で合流することはない。上部ユニット100内部の冷却風は、仕切り板52よりも背後側にある空隙GP1の中に排出され、排気口20から加熱調理器1の外部に放出される。
一方、下部ユニット200からの冷却風は、同じ空隙GP1の中に上下に伸びた排気ダクト102の中を経由し、最終的に前記排気口20から加熱調理器1の外部に放出される。
次に冷却風路の全体の経路を、図32を参照して説明する。
図32から明らかな通り、加熱調理器1の外部空間の空気(外気)は、2つの経路で加熱調理器1の本体ケースHC内部を通過する。
第1の経路:下部ケース101の左側面に形成した通気孔164から、上部ケース16の底面の通気孔64を経由し、第1冷却ファン60からインバーター回路基板80と、IHコイル17L、17Rを冷却し、排気口20に至る経路。図32では、これを「上部風路」AHと記載している。
第2の経路:下部ケース101の底板101Uの右端部に形成した2つの吸気口152F、152Bから外気が吸引される。そして、その外気の一方は、第3冷却ファン128を経由してインバーター回路基板121を冷却する。他方の外気は、第4冷却ファン129を経由し、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却するものである。このように第2の経路は、2つあるが、最終的には共通の排気ダクト102に入り、排気口20に至る。図32では、これを「下部風路」UHと記載している。
以上のように、この実施の形態1では、本体ケースHCの内部が、金属製の上部ケース16の底面16Sによって上部空間300Aと、前記仕切り壁の下方に形成された下部空間300Bと、の2つの空間に区画され、それぞれに、お互いに独立した風路(上部風路AHと下部風路UH)を備え、かつそれら各風路毎に専用の冷却ファン60、128、129を備えている構成である。
なお、上部ユニット100では、第2冷却ファン61もあり、前記第1冷却ファン60と協同して上部ユニット100内部の冷却を行っている。
(中央操作部の制御メニューと調理メニュー)
次に、中央操作部40Mによって統合表示部30に表示され、選択できる制御メニューについて、図34を参照しながら説明する。
前述したように、誘導加熱源9を使用する左操作部40Lと右操作部40Rで選択できる「制御メニュー」は、図38に示しているような、例えば、湯沸し、茹で、揚げ物(自動調理)等である。
しかしながら、中央操作部40Mによって選択できる制御メニューは、(後述する連携調理モードの場合を除いて)図34に示しているように11種類ある。これら11種類の制御メニューを総称して、中央操作部40Mの「制御メニュー群」という場合がある。これら制御メニュー群を実行するための命令となるものが「制御メニュープログラム」であり、前記統合制御装置MCの記憶装置MMに格納されている。
中央操作部40Mによって選択できる「制御メニュー」は、マイクロ波加熱源189又はオーブン加熱源188で加熱して得られる最終的な調理の名称や食材の名称等で分類していない。つまり、食品や調理の名称(例えば「ハンバーグ」や「天ぷら」)は、「制御メニュー」では選択できない。
1つの制御メニューで実現できる具体的な調理の数や集合体をいう場合には「調理メニュー」と呼ぶ。例えば、連携調理モードの調理メニューには「ハンバーグ」や「パエリア」がある。
中央操作部40Mで選択する「制御メニュー」とは、調理を完成させるまでの加熱の種類、方法や条件等を考えて、大きく分類したものとも言えるため、制御メニューの名称は、例えば「あたため」や「オーブン(調理)」などのように概念的、総括的である。
この中央操作部40Mによって選択される制御メニューには、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188を利用する「レンジグリル制御メニュー」又は「RG制御メニュー」と呼ぶ制御メニューがある。また、この中央操作部40Mによって選択される制御メニューには、後述する「連携調理モード」がある。
RG制御メニューと、後述する「連携調理モード」とは、基本的に異なるものである。また、RG制御メニューと後述する複合調理モードも異なるものである。これらについては、あとで詳しく説明する。
図34を参照しながら中央操作部40Mによって選択できる制御メニューについて、以下詳しく説明する。図34に示されたものは、「連携制御モード」の制御メニューではない。
図34の「左表示エリア」とは、統合表示部30の第1エリア(表示エリア)30Lを意味している。「中央表示エリア」とは、同じく第2エリア30Mのことであり、「右表示エリア」とは、同じく第3エリア30Rを意味している。
中央操作部40Mの入力キー43MCが操作されると、前記統合表示部30の第1エリア30Lには、図34の左表示エリアの「あたため」という制御メニューが必ず最初に表示される。この「あたため」というRG制御メニューがデフォルト設定してあるからである。
図34の「左表示エリア」から明らかなように、「あたため」以外には、「レンジ手動」や「葉菜下ゆで」、「RG調理」「グリル」、「オーブン」など合計11個のRG制御メニューがある。但し、図34の「左表示エリア」の最下段に記載の「中央ヒータ」は、上記上部ユニット100では対応していないので、実際には表示されない。
「RG制御メニュー」とは、マイクロ波加熱(レンジ)とオーブン(加熱室113)を使用する制御パターンである。なお、「レンジ」又は「レンジ(手動)」等の制御メニューは、マイクロ波を使用する制御パターンであるが、後で詳しく説明する。
前記「中央ヒータ」とは、上部ユニット100において、右加熱部17HRと左加熱部17HLの間に、更に別の誘導加熱部(中央の誘導加熱部)を増設した場合に対応するものであるので、厳密には、レンジでもグリルでもない。また「RG」とは、レンジグリルの略称である。ここで、「レンジ」とは、マイクロ波加熱源189を使用する加熱調理をいう。「グリル」とは、オーブン加熱源188を使用する加熱調理をいう。
図34の第1エリアには、「あたため」や「グリル」等、合計11種類が表示されるが、これら全て「RG制御メニュー」である。但し、2つ以上の加熱源を併用する「複合調理」は、「RG調理」や「RG手動」等である。「あたため」は、マイクロ波加熱源9だけを使用するので、複合調理のメニューではない。また連携調理のメニューにも該当しない。
図34の「中央表示エリア」に記載された内容は、統合表示部30の第2エリア(表示エリア)30Mに表示される内容を示している。「中央表示エリア」のデフォルト設定の内容は、その「中央表示エリア」の右の列に列挙している。
図34の「右表示エリア」に記載された内容は、統合表示部30の第3エリア(表示エリア)30Rに表示される内容を示している。「右表示エリア」のデフォルト設定の内容は、その「右表示エリア」の右の列に列挙している。空白の部分は、何も表示されないことを意味している。
以上のようなルールで、RG制御メニューのデータベースが作成されている。
このため、
(1)中央操作部40Mの入力キー43MCが操作されると、前記統合表示部30には、後述する第1特定画面30SPが表示され、連携調理モードへの移行のために参考となる案内情報30Pが表示される。
(2)中央操作部40Mの入力キー43M1が操作されると、複合調理モード(RG制御メニュー群)が選択され、第1エリア30Lには、デフォルト表示として制御メニューの1つの「あたため」、第2エリア30Mには、温度条件を示す「80℃」、第3エリア30Rには、制御条件は何も表示がされないことになっている。さらに、この実施例では、第3エリア30Rに、加熱調理に参考となる前記案内情報30Pが表示される。これらについては、後で図48等を参照しながら説明する。
RG制御メニューは、ユーザーが、入力キー43M1を操作して、1つのRG制御メニューを第1エリアの中央部に表示すると、図34に示した11種類のメニューの中から、1つのRG制御メニューに対応する「制御条件」(温度や火力、時間など)が、第2エリア30Mと第3エリア30Rに同時に表示される。
その選択されたRG制御メニューが、「RG調理」等のように「複合調理モード」に属するものであった場合には、その後、加熱動作開始を指令する入力キー43MSがユーザーによって操作されると、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188の両者による「複合調理モード」に移行し、加熱動作が開始される。
連携調理モードについては、あとで説明する。
図34に示したRG制御メニュー群の具体的な内容、制御条件、付加情報等の詳細なデータと表示プログラム等は、統合制御装置MCの記憶装置MMに格納されている。
以下、主なRG制御メニューの概要について説明する。
(1)あたため:マイクロ波加熱源189を使用して食品を加熱する「単独(加熱)制御メニュー」の1種である。食品の再加熱の場合も、この「あたため」が適する。デフォルト設定で「80℃」となっているので、食品が加熱されて80℃になった時点で自動的にマイクロ波の照射が停止する。なお、「80℃」は、目標温度であり、この温度は加熱開始前にユーザーが調節できる。
図34に示すように、0℃~90℃の範囲では5℃刻みで設定できる。冷凍食品の加熱では-10~0℃の範囲において、2℃刻みで設定可能である。なお、マイクロ波加熱出力は、500Wで固定されている。
(2)レンジ手動:マイクロ波加熱源189を使用して食品を加熱することをいうが、加熱時間を設定して行うものである。また、マイクロ波加熱出力も、500W、200W、100Wの3段階から選べる。加熱時間もデフォルト値は1分間であるが、500W出力では、10秒から15分間までの間で設定できる。
この「レンジ手動」も「単独(加熱)制御メニュー」の1種である。つまり、図25に示したRG制御メニューの中には、このようにマイクロ波加熱源189の単独制御メニューも含んでいる。
(3)葉菜下ゆで:マイクロ波加熱源189を使用して食品、特に、葉を食用とする野菜、例えば、ほうれん草、白菜などの葉菜類を茹でることに適するものである。マイクロ波加熱出力値は表示されず、第2エリアには、デフォルト表示として「標準」と表示される。非接触温度計測部(赤外線温度計測部)158が温度上昇を計測し、自動的に加熱を停止する。この「葉菜下ゆで」も「単独(加熱)制御メニュー」の1種である。
(4)根菜下ゆで:マイクロ波加熱源189を使用して食品、特に、根や地下茎等を食べるじゃが芋などの根菜類を茹でることに適するものである。マイクロ波加熱出力値は表示されず、第2エリアには、デフォルト表示として「標準」と表示される。なお、火力値は、加熱調理器1側で事前に決めているので、火力を調整する場合には、第2エリアのデフォルト表示の「標準」を、「弱め」や「強め」等に変える(選択する)必要がある。
この「葉菜下ゆで」も、「単独(加熱)制御メニュー」の1種である。
(5)肉解凍:冷凍した各種の肉類を解凍する場合に適するRG制御メニューである。
マイクロ波加熱源189を使用して食品を加熱するため、「単独(加熱)制御メニュー」の1種である。
(6)RG調理:加熱室113を使用した調理に適するものであり、マイクロ波加熱とオーブン加熱を組み合わせて加熱調理するものである。つまり、純粋な「複合調理」メニューの1種である。
マイクロ波加熱を先に行い、ある程度食品を加熱してから、上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bで加熱するパターンと、この逆の順序で加熱するパターン、及びマイクロ波加熱とヒータ加熱を同時に行うパターンの3種類がある。マイクロ波加熱時の火力値(ワット)は、表示されず、ユーザーは第2エリア30Mの表示を見て、「弱め」、「強め」等の何れか1つを選択して加熱強度を選択できる。
(7)RG再調理:加熱室113を使用して、調理済の食品を再度加熱する場合に適するものである。これも、純粋な「複合調理」メニューの1種である。マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188を併用する。
(8)RG手動:加熱室113を使用した調理に適するものであり、マイクロ波加熱とオーブン加熱を組み合わせて加熱調理するものである。なお、マイクロ波加熱を先に行い、ある程度食品を加熱してから、上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bで加熱するパターンと、この逆の順序で加熱するパターン、及びマイクロ波加熱とヒータ加熱を同時に行うパターンの3種類がある。これも、純粋な「複合調理」メニューの1種である。
(9)グリル:加熱室113を使用して、食品を加熱するものであり、加熱源としては、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの一方又は両方が使用される。前述したように加熱室113の温度管理は行わず、また食品の温度上昇を検知して加熱動作を停止するという制御も行わない。上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの火力は、加熱調理器1側の加熱室制御部159で事前に決めている。代表的な適用調理としては、焼き魚がある。因みに、上部ヒータ163Aの定格火力は、1000Wであり、下部ヒータ163Bの定格火力も1000Wである。これは、「単独(加熱)制御メニュー」の1種である。
(10)オーブン:加熱室113を使用して、食品を加熱するものであり、加熱源としては、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの一方又は両方が使用される。加熱室113の温度は、温度計測部158によって計測され、設定した目標温度になるように加熱室制御部159により通電制御が行われる。図25に示すように、デフォルト温度は180℃であるので、ユーザーは必要であれば、この目標温度を変更できる。なお、「グリル」のところで説明したように、上部ヒータ163Aの定格火力は、1000Wであり、下部ヒータ163Bの定格火力も1000Wである。そして、これら上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bに対する通電率を加熱室制御部159で制御し、それら2つのヒータ163A、163Bの発熱量を制御している。これは、「単独(加熱)制御メニュー」の1種である。
図35は、統合制御装置MCの記憶装置MMと、中央操作部40Mとの関係を示す説明図1である。図36は、同じく統合制御装置MCの記憶装置MMと、中央操作部40Mとの関係を示す説明図2である。
統合表示部30の第1エリア30Lに表示させることができる合計10個の「複合調理モード(RG制御メニュー)の中の個々のメニュー名称(例えば「あたため」、「レンジ手動」等)を示すデータは、前記記憶装置MMの第1層に記憶させてある。
統合表示部30の第2エリア30Mに表示させることができる「制御条件」(例えば「マイクロ波出力値」、「通電時間」等)を示すデータは、前記記憶装置MMの第2層に記憶させてある。
統合表示部30の第3エリア30Rに表示させることができる「制御条件」(例えば「グリル調理の加熱時間」等)を示すデータと、参考情報30Pは、前記記憶装置MMの第3層に記憶させてある。
(連携調理モード)
次に、図35と図36を参照しながら、「連携調理モード」について説明する。
図に示すように、記憶装置MMの内部には、前記入力キー43MCを操作すると表示される第1特定画面30SPのデータと、この後に前記入力キー43M1を操作すると読みだされる「連携調理モード」の制御用データと動作プログラム(以下、これらを総称して「連携動作プログラム」と呼ぶ場合がある)とが、前記RG制御メニューとは別の記憶エリアに格納されている。
ここで、「連携調理モード」のデータと前記「連携動作プログラム」とは、個々の被調理物(例えば、ハンバーグ)を実行するために使用する複数の加熱源を特定する情報、各種制御条件(火力や、標準の加熱温度など)や制御パラメータ、調理工程の情報等を含む。つまり、統合制御装置MCの各機能を実現する内部の処理回路やプロセッサーの制御手順を、マイクロコンピュータに実行させるために必要なものである。
連携調理モードの1つを特定すると、使用できる(複数の)加熱源と、それらが動作する順番とが自動的に決定される。例えば、連携制御モードで調理ができる(連携調理メニュー)の1つである「ハンバーグ」については、最初に右加熱部17HRと左加熱部17HLの何れか1つを選択する必要はない。最初に表示手段30には、前記第1特定画面30SPが表示され、その表示を見てユーザーがその後、例えば右加熱部17HRを選択すれば連携調理モードに移行できる。
事前に左加熱部17HLを使用するような内容で、第1特定画面30SPが表示される。ユーザーは、左加熱部17HLを使用せず、右加熱部17HRを使用するように事前に設定ができる。但し、そのような設定ができない場合もある。
また、調理工程1で右加熱部17HRを使用し、その次の調理工程2では加熱室113において、オーブン加熱源188で加熱する場合では、一連の調理工程の情報は、記憶装置MMに記憶させてある。
また、連携調理モードへの移行のために参考となる付加情報331として、例えば、後述する調理工程の情報、使用する加熱源の情報、制御条件(予熱完了温度等)、次の調理工程に進むためにユーザーの入力操作を促す誘導情報や指示情報等が、個々の連携調理モード毎に対応させて記憶させてある。
以下の説明では、予熱が必要な場合、設定(目標)温度までの「予熱工程」と呼び、設定温度に至った後で実際に被調理物を加熱し、調理に寄与する工程を「調理工程1」又は「調理工程2」と呼んでいる。
例えば、誘導加熱においては、予熱工程を終え、既に所望の温度まで加熱されている被加熱物Nに、ユーザーが被調理物を載せて実際に加熱を始めた時点が「調理工程」の開始時点になる。
(加熱調理器の動作)
次に、上記の構成からなる加熱調理器1の動作の概要を、図37~図44を中心に説明する。
図37は、加熱調理器1の調理開始前の制御動作の全体を説明するためのフローチャートである。図38は、加熱調理器1における誘導加熱調理時の制御動作を説明するためのフローチャートである。図39は、加熱調理器1で、誘導加熱調理中にマイクロ波加熱を行う場合の制御動作を説明するためのフローチャートである。図40は、加熱調理器1の制御動作を説明するためのフローチャートである。図41は、加熱調理器1の制御動作を説明するためのフローチャートである。図42は、加熱調理器1の制御動作を説明するためのフローチャートである。図43は、加熱調理器1の冷却ファンと、加熱調理の種類との対応関係を示す一覧表である。
図37について説明する。
電源投入から調理準備開始までの基本動作プログラムが、統合制御装置MCの内部にある記憶装置MMに格納されている。
ビルトイン型の加熱調理器1では、電源プラグ106A(図示せず)は厨房家具2の設置時から常に商用(交流)電源99に接続されているので、ユーザーは、主電源スイッチ97の操作ボタン98(図20、30参照)を押して電源を投入する(図37のステップST1)。
電源回路基板55の中の直流電源変換部92を介して所定の低い電源電圧が統合制御装置MCに供給され、統合制御装置MCは起動される。統合制御装置MC自身の制御プログラムにより自己の異常有無の診断を開始する。
そして誘導加熱源9を集中制御するIH制御部90、加熱室制御部159及びマイクロ波加熱制御部130の異常有無をチェックする。
上部ユニット100の温度検出回路93には、トッププレート15の温度、インバーター回路81L、81Rの温度、統合表示部30の近傍等の温度を検知するために、合計7個の温度センサーTS3~TS9を接続しているので、それら温度センサーの検出温度は、前記温度検出回路93に伝達される。これによって、IH制御部90は、異常の有無を判定できる(ST2)。
また、加熱室制御部159とマイクロ波加熱制御部130においても、温度センサーTS1、TS2からの検出温度を取得して異常有無を判定できる。
ステップST2で「外部に起動情報送信」とあるが、これは無線通信部49から、キッチンKTにあるホーム・ゲートウエイ411に、加熱調理器1の運転開始の予告を行うことをいう。これについては、あとで説明する。
IH制御部90には、上部ユニット100に内蔵した主要な構成部分の温度情報が集まるので、IH制御部90は、調理開始前の異常監視制御として、異常加熱判定処理を行う。例えば、温度センサーTS7が検出した温度が、統合表示部30における液晶表示画面30D等の電子素子の耐熱温度(例えば70℃)よりも高い場合、IH制御部90は異常高温と判定する。そして、統合制御装置MCに異常を報知し、運転開始できないことを表示したり、報知したりする等の処理を実行する。なお、この処理を、統合制御装置MCによって実行させても良い。
異常が発見されない場合、IH制御部90は、統合制御装置MCに信号を送信する。すると、統合表示部30が起動され、「異常がないので、調理を開始できること」旨を表示する(ST3)。なお、この初期時点での表示画面は、図45を参照して後で説明する。
これと同時に、音声合成装置95によって、統合表示部30で表示した内容と同様な内容を音声で報知する(ST3)。
ステップST3では、無線通信部49は、前記ホーム・ゲートウエイ411にアクセスし、健康管理に有益な制御メニュー、レシピ情報等の情報を、事前にユーザーが設定していた範囲で取得する。例えば、事前にこの加熱調理器1のユーザーが、情報通信端末機器418等を使ってインターネット416経由でホーム・ゲートウエイ411に送信していた情報も、この統合表示部30の起動時に取得できる。
加熱調理器1が、何らかの情報を取得した場合には、上部ユニット100の入力操作部40の近くに設けた専用の注意情報ランプ(図示せず)を点灯させてユーザーへ報知すると良い。なお、冷蔵庫401の在庫情報は、この時点では取得しない。
冷蔵401の在庫情報は、この時点では取得しない。但し、図98と図99で示すように、ホーム・ゲートウエイ411に対しては、この時点で在庫照会信号RQ1を送信する。
次に上記のように異常判定が完了したあと、統合制御装置MCは、統合表示部30と音声合成装置95によって、加熱手段の選択を促すための報知と、音声ガイドを行う(ST4)。
そして、入力キー43M1が操作されずに、個別操作部である左操作部40L又は右操作部40Rによる、個別加熱調理が選択されたかどうかを判別する(STC)。
一定の猶予時間(例えば30秒間)内に入力キー43M1の選択も、入力キー43MCの選択も行われなかった場合は、連携調理モードの選択も、複合調理の選択も行われなかったと判定する。ステップST4の直ぐ後か、又は上記猶予時間内に、ユーザーが左操作部40L又は右操作部40Rの、少なくとも何れか1つを操作した場合、上部ユニット100の加熱源、すなわちIHコイル17L、17Rだけが選択されたものと判断する(ステップST6で、「Yes」)。
一方、前記ステップSTCにおいて、入力キー43MCが操作された場合、連携調理モードの処理ステップSTR1に進む。連携調理モードの処理ステップSTR1は、図53~図98等を参照して後で詳しく説明する。
以上のようにステップST6が「Yes」であった場合には、次のステップST10に進む。以後の誘導加熱の制御ステップについては、あとで図38を参照しながら説明する。
一方、ステップST5において、下部ユニット200の加熱源の選択が行われた場合、統合制御装置MCは、下部ユニット200が備えている2つの加熱源のメニュー選択ステップST8に進む。なお、このステップST5は、中央操作部40M(入力キー43M1)を操作した場合である。
ステップST8では、図37に示しているように、3種類のメニュー(ST9A~ST9D)が前記統合表示部30に一定の順番で順次表示される。この3種類のメニューとは、前記した第1エリア30Lに表示される計10個の制御メニュー(図34参照)である。
図37のステップST8の段階で表示されるメニューは、下部ユニット200の加熱源を使用することを前提にして、以下の3種類の制御メニューが表示される。
(1)上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの少なくとも何れか一方を使用する調理のメニュー(ST9A)。図34で示した制御メニューの「グリル」や「オーブン」が該当する。
(2)上記(1)に加え、マイクロ波加熱装置120を併用する制御メニュー(ST9B)。これは、図25で示した制御メニューの「RG調理」が該当する。
(3)マイクロ波加熱装置120のみを使用する制御メニュー(ST9C)。これは、図34で示した制御メニューの「レンジ手動」や「葉菜下ゆで」等が該当する。
なお、ここでは、前記「連携調理モード」は表示されない。
なお、途中から連携調理モードの方が良いと分かった場合には、中央操作部40Mの入力キー43MCを操作すれば、図64のステップSTR1の段階まで進むことができる。つまり、連携調理モードに進めることができる。
図38は、誘導加熱のメニューを選択したステップ(ST11)以後の、統合制御装置MCの動作ステップを示したものである。
次に、誘導加熱時の制御動作について図38を参照しながら説明する。
なお、以下は右加熱部17HRを使用する例で説明する。
右側にある入力キー43R1に触れると、IH制御部90は加熱準備動作をユーザーが指令したと判定する。
IHコイル17Rの上方に被加熱物(金属製の鍋やフライパン等)Nが載置されているか否か、または被加熱物の底部面積が所定値より大きいか否かが推定され、この推定結果がIH制御部90に伝達され、標準の径の鍋に適する加熱処理にするか大径鍋に適する加熱処理にするか等が決定される(ステップMS1)。
適合鍋であるが大径鍋である場合、あるいは加熱不適合等の場合は、標準鍋とは別の処理になる。
IH制御部90からの指令を受けて、統合制御装置MCは、統合表示部30の表示画面30Dに対し、希望する調理の「IH制御メニュー」を選択するように促す表示をする(MS2)。
ユーザーが調理の「IH制御メニュー」や火力、調理時間などを右操作部40Rで選択、入力した場合(MS3)、本格的に右加熱部17HRにおいて誘導加熱動作が開始される(MS4)。
統合表示部30に表示される「IH制御メニュー」としては、「高速加熱」、「揚げ物」、「湯沸し」、「予熱」、「炊飯」、「茹で」、「湯沸し+保温」という7つである。但し、操作性を簡略化するため、前述した「機能設定」で上記7つのIH制御メニューの一部又は全部の選択をできないように設定しても良い。
ユーザーがこれら7つのIH制御メニューの中の何れか一つを選択した場合、それらIH制御メニューに対応した制御条件がIH制御部90の内蔵プログラムによって自動的に選択され、IHコイル17Rの通電量(火力)、通電時間などが設定される。IH制御メニューによってはユーザーに任意の火力や通電時間等を設定するように促す表示を表示部に行う(MS5)。なお、IH制御メニューに対応した制御条件の動作プログラムは、IH制御部90ではなく、統合制御装置MCに格納していても良い。
以上のような表示を行ってから一定の時間(例えば、15秒又は30秒)内に、ユーザーが再度入力キー43R1を操作して使用中止しない限り、その時間経過後、IH制御部90は誘導加熱回路94Rのインバーター回路81Rを駆動し、誘導加熱を開始する(MS6)。なお、入力キー43R1は、タッチする毎に入力機能が変化し、加熱動作開始と加熱動作停止を指令することができる。
「大径鍋」の場合も基本的には上記ステップMS1~MS7と同様であるが、IH制御メニューとしては、図38のステップMS3で示した7つのIH制御メニューの一部は選択できない。「高速加熱メニュー」は、左側にあるIHコイル17Lを使って、「通常鍋」又は「大径鍋」だけの場合しか加熱できない。なお小型鍋とはこの実施の形態1では鍋底面の直径が10cm未満のものをいい、誘導加熱に適さないものとして検知され、誘導加熱できない。
次に、誘導加熱とマイクロ波加熱などのように、異なる種類の加熱源を2つ以上同時に使用した場合の、統合電力制御動作について図39~40を参照しながら説明する。なお、これら図39~40で説明する例は、前記した「連携調理モード」の場合ではない。
図39に示した例は、先に上部ユニット100で誘導加熱調理を行っている期間中に、ユーザーが下部ユニット200の加熱室113を使って、マイクロ波加熱を行おうとした場合である。なお、誘導加熱調理を行っている期間中に、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの両方又は何れか一方を使用して、オーブン調理やグリル調理等を行う場合でも、この図39で説明したような基本的な(加熱調理器1全体での)総電力制御が、統合制御装置MCと電力制御部72によって行われる。
また、この場合は、複合調理モードを中央操作部40Mで選択する必要がある。
ユーザーが下部ユニット200の加熱室113を使って、マイクロ波加熱を行おうとすると、最初に主電源スイッチ97をONにし、入力操作部40の中央操作部40Mで、下部ユニット200の加熱源を選択する必要がある。
しかしながら、簡単に行う方法はそのままドア114を開けることである。つまり、この実施の形態1では、上部ユニット100が運転されている場合(主電源スイッチ97がON状態である場合)は、そのまま下部ユニット200による調理を開始できる。従って。上部ユニット100のような主電源スイッチ97を入れる操作は必要ではない。
ドア114を開けると、ドア開閉検知機構131の主要部分で説明したように、ドア114の開閉に応じて開閉されるラッチスイッチ132Aとドアスイッチ132Bがあるので、前記主電源スイッチ97を投入した段階で、前記ラッチスイッチ132Aとドアスイッチ132Bの双方又は何れか一方の開放を、統合制御装置MCが(前記ドア開閉検知機構131の働きで)検知できる。
図39において、上記したように加熱室113のドア114が開放されたことを示す信号を受信した場合(ステップS1)、統合制御装置MCは、ユーザーに対して音声ガイドを行う(ステップS2)。音声ガイドの内容は、例えば、「加熱を開始するためには、レンジ加熱を選んで、スタートボタンを押して下さい」等である。
マイクロ波加熱のデフォルト設定では、目標温度80℃であるので、ドア114を閉めて、そのまま加熱開始しても被調理物温度が80℃になったと検知された段階で自動的に停止する。なお、80℃を変更(例えば75℃)する場合には、温度条件を変更してから入力キー43MS(図21参照)を押せば良い。
ユーザーが、入力キー43M1で複合調理のメニューの中から、例えば「レンジ手動」を選択し、次に「加熱開始」という指示を中央操作部40Mの入力キー43MSで行った場合、マグネトロン122で定まっている定格消費電力値に、第3冷却ファン128、第4冷却ファン129等の消費電力も反映して事前に分かっている消費電力値を使用し、統合制御装置MCはステップS3において総電力規制値を超過するかどうかの判定を行う。
例えば、先に開始している誘導加熱調理の火力値や第1冷却ファン60、第2冷却ファン61の消費電力量もデータとして統合制御装置MCは保有しているので、上部ユニット100の消費電力とマイクロ波加熱装置120の消費電力の合計値が算定できる。なお、統合制御装置MCが、中央操作部40Mの入力キー43M1の操作があった段階で、インバーター回路81の消費電力データ等を使用して、最大消費電力量を予測しても良い。
ステップS3が「Yes」の場合には、稼働しているIHコイル17Rの出力を下げるか、マイクロ波加熱の火力の何れかを下げる必要ある。ステップS3では、誘導加熱の制御メニューと調理工程から、その時点の誘導加熱の調理の優先度を判定する。例えば、上部ユニット100で炊飯(特に、「沸騰工程」)を行っている場合には、その炊飯(沸騰工程)を優先し、上部ユニット100の加熱源の火力を削減しない。
また、上部ユニット100で「揚げ物」を行っている場合には、その揚げ物は、食材の投入等に合わせて食用油の温度が過度に低下しないように自動的に火力を増加させる制御を行っているので、このような場合も、上部ユニット100の加熱源の火力を削減しない。
ステップS5で、誘導加熱が優先すると判定された場合、マイクロ波加熱の電力消費量を減らすため、マイクロ波定格出力が仮に500W(消費電力が900W)であった場合、消費電力を一時的に下げて、例えば出力300Wにする。そして、このような制限を行うことをユーザーに報知する。報知は、統合表示部30と音声合成装置95によって行う(S6)。
そして、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱制御部130に指令信号を出し、マイクロ波加熱を低火力で開始する(S7)。
加熱室113の中に置かれた食品や調理器具等の温度を検出する非接触温度計測部(赤外線温度計測部)158を有しているので、食品が加熱されて、目標温度に至ったかどうかを、マイクロ波加熱制御部130は監視している(S8)。
目標温度に到達しない場合には、上部ユニット100の誘導加熱動作が終了したかどうかの判定をする(S9)。当該誘導加熱動作が終了しない限り、目標温度に至るまでは上記ステップS8、S9が繰り返し行われる。
目標温度に至った場合には、マイクロ波加熱制御部130から統合制御装置MCに信号を出る。すると次のステップS12に進み、マイクロ波加熱が終了した旨を報知する。
一方、上部ユニット100の誘導加熱が終了した場合、ステップS10に進み、マイクロ波加熱制御部130に対して指令を出し、初期にユーザーが意図した設定火力に復帰させてマイクロ波加熱を継続させる。そして、被調理物の温度の監視を継続させる(S11)。
そして、目標温度に至った場合には、マイクロ波加熱制御部130から統合制御装置MCは信号受け、ステップS12に進み、マイクロ波加熱が終了した旨を報知する。
図39に示した例は、マイクロ波加熱調理と誘導加熱調理の2者の間の電力優先度は、誘導加熱調理で実行している制御メニュー(例えば、「揚げ物」)と調理の工程(例えば、炊飯の「沸騰工程」)から、その時点で誘導加熱との優先度を判定するという前提であった。
従って、マイクロ波加熱調理と誘導加熱調理の2者の間の電力優先度を、常に誘導加熱側に設定しておいた場合には、マイクロ波加熱の開始という指示を中央操作部40Mの入力キー43MSで行う前に、例えば、統合表示部30において警告メッセージが表示され、さらに、音声合成装置95からも警報メッセージが出る。また、その後マイクロ波加熱を開始しても、上記した例のように火力値が強制的に下げられるケースがあり得る。
加熱調理器1全体の中での、誘導加熱源9と、オーブン加熱源188及びマイクロ波加熱源189の電力優先度は、前述した「機能設定」の中で設定しておくことができ、一度設定すれば、主電源スイッチ97を切っても、統合制御装置MCに設定条件が記憶され、次の加熱調理以降にも引き継がれる。
この図39に示した例では、被加熱物の温度を監視し、目標温度になった場合に、マイクロ波加熱を終了させていた。しかし、マイクロ波の照射時間を計測し、設定した時間が経過したときに調理を終了させる制御方法もあるので、次に図40について説明する。
図40は、マイクロ波の照射時間で調理を終了させる制御方法を採用している場合の例である。
ステップS6までは図39と同じなので説明は省略する。
マイクロ波加熱制御部130は、ステップ7でマイクロ波加熱を開始する場合、マグネトロン122の出力を、ある値まで下げた場合の加熱時間の補正(延長)を算出する。そして、ステップS8では、その延長後の時間を「設定時間1」と決めて(S8)、ステップ9、ステップ8を繰り返す。
その過程で、上部ユニット100の誘導加熱が終了した場合、加熱開始(ステップS7)からの経過時間も考慮し、再度運転所要時間(設定時間2)を計算し直す。
そして、設定時間2を経過した場合、マイクロ波加熱を終了し、これを報知する(S12)。なお、この設定時間2が経過するまでの間、非接触温度計測部(赤外線温度計測部)158による温度監視を併用しても良い。
(統合制御装置と総電力量制御)
次に図41と図42について説明する。
図41と図42は、加熱調理器1の制御動作を説明するためのフローチャートである。この2つの図に示した例は、最初に上部ユニット100で誘導加熱調理を行っている期間中に、ユーザーが下部ユニット200の加熱室113を使って、マイクロ波加熱を行おうとした場合である。この場合でも、図39で説明したような基本的な(加熱調理器1全体での)総電力量制御が、統合制御装置MCと電力制御部72によって行われる。
図41と図42では、図39、図40とは異なり、統合制御装置MCとマイクロ波加熱装置120、IHコイル17L、17Rやインバーター回路81等からなる誘導加熱装置と、の3者の間の信号の授受も示している。
図41と図42において、L1~L10は、各動作信号や指令信号等の発生タイミングを示している。上部ユニット100で、主電源スイッチ97を入れると、起動信号が統合制御装置MCに送信される(L1)。
その後、入力操作部40においてIHコイル17L、17Rの火力や制御メニュー等(図38のステップMS2、MS3参照)を決定すると、その内容を示す情報が統合制御装置MC経由に送信される(L2)。つまり、誘導加熱時の最大火力や運転時間等の条件を示す情報を、統合制御装置MCからIH制御部90が受ける。そして入力操作部40から誘導加熱開始指令があれば、IH制御部90は、誘導加熱回路94L、94Rによって加熱動作を開始させる。
このようにして誘導加熱調理が開始された場合で、マイクロ波加熱も開始されるケースについて説明する。なお、誘導加熱は、左側のIHコイル17Lの最大火力3200Wで開始されたものと仮定する。
ユーザーがドア114を開けると、図39で説明したようにラッチスイッチ132Aとドアスイッチ132Bの双方又は何れか一方が開放するので、これを監視しているドア開閉検知機構131(閉鎖検知部139)から、ドア114の開放を示す信号が統合制御装置MCに送信される(L3)。
ユーザーが、中央操作部40Mで火力を入力した場合には、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱制御部130に運転開始の指令信号を出す。そして次のステップS3に進む。
又は、ユーザーが単に「加熱開始」という指示を中央操作部40Mで行った場合、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱制御部130に運転開始の指令信号を出す。
マイクロ波加熱制御部130側で何の異常もなければ、統合制御装置MCに対して、マイクロ波加熱制御部130から調理開始の「予告信号」が発信される(L4)。例えば、マイクロ波出力500Wの場合では、マイクロ波加熱装置全体の定格消費電力が1000Wである場合には、この図41のように、1000Wを使用する情報を含んだ「予告信号」になる。
次に統合制御装置MCからの情報を受けて電力制御部72は、マグネトロン122で定まっている定格消費電力値に、第3冷却ファン128、第4冷却ファン129等の消費電力も反映して事前に分かっている消費電力値を使用して、マイクロ波加熱と誘導加熱を同時に行った場合の、消費電力の合計値を求め、この合計値が総電力量規制値を超過するかどうかの判定を行う(図39、図40のステップS3と同じ)。そして結果を、統合制御装置MCへ送信する。
なお、別の方法として、下部ユニット200(のマイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188)の総電力量の上限値を決め(例えば、2000W)、下部ユニット200と上部ユニット100(誘導加熱源9)を同時に使用した場合に、総電力量規制値を超過するかどうかの判定を行うことでも良い。
ステップS3が「Yes」の場合には、稼働しているIHコイル17Rの出力を下げるか、マイクロ波加熱の火力の何れかを下げる必要ある。次のステップS4では、統合制御装置MCは、誘導加熱の制御メニューと加熱工程から、その時の誘導加熱の調理の優先度を判定する。
この図41の例では、マイクロ波加熱が優先すると設定されている場合であるから、マイクロ波加熱の火力を削減しない。
ステップS5で、マイクロ波加熱が優先すると判定された場合、誘導加熱の電力消費量を減らすため、IH制御部90に対して、IHコイル17Rの目標火力を下げる制御を指令し、消費電力を一時的に下げる。このような制限を行うことをユーザーに報知する。報知動作は、統合表示部30と音声合成装置95によって行う。
そして、IH制御部90は、誘導加熱を低い火力に変更するようにインバーター回路81Rに指令する(L5)。
インバーター回路81R側での電力削減処理が終わると、IH制御部90は、入力電流検出部77aと出力電流検出部77bの電流値から、電力削減されたことを判別する。そして電力削減完了した旨を統合制御装置MCへ送信する(L6)。この送信を受けて、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱装置120に対して加熱動作開始の許可信号を送信する(L7)。
インバーター回路121Aには、上部ユニット100のインバーター回路81Rで使用している入力電流検出部77aや出力電流検出部77bのような、電流検出部(図示せず)がある。
そのため、マイクロ波加熱が終了した場合、インバーター回路121Aの電流検出値から、マイクロ波加熱制御部130は加熱動作終了したことを判別し、加熱動作を統合制御装置MCに特定の信号で通知する(L8)。また、マイクロ波加熱は、タイマー設定によってある時間だけ行われる場合もあり、その場合は、その時間経過をマイクロ波加熱制御部130が検知して、加熱動作終了したことを通知する(L8)。
統合制御装置MCはマイクロ波加熱が終了したあと、ユーザーが最初に希望した設定火力に復帰させるようにIH制御部90に対し、指令信号を出す(L9)。そして火力を最初の目標レベルまで上げて誘導加熱を継続させる(S10)
そして、設定した調理時間や目標温度に至った場合には、IH制御部90は、誘導加熱を終了させる。そして運転終了した旨を統合制御装置MCに報知する(L10)。
(誘導加熱調理の基本動作と冷却動作)
次に、本実施の形態1に係る加熱調理器1において、誘導加熱を行う場合の、各部分の基本動作について説明する。
入力操作部40において、誘導加熱調理の開始が指令されると、IH制御部90は、指定された加熱部に対応する誘導加熱回路94L、94Rに対して駆動指令を出し、IHコイル17L、17Rのインバーター回路81L、81Rを駆動する。
冷却ファン駆動回路62に対してIH制御部90から運転指令信号が出される。
インバーター回路81L、81Rの駆動開始と同時、又は少し遅れたタイミングで、前記第1冷却ファン60と、第2冷却ファン61の運転を開始する。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の送風能力は固定したものでなくとも良い。例えば、ヒートシンク82の温度センサーTS8と、統合表示部30の近傍の温度を検知する温度センサーTSの温度に応じて、弱運転から強運転の間で自動的に送風能力を変更しても良い。
一般的に冷却ファンを、弱運転から強運転に変更すると、ファンの風切り音が大きくなるため、ノイズとなる懸念がある。そこで、2つの温度センサーTS7、TS8による検出温度と、冷却ファン60、61の運転強度を、事前の送風試験等のデータから、対応表(データテーブル)にして決定しておき、この対応表をIH制御部90の記憶装置90Rに記憶させておく。そしてそのデータテーブルに従ってIH制御部90が、随時第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の運転条件を、変更するようにしても良い。
なお、冷却ファン60、61の運転強度を決める対応表(データテーブル)は、IH制御部90の記憶装置90Rではなく、統合制御装置MCに格納していても良い。
第1冷却ファン60が運転されると、第1冷却ファン60の真下の位置にある通気孔64から空気が吸引される。吹出口60Aから図24に太い矢印で示すように冷却風RF1が第1風路F1に押し込まれる。
第2冷却ファン61が運転されると、第2冷却ファン61の真下の位置にある通気孔64から空気が吸引される。吹出口61Aから図24に太い矢印で示すように冷却風RF2が第2風路F2に押し込まれる。
ここで、この実施の形態1の特徴の1つについて説明する。特に、インバーター回路基板80に対する冷却風の供給について、図24、図25、図27及び図28を参照しながら説明する。
第1冷却ファン60は、扁平な回転翼60Tが反時計回り方向RD1に回転する。すると、ファンケース60Cの内部に吸い込まれた外気は、図27に示すように旋回しながら吹出口60Aまで進み、吹出口60Aからインバーター基板80方向に吹き出される。
吹出口60Aから吹き出された直後の冷却風60FLの風速分布について説明する。
吹出口60Aから吹き出された直後の冷却風60FLの風速は、吹出口60Aの前後方向全域において均等ではない。ファンケース60C内部の最も外周側を旋回して来た冷却風が最も速度が大きく、内側に行くに従って速度は小さい。この様子を図27では3本の実線の矢印によって、模式的に示している。
図27に示しているように、吹出口60Aから吹き出された直後の冷却風60FLは、前記吹出線FL1方向に進むが、第1冷却ファン60の回転翼60Fの回転方向RD1と冷却風60FL自身の速度差により、前記ヒートシンク82側に向かうに従って図27に示しているように、後方側に少しずつ向きを変える冷却風となる。
吹出口60Aから吹き出された直後の冷却風60FLの主成分は、前後2列になっているヒートシンク82の中心部に位置している仕切壁11の後面(背面)側に集中する。そして仕切壁11の後面で前方へ進むことを規制されながら右方向に進む。図27に、破線の矢印で示したものが、放熱フィン82FNの周囲を流れる冷却風RF1の流れである。
ヒートシンク82の前後と上方をトンネル状に囲むように、カバー70が設置されているので、吹出口60Aから吹き出された直後の冷却風60FLの主成分は、周囲に拡散するのではなく、仕切壁11より後方側にあるヒートシンク82の放熱フィン82FNの狭い空間に押し込まれる形となる。
なお、カバー70の左端部を通過したところから、前記第1風路F1が始まっているため、第1風路F1の入口F1に、吹出口60Aから吹き出された直後の冷却風60FLの主要部分が導入され、そのまま右側の出口FOまで冷却風RF1として直線的に運ばれる。
但し、吹出口60Aとカバー70の左端面との間は直接接続されておらず、空隙GP14や前方切り欠き部70Aがあるため、吹出口60Aから吹き出された直後の冷却風60FLの一部分は、第1風路F1の入口FIに至る前に後方に向きを変える。そして相対的に圧力の低い部分に流れる。そのため、後部の排気口板53Lの方向に流れる冷却風も発生する。
図25、図27及び図28を参照しながら、第2冷却ファン61からの冷却風の流れについて説明する。
扁平な回転翼61Tが反時計回り方向RD2に回転する。すると、ファンケース61Cの内部に吸い込まれた外気は、図27に示すように旋回しながら吹出口61A方向に進む。そして、吹出口61Aからインバーター基板80方向に吹き出される。
吹出口61Aから吹き出された直後の冷却風61FLの風速は、吹出口61Aの前後方向全域において均等ではない。ファンケース61C内部の最も外周側を旋回して来た冷却風が最も速度が大きく、内側に行くに従って速度は小さい。この様子を図27では3本の実線の矢印で示している。
図27に示しているように、吹出口61Aから吹き出された直後の冷却風61FLは、前記吹出線FL2方向に進むが、第1冷却ファン61の回転翼61Fの回転方向RD2と冷却風61FL自身の速度差により、前記ヒートシンク82側に向かうに従って図27に示しているように、後方側に少しずつ向きを変える冷却風となる。
吹出口61Aから吹き出された直後の冷却風61FLの主成分は、前後2列になっているヒートシンク82の中心部に位置している仕切壁11の前面(正面)側に集中する。そして仕切壁11の前面で前方へ進むことを規制されながら右方向に進む。図27に、破線の矢印で示したものが、放熱フィン82FNの周囲を流れる冷却風RF2の流れである。
ヒートシンク82の前後と上方を、少し間隙を保ってトンネル状に囲むように、カバー70が設置されている。
そのため、吹出口61Aから吹き出された直後の冷却風61FLの主成分は、周囲に拡散するのではなく、仕切壁11より前方側にあるヒートシンク82の放熱フィン82FNの狭い空間に押し込まれる形となる。
なお、カバー70の左端部を通過したところから、前記第1風路F1が始まっているため、第1風路F1の入口FIに、吹出口61Aから吹き出された直後の冷却風61FLの主要部分が導入され、そのまま右側の出口FOまで冷却風RF2として直線的に運ばれる。
但し、吹出口61Aとカバー70の左端面との間は直接接続されておらず、空隙(図示せず)や前方切り欠き部70Aがあるため、吹出口61Aから吹き出された直後の冷却風61FLの一部分は、第1風路F1の入口FIに至る前に前方にも漏れる。そして相対的に圧力の低い部分に流れる。そのため、前方の入力操作部40の真下の空間方向に分岐した冷却風として流れ、冷却風RF2Aとなる(図25参照)。
第1冷却ファン60の真下の位置にある通気孔64と、第2冷却ファン60の真下の位置にある通気孔64とは、上部ケース16の底面において隣接して個々に設けているが、多数の小孔群を設けて、その小孔群を共用しても良い。
インバーター回路基板80の上面には、ダイオード79c(図33参照)や、その他電気部品が実装されているが、それらは前記冷却風RF1、RF2により冷却される。
1つのIHコイル17Lには、2つのIGBT79a、79b(電力制御用スイッチング素子83)を使用している。また、もう1つのIHコイル17Lにも、同様に電力制御用スイッチング素子83を使用している。
それら2つの電力制御用スイッチング素子83は、誘導加熱動作時に発熱するが、前記冷却風RF1、RF2によって連続的に冷却される。
前記冷却風RF2Aは、入力操作部40に配置された入力操作を受ける各種スイッチ、液晶表示画面、表示部駆動回路63等の部品を冷却しながら、右側方向に進む。
図24に矢印で示すように、冷却風RF1は、カバー70の出口FOを出た段階で、上方に方向を変えるものがあるが、前方側から合流する冷却風RF2の勢いもあるため、冷却風RF3のようにカバー70の上を左側に反転して進行するものと、冷却風RF4に示すようにフィルター回路基板54の方向に進行するものに大きく分かれる。
冷却風RF3は、右側のIHコイル17Rの下方を流れて、その後左側のIHコイル17Lの真下まで流れる。この過程においてそれら2つのIHコイル17R、17Lを冷却する。一般にこの種のIHコイルは、誘導加熱動作時に250℃~300℃付近まで温度が上昇する。そこで、上記のように2つの冷却風RF1、RF2を合わせた冷却風RF3、RF4で冷却する。
図24、図25で説明したように、仕切板14よりも右側に進んだ冷却風RF4Rは、前記フィルター回路基板54を冷却しながら後方に進行し、排気窓52Bから排出される。なお、53Rは、排気板であり、多数の貫通孔53R1を形成している。
IHコイル17L、17Rを冷却した冷却風RF3も、最終的な排気口となる排気窓52Aの方向に向きを変えて進み、排気板53Lに多数設けた貫通孔53L1を通過し、排気窓52Aから排出される。
これによって上部ケース16内部を流れる冷却風RF3、RF4は、排気口20に到達する。そして排気カバー19から室内へ放出される。
前述したように、IHコイル17L、17Rやインバーター回路基板80等の部品群は、上部ユニット100の内部(IHコイル設置空間CK)において冷却すべき部品群である。これら部品群を冷却するための空間は、前記排気窓52A、52Bよりも手前の位置である。言い換えると、この排気窓52A、52Bよりも下流では、排気口20まで連通する空隙GP1が存在するが、この空隙GP1内部には、上記したような冷却すべき部品群は存在しないので、上部ユニット100の冷却空間とはなっていない。
(マイクロ波加熱調理時の基本動作)
次に、本実施の形態1に係る加熱調理器1において、マイクロ波加熱を行った場合の、各部分の基本動作について説明する。
前記主電源スイッチ97をONにした場合、上部ユニット100において実際に誘導加熱調理を実行していなくても、そのままマイクロ波調理を開始できる。しかし、主電源スイッチ97を一旦OFFにした場合には、マイクロ波加熱調理を開始するためには、最初に主電源スイッチ97を入れる必要がある。
安全上、前記主電源スイッチ97は、マイクロ波加熱、オーブン(加熱室113)加熱及び誘導加熱の何れかを使用が終了した最後のタイミングから、一定時間(例えば、30分)後に自動的にリセットされて開放される。または、トッププレート15や加熱室113等の温度が全て規定値以下に下がった場合に、主電源スイッチ97は、自動的に開放される。このような安全対策を採用している。
次に、ドア114を開けて、食品等の被調理物を加熱室113に入れ、ドア114を占めた後で、入力操作部40の中央操作部40Mにおいて、入力キー43MS(図20参照)によってマイクロ波加熱調理の開始が指令されると、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱制御部130に対して駆動指令を出し、第3冷却ファン128、第4冷却ファン129の運転を開始させる。
マイクロ波加熱制御部130は、マグネトロン122のインバーター回路121Aを駆動して、発振部122Aからマイクロ波を放射させる。なお、ここでいうマイクロ波とは、2450MH±50MHzの電波のことである。
発生したマイクロ波は、導波管123からアンテナケース124の中に導かれる。アンテナ125の駆動用モータ126は、マイクロ波が発振されたタイミングで運転開始しているので、アンテナケース124の中に導入されたマイクロ波は、回転するアンテナ125と、回転軸126Aの作用により、加熱室113の内部に均等に伝搬させることができる。なお、この種のアンテナと回転軸126Aの作用は、例えば日本特許第4836965号及び特許第5674914号によって詳細に説明されているので、詳しい説明は省略する。
第3冷却ファン128が運転されると、下部ケース101の底板101Uに形成した吸気口F152Fから空気がケースA150の内部に吸引され、冷却風RF5となる。そして冷却風RF5は、最初にインバーター回路基板121を冷却し、当該回路基板に実装している各種電気部品を冷却する。
冷却風RF5は、次にケースA150の上下2個所に設けた連通口B138Bと連通口A138Aの中を通過し、連通口B138Bを通過した冷却風RF5は、温度センサー160の背面に当る。
温度センサー160は、右側仕切板166Aの取付孔の中に設置してある。温度センサー160の外殻ケースと取付孔の口縁との間には、数mm以下の微小な間隙が存在する。この間隙を、前記冷却風RF5が通過して、温度センサー160の検知窓161から加熱室113内部へ吹き出される。
一方、インバーター回路基板121を冷却した冷却風RF5の大部分は、連通口A138Aの方から通路172へ案内される。つまり、加熱室113の上方を覆っている上部ケース169と、仕切板171との間に形成された通路172へ案内される。この通路は、加熱室113の上方にある上部ヒータ163Aが300℃を超えるような高温になっても、その高熱を上部ユニット100側へ伝わらないようにする効果がある。
連通口A138Aから連通口173の位置を平面的に見ると、通路172を斜め後方に横切った位置に連通口173がある。つまり、最も遠い位置に連通口173がある。
このため、通路172の全体の空気は連通口173に案内され、連通口173を通過して後方に水平に伸びる排気ダクト102の中に導入される(図15参照)。
冷却風RF5は、排気ダクト102を出た段階で、下側から上昇してくる冷却風RF6と合流して、排気口20から室内へ放出される。
次に、第4冷却ファン129による冷却風RF6の流れについて説明する。
第4冷却ファン129が運転されると、図12と図13に示したように、下部ケース101の底板101Uに形成した吸気口B152Bから空気がケースA151の内部に吸引され、冷却風RF6となる。そして冷却風RF6は、最初にマグネトロン122の放熱部122Hを冷却し、当該放熱部122Hを通過してダクト153の中に至る。
冷却風RF6は、次にダクト153から加熱室113の右側に隣接している空隙GP5Rに入り、前方側へ進む。そして図17に示したように導入口201から加熱室113の中に導入される。
前記導入口201は、加熱室113の開口113Aに近い位置にあるため、冷却風RF6の一部は、ドア114の内側にも到達し、シール板196の加熱室113側に生ずる曇りを解消させる。
加熱室113の中に導入された冷却風RF6は、加熱室113の内部で食品等の被加熱物から発生する水蒸気や煙等を排出する目的がある。具体的には、冷却風RF6は、図15に示しているように加熱室113の前部から後方に移動し、最終的には後部の天井部に形成された連通口174に至る。
冷却風RF6は、連通口174から後方に水平に伸びる排気ダクト102の中に導入される。そして冷却風RF6は、排気ダクト102を出た段階で、冷却風RF5の上昇気流に誘引されるように合流して、排気口20から室内へ放出される。
冷却風RF5と冷却風RF6の最初の風量が同等であった場合でも、この実施の形態1のような経路の違いによって、冷却風RF5の方がダクト102から放出される際、風速が早い。そのため、下方から放出された冷却風RF6を誘引する作用がある。
冷却風RF5、RF6を排気ダクト102から強制的に放出するため、排気ダクト102の途中に排気ファンを設けても良い。この実施の形態1では、そのような排気ファンを省略しているので、コスト的に安価で実現でき、また上部ユニット100内部への部品配置を考える上で有利である。
(オーブン加熱調理時の基本動作)
次に、本実施の形態1に係る加熱調理器1において、オーブン加熱装置140の基本動作について説明する。
前記主電源スイッチ97をONにした場合、統合制御装置MCは、何らかの調理が開始されるものと推定して予備起動する。このため、上部ユニット100において実際に誘導加熱調理やマイクロ波加熱調理を実行していなくても、そのままオーブン加熱調理を開始できる。しかし、主電源スイッチ97を一旦OFFにした場合には、オーブン加熱調理を開始するためには、最初に主電源スイッチ97を入れる必要がある。
次に、ドア114を開けて、食品等の被調理物を加熱室113に入れ、その後入力操作部40の中央操作部40Mにおいて、加熱室113を使用した調理の制御メニューを選択する。例えば、魚や肉を焼き上げる調理の場合には、加熱時間や火力を設定する。但し、自動的に焼き上げる制御メニューを選択した場合には、火力は加熱室制御部159によって自動で設定される。なお、この制御メニューを選択することについては、この後の図48~図52で説明する。
加熱室制御部159は、統合制御装置MCからの指令信号を受けて、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの通電の有無、通電の時間帯、通電パターン(間欠加熱)、火力等を制御する。
温度センサーTS2は、加熱室113の中の温度を赤外線信号で検知し、検知温度データを前記加熱室制御部159に送信する。加熱室制御部159は、目標温度と検出された温度との差を見て、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの双方、又は何れか一方の通電を制御する(フィードバック制御)。温度センサーTS2は、「第2の温度センサー」と呼ぶ場合がある。
また、タイマー調理の制御方法が中央操作部40Mで入力された場合、設定時間だけ上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの双方、又は何れか一方の通電が行われる。つまり、加熱室制御部159は、温度センサーTS2の検知温度データに従って、通電時間を制限しない。
ドア114を閉めた後で、入力操作部40の中央操作部40M(入力キー43MS)において、オーブン(加熱室113)加熱調理の開始が指令されると、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱制御部130に対して駆動指令を出し、第3冷却ファン128と第4冷却ファン129の運転を開始する。なお、加熱室制御部159から直接第3冷却ファン128と第4冷却ファン129に駆動指令信号を出すようにしても良い。
第3冷却ファン128が運転されると、下部ケース101の底板101Uに形成した吸気口F152Fから空気がケースA150の内部に吸引される。しかし、マイクロ波加熱調理の場合と異なり、インバーター回路基板121の発熱はない。そのため冷却風RF5は、インバーター回路121基板を冷却することなく、連通口B138Bと連通口A138Aの中に、それぞれ入る。
そして、連通口A138Aの中を通過した冷却風RF5は、温度センサー160の外殻ケースと取付孔の口縁との間の間隙から検知窓161を経て、加熱室113内部へ吹き出される。
連通口A138Aを通過した冷却風RF5は、通路172へ案内される。そして、上部ケース169を冷却しながら連通口173に至り、その後は排気ダクト102の中に導入される(図15参照)。
一方、第4冷却ファン129による冷却風RF6は、マグネトロン122の放熱部122Hを通過し、ダクト153の中に至る。しかし、マグネトロン122は駆動されていないので、発熱していない。そのため、冷却風RF6は殆ど温度上昇せずに空隙GP5Rに入る(図16、17参照)。
そして冷却風RF6は、図17に示したように導入口201から加熱室113の中に導入される。そのため、ドア114の内側部分に冷却風RF6が到達する。
加熱室113の中においた食品等の被調理物は、上部ヒータ163A又は下部ヒータ163Bの輻射熱により水蒸気や油煙等を発生する場合がある。そのような水蒸気、油煙等は、図15に示しているように加熱室113の前部から後方に移動する冷却風RF6によって連通口174まで運ばれる。
その後、冷却風RF6は、連通口174から後方に水平に伸びる排気ダクト102の中に導入される。そして、冷却風RF6は排気ダクト102を出た段階で、上方へ上昇していく冷却風RF5に誘引されながら、排気口20を通過して室内へ放出される(図15参照)。
以上説明した実施の形態1では、主電源スイッチ97をONにしたあと、統合制御装置MCが、ある段階まで加熱調理器1の全体の状況を制御し、その後、仮に左操作部40L又は右操作部40Rが操作された場合には、以後の誘導加熱制御をIH制御部90に委ねていた。しかしながら、統合制御装置MCが制御する範囲を、IH制御部90との間で変更しても良い。
また、同様に統合制御装置MCが制御する範囲を、加熱室制御部159やマイクロ波加熱制御部130との間で変更しても良い。
例えば、誘導加熱、マイクロ波加熱又はオーブン(加熱室)加熱の何れかの制御メニューの選択がされた以後は、IH制御部90、加熱室制御部159又はマイクロ波加熱制御部130の何れかで基本的に加熱に関する制御動作をすることでも良い。
その場合、入力操作部40にて新たな入力が行われた場合(加熱停止を含む)には、一旦は統合制御装置MCにて制御するが、入力が行われない場合には、そのままIH制御部90、加熱室制御部159又はマイクロ波加熱制御部130の何れかで調理を実行させることで良い。
(IH制御部90による揚げ物調理時の制御)
具体的な例について、図44を参照して以下説明する。
図44は、加熱調理器1において、誘導加熱源9を使用した単独加熱調理の1種である揚げ物調理(自動)を行った場合の、IH制御部90の動作を説明したフローチャートである。
左操作部40L又は右操作部40Rを操作して誘導加熱調理の制御メニューで、「揚げ物(自動調理)」が選択された場合、被加熱物(金属製の鍋)Nの中に入れた食用油の温度は、温度検出回路93によって監視され、自動的にIHコイル17L、17Rの火力は制御される。
揚げ物調理(自動)の制御メニューをユーザーが選択すると、IH制御部90は、図44に示すように、予熱工程、揚げ物調理工程、火力アップ工程を順次実行する。また前記統合表示部30の表示画面30Dには、必要な情報、参考情報(例えば、予熱に要する予想時間など)を示す情報が文字や図形等で現れる。また電力制御部72によって電力が制限(抑制)されない優先調理である旨も、表示される。
このため、この揚げ物調理中には、マイクロ波加熱やオーブン加熱の使用があっても、電力が優先的に確保されることを、ユーザーは認識できる。
予熱工程では、ユーザーが設定した目標の油温度が180℃である場合、予熱工程では所定の火力値(最大1500W)で、インバーター回路81R(又は81L)が駆動開始され、急速に油の温度は室温(例えば20℃)から目標温度T1の180℃まで上昇する。
この温度上昇は、前記した温度検出回路93によってリアルタイムで監視されているので、目標温度T1(第1の温度)の180℃になったことが温度検出回路93によって検出されると、IH制御部90は、誘導加熱量、つまりインバーター出力を調節して、目標温度をそのまま維持しようとする(このような温度検出情報に基づいて、目標温度に近づけようと高周波火力を自動的に調節する制御動作を以下、「温度フィードバック制御」という)。
その後、統合制御装置MCへ表示指令を出し、音声合成装置95を介してユーザーに「油の温度が適温になりました。具材を投入してください」というような音声ガイドを行う。
ユーザーが具材、例えば冷凍されていたコロッケを食用油の中に入れると、この時点から調理工程1が始まる。
その食用油は冷たい具材(コロッケ)によってその投入時点から急速に冷やされるので、図44に示すように温度が急降下する。しかし、温度検出回路93はこのような温度降下の動きを監視しているので、直ちにインバーター回路81R(81L)の火力を所定の火力1500W又は1800Wに上げて駆動するので、油の温度は再び上昇する(温度フィードバック制御)。このようにしてして再び目標温度T1に至った段階で直ちに(または所定時間経過したら)揚げ物工程から火力アップ工程に移行する。
火力アップ工程では、前記目標温度T1よりも高い第2の温度T2の225℃と、これより更に高い上限温度(第3の温度)T3の230℃間に油の温度が維持されるように制御装置90はインバーター回路81R(81L)を制御する。
図44に示すように火力値は900W程度で間欠駆動される。
第1の温度T1になった以降の工程を「揚げ物仕上げ工程」と呼び、揚げ物をカラッと仕上げるために重要な工程である。このような火力アップ工程で十分な火力を投入して調理しないと、揚げ物がうまくできないことになる。なお、揚げ物工程は所定の時間内に制限されていないので、ユーザーが入力キー44R(又は入力キー45L)を押下すれば、揚げ物調理は全て終了する。
図44に示すように(自動)揚げ物調理の制御メニューにおいて、前記揚げ物調理工程から火力アップ工程までを「優先制御メニューの実行時間帯」と定義しており、この実行時間帯には、他の加熱源の開始や運転条件変更によって、電力の削減が行われないようにしている。つまり、この誘導加熱のIH制御部90は、実行中の制御メニューが、前記「優先制御メニューの実行時間帯」にあるかどうかを常に把握し、もしその実行時間帯にある場合には、その旨を外部に報知する機能を有している。
以上の説明で明らかなように、特定の加熱工程に入った場合には、その都度統合制御装置MCがIH制御部90に対して制御信号を発することなく、加熱工程の進捗は、全てそのIH制御部90の制御に委ねている。
後で詳しく述べる「連携調理モード」では、このような「予熱工程」を含む制御動作を行った場合、被調理物を実際に加熱する「揚げ物調理工程」以降が「調理工程」になり、予熱工程は調理工程(調理工程1、調理工程2など)に含まない。
(統合表示部30の表示)
次に、統合表示部30と、中央操作部40M、右操作部40R及び左操作部40Lの各種入力キーとの関係について図45~図51を参照して説明する。
図45は、統合表示部30の表示内容の変化を示す説明図である。図46は、誘導加熱調理の開始の前後における左操作部40Lと左側表示部31Lの平面図である。図47は、複合調理モードにおける統合表示部30と左側表示部31Lの表示内容の変化を示す説明図である。図48は、複合調理モードにおける統合表示部30の、表示内容の変化を示す説明図1である。図49は、複合調理モードにおける、統合表示部30の表示内容の変化を示す説明図2である。図50は、複合調理モードにおける、統合表示部30の表示内容の変化を示す説明図3である。図51は、複合調理モードにおける、統合表示部30の表示内容の変化を示す説明図4である。
図45について説明する。主電源スイッチ97をOFFにしている状態では、統合表示部30は起動されていないので、何も情報を表示していない。
主電源スイッチ97をONにした状態では、統合制御装置MCは、前述したように異常有無等の自己診断を行ったあとで、図45の表示画面1を統合表示部30で表示させる。
図45の表示画面1において、30Aは、電源が入っていることを報知した表示文である。30Bは、インターネット経由で専用のレシピ掲載サイトに誘導するための二次元情報(二次元コード)である。30Cは、その二次元コードの意味を説明した文章である。この二次元情報30Cと、前記表示文30Aは、「待機時共通情報」30Nの1種である。
図45の表示画面1が表示されたあと、自動的に表示画面2A又は2Bが表示される場合がある。表示画面2Aにおいて、「突沸注意」は、注意表示の1つである。この「突沸」とは、例えばカレーやシチューのような粘性のある被調理物(液体)を加熱している場合、その被調理物の内部が沸点以上の過熱状態になっていて、突発的に激しい沸騰を起こす現象をいう。熱せられた液体から蒸気が噴き出すことに伴い、熱い液滴が飛散して危険な場合がある。突沸が発生するタイミング、原因は、外部からの異物の混入又は衝撃であると言われている。そのため、被調理物を入れた金属鍋等をトッププレート15の上に置いて誘導加熱する場合、その被調理物をかき混ぜる際の注意喚起をしている。この注意喚起で表示している情報は、「待機時共通情報」30Nの1種である。
図45に示している表示画面1、表示画面2A及び表示画面2Bの3つの表示画面は、共通画面30Zと呼ぶ場合がある。なお、この3つ以外の形態を共通画面30Zに含めても良い。
表示画面2Bにおいて、30Eは、加熱室113の内部が高温度になっていて、不用意に接触しないように警告した注意表示である。加熱室113でオーブン調理を実施したあとで、まだ加熱室113が十分冷え切っていないことを統合制御装置MCが検知した場合、この表示画面2の状態に自動的に切り替わる。なお、表示画面2Aと2Bは、同時に表示できないが、数秒間隔で交互に表示することにより、突沸と高温表示の両方について注意喚起するようにしても良い。また、音声合成装置95によって、表示画面2Aと2Bの注意喚起の内容を音声でも並行して行っても良い。
図45の表示画面1~表示画面2A、2Bによって明らかなように、これら表示は、表示画面30Dの全体を利用して行っている。つまり、前述した第1エリア30L~第3エリア30Rの何れかで部分的に表示するのではなく、できるだけ広い表示面積を確保するため、第1エリア30L~第3エリア30Rの3つを識別できないように一体化表示をして、ユーザーには統合表示部30の全体で表示しているように見せている。
前記表示画面1~表示画面2A、2Bは、図37の動作ステップでいうと、ST3の段階である。
この表示画面1~表示画面2A、2Bの表示時点から一定時間、例えば10秒経過すると、加熱源(加熱手段)の選択を促す表示内容に変化する(図37の動作ステップST4の段階に相当)。
そこで、次に誘導加熱調理する場合について説明する。
図46は、左加熱源17HLのための左側表示部31Lと左操作部40Lを、平面的に見た図である。左加熱部17HLによる調理を選択するための入力キー43L1を押さない前は、図46(A)に示した状態である。
入力キー43L1を押すと、統合制御装置MCは、左加熱源17HLをユーザーが選択したことを検知する。そして、統合制御装置MCは、図46(B)に示しているように、個別発光部27L3を発光させ、操作入力を受け付けたことを表示する。
タイマー調理を選択する入力キー43L4も入力待ちの状況であるため、個別発光部27L1を点滅させる。また、制御メニューの選択も入力待ちの状況であるため、入力キー44Lの真後ろにある個別発光部27L2を点滅させる。図46(B)で、星印の図形は、発光表示部27が点灯したこと又は点滅していることを示すものである。
誘導加熱調理時の火力段階を示す火力表示部67Lは、デフォルト火力が「3」に設定してあれば、火力3を示すまで火力表示部67Lの発光部を左側から連続して発光させ(又は青色を赤色に変更させ)、ユーザーに火力の大きさを表示する。
ユーザーがデフォルト設定の火力ではない火力に変更する場合、入力キー43L2又は43L3を押せば、1回押す毎に1段階火力が小さくなり、または大きくなり、それに応じて火力表示部67Lの発光部(又は赤色発光部)の範囲が左側から右に拡大し、又は左側へ縮小して、火力の調節状態をユーザーに表示する。
次に図47について説明する。
図47は、加熱調理器1の左操作部40Lと左側表示部31Lの動作説明図である。
図47において、左側に描いた(A)~(C)の図は、左操作部40Lと左側表示部31Lの模式図である。操作開始前の状態を示したものは、図47(A)である。
図46で説明したように、入力キー43L1を操作すると、図47(B)に示しているように、発光表示部27L3が発光する。
図47(B)の状態では、発光表示部27L4も点灯しており、入力キー43L2と43L3の双方とも入力機能は有効であることが分かる。そこで、この左側の入力キー43L2を2回押すと火力が下がる。なお、火力の増減は、直ぐ後方にある火力表示部67Lの発光状態で分かる。
誘導加熱源9を使用した「単独(加熱)調理モード」を行う場合について説明する。
左操作部40Lの入力キー43L2を1回押すと、火力レベル1の下まで指定されたことになり、統合制御装置MCでは、「保温」の制御モードを指定したと判断し、統合表示部30の表示画面30Dには、保温表示の「第3特定画面」30STが表示される。
更に、第3特定画面30STが表示されている状態で、入力キー44Lを1回押すと、制御メニュー群の中から1つの制御メニューとして「揚げ物」が選択されて、揚げ物対応の「第3特定画面」30STが表示される。
揚げ物対応の「第3特定画面30ST」は、デフォルト温度が180℃に設定されているので、「揚げ物 180℃」という文字を表示しても良い。
入力キー44Lを更に1回を押すと、予熱対応の「第3特定画面30ST」が表示される。
予熱のメニューの利用方法や、玉子焼きなどにお薦めの制御モードである等の情報を、表示しても良い。
図47の表示画面3Aから分かるように、第1エリア30Lに「鍋等の容器の模式図」280を表示し、第2エリア30Mと第3エリア30Rは結合されて、横長の広い表示エリアになっている。また、その第2エリア30Mと第3エリア30Rの結合されたスペースに、「保温(左IH)」という文字を表示し、保温の温度は約80℃であることを表示している。そして、スープなどにお薦めの制御メニューであることを説明文30Fで示している。なお、この表示画面3Aの段階では、左側表示部31Lには何も表示されない。しかし、図47に示すように保温の温度を「80℃」のように表示しても良い。
次に、図47(B)の状態で、入力キー44Lを押すと、押す度に、「IH制御メニュー群」の中から1つの制御メニューが選択されて、表示画面3Bのように表示される。表示画面3Bの例では「揚げ物」が選択されたことを示している。この図47(B)の状態で、一定時間経過すると、左加熱部17HLの制御メニューは「揚げ物」で確定し、IHコイル17Lの駆動が開始される。なお、IH制御メニュー群には、図38で説明したように、「揚げ物」の他に、「茹で」や「湯沸かし」等がある。
表示画面3Bのケースでは、デフォルト温度は180℃に設定されているので、左側表示部31Lには、図47に示すように「揚げ物 180℃」という文字が表示される。
この「180℃」という温度は、食用油をIHコイル17Lで加熱して、180℃近傍に維持するということであり、その180℃に到達した際には、音声合成装置95によって音声で報知され、それに加えて、この統合表示部30によって「予熱温度に到達したこと」が表示され、ユーザーに対して食材の投入等を促す効果を期待している。
仮に、この揚げ物(自動)の制御メニューで、予熱(目標)温度を、変更したい場合には、入力キー43L2によって温度を下げたり、入力キー43L3によって温度を上げたりすることができる。
表示画面30Dは、表示画面3Bから分かるように、第2エリア30Mと第3エリア30Rは結合されて、横長の広い表示エリアになっており、その第2エリア30Mと第3エリア30Rの結合されたスペースに、予熱の開始と、予熱動作中は、加熱調理器1の傍から離れないことの注意文30Gを表示している。
次に、図47(B)の状態で、入力キー44Lを押して、別の制御メニューとして「適温」を選択すると、表示画面3Cのように表示される。この表示画面3Cに示しているように、「適温」という制御メニューは、鍋等を設定温度(デフォルト温度は、180℃)に温めることと、玉子焼きなどにお薦めの制御モードである。このような意味が理解できるように推奨文30Hが表示される。なお、この表示画面3Cの段階では、左側表示部31Lには「予熱 180℃」という文字情報が表示される。
なお、前記専用操作部(右操作部40R、左操作部40L)に隣接している個別表示部(左側表示部31L、右側表示部31R)において、前記「第3特定画面」30STを表示させても良い。
次に図48について説明する。
図48は、加熱調理器1の中央操作部40Mを操作した場合の、統合表示部30の表示動作を説明した模式図である。前記「複合調理モード」を実行する場面を示している。
表示画面4STは、統合制御装置MCによって定められたデフォルト表示画面であるから、「あたため」が第1エリア30Lの前後方向の中央に表示される。
図21で説明したように、入力キー43M1を操作すると、図48の表示画面4STが統合表示部30に表示される。
表示画面4STから明らかなように、第1エリア30Lの前後方向の中央には、「あたため」という制御メニューの名称を示す特定文30Jが大きく表示される。
第1エリア30Lの中央に表示された「あたため」の特定文30Jの後方BKには、「オーブン」という文字が、また逆に前方FR側には「レンジ手動」という文字が、少し小さく表示される。
そして、ユーザーが制御メニューを選択する場合、次の候補は「オーブン」と「レンジ手動」であることが分かる。仮にこの段階で、第1エリア31Lに対応した位置にある(左側)入力キー43M1を1回押すと、「あたため」という文字(特定文30J)は「レンジ手動」に変わる。
また、第1エリア31Lに対応した位置にある(右側)入力キー43M1を1回押すと、「あたため」という文字は「オーブン」に変わる。
図48において、デフォルト表示の画面である表示画面4STには、第2エリア30Mに「80℃」という目標温度情報30Tが表示される。この目標温度でマイクロ波加熱した場合には、食品の温度が80℃であると、温度センサーTS1が80℃を検知した際に、マイクロ波加熱は自動的に停止される。
この第2エリア30Mの目標温度(80℃)を上げて85℃にするためには、第2エリア30Mの直前位置にある、右側の入力キー43M2を1回操作する。逆に温度を下げて75℃にしたい場合には、左側の入力キー43M2を1回操作すれば良い。
第2エリア30Mの目標温度(80℃)の数字の上には、山型の記号30UPが表示されている。また、同じく80℃の数字の下には、下方に尖った(V字形状の)記号30DNが表示されている。
この記号30UPと、中央操作部40Mの(右側の)入力キー43M2の形状を類似させているので、温度や火力等を上げる場合には、右側の入力キー43M2を操作すれば良いことがユーザーには理解しやすい。
逆に、30DNと中央操作部40Mの(左側の)入力キー43M2の形状を類似させているので、温度や火力等を下げる場合には、左側の入力キー43M2を操作すれば良いことがユーザーには理解しやすい。この対応ルールは、第3エリア30Rの表示と左右1対の入力キー43M3との関係でも適用される。このように、ユーザーの入力操作時における操作ミス(入力キーの間違い)を避ける工夫を採用している。
図48において、30Kは、加熱源がマイクロ波加熱源189であることを文字で表示した加熱源表示部である。なお、30Pは、前記したように、おかず等の温めにお薦めの制御メニューであることを示した参考情報である。なお、この参考情報の内容は、別の付加情報30Qであっても良く、2種類以上の情報を表示画面30Dで、数秒間ずつ交互に表示しても良い。
次に図49について説明する。
図49は、加熱調理器1の中央操作部40Mを操作し、複合調理モードを実施する場合の、統合表示部30の表示動作を説明した別の模式図である。
この図49に示された表示画面5ST、50UPN、50DN1等が、全て前記第2特定画面30SCの1種である。
制御メニューを「レンジ手動」にした場合は、表示画面5STが、統合制御装置MCによって定められたデフォルト表示画面である。
つまり、連携調理モードの前記第2特定画面30SCでは、1つの制御メニュー(この場合、「レンジ手動」と、制御条件のデフォルト値(この場合、マイクロ波出力500W、1分間加熱)が、セットになって表示される。
図21と図48で説明したように、入力キー43M1を操作すると、図48の表示画面4STが、前記第2特定画面30SCの1種として前記統合表示部30に表示される。その次に、中央操作部40Mの左側の入力キー43M1を何回か操作した場合、特定文30Jは、「レンジ手動」に変化し、図49の表示画面5STが統合表示部30に表示される。
表示画面5STから明らかなように、第1エリア30Lの前後方向の中央には「レンジ手動」という制御メニューの特定文30Jが大きく表示される。
表示画面5STにおいて、第2エリア30Mには「500W」というマイクロ波出力値(ワット値)情報30Xが表示される。また、隣接した第3エリア30Rには、「1分00秒」というマイクロ波加熱時間情報30MYが表示される。この表示画面5STから分かるように、複合調理モードの中に含まれているが、この「レンジ手動」では、最初からマイクロ波加熱源189だけを使用することが分かっているので、図48に示したような(マイクロ波加熱源189であることを文字で表示した)加熱源表示部30Kは、表示しないで良い。
この表示画面5STの第2エリア30Mのマイクロ波出力値(ワット値)500Wを、1段階下げて200Wにしたい場合には、左側の入力キー43M2を1回操作すれば良い。
同様に、第2エリア30Rの加熱時間を長くして1分10秒にするためには、第3エリア30Mの直前位置にある、右側の入力キー43M3を1回操作する。逆に加熱時間を1段階短くして50秒にしたい場合には、左側の入力キー43M3を1回操作すれば良い。
図49の表示画面5STにおいて、第2エリア30Mの出力(500W)の数字の上には、前記山型の記号30UPが表示されていない。また、同じく500Wの数字の下には、下方に尖った(V字形状の)記号30DNが表示されている。
図49における表示画面5DNNは、最小火力(100W)と最短時間(10秒間)を示したものであり、第1エリア30Lの表示内容は省略している。
この表示画面5DNNの最小火力(100W)の上側だけに、前記記号30UPが表示されており、この火力より大きな火力しか選択できないことを示している。また、同じく、最短時間(10秒)の数字の上側だけに記号30UPが表示されており、記号30DNは表示されていない。つまり、ここでも記号30UPによって、これより短い時間の選択は出来ないことを示している。
次に図50について説明する。
図50は、複合調理モードの調理を実施する場合の、統合表示部30の表示動作を説明した更に別の模式図である。つまり、前記第2特定画面30SCの表示内容が、ユーザーの入力操作に応じて、随時変化する状況を示している。
図49で示した表示画面の状態で、第1エリア30Lに対応した左側の入力キー43M1を1回操作すると、図50に示したように、「レンジ手動」から「葉菜下ゆで」に変更できる。
図50の、表示画面6STがデフォルト表示画面である。第1エリア30Lには制御メニューの特定文(名称)30Jである「葉菜下ゆで」が大きく表示される。
第2エリア30Mには、マイクロ波出力レベルを示す情報30Vが「標準」と表示され、このまま調理スタートすると500Wで加熱されることになる。なお、この「標準」という場合のマイクロ波出力値は、500Wの場合もあるが、これ以外であっても良い。つまり、マイクロ波加熱源9を使用する場合の、火力レベルの「標準」とは、個々の複合調理モードで異なり、常に同じ出力(例えば、500W)ではない。
図50の第1エリア30Lには、図48で説明したように、加熱源がマイクロ波加熱源189であることを文字で表示した加熱源表示部30Kを表示する。なお、30Pは、前記したように、おかず等の温めにお薦めの制御モードであることを示した推奨文(参考情報)である。なお、この推奨文の内容は、別の付加情報30Qであっても良く、2種類以上の情報を表示画面30Dで、数秒間ずつ交互に表示しても良い。
次に図51について説明する。
図51は、複合調理モードの調理を実施する場合の、統合表示部30の表示動作を説明した更に別の模式図である。前記第2特定画面30SCの表示内容が、ユーザーの入力操作に応じて、随時変化する状況を示している。
図51は、「RG調理」というレンジグリル(RG)制御メニューを選択する場面を示したものである。
前記「RG調理」とは、前述したが、加熱室113を使用して、マイクロ波加熱とオーブン加熱を組み合わせて加熱調理する「レンジグリル調理」のことである。マイクロ波加熱を先に行い、ある程度食品を加熱してから、上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bで加熱するパターンと、この逆の順序で加熱するパターン、及びマイクロ波加熱とヒータ加熱を同時に行うパターンの3種類がある。なお、ここでいう「同時」とは、加熱開始と終了の両方のタイミングが全く同じであるという意味ではなく、加熱動作の時間帯が一部分でも重なれば良い。
図51に示した表示画面7ST1では、最初にマイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188の両方を同時に駆動して1分間加熱し、その後、マイクロ波加熱を止めてオーブン加熱源188だけで5分間加熱するという加熱制御(時間制御)パターンであることが分かる。
「レンジグリル」の用語を使用せず、短縮形の「RG」を使用しているのは、第1の表示エリア30Lに表示できる文字数を最小限にするためものである。より多くの文字数を表示させようとすると、第1エリア30Lの専有面積が増えてしまうからである。
この図51に示す表示の例では、第2エリア30Mには加熱時間の情報30Sが分単位で表示され、またその後のグリル調理の加熱時間情報30GYも、分単位で表示される(但し、短い時間になった場合は、10秒単位で表示)。
これら第1エリア30Lに示された加熱時間情報30Sと、第3エリア30Rの加熱時間情報30GYは、中央操作部40Mの入力キー43M2、43M3によって、適宜変更できる。
図51において、表示画面7ST2は、最初にマイクロ波加熱源189単独で、1分間加熱(マイクロ波出力500W)し、その後、オーブン加熱源188だけで5分間加熱するという加熱制御(時間制御)パターンの場合である。この表示画面7ST2は、デフォルト表示画面である。なお、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱縁188の両方を最初1分間だけ駆動する表示画面7ST1も、デフォルト表示画面である。ユーザーは、デフォルト表示画面を事前に指定しておくことができる(前述した入力キー43KPによる「機能設定」)。
次に図52について説明する。
図52は、図50に示した表示画面6STの表示内容と、中央操作部40Mとの動作を説明した平面模式図である。
図52に示しているように、主電源スイッチ97を投入した段階では、表示部駆動回路63によって個々の個別発光部27M1~27M4は、統一された発光色で発光する。
その後、さらには、複合調理モードの選択用入力キー43M1を操作すると、第1エリア30Lには、図50に示した表示画面6STがデフォルトで表示される。
この表示段階では、第1エリア30Lと第2エリア30Mに対応している合計4つの入力キー43M1~43M2は、何れも入力を受け付けることができる。そのため、それら4つの入力キー43M1~43M2に対応する2つの個別発光部27M3、27M4は、発光を継続する。
一方、図52に示しているように表示画面6STや表示画面6UP1、6DN1等が表示された後は、スタート用の入力キー43MSと対応している個別発光部27M6は、連続発光から、点線の円で示しているように、点滅に変化する。そして、入力キー43MSの存在を光で強調する。ユーザーがこの入力キー43MSにタッチすれば、複合調理モードに移行する。誘導加熱源9以外の他の加熱手段の場合には、直ちに加熱動作が開始される。しかし、誘導加熱源9の場合には、複合調理モードに移行した後、入力キー43R1や43L1を1回押す必要がある。なお、連携調理モードでも、誘導加熱源9を使用する調理工程に移行した以降は、同じである。
このように、この実施の形態1では、入力キー43M1と入力キー43MSの、それぞれの入力機能が有効である場合に第1の発光形態(連続発光)で個々の発光部27M1~27M6を発光させる発光手段(表示部駆動回路63)を備えている。
前記統合制御部MCは、前記参考情報30Pを表示させた場合、前記スタート選択部(入力キー43MS)に対応している発光部27M6だけを、第2の発光形態(点滅)で発光させる構成である。
上記構成であるため、(複合調理の)加熱動作開始の指令を待っている状態が、前記発光部27M6の点滅によってユーザーは容易に識別できる。なお、発光部27M6は、マイクロ波加熱とオーブン加熱の動作を停止させることができるタッチ式入力キー43MTにも対応しているので、加熱動作が始まった後でも、発光部27M6が発光している場合には、入力キー43MTも入力機能は有効であり、タッチ操作すれば、加熱停止の指令を発信できる。
なお、主電源スイッチ97を投入した段階では、表示部駆動回路63によって、スタート選択部となる入力キー43MSに対応した発光部27M6だけを、最初から点滅させるようにしても良い。また、その他の発光部27M1~27M4は、連続発光をさせ、スタート選択部の入力キー43MSとは異なる形態で発光させても良い。
(連携調理モードの加熱調理時の基本動作)
次に、連携調理モードの基本動作について、図53~図60を参照しながら説明する。
図53は、連携調理時における、統合表示部の表示動作と中央操作部との関係を示す平面図である。図54は、連携調理モード実施時と単独調理モード実施時の、それぞれの入力操作と工程を示す説明図である。図55は、連携調理モードの調理工程と単独調理モードとの関係を示す説明図1である。図56は、連携調理モードの調理工程と単独調理モードとの関係を示す説明図2である。
図53に示しているように、中央操作部40Mの入力キー43MCを押すと、図53に示すような第1特定画面30SPが表示される。
次に、入力キー43M1にタッチすると、統合表示部30(第1特定画面30SP)の第1エリア30Lには、複数の連携調理モードの対象となる被調理物を特定するための、更に別の識別情報(図形マーク、調理物の名称を含む)330が表示される。なお、この図53では、統合表示部30に表示されている連携調理モードで実行できる「被調理物」の数は3つである。すなわち、ハンバーグ、グラタン及びローストビーフの3つであり、このように被調理物の数を「連携調理メニューの数」と呼ぶ。
この実施の形態1では、連携調理メニューの数は全部で8個ある。詳しくは図71~図73で説明する。
図53において、330が識別情報であり、この実施の形態1では、被調理物(例えば、ハンバーグ)の名称を示す情報である。
識別情報は330は、8つある。言い換えると、連携調理メニューの数も8つあることになる。331は、被調理物(例えば、ハンバーグ)を加熱調理することに関してユーザーに提示された付加情報である。
この図53では、付加情報331として「スタートボタンを押すと、左IHの加熱を開始します」と表示している。この意味は、中央操作部40Mの入力キー43MSを押せば、左加熱部17HLで誘導加熱が開始できることである。但し、この実施の形態1では、入力キー43MSの後に、左操作部40Lで入力キー43L1を押す必要がある。
図53に示している通り、第1特定画面30SPに示された識別情報330の上には、別の調理物(例えば、グラタン)の名称を示す識別情報330Aが表示されている。
また、前記識別情報330の下には、別の調理物(例えば、ローストビーフ)の名称を示す識別情報330Bが表示されている。なお、以下の説明では、識別情報を総称する場合には、符号は330を用いる。
図48~図52で説明した「複合調理モード」の表示の切り替えと同様に、前記した2つの入力キー43M1を操作することにより、連携調理モードで調理できる被調理物(例えば、ハンバーグ)の名称を示す識別情報330は、順次上方向又は下方向に移動する形で表示が変化する。
この実施の形態1では、連携調理モードにおける被調理物の種類が、前述したように全部で8個ある。そのため、例えば左側の入力キー43M1を8回操作すれば、全ての被調理物の識別情報330が一巡する。逆に右側の入力キー43M1を8回操作すれば、全ての被調理物の識別情報330が一巡する。これについては、図71~図73において詳しく説明する。
連携調理メニューに関するデフォルト表示は、図53に示しているように「ハンバーグ」である。
この被調理物(ハンバーグ)の名称を示す識別情報330が(第1エリア30Lの)前後方向の中央に表示される。この状態で、前記入力キー43M1を操作すれば、別の被調理物の識別情報を中央に表示させることができる(図65のステップSTR4に相当)。
本実施の形態1でいう「第1特定画面」30SPとは、この図53に示した統合表示部30の表示画面をいう。この第1特定画面SPの表示内容は、ユーザーによる中央操作部40Mの入力や、加熱調理器1の運転状態によって随時変化するため、常に同じとは限らない。
第1特定画面30SPに表示される主な情報は、図53に示している通りである。
(1)第1エリア30Lには、識別情報330が表示される。この識別情報330は、連携調理モードの加熱工程が進んでも、原則として常に表示される。但し、図82の表示画面10Cに示すように、一部の例外はある。
(2)第2エリア30Mと第3エリア30Rを合体した横長のエリアの前半部分には、使用される誘導加熱源9の加熱部に対応した1対の加熱部特定部333R、333Lが表示される。この加熱部特定部333R、333Lの何れか一方を、前記入力キー43M2を操作して選択できる。選択された方の加熱部特定部333R、333Lは、例えば図53に示すように白抜文字のように色彩や明るさが変化し、選択された加熱部を示す。
(3)第2エリア30Mと第3エリア30Rを合体した横長の、前記エリアの後半部分には、横長に帯状の工程表示部332を表示する。この工程表示部332は、連携調理モードの移行前から当該連携調理モードの全ての調理工程が終了するまでの期間中、継続して表示される。また、調理工程の進捗に合わせて、現在の調理工程が分かるように、白黒反転表示や色彩を変更する等の方法で、随時内容が更新される。これについては後で詳しく説明する。
(4)調理に参考となる付加情報331が、前記加熱部特定部333R、333Lの右隣に表示されるが、例外的には、統合表示部30の全体に及ぶような広い範囲で表示される場合もある(図89(C)参照)。
目的の被調理物(例えば、ハンバーグ)の識別情報330を、第1エリア30Lの中央に表示させた状態で、入力キー43MSを押すと、その被調理物を加熱調理するための、連携調理モードの実行指令が、統合制御装置MCに対して行われたことになる(図65のステップSTR7に相当)。
なお、誘導加熱源9を調理工程1で使用する調理(例えば、ハンバーグ)では、左加熱部17HLと右加熱部17HRの何れか一方を、連携調理モードに応じて推奨しても良い。例えば、左加熱部17HLの使用を推奨するために、ハンバーグの場合の第1特定画面30SPのデフォルト表示画面は、図53に示す通りであり、左加熱部17HLが推奨されている。
前記付加情報331は、調理工程の進行に応じて変化し、また被調理物によっても変化する。この図53に示した例は、誘導加熱調理を開始するためには入力キー43MSを操作する必要があることを説明しているものである。
次に図54について説明する。
図37に示した加熱調理器の制御動作を説明するためのフローチャートにおいて、ステップST4以降の動作が、図54に示されている。
加熱手段の選択を促す表示・報知のステップ(ST4)以降、右操作部40Rによって右加熱部17HRによる加熱調理を選択することができる(SP1)。また、左操作部40Lによって左加熱部17HLによる加熱調理も選択することができる(SP2)。
更に、そのステップ(ST4)以降では、中央操作部40Mによってマイクロ波加熱源189による加熱調理を選択できる(SS1)。また、中央操作部40Mによってオーブン加熱源188によって加熱室113を利用した加熱調理も選択できる(SS2)。
図54では、中央操作部40Mによって複合調理も選択できるが、説明を簡略化するため、図示を省略している。
前記ステップ(ST4)以降では、中央操作部40Mの入力キー43MCを操作することにより、連携調理を選択できる(SR1)。
前述した通り、「連携調理」とは、1つの被調理物(食品、肉、野菜等を含む。以下、同じ)に対する加熱場所が異なり、かつ独立して加熱動作条件(以下、「制御条件」という)が設定可能な2種類の加熱源を使用して行う調理をいう。
この実施の形態1における「連携調理」は、1つの被調理物に対する加熱場所が、トッププレート15の上と、加熱室113の内部である。そして独立して加熱動作条件が設定可能な2種類の加熱源とは、誘導加熱源9と、マイクロ波加熱源189である。なお、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188とは、同じ時間帯又は時間差をもって加熱動作する。
この実施の形態1における「連携調理」は、「第1の連携調理」と「第2の連携調理」の2つから構成されている。
「第1の連携調理」とは、最初に誘導加熱源9によって左加熱部17HLで加熱調理し、その後、加熱室113の内部でマイクロ波による加熱調理を行うものである。この「第1の連携調理」の調理工程、すなわち調理のシーケンスを規定するものが「第1の連携調理モード」(SR2A)である。
一方、「第2の連携調理」とは、最初に加熱室113の内部でマイクロ波加熱、又はオーブン加熱源188により、あるいはこれら2つの加熱源による(協働)加熱調理を行い、その後、誘導加熱源9によって左加熱部17HLで加熱調理を行うものである。
この「第2の連携調理」の調理工程、すなわち調理のシーケンスを規定するものが「第2の連携調理モード」(SR2B)である。
第2の連携調理モードの場合、通常(デフォルト設定条件)は、最初に使用される加熱源であるマイクロ波加熱源189又はオーブン加熱源188の何れか一方又は両方について、特定の期間は前記連携調理モード以外のメニューに対応した動作を制限する処理を、前記統合制御装置MCが行う。
「第1の連携調理モード」と「第2の連携調理モード」の選択(SR2A、SR2B)は、ユーザーがその都度判断して選択操作を行うものではなく、連携調理モードにて識別情報330(例えば、「ハンバーグ」という調理の名称)を選択した段階で、統合制御装置MCが自動的に選択(判別)する。
この実施の形態1では、「連携調理」メニューの実行時に使用される誘導加熱源9の加熱部は、右加熱部17HRと左加熱部17HLの双方である。従って、連携調理モードの実施過程で、例えば左加熱部17HLだけが使用されている場合、その連携調理モードの実行中、右加熱部17HRを、連携調理とは無関係に自由に使用することができる。但し、連携調理時の消費電力と、個別に使用する右加熱部17HRの消費電力との合計値が、制限値を超えることが電力制御部72によって判明した場合には、右加熱部17HRの使用を禁止し、あるいは、火力を強制的に下げるという指令を統合制御装置MCが行う。
図54に示しているように、誘導加熱調理が開始された段階(SR5)では、ユーザーは左操作部40Lの入力キー43L2、43L3を操作して左加熱部17HLにおける火力(消費電力)を指定することができる(SR6)。また入力キー43L1を操作すれば、加熱動作を任意のタイミングで停止することもできる(SR7)。
なお、連携調理モードにおいては、基本的に左加熱部17HLの加熱調理時間は、事前に設定されていないので、ユーザーが希望する任意の時間だけ加熱調理できる。
また、右加熱部17HRを使用して、誘導加熱調理が開始された段階(SR5)では、ユーザーは右操作部40Rの入力キー43R2、43R3を操作して右加熱部17HRにおける火力(消費電力)を指定することができる(SR6)。
更に、右加熱部17HRを駆動している場合、入力キー43R1を操作すれば、加熱動作を任意のタイミングで停止することもできる(SR7)。
更に、左加熱部17HLを駆動している場合、入力キー43L1を操作すれば、加熱動作を任意のタイミングで停止することもできる(SR7)。
入力キー43L1によって、左加熱部17HLによる加熱調理工程を終了させた場合、連携調理モードの調理工程は次の工程に進む(図55において詳しく説明する)。
第1の連携調理の調理工程の中で、誘導加熱の工程を終えた場合には、中央操作部40Mの入力キー43MSを再度操作する必要がある(SR8)。この連携調理の再開指令が行われた場合(SR9)、中央操作部40Mの入力キー43M2又は43M3を操作することにより、マイクロ波加熱時のマイクロ波出力値を増減できる場合もある(SR10)。しかし、マイクロ波出力は例えば500Wで固定されたまま調理工程が進むような制御メニューもある。
マイクロ波加熱調理を、入力キー43MTによって終了させた場合、連携調理モードの全調理工程は終了する(SR11)。なお、連携調理モードの調理工程ではないが、これ以降はユーザーが中央操作部40Mを操作して、(連携調理モードや、単独加熱調理のメニューにより)マイクロ波加熱調理を更に行っても良い。
引き続き図54について説明する。
図54のSS1~SS11が、中央操作部40Mによってマイクロ波加熱調理とオーブン加熱調理をする際の動作ステップを示したものである。
前述したように、中央操作部40Mの入力キー43M1を操作すれば、マイクロ波加熱とオーブン加熱のための単独制御モード、複合調理モードが統合表示部30に表示される(図34参照)。そのため、入力キー43M1を押せば、1つの複合調理モードを選択できる(SS3)。
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次に、入力キー43MSを押せば、1つの複合調理モードの実行が指令され(SS4)、「単独調理モード」の調理を開始できる(SS5)。なお、図34の説明では、複合調理モードとして全体を説明したが、「レンジ手動」等のメニューは、マイクロ波加熱だけである。つまり、実態は単独加熱制御メニューも含んでいる。
言い換えると、この図54でいう「単独調理モード」とは、前記した「連携調理モード」と区別するための用語であり、使用する加熱源が必ず単独、単体であるという意味ではない(単独の場合もある)。
例えば、前記入力キー43M1を操作すると前記した「RG調理」というRG制御メニューが統合表示部に表示できるが、この「RG調理」は、マイクロ波加熱調理とグリル調理を組み合わたものである(被調理物に対し、マイクロ波と輻射熱による加熱が同時に行える)。この「RG調理」は、本実施の形態1では、複合調理モードの中に分類している。
マイクロ波加熱又はオーブン加熱の開始後に、加熱条件(例えば、加熱時間)を変更するようにしても良い(SS6)。
入力キー43MTを押せば、1つの制御メニューの実行の停止が指令され(SS7)、マイクロ波加熱又はオーブン加熱の動作が停止される(SS8)。
引き続き図54について説明する。
図54のSP1~SP8は、右操作部40Rと左操作部40Rによって誘導加熱調理を行う際の動作ステップを示したものである。
例えば、左操作部40Lの入力キー43L1を押せば、右加熱部17HLによる加熱調理を選択することができる(SP2)。そして、入力キー43L2または43L3を操作しなくとも、一定時間後に自動的に誘導加熱制御メニューが確定する(SP3)。なお、ここでいう「誘導加熱制御メニュー」は、IH制御メニューのことである。
言い換えると、誘導加熱制御メニューは、前記入力キー43MCを操作して統合表示部30に、第1特定画面30SPにより表示される「連携調理モード」とは、全く別のものである。
1つの制御メニューの実行が指令され(SP4)、「単独調理モード」の調理を開始できる(SP5)。
このステップSP5でいう「単独調理」とは、使用する加熱源が誘導加熱源9単独であるという意味である。
もし、誘導加熱が開始された後で、ユーザーが入力キー43R2又は43R3を操作して誘導加熱の火力の変更を指令した場合、統合制御装置MCは、制御条件の1つである火力を変更する(SP6)。
複合調理モードの場合と連携調理モードの場合の何れも、マイクロ波加熱を行う調理工程の開始指令は、入力キー43MSである。また、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188を、それぞれ単独で駆動する調理工程の開始も入力キー43MSである。
上記のように、誘導加熱の開始をユーザーが指令する専用のスイッチのボタンや入力キーを備えていないが、加熱開始の指令を与える専用のスイッチや入力キーを(入力キー43MSの他に)設けても良い。
入力キー43R1を押せば、1つの誘導加熱制御メニューの実行の停止が指令され(SP7)、誘導加熱の動作が停止される(SS8)。入力キー43R1は、前述したように、加熱源を選んで動作開始させる場面と、調理を終了する場合の、両方で使用される。
次に図55について説明する。図55は、連携調理モードと誘導加熱源による単独制御メニューの優先関係を示す説明図である。また、連携調理の際に、使用される加熱源が動作の制限を受けることを示す模式図である。
なお、この図55に示す連携調理モードは、図54で説明した「第1の連携調理モード」である。
この事例の「第1の連携調理モード」は、誘導加熱源9を調理工程1において動作させ、その加熱動作終了後に、調理工程2における加熱手段としてマイクロ波加熱源189を動作させる。また、調理工程2では、第3の加熱手段としてオーブン加熱源188を動作させる、という場合である。
図55に示すように、1つの連携調理モードは、4つの段階から構成されている。
P1は、第1の段階(準備期間)であり、連携調理モードを実行しようと、入力キー43MCを操作し、その後で入力キー43MSを押すまでの期間である。
P2は、加熱調理期間(調理工程1)である。なお、この調理工程1には、実際には被調理物を加熱していない「予熱工程」(図59、60、63参照)を含まない。
P3は、第1の加熱手段による調理から、第2の加熱手段の調理に切り替わるため、第1の加熱手段の動作を一旦停止し、第2の加熱手段の調理が開始されるまでの休止期間である。この休止期間の長短は、ユーザーの操作タイミングに依存する。つまり、ユーザーが第2の調理工程2を開始する指令を早く行えば、この休止時間は短くなる。
P4は、第2の加熱手段(又はこれに加えて第3の加熱手段)による加熱調理期間(調理工程2)である。
この図55から明らかなように、連携調理モードの選択をする段階、すなわち、連携調理モードの調理の名称を示す識別情報330を統合表示部30に(表示された第1特定画面30SPの上で)表示させた時点で、左加熱源17HLの左操作部40Lは、使用できないようになる。
具体的には、左操作部40Lの各種入力キーの内、少なくとも入力キー43L1は、統合制御装置MCによって無効化される。この「無効化」という意味は、入力キー43L1から、有効な指令信号が統合制御装置MCに発信されないという意味と、有効な指令信号が発信されても、統合制御装置MCが、その指令信号を有効な指令信号として処理しないこと、の両方の意味がある。何れにしても、左加熱部17HLを選択できないことになる。
同時に、第1特定画面30SPが表示された時点、つまり、識別情報330が表示された時点で、右加熱部17HRの右側操作部40Rは、使用できないようになる。但し、右加熱部17HRが、他の制御メニューのために既に使用されている(加熱動作継続中)場合には、その右加熱部17HRは、連携調理モードでは使用できないと判定される(統合制御装置MCによる)ので、上記のような「使用禁止」の処理は行わない。
従って、左加熱部17HLは、連携調理モードの選択によって「占用」された状態となる。また誘導加熱源9の全体から見れば、2つの加熱部の一部分(左側)だけ使用が「制限」されたことになる。なお、右加熱部17HLが他の調理のために使用中でない場合には、この右加熱部17HRも同様に占用した状態になる。なお、連携調理モードの選択を終え、入力キー43MSを押した時点を、前記「占用」状態にするように制御プログラムを変更しても良い。
ここで、誘導加熱源9の占用について、入力操作部40の機能を中心に説明する。
前述したように、入力操作部には、左加熱部17HLによる調理を選択する入力キー43L1がある。
この入力キー43L1は、左側のIHコイル17Lの加熱動作が開始された後は、その動作を随時停止させることができる。つまり、最初に1回押した場合には、左加熱部17HLを選択する機能を発揮し、誘導加熱が開始されてから次に1回押した場合には、瞬時にその加熱動作を停止できる。
一方、入力操作部には、入力キー44Lがある。この入力キー44Lは、左加熱部17HLによる誘導加熱調理の「制御メニュー」を選択できるタッチ式入力キーである。
この場合の「制御メニュー」とは、「湯沸し」や「茹で」、「炊飯」、「揚げ物(自動)」等があり、この中から1つだけを選択できる。
前記連携調理モードによる調理の選択は、最初に中央操作部40Mの入力キー43MCを押す必要がある。この入力キー43MCを押すと、前述した「許可条件」を満たした場合、第1特定画面30SPが表示される。
この第1特定画面30SPが表示された段階(図55参照)又は、連携調理モードに移行するための「開始用の入力指令」が入力キー43MSで行われた場合(図56参照)に、連携調理モードに移行し、これと同時に、使用する予定の加熱源は「占用状態」となる。
誘導加熱源9が「占用状態」になった場合の、左操作部40Lについて説明する。
統合制御装置MCが左加熱部17HLを占用状態にする方法は2つある。
(1)第1の方法:
連携調理モードに移行すると、前記入力キー43L1の入力機能を有効にしておく。その他の入力キー43L2、43L3、43L4、44Lは、全て入力機能を無効化する。
この場合、入力キー43MSが押されてから一定時間後(例えば、10秒後に)、左IHコイル17Lに高周波電力の供給が開始される。
そのため、開始された(連携調理モードでの)誘導加熱を停止する場合には、入力キー43L1を1回押せば良い。
また、この状態で追加の加熱のために、再び加熱を開始するには、同じく入力キー43L1を1回押せば良い(連携調理モードは、この段階でも解除されない)。
(2)第2の方法:
前記左加熱部17HLにおける入力キー43L1、43L2、43L3、43L4の入力機能を無効化する。但し、連携調理モードに移行しても、入力キー44Lだけは有効にしておく。
そのため、連携調理モードに移行してから、入力キー44Lを1回押した場合に限り、初めて(連携調理モードでの)誘導加熱源189の動作が確定する。
その後、左IHコイル17Lに高周波電力の供給が開始され、誘導加熱が開始された場合には、入力キー43L1の入力機能は即時に回復される。そのため、この入力キー43L1を1回押せば、即時に誘導加熱動作が停止できる。また、再度入力キー43L1を押せば、誘導加熱動作を再開できる(連携調理モードは、この段階でも解除されない)。
以下の説明では、上記第1の方法を選定にして説明するが、第1の方法を採用しても、本開示で得られる基本的効果には何ら影響はない。
図55に示すように、調理工程1(P2)において、誘導加熱が開始された後から、ユーザーは左操作部40Lの入力キー43L2、43L3を操作して、火力を増大させたり、減少させたりすることができる。
調理工程1では、最初に左操作部40Lの入力キー43L1(図23参照)を1回だけ押す必要があり、この時点で左操作部40Lから誘導加熱の開始指令が統合制御装置MCに送られる。
前記左操作部40Lの入力キー43L1による加熱開始指令の操作を省略し、入力キー43MSによる入力時点から一定の時間(例えば10秒後)に、誘導加熱調理が一定の火力(弱又は標準火力)でスタートする方式にしても良い。
また、調理工程1(P2)において、ユーザーは左操作部40Lにおいて、入力キー43L1にタッチすれば、誘導加熱動作を即時停止することができる。
この加熱動作停止の操作を行うと、調理工程1は即時に終了する。しかし、連携調理モード自体は解除されない。
そのため、左加熱部17HLによる加熱動作(連携調理モード)が開始できる。但し、加熱動作を再開する操作は、図46(A)(B)で説明したような単独加熱モードの場合と同じであり、左加熱部17HLによる調理を再開するための入力キー43L1を、再び1回だけ押す必要がある。更に、ユーザーが火力を指定する場合には、入力キー43L2又は43L3を押せば、1回押す毎に1段階火力が小さくなり、または大きくなり、希望の火力に設定できる。
図55に示すように、調理工程1(P2)の後において、誘導加熱した被調理物を加熱室113に移動する。なお、誘導加熱時に使用した金属皿を、そのまま加熱室113に収容してマイクロ波加熱することも可能であるが、被調理物(食品)の周囲が全て金属で覆われている場合には、内部の食品等のマイクロ波加熱できないので、蓋の無い金属容器や耐熱ガラス、磁器製の容器に移し替える必要がある。
加熱休止期間(P3)において、ドア114を閉めて、入力キー43MSを押すと、マイクロ波加熱源189のマグネトロン122で発生させたマイクロ波が、加熱室113の内部へ案内され、加熱調理期間(調理工程2)(P4)が始まる。
入力キー43MSによって開始された後は、マイクロ波加熱の制御条件は、中央操作部40Mの各種入力キー43M2、43M3を操作して、ユーザーが任意に設定できる(デフォルト値を、変更することができる)。但し、連携調理モードが対象にしている個々の被調理物によっては、制御条件の変更が一部制限されている場合もある。例えば、マイクロ波加熱の出力は、基本的に500Wであるため、調理工程の途中では、これを増減できないような制御プログラムになっている。
図55に示すように、調理工程2(P4)の後において、マイクロ波加熱の制御条件(例えば、加熱時間)を設定しなくとも、制御プログラムにて規定された所定の時間(デフォルト時間)を経過した段階で、自動的に調理工程を終了する場合と、ユーザーが中央操作部40Mの入力キー43MTを操作して、任意の段階で終了する場合の、2つのタイプがある。
また、調理工程2を一旦停止させると、連携調理モードの全ての調理工程を終えたという扱いになる。そのため、連携調理モードは解除されるので、複合調理モードを実施する場合と同様に、再び入力キー43M1を操作して、「レンジ手動」等の制御メニューを設定して、追加で加熱調理をすることもできる。なお、連携調理モードの動作プログラムが、調理工程2の後に調理工程3があることを規定している場合は、前記調理工程2の後、移行期間TRを経て調理工程3に進む。
図55に示すように、この連携調理モードでは、第1の加熱手段9の左加熱部17HLだけが使用されるので、準備期間(P1)~調理工程2(P4)の間、右加熱部17HRの使用は何ら制限を受けない。このため、これら調理工程1、調理工程2の期間中に、右加熱部17HRで別の加熱調理も同時並行的に行うことができる。例えば、右操作部(右側の第1操作部)40Rを使用してIH制御メニューの中の、例えば「湯沸かし」を右加熱部17HRで行っても良い。
次に図56について説明する。
図56は、連携調理モードと誘導加熱源による単独制御メニュー(IH制御メニュー)の優先関係を示す説明図であり、図55の構成を少し変更した事例である。
図56に示すように、連携調理の際に、使用される加熱源(この場合、誘導加熱源9)が動作の制限を受ける開始時期を変更しても良い。
この図56で示した例は、連携調理モードの選択をする段階、すなわち、連携調理モードの調理の名称を示す識別情報330を統合表示部30(第1特定画面30SP)に表示させた時点では、まだ左加熱源17HLを占用する状態になっていない。そのため、左加熱源17HLの左操作部40Lは、入力操作可能であり、単独制御メニュー(IH制御メニュー)で使用できる。
つまり、この準備期間P1において、左操作部40Lによる新たな(単独調理モード)の入力操作は可能である。
連携調理モードの調理開始を、入力キー43MSで指令した時点で、左操作部40Lの各種入力キーの内、少なくとも入力キー43L1は、統合制御装置MCによって無効化される。この点が図55のものと異なっている。左操作部40Lの全ての入力キーを無効化しても良い。なお、この図56における「無効化」という意味は、図55で説明したものと同じである。
次に、本実施形態1における連携調理モードと複合調理モードの基本的動作を、図57~図63を参照しながら説明する。
図57は、複合調理モードによる複合調理モードと、連携調理モードによる連携調理モードの、それぞれの移行までの入力操作と表示の関係を時系列で示す説明図である。図58は、連携調理モードによる調理(連携調理モード)の各種工程と動作の関係を示す説明図1である。図59は、連携調理モードによる調理(連携調理モード)の各種工程と動作の関係を示す説明図2である。図60は、連携調理モードによる調理(連携調理モード)の各種工程と動作の関係を示す説明図3である。図61は、加熱調理器1において、連携調理モードの調理工程の報知動作を示すフローチャートである。
図57について説明する。
複合調理モードに移行するまでの操作手順は、この図57に示すように4回の入力が必要である。つまり、第1入力~第4入力までを、入力キー43M1、43M2、43M3及び43MSで行う。そして、複合調理モードに移行した場合、誘導加熱源9を実際に加熱動作させるには、入力キー43R1又は43L1の操作が必要である。
一方、連携調理モードに移行するまでの操作手順は、この図57に示すように4回の入力が必要である。つまり、第1入力~第4入力までを、入力キー43MC、43M1、43M2及び43MSで行う。
上述したように連携調理モードに移行した場合、ユーザーは中央操作部40Mにおける入力キー43M2の操作後、右加熱部17HRを最初に動作させるには、右操作部40Rで、入力キー43R1の操作をする。
また、左加熱部17HLを連携調理モードで使用することを選択した場合には、ユーザーは、左操作部40Lにおいて入力キー43L1を操作する。
このように、連携調理モード移行後は、加熱源に対応した操作部において、加熱動作の開始を指令できるようにしている。また、加熱停止動作も同じ操作部で行えるようにしており、これらによりユーザーが加熱開始と終了の際に、操作部や入力キーの位置で迷わないように工夫している。
次に図58について説明する。
図58は、連携調理モードによる調理(連携調理モード)の各種工程を横軸に示し、縦軸には、ユーザーの操作や表示部等の主要構成部分の動作内容を示した説明図である。
図58では、連携調理が開始されるまでの工程を示している。
図58の左側の項目Aで、「ユーザーの操作」とは、中央操作部40Mや右操作部40Rにおける各種入力操作を示す。この「ユーザーの操作」の工程では、A1~A5の5回の操作を行っている。
A1の「リレーボタン押下」とは、連携調理モードを選択する入力キー43MCを操作することである。A2の「メニュー選択」とは、連携調理モードの中で、希望する1つのメニューを選択することである。この選択は、入力キー43M1で行う。
A3の「加熱源選択」とは、誘導加熱源9の右加熱部17HRと左加熱部17HLの何れか1つを選択する操作であり、入力キー43M2で行う。この例では、右加熱部17HRが選択された場合を示す。
A4の「スタートボタン押下」とは、入力キー43MSを操作することである。
A5の「右IHの入力ボタン押下」とは、右操作部40Rの入力キー43R1を操作することである。
図58の左側の項目Bで、「調理工程」とは、連携調理モードを実行するまでの工程の種類を示している。ここでいう工程とは、前記調理工程1と調理工程2とは異なる。
B1の「連携調理モード選定中」とは、被調理物を選択し、その被調理物に対応する連携調理モードの動作プログラムを選択する工程を示している。
B2の「グリル加熱源待機中」とは、オーブン加熱源188が待機している期間を示す。B3の「加熱中」とは、右加熱部17HRによる誘導加熱期間を示す。
図58の左側の項目Cで、「左IH表示部」とは、左側表示部31Lを指す。
C1の「消灯(操作を受け付けない)」とは、左側表示部31Lで情報を全く表示しないことを意味している。前述したように、連携調理モードの移行開始を指令する入力(この図58の操作A4)の時点までは、連携調理モードの第1特定画面30SPを見ながら、ユーザーが入力操作している段階である。このため、左加熱部17HLをユーザーが連携調理モードで使用する可能性があるため、左加熱部17HLを「占用状態」にする一環で、左側表示部31の表示画面を起動しない。また、同時に左操作部40Lにおける入力機能を受け付けないようにしている。
C2の「消灯(通常操作を受け付ける)」とは、左側表示部31Lにおいて、情報を全く表示しないことを意味している。しかしながら、連携調理モードの移行開始を指令する入力(この図58の操作A4)の時点を過ぎた段階では、前記第1特定画面30SPの入力操作は終えている段階である。このため、右加熱部17HRをユーザーが連携調理モードで使用することが確定しており、左加熱部17HLを使用する可能性はなくなった段階である。そのため、左加熱部17HLを「占用状態」にする必要はなくなる。この理由から、この段階では左操作部40Lにおける入力機能を受け付け可能としている。実際に左操作部40Lの入力キー43L1を押せば、左加熱部17HLを使用した単独加熱調理を選択できるようになる。
図58の左側の項目Dで、「右IH表示部」とは、右側表示部31Rの表示内容を指す。
D1の「消灯(操作を受け付けない)」とは、右側表示部31Rで情報を全く表示しないことを意味している。
前述したように、連携調理モードの移行開始を指令する入力(この図58の操作A4)の時点までは、連携調理モードの第1特定画面30SPを見ながら、ユーザーが入力操作している段階である。このため、右加熱部17HRをユーザーが連携調理モードで使用する可能性があるため、右加熱部17HRを「占用状態」にすることに合わせて、右側表示部31の表示画面を起動しない。また、同時に右操作部40Rにおける入力機能を受け付けないようにしている。
その後、連携調理モードの移行開始を指令する入力(この図58の操作A4)の時点を過ぎた段階では、連携調理モードの第1特定画面30SPの入力操作は終えている段階である。
D2の「加熱待機状態)」とは、右加熱部17HRをユーザーが連携調理モードで使用することが確定した後において、ユーザーの操作A5を待っている状態を指している。つまり、右加熱部17HRによる調理工程1の開始指令を待っている段階である。
D3の「予熱表示」とは、右側表示部31Rで予熱状態の情報を表示することを意味している。例えば、予熱(目標)温度(例えば、180℃)に到達するまでの、実際の温度上昇の情報を表示することである
図58の左側の項目Eで、「中央表示部」とは、統合表示部30の表示内容を指す。
E1の「連携調理の初期画面」とは、前記統合表示部30に第1特定画面30SPが表示されることを示している(図82参照)。
E2の「メニュー変更」とは、入力キー43M1を操作して、連携調理モードの中から目的の1つの被調理物を選び、対応する連携調理モードを選択することを意味している(図83参照)。
E3の「選択加熱源変更(右IHを選択)とは、第1特定画面30SPを見ながら、右加熱部17HRを選択することを指す。この選択は、入力キー43M2で行われる(図83参照)。
E4の「右IHの入力ボタン押下案内表示」とは、統合表示部30の第1特定画面30SPにおいて、連携調理を開始するため、右操作部40Rに配置されている、入力キー43R1の操作が必要であることを表示する意味である。つまり、ユーザーに対して、連携調理の調理工程1を開始するために、入力キー43R1を押すという操作を推奨している(図84参照)。
E5の「IH予熱表示」とは、右加熱部17HRで予熱動作を開始していることを示したものである。右側表示部31Rでは、前述したように、例えば、予熱(目標)温度180℃に到達するまでの、実際の温度上昇の情報を表示している。これに対し、統合表示部(中央表示部)30では、第1特定画面30SPの中において、例えば「IH予熱中」や「予熱完了しました」等の情報(付加情報331)が表示される(図84参照)。
図58の左側の項目Fで、「報知手段」とは、音声合成装置95によって報知される報知内容を指す。
F1~F5で示すように、連携調理モードとして「ハンバーグ」を選択して調理した場合、合計5回の音声報知が行われる。
F1の報知内容は、例えば「ハンバーグです。IHで調理してから、レンジグリルで仕上げます」である。つまり、第1特定画面30SPでも、被調理物を表示し、また調理工程を表示するが、音声によっても同等の情報がユーザーに報知される。
F2の報知内容は、例えば「からあげです。レンジグリルで調理してから、IHで仕上げます」である。つまり、ユーザーのメニュー選択の操作A2に応じて、リアルタイムで連携調理モード選択の結果と、調理工程の説明がある。
F3の報知内容は、例えば「右IHです」である。つまり、右IH(右加熱部)17HRを、ユーザーが操作A3で行ったため、加熱源の選択の結果を即時報知している。
F4の報知内容は、例えば「右のIHの入力ボタンを押すと、加熱を開始します」である。つまり、ユーザーに対して、メニュー選択の操作A3に続けて、スタートボタン(入力キー43MS)の操作A4を求めている。この操作A4が行われると、右操作部40Lでの「入力キー」の操作を求めている。なお、ここでいう入力キーとは、入力キー43R1である。
F5の報知内容は、例えば「180℃で鍋の予熱を始めます」である。
連携調理を右加熱部17HRで開始した後、右加熱部17HRの加熱動作が始まり、トッププレート15の上に置かれた鍋等の被加熱物Nの温度が、目標温度180℃になるように予熱動作開始され、この事実が報知される。
図58の左側の項目Gで、「左IH駆動部」とは、インバーター回路81Lの動作のことである。
図58の左側の項目Hで、「右IH駆動部」とは、インバーター回路81Rの動作のことである。
H1の「予熱工程」とは、インバーター回路81Rが駆動され、予熱工程の動作を行っていることを示している。
図58の左側の項目Jで、「レンジグリル駆動部」とは、オーブン加熱源188を構成する上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの通電を制御する加熱室制御部159の動作と、マイクロ波加熱源189のマイクロ波加熱制御部130の動作を指す。つまり、前記した「レンジグリル制御メニュー」(RG制御メニュー)を行う駆動部の動作を総括的に示している。
次に図59について説明する。
図59は、連携調理モードで「ハンバーグ」を調理する場合を示したものである。図58と同様に、連携調理モードの各種工程を横軸に示し、縦軸には、ユーザーの操作や表示部等の主要構成部分の動作内容を示した説明図である。
図59の左側の項目A~Jの意味は、図58で説明したものと同じである。
図59において、A11の操作内容は、ハンバーグを調理するために、調理工程1(図59の、調理工程B11が該当部分)として最初に右加熱部17HRを選択し、メニューボタンと呼ばれる入力キー44Rを押すことである。
A12の「IH切/入ボタン押下」とは、ハンバーグの調理工程1を終了するため、ユーザーが入力スイッチとして最初に右加熱部17HRを選択し、入力キー43R1を押すことである。
A13の「グリル扉を開ける」とは、ドア114をユーザーが開ける操作である。
A14の「スタートボタン押下」とは、中央操作部40Mの入力キー43MSを押すことである。
A15の「時間ボタン押下」とは、中央操作部40Mの入力キー43M2を押すことである。
A16の「スタートボタン押下」とは、中央操作部40Mの入力キー43MSを押すことである。
A17の「取消ボタン押下(グリル加熱の途中で取消)」とは、オーブン加熱源188を押すことである。
A18の「取消ボタン押下」とは、中央操作部40Mの入力キー43MTを押すことである。この入力キー43MTの操作により、連携調理モードの一連の加熱動作は全て終了する(連携調理モードの解除)。
図59の項目B(調理工程)において、B11の「IH加熱工程」とは、ユーザーが選択した右加熱部17HRにおける誘導加熱工程を示している。
B12の「グリル加熱待機工程」とは、ユーザーの操作A14が行われるまでの間の、オーブン加熱源188が待機している期間を示す。
B13の「グリル加熱工程」とは、オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189による加熱工程を示す。
B14の「グリル加熱延長待機工程」とは、B13のグリル加熱工程が一旦終了したあと、ユーザーが延長工程を指令するかどうかの判断を待っている待機期間を示す。
B15の「延長加熱工程」とは、B14のグリル加熱延長待機工程の間に、ユーザーが操作A16(スタートボタン押下)を行ったために、オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189を再度駆動(通電開始)して行う工程である。延長加熱工程は、入力キー43MSを押すことで開始される。
図59に示すように、「延長加熱工程」B15は、ユーザーが操作A16(スタートボタン押下)を行えば、1回だけではなく、何度も行える。しかし、一旦、A18の「取消ボタン押下」を行った場合には、入力キー43MTの操作時点で、連携調理モードは解除されるので、再度加熱室113で加熱調理するには、オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189を、「レンジグリル制御メニュー」(RG制御メニュー)で運転する必要がある。
図59の項目C(左IH表示部)において、C11の「予熱表示」とは、予熱工程における目標予熱温度を、右側表示部31Rや左側表示部31Lにおいて表示することである(図76、図79参照)。例えば、予熱目標温度(例えば180℃)を表示する。
C11a~C11dは、進捗表示1~進捗表示4を示している。例えば、進捗表示1とは「予熱中」という表示であり、「進捗表示4」とは、「適温」という表示である。この「適温」とは、予熱目標温度(例えば180℃)まで被加熱物(鍋等)Nが加熱されたことを指している。予熱表示(C11)の期間中、予熱の進捗(温度上昇)に合わせて、前記進捗表示1~進捗表示4(C11a~C11d)が行われる。この図59では、左加熱部17HLによる予熱状態表示C11が、左側表示部31Lにおいて行われる。
C12の「調理工程」とは、左加熱部17HRが、予熱目標温度(例えば180℃)に到達した以降、被加熱物Nを加熱調理していることを示している。つまり、調理工程1を開始していることを表示している。
図59の項目E(中央表示部)は、統合表示部30の表示内容を示すものである。
E11の「IH予熱表示」とは、統合表示部30に表示された第1特定画面30SPにおいて、左加熱部17HLにより予熱が開始されたことを表示するものである(図85参照)。
図59において、E12の「IH加熱表示」とは、予熱が完了したので、左加熱部17HLで加熱できる状態になったことを表示するものである(図85参照)。つまり、誘導加熱(IH加熱)の工程に進む段階であることを示すものである。
E13の「グリル扉開閉操作誘導表示」とは、誘導加熱(調理工程1)を終えたので、被調理物を(調理工程2を行う)加熱室(加熱庫)113に移すように促すものである(図88参照)。この場面における付加情報331の1つの例は、「食品を加熱庫に入れて下さい」という表示である。
図87に示すように、左IHコイル17HLによる誘導加熱調理中、ユーザーが任意のタイミングで当該加熱動作を停止させようとする場合には、「左のIHの切入ボタンを押してください」という付加情報331を表示させても良い。
図59において、E14の「火力変更表示とスタート誘導表示の交互表示」とは、加熱室113におけるレンジグリル調理(複合加熱)における火力を変更できることを表示し、更に、そのような加熱室でのグリル加熱調理を、スタートボタン(入力キー43MS)で開始できることを表示したものである(図89照)。
図59において、E15の「グリル加熱表示」とは、加熱室113の中で被調理物を、マイクロ波加熱源189又はオーブン加熱源188の両方又は何れか一方により加熱していること(調理工程2)を示すものである(図90参照)。この実施の形態1では、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188の両方を同時に駆動し、マイクロ波と輻射熱の相乗効果により被調理物を内部と外部から同時に加熱する方法を採用している。
図59において、E16の「延長操作案内表示と終了操作表示の交互表示」とは、前記グリル加熱工程B13が終了したので、時間ボタン(入力キー43M2)で時間を延長し、再度グリル加熱できることを表示するものである(図91参照)。
また、ユーザーが延長加熱を希望しない場合には、取消しボタン(入力キー43MT)を押せば、延長加熱せずに連携調理モードを終了できることを表示するものである(図91参照)。これら2種類の情報を、第1特定画面30SPの中において、例えば数秒間隔で、交互に表示する。
E17の「時間設定表示」とは、入力キー43M2で加熱調理時間を延長し、再度グリル加熱する場合、その延長時間を設定した結果を表示するものである(図91参照)。この時間設定表示の後で、前記「グリル加熱表示」E15と、「延長操作案内表示と終了操作表示の交互表示」E16が行われる。
図59の項目F(報知手段)において、F11の報知内容は、「180℃で鍋の予熱を始めます」である。これは、IH加熱工程B11において、右加熱部17HRにより予熱工程を始めたことを音声で報知するものである。
図59において、F12の報知内容は、「右のIHが設定温度になりました調理を始めてください」である。前記右加熱部17HRによる予熱が目標温度(例えば180℃)に到達したことを知らせ、右側操作部40Rでの加熱開始操作を促すものである。
図59のFA1は、第1の参考情報の報知である。この「第1の参考情報」FA1を、以下の説明では、「参考情報1」と呼ぶ。なお、この参考情報の趣旨を文字や図形によって前記統合表示部30や、左右の表示部31L、31Rに表示しても良い。その場合の表示は、「参考表示1」と呼ぶ。
参考情報1(FA1)の報知は、左IHコイル17Lによる調理工程1(図59のG12)が開始された時点から所定の時間(第1の時間TN1)を経過した時点で行われる。これについては、図61によって後で詳細に説明する。
図59において、F13の報知内容は、「なべが熱くなっています。やけどに注意して、食品を庫内に入れてください」である。これは、右加熱部17HRによる調理工程1(G12)が終わったので、食品を調理工程2のために加熱室113に移動させることと、トッププレート15等が熱いため、注意喚起をするものである。
F14の報知内容は、「スタートボタンでレンジグリルの加熱を開始します」である。これは、入力キー43MSを操作して、レンジグリル調理を開始することができることを報知するものである。
F15の報知内容は、「レンジグリル仕上がり標準を始めます」である。これは、レンジグリルの調理工程2を開始して、調理(例えば、ハンバーグ)を完成させることを報知するものである。なお、「標準を始めます」とは、レンジグリル調理時の火力が「標準」であるという意味である。
図59のFA2は、第2の参考情報の報知である。この「第2の参考情報」FA2を、以下の説明では、「参考情報2」と呼ぶ。なお、この参考情報の趣旨を文字や図形によって前記統合表示部30や、左右の表示部31L、31Rに表示しても良い。その場合の表示は、「参考表示2」と呼ぶ。
参考情報2(FA2)の報知は、加熱室113におけるレンジグリル駆動部による調理工程2(図59のグリル加熱工程B13)が開始された時点から所定の経過時間(第2の経過時間TN2)を経過した時点で行われる。又は、調理工程2(図59のグリル加熱工程B13)が開始された時点から所定の温度(第2の上昇温度TN2)を超過した時点で行われる。これらについては、図61によって後で詳細に説明する。
F16の報知内容は、レンジグリルの調理が終わったことと、時間ボタン(入力キー43M2)で調理時間を延長できることを報知するものである。また、取消ボタン(入力キー43MT)を操作すれば、延長加熱をせずに、一連の連携調理モードを終了することも報知する。更に、加熱室113は高温になっているので、冷えてから庫内を清掃するように注意喚起する。
F17の報知内容は、レンジグリルの調理工程(B13)が終了した後で、ユーザーが延長加熱の操作をして、更に2分20秒の加熱を始めることを報知するものである。このF17の報知の後で、前記F16の報知が再度行われる。延長加熱を更にユーザーが指令すれば、このような報知F16とF17が繰り返される。
図59の項目G(右IH駆動部)において、G11は、予熱工程(B11)のための誘導加熱動作を示している。
G12は、その予熱工程に引き続いて行われる調理工程1のための誘導加熱動作を示している。
図59の項目J(レンジグリル駆動部)において、J11は、オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189を駆動した期間を示しており、この期間に調理工程2が実行される。
J12は、延長加熱工程のためにオーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189とを駆動する期間を示している。
次に図60について説明する。図60は、連携調理モードの1つである「からあげ」を連携調理モードで行う場合の、各種工程と動作の関係を示す説明図である。
図58、図59と同様に、連携調理モードの各種工程を横軸に示し、縦軸には、ユーザーの操作や表示部等の主要構成部分の動作内容を示している。
図60において、項目A(ユーザーの操作)のA21の操作内容は、からあげを調理するために、調理工程1(図59の、調理工程B11が該当部分)として最初に左加熱部17HLを選択し、入力キー43L1を押すことである。
A22の操作は、加熱室113のドア114を開ける操作を示す。この段階では既に左加熱部17HLでの誘導加熱(予熱)は開始されている。
A23の操作は、「スタートボタン押下」と呼び、中央操作部40Mの入力キー43MSを押すことである。
このA23の操作により、「レンジグリル駆動部」が駆動され、グリル加熱工程B23が行われる。なお、「レンジグリル駆動部」とは、加熱室制御部159とマイクロ波加熱制御部130を指す。
左加熱部17HLによるIH予熱工程G21が終了する前から、前記加熱室113における「レンジグリル駆動部」のグリル加熱工程B23を開始している。
このように、オーブン加熱源188を通電しても加熱室113の温度を直ぐには上げることができないため、温度の立ち上げに必要な時間を考慮して、オーブン加熱源188に通電を開始する時間を決定している。
A24の操作は、「レンジグリル駆動部」によるグリル加熱工程B23が終了してから、加熱室113のドア114を開ける操作を示す。これにより、被調理物(食品)を加熱室113から取り出すことができる。
一方、ドア114を開けて被調理物(食品)を加熱室113から取り出す前の時点から、からあげの調理器具(専用鍋など)を左加熱部17HLにおいて加熱(調理工程G22)し、食用油を加熱している。
A25の操作は、「レンジグリル駆動部」によるグリル加熱工程B23を再度行うために、時間ボタンと呼んでいる入力キー43M2を操作することである。
A26の操作は、グリル加熱工程B23を再度開始するために、入力キー43MSを押すことである。
A27の操作は、グリル加熱工程B23を途中の任意の時点で終了させるため、入力キー43MTを押すことである。これにより、連携調理モードは解除される。
A28の操作は、左加熱部17HLによる加熱動作を終了するために入力キー43L1を押すことである。
次に図60において、項目B(調理工程)について説明する。
B21は、IH予熱工程で、ユーザーが選択した左加熱部17HLで予熱する工程である。
B22は、グリル加熱待機工程であり、ユーザーがドア114を開け、その後に、加熱開始の操作A23を待っている状態である。
B23は、グリル加熱工程である。
B24は、IH加熱工程で、ユーザーが選択した左加熱部17HLで加熱する工程である。
次に図60において、項目C(左IH表示部)について説明する。
C21の表示は、左加熱部17HLで予熱していることを示すものである。
C21a~C21dの表示は、前記表示C21の期間中に順次表示されるものであり、C21aは、進捗表示1、C21bは進捗表示2、C21cは進捗表示3、C21dは、進捗表示4である。
C22の表示は、左加熱部17HLによる予熱動作の完了(調理工程)表示である。
図60において、項目E(中央表示部)について説明する。
E21の表示は、IH予熱表示であり、左加熱部17HLで予熱動作を行っていることが分かる(図93参照)。
E22は、グリル扉開閉操作誘導表示であり、ドア114を開けて、グリル加熱工程B23を行うために、被調理物(食品)を加熱室113に入れることを促すものである(図93参照)。
E23は、火力変更表示とスタート誘導表示の交互表示であり、からあげの調理を「レンジグリル駆動部」を駆動して行う際に、火力の調節ができることや、入力キー43MSを押せば調理をスタートできること等を表示している(図94参照)。
E24は、レンジ加熱表示であり、「レンジグリル駆動部」を駆動して行う際に調理の火力を変更できること、また調理が始まったあとは、終了するまでの残り時間等を表示する(図95参照)。
E25は、図96図(A)(B)に示すように、延長操作案内表示とIH予熱完了表示の交互表示である。
前記「レンジグリル駆動部」を駆動して行っている調理工程B24が終了したあと、時間ボタン(入力キー43M2)で時間を延長し、加熱調理時間を延長できることを、表示する。
一方、左加熱部17HLによる予熱が完了したことを表示する。つまり、これら2種類の情報は、第1特定画面30SPの中において、例えば数秒間隔で、交互に表示する。
E26は、時間設定表示である。これは、前記「レンジグリル駆動部」を駆動して行っている調理工程B24を、例えば2分30秒間行うことを表示するものである(図97参照)。
。
図60において、項目F(報知手段)について説明する。
F21の報知は、例えば「180℃で鍋の予熱を始めます」というように、予熱目標温度と左加熱部17HLにより予熱工程を始めたことを音声で報知するものである。
F22の報知は、「まもなく左のIHが設定した温度になります。食品を庫内に入れてください」というものである。左加熱部17HLによる予熱が目標温度(例えば180℃)に到達したことを知らせ、一方、加熱室113でのレンジグリル調理を開始できるように、加熱室113に食品等を入れることを促すものである。
F23の報知は、「スタートボタンでレンジの加熱を開始します」という内容である。つまり、入力キー43MSを押してレンジグリル調理を開始することを報知する。
F24の報知は、例えば「レンジ、仕上がり標準を始めます」というものである。この場合の「仕上がり標準」とは、火力が標準レベルであるという意味である。
図60のFA3は、第3の参考情報の報知である。この「第3の参考情報」を、以下の説明では、「参考情報3」と呼ぶ。なお、この参考情報3(FA3)の趣旨を文字や図形によって前記統合表示部30に表示しても良い。その場合の表示は、「参考表示3」と呼ぶ。
参考情報3の報知は、加熱室113におけるレンジグリル駆動部による調理工程1(図60のB23)が、ユーザーの操作入力(図60のA23)により開始された時点から所定の時間(第3の経過時間TN3)を経過した時点で行われる。これについては、図62によって後で詳細に説明する。
F25の報知は、レンジグリルの調理が終了した際の、ユーザーの操作に関するものである。例えば「レンジグリルの調理が終わりました。時間ボタンで調理を延長できます。庫内から食品を取り出し、IHで調理を始めてください」という内容である。
F26の報知は、レンジグリルの調理が終了した後で、再度レンジグリルの調理を行うものことを知らせるものである。例えば「レンジグリル、2分を始めます」という報知が行われる。これは延長時間を2分間に設定したため、これから2分間レンジグリルの調理を開始するという意味である。
図60のFA5は、第5の参考情報の報知である。この「第5の参考情報」FA5を、以下の説明では、「参考情報5」と呼ぶ。なお、この参考情報5(FA5)の趣旨を文字や図形によって前記統合表示部30に表示しても良い。その場合の表示は、「参考表示5」と呼ぶ。
参考情報5の報知は、加熱室113におけるレンジグリル駆動部による調理工程3(図60のB23)が、ユーザーの操作入力(図60のA26)により開始された時点から所定の時間(第5の時間TN5)を経過した時点で行われる。これについては、図62によって後で詳細に説明する。
図60において、項目G(左IH駆動部)において、G21の予熱工程は、左加熱部17HLによる予熱工程であり、インバーター回路81Lの駆動期間を示す。
図60において、G22は、同じく左加熱部17HLによる調理工程のための加熱動作(インバーター回路81Lの駆動)期間を示す。
項目J(レンジグリル駆動部)において、J21の加熱工程は、オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189による駆動期間を示す。なお、図60で説明した連携調理モードは、からあげを調理する場合であるので、実際はマイクロ波加熱源189だけの駆動で良い。
次に、図61~63について説明する。
図61~63は、連携調理モードが実行される場合において、前記「参考情報1」~「参考情報4」が報知される過程を示したものである。
図61は、連携調理モードとして、ハンバーグを調理する場合である。
この図61は、図59に示した連携調理モードの各種工程に対応したフローチャートである。
この実施の形態1では、ハンバーグは、調理工程1を、例えば、左加熱部17HLを行い、調理工程2は、「レンジグリル制御メニュー」(RG制御メニュー)で行う。つまり、調理工程2は、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188を併用する。
最初のステップSA1では、左加熱部17HLで既に予熱温度(例えば、180℃)まで加熱された被加熱物Nにおいて、誘導加熱(調理工程1)が開始され、図59で説明したように、「左のIHが設定温度になりました調理を始めてください」という音声報知F12が行われる。なお、この「設定温度」は、ユーザーが設定した予熱温度のことである。デフォルト値は180℃になっている。また、この調理工程1は、IHコイル17Lが誘導加熱を開始した時点から開始されたものではない。予熱温度になった被加熱物Nの上に被調理物(この場合、ハンバーグ)が載せられて加熱が開始された時点が調理工程1のスタートである。
次のステップSA2では、経過時間TN1の経過時間の計測が開始される。
この経過時間TN1の計測は、時計回路96によって行われる。
ステップSA3では、経過時間TN1を超過するかどうかの判定を行う。
ハンバーグを焼く場合、ハンバーグの分量(重量)、焼く時間、焼く火加減、の3つが重要であるが、所定の分量(例えば、300g)のハンバーグを標準火力(例えば1000W)で加熱調理する場合の、標準的な時間が「7分間」であるとすると、前記経過時間TN1は例えば5分間である。
経過時間TN1の利用目的が、ハンバーグを途中で上下反転させる(ひっくり返す)タイミングの目安を知ることにある場合、上記の例では、5分経過時点の報知FA1によって、上下反転のタイミングを、ユーザーは知ることができる。なお、実際の報知内容は、例えば「加熱開始から5分経過しました。あと2分で加熱終える予定です」である。
なお、その他の連携調理モードの場合では、例えば、途中で水や調味料、調理液を加えるタイミングを知ることもできる報知となる。
経過時間TN1を超過した場合、ステップSA3は「Yes」となり、ステップSA4に進み、第1の参考情報(参考情報1)FA1の報知が音声合成装置95によって行われる。
また、これと同期して、左側表示部31Lによって、参考情報1(FA1)を表示しても良い。
このステップSA4の後で、ユーザーが左加熱部17HLの加熱動作を停止するかどうかの判断が行われ(ステップSA5)、停止指令があった場合には、ステップSA6に進む。
ステップSA6では、左加熱部17HLによる加熱動作が停止される。図59で説明したように、「鍋が熱くなっています。やけどに注意して、食品を庫内に入れてください」という趣旨の音声報知F13が行われる。
ユーザーが被調理物(この場合は、ハンバーグ)を、前記加熱室113の内部に移動させる。この場合、誘導加熱で使用した金属製の鍋は使用しない。代わりに耐熱性の高いプラスチックや磁器、ガラス等で形成されている食器や、専用の受け皿145(図示せず)を使用する。そのような食器や受け皿の中にハンバーグを入れて加熱室113の中に置く。
加熱室113のドア114が閉じた状態にあることが統合制御装置MCで検知されると、次のステップSA7では、図59で説明したように、「スタートボタンでレンジグリルの加熱を開始します」という趣旨の音声報知F14が行われる。
ユーザーが、入力キー43MSを操作すると、ステップSA8は「Yes」となり、調理工程2として、レンジグリル調理が開始される。
図59で説明したように、「レンジグリル仕上がり標準を始めます」という内容の音声報知F15が行われる(ステップSA9)。
次のステップSA10では、レンジグリルの加熱源となるマイクロ波加熱源189が、標準火力で駆動される。例えば、前述したように出力500Wで運転開始される。
また、レンジグリルの加熱源となるオーブン加熱源188の、上部ヒータ163Aが1000Wで通電開始される。
次に、前記ステップSA10の時点からの経過時間TN2の計測が開始される(SA11)。そして経過時間TN2を超過したことが判定される(ステップ:SA12)と、ステップSA13に進み、第2の参考情報(参考情報2)の報知が音声合成装置95によって行われる。また、これと同期して、統合表示部30によって、参考情報2(FA2)が表示される。
参考情報2(FA2)の報知内容は、例えば、調理工程2が開始された時点から所定の時間を経過したことである。調理工程2の標準的な時間が例えば5分間であった場合、経過時間TN2を、4分30秒に設定しておくと、調理工程2の終了より30秒前で、調理工程2の終了を知ることができる。
一般に、食材がある程度加熱されると、食材の加熱度合いが急速に進行すると言われている。特に、その食材を使った加熱調理に慣れていない場合には、過加熱となる懸念がある。そこで、調理工程1では、その終了よりも前の時点で参考情報1(FA1)を報知している。
同様に、調理工程2では、その終了よりも前の時点で参考情報2(FA2)を報知している。このため、ユーザーに対して調理の終了や次の工程への注意や準備を促すことができる。
この後、次のステップに進む。
この後、図59に示したF16の報知が行われる。つまり、前述したように時間ボタン(入力キー43M2)で調理時間を延長できることが報知される。また、取消ボタン(入力キー43MT)を操作すれば、連携調理モードによる「ハンバーグ」の調理工程を全て終了することになる。
図62は、連携調理モードとして、「からあげ」を選定し、調理工程1を、「レンジグリル制御メニュー」(RG制御メニュー)で行う。調理工程2は、例えば左加熱部17HLを使用する場合である。
また、この図62の例では、調理工程3もあり、その工程は、「レンジグリル制御メニュー」(RG制御メニュー)で行う。
図62は、図60に示した連携調理モードの各種工程に対応したフローチャートである。
図60で説明したように、調理工程1を開始(A23)すると、例えば「レンジ、仕上がり標準を始めます」という音声報知F24が行われる。この場合の「仕上がり標準」とは、火力が標準レベルであるという意味である。例えば、マイクロ波出力500Wによって加熱動作が開始される(ステップ:SB1)。
次のステップSB2では、加熱室113や被調理物の温度の計測が開始される。つまり、から揚げの元となる鶏肉の上昇温度TN3の計測が開始される。
この温度TN3の計測は、温度検出回路93によって行われる。
次のステップSB3では、上昇温度TN3を超過したかどうかの判定を行う。
「からあげ」の食材となる鶏肉をマイクロ波で加熱すると、温度が上昇するので、この温度の計測結果が所定の上昇温度TN3になったかどうかを判定する。
からあげの分量(重量)、焼く時間、火加減の3つに起因して温度TN3の上昇速度は変化する。所定の分量(例えば、300g)の「からあげ」の材料を標準火力(例えば出力500Wのマイクロ波)で加熱調理する場合の温度上昇パターンは、事前の実験結果等から統合制御装置MCが制御データとして保有している。
つまり、統合制御装置MCは、標準的なマイクロ波出力(500W)で仕上げる場合、ある温度まで上昇して、その温度で加熱を継続した場合が良いというデータを保有している。そこで、その上昇温度(TN3)まで上昇した時点を、ユーザーに報知することにしている(ステップ:SB4)。
ユーザーは、からあげの(マイクロ波)加熱を終了させるタイミングが近づいていることを、参考情報3(FA3)の音声報知によって事前に知ることができる。なお、これと同期して、統合表示部30の参考表示3によっても知ることができる。
このステップSB4の後で、マイクロ波加熱は(調理時間超過により)自動的に停止される。なお、ユーザーが途中で停止させても良い。例えば、上昇温度TN3まで上昇してから1分後に、統合制御装置MCがマイクロ波加熱制御部130を経由してマイクロ波加熱源189による加熱動作を停止するという制御プログラムであった場合、上昇温度TN3まで上昇したことの参考情報3の報知を受けてから、1分間経過前に任意に加熱動作を停止させても良い。
この後、誘導加熱部17Hを使用する調理工程2に進む。このためには、ユーザーが加熱室113の中の被調理物を、トッププレート15の上まで移動させる必要がある。この点については、図63で説明する。
図62において、ステップSB7は、調理工程2における参考情報4(FA4)の報知である。これは、誘導加熱部17Hで予熱が完了した以降に、ユーザーが被調理物を予熱で高温になった被加熱物Nに載せた時点からの、経過時間TN4又は上昇温度TN4で判定する。
このステップSB8では、ユーザーが入力操作部40の入力操作を全く行わない。単に被調理物を移動させるだけである。そのため、経過時間TN4の起点は、被加熱物Nの温度が低下したタイミンングを検知した情報を採用する。被調理物の載置、投入で被加熱物Nの温度は、一旦急激に低下するので、その時点を温度検出回路93で検知し、この検知時刻からの経過時間をカウントすれば良い。
この後のステップSB8は、調理工程2を終えた後の、調理工程3を加熱室113で行うための指令を判定する場面である。ユーザーが、図60に示したA26の操作を行う。そのためには、入力キー43MSを押す必要がある。
なお、このステップSB7の前には、トッププレート15の上で誘導加熱(調理工程2)を行った被調理物を、ユーザーが再び加熱室113に戻す作業が必要がある。この点については、図63で説明する。
次のステップSB9では、「レンジグリル制御メニュー」(RG制御メニュー)の調理工程3が開始される。
F26の報知は、前述したように、レンジグリルの調理が終了した後で、再度レンジグリルの調理を行うものことを知らせるものである。例えば「レンジグリル、2分を始めます」という報知が行われる。
次のステップSB10では、経過時間TN5の計測が開始される。つまり、調理工程3の開始時点からの経過時間TN5の計測が開始される。
この経過時間TN5の計測は、時計回路96によって行われる。
次のステップSB11では、経過時間TN5を超過したかどうかの判定を行う。
調理工程3を開始する前の段階(ステップSB8よりも前の段階)で、例えば、「レンジグリル制御メニュー」(RG制御メニュー)の調理を、2分間行うことを設定した場合、前記経過時間は、例えば1分30秒に設定されている。言い換えると、調理工程3が終了する30秒前に設定されている。
経過時間TN5を超過した場合、ステップSB12に進む。
ステップSB12では、参考情報5(FA5)が音声で報知される。参考情報5は、例えば、「あと30秒で加熱終了します。更に延長する場合には、時間を設定して下さい」等の案内が行われる。また、最終的な調理工程を終えることが分かるので、ユーザーは、「からあげ」を加熱室113から取り出すための準備を、この参考情報5の報知の時点から開始できる。また、これと同期して、統合表示部30によって、参考情報5(FA5)が表示される。
次のステップSB13では、調理工程3が自動的に停止される。
また図60に示したF25の報知も行われる。この報知は、レンジグリルの調理が終了した際の、ユーザーの操作に関するものである。例えば「レンジグリルの調理が終わりました。時間ボタンで調理を延長できます。庫内から食品を取り出してください」という内容である。なお、調理工程3の停止は、ユーザーが入力操作部40を操作しなくとも、ドア114を開ければ良い。
次に、図63について説明する。
この図63は、連携調理モードで「からあげ」を行った場合の動作ステップを示した図60と図62に対応したタイムチャートである。
図の中で、#1~#9は、ユーザーの操作や加熱調理器1の状態変化を示したものである。その他の符号は、図60と図62に対応している。
図63において、ユーザーが「からあげ」を調理するために、調理工程1を始める前に、最初に左加熱部17HLを選択し、入力キー43L1を押す(図60の操作A21)。そしてトッププレート15上に置いた被加熱物Nの予熱を開始する。この場合の被加熱物Nは、天ぷら用の金属製鍋であり、食用油を一定の量以上入れておく。
一方、ユーザーは、加熱室113のドア114を開けて、「からあげ」の食材(味付けした鶏肉など)を、加熱室113の中に入れる(#1)。
そして、ドア114を閉めた後、「スタートボタン押下」と呼んでいる操作A23を行う。これは、中央操作部40Mの入力キー43MSを押すことである。
この時点でマイクロ波加熱源189が動作してマイクロ波加熱調理の調理工程1が開始される。すると、図62のステップSB1~SB3を経由して、参考情報3の報知が行われる(図62のSB4)。
また、この調理工程1の間に、左側誘導加熱部17HLの予熱は完了する(例えば、前記被加熱部Nは、予熱の標準温度である180℃まで加熱された状態になる)。この予熱完了は、報知部ANによって音声と文字等でユーザーに知らされる(#2)。
ユーザーは、調理工程1の途中で、任意のタイミングでマイクロ波加熱調理を停止できる。停止するためにはドア114を開ければ良い。なお、中央操作部40Mの入力キー40MTを押すと、連携調理モードの「からあげ」の選択がキャンセルされてしまう。
ドア114の開放によって即時にマイクロ波加熱動作は停止され、調理工程1が終了する(#3)。
次に、ユーザーは、加熱室113の中で加熱された食材を、今度はトッププレート15の上で予熱されている被加熱物Nの中に移動する(#4)。
そして、左加熱部17HLで調理工程2を開始する(#5)。
調理工程2では、予熱を始める前の最初に、左操作部40Lの入力キー43L1(図23参照)を押しているので、その時点で左操作部40Lから誘導加熱の開始指令が統合制御装置MCに送られる。
調理工程2の開始(#5)は、ユーザーは入力操作部40を特に操作する必要はない。
調理工程2の終了は、ユーザーが左操作部40Lを操作すれば、任意のタイミングで終了することができる。
次に、ユーザーは、ドア114を開放して加熱室113の中へ、被調理物を入れ、ドア114を閉める(#6)。
そして、中央操作部40Mの入力キー43MSを押して、レンジグリル制御メニュー(RG制御メニュー)の調理工程3を開始する。
5
加熱室113におけるレンジグリル駆動部による調理工程3が、ユーザーの操作入力(図60のA26)により開始された時点から所定の時間(第5の時間TN5)を経過した時点で、参考情報5(FA5)の報知が行われる。
前記参考情報5(FA5)は、例えば「あと30秒で加熱終了します。更に延長する場合には、時間を設定して下さい」等の案内を含んだ情報である。また、最終的な調理工程を終えることが分かるので、ユーザーは、からあげを加熱室113から取り出すための準備を、この参考情報5の報知の時点から開始できる。また、これと同期して、統合表示部30によって、参考情報5(FA5)が表示される。
その後、マイクロ波加熱動作は停止され、調理工程3が終了する(#7)。なお、この調理工程3は、ユーザーがドア114を開ければ、即座に停止できる。
そして、この後にユーザーは、加熱室113の中で加熱された食材を、今度はトッププレート15の上で予熱されている被加熱物Nの中に移動する(#8)。なお、この場合、誘導加熱によって前記被加熱物Nが加熱された状態に維持されているので、更に誘導加熱(調理工程4)しても良い(#9)。この場合、既に被加熱物Nが予熱されている状態なら、そのまま被調理物をトッププレート15の上の被加熱物Nに移動するだけで良い。
誘導加熱調理は、左側操作部40Lを操作して終了することができる。つまり、ユーザーの操作A28は、左加熱部17HLに対応した左側操作部40Lの入力キー43L1を押すことである。
次に、図64~図66について説明する。
図64は、連携調理モードへ移行する前の統合制御装置の制御動作を示すフローチャート1である。図65は、連携調理モードへ移行するまでの、統合制御装置の制御動作を示すフローチャート1である。図66は、連携調理モードへ移行する前の許可条件と、判定結果を示す説明図である。
図64について説明する。ステップST2~ST4は、図37で説明したので、簡単に説明する。
ステップST2は、IH制御部90が、異常の有無を判定するステップである。加熱室制御部159及びマイクロ波加熱制御部130の異常有無も、統合制御装置MCにより異常有無の診断が行われる。
ステップST3の段階では、統合表示部30が起動され、「異常がないので、調理を開始できること」旨を表示する。なお、この段階で、統合制御装置MCは、総電力消費量の上限値について入力操作部40から設定指令を受けているかどうかも確認する。
ステップST4では、統合制御装置MCが、統合表示部30と音声合成装置95によって、加熱手段の選択を促すための報知と、音声ガイドを行う。
このステップST4では、統合表示部30には、初期画面(表示画面1~表示画面3)が表示され、また注意情報の表示も行われる(図45参照)。
そして、入力キー43MC以外の入力キー(例えば、43M1)が操作されたかどうかを判別する(STC)。入力キー43MCが操作されていた場合は、ステップSTCは「No」となり、ステップSTR1に進む。ステップSTR1では、「許可条件」を満たすかどうかについてチェックをする。例えば、連携調理モードで使用される加熱源の使用状態をチェックする。
この許可条件と判定結果については、後で図66を参照しながら詳しく説明する。
ステップSTCでは、最初の入力操作をチェックする。例えば、入力キー43MCが押される前に、個別操作部である左操作部40L又は右操作部40Rによる、個別加熱調理が選択されたかどうかを判別し、また中央操作部40Mによって複合調理モードが選択されたかどうかを判別する。
一定の猶予時間(例えば30秒間)内に、最初に入力キー43MCの操作が行われた場合には、前述したように「連携調理モード」の表示が開始される。
一方、入力キー43MCの操作が行われず、入力キー43M1がタッチ操作された場合には、ステップSTCは「Yes」の判定となり、ステップST5に進む(図37参照)。
図64において、ステップSTR1とSTR2は、連携調理モードによる調理を許可するかどうかを決定する「許可条件」の判定ステップである。
ステップSTR1は、「許可条件1」を判定する段階である。
ここで「許可条件1」とは、
(1)前記ピークカット値設定が5000W以上であること、
(2)外部のホーム・ゲートウエイ411から受信した電力削減指令信号がある場合、その削減指令のピークカット値が5000W以上であること、
の2つであり、この2つを満たせば、ステップSTR1は「Yes」判定になる。
次のステップSTR2における「許可条件2」とは、以下の3つである。
(1)誘導加熱源9において、中央加熱部を設けた場合、当該中央加熱部が加熱動作中ではない。
(2)オーブン加熱手段188又はマイクロ波加熱手段189の一方又は両方が加熱動作中ではない。
(3)誘導加熱源9の右加熱部と左加熱部の両方とも加熱動作中ではない(又は、一方だけが加熱動作中である)。
以上の3つを満たせば、ステップSTR2は「Yes」判定となる。そして、STR3に進む(図65参照)。
前記ステップSTR1とSTR2で「No」の判定になった場合は、ステップSTR12に進み、連携調理モードは選択できないことを前記統合表示部30や音声合成装置95によってユーザーへ知らせる。
ここで、前記「許可条件1」に「5000W以上」であることと規定している意味について説明する。なお、説明を簡単にするため、以下の説明では、加熱源以外の電気部品、例えば上部冷却ファン60等の消費電力については、特に言及しない。
連携調理モード実施の際の必要デマンド(電力需要量の事前確保)が5000W以上必要な理由は、連携調理モード実行時の、各加熱手段動作時の最大(瞬間)電力が、以下の通りであるためである。
(1)レンジ動作(マイクロ波加熱源189):1000W
(2)オーブン動作:2000W(上部ヒーター:1000W、下部ヒーター:100
0W)
(3)レンジグリル動作:1500W(マイクロ波加熱源189:500W、上部ヒー
ター:1000W)
一方、連携調理モードの自動制御メニュー(揚げ物、適温の2種類)の最大電力は1500Wである。
このため、連携調理モードでは、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源189と、誘導加熱源9が同時に動作する場合がある。
つまり、マイクロ波加熱源189の「1000W」と、オーブン加熱源188の「1000W(2000Wは、1000Wずつ、交互通電)」と、誘導加熱源9の「1500W」の3者の合計で、最大電力は3500Wになる。
デマンド(電力需要量の事前確保)が5000Wの場合:
右加熱部17HRで3000Wの加熱(通常加熱)をしているとき、デマンドの残りは2000Wとなる。
この状態から連携調理モードを実施すると、連携調理に必要な電力3500Wに対して、残りのデマンドが1500W足らないので、右加熱部17HRの火力を1500Wに落として連携調理を開始することができる。
デマンド(電力需要量の事前確保)が4000Wであった場合:
右加熱部17HRで揚げ物(最大1500W必要)をしているとき、デマンドの残りは2500Wとなる。
この状態から連携調理を行うと場合、連携調理に必要な電力3500Wに対して、残りのデマンドが1000W足らないので、右加熱部17HRの火力を落とする必要がある。しかしながら、自動制御メニューを実行中に火力を落とした場合、調理がうまくいかなくなってしまうため、自動制御メニューの火力は落とせない。
結局、4000Wでは、自動制御メニュー(揚げ物、適温の2種類)の必要火力を確保できないことになる。
以上の説明から明らかなように、連携調理モードを開始する前に、連携調理に必要な電力(3500W)と、右加熱部17HR又は左加熱部17HLの自動制御メニューに必要な電力(1500W)の合計値である5000Wのデマンド(電力需要量の事前確保)があるかどうかを判定(確認)する必要がある。
次に図65について説明する。
この実施の形態1の連携調理モードでは、最初に誘導加熱源9を駆動させ、その次にマイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188を駆動するパターン(第1の連携調理モード)(図54参照)がある。
これとは逆の順番の第2の連携調理モードもある。
この図65のステップは、第1の連携調理モードと、第2の連携調理モードの両方に共通のものである。
ステップSTR3では、統合表示部30に第1特定画面30SPを表示し、連携調理モードの情報を表示する。図53に示したように、個々の連携調理モードの識別情報の1種として「被調理物の名称」(例えば、「ハンバーグ」)330を表示する。
次のステップSTR4では、入力キー43M1が操作されたかどうかを判定する。図53で説明した通り、前記した2つの入力キー43M1を操作することにより、連携調理モードで調理できる被調理物(例えば、ハンバーグ)の名称を示す識別情報330は、順次上方向又は下方向に移動する形で表示が変化する。この実施の形態1では、全部で被調理物の種類が8個あるため、図53の状態で、例えば左側の入力キー43M1を1回操作すれば、識別情報330は「ハンバーグ」から「グラタン」に切り替わる。
入力キー43M1の操作が(一定時間内に)なければ、ステップSTR5は「Yes」と判定され、次のステップSTR5に進む。
ステップSTR5は、前記第1特定画面の中に2つ表示された加熱部特定部333R、333Lの何れか1つを選ぶステップである。ユーザーが、左右に1対ある入力キー43M1を操作すれば、加熱部特定部333R、333Lの何れか1つを選択できる。
なお、右加熱部17HRをデフォルト設定しておいて、加熱部特定部333Rが第1特定画面30SPに最初に表示させ、そのままステップSTR7まで進むようにしておいても良い。図53で説明した例では、連携調理でハンバーグを行う際には、逆に左加熱部17HLがデフォルト設定されてあり、左側加熱部17HLを優先的に選択するように、加熱部特定部333Lが表示されていた。
次のステップSTR6では、連携調理モードの選択を取り消すための入力操作がされたかどうかを判定する。入力キー43MTが操作された場合には、「No」と判定され、ステップST4(図64参照)に戻る。
一方、入力キー43MTが操作されていない場合には、「Yes」と判定され、次のステップSTR7に進む。
入力キー43MSが操作された場合、動作プログラム通り、ステップSTR8に進む。
ステップSTR8では、前記第1特定画面30SPの中に、最終的に選択された加熱部(例えば右加熱部17HR)やマイクロ波加熱時の出力値が500Wである等、制御条件を表示して、次のステップSTR9に進み、この段階から連携調理モードに移行する。つまり、この後は、入力キー43R1を押せば、連携調理モードの調理に自動的に進む。
ステップSTR8の第1特定画面30SPの表示内容としては、最初の調理工程1は、右加熱部17HRを使用し、次の調理工程2では、マイクロ波加熱源189が使用されること等の工程情報が、工程表示部332に表示される。これら表示画面の内容と変遷については、後で詳しく説明する。
連携調理モードに移行した場合、右操作部40Rの入力キー43R1を押した時点から、誘導加熱調理が開始される。なお、即時、誘導加熱が開始されないことは、図38で説明した通りである。なお、ステップSTR9から先は、図38に示したステップMS4である。
なお、ステップSTR7において、入力キー43MSが操作されていない場合には、「No」と判定され、ステップSTR3に戻る。なお、入力キー43MCの操作が行われた時点から例えば30分間経過しても、ステップSTR3~STR7の間を巡回している状態の場合には、自動的に主電源を切るか、又は前記ステップST4(図64参照)に戻るようにしても良い。
次に図66について説明する。
この図66は、図64のステップSTR1とSTR2の判定処理を示したものである。
ステップSTX1は、入力キー43MCを操作した段階である。
次のステップSTX2は、前記した許可条件1と許可条件2に対して、統合制御装置MCが加熱調理器の最新状態を調査した段階である。
次のステップSTX3は、図64のステップSTR1とSTR2に相当する判定処理の段階である。このステップSTX3では、前記した許可条件1と許可条件2に対して、統合制御装置MCが加熱調理器の最新状態と比較し、許可条件1と許可条件2を満たす状態であるかどうかを判定する。
この図66のステップSTX3において、報知1~報知4は、音声合成装置95によってユーザーに報知される内容を示している。
また、表示1~表示4は、統合表示部30において表示される内容を示している。なお、この表示1~表示4は、図65のステップSTR3の時点から表示される第1特定画面30SPで表示するものではなく、第1特定画面30SPが表示されていない統合表示部30において表示するものである。つまり、第1特定画面30SPは、連携調理モードに移行する前提(許可条件1と許可条件2)を満たさない限り、表示されない。
次に図67について説明する。
図67の制御形態は、図65の(第1の)連携調理モードとは別の(第2の)連携調理モードの場合である。この図67の連携調理モードで使用される加熱源は2つあり、最初に使用されるのはマイクロ波加熱源189であり、その次に使用される加熱源は、誘導加熱源9の左加熱部17HLである。この図67の制御形態が図65のものと大きく異なっている部分は、ステップSTR11である。
前述したレンジグリル調理(複合調理)メニューの「あたため」(レンジ自動)では、非接触(赤外線)温度計測部158が加熱室113内の被調理物の温度や加熱室113の壁面温度を検知して、「目標温度」に到達した段階で自動的にマイクロ波の発振を停止する。そのため、以前行った調理時の熱が加熱室113の内部に残っていて温度が最初から高い場合には、マイクロ波加熱を自動で行うことを統合制御装置MCで禁止している。なお、ここでいう「目標温度」のデフォルト値は80℃であるが、これを中央操作部40Mによって更に高温側に設定したり、低温側に設定したりすることができる。
ステップSTR11は、そのように加熱室113の温度が基準温度(例えば70℃)よりも高い場合には、温度計測部158が早期に高温度を検知し、加熱調理が不完全な状態でマイクロ波加熱を停止してしまう懸念がある。
そこで、この図67に示す制御では、加熱室113の温度が基準温度を超過している場合には、その時点で連携調理が実行できないことを、右側表示部31Rと左側表示部31Lで表示する(STR12)。さらには、統合表示部30でも表示しても良い。また、音声合成装置95によって音声で報知すると更に確実である。なお、左右の表示部31L、31Rで表示したのは、この段階ではまだユーザーが左右の加熱部17HL、17HRの何れも選択していないからである。
また、許可条件1と許可条件2を満たした場合に表示される第1特定画面30SPも、この段階では表示されていないので、右側表示部31Rと左側表示部31Lで表示することに加えて、あるいはそれに代えて、統合表示部30で表示しても良い(STR12)。
言い換えると、図64と図66では、第1の条件(許可条件1)と第2の条件(許可条件2)で、連携調理モードへの移行可否を決めていたが、この図67におけるステップSTR11は、第3の条件(許可条件3)に相当するといえる。
このようにして、連携調理モードの選択段階で、最初に使用する加熱源(この場合は、マイクロ波加熱源189)が、使用できないことをユーザーに報知することができる。
なお、ステップSTR12の段階で、加熱室113の温度が高すぎて調理開始できないことを表示又は報知する際に、ドア114を開ければ加熱室113の温度が早く下がることなど、ユーザー側に有益な情報を合わせて伝えるようにしても良い。
図68は、連携調理モードの実行途中において、連携調理とは関係なく、左加熱部17HLを使用する場合の、統合制御装置MCの制御動作を示すフローチャートである。
この図68の実施の形態1においては、連携調理モードで使用される加熱源は、図57で説明したように、最初が誘導加熱源9の右加熱部17HRであり、その次に使用される加熱源は、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188である。
上記連携調理モードの調理工程が、既にマイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188の加熱段階に進んでいる段階で、ユーザーが別の調理を行うため、左加熱部17HLを使用したいと思って、左操作部40Lを操作した場合、その操作信号を統合制御装置MCが受信する(ステップSH1)。
次のステップSH2では、前記した「許可条件1」と同じように、例えば、総電力規制値の5000Wを超えるような使用にならないことが判定される。
ステップSH2で「No」の判定を受けると、ステップSH8に進み、左加熱部17HLを使用した場合の最大電力量と、連携調理中の加熱源(マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188)の電力量との合計値が、電力制御部72の規制値を超えないように、例えば、左加熱部17Hの最大火力値を制限し、その制限値を報知部ANによってユーザーに報知する。
一方、連携調理モードの調理を実行中である加熱源の状態から、左加熱部17HLで使用する電力(誘導加熱の火力)を下げることでも、許容された総電力量を超えてしまう場合には、ステップSH8では左加熱部17HLの不許可処理が行われる。具体的には、左側表示部31Lにおいて使用できないことの表示が行われ、また音声合成装置95によって音声で報知される。使用できない理由は、音声合成装置95でも報知される。
次のステップSH3では、ユーザーの入力操作結果を分析し、禁止された制御メニュー(以下、「禁止制御メニュー」という)に該当しない「許可の制御メニュー」であるかどうかを判定する。
「禁止された制御メニュー」とは、使用する(調理に必要な)電力量のことを考慮して事前に決めてあり、例えば、図44で説明した「(自動)揚げ物」と、炊飯の2つが指定されている。
(自動)揚げ物と炊飯の何れも、調理工程の中で大きな電力を使用する場面が想定される制御方法を採用するため、その電力の確保のために、連携調理モードの実行中の加熱源(マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188)の電力供給に支障が出る懸念がある。
以上のような理由から、ステップSH3では「許可の制御メニュー」に該当するかどうかの判定が行われる。例えば、許可された制御メニューの1つである、「湯沸かし」であるかどうかのチェックが行われる。
ステップSH3では、「許可の制御メニュー」に該当しないと判定した場合、前記した不許可処理が行われ、使用できないことの報知が行われる。
ステップSH3で「Yes」の判定を受けると、ステップSH4に進み、左加熱部17HLのIHコイル17Lの駆動形態が自動的に決定し、ユーザーが設定した火力値又はIH制御部90が選定した火力値等が決定される。なお、この後、入力キー43L1が押されると次のステップSH5に進む。
次にインバーター回路81Lの駆動が開始され、誘導加熱調理が開始される(SH5)。この後、ユーザーからの停止指令が入力キー43L1であるかどうかの監視が行われ(SH6)、停止指令を受けた場合には、即時に誘導加熱動作を停止する。そして、左側表示部31Lで、調理の終了が表示される。また、音声合成装置95によって音声で調理終了が報知される(SH7)。
ステップSH8は、許可される条件(例えば、火力を下げること)への変更ができる場合は、変更を行って報知する。
また、使用したい左加熱部17HLに使用許可できない理由がある場合には、不許可の報知をする。そして変更処理できた場合は、ステップSH2に戻る。
図69は、1つの連携調理モードの調理工程で、最初に使用した加熱源の加熱を終えた段階で、追加の加熱を行う場合の、統合制御装置MCの制御動作を示すフローチャートである。
この図69に示した制御は、連携調理モードで、2番目に使用されるマイクロ波加熱源189を、ユーザーが設定した時間(例えば、5分間)だけ駆動する調理の場合である。説明の都合上、オーブン加熱源188の動作については省略する。
この図69に示す実施の形態1においては、連携調理モードの調理工程1で使用される加熱源は、図65で説明したように、デフォルト設定されている右加熱部17HRである。その次の調理工程2で使用される加熱源は、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188である。
ユーザーが、図65で説明した1つの連携調理モードによる調理工程2を行うため、マイクロ波加熱源189を使用する場面について説明する。
右加熱部17HRでの調理工程1を終えたあと、次に中央操作部40Mの入力キー43MSを操作した場合、その操作信号を統合制御装置MCが受信する(ステップSJ1)。
次のステップSH2では、インバーター回路121Aの駆動が開始され(SJ2)、タイマー調理(この場合、5分間)の設定時間の計測を開始する(SJ3)。
マイクロ波加熱の出力値は、デフォルト値のまま(500W)であるが、ユーザーが中央操作部40Mを操作して、火力の変更もできる(SJ4、SJ5)。
一方、オーブン加熱源188を構成する上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bは、加熱室制御部159によって通電が開始される。
この実施の形態1では、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの通電開始は、マイクロ波加熱源189のマグネトロン122の発振動作開始と同時である。
そして、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bは、前記マグネトロン122の発振中に通電が行われる。言い換えると、被調理物は、マイクロ波と電気輻射熱によって同時に加熱される(調理工程2)。
以上の通り、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの通電期間は、マイクロ波加熱期間と同一であるので、以下の説明では、マイクロ波の加熱時間だけについて説明し、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの加熱時間の説明を省略する。
ステップSJ6では、マイクロ波加熱の停止を指令する入力キー43MTが操作された場合(SJ6)、インバーター回路121Aの駆動を停止し、時間計測もリセットされる(SJ7)。
加熱停止を指令する入力キー43MTが操作されない場合、タイマー調理の設定時間内に、ステップSJ4~SJ6、SJ10が繰り返し行われる。タイマー調理の設定時間が経過した場合、ステップSJ7に進む。
ステップSJ8では、一旦停止したマイクロ波加熱調理を、更に所定時間又はユーザーが指定した時間だけ実行するかどうか、ユーザーに判断してもらうための表示を行う。具体的には、統合表示部30の第1特定画面30SPに、例えば「時間を延長して加熱しますか? 延長する場合、時間キーを押して下さい」のように文字で表示する。
このような延長を認めている理由は、被調理物の加熱状態を見た結果、まだ加熱が不足しているとユーザーが判断した場合、迅速に加熱(この場合、マイクロ波加熱と電気輻射式加熱)を再開し、被調理物をより良好な状態に仕上げるためである。
ユーザーが中央操作部40Mの入力キー43MSを押した場合、その操作信号があったことをステップSJ9で判定し、操作信号があった場合には「Yes」の判定を行う。
そしてステップSJ3に戻る。なお、入力キー43MSを押す前に、入力キー43M3を1回操作した場合には、固定時間(例えば3分間)だけ調理時間が延長される設定、又は入力キー43M3を1回押したら3分間、2回続けて押したら5分間のように、プログラムを設定しても良い。また、再度加熱調理が開始されても、入力キー43MTを押せば、即時に加熱動作を停止できる。
一方、ユーザーが中央操作部40Mの入力キー43MSを押さない場合(例えば、「保留時間:15秒」以内に押さない場合)、ステップSJ11に進み、連携調理モードの最終調理工程の動作を終了する。そして、その旨、統合表示部30で表示し、また音声合成装置95でも報知動作をする(SJ11)。なお、ステップSJ8からドア114の開放が1回も行われず、前記保留時間を経過した場合には、音声合成装置95で警報を出して、ユーザーに注意喚起しても良い。
前記統合制御装置MCは、連携調理モードの調理工程を終えた場合、前記マイクロ波加熱源9と前記マイクロ加熱源及びオーブン加熱源188が動作した制御条件を、前記記憶装置MMに時系列で自動的に記憶する(この記憶時に、調理工程の終了日時が同時に記録される)。そして、その後、中央操作部40Mから、所定の指令信号を受けた場合、その記憶した直前の連携調理モードと制御条件を前記記憶装置MMから呼び出して統合表示部30に表示させ、次の連携調理モードの実施に利用する再現機能を有している。なお、直前の1回の連携調理モードだけではなく、過去数回又は一定の期間(例えば、1ケ月)における全ての調理履歴を(調理実施日時の情報も含めて)呼び出し、その中から所望のものをユーザーが選択するという構成にしても良い。入力キー43KPを押して、「機能モード」に切り替えれば、ユーザーが調理履歴の再現性について、色々と設定できる。
なお、上述したように、RG調理工程の開始によってオーブン加熱源189についても通電が開始されているため、統合表示部30には、このオーブン加熱源189単独での加熱時間の延長を行うかどうかの情報を表示しない。しかしながら、最初にマイクロ波加熱源189を動作させ、その後オーブン加熱源188を動作させるシーケンスである場合には、あるいはこの逆の順番で動作させる場合には、マイクロ波加熱の時間延長とオーブン加熱源188の時間延長を、別々に設定できるようにしても良い。
(連携調理時の表示と入力操作部)
次に図70~図97について説明する。
これら図面は、連携調理モードを選択した場合の、入力操作部40と表示部(統合表示部30・左側表示部31L)の制御動作を示すものである。
図70は、連携調理モードを選択した場合の、入力操作部40と表示部(統合表示部30・左側表示部31L)の制御動作を示す平面図である。
図中、符号FGは、ユーザーの指先である。
中央操作部40Mの入力キー43MCを押すと、統合表示部30には図70に示すように、第1特定画面30SPが表示され、連携調理メニューに含まれている3つの識別情報330、330A、330Bは、被調理物の「ハンバーグ」、「グラタン」、「ローストビーフ」の3つに、それぞれ対応している。これらの識別情報330、330A、330Bは、同時に表示される。
図70と次の図71では、第1特定画面30SPには、工程表示部332の図示を省略している。
識別情報330の右側には、付加情報331が表示されている。図70と図71の例では、前記付加情報331は「左加熱部17HLにおいて誘導加熱が開始できること」を表示したものである。
入力キー43MSと近接している個別発光部27M6は、図70に破線の円で示すように点滅しており、ユーザーにこの入力キー43MSを操作するように誘導している。
一方、連携調理モードにおいて最初に使用される加熱源が、誘導加熱源9であり、その左加熱部17HLである場合には、この図70に示すように、発光表示部27L2と27L3が発光する。
そして、入力キー43MSを操作すると連携調理モードに移行する。その際に、入力キー43L1は、入力機能が有効になっているので、この入力キー43L1を押すと、左側加熱部17HLでの加熱調理が実行される。
同時に、左加熱部17HLにおける誘導加熱調理時の火力段階を示す火力表示部67Lが点灯する(点灯する火力表示部の数は、デフォルト値によって決まっている)。
仮に、連携調理モードを実行中に、この左加熱部17HLを個別に使用する操作を行った場合でも、前記したように統合制御装置MCによって左加熱部17HLの動作が禁止された場合には、図70に示しているような、発光表示部27L3の発光もない。また火力表示部67Lも点灯していない。
更に上記のように、連携調理モードの途中で、連携調理モードとは関係ない調理のために、左加熱部17HLを一時的に使用する操作があっても、左加熱部17HLを使用できないことは、統合表示部30の第1特定画面30SPの中に参考情報として表示される。例えば、「連携調理中のため、左IHは使えません」という表示や、「連携調理中のため、左IHと加熱室は現在使えません」という表示がされる。
以上の説明から明らかなように、連携調理モードの実行を開始させる操作部(入力キー43MS)は、トッププレート15の上面において左右の中央部に存在するため、ユーザーの目線は自然と中央へ集まる。そして、連携調理モードの選択や、調理開始までの誘導表示も中央部の統合表示部30で集中して行っている。
更に、最初の加熱源である左加熱部17HLの調理工程1を終えた段階で、次の加熱源に進むための入力キー43MSも、中央操作部40Mにある。
つまり、連携調理モードの選定、最初の調理工程1の開始、次の調理工程2の開始という主要な入力操作は、全て加熱調理器1の前方の左右中央部(中央操作部40M)で集中して行える。
次に図71について説明する。
図71は、加熱調理器1の連携調理モードを選択した場合の、中央操作部40Mや左操作部40Lの操作や、第1特定画面30SPの表示内容を示す平面図である。
中央操作部40Mの入力キー43MCを押すと、統合表示部30には図71(B)に示すように、連携調理メニューに含まれている3つの識別情報330、330A、330Bが同時に表示される(表示画面8A)。
また、それらの識別情報330、330A、330Bの右側には、付加情報331が表示されている。この図71の例では、前記付加情報331は「左加熱部17HLにおいて誘導加熱が開始できること」を表示している。
左側の入力キー43M1を、更に1回押すと、統合表示部30の第1エリア30Lの中央に表示されていた被調理物の名称(ハンバーグ)が後方に移動し、代わりに前方に表示されていた「ローストビーフ」の識別情報が中央部に表示される(表示画面8B)。
左側の入力キー43M1を、以上のように1回押す度に、統合表示部30の第1エリア30Lに表示される(被調理物の名称を示す)識別情報330は、1つずつ一定の順番で更新される。
右側の入力キー43M1を押した場合には、1回押す度に図71(B)の表示画面8Dから表示画面8Cへ、というように逆回りで選択されることになる。
なお、この図71では、連携調理メニューが4つしか示されていないが、前述したように連携調理メニューは合計8個ある。これら表示画面8A~8Dは、全て第1特定画面30SPである。
次に図72について説明する。
図72は、加熱調理器の連携調理モードを選択した場合の、連携調理メニューの種類を示す説明図である。
図72から明らかなように、8つの連携調理メニューは、前記入力キー43M1の操作により順次、第1特定画面30SPの中に表示される。
次に図73について説明する。
図73は、連携調理モードを選択した場合の、統合表示部における第1特定画面30SPの表示内容を示す一覧表である。
調理工程を開始する直前段階での工程表示部332は、ハンバーグからグラタンまでの8種類に応じて、図73に示すように数種類ある。
また付加情報331については、付加情報Aと付加情報Bに示すように、連携調理モードの全体にわたり、統一されている。なお、付加情報Aと付加情報Bは、一定時間(例えば5秒間毎)に交互に表示される。
更に付加情報Bでは、使用する誘導加熱源9の加熱部について「変更できる」と表示しているのは、左加熱部17HLと右加熱部17HRの2つあるからである。
図74は、加熱調理器1の連携調理モードを選択した場合の、入力操作部40、統合表示部30、左側表示部31Lの制御動作と表示内容を示す平面図である。
中央操作部40Mの入力キー43MCを押すと、統合表示部30には図70と図71に示したように、第1特定画面30SPが表示される。
この第1特定画面30SPには、3つの連携調理モードの識別情報330が表示される。つまり、図74に示しているように、前記統合表示部30の第1エリア30Lの前後方向中央には「ハンバーグ」の識別情報330が表示される。同時に、付加情報331及び調理工程の表示部(調理工程情報部)332が、第1特定画面30SPに一覧状態で表示される。
統合表示部30に、連携調理モードの識別情報330を表示させた時点、つまり、第1特定画面30SPが表示された初期の段階では、右加熱部選択マーク334Rと左加熱部選択マーク334Lの何れか1つをユーザーが選択できるようにしている。
図74の例は、左加熱部17HLを推奨するようにデフォルト設定してある場合である。図74に示すように「左」と白抜きの文字で表示された左加熱部選択マーク334Lが、常に最初の第1特定画面30SPで表示される。
左右1対の入力キー43M2によって、右加熱部選択マーク334Rと左加熱部選択マーク334Lの何れか1つを選択できる。例えば、左側の入力キー43M2を押せば、左加熱部選択マーク334Lが選択でき、図74に示すように白抜きの文字に変化して、選択されたことを表示する。
逆に、図74の状態で、右側の入力キー43M2を押せば、右加熱部選択マーク334Lが選択できる。
統合表示部30に、連携調理モードの識別情報330を表示させた時点(図55参照)又は入力キー43MSを押した時点(図56参照)で、右加熱部17HRは、連携調理モードの実行のために占用状態となる。このため、右加熱部17HRは、他の制御メニューの設定を(統合制御部MCは)受け付けない状態となる。
そこで、ユーザーは、フライパン等の被加熱物Nを左加熱部17HLの上方に置き、入力キー43L1を押す。すると誘導加熱が自動的に開始される。なお、この入力キー44Lを押すという操作を省略し、入力キー43MSを押した時点から一定時間(例えば10秒間)経過後に、自動的に左加熱部17HLでの誘導加熱が開始されるように変更しても良い。
上記のように左加熱部17HLにおける加熱動作が開始された時点で、右加熱部17HRの占用状態は解除される。従って、右側操作部40Rでの単独調理モードの入力も直ぐに開始できる。
なお、左右1対の入力キー43M2によって、左加熱部選択マーク334Lを選択した時点で、右加熱部17HRの占用状態を解除するという方法もあるが、入力キー43M2による加熱部の選択は簡単に変更できるため、このような左加熱部選択マーク334Lの選択時点では、上記の通り、右加熱部17HRの占用状態を解除しないことにしている。
前記「適温 180℃」は、この場合の被調理物である「ハンバーグ」を入れる容器である金属鍋、フライパン等の被加熱物Nを予熱する温度が180℃であるという意味である。つまり、IH制御部90は、インバーター回路81Lと温度検出回路93等の働きにより、被加熱物Nの底面部の温度が180℃になるように自動で火力レベルを制御する。
前記予熱温度の上昇と共に、誘導加熱調理時の火力段階を示すための火力表示部67Lは、火力レベルを表示するのではなく、予熱温度の上昇度合いと、目標の予熱温度までの到達度合い(接近度合い)を表示する機能を発揮する。
図74において、火力表示部67Lの所に破線の円で示すものは、現時点の温度の範囲を示すものであり、温度が上昇するに伴って、当該破線の円は次第に右側へ移動していく。つまり温度上昇の様子が火力表示部67Lの発光状態によって分かる。詳しくは図75で説明する。
付加情報331では、図74に示しているように「設定温度になるとお知らせします」と表示する。
一方、調理工程の表示部(調理工程情報部)332は、統合表示部30の第2エリアと第3エリアを横に横断するように帯状に文字で表示される。
図74の調理工程の表示部332から分かるように、ハンバーグを連携調理する場合には、誘導加熱源9により予熱工程を行い、次に調理工程1、最後にはレンジグリル加熱(RG加熱)を行う調理工程2である。
この図74に示しているように、連携調理モードを開始する瞬間まではユーザーの指先FGと目線は、入力キー43MSを操作するために、統合表示部30の右前方、言い換えると中央操作部40Mにある。
その後、ユーザーの目線は、矢印で示すように左加熱部17HLの方に移る。つまり、加熱すべき被調理物を収容した被加熱物Nを左加熱部17HLの上方に置く際に、ユーザーの目線は左方向に移動する。
連携調理モードを開始した後は、図74の中に横に長く大きな矢印で示しているように、中央部から左側にユーザーの目線や体が移動することになる。しかし、この左方向への動きは大きなものではなく、ユーザー自身に移動の負担を掛ける程でもない。
次に図75について説明する。
図75は、連携調理モードを選択した場合の、左操作部40Lと左側表示部31Lの制御動作を示す平面図であり、予熱温度の変化を時系列で表示している。
図75の(A)は、左側の火力表示部67Lの部分を示したものである。図75で破線の円で示すものは、現時点の温度の範囲を示すものである。例えば、目標の予熱温度が180℃である場合、誘導加熱の調理工程の最初から、図75に示すように4つの火力表示部67Lが発光している。最も左側の発光部は、破線の円で示すように点滅している。この点滅状態は、現在の温度のレベルを示すものである。
予熱温度が上昇するに伴って、現在温度は上昇するから、上記した「点滅部分」の位置は順次右側へ移動していく。そして予熱温度に到達した場合には、点滅部分はなくなる。
一方、図75の(B)に示すように、誘導加熱の調理工程が始まった初期には、左操作部40Lの入力キー43L2と43L3の何れかを操作すれば、前記した予熱温度の目標値を変更できる。
例えば、図75の(B)に示すように左側の入力キー43L2を1回押す度に、1段階ずつ予熱温度を下げることができる。逆に右側の入力キー43L3を1回押す度に、1段階ずつ予熱温度を上げることができる。このように、予熱温度を変更する過程は、図75の(C)に示すように、その都度左側表示部31Lに表示されるので、ユーザーがこの表示内容を容易に確認できる。
次に図76について説明する。
図76は、連携調理モードを選択した場合の、左操作部40Lと左側表示部31Lの制御動作を示す平面図である。
左側加熱部17Lの上に置いた被加熱物Nが、設定された予熱温度になると、図76に示すように火力表示部67Lの点滅はなくなる。
このように予熱温度まで加熱されると、統合表示部30では図76に示しているように、付加情報331によって「予熱が終わったこと」を表示する。
また、調理工程の表示部(調理工程情報部)332は、表示内容が変化する。具体的には、IH予熱という表示から次の調理工程1の「IH加熱」の段階が白抜き文字で表示される。
これらの情報から、ユーザーは誘導加熱を本格的に実施する段階になったことが容易に理解できる。つまり、左加熱部17HLの上に置いたフライパン等の被加熱物が、被調理物を加熱するのに適する温度になった段階であることが分かる。
左操作部40Lの1対の入力キー43L2、43L3は、左加熱部17HLにおける火力(消費電力)を指定する機能がある。そのため、予熱工程から本格的な加熱工程(調理工程1)への移行にあたり、これら入力キー43L2、43L3を1回タッチする度に、規定されている火力値のデータテーブルの中で、1段階上げた火力を選択し、又は1段階下げた特定の火力を選択できる。これにより、誘導加熱する際の被加熱物の温度を上げたり、下げたりすることがユーザーは自由に行える。
次に図77について説明する。
図77は、連携調理モードを選択した場合の、統合表示部30(第1特定画面30SP)の表示内容の変化を示す説明図である。
図77の(A)に示したように予熱工程が終わった段階で、統合表示部30は、ユーザーに対して、調理工程1(本格的な誘導加熱)が開始できることを表示する。また、その調理工程1は、左操作部40Lの入力キー43L1を押せば、随時停止させることができる。
この図77の(A)と(B)の表示の切り替えは、例えば5秒間隔で自動的に繰り返し行われる。そして、本格的な誘導加熱の調理工程1が開始された後は、図77の(C)だけの表示となる。この時点の火力は、「やや弱め」であることが示されている。更に、この火力レベルをユーザーが調節できることも示されている(マイクロ波出力レベルを示す情報30V)。
次に、図78は、連携調理モードを選択した場合の、統合表示部30の表示内容を示す平面図である。図77の表示内容とは少し変化させてあり、付加情報331の中に予熱温度値(例えば、180℃)を含めている。図77(B)に示す表示内容は、この図78のように変更しても良い。
図78は、連携調理モードを選択した場合において、誘導加熱の調理工程1が未だ開始されていない段階である。
そこで、入力キー43MSの操作を促すため、個別発光部27M6では、破線の円で示すように点滅状態となっている。
図77と図78の状態において、仮に入力キー43M1を操作しても、統合表示部30には、「レンジ手動」や「レンジ自動」等を含む複合調理モードの制御メニューは表示できない。この段階で連携調理モードを中止するには、入力キー43MTを押すことが必要である。言い換えると、左操作部40Lの入力キー43L1を押しても、最初に使用する左側加熱部17HLの調理工程1を終了できるだけであり、連携調理モードの設定を全部解除(取り消し)したことにはならない。
次に図79について説明する。
図79は、誘導加熱の調理工程1をユーザーが左操作部40Lの入力キー43L1で終了させた場面を示している。すでに加熱動作が終了しているので、火力表示部67Lは、何も発光していない。
一方、統合表示部30の第1特定画面30SPにおいては、調理工程情報(調理工程情報部)332により、調理工程2、すなわち、「レンジグリル調理」(RG調理)の段階まで進んでいることを表示する。具体的には、IH加熱という白抜きの表示から、最終の調理工程2であるRG調理の段階に進んだことを、白抜き文字で表示する。
これらの情報から、ユーザーはマイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188を組みわせた調理工程2を実施する段階になったことが容易に理解される。
連携調理モードの調理工程2を開始する指令も、中央操作部40Mの入力キー43MSで行う必要がある。このため、図79に示しているように、入力キー43MSと対応した個別発光部27M6は、破線の円で示しているように、点滅状態になり、ユーザーに対して入力キー43MSの操作を促す。
一方、図79の段階は、誘導加熱の調理工程1をユーザー自身が左操作部40Lの入力キー43L1で終了させた後であるから、左加熱部17HLの占用状況は解除されている。そのため、左操作部40Lの入力キー43L1を操作すれば、左加熱部17HLを、連携調理モードとは別の調理モードでの調理のために使用開始できる。
この段階では、左操作部17HLで入力すれば、誘導加熱源189で別の調理メニューを開始できる。但し、まだ連携調理モードが解除された訳ではないので、加熱室113を使用する別の調理をすることはできない。あくまでも左加熱部17HLの占用が解除されただけである。
次に図80について説明する。
図80は、連携調理モードを選択した場合において、「レンジグリル調理」(RG調理)の段階に進んでいる際に、マイクロ波加熱の出力レベルを調節できることを示している。
具体的には、統合表示部30の第2エリア30Mにマイクロ波加熱の出力レベルが、「やや弱め」、「弱め」等のように5段階で表示される。この表示情報は、図77で説明した「マイクロ波出力レベルを示す情報30V」と同じものである。このため、一対の入力キー43M2を操作すれば、マイクロ波加熱の出力レベルをユーザーが選択できる。
次に図81について説明する。
図81は、図80と同様に、連携調理モードを選択した場合において、調理工程2の段階に進んだ際に、マイクロ波加熱の出力レベルを調節できることを示している。
図81の(B)で示すように、第2エリア30Mに、マイクロ波加熱の出力レベルが、「強め」~「弱め」まで合計5段階で表示される。このようなマイクロ波出力レベルは、入力キー43M2を操作してユーザーが選択できる。
このため、最終工程(調理工程2)において、ユーザーが被調理物の仕上り状態に応じてマイクロ波による加熱強度を調整することができる。
この図81で説明した最終の調理工程2では、ユーザーの操作や目線は、統合表示部30と中央操作部40Mの範囲に集中する。このため、ユーザーは、加熱調理器1の正面中央部に居て、調理工程2の終了に集中できる。
調理工程2の途中で、加熱室113の内部の被調理物を加熱室113の中から取り出して直接確認したい場合には、ドア114をユーザーは任意のタイミングで開ければ良い。ドア114を開けた場合、ドア開閉検知機構131の働きで瞬時にマイクロ波の発信が停止し、また上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの通電も停止される。
ドア114を再び閉めて、再度入力キー43MSを押せば、再びマイクロ波加熱が瞬時に開始される。なお、ドア114を上記のように調理工程2の途中で開けた場合、前記第3冷却ファン128と第4冷却ファン129の運転は、継続したままである。
次に図82について説明する。
図82は、図81の調理工程2の後の最終段階における操作と、統合表示部30(第1特定画面30SP)の表示内容を示す説明図である。
加熱調理の最終工程(調理工程2)を、ユーザーが任意で終了させる場合には、入力キー43MTを操作する。これを押すと、連携調理モードの一連の制御シーケンスは取り消される。そのため、このように一旦、停止させたあと、再びマイクロ波加熱又はオーブン加熱を行うには、中央操作部40Mで加熱源を選択して、その後に再度入力キー43MSを押すという操作が必要になる。
そこで、この実施の形態1では、追加の加熱を簡単に行えるように、RG調理を終了させた場合には、一定の時間内に、再度入力キー43MSを押せば、再びマイクロ波加熱が瞬時に開始されるようにした。
ユーザーが、加熱調理の最終工程(調理工程2)となるRG調理工程を終了するタイミングを知ることができるように、図82の(B)に示すように、第1特定画面30SPは、表示画面10Aの後で、表示画面10Bを表示した内容に変化する。そして、調理工程2が間もなく終了することを表示させる構成にしている。
この表示画面10Bは、加熱室113の内部の温度上昇の推移を温度検出回路93が検出し、被調理物である食品等の負荷を判定し、終了できるまでの到達時間を統合制御装置MCが予測する処理を行って、その結果として表示される。
なお、被調理物や加熱室113の温度上昇を検知して調理の仕上がり時期を予測するのではなく、ユーザーが事前にタイマー設定して、時間制御により調理工程2を終えるようにしても良い。この場合は、上記したような負荷判定は必要ない。
なお、前述のように、ユーザーが事前にタイマー設定して、時間制御により調理工程2を終える場合には、図61で説明したように参考情報2を報知(FA2)することができる。つまり、図82の(B)に示すように、第1特定画面30SPは、表示画面10Aの後で、表示画面10Bを表示した内容に変化し、報知(FA2)の一環として参考情報2に合致した表示を行っている。
図82の(B)の表示画面10Cは、調理工程2を終了した直後から一定時間(例えば、30秒間。但し、ドア114を開けた場合には15秒間)内に、再度加熱を開始できることを示した例である。
この表示画面10Cでいう「時間ボタン」とは、入力キー43M3のことである。なお、加熱室113は、この直前までの調理で高温になっているので、「グリル高温注意」等の付加情報331を表示しており、ユーザーの安全性を高めている。
(第1特定画面の変遷)
次に、図58で説明した連携調理モードの移行開始までの期間において、統合表示部30の第1特定画面30SPが変化する内容を詳しく説明する。
図83~図85は、図58で説明した各種工程と動作の関係を示す説明図1において、項目Eの「中央表示部」で説明した表示E1~E5の内容と入力操作部との対応関係を示したものである。
図83の状態は、「E1:連携調理の初期画面」の段階を示したものであり、前記統合表示部30に第1特定画面30SPが表示された際の初期の画面と中央操作部40Mとの関係を示している。
図84(A)は、「E2:メニュー変更」の段階の画面と中央操作部40Mとの関係を示したものである。入力キー43M1を操作して、連携調理モードの中から目的の1つの被調理物を選び、対応する連携調理モードを選択する段階である。
図84(B)は、「E3:選択加熱源変更(右IHを選択)」の段階である。第1特定画面30SPを見ながら、ユーザーが右加熱部17HRを選択する段階を示している。この選択は、入力キー43M2で行われる。
次に図85(A)は、「E4:右IHの入力ボタン押下案内表示」の段階である。第1特定画面30SPにおいて、連携調理を開始するため、右操作部40Rに配置されている、入力キー43R1の操作が必要であることを表示した段階である。つまり、ユーザーに対して、連携調理の調理工程1を開始するために、入力キー43R1を押すという操作を推奨している。
図85(B)は、「E5:IH予熱表示」の段階である。この段階では、第1特定画面30SPでは、右加熱部17HRで予熱動作を開始していることを示している。右側表示部31Rでは、前述したように、例えば、予熱(目標)温度180℃に到達するまでの、実際の温度上昇の情報を表示している。これに対し、第1特定画面30SPの中において、例えば「IH予熱中」や「予熱完了しました」、「設定温度にあるとお知らせします」等の情報(付加情報331)が表示される。
次に図86~図92は、図59で説明した「ハンバーグ」の調理(連携調理モード)の各種工程と動作の関係を示す説明図2において、項目Eの「中央表示部」の表示E11~E17の内容と入力操作部との対応関係を示したものである。
図86(A)は、図59の項目E(中央表示部)で説明した「E11:IH予熱表示」の段階を示している。第1特定画面30SPにおいて、右加熱部17HRにより予熱が開始されたため、設定温度になると知らせる旨表示している(付加情報331)。
図86(B)は、同じく図59で説明した「E12:IH加熱表示」の段階である。この段階では、予熱が完了したので、右加熱部17HRで加熱できる状態になったことを付加情報331によって表示している。つまり、誘導加熱(IH加熱)の工程に進む段階であることを示している。
図87(B)の段階は、図86(B)の表示になった時点から一定時間(例えば、1分間)後に行われる表示内容を示している。この図87(B)の表示は、図59の項目Eには記載していない。
図87(B)の段階では、誘導加熱源9による調理工程1をユーザーが終えるには、左操作部40Lを入力キー43L1を押すことが必要であることを示している。
次の図88は、図59で説明した「E13:グリル扉開閉操作誘導表示」の段階である。この段階は、誘導加熱(調理工程1)を終えたので、付加情報331によって、被調理物を(調理工程2を行うために)加熱室113に移すように促している。
次の図89(A)~(C)は、図59で説明した「E14:火力変更表示とスタート誘導表示の交互表示」の段階である。この段階では、加熱室113におけるレンジグリル調理(複合調理)における火力を変更できることを表示し、更に、そのような加熱室でのグリル加熱調理を、スタートボタン(入力キー43MS)で開始できることを表示している。
図89(C)では、入力キー43MSが、破線の円で示しているように点滅状態であり、ユーザーの操作を待っていることを示している。なお、図89(A)と図89(B)の表示は、例えば5秒置きに交互に行われる。
次の図90(A)~(C)は、図59で説明した「E15:グリル加熱表示」の段階である。ここでは、加熱室113の中で被調理物を、マイクロ波加熱源189又はオーブン加熱源188の両方又は何れか一方により加熱していること(調理工程2)を示している。
図90(A)では、火力調節ができることを示し、図90(B)では、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188が同時に駆動されて複合加熱中であることを示している。図90(C)は、このRG調理工程(調理工程2)が、あと2分30秒で終了することを示している。
次の図91(A)(B)は、図59で説明した「E16:延長操作案内表示と終了操作表示の交互表示」の段階である。ここでは、RG加熱工程が終了したので、時間ボタン(入力キー43M2)で時間を延長し、再度グリル加熱できることを表示している。
ユーザーが延長加熱を希望しない場合には、取消しボタン(入力キー43MT)を押せば、延長加熱せずに連携調理モードを終了できることを表示している。なお、図91(A)と図91(B)の内容の、第1特定画面30SPは、例えば数秒間隔で、交互に表示される。
次の図92は、「E17:時間設定表示」の段階である。ここでは、入力キー43M2で加熱調理時間を延長し、再度加熱室113の内部で加熱調理する場合、その延長時間を設定した結果を表示している。この時間設定表示の後で、前記「E15:グリル加熱表示」と、「E16:延長操作案内表示と終了操作表示の交互表示」が行われる。
次に図93~図97について説明する。
図93~図97は、図60で説明した連携調理モードによる「からあげ」の調理(連携調理モード)の各種工程と動作の関係を示す説明図3において、項目Eの「中央表示部」で説明した表示E21~E26の内容と入力操作部との状態を示している。
図93(A)は、「E21:IH予熱表示」の段階を示している。ここでは、左加熱部17HLで予熱動作を行っていることが分かる。つまり、左加熱部17HLの上に置かれた被加熱物Nは、既に誘導加熱が開始されている。
図93(B)は、「E22:グリル扉開閉操作誘導表示」の段階である。ここでは、ドア114を開けて、グリル加熱工程B23(図60参照)を行うために、被調理物(食品)を加熱室113に入れることを促している。
図94(A)~(C)は、「E23:火力変更表示とスタート誘導表示の交互表示」の段階である。ここでは、からあげの調理を「レンジグリル駆動部」を駆動して行う際に、火力の調節ができることや、入力キー43MSを押せば調理をスタートできること等を表示している。
図94(A)と図94(B)の表示は、例えば5秒置きに交互に行われる。
また、ドア114が開放されたままの状態であると、図94(C)の表示が行われる。
次に図95(A)(B)は、「E24:レンジ加熱表示」の段階である。
図95(A)は、「レンジグリル駆動部」を駆動して行う際に調理の火力を変更できることを表示している。
図95(B)は、調理が始まったあとに表示される内容であり、調理を終了するまでの残り時間等を表示する例である。この段階が調理工程1を開始した段階である。
図96(A)(B)は、「E25:延長操作案内表示とIH予熱完了表示の交互表示」の段階である。ここでは、前記「レンジグリル駆動部」を駆動して行っている調理工程B24(図60参照)が終了したあと、時間ボタン(入力キー43M2)で時間を延長し、加熱調理時間を延長できることを、表示している。
図96(A)の表示画面と、図96(B)の表示画面は、第1特定画面30SPとして、例えば数秒間隔で、交互に表示している。
図97は、「E26:時間設定表示」の段階である。ここでは、前記調理工程B24を、例えば2分30秒間、更に延長して実行することを表示している。なお、この図97の段階で「レンジグリル(RG)」加熱を終えれば、次は既に予熱が完了している左加熱部17HLでの、調理工程2に進むことができる。
(家電機器の運転管理システム)
次に図98~図107について説明する。図98~図107は、本開示の対象である加熱調理器1と家電機器の運転管理システムに関するものである。
図98は、連携調理モードの調理時における冷蔵庫401と加熱調理器1の情報の授受を、時系列で示す説明図である。図98は、加熱調理器1側の制御動作を示している。図99は、図98に示した事例において、冷蔵庫401とホーム・ゲートウエイと加熱調理器1の、3者の間の情報の授受を示すシステム構成図1である。
図100は、図98に示した事例において、冷蔵庫401とホーム・ゲートウエイと加熱調理器1の、3者の間の情報の授受を示すシステム構成図2である。
図101は、加熱調理器1における統合表示部30の表示内容を示す平面図である。図102は、加熱調理器1において、起動直後における統合表示部30の表示動作を示す説明図である。図103は、加熱調理器1において、起動直後における統合表示部の表示動作を示す説明図1である。
図104は、加熱調理器1において、起動直後における統合表示部30の表示動作を示す説明図2である。図105は、起動直後における統合表示部30の表示動作を示す説明図3である。図106は、図1に示したホーム・ゲートウエイの動作を示すフローチャートである。図107は、加熱調理器1において、連携調理モードを実施する場合の、冷蔵庫401との間の情報の授受を示すフローチャートである。
図98について説明する。
この図98に示した動作ステップは、統合制御装置MCの「連携調理モード」を実行する制御プログラムの中に規定されている。
この最初のステップSD1よりも前の時点で在庫照会信号RQ1が発信されている。すなわち、図37のステップST2の段階で在庫照会信号RQ1が発信されている。
この図98に示した動作ステップは、図63に示したユーザーの操作(A23)以後を示している。ステップSD1において、連携調理モードとして、例えば「からあげ」を選択して調理工程1を開始すると、マイクロ波によって食材の加熱が開始される。
このステップSD1は、図62のステップSB1に相当するものである。この段階では、図60の報知F24のように「レンジ、仕上がり標準を始めます」と音声で報知する。
次に、前記ステップSD1の時点からの経過時間TN3の計測が開始される(SD2)。このステップSD2は、図62のステップSB2に相当するものである。
次のステップSD3では、開始された連携調理モードの内容が照合される。この場合は、統合表示部30の第1特定画面30SPにおいて、識別情報330を表示し、「からあげ」の調理を実行していることが統合制御装置MCで照合できる。
そして、からあげの調理は、調理工程1が加熱室113を使用することもこの時点で分かる。言い換えると、調理工程1が終われば、加熱室113を使用しない状態になることが分かる。
なお、ステップSD3を省略し、個々の連携調理モード(例えば、からあげ、ハンバーグと、グラタン)で、それぞれ専用のプログラムを用意しても良い。
次のステップSD4では、特定の連携調理モードであるかどうかの判定が行われる。 この「特定の連携調理モード」とは、例えば、以下のものである。
(1)からあげ、ハンバーグや餃子のように、一般的には副食の調理物に分類できるもの。
(2)個々の連携調理モード(例えば、ハンバーグ)と、通常は同時に食されるもの(例えば、スープ、フライドポテト)。
このステップSD4で「No」の場合には、この図98の動作はこの時点で終了する。
次のステップSD5では、加熱室113で調理工程1を実行しているかどうかの判定が行われる。このステップSD5で「No」の場合には、この図98の動作はこの時点で終了する。
ステップSD5が「Yes」の場合は、次のステップSD6に進む。ステップSD6では、冷蔵庫401に保存されている食材の在庫情報を照会するために、ホーム・ゲートウエイ411に対して照会信号RQ3(図99参照)を発する。
なお、加熱調理器1の主電源スイッチ97をONにした時点で、加熱調理器1からは図37で説明したように、既に在庫照会信号RQ1が送信されている。
この実施の形態1では、更に条件を絞り込み、在庫情報を必要とする可能性が高いことが判明した段階(図99のステップSD6)で在庫照会信号RQ3を送信している。
次のステップSD7では、ホーム・ゲートウエイ411から食材の在庫情報を取得する。そして統合制御装置MCは記憶装置MMに一時的に記憶させる。
次のステップSD8では、受信した食材の在庫情報を分析する。
このステップSD8では、連携調理モードで実行している調理(この場合、からあげ)と関連性の高い食材の有無を検索する。ここでいう「関連性」とは、からあげという副食と一緒に食されることが多い食材(例えば、冷凍された野菜)又は主食としての、ご飯が代表的なものである。そのため、このステップSD8では、「冷凍されたご飯」を抽出したものと仮定して以下説明する。
このステップSD7が「No」の判定であった場合には、そのままこの図98の処理は終了し、ユーザーには何も報知されない。
次のステップSD9では、前記経過時間TN1を経過したかどうかの判定が行われる。 そして、次のステップSD10では、調理工程1が間もなく終了する旨の報知が行われる。なお、この報知は、図59には示していない。また、この報知は省略しても良い。
次のステップSD11では、調理工程1の終了後に、からあげの調理では使用されなくなる加熱室113を有効に活用する別の加熱調理のメニューを報知する。
前記したように、推奨制御メニューとして「冷凍ご飯」を報知する。
次のステップSD12では、ユーザーが調理工程1を停止させる操作を行ったかどうかの判定が行われる。このステップSD12で、ユーザーの停止操作があると、ステップSD13に進み、加熱室113における調理工程1のマイクロ波加熱動作が停止される。
次のステップSD14では、調理工程1の終了の報知(F25:図60参照)が行われる。
そして、ユーザーは、加熱室113の中から被調理物(からあげ)を取り出して、既に予熱されて高温になっている被加熱物Nの中に置くと、調理工程2が始まる。なお、既にこの段階では、被加熱物Nの中に入れられた食用油は高温になっている。
上記の説明から分かるように、調理工程1が終了する前の段階のステップSD8で、ユーザーは推奨調理のメニューを知ることができる。
しかも、当該推奨制御メニューは、冷蔵庫401からの在庫情報を基にしたものであるから、ユーザーは調理工程2の前の段階で、加熱室113を有効に使用して別の調理をすることができる。
上記のように、から揚げの連携調理モードに対して、主食となるご飯を解凍し、温めた調理を同時並行的に用意できるので、連携調理を開始してから終えるまでの、実質的なトータル時間を短くすることができる。これにより、ユーザーの利便性を向上させることができる。
上記のように、連携調理モードの調理工程1を終えた加熱室113を、その調理工程1の終了から短時間の内に使用する場合、加熱室113の温度が高い場合が想定される。
前述したように、マイクロ波を利用する「あたため」(レンジ自動)の制御メニューでは、非接触(赤外線)温度計測部158が加熱室113内の被調理物の温度や加熱室113壁面温度を検知して、目標温度に到達した段階で自動的にマイクロ波の発振を停止する。そのため、加熱室113の高熱が残っていて温度が最初から高い場合には、マイクロ波加熱を自動で行うことは、統合制御装置MCで禁止されている。
そこで、連携調理モードの調理工程1を終えた加熱室113を、その後で使用する場合には、「レンジ手動」の制御メニュー(単独加熱調理)を選べば良い。つまり、マイクロ波の加熱時間をユーザーが設定して行えば良い。
図55で説明したように、連携調理を行うために、統合表示部30に第1特定画面30SPを表示させた時点で、左加熱部17HLは使用できないようになるが、調理工程1を終えた段階以降まで、加熱室113の占用状態を継続するという(統合制御装置MCによる)処理は行っていない。そのため、推奨制御メニューの実行には何ら支障はない。
更に、仮に、加熱室113において連携調理の調理工程1を終えた場合でも、それ以降(調理工程2の後)まで、加熱室113の占用状態を継続するという制御方法を採用した場合には、前記ステップSD8にて説明したような「推奨制御メニュー」がある場合に限り、例外的に加熱室113の占用状態を解除するという制御プログラムにしても良い。
次に、図99と図100について説明する。
図99と図100は、加熱調理器1の主電源投入以降におけるホーム・ゲートウエイ411及び冷蔵庫401との情報授受を、時系列で説明した図である。
図99を参照しながら、連携調理モードを実行する場合を想定して以下説明する。
ホーム・ゲートウエイ411と冷蔵庫401は、キッチンKTに設置時から常に商用(交流)電源99に接続されている。
ホーム・ゲートウエイ411は、警報装置445に対し、「在宅モード」で監視するように指令信号を出している(図99のステップSE1)。「在宅モード」とは、家屋HAの中に居住者が1人でもいる場合の運転パターンをいう。居住者が全員留守になる場合には、「留守番モード」に切り替わる。
ユーザーは、加熱調理器1の主電源スイッチ97の操作ボタン98(図19参照)を押して電源を投入する(図99のステップSE2)。そして、ユーザーの入力操作に応じて加熱調理が開始される。
加熱調理器1では、図98で説明したように、加熱室113で調理工程1が実施されている場合、所定のタイミング(図98のステップSD6)で、ホーム・ゲートウエイ411に対して在庫照会信号RQ1が発信される。なお、この在庫照会信号RQ1は、無線通信部49からホーム・ゲートウエイ411の通信部446に対して行われる。その他の信号の授受も、無線通信部49と通信部446との間の無線通信で行われる。
ホーム・ゲートウエイ411の中央制御部447は、キッチンKTにおける人の存在や移動を検知する人検知部413Hの検知情報を受けるので、調理する場面であると判定し、加熱調理器1との相互連携運転に切り替える(ステップSE3)。
ホーム・ゲートウエイ411の中央制御部447は、更に、冷蔵庫401に対して在庫データの検索指令信号RQ2を発信する。
この在庫照会信号RQ2は、ホーム・ゲートウエイ411の通信部446から冷蔵庫401の無線通信部(図示せず)に対して行われる。その他の信号の授受も、通信部446と、冷蔵庫401の通信部(図示せず)との間の無線通信で行われる。
冷蔵庫401は、冷蔵室401Bや複数の冷凍室401Aの中に収容されている食品の在庫を検索して、在庫情報を更新し、自己の記憶部に記憶する(ステップ:SE4)。なお、冷蔵庫に保存している食品は、家庭で途中まで加工した食品や、外部で購入した袋入りの食品等、各種形態がある。それらの在庫情報の識別、検索方法については既に多くの提案が行われており、カメラで撮影した画像を利用することや、RFタグ、二次元コード利用などが知られている。
また、冷蔵庫401に食品を入れる際に手動で食品の名称やその属性等のデータをインプットする方法、あるいは光学的又は磁気的に自動で食品等の情報を読み込んで在庫情報を蓄積する方法等、各種方法が提案されている。
本実施の形態1では、冷蔵庫401に食品を入れる際、あるいは収容した後の食品の特定について何ら制限を受けないので、何れの方法であっても良い。
冷蔵庫401は、収集した在庫情報のデータを、返信信号RS1として、一括してホーム・ゲートウエイ411の通信部446に送信する。
ホーム・ゲートウエイ411は、その返信信号RS1で送信された在庫データを、記憶装置450に一時的に記憶する(SE5)。なお、ここで「一時的」とは、冷蔵庫401から再度在庫情報のデータが送信されて、それを受信するまでの期間であり、長期間に亘って記憶を継続させる訳ではない。記憶装置450の在庫データは、常に最新のものが上書きされて保存される。
加熱調理器1では、図98で説明したように、加熱室113で調理工程1が実施されている場合、所定のタイミング(図98のステップSD6)で、ホーム・ゲートウエイ411に対して在庫照会信号RQ3が発信される(SE6)。
ホーム・ゲートウエイ411では、記憶装置450に記憶させてある最新の在庫データを、在庫データ信号RS2として、通信部446から加熱調理器1の無線通信部49に送信する。
加熱調理器1では、無線通信部49が受信した在庫データを記憶装置MMに記憶させる(SE7)。そして、統合制御装置MCは、図98のステップSD8で説明したように、在庫データの中から、実行している連携調理モードの1つの調理メニューに直接関係する別の調理メニュー(食材や料理の名称等)を報知する(SE8)。
なお、図98の例では、加熱室113で調理工程1を行う連携調理モードとして「からあげ」だけを説明したが、図73に示したように「野菜炒め」、「とんかつ」、「天ぷら」等でも良い。
次に図100について説明する。
図100は、図99のステップSE8以降の動作を説明した図である。
加熱調理器1は、連携調理モードの全ての調理工程を終えた場合(SE9)、連携調理の実施内容を示す主要なデータ(以下、「調理実施データ」という)を、ホーム・ゲートウエイ411に対して信号BS1として送信する。
ここで「調理実施データ」とは、以下の情報の少なくとも1つをいう。
(1)被調理物の名称を示す情報(例えば「からあげ」や「野菜炒め」)
(2)被調理物の重量又は容積に関する情報
(3)前記調理工程1と前記調理工程2の制御条件(例えば、マイクロ波出力500W、誘導加熱時の火力1500W又は「中火」)を示す情報
(4)前記調理工程1から前記調理工程2の終了までの所要時間を示す情報
(5)前記調理工程2(又は最終の調理工程)の終了時刻を示す情報
(6)予熱工程開始から全ての調理工程2の終了までの所要時間を示す情報
(7)加熱調理動作した加熱源(例えば、左加熱部17HL)を特定する情報
(8)次の加熱調理の際にユーザーが受ける制限に関する情報(例:加熱室は、高温であるため、レンジ(自動)加熱は実行できないこと)
(9)前記加熱室の現在温度等のユーザーの安全性に関係する情報
前記「(2)被調理物の重量又は容積に関する情報」は、例えば、「からあげ:300g」のような情報である。これは、調理工程1における被調理物(からあげ)の温度上昇速度から統合制御装置MCが推測できる。
前記「調理実施データ」は、ホーム・ゲートウエイ411と冷蔵庫401に有益な情報となり得る。
また、前記「調理実施データ」は、警報装置445にも有益な情報になり得る。
例えば、「調理実施データ」の内、「(4)調理工程2の終了までの所要時間を示す情報」、「(5)終了時刻を示す情報」、「(6)全ての調理工程2の終了までの所要時間を示す情報」は、ホーム・ゲートウエイ411のスケジュール管理部451で活用できる。これらデータを蓄積することにより、キッチンKTにおける調理の集中時間帯が推定できることになる。
更に、前記「調理実施データ」の内、「(9)前記加熱室の現在温度等のユーザーの安全性に関係する情報」は、温度監視装置440にも有益な情報になり得る。加熱調理器1側の現在温度と、温度監視装置440側で光学的に計測して、推定している温度の「乖離」の状況が分かるからである。
前記「調理実施データ」は、冷蔵庫401に有益な情報となり得る。例えば、「調理実施データ」を、前記スケジュール管理部451で活用して調理の集中時間帯が推定できることから、その後に冷蔵庫401に食品が収容されるタイミングが想定できるようになる。
外部の電気機器(例えば、空気調和機や調理機器)から、外部の環境の状態を表す環境情報を取得して、冷却装置等の各部の運転状態を制御する冷蔵庫は、例えば日本の特開2019-211153号公報等で提案されている。しかしながら、従来の提案では、加熱調理器1側から提供される環境情報は、曖昧なものが多く、冷蔵庫側から見て必ずしも利用価値があるものではなかった。これに対し、この実施の形態1の「調理実施データ」は、具体的な制御メニューに即したものであり、利用価値が高い。
ホーム・ゲートウエイ411では、前記送付信号BS1で送付された「調理実施データ」を、冷蔵庫401に対して「調理実施データ」を含む信号BS2にして送信する。なお、送付信号BS1で送付された「調理実施データ」と送付信号BS2で送付された「調理実施データ」の内容は、基本的に同一でも良いが、異なっていても良い。前記送付信号BS1で送付された「調理実施データ」では、温度監視装置440や警報装置445に有益な情報も含まれていたが、それらは冷蔵庫401には必要がないので、ホーム・ゲートウエイ411で削除してから、冷蔵庫401に送信しても良い。
冷蔵庫401では、「調理実施データ」の内容を分析し、冷蔵庫401の運転に有益なものを収集・分析する(SE10)。
次に、冷蔵庫401では、「調理実施データ」の分析結果から、冷蔵庫401の運転条件を変更する(SE12)。
ホーム・ゲートウエイ411の中央制御部447は、「調理実施データ」を記憶装置450に記憶する。また、スケジュール管理部451の「調理履歴データ」を更新する。これにより、この1回の加熱調理(連携調理)の実施日時、時間帯、制御メニュー(例えば調理名「からあげ」)、その他関連情報(例えば、からあげ推定「300g」)が記録される。
更に、スケジュール管理部451には、記録される前記「調理履歴データ」の中に、前記ステップSE8において具体的に報知した在庫のデータから「冷凍ご飯」等の具体的な食材や制御メニューが推奨(図98のステップSD8参照)された場合、その推奨事実も含めて良い。このような日常の調理の実態がデータとして蓄積されると、人工知能等を利用したスケジュール管理部451であれば、「学習と予測」の能力が向上するので、ユーザーに対する情報提供の価値が次第に向上する。
加熱調理器1からは、連携調理モードの全ての調理工程を終えた以降、運転の終了予告信号BS3が、ホーム・ゲートウエイ411に対して送信される(SE9)。
この後、主電源スイッチ96が開放(OFF)される(SE13)。
ホーム・ゲートウエイ411の主制御部447は、運転の終了予告信号BS3を受信した場合、「相互連携運転モード」を終了する。そして更に、警報装置445を「監視モード」に切り替える(SE14)。これにより、ユーザーがキッチンKTに居るかどうかに関係なく、キッチンKT内部空間の温度変化を監視させる。
(在庫情報の表示例1)
図101は、加熱調理器1の中央操作部40Mと統合表示部30の周辺部を示す拡大平面図である。
この図101は、図98のステップSD11の場面を示している。
図101に示した例は、連携調理モードの「からあげ」を実行している段階である。
調理工程1を加熱室113で行っている途中で、統合表示部30には、在庫情報として「冷凍ご飯」があることが表示される。なお、音声合成装置95でも同様に音声で報知される。
この図101の状態で、仮に入力キー43MTを押すと、調理工程1のマイクロ波加熱調理が停止する。連携調理モードの設定が取り消される訳ではない。
そのため、ドア114を開けて加熱室113から被調理物を取り出して、左加熱部17HLの上に置いた被加熱物Nに載せれば、その時点から(調理工程2の)誘導加熱調理を開始することができる。なお、この統合表示部30で表示しているように、左操作部40Lの入力キー43L1は、図60で説明したように最初の予熱開始段階で押されている(図60の操作A21参照)ので、新たに左操作部40Lを操作する必要はない。
(在庫情報の表示例2)
図102は、加熱調理器1の統合表示部30を示す拡大平面図である。
この図102は、図101の統合表示部30の表示内容を変更した例である。
図102(A)に示した例は、統合表示部30の第1エリア30Lに、時間短縮できることを意味する時短情報333と、「あたため」という調理の推奨情報338を表示したものである。
統合表示部30の第2エリア30Mと第3エリア30Rは合体され、その広くなった表示面を使用して「加熱庫であたため・解凍できます」と表示している。つまり、加熱室113を使用して「あたため」と「解凍」ができることを示している。
図102(A)において、記号335U、335Dは、他にも情報があることを示した記号であり、この記号に対応した(左右1対の)入力キー43M2の何れかを押せば、次の情報が表示される。
図102(B)に示した別の例は、統合表示部30の第1エリア30Lに、文字による冷蔵庫情報334を表示している。
また、統合表示部30の第2エリア30Mと第3エリア30Rは合体され、その広くなった表示面を使用して「冷凍ご飯」と、「おでん」の2種類の個別食材情報339を表示している。つまり、冷蔵庫401には、食材として「冷凍ご飯」と、「おでん」があることをユーザーに報知している。
前記個別食材情報は、1つの食品を特定する情報である。冷蔵庫401の「食材情報」とは、前記個別食材情報339の集合体を意味している。
図102(A)と図102(B)の表示は、例えば数秒おきに交互に行っても良いし、何れか一方だけでも良い。何れにしても、ユーザーは調理工程1の途中で、冷蔵庫401の中に保存してある食材情報を利用して、加熱室113で別の調理が行えることを理解できる。
図103は、統合表示部30の表示画面の変遷を示す拡大平面図である。
この図103は、図45の表示内容を改良した例である。
この図103において、表示画面1、表示画面2A及び表示画面2Bは、図45で説明したものと同じであるので、説明は省略する。
表示画面2Cは、表示画面2A又は表示画面2Bの後で表示される画面である。この表示画面2Cでは、ユーザーに加熱源を選択するように入力操作を促している。
図104は、統合表示部30の表示画面の変遷を示す拡大平面図である。
この図104は、図45の表示内容を改良した更に別の例である。
この図104において、表示画面2Dは、表示画面2A又は表示画面2Bの後で表示される画面である。
この図104の表示画面2Cでは、加熱調理器1が冷蔵庫401の食材情報を自動的に確認していることをユーザーに知らせている。つまり、在庫情報の取得動作を実行中である旨を報知している。
図37に示したステップST2では、在庫照会信号RQ1を送信していると説明した。そのステップにおける動作が、この図104の表示画面2Dで表示されている。
図105は、統合表示部30の表示画面の変遷を示す拡大平面図である。
図104で示した表示画面2Dの後で、食材情報を取得したことを表示画面2Eでユーザーに知らせる。更に、その直後に表示画面2Eによって、具体的な食材として「冷凍ハンバーグ」と、冷蔵の「餃子」があることを知らせている。なお、表示画面2D~2Eが表示される前に、加熱源の選択は自由に行える。表示画面2Cが出た直後に加熱源の選択(図37のステップSTC参照)が行われた場合には、表示画面2D~2Eの表示は行われない。
(ホーム・ゲートウエイの動作例)
図106は、ホーム・ゲートウエイの動作を示したフローチャートである。
ホーム・ゲートウエイは、図99で説明したように「在宅モード」で警報装置445を運転している期間において、スケジュール管理部451が「調理時間帯」に入ったかどうかを判定している。
「調理時間帯」について、居住者が入力部449によって手動で入力しても良い。例えば、平日は午前6時30分~7時30分が調理時間帯であると設定すれば良い。
また、スケジュール管理部451に内蔵したデータ処理部では、過去の例えば30日間の加熱調理器1の運転時間帯を分析し、平均的な時間帯が「午前6時20分から7時30分」にあると判定している。
以上のような状況の場合、ステップSF1では、現在の時刻が調理時間帯に入ったかどうかの判定を行う。
ステップSF1では、現在の時刻が、6時25分であった場合、上記のように平均的な時間帯(午前6時20分から7時30分)に入ったことになるので、「Yes」と判定し、ステップSF2に進む。
ステップSF2では、人検知部413Hの人感知センサー452、453が人を感知したかどうかの判定が行われる。
例えば、居住者が、冷蔵庫401と加熱調理器1の前方空間を移動したり、冷蔵庫401や加熱調理器1の前方に立ち止まっていたりした場合には、このような人の動きが検知される。
ステップSF2で、人を検知した場合、次のステップSF3に進む。
ステップSF3では、冷蔵庫401のドア(図示せず)が開けられたかどうかを、冷蔵庫401側からの動作情報によって判定する。ドアが開けられ、その後、ドアが閉じられたことを感知した場合(SF4)、次のステップSF5では、冷蔵庫401に収容されている食品の最新状況を確認する。
ステップSF5における在庫情報の確認は、図99で説明したような「在庫データ検索指令信号RQ2」である。
冷蔵庫401は、収集した在庫情報のデータを、図99で説明したように、返信信号RS1として、一括してホーム・ゲートウエイ411の通信部446に送信する。
そこで、ホーム・ゲートウエイ411の主制御部447は、収集した最新の在庫情報のデータと、前回冷蔵庫401から送られた在庫情報のデータとの比較を行い、全く変化がなければ、ステップSF6で処理を終了する。
ステップSF6において、前回の在庫情報のデータと変化があった場合には、記憶装置450に記憶させてある在庫情報のデータを、新しいものに書き換える(上書きする)(SF7)。
そして、加熱調理器1からの在庫照会信号RQ1が来ることに備える。
以上のように、ホーム・ゲートウエイ411は、加熱調理器1の主電源スイッチ97が投入される前から、冷蔵庫401の在庫情報の取得を行い、加熱調理器1から照会があった場合、迅速に在庫情報を提供できるような動作をしている。
冷蔵庫401に収容された食品の在庫を詳細に調査するには、一定の時間を要すると思われること、また冷蔵庫401のドアが開いたままの状態では、外部からの照明の光が外乱光となって光学的検知、画像分析等の妨げになる懸念もある。このような状況から、ド冷蔵庫401のドアが閉じられた直後に、迅速に在庫情報を取得することにしている。
以上のような構成であるから、図99で説明した在庫データ収集の返信信号RS1が、加熱調理器1の在庫照会信号RQ3より遅れるという事態を回避できる。つまり、最新の在庫情報を加熱調理器1が取得できるシステムとなっている。
(加熱休止期間での個別食材情報の表示)
図107は、加熱調理器1の連携調理モードにおいて、冷蔵庫401の個別食材情報339を取得するための別の動作プログラムを示したフローチャートである。
図98の動作プログラムでは、加熱室113における調理工程1の途中段階で、自動的に在庫情報を取得し、推奨調理のメニューが報知される方法であった。
これに対し、この図107に示した例は、連携調理モードの調理工程1と調理工程2の間の「加熱休止期間」において、別の調理が実行できることを報知し、ユーザーの指令に応じて報知できるようにしたものである。
従って、図98の動作プログラムによる動作と、この図107に示した動作プログラムによる報知方法は、互いに矛盾することはない。そのため両方の報知プログラムを採用(併用)しても良い。
図98までに説明した加熱調理器1は、
(1)前記誘導加熱源9を動作させるIH単独調理モード
(2)前記マイクロ波加熱源189を動作させるレンジ単独調理モード
(3)前記オーブン加熱源188を動作させるオーブン単独調理モード
(4)前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188の両方又は何れか一方と、前記誘導加熱源を、ユーザーの入力操作に依存して開始と終了のタイミングが定まる移行期間TRを経て、順次動作させる連携調理モード
を、ユーザーの入力操作に応じて実行させる機能を有している。
更に、前記連携調理モードは、加熱室113で行う調理工程1と、前記移行期間TRの後に、前記加熱室の外部で行う調理工程2とを含み、
前記統合制御装置MCは、前記調理工程1の途中において、当該第1の調理工程の終了後に、前記加熱室113で実行可能な調理メニューと、当該調理メニューに関する冷蔵庫の個別食材情報との、少なくとも何れか1つを前記報知部ANによって報知することを特徴とする構成であった。
これに対し、この図107に示した例は、調理工程1を終えた以降で、前記移行期間TR(図55の「加熱休止期間P」)においても、別の調理が加熱室113において(前記調理工程2と同時並行的に)実行できることを報知し、ユーザーの指令に応じて報知できるようにしたものである。
図107において、ステップSG1は、連携調理モードを選択し、第1特定画面30SPに示される識別情報330から、ユーザーの希望する調理メニュー(例えば、鶏肉の「からあげ」)を選択した段階である。
次のステップSG2では、図98のステップSD5と同様に、選択された連携調理モードの調理工程1が、加熱室113で実行されるものであるかどうかを判定する。
このステップSG2が「Yes」の場合、次のステップSG3に進む。
次のステップSG3では、ホーム・ゲートウエイ411に対して在庫情報の照会が行われる。このステップSG3では、在庫情報の内、特に冷凍食品と再加熱食品の情報を取得する。なお、この図107では、図98のステップSD7のような、在庫情報受信と一時記憶のステップの記載を省略しているが、この図107の動作プログラムでも同様な処理が行われる。
次のステップSG4では、加熱室113で実行されている調理工程1が、終了したのかどうかを判定する。
ステップSG4の段階で、調理工程1が終了していた場合、その時点から前記移行期間TR(図55の「加熱休止期間P」)になる。つまり、連携調理の加熱動作は休止しており、ユーザーから調理工程2の開始指令を待っている段階になる。
そのような移行期間TRにおいて、ステップSG5では、別の加熱調理を行えるかどうかの判定を行う。これは、図98のステップSD8に相当する処理である。
前記ステップSG5が「Yes」の場合、ステップSG6に進み、統合表示部30及び音声合成装置95によって、加熱室113で行える別の調理メニューの提案がある旨を報知する。このステップSG5の判定結果が「No」の場合は、処理を終える。
この後のステップSG6にて、中央操作部30Mの特定の入力キー又は前記入力キー47が操作された場合は「Yes」と判定される。
ステップSG7では、加熱室113において実行できる別の調理メニュー(例えば、「餃子の温め」)を1つ又は複数個表示する。表示する場所は、連携調理モードの調理工程を表示している統合表示部30で良い。そして、調理工程2の開始指令を待つステップSG8に進む。
(在庫情報の表示例3)
図108は、加熱調理器1の中央操作部40Mと統合表示部30の周辺部を示す拡大平面図である。図109は、同じく中央操作部40Mと統合表示部30の周辺部を示す拡大平面図である。図110は、同じく中央操作部40Mと統合表示部30の周辺部を示す拡大平面図である。
図108は、図107のステップSG6の場面における、統合表示部30の表示例を示している。この図108から明らかなように、統合表示部30の第1エリア30L~第3エリア30R(図21参照)は、1つに合体され、横に長い表示エリアになっている。
図108において、338は、加熱室113で行える別の調理メニューがあることを文字で示した推奨情報、337は、その推奨情報の調理メニューの提案内容を表示するための、入力キー43M2の操作を説明した表示案内部である。
この図108の状態では、ユーザーの入力操作を促すため、入力キー43M2に対応した個別発光部27M4が、点線の円で示すように点滅している。この状態で(2つの)入力キー43M2の何れか1つを押せば、具体的な推奨調理(例えば「冷凍ご飯」)等の個別食材情報339を、この第1特定画面30SPに表示させることができる。
図108において、入力キー43M2を押した場合、図109の表示画面に切り替わる。図108で示した推奨情報338は、この図109の内容に変化する。
図109において、339は、加熱室113で行える別の調理メニュー(推奨調理)を文字で示した個別食材情報である。この図109に示した例では、冷蔵された「餃子」と冷凍された「ご飯」の重量や冷凍温度が表示されている。つまり、個別食材情報は、1つの食材の名称や重量、冷蔵又は冷凍状態(温度等)の情報も含んでいる。なお、賞味期限情報や冷蔵庫401への保存開始時期(日にち)等の関連情報を含めても良い。
図110は、図108に示された表示内容のまま、数秒経過すると自動的に切り替わる表示内容を示している。つまり、図108の状態になったあと、入力キー43M2を押さずに数秒経過すると、図110の表示画面に切り替わる。また、この図110の状態で数秒経過すると、図108の表示に自動的に戻る。
図108~図110で明らかなように、前記統合制御装置MCは、前記調理工程1の途中において、当該第1の調理工程の終了後に、前記加熱室113で実行可能な調理メニューと、当該調理メニューに関する冷蔵庫の在庫情報との、少なくとも何れか1つを前記報知部ANによって報知することを特徴とする構成であった。
以上のように、図107~図110に示した例では、調理工程1を終えたあとで、移行期間TR(図55の「加熱休止期間P」)の間、加熱室113において別の調理が(前記調理工程2と同時並行的に)実行できることを報知し、ユーザーの指令に応じて、「別の調理」に使用する食材の情報を報知できるようにしたものである。
このため、例えば連携調理モードの1つの調理A(例:からあげ)が、左加熱部17HLにおいて調理工程2の段階に入り、最後の仕上げ段階になっている状態で、加熱室113では、その調理とは別の調理B(冷凍ご飯の解凍~温め)を同時に実行することができる。つまり、1回の食事で調理Aと調理Bを食する場合に、調理Aを終えてから調理Bを開始する方法ではなく、並行して調理ができる。これにより、全体の調理時間を短縮できることになり、ユーザーの利便性が向上する。
実施の形態1の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態1では、以下の通り第1の開示に関する加熱調理器を開示していた。
すなわち、
ドア114によって開口部が開閉自在に閉鎖される加熱室113と、
前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱源189と、
前記加熱室113を加熱するオーブン加熱源188と、
トッププレートの上に置かれた被加熱物Nを加熱する誘導加熱源9と、
調理工程についての情報を報知する報知部AN(統合表示部30、音声合成装置95等)と、
前記マイクロ波加熱源189と、前記オーブン加熱源188と、前記誘導加熱源9と、前記報知部ANと、を制御する統合制御装置MCと、を有し、
前記統合制御装置MCは、前記マイクロ波加熱源189、前記オーブン加熱源188及び前記誘導加熱源9の3者を連携させる連携調理モードを有し、
前記連携調理モードは、前記誘導加熱源9による調理工程1と、前記マイクロ波加熱源189又は前記オーブン加熱源188の少なくとも何れか一方を使用する調理工程2とを、含み、
前記統合制御装置は、前記調理工程1を自動で進行させ、当該調理工程1は、ユーザーからの指令で終了させ、当該終了後、ユーザーの開始指令を受けて前記調理工程2を開始し、当該調理工程2を自動で進行させるものであり、
前記統合制御装置は、前記調理工程1又は前記調理工程2の進捗度合いを検知する機能を有し、当該調理工程1の途中段階で、第1の参考情報FA1又は前記調理工程2に関する第2の参考情報FA2の、少なくとも何れか1つを前記報知部によって自動で報知する、ことを特徴とする加熱調理器1を開示していた。
この構成であるため、誘導加熱源9とマイクロ波加熱源189等の3種類の加熱源を、使用でき、しかも、連携調理モードによって、幅広い調理に対応することができる、利便性の高い加熱調理器を提供できる。
更に、前記調理工程1又は前記調理工程2の進捗度合いを、例えば経過時間や上昇温度(TN1、TN2等)等を検知して判定する機能を有し、当該調理工程1又は調理工程2の途中段階で、ユーザーに参考情報を自動で報知するため、加熱源の種類が増えていても、ユーザーに調理の進行を知らせて、不安感を払拭したり、途中で確認のために加熱動作を一旦停止することによって、効率的な連携調理の実行を損なってしまう等の失敗を回避でできる。これによりユーザーの安心感や使い勝手を更に向上させることが期待できる。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態1では、以下の通り第2の開示に関する加熱調理器を開示していた。
すなわち、
ドア114によって開口部が開閉自在に閉鎖される加熱室113と、
前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱源189と、
前記加熱室113を加熱するオーブン加熱源188と、
トッププレートの上に置かれた被加熱物Nを加熱する誘導加熱源9と、
調理工程についての情報を報知する報知部AN(統合表示部30、音声合成装置95等)と、
前記マイクロ波加熱源189と、前記オーブン加熱源188と、前記誘導加熱源9と、前記報知部ANとを、それぞれ制御する統合制御装置MCと、を有し、
前記統合制御装置MCは、前記マイクロ波加熱源189、前記オーブン加熱源188及び前記誘導加熱源9の3者を連携させる連携調理モードを有し、
前記連携調理モードは、前記マイクロ波加熱源又は前記オーブン加熱源の少なくとも何れか一方を使用する調理工程1と、前記誘導加熱源を使用する調理工程2とを、含み、
前記統合制御装置MCは、前記調理工程1を自動で進行させ、当該調理工程1は、ユーザーからの指令で終了させ、当該終了後、ユーザーの開始指令を受けて前記調理工程2を開始し、当該調理工程2を自動で進行させるものであり、
前記統合制御装置MCは、前記調理工程1又は前記調理工程2の進捗度合いを検知する機能を有し、当該調理工程1又は前記調理工程2の途中段階で、前記調理工程1の第1の参考情報FA1又は前記調理工程2に関する第2の参考情報FA2の、少なくとも何れか1つを前記報知部ANによって自動で報知する、ことを特徴とする加熱調理器1を開示していた。
この構成であるため、誘導加熱源9とマイクロ波加熱源189等の3種類の加熱源を、使用でき、しかも、連携調理モードによって、幅広い調理に対応することができる、利便性の高い加熱調理器を提供できる。
更に、前記調理工程1又は前記調理工程2の進行度合いを、例えば経過時間や上昇温度(TN1、TN2等)等を検知して判定する機能を有し、当該調理工程1又は調理工程2の途中段階で、ユーザーに参考情報を自動で報知するため、加熱源の種類が増えていても、ユーザーに調理の進行を知らせて、不安感を払拭したり、途中で確認のために加熱動作を一旦停止することによって、効率的な連携調理の実行を損なってしまう等の失敗を回避できる。これによりユーザーの安心感や使い勝手を更に向上させることが期待できる。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態1では、以下の通り第3の開示に関する加熱調理器を開示していた。
すなわち、
加熱室113と、
予熱工程が必要な誘導加熱源9と、
前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱源189と、
調理工程についての情報を報知する報知部ANと、を有し、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189とを、ユーザーの操作で切り替えて動作させる連携調理モードを有し、
連携調理モードを設定した場合、前記加熱室113内に収容した被調理物を加熱する調理工程1と、前記調理工程1が終了した後、トッププレート15の上に載置された被加熱物Nの上で前記被調理物を前記誘導加熱源で誘導加熱する調理工程2、とを予約できるものであり、
前記連携調理モードによる加熱調理の予約がなされた場合には、
(1)前記誘導加熱源9を、前記調理工程1の前から駆動して前記予熱工程を開始させることができ、
(2)前記予熱工程中、前記加熱室113で前記マイクロ波加熱源189による調理工程1を開始でき、
(3)前記マイクロ波加熱源9の駆動を停止して前記調理工程1を終了したあと、前記誘導加熱源9で予熱された前記被加熱物Nの上で前記調理工程2を開始でき、
(4)前記調理工程1と前記調理工程2において、調理工程の進捗を示した情報を前記報知部ANによって報知させる、ことを特徴とする加熱調理器を開示していた。
この構成であるため、誘導加熱源9とマイクロ波加熱源189を、組み合わせて使用できる。このため、幅広い調理に対応することができる、利便性の高い加熱調理器を提供できる。
更に、前記調理工程1の前に誘導加熱源9による予熱工程を開始したままで、調理工程1を開始でき、その後、予熱された被加熱物Nの方に被調理物を移動させて、調理工程2を行うことができる。
更に、調理工程1又は調理工程2の途中段階で、ユーザーに参考情報を自動で報知するため、加熱源の種類が増えていても、ユーザーに調理の進行を知らせて、不安感を払拭したり、途中で確認のために加熱動作を一旦停止することによって、効率的な連携調理の実行を損なってしまう等の失敗を回避できる。これによりユーザーの安心感や使い勝手を更に向上させることが期待できる
この実施の形態1では、以下の通り第4の開示に関する加熱調理器を開示していた。
すなわち、
加熱室113と、
前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱源189と、
前記加熱室113を加熱するオーブン加熱源188と、
被加熱物Nを加熱する誘導加熱源9と、
調理工程についての情報を報知する報知部ANと、
前記マイクロ波加熱源189と、前記オーブン加熱源188と、前記誘導加熱源9とを、それぞれ制御する統合制御装置MCと、を有し、
前記統合制御装置MCは、
(1)前記誘導加熱源9を単独で動作させるIH単独調理モード
(2)前記マイクロ波加熱源189を単独で動作させるレンジ単独調理モード
(3)前記オーブン加熱源188を単独で動作させるオーブン単独調理モード
(4)前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188の両方又は何れか一方と、前記誘導加熱源9を、ユーザーの入力操作に依存して開始と終了のタイミングが定まる移行期間TRを経て、順次動作させる連携調理モード、
の動作プログラムを有し、
前記連携調理モードは、前記加熱室113を使用して前記移行期間の前に行われる調理工程1と、前記移行期間の後に、前記加熱室113以外の場所で行われる調理工程2と、を含み、
前記統合制御装置MCは、前記移行期間TRにおいて、前記調理工程2に関する参考情報又は前記加熱室113で前記連携調理モードの調理とは別の調理を行えることを示す情報を、前記報知部ANによって報知させる、ことを特徴とする加熱調理器を開示していた。
この構成であるため、誘導加熱源9とマイクロ波加熱源189等の3種類の加熱源を、使用でき、しかも、連携調理モードと複合調理モードによって、幅広い調理に対応することができる、利便性の高い加熱調理器を提供できる。
更に、前記連携調理モードによって加熱調理をする場合、加熱動作を中止している(予熱動作は継続している場合もある)移行期間TRの中で、調理工程1を終えた加熱室113で別の調理が行えることを報知できる。
このため、ユーザーが加熱調理に費やす時間を短縮化でき、従来よりも迅速な調理を実現し、ユーザーの負担軽減や使い勝手を向上させることが期待できる。
この実施の形態1では、以下の通り第5の開示に関する加熱調理器を開示していた。
すなわち、
本体110の内部に、加熱室113と、被加熱物Nを加熱する誘導加熱源9と、前記加熱室113の中に収容した被調理物を加熱するマイクロ波加熱源189と、前記マイクロ波加熱源189とは異なる原理によって前記加熱室113を加熱するオーブン加熱源188と、報知部ANと、前記誘導加熱源9、前記マイクロ波加熱源189、前記オーブン加熱源188及び前記報知部ANとを、それぞれ制御する統合制御装置MCと、を備え、
前記統合制御装置MCは、前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188とで構成されるグループと、前記誘導加熱源9とが、時間差をおいて駆動開始される連携調理モードと、前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188が同時又は時間差をおいて駆動開始され、もしくは自動的に切り替えて駆動される複合調理モードと、を行う機能を有し、
前記統合制御装置MCは、前記連携調理モードにおいて、前記加熱室113を占用する調理工程1を含んでおり、当該調理工程1を終了する前の時点において、前記加熱室113で前記マイクロ波加熱源189又は前記オーブン加熱源188の何れか一方又は双方を使用して、前記連携調理モードの調理とは別の調理を行うことができることを、前記報知部ANにより報知する、ことを特徴とする加熱調理器を開示していた。
この構成であるため、誘導加熱源9とマイクロ波加熱源189等の3種類の加熱源を、使用でき、しかも、連携調理モードと複合調理モードによって、幅広い調理に対応することができる、利便性の高い加熱調理器を提供できる。
更に、前記連携調理モードによって加熱調理をする場合、加熱室113を占用する調理工程1が終わる場合、事前に当該加熱室113を使用した別の加熱調理が行えることを報知できるため、ユーザーが加熱調理に費やす時間を短縮化でき、従来よりも迅速な調理を実現し、ユーザーの負担軽減や使い勝手を向上させることが期待できる。
この実施の形態1では、以下の通り第6の開示に関する加熱調理器を開示していた。
すなわち、
加熱室113と、
前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱源189と、
前記加熱室113を加熱するオーブン加熱源188と、
被加熱物Nを加熱する誘導加熱源9と、
有線又は無線によって情報処理装置(ホーム・ゲートウエイ)411との間で情報の授受を行う送受信部(無線通信部)49と、
報知部ANと、
前記マイクロ波加熱源189と、前記オーブン加熱源188と、前記誘導加熱源9と、前記送受信部49と、前記報知部ANとを、それぞれ制御する統合制御装置MCを有し、
前記統合制御装置MCは、前記マイクロ波加熱源189、前記オーブン加熱源188及び前記誘導加熱源9の3者を連携させて加熱調理を実行する連携調理モードを有し、
前記連携調理モードは、調理工程1と、前記調理工程1の終了後にユーザーからの指令に応じて開始される調理工程2と、が実行されるものであり、
前記統合制御装置MCは、前記連携調理モードが適用される調理に関連した参考情報を、前記送受信部49を介して前記情報処理装置411から取得する、ことを特徴とする加熱調理器を開示していた。
この構成であるため、誘導加熱源9とマイクロ波加熱源189等の3種類の加熱源を、使用でき、しかも、連携調理モードによって、幅広い調理に対応することができる、利便性の高い加熱調理器を提供できる。
更に、前記連携調理モードで加熱調理をする場合、当該連携調理モードが適用される調理に関連した参考情報として、冷蔵庫401の中にある食材情報を取得できるので、ユーザー側の調理の負担軽減や使い勝手を向上させることが期待できる。
この実施の形態1では、以下の通り第7の開示に関する加熱調理器を開示していた。
すなわち、
加熱室113と、
前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱源189と、
前記加熱室113を加熱するオーブン加熱源188と、
被加熱物Nを加熱する誘導加熱源9と、
有線又は無線によって情報処理装置(ホーム・ゲートウエイ)411との間で情報の授受を行う送受信部(無線通信部)49と、
報知部ANと、
前記マイクロ波加熱源189と、前記オーブン加熱源188と、前記誘導加熱源9と、前記送受信部49と、前記報知部ANとを、それぞれ制御する統合制御装置MCを有し、
前記統合制御装置MCは、前記マイクロ波加熱源189、前記オーブン加熱源188及び前記誘導加熱源9の3者を連携調理プログラムによって連携させて加熱調理を実行する連携調理モードを有し、
前記連携調理プログラムは、調理工程1と、加熱動作を行わない移行期間TRの後でユーザーの指令に応じて開始される調理工程2とを規定しており、
前記統合制御装置MCは、前記連携調理モードを適用して実行した調理に関する調理実施データを、前記送受信部49を介して前記情報処理装置411へ送信する、ことを特徴とする加熱調理器を開示していた。
この構成であるため、誘導加熱源9とマイクロ波加熱源189等の3種類の加熱源を、使用でき、しかも、連携調理モードによって、幅広い調理に対応することができる、利便性の高い加熱調理器を提供できる。
更に、前記連携調理モードで加熱調理をした場合、当該加熱調理の実施データを外部の情報処理装置(ホーム・ゲートウエイ)411に提供するから、ホーム・ゲートウエイ4110と冷蔵庫401に有益な情報となり得る。そして、そのような情報の活用が最終的にはユーザーの利便性向上や安全性、快適空間維持・向上等にも寄与し得る。
この実施の形態1では、以下の通り第8の開示に関する加熱調理器を開示していた。
すなわち、
予熱工程が必要な誘導加熱源9と、
加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱源189と、
入力操作部40と、
報知部ANと、
前記誘導加熱源9と、前記マイクロ波加熱源189と、前記報知部ANと、を制御する統合制御装置MCと、を有し、
前記統合制御装置MCの動作プログラムには、前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を、前記入力操作部40におけるユーザーの操作で応じて動作させる連携調理モードを有し、
前記入力操作部40は、第1の操作部(中央操作部)40Mと、第2の操作部(左操作部40L、右操作部40R)とを有し、
前記第1の操作部(中央操作部)40Mは、前記連携調理モードを設定するものであり、
前記第2の操作部(左操作部40L、右操作部40R)は、前記誘導加熱源9による前記予熱工程と、前記調理工程の開始及び終了を決定するものであり、
前記連携調理モードを設定した場合、前記マイクロ波加熱源189によって被調理物を加熱する調理工程1と、前記調理工程1が終了した後、トッププレートの上に載置された被加熱物Nの上で前記被調理物を前記誘導加熱源9で加熱する調理工程2、とを予約できるものであり、
前記連携調理モードを設定した場合、前記マイクロ波加熱源によって被調理物を加熱する調理工程1と、前記調理工程1が終了した後、トッププレートの上に載置された被加熱物の上で前記被調理物を前記誘導加熱源で加熱する調理工程2、とを予約できるものであり、
前記連携調理モードによる加熱調理の予約がなされた場合には、
(1)前記誘導加熱源を、前記調理工程1の前から駆動して前記予熱工程を開始させることができ、
(2)前記予熱工程中、前記第1の操作部によって前記加熱室で前記調理工程1を開始及び終了でき、
(3)前記調理工程1を終了させたあと、前記予熱工程で予熱された前記被加熱物の上で前記調理工程2を開始でき、
(4)前記調理工程1と前記調理工程2において、調理工程の進捗を示した情報を前記報知部から報知させる、
、ことを特徴とする加熱調理器を開示していた。
この構成であるため、誘導加熱源9とマイクロ波加熱源189を、組み合わせて使用できる。このため、幅広い調理に対応することができる、利便性の高い加熱調理器を提供できる。
更に、前記調理工程1の前に誘導加熱源9による予熱工程を開始したままで、調理工程1を開始でき、その後、予熱された被加熱物Nの方に被調理物を移動させて、調理工程2を行うことができる。
更に、調理工程1又は調理工程2の途中段階で、調理工程の進捗に関する情報を報知させるため、加熱源の種類が増えていても、ユーザーに調理の進行を知らせて、不安感を払拭したり、途中で確認のために加熱動作を一旦停止することによって、効率的な連携調理の実行を損なってしまう等の失敗を回避できる。これによりユーザーの安心感や使い勝手を更に向上させることが期待できる
この実施の形態1では、以下の通り第9の開示に関する厨房家具2を開示していた。
すなわち、
上面に設置口2Aを有し、当該設置口2Aの中に第1の開示~第8の開示の何れか1つに記載の複合型加熱調理器を設置している、厨房家具2を開示していた。
この構成であるため、誘導加熱源9とマイクロ波加熱源189を、組み合わせて使用できる利便性の高い加熱調理器を設置した厨房家具を提供できる。
この実施の形態1では、以下の通り第10の開示に関する加熱調理器の制御用プログラムを開示していた。
すなわち、
加熱調理器1の、第1の加熱源(誘導加熱源)9と第2の加熱源(マイクロ波加熱源)189とを制御する制御用コンピュータで実行されるものであって、
電源を投入された場合、表示手段である統合表示部30を起動するステップ1と、
前記統合表示部30に待機時共通情報を表示するステップ2と、
単独調理モード、複合調理モード及び連携調理モードの中で、ユーザーに選択された1つの調理モードを判定するステップ3と、
前記ステップ3において、連携調理モードが選択されたと判定した場合は、第1特定画面30SPを表示し、また、前記複合調理モードが選択されたと判定した場合は、第2特定画面30を表示し、前記単独調理モードが選択されたと判定した場合は、第3特定画面30STを表示するステップ4と、
(1)前記第1特定画面30SPが表示されている場合に、調理開始指令信号を受けた場合は、連携調理モードの加熱動作を開始し、
(2)前記第2特定画面30SCが表示されている場合に、調理開始指令信号を受けた場合は、複合調理モードの加熱動作を開始し、
(3)前記第3特定画面30STが表示されている場合に、調理開始指令信号を受けた場合は、単独制御メニューの加熱動作を開始し、
前記連携調理モードにおいては、調理工程の進行度合いに応じて、当該調理工程に関する参考情報FA1~FA5を報知する、ことを特徴とする加熱調理器を開示していた。
この構成であるため、誘導加熱源9とマイクロ波加熱源189を、組み合わせて使用でる。しかも、複合調理モードと連携調理モードによって、幅広い調理に対応することができる、利便性の高い加熱調理器の制御用プログラムを提供できる。
更に、調理工程の進行度合いを、例えば経過時間や上昇温度(TN1、TN2等)等を検知して判定する機能を有し、当該調理工程の途中段階で、ユーザーに参考情報FA1~FA5を自動で報知するため、加熱源の種類が増えていても、ユーザーに調理の進行を知らせて、不安感を払拭したり、途中で確認のために加熱動作を一旦停止することによって、効率的な連携調理の実行を損なってしまう等の失敗を回避でできる。これによりユーザーの安心感や使い勝手を更に向上させることが期待できる。
この実施の形態1では、以下の通り第11の開示に関する家電機器の運転管理システムを開示していた。
すなわち、
互いに加熱原理の異なる3つの加熱源9、188、189を有する通信機能(無線通信部49)を備えた第1の加熱調理器1と、
食材を冷蔵又は冷凍できる保存室401A、401Bを備え、かつ、通信機能を備えた冷蔵庫401と、
前記第1の加熱調理器1と前記冷蔵庫401との間で、相互に通信が行える情報処理装置411と、を備え、
前記情報処理装置は、前記第1の加熱調理器1の起動情報を受けた場合、以下の相互連携運転の動作を行う、
ことを特徴とする家電機器400の運転管理システム。
(処理1)前記冷蔵庫401に保存されている食材の内、少なくとも冷凍保存されている食材情報を収集し、記憶装置に記憶する。
(処理2)前記第1の加熱調理器1から食材情報の提供を求める要求を行う(図99の、在庫照会RQ3参照)。
(処理3)前記食材情報の提供を求める要求を受けて、前記記憶装置に記憶していた食材情報を前記第1の加熱調理器1に送信する(図99の、在庫データ送信RS2参照)。
ことを特徴とする家電機器の運転管理システムを開示していた。
この構成であるため、加熱原理の異なる3種類の加熱源を使用して加熱調理ができ、幅広い調理に対応することができる。また、加熱調理器にタイムリーに冷蔵庫からの食材情報を提供する運転管理システムを提供できる。
実施の形態1のその他の特徴.
(1)その1:
本体110の内部に、加熱室113と、被加熱物を加熱する誘導加熱源(第1の加熱手段)9と、前記加熱室113の中に収容した被調理物を加熱するマイクロ波加熱源(第2の加熱手段)189と、前記マイクロ波加熱源189と異なる加熱原理で前記加熱室113を加熱するオーブン加熱源(第3の加熱手段)188と、前記第1、第2、第3の加熱手段を制御する統合制御装置(制御部)MCと、を備え、
前記統合制御装置MCは、前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188とで構成されるグループと、前記誘導加熱源9とが、時間差をおいて駆動開始される連携調理モードと、前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188が同時又は時間差をおいて駆動開始され、もしくは自動的に切り替えて駆動される複合調理モードと、を行う機能を有し、
前記統合制御装置MCは、前記複合調理モード又は前記連携調理モードの選択用入力を受け付けた場合、当該複合調理モード又は前記連携調理モードに対応した表示動作、すなわち1例として、第1特定画面30SPと第2特定画面30SCの何れか一方を表示することによって、ユーザーが容易に調理モードの識別ができる構成であった。
この構成であるため、誘導加熱源9とマイクロ波加熱源189等の2つの加熱源を、使用でき、しかも、連携調理モードと複合調理モードと、を容易に使い分けることができる加熱調理器を提供できる。
更に上記構成に加え、前記連携調理モード又は前記複合調理モードに対応した表示動作は、前記連携調理モードの連携調理モードと調理工程を表示する第1特定画面30SPと、前記複合調理モードの複合調理モードと制御条件とを表示する第2特定画面30SCとを、表示する構成であった。
このため、連携調理モードと調理工程、更に前記複合調理モードと制御条件とを、それぞれ表示画面で確認できる。これによりユーザーの使い勝手が良い。
更に、前記連携調理モードと前記複合調理モードの何れか1つを選択する入力を行う入力操作部40と、前記第1特定画面30SPと前記第2特定画面30SCを択一的に表示する統合表示部30を備えた構成であった。
このため、統合表示部30を確認しながら、連携調理モードと前記複合調理モードの何れか1つを選択でき、使い勝手が良い。
更に、前記入力操作部40は、前記第1、第2、第3の加熱手段に共通のものであり、前記統合制御装置MCに電力を供給する主電力スイッチ97の操作部98と、前記連携調理モード及び前記複合調理モードによる個々の調理開始を指令する入力キー43MS(調理開始入力手段)と、を有している構成であった。
このため、入力操作部40において主電力の投入から加熱開始の指令までを行うことができ、操作性が良い。
更に、前記入力操作部40には、前記連携調理モードを選択する第1の選択手段となる入力キー43MCと、前記複合調理モードを選択する第2の選択手段となる入力キー43M1、を有している構成であった。
このため、入力キー43MC、入力キー43M1を操作して2つの調理モードを簡単に選択でき、操作性が良い。
更に、前記入力操作部40には、前記連携調理モード及び前記複合調理モードの個々の調理工程の終了を決定する調理モード解除手段となる入力キー43MTでを有していた。
このため、入力キー43MTで連携調理モード及び前記複合調理モードの運転の両方を解除でき、操作性が良い。
更に、前記統合制御装置MCは、前記入力操作部40において、前記複合調理モード、前記連携調理モード及び前記単独調理モードの何れか1つの入力を受け付け、調理モードに応じた特定画面(第1特定画面30SP、第2特定画面30SC及び第3特定画面30ST)を、前記統合表示部30で表示する構成である。
しかも、連携調理モードの、例えば「ハンバーグ」「からあげ」等の個々の調理メニューについて、第1特定画面30SPにおいて、調理工程1と調理工程2の加熱源が表示され、更に前記した第1の参考情報FA1や第2の参考情報FA2等の、ユーザーに有益な情報が表示されるので、ユーザーの調理の失敗を少なくでき、利便性を向上させた加熱調理器を提供できる。
また、前記統合制御装置MCは、前記入力操作部40により主電源が投入された後、前記統合表示部30で待機時初期画面(共通画面30Z)を表示させ、この後、前記入力操作部40からの入力に応じて、前記特定画面を前記統合表示部30で表示する構成であった。
このため、連携調理モードと、複合調理モード及び単独調理モードと、を効果的に使用できる。
前記特定画面は、連携調理モード用の第1特定画面30SPと、前記複合調理モード用の第2特定画面30SCであり、前記第1特定画面と前記第2特定画面は、前記統合表示部30に択一的に表示される構成であった。
このため、連携調理モードと複合調理モードで誤解を招く懸念がなく、ユーザーの使い勝手が良い。
。
(2)その2:
更に、前記連携調理モード以外の調理モードを実行する場合、前記統合制御装置MCは、前記誘導加熱源9又はマイクロ波加熱源189の加熱調理が開始される前の段階で、各加熱手段の制御メニューに適用できる制御条件を、前記統合表示部の第1エリア30L~第3エリア30Rにおいて、それぞれ表示する構成であった。
このため、ユーザーは誘導加熱源9又はマイクロ波加熱源189の加熱調理が開始される前の段階で、各加熱手段の制御メニューに適用できる制御条件を、前記統合表示部30の第2特定画面30SCによって確認でき、ユーザーの操作性を向上させることが期待できる。
(3)その3:
前記統合表示部30には、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188の単独加熱モードと、複合調理モードのために、2つのモードに共通の第2特定画面30SCを表示させている。
前記第2特定画面30SC(表示画面30D)には、前記単独調理モードのメニューと、複合調理モードの制御メニューを特定する名称(例えば、「レンジ自動」や「あたため」等)と、当該制御モードに適用できる個別の制御条件(例えば、「調理時間」、「火力値」など)とが、並んだ状態で表示される構成である。
このため、ユーザーは前記表示画面30Dを見て、制御メニューと個別の制御条件とを、容易に対比して確認することができる。
(4)その4:
更に、統合制御装置MCは、前記入力キー43M1が押下されたと判断すると、1つの連携調理メニュー(例えば、「ハンバーグ」)の調理工程情報332と、当該メニューに適用される1つ以上の「制御条件」情報(火力、加熱強度情報、目標温度情報30T等の1つ又は複数の合わせを含む)を、前記表示画面30D(第1エリア30L、第2エリア30M)に表示させる。
そして、前記統合制御装置MCは、前記ユーザーの操作を促す案内等の付加情報331を表示させ、この状態で前記スタート用入力43MSキーが押された場合、連携調理モードの実行を開始する構成である(図53参照)。
この実施の形態1によれば、3種類の加熱源に共用される統合表示部30において、前記表示画面30Dにより、前記連携調理モード群の中から選択した1つの制御メニューによる加熱源と、調理工程、及びユーザーの入力操作等、少なくとも3つの情報を一括して表示できるため、加熱源を3つ備えた複合型加熱調理器であっても使い勝手が良い加熱調理器とすることができる。
(5)その5:
統合制御装置MCが、調理工程1又は調理工程2の進捗度合いを検知するために、調理工程1又は調理工程2の開始時点からの経過時間又は温度上昇を計測し、第1の参考情報FA1や第2の参考情報FA2を報知する構成であった。
このため、それら参考情報の報知動作を確実なものにすることができる。
(6)その6:
入力操作部40には、
(1)前記誘導加熱源を単独で動作させるIH単独調理モードの選択手段43L、43Rと、
(2)前記マイクロ波加熱源を単独で動作させるレンジ単独調理モードの選択手段43M1と、
(3)前記オーブン加熱源を単独で動作させるオーブン単独調理モードの選択手段43M1と、
(4)前記マイクロ波加熱源と前記オーブン加熱源の両方を、同時又は時間差で自動的に切り替えて動作させる複合調理モードの選択手段43M1と、
(5)前記連携調理モードの選択手段43MCと、を具備した構成である。
このため、3つの加熱源の選択手段(入力キー等)の設置スペースを大きくしない状態で、各加熱源の選択を簡単に行えるという利点がある。
(7)その7:
前記統合制御装置MCの動作プログラムには、前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188を、同時に動作させ、又は自動的に切り替えて動作させる複合調理メニューを、備えている。
このため、加熱原理が異なる2種類の加熱源を組み合わせて、多種類の調理に対応できる加熱調理器1が得られるという利点がある。
(8)その8:
前記入力操作部40は、前記誘導加熱源9の専用操作部となる右操作部40Rと左操作部40Lと、前記誘導加熱源9、前記マイクロ波加熱源189及び前記オーブン加熱源188の共用操作部(中央操作部)40Mと、を有し、
前記共用操作部40Mは、前記連携調理モードを選択する第1の選択手段(入力キー43MC)と、前記複合調理モードを選択する第2の選択手段(入力キー43M1)と、を備え、
前記第2の選択手段(入力キー43M1)よりも先に前記第1の選択手段(入力キー43MC)の入力操作を開始した場合、前記連携調理モードの調理に関する入力用の第1特定画面(30SP)が表示され、
前記第1の選択手段(入力キー43MC)よりも先に前記第2の選択手段(入力キー43M1)の入力操作を開始した場合、前記複合調理モードの調理に関する入力用の第2特定画面30SCが表示される構成であった。
このため、連携調理モードと複合調理モードの選択は、先に操作した方が有効となる。しかも、別々の特定画面が表示されるので、2種類の調理モードの間で、選択につき誤操作を招く懸念がない。
(9)その9:
前記調理工程1と前記調理工程2において、マイクロ波加熱源9、オーブン加熱源188及び誘導加熱源9の少なくとも何れか1つの加熱条件は、前記統合制御装置MCによって自動的に決定している構成であった。例えば、「レンジ手動」(図34参照)では、マイクロ波加熱時のマイクロ波出力を、ユーザーが100W、200W、500Wの中から選択することができるが、デフォルト値では500Wにしてあった。つまり、特別に指定しなければ500Wに決定される。
このため、ユーザーの入力操作を減らし、使い勝手を向上させることができる。
(10)その10:
前記誘導加熱源9を使用する調理工程1の終了及び前記調理工程2の終了は、前記専用操作部(右操作部40Rと左操作部40L)に対する入力操作によって決定される構成であった。具体的には、入力キー43L1、43R1によって誘導加熱動作の開始と停止のタイミングが決定された。
このため、連携調理モードを実行することを選定したあと、ユーザーは右操作部40Rか左操作部40Lの何れかの前方に立って、誘導加熱の開始と終了に集中できる。言い換えると、中央操作部40Mと左右の操作部40L、40Rの両方を使い分けて、調理工程1の開始・終了を行う必要がないので、ユーザーの操作に混乱を招かない。
(11)その11:
前記調理工程1と前記調理工程2において、前記マイクロ波加熱源189、前記オーブン加熱源188及び前記誘導加熱源9の少なくとも何れか1つの加熱条件は、前記入力操作部40(40M、40L、40R)をユーザーが操作することによって決定する構成であった。
このため、被調理物と加熱形態、加熱源に応じた加熱条件(火力や加熱時間等)を設定でき、調理の仕上がりを良好なものにすることができる。
(12)その12:
前記報知部ANは、前記IH単独調理モードの実行期間中に表示動作を行う第1の表示部(31L、31R)と、連携調理モードの実行期間中に表示動作を行う統合表示部30と、を有していた。
そのため、特に複数の加熱源を使用する連携調理モードの調理時には、1つの統合表示部30によって集中的に調理工程や加熱条件等が表示されるので、その統合表示部30に注意を集中することができる。
(13)その13:
統合表示部30は、複合調理モード又は連携調理モードの選択用入力を受け付けた場合、当該複合調理モード又は前記連携調理モードに対応した表示動作を行う構成であった。
つまり、統合表示部30には、入力キー43MCで入力操作した場合、連携調理モード用の第1特定画面(30SP)が表示され、入力キー43M1で入力操作した場合、複合調理モード用の第2特定画面30SCが表示される構成であった。
このため、連携調理モードと複合調理モードの選択間違いはなく、ユーザーの操作性を向上させることができる。
(14)その14:
連携調理モードは、複数の調理を特定する識別情報330が、前記第1特定画面30SPの中に一定の順番で表示され、入力操作部40を操作するたびに、識別情報330が順次選択可能な状態となる構成であった。
このため、目的の調理(例えば、ハンバーグ)を行う場合に、識別情報を順次表示させて選択できるから、選択の方法が簡単であり、ユーザーの操作性を向上させることができる。
(15)その15:
複合調理モードは、前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188を駆動する制御メニューによって区分けされており、
前記第2特定画面30SCには、前記制御メニューを特定する情報(例えば、図40の「あたため」、「レンジ手動」という特定文30J)が表示される構成であった。
このため、ユーザーは制御メニューの選択が容易に行える。
(16)その16:
加熱調理器1の外郭を構成する本体ケースHCを、更に有し、
前記本体ケースHCの内部は、前記誘導加熱源9を収容した上部空間300Aと、前記マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188を収容した下部空間300Bと、に区画され、
前記上部空間300Aには、前記下部空間300Bの外側に連通している通気孔64から冷却用の外気を導入する上部冷却ファン60、61を有し、
前記下部空間300Bには、前記上部空間300Aのコイル設置空間CKを経由せずに外部から冷却用の外気を導入する下部冷却ファン128、129と、を収容している構成であった。
この構成によれば、1つの加熱調理器において、マイクロ波加熱と誘導加熱、オーブン加熱の3種類が選択でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
しかも、上部空間300Aと下部空間300Bの内部に対する外気の導入は、お互いに悪影響を受けたり、干渉しれたりすることが避けられる。そのため、本体ケースHCの内部空間の冷却を、効率良く行うことができる。
(17)その17:
前記本体ケースHCは、内部が前記上部空間300Aとなる金属製の上部ケース16と、この上部ケース16を上面開口部に嵌合させた金属製の下部ケース101とから構成され、
前記統合制御装置MCと報知部ANは、前記上部ケース16に収容されている構成であった。
このため、上部ケース16と下部ケース101は、強固な1つの箱形構造物にすることができるため、ドア114の支持構造も強固に実現でき、ドア114部分におけるマイクロ波漏洩防止に有益である。
特に上部ユニット100のトッププレート15は、厨房家具2の上面に支持されて下部ユニット200の全荷重を受けるので、上部ケース16と下部ケース101の全体が歪んだり、変形したりしない構造にすることは重要である。この点で実施の形態1の構造は、そのような変形防止の効果が高い。
(18)その18:
上部冷却ファン60、61が外気を導入する第1の通気口(通気孔)64と、前記下部冷却ファンが外気を導入する第2の通気口152F、152Bは、前記加熱室113を挟んで、互いに反対側に配置されている構成であった。
この構成によれば、下部ケース101の中に外気を導入する位置と、上部ケース16の中に外気を導入する位置は、互いに離れた個所である。そのため、お互いの外気導入が悪影響を受けたり、干渉されたりすることが避けられる。また送風ファンの回転数が仮に同じとなった場合でも唸り音の発生も回避でき、運転音が静かな加熱調理器を提供できる。
(19)その19:
前記上部空間300Aには、前記誘導加熱源9、前記マイクロ波加熱源189及び前記オーブン加熱源188のそれぞれに対して、電力を供給する電源回路基板55と、商用電源からの電力を受けるフィルター回路基板54と、をそれぞれ収容している構成を開示していた。
この構成のために、重要な電源供給手段である電源回路基板55を、2つの冷却ファン60、61によって効果的に冷却することができ、過熱による故障や動作不良等を防止できる。
更に、上部空間300Aに、商用電源からの電力を受けるフィルター回路基板54と、このフィルター回路基板54から電力を受けて、前記第1のインバーター回路基板80と前記第2のインバーター基板80Mに必要な電源を生成する電源回路基板55を備え、
前記電源回路基板55は、前記カバー70を挟んで前記第1冷却ファン60及び前記第2冷却ファン61と反対側に配置され、
前記フィルター回路基板54は、前記電源回路基板55と隣接した位置に配置され、
前記電源回路基板55に実装された電気部品と前記フィルター回路基板54に実装された電気部品は、第1の水平面HP1上に、それぞれ位置している構成であった。
この構成のために、重要な電源供給手段であるフィルター回路基板54と電源回路基板55を、2つの冷却ファン60、61から水平方向に送り出された冷却風によって効果的に冷却することができ、過熱による故障や動作不良等を防止できる。
(20)その20:
前記統合制御装置MCが、前記送受信部(無線通信部)49を介してホーム・ゲートウエイ411から取得する参考情報は、加熱調理が可能な食材の情報である構成を開示した。
このため、食材の情報を得るために、加熱調理の途中で冷蔵庫401のところに移動して確かめるという面倒な作業を必要としないので、ユーザーの労力を軽減できる。
(21)その21:
統合制御装置MCは、前記参考情報(食材情報)を、1つの前記連携調理モードの調理を終えるまで記憶装置MMに記憶させておく構成であった。
このため、ユーザーが参考情報をその都度特別な記録のための操作したり、紙に記載して記録する作業も不要である。
(22)その22:
前記食材情報は、冷蔵庫401が保有している情報であった。更に、その食材情報には、当該食材の冷蔵温度又は冷凍温度の情報が含まれていた。
このため、加熱調理器1で連携調理モードの調理を行う場合に、制御条件(火力、加熱強度、目標温度等の1つ又は複数の合わせを含む)を決める場合に参考にすることができ、より仕上がり状態の良い調理が期待できる。
(23)その23:
統合制御装置MCは、前記調理工程1の開始前において、前記送受信部(無線通信部)49から前記した食材情報の提供を求める信号(図99のRQ1、RQ3参照)を、前記情報処理装置(ホーム・ゲートウエイ)411へ送信する構成であった。
。
このため、食材の情報を得るために、加熱調理の途中で冷蔵庫401のところに移動して確かめるという面倒な作業を必要としないので、ユーザーの労力を軽減できる。
(24)その24:
統合制御装置MCは、前記調理工程1の開始前において、前記送受信部(無線通信部)49から前記参考情報の提供を求める信号を、前記情報処理装置(ホーム・ゲートウエイ)411へ送信し、更に、参考情報の提供を求めていることを前記報知部ANで報知する構成であった(図105参照)。
このため、ユーザーが加熱調理の途中で冷蔵庫401のところに移動して確かめるという行動を、事前に見合わせることができるので、ユーザーの労力を軽減できる。
(25)その25:
統合制御装置MCは、前記調理工程2の終了後において前記調理実施データを記憶装置MMに記憶させる構成であった。
このため、ユーザーが調理実施データを記録するために、特別な操作したり、紙に記載して記録する作業等も不要である。
(26)その26:
前記調理実施データは、調理工程2の終了後において送信され、前記調理実施データは、少なくとも以下の情報を1つ以上含んでいる構成であった。
(1)被調理物の名称を示す情報
(2)被調理物の重量又は容積に関する情報
(3)前記調理工程1と前記調理工程2の制御条件を示す情報
(4)前記調理工程1から前記調理工程2の終了までの所要時間を示す情報
(5)前記調理工程2の終了時刻を示す情報
(6)加熱調理動作した加熱源を特定する情報
(7)次の加熱調理の際にユーザーが受ける制限に関する情報
(8)前記加熱室の現在温度等のユーザーの安全性に関係する情報
このため、ユーザーが調理実施データを、正確かつ詳細に記録するために、特別な操作したり、紙に記載して記録する作業等も不要にできる。
(27)その27:
統合制御装置MCは、前記連携調理モードによる調理の終了後において、当該調理を終了するまでの所要時間の情報を、記憶装置MMに記憶させる構成であった。
このため、ユーザーが調理に要した時間の情報を、その都度記録するために、特別な操作したり、紙に記載して記録する作業等も不要にできる。
(28)その28:
実施の形態1の家電機器の運転管理システムでは、情報処理装置(ホーム・ゲートウエイ)411は、加熱調理器1と前記冷蔵庫401が設置された空間に、人がいることを検知している場合であって、かつ、前記加熱調理器1からの起動情報を受けた場合に、加熱調理時間帯と判定し、前記冷蔵庫401に対する在庫データの収集指令を発信する構成であった(図98のステップSD6参照)。
このため、ユーザー(居住者)が冷蔵庫401や加熱調理器1の付近に居て、調理する可能性が高い場合に、自動的に在庫データの収集動作を行うことができ、しかも、調理の際にユーザーが当該データの収集のための特別な入力操作も不要であり、労力を掛けずに有益な情報を取得できるから、全体として利便性の高い運転管理システムを実現できる。
実施の形態2.
図111~図121は、実施の形態2に係る加熱調理器を示すものである。
図111は、実施の形態2に係る(ビルトイン式複合型)加熱調理器1において、ドアを閉じた状態を示す斜視図である。図112は、加熱調理器1において、ドアを開放した状態を示す斜視図である。図113は、加熱調理器1において、トッププレートを取り外した状態の上部ユニットの斜視図である。図114は、加熱調理器1において、トッププレートとIHコイルを取り外した状態の上部ユニットの斜視図である。図115は、加熱調理器1において、トッププレート、IHコイル及びカバーを取り外した状態の上部ユニットの斜視図である。図116は、加熱調理器1において、冷却風の流れを示した参考斜視図である。図117は、加熱調理器1の、上部ユニットの底面(下面)図である。図118は、加熱調理器1の、全体の制御機能を説明するブロック図である。図119は、加熱調理器1の、入力操作部と統合表示部を示した拡大平面図である。図120は、連携調理モードの調理工程と単独制御メニューとの関係を示す説明図である。図121は、連携調理モードの場合における統合表示部の表示内容と、入力操作部の関係を示す説明図である。なお、図1~図110に説明した実施の形態1の構成と同一又は相当部分は、同じ符号を付けている。
この実施の形態2では、加熱調理器1の外気の吸入口を増設(変更)し、また制御関係の構成も変更した点が、実施の形態1と大きく異なる。
また、入力操作部40の構成も、実施の形態1と大きく異なる。更に、連携調理モードを実施する際に、使用する加熱源の動作の制限を行う内容が、異なっている。
更に、4つの冷却ファン60、61、128、129の運転パターンも実施の形態1と大きく異なる。
実施の形態1と特に異なる点を中心に、各図面を参照しながら説明する。まず、図111について説明する。
図111において、118は、上部ユニット100と下部ユニット200を一体化するための連結部材であり、補強の目的もあるので、「補強部材」とも呼ぶ場合がある。
連結部材118は、下部ユニット200の右側面から下面、更に左側面を一連に覆う形状を有している。
連結部材118には、図示していないが、下部ユニット200の前方部の左側面に密着状態に重なり、固定される左垂直部118Lと、前記右垂直部118Rと左垂直部118Lに一連に形成されている中央平坦部118Mとを、更に有している。その中央平坦部118Mは、下部ケース101の前方部の底板101Uの下面に密着状態に重なって固定されている。
次に図112について説明する。
後述するヒンジ部176の取付部分は、ドア114の開閉時の荷重等を受けても、湾曲等の変形を生じない堅牢な構造になっている。そして、結果的にドア114の開閉時の支持が確実にできる。
このため、長期間使用しても、加熱室114の開口部114Aの前面周囲部分にドア114が密着して、開口部114Aを確実に閉鎖でき、電波漏れのない安全性の高い加熱調理器を実現している。
前記連結部材118は、1枚の金属製薄板(例えば、板厚1mm)をプレス加工して、前記右垂直部118R(図示せず)、中央平坦部118M(図示せず)及び右垂直部118Lを一体に形成している。
図111、図112において、101RPは、下部ケース101の側方垂直壁101Rに一体に形成した凸部である。この凸部は、下部ケース101の内側から外側方向へ側方垂直壁101Rをプレス加工することによって形成されており、側方垂直壁101Rの機械的強度アップを目的にしたものである。同様に下部ケース101の左側にある側方垂直壁101Lも、一定の面積を外側に突出させて凸部101LP(図示せず)を形成している。
116は、ドア114を水平状態に支えるとともに、ドア114を閉じる際にドア閉鎖方向に引っ張る金属製のアームである。このアーム116は、下ケース101の前板101Fに形成された透孔(ガイド孔)117に案内されて、その透孔117を前後方向に移動する。なお、アーム116を利用した高周波加熱装置のドア構造は、例えば、特開2002-39541号公報、特開2010-181106号公報及び特開2007-218544号公報等で紹介されているので、詳しい説明は省略する。
図112において、176は、左右に1対設けたヒンジであり、前記ドア114と下部ケース101の底板101Uとの双方に固定されている。これにより、ドア114を下部ケース101に回動自在に支持している。なお、ヒンジ176は、前記連結部材(補強部材)118と底板101Uとの間にサンドイッチ状態で、固定具(ボルトとナットの組合せ、またはネジ等)により、複数個所でそれぞれ固定されている。
以上の構造により、ドア114はヒンジ176を支点として開閉する。なお、前記した左右一対のアーム116は、前記透孔117の裏側下方に回転自在に設けたローラー(図示せず)又は滑動部材(図示せず)によって下方から支持されており、ドア114の開閉時には、アーム116は当該ローラー又は滑動部材の上面に接しながら前後に移動する。
112は、下部ユニット200の前面の左右両側に設けた前カバーであり、プラスチック製又は金属製である。
前記前カバー112は、左右対称形状であり、それぞれが下部ケース101の横幅よりも左右に大きく張り出して下部ケース101に固定されている。この前カバー112は、加熱調理器1を厨房家具2に設置した場合、その厨房家具2との隙間(右側空隙301Rと、左側空隙301L)の前方全体を、可能な限り覆うことで、前方から目視した場合、それら空隙301R、301Lが目立たないようにする役目を果たすものである。
198は、金属製の支持金具であり、下部ケース101の横幅全体に及ぶ長さを有している。そしてこの支持金具198は、下部ケース101の前方水平壁101Tにネジ186で固定されている。
146は、右側の前カバー112の前面(表面)側に固定された箱状の前面操作部である。この前面操作部146は、加熱室113を利用したマイクロ波加熱とオーブン加熱時に使用するものである。
入力操作部40は、前記前面操作部146と、中央操作部40M、右側操作部40R及び左操作部40Lの、4つの部分から構成されている。
147は、液晶画面を備えた表示部であり、前記前面操作部146の天井面に配置されており、加熱調理を行う際に、ユーザーが上方から表示内容を目視確認できるようになっている。なお、この前面操作部146は、従来から知られている「カンガルーポケット機構」の操作部のように、加熱調理器1の内部には回動して格納されず、常に前カバー112の前方に露出している。
前面操作部146の上面には、前記表示部147の近傍に、複数のタッチ式又は押しボタン式の入力キー(図示せず)が配置されている。それら入力キーを操作することで、マイクロ波加熱とオーブン加熱時の、制御条件の入力や、加熱動作の開始と停止を指令することができる
図112において、145は、前記加熱室113の内部において使用される専用の受け皿であり、耐熱性の高いプラスチックや磁器、ガラス等で形成されている。この受け皿145は、加熱室113の開口113Aから出し入れ自在となるような外形寸法を有している。
前記受け皿145の上には、通常は磁器や耐熱性の高い材料で形成された食器を置いて、その食器の中に入れた食材をマイクロ波で加熱調理する。しかし、マイクロ波加熱を使用しない場合には、前記食器は、金属製でも良い。例えば、トッププレート15の上で、フライパン(図示せず)等の磁性金属製の調理器具(被加熱物)Nを置き、この調理器具の上で食品(例えば、ハンバーグ)をある程度だけ誘導加熱し、その後その調理器具を加熱室113の中に移動させ、上部ヒータ163A、下部ヒータ163Bによって、更に加熱を加えて調理を完成させても良い(この調理の方法は、連携調理モードの1種である)。
図111と図112において、152S1と152S2は、多数の小孔から構成される補助吸気口であり、前記下部ケース101の右側面を構成している側方垂直壁101Rの下端部に設けてある。
前記補助吸気口152S1は、インバーター回路基板121を外気で冷却するための吸気口(第2の吸気口)152Fの補助吸気口である。
同じく補助吸気口152S2は、マグネトロン122の放熱部122Hを外気で冷却するための吸気口(第2の吸気口)152Bの補助吸気口である。なお、これら補助吸気口152S1、152S2の最大口径は、マイクロ波の漏洩防止効果も考慮して、3mm程度である。
マイクロ波加熱源189のインバーター回路基板121を外気で冷却するため第3冷却ファン(冷却ファンA)128の吸込口は、図示していないが、前記補助吸気口152S1の近傍に位置している。同様に、マグネトロン122の放熱部122Hを外気で冷却するための第4冷却ファン(冷却ファンB)129の吸込口も、補助吸気口152S2の近傍に配置してある。
次に図113について説明する。図113は、トッププレート15を外した状態を示している。この図113において、30Wは、表示窓であり、ホルダー50において前記統合表示部30の外形形状に対応した大きさで形成している。
31LW、31RWは、それぞれ表示窓である。この表示窓は、ホルダー50において前記左側表示部31Lと右側表示部31Rに、それぞれ対応した位置に形成している。
56は、チョークコイルであり、フィルター回路基板54の中の重要な電気部品の1つである。17Cは、コイルベース(コイル支持枠)であり、2つのIHコイル17L、17Rを上面に載置している。
左側のIHコイル17Lは、最大外形寸法(直径)が236mmである。これにより、大きな鍋やフライパン等の被加熱物にも対応できる。そのため、連携調理モードを実施する場合、加熱室113で使用する金属製の大型の容器や調理器具(何れも、蓋が無い形態)をそのまま左加熱部17HLに移動して加熱する場合に、左加熱部17HLで効率良く加熱できる。
または、連携調理モードを実施する場合、大きな面積又は数の多い被調理物を加熱室113で加熱したあと、金属製の大型の容器や調理器具に当該被調理物を移して、左加熱部17HLの上で加熱する場合にも、左加熱部17HLで効率良く加熱できる。このような理由から、この実施の形態2においては、連携調理モードのために左加熱部17HLを占用したい理由がある。なお、右側のIHコイル17Rは、実施の形態1と同じで、直径168mmである。
コイルベース17Cは、耐熱性の高いプラスチック材料で一体に形成されている。またコイルベース17Cは、IHコイル17L、17Rの形状に合わせて、全体が円形であるが、中心部から放射状に伸びる腕17CHを複数本備えている。この実施の形態2では、腕17CHは8本である。各腕17CHの間には大きな通風空間となる空隙が形成されている。
17Fは、隣り合う2つの腕17CHの間に、1本ずつ設置されたフェライト板である。左側のIHコイル17Lにおいて、TS3は、サーミスタのような接触型の温度センサーである。
1つの温度センサーTS3は、IHコイル17Lの中心部に設置されている。他の2つの温度センサーTS3は、IHコイル17Lの中心部から少し離れて、その外側位置にそれぞれ設置してある。
TS5は、赤外線センサーのような非接触型温度センサーである。右側のIHコイル17Rにおいて、TS4は、サーミスタのような接触型の温度センサーである。1つの温度センサーTS4は、IHコイル17Rの中心部に設置されている。他の2つの温度センサーTS4は、IHコイル17Rの中心部から少し離れて、その外側位置にそれぞれ設置してある。
TS6は、赤外線センサーのような非接触型の温度センサーである。これら各温度センサーTS3~TS6からの計測データは、温度検出回路(温度検出処理部)93に入力される。これら温度センサーTS3~TS6を、「第1の温度センサー」と呼ぶ場合がある。
図113において、66は、アルミニウム等の金属製の防磁リングであり、前記コイルベース(コイル支持枠)17Cを囲むように、当該コイルベース17Cに固定されている。
41Rは、実施の形態1の操作基板41に相当する右側タッチキー基板である。41Lは、同じく操作基板41に相当する左側タッチキー基板である。これら2つのタッチキー基板41L、41Rも前記ホルダー50の上面部に支持されている。
次に図114について説明する。
57は、トランスであり、電源回路基板55の中の重要な電気部品の1つである。この図114では、カバー70の左側端部を横幅寸法W11の範囲で切欠いている。この切欠いている部分には、IHコイル17L側のコイルベース17Cに支持された温度センサーTS5が配置される。つまり、当該温度センサーTS5とカバー70が接触しないように切欠いている。
次に図115について説明する。58は、コンデンサーであり、インバーター回路基板80の中の重要な電気部品の1つである。
この図115から明らかなように、アルミ製のヒートシンク82は、左右に2個(2列)で、前後に2つあるため、合計で4つある。4つのヒートシンク82は、前後で2個ずつが近接して向かい合うように設置してある。59は、1つのヒートシンク82に取り付けたダイオードブリッジ回路(ダイオードモジュール)である。ダイオードブリッジ回路(ダイオードモジュール)59は、動作時に発生する熱が、ヒートシンク82によって放熱され、過熱状態にならない。
図115から明らかなように、第1冷却ファン60の吹出口60Aと、前記ヒートシンク82との間は、50~100mm程度の距離LDだけ離れている。
図116は、図115に示した構成において、冷却風の流れを示したものである。冷却風は太い矢印で示している。
次に図117は、上部ユニット100の底面(下面)図である。D5は、上部ユニット100の前後方向最大幅寸法であり、432mmである。W4は、上部ユニット100の左右方向最大幅寸法であり、544mmである。
前記下部ケース101の上部開口の縦横寸法(内側最大縦横寸法)は、上記した上部ケース16の前後方向最大幅寸法D5と、左右方向最大幅寸法W4とを考慮し、この上部ケース16が内側に嵌るような大きさに設定されている。
構造的には、以上の説明したように構成されているから、上部ユニット100において誘導加熱調理を行った場合には、図116に太い矢印で示すように、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61から吹き出された冷却風RF1、RF2、RF3、RF4によって、インバーター回路基板80、入力操作部40、電源回路基板55、及びフィルター回路基板54が、それぞれ冷却される。
次に図118について説明する。
図118は、加熱調理器1の、全体の制御機能を説明するブロック図である。図118において、破線で示す矢印は、制御用の指令信号を示している。
この実施の形態2を示す加熱調理器1では、マイクロコンピューターを主体にした制御装置が、合計6つある。この点が実施の形態1と大きく異なる個所である。
前記した6つの制御装置の中で、加熱調理器1の全体の制御を司るものが統合制御装置MCである。この統合制御装置MCからの指令を受けて、誘導加熱調理を制御するのは、IH制御部90である。またマイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188の双方を制御するのが、制御装置105である。この制御装置105は、実施の形態1で説明した加熱室制御部159とマイクロ波加熱制御部130を集合させたものである。
前記した2つの制御装置90、105は、統合制御装置MCからの指令に従って規定の制御を行い、処理結果を統合制御装置MCへ返信するため、スレーブ(SLAVE)マイコンと呼ばれる場合がある。この場合、前記統合制御装置MCは、マスターマイコンと呼ばれる。
前記した6つの制御装置の中の、残りの3つについて以下説明する。
まず1つ目は、入力操作部40において、右操作部40Rに配置された右側のタッチキー群の入力と、表示部31Rの表示を処理する右側入力制御装置23である。この右側入力制御装置23は、更に中央操作部40Mのタッチキー群の入力を処理する。
2つ目は、左操作部40Lに配置された、左側のタッチキー群の入力と表示部31Lの表示を処理する左側入力制御装置24である。
3つ目は、電源スイッチ制御装置28である。
電源スイッチ制御装置28は、入力操作部40に配置された主電源スイッチ97の操作ボタン(操作部)98の操作を検知して電源のON-OFFを決めるものである。
図118において、106Aは、商用(交流)電源99に接続されたプラグである。電圧が200V、周波数が50Hz又は60Hzの電力は、電源コード106を介してフィルター回路基板54まで導かれる。なお、フィルター回路基板54は、上部ユニット100に内蔵されている。
フィルター回路基板54には、加熱調理器1の主電源をON-OFFするメインリレー107と、サブリレー(図示せず)を有している。図118には、メインリレーだけを模式的に記載している。
前記メインリレー107は、加熱調理器1の全体の制御を司る統合制御装置MCから、所定のリレー制御信号を受けて開閉動作が実行される。なお、サブリレーは、後述するように、電源スイッチ制御装置28からのリレー制御信号を受けて開閉動作が実行される。電源スイッチ制御装置28は、主電源スイッチ97の操作ボタン98の操作を検知して電源のON-OFFを決める機能を有している。これらメインリレー107とサブリレーによって主電源スイッチ97が構成されている。
前記統合制御装置MCは、前記IH制御部90と、制御装置105、右側入力制御装置23、左側入力制御装置24及び電源スイッチ制御装置28からの動作情報を常に取得し、それらを統合して処理を決定し、制御する。
前記統合制御装置MCは、前記中央操作部40Mと、統合表示部30の表示動作と、音声合成装置95及び無線通信部49を制御するものである。この統合制御装置MCと、右側入力制御装置23及び電源スイッチ制御装置28は、入力操作部40を構成する中央操作基板32に取り付けられている。
右側操作基板32R(図示せず)と左側操作基板32L(図示せず)は、前記ホルダー50の下面側に装着されている。そのため、図113~図116には表れていない。
前記中央操作基板32は、右側操作基板32Rと左側操作基板32Lから構成されており、右側操作基板32Rに、統合制御装置MCと、右側入力制御装置23及び右側表示部31Rを実装している。2つの操作基板32L、32Lは、電気絶縁性に富むプラスチック材料で形成されている。左側操作基板32Lには、左側入力制御装置24と左側表示部31Lを実装している(図118参照)。
前記中央操作基板32の上方で、前記ホルダー50前方位置には、各種のタッチ式入力キーを実装した、左右1対のタッチキー基板(操作基板)41L、41Rが設置されている。
55は、フィルター回路54から、商用電源の電力が供給される電源回路基板であり、図118に示すように、整流回路33を経由して電力が印加される電源回路A34と、整流回路35を経由して電力が印加される電源回路B36、とを備えている。この2つの電源回路A34と電源回路B36により、電圧200Vの電力は、例えば24V、18V、6V、5V等のような、複数の低い電圧の直流にそれぞれ変換される。つまり、電圧の異なる複数の直流電源が生成される。
前記した5Vの電力は、前記統合制御装置MC、前記IH制御部90、制御装置105、右側入力制御装置23、左側入力制御装置24及び電源スイッチ制御装置28の電源として供給される。
また、6Vの電力は、統合表示部30、右表示部31R、左表示部31Rの電源(バックライト電源含む)として使用される。
電源回路基板55は、上部ユニット100に設置されており、上記したように、その電源回路A34と、電源回路B36で生成された電力は、上部ユニット100の中の制御や各種表示部の電源として使用されている。
80は、上部ユニット100の内部に設置されている誘導加熱源9のインバーター回路基板である。
このインバーター回路基板80には、直流電源部75Rを備えた右側のインバーター回路81Rと、別の直流電源部75Lを備えた左側のインバーター回路81L、を備えている。
前記フィルター回路54から、インバーター回路基板80には200Vの電圧の交流電力が印加される。90は、誘導加熱の制御全般を司るIH制御部であり、マイクロコンピューターを主体にして構成されている。
前記IH制御部90は、インバーター回路81L、81Rの中のIGBT79a、79bを駆動する駆動回路37L、37Rに対し、駆動信号を発信する。2つの駆動回路37L、37Rは、前記電源回路A34、電源回路B36から供給された18Vの電力で動作し、IGBT79a、79を制御する。これによりインバーター回路81L、81Rの駆動周波数が制御される。
例えば、駆動回路A37Rは、電力用スイッチング素子83(半導体スイッチング素子)(IGBT79a、79b)の導通時間を検知し、導通時間を切り替えることにより、インバーター回路81Rの駆動周波数を低下させて火力を低下させ、又は逆に駆動周波数を上げて火力を上げる制御をする。これら駆動周波数の指令は、IH制御部90から出される。
77aは、インバーター回路81L、81Rの商用電源側に設置した入力電流検出部、77bは、インバーター回路81L、81Rの出力側の電力を検出する出力電流検出部である。
これら入力電流検出部77aと出力電流検出器77bの検出値は、前記IH制御部90に入力される。
誘導加熱調理時の初期段階では、IH制御部90が被加熱物の材質判定を行う。
例えば、ある駆動周波数から別の駆動周波数まで変更させた時に、前記入力電流値の変化を見て、鍋等の被加熱物の材質が、磁性金属であるか、非磁性ステンレス、アルミニウム等と判別し、前記スイッチング素子(IGBT)79a、79bの駆動周波数を適正な値に自動調整する。そして、被加熱物の材質が非磁性ステンレスであると判別した場合は、鉄と判別した場合の駆動周波数(例えば、23kHz)よりも高い駆動周波数(例えば31kHz)で駆動させる。
TS5、TS6は、IHコイル17L、17Rの空隙部に設置した非接触形温度センサー、TS3、TS4は、IHコイル17L、17Rの中心部に設置した接触形温度センサーである。また、TS8、TS9は、インバーター回路基板80のヒートシンク82に設置した接触形温度センサーである。これら各温度センサーの温度検出データは、統合制御装置MCに入力される。
実施の形態1では、温度検出回路93を備えていたが、この実施の形態2では、そのようなハードウエア形式での温度検出回路93を備えていない。統合制御装置MCの中のソフトウエア(温度検出処理部)によって温度検知や温度比較、異常有無等の処理が実行される。
131は、ドア開閉検知機構である。このドア開閉検知機構131は、ドア114の開閉動作に応じて開閉される1つのスイッチと、そのスイッチが正しく開閉していることを検知するモニタースイッチとを備えている。この点は、実施の形態1で説明したものと同じである。
120Pは、マイクロ波加熱装置120の電源回路部であり、フィルター回路54から供給される商用電圧(200V)の電力から、低電圧(例えば24Vと5V)の電源となる交流電力を生成する。
電圧5Vの電力は、前記制御装置105の電源として供給され、また24Vの電力は、第3冷却ファン128、第4冷却ファン129の駆動回路177に対して、それぞれ供給される。なお、図118には示していないが、アンテナ駆動用モータ126の駆動電源には、200Vの電力が供給される。
加熱室113を加熱する上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bは、前記制御装置105によってリレー178A、178Bが開閉されることで通電が制御される。前記リレー178A、178Bは、細かい通電率制御ができるような半導体スイッチング素子を使用しても良いが、この実施の形態2では、ON-OFF制御するだけであるので、リレーを採用している。上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bには、商用電源と同じ200Vの電圧が加わり、動作する。
132Mは、ドア開閉検知機構131の一部を構成するドア開放検知スイッチである。このスイッチ自体は、前記ドア開閉検知機構131の内部に設置してあるが、この図118では、開閉信号が制御装置105に入力されることを示すために、別の位置に描いている。
160は、加熱室113の中の被調理物等の温度を計測する赤外線センサー(第3の温度センサー)、TS1は、前記マイクロ波加熱装置120のマグネトロン122の温度を計測する接触式センサーである。これらセンサー160、TS1の温度検出データは、全て制御装置105に入力される。
121Aは、マグネトロン122に高周波電力を供給するインバーター回路であり、電源側回路に挿入されたリレー182によって発振が制御される。前記リレー182の開閉は、前記制御装置105によって行う。
60P、61Pは、前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61をそれぞれ駆動する駆動回路である。この駆動回路60P、61Pは、前記IH制御部90の指令を受けて動作する。
この図118では、統合表示部30や入力操作部40の温度を監視する温度センサーを図示していないが、実際にはそのような温度センサーを設置し、加熱調理中において、常に(一定時間毎に)温度計測データを統合制御装置MCが取得して、異常な温度にならないように監視している。
以上のようにこの実施の形態2の加熱調理器1は構成されているので、加熱調理を開始する場合には、最初に主電源スイッチ97を入れるために、入力操作部40の操作キー98を例えば数秒間押し続けると、この操作を電源スイッチ制御装置28が検知し、フィルター回路基板54の中にあるメインリレー107を閉じる。
このため、フィルター回路基板54から電源回路基板55に商用電源の電力が供給される。そして電源回路基板55の電源回路A34と電源回路B36によって、所定の電圧の電源が生成され、統合制御装置MCに印加される。
統合制御装置MCは、起動されると最初に加熱動作開始前の初期の自己診断を行い、異常が発生していないことを確認する。また、統合表示部30を起動し、初期情報を表示する。
この状態で、マイクロ波加熱装置120を使用するために、ユーザーが加熱室113のドア114を開けると、ドア開閉検知機構131がドア114の開放を示す信号を、制御装置105に送信する。このため、制御装置105は、ドア114の開放を示す信号を統合制御装置MCへ送信する。統合制御装置MCは、ユーザーがマイクロ波加熱調理を行うものと推定して、統合表示部30にマイクロ波加熱を開始するための必要な情報を表示し、加熱開始のための入力を促す。
ユーザーが、被調理物を加熱室113に入れてドア114を閉めると、再びドア開閉検知機構131がドア114の閉鎖を示す検知信号を、前記制御装置105を経由して統合制御装置MCに送信する。そのため、この状態で入力操作部40から加熱開始の指令が行われると、右側入力制御装置23は、マイクロ波加熱用の入力キーのタッチ入力有無を検知する。このため、右側入力制御装置23から統合制御装置MCに加熱開始指令を示す信号が送信される。
この実施の形態2においても、複合調理モードでは、マイクロ波加熱を先に行い、ある程度食品を加熱してから、上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bで加熱するパターンと、この逆の順序で加熱するパターン、及びマイクロ波加熱とヒータ加熱を同時に行うパターンの3種類がある。
また、マイクロ波加熱と、上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bで加熱するオーブン加熱の、それぞれ単独加熱メニューも実行できる。
更に、後述するように連携調理モードも実行できる。
一般に、耐熱性のプラスッチック容器や食器類に被調理物を入れてマイクロ波加熱を行うことが良く行われるが、このままの状態で、次に上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bを発熱させた場合、上記した容器、食器等が高熱で焼損するおそれがある。
複合調理モードでは、加熱室113の内部にプラスチック容器を入れて加熱しないよう警告した注意表示文を前記統合表示部30に表示させる。つまり、「レンジグリル」という制御メニューの実行にあたり、この注意表示文は、実施の形態1で説明した「待機時共通情報」30Nの1種である
「あたため」(レンジ自動)の制御メニューでは、非接触(赤外線)温度計測部158が加熱室113内の被調理物の温度や加熱室113壁面温度を検知して、目標温度に到達した段階で自動的にマイクロ波の発振を停止する。そのため、以前行った調理時の熱が残っていて温度が最初から高い場合には、マイクロ波加熱を自動で行うことを統合制御装置MCで禁止している。
そこで、この実施の形態2では、「レンジ手動」の制御メニュー(単独加熱調理)を選ぶようにユーザーに報知している。「レンジ手動」は、マイクロ波加熱時間を設定して行うものであるので、加熱室113内の被調理物の温度や加熱室113壁面温度が高くても、何ら支障なく調理できる。そのような統合表示部30に表示した表示文も、実施の形態1で説明した「待機時共通情報」30Nの1種である。
ユーザーから加熱開始指令が入力操作部40を通じて行われると、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱動作を制御する制御装置105に駆動指令を発信し、リレー182を閉じ、インバーター回路121Aを駆動してマイクロ波加熱を開始する。また同時に第3冷却ファン128と第4冷却ファン129の駆動回路177A、177Bに運転指令信号を出して、それら2つの冷却ファン128、129の運転を開始する。さらに、図92には示していないが、アンテナ駆動用モータ126を駆動してアンテナ125を回動させる。これにより加熱室113の内部にはマイクロ波が導入され、食品を加熱調理する。
以上の説明から明らかなように、マイクロ波加熱調理を行っている期間中は、上部ユニット100の第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、「非平常時」でない限り、全く運転はされない。そのため、加熱調理器1全体の消費電力を少なく抑えることができる。
この実施の形態2の加熱調理器1は、以上の説明から明らかなように、前記上部ユニット100には、前記誘導加熱源9を制御するIH制御部90と、前記マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188の両者を制御する制御装置105と、これら2つの制御装置(スレーブマイコン)90、105を統合制御する統合制御装置MC(マスターマイコン)MCと、を備え、
前記上部ユニット100には、商用電源99からの電力を受けるフィルター回路基板54と、前記フィルター回路基板54からの電力を規定の電源電圧に変換する電源回路(34,36)と、を備え、
前記制御装置105と制御装置90及び前記統合制御装置MCは、前記電源回路34、36で生成した低い電圧の電力が電源として供給され、
前記誘導加熱源17のインバーター回路81と、前記マイクロ波加熱装置120のマイクロ波発生源122と、前記オーブン加熱装置140の上部ヒータ163A、下部ヒータ163Bは、前記フィルター回路54と前記電源回路34、36との間から分配された電力(200V電源)が印加される構成である。
この構成により、加熱調理器1の全体の電源構成が簡略化され、また不要なノイズの伝搬等を抑制して確実な動作が期待できる。
また、この構成によれば、1つの加熱調理器において、誘導加熱と、マイクロ波加熱及びオーブン加熱の3種類の加熱が実施でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
図119は、加熱調理器1の、入力操作部40と統合表示部30を示した拡大平面図である。この実施の形態2では、前記中央操作部40Mは、連携調理モードの各種入力キー43MC、43M1、43M2、43MS及び43MTを、それぞれ備えている。これら各入力キーは、ユーザーが指等で軽く触れた時の静電容量の変化を利用して入力できる方式の入力キーである。実施の形態1で説明した入力キー43M3に対応する入力キーは、設けていない。
この実施の形態2では、入力操作部40は、右操作部40R、中央操作部40M、左操作部40L及び前記前面操作部146の4つを含んでいる。なお、図示していないが、実施の形態1と同様に、主電源スイッチ97の操作キー(タッチ入力式)98は、中央操作部40Mと同様に、本体110の上面にあって、トッププレート15よりも前方側で、かつ、トッププレート15の右側端部近くに配置されている。
前記右操作部40Rは、誘導加熱源だけの入力操作を行うものであるため、個別操作部である。同様に左操作部40も個別操作部である。
これに対して、前記中央操作部40Mの一部分は、マイクロ波加熱源189と、オーブン加熱源188の何れかを利用した「連携調理モード」の実施時に共通して使用されることから、連携操作部40MCである。
なお、実施の形態1では、中央操作部40Mにおいて、マイクロ波加熱源189と、オーブン加熱源188の入力操作を行ったが、この実施の形態2では、その機能は前記前面操作部146が保有している。
図119において、43MSは、加熱室113を利用した連携調理モードの際に、当該連携調理モードによる加熱動作の開始を指令することができるタッチ式入力キーである。この入力式キー43MSは、第1の実施形態の入力式キー43MSの機能とは少し異なり、加熱調理開始と停止の2つの2つの機能がある。
入力式キー43MSは、ユーザーが1回押すと、統合制御装置MCに対して加熱動作開始の指令信号を発信し、その後に更に1回押すと、加熱動作停止の指令信号を発信する。この順番で操作した回数に応じて、異なる信号を発信する。この点が実施の形態1の入力キー43MSと異なっている。
統合表示部30の画面構成も実施の形態1と少し異なり、第1エリア(左側エリア)30Lと第2エリア(中央エリア)30Mの2つで構成されている。
このように2つのエリア30L、30Mに限定した理由は、この統合表示部30では、連携調理モードの識別情報330を第1のエリア30Lに表示し、第2エリア30Mには、付加情報331と調理工程情報(調理工程情報部)332を表示するからである。
43MCは、オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189を使用した複合調理モードを使用することを選択する入力キーではない。この入力キー43MCは、連携調理モードだけを選択する入力キーである。前記入力キー43MC自体が光るため、実施の形態1で設けた個別発光部27M2は、この実施の形態2では省略している。
引き続き図119について説明する。
図119は、実施の形態1の図52に対応する図である。
中央操作部40Mの中に設けた連携調理モード専用の連携操作部40MCには、その左端部に入力キー43M1を配置している。
この入力キー43M1は、連携調理モードを選択する際にタッチするものである。なお、タッチ式キーではなく、押しボタン式のスイッチでも良い。
前記入力キー43M1は、下方に設置した発光ダイオード等の光源(図示せず)により、連携調理モードに移行している期間中、照らされて光った状態に見える。
一対の入力キー43M1は、統合表示部30の第1エリア30Lに表示された複数個の識別情報330の中から、連携調理モードを実施する場合、目的の識別情報330、言い換えると被調理物を選択する入力キーである。タッチキー部分は左右1対になっている。
左側の入力キー43M1を押す度に、表示内容を一定の順番で切り替えることができる。また右側の入力キー43M1を押す度に、表示画面を逆の順番で切り替えることができる。
次に図120について説明する。
図120は、連携調理モードと誘導加熱源による単独調理モードの関係を示す説明図である。連携調理の際に、使用される加熱源の動作が制限を受けることを示す図である。
なお、この図120に示す連携調理モードは、実施の形態1の図54で説明した「第2の連携調理モード」である。
この事例の「第2の連携調理モード」は、マイクロ波加熱源189(第2の加熱手段189)を先に動作させ、その加熱動作終了後に、第1の加熱手段として誘導加熱源9を動作させる。なお、第2の加熱手段と同時に、第3の加熱手段としてオーブン加熱源188を動作させても良い。
図120に示すように、第2の連携調理モードは、4つの段階から構成されている。
P1は、第1の段階(準備期間)であり、連携調理モードを実行しようと、入力キー43MCを操作してから、入力キー43MSによって加熱調理が開始されるまでの期間である。
P2は、第2の加熱手段(マイクロ波加熱源189)による加熱調理期間(調理工程1)である。
P3は、第2の加熱手段による調理から、第1の加熱手段(この場合、誘導加熱源9)の調理に切り替わるため、マイクロ波加熱手段189の動作を一旦停止し、誘導加熱手段9の調理が開始されるまでの休止期間である。
P4は、誘導加熱源9による加熱調理期間(調理工程2)である。
この図120から明らかなように、連携調理モードの選択をする段階、すなわち、連携調理モードの調理の名称を示す識別情報330を統合表示部30に表示させた時点ではなく、入力キー43MSによって調理開始を決定した時点から、左加熱源17HLの左操作部40Lは、使用できないようになる。また、前面操作部146の入力操作も、制限される。
具体的には、統合制御装置MCが、以下の機能制限処理を行う。
(1)前面操作部147からの入力信号の内、「あたため」等の制御メニューを選択する信号は、無効化する処理を行う。これにより、加熱調理期間(調理工程1)に入っても、前面操作部146は使用できるが、「停止」と「加熱開始」の2つの入力しかできなくなる。そして加熱室113を使用して、実質的に連携調理モードと関係しない調理が、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188では実行できない状態になる。なお、オーブン加熱時の火力(消費電力)の増減は、前面操作部146にある入力キー(図示せず)で行えるように変更しても良い。
(2)左操作部40Lからの入力信号を有効な信号として認識しない処理を行う。これにより、加熱調理期間(調理工程1)に入ると、左操作部40Lは使用できなくなる。そして左加熱部17HLでの誘導加熱調理ができない状態になる。なお、右加熱部17HRでの使用は出来るようにしてある。
このように、加熱調理期間(調理工程1)に入ると、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188を、自由に使用できないようにする。
従って、左加熱部17HLは、連携調理モードの選択によって「占用」された状態となる。また誘導加熱源9の全体から見れば、2つの加熱部の一部分(左側)だけ使用が「制限」されたことになる。
また前面操作部147は、連携調理モードの選択によって機能が「制限」された状態となる。従って、連携調理モードの「調理工程1」が開始されると、前面操作部146を使用して、個々の加熱源による単独調理モードと複合調理モードとを、何れも実行することができない状態になる。
図120に示すように、加熱調理期間(調理工程1)が終わると、制限状態が解除されるので、前面操作部147を操作して単独調理モードを実行することができる状態になる。但し、加熱調理期間(調理工程1)が終わった後では、そのまま前面操作部146を操作して単独調理モードを開始することを制限している。その理由は、連携調理モードによって加熱された被調理物が加熱室113の中に存在するためである。
そこで、加熱調理期間(調理工程1)が終わった後、ドア114が開放されたことが統合制御装置MCで検知した場合に限り、統合制御装置MCは、前面操作部147からのマイクロ波加熱やオーブン加熱調理の開始指令を受けて、加熱調理を開始する。
なお、加熱調理期間(調理工程1)が終わった後、ドア114が開放されたことが統合制御装置MCで検知した場合であっても、加熱室113の中の温度が基準値よりも高い場合には、統合制御装置MCや非接触(赤外線)温度計測部158が、単独調理モードを実行する前から異常な高温度を誤って調理完了と認識してしまう懸念がある。
このため、加熱調理期間(調理工程1)が終わった後も、直ぐにはマイクロ波加熱の内、「レンジ自動」の制御メニューは実施できないようにしている。レンジ手動の制御メニューは実施できる。そのため、調理工程2の実施と並行して、加熱室113で別の調理(例えば「冷凍ご飯」の解凍と温め)が実行できる。
次に図121について説明する。
図121は、中央操作部40Mの中に設けた連携調理専用の連携操作部40MCと、統合表示部30の表示内容を示したものである。
統合表示部30は、表示画面11A~11Cの3種類示している。
この図121で実施する連携調理モードは、実施の形態1の図54で説明した「第1の連携調理モード」と「第2の連携調理モード」の両方に対応したものである。
以下、説明の都合上、「第1の連携調理モード」の場合で説明する。つまり、最初の調理工程を誘導加熱源9で行う場合である。
連携操作部40MCの入力キー43M1を押した場合、中央操作部40Mのタッチキー群の入力を処理する右側入力制御装置23が、入力結果を統合制御装置MCに伝える。
統合制御装置MCは、IH制御部90の情報から左加熱部17HLと右加熱部17HRの使用状態を把握し、実施の形態1で説明したように「許可条件1」と「許可条件」2を満たしているかどうかを最初に判定する。
左加熱部17HLと右加熱部17HRの両方とも使用されていない場合には、前記「許可条件1」と「許可条件2」とを満たしていることが統合制御装置MCにより確認される。
すると、統合制御装置MCは、第1特定画面30SPを統合表示部30SPに表示する。
図121の表示画面11Cは、以上のような経緯を経て最初に表示される画面である。
すなわち、識別情報330として「ハンバーグ」という名称が、第1エリア30Lに表示される。
第1特定画面30SP統合表示部30に、連携調理モードの識別情報330を表示させた時点、つまり、第1特定画面30SPが表示された最初の段階では、右加熱部選択マーク334Rと左加熱部選択マーク334Lの両方が表示される。これは、前述したように左加熱部17HLと右加熱部17HRの両方とも使用できるからである。
図121に示しているように、デフォルト設定では、左加熱部17HLの方を優先している。これは左加熱部17HLの方が、右加熱部17HLよりも直径が大きなIHコイル17が使用されているためである。つまり、右加熱部17HRよりも大きな鍋底の被加熱物Nに対応できるためである。
この理由から、「左」と白抜きの文字で表示された左加熱部選択マーク334Lが選択されるようになっている。
この左加熱部17HLの状態で連携調理モードに移行して良い場合には、入力操作を促すように点線の円で囲んだ入力キー43MSを押せば良い。点線の円は、個別発光部27M6が点滅していることを示している。
第1特定画面30SPには、図121に示しているように、被調理物(例えば、ハンバーグ)の連携調理を開始することに関してユーザーに付加情報331を提供している。図121の例では、右加熱部17HRと左加熱部17HLの何れかを選択するように勧めている。
ユーザーが、左加熱部17HLではなく、右加熱部17HRを使用して連携調理モードを確定したい場合、第2エリア30Mに対応した入力キー43M2にタッチすれば良い。具体的には、左右2つあるキー操作部の内、右側の入力キー43M2をタッチすると、第1特定画面30SPは、表示画面11Cから11Bのように切り替えられる。
表示画面11Bでは、左加熱部選択マーク334Lは消え、右加熱部選択マーク334Rのみが、例えば「右」という白抜の文字で表示される。この時点でも、入力キー43MSは、ユーザーからの入力を待っている状態であるので、個別発光部27M6は点滅している。
付加情報331としては、例えば「スタートボタンで決定します」と表示する。この意味は、入力キー43MSによって連携調理モードは確定するという意味である。つまり、最初に使用する加熱源を、右加熱部17HRに確定できる。
ユーザーが、右加熱部17HRではなく、左加熱部17HLを使用して連携調理モードを確定したい場合、第2エリア30Mに対応した入力キー43M2にタッチすれば良い。具体的には、左右2つある入力キー43M2の内、右側の入力キー43M2をタッチすると、第1特定画面30SPは、表示画面11Bから11Aのように切り替えられる。
表示画面11Aでは、右加熱部選択マーク334Rは消え、左加熱部選択マーク334Lのみが、例えば「左」という白抜の文字で表示される。この時点でも、入力キー43MSは、ユーザーからの入力を待っている状態であるので、個別発光部27M6は点滅している。なお、付加情報331としては、例えば「スタートボタンで決定します」と表示する。
実施の形態2の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態1では、以下の通り第1の開示に関する加熱調理器を開示していた。
すなわち、
ドア114によって開口部が開閉自在に閉鎖される加熱室113と、
前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱源189と、
前記加熱室113を加熱するオーブン加熱源188と、
トッププレートの上に置かれた被加熱物Nを加熱する誘導加熱源9と、
調理工程についての情報を報知する報知部AN(統合表示部30、音声合成装置95等)と、
入力操作部40と、
前記マイクロ波加熱源189と、前記オーブン加熱源188と、前記誘導加熱源9と、前記報知部ANと、を制御する統合制御装置MCと、を有し、
入力操作部40は、前記本体110の上面に配置された中央操作部40M、右側操作部40R及び左操作部40Lと、前記本体の前面側に配置された前面操作部146と、を有し、
前記統合制御装置MCは、前記マイクロ波加熱源189、前記オーブン加熱源188及び前記誘導加熱源9の3者を連携させる連携調理モードを有し、
前記連携調理モードは、前記誘導加熱源9による調理工程1と、前記マイクロ波加熱源189又は前記オーブン加熱源188の少なくとも何れか一方を使用する調理工程2とを、含み、
前記統合制御装置は、前記調理工程1を自動で進行させ、当該調理工程1は、ユーザーからの指令で終了させ、当該終了後、ユーザーの開始指令を受けて前記調理工程2を開始し、当該調理工程2を自動で進行させるものであり、
前記統合制御装置は、前記調理工程1又は前記調理工程2の進行度合いを検知する機能を有し、当該調理工程1の途中段階で、当該調理工程1の第1の参考情報FA1又は前記調理工程2に関する第2の参考情報FA2の、少なくとも何れか1つを前記報知部によって自動で報知する、ことを特徴とする加熱調理器1を開示していた。
この構成であるため、誘導加熱源9とマイクロ波加熱源189等の3種類の加熱源を、使用でき、しかも、連携調理モードによって、幅広い調理に対応することができる、利便性の高い加熱調理器を提供できる。
更に、前記調理工程1又は前記調理工程2の進行度合いを、例えば経過時間や上昇温度(TN1、TN2等)等を検知して判定する機能を有し、当該調理工程1又は調理工程2の途中段階で、ユーザーに参考情報を自動で報知するため、加熱源の種類が増えていても、ユーザーに調理の進行を知らせて、不安感を払拭したり、途中で確認のために加熱動作を一旦停止することによって、効率的な連携調理の実行を損なってしまう等の失敗を回避でできる。これによりユーザーの安心感や使い勝手を更に向上させることが期待できる。
また、この実施の形態2では、実施の形態1と同様な構成については、実施の形態1で説明したものと同等の効果が得られる。
更に、この実施の形態2においては、以下の加熱調理器1を開示していた。
すなわち、
被調理物を収容する被加熱物Nの予熱工程が必要な誘導加熱源9と、
加熱室にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱源189と、
報知部と、を有し、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を、ユーザーの操作で切り替えて動作させる連携調理モードを有し、
連携調理モードを設定した場合、前記マイクロ波加熱源189からのマイクロ波が加熱室113内に収容された前記被調理物を加熱する調理工程1と、
前記調理工程1が終了した後、トッププレート15の上に載置された前記被加熱物Nの上で前記被調理物を前記誘導加熱源9で誘導加熱する調理工程2、とを予約できるものであり、
前記連携調理モードによる加熱調理の設定がなされた場合には、前記調理工程1の開始前の段階で、前記誘導加熱源9による前記予熱工程が開始できるための手順を、前記報知部によって報知する、
ことを特徴とする加熱調理器を開示していた。
この構成であるため、誘導加熱源9とマイクロ波加熱源189を使用でき、しかも、予熱動作も行える連携調理モードによって、幅広い調理に対応することができる、利便性の高い加熱調理器を提供できる。
更に、前記調理工程1の開始前の段階で、予熱工程を開始できる情報を、ユーザーに自動的に報知するため、加熱源の種類が増えていても、ユーザーの不安感を払拭したり、ユーザーが操作に迷ったり、誤ったりすることを回避でできる。これによりユーザーの安心感や使い勝手を更に向上させることが期待できる。
実施の形態3.
図122は、実施の形態3を開示するための、加熱調理器1の冷却ファンと、加熱調理の種類との対応関係を示す一覧表である。図123は、図122の加熱調理器における、第1~第4の冷却ファンの運転開始と終了のタイミングを示すタイムチャート1である。図124は、図122の加熱調理器における、第1~第4冷却ファンの運転開始と終了のタイミングを示すタイムチャート2である。図125は、図122の加熱調理器における、第1~第4冷却ファンの運転開始と終了のタイミングを示すタイムチャート3である。図126は、図122の加熱調理器における、第1~第4冷却ファンの運転開始と終了のタイミングを示すタイムチャート4である。図127は、図122の加熱調理器における、第1~第4冷却ファンの運転開始と終了のタイミングを示すタイムチャート5である。なお、実施の形態1~2に説明した構成と同一又は相当部分は、同じ符号を付けている。
この図122に示した加熱調理器1では、第1~第4の冷却ファン60、61、128、129の運転開始は、基本的には加熱調理の開始時と同じタイミングである。
図122に示した通り、4つの冷却ファン60、61、128、129は、以下のパターンで運転される。
誘導加熱調理:
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は運転される。
第3冷却ファン128と第4冷却ファン129は運転されない。
マイクロ波加熱調理:
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は運転される。
第3冷却ファン128と第4冷却ファン129は運転される。
オーブン加熱調理:
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は運転される。
第3冷却ファン128は運転される。
第4冷却ファン129は運転されない。
以上の通り、誘導加熱調理、マイクロ波加熱調理及びオーブン加熱調理の3つの調理モードの何れでも、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は運転される。
マイクロ波加熱調理の場合は、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の両方が運転される点が、実施の形態1と異なっている。
マイクロ波加熱調理の場合でも、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61を運転するのは、上部ユニット100の過熱防止目的である。
上部ユニット100の中には、フィルター回路基板54と電源回路基板55があり、これらの回路基板に実装された電子部品(例えば、トランス57)には、マイクロ波加熱時とオーブン加熱時の何れの場合でも、電力が供給されて温度上昇する。
そのため、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、運転される。
オーブン加熱調理の場合は、第3冷却ファン128は運転される。これは実施の形態1と同じである。
しかし、第4冷却ファン129は、運転しない。この点が、実施の形態1と異なっている。オーブン加熱調理の場合は、第4冷却ファン129の冷却対象であるマグネトロン122が駆動されないので、その放熱部122Hは高熱にならない。
4つの冷却ファン60、61、128、129の運転開始は、各加熱源が加熱動作を開始した時点である。誘導加熱源9では、仮に予熱動作を開始する場合には、その予熱動作開始と同期して運転が開始される。
4つの冷却ファン60、61、128、129の運転終了のタイミングは、各冷却ファンの冷却対象物や冷却風路が異なるため、以下説明するように、一部では異なっている。
次に、図123~127について説明する。
図123~127における実線の矢印は、各冷却ファン60、61、128、129の運転開始から終了までの期間を示している。
その実線に続いている破線の矢印は、以下説明する「放熱のための追加運転時間」を示すものである。なお、各冷却ファン60、61、128,129は、実際には、実線矢印の終わりで、一旦運転を停止することはなく、そのまま追加運転時間だけ運転が継続される。
この実施の形態3では、各冷却ファン60、61、128、129について、運転の開始から終了までの時間を次のように規定している。
第1冷却ファン60:各加熱源による加熱動作が開始されたタイミングで運転開始される。
運転の終了は、誘導加熱調理の場合には、加熱動作が終了した時刻を基準として最長10分間だけ、放熱運転をする。この場合の「放熱の時間Th1」は、誘導加熱調理時のトッププレート15等の高熱部を冷却できる時間を考慮して決定している。
誘導加熱調理時は、加熱動作時間の長さと、使用された最大火力(インバーター回路の消費電力)の大きさの「積」で決まる数値の大きさに応じて、「放熱運転の時間Th1」が、3分間、5分間、10分間の3段階の何れか1つが選定される。これはIH制御部90によって行われる。
一方、マイクロ波加熱調理とオーブン加熱調理時は、それらの加熱動作が終了した時点から、放熱運転をする。
第2冷却ファン61:第1冷却ファン60の運転に同期して「放熱運転の時間Th2」が決定される。これはIH制御部90からの運転開始指令と運転終了指令によって行われる。なお、運転開始は、第1冷却ファン60と同じタイミングである。
第4冷却ファン129:
(1)マイクロ波加熱調理の場合:マイクロ波加熱動作が終了した時刻を基準として3分間だけ「放熱運転」する。つまり、この「放熱運転の時間Tm2」は、3分間で固定されている。この運転制御は、マイクロ波加熱制御部130によって行われる。
(2)オーブン加熱調理の場合:マイクロ波発振部122が駆動されないので、放熱部122Hも高温にならない。そのため、一切運転されない。
第3冷却ファン128:
(1)マイクロ波加熱調理の場合:「放熱運転の時間Tm1」は、第4冷却ファン129と同じである。また、運転開始と終了は、第4冷却ファン129と同じく、マイクロ波加熱制御部130によって制御される。
(2)オーブン加熱調理の場合:加熱室113の温度の計測は、温度センサーTS2と、温度センサー160の、少なくとも何れか一方によって一定時間毎に繰り返し行われるが、加熱室113の壁面の外側温度を、接触によって計測するサーミスタ式温度センサー等を追加しても良い。
全ての温度計測データは加熱室制御部159に送信される。最終的には、マイクロ波加熱制御部130まで温度計測データは送信され、第4冷却ファン129への運転終了指令が出るまで、当該第4の冷却ファン129は運転を継続する。つまり、「放熱運転の時間Tm2」は、その時々に変化する。
次に、各加熱調理モード別に説明する。
図123は、連携加熱調理において、調理工程1を誘導加熱源9で行い、調理工程2をマイクロ波加熱源189で行う場合である。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、同時に運転開始され、マイクロ波加熱動作を終え、報知部ANで報知6が行われた時点よりも後まで運転される。「放熱運転の時間Th1」と「Th2」は、少なくともマイクロ波加熱を終えた時点から、カウントが開始される。
図123から分かるように、マイクロ波加熱調理の場合には、第3冷却ファン128の「放熱運転の時間Tm1」よりも第4冷却ファン129の「放熱運転の時間Tm2」が長い場合がある。これは、第4冷却ファン129が実施の形態1(図32)で説明したように、加熱室113の内部に直接冷却風を供給するファンであるからである。つまり、マイクロ波加熱調理を1回行った場合、加熱室113に熱気が残り、それを平常温度まで冷却するには時間を要するからである。
図123において、報知1は、誘導加熱調理を開始したことを知らせるものである。あるいは予熱動作開始したことを知らせるものである。
報知FA1は、実施の形態1(図59)で説明した第1の参考情報(参考情報1)の報知である。例えば、加熱開始してから5分経過したという「経過時間TN1」や、温度上昇の大きさを計測した「上昇温度TN1」の計測結果から報知のタイミングが決まる。なお、前記報知FA1の内容は、ユーザーに対して被調理物を裏返すことを促すことも含む。被調理物を被加熱物N(例えば、金属製の鍋)の中で、裏返す程度では、IH制御部90は異常と判定しないので、誘導加熱動作は継続する。
報知3は、誘導加熱を終えたこと(又は、調理工程1を終えたこと)を報知するものである。
この図123に示す「移行期間」(加熱休止期間)TRは、実施の形態1で説明したものと同じである。
誘導加熱調理をトッププレート15の上で行ったあと、マイクロ波加熱に移行するために、加熱室113の中に、被調理物を移動させる必要がある。
「移行期間」TRは、そのような移動に対して時間的猶予を与えるものである。この移行期間は、最長時間が統合制御装置MCによって事前に決定されている。
報知4は、ユーザーが中央操作部40Mで指令したため、マイクロ波加熱調理を開始したことを知らせるものである。
この報知4と略同時に、第3冷却ファン128と第4冷却ファン129は運転が開始される。
報知FA2は、実施の形態1(図59)で説明した第2の参考情報(参考情報2)の報知である。例えば、マイクロ波加熱を開始してから3分経過したという「経過時間TN2」や、温度上昇の大きさを計測した「上昇温度TN2」の計測結果から報知のタイミングが決まる。
報知6は、マイクロ波加熱を終えたこと(又は、調理工程2を終えたこと)を報知するものである。
次に、図124について説明する。
この図124は、連携加熱調理において、調理工程1をマイクロ波加熱源189で行い、調理工程2を誘導加熱源9で行う場合である。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、マイクロ波加熱源189の動作開始と同時に運転が開始される。
第4冷却ファン129は、マイクロ波加熱源189の動作開始と同時に運転が開始される。
第4冷却ファン129は、マイクロ波加熱源189の動作終了(調理工程1)の終了から、「放熱運転の時間Tm2」の経過後に運転が終了する。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、マイクロ波加熱動作(調理工程1)を終えた時点で一旦停止しない。運転を継続したまま、誘導加熱源9による加熱動作(調理工程2)を停止した時点よりも後まで運転される。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、誘導加熱動作(調理工程2)を終えた時点から、「放熱運転の時間Th1」と「Th2」を経過した後に自動的に運転を停止する。
図124において、報知FA3は、実施の形態1(図59、図62)で説明した第3の参考情報(参考情報3)の報知と同じである。例えば、加熱開始してから5分経過したという「経過時間TN3」や、温度上昇の大きさを計測した「上昇温度TN3」の計測結果から報知のタイミングが決まる。
図124において、報知FA5は、実施の形態1(図59、62)で説明した第4の参考情報(参考情報4)の報知と同じである。例えば、加熱開始してから5分経過したという「経過時間TN4」や、温度上昇の大きさを計測した「上昇温度TN4」の計測結果から報知のタイミングが決まる。なお、前記報知FA4の内容は、ユーザーに対して(調理工程2の誘導加熱時に)被調理物を裏返すことを促すことも含む。
次に、図125について説明する。
この図125は、連携加熱調理において、調理工程1をオーブン加熱源188で行い、調理工程2を誘導加熱源9で行う場合である。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、オーブン加熱源188の動作開始と同時に運転が開始される。
第3冷却ファン128は、オーブン加熱源188の動作開始と同時に運転が開始される。
第3冷却ファン128は、オーブン加熱源188の動作終了(調理工程1)の終了から、「放熱運転の時間Tm1」の経過後に運転が終了する。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、オーブン加熱動作(調理工程1)を終えた時点で一旦停止しない。運転を継続したまま、調理工程2を停止した時点よりも後まで運転される。
第4冷却ファン129は、オーブン加熱源188の動作中(調理工程1)は一切運転されない。調理工程2でも運転されない。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、誘導加熱動作(調理工程2)を終えた時点から、「放熱運転の時間Th1」と「Th2」を経過した後に自動的に運転を停止する。図125では、第4冷却ファン129について、報知1から報知3までの期間が破線の矢印で示されている。これは、この期間は運転していないことを示している。
図125において、報知FA6は、実施の形態1(図59、図62)で説明した第3の参考情報(参考情報3)と同じ報知である。例えば、加熱室113が加熱開始されてから5分経過したという「経過時間TN6」や、温度上昇の大きさを計測した「上昇温度TN6」の計測結果から報知のタイミングが決まる。
図125において、報知FA7は、実施の形態1(図59、62)で説明した第4の参考情報(参考情報4)と同じ報知である。例えば、加熱開始してから5分経過したという「経過時間TN7」や、温度上昇の大きさを計測した「上昇温度TN7」の計測結果から報知のタイミングが決まる。なお、前記報知FA7の内容は、ユーザーに対して被調理物を裏返すことを促すこと、更には、まもなく調理工程2が終了すること(予告)も含む。
次に図126について説明する。
図126は、連携加熱調理において、調理工程1をオーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189で行い、調理工程2を誘導加熱源9で行う場合である。なお、オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189の加熱動作時間が全く同一の場合で説明するが、何れか一方を先に動作させ、他方を遅れて動作させても良い。また、2つの加熱源の運転終了が同じタイミングでなくとも良い。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、調理工程1の開始と同時に運転が開始される。
第3冷却ファン128と第4冷却ファン129は、調理工程1の開始と同時に運転が開始される。
第3冷却ファン128と第4冷却ファン129は、調理工程1の終了から、「放熱運転の時間Tm1」、「放熱運転の時間Tm2」の経過後に運転が、それぞれ終了する。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、調理工程1を終えた時点で一旦停止しない。運転を継続したまま、調理工程2を停止した時点よりも後まで運転される。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、調理工程2を終えた時点から、「放熱運転の時間Th1」と「「放熱運転の時間Th2」を経過した後に自動的に運転を停止する。
図126と図127において、報知FA8は、実施の形態1(図60、図62)で説明した第3の参考情報(参考情報3)と同じ報知である。例えば、加熱室113が加熱開始されてから5分経過したという「経過時間TN8」や、温度上昇の大きさを計測した「上昇温度TN8」の計測結果から報知のタイミングが決まる。
図126と図127において、報知FA9は、実施の形態1(図60、62)で説明した第4の参考情報(参考情報4)と同じ報知である。例えば、加熱開始してから5分経過したという「経過時間TN9」や、温度上昇の大きさを計測した「上昇温度TN9」の計測結果から報知のタイミングが決まる。なお、前記報知FA9の内容は、温度や経過時間の報知だけではなく、まもなく調理工程2が終了すること(予告)も含む。
図125と図125に示したように、第4冷却ファン129は、第3冷却ファン128よりも遅くまで運転される場合がある。
これは、第4冷却ファン129が実施の形態1(図32)で説明したように、加熱室113の内部に直接冷却風を供給するファンであるからである。つまり、1回オーブン調理をした場合、最長で60分間、加熱室113が連続的に加熱される。
そのため、加熱室113全体は高温(例えば200℃)になる。従って、このような加熱室113を冷却するには時間を要するからである。
仮に、加熱室113の温度を下げておかないと、次に直ぐにマイクロ波加熱調理をする場合、最初から加熱室113が高い場面が想定される。
加熱室113の温度が高すぎると、マイクロ波加熱源189を使用して、実施の形態1で説明したような「あたため(レンジの自動)」の調理はできないことになる。なぜならば、当該「あたため」の制御メニューは、食品が加熱されて、例えば80℃(デフォルト値)になった時点で自動的にマイクロ波の照射が停止する制御を採用しているからである。そのため、ユーザーの混乱を招かないようにするためには、例えば最初から加熱室113が80℃以上の温度になっている場合、エラー処理にして、加熱調理を受け付けないようにする必要がある。あるいは、冷却ファン129の運転によって加熱室113の温度を下げていることを報知部ANで報知すると良い。
以上の説明では、加熱調理時の冷却ファン60、61、128,129の送風量(送風能力)が一定であるとの前提で説明したが、加熱調理時は送風量を大きくし、放熱運転の際には送風量を小さくすること等の変更を行っても良い。また、下部ユニット200や上部ユニット100の内部の温度が高い時よりも、低い場合には送風量を小さくするような能力可変運転をしても良い。
なお、第1冷却ファン60~第4冷却ファン129の運転の時間(運転開始、運転停止)や送風量を決定する運転条件を実現する「制御プログラム」は、IH制御部90とマイクロ波加熱制御部130等に記憶させた形態(実施の形態1の図30参照)に限らない。他例えば、統合制御装置MCに一括して、送風制御プログラムとして記憶させておいても良い。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態3でも、実施の形態1と同じ構成については、実施の形態1と同等の効果を期待できるものである。
更に、この実施の形態3では、以下のように4つの冷却ファン60、61、128、129を運転していた。
(1)誘導加熱源9、マイクロ波加熱源189及びオーブン加熱源188による、全ての加熱調理動作(調理工程)中は、4つの冷却ファン60、61、128、129を運転していた。
(2)前記マイクロ波発生源122による加熱動作のみの場合は、上部ユニット100の中にある第1冷却ファン60と第2冷却ファン61を運転し、更に、第4冷却ファン129を運転していた。
(3)前記オーブン加熱源188のみの単独加熱動作の場合には、上部ユニット100の中にある第1冷却ファン60と第2冷却ファン61を運転し、更に、第3冷却ファン128と第4冷却ファン129を運転していた。
(4)前記マイクロ波加熱源189による加熱動作のみと前記オーブン加熱源188による加熱動作のみを、順次自動的に実行させる動作を指定して、1つの制御メニュー(RG連続調理)を実行している期間中は、前記第3冷却ファン128と第4冷却ファン129を運転していた。
(3)前記入力操作部40によって、前記IHコイル17による加熱動作のみを指定して、1つの制御メニューを実行している期間中、前記第1冷却ファン60、第2冷却ファン61を運転し、かつ、前記第3冷却ファン128、第4冷却ファン129は運転しない。
このような構成によれば、ユーザーが1つの制御メニューを選定によって加熱調理を開始した場合、誘導加熱やマイクロ波加熱が終了した時点で、各種冷却ファン60、61、128、129の運転が一旦停止し、再度運転が開始されるというような事態を招くことなく、加熱調理(調理工程)の終了から放熱運転のモードに円滑に移行する。
(実施の形態3の変形例)
図127は、実施の形態3の変形例を開示したものである。この図127は、図122~図126に示した加熱調理器1の冷却ファンの運転開始と終了のタイミングを示すタイムチャートである。
図127は、連携加熱調理において、調理工程1をオーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189で行い、調理工程2を誘導加熱源9で行う場合である。なお、オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189の加熱動作時間が全く同一の場合で説明するが、何れか一方を先に動作させ、他方を遅れて動作させても良い。また、オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189の加熱動作終了が同じタイミングでなくとも良い。
図127に示す通り、この例では、移行期間TRに「第10の参考情報」FA10を報知部ANによって報知させる点が特徴である。
前記第10の参考情報FA10は、実施の形態1(図107~109)で説明した推奨情報338を取得できるものである。特に、図107のステップSG7に相当する報知情報である。このため、調理工程1を終えた加熱室113で実行できる個別食材情報339を、統合表示部30において知ることができる。
なお、第10の参考情報FA10を取得するタイミングは、図127に示しているように、移行期間FRの間である。つまり、調理工程1も調理工程2も実行されていない期間であるので、この移行期間中は、入力操作部40に配置した入力キー47を押した場合に、前記参考情報FA10を加熱調理器1が取得するように設定しても良い。
あるいは、音声合成装置95によって、中央操作部40Mの中の特定の入力キーを押すことを案内し、その入力キーが押された場合に、第10の参考情報FA10を取得するようにしても良い。また、ユーザーが何の指令を与えなくとも、統合制御装置MCが移行期間TRに入った後に自動的に参考情報FA10を報知させるようにして、ユーザーの負担を更に減らすようにしても良い。
実施の形態3の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態3でも、実施の形態1と同じ構成については、実施の形態1と同等の効果を期待できるものである。
更に、この実施の形態3では、調理工程1を終えたあとで、移行期間TRの間に、加熱室113において別の調理が(前記調理工程2と同時並行的に)実行できることを報知し、ユーザーの指令に応じて、又は自動的に「別の調理」に使用する食材の情報を報知できるようにしたものである(図127のFA10参照)。
このため、例えば連携制御モードの1つの調理Aが、左加熱部17HLにおいて調理工程2の段階に入り、最後の仕上げ段階になっている状態で、加熱室113では、その調理とは別の調理Bを同時に実行することができる。つまり、1回の食事で調理Aは、副食であり、調理Bが主食(例えば、ご飯)であった場合に、調理Aを終えてから調理Bを開始する方法ではなく、並行して調理Aと調理Bを完成させることができる。これにより、全体の調理時間を短縮できることになり、ユーザーの利便性が向上する。
実施の形態3(図122~図127)においては、以下の加熱調理器1を開示していた。
すなわち、
本体ケースHCの内部に、加熱室113と、被加熱物Nを加熱する第1の加熱手段(誘導加熱源9)と、前記加熱室113の中に収容した被調理物を加熱するマイクロ波加熱手段189と、前記マイクロ波加熱源189と異なる加熱原理で前記加熱室113を加熱する第3の加熱手段(オーブン加熱源)188と、報知部ANと、前記誘導加熱源9、前記マイクロ波加熱源189、前記オーブン加熱源188及び前記報知部ANとを、それぞれ制御する統合制御装置MCと、を備え、
前記統合制御装置MCは、前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188とで構成されるグループと、前記誘導加熱源9とが、時間差をおいて駆動開始される連携調理モードと、前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188が同時又は時間差をおいて駆動開始され、もしくは自動的に切り替えて駆動される複合調理モードと、を行う機能を有し、
前記統合制御装置MCは、前記連携調理モードにおいて、前記加熱室113を占用する調理工程を含んでおり、当該加熱室113を占用する調理工程を終了する場合、その終了より前の時点又は終了した以降の時点において、前記加熱室113とマイクロ波加熱源189とを使用して前記連携調理モードとは別の調理を行うことができることを、前記報知部により報知(参考情報FA10の取得)する、
ことを特徴とする加熱調理器を開示していた。
この構成であるため、誘導加熱源9とマイクロ波加熱源189等の3種類の加熱源を、使用でき、しかも、複合調理モードと連携調理モードとによって、幅広い調理に対応することができる、利便性の高い加熱調理器を提供できる。
更に、加熱室113を占用する調理工程が終了する場合、当該前記加熱室113とマイクロ波加熱源189とを使用して前記連携調理モードとは別の調理が行えることを報知する。このため、ユーザーが気が付かない時間短縮の調理も知らせて、効率良く調理でき、ユーザーの利便性を向上させることが期待できる。
更に、実施の形態3(図122~図127)においては、以下の加熱調理器1を開示していた。
すなわち、
被調理物を収容する被加熱物Nの予熱工程が必要な誘導加熱源9と、
加熱室にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱源189と、を有し、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を、ユーザーの操作で切り替えて動作させる連携制御モードを有し、
連携制御モードを設定した場合、前記マイクロ波加熱源189からのマイクロ波が前記加熱室113内に収容された被調理物を加熱する調理工程1と、前記調理工程1が終了した後、トッププレートの上に載置された前記被加熱物Nの上で前記被調理物を前記誘導加熱源9で誘導加熱する調理工程2、とを予約できるものであり、
前記連携制御モードによる加熱調理の予約がなされた場合には、
(1)前記誘導加熱源9を、前記調理工程1の前から駆動して前記予熱工程を開始させることができ、
(2)前記予熱工程中、前記加熱室113で調理工程1を開始でき、
(3)前記調理工程1を終えるためマイクロ波加熱源の駆動を停止したあと、
誘導加熱源9で予熱された前記被加熱物Nの上で前記調理工程2を開始でき、
(4)前記調理工程1と前記調理工程2において、調理工程の進捗を示した情報を自動的に報知する、
ことを特徴とする加熱調理器を開示していた。
この構成であるため、誘導加熱源9とマイクロ波加熱源189等の3種類の加熱源を、使用でき、しかも、予熱動作も行える連携調理モードによって、幅広い調理に対応することができる、利便性の高い加熱調理器を提供できる。
更に、前記調理工程1又は前記調理工程2の進捗を示す情報を、ユーザーに自動的に報知するため、加熱源の種類が増えていても、ユーザーの不安感を払拭したり、途中で確認のために加熱動作を一旦停止することによって、効率的な連携調理の実行を損なってしまう等の失敗を回避でできる。これによりユーザーの安心感や使い勝手を更に向上させることが期待できる。
更に、実施の形態3(図122~図127)においては、以下の加熱調理器1を開示していた。
すなわち、
被調理物を収容するための被加熱物Nの予熱工程が必要な第1の加熱手段(誘導加熱源)9と、
前記予熱工程が必要ではない第2加熱手段(マイクロ波加熱源)189と、
入力操作部40と、を有し、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を、前記入力操作部におけるユーザーの操作で切り替えて動作させる連携制御モードを有し、
前記入力操作部は、第1の操作部(中央操作部40M)と、第2の操作部(左右の操作部40L、40M)とを有し、
前記第1の操作部(中央操作部40M)は、前記連携制御モードを設定するものであり、
前記第2の操作部(左右の操作部40L、40M)は、前記誘導加熱源9による前記予熱工程と、前記調理工程の開始及び終了を決定するものであり、
前記連携制御モードを設定した場合、前記マイクロ波加熱源189からのマイクロ波が前記加熱室113内に収容された被調理物を加熱する調理工程1と、前記調理工程1が終了した後、トッププレートの上に載置された前記被加熱物Nの上で前記被調理物を前記誘導加熱源9で誘導加熱する調理工程2、とを予約できるものであり、
前記連携制御モードによる加熱調理の予約がなされた場合には、
(1)前記誘導加熱源9を、前記調理工程1の前から駆動して前記予熱工程を開始させることができ、
(2)前記予熱工程中、前記第1の操作部(中央操作部40M)によって前記加熱室113で調理工程1を開始及び終了でき、
(3)前記調理工程1を終了させたあと、前記第1の操作部(中央操作部40M)と前記第2の操作部(左右の操作部40L、40M)をユーザーが操作せずに、予熱された前記被加熱物Nの上に被調理物を載置して前記調理工程2を開始でき、
(4)前記調理工程1と前記調理工程2において、調理工程の進捗を示した情報を自動的に報知する、
ことを特徴とする加熱調理器を開示していた。
この構成であるため、誘導加熱源9とマイクロ波加熱源189を使用でき、しかも、予熱動作も行える連携調理モードによって、幅広い調理に対応することができる、利便性の高い加熱調理器を提供できる。
更に、前記調理工程1又は前記調理工程2の進捗を示す情報を、ユーザーに自動的に報知するため、加熱源の種類が増えていても、ユーザーの不安感を払拭したり、途中で確認のために加熱動作を一旦停止することによって、効率的な連携調理の実行を損なってしまう等の失敗を回避でできる。これによりユーザーの安心感や使い勝手を更に向上させることが期待できる。
更に、前記調理工程1の前から誘導加熱源の予熱工程を開始させ、この予熱工程中、前記第1の操作部(中央操作部40M)によって調理工程1を開始及び終了できること、及び調理工程1を終了させたあと、前記第1の操作部(中央操作部40M)と前記第2の操作部(左右の操作部40L、40M)を操作せずに、誘導加熱によって予熱工程を終えている被加熱物Nを利用して調理工程2を開始できる。このため、ユーザーの入力操作を軽減して、使い勝手の良い加熱調理器を提供できる。
更に、実施の形態3(図122~図127)においては、以下の加熱調理器1を開示していた。
すなわち、
被調理物を収容する被加熱物Nの予熱工程が必要な誘導加熱源9と、
加熱室にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱源189と、
報知部と、を有し、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を、ユーザーの操作で切り替えて動作させる連携制御モードを有し、
連携制御モードを設定した場合、前記マイクロ波加熱源189からのマイクロ波が加熱室113内に収容された前記被調理物を加熱する調理工程1と、
前記調理工程1が終了した後、トッププレート15の上に載置された前記被加熱物Nの上で前記被調理物を前記誘導加熱源9で誘導加熱する調理工程2、とを予約できるものであり、
前記連携調理モードによる加熱調理の設定がなされた場合には、前記調理工程1の開始前の段階で、前記誘導加熱源9による前記予熱工程が開始できるための手順を、前記報知部によって報知する、
ことを特徴とする加熱調理器を開示していた。
この構成であるため、誘導加熱源9とマイクロ波加熱源189を使用でき、しかも、予熱動作も行える連携調理モードによって、幅広い調理に対応することができる、利便性の高い加熱調理器を提供できる。
更に、前記調理工程1の開始前の段階で、予熱工程を開始できる情報を、ユーザーに自動的に報知するため、加熱源の種類が増えていても、ユーザーの不安感を払拭したり、ユーザーが操作に迷ったり、誤ったりすることを回避でできる。これによりユーザーの安心感や使い勝手を更に向上させることが期待できる。
前記報知部ANは、前記連携調理モードによる加熱調理の設定のための、専用の入力画面(第1の特定画面)30SPを表示し、
前記入力画面30SPには、前記前記予熱工程と前記調理工程1及び調理工程2が、実行される順番で表示されている、
ことを特徴とする加熱調理器を開示していた。
この構成であるため、入力画面30SPによって、連携調理の工程をユーザーが容易に理解でき、ユーザーが操作に迷ったり、誤ったりすることを回避でできる。これによりユーザーの安心感や使い勝手を更に向上させることが期待できる。
実施の形態4.
図128~図131は、本開示の実施の形態4に係るビルトイン式複合型加熱調理器を示すものである。
図128は、加熱調理器における本体上面の前方部平面図である。図129は、図128に示した加熱調理器1と外部の情報管理装置等との間の情報授受を、時系列で示す説明図である。図130は、図128の加熱調理器において、連携操作部40MCの入力動作と、統合表示部30及び左側表示部30Lの表示情報の関係を示す説明図1である。図131は、図128に示した加熱調理器1における、連携操作部40MCの入力動作と、統合表示部30及び左側表示部30Lの表示情報の関係を示す説明図2である。なお、図1~図110に説明した実施の形態1の構成と同一又は相当部分は、同じ符号を付けている。
この実施の形態4に示す加熱調理器1では、本体10の上面に配置した表示部は、3つあるが、表示機能、表示画面の有効面積及び平面形状については、3つに較差はない。
言い換えると、実施の形態1で示した統合表示部30の機能は、左側表示部31Lと右側表示部31Rでも有している。但し、加熱調理器1に主電力を投入した直後の、起動時の待機時初期画面は、中央の統合表示部30だけに表示される。
中央に配置した統合表示部30と、左側表示部31L及び右側表示部31Rには、第1特定画面30SP、第2特定画面30SC及び第3特定画面30STが、適宜タイミングで表示される。但し、以下で説明するように、中央部の統合表示部30が表示のタイミングでは優先する。
前記統合表示部30では、レンジ・グリル関係の「複合加熱調理・単独加熱調理のモード」に関する表示を行う。つまり、単独制御モードと複合制御モードの場合の表示を行う。
前記左側表示部31Lは、左加熱部17HLと左操作部40Lに関する表示を行う。
前記右側表示部31Rは、右加熱部17HRと右操作部40Rに関する表示を行う。なお、図128には、外部との無線通信を行うことを指令する入力キー47の図示は省略している。
前記統合表示部30、左側表示部31L及び右側表示部31Rの3者は、連携調理モードにおける各種情報を表示する。つまり、第1特定画面30SPを表示し、連携制御モードで運転する場合の、関連する情報を表示する。
この図128~図131に示した加熱調理器1では、調理のコースは、大きく分けてレンジ・グリル関係の「複合調理モード・単独調理モード」を選択するコースと、「連携調理モード」を選択するコース、の2つがある。
図128に示したように、中央操作部40Mには、連携操作部40MCを配置している。この連携操作部40MCは、実施の形態1と同様に、マイクロ波加熱源189の単独加熱調理、オーブン加熱源188の単独加熱調理、複合(加熱)調理及び連携(加熱)調理の、4つの調理形態で共用される各種入力キーの集合体である。図128では、破線の枠によって連携操作部40MCの範囲を示している。
図129について説明する。
この実施の形態4では、前記情報管理装置411は、家屋HAの内部には存在していない。家屋HAの内部には、ルーター(図示せず)を設置し、加熱調理器1は、当該ルーターを経由してインターネット(広域通信回路網)416に接続されている。インターネット416には、実施の形態1のホーム・ゲートウエイの機能を保有した情報管理装置411を設置してある。当該情報管理装置411は、1つ又は複数のサーバー装置から構成されていても良い。記憶や検索、情報処理等の主要な部分別にサーバーが分散していても良い。
図129において、ステップSK1~SK11は、加熱調理器1の統合制御装置MCの主要な動作を示したものである。
図129では、連携調モードを実行するため動作ステップを示しており、連携制御モードの実行が決定してから、調理工程2を終えるまでの期間を示している。
連携制御モードの実行が決定すると、実施内容(例えば、被調理物は、ハンバーグであることの情報も含む)を報知部ANで報知し、無線通信部49から外部に送信する(ステップSK1)。なお、以後の説明では、インターネット(広域通信回路網)416で情報処理装置411と情報処理端末器418が相互に通信可能であるので、加熱調理器1から送信した情報の送付先は、特定しない。
次に、連携制御モードによる加熱調理動作を開始したことを報知し、また無線通信部49から外部に送信する(ステップSK2)。
予熱工程が必要な調理である場合、予熱工程を開始したことを報知し、また無線通信部49から外部に送信する(ステップSK3)。
次に、実際に連携制御モードによる調理工程1を開始したことを報知し、また無線通信部49から外部に送信する(ステップSK4)。
次に、調理工程1において、誘導加熱が開始された時点から所定の時間(第1の時間TN1)を経過した時点で、参考情報1(FA1)の報知が行われる。また、この報知内容が、無線通信部49から外部に送信される(ステップSK5)。あるいは、所定の温度まで被加熱物Nの温度が上昇したことが検知されて、参考情報1が報知される(ステップSK5)。
次に、前記ステップSK5に対する外部からの報知情報を受信する(ステップSK6)。この受信情報には、例えば、火力を下げる等のリモート制御信号を含む場合がある。受信した報知情報の内容によっては、報知部ANで報知し、ユーザーに知らせる。特に、リモート信号の場合、ユーザーが無用の混乱を招かないように、報知は必要である。
次に、調理工程1が自動的に終了した場合、その内容が報知部ANで報知される。あるいは、ユーザーが手動にて任意のタイミングで調理工程1を停止した場合も、同様に報知される。そして外部へ報知情報が送信される(ステップSK7)。
前記ステップSK7の段階で、加熱動作は休止しており、移行期間に入っている。
そして、ユーザーが調理工程2の準備をして、調理工程2の開始を指令した場合、移行期間を終えて、調理工程2を開始したことが報知部ANで報知される。また無線通信部49から外部に送信する(ステップSK8)。この場合、報知内容には、調理工程2の加熱源の情報が含まれる。タイマー設定されて調理開始した場合には、タイマーの設定時間情報も含まれる。
次に、調理工程2において、例えば、マイクロ波加熱が開始された時点から所定の時間(第2の時間TN1)を経過した時点で、参考情報2(FA2)の報知が行われる。また、この報知内容が、無線通信部49から外部に送信される(ステップSK9)。あるいは、所定の温度まで被加熱物Nの温度が上昇したことが検知されて、参考情報2が報知される(ステップSK9)。
次に、前記ステップSK9に対する外部からの報知情報を受信する(ステップSK10)。この受信情報には、例えば、火力を下げる等のリモート制御信号を含む場合がある。
報知情報の内容によっては、報知部ANで報知し、ユーザーに知らせる。
次に、調理工程2が自動的に終了した場合、その内容が報知部ANで報知される。あるいは、ユーザーが手動にて任意のタイミングで調理工程2を停止した場合も、同様に報知される。そして外部へ報知情報が送信される(ステップSK11)。
以上の説明から明らかなように、加熱調理器1の連携調査内容は、リアルタイムで外部に送信されているので、送信内容を受信した情報処理装置411や情報処理端末器418は、キッチンKTから離れた場所で加熱調理の進捗が把握できる。従って、特に、連携調理モードでは、1時間以上にも及ぶ比較的長い調理をする場合があるが、情報処理端末器418に運転情報が入ってくるので、家屋の中の別の部屋で情報処理端末器418で監視することも可能となる。
なお、外部から加熱調理器1への前記リモート制御信号は、火力を下げることと、加熱調理動作を停止することの2つに制限しておけば、外部からの誤った操作によって加熱調理器1が誤った動作をする懸念もない。
次に、図130について説明する。
ステップSX1からSX6の順序で、連携操作部40MCと統合表示部30は動作する。連携操作部40MCは、実施の形態1で説明したように、本体10の上面に横に長く設けた入力操作部40の左右中央部に配置されている。
なお、入力操作部40の各種入力キーの配置関係は、図20、図21で説明した実施の形態1と同じである。
レンジ・グリル関係の「複合加熱調理・単独加熱調理のモード」を選ぶには、左加熱部17HL又は右加熱部17HRを選ぶ誘導加熱源9使用のコースと、中央操作部40M(連携操作部40MC)を使ってマイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188の何れか一方又は双方を使用するコースがある。
連携調理モードのコースを選択して調理する場合について、以下説明する。
図128において、まず、連携操作部40MCの入力キー43MCを押して連携調理モードのコースを選択する指令信号を発信する(SC1)。次に、この信号受け、統合制御装置MCは、統合表示部30に連携調理モードを表示する(SC2)。
前記ステップSC2では、統合表示部30には、第1特定画面30SPが表示される。当該第1特定画面30SPにおいては、少なくとも次の3つの情報を同時に表示する。一覧表のような形態で表示しても良い。
(1)連携調理モードにおける被調理物毎の識別情報330
(2)調理工程(調理工程1、調理工程2)と予熱工程
(3)使用される加熱源や加熱部(誘導加熱源9の場合)
ユーザーは、連携操作部40Mの入力キー43M1を操作して、1つの連携調理モードにおける被調理物のメニュー(種類)を、1つだけに特定する「識別情報」330を選定する(SC2)。第1特定画面30SPにおいては、実施の形態1で説明したように、識別情報300と、次の候補となる被調理物の識別情報330A、330B等、複数個同時に表示されることが望ましい。
次に、希望する被調理物に対応する識別情報330が、第1特定画面30SPの所定の位置(第1エリア30Lの中央部など)に表示されている状態で、第2エリア30M、第3エリア30Rに表示された加熱温度や火力等の制御条件を、入力キー43M2、43M3によって選択する(SC3)。
その後、連携操作部40MCの入力キー43MSを押せば、連携調理モードへの移行が確定する(SC4)。
そして、統合表示部30では、連携調理モードでの調理が開始されることを表示する(SC5)、更に、統合表示部30では、この段階までに選択された加熱温度や火力等の制御条件と、調理工程及び予熱工程の有無が分かる情報を表示する(SC6)。
この実施の形態4では、連携調理モードの動作プログラムでは、実施の形態1と同様に、被調理物に応じて以下の2種類のシーケンスが規定されている。
(1)誘導加熱源9を先に使用し、この後の加熱は、マイクロ波加熱源189又はオーブン加熱手段188が行うというパターン。
(2)マイクロ波加熱源189又はオーブン加熱手段188の少なくとも何れか一方又は双方を先に使用し、この後の加熱は、誘導加熱源9が行うというパターン。
なお、上記(2)の、マイクロ波加熱源189又はオーブン加熱手段188の少なくとも何れか一方又は双方を先に使用するパターンには、誘導加熱源9の予熱動作を先に開始するというパターンも含まれる(実施の形態1で説明した「からあげ」の調理。図63参照)。
この図130の事例は、マイクロ波加熱源189又はオーブン加熱手段188を先に調理工程1で使用するパターンである。表示動作は、統合表示部30が他の2つに表示部(31L、31R)よりも先に開始している。但し、調理工程2では誘導加熱源9を使用するので、調理工程1と同時に、誘導加熱源9は1番最初に予熱工程を開始するパターンである。
予熱工程を開始し、その後、調理工程2を行う誘導加熱源9の左加熱部17HL専用の左表示部31Lが起動され、予熱工程が開始されたことが表示される(SY1)。その後、予熱温度が例えば「200℃」と表示され、予熱中であることも表示される(SY2)。
これ以後、調理工程1、移行期間TR、調理工程2と進むが、図130には図示省略している。
図131に示した操作入力の手順や表示の順序は、基本的に実施の形態1と同じである。
この実施の形態4では、誘導加熱源9を調理工程1で使用する場合には、以下のような操作入力の手順であり、この点が実施の形態1と異なっている。
図131に示すように、この実施の形態4では、連携操作部40MCの入力キー43M1を操作して、1つの連携調理モードの「識別情報」330を選定する段階(ステップSC2)までを連携操作部40MCに担当させている。つまり、連携調理メニュー(例えば「からあげ」)を示す識別情報330を統合表示部30で表示させ(第1特定画面30SP)、それを入力キー43M1で選択する段階までを連携操作部40MCで行う。
前記ステップSC2の段階で、右加熱部17HR又は左加熱部17HLが、調理工程1で指定される連携調理モードであった場合、それ以降の入力指令は、連携操作部40MCでは行えない。
つまり、ステップSC2で選択した連携調理モードの被調理物のメニュー(例えば「からあげ」)から、左加熱部17HLが調理工程1で使用される場合には、以後の入力操作は、左操作部40Lによって行われる。
図131に示すように、左表示部31Lにおいて、第1特定画面30SPが表示される。そして、その第1特定画面30SPにおいて、連携調理モードで1つの調理メニューの調理が行われることが文字で表示される(ステップSX1)。
次に、第1特定画面30SPに表示された加熱強度(火力)や加熱時間等の制御条件について、左操作部40Lの各種入力キー43L2、43L3で選定する(ステップSX2)。
更に、左操作部40Lの入力キー43L1を操作する。これにより、1つの連携調理メニューの調理工程の開始が指令される(SX3)。
この後、加熱調理動作が開始されて調理工程1が開始されたことが表示され(SX4)、更に、連携調理中であることや、調理工程等の情報が表示される(SX5)。
一方、統合表示部30の方では、連携調理が開始されたことを示す情報、調理工程の加熱源を示す情報等が表示される(SC12)。
以上のような構成であるため、調理工程1を始めるまえに、被加熱物Nを左加熱部17HLの上に置いた段階では、ユーザーの体は加熱調理器1の左右中央より、やや左側、すなわち、左操作部40Lの前方にあるはずである。
このため、そのまま連携調理モードを、左操作部40Lの操作によって開始させることができ、調理工程1の開始時点から左操作部40Lや左側表示部31Lに臨んだ位置でユーザーは操作できる利点がある。
なお、左加熱部17HLが、別の調理のために既に使用されている場合には、前記識別情報330の選択段階(SC2)において、統合表示部30を通じてユーザーには、連携調理ができない理由を報知する(音声合成装置95でも同様な報知をする)。
ユーザーは、ステップSX1の段階で、左加熱部17HLで最初の調理工程1が行われることを知る。ユーザーは、専用のフライパンや鍋等の被加熱物Nの上又は内部に、被調理物を入れるように、左側表示部31Lに表示された第1特定画面30SPによってガイドされる(音声合成装置95でも同様な報知をする)。
このため、ユーザーは、左加熱部17HLに被調理物を置いた後、左操作部30Lの入力キー43L1を操作することで、1つの連携調理モードの調理の開始を指令することができる(SX3)。
なお、統合表示部30では、連携調理モードによる1つの調理工程1(第1の調理工程)が開始されたことを表示する。ユーザーは、調理工程1の期間中は、左側表示部31Lと左側操作部40Lに注意を集中するので、基本的な情報は、全て左側表示部31Lに表示する。なお、加熱室113を使用する調理工程2の段階になると、統合表示部30を中心とした表示と、中央の連携操作部40MCによる操作に変更される。
この実施の形態4の特有の機能について説明する。
図128に示した統合制御装置MCの機能を変更する入力キー43KPを押すと、機能設定メニューが統合表示部30に表示される。ここまでは、実施の形態1で説明した。
この実施の形態4では、更に以下のような機能設定が、統合制御装置MCに対して行える。
(1)図129で示した外部への情報送信(ステップSK1~SK11)の中の特定のものだけに絞ること。例えば、「てんぷら」や「からあげ」等のように、調理時に被加熱物に食用油を入れて加熱する調理の場合、見守り機能を維持するために、連携調理モードで、特定の調理メニュー(例えば、「てんぷら」や「からあげ」)を実行した場合には、図129で示した送信ステップSK3とSK5が、一定の温度段階でその都度行われるようにする。例えば、予熱温度180℃に設定して予熱開始した場合、160℃、170℃のように、温度上昇過程を細かく報知する。
(2)冷蔵庫401から取得する在庫情報を、特定の範囲(例えば、冷凍食品)だけに絞ること。この場合、更に条件設定で「冷凍温度の情報」と「肉」を指定し、結果的に「冷凍温度が指定値よりも低い、肉」だけの情報を収集するようにしても良い。
例えば、冷蔵庫で食肉を熟成する方法として、冷蔵庫の中に独立した冷却空間(部屋)を設け、牛肉、豚肉、鶏肉等からなる食肉をその冷凍室に入れ、当該冷凍室内の空気の温度を2℃以上5℃以下(以下、「熟成温度」)、湿度を87%以上98%以下に維持し、またある範囲(循環する冷気の風量)で冷気に曝す方法が知られている。そこで、このように特定の熟成温度の範囲で保存している食材の情報を収集すれば、ユーザーの利便性が更に向上する。
(3)習熟者モードと初心者モードの設定。初心者モードにした場合、図129で示した外部への報知(ステップSK1~SK11)が全て行われる。
習熟者モードにした場合、図129に示した外部への情報送信(ステップSK1~SK11)の内、SK7に限定する。但し、第1特定画面30SPにおける表示内容は、習熟者モードと初心者モードで差異がないようにする。
(4)冷蔵庫401から取得する在庫情報に、保存期間や鮮度に関する情報を含めるようにする。
例えば、日本特開2018-124053公報には、冷蔵庫に収容する食品を撮影し、その撮影画像と撮影日時と関連づけて複数の食品画像を保存し、撮影日時が異なる同一の画像からこれらの画像の差分を抽出し、一定期間差分がない箇所がある場合、食品が一定期間以上保存されていると判定して保存期間を推定する冷蔵庫が提案されている。
また、日本特開2017-89913号公報には、冷蔵庫の貯蔵室内の画像から、前記貯蔵室内に貯蔵されている食品の食品画像を抽出し、前記食品画像の時間的な変化から当該食品画像に対応する食品の劣化に関する情報を生成し、前記食品画像及び前記劣化に関する情報を、通信装置を介して外部の携帯情報端末機器に送信する冷蔵庫が提案されている。
そこで、この実施形態4では、上記のような冷蔵庫側の情報を取得するようにすれば、更にユーザーの利便性が向上する。
この実施の形態4の参考情報1(FA1)と参考情報2(FA2)について詳しく説明しなかったが、実施の1~3で説明したように調理工程1が開始された時点からの経過時間(第1の時間TN1)や経過温度の他に、実施の形態1の図102(A)に示したように、ユーザーが調理の時間短縮ができることを意味する時短情報333と、調理の推奨情報338を、前記参考情報FA1やFA2に加えても良い。あるいはそれに代えて報知(表示や音声ガイド)しても良い。本発明に係る冷蔵庫は、食品を貯蔵する貯蔵室と、前記貯蔵室内を撮影することによって前記貯蔵室内の画像を取得する撮影装置と、前記撮影装置によって取得された前記貯蔵室内の画像から、前記貯蔵室内に貯蔵されている食品の食品画像を抽出する制御装置と、表示部を有する携帯端末との通信を行う通信装置とを備え、前記制御装置は、前記食品画像の時間的な変化から当該食品画像に対応する食品の劣化に関する情報を生成し、前記食品画像及び前記劣化に関する情報を、前記通信装置を介して前記携帯端末に送信することを特徴とする。本発明に係る冷蔵庫は、食品を貯蔵する貯蔵室と、前記貯蔵室内を撮影することによって前記貯蔵室内の画像を取得する撮影装置と、前記撮影装置によって取得された前記貯蔵室内の画像から、前記貯蔵室内に貯蔵されている食品の食品画像を抽出する制御装置と、表示部を有する携帯端末との通信を行う通信装置とを備え、前記制御装置は、前記食品画像の時間的な変化から当該食品画像に対応する食品の劣化に関する情報を生成し、前記食品画像及び前記劣化に関する情報を、前記通信装置を介して前記携帯端末に送信することを特徴とする。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態4の加熱調理器1は、以下の構成を開示していた。
すなわち、
トッププレート15及び加熱室113を内蔵した本体110と、
前記トッププレート15の上に置かれる被加熱物を加熱する誘導加熱源9と、
前記加熱室113の内部に置かれる被調理物を加熱するマイクロ波加熱源189と、
統合表示部30と、
誘導加熱源9の左側表示部31Lと、
前記誘導加熱源9、マイクロ波加熱源189、統合表示部30及び左側表示部31Lを制御する統合制御装置MCと、
ユーザーからの指令を統合制御装置MCに与える中央操作部40Mと、左操作部40L及び右操作部40Rと、を備え、
前記左操作部40Lは、前記誘導加熱源9の左加熱部17HL専用の操作部であり、
前記中央操作部40Mには、前記連携調理モードのための連携操作部40MCを有し、
前記連携操作部40MCは、前記統合表示部30に前記連携調理モードを表示させる機能(ステップSC2)と、表示させた連携調理モードの中の1つを、前記統合制御装置MCに選択させる機能(ステップSC3)と、連携調理モードを開始させる機能(ステップSC4)、とを有している。
更に、統合制御装置MCは、実行すべき連携調理モードについて、調理工程1で使用する加熱部が、誘導加熱源9の左加熱部17HLであった場合、
(1)前記(左加熱部17HL)の専用の表示部31Lにおいて、前記連携調理モードに関する表示情報を表示させる。
(2)前記左側表示部31Lにおいて調理工程を表示させる(ステップSX1)。
(3)表示部31Lにおいて火力や温度等の制御条件を表示させ、前記左側表示部31Lにおいて選択させる(ステップSX2)。
(4)連携調理モードを開始させる入力指令を、前記左操作部40Lから発信させる(ステップSX3)。
という機能を備えた構成であった。
これにより、誘導加熱源9を調理工程1で使用する連携調理モードにおいては、連携操作部40MCの役割が、連携調理モードの表示段階までと明確になり、また、一旦左操作部40Lからの指令によって、前記調理工程1が開始されると、以後の制御メニューの変更や調理工程1の終了、また関連する表示等を、全て左操作部40Lと左側表示部30Lに実行させていた。
このため、使い勝手の良い加熱調理器1を提供できるという効果が得られる。
なお、前記統合表示部30と左加熱部17HL専用の表示部31Lとの間において、表示する連携調理モードの内容や表示形態(識別情報330の表示形態を含む)、第1特定画面30SPの構成等を同じにすれば、ユーザーの誤解を招く懸念がなくなるが、必ずしも同一でなくとも良い。
統合表示部30と表示部31Lの表示面積の差異や、物理的な表示原理等が異なるケースも想定されるからである。
この実施の形態4においても、実施の形態1と同じ構成の部分については、実施の形態1で説明したような効果が得られる。
実施の形態5.
実施の形態5.
図132~図144は、実施の形態5に関するものである。図132は、加熱調理器の調理開始前の制御動作の全体を説明するためのフローチャートである。図133は、図132の加熱調理器において、調理開始後の制御動作の全体を説明するためのフローチャートである。図134は、携帯情報端末器の主要な内部機能を示すブロック図である。図135は、携帯情報端末器の表示動作説明図1である。図136は、携帯情報端末器の表示動作説明図2である。図137は、携帯情報端末器の表示動作説明図3である。図138は、携帯情報端末器の表示動作説明図4である。図139は、携帯情報端末器の表示動作説明図5である。図140は、携帯情報端末器の表示動作説明図6である。図141は、携帯情報端末器の表示動作説明図7である。図142は、携帯情報端末器の表示動作説明図8である。図143は、携帯情報端末器の表示動作説明図9である。図144は、携帯情報端末器の表示動作説明図10である。図145は、実施の形態5の変形例を示すものであり、加熱調理器1と家電機器400の運転管理システムを示すものである。図146は、実施の形態5の変形例を示すものであり、携帯情報端末器の表示動作説明図1である。図147は、実施の形態5の変形例を示すものであり、携帯情報端末器の表示動作説明図2である。なお、図1~図110に説明した実施の形態1の構成と同一又は相当部分は、同じ符号を付けている。
この実施の形態5に示す加熱調理器1は、携帯情報端末器418からの遠隔操作信号を利用して、調理モードと制御条件等の設定を行える点に特徴がある。
この実施の形態5の加熱調理器1は、「外部報知モード」を有していることが1つの特徴である。
「外部報知モード」とは、機器識別コードを登録しておいた携帯情報端末器418に対して調理工程の途中段階まで詳細に自動報知するものである。
図132について説明する。
図132は、加熱調理器1の調理開始前の制御動作の全体を説明するためのフローチャートである。電源投入から調理準備開始までの基本動作プログラムが、統合制御装置MCの内部にある記憶装置MMに格納されている。
ステップSW1~SW3までは、実施の形態1の図37に示したものと同じであるので、ステップSW3までは簡単に説明する。
主電源スイッチ97が閉じられる(ステップSW1)と、統合制御装置MCが起動される。統合制御装置MC自身の制御プログラムにより自己の異常有無の診断を開始する(SW2)。
ステップSW2では、無線通信部49から、キッチンKT等の居住空間にあるホーム・ゲートウエイ等の情報処理装置411に、加熱調理器1の運転開始の予告を行う。この予告信号は、実施の形態1の図41で説明した信号L2に相当する。
また、加熱調理器1から冷蔵庫401の在庫照会信号RQ1を前記情報処理装置411に発信する。
情報処理装置411が家屋HAの内部にはない場合、加熱調理器1は、ルーター(図示せず)と広域通信回路網416とを介して、外部サーバー417に対して前記在庫照会信号RQ1に相当する情報を送信する。広域通信回路網416には、ユーザー又は居住者等が保有する携帯情報端末器418が接続される。
統合制御装置MCで異常が発見されない場合、統合表示部30を起動し、音声合成装置95によって、運転を開始する旨の音声ガイドを行う(SW3)。
また、使用する加熱源を選択すること促すため、統合表示部30にて表示を行い、音また声合成装置95によっても、加熱源を選択するように促すための音声ガイドを行う(SW4)。なお、この段階では、加熱源を選択するのではなく、連携調理モードや複合調理モード等の、調理モードを選択することでも良い。
図132には示していないが、「外部報知モード」に設定していない場合には、この段階で、入力報知部40で外部報知モードの設定を行う。
具体的には、入力キー43KPを押して、後述する「機能設定モード」に切り替え、統合表示部30の表示に従って設定操作をする。
前記機能設定モードでは、ユーザーが保有する特定の前記携帯情報端末器418を、1つの報知先として登録しておく。そして、機能設定モードを解除する。
次のステップSW5では、入力操作部40において入力が完了したかどうかを判別する。実施の形態1で説明したように入力キー43M1や43M2等が操作され、希望する調理メニュー(例えば、「からあげ」)や制御メニュー(例えば「レンジ手動」)等の選択を終えている場合は、このステップSX5は「Yes」になる。
次のステップSW6では、入力操作部40において入力キー43MSが押された場合、「Yes」となり、実際に加熱源の駆動が開始される(SW7)。なお、左加熱部17HLの場合には、入力キー43L1、44Lの何れか一方を押す必要がある。また、右加熱部17HRの場合は、入力キー43R1、44Rの何れか一方を押す必要がある(これらのキー入力手順を省略するように変更しても良い)。
一方、ステップSW5で入力操作部40からの入力が完了していなかった場合、30分間の間、入力を待つ。この30分間は、前記ステップSW4の段階で計測が開始されている。
ステップSW8では、30分間を超過しているかどうかの判定が行われ、30分超かの場合は、統合制御装置MCは自動的に主電源スイッチ97をOFFにする(SW14)。
入力の猶予期間である前記30分間において、無線通信部49が外部から、後述する「遠隔操作信号」(外部入力)を受信しない限り、入力操作部40の入力の完了と、外部入力の有無(ステップSW9)が、繰り返しチェックされる。
無線通信部49が外部から遠隔操作信号(外部入力)を受信した場合、ステップSW10では、連携調理モードを指定する指令なのか、それ以外であるのかを判別する。
連携調理モードを指定する指令であった場合、ステップSW11に進む。このステップSW11では、実施の形態1(特に、図64~図66)で説明した「許可条件1」と「許可条件2」のような許可条件を満たすかどうかの判定が行われる。
このステップSW11で、許可条件を満たすと判定された場合には、ステップSW12に進み、外部報知モード(外部入力優先モード)の処理になる。
一方、連携調理モードでなかった場合、ステップSW10は「No」と判定され、ステップSW12に進む。
ステップSW12においては、外部報知モード(外部入力優先モード)の判定と処理が行われる。
最初に、外部から指定された調理モードが、連携調理モードの場合、統合表示部30には第1特定画面30SPが表示される。
次に、外部から指定された調理モードが、複合調理モードの場合、統合表示部30で第2特定画面30SCが表示される。一方、誘導加熱源9の単独調理モードの場合、統合表示部30で第3特定画面30STが表示される。
次のステップSW13では、遠隔操作情報を送信して来た情報処理装置411又は外部サーバー417に対して、遠隔操作情報を受信した旨の情報を返信する。
前記ステップSW4の段階で、許可情報を満たさないと判定された場合には、遠隔操作情報を送信して来た情報処理装置411又は外部サーバー417に対して、遠隔操作情報による制御は許可できない旨の情報を返信する。
なお、前記ステップSW11又はSW12の段階で、遠隔操作情報で設定された制御条件(火力、マイクロ波出力、加熱時間、制御温度等)を、ユーザーが入力操作部40で、手動で変更するようにしても良い。ステップSW12の段階では、第1~第3特定画面30SP、30SC、30STが、それぞれ表示されるので、通常の入力操作部40を使用してユーザーが直接入力するように、制御条件を設定しても良い。
図132では、外部報知モード(外部入力優先モード)を設定した場合の加熱調理器1の動作について説明した。
図133について説明する。
図132で説明したように、実施の形態5の加熱調理器1は、加熱調理動作を開始する前の待機時に、入力操作部40を操作して「機能設定」のモードに切り替え、「外部報知モード」に設定した。そのため、以下説明するように、ユーザーが加熱調理器1の前に常時居て加熱調理に臨むことができない場合に便利である。
例えば、調理を開始した直後から、ユーザーはキッチンKT内を移動したり、他の調理器や家電機器もキッチンKTで使用したりしている場合等である。但し、揚げ物等の食用油を使用するような調理メニューを調理する場合では、人感知センサー452、453の働きで、加熱調理器1の近傍に人が感知されない場合には、警報装置446(図4参照)から警報が出る。
また、この加熱調理器1自体にも、ドア114の近傍から正面に向けて感知域を設定した人感知センサーを設置しているので、「揚げ物」等の特定の調理メニューでは、人を感知しない時間が一定時間(例えば、15秒間)を超えると、音声合成装置95から警告メッセージが出る。
図133は、加熱調理動作開始後の、統合制御装置MCの制御動作を説明するためのフローチャートである。
図133は、調理工程1の開始から調理工程2の開始までの基本動作プログラムの内、前記「外部報知モード」に設定した場合の動作プログラムを示している。このプログラムも、統合制御装置MCの内部にある記憶装置MMに格納されている。
連携調理モードにおいて、選択した調理メニューでは、調理工程1は加熱室113、調理工程2は、左加熱部17HLで行うことになった、という前提で、以下説明する。
図133は、図132のステップSW7に続く動作ステップを示している。
調理工程1が開始され、マイクロ波加熱が開始されると、統合制御装置MCでは、前記「外部報知モード」に設定されていることを確認する(ステップSW20)。
次に、統合表示部30では、調理工程1の開始を表示し、音声合成装置95でも調理の開始を知らせる(ステップSW21)。
また、無線通信部49から外部に対して、連携調理を開始したことを示す情報が送信される。
前記携帯情報端末器418は、加熱調理器1の外部報知先として事前に登録されているので、外部サーバー417経由で、加熱調理器1の運転開始の情報が届く。
前記ステップSW21の時点から経過時間TN1の計測が開始される。
この実施の形態5では、次のステップSW22において、外部へ在庫照会情報RQ3が送信される。実施の形態1のように、情報処理装置411が家屋HAの内部にあれば、当該情報処理装置411に送信される。
一方、該情報処理装置411に該当する装置が、外部サーバー417であれば、広域通信回路網416経由で、加熱調理器1から在庫照会情報RQ3が送信される。
この後、調理工程1の過程で異常動作の有無がチェックされ(SW23)、ユーザーによる調理工程1の停止指令有無のチェック(SW24)、経過時間TN1の超過有無のチェック(SW25)が行われる。
これらステップSW23~SW25は、短時間間隔で繰り返し行われるが、万一、異常が検知された場合、統合報知部30や音声合成装置95による異常検知報知が行われる(SW34)。また、この「外部報知モード」の処理の1つとして、外部サーバー417へも報知され、携帯情報端末器418にも異常発生の報知が行われるようになる。
経過時間TN1が超過したと判定されると(SW25で「Yes」)、参考情報1の報知が統合表示部30の第1特定画面30Sで行われる。また、同時に外部に対して、参考情報が送信される。この参考情報も、情報処理装置411や外部サーバー417を経由して、最終的には携帯情報端末器418に届くようになる。
次のステップSW27では、冷蔵庫401の在庫情報照会RQ1(図132の、ステップSW2参照)に応じて、外部から在庫データを受信しているかどうかの判定が行われる。
在庫データを受信していた場合には、その時点で記憶装置MMに記憶させてあるが、次のステップSW28でも記憶情報を確認する。
次に、統合表示部30において、在庫データが到着している場合には、統合制御装置MCにおいて、取得した在庫データから実際に関連する調理メニューの評価、分析を行う。調理メニューの推奨案が抽出された場合、この時点では、統合表示部30では、調理のお薦めメニューがあると報知しない(SW29)。そして、外部サーバー417にも送信しない。
例外的に、ユーザーが前記した「機能設定」を行って、移行期間TR前に送信することを設定した場合、この時点でも統合表示部30に表示する。また、携帯情報端末器418にも報知用データを送信する。携帯情報端末器418では、図143に示すように同様な趣旨が表示される。
この後、ユーザーからの調理工程1の終了指令があったかどうかのチェックが繰り返し行われる(SW30)。なお、調理工程1を、事前にタイマー設定で行った場合は、ユーザーが設定した時間の経過時点で自動的に調理工程1が終了する。
調理工程1が終了した場合、次のステップSW31では、統合表示部30において、調理工程1が終了したことと、ユーザーの指令を待って調理工程2に移行すること等、の報知が行われる。
また、ステップSW31では、「外部報知モード」の処理の1つとして、外部サーバー417へも調理工程1が終了したことが報知される。
更に、ステップSW29で行った報知と類似するが、加熱調理器1で推奨できる調理メニューがある場合には、統合表示部30の第1特定画面30Sで報知し、かつ、外部サーバー417へも報知される。このため、携帯情報端末器418でも、図143に示すような表示画面480によって、推奨の調理メニューの存在を知ることができる。
図133から分かるように、前記ステップSW31は、加熱動作を休止している移行期間TRであり、ユーザーは被調理物を加熱室113から出して、左加熱部17HLの上に用意した被加熱物(鍋など)Nに移す作業を行う必要がある。
上記移行期間TRの長さは、ユーザーが調理開始(調理工程2)の指令を与えるまで、ユーザーが自由に決められる(但し、例えば30分以上のような長時間の休止は、エラーとなり、連携調理モードは自動的に解除される)。
そこで、この休止期間TRを利用して、ユーザーが推奨の調理メニューの価値を検討できる。必要ならば、この時点で冷蔵庫411の中の食材を確かめたり、居住者の意見を聞いたりできる。
ユーザーが、入力キー43MSを押すと、休止期間TRは即時終了し、左加熱部17HLでの誘導加熱(調理工程2)が開始される(SW32)。
次に、統合表示部30では、調理工程2の開始を表示し、音声合成装置95でも調理の開始を知らせる。また、無線通信部49から外部に対して、連携調理の調理工程2を開始したことを示す情報が送信される(SW33)。
次に、図134に示す携帯情報端末器418について説明する。
携帯情報端末器418は、送信部及び受信部460と、通信制御部461と、中央処理装置(CPU)462と、ROM及びRAM463と、スピーカ464と、タッチ式の操作部465と、表示画面を有する表示部466と、加熱調理器データベース(記憶部)468と、姿勢検知部469と、遠隔操作情報生成部470と、記憶部467と、を有している。送信部及び受信部460には、近距離無線通信用のNFC入出力部472を有している。
475は、音声を入力信号に変える音声入力部である。
前記タッチ式の操作部466、表示部467及び音声入力部475、とは、ハードウエア上では一体化されて、表示操作部471となっている。なお、前記音声入力部475からの音声信号を解析し、用語検索、情報検索等を行う検索部は図示していない。検索部は、この携帯情報端末器418の内部に備えても良いし、外部サーバー417に備え、携帯情報端末器418の外部に検索機能を持たせることでも良い。
前記姿勢検知部469は、ジャイロセンサーや加速度センサー、重力センサーなどの各種センサーが搭載されており、携帯情報端末器418の傾きや向きを検出することができる。これにより、携帯情報端末器418の上下方向を検出した信号を前記中央処理装置462に出力する。
前記中央処理装置462は、前記姿勢検知部469からの検出信号を受けて、前記表示部467の表示方向を制御する。
前記中央処理装置462は、加熱調理器1の無線通信部49から受信した信号を、前記遠隔操作情報生成部470に入力する。
前記加熱調理器データベース468は、加熱調理器1の統合表示部30と音声合成装置95のための報知情報(画像情報を含む)を生成するため、加熱調理器1の「報知用データ」472を保有している。
また、前記加熱調理器データベース468は、加熱調理器1の統合制御装置MC用の「遠隔操作用データ」473も保有している。
前記報知用データ472と遠隔操作用データ473は、最初からこの携帯情報端末器418に記憶させておいても良いが、情報提供手段である外部サーバー417に、広域通信回路網416を介して接続し、その外部サーバーからダウンロードして取得したものでも良い。つまり、加熱調理器データベース468は、固定的に記憶させて構築しておく必要はなく、必要に応じて情報を取得して、一時的に揮発性のメモリーに格納した形態であってもよい。
前記遠隔操作情報生成部470は、加熱調理器1から前記中央処理装置462経由で取得した信号と、前記表示操作部471からの入力信号とを、それぞれ処理し、加熱調理器1用の遠隔操作情報を生成する。
ここでいう「遠隔操作情報」とは、加熱調理器1の、連携調理モードや複合調理モードを含む全ての調理モードに対応した入力操作に関する情報と、当該連携調理モードや複合調理モード等における統合表示部30の表示情報、更には、右側表示部31Rと左側表示部31Lに関する表示情報を含む。但し、連携調理モードを含む全ての調理モードにおいて、加熱動作を開始する指令となる情報は含まれない。従って、この遠隔操作情報によって加熱調理器1が加熱動作を開始する指令を受けることはない。
前記中央処理装置462は、ROM・RAMに格納されている制御プログラムに従って、携帯情報端末器418全体の処理を実行するものであり、処理を実行する過程で必要なデータをROM・RAMから読み出したり、処理を実行する過程で生成したデータを、前記ROM・RAMに格納したりする。記憶部471は、半導体製の不揮発性メモリーであり、前記送信部及び受信部460から読み込んだ加熱調理器1の情報を記憶させておくことができる。
ユーザーが、携帯情報端末器418の表示部467の特定部位にタッチすると、このタッチ信号を基礎にして前記遠隔操作情報生成部470は、遠隔操作情報を生成する。
前記遠隔操作情報は、送信部及び受信部460から加熱調理器1へ送信される。
前記遠隔操作情報を受信した加熱調理器1の統合制御装置MCは、この遠隔操作情報を、調理モードの入力操作情報として扱う。例えば、連携調理モードに関する遠隔操作信号を受信した場合、これによって、統合表示部30の第1表示画面30SPは、以下の図142に示すように、連携調理モードにおける1つの調理メニューの選択画面へと遷移する。但し、無条件に加熱調理器1が携帯情報端末器418の遠隔操作情報で運転する訳ではない。これについては、図132で説明した通りである。
一方、遠隔操作情報を送信した携帯情報端末器418側では、前記遠隔操作情報に基づいて表示部467の表示が変化する。つまり、携帯情報端末器418の表示操作部471におけるタッチ操作による表示画面の内容と、加熱調理器1の統合表示部30の表示内容は、近似した操作手順で変化するが、その変化の状態がリアルタイムで加熱調理器1に逐一送信されている訳ではない。
携帯情報端末器418において、遠隔操作情報を生成しても加熱調理器1で正規の遠隔操作信号として認められるのは、調理モードの確定信号が送信されてからである。つまり、携帯情報端末器418からの遠隔操作情報は、調理モードを確定させるため、携帯情報端末器418で所定の確定キーを押した場合に、一括して送信される。
携帯情報端末器418から、例えば、連携調理モードに関して送信される遠隔操作情報には、連携調理モードの特定の調理メニュー(例えば、「からあげ」)の調理を行うために必要な情報であり、加熱源、調理工程の内容、火力や加熱時間等の制御条件(パラメータ)等である。つまり、第1特定画面30SPにおいてユーザーが設定できる細かい制御条件も含まれる。
電子レンジや誘導加熱調理器を、携帯情報端末器418からの無線信号によって、制御する方法については、既に多くの提案がある。
例えば、加熱調理器の近傍に置いた携帯情報端末(ホームネットワーク端末)から近距離無線通信で調理手順の情報を前記加熱調理器に転送するもの(特開2011-113787号公報)や、携帯情報端末器から無線通信で加熱制御情報を加熱調理器に転送する技術(例えば、特開2005-37068号公報、特開平11-14063号公報)が提案されている。
加熱調理器(ガスコンロ)の操作内容に対応させたグラフィック情報も含めて遠隔操作信号を生成して携帯情報端末器から無線通信で送信する技術(例えば、特開2014-163539号公報参照)も提案されている。
この実施の形態5では、携帯情報端末器418の表示画面(入力操作画面を兼用)480の表示内容を中心に、以下説明する。
図135(A)(B)は、携帯情報端末器418の表示画面である。
この表示画面480は、液晶表示画面や有機EL表示画面の表面をガラス板で覆って形成している。
前記ガラス板の上面(表面)には、物理的な構造物としては現れないが、後述する各種アイコン(入力キー)491L、491M、491R、492~496等が、前記表示画面480の表示によって視覚上で認識できる。そのガラス板自体の特定部分が発光したり、画像を発生させたりする訳ではないが、以下の説明では、このように文字や図形、その他の情報が表示されることを、視認するユーザーの立場に立って、「表示画面に表示」という表現を使う。
「アイコン」は、所望の入力を行うことができる。つまり、個々のアイコン部分には、静電容量検知型のキーが配置される。そのアイコンをタッチすることで、タッチ操作部466(図134参照)では、中央処理装置462に対する指令信号が発生する。
アイコンの存在と機能を表示するため、特定の機能が(少なくとも入力を受け付け可能な状態では)文字や図形で表示される。例えば、図135(A)の例のように、「左IH操作部」というように、文字で表示される。
481は、図135(A)に示した初期画面におけるメニュー表示部である。このメニュー表示部481は、図135(B)では左加熱部のメニュー選択表示部482に変わる。また、図136(A)では「加熱源選択」という加熱源選択表示部483に変わる。
更に、メニュー表示部481は、図136(B)では「RG制御メニュー選択」というレンジグリルの制御メニュー選択表示部484に変わる。
更に、メニュー表示部481は、図142(A)では「連携調理メニュー選択」という連携調理メニュー表示部485に変わる。
メニュー表示部481は、図142(B)では「次の準備ガイド」という準備情報表示部486に変わる。メニュー表示部481は、図143(A)(B)では、連携調理メニューの1つである「からあげ」を示した連携調理メニューの名称表示部487に変わる。
図135(A)において、490は、初期画面としての注意情報表示部である。運転開始前の時点で、前の調理時の熱で加熱室113が既に熱くなっている場合があり、図135(A)では、そのことにつき注意喚起した例である。
また、既に電源が入っていることも表示している。
491Mは、中央操作部40Mの選択部(アイコン)である。中央操作部40Mを操作すれば、実施の形態1で述べたように誘導加熱源9以外の加熱源で調理ができる。
491Lは、左操作部40Lの選択部(アイコン)である。491Rは、右操作部40Rの選択部(アイコン)である。
492は、アドバイス表示選択部(アイコン)である。これにタッチすると音声合成装置95又は統合表示部30において、そのタッチした場面に応じた操作の参考情報が報知される。
FGは、ユーザーの指先を示している。
図135(A)(B)とその他の図において、三角形のマーク(アイコン)501、502は、画面切り替えマークである。また、図136(B)にも画面切り替えマーク503がある。これらマークにタッチすると、1回タッチする毎に、表示画面480を一定の順序で切り替えることができる。因みに、図135(B)で画面切り替えマーク502に触れると、表示画面480は右方向に移動し、次の表示画面480が左側から出現するイメージで切り替わる。
なお、指先FGを表示画面480に触れたまま移動させ、それに付随して表示画面を移動させて画面の切り替えを行うスクロール機能を保有させて、前記画面切り替えマーク501~503を省略しても良い。
図135(A)において、左操作部選択部(アイコン)491Lにタッチすると、前記画面切り替えマーク501~504にタッチしなくとも、図135(B)に示す表示画面480に切り替わる。
図135(B)において、493は、IH単独調理モードの制御メニュー表示部(アイコン)である。
IH単独調理モードの制御メニューは、合計8つある。その内の5つは、図135(B)の表示画面480の右半分に表示されている。それら制御メニュー表示部(アイコン)493は、「湯沸し」、「茹で」、「炊飯」、「湯沸し+保温」及び「連携調理」である。
また、表示画面480の左半分には、残り3つの制御メニューが表示されている。「保温」の制御メニュー表示部(アイコン)488と、「揚げ物」の制御メニュー表示部(アイコン)494と、「予熱」の制御メニュー表示部(アイコン)489、の3つである。
図135(B)において、495は、最初のメニュー表示画面に戻ることを選択するメニュー画面表示部(アイコン)である。
496は、この図135(B)の中の1つの制御メニュー(例えば、「湯沸し」)を選択したことを確定させる入力確定表示部(アイコン)である。これを押すと、例えば前記「湯沸し」であれば、湯沸し用の制御条件設定画面に自動的に切り替わる。
次に、図136(A)について説明する。
497は、左加熱部17HLや右加熱部17HR、誘導加熱源189等の加熱源を選択するための、誘導加熱源選択部(アイコン)である。
図136(A)において、498は、レンジグリル加熱源選択部(アイコン)、499は、連携調理選択部(アイコン)である。
図136(A)において、レンジグリル加熱源選択部(アイコン)498にタッチすると、図136(B)の表示画面480に変わる。
次に、図136(B)について説明する。
500は、レンジグリル(RG)制御メニューを示すRG制御メニュー選択部(アイコン)である。レンジグリル(RG)制御メニューは、「あたため」や「レンジ手動、「肉解凍」など合計10個ある。
図136(B)において、497Aは、左加熱部17HLを選択する誘導加熱源選択部(アイコン)である。497Bは、同じく右加熱部17HRの選択部(アイコン)である。
497Cは、マイクロ波誘導加熱源189を選択するための、選択部(アイコン)である。
図136(B)で、画面切り替えマーク(アイコン)503にタッチすると、図136(B)の表示画面480は、図137(B)に変わる。
次に、図137(A)(B)について説明する。
図137(A)(B)は、レンジグリル(RG)制御メニューの全部(10個)を表示させた状態を示している。図137(A)では、5つの制御メニュー500を示し、図137(B)では、残りの5つの制御メニュー500を示している。
図137(A)(B)にそれぞれ示している大きな矢印は、表示画面480を水平にした状態での、後方と前方を示している。表示画面480は、水平にした状態でも垂直、斜めにした状態でも操作に支障はない。
次に、図138(A)(B)について説明する。
図138(A)は、図136(A)の状態で、レンジグリル(RG)制御メニューの中で、「あたため」の制御メニュー500を選択した状態を示している。指先をRG制御メニュー選択部(アイコン)500に触れると、当該選択部500は、タッチしたことを感知して表示色が変わり、例えば白抜き文字に反転する。この図138(A)の状態で入力確定キー表示部(アイコン)496にタッチすると、図138(B)の表示画面480に変わる。
図138(B)は、レンジグリル(RG)制御メニューのデフォルト画面である。
504は、RG制御メニューの名称表示部(アイコン)である。
この図138(B)の制御メニュー表示形態、デザインは、実施の形態1の図48等に示したものと類似させている。このような表示にできるのは、加熱調理器データベース468と遠隔操作情報生成部470(図134参照)があるからである。
図138(B)において、505は、RG制御メニューの温度表示部(アイコン)である。この図138(B)の例では、デフォルト値が80℃であるが、選択できる次の候補として75℃と85℃があるため、それらも同時に表示している。
図138(B)に示したように、RG制御メニューの名称表示部(アイコン)504には、それに隣接して次の表示候補である「オーブン」と「葉菜下ゆで」が、少し小さく表示される。
ユーザーは、図138(B)に示された状態で、レンジの設定温度を75℃に変更したい場合には、75℃の表示部分に指先FGを載せれば良い。これについては図139で説明する。また、制御メニューの「あたため」を「オーブン」や「葉菜下ゆで」に変える場合も、同様にように「オーブン」や「葉菜下ゆで」の近傍にある候補切り替えマーク(アイコン)519、520にタッチすれば良い。
図138(B)において、506は、参考画像表示部である。参考画像は写真以外でも良く、制御メニューの「あたため」のイメージを示すイラストでも良い。
次に、図139(A)(B)について説明する。
携帯情報端末器418の向きを、垂直方向に変えると、図139(A)(B)のように、表示画面480は縦長に変化する。なお、表示画面480を、この図139(A)(B)のように、縦長表示に固定する設定にしても良い。
図139(A)と図139(B)の切り替えは、画面切り替えマーク(アイコン)503のタッチだけで行える。
次に、図140(A)(B)について説明する。図139(A)に示した「あたため」の制御メニュー500を選択するため、指先をその制御メニュー選択部500に触れると、図140(A)に示しているように、表示色が変わり、例えば白抜き文字に反転する。この図140(A)の状態で入力確定キー表示部(アイコン)496にタッチすると、図140(B)の表示画面480に変わる。
次に、図140(B)に示された状態で、「あたため」のレンジ(マイクロ波加熱)の(加熱上限)設定温度を75℃に変更したい場合には、75℃の表示部分(RG制御メニューの温度表示部505)に指先FGを載せれば良い。すると、図141(A)の状態に表示画面480が変化する。
図140(B)において、507Aは、補助情報表示部であり、参考画像表示部506の近傍に表示される。この図139(B)では、設定温度を選ぶようにユーザーに勧めている。
次に、図141(A)について説明する。
図141(A)に示すように、設定温度は75℃に変更された表示になる。なお、まだ制御条件を確定させる前の段階であるので、別の設定温度の「85℃」も表示されたままの状態である。
図141(A)の状態において、遠隔操作信号の送信キー表示部(アイコン)521が初めて表示される。
この図141(A)では、前記送信キー表示部521を選ぶと、この図141(A)に表示された設定情報が、遠隔操作情報として加熱調理器1に一括して送信される。つまり、図141(B)の状態は、RG制御メニューの「あたため」を実行する全ての条件の選択ができた段階であるため、温度表示部505に表示された加熱温度「75℃」の条件が加熱調理器1に送信される。
図141(A)において、507Bは、補助情報表示部であり、参考画像表示部506の近傍に表示される。この図141(A)では、前記送信キー表示部521を押せば、入力作業は完了することを示している。
遠隔操作信号を終えた図141(B)の段階では、遠隔操作で加熱動作を停止させる停止キー表示部(アイコン)522が初めて表示される。これを押すと、この図141(B)の段階の加熱動作が停止できる。一旦、この停止キー表示部522を押すと、最初の段階に戻るため、改めて遠隔操作条件を全て入力する。
携帯情報端末器418には、加熱停止を下げる指令を即時送信できる停止キー表示部(アイコン)522を設けており、加熱調理器1の安全性を確保するための機能を保有させている。
次に、図142(A)について説明する。図142(A)は、図136(A)に示した連携調理選択部499にタッチした場合に表示される画面である。なお、図135(A)の中央操作部選択部491Mをタッチして、この図142(A)の表示画面480を表示させても良い。但し、中央操作部選択部491Mをタッチした場合は、レンジグリル調理モード(複合調理モード)の選択画面と共用になるので、連携調理モードを選択するまでのタッチ操作が少し増える。
図142(A)は、連携調理モードの1つの調理メニューで、「からあげ」を選択する例である。
「からあげ」を調理したいため、連携調理メニュー表示部(選択部)500Cに触れると、図142(A)に示しているように、表示色が変わり、例えば白抜き文字に反転する。
この図142(A)の状態で入力確定キー表示部(アイコン)496にタッチすると、「からあげ」を調理するための表示画面(図示せず)に推移する。図143(A)の表示画面480は、「からあげ」の調理工程1の段階を示した表示画面である。
なお、図142(A)では連携調理メニューを示しただけで、その後の加熱部や制御条件を選択した図を省略しているが、図142(A)の表示画面480で、連携調理メニュー選択部(アイコン)500Cを選択(タッチ)すれば、選択した調理メニュー(例えば「からあげ」)の設定用の表示画面480に進む。その「からあげ」の設定用表示画面480では、実施の形態1の図83に示したような、左右の加熱部17HL、17HRを選択するアイコンを表示させ、また、送信キー表示部(アイコン)521表示させる。
図143(B)は、連携調理モードの調理メニューで「からあげ」を調理する場合に、調理工程1の途中で、加熱調理器1で報知される「参考情報1」FA1に対応した報知例である。
この実施の形態5では、加熱調理器1で報知される「第1の参考情報」FA1では、図142(B)に表示されるように、加熱室113のドアを開けること、次には加熱室113から加熱された食材を取り出すこと、の2つが報知される。
携帯情報端末器418の表示画面480でも、上記のような参考情報FA1に対応した内容として、図142(B)に示したように、ドアを開放することを示した準備作業参考画像509と、被調理物を受け皿と一緒に取り出すことを示した準備作業参考画像510が表示される。
なお、511は、注意喚起情報である。また512は、ユーザーの作業について説明した補助情報である。
次に、図143(A)を説明する。図143(A)の表示画面480は、「からあげ」の調理工程1の段階を表示したものである。
513は、工程情報表示部である。この図143(A)では、レンジ加熱がまだ継続していることを表示している。514は、次の調理工程情報の表示部である。この図の例では、次は右加熱部17HRにおいて誘導加熱することを示している。
515は、推奨メニューの表示部である。この表示部515には、冷蔵庫401から事前に取得しておいた在庫情報から検索された推奨の調理メニュー(別の調理)が含まれる場合がある。この図143(A)の例では、現在は「からあげ」で使用中の加熱室113が使用されなくなった後に、その加熱室で調理できる別の調理のお薦めメニューがあることを示唆している。
図143(A)の段階では、お薦めメニューを具体的には自動的に表示しない。ユーザーが、この段階で初めて表示される詳細表示指示部(アイコン)523をタッチした場合には、図143(B)のように詳細を表示する。
なお、この図143(A)のような詳細表示指示部(アイコン)523に相当する選択部は、加熱調理器1の統合表示部30には表示されない。そして一定時間後に、図143(A)の画面に自動的に戻る。
この遠隔操作信号を終えた図143(B)の段階でも、遠隔操作で加熱動作を停止させるための、前記停止キー表示部(アイコン)522が表示される。
図143(B)において、487は、連携調理メニューの名称表示部であり、この場合は、被調理物の名称の「からあげ」が表示される
516は、推奨メニューの表示部である。推奨メニューの具体的な内容は、推奨メニューの表示部515に表示される。調理は解凍して温めることを薦めている。
図143(B)において、517は、推奨メニューの補助情報であり、マイクロ波加熱を利用した「あたため」の制御メニューで調理できることが表示されている。
518は、推奨メニューの調理参考画像である。写真ではなく、イラスト(イメージ図)でも良い。
この図143(B)の段階でも、遠隔操作で加熱動作を停止させるための、前記停止キー表示部(アイコン)522が表示される。
次に、図144(A)を説明する。図144(A)の表示画面480は、「からあげ」の調理工程1を終了し、移行段階TRに入った状態である。
513は、工程情報表示部である。この図143(A)では、レンジ加熱が終了したことを表示している。514は、次の調理工程情報の表示部である。この図の例では、次は右加熱部17HRにおいて誘導加熱することを示している。
515は、推奨メニューの表示部である。この表示部515では、冷蔵庫401から事前に取得しておいた在庫情報から検索された推奨の調理メニュー(別の調理)がある場合、この図144(A)のように、お薦めの調理メニューがあることを示している。
図144(A)の表示画面480で表示される詳細表示指示部(アイコン)523をタッチした場合には、図144(B)のように、加熱室113で、調理工程2と並行して実行できる調理メニューの候補の詳細を表示する。
なお、この図144(A)のような詳細表示指示部(アイコン)523に相当する選択部は、加熱調理器1の統合表示部30にも、表示しても良い。但し、統合表示部30の表示画面がタッチ式入力方式でない場合には、適当な入力キーを押すことを表示する必要がある。
図144(B)の入力確定キー表示部(アイコン)496を押した場合には、加熱室113を使用する推奨調理メニュー(別の調理)の情報が、加熱調理器1に向けて送信される。つまり、加熱調理器1の前で調理に臨んでいるユーザーに、「推奨メニューに賛成」の意思が伝達されることになる。なお、この場合、携帯情報端末器418の所有者は、キッチンKTに居ないで、上記推奨調理メニュー(別の調理)の通知を受ける場合もあり得る。つまり、その瞬間には、加熱調理器1の前には別のユーザーが居る場合も考えられる。何れにしても、ユーザーは加熱室113を有効に利用して調理が同時並行的に行えることを知ることができる。
以上の説明では、携帯情報端末器418からの信号は、広域通信回路網416経由で加熱調理器1に届くという方法で説明したが、近距離無線通信用のNFC入出力部472を有しているため、加熱調理器1側にNFC入出力部(図示せず)に、直接近接又は接触させて入力しても良い。
実施の形態5の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態5では、以下のような加熱調理器1を開示していた。
すなわち、
ドア114によって開口部が開閉自在に閉鎖される加熱室113と、
前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱源189と、
前記加熱室113を加熱するオーブン加熱源188と、
トッププレート15の上に置かれた被加熱物を加熱する誘導加熱源9と、
調理工程についての情報を報知する報知部AN30と、
外部に加熱調理の制御情報を無線で送信し、外部から情報を受信する無線通信部49と、
前記マイクロ波加熱源189と、前記オーブン加熱源188と、前記誘導加熱源9と、前記報知部ANと、を制御する統合制御装置MCを有し、
前記統合制御装置MCは、前記マイクロ波加熱源189と、前記オーブン加熱源188の一方又は両方と、前記誘導加熱源とを連携させて駆動する連携調理モードを有し、
前記連携調理モードは、前記マイクロ波加熱源又は前記オーブン加熱源の少なくとも何れか一方による調理工程1と、前記誘導加熱源9を使用する調理工程2とを、含み、
前記統合制御装置は、前記調理工程1を自動で進行させ、当該第1の調理工程の終了後、ユーザーの開始指令を受けて前記調理工程2を開始し、当該第2の調理工程を自動で進行させるものであり、
前記統合制御装置MCは、前記調理工程1の途中段階で、
(1)前記調理工程1に関する参考情報FA1と、
(2)前記調理工程1で占用する前記加熱室113を使用して、調理工程2と同時並行的に実行できる別の調理に関する参考情報FA1とを、
前記報知部によって調理工程1の段階又は移行期間TRにおいて、自動的に報知する構成であった。
そのため、この実施の形態5においては、実施の形態1に比較して、更にユーザーの利便性を高めることが期待できる。
また、加熱調理器1では、主電源の投入後に加熱調理を開始するための入力操作を開始している過程で、まだ入力が完了していない段階に限り、外部の携帯情報端末器418からの遠隔操作信号を有効にしている(図132。ステップSX5参照)。
そのため、加熱調理器1側でユーザーが入力操作部40で入力している途中で、外部からの遠隔操作信号が割り込んだ形になって、途中までの入力が無駄になってしまうという事態は生じない。また、実際に加熱調理器1の前で調理に臨んでいるユーザーの混乱も招かない。
また、携帯情報端末器418の表示画面480でも、上記のような参考情報FA1に対応した内容として、図142(B)に示したように、ドアを開放することを示した準備作業参考画像509と、被調理物を受け皿と一緒に取り出すことを示した準備作業参考画像510が表示される。
このため、加熱調理器1の近傍に、携帯情報端末器418を所持したユーザーや居住者が居なくとも、当該ユーザーは、加熱調理器1を有効に使用できる有益な情報をタイムリーに取得することができる。つまり、現在の調理工程が終わった場合に必要な作業を事前に用意したり、次の調理工程への移行の手順を再認識できたり、ユーザーの利便性を更に向上させることができる。
実施の形態5においては、前記携帯情報端末器418は、加熱調理器1に対して
「遠隔操作信号」を送信する機能を有していた。
これに対応して、加熱調理器1では、前記「遠隔操作信号」を受信する機能を有していた。
加熱調理器1には、その無線通信部49が外部から遠隔操作信号(外部入力)を受信した場合、所定の「許可条件」を満たすかどうかの判定を行い、許可条件を満たすと判定された場合に限り、遠隔操作信号(外部入力)に従った連携調理モードのステップに進むようにしていた。
従って、許可条件を満たさずに、連携調理の調理工程の途中で、電力不足で調理が中断したり、火力(加熱)不足で調理が失敗したりする等の事態を事前に避けることができる。
更に、遠隔操作信号を受信しても加熱動作を開始するかどうかは、最終的に加熱調理器1に臨んでいるユーザーの判断・入力に委ねており、外部からの間違った遠隔操作信号で、ユーザーや居住者の意思に反して、不用意に(無条件に)加熱が開始されるという危険性はない。
なお、携帯情報端末器418を保持したユーザーが、加熱調理器1から遠く離れた遠隔地より遠隔操作情報を送信する場面は想定しがたいが、同じキッチンKTの中で、携帯情報端末器418を食卓等の上に置いてユーザーが操作することはあり得る。
ところで、実施の形態5で説明したように、加熱調理器1の複合調理モードや連携調理モードにおける、統合表示部30の表示画面(表示デザイン)と、携帯情報端末器418の表示画面480は、調理メニューの表示や制御条件のデフォルト値表示、変更等の面で類似点が多い。このため、ユーザーが携帯情報端末器418の表示画面480を確認しながら行う作業では、大きな違和感はなく、ユーザーの遠隔操作入力の負担も少ない。
特に、図140(B)と図141(A)(B)に示したように、携帯情報端末器418の表示画面480で調理メニューと制御条件(温度や火力等)を決める段階では、加熱調理器1の統合表示部30の第2特定画面30SCの表示画面と対応した表示デザインになっている。
そのため、携帯情報端末器418の表示画面480と、加熱調理器1の統合表示部30の第2特定画面30SCや第1特定画面30SPの表示画面とは、重要な入力項目の段階では、対応した(近似した)デザインであるから、普段は加熱調理器1の入力操作部40を使い慣れたユーザーでも、携帯情報端末器418での操作に違和感が少なく、ユーザーの操作性を損なう懸念がない。逆に言えば、携帯情報端末器418での操作に慣れたユーザーが、実際の加熱調理器1の入力操作部40においても、操作性を損なうことがない。
実施の形態5において、携帯情報端末器418は、加熱調理器1に対する「遠隔操作信号」を、携帯情報端末器418においてマニュアルで入力し、その入力結果を送信する機能を有していたが、外部サーバー417に保有しているレシピ情報を取得して、それを遠隔操作信号にしても良い。
実施の形態1の図45に示したように起動時の待機時表示画面2Aには、専用のレシピサイト(外部サーバーの1つ)に誘導する二次元情報(二次元コード)を表示する。
その二次元情報を、携帯情報端末器418で読み取ることにより、前記レシピサイトに接続できるから、各種調理のレシピ(料理方法の手順説明書、データ等)を閲覧したり、そのデータを簡単にダウンロードしたりできる。
従って、図132のステップSX5までに、携帯情報端末器418でレシピのデータを取得し、そのデータに含まれている火力(加熱強度)、加熱時間等の制御データを、加熱調理器1に送信すれば良い。その場合、レシピのデータは、図132のステップSX10、SX11で、内容が分析できる形式にしておく。
(実施の形態5の変形例)
図145は、実施の形態5の変形例を示すものであり、加熱調理器1と家電機器400の運転管理システムを示すものである。図146は、図145の携帯情報端末器における表示動作説明図1である。図147は、図145の携帯情報端末器における表示動作説明図2である。
外部サーバー417は、異なる情報処理を行う複数の集合体である。なお、外部サーバー417の運営管理者が同じであっても、別であっても良い。例えば、1つの外部サーバーは、警報装置441又は温度監視装置440に対して、有益な情報を提供するものであっても良い。
この変形例では、加熱調理器1に対して携帯情報端末器418を直接無線通信できるようにしたものである。また、加熱調理器1と携帯情報端末器418は、互いが通信可能な範囲にある場合に自動的に接続できるようにした点が、実施の形態5と大きく異なる。
図145において、携帯情報端末器418と加熱調理器1との間の通信方式は、近距離の無線通信規格の1つになっているBluetooth(ブルートゥース)(登録商標)を使用し、また、携帯情報端末器418とルーター530との間は、WiFi(登録商標)等の無線LANによる通信方式を使用する。
最初に、携帯情報端末器418は、加熱調理器1と相互認証を行っておく。加熱調理器1には、機能設定の入力キー43KPがあり、それを最初の起動時に操作し、機能設定のメニューの中から、相互認証の設定画面を表示させ、相互認証をしておく。
また、携帯情報端末器418の加熱調理器データベース468又は記憶部467には、加熱調理器1のためのアプリケーション・ソフトウエアが事前に記憶させてある。
加熱調理器1の起動時に、携帯情報端末器418から、自動接続のための信号を送信すると、加熱調理器1と携帯情報端末器418との間で、自動接続のための相互通信が行われる。
実施の形態1で説明した入力キー47(図19参照)のように、無線通信を任意のタイミングで指令する接続指令手段(図示せず)を設け、加熱調理器1の起動時に操作しても良い。例えば、図132に示したステップSX2~SX4の段階で、前記接続指令手段(図示せず)を動作させても良い。
以上のようにして、加熱調理器1と携帯情報端末器418との間の接続が確立すると、加熱調理器1と携帯情報端末器418の間で、相互に直接無線通信できる状態が継続する。携帯情報端末器418が移動して加熱調理器1との距離が離れると、一時的に通信できない状態になる場合があるが、通信可能な範囲(距離)に戻れば、自動的に接続状態は回復する。
また、加熱調理器1と携帯情報端末器418との間の接続が確立した状態で、加熱調理器1が調理工程1又は予熱工程を開始した後、加熱調理器1と携帯情報端末器418の間の相互の無線通信状態が一定時間以上中断すると、加熱調理器1側と携帯情報端末器418側の双方で警報が出る。
この警報後、加熱調理器1は、自動的にその時の火力値を1段階又は2段階下げた状態に保留される。
この保留状態を解除するには、加熱調理器1の入力操作部40の特定の一部入力キーにタッチすれば良い(図19で説明した入力キー47にタッチしても良い)。これにより、加熱調理器1の統合制御装置MCは、ユーザーの存在を確認したことになる。
また、この加熱調理器1は、予熱工程や、調理工程1、調理工程2の、それぞれの途中でユーザーが加熱動作を停止した場合でも、前記携帯情報端末器418との間で確立した接続状態を自動的に遮断しない。
また、移行期間TR中も、加熱調理器1は、前記携帯情報端末器418との間で確立した接続状態を自動的に遮断しない。
加熱調理器1が、主電源スイッチ97を遮断する場合には、前記携帯情報端末器418との間で確立した接続状態を自動的に遮断する。その後に再度、主電源スイッチ97を閉じて、加熱調理器1を起動した場合には、再度携帯情報端末器418との間で接続したい場合には、改めて規定の操作をする必要がある。例えば、前記したように入力キー47を、待機時(加熱開始動作の開始前)に押せば良い。
この変形例によれば、加熱調理器1の運転状態が随時(リアルタイムで)携帯情報端末器418に送信されるので、ユーザーが加熱調理器1から一時的に離れてキッチンKTの中を移動したり、別の居住空間に一時的に移動したりしても、携帯情報端末器418を所持していれば、最新の加熱調理状態を知ることができる。
携帯情報端末器418には、加熱停止又は火力下げる指令など、安全性を確保するための最低限の遠隔操作信号を発信できる機能を持たせれば、仮にユーザーが離れた位置に居る場面でも、加熱調理器1の動作を止めたり、最小火力に下げたりすることが、外部の広域通信回路網416を経由せずに、可能となる。
広域通信回路網416は、何らかの事情で一時的に通信障害が発生することも想定される。これに対し、この変形例では、加熱調理器1と携帯情報端末器418との間に、広域通信回路網416を介在させていないので、確実な情報授受を期待できる。
次に、図146(A)について説明する。図142(A)で説明した連携調理メニューの表示画面480を改良したものである。
たとえば、「からあげ」を選択するための、連携調理メニュー表示部(選択部)500Cに触れると、図146(A)に示しているように、表示色が変わり、例えば白抜き文字に反転する。
この図146(A)の表示画面480には、冷蔵庫401の在庫情報を取得するための検索要求用のキー表示部(アイコン)524が表示される。このキー表示部524にタッチすると、図146(B)の表示画面に推移する。図146(B)の表示画面480では、「からあげ」と一緒に食される調理メニューの食材が有るかどうかが、表示部525によって簡単に表示される。526は、図146(A)の表示画面480に戻るためのキー表示部(アイコン)である。
次に、図147(A)について説明する。図140(A)で説明したRG制御メニューの表示画面480を改良したものである。
たとえば、「あたため」を選択するための、RG制御メニュー選択部(アイコン)500に触れると、図146(A)に示しているように、表示色が変わり、例えば白抜き文字に反転する。
この図147(A)の表示画面480には、前記検索要求用のキー表示部(アイコン)527が表示される。このキー表示部527にタッチすると、図147(B)の表示画面に推移する。図147(B)の表示画面480では、「あたため」に適する調理メニューの食材が有るかどうかが、表示部528によって簡単に表示される。529は、図147(A)の表示画面480に戻るためのキー表示部(アイコン)である。
なお、調理工程1で加熱室113の使用(占用)が終わった後、その加熱室113を有効活用するために在庫情報を得るという連携調理モードでの食材情報と、図147で示したようなRG制御メニュー選択時での食材情報では、利用の目的が異なる。RG制御メニュー選択時での検索では、連携調理時の検索条件の1つであった「ハンバーグと一緒に食される調理メニューの食材が有るか」という条件は不要なので、検索結果から抽出される食材情報は多くなる。
そこで、RG制御メニューの特色、例えば、マイクロ波加熱とオーブン加熱源188の輻射熱を同時に利用して効果のある食材、例えば、冷凍している肉を(マイクロ波加熱単独に比較して)、更に短時間で、美味しく解凍できる食材を事前に条件設定し、そのような条件で冷蔵庫401の在庫を調べるようにしても良い。
なお、図145に示しているように、電力量制御部(HEMS)448、温度監視装置440及び警報装置441は、ルーターとの間が、前記したようにWiFi(登録商標)等の無線LANによる通信方式で接続される。
なお、冷蔵庫401と携帯情報端末器418との間も、加熱調理器1との間のように、相互通信できる形に変更して良い。このようにすれば、冷蔵庫401から携帯情報端末器418が在庫情報を取得し、携帯情報端末器418が加熱調理器1に有益な調理メニューを抽出し、提供することができる。なお、この場合でも、外部サーバー417に冷蔵庫401の在庫情報を送信し、外部サーバー417の専門的な情報処理能力を利用して、在庫情報を分析させても良い。そして、携帯情報端末器418が外部サーバー417から加熱調理器1に有益な調理メニューの情報を取得し、提供するシステムにしても良い。
この変形例では、携帯情報端末器418を保持したユーザーが、加熱調理器1から遠く離れた場合には、加熱調理器1との相互通信はできなくなる。遠隔地で加熱調理器1と情報を授受したい場合には、広域通信回路網416のアクセスポイントに接続する。
(その他関連の開示)
以上の各実施の形態で説明した以外に、以下の通り、特徴的な構成を開示する。
(1)その1:
第1の加熱手段(誘導加熱源)9と、
本体110の内部に設けた加熱室113で調理を行う第2の加熱手段(マイクロ波加熱源)189と、
前記第1の加熱手段9と前記第2の加熱手段を制御する制御部(統合制御装置)MCと、
表示手段(統合表示部30、左側表示部31L、右側表示部31R)と、
ユーザーからの入力を受け付ける入力操作部40と、を備え、
前記制御部MCは、前記第1の加熱手段と、前記第2の加熱手段とを、時間差をおいて駆動して1つの調理を行う連携制御モードを実行する連携調理プログラムを有し、
前記制御部MCは、前記連携制御モードによる加熱動作を開始する前に、連携調理モードに移行できる許可条件を満たしているかどうかを判定することを特徴とする複合型加熱調理器。
更に、前記連携調理プログラムは、前記第1の加熱手段と前記第2の加熱手段の一方を使用する調理工程1と、他方を使用するものであって前記調理工程1の後で行われる調理工程2とを有している複合型加熱調理器。
更に、前記制御部MCは、前記許可条件を満たしている場合、前記連携調理モードに移行するために必要な入力を求める表示を、前記表示手段で行う構成の複合型加熱調理器。
更に、前記制御部MCは、前記許可条件を満たしている場合、前記連携調理モード用の第1特定画面30SPを前記表示手段で表示することを特徴とする構成の複合型加熱調理器。
上記構成の加熱調理器によれば、3つの加熱手段を使用して幅広い各種の加熱調理に対応できる利便性の高い加熱調理器が得られる。
また、許可条件を満たした場合に限って連携調理モードが実行できるので、ユーザーが意図しない段階で不用意に連携調理が停止したり、制限を受けたりすることが回避できる。
(2)その2:
トッププレート15を備え、かつ加熱室113を内蔵した本体110と、
前記トッププレート15の上に置かれた被加熱物を加熱する第1の加熱手段(誘導加熱源)9と、
前記加熱室113にマイクロ波を供給する第2の加熱手段(マイクロ波加熱源)189と、
前記第1の加熱手段と前記第2の加熱手段を制御する統合制御装置MCと、
前記統合制御装置MCに指令を与える入力操作部40と、
表示手段((統合表示部30、左側表示部31L、右側表示部31R)と、
前記加熱室113の開口部を開閉自在に閉鎖するドア114と、
前記ドア114の開放を検知するドア閉鎖検知部139と、を備え、
前記統合制御装置MCは、前記第1の加熱手段を使用する調理工程1と、前記第2の加熱手段を使用する調理工程2とを、順次行う連携調理モードを実行する機能を有し、
前記統合制御装置MCは、前記連携調理モードによる加熱動作を開始する前に、許可条件を満たしているかどうかを判定し、前記許可条件を満たしているときは、前記連携調理モードへの移行を許可し、
前記統合制御装置MCは、前記連携調理モードの開始の指令を受けた場合、前記ドア閉鎖検知部139からのドア開閉信号に関係なく、前記調理工程1を開始し、
前記統合制御装置MCは、前記調理工程1が終了した場合、前記ドア114が閉鎖されている場合であって、かつ前記調理工程2の開始の指令を受けたときは、前記調理工程2を開始することを特徴とする複合型加熱調理器。
更に、前記統合制御装置MCは、前記連携調理モードによる加熱動作を開始する前に、許可条件を満たしているかどうかを判定し、前記許可条件を満たしているときは、前記連携調理モードへの移行を許可し、
前記統合制御装置MCは、前記連携調理モードへの移行の指令を受けた場合、前記ドア閉鎖検知部からのドア開閉信号に関係なく、前記調理工程1を開始でき、
前記制御部MCは、前記調理工程1が終了した場合、前記ドア114が閉鎖されている場合であって、かつ前記調理工程2の開始の指令を受けたときは、前記調理工程2を開始し、
前記統合制御装置Cは、前記ドア114が一旦開放され、その後閉鎖された状態を前記ドア閉鎖検知部からの信号で検知し、この後、前記複合調理モードを実行する指令を受けたときは、前記複合調理モードを実行する構成の複合型加熱調理器。
更に、前記統合制御装置MCは、前記調理工程1が終了した時点で前記ドア114が閉鎖されている場合、その後、前記ドア114が一旦開放されたことを検知し、更にその後前記ドア114が閉鎖された状態において、前記調理工程2を開始する指令を受けたときは、当該調理工程2を開始することを特徴とする複合型加熱調理器。
これらの構成の加熱調理器によれば、マイクロ波加熱源189を併用して幅広い各種の加熱調理に対応できる利便性の高い加熱調理器が得られる。
また、前記連携調理モードへの移行の指令を受けた場合、ドアの開閉に関係なく、連携調理モードの前記調理工程1を開始できるので、マイクロ波を遮蔽するドアを備えた複合加熱調理器でありながら、効率良く調理を行うことが回避できる。
(3)その3:
本体110の上部において被加熱物を下方から加熱する第1の加熱手段(誘導加熱源)9と、
前記本体110の内部に配置された加熱室113を加熱する第2の加熱手段(マイクロ波加熱源)189と、
前記加熱室113を加熱する第3の加熱手段(オーブン加熱源)188と、
入力操作部40と、
前記第1、第2、第3の加熱手段をそれぞれ制御する統合制御装置MCと、を備え、
前記第1の加熱手段9は、前記本体110の上部右側部分にある右加熱部17HRと、左側部分にある左加熱部17HLと、を有し、
前記入力操作部40は、前記右加熱部17HRと前記左加熱部17HLの専用操作部40L、40Rと、前記第1、第2、第3の加熱手段の共用操作部40Mとを有し、
前記制御部MCは、前記第2の加熱手段189と前記第3の加熱手段188のグループと、前記第1の加熱手段9とが、時間差をおいて駆動される連携調理モードを行う機能を有し、
前記統合制御装置MCは、前記第2の加熱手段189と前記第3の加熱手段188が、同時又は自動的に時間差をおいて駆動される複合調理モードを行う機能を、更に有し、
前記共用操作部40Mは、前記連携調理モードと前記複合調理モードの何れか一方を選択する選択手段(43MC、43M1)を備えたことを特徴とする複合型加熱調理器。
この構成によれば、連携調理モードと複合調理が、共用操作部40Mを使用して簡単に開始することができる。つまり、つまり、ユーザーの操作性を損なうことがなく、3つの加熱源を備えた、幅広い制御メニューに対応できる利便性の高い複合型加熱調理器を実現できる。
更に、前記入力操作部40は、前記第1の加熱手段9専用の第1操作部40L、40Rと、前記第2の加熱手段189及び前記第3の加熱手段188共用の第2操作部40M2と、を有し、
前記第1の加熱手段9と、前記第2の加熱手段189及び前記第3の加熱手段188との2つグループとが駆動開始される、前記時間差は、前記第1操作部40L、40Rと前記第2操作部40M2とを、ユーザーが操作するタイミングによって調節できることを特徴とする複合型加熱調理器、を開示していた。
この構成によれば、連携調理モードの調理工程1と調理工程2の間で、ユーザーが調理の休止期間を自由に設けて、調理工程1における調理の仕上がり状態確認や、調理工程2のための準備作業等を行うことができる。
(4)その4:
本体110の上部において被加熱物を下方から加熱する第1の加熱手段9と、
前記本体の内部に配置された加熱室113にマイクロ波を供給する第2の加熱手段189と、
前記加熱室113を加熱する第3の加熱手段188と、
入力操作部40と、
複数の表示手段30、31L、31Rと、
前記第1、第2、第3の加熱手段をそれぞれ制御する統合制御装置MCと、を備え、
前記第1の加熱手段9は、前記本体110の上部右側部分にある右加熱部17HRと、左側部分にある左加熱部17HLと、を有し、
前記表示手段30は、前記右加熱部17HRと前記左加熱部17HLの専用表示部31L、31Rと、前記第1、第2、第3の加熱手段に共用される統合表示部30とを有し、
前記統合制御装置MCは、前記第2の加熱手段189と前記第3の加熱手段188のグループと、前記第1の加熱手段9とが、時間差をおいて駆動される連携調理モードを行う機能を有し、
前記統合制御装置MCは、前記第2の加熱手段189と前記第3の加熱手段188が、同時又は自動的に時間差をおいて駆動される複合調理モードを行う機能を、更に有し、
前記統合表示部30又は前記専用表示部31L、31Rには、前記連携調理モードと前記複合調理モードの選択に応じて、前記連携調理モードの第1特定画面30SPと前記複合調理モードの第2特定画面30SCとが、それぞれ択一的に表示されることを特徴とする複合型加熱調理器、を開示していた。
この構成によれば、連携調理モードと複合調理が、第1特定画面と第2特定画面でそれぞれ確認することができる。つまり、つまり、ユーザーの操作性を損なうことがなく、3つの加熱源を単独及び組み合わせて使用することができ、幅広い制御メニューに対応できる利便性の高い複合型加熱調理器を実現できる。
(5)その5:
本体110の上部において被加熱物を下方から加熱する第1の加熱手段9と、
前記本体110の内部にある加熱室113にマイクロ波を供給する第2の加熱手段189と、
前記加熱室113を加熱する第3の加熱手段188と、
調理モードの選択手段43MC、43M1、43L5、43R5と、
複数の表示手段30、31L、31Rと、
前記第1、第2、第3の加熱手段9、189、188をそれぞれ制御する統合制御装置MCと、を備え、
前記第1の加熱手段9は、前記本体110の上部右側部分にある右加熱部17HRと、左側部分にある左加熱部17hLと、を有し、
前記表示手段は、前記右加熱部と前記左加熱部の専用表示部31L、31Rと、前記第1、第2、第3の加熱手段に共用される統合表示部30とを有し、
前記統合制御装置MCは、
(1)前記第1、第2、第3の加熱手段9、189、188を個別に駆動する単独調理モード、
(2)前記第2の加熱手段189と前記第3の加熱手段188のグループと、前記第1の加熱手段9とが、時間差をおいて駆動される連携調理モード、
(3)前記第2の加熱手段189と前記第3の加熱手段188が、同時又は自動的に時間差をおいて駆動される複合調理モード、
を行う機能を有し、
前記表示手段30、31L、31Rには、前記単独調理モード、連携調理モード及び前記複合調理モードの中から、前記選択手段によって選択した1つの調理モードに応じて、制御条件を入力又は確認するための特定画面30SP、30SPL、30SPRを表示することを特徴とする複合型加熱調理器。
この構成によれば、連携調理モードと複合調理が、第1、第2の特定画面30SP、30SCに表示された制御条件の内容を確認することができる。つまり、ユーザーの操作性を損なうことがなく、3つの加熱源を、単独及び組み合わせて使用することができ、幅広い制御メニューに対応できる利便性の高い複合型加熱調理器を実現できる。
(6)その6:
本体の上部において被加熱物を下方から加熱する第1の加熱手段(誘導加熱源)9と、
前記本体110の内部に配置された加熱室113にマイクロ波を供給する第2の加熱手段(マイクロ波加熱源)189と、
前記加熱室を加熱する第3の加熱手段(オーブン加熱源)188と、
入力操作部40と、
前記第1、第2、第3の加熱手段をそれぞれ制御する統合制御装置MCと、を備え、
前記入力操作部40は、前記第1の加熱手段用の専用操作部40L、40Rと、前記第1、第2、第3の加熱手段の共用操作部40M(40M2)とを有し、
前記制御部MCは、前記第2の加熱手段189と前記第3の加熱手段188のグループと、前記第1の加熱手段9とが、時間差をおいて駆動される連携調理モードを行う機能を有し、
前記統合制御装置MCは、前記第2の加熱手段189と前記第3の加熱手段188が併用又は自動的に切り替わる複合調理モードを行う機能を、更に有し、
前記共用操作部40M(40M2)は、前記連携調理モードを選択する第1の選択手段(43MC)と、複合調理モードを選択する第2の選択手段(43M1)と、を備え、
前記統合制御装置MCに主電源が供給された後で、前記第2の選択手段(43M1)よりも先に前記第1の選択手段9の入力操作を行った場合、(第1特定画面30SPが表示されて)連携調理モードの入力工程が開始され、
前記主電源が供給された後で、前記第1の選択手段(43MC)よりも先に前記第2の選択手段189の入力操作を行った場合、(第2特定画面30SCが表示されて)複合調理モードの入力工程が開始されることを特徴とする複合型加熱調理器、を開示していた。
この構成によれば、共用操作部40M(40M2)を中心として、連携調理モードと複合調理が、第1、第2の特定画面30SP、30SCを通じて制御条件の内容を確認することができる。つまり、ユーザーが共用操作部40M(40M2)の各種選択手段を操作することにより、3つの加熱源を、単独及び組み合わせて使用することができ、幅広い制御メニューに対応できる利便性の高い複合型加熱調理器を実現できる。
更に、前記本体110の上面には、前記共用操作部40M(40M2)と隣接して表示手段30を、更に有し、
前記共用操作部40M(40M2)は、前記第1の選択手段(43MC)の隣に、前記第2の選択手段(43M1)を配置し、
前記第2の選択手段を挟んで前記第1の選択手段(43MC)と反対側に第3の選択手段(43M2)を備え、
前記連携調理モードは、前記第1の選択手段(43MC)で複数の連携調理モードを前記表示手段30に表示させ、前記第2の選択手段(43M1)で1つの連携調理モードを選択し、前記第3の選択手段(43M2)で、連携調理モードの制御条件又は前記第1の加熱手段の加熱部を選択する入力工程を有し、
前記複合調理モードは、前記第2の選択手段(43M1)で複合調理モードを前記表示手段30に表示させ、前記第3の選択手段(43M2)で、前記複合調理モードの制御条件を選択する入力工程を有する構成であった。
これらの構成により、1つの共用操作部40M(40M2)を使用しながら、前記第1の選択手段(43MC)と第2の選択手段(43M1)とを、先に操作した順番に応じて、前記連携調理モードと複合調理モードの選択をすることができる。このため、操作部のスペースを広く確保できない状況下においても、操作部を共用した形で、幅広い制御メニューに対応できる利便性の高い複合型加熱調理器を実現できる。
(7)その7:
本体110の上部において被加熱物を下方から加熱する第1の加熱手段(誘導加熱源)9と、
前記本体の内部に配置された加熱室113にマイクロ波を供給する第2の加熱手段(マイクロ波加熱源)189と、
前記加熱室を加熱する第3の加熱手段(オーブン加熱源)188と、
入力操作部40と、
表示手段(統合表示部30、左側表示部31L、右側表示部31R)と、
前記第1、第2、第3の加熱手段9、189、188をそれぞれ制御する統合制御装置MCと、を備え、
前記統合制御装置MCは、前記第2の加熱手段189と前記第3の加熱手段188のグループと、前記第1の加熱手段9とが、時間差をおいて駆動される連携調理モードを行う機能を有し、
前記統合制御装置MCは、前記第2の加熱手段189と前記第3の加熱手段188を、同時駆動又は時間差で駆動、もしくは自動的に切り替える複合調理モードを行う機能を、更に有し、
前記操作部40は、前記第1の加熱手段9を選択する第3の選択手段43L1、43R1と、前記連携調理モードを選択する第1の選択手段43MCと、複合調理モードを選択する第2の選択手段43M1と、を備え、
前記統合制御装置MCは、主電源が供給された後で、前記第1、第2及び第3の選択手段9、189、188の何れも選択できない段階で初期画面(図45参照)を前記表示手段(統合表示部30、左側表示部31L、右側表示部31R)に表示し、
前記初期画面が表示されたあと、前記第3の選択手段43L1、43R1と前記第2の選択手段43M1よりも先に前記第1の選択手段43MCの入力操作を開始した場合、前記連携調理モードの入力用の第1特定画面30SPが表示され、
前記統合制御装置MCは、前記主電源が供給された後で、前記第3の選択手段43L1、43R1と前記第1の選択手段43MCよりも先に前記第2の選択手段43M1の入力操作を開始した場合、前記複合調理モードの入力用の第2特定画面30SCが表示されることを特徴とする複合型加熱調理器。
この構成によれば、前記表示手段(統合表示部30、左側表示部31L、右側表示部31R)に表示される第1~第3の選択手段43L1、43R1、43MC、43M1を中心として、単独(加熱)調理モード、連携調理モード及び複合調理モードを、それぞれ実行することができる。このため3つの加熱源を、単独及び組み合わせて使用することができ、幅広い調理メニューに対応できる利便性の高い複合型加熱調理器を実現できる。
その他の実施の形態.
実施の形態1では、(第1の)連携制御モード(図54参照)で最初に使用される誘導加熱源9について、入力操作部40から連携制御モード以外の動作を禁止又は制限されるのは左加熱部17HLと右加熱部17HRであったが、更に別の誘導加熱部を対象に加えても良い。
更に、第2の連携制御モード(図54参照)では、マイクロ波加熱源189又はオーブン加熱源188、あるいはこれら両者が同時に駆動されて調理工程を開始するので、この場合には、マイクロ波加熱源189又はオーブン加熱源188、あるいはこれら両者を、連携調理モード以外の調理モードによって動作させることを禁止又は制限しても良い。第1の連携調理モードでも第2の連携調理モードでも、調理工程で必要となる加熱源を優先して確保することにより、連携調理モードで複数の加熱手段を利用した幅広い調理を行うことができる。
実施の形態1~5の説明では、前記統合制御装置MCは、前記複合調理モード又は前記連携調理モードの選択用入力を受け付けた場合、当該複合調理モード又は前記連携調理モードに対応した表示動作として、連携調理モード専用の第1表示画面30SPを表示するか、又は前記複合調理モード専用の第2表示画面30SCを、統合表示部30や左側表示部31L等に表示する構成であった。
このような画面全体の切り替えという態様に代えて、第1表示画面30SPと第2表示画面30SCの基本的構成を統一し、複合調理モードと前記連携調理モードの識別を明確に行うデザインにしても良い。
例えば、第1表示画面30SPでは、連携調理モードを表示していることを文字で明確に表示する一方、第2表示画面30SCでは、複合調理モードを表示していることを、文字で明確に表示すれば良い。これにより、2つの表示画面の識別は、更に容易となる。
更には、実施の形態1で説明した発光表示部27Lのような発光表示部を、連携調理モードと複合調理モードの表示部に、それぞれ設け、何れか一方が発光している場合には、その発光している側の調理モードであることが分かるようにすれば良い。
以上のように、統合制御装置MCが、前記複合調理モード又は前記連携調理モードの選択用入力を受け付けた場合、当該複合調理モード又は前記連携調理モードに対応した表示動作を行う場合、このような調理モード表示部(発光部)を設ける構成でも良い。
連携調理モードは、調理工程1と調理工程2の2つで構成されることに限定されない。例えば、調理工程1を誘導加熱源9の左加熱部17HLで行い、調理工程2をマイクロ波加熱源189で行った被調理物を、最後にトッププレート15の上に戻し、加熱不足を補う目的、調節や調味料や他の調理液の添加等を行う目的等ための調理工程3を設ける。
1つの例としては、右加熱部17HRの上で、直接目視で確認しながら最終的な調理の仕上げまでを行う。言い換えると、調理工程2で略完成した被調理物を右加熱部17HRの上に移して、弱い加熱を長時間行い、肉や野菜等の具材や煮汁等の熟成度を上げるケースである。
以上の説明では、連携調理モードは、1つの調理メニュー(例えば、ハンバーグ)を特定すると、使用する加熱源とその順番が自動的に決定されるものであったが、ユーザーの意思を優先する形態に変更しても良い。
例えば、連携調理モードの1つである「被調理物X」と「被調理物Y」については、比較的ユーザーが使用する頻度があり、それら2つは、共に調理工程1は右加熱部17HRで行うものであるので、ユーザーは右加熱部17HRでの調理に慣れている場合を想定する。
この後、連携調理モードの1つである「被調理物Z」をユーザーが選択した場合、左加熱部17HLが指定されると、ユーザーが普段使い慣れていないことから、操作に戸惑うことも想定される。
そこで、統合制御装置MCによる許可条件の判定結果から、右加熱部17HRでも左加熱部17HLの何れでも問題ない場合、最初に連携調理モードを選択する際に、第1特定画面30SPでは、ユーザーが使い慣れている右加熱部17HRを優先的に表示しても良い。つまり、例えば、加熱部を選択する際に、常に「右加熱部」を表示し、この後に、ユーザーが左加熱部17HRを指定する入力を行うことでも良い。
一方、被調理物を加熱調理するための火力値や、誘導加熱の通電制御パターン等の制約から、ユーザーの希望する加熱部では、加熱が適正にできない場合には、統合制御装置MC側の動作プログラムで指定(デフォルト設定)の加熱部しか調理を実行できないようにすると、ユーザーの誤使用や誤解を招くことがない。例えば、左右の加熱部17HL、17HRに加えて、中央加熱部17HMのような比較的火力の弱い加熱部を設けた場合、そのユーザーが選択した場合、加熱調理器1側で、ユーザーに報知し、是正する(鍋等の被加熱物を、別の加熱部へ移動させること)案内を行うと良い。
実施の形態1では、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却したあと、加熱室113の内部を経由する内部経路と、インバーター回路基板121を冷却したあと加熱室113の外部を通る外部経路と、の2つがあったが、この経路を入れ替えて、以下のように変更しても良い。
(1)内部経路:第2の吸気口152Fから第3冷却ファン128で吸引された外気によってインバーター回路基板121を冷却し、その冷却風を加熱室113に導入し、排気ダクト102に至る経路。
(2)外部経路:第2の吸気口152Bから第4冷却ファン129で吸引された外気によって、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却し、その冷却風を加熱室113の外側に案内し、最終的に排気ダクト102に至る経路。
一般的に、マグネトロン122の放熱部122Hは、複数の放熱板(放熱フィン)が積層されて、その放熱板相互の狭い空間を冷却風が通過して熱交換(放熱)する構造になっているため、冷却風の圧力損失が大きい。言い換えると風路抵抗が大きい。
そのため、マグネトロン122の放熱部122Hを経由する冷却風を、加熱室113の中に入れずに(風路の長さも短くして)排気することで、内部経路と外部経路のバランスを取るという改善である。これは、第3冷却ファン128と第4冷却ファン129が同等の性能である場合に有効である。つまり、実施の形態1で説明したように、第3冷却ファン128と第4冷却ファン129を、全く同じ構造、同じ形状、同じ定格仕様で揃えて、製造時の調達コストを安価に実現するために有望な1つの案である。
また、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却したあと、加熱室113の内部を経由する冷却風RF6のための内部経路を廃止し、インバーター回路基板121を冷却したあとの冷却風RF7を、そのまま全量、ダクト307を介して加熱調理器1の外部へ放出し、下部ユニット200内部の冷却風路を簡略化しても良い。風路抵抗を減らすことで、第4の冷却ファン129の定格送風能力を、より低レベルのものに変更できる。これによってコスト的にも有利になる等の利点がある。
実施の形態1~5で示したような上部ユニット100と下部ユニット200の双方を同時に必要でないユーザーの場合には、上部ユニット100と下部ユニット200の販売や厨房家具2への設置作業は別個になる。そして、下部ユニット200は例えばオプション品で設定される。このような場合には、例えば、上部ユニット100と下部ユニット200のセット販売の梱包形態と、上部ユニット100だけの販売に備えた梱包形態を別に設定しておけば、販売時の利便性を損なうことがない。
本開示の加熱調理器1は、実施形態1~5で示したように、上部ユニット100と下部ユニット200を、別々の筐体で構成することは必須ではない。そのため、上部ユニット100と下部ユニット200を最初から1つの筐体(本体ケースHC)で構成しても良い。
実施形態1~5では、上部ケース16と、下部ケース(下筐体)101が、金属製薄板で形成されていた。しかし、上部ケース16や下部ケース101の何れか一方、又は双方をプラスチック材料で形成しても良い。例えば、熱可塑性のプラスチック材料で形成しても良い。1つの材料例として、PET又はPA、PP又はABSなどである。「PET」とは、ポリエチレンテレフタレートのことをいう。また「PA」はポリアミド、「PP」は、ポリプロピレンのことを意味する。耐熱温度や構造物としての耐久性等を考慮して決めれば良い。また、上部ケース16と、下部ケース(下筐体)101の、一部分だけをプラスチックで形成し、残りの部分を金属製板材で形成しても良い。
誘導加熱回路は、IHコイル17L、17Rの形態や数等に応じて、ハーフブリッジ回路、フルブリッジ回路等、色々な駆動方式を採用しても良い。例えば、フルブリッジ回路では、日本特許第6130411号特許公報や、日本特許第617h23号公報で提案されている。
また、IHコイルについては、ドーナッツ状の形態だけではなく、例えば日本特許第5538546号公報に示されているように、円環状の主加熱コイルと、この主加熱コイルの両側に近接して配置され、主加熱コイルの半径より小さな横幅寸法を有する扁平形状の第1副加熱コイル及び第2副加熱コイルと、を備えた誘導加熱部でも良い。
更に、実施の形態1では、誘導加熱を開始する際に、火力を設定しなくともデフォルト条件(火力値や火力レベル)で誘導加熱動作に入り、その後に希望する火力をユーザーが決めるという加熱開始操作方法を採用していた。しかしながら、この方法以外でも良い。例えば、主電源投入後に必ず、目的の誘導加熱源と、火力値(ワット)や火力レベル(火力「大」~「小」のような段階の1つ)とを決めて、その後で所定の入力キー等によってスタート指令を行う操作方法を採用しても良く、そのような方法でも本開示の効果と、本質的な効果には影響がない。
実施の形態1では、図32に示したように、マイクロ波加熱時の下部風路は、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却した冷却風の風路(内部経路)と、インバーター回路基板121を冷却した冷却風の風路(外部経路)との、2つあり、この2つの風路は、最後に1つの排気ダクト102の中に集合してから、共通の排気口20を経由して、加熱調理器1の外部へ放出されていた。
しかしながら、必ずしもそのように1つ(共通)の排気ダクトを経由する必要もなく、また1つの排気口20に排気流を集める必要もない。例えば排気口20と別の第2の排気口を別の位置(排気カバー19の真下の位置)に設けて、その第2の排気口から、内部経路又は外部経路の何れか一方の冷却風を排気するようにしても良い。特に仕切り板52によって上部ユニット100の後部を前後に仕切っている形態(実施の形態1)では、その仕切り板52の背後側に形成された空隙GP1の中に排気口を臨ませると良い。
実施の形態1~5では、主電源スイッチ97の操作キー98は、前記本体ケースHCの上面に露出している入力操作部40(操作キー98を含む)に配置し、本体ケースHCの上方方向から操作する形態であった。なお、前記操作キー98は、操作ボタンと呼ばれる場合があるが、基本的に同じ構造物である。
しかしながら、本開示の加熱調理器1は、この入力操作部40の形態には何ら限定されない。例えば、入力操作部40は、本体ケースHCの上方から見て常時露出している必要はなく、使用しない場合は、本体ケースHCの内部へ格納する形態でも良い。格納する形態には、引き出しのように水平方向に移動するものと、1つの支点を中心に回動する方式が従前から知られている。
回動して格納する方式は、カンガルーポケット機構の操作部と呼ばれており、例えば、特開2004-28569号公報、特開2004-3845号公報、特開平3-2h26号公報等にて提案されている。また、主電源スイッチ97は、特開2004-3845号に示されたような、シーソー式のスイッチを用いても良い。
このような回動して格納される入力操作部40であっても、使用時には、本体ケースHCの上方(方向)から操作できる。つまり、ユーザーが加熱調理器1の主電源を、その加熱調理器1の前方近傍に立ったまま行えるので、本開示の加熱調理器1を実現する上で、何ら支障はない。また、ユーザーに無理な姿勢を強いることもなく、操作性が良い。
このような回動して格納される入力操作部40は、例えば実施の形態1で説明した右側の前カバー112に設けると良い。
また、トッププレートの上に露出させた(臨ませた)加熱部(ガスバーナ等)と、加熱室(グリル庫)の加熱部とを備え、それぞれの操作部を回動して格納するカンガルーポケット機構の操作部を採用した加熱調理器も、例えば、特開2017-172941号公報で提案されている。
実施の形態1~5では、マイクロ波発生源122としてマグネトロンを使用した例で説明したが、他の手段でマイクロ波を発生させても良い。例えば、半導体発振器を用いた加熱調理器としては、特表2019-509587や特開昭51-9562号公報等で提案されている。
特表2019-509587号公報では、マイクロ波発生器は、第1の電力レベルで高周波信号を生成するように構成された小信号発生器(1つ又は複数個)と、この小信号発生器からの高周波信号を増幅する固体高周波信号増幅器(固体増幅器。1つ又は複数個)と、を含んでいる。そして、その固体増幅器は、第1低電力レベルを有する第1高周波信号を、第2高電力レベルを有する第2高周波信号に増幅して、被調理物(食品)を収容した加熱室内へ供給していた。
本開示の加熱調理器1を実現する際には、このような半導体素子で構成されたマイクロ波発生源を使用しても良い。
実施の形態1においては、下部(第3、第4)冷却ファン128、129の運転は、前記上部ユニット100の誘導加熱源9による加熱動作と独立して行われる旨説明した。つまり、誘導加熱源9を使用する場合、その冷却用の上部(第1)冷却ファン60の運転の際に、下部(第3、第4)冷却ファン128、129の運転はされないことを説明したが、(第1)冷却ファン60と、下部(第3、第4)冷却ファン128、129が同時に運転されることが無いという意味ではない。
例えば、実施の形態1の図37で説明したように、使用する加熱源の選択の前の、起動時の異常有無チェックの段階(図37のステップST2参照)で、全ての冷却ファンを短時間だけ試運転し、回路上に異常電流や電圧等が発生しないかどうかを統合制御装置MCがチェックする方法を採用しても良く、その場合には、一定の短い時間帯は、各冷却ファン60、61、128、129が一斉に起動される場合も有り得るし、順次1つずつ短時間起動する場合も有り得る。このようにしても、本開示の本質的効果を何ら損なうことはない。
実施の形態1では、右加熱部17HRと左加熱部17HLの何れか一方を、ユーザーが選択する必要があった(図65。ステップSTR5)。つまり、最初に入力キー43M2によって右加熱部17HRと左加熱部17HLの何れか一方を選択していた。
しかしながら、本開示の加熱調理器1ではこのような加熱部の選択ステップを必ずしも必要としない。
例えば、日本特許第6230712号公報や、日本特許公開2014-44852号公報には、
被加熱物を載置するトッププレートの下方に、互いに隣接するように規則正しく配置された複数個の加熱コイルと、前記加熱コイルに高周波電流を供給するインバーター回路と、前記加熱コイルの直上に被加熱物が載置されているかどうかを判定する被加熱物載置判定部と、前記本体の上面に設けた入力操作部と、制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記被加熱物載置判定部が、前記加熱コイルの上に被加熱物が載置されている状況と判定した結果に基づいて、前記表示画面の表示エリア内に被加熱物に対応した数のアイコンを表示させ、
前記制御装置は、第1の被加熱物に対応した第1のアイコンに使用者がタッチしたことを検知することで、当該第1の被加熱物の加熱調理条件の入力が行えるように動作する誘導加熱調理器を開示している。
また、日本特許第5202064号公報には、
鍋などの被加熱物を載置するトッププレートと、このトッププレートの下方に分散配置された複数の誘導加熱コイルと、前記被加熱物を検出するセンサーと、前記天板近傍の所定の領域に連続して配置された帯状の操作表示手段と、制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記センサーの出力に基づいて前記被加熱物の前記トッププレート上の占用領域を特定し、さらに特定した前記占用領域とその周辺の領域に対応する前記誘導加熱コイルを駆動して前記被加熱物の領域を特定し、特定した前記占用領域の中心位置と大きさを推定し、推定結果に基づいて前記操作表示手段の特定領域に前記操作手段を表示して前記操作手段を有効にして外部操作によりアクセス可能にする誘導加熱調理器が開示されている。
つまり、トッププレートの特定の位置に鍋等の被加熱物を置いて調理するのではなく、トッププレート上の広い範囲に、比較的自由に被加熱物を置き、その被加熱部の位置を制御装置側で検知して調理開始できるという技術が提案されている。
本開示の加熱調理器1においても、上記のような技術を適用することができる。つまり、実施の形態1で説明したように第1特定画面30SPに、統合制御装置MC側で駆動を許可することを示す右加熱部選択マーク334Rや左加熱部選択マーク334Lを表示させる必要はなくなる。
また、最初に入力キー43M2によって右加熱部17HRと左加熱部17HLの何れか一方を選択するという操作も不要となり、更に使い勝手を向上させることもできる。
また、実施の形態1~4の加熱調理器1では、多機能化のために入力操作部40には多数の入力キー43MC、43M1~43M3、43R1~43R4、43L1~43L4等が設けてある。そこで、操作に慣れていないユーザーには目的の操作を簡単に行えないという懸念がある。
そこで、最初から全ての機能を使いたくないユーザーには、特定のスイッチを操作すると、入力キー自体の表示を消し、また当該入力キーの入力機能を無効化して、入力操作部40の数が減ったような視覚的効果を期待する形態にしても良い。なお、このようなユーザーの希望に応じて使用できる機能を限定する加熱調理器は、日本特許公開2009-243771号公報により既に提案されている。
また、連携調理モードと複合調理モードの何れか一方を、ユーザーの操作によって使用できないように設定しても良い。その場合は、実施の形態1で説明した入力キー43KPによる設定でも良いし、ユーザーがタッチするだけで機能限定と拡張ができる入力キー又は押し釦スイッチ等を設けると良い。
実施の形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともできる。また手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
実施の形態1~5では、誘導加熱部17Hが、左加熱部17HLと右加熱部17HRの2つあり、インバーター回路81L、81Rも、それら2つの加熱部に対応して1つずつ配置していた構成であったが、これを以下のような形態に変更しても良い。
(1)隣り合う2つの加熱部の上に跨るような大きな被加熱物を加熱する場合に、それら隣接する2個所の加熱部のIHコイルを協調させて駆動する方式(代表例として、日本特許第5188215号参照)。
(2)トッププレート15の下方に、略同一の形状およびサイズを有し同一方向に巻かれ、前記トッププレートの下方に略同一平面に近接して配置された4つのIHコイルと、前記4つのIHコイルに電力を供給する2つのインバーター回路と、を具備し、前記4つのIHコイルを、2つのコイル群(グループ)に分け、前記2つのインバーター回路から、前記2つのIHコイル群の各々にそれぞれ電力を供給する方式(代表例として、日本特許第5299590号公報参照)。
(3)トッププレート15の下方に配置された円形状のIHコイル(中央IHコイル)と、前記円形状のIHコイルの周囲を取り囲むように配置された(複数個の)補助IHコイルと、を有し、中央IHコイルに電力を供給する第1のインバーター回路と、前記補助コイル群に電力を供給する第2のインバーター回路と、を具備した方式(代表として、日本特許第5257542号公報参照)。
(4)トッププレート上に載置された被加熱物を加熱する主IHコイルと、この主IHコイルの外側にそれぞれ隣接して設置された複数個の副IHコイルからなる副IHコイル群と、前記主IHコイルに高周波電流を供給する主インバーター回路と、前記副IHコイル群に対し、その副IHコイル毎に高周波電流を独立して供給する副インバーター回路群と、前記主IHコイルと前記複数の副IHコイルの内の少なくとも1つの上に同じ被加熱物が載置されているか否かを判断する被加熱物載置判断部と、前記主インバーター回路と副インバーター回路群の出力を制御する通電制御回路と、を備え、前記副IHコイルは、前記主IHコイルの周囲に所定の絶縁用空間を置いて互いに所定の間隔を保って複数設けられ、前記副IHコイルの外径形状は、前記主IHコイルの外周縁に隣接する側縁部が前記主IHコイルの外周縁に沿って湾曲した形状であり、前記通電制御回路は、ユーザーの設定した火力値となるように、前記主インバーター回路の出力と前記副インバーター回路群の出力とを所定の配分に制御して協同加熱動作を行わせ、その後協同加熱動作する副IHコイルの数が増加、減少、又は他の副IHコイルに切り替わった場合には、変化前の出力配分を維持する方式(代表として、日本特許第特許5642168号公報参照)。
また図示した各回路、部品、装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくとも良い。さらに特に図30や図118で説明した統合制御装置MC、マイクロ波加熱制御部130、加熱室制御部159、表示部駆動回路63、制御装置105は、これら各装置・回路の機能の分散・統合が可能であり、具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、機能や動作状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
統合制御装置MC、IH制御部90の各機能は、処理回路によって実現される。各機能を実現する処理回路は、専用のハードウエアであっても良いし、メモリーに格納されるプログラムを実行するプロセッサであっても良い。
処理回路がプロセッサである場合、統合制御装置MC、IH制御部90の各機能は、ソフトウエア、ファームウエア又はソフトウエアとファームウエアの組合せによって実現される。ソフトウエアとファームウエアは、プログラムとして記述され、メモリーである記憶装置MMに格納される。プロセッサは、記憶装置MMに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、統合制御装置MC、IH制御部90の各機能を実現する。
これらプログラムは、統合制御装置MC、IH制御部90の制御手順を、マイクロコンピュータに実行させるものである。なお、記憶装置MMとは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM、EEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリーが代表的なものである。
更に、図30に示した記憶装置MMと記憶装置90Rのデータやプログラムの一部は、加熱調理器1が保持せずに、外部の記録媒体(ストレージサーバ等)に保持されてもよい。この場合、加熱調理器1は、外部の記録媒体(ストレージサーバ)にアクセスすることで、必要なデータやプログラムの情報を取得する。
さらに特に図30で説明した統合制御装置MC、マイクロ波加熱制御部130、加熱室制御部159、表示部駆動回路63の動作プログラムは、ユーザーの希望により、又は加熱調理器1の製造業者等の希望によって、適宜改善されたものに更新できるようにしても良い。この場合、例えば、無線通信部49を通じて修正プログラムを入手するようにしても良い。
前記トッププレート15の上で加熱調理する前記誘導加熱源(第1の加熱手段)9の1つの加熱部17HL、17HRは、ガス燃焼バーナに変えても良い。この場合、ガス流量弁が制御部によって制御される構成となる。
実施の形態1~4では、入力操作部40、左操作部40L、連携操作部40MC、右操作部40Rは、何れも入力キーにユーザーが触れて入力指令を行う「接触式入力」の操作部で説明したが、ユーザーの指や手の動きを非接触で検知して入力する非接触方式でも良い。更には、ユーザーの声を認識して入力する音声入力方式に変えても良い。音声入力方式の場合には、ユーザーの声を受信して音声認識信号に変換するためのマイクや音声受信部が、入力操作部に相当するものとなる。
実施の形態1~5では、第1特定画面30SC、第2特定画面30SP及び第3特定画面30STに表示される各種制御メニューや制御条件等を選択する手段が、入力操作部40であったが、表示手段である統合表示部30や左右の表示部30L、30Rの表示画面の中に設けても良い。
例えば、複合調理に関して提案している前記特許第5833699号公報には、複合調理の表示画面を表示させ、当該表示画面の中に複合調理のメニューの名称を表示させ、当該メニュー選択部をユーザーが直接指で触れて、メニューを選択するという技術が提案されている。
そこで、第1特定画面30SCや第2特定画面30SPの中に複合調理や連携調理モードで可能な調理のメニューや被調理物の名称(識別情報の1種)等を表示させ、その表示部分(「アイコン」部分ともいう)をユーザーが指で直接タッチして連携調理モードのメニュー等を選択するようにしても良い。
実施の形態では、無線通信部49によって、加熱調理器1の外部から送信された指令信号を受信し、また加熱調理器1からは、各動作信号や指令信号L1~L10を外部へ発信していたが、更に調理工程1、調理工程2の開始や終了等の進捗を示す情報を送信しても良い。これら進捗情報をユーザーが携帯用端末機器等で知ることができ、利便性が向上する(実施の形態4参照)。
また、実施の形態では、無線通信部49によって指令信号や運転動作信号等の授受を、家屋HA内部のホーム・ゲートウエイ411との間で行っていたが、電力線搬送技術(「PLC技術」ともいう)を利用しても良い。
また、実施の形態1~3では、情報管理装置として、冷蔵庫401の在庫情報の検索結果のデータを受ける機能を保有するホーム・ゲートウエイ411を利用したが、実施の形態4と5で説明したように、家屋HAの内部には、ルーターを設置し、加熱調理器1と冷蔵庫401は、前記ルーターを経由してインターネット(広域通信回路網)416に、それぞれ接続する形態にしても良い。この場合、前記ルーターは、インターネット416を介してサーバー装置に接続する。そして、当該サーバー装置が、冷蔵庫401の在庫情報を記憶して保持する形態にするようにしても良い。
更に、当該サーバー装置には、加熱調理器1で利用できる各種調理のレシピ情報を保有させる。そして、加熱調理器1又は情報通信端末機器418からの要求に応じて、レシピ情報を検索して、抽出されたレシピ情報を、加熱調理器1又は情報通信端末機器418に提供する形態のシステムにしても良い。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の実質的な範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。