JP7449596B2 - 地盤強化工法および該工法に用いる地盤固結材 - Google Patents

地盤強化工法および該工法に用いる地盤固結材 Download PDF

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Description

本発明は微生物代謝によって地盤中に炭酸カルシウムを析出する地盤固結材並びにそれを用いた地盤強化工法であって特に地盤崩落の可能性のある傾斜地盤中に炭酸カルシウムを析出し斜面崩落防止に効果のある地盤強化工法に関する。
従来、セメントグラウトや水ガラスグラウトによって地盤を固結する注入工法は多く知られている。しかし、これらは懸濁型グラウトの場合は浸透性が悪く、注入管周りの固結にとどまり、もし広く注入する場合は注入圧力が高く地盤変位を生じたりする欠点がある。また水ガラスグラウトのようにゲル化を伴う注入材は注入範囲が狭く、広範囲に固結しようとすると、地盤隆起を生じやすい。
例えば、水ガラスと塩化カルシウムを用いる注入材の場合には、強度は高いがこれらの水溶液を混合すると、瞬時に、ほぼ全部がゲル化してしまうため、注入管の周辺しか固結できなかったり、地盤変位が生じたりするという問題があった。
従って、特に崩落の安定にこれらの注入材を注入した場合、注入圧力や地盤変位を生じて地盤をさらに不安定化して崩落しやすくなる問題があった。また斜面安定化工法として斜面表面の防護工法や土留工法等が用いられているが、これらは現状では、これらの防護工法によって、安定化しているが、今後表面の防護層や防護構造が劣化したり、あるいは豪雨がある場合、斜面の表層または土中の透水によって斜面内部からの崩壊を生じやすい。
また地盤固結法として、本出願人は特許文献1等のように地盤中にシリカ化合物とイースト菌などの微生物を栄養源とともに地盤に注入して地盤を固結する特許を開発している。しかし、新しい菌を地盤中に注入することに対する環境上の問題と強度発現が遅いという問題があった。
また、本出願人は特許文献2のように現場で採取した微生物を培養して用いる方法も開発している。さらに特許文献3のように高強度を得るために現地に存在する石灰化細菌であるウレアーゼ菌を採取して培養する方法も開発している。しかし、これらは現地でそのような菌を採取する困難さと培養することの困難さで実用化に至っていない。
特許第4240501号公報 特許第4709201号公報 特許第5140879号公報 特許第4212315号公報 特許第5360578号公報 特許第3406567号公報 特許第4019069号公報
本発明者は上記斜面安定工が現時点では斜面を安定に保ちながら自然条件によって崩壊をきたすという問題を解決するために、微生物代謝によって、炭酸カルシウムを形成する地盤固結を適用することに想到したものである。
微生物代謝による地盤固結法は特許文献1~3等の例に示すように、すでに開発されているが、地盤の強度が増加することは明らかであるものの、その固結のメカニズムは微生物の種類や地盤条件や自然条件によって左右され、その固結に到るまでの期間や強度が不明確であり、また環境条件や地盤条件と強度の関係が把握しにくい。そのため設計に入れにくいという問題があった。
このため、で液状化対策工のように短期間のうちに所定の強度を発現することを要求される地盤強化には、必ずしも適合しにくいという問題があった。
しかし、微生物代謝による固結材(以下、「本固結材」という。)はその特性を効果的に用いれば、現時点では安定している地盤であるものの、自然環境次第では、長期的に不安定化して崩壊に到る可能性がある地盤に適用できることを見出して、本発明を完成したものである。
本発明の地盤強化工法は、微生物代謝によって炭酸カルシウムを形成する地盤固結材によって、地盤崩落の可能性のある地盤中に、生分解組成物を注入することによって、炭酸カルシウムを析出させて、地盤を固結させることを特徴とするものである。
本発明は前記地盤固結材又は前記地盤固結材を構成する組成分の1種又は複数種として、例えば、粘土、ポゾラン、多孔質シリカ、ホワイトカーボンのいずれか、または複数種の微粒子と混合して、前記地盤中に前記地盤固結材又はその組成分を保持して、徐々に炭酸カルシウムを地盤中に析出させることができる。
また、本発明の地盤強化工法において、地盤固結材は、上記微粒子を浸透させた地盤に浸透せしめて、炭酸カルシウムを析出させることもできる。
地盤中の前記炭酸カルシウムの析出は、地盤固結材の散布、注入、混合、高圧噴射のいずれか又は複数によって行うことができる。
また、地盤固結材に関し、散布、浸透または注入を繰り返すことによって、地盤中の炭酸カルシウムの析出量を増やして地盤を強化するといったことも可能である。
また、前記炭酸カルシウムは、法面保護工又は土留工の背部又は背部の地盤中に析出させることにより、該法面保護工又は土留工の保護又は並びに背部地盤の崩落を予防することができる。
また、地盤固結材による炭酸カルシウムの地盤中における析出は、地盤補強材の設置を併用して行うことができる。
また、地盤固結材又は地盤固結材の複数の組成物の地盤中への注入は、同時にまたは交互にまたは繰り返して行うことによって、炭酸カルシウムを地盤中に析出させることもできる。また、上記組成物としてCaの他にMg化合物を含む時は炭酸カルシウムやドロマイトを析出させることができる。
また、本発明の地盤強化工法において、該地盤中に析出される炭酸カルシウムは、シリカ化合物または並びに金属イオン封鎖材によって、炭酸カルシウムの耐久性や固結強度を向上させることもできる。
また、炭酸カルシウムの析出は、水ガラス、ポラゾン、スラグ、セメント、炭酸化合物のいずれか、或いは複数を併用して行うことができる。
このような本発明の地盤強化工法において、カルシウム化合物を有効成分とする配合液をA液とし、他の成分をB液とし、以下のいずれかの手順で地盤中に炭酸カルシウムを析出させることもできる。
1.A液、B液の混合液を地盤中に浸透せしめる。
2.A液、B液のいずれかを予め地盤中に浸透せしめて後、他方を浸透せしめる。
3.上記1、2のいずれか又は両方を繰り返して地盤中に浸透せしめる。
さらに、本発明の地盤強化工法において、排水工を併用することもできる。
また、本発明の地盤強化工法において、地盤が傾斜地盤の場合、地盤固結材の組成物をいずれか又は混合物を傾斜面の上流または下流の地盤中から自然流下またはポンプによって、地盤中に送り込むことによって、炭酸カルシウムを析出させることもできる。
また、本発明の地盤強化工法において、地盤固結の組成物のいずれか又は混合物を土留構造物から地盤中に注入することによって、炭酸カルシウムを析出させることもできる。
本発明の地盤強化工法における、微生物代謝による生分解性有機物からの炭酸カルシウムの析出は、炭酸ガスの検出によって把握することができる。
また、本発明の地盤強化工法における、炭酸カルシウムの析出による改良効果は、非破壊試験によって確認することができる。
また、その場合の非破壊試験は、弾性波速度検層法、音響トモグラフィー、または表面波探査などを利用することができる。
本発明の地盤固結材は、上記のような本発明の地盤強化工法に用いられる地盤固結材であって、以下のいずれか、または複数を有効成分とすることを特徴とする。
1.生分解性有機物
2.カルシウム化合物、マグネシウム化合物等アルカリ土金属化合物を含む化合物
3.土壌菌または生分解菌
4.土壌菌または生分解菌の栄養源
5.pH調整剤又はpH緩衝剤
生分解性有機物は、土壌菌又は生分解菌によって分解されて、炭酸カルシウムを析出させることができる。
生分解性有機物としては、例えば、生分解性有機酸またはその金属塩を含有するものなどを用いることができる。
カルシウム化合物としては、例えば、カルシウムの塩又は水酸化物、有機化合物のCa塩、セメント、スラグ、石膏のいずれか複数を用いることができる。
生分解菌としては、例えば、土壌菌又は発酵菌又は石灰化細菌を用いることができる。
また、本発明の地盤固結材は、炭酸塩または炭酸水または炭酸ガスと共に用いることもできる。
微生物代謝による地盤固結が一般注入とは異なるのは以下のとおりである。
(1)ゲル化を伴わないため、浸透性に優れ、広範囲を固結することができる。
(2)ゲル化を伴わないため、自然浸透が可能であり、地盤変位を生じにくい。
(3)長期にわたって、地盤強度を高めることができる。
(4)注入材またはそれを形成する組成分を繰り返し浸透させて、炭酸カルシウムの析出量を増加して強度を増加させることができる。
(5)炭酸カルシウムは環境上、極めて安全なため、住宅のある盛土斜面でも環境上問題を生じない。
(6)炭酸カルシウムに水ガラスやシリカコロイド等のシリカ化合物を併用して不溶性珪酸カルシウムを形成して、炭酸カルシウムの耐久性や初期強度発現や長期強度増加を向上させることができる。またリン酸化合物を併用することによってリン酸カルシウムを析出させて耐久性を向上させることができる。
(7)微生物代謝における微生物として外部から新たな微生物を地盤に導入するのではなく、現場の微生物を用いることができれば、極めて安全な地盤固結技術となる。
(8)微生物代謝により、炭酸カルシウムを形成する固結材の成分としてはすでに先行特許文献に記載されている組成分のほかに、生分解性ポリマーや生分解性有機物を挙げることができる。
微生物代謝による地盤固結材を地盤崩落の可能性のある地盤中に炭酸カルシウムを析出して地盤を固結する際の課題は以下の通りである。
(1)地盤崩落の可能性のある地盤は通常土留構造物の背部や傾斜面であって、現時点では安定していても豪雨や地震等で崩落しやすい地盤である。例えば傾斜地に造成された宅地や傾斜地の擁壁に囲まれた土台の上に段々に建てられており、造成前の地山とその上の盛土の境界面で豪雨による地下水の流動、或いは地震の揺れによる間隙水圧の上昇により、盛土が崩落するという問題が生ずる。
(2)上記固結材は一般注入材のようにゲル化を伴わないため、不安定な地盤に広範囲に浸透しても地盤変位を生じにくいという利点がある一方、固結に到るまで、何日もかかるため、傾斜地盤中の地下水によって固結する前に希釈されたり、流失されやすいという問題が生ずる。また、散布液は地盤内部まで浸透することなく、地表面から流失してしまう恐れがある。
(3)また崩壊しやすい地盤は通常不均質地盤で、大きな空隙や岩石や細かい土砂や風化が進行した岩盤から成り立っている場合が多く、注入液は大きな空隙から流出しやすいという問題がある。或いは谷埋め盛土のように、岩盤の上に盛土地盤が形成され、その上が住宅地となっている場合、岩盤と盛土の境界面からすべりが生ずる場合が多い。
(4)固結材による浸透性は、地盤条件によって異なる。粗い地盤から成り立つ場合は、固結材は容易に浸透する一方、逸脱しやすい。従って予め、一次注入材を地盤に注入して均質化を図って後、溶液性注入材を浸透させるのが望ましい。なお、岩盤の亀裂に対する浸透性について言えば、本出願人の微細間隙への研究によれば、微細亀裂のある岩盤への浸透性は微粒子セメントの浸透限界は0.22mmまでであり、シリカコロイドの浸透限界は0.05mmまでであった。従って、溶液性でゲル化を伴わない固結材なら0.05mm以下の微細間隙へも浸透し得る。また懸濁粒子の土粒子地盤への浸透性はすでに知られているグラウタビリティの式によって判断することができる。
(5)傾斜面の地盤改良に当たっては、注入プラントを斜面上に移動するのは、困難である。従って、一カ所の1つの注入液作液装置と送液装置から注入管路を延長して多数の注入孔に、或いは多ステージ吐出口に同時に或いは連続して順次に送液できる注入送液システムを用いることが好ましい。特に、本固結材の組成分を別々に送液して、或いは繰り返して送液して地盤中で炭酸カルシウムを生成することを簡便かつ急速に行うことが必要である。
(6)傾斜安定工法としては従来から、アンカー工法、地山補強土工法や法面工法が知られている。しかし、これらは比較的地表面近くの崩壊防止には役立つが、近年の大雨による崩壊は斜面の深部からの崩壊が多い。それに対して微生物代謝による固結は斜面の深部の固結も可能である。従って、微生物代謝による固結、補強工法は、これらを併用することは効果的である。
(7)本地盤固結材で地盤が固結するまでの間に地盤の表面近くが安定していることが必要である。特に、地表面近くは固結材が浸透固結しにくい。このため地表面近くの強化が必要である。そのためには、法面補強工や地山補強土工法に用いられる補強材を打ち込む工法を併用するのが望ましい。さらに、その補強材を中空補強材として中空補強材を地山に打ち込んで後、本固結材を中空補強材の吐出口から地盤中に注入すれば、地表面のみならず、地表面より深部の安定を得ることができる。さらに、補強材の先端部を互いに引張材で連結すれば強固な斜面が形成でき、長期的に斜面内部を炭酸カルシウムによって強化することができる。
本発明は、以上の固結前の地下水による希釈、地下水流による流失、また不均質地盤における注入液の流失という問題を解決したものである。また、不均質地盤を粗詰注入して地盤を均質化した上で、浸透性の良い本固結材を注入して注入目的を達することができる。
上記課題を解決するために、本出願人は「どの地盤にも存在する土壌菌によって炭酸カルシウムを形成して地盤を固結する」地盤固結工法を目指した。
このために、本出願人はすでに本出願人が研究開発した生分解性注入管(「バイオパイプ」(強化土エンジニヤリング株式会社の登録商標第4988272号))の原理に着目した。
生分解性注入管は地盤中において生分解注入管を設置して地盤注入材を注入して地盤を固結した後、地盤中のバクテリアによって注入管が分解して炭酸ガスと水となって地盤が原状に戻る環境に優れた技術である。この生分解注入管は地盤条件によって分解速度に違いがあり、微生物が少ない土壌である砂地盤では分解速度が遅いため、注入後、注入管内に土壌バクテリアを含む腐植土を充填することにより分解を促進できる。また、注入管の強度を高めるためには、古紙などの植物性繊維を注入管製造時に混ぜ込むことができる(特許文献5)。
特許文献6では、生物分解性プラスチックスで形成された注入管装置を注入すべき地盤中に埋設し、該注入管装置の吐出口を通じて地盤中に地盤注入材を注入の後、生物分解性プラスチックスで形成された該地盤注入管装置を埋め殺しにして地盤中の微生物で分解するようにし、地盤を掘削する際に邪魔になって作業性を低下させたり、または地下水にその成分が溶出したりの弊害を防止することを特徴とする地盤注入工法が、既に本発明者によって開発されている。また、特許文献7では生分解性プラスチックスに微生物を含む材料を充填し、分解を促進させる特許も開発されている。
以上の点に着目して、本出願人は生分解性組成物を地盤中に注入すれば、遅かれ早かれ地盤の土壌バクテリアで分解して炭酸ガスと水になる。従って、その際カルシウム化合物が存在すれば、炭酸カルシウムが地盤中で形成されて地盤が固結することに着目した。
従来の水ガラスグラウト等による注入では、注入中、注入材がゲル化時間に達すれば、流動性が失われて急激に圧力が上昇する。さらに、それ以上注入すれば、地盤が破壊して地盤の弱体化あるいは地盤変位を来たす。また、水ガラスは硬化剤の塩化カルシウムと接触すると、瞬時に両液のカルシウム分とシリカ分が反応して流動性のないゲルを生じる。このため、注入範囲が狭く、また、繰り返して注入しても破壊や地盤隆起を起こしてしまう。
これに対して、微生物代謝により炭酸カルシウムを形成する固結材は、極めて緩やかに反応し、液全体がゲル化しないので流動性が損なわれることはない。このため、本注入材の組成物を別々に或いは、混合液をそのまま注入しても全量が直ちに反応せず、そのまま地盤中に浸透する。しかし、そのまま注入し続けると、どこまでも流出してしまうので、ある程度注入した時点で注入を中断し、加圧をやめれば、その領域の土粒子間隙に注入液が保持されたまま反応が進行する。
したがって、この工程を繰り返せば、土粒子表面に付着する反応生成物が徐々に厚くなり、最終的には土粒子間隙が反応生成物で填充され、地盤が固結する。また、地盤への送液を自然流下或いはポンプによる送液を管理することにより、地盤を変位させたり、注入液が逸脱しないようにしながら、広範囲を固結することができる。
生分解組成物の配合液中にホワイトカーボンやシリカヒュームや粘土などの粉体を含有させた配合液を用いてもよく、地盤中の間隙に粉体が留まることができ、それによって微生物に対して徐々に反応させることもできる。
以上のようにして得られた炭酸カルシウムを主成分とする硬化物は、アルカリ分や酸類を溶出せず、全く公害性のない硬化物である。これはほぼ中性でありながら、長期的に鍾乳洞にみられる結晶構造を人工的に形成する。したがって、配合や施工法を工夫することによって、強度や、結晶構造の形成速度を促進させることができる。なお、本発明では上述の固結材の水溶液を加温することにより、結晶構造の形成が一層促進され、強度増加を早くすることができる。
微生物代謝により不溶性塩を形成するアルカリ土金属化合物として、具体的には、カルシウムやマグネシウムの酸化物、水酸化物、塩化物等が挙げられ、この中で特に、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムを形成する塩化カルシウムや水酸化カルシウムや炭酸マグネシウム化合物が好ましい。
さらに、カルシウム塩やカルシウムの水酸化物等を含む微粒子石灰、微粒子セメントや微粒子スラグ等も挙げられる。これら微粒子石灰や微粒子セメントや微粒子スラグとしては、平均粒径が10μm以下、比表面積が4000cm2/g以上のものが好ましい。これらのアルカリ土金属化合物は、単独で、または複数種を組み合わせて用いられる。アルカリ土金属化合物の濃度は特に限定されないが、1~30重量%が好ましい。
本発明における炭酸カルシウムの生成は、土中に浸透または注入し、或いは、現地の地盤と混合して、或いは散布又は地盤中に噴射混合して不溶性塩を形成させたり、これらの散布、浸透、注入、混合は繰り返して行うことができる。
また、注入液の組成物は別々に注入管を通して土中に注入または削孔壁又は掘削井戸から自然浸透することができる。
前記工程のいずれかを繰り返すことができる。
地盤中に、注入管を埋設し、注入管を通じて所定の圧力範囲になるまで、または注入圧が上昇して注入困難になるまで、または所定の注入量に達するまで、繰り返して土中に浸透または注入される。
通常の薬液注入やセメント注入の場合は、加圧によって地盤変位したり、注入液が漏出したりする問題があるが、本発明は低圧で注入または自然流下で固結できるため、構造物の変形や地盤変位や漏出は生じにくいという利点がある。
従来の一般的な斜面安定工法では、防護層や防護構造が劣化したり、あるいは豪雨がある場合、斜面の表層または土中の透水によって斜面内部からの崩壊を生じやすいのに対し、本発明の地盤補強工法によれば、地盤崩落の可能性のある傾斜地盤中に、微生物代謝などを利用して、炭酸カルシウムを析出させることで、斜面崩落防止を長期にわたり安定的に防止することができる。
また、通常の薬液注入やセメント注入の場合は、加圧によって地盤変位したり、注入液が漏出したりする問題があるが、本発明では低圧で注入または自然流下で固結できるため、構造物の変形や地盤変位や漏出は生じにくいという利点がある。
本発明の適用例を示したもので、(a)、(b)は崩落しやすい地山斜面の安定化に適用する場合の鉛直断面図、(c)は盛土補強土による土留構造物への適用例を示す鉛直断面図である。 (a)~(g)は谷埋め盛土によって造成された盛土地盤への適用例を示す鉛直断面図である。 (a)、(b)は本発明による斜面安定化における、地盤強化法と地下水位低下法を説明するための鉛直断面図である。 モデル地盤を示し、(a)は縦断面図、(b)は平面図である。 モデル地盤に対する地盤強化法の検討方法の説明図である。 計算モデルにおける注入改良範囲を示したもので、(a)は鉛直断面図、(b)は安全率Fs=1.5の場合の平面図、(c)は安全率Fs=2.0の場合の平面図である。 計算モデルにおける排水孔(集水井)の設置に関する説明図であり、(a)は鉛直断面図、(b)は平面図である。 計算モデルにおける地盤強化と地下水位低下法の併用を示したもので、(a)は鉛直断面図、(b)は安全率Fs=1.5の場合の平面図、(c)は安全率Fs=2.0の場合の平面図である。 本発明において、現場土を用いた固結供試体の室内試験における一軸圧縮強さとS波速度Vsの関係、並びに炭酸カルシウム量と一軸圧縮強さの関係を示したグラフである。 養生日数とせん断波速度の関係の例を示すグラフである。 固結ゾーンまたは固結予定ゾーンに、受信孔と発信孔を設置して、S波速度VsやP波速度Vpを測定する説明図である。 注入現場における固結範囲と固結強度の把握に関する説明図である。 細菌や微生物を培養する場合の増殖曲線の例を示した図である。 浸透法による固結供試体の作製状況を示した図である。
上記固結材の課題を解決するために本出願人は「どの地盤にも存在する土壌バクテリアによって、炭酸カルシウムを形成して地盤を固結する」地盤固結工法を目指した。このために本出願人はすでに本出願人が研究開発した生分解性注入管(「バイオパイプ」(強化土エンジニヤリング株式会社の登録商標第4988272号))の原理に着目した。(特許文献4~7)
生分解性注入管は、地盤中において生分解注入管を設置して地盤注入材を注入して地盤を固結した後、地盤中のバクテリアによって注入管が分解して炭酸ガスと水となって地盤が原状に戻る環境に優れた技術である。この生分解注入管は地盤条件によって分解速度に違いがあり、微生物が少ない土壌である砂地盤では分解速度が遅いため、注入後注入管内に土壌バクテリアを含む腐植土を充填することにより分解を促進できる。(特許文献7)また、注入管の強度を高めるためには古紙などの植物性繊維を注入管製造時に混ぜ込むことができる(特許文献5)。
以上の点に着目して、本出願人は生分解性組成物を地盤中に注入すれば、遅かれ早かれ地盤の土壌バクテリアで分解して炭酸ガスと水になる。従って、その際カルシウム化合物が存在すれば炭酸カルシウムが地盤中で形成され、崩落しやすい斜面に注入すれば地盤が固結して斜面が安定することに着目した。
生分解性有機物のその化学構造は(1)主鎖が脂肪族で、これにエーテル結合またはエステル結合を有するもの、(2)主鎖(または側鎖)に水酸基、カルボキシル基を有するもの、あるいは、(3)プラスチックスの光分解および微生物分解を誘因、促進する添加剤を含有することにより生物分解性が良好なプラスチックスであり、具体的には澱粉系、酢酸セルロース系、ポリ乳酸系、脂肪族ポリエステル系、ポリビニルアルコール系等の生物分解性プラスチックスが挙げられる。
上記(2)の水酸基あるいはカルボキシル基を有する化合物としては、脂肪族化合物が好ましい。これらの生物分解性プラスチックスとしては具体的には、上記(1)の例として、「ビオノーレ」(ポリオールとジカルボン酸の脂肪族ポリエステル)(「ビオノーレ」は、昭和電工株式会社の登録商標)、「セルグリーン」(酢酸セルロース系、ポリカプロラクトン系)(「セルグリーン」は、株式会社ダイセルの登録商標)、「ラクティ(乳酸系)」(株式会社島津製作所)、(2)の例として、「ポバール」(ポリ 10ビニルアルコール)(株式会社クラレ)、(3)の例として、「ワンダースターケン」(トウモロコシ澱粉とポリエチレン)(ワンダー株式会社)等々が挙げられる。これらの主原料は、土中ではバクテリアにより、例えば90~300日程度の日数で分解される。
なお、生物分解性プラスチックスの分解は、微生物の体内より代謝される酵素との反応である。また、生分解注入管で固結材がアルカリ性の場合には、エステル結合を有する生物分解性有機物が加水分解を受けやすい。また、注入地盤は、酸性からアルカリ性まで、あるいは海水浸透等種々の異なる条件下にあり、さらに、固結材の注入によっても大きく変わってくる。したがって、その分解速度は一概にはいえないが、1年といえども十分短期間といえる。したがって、各組成分の濃度や注入量、繰り返し注入などが大きく影響するのみならず、pH調整剤や炭酸化合物の導入、土壌菌含有成分の導入などが地盤条件によって重要となる。生分解性プラスチックの組成分としては、以下の例を挙げることができる。
生分解性プラスチック組成分の具体例
・澱粉ポリエステル
・ポリ乳酸
・ポリ(3-ヒドロキシプチレート、コーアヒドロキシヘキサノエート)
・ポリ乳酸/ポリセプロライトン共重合体
・ポリグリコール酸
・ポリ乳酸/ポリエーテル共重合体
・ポリテトラメチレンアジペート・コ・テレフタレート
・ポリエチレンテレフタレートサクシネート
・ポリエチレンサクシネート
・ポリブチレンサクシネートアジペート
・ポリビニルアルコール
その他、植物繊維の微粉末、古紙、木材の微粉末、生分解性廃棄物の微細粉末
また、生分解性組成分として植物繊維、木材の微細物、食品廃棄物の粉体、でんぷんやトウモロコシの穀物等を上げることができる。
また、金属イオン封鎖材としては、有機系金属イオン封鎖材を用いれば、土壌菌と反応して炭酸ガスを生成して炭酸カルシウムを形成しカルシウムと金属イオン封鎖材が反応して、有機化合物の不溶性塩を形成する。この不溶性塩は酸に対して不溶性なので耐久性に優れている。また、無機系金属イオン封鎖材を併用することにより、酸に対して酸性雨などの炭酸塩が溶解しにくい不溶性塩を形成する。また、リン酸化合物などの無機系金属イオン封鎖材も同様の効果がある。
金属イオン封鎖剤としては、テトラポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩(特にナトリウム塩が良い)、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩、酸性ヘキサメタリン酸塩、酸性ピロリン酸塩等の縮合リン酸塩類、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロトリ酢酸、グルコン酸、酒石酸、クエン酸またはこれらの塩類等が挙げられ、実用的には縮合リン酸塩類が好ましい。
また、リン酸系化合物としては、リン酸、各種の酸性リン酸塩、中性リン酸塩、塩基性リン酸塩等が挙げられる。
上述の金属イオン封鎖剤およびリン酸系化合物はいずれか一方を単独で、あるいは両方一緒に用いられる。これらはカルシウム材と共にまたは別々に地盤中に注入して、地盤中で炭酸カルシウムと反応させてもよい。また、水ガラスと併用してもよい。この場合、これらの含有量は金属イオン封鎖剤が縮合リン酸塩類の場合には、これらの合計量または単独量が水ガラスのNaO量に対してリン(P)として約1~30%の範囲であり、また、金属イオン封鎖剤が上述のエチレンジアミン四酢酸等、リンを含有しない化合物の場合には、この化合物の含有量が水ガラスのNaO量に対して約3~50%の範囲である。これらの含有量が上述の上限を越えると、水ガラスの部分ゲル化が起こったり、水ガラスが白濁状の不安定な状態となり、金属イオン封鎖剤やリン酸系化合物を完全に溶解して、安定な状態を保つことが難しくなる。
また、下限以下では、本発明の効果を奏し得なくなる。また、生分解性プラスチック組成分でなくても、地盤中で加水分解で炭酸ガスと水になるプラスチック組成分も用いることができる。また、カルシウム化合物としては、CaCl、消石灰、石膏、セメント、スラグまた上記生分解プラスチックの組成分のカルシウム塩であってもよい。pH調整剤を生分解組成物に添加することによって、炭酸カルシウムの生成を容易にすることができる。
次に生分解性組成分の例としてポリ乳酸の実施例を示す
(1)ポリ乳酸+土壌(1)+塩化カルシウム
ポリ乳酸+土壌(1)における炭酸ガスの生成
COモニターによる測定試験
-->試験管中で炭酸カルシウムが1日後に生成された
(2)ポリ乳酸+Caを含有する土
試験管中で炭酸カルシウムが1日後に生成された
(3)ポリ乳酸+土壌(1)+アルカリ+塩化カルシウム
pHがアルカリの場合
-->炭酸カルシウムの析出が早まる
(4)ポリ乳酸のカルシウム塩+土壌(1)
-->炭酸カルシウム
(5)ポリ乳酸+土壌(2)+消石灰
ポリ乳酸+土壌+消石灰における炭酸ガスの吸収
COモニターによる測定結果-->炭酸カルシウム
(6)ポリビニルアルコール、cmc、mc+土壌+塩化カルシウム
-->炭酸カルシウム
ポリ乳酸による炭酸カルシウムの析出確認
(1) 有機物(生分解組成物または加水分解組成物)+土壌バクテリア+カルシウム(塩カルまたは元から存在するカルシウム源)
(2) 有機物+金属イオン封鎖剤+土壌バクテリア
(3) 有機金属イオン封鎖剤(クエン酸、乳酸等)+バクテリア(腐植土、コンポストなどの上澄みでも可)+カルシウム
上記生分解性プラスチックとしては、主鎖が脂肪族で、これにエーテル結合またはエステル結合を有する構造の樹脂、主鎖もしくは側鎖に水酸基、カルボキシル基を有するものなどが挙げられる。具体的には、ポリヒドロキシブチレート/バリレート(PHB/V)、デンプン/ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)、エステル化澱粉、酢酸セルロース、キトサン/セルロース/澱粉、澱粉/化学合成系グリーンプラ、ポリ乳酸、(ポリ乳酸/ポリブチレンサクシネート系)ブロックコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)、ポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)、ポリ(テトラメチレンアジペート/テレフタレート)、ポリエチレンサクシネート、ポリビニルアルコール、ポリグリコール酸などが挙げられ、これらを2種以上用いてもよい。
その他、本発明の埋設注入管に適用可能な生分解性プラスチックの例として、具体的な商品名を挙げると、セルグリーン(ダイセル化学(株)製)、ビオノーレ(昭和電工(株)、昭和高分子(株)製)、ラクティ(島津製作所(株)製)、ポバール(クラレ(株)製)、ワンダースターケン(ワンダー(株)製)、Biomax(デュポン社製)、Ecoflex(BASF社製)などがある。
外部から加えた微生物もしくは地中にもともと存在する微生物の代謝により栄養源がエタノールと二酸化炭素に分解されることで、例えばシリカ化合物と、微生物もしくは微生物の栄養源またはその両方を地盤中に注入すると、外部から加えた微生物もしくはもともと地中に存在する微生物が代謝を行って二酸化炭素を放出し、その二酸化炭素がグラウトのpHを下げる。すると、シリカ化合物がゲル化し、土粒子間で固結して地盤を改良する。また、アルコール類も水ガラス等のシリカ溶液をゲル化させる能力を持つ。
シリカ化合物としては水ガラスの他に、水ガラスをイオン交換樹脂又はイオン交換膜を用いて、水ガラス中のアルカリ分を除去して得られる活性シリカ、酸性水ガラスの酸根やアルカリ金属をイオン交換樹脂、イオン交換膜で除去して得られる活性シリカ、活性シリカを濃縮して造粒したコロイダルシリカ等があり、或いはこれらに水ガラスを混合したシリカ溶液でもよい。これらを用いることで、確実にゲル化させることができる。また、水ガラスに微量の酸を加え、コロイド化させたものを用いることで、ゲル化に要する時間を短縮することもできる。また、マイクロバブルグラウトのように水またはシリカ溶液に微粒子気泡を混入したグラウトを用いることもできる。また、活性シリカを水ガラスまたは苛性ソーダで安定化させて一週間放置、熟成し、コロイドとしたものを用いることもできる。
さらに、微生物と有機物を同時に注入することで、あるいは微生物が多く存在する地盤において施工する場合には、有機物を地盤中に注入することで、微生物の呼吸量、代謝量つまり二酸化炭素の発生量を調節し、シリカ化合物のゲル化を促進あるいは調節することができる。また、二酸化炭素や酸素等の気体を同時に注入することで微生物の代謝量を調整し、ゲル化を促進あるいは調節することが可能である。
シリカ化合物のゲル化促進或いは調整剤として、微生物に影響の少ないものを添加することで、ゲル化時間を調節することもできる。例としては、塩化カリウム、塩化ナトリウム等の無機塩や微量の酸、有機塩が挙げられる。また、カルシウム化合物やマグネシウム化合物などの多価金属化合物を添加することで、微生物の代謝で放出した炭酸ガスと多価金属化合物が反応して不溶性の多価金属炭酸塩を形成し、ゲル化時間を調整できるのみならず、注入材の強度を上げることもできる。また、微生物が活性化するpHに調整する必要があるため、少量のpH調整剤を用いても良い。
ブリージングが少ないポルトランドセメント、低アルカリセメント、フライアッシュセメント等のセメント類、ベントナイト等の粘土、カルシウムアルミネート、石膏、硫酸ナトリウムなどの無機硫酸塩を混合あるいは溶融したものや、スラグ、石灰等、繊維やセルロース、CMC等の高分子化合物、多糖類が挙げられる。
これらの組合せに微生物及び栄養源を混合したものを用いる。微生物は、上記生分解性プラスチック組成分を分解することができ、人体や環境に影響を与え難いものならば、いずれも使用可能である。特に、乳酸菌や納豆菌、パン酵母やビール酵母等の従来食品に利用されているものや、一般の地盤中に多く存在するもの、スタフィロコッカス属細菌、ペニバチルス属細菌、バチルス属細菌や、サーモアクチノマイセス属細菌、アミコラトプシス属放線菌、サッカロスリクス属放線菌、アクチノマデュラ属放線菌、ストレプトマイセス属放線菌などの放線菌なども利用できる。地中にて活性化する微生物として爆気、攪拌による空気を送る必要のない通性嫌気性菌である醗酵菌、腐敗菌を用いることもできる。また、圃場の土砂を採取してその混合液或いはその上澄液を用いても良い。乳酸菌による代謝では乳酸を生成することにより、pHを下げゲル化を促進或いは調節する。
生分解性有機物を分解可能な微生物は、植物の葉に生息する微生物が有効であり好ましい。菌類、細菌類を問わず何れでもよく、典型的には酵母、糸状菌、細菌である。
葉の表面に生息できる酵母の種類としては、例えば、Pseudozyma属(P.antarctica、P.ruglosa、P.parantarctica、P.aphidisなど)や、Cryptococcus属(Cryptococcus laurenti、Cryptococcus flavusなど)、その他、Rhodotorula glutinis、Rhodotorulamucilaginosa、Sakaguchia dacryoidea、Sporidiobolus pararpseusや、Ustilago maydisなどが知られている。上記酵母のうち、Pseudozyma属またはCryptococcus属の酵母が好ましい。例えば、Pseudozyma antarctica JCM3941、Pseudozymaantarctica JCM10317、Pseudozyma antarctica JCM3941、Pseudozyma ruglosaJCM10323、およびPseudozymaparantarctica JCM11752の酵母が挙げられ、Pseudozyma antarcticaJCM10317およびPseudozyma parantarctica JCM11752が特に好ましい。
上記糸状菌としては、例えば、Acremonium属、Alternaria属、Arthrinium属、Aspergillus属、Aureobasidium属、Cladosporium属、Epicoccum属、Exophiala属、Fusarium属、Leptosphaeria属、Paecilomyces属、Penicillium属、Phoma属、Trichoderma属、Pseudotaeniolina属、Ulocladium属、Phaeosphaeriopsis属、Galactomyces属の糸状菌が挙げられ、このうち、Cladosporium属、Penicillium属、Leptosphaeria属およびAlternaria属の糸状菌が好ましい。例えば、Alternariaalternata、Cladosporium cladosporioides、Cladosporium oxysporum、Penicilliumpinophilumの糸状菌が特に好ましい。その土壌の微生物を増殖させ、汚染物質を分解させる方法が利用されていることより、現地より採取した微生物から、目的の分解能を持つ微生物を単離培養し、利用することもできる。
微生物の栄養源とは、微生物によって代謝されるものであり、好ましくは土壌中の微生物によって代謝分解される糖類である。例えば、グルコースやフラクトースなどの単糖類、スクロース、マルトースあるいはガラクトースなどの二糖類、その他のオリゴ糖、デンプンやマルトデキストリンなどの多糖類、その他糖類を例示することができる。
栄養分として、グリオキザールや炭酸や酢酸等の有機酸エステル等、水ガラスの反応剤を用いることで、水ガラスのゲル化後の反応生成物を微生物の栄養源に利用すれば、強度増加と反応性生物の分解に役立つことができる。
上記多価金属化合物とは、塩化カルシウム等のカルシウム塩や塩化マグネシウム等の多価金属塩、カルシウム水酸化物等として微粒子石灰や、微粒子セメント、微粒子スラグ、石膏、炭酸カルシウム等が挙げられる。また、地盤中に含まれる貝殻等のカルシウムや、石灰等も反応に影響する。本発明においてシリカとカルシウムの併用は珪酸カルシウムの生成による強度増加をもたらす。
また、本発明において、シリカを使用しない場合は、土粒子間に炭酸カルシウムが沈積して水密性を付与することにより透水性が低下するが、ゲル化を伴わないため、何回も繰り返して注入することによって、止水性を向上させることができる。しかし、シリカを併用するとゲル化を伴うために1回の注入でも透水性の低下と固結が可能になる。勿論、何回も注入を繰り返せば、その改良効果は更に向上するので好ましい。
本発明に用いる固結材は、微生物もしくは微生物の栄養源以外の成分として、硬化剤を用いてもよい。硬化剤としては、重炭酸塩、塩化カルシウム、重硫酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、硫酸バンド、みょうばん等の無機塩、炭酸、炭酸ガス、炭酸水、硫酸、燐酸、塩酸等の無機酸類、酢酸等の有機酸類、ジアセチン、トリアセチン、エチレンカーボネート等のエステル類、グリオキザール、微粒子セメント等のセメント類、微粒子スラグ等のスラグ類、消石灰や苛性アルカリ等のアルカリ剤等が挙げられる。この組成物の併用方法としては、いかなる方法でもよいが、本発明にかかる注入液を注入する前後に浸透させて併用する。
〔施工法〕
本発明の方法は、カルシウム塩と、微生物もしくは微生物の栄養源またはその両方を地盤中に注入することが好ましい。外部から加えた微生物もしくはもともと地中に存在する微生物が代謝を行って二酸化炭素を放出し、その二酸化炭素が地盤に注入された二酸化炭素と反応して、炭酸カルシウムとなって析出する。析出した炭酸カルシウムが固化することで地盤が改良される。本発明の方法で使用可能なカルシウム塩としては、中性pH付近で水に溶解可能な塩であれば特に制限はないが、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
生分解性プラスチックを分解する微生物を含有する材料を本固結材に加えてもよい。これにより、微生物をあまり多く含まない土壌における施工においても、急速に分解を引き起こして固結することができる。上記微生物を含有する材料としては、環境に対する悪影響がなければ特に制限されないが、例えば、微生物が存在しているコンポスト、土、堆肥成分、埴土、微生物を含む分散液、有機物を分解する細菌や糸状菌等の微生物を多く含む醗酵堆肥などが挙げられる。醗酵堆肥としては、腐葉土、鶏糞等の微生物を多く含む材料を混入し、高湿度にて十分に微生物を培養させた土を用いることができる。また、堆肥を混ぜ流動性を持たせた微生物を含む分散液を、地盤固結材を注入の後、引きつづいて注入地盤付近の土に、注入することで、地盤内に生分解しやすい環境をつくって一層分解を促進することができる。また、微生物が生分解しやすいように時々空気を管内に送り込むことが好ましい。
シリカ含有生分解性有機物を用いた固結材
従来のシリカ含有固結材:シリカ+微生物+(栄養源)-->固結シリカ(シリカ化合物が水ガラス、活性シリカ、およびコロイダルシリカ)
微生物:微生物が乳酸菌、イースト菌、好気性菌および嫌気性菌の群
栄養源:微生物栄養源が単糖類、二糖類および多糖類
単糖類がグルコースまたはフラクトースであり、二糖類がスクロース、マルトース、またはガラクトースであり、多糖類がオリゴ糖、でんぷんまたはマルトデキストリンである、さらにカルシウム化合物、栄養分(栄養源)、二酸化炭素、ゲル化調整剤の一種または複数を注入することで、ゲル化時間の調整や改良地盤の強度増加をすることができる。
本発明は上述のとおり、シリカ化合物および微生物を注入等によって地盤中に投入する。投入された微生物は地盤中に存在する有機物等の栄養源を代謝作用によって分解し、二酸化炭素を発生する。シリカ化合物はこの発生した二酸化炭素により硬化し、地盤を固結して地盤改良する。
本発明に用いられるシリカ化合物としては、水ガラス、活性シリカ、シリカコロイド、ホワイトカーボン、多孔質シリカ等が挙げられる。また、微生物としては、人体や環境に影響を与えにくいものならば、使用可能である。特に、乳酸菌やイースト菌等、従来より食品に利用されているものや、好気性ないしは嫌気性条件下で炭酸ガスを発生する微生物であって、地盤中に多く存在するものであれば良い。また、自然界に存在する微生物であってもよい。
通常、一般の土壌には1g当り107~109個の微生物が存在しており、細菌、真菌、藻類、原生動物、藻等が挙げられる。そのうち、本発明に有効に働く微生物としては糖、脂肪族、乳酸のエーテル結合やエステル結合を加水分解する酵素をもつセルロース分解菌が特に有効である。
地中で活性化する微生物としては爆気、攪拌による空気を送る必要のない通性嫌気性菌である醗酵菌、腐敗菌を用いることもできる。特に酵母菌、乳酸菌はアンモニア、メタン等の有毒物質を生成せず、同時に注入する堆肥中の有機物を用いて増殖し代謝を促進する働きを持つ。
特に、ラクトバチルス(乳酸菌)のような嫌気性菌は全て無胞子の嫌気性菌であって、酵素を消耗しない状態でアルコールや有機酸を生成する。好気性担子菌や、糸状菌は地表面から1~10cm位にある土中の草木を腐らす。また、ラクトバチルス菌群は表層、中層、下層に分布される。
したがって、本発明ではたとえ空気が殆どない地中5~10m、あるいはそれ以深に埋設されていても、同時にこれらの嫌気性菌を注入し、あるいは填充することにより、二酸化炭素を発生し、シリカ化合物を固化せしめることができる。上述菌として、具体的には、ラクトバチルスで醗酵させた植物性有機物(油かす、米ぬか)、動物性有機物、あるいは植土、汚泥、コンポスト等、植物繊維の腐蝕したもの、あるいは醗酵したもの等が使用される。
上述の栄養分とは微生物の栄養源となるものであり、これをシリカ化合物や微生物とともに地盤中に投入してもよい。この具体例としては、土壌中の微生物によって代謝分解される糖類であり、例えばグルコースやフラクトースなどの単糖類、スクロース、マルトースあるいはガラクトースなどの二糖類、その他オリゴ糖、でんぷんやマルトデキストリンなどの多糖類、その他の糖類を例示することができる。なかでも、幅広い、微生物によって容易に代謝されるグルコース、あるいはスクロースの利用が好ましい。
さらに、本発明は多価金属化合物を併用することもできる。この多価金属化合物は二酸化炭素と反応して不溶性の多価金属炭酸塩を生成し、シリカ化合物のゲル化反応を調整し、かつ、固結物の強度を増強する。上述の多価金属化合物としては、塩化カルシウム等のカルシウム塩や塩化マグネシウム等の多価金属塩、カルシウム水酸化物、微粒子石灰や、微粒子セメント、微粒子スラグ、石膏、炭酸カルシウム等が挙げられる。また、地盤中に含まれる貝殻等のカルシウムや石灰等も反応に影響する。
さらに、本発明はシリカ化合物のゲル化調整剤を併用することもできる。ゲル化調整剤としては、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等の無機塩、微量の酸、有機塩等が挙げられる。また、酸性溶液に用いる酸としては、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸、スルファミン酸等の無機酸、クエン酸などの有機酸および、これらの混酸やこれらの塩を用いることができ、pHを調整できる酸であれば限定されない。また、酸として作用する塩(例えば塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等)を用いることができる。また任意の塩やアルカリやpH調整剤を添加剤としてゲルタイムを調整したり、強度をすることができる。シリカ溶液としては、水ガラスや活性シリカ、コロイダルシリカ、金属シリカ、地熱水由来のシリカやこれらの一種または複数種を用いることが可能である。
本発明において、使用する水ガラスの種類や濃度、モル比も限定されない。
本出願発明は生分解性プラスチックの注入管の土中バクテリアによる分解が基本になっているので、以下に本出願人による試験結果を示す。
〔試験1〕
1.試験方法
(1)土中への浸透試験は、30cmのプラスチック製モールドに、5号珪砂を10cm充填した(相対密度60%、透水係数=1.5×10-2cm/s)。図14の装置を用い次いで、200mlの水を自然流下させた。
次に、塩化カルシウム溶液200mlを自然流下させ、ほぼ終了した時点で、注入液を200ml注入した。また、繰り返し法として同様に行ったものにさらに5回塩化カルシウムと注入液の注入を繰り返した。
2.圧縮強度の測定
上記の実験(浸透試験)で得られた固結体(サンドゲル)固結体をモールドから脱型し、所定日数に養生した後、一軸圧縮強度を測定した。
3.試験結果
土中への浸透試験では注入後は62kN/m2であった。土中への浸透試験の繰り返し法では519kN/m2まで向上していることがわかった。
〔試験2〕
塩化ビニール管、紙と乳酸ポリマーの混合物を素材とした管、脂肪族ポリマー管の土中埋設試験を以下の条件で行った。
1.試料
(1)塩化ビニールを素材とする土中埋設管。
(2)紙と乳酸ポリマーの混合物を素材とする土中埋設管(生物分解性プラスチックス管)。
(3)脂肪族ポリエステルを素材とする土中埋設管(生物分解性プラスチックス管)。
2.試料サイズ
外径50mm、肉厚2.5mm、長さ500mmの土中埋設管。
3.試験条件
(イ)農芸用堆肥に埋設。地表近く、微生物の多く住む土壌を想定。
(ロ)豊浦砂に埋設。地下5m以深の砂を多く含む土壌を規定。
(ハ)管内に農芸用堆肥を詰めたものを豊浦砂に埋設。内部に微生物を多く含む材料を注入したり、填充することを想定。
(ニ)埋設条件58℃を一定に保つ。水分含有60%、暗所に静置。
(ホ)埋設期間約120日
4.実験結果
管内に農芸用堆肥を詰めたものを豊浦砂に埋設した上述(ハ)の条件では、紙と乳酸ポリマーの混合物を素材とする上述試料(2)および脂肪族ポリエステルを素材とする上述試料(3)の両試料共、84日~119日で力を加えると崩壊するまでに分解が進んだ。
試験結果を表1に示す。表1から、農業用堆肥に埋設した上述試験(イ)では、塩化ビニールを素材とする従来の土中埋設管はほとんど変化がないことがわかる。それに対して、紙と乳酸ポリマーの混合物を素材とする生物分解性プラスチックス管、および脂肪族ポリエステルを素材とする生物分解性プラスチックス管は短期間で容易に分解されていることがわかる。さらに、豊浦砂に埋設した上記試験(ロ)では、生物分解性プラスチックス管であっても分解が極めて遅いことがわかる。さらにまた、管内に農業用堆肥を詰めたものを豊浦砂に埋設した上記試験(ハ)では、農業用堆肥に微生物を含有するため、微生物の殆どない土中でも急速に分解が進むことがわかった。
〔試験3〕
塩化ビニールを素材とする土中埋設管および紙と乳酸ポリマーの混合物を素材とする土中埋設管について、破壊試験を以下のとおりに行った。
1.試料
(1)塩化ビニールを素材とする土中埋設管(試料A)。内径40.2×外径44.07×高さ101.67(mm)
(2)紙と乳酸ポリマーの混合物を素材とする土中埋設管(生物分解性プラスチックス管)(試料B)。内径40.38×外径45.33×高さ96.52(mm)
2.試験方法
注入管を縦方向に半分に切断し、一軸圧縮機により横方向から圧力をかけ、管を破壊する。その時の圧縮力、破壊形状を観察する。
3.試験結果
塩化ビニールを素材とする注入管と、紙と乳酸ポリマーの混合物を素材とする注入管を縦方向から半分に切断し、一軸圧縮機により管に横方向から圧力を加えた。
塩化ビニールを素材とする注入管と、紙と乳酸ポリマーの混合物を素材とする注入管を横方向から一軸圧縮機により圧力を加えた。塩化ビニールを素材とする注入管は約300kgf/cm以上の圧力を加えると、圧力を受けた点より横に変形し、管自体が破壊されることは無かった。一方、本発明である紙と乳酸ポリマーの混合物を素材とする注入管は、約300kgf/cm以上の圧力を加えると圧力を受けた点に亀裂が入り割れた。
これより、歪みの小さい領域で大きな破壊強度を得ることが判る。したがって、埋設管として充分な強度を持ちながら、掘削に際して、小さな歪みで破壊することが判る。このため掘削に容易に粉砕される土中埋設管となることが実証された。
〔試験4〕
生分解注入管の分解を、各注入材もしくはグラウトとの組み合わせによる埋設試験により試験した。紙と乳酸ポリマーの混合物、脂肪族ポリエステルポリマー、塩化ビニール、を素材とした注入管の埋設試験を行った。模擬地盤に埋設した注入管の周辺に、生分解性プラスチックを分解可能な微生物、微生物の栄養源、微生物と微生物の栄養源を含む注入材や孔壁防護材を注入管周辺に埋設し、注入管の分解の様子を観察した。
各グラウトの配合は下記に示す。
シリカ系微生物グラウト、カルシウム系微生物グラウト、及びシリカ系グラウトと栄養源は砂300gに対し、グラウト100mlの割合で混合した。注入管は、長さ100mm、外径50mm、管厚2.5mmのサイズのものを用いた。埋設した試験管は、58℃、水分含有100%で暗所にて約120日静置した。分解の度合いは目視による外観観察とペネトロ計による針貫入試験を行って評価した。
結果を下記表5まとめた。
(グラウトの配合)
[砂]:園芸用川砂。滅菌したイオン交換水にて表面に薄く水の層ができるほど、水を加えた。
[シリカ系微生物グラウト]:下記表2に記載の通り。シリカ化合物として、市販コロイダルシリカ(SiO濃度30.0重量%、pH10付近、粒径10~20nm)を用いた。
[カルシウム系微生物グラウト]:下記表3記載の通り。一次注入材(カルシウム源)として用いられている低アルカリセメント(商品名:ジオパックグラウト、強化土エンジニヤリング株式会社製)を用いた。
[シリカ系グラウトと栄養源]:下記表4記載の通り。シリカ化合物として、市販コロイダルシリカ(SiO濃度30.0重量%、pH10付近、粒径10~20nm)を用いた。
実験より、生分解性注入管を模擬地盤に埋設していないもの(比較例4、5)や、砂地盤に埋設したもの(比較例1、2)に比べ、微生物を含むグラウトに埋設した実施例1において60日、120日経過後ともに強度低下が早く起こった。また、参考例2の結果から明らかなように、栄養源のみでも強度低下がおきた。平板法により微生物の数を測定した結果、栄養源注入前の地盤に比べカビと放線菌が共に約104~8倍に増加したことから、微生物の代謝が活性化して、分解を促進していると考えられる。塩化ビニールからなる注入管である比較例3では、シリカ系微生物グラウトに埋設したものであっても120日後においても強度低下が見られなかった。
その後、土槽中で生分解性注入管を埋設したままにし、1年後に掘り出し外観の観察および、ペネトロ計での針貫入試験を行った。実施例1は外観が茶色に変色し、指で押すと柔らかく、針貫入試験の結果が15.3N/mmだったのに対し、比較例1は外観が薄茶色で針貫入試験の結果が28.6N/mmだった。
〔試験5〕
〔炭酸ガスとシリカ化合物の反応実験〕
試験管にシリカ化合物としてコロイダルシリカ、活性シリカ、水ガラスをそれぞれ10mlとり、炭酸ガスをホースにて送った。炭酸ガスはドライアイスを気化させたものを用いそれぞれ室温、大気下で24時間静置した。24時間後、すべてのシリカ化合物にゲル化が見られた。
水ガラス:比重(20℃)1.32、SiO濃度25.5%、NaO濃度7.23%、モル比3.75、PH11.5のものを使用。
コロイダルシリカ:陽イオン交換樹脂で処理した水ガラス水溶液にアルカリを添加し、加熱して縮合安定化せしめ、濃縮した無水珪酸のこう質溶液であって、SiO:約30%、NaO:0.7%以下、比重(20℃):1.21~1.22、PH:9~10の物性を呈するコロイダルシリカ。
活性シリカ:JIS3号水ガラスを水で希釈した液を陽イオン交換樹脂に通過して処理し、得られるPH2.7、比重1.03、SiO=4.0%の活性シリカ。
〔試験6〕
〔イースト菌とシリカコロイドのゲル化〕
試験5にて使用したシリカコロイドに微生物を加えた時のゲル化の有無を調べた。シリカコロイド10mlに微生物としてイースト菌(日清フーズ株式会社製、日清スーパーカメリヤ)0.6g,栄養源としてグルコースC12 0.3gの配合にて、ねじ口試験管に加え、よく混合し、室温、大気下で24時間静置した。24時間後に試験管を上下に倒置してゲル化の有無を確認した。
イースト菌無添加の比較例1、2ではゲル生成物は認められなかったが、イースト菌を含む実施例1、2では試験管を倒置しても内容物が落下せず微生物によるシリカコロイドのゲル化が確認された。また、実施例2のコロイダルシリカに微生物のみを加えた試験管では一部にゲル化が見られたのに対し、実施例1のコロイダルシリカに微生物と栄養源を加えた試験管ではコロイダルシリカ溶液全体がゲル化したことから、微生物の代謝によって放出した炭酸ガスがゲル化にあずかり、特に栄養源によってゲル化を促進できることがわかった。
〔試験7〕
シリカ化合物に微生物、カルシウム化合物、ゲル化調整剤を反応させる実験を行った。
(1)使用材料
水ガラス:試験5で使用したもの。
コロイダルシリカ:試験5で使用したもの。
微生物:イースト菌(日清フーズ株式会社製、日清スーパーカメリヤ)
栄養源:グルコース
4%AS:上記水ガラスにゲル化調整剤として少量の75%リン酸を加えてシリカ濃度4%に調節したもの。
8%AS:上記水ガラスにゲル化調整剤として少量の75%リン酸を加えてシリカ濃度8%に調節したもの。
表7に示す配合にて24時間後のゲル化の有無の観察を行った。
1.コロイダルシリカにイースト菌を加えたものは(No.1)は、1000分以内にゲル化が見られた。またグルコースの量を増やした配合(No.2)も1000分以内にゲル化が見られた。
2.水ガラスにイースト菌を加えたもの(No.3)はイースト菌が溶解せずゲル化しなかった。イースト菌を水で希釈し水ガラスに加えた配合(No.4)は1000分以内にゲル化せず約4000分でゲル化した。
3.シリカ濃度4%、8%に希釈した水ガラスに少量の75%燐酸を加えた配合(比較1、2)は1000分後にはゲル化しないが、イースト菌とグルコース、水を加えると約200分でゲル化した(No.5、6)。
以上より、次のことが検証された。
1.コロイダルシリカにイースト菌を加えると配合後微生物の代謝により二酸化炭素が発生し、薬液中のPHが低くならためにゲル化する。
2.水ガラスそのものにはイースト菌が溶解しにくいためゲル化しにくい。
3.希釈した水ガラスはイースト菌を加えてもゲル化するが、ゲル化時間が長くなる。
4.希釈した水ガラスに少量のゲル化調整剤を加えたものにイースト菌を加えると、イースト菌を加えないときと比べ、あるいは希釈した水ガラスにイースト菌を加えた時と比べ、ゲル化時間を短くすることができる。
多価金属化合物を併用し、この多価金属化合物と二酸化炭素が反応して、不溶性の多価金属炭酸塩を生成し、シリカ化合物のゲル化時間を調整し、かつ固結物の強度を増強する多価金属化合物がカルシウム塩、多価金属塩、カルシウム水酸化物、微粒子石灰、微粒子セメント、微粒子スラグ、石膏、および炭酸カルシウムの群から選択される一種または複数種カルシウムを含む地盤中に微生物、微生物の栄養源としての有機物およびアルカリ土金属化合物を投入し、地盤中のアルカリ土金属が反応して地盤を固結する微生物は次式に示されるとおり、代謝活動において有機栄養源から二酸化炭素を生じる。

このとき土壌中に溶解しているカルシウム、あるいは地盤中に注入したカルシウムと微生物の発生した二酸化炭素が反応し、次式のとおり、土粒子間に炭酸カルシウムを析出・沈澱し、地盤を硬化する。
そこで、カルシウムを含む地盤においては、地盤中に微生物を注入することで、微生物の排出する二酸化炭素により、地盤中のカルシウムが析出し地盤を固結することができるさらに有機栄養源を注入することで有機栄養源の種類や量により微生物の代謝速度が変化し、二酸化炭素の排出量の変化に伴いカルシウム塩の析出量が変化することから、地盤の硬化時間および、強度を調整できる。地盤においてカルシウム溶解量が少ない場合や、地盤を高強度に改良する場合においてはさらにアルカリ土金属化合物を地盤中に注入しカルシウム塩の析出量を多くすることもできる。
また、微生物の多く存在する地盤においては、有機栄養源により地盤中の微生物の代謝を調整することにより、地盤中のカルシウムや注入したカルシウムと反応し、カルシウム塩を析出させることができる。
本発明の地盤改良方法はカルシウムを含む地盤中に微生物を投入し、微生物の代謝作用により生成した炭酸ガスとカルシウムが反応して地盤を固結することに存する。
さらに、本発明の地盤改良方法はカルシウムを含む地盤中に微生物、微生物の栄養源としての有機物およびアルカリ土金属化合物を投入し、地盤中のアルカリ土金属が反応して地盤を固結することに存する。
本発明におけるカルシウムを地盤とは、貝殻や石灰等が地盤中に存在し、あるいは溶解してカルシウムイオンとして地盤中に存在しているものである。また、本発明におけるアルカリ土金属化合物とはアルカリ土金属の塩化物、微粒子石灰、および微粒子セメント群の中から選択される一種または複数種であり、好ましくは水溶性化合物である。また、炭酸カルシウムには3つの異なった結晶形(カルサイト、アラゴナイト、バテライト)があり、常温・常圧のカルシウム溶液中からは通常カルサイトが析出するが、Mg2+やある種の有機成分を溶液中に少量添加すると、アラゴナイトやバテライトが析出する。アラゴナイトやバテライトは結晶が成長する際に顕著な方向性を有しているため、炭酸カルシウムの結晶形態を制御することができれば地盤の力学特性や水理学特性の異方性を比較的自由に制御できる可能性がある
本発明に用いられる微生物は人体や環境に影響を与えにくいものならば、使用可能である。特に、乳酸菌やイースト菌等の従来から食品に利用されているものや、一般の地盤中に多く存在するものも利用できる。また、アンモニアからの硝化により硝酸カルシウムを析出させることもでき、施工地盤によって微生物の使い分けが可能である。
また、本発明により析出するカルシウム塩とは炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム等で、注入する微生物や地盤に生息する微生物に影響される。有機栄養源とは微生物の栄養源となるものであり、好ましくは土壌中の微生物によって代謝分解される糖類である。例えば、グルコースやフラクトースなどの単糖類、スクロース、マルトースあるいはガラクトースなどを用いても良い。
また、特許文献3には、ウレアーゼ酵素による尿素の加水分解を用いて炭酸塩を沈殿させることによって地盤改良を行うセメント工法において、(1)ウレアーゼ産生微生物と、(2)尿素と、(3)第1金属イオンとしてカルシウムイオンと、(4)マグネシウムイオン、鉄イオン及びストロンチウムイオンから選ばれる1種又は2種以上の第2金属イオンとを、(3)第1金属イオンに対する(4)第2金属イオンのモル比として第1金属イオン/第2金属イオンが9/1~1/9となるように反応液中で反応させて炭酸塩を生成することを特徴とするセメント工法が開示されている。
一方、地盤への薬液注入による地盤改良における薬液の注入方法として、加圧注入、減圧注入といった強制注入の他、重力や水頭差による自然浸透が知られている。例えば、特許文献3で特許文献1として引用している特表2008-508450号公報には、石灰化細菌を重力により注入することが記載されている。また、特許文献3で特許文献4として引用している特開2011-218251号公報には、有孔管(注入管)とその直上部に設けた栄養材の貯蔵タンクからなる注入井戸において、貯蔵タンクから地下水面までの水頭差に応じた圧力で、栄養材が有孔管に供給されることが記載されている。
細菌や微生物を培養する場合、一般的に、図13に示すような増殖曲線を描く。静止期培養の細胞を同じ組成の新鮮培地に移すと、増殖開始可能となる前に細胞の化学組成に変化が起る。この適応の時期が遅滞期である。次に細胞は対数的に増殖するが、この時期が対数増殖期である。しかし、細菌集団の増殖は普通の場合、利用可能な栄養源の消耗によるか、さもなければ有毒代謝物の蓄積によって制限され、増殖し続けることはない。増殖速度が低下し、ついには増殖停止する。このような時期が静止期である。非増殖状態に置かれた細菌細胞は、細胞内エネルギー貯蔵物の欠如等によりついには死滅し始め細菌集団における生細胞数は減少する。この時期が死滅期である。
石灰化細菌を地盤注入材として用いる場合、できるだけ数多くの細菌を生きた活性状態で用いるのが好ましいことは言うまでもない。具体的には、図13の増殖曲線において、対数増殖期の後半から静止期の範囲にある石灰化細菌である。したがって、本発明では、施工現場での石灰化細菌の培養による増殖は、該範囲に達するまで行うのが好ましい。
石灰化細菌を培養し増殖させるには、本来、温湿度が管理された屋内の培養器で行うのが好ましい。施工現場は屋外であるため天候や気候の影響を直に受ける。石灰化細菌の培では特に培養温度が重要であるため、施工現場で培養する場合でも、培養液の温度を20~37℃にしておくのが好ましい。したがって、外気温が20℃以下となる冬場等でも前記範囲の温度が保てるよう、培養タンクは、培養液を加温できる加温手段を備えたものであるのが好ましい。
石灰化細菌による尿素の加水分解と、該加水分解により生成する炭酸イオンとカルシウム源(塩化カルシウム)からのカルシウムイオンとの反応による石灰化(炭酸カルシウムの形成)は次式で表すことができる。
図13は、細菌培養の一般的増殖曲線を示す図である。該増殖曲線については、前述の通りである。本発明では、施工現場で培養し増殖させた石灰化細菌は、図中の太線で示す対数増殖期の後半から静止期の範囲のものを用いるのが好ましい。この範囲のものを用いて地盤注入材を製造すれば、高品質の地盤注入材が得られる。
地盤注入材の製造は、次のようにして行った。まず、培養液中での石灰化細菌の培養・増殖を行ったが、該培養・増殖は、培養タンク(A)内に、栄養源として無菌水1リットル当たり、ヘプトン1g、ブドウ糖1g、塩化ナトリウム5g、リン酸水素二ナトリウム1.2g、リン酸二水素カリウム0.8gを添加したものを100リットル入れ、攪拌翼9で攪拌後、更に、40%尿素溶液5ml/リットルと、石灰化細菌としてS.パストゥリ1g/リットルを添加して48時間攪拌して行った。なお、培養・増殖は25~35℃の範囲で温度調整して行った。
その後、更に、上記培養液に上記栄養源と尿素溶液を上記割合で合せて100リットル添加し、カルシウム源として酢酸カルシウム2kgを添加して攪拌し、地盤注入材12を得た。
(特許文献2の特許第4709201号公報 (シリカ化合物+微生物)+地盤中に存在する微生物-->炭酸カルシウム+栄養物)
単糖類、二糖類および多糖類の群から二酸化炭素、炭酸水、または酸素多価金属化合物
単糖類としてはグルコースやフラクトース、二糖類としてはスクロース、マルトース、ガラクトース、多糖類としてはオリゴ塘、でんぷん、マルトデキストリン等が挙げられる。二酸化炭素、炭酸水、または酸素を併用して前記有機物の代謝作用の調整、およびシリカ化合物のゲル化時間の調整多価金属化合物多価金属化合物と二酸化炭素の反応により、不溶性の多価金属炭酸塩を生成し、シリカ化合物のゲル化時間を調整し、かつ固結物の強度を増強することができる。
微生物の栄養源を用いる場合、栄養源はシリカ化合物や微生物とともに地盤中に投入してもよい。栄養源の具体例としては、土壌中の微生物によって代謝分解される糖類であり、例えばグルコースやフラクトースなどの単糖類、スクロース、マルトースあるいはガラクトースなどの二糖類、その他オリゴ粧、でんぷんやマルトデキストリンなどの多糖類、その他の糖類を例示することができる。なかでも、幅広い、微生物によって容易に代謝されるグルコース、あるいはスクロースの利用が好ましい。
さらに、本発明は多価金属化合物を併用することもできる。この多価金属化合物は二酸化炭素と反応して不溶性の多価金属炭酸塩を生成し、シリカ化合物のゲル化反応を調整し、かつ、固結物の強度を増強する。上述の多価金属化合物としては、塩化カルシウム等のカルシウム塩や塩化マグネシウム等の多価金属塩、カルシウム水酸化物、微粒子石灰や、微粒子セメント、微粒子スラグ、石膏、炭酸カルシウム等が挙げられる。また、地盤中に含まれる貝殻等のカルシウムや石灰等も反応に影響する。
〔斜面安定化に適用する例〕
本発明は地盤安定化工法に適用することができ、特に斜面の安定や液状化対策工等の地盤の安定化に適用され、地震時や大量降雨時の地滑り災害を防止することができる。
図1(a)、(b)は崩落しやすい地山斜面の安定化の例である。
図1(a)は注入管3から本固結材を浸透させて、地山内部に広範囲に固結領域5を形成した例である。
図1(b)は中空の地山補強材4を打ち込み、先端部から本固結材を地山深部に浸透させて固結領域5を形成した例である。
図1(b)の補強材4は、固結材の浸透が不完全な地表面部の斜面1近くを安定化して、本固結材により深部の土留構造物背部を固結した例である。また補強材同志を地表面で連結することにより、さらに斜面を安定化することができる。
図1(c)は土留構造物が盛土補強土工法としての適用例である。盛土補強土工法では長年を経ると壁面6の背部に水みちができ、或いは補強材の壁面との連結部劣化により、或いは地震により壁面変化が生ずる可能性がある。その補強のために通常の注入材を加圧注入すると壁面の変位が生ずる危険があるので、本固結材を壁面背部8に浸透させて固化したり、或いは補強土背部5、或いは前面の基礎部9を、注入管3を通して浸透固結して補強土全体を補修することができる。これによって、本固結材の浸透固結と共に地山斜面全体を安定化することができる。
〔谷埋め盛土の安定に適用する例〕
〔図2の説明〕
図2(a)~(g)は谷埋め盛土への適用例を示しているが、不安定な盛土斜面、地山斜面、或いは産廃土を積み上げた斜面等でも同様である。
近年、谷間の原地盤Aの上に盛土をして宅地や工場建設地、あるいは道路などの用地を確保する谷埋め盛土が一般に行われている。谷埋め盛土によって造成された盛土地盤は、原地盤Aと盛土地盤Bの地盤性状が自ずと異なり、特に原地盤Aは盛土地盤Bに比べてかなり固いため地下水を通しにくく、地下水が原地盤面との境界部分Cの上を流れていることが予測される。このため、原地盤Aと盛土地盤Bとの境界面のせん断強度は小さく、地震などで外力が加わると盛土地盤B全体が原地盤Aとの境界面で地滑りを起しやすい。
特に、大雨が降った後などには、斜面に浸透した大量の雨水が、斜面の内部の地山の上を上流から下流側へ地下水となって流れることが予測されるため、斜面地盤が飽和状態になり、地盤強度の低下等を来し、境界面付近で大規模な地滑り災害に発展するおそれがある。
従来、このような地滑り災害を未然に防ぐ方法として、排水工法、アンカー工法やセメント注入等が一般に知られている。
従来、盛土地盤中に固化材を注入して地盤の一部を改良する固結方法や排水孔による排水方法なども知られているが、盛土地盤そのものの地盤強化は部分的には図れても、原地盤Aと盛土地盤Bとの境界附近で発生する盛土地盤全体の地滑り災害を防ぐには不充分であった。
しかし、固結方法は、不透水性となるために地下水を貯留する効果になり、かつ不安定な斜面上における作業性や斜面上にある人家などの生活圏内における作業が通常の生活環境を妨げることになるので、好ましくない。また、排水孔を設けるための作業時においても同様の問題が生ずる。
本発明は、特に地下水により飽和状態にあって地滑りを発生しやすい原地盤と盛土地盤との境界部分に炭酸カルシウムを形成することにより、大規模な地滑り災害を確実に阻止することができる。
また、図2(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、原地盤Aと盛土地盤Bとの境界部分Cに、本固結材の炭酸カルシウムによる固結領域5を形成した状況を示す。図2(a)は上流側から固結材を自然流下した例を示す。図2(a)、(c)は原地盤にそって注入管3を介して固結材を注入してもよい。その場合、曲がりボーリングにより削孔して、削孔内に設けた注入管を介して本固結材を注入しても良い。また本固結材の組材を別々に重ね合わせて流下してもよいし、また繰り返し注入しても良い。また、図2(b)は、下流側から注入管3を通してポンプで注入して炭酸カルシウムを形成した図を示す。図2(d)、(e)は炭酸カルシウム固結領域の形成5と排水孔6を設けた例を示す。
また、図2(e)は、上流側と下流側から炭酸カルシウムの固結体を形成した例を示したものである。上流側は自然流下によって、下流側は注入ポンプによる。
図2(f)は、盛土地盤Bの下流側に擁壁10を上流側方向に階段状に構築し、各擁壁10から盛土地盤B内を、注入管3を介して本固結材を注入して固結する方法である。また、図2(g)に図示する方法は、盛土地盤Bに井戸12を設け、当該井戸12から盛土地盤B内に横ボーリング孔を削孔して、注入管3から固結材を注入して炭酸カルシウムを形成する方法である。勿論、井戸12から本固結材を自然浸透させても良い。また、図2(b)は注入管3を通して本固結材を注入して固結壁状の固結領域を形成した例であり、図2(b)、(d)は斜面に補強材4を打ち込んで補強材の先端部から本固結材を浸透又は注入した例を示す。
いずれの例においても、固結領域5は、盛土地盤Bの原地盤Aとの境界部分Cに下流側から上流側方向にボーリング孔を削孔し、当該ボーリング孔からボーリング孔周囲の地盤中に固化材を注入することにより、ボーリング孔周囲の地盤を広範囲に渡って固化することにより固結領域5を形成されている。また上記において、ボーリングは誘導式曲がりボーリングを用いても良い。
このように、原地盤Aと盛土地盤Bとの境界部分Cに炭酸カルシウムの固結体5を形成して、盛土地盤Bの地滑りを未然に阻止することができる。また、各排水孔6と6の間に固結体5による地盤改良部を形成することで、境界部分Cの地盤の安定化を高めることができ、特に大雨時の地滑り災害も確実に防止することができる。
排水孔6の形成に関しては、ケーシングによるボーリング孔内に孔開きパイプ(図省略)を、下流側から上流側方向に連続して挿入する。また、これと並行してケーシングを引き抜く。以上の方法により、原地盤Aと盛土地盤Bとの境界部分Cに原地盤Aの傾斜方向に連続する排水孔6を形成することができる。
〔谷埋め盛土の地盤安定〕
近年、豪雨や地震発生に伴う谷埋め盛土部の大規模な地すべりが懸念されている。
谷埋め盛土部は在来の谷部に盛土を行うことで、住宅地或いは工場建設地等を確保している。在来地盤と盛土とでは地盤の性状が自ずと異なり、地震等により外力が加わると在来地盤と盛土との境界面において谷部全体に地すべりが発生する恐れがある。
ここでは、上記の地すべりの発生を未然に防止するための対策工として、
1)本固結材による地盤強化法
2)地下水位低下法
を説明する。注入管の設置においては通常のボーリング工でも良いし、誘導式曲線ボーリング工法を用いて施工することができる。
対策工
1)地盤強化法
地震等により外力が作用すると在来地盤と盛土との境界部分で地すべりが発生し、盛土部が境界面に沿って滑り落ちようとする。この対策工として境界部付近を本固結材により地盤強化することで、すべり防止を図るものである(図3(a))。
2)地下水位低下法
谷埋め盛土部は上流側から下流側に向けて地下水が常に流れていると思われる。この地下水により盛土部が飽和状態になると浸透圧・盛土重量の増加、地盤強度の低下等によりすべり崩壊を起こしやすくなる。この対策として地下水を強制的に排除することで地盤が飽和状態になることを防止し、地盤の安定化を図ろうとするものである(図3(b))。
上記1)および2)の対策工を検討するに当たり、モデル地盤を以下のように仮定する。
次に、炭酸カルシウムの形成による斜面の地盤安定化方法の検討結果について説明する。 検討対象の谷埋め盛土の規模を次のとおり仮定した。
モデル地盤の仮定(図4)
1)設定条件
対象となる谷埋め盛土の規模を次のとおりとする。
断面図を図4(a)、平面図を図4(b)に示す。
盛土高さ:5.0m
盛土長さ:200.0m
盛土幅:50.0m
盛土傾斜角:10度
2)地盤条件
盛土の土質条件を次のとおりとする。
・単位体積重量:γ=17kN/m
盛土部は地震等により外力が作用することにより、在来地盤との境界面に沿ってすべり落ちようとする。これをすべり面上に作用する「すべりを起こそうとするせん断力」という。一方すべり面にはこれを阻止しようとする力、「せん断抵抗力」が作用する。対象地の現状は両者が釣り合った状態(限界状態)にあるものと仮定する。すなわち安全率をFs=1.0と仮定して対策工を検討する。
地盤強化法の検討(図5)
1)せん断力とせん断抵抗力
検討は、図5の奥行き単位幅(1m)当りで行う。
図5において、すべりを起こそうとするせん断力(W・sinθ)とせん断抵抗力(τ・l)が釣り合っていると仮定する。
Fs=(τ・l)/(W・sinθ)=1.0 (Fs:安全率) ・・・式(1)
式1から盛土下部境界面のせん断抵抗τを求める。
(τ・l)/(W・sinθ)=1.0
τ・l=τ×203kN/m=203.2kN/m
W・sinθ=200.0m×5.0m×17kN/m×sin10°
=2958kN/m
Fs=1.0より、
(τ・l)/(W・sinθ)=(203・τ)/2958=1.0
τ=2958/203=14.6kN/m
〔地盤強化法の検討〕
前述のとおり、現状で滑動せん断力とせん断抵抗力が安全率(Fs)1.0で、釣合った状態を固結材の注入により地盤を強化してその安全率を高め、地盤の安定化を図ることとする。本固結材としてバイオグラウト(強化土エンジニヤリング株式会社の登録商標第4979671号)を用いることとして検討する。
栄養源として無菌水1リットル当たり、ヘプトン1g、ブドウ糖1g、塩化ナトリウム5g、リン酸水素二ナトリウム1.2g、リン酸二水素カリウム0.8gを添加したものを100リットル入れ、攪拌翼で攪拌後、更に、40% 尿素溶液5ml/リットルと、石灰化細菌としてS.パストゥリ1g/リットルを添加して48時間攪拌して行った。なお、培養・増殖は25~35℃の範囲で温度調整して行った。
その後、更に、上記培養液に上記栄養源と尿素溶液を上記割合で合せて100リットル添加し、カルシウム源として酢酸カルシウム2kgを添加して攪拌し、バイオグラウトとした。このバイオグラウトを10回地盤に注入を繰り返し、以下の試験結果を得た。
図1~3に地盤強化法、地下水位低下法の概念図を示す。
〔改良範囲の検討〕
注入工法によって、バイオグラウトで改良した改良地盤のせん断抵抗(τ´)を次のとおりとする。
(注)バイオグラウトによる改良地盤のせん断強度は繰り返し注入により、ここでは実際の現場での施工条件および地盤条件等が明確でないことから、安全性を考慮し、τ´=250kN/mとして検討する。
地盤強化の場合、ボーリングの精度性能を考慮して谷下側50m、谷上側50m、合計100mの改良とする。1ステージの改良体は地盤の浸透性によって異なるが、ここでは直径2.0mの球状改良体として改良範囲を検討する。
安全率Fs=1.5(図6(b))に改良する場合、改良面積比率をμとする。
Fs=(τ・l)/(W・sinθ)=1.5
から、
[{μ×τ´+(1-μ)×τ}×203]/2958=1.5
これに、τ=14.6kN/mを代入
4437=203μτ´+2964-2964μ
4437=(203μτ´-2964)μ+2964
μ=1473/(203τ´-2964) ・・・式(2)
式2に改良地盤のτ´(=250kN/m)を代入してμを算定すると次のようになる。
表9に示すようにバイオグラウトを用いると改良面積比率にして3.1%以上を改良することで、安全率Fs=1.5を確保できることになる。したがって、今回は改良面積比率5%に設定する(改良面積比率を5%にすると、結果として安全率はFs=1.81となる。)。
〔Fs={(250×0.05+0.95×14.6)×203)}/2958=1.81〕
安全率Fs=2.0(図6(c))に改良する場合、上記と同様に改良面積比率を算定する。
Fs=(τ・l)/(W・sinθ)=2.0 ・・・式(3)
から
[{μ×τ´+(1-μ)×τ}×203]/2958=2.0
に、τ=14.6kN/mを代入
μ=(2958×2.0-14.6×203)/(203τ´-2964)
=2952/(203τ´-2964)
式(3)に改良地盤のτ´(=250kN/m)を代入してμを算定すると次のようになる。
表10から改良面積比率を次のとおりとする。
バイオグラウト:μ=0.10
(改良面積比率を10%にすると、結果として安全率はFs=2.62となる。)
以上からバイオグラウト注入工法による地盤強化の改良面積比率を次のように設定する。
〔改良範囲の決定〕
計算結果からモデル地盤での改良範囲を検討すると以下のようになる。
モデル地盤の面積S=50.0×203.0=10150.0m
必要改良面積S´=S×μ
注入工は工法の特性から1孔当り注入長50.0m、改良幅2.0mとして孔数を算定する。
1孔当り改良面積Sg=2.0×50.0=100.0m
次に、本発明の排水孔の削孔による地盤安定化方法に前記した固化材の注入による地盤強化方法を併用した検討結果について説明する
〔地下水位低下法〕
地下水位低下法は地盤中の地下水を強制的に排除することにより地下水位を低下させ地盤を安定化させる方法である。
一般的に集水井の場合設置間隔は5m程度と言われている。また設置位置は在来地盤と盛土との境界部付近が最も効果的と言われている。
今回は谷埋め盛土の安定化対策として地下水位を低下させるために地下水排水用の集水井を設置することにする。設置間隔は上記のとおり5.0mとし、1本当たりの長さはボーリング機の性能を考慮し50.0mとする。
〔地盤強化と地下水位低下の併用〕
前記の様に、谷埋め盛土の安定化法として
1)バイオグラウトを用いた注入工法による地盤強化法
2)集水井設置による地下水位低下法
提示したが、この1)および2)を併用することにより谷埋め盛土部の安定性がさらに向上するものと考えられる。ここで、排水効果により安全率Fsがいくら向上するかの検討を行う。検討の条件として、排水工によりその影響範囲内の盛土中の地下水位が2m低下すると考えることにする。
粘性土が圧密されると(圧密圧力:p)、有効応力:σ´が増加し(Δσ´=p)、非排水せん断強さ:su(またはcuとも表記される)が増加する。この両者の関係を「強度増加率」と呼び、su/Δσ´あるいはcu/pで示されている。
このcu/pの値は、通常の粘性土では0.3~0.4(ないし~0.5)の間の値を示す。ここで、cu/p=0.35とすると、2mの水位低下による有効応力増が(9.8kN/m)×2m=19.6kN/mであることより、
cu=0.35×19.6kN/m=6.87kN/m
となる。
したがって、排水効果面積:幅5m×長さ50m×8本=2000mに、6.87kN/mをかけると13740kNのせん断抵抗力増(単位幅では275kNの増)となる。
一方で排水されることにより、盛土の単位体積重量は減少する。すべり面上の土の飽和度Srが15%減少すると考え、盛土の間隙比e=2.0とすると、1mの土の間隙体積は、
{e/(1+e)}×1m=0.667m
その15%が水から空気に変わるので、重量減は、
0.667×0.15×9.8kN/m=0.980kN/m
単位幅1m当たりの滑動力減は、
0.980kN/m×長さ200m×高さ5m×sin10°=171kN/m
となる。
従って、
Fs=(2958+275)/(2958-171)=1.16
すなわち、排水工により、安全率Fsが0.16向上することになる。なお、上記計算は簡便な設計によったが、改良効果を知るにはこれで充分である。また、排水による改良効果は地下水位が低下することによる土粒子間の有効応力が大きくなることによる効果であり、それにより盛土境界面のせん断抵抗が向上するとしたが、基本的には問題ないはずである。
本発明は地盤中に広範囲に炭酸カルシウムの固結領域を形成し、地盤を広範囲に固結する。固結地盤は上記弾性波速度検層や音響トモグラフィーによる改良効果の確認に有効であることを本発明者は見出したものである。
本発明の懸濁グラウトは強度と浸透特性に関わる以下の特性を持つことから、弾性波速度検層が本懸濁液による地盤改良効果の把握に極めて有効であることを見出した。
・ベンダーエレメントによる一軸圧縮強さと弾性波速度の関係
以下に具体的に説明する。図9は本発明グラウトで固結した豊浦砂供試体における一軸圧縮強さ(28日強度)と、ベンダーエレメント法によるS波速度の関係を示す。
図10は、養生日数とせん断波速度の関係の例を示す。
図11は、固結ゾーンまたは固結予定ゾーンに、受信孔と発信孔を設置して、S波速度VsやP波速度Vpを測定する説明図である。
注入孔を受信孔、発信孔としてS波速度VsやP波速度Vpを測定してもよい。
室内試験ではベンダーエレメント法によって、固結供試体の両端に発信部と受信部を設置して、S波速度VsやP波速度Vpを測定するが、現地においては表面波探査や速度検層によってS波速度VsやP波速度Vpを測定する。
本発明グラウトは、形成された炭酸カルシウムの量で強度がほぼ一義的に決まることから、炭酸カルシウム量とS波速度VsやP波速度Vpを知ることによって改良効果を推定できるという効果を持つ。
現場土を用いた固結供試体の室内試験における一軸圧縮強さとS波速度Vsの関係、並びに炭酸カルシウム量と一軸圧縮強さの関係を図12に示し、注入地盤におけるA地点とB地点におけるS波速度の測定値をプロットした。
これよりA地点ならびにB地点における一軸圧縮強さを推定できる。また、その地点における炭酸カルシウムの量も推定できる。
このようにして、注入現場における固結範囲と固結強度を把握することができる。図12の例では、A地点、B地点において目標S波速度Vsを満たし、したがって設計Vsを満たしていることがわかる。
また、室内試験で、その一軸圧縮強さは、炭酸カルシウムの充填率と含有量とS波速度やP波速度の関係を求めておけば、現場におけるS波速度やP波速度の測定値より、地盤中における充填量や組成の状況を知ることができる。図14はバイオグラウトの室内浸透試験における装置を示し、図15はモールド長1mに1次元注入試験の状態を示す。この装置を用いて水酸化カルシウム水溶液を(50g/リットル)を一次注入してのち、バイオグラウトを3回繰り替えし注入した。図14は浸透距離に対応した一軸圧縮強度を示す。この一軸試験結果から図9より各浸透距離における固結体のせん断波速度を知ることができる。また、地盤中に填充させた炭酸カルシウムの量を知ることができる。
また、注入前後の注入地盤の貫入試験値やコアサンプリングによる供試体の強度試験値とその地点のせん断波速度や強度の推定値と比較することによって、非破壊試験結果の解析に役立てることができる。(図12)
また、注入前に受信部と発信部を設置しておけば、(図11)注入中においてリアルタイムで地盤における浸透状況を把握して、リアルタイムで注入量の補正やカルシウム及びバイオグラウトの量の補正をすることができる。養生に伴い変化するS波速度やP波速度を非破壊にて測定することにより最終的に目的とする改良効果を得られたかを判断することができる。
以上のように本発明グラウトの流動特性と注入設計と注入効果を把握して設計に組立てることができる。
〔微生物活動の確認試験〕
〔COモニター(株式会社カスタム製)によるCO濃度測定〕
使用した材料の微生物含有水は腐食土と純水を混合した上澄み水を用いた。
水酸化カルシウム:業務用
塩化カルシウム(無水):和光純薬株式会社
酸性白土:和光純薬株式会社
cmc:和光純薬株式会社
ホワイトカーボン:トクシール
500mlビーカー内に表14の組合せた試料(〇)を入れすぐにCOモニターとこのビーカーを密閉袋に入れる。COモニターの数値を時間経過とともに測定した。添加量は表14の一番左に示す。
CO2の上昇がみられた実施例(表13の最下段に表示)は1~5であった。実施例1~5の微生物含有水を用いたものである。実施例7は水道水のみであり、COの変化はなかった。実施例8~12においてはCO濃度に変化は見られなかった。
実施例6ではCO濃度が低下した、低下した要因としては水酸化カルシウムによるCOの吸収が考えられる。微生物と有機物にカルシウム源を組み合わせることによって合わせることによって炭酸カルシウムを生成させた。
実施例13ではCO濃度は低下したが炭酸カルシウムの生成はなく、水酸化カルシウムによるCOの吸収だけが考えられる。
A:原地盤
B:盛土地盤
C:境界部分
D:法面保護材
1:斜面
2:平面
3:注入管
4:中空補強材
5:炭酸カルシウムによる固結領域
6:排水孔
7:盛土補強材
8:盛土補強土壁面
9:補強土壁基礎部
10:擁壁
11:ボーリング孔
12:井戸

Claims (8)

  1. 谷間の原地盤の上に盛土をしてなる谷埋め盛土に対し、原地盤と谷埋め盛土によって造成された盛土地盤との境界部分に、微生物代謝によって炭酸カルシウムを形成する生分解有機物を有効成分とする地盤固結材を注入することによって、地盤中に、炭酸カルシウムを析出させて、地盤を固結させて谷埋め盛土を安定化する地盤強化工法であって、該地盤固結材はカルシウム化合物と石灰化細菌を有効成分とし、該カルシウム化合物はカルシウムの塩または水酸化物、有機化合物のCa塩、セメント、スラグ、石膏のいずれか複数からなるものとし、前記地盤固結材又は前記地盤固結材を構成する組成分の1種又は複数種を、粘土、ポゾラン、多孔質シリカ、ホワイトカーボンのいずれか、または複数種の微粒子と混合したものとすることによって、前記地盤中に前記地盤固結材又はその組成分を保持して、徐々に炭酸カルシウムを地盤中に析出させることを特徴とする地盤強化工法。
  2. 請求項1記載の地盤強化工法において、該地盤固結材はカルシウム化合物を有効成分とする配合液をA液とし、石灰化細菌を有効成分とする配合液をB液とし、以下のいずれかの手順で地盤中に炭酸カルシウムを析出させることを特徴とする地盤強化工法。
    1.A液、B液の混合液を地盤中に浸透せしめる。
    2.A液、B液のいずれかを予め地盤中に浸透せしめて後、他方を浸透せしめる。
    3.上記1、2のいずれか又は両方を繰り返して地盤中に浸透せしめる。
  3. 請求項1記載の地盤強化工法において、炭酸カルシウムの析出は、水ガラス、ポゾラン、スラグ、セメント、炭酸化合物のいずれか、或いは複数を併用して行うことを特徴とする地盤強化工法。
  4. 請求項1記載の地盤強化工法において、前記谷埋め盛土内に地下水排水用の集水井を設置し、地盤中の地下水を強制的に排除することにより地下水位を低下させて地盤を安定化させる地下水位低下法を併用することを特徴とする地盤強化工法。
  5. 請求項1記載の地盤強化工法において、前記地盤固結材による炭酸カルシウムの地盤中における析出は地盤補強材の設置を併用して行うことを特徴とする地盤強化工法。
  6. 請求項1記載の地盤強化工法において、前記地盤は傾斜地盤であって、前記地盤固結材の組成物をいずれか又は混合物を傾斜面の上流または下流の地盤中から自然流下またはポンプによって、地盤中に送り込むことによって、前記炭酸カルシウムを析出させることを特徴とする地盤強化工法。
  7. 請求項1~のいずれかに記載の地盤強化工法において、炭酸カルシウムの析出による改良効果は、非破壊試験によって確認することを特徴とする地盤強化工法。
  8. 請求項記載の地盤強化工法において、前記非破壊試験は、弾性波速度検層法、音響トモグラフィー、または表面波探査によるものであることを特徴とする地盤強化工法。
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