JP7448917B2 - 二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のモデル、及びその復元力特性のモデル化方法 - Google Patents

二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のモデル、及びその復元力特性のモデル化方法 Download PDF

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特許法第30条第2項適用 (論文雑誌) 発行所:一般社団法人日本建築学会 発行人:一般社団法人日本建築学会 刊行物名:日本建築学会構造系論文集 発行年月日:2019年6月30日
本開示は、二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のモデル、及びその復元力特性のモデル化方法に関する。
特許文献1は、従来のSC杭(外殻鋼管付きコンクリート杭)の中空部に、円筒状補強部材として中空の内鋼管を配置したSC杭(以下、二重鋼管付きコンクリート杭と称する)を開示している。当該二重鋼管付きコンクリート杭によれば、外鋼管の座屈によりコンクリートの外鋼管からの剥離、圧壊が発生したとしても、コンクリート片の中空部への移動が防止される。この結果として、二重鋼管付きコンクリート杭にあっては、従来のSC杭に比べ、急激な耐力低下が抑制される。
特開2016-223207号公報
二重鋼管付きコンクリート杭を用いて基礎杭を設計する場合、二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性モデルが必要となる。そして、設計に用いる復元力特性モデルとしては、バイリニア型モデルが簡便で扱い易い。
従来のSC杭は、最大耐力以降の耐力低下が著しく、変形性能が乏しいため、基礎杭に用いる場合には、損傷を許容し変形性能に期待した設計は行わず、設計外力によりSC杭に発生する曲げモーメントが、SC杭の最大または降伏曲げ耐力以内に収まっていることを確認する強度型設計が行われていた。
一方、二重鋼管付きコンクリート杭は、正負交番載荷試験を行い、種々の検討を行った結果、上部構造の鉄筋コンクリート柱部材で最も靱性があるとされる変形性能の条件(最大曲げ耐力の80%の値を保持しながら、限界部材角と降伏部材角との比率である塑性率が6以上かつ限界変形角が1/50radを確保できる。)を有することがわかった。そのため、二重鋼管付きコンクリート杭を基礎杭に用いる場合には、損傷を許容し変形性能に期待した設計が可能となり、大地震時においても経済的な設計を行うことができる。かかる設計の実施にあたっては、二重鋼管付きコンクリート杭の変形性能を適切に評価した復元力特性モデルを構築する必要がある。
そこで、本発明では、設計に用いるための復元力特性モデルとして、簡便で扱い易いモデルとするために、最大耐力(最大曲げ耐力)の所定の割合、例えば80%の値で頭打ちにするバイリニア型モデルを原型として採用することとした。
バイリニア型モデルを作成するには、二重鋼管付きコンクリート杭の最大耐力の値が必要となることから、まずは二重鋼管付きコンクリート杭の最大耐力をその仕様から理論的に求めることが要求される。例えば、従来のSC杭の最大耐力は、外殻鋼管に内接するコンクリート部の最外縁での終局歪み(最大圧縮歪み)を5000μとして、平面保持仮定に基づく断面解析を行うことにより求めることができる。
そこで、本発明者等が正負交番載荷試験を行って二重鋼管付きコンクリート杭の最大耐力を実験的に確認したところ、二重鋼管付きコンクリート杭の最大耐力の測定値は、従来のSC杭と同様な方法で、コンクリート部の最外縁での終局歪み(最大圧縮歪み)を5000μとして、平面保持仮定に基づく断面解析により求めた最大耐力の理論値と一致しないことが判明した。
一致しない理由としては、二重鋼管構造による拘束効果によって、コンクリート強度およびコンクリートの終局ひずみが増加する現象などが考えられる。
このため、二重鋼管付きコンクリート杭のバイリニア型モデルを作成する場合、二重鋼管付きコンクリート杭の最大耐力の所定の割合、例えば80%に相当する値を如何にして求めるかが課題となる。
上述の事情に鑑みて、本発明の目的は、二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のモデル、及びその復元力特性のモデル化方法を提供することにある。
本発明者等は、二重鋼管付きコンクリート杭の最大耐力の所定の割合、例えば80%に相当する値を理論的に求めるために、正負交番載荷試験を行い、種々検討を行った。その結果として、本発明者等は、二重鋼管付きコンクリート杭の最大耐力の所定の割合、例えば80%に相当する値を、二重鋼管付き鋼管杭の仕様に基づいて最大耐力をまず断面解析によって求めた後にその所定の割合の値を求めるのではなく、最大耐力の所定の割合、例えば80%に相当する値を断面解析によって直接求めることができることを見出し、本発明に想到した。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のモデルは、
中空で円筒形状の外鋼管と、
前記外鋼管の内側に配置された中空で円筒形状の内鋼管と、
前記外鋼管と前記内鋼管との間に前記外鋼管に接して配置され、コンクリートによって構成された円筒形状のコンクリート部と、を備える二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のモデルであって、
前記コンクリート部の径方向にて最外縁における前記コンクリート部の圧縮歪みが所定の値であると仮定して平面保持仮定に基づく断面解析により求められた、所定の軸力における前記二重鋼管付きコンクリート杭の最大耐力の所定の割合に相当する信頼強度時曲げモーメントと、
前記二重鋼管付きコンクリート杭の初期剛性の理論値に基づいて求められ、前記二重鋼管付きコンクリート杭の等積割線剛性に相当する弾性剛性と、
を原型とする。
上記構成(1)では、復元力特性のモデルが、信頼強度時曲げモーメント及び弾性剛性によって構成されている。所定の軸力における信頼強度時曲げモーメントが、コンクリート部の径方向にて最外縁におけるコンクリート部の圧縮歪みが所定の値であると仮定して平面保持仮定に基づく断面解析により求められることで、上記構成(1)の復元力特性のモデルは、容易に求められるものでありながら、基礎杭の設計に用いるのに十分な精度を有するものとなっている。
(2)幾つかの実施形態では、上記構成(1)において、
前記外鋼管及び前記内鋼管の座屈を考慮に入れて前記断面解析が行なわれる。
二重鋼管付きコンクリート杭が大きく変形した場合、外鋼管及び内鋼管は座屈している可能性が高い。上記構成(2)によれば、外鋼管及び内鋼管の座屈を考慮に入れて断面解析を行うことで、大変形時に外鋼管及び内鋼管に生じる座屈状況も考慮に入れながら、信頼強度時曲げモーメントを高精度に求めることができる。
(3)幾つかの実施形態では、上記構成(1)又は(2)において、
前記初期剛性の理論値をcKn1としたとき、前記初期剛性の理論値cKn1は以下の式(1):
cKn1=3EI/L ・・・(1)
(ただし、式(1)中、Lは要素長(m)であり、EIは前記二重鋼管付きコンクリート杭の曲げ剛性(kN・m)である。)
によって求められる。
上記構成(3)によれば、初期剛性の理論値cKn1を式(1)によって高精度且つ容易に求めることができる。
(4)幾つかの実施形態では、上記構成(1)又は(2)において、
前記初期剛性の理論値をcKn2としたとき、前記初期剛性の理論値cKn2は以下の式(2)及び式(3):
cKn2=(N×L×tankL)/(tankL-kL) ・・・(2)
k=(N/EI)^0.5 ・・・(3)
(ただし、式(2)及び式(3)中、Lは要素長(m)であり、Nは軸力(kN)であり、EIは前記二重鋼管付きコンクリート杭の曲げ剛性(kN・m)である。)
によって求められる。
上記構成(4)によれば、初期剛性の理論値cKn2を式(2)及び(3)によって高精度且つ容易に求めることができる。
(5)幾つかの実施形態では、上記構成(1)乃至(4)の何れか1つにおいて、
前記コンクリート部の圧縮歪みの所定の値は、試験用の二重鋼管付きコンクリート杭の載荷試験を行って決定されたものである。
上記構成(5)によれば、コンクリート部の圧縮歪みの所定の値を、試験用の二重鋼管付きコンクリート杭の載荷試験結果を行って決定することで、信頼強度時曲げモーメントを高精度に求めることができる。
(6)幾つかの実施形態では、上記構成(5)において、
前記載荷試験は、前記試験用の二重鋼管付きコンクリート杭の一端側をスタブ内に固定して行った片持ち梁式の載荷試験であり、
前記試験用の二重鋼管付きコンクリート杭の部材角又は曲率を求める際に、前記スタブ内での前記試験用の二重鋼管付きコンクリート杭の変形が考慮されている。
上記構成(6)によれば、試験用の二重鋼管付きコンクリート杭の部材角又は曲率を求める際に、スタブ内での試験用の二重鋼管付きコンクリート杭の変形(歪み)を考慮することで、復元力特性のモデルの精度を高めることができる。
(7)本発明の少なくとも一実施形態に係る二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のモデル化方法は、
中空で円筒形状の外鋼管と、
前記外鋼管の内側に配置された中空で円筒形状の内鋼管と、
前記外鋼管と前記内鋼管との間に前記外鋼管に接して配置され、コンクリートによって構成された円筒形状のコンクリート部と、を備える二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のモデル化方法であって、
所定の軸力における前記二重鋼管付きコンクリート杭の最大耐力の所定の割合に相当する信頼強度時曲げモーメントを、前記コンクリート部の径方向にて最外縁における前記コンクリート部の圧縮歪みが所定の値であると仮定して平面保持仮定に基づく断面解析により求める信頼強度時曲げモーメント演算工程と、
前記二重鋼管付きコンクリート杭の等積割線剛性に相当する弾性剛性を、前記二重鋼管付きコンクリート杭の初期剛性の理論値に基づいて求める弾性剛性演算工程と、
を備える。
上記構成(7)では、復元力特性のモデルの原型を構成する信頼強度時曲げモーメント及び弾性剛性を、信頼強度時曲げモーメント演算工程及び弾性剛性演算工程によってそれぞれ求めている。信頼強度時曲げモーメント演算工程において、所定の軸力における信頼強度時曲げモーメントが、コンクリート部の径方向にて最外縁におけるコンクリート部の圧縮歪みが所定の値であると仮定して平面保持仮定に基づく断面解析により求められることで、上記構成(7)の復元力特性のモデル化方法によれば、基礎杭の設計に用いるのに十分な精度を有する復元力特性のモデルを容易に求めることができる。
(8)幾つかの実施形態では、上記構成(7)において、
前記信頼強度時曲げモーメント演算工程において、前記外鋼管及び前記内鋼管の座屈を考慮に入れて前記断面解析を行う。
二重鋼管付きコンクリート杭が大きく変形した場合、外鋼管及び内鋼管は座屈している可能性が高い。上記構成(8)によれば、外鋼管及び内鋼管の座屈を考慮に入れて断面解析を行うことで、大変形時に外鋼管及び内鋼管に生じる座屈状況も考慮に入れながら、信頼強度時曲げモーメントを高精度に求めることができる。
(9)幾つかの実施形態では、上記構成(7)又は(8)において、
前記弾性剛性演算工程において、前記初期剛性の理論値をcKn1としたとき、前記初期剛性の理論値cKn1を以下の式(1):
cKn1=3EI/L ・・・(1)
(ただし、式(1)中、Lは要素長(m)であり、EIは前記二重鋼管付きコンクリート杭の曲げ剛性(kN・m)である。)
によって求める。
上記構成(9)によれば、初期剛性の理論値cKn1を式(1)によって高精度且つ容易に求めることができる。
(10)幾つかの実施形態では、上記構成(7)又は(8)において、
前記弾性剛性演算工程において、前記初期剛性の理論値をcKn2としたとき、前記初期剛性の理論値cKn2を以下の式(2)及び式(3):
cKn2=(N×L×tankL)/(tankL-kL) ・・・(2)
k=(N/EI)^0.5 ・・・(3)
(ただし、式(2)及び式(3)中、Lは要素長(m)であり、Nは軸力(kN)であり、EIは前記二重鋼管付きコンクリート杭の曲げ剛性(kN・m)、である。)
によって求める。
上記構成(10)によれば、初期剛性の理論値cKn2を式(2)及び式(3)によって高精度且つ容易に求めることができる。
(11)幾つかの実施形態では、上記構成(7)乃至(10)の何れか1つにおいて、
前記信頼強度時曲げモーメント演算工程において、前記コンクリート部の圧縮歪みの所定の値を、試験用の二重鋼管付きコンクリート杭の載荷試験を行って決定する。
上記構成(11)によれば、コンクリート部の圧縮歪みの所定の値を、試験用の二重鋼管付きコンクリート杭の載荷試験を行って決定することで、信頼強度時曲げモーメントを高精度に求めることができる。
(12)幾つかの実施形態では、上記構成(11)において、
前記載荷試験は、前記試験用の二重鋼管付きコンクリート杭の一端側をスタブ内に固定して行った片持ち梁式の載荷試験であり、
前記試験用の二重鋼管付きコンクリート杭の部材角又は曲率を求める際に、前記スタブ内での前記試験用の二重鋼管付きコンクリート杭の変形が考慮されている。
上記構成(12)によれば、試験用の二重鋼管付きコンクリート杭の部材角又は曲率を求める際に、スタブ内での試験用の二重鋼管付きコンクリート杭の変形(歪み)を考慮することで、復元力特性のモデルの精度を高めることができる。
本発明によれば、二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のモデル、及びその復元力特性のモデル化方法が提供される。
本発明の一実施形態に係る二重鋼管付きコンクリート杭の構成を概略的示す縦断面図である。 図1中のII-II線に沿う概略的な断面図である。 地震時に二重鋼管付きコンクリート杭の横断面に作用する応力分布を説明するための図である。 (a)は、外鋼管の歪みと応力度との関係の一例を示すグラフであり、(b)は、内鋼管の歪みと応力度との関係の一例を示すグラフであり、(c)は、杭体を構成するコンクリート部の歪みと応力度との関係の一例を示すグラフである。 実験結果から評価する二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のバイリニア型モデルを示すグラフである。 本発明の実施形態に係る二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のバイリニア型モデル化方法の概略的な手順を示すフローチャートである。 正負交番載荷試験装置の構成を説明するための概略図である。 信頼強度時曲げモーメント演算工程の概略的な手順を示すフローチャートである。 正負交番載荷試験で得られた供試体C-1、C-4の外鋼管と内鋼管のひずみ分布を示す図である。 正負交番載荷試験により得られた供試体C-1、C-4における曲げモーメントMと、部材角R及び修正部材角mRとの関係を示すグラフである。 供試体A-2、B-1およびB-4における復元力特性のバイリニア型モデルBLMと正負交番載荷試験により得られた包絡曲線との比較結果を示すグラフである。 特定の二重鋼管付きコンクリート杭について、軸力比がそれぞれ0.32、0、-0.31の場合におけるMθ関係の復元力特性のバイリニア型モデルBLMを示すグラフである。 特定の二重鋼管付きコンクリート杭について、軸力比がそれぞれ0.32、0、-0.31の場合におけるMφ関係の復元力特性のバイリニア型モデルBLMを示すグラフである。 二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のバイリニア型モデルBLMの変形例を説明するためのグラフである。 二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のバイリニア型モデルBLMを原型とする変形例(近似型モデル)を説明するためのグラフである。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置、数式、数式中の数値等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。同様に、数式は、同じ効果が得られる範囲であれば表現が多少異なっていてもよく、数値についても、同じ効果が得られる範囲で幅を有していてもよいものとする。
図1は、本発明の一実施形態に係る二重鋼管付きコンクリート杭(以下、WSC杭とも称する。なお、「WSC」は本出願人の登録商標であるが、本明細書では登録商標の表示を省略する。登録商標の表示を省略するのはあくまで明細書の記載を簡潔にするためであって、商標権の放棄や第三者による登録商標の自由使用の許諾を意図するものではない。)1の構成を概略的示す縦断面図である。図2は、図1中のII-II線に沿う概略的な断面図である。
図1及び図2に示したように、WSC杭1は、外鋼管3と、内鋼管4と、杭体5とを備える。
外鋼管3は、中空で円筒形状を有しており、例えば、SKK材によって構成されている。外鋼管3は、例えば、300mm以上1500mm以下の外径Dsoを有し、外鋼管3の外径Dsoは、WSC杭1の外径Dpに相当する。また、外鋼管3は、例えば、4.5mm以上25mm以下の厚さ(板厚)tsoを有する。外鋼管3は、例えば、325N/mmの降伏強度Fsoyを有し、205000N/mmの弾性係数Esoを有する。
内鋼管4は、中空で円筒形状を有しており、例えば、STK材によって構成されている。内鋼管4は、外鋼管3の内径よりも小さい外径Dsiを有し、外鋼管3の内側に同心上に配置されている。内鋼管4は、例えば、100mm以上1200mm以下の外径Dsiを有する。内鋼管4は、例えば、325N/mmの降伏強度Fsiyを有し、205000N/mmの弾性係数Esiを有する。
杭体5は、外鋼管3と内鋼管4との間に配置され、円筒形状を有する。杭体5は、外鋼管3の内周面及び内鋼管4の外周面に付着している。杭体5は、例えば硬化性の材料を硬化させて形成されており、円筒形状のコンクリート部6を少なくとも一部に含んでいる。コンクリート部6は、コンクリートによって構成されており、外鋼管3に付着した状態で外鋼管3と内鋼管4との間に配置されている。コンクリート部6の内径が内鋼管4の外径よりも大きい場合、杭体5は、コンクリート部6と内鋼管4との間に配置された充填部9を含んでいる。充填部9は、コンクリート部6及び内鋼管4に付着した状態で、コンクリート部6と内鋼管4との間に配置される。
コンクリート部6を構成するコンクリートは、遠心圧縮成形により形成され、例えば、80N/mm、85N/mm、105N/mm、123N/mm又は140N/mmの設計基準強度Fcを有する。設計基準強度Fcが大きくなるにつれてコンクリートの弾性係数Ecも大きくなり、当該弾性係数Ecは、例えば40000N/mm~43000N/mmの範囲となる。
充填部9は、例えばセメントやモルタル等のグラウト又はコンクリートによって構成される。グラウトは、例えば、20N/mm以上50N/mm以下の強度を有する。
ここで、図3は、地震時にWSC杭1の横断面に作用する応力分布を説明するための図である。図3の左上に示したように、WSC杭1には、上部構造から作用する軸力が作用しており、地震時には図3の左下に示したように水平力がさらに作用する。これら軸力及び水平力が作用すると、地震時には、図3の右側に示すような応力がWSC杭1の横断面に作用する。図3から、特に圧縮側で応力が大きくなることがわかる。
このような応力分布に起因して、従来のSC杭に軸力が作用している場合、SC杭の地震時の破壊モードは、外鋼管が圧縮力により座屈し、外鋼管の内周面付近のコンクリートが圧壊し、そして、コンクリートの最内周面が圧壊して崩落するという順序をたどる。このようにコンクリートの最内周面が崩落し、コンクリート片が移動することで、コンクリートの体積が減少し、曲げ変形が繰り返されると靱性が低下してしまう。
図4(a)は、外鋼管3の歪みと応力度との関係の一例を示しており、図4(b)は、内鋼管4の歪みと応力度との関係の一例を示しており、図4(c)は、杭体5を構成するコンクリート部6の歪みと応力度との関係の一例を示している。図4の例では、外鋼管3は降伏歪みεsoyで降伏し、内鋼管4は降伏歪みεsiyで降伏し、コンクリート部6は降伏歪みεcyで降伏する。外鋼管3の降伏歪みεsoy及び内鋼管4の降伏歪みεsiyは、コンクリート部6の降伏歪みεcyよりも小さい。このため、平面保持仮定の下では、外鋼管3がコンクリート部6よりも先に降伏することがわかる。
例えば、外鋼管3の両端には円環形状の端板7が溶接によって取り付けられ、内鋼管4及び杭体5は、外鋼管3の軸線方向にて2つの端板7間に渡って延びている。本実施形態では、2つの端板7のうち一方の端板7bの内径は他方の端板7aの内径よりも大きく、内鋼管4の一端が、端板7aの内周部に溶接等で接続されている。端板7bの内周部と内鋼管4の他端との間には、後述するように充填部9の材料を充填するための開口がある。
なお、充填部9の材料を充填するための開口を端板7や内鋼管4に設ける等により、充填部9の材料を充填可能であれば、端板7a,7bの内径は同一であってもよく、内鋼管4の両端が端板7に溶接されていてもよい。
また、外鋼管3及び内鋼管4の両方に端板7が溶接されていてもよいが、一方のみに溶接され、他方には溶接されていなくてもよい。例えば、外鋼管3にのみ端板7が溶接され、内鋼管4には端板7が溶接されていなくてもよい。なお、端板7が取り付けられている場合、WSC杭1の長さは、端板7の外面間の長さである。WSC杭1は、例えば、2m以上の長さを有する。
好ましくは、内鋼管4の厚さtsiは外径Dsiの0.02倍以上(2%以上)である。
ここで、図5は、WSC杭1の実験結果から評価する復元力特性を示すグラフであり、正負交番載荷試験によって求められた部材角(Drift Angle R)と曲げモーメントMの関係を示す曲線(測定値:Measured Value)と、該曲線を直接的にモデル化したバイリニア型モデル(Bi-Linear Model)と、を概略的に示すグラフである。
図5のバイリニア型モデルは、所定の軸力におけるWSC杭1における最大耐力(最大曲げモーメント)Mmaxの所定の割合の値、例えば80%の値である0.8Mmaxと、等積割線剛性aKnと、によって構成されている。
等積割線剛性aKnは、傾きがaKnの直線と正負交番載荷試験の測定値から求められた曲線(包絡曲線)とによってそれぞれ囲まれる面積A及び面積Bが相互に等しくなるように設定される。このようにして設定された等積割線剛性aKnは、WSC杭1が降伏したときの降伏部材角θyにおける等積割線剛性である。つまり、傾きがaKnの直線の縦軸の値は、横軸の値がθyとなるときに、WSC杭1における最大耐力Mmaxの80%の値と等しくなる。
なお、正負交番載荷試験の測定値は、後述するように段階的に供試体の最大部材角を大きくしていくため、部材角Rと曲げモーメントMとの関係を示す複数の履歴スループによって構成されており、包絡曲線は、部材角が小さい領域(試験体によって異なるが少なくとも最大耐力の近傍まで)では最も幅が小さい履歴ループ(最大部材角が小さい履歴ループ)に沿うように引かれ、部材角が大きい領域(最大耐力を超えた領域)では、最大部材角での曲げモーメントの値を結ぶように引かれたものである。
従って、図5のバイリニア型モデルは、測定値から直接的に求めることができるものである。
これに対し、図6もWSC杭1の復元力特性を示すグラフであるが、図6中のバイリニア型モデルBLMは、正負交番載荷試験の測定値から求められた曲線(包絡曲線)を、本実施形態に係るバイリニア型モデル化方法によってモデル化したものである。
本発明の実施形態に係る図6のバイリニア型モデルBLMは、所定の軸力における0.8Mmaxに相当する信頼強度時曲げモーメントrMuと、等積割線剛性aKnに相当する弾性剛性dKnとによって構成されている。なお、信頼強度時曲げモーメントrMuは、必ずしも最大耐力Mmaxの80%に相当するものである必要はなく、最大耐力Mmaxの所定の割合の値に設定可能であり、例えば最大耐力Mmaxの80%以上90%に相当するものであってもよい。信頼強度時曲げモーメントrMuは、後述するように、塑性率6.0以上を確保でき、変形角1/50radを確保できるように、最大耐力Mmaxの所定の割合の値に予め設定可能である。
所定の軸力における信頼強度時曲げモーメントrMuは、コンクリート部6の径方向にて最外縁でのコンクリート部6の圧縮歪み(以下、最外縁圧縮歪みεcpともいう)が所定の値(以下、信頼強度時圧縮歪みεcrともいう)であると仮定して平面保持仮定に基づく断面解析により求められた、WSC杭1の断面に生じると見込まれる曲げモーメントの計算値である。本実施形態では、信頼強度時圧縮歪みεcrとして、4000μが選択される。
なお、最大耐力Mmaxの所定の割合、例えば80%である0.8Mmaxに相当する信頼強度時曲げモーメントrMuを得られる信頼強度時圧縮歪みεcrの値は、予め実験により求めておくのが好ましいが、既知であれば実験は不要である。
また、信頼強度時曲げモーメントrMuを平面保持仮定に基づく断面解析により求める際、充填部9の寄与を無視してもよい。
等積割線弾性剛性aKnに相当する弾性剛性dKnは、WSC杭1の初期剛性の理論値cKnに基づいて求められる。初期剛性の理論値cKnは、WSC杭1の仕様に基づいて演算可能なものである。
上記構成によれば、所定の軸力における信頼強度時曲げモーメントrMuが、コンクリート部6の最外縁圧縮歪みεcpが所定の値(信頼強度時圧縮歪みεcr)であると仮定して平面保持仮定に基づく断面解析により求められるので、バイリニア型モデルBLMが、容易に求められるものでありながら、基礎杭の設計に用いるのに十分な精度を有するものとなっている。
幾つかの実施形態では、初期剛性の理論値cKnをcKn1としたとき、初期剛性の理論値cKn1は以下の式(1):
cKn1=3EI/L ・・・(1)
(ただし、式(1)中、Lは要素長(m)であり、EIは二重鋼管付きコンクリート杭の曲げ剛性(kN・m)である。)
によって求められる。
式(1)は、スタブ13とWSC杭1との境界条件を固定とした片持ち梁モデルのためのものであり、軸力Nを考慮していないものである。
上記構成によれば、初期剛性の理論値cKn1を式(1)によって高精度且つ容易に求めることができる。
幾つかの実施形態では、初期剛性の理論値cKnをcKn2としたとき、初期剛性の理論値cKn2は以下の式(2)~式(6)のうち、式(2)及び式(3)によって求められる。式(2)~式(6)は、スタブ13とWSC杭1との境界条件を固定とした片持ち梁モデルのためのものであり、軸力Nを考慮したものである。
cKn2=M/θ=(N×L×tankL)/(tankL-kL) ・・・(2)
k=(N/EI)^0.5 ・・・(3)
M=-P/k×(sinkL/coskL) ・・・(4)
δ=P/Nk=(tankL-kL) ・・・(5)
θ=δ/L ・・・(6)
なお、式(2)~式(6)中、Mは曲げモーメント(kN・m)、Pは水平力(kN)、Nは軸力(kN)、Lは要素長(m)、δは水平変位(m)、EIはWSC杭1の曲げ剛性(kN・m)、θは部材角(rad)である。
そして、本実施形態では、距離Lは、地震力を受けるWSC杭1の曲げモーメント分布において、地中部曲げモーメントがゼロとなる深さを模擬するように所定の値に設定される。
なお、WSC杭1の曲げ剛性EIは、充填部9の寄与を考慮せずに算出してもよい。また、曲げ剛性EIは、WSC杭1の全断面を有効として算出してもよいが、軸力比に応じて、引張力が作用するコンクリート部6の領域の寄与を考慮せずに算出してもよい。
弾性剛性dKnは、初期剛性の理論値cKnそのものであってもよいし、理論値cKnに所定の係数αを乗じたものであってもよい。本実施形態では、係数αとして1.0が選択される。係数αの値は、予め実験により確認若しくは求めておくのが好ましいが、既知であれば実験は不要である。
幾つかの実施形態では、信頼強度時曲げモーメントrMuを求める際、外鋼管3及び内鋼管4の座屈を考慮に入れて断面解析を行う。
WSC杭1が大きく変形した場合、外鋼管3及び内鋼管4は座屈している可能性が高い。上記構成によれば、外鋼管3及び内鋼管4の座屈を考慮に入れて断面解析を行うことで、大変形時に外鋼管3及び内鋼管4に生じる座屈状況も考慮に入れながら、信頼強度時曲げモーメントrMuを高精度に求めることができる。
外鋼管3や内鋼管4の座屈を考慮に入れたときの外鋼管3や内鋼管4の降伏耐力は、例えば、以下の式(7)~(8)に示される、終局限界圧縮耐力sNuである。
Figure 0007448917000001
なお、式(7)~(8)中の記号は以下のものを表す。
F:鋼材の基準強度(=Fsoy又はFsiy)(N/mm
t:鋼管の厚さ(腐食しろを考慮)(mm)
r:鋼管の半径(mm)
A:鋼管の断面積(腐食しろを考慮)(mm
以下、上述したバイリニア型モデルBLMを求めるためのWSC杭1の復元力特性のバイリニア型モデル化方法(以下、モデル化方法ともいう)について説明する。
図7は、モデル化方法の概略的な手順を示すフローチャートである。図7に示したように、モデル化方法は、信頼強度時曲げモーメント演算工程S1と、弾性剛性演算工程S2と、を備える。
信頼強度時曲げモーメント演算工程でS1は、所定の軸力におけるWSC杭1の最大耐力(最大曲げモーメント)Mmaxの所定の割合、例えば80%に相当する信頼強度時曲げモーメントrMuを、コンクリート部6の最外縁圧縮歪みεcpが所定の値(信頼強度時圧縮歪みεcr)であると仮定して平面保持仮定に基づく断面解析により求める。
弾性剛性演算工程S2では、WSC杭1の初期剛性の理論値cKnに基づいてWSC杭1の弾性剛性dKnを求める。WSC杭1の初期剛性の理論値cKnとしては、例えば式(1)によって求められる理論値cKn1や、式(2)及び式(3)によって求められる理論値cKn2を用いることができる。
上記構成では、バイリニア型モデルBLMを構成する信頼強度時曲げモーメントrMu及び弾性剛性dKnを、信頼強度時曲げモーメント演算工程S1及び弾性剛性演算工程S2によってそれぞれ求めている。信頼強度時曲げモーメント演算工程S1において、所定の軸力における信頼強度時曲げモーメントrMuが、コンクリート部6の最外縁圧縮歪みεcpが所定の値(信頼強度時圧縮歪みεcr)であると仮定して平面保持仮定に基づく断面解析により求められる一方、弾性剛性演算工程S2において、弾性剛性dKnが、初期剛性の理論値cKnに基づいて求められることで、上記構成のバイリニア型モデル化方法によれば、基礎杭の設計に用いるのに十分な精度を有するバイリニア型モデルBLMを容易に求めることができる。
実施例
1.供試体の作製
表1に示す仕様を有するWSC杭1を供試体として用意した。なお、コンクリート部6と内鋼管4の間の充填部9は、グラウトによって構成されている。
なお、表1中の軸力比N/Nuに含まれる終局軸力Nuは、以下の式(9)により求めることができる。
Nu=Aso×σoy+Ac×σc+Asi×σiy ・・・(9)
ここで、Asoは外鋼管3の断面積、Acはコンクリート部6の断面積、Asiは内鋼管4の断面積である。式(9)から明らかなように、本実施例では終局軸力Nuの算出にあたって充填部9の寄与を見込んでいない。これにより、WSC杭1の設計を安全側で行うことができるが、充填部9の寄与を見込んでもよい。
Figure 0007448917000002
Figure 0007448917000003
Figure 0007448917000004
2.正負交番載荷試験
図8は、各供試体の正負交番載荷試験(以下、単に試験ともいう)に用いられた正負交番載荷試験装置の概略的な構成を説明するための図である。WSC杭1には、下端部(杭頭部)がスタブ13に埋設されて固定された状態で、上端部に水平力P及び軸力Nが加えられる。従って、試験は、片持ち梁式の載荷試験である。
軸力Nは10,000kN用ジャッキ(引き3,000kN用ジャッキ)で導入し、水平力Pは押/引3,000kN用ジャッキを用いて正負交番で作用させた。軸力用ジャッキ上部にはリニアスライダーを設置して、供試体の水平移動に追従するようにした。
より詳しくは、スタブ13は鋼製スタブであり、内径432mmの鋼管を含んでいる。WSC杭1の下端側は、鋼製スタブの鋼管に挿入され、隙間に高強度のグラウト材(圧縮強度100N/mm、不図示)を充填した。WSC杭1は、鋼製スタブの天端から反力床15に設置したPC鋼棒(不図示)にプレストレス力を導入することによって固定した。また、各WSC1杭の外径を400mmとし、せん断スパン(要素長)は地震力を受けるWSC杭1の曲げモーメント分布において、地中部曲げモーメントがゼロとなる深さまでを模擬することを意図して1200mm(せん断スパン比3(せん断スパンL/外径Dp=3))とした。
加力サイクルは、水平加力ジャッキ位置の平均水平変位をせん断スパン1200mmで除した値(部材角R)により制御し、R=±2.5/1000rad、R=±5.0/1000rad、R=±7.5/1000rad、R=±10.0/1000rad、R=±15.0/1000rad、±20.0/1000radを各2サイクル順次実施した後、±30.0/1000rad、±40.0/1000rad、±50.0/1000radを1サイクル順次実施した。なお、R=±50.0/1000radの加力は供試体B-1、供試体C-1~C-5で実施した。
3.信頼強度時曲げモーメント演算工程
信頼強度時曲げモーメント演算工程S1では、WSC杭1の最大耐力(最大曲げモーメント)Mmaxの所定の割合、例えば80%に相当する信頼強度時曲げモーメントrMuを演算により求める。そのために、図9に示したように、信頼強度時曲げモーメント演算工程S1は、コンクリート部信頼強度時圧縮歪み設定工程S10と、断面解析工程S12とを備えている。
コンクリート部信頼強度時圧縮歪み設定工程S10では、コンクリート部6の信頼強度時圧縮歪みεcrを設定する。
断面解析工程S12では、設定されたコンクリート部6の信頼強度時圧縮歪みεcrを用いて平面保持仮定に基づく断面解析を行い、信頼強度時曲げモーメントrMuを求める。
なお、既に信頼強度時圧縮歪みεcrが設定されていれば、コンクリート部信頼強度時圧縮歪み設定工程S10は省略可能である。
具体的には、本実施例では、コンクリート部6の径方向における最外縁でのコンクリート部6の圧縮歪み(最外縁圧縮歪みεcp)の値を変化させながら、所定の軸力においてWSC杭1の断面に生じると見込まれる曲げモーメントを、平面保持仮定の下で断面解析により曲げモーメント計算値cMuとして求める。そして、解析により求められた曲げモーメント計算値cMuが、正負交番載荷試験により求められた最大耐力Mmaxの所定の割合、例えば80%になるときの最外縁圧縮歪みεcpを信頼強度時圧縮歪みεcrとして選択(設定)する。
ここで、表4は、最外縁圧縮歪みεcpを4000μとしたときの曲げモーメント計算値cMu4と、最外縁圧縮歪みεcpを3000μとしたときの曲げモーメント計算値cMu3と、正負交番載荷試験により求められた最大耐力Mmaxの80%の値(0.8Mmax)と、これらの比を示している。
表4に示したように、最外縁圧縮歪みεcpが4000μのとき、0.8MmaxとcMu4との比は約1.0である。このため、WSC杭1では、コンクリート部6の信頼強度時圧縮歪みεcrは4000μに設定され、これに対応して平面保持仮定の下で断面解析により求められる曲げモーメント計算値cMu4が、0.8Mmaxに相当する信頼強度時曲げモーメントrMuであるとされる。
なお、表4の曲げモーメント計算値cMu3,cMu4は、断面解析の際に充填部9の寄与を見込んで求めたものであるが、安全側で設計するために、基礎杭の設計に供されるバイリニア型モデルBLMに示される信頼強度時曲げモーメントrMuについては、信頼強度時圧縮歪みεcrをそのままとして(本実施例の場合εcr=4000μのまま)、充填部9の寄与を見込まないものとしてもよい。
Figure 0007448917000005
4.弾性剛性演算
弾性剛性演算工程S2では、WSC杭1の初期剛性の理論値cKn1,cKn2を上述した式(1)~式(3)により求める。供試体C-1~C-5について、演算により求めた初期剛性の理論値cKn1,cKn2、正負交番載荷試験の測定値から求めた等積割線剛性aKn、及びこれらの比α1,α2を表5に示す。なお、理論値cKn1は、軸力Nを考慮していない理論値であり、理論値cKn2は軸力Nを考慮している理論値であり、軸力比が-0.31以上0.32以下の範囲では、理論値cKn1と理論値cKn2は略同じであることがわかる。また、理論値cKn1,cKn2に対する等積割線剛性aKnの比α1及びα2の各平均値は略1.0であり、理論値cKn1,cKn2を等積割線剛性aKnに等しいとみなすことができるがわかる。
なお、表5中、軸力比0.30~0.32の供試体A-2、B-1、B-4、C-1、C-2、C-4及びC-5の初期剛性理論値cKn1,cKn2は、充填部9の寄与を見込んで剛性EIが全断面有効であるとして求めたものであるが、安全側で設計するために、基礎杭の設計に供されるバイリニア型モデルBLMに示される弾性剛性dKnについては、係数αをそのままとして(α=1.0のまま)、初期剛性理論値cKn1,cKn2として充填部9の寄与を見込まないものを用いて求めてもよい(dKn=cKn1 又は dKn=cKn2)。
一方、表5中、軸力比-0.31の供試体C-3の初期剛性理論値cKn1,cKn2は、曲げ剛性EIの算出にあたり外鋼管3及び内鋼管4の寄与のみを考慮して求めたものであり、このため、比α1、α2が他の供試体に比べ大きくなっている。供試体C-3についても、曲げ剛性EIの算出にあたり、コンクリート部6の圧縮領域の寄与を見込めば、初期剛性理論値cKn1が1.12×10kN・m/radとなり、比α1が0.99となる。つまり、曲げ剛性EIの算出にあたり、コンクリート部6の圧縮領域の寄与を適切に見込めば、初期剛性理論値cKn1,cKn2を適切に求めることができることがわかる。
Figure 0007448917000006
また、表6には、正負交番載荷試験において、外鋼管3が降伏したときの部材角eRy、曲げモーメントeMy、これらの値から求めた初期剛性の実測値eKn、及び、理論値cKn1,cKn2に対する実測値eKnの比eKn/cKn1,eKn/cKn2を示している。比eKn/cKn1,eKn/cKn2は1よりも小さく、この理由として、降伏時部材角eRyが実際の部材角よりも大きくなっていることが考えられる。このため、部材角Rの修正が必要であることが考えられるが、部材角Rの修正方法として、スタブ13からのWSC杭1の抜出しの影響を考慮することが考えられる。
Figure 0007448917000007
5.部材角修正
図10に、試験で得られた供試体C-1、C-4の外鋼管3と内鋼管4のひずみ分布を示す。ひずみ分布は、正側加力時に外鋼管3が降伏に達した時点(実線)および最大耐力時(破線)の分布であり、外鋼管3の降伏ひずみを縦実線で、内鋼管4の降伏ひずみを縦破線で併記している。外鋼管3の降伏時のひずみは、外鋼管3より内鋼管4の方が小さいが、最大耐力Mmax時には、内鋼管4も降伏していることがわかる。また、0mm以深のスタブ13内に着目すると、スタブ13下方から上方に向けて線形的に増加するひずみが発生しており、スタブ13内でもWSC杭1が抜け出していたと考えられる。
このため、加力点変位から求まる部材角には、WSC杭1の曲げ変形の成分とスタブ13内のWSC杭1の抜出しによる回転による成分が含まれており、このことが影響して初期弾性剛性の実測値eKnが理論値cKn1,cKn2より低下したと判断できる。そこで、スタブ13内の抜出しによる回転角の成分を除去することにした。
具体的には、スタブ13内のWSC杭1の歪みを三角形分布と仮定し、スタブ13内のWSC杭1に取り付けた複数の歪みゲージ17の測定値から該三角形分布を求めた。そして、該三角形分布からスタブ13上端でのWSC杭1の曲率φbを求め、これを次式(10)に代入して、スタブ13内のWSC杭1の抜出しによるWSC杭1の回転角θbを算出した。
θb=0.5×φb×Lb ・・・(10)
ここに、Lbはスタブ13内の杭長(m)である。
そして、部材角R(修正前の部材角の実測値eR)からスタブ13内のWSC杭1の回転角θbを差し引いて、修正部材角mRを求めた。図11に供試体C-1、C-4について曲げモーメントMと、部材角R及び修正部材角mRとの関係を示す。また、外鋼管3の降伏時における修正前の部材角eRyに基づいて初期剛性の実測値eKnを求めるとともに、修正部材角mRに基づいて初期剛性の実測値mKnを求め、更に、初期剛性の理論値cKn1,cKn2に対する実測値mKnの比を求めた。これらの値を表7に示す。
Figure 0007448917000008
表7に示したように、各供試体とも理論値cKn1に対する修正部材角mRを用いて評価し直した実測値mKnの比mKn/cKn1は0.89~1.06であり、理論値cKn2に対する修正部材角mRを用いて評価し直した実測値mKnの比mKn/cKn2は0.89~1.08であり、概ね実測値mKnは理論値cKn1,cKn2と良い対応が得られていることが確認できる。よって、本実施例では、初期剛性の理論値cKn1,cKn2は、WSC杭1の弾性剛性dKnに等しいものとし、係数αは1.00であるとする(dKn=α・cKn1=cKn1 又は dKn=α・cKn2=cKn2)。
表8は、供試体C-1、C-2、C-3、C-4、C-5及びD-1についての降伏部材角Ry(=θy)、終局部材角Ru(=θu)、及び、塑性率μθ(=Ru/Ry=θu/θy)の関係を示している。表8に示したように、供試体C-1、C-2、C-3、C-4、C-5及びD-1について、Mθ関係において塑性率6以上及び変形角1/50rad以上を確保できていることがわかる。
また、表8中、供試体C-3について、終局部材角Ruの値を()内に示したのは、供試体C-3については実験終了時の曲げモーメントが0.8Mmaxまで低下しなかったため、実験終了時の部材角Rを終局部材角Ruに代えて参考値として示してあるためである。
図12は、供試体A-2、B-1およびB-4について、復元力特性のバイリニア型モデルBLMと試験で得られた包絡曲線との比較結果を示すグラフである。バイリニア型モデルBLMによれば、供試体A-2、B-1およびB-4については塑性率6.0および変形角1/50rad以上を確保できており、WSC杭1の復元力特性モデルの評価方法の妥当性が確認できる。
従って、供試体A-2、B-1、B-4、C-1、C-2、C-3、C-4、C-5及びD-1の試験結果から、軸力比-0.31~+0.32の範囲で適用するWSC杭1の復元力特性モデルの評価方法の妥当性が確認できた。なお、塑性率が6.0以上であるとは、部材角R(若しくは修正部材角mR)がWSC杭1の降伏部材角θyの6.0倍となるまで、WSC杭1の曲げモーメントMが最大耐力Mmaxの所定の割合、例えば80%以上、すなわち信頼強度時曲げモーメントrMu以上であることを意味する。
なお、供試体D-1の仕様は、充填部9を構成するグラウトの圧縮強度σgが20N/mmである点においてのみ、供試体C-2の仕様と異なっている。供試体D-1の結果から明らかなように、グラウトの強度が相対的に小さくても、塑性率6以上を確保できることがわかる。
Figure 0007448917000009
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態を含む。
例えば、上述した実施形態では、曲げモーメントMと部材角R(若しくは修正部材角mR)との関係(Mθ関係)でバイリニア型モデルBLMを作成したが、各部材角R(若しくは修正部材角mR)に対応するWSC杭1の曲率φを求めて、曲げモーメントMと曲率φとの関係(Mφ関係)でバイリニア型モデルBLMを作成してもよい。この場合の初期剛性の理論値cKnを理論値cKn3としたとき、理論値cKn3として例えばEIを用いることができる。
なお、WSC杭1の曲率φを求めるには、スタブ13上端付近でのWSC杭1の曲率φを求める必要がある。そのために、加力方向両側(+側、-側)にてスタブ13上端近傍に変位計19を設け、変位計19によって、スタブ13上端から所定距離L’までのWSC杭1の部分の変位量δ を測定する(図8参照)。一方、加力方向両側でのスタブ13内でのWSC杭1の軸方向変位量δs+s-を歪みゲージ17の測定結果から求める。そして、曲率φは、以下の式(11)により求めることができる。
φ=((δ-δs+)/L’+(δ-δs-)/L’)/D’ ・・・(11)
式(11)によれば、スタブ13内におけるWSC杭1の変形量の影響を除外して、スタブ13上端近傍でのWSC杭1の曲率φを的確に求めることができる。
なお式(11)中、D’は、加力方向両側の変位計19の水平方向での距離である。
表9は、供試体C-1、C-2、C-3、C-4、C-5及びD-1についての降伏曲率φy、塑性率μθが6の時の曲率φμθ6、終局曲率φu、塑性率μφ’(=φμθ6/φy)、及び、塑性率μφ(=φu/φy)の関係を示している。表9に示したように、供試体C-1、C-2、C-3、C-4、C-5及びD-1について、Mφ関係においては塑性率9以上を確保できていることがわかる。
なお、表9中、供試体C-3について、終局曲率φu等の値を()内に示したのは、供試体C-3については、実験終了時の曲げモーメントが0.8Mmaxまで低下しなかったため、実験終了時の曲率φを終局曲率φu等に代えて参考値として示してあるためである。
Figure 0007448917000010
ここで、図13は、特定のWSC杭1について、軸力比がそれぞれ0.32、0、-0.31の場合におけるMθ関係の復元力特性のバイリニア型モデルBLMを示すグラフである。図13では、バイリニア型モデルBLMの横軸での上限を6θyに制限している。同様に、図14は、特定のWSC杭1について、軸力比がそれぞれ0.32、0、-0.31の場合におけるMφ関係の復元力特性のバイリニア型モデルBLMを示すグラフである。図14では、バイリニア型モデルBLMの横軸での上限を9φyに制限している。このように復元力特性のバイリニア型モデルBLMでは、変形角又は曲率の上限を6θy、9φyにそれぞれ制限してもよい。
また、図13及び図14に示したように、軸力が小さいほど、信頼強度時曲げモーメントrMuが小さくなるため、降伏変形角θyおよび降伏曲率φyは、軸力が大きい場合に比べて小さくなる。そのため、6.0θyおよび9.0φyも軸力が小さいほど小さくなる。このような傾向は、杭の変形性能は高軸力時よりも低軸力時の方が優れているという一般的な傾向とは逆となっている。そこで、低軸力時の変形性能は、変形性能を評価する上で厳しい条件であった軸力比+0.32の制限された終局変形角6.0θyおよび終局曲率9.0φyを下回ることが無いと判断して、低軸力時の終局変形角θuおよび終局曲率φuとして、図13及び図14に破線にて示したように、軸力比+0.32における制限された終局変形角6.0θyおよび終局曲率9.0φyを採用してもよい。
更に、前述したように、信頼強度時曲げモーメントrMuは、必ずしも最大耐力Mmaxの80%に相当するものである必要はなく、最大耐力Mmaxの所定の割合の値に設定可能である。最大耐力Mmaxに対する信頼強度時曲げモーメントrMuの割合は、例えば軸力比に応じて設定してもよく、軸力比0.30~0.32では80%とし、軸力比-0.31では90%としてもよい。そして、信頼強度時圧縮歪みεcrも軸力比に応じて設定してもよく、例えば、軸力比0.30~0.32では4000μとし、軸力比-0.31では4500μとしてもよい。
ここで、図15は、復元力特性のバイリニア型モデルの変形例を概略的に示すグラフである。上述した実施形態では、弾性剛性dKnの値は軸力比にかかわらずに一定であったが、図15に示したように、軸力比に応じて弾性剛性dKnの値を設定してもよい。換言すれば、軸力比に応じて係数αを設定してもよい。更に、上述した実施形態では、塑性率として、Mθ関係で6倍以上、Mφ関係で9倍以上を目標としたが、図15に示したように、軸力比に応じて塑性率の目標値を設定してもよい。
図16は、復元力特性のバイリニア型モデルの他の変形例を説明するためのグラフである。上述した実施形態では、復元力特性のバイリニア型モデルは、部材角や曲率が大きくなるにつれて、原点から傾きdKnにて立ち上がった後、信頼強度時曲げモーメントrMnに到達すると一定になっており、傾きが一定の直線(傾斜部分a)と、曲げモーメントが一定の直線(水平部分b)によって構成されているが、このように水平部分bがあると、水平方向の保有耐力をシミュレーションする際に不具合が生じる場合がある。このため、図16に示したように水平部分bを緩やかな傾斜部分b’に変更してもよい。この場合、例えば、傾斜部分aが信頼強度時曲げモーメントrMuの所定の割合(例えば80%)に到達したところから傾斜部分b’が始まるようにし、傾斜部分b’が終局変形角又は終局曲率に向けて水平部分bに徐々に近づくようにしてもよい。
更に、復元力特性のモデルは、2つの直線(傾斜部分aと水平部分b又は傾斜部分aと傾斜部分b’)のみで構成されている必要はなく、図16に示したように3つ以上の直線(傾斜部分a、傾斜部分c及び傾斜部分d)で構成されていてもよい。また更に、復元力特性のモデルは、図16に示したように、傾斜部分a及び水平部分bを近似する近似曲線eによって構成されていてもよい。
つまり、復元力特性のモデルは、傾斜部分aと水平部分bによって構成されるバイリニア型モデルそのもの(原型)であってもよいし、該バイリニア型モデルを原型としながらそれを近似するように多少の変形を加えたもの(近似型モデル)であってもよい。
また例えば、上述した実施形態では、杭体5が2つの円筒形状の部分によって構成されていたが、杭体5が1つの円筒部によって構成されていてもよい。杭体5が1つの円筒部によって構成されている場合、杭体5はコンクリートによって構成されている。あるいは、杭体が、3つ以上の円筒部によって構成されていてもよい。
また、上述した実施形態では、杭体5の内周面全域が内鋼管4によって覆われていたが、WSC杭1の軸線方向にて、相対的に大きな曲げモーメントが発生する領域にのみ内鋼管4を設けてもよい。つまり、WSC杭1の軸線方向にて、内鋼管4は杭体5を全長にわたって覆っている必要はなく、杭体5の内周面の必要な部分のみ内鋼管4によって部分的に覆ってもよい。この場合、少なくとも、座屈が発生し易い箇所(杭体5を構成するコンクリートの圧壊によって生じたコンクリート片が杭体5の中心方向に向かって移動し易い箇所)を含む部分を内鋼管4が覆っていればよい。ただし、内鋼管4は、WSC杭1の軸線方向にて、杭体5の1/4以上の長さの領域を覆っているのが好ましい。杭体5の内周面を内鋼管4によって部分的に覆う場合、全長にわたって覆う場合よりもコストを低減できる。
また更に、杭体5を構成するコンクリートは、無筋コンクリートであるが、鉄筋コンクリートであってもよい。
また、外鋼管3としては、SKK材のみならず、STK材、SM材、SS材、国土交通大臣認定の材料を用いてもよい。同様に、内鋼管4としては、STK材のみならず、SKK材、SM材、SS材、国土交通大臣認定の材料を用いてもよい。
1 二重鋼管付きコンクリート杭(WSC杭)
3 外鋼管
4 内鋼管
5 杭体
6 コンクリート部
7 端板
9 充填部
13 スタブ
15 反力床
17 歪みゲージ
19 変位計

Claims (12)

  1. 中空で円筒形状の外鋼管と、
    前記外鋼管の内側に配置された中空で円筒形状の内鋼管と、
    前記外鋼管と前記内鋼管との間に前記外鋼管に接して配置され、コンクリートによって構成された円筒形状のコンクリート部と、を備える二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のモデルであって、
    前記コンクリート部の径方向にて最外縁における前記コンクリート部の圧縮歪みが所定の値であると仮定して平面保持仮定に基づく断面解析により求められた、所定の軸力における前記二重鋼管付きコンクリート杭の最大耐力の所定の割合に相当する信頼強度時曲げモーメントと、
    前記二重鋼管付きコンクリート杭の初期剛性の理論値に基づいて求められ、前記二重鋼管付きコンクリート杭の等積割線剛性に相当する弾性剛性と、
    を原型とする
    ことを特徴とする二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のモデル。
  2. 前記外鋼管及び前記内鋼管の座屈を考慮に入れて前記断面解析が行われることを特徴とする請求項1に記載の二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のモデル。
  3. 前記初期剛性の理論値をcKn1としたとき、前記初期剛性の理論値cKn1は以下の式(1):
    cKn1=3EI/L ・・・(1)
    (ただし、式(1)中、Lは要素長(m)であり、EIは前記二重鋼管付きコンクリート杭の曲げ剛性(kN・m)である。)
    によって求められることを特徴とする請求項1又は2に記載の二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のモデル。
  4. 前記初期剛性の理論値をcKn2としたとき、前記初期剛性の理論値cKn2は以下の式(2)及び式(3):
    cKn2=(N×L×tankL)/(tankL-kL) ・・・(2)
    k=(N/EI)^0.5 ・・・(3)
    (ただし、式(2)及び式(3)中、Lは要素長(m)であり、Nは軸力(kN)であり、EIは前記二重鋼管付きコンクリート杭の曲げ剛性(kN・m)である。)
    によって求められることを特徴とする請求項1又は2に記載の二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のモデル。
  5. 前記コンクリート部の圧縮歪みの所定の値は、試験用の二重鋼管付きコンクリート杭の載荷試験を行って決定されたものであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のモデル。
  6. 前記載荷試験は、前記試験用の二重鋼管付きコンクリート杭の一端側をスタブ内に固定して行った片持ち梁式の載荷試験であり、
    前記試験用の二重鋼管付きコンクリート杭の部材角又は曲率を求める際に、前記スタブ内での前記試験用の二重鋼管付きコンクリート杭の変形が考慮されている
    ことを特徴とする請求項5に記載の二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のモデル。
  7. 中空で円筒形状の外鋼管と、
    前記外鋼管の内側に配置された中空で円筒形状の内鋼管と、
    前記外鋼管と前記内鋼管との間に前記外鋼管に接して配置され、コンクリートによって構成された円筒形状のコンクリート部と、を備える二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のモデル化方法であって、
    所定の軸力における前記二重鋼管付きコンクリート杭の最大耐力の所定の割合に相当する信頼強度時曲げモーメントを、前記コンクリート部の径方向にて最外縁における前記コンクリート部の圧縮歪みが所定の値であると仮定して平面保持仮定に基づく断面解析により求める信頼強度時曲げモーメント演算工程と、
    前記二重鋼管付きコンクリート杭の等積割線剛性に相当する弾性剛性を、前記二重鋼管付きコンクリート杭の初期剛性の理論値に基づいて求める弾性剛性演算剛性工程と、
    を備える
    ことを特徴とする二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のモデル化方法。
  8. 前記信頼強度時曲げモーメント演算工程において、前記外鋼管及び前記内鋼管の座屈を考慮に入れて前記断面解析を行うことを特徴とする請求項7に記載の二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のモデル化方法。
  9. 前記弾性剛性演算工程において、前記初期剛性の理論値をcKn1としたとき、前記初期剛性の理論値cKn1を以下の式(1):
    cKn1=3EI/L ・・・(1)
    (ただし、式(1)中、Lは要素長(m)であり、EIは前記二重鋼管付きコンクリート杭の曲げ剛性(kN・m)である。)
    によって求めることを特徴とする請求項7又は8に記載の二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のモデル化方法。
  10. 前記弾性剛性演算工程において、前記初期剛性の理論値をcKn2としたとき、前記初期剛性の理論値cKn2を以下の式(2)及び式(3):
    cKn2=(N×L×tankL)/(tankL-kL) ・・・(2)
    k=(N/EI)^0.5 ・・・(3)
    (ただし、式(2)及び式(3)中、Lは要素長(m)であり、Nは軸力(kN)であり、EIは前記二重鋼管付きコンクリート杭の曲げ剛性(kN・m)、である。)
    によって求めることを特徴とする請求項7又は8に記載の二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のモデル化方法。
  11. 前記信頼強度時曲げモーメント演算工程において、前記コンクリート部の圧縮歪みの所定の値を、試験用の二重鋼管付きコンクリート杭の載荷試験を行って決定することを特徴とする請求項7乃至10の何れか1項に記載の二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のモデル化方法。
  12. 前記載荷試験は、前記試験用の二重鋼管付きコンクリート杭の一端側をスタブ内に固定して行った片持ち梁式の載荷試験であり、
    前記試験用の二重鋼管付きコンクリート杭の部材角又は曲率を求める際に前記スタブ内での前記試験用の二重鋼管付きコンクリート杭の変形を考慮する
    ことを特徴とする請求項11に記載の二重鋼管付きコンクリート杭の復元力特性のモデル化方法。
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