JP6440659B2 - 杭頭接合部の設計方法及び製造方法 - Google Patents

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本開示は、杭頭接合部の設計方法及び製造方法に関する。
上部構造を支持する杭基礎は、一般的に、複数の杭と、杭の上端部(杭頭部)を囲むように設けられるパイルキャップやフーチングのような基礎コンクリート部とを有している。杭頭部と基礎コンクリート部との接続を強化するために、杭頭部には複数の補強筋が取り付けられ、補強筋も基礎コンクリート部内に埋設される。杭頭部、補強筋及びパイルキャップは、杭頭接合部を構成する。
例えば、補強筋は、アンボンド状態で基礎コンクリート部内に埋設される。この場合、特許文献1が開示するように、杭頭接合部の弾性回転剛性を考慮して、杭頭の発生曲げモーメントを算定することができる。弾性回転剛性を考慮した場合、考慮しない場合に比べて発生曲げモーメントを低減することができ、これにより、発生曲げモーメントを許容曲げモーメントよりも小さくすることができる。
一方、従来、補強筋に基礎コンクリート部が付着している杭頭接合部を設計する場合、弾性回転剛性は考慮されておらず、杭頭にて発生する発生曲げモーメントは、固定度が1であるとして算定されていた。
特開2007−262836号公報
上述したように、特許文献1は、アンボンド状態の場合について弾性回転剛性を考慮して杭頭の発生曲げモーメントを演算することを開示している。
しかしながら、特許文献1は、補強筋、特に表面に凹凸を有する補強筋に対し基礎コンクリート部が付着している場合に、弾性回転剛性を考慮して杭頭接合部を設計することを何ら開示していない。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態の目的は、補強筋に対し基礎コンクリート部が付着している杭頭接合部において、弾性回転剛性を考慮することにより、杭頭発生曲げモーメントに対して十分な大きさの許容曲げモーメントを低コストな仕様で実現可能とする杭頭接合部の設計方法及び製造方法を提供することにある。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る杭頭接合部の設計方法は、
杭頭部と、
杭頭部に対し固定された複数の補強筋と、
前記杭頭部及び前記複数の補強筋を囲む、コンクリートによって構成された基礎コンクリート部と、を備え、
前記補強筋は、表面に凹凸を有する軸部を有し、
前記軸部の少なくとも一部は、前記杭頭部の軸線方向にて前記杭頭部の端面から上方に突出して延在し、
前記基礎コンクリート部は前記軸部の少なくとも一部に付着している
杭頭接合部の設計方法において、
前記杭頭部、前記補強筋及び前記基礎コンクリート部の仕様を選択する仕様選択工程と、
前記仕様選択工程にて選択された仕様に基づいて、前記杭頭接合部の許容曲げモーメントを算定する許容曲げモーメント算定工程と、
前記許容曲げモーメントに基づいて、前記仕様選択工程にて選択された仕様の適否を判定する仕様適否判定工程と、を備え、
前記仕様適否判定工程は、
前記許容曲げモーメントに対応する前記杭頭部の回転角に基づいて、前記杭頭接合部の弾性回転剛性を演算する弾性回転剛性演算工程と、
前記杭頭部に軸方向圧縮力が作用していないという条件下において、前記杭頭接合部の弾性回転剛性を考慮して、前記杭頭部に対し想定水平力が作用したときに前記杭頭部に発生する発生曲げモーメントを演算する発生曲げモーメント演算工程と、
前記発生曲げモーメント演算工程にて演算された発生曲げモーメントが、前記許容曲げモーメントよりも小さいか否かを判定する曲げモーメント比較判定工程と、を含み、
前記杭頭部、前記補強筋及び前記基礎コンクリート部の仕様が適当であると判定する条件の1つは、前記曲げモーメント比較判定工程において、前記発生曲げモーメントが、前記許容曲げモーメントよりも小さいと判定されることである。
本発明者等が検討したところ、補強筋に基礎コンクリート部が付着している場合であっても、弾性回転剛性を考慮し、杭頭部に発生する発生曲げモーメントを算定してもよい場合が存在することがわかった。具体的には、杭頭部に軸方向圧縮力が作用していないときには、固定度を1とせずに算定してもよいことがわかった。ここで、固定度は、日本建築学会の「建築基礎構造設計指針」に従い、杭頭を完全固定とした時に生じる杭頭曲げモーメントM0fに対する、半固定時に生じる杭頭曲げモーメントMの比M/M0fとして定義される。杭頭ピンの場合、M=0であるので固定度は0、杭頭固定(剛接合)の場合、M=M0fであるので固定度は1になる。杭頭半剛接合では、固定度をαとすると、0.0<α<1.0となる。
そこで、上記構成(1)では、杭頭部に軸方向圧縮力が作用していないという条件下で、杭頭接合部の弾性回転剛性を考慮して、杭頭部に対し想定水平力が作用したときに杭頭部に発生する発生曲げモーメントを演算している。このように、杭頭接合部の弾性回転剛性を考慮することで、固定度を1よりも小さくすることができ、発生曲げモーメントを小さくすることができる。これにより、杭頭部に軸方向圧縮力が作用していないという条件下で、発生曲げモーメントを小さくすることができ、許容曲げモーメントよりも発生曲げモーメントを小さくすることができる。この結果として、上記構成(1)によれば、十分な大きさの許容曲げモーメントを有する杭頭接合部を低コストな仕様で実現可能である。
(2)幾つかの実施形態では、上記構成(1)において、
前記弾性回転剛性演算工程では、前記許容曲げモーメントを前記杭頭部の回転角で除すことにより、前記杭頭接合部の弾性回転剛性が演算され、
前記弾性回転剛性演算工程は、前記杭頭部の回転角を求めるために、前記補強筋の軸部に対する前記基礎コンクリート部の付着を考慮して前記補強筋のうち引っ張り側に位置する補強筋の伸び量を算定する伸び量算定工程を含む。
上記構成(2)によれば、補強筋の軸部に対する基礎コンクリート部の付着を考慮して補強筋の伸び量が演算されるので、演算結果において、補強筋の伸び量が過剰に大きくなることはない。このため、杭頭接合部の弾性回転剛性を的確に求めることができ、十分な大きさの許容曲げモーメントを有する杭頭接合部を低コストな仕様で実現可能である。
(3)幾つかの実施形態では、上記構成(2)において、
前記伸び量算定工程において、前記補強筋の軸部に対する前記基礎コンクリート部の付着を考慮するために、前記補強筋の周長、前記基礎コンクリート部の短期許容付着応力度及び前記基礎コンクリート部内の前記補強筋の定着長さを考慮する。
上記構成(3)によれば、補強筋の軸部に対する基礎コンクリート部の付着を考慮するために、補強筋の軸部の周長、基礎コンクリート部の短期許容付着応力度及び基礎コンクリート部内の補強筋の定着長さを考慮することにより、補強筋の軸部に対する基礎コンクリート部の付着が的確に考慮される。このため、杭頭接合部の弾性回転剛性を的確に求めることができ、十分な大きさの許容曲げモーメントを有する杭頭接合部を低コストな仕様で実現可能である。
(4)幾つかの実施形態では、上記構成(3)において、
前記弾性回転剛性演算工程では、前記伸び量算定工程にて算定された前記補強筋の伸び量を、前記引っ張り側に位置する補強筋の回転半径で除すことにより前記弾性回転剛性が演算され、
前記補強筋の回転半径として、圧縮側の前記杭頭部の外縁から前記引っ張り側に位置する補強筋の中心までの距離を用いる。
上記構成(4)によれば、回転半径として、圧縮側の杭頭部の外縁から引っ張り側に位置する補強筋の中心までの距離を用いることで、簡単な構成にて、杭頭部の回転角、ひいては弾性回転剛性を演算によって求めることができる。
(5)幾つかの実施形態では、上記構成(3)において、
前記弾性回転剛性演算工程では、前記伸び量算定工程にて算定された前記補強筋の伸び量を、前記引っ張り側に位置する補強筋の回転半径で除すことにより前記弾性回転剛性が演算され、
前記補強筋の回転半径として、前記杭頭部の外径を用いる。
上記構成(5)によれば、回転半径として、杭頭部の外径を用いることで、簡単な構成にて、杭頭部の回転角、ひいては弾性回転剛性を演算によって求めることができる。
(6)幾つかの実施形態では、上記構成(1)乃至(5)の何れか1つにおいて、
前記杭頭接合部の弾性回転剛性を無視して演算される、前記杭頭部に対し前記想定水平力が作用したときに前記杭頭部に発生する剛接合発生曲げモーメントが、前記許容曲げモーメントよりも大きいか否かを判定する剛接合発生曲げモーメント比較判定工程を更に含み、
前記杭頭部、前記補強筋及び前記基礎コンクリート部の仕様が適当であると判定する条件の1つは、前記剛接合発生曲げモーメント比較判定工程において、前記剛接合発生曲げモーメントが、前記許容曲げモーメントよりも大きいと判定されることである。
上記構成(6)によれば、杭頭部の回転角を無視して演算した剛接合発生曲げモーメントが許容曲げモーメントよりも大きいときに、杭頭部、補強筋及び基礎コンクリート部の仕様が適当であると判定されるので、杭頭部、補強筋及び基礎コンクリート部の仕様が過剰になることが防止される。この結果として、上記構成(8)によれば、十分な大きさの許容曲げモーメントを有する杭頭接合部を低コストな仕様で確実に実現可能である。
(7)幾つかの実施形態では、上記構成(1)乃至(6)の何れか1つにおいて、
前記許容曲げモーメントが前記発生曲げモーメントに近付くように、前記仕様選択工程と、前記許容曲げモーメント算定工程と、前記仕様適否判定工程とを繰り返す。
上記構成(7)によれば、仕様選択工程、許容曲げモーメント算定工程、及び、仕様適否判定工程を繰り返すことで、より大きな許容曲げモーメントを有する杭頭接合部を低コストな仕様で実現可能である。
(8)幾つかの実施形態では、上記構成(2)において、
前記杭頭接合部は、前記杭頭部の外周面に固定された複数の接合部材を更に備え、
前記複数の補強筋は、前記杭頭部に対し前記接合部材を介してそれぞれ取り付けられ、
前記補強筋は、
前記軸部の一端側に連なり前記軸部よりも小さい断面積を有する螺子部を更に有し、
前記接合部材は、
前記杭頭部の外周面に固定された下側突起部と、
前記杭頭部の外周面に固定された上側突起部であって、前記杭頭部の軸線方向にて前記下側突起部の上方に配置された上側突起部と、を有し、
前記補強筋の螺子部は前記下側突起部に結合され、
前記補強筋の軸部は、前記杭頭部の軸線方向にて前記下側突起部と前記上側突起部との間を延びるとともに、前記杭頭部の端面から上方に突出して延在し、
前記伸び量算定工程において、前記補強筋の軸部に対する前記基礎コンクリート部の付着を考慮するために、前記補強筋の周長、前記基礎コンクリート部の短期許容付着応力度及び前記基礎コンクリート部内の前記補強筋の定着長さを考慮し、
前記補強筋の定着長さとして、前記上側突起部から上方に突出する前記軸部の部分に対する前記基礎コンクリート部の定着長さと、前記上側突起部と前記下側突起部との間を延びる前記軸部の部分に対する前記基礎コンクリート部の定着長さとを考慮する。
上記構成(8)によれば、補強筋の軸部に対する基礎コンクリート部の付着を考慮するために、補強筋の軸部の周長、基礎コンクリート部の短期許容付着応力度及び基礎コンクリート部内の補強筋の定着長さを考慮することにより、補強筋の軸部に対する基礎コンクリート部の付着が的確に考慮される。その上、補強筋の定着長さとして、上側突起部から上方に延出する補強筋の軸部の部分に対する基礎コンクリート部の定着長さのみならず、上側突起部と下側突起部との間を延びる補強筋の軸部の部分に対する基礎コンクリート部の定着長さが考慮されるので、補強筋の伸び量が的確に演算される。このため、杭頭部の外周面に固定された接合部材を介して杭頭部に対し補強筋が取り付けられている杭頭接合部であっても、杭頭接合部の弾性回転剛性を的確に求めることができ、十分な大きさの許容曲げモーメントを有する杭頭接合部を低コストな仕様で実現可能である。
(9)本発明の少なくとも一実施形態に係る杭頭接合部の製造方法は、
上記構成(1)乃至(8)の何れか1つに記載の杭頭接合部の設計方法によって適当であると判定された前記杭頭部、前記補強筋及び前記基礎コンクリート部の仕様に基づいて、前記杭頭接合部を構築する杭頭接合部構築工程を備える。
上記構成(9)によれば、上記構成(1)乃至(8)の何れか1つの杭頭接合部の設計方法によって杭頭部、補強筋及び基礎コンクリート部の仕様が選択されるので、十分な大きさの許容曲げモーメントを有する杭頭接合部を低コストな仕様で実現可能である。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、補強筋に対し基礎コンクリート部が付着している杭頭接合部において、弾性回転剛性を考慮することにより、杭頭発生曲げモーメントに対して十分な大きさの許容曲げモーメントを低コストな仕様で実現可能とする杭頭接合部の設計方法及び製造方法が提供される。
構造体の概略的な構成を示す図である。 杭頭接合部を説明するための図である。 図2中の杭頭部、接合部材、補強筋及び定着体を概略的に示す図であり、左半分は側面図、右半分は断面図である。 接合部材を概略的に示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は上面図、そして、(d)は下面図である。 補強筋を概略的に示す側面図である。 杭頭部、接合部材及び補強筋の一部を概略的に示す断面図である。 杭頭部の一部及び接合部材を概略的に示す上面図である。 第1実施形態に係る杭頭接合部の設計方法の手順を概略的に示すフローチャートである。 許容曲げモーメントを算定するための抵抗機構モデルを説明するための図であり、(a)は機構I、(b)は機構II、そして(c)は機構IIIを説明するための図である。 ひび割れが発生している状態Bにおいて、補強筋の軸部の引っ張り降伏強さを考慮することができる理由を説明するための図である。 仕様適否判定工程の概略的な手順を示すフローチャートである。 〔数1〕及び〔数2〕中の記号を説明するための図である。 ひび割れが発生している状態Bの場合における、補強筋に作用する力の杭頭部の軸線方向での分布を示すグラフである。 杭頭接合部における支圧効果による基礎コンクリート部の耐力増加を説明するための図である。 杭頭接合部における偏心圧縮状態での支圧効果による基礎コンクリート部の耐力増加を説明するための図である。 杭頭接合部の水平加力試験装置を概略的に示す図である。 図16の水平加力試験装置により杭頭接合部に作用させられる水平加力の印加パターンを示すグラフである。 水平加力試験装置を用いた水平加力試験後に杭頭接合部の基礎コンクリート部を斫り、基礎コンクリート部の内部状況を撮影した写真である。 水平加力試験装置を用いた水平加力試験後に杭頭接合部の基礎コンクリート部を斫り、基礎コンクリート部の内部状況を撮影した写真である。 水平加力試験装置を用いた水平加力試験後に杭頭接合部の基礎コンクリート部を斫り、基礎コンクリート部の内部状況を撮影した写真である。 水平加力試験装置を用いた水平加力試験後に杭頭接合部の基礎コンクリート部を斫り、基礎コンクリート部の内部状況を撮影した写真である。 基礎コンクリート部内のひび割れの発生状況から、仮想RC断面径Dを設定したことを説明するための図である。 〔数4〕〜〔数6〕中の記号を説明するための図である。 〔数7〕中の記号を説明するための図である。 ひび割れが発生していない状態Aの場合に、補強筋断面強度の決定位置が、ひび割れが発生している状態Bの場合と異なることを説明するための図である。 ひび割れが発生していない状態Aの場合における、補強筋に作用する力の杭頭部の軸線方向での分布を示すグラフである。 第3実施形態に係る杭頭接合部の設計方法における許容曲げモーメント算定工程の概略的な手順を示すフローチャートである。 Cc≧Tby-Tsyである場合における、許容曲げモーメント選択工程の概略的な手順を示すフローチャートである。 第4実施形態に係る杭頭接合部の設計方法の概略的な手順を示すフローチャートである。 第5実施形態に係る杭頭接合部の設計方法の概略的な手順を示すフローチャートである。 第6実施形態に係る杭頭接合部の設計方法及び第7実施形態に係る杭頭接合部の製造方法の概略的な手順を示すフローチャートである。 杭応力一体解析に用いられた杭配置を説明するための図である。 杭応力一体解析の解析結果を示すグラフであり、N値=3.0のときの杭P1のNM曲線を示すグラフである。 杭応力一体解析の解析結果を示すグラフであり、N値=1.0のときの杭P1のNM曲線を示すグラフである。 杭応力一体解析の解析結果を示すグラフであり、N値=1.0のときの杭P2のNM曲線を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る杭頭接合部の設計方法によって設計可能な、変形例の杭頭接合部を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る杭頭接合部の設計方法によって設計可能な、変形例の杭頭接合部を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る杭頭接合部の設計方法によって設計可能な、変形例の杭頭接合部を説明するための図である。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
以下、本発明の実施形態に係る杭頭接合部の設計方法及び製造方法について説明するが、その前提として、設計対象の杭頭接合部の一例についてまず説明する。
〔杭頭接合部の構成〕
図1は、構造体1の概略的な構成を示す図である。構造体1は、複数の杭2と、複数の杭2の杭頭部の各々に接合されたパイルキャップ4aと、パイルキャップ4a同士を連結する梁5と、パイルキャップ4aを介して杭2によって支持された上部構造6と有する。杭2、パイルキャップ4a及び梁5は、上部構造6を支持するための杭基礎8を構成している。
なお、杭基礎8は、パイルキャップ4aに代えて、フーチングを有していてもよい。以下では、パイルキャップ4aやフーチングを基礎コンクリート部4とも称する。
図2は、杭頭接合部10を説明するための図である。図3は、図2中の杭頭部、接合部材、補強筋(定着筋)及び定着体を概略的に示す図であり、左半分は側面図、右半分は断面図である。図4は、接合部材を概略的に示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は上面図、そして、(d)は下面図である。図5は、補強筋を概略的に示す側面図である。図6は、杭頭部、接合部材及び補強筋の一部を概略的に示す断面図である。図7は、杭頭部の一部及び接合部材を概略的に示す上面図である。
図1〜図7に示したように、杭頭接合部10は、杭2の上端部(杭頭部)12と、複数の接合部材14と、複数の補強筋16と、基礎コンクリート部4とを備えている。
杭2は、場所打ち杭であっても既製杭であってもよい。ただし、円筒形状の杭頭部12の外周面には、接合部材14が溶接によって固定される。このため、場所打ち杭の場合には、杭2は鋼管コンクリート杭である。また、既製杭の場合には、杭2は、鋼管杭(SPP杭)若しくは外殻鋼管付きコンクリート杭(SC杭)であるか、又は、上端部に鋼製の補強バンドが取り付けられているコンクリート杭、例えば、鉄筋コンクリート杭(RC杭)、プレストレストコンクリート杭(PC杭,PRC杭)、若しくは、高強度プレストレストコンクリート杭(PHC杭)等である。
本実施形態では、杭2は、SC杭であり、コンクリートによって構成された円筒形状のコンクリート部17と、コンクリート部17の両端を覆う金属製の端板18と、コンクリート部17の外周面を覆う外殻鋼管19とを有する。端板18は環形状を有し、外殻鋼管19に対して溶接されている。
複数の接合部材(ジョイントカプラ)14は、金属製であり、杭頭部12の周方向に間隔をおいて、杭頭部12の外周面に溶接によって固定されている。
複数の補強筋16は、金属製であり、杭頭部12に対し接合部材14を介してそれぞれ取り付けられている。
基礎コンクリート部4は、コンクリートによって構成され、杭頭部12、複数の接合部材14、及び、複数の補強筋16を囲んでいる。
なお図示しないけれども、基礎コンクリート部4内には、割裂防止筋や、梁5の主筋等が配置されていてもよい。
ここで、補強筋16は、表面に凹凸を有する軸部20と、軸部20の一端側に連なり軸部20よりも小さい断面積を有する螺子部21と、を有する。なお、補強筋16は、軸部20の両側に螺子部21を有していてもよい。この場合、補強筋16の上端側の螺子部21に定着体22としてのナットが螺合されていてもよい。
例えば、補強筋16として、図5に示したような異形鉄筋を用いることができる。
接合部材14は、下側突起部23と上側突起部24とを有する。下側突起部23及び上側突起部24は、杭頭部12の外周面に溶接によって固定され、杭頭部12の外周面から側方に突出している。そして、上側突起部24は、杭頭部12の軸線方向にて下側突起部23の上方に配置されている。例えば、杭頭部12の軸線方向にて、上側突起部24の上面の位置が、杭頭部12の上端面の位置に一致するように、接合部材14は杭頭部12の外周面に溶接される。
補強筋16の螺子部21は下側突起部23に結合されている。例えば、図4に示したように、下側突起部23に螺子孔26が形成され、螺子部21は螺子孔26に螺合される。或いは、図示しないけれども、下側突起部23には貫通孔が形成され、下側突起部23の下側に、貫通孔と同軸にてナットが溶接される。この場合、ナットを下側突起部23の一部と見なすことができ、ナットに螺子部21を螺合することにより、下側突起部23に螺子部21が螺合されていると見なすことができる。
補強筋16の軸部20は、杭頭部12の軸線方向にて下側突起部23と上側突起部24との間を延びるとともに、上側突起部24及び杭頭部12の端面から上方に突出して延在している。
従って、上側突起部24は、補強筋16の通過を許容するような形状を有している。一方で、上側突起部24は、下側突起部23と上側突起部24との間を延びる補強筋16の軸部20の部分に付着した基礎コンクリート部4の部分と、杭頭部12の軸線方向にて係合するように構成されている。
例えば、図4に示したように、上側突起部24は、補強筋16の通過を許容する切り欠き28が形成されたフォーク部29を有し、フォーク部29は、軸部20に付着したコンクリート部4の一部と杭頭部12の軸線方向にて係合するように構成されている。
好ましくは、接合部材14は、下側突起部23及び上側突起部24と一体に形成された連結部30と、2つの補強ビーム部32と、2つの補強リブ部34とを更に有する。
連結部30は、杭頭部12の軸線方向及び周方向に延びる板形状を有し、下側突起部23と上側突起部24を相互に連結している。連結部30は、杭頭部12側に、杭頭部12の外周面に沿って配置可能な湾曲面35を有する。
補強ビーム部32は、杭頭部12の軸線方向に延び、角柱形状を有している。補強ビーム部32は、杭頭部12の周方向にて連結部30の両側に一体に形成されている。補強ビーム部32は、下側突起部23と上側突起部24との間を延びている。
補強リブ部34は、補強ビーム部32と下側突起部23との間に形成される隅に一体に形成されている。
好ましくは、図7に示したように、杭頭部12の周方向にて連結部30の両側が、杭頭部12の外周面に溶接される。そのために、杭頭部12の周方向にて連結部30の両側には、杭頭部12の外周面に対し傾斜した開先面36が設けられ、開先面36と杭頭部12の外周面との間に溶接ビード38が形成される。好ましくは、開先面36及び溶接ビード38は、杭頭部12の軸線方向にて、下側突起部23から上側突起部24まで延びている。
なお、接合部材14の形状は上述したものに限定されることはなく、例えば、特開2015−34458号公報に記載された接合部材を用いることができる。
〔第1実施形態に係る杭頭接合部の設計方法〕
図8は、第1実施形態に係る杭頭接合部の設計方法の手順を概略的に示すフローチャートである。図9は、許容曲げモーメントを算定するための抵抗機構モデルを説明するための図である。
図8に示したように、杭頭接合部の設計方法は、仕様選択工程S1と、許容曲げモーメント算定工程S2と、仕様適否判定工程S3とを備えている。
仕様選択工程S1では、杭頭部12、接合部材14、補強筋16及び基礎コンクリート部4の仕様が選択される。杭頭部12の仕様とは、杭2の仕様であり、杭径、杭種及び材質等である。接合部材14の仕様とは、接合部材14の形状、寸法及び材質等である。補強筋16の仕様とは、補強筋16の形状、寸法及び材質等である。基礎コンクリート部4の仕様とは、基礎コンクリート部4の形状、寸法及び材質等である。
許容曲げモーメント算定工程S2では、仕様選択工程S1にて選択された仕様に基づいて、杭頭接合部10の許容曲げモーメント(短期許容曲げモーメント)sMaが算定される。
仕様適否判定工程S3では、許容曲げモーメントsMaに基づいて、仕様選択工程S1にて選択された仕様の適否が判定される。例えば仕様適否判定工程S3では、許容曲げモーメントsMaと杭頭部12の発生曲げモーメントMとを比較し、発生曲げモーメントMが許容曲げモーメントsMaよりも小さければ、選択された仕様が適当であると判定される。
ここで、許容曲げモーメント算定工程S2では、図9に示した抵抗機構モデルに基づいて、許容曲げモーメントsMaを算定する。杭頭接合部10に剪断力Qが作用し、曲げモーメントMが発生した場合、以下の機構I,II,IIIが適宜組み合わさり、曲げモーメントMに抵抗すると考えられる。
機構Iは、図9(a)に示したように、補強筋16を主筋とみなす仮想RC断面としての抵抗であり、補強筋16及び杭頭部12に作用する圧縮力C、並びに、補強筋16に作用する引っ張り力Tに対する抵抗である。機構Iによる許容曲げモーメントsMaの成分を、以下では第1許容曲げモーメント成分sMa1とも称する。
機構IIは、図9(b)に示したように、基礎コンクリート部4から杭頭部12の外周面に作用する圧縮力Cに対する抵抗である。機構IIによる許容曲げモーメントsMaの成分を、以下では第2許容曲げモーメント成分sMa2とも称する。
機構IIIは、図9(c)に示したように、基礎コンクリート部4から接合部材14の凹凸に作用する圧縮力Cに対する抵抗である。機構IIIによる許容曲げモーメントsMaの成分を、以下では第3許容曲げモーメント成分sMa3とも称する。
そして、本実施形態の許容曲げモーメント算定工程S2では、杭頭部12の端面から上方に突出する補強筋16の軸部20の部分を囲む基礎コンクリート部4の上側部分40と、下側突起部23と上側突起部24との間を延びる補強筋の軸部20の部分を囲む基礎コンクリート部4の下側部分42との間に、ひび割れ44が生じていると仮定する(図9(a)参照)。ひび割れ44は、典型的には、上側突起部24から斜め45度下方に向かって延びる。このため、ひび割れ44を斜めひび割れ44とも称する。
なお以下の説明では、ひび割れ44が生じていない状態を「状態A」とも称し、ひび割れ44が生じている状態を「状態B」とも称する。本実施形態では、状態Bであると仮定する。
状態Bの場合、ひび割れ44の存在によって、抵抗機構モデル中の機構IIIに期待することはできず、機構IIIに基づく抵抗を無視する必要がある。
一方、ひび割れ44の有無にかかわらずに、機構Iとして、補強筋16の引っ張り降伏強さを考慮する必要があるが、ひび割れ44が存在する場合には、補強筋16の引っ張り降伏強さとして、補強筋16の軸部20の引っ張り降伏強さを考慮することができる。軸部20の断面積は螺子部21の断面積よりも大きく、軸部20の引っ張り降伏強さは螺子部21の引っ張り降伏強さよりも大きい。このため、補強筋16の軸部20の引っ張り降伏強さを考慮することができることは、許容曲げモーメントsMaの算定にあたり有利に働く。
図10は、状態Bにおいて、補強筋16の軸部20の引っ張り降伏強さTbyを考慮することができる理由を説明するための図である。ひび割れ44が発生した場合、ひび割れ44より下方にて補強筋16に基礎コンクリート部4の下側部分42が付着していることから、付着による抵抗力Fsbの発生を見込むことができる。そして、通常、抵抗力Fsbと螺子部21の引っ張り降伏強さTsyの和(Fsb+Tsy)が、軸部20の引っ張り降伏強さTby以上になるように設計されるので、軸部20の引っ張り降伏強さTbyまで、補強筋16が耐えることができる。
このため、本実施形態の許容曲げモーメント算定工程S2では、杭頭部12の端部から上方に突出する補強筋16と補強筋16を囲む基礎コンクリート部4の抵抗を算定する際には、補強筋16の軸部20の引っ張り降伏強さTbyを考慮する一方、接合部材14から基礎コンクリート部4に作用する抵抗を無視して許容曲げモーメントsMaを算定する。つまり、許容曲げモーメントsMaとして、第1許容曲げモーメント成分sMa1を算定する。
なお、引っ張り降伏強さTbyを考慮して許容曲げモーメントsMaを算定するとは、具体的には、引っ張り降伏強さTbyを変数として直接又は間接的に含む関数を用いて許容曲げモーメントsMaを算定することを意味する。
なお、許容曲げモーメントsMaの算定にあたって、機構IIに基づく抵抗を考慮してもしなくてもよい。機構IIに基づく抵抗を考慮する場合、許容曲げモーメントsMaとして、第1許容曲げモーメント成分sMa1と第2許容曲げモーメント成分sMa2の和(sMa1+sMa2)を算定すればよい。このように、機構IIに基づく抵抗を考慮すれば、許容曲げモーメントsMaが大きくなり、杭頭部12、接合部材14、補強筋16及び基礎コンクリート部4の仕様を抑制することができる。一方、機構IIに基づく抵抗を考慮しなければ、許容曲げモーメントsMaが小さくなり、安全率を見込むことができる。
一方、本実施形態の仕様適否判定工程S3においては、弾性回転剛性Kを考慮して発生曲げモーメントMθを演算する。図11は、仕様適否判定工程S3の概略的な手順を示している。仕様適否判定工程S3は、弾性回転剛性演算工程S4、発生曲げモーメント演算工程S5及び曲げモーメント比較判定工程S6を有している。
弾性回転剛性演算工程S4では、許容曲げモーメントsMa及び許容曲げモーメントsMaに対応する杭頭部12の回転角(杭頭回転角)θに基づいて、杭頭接合部10の弾性回転剛性Kを演算する。この際、以下の様に、杭頭接合部10に作用する軸力の範囲毎に場合分けして、弾性回転剛性Kを算出する。
・0<軸力である場合
弾性回転剛性Kを考慮しない(固定度α=1とする)。
・軸力≦0である場合
弾性回転剛性Kを以下の〔数1〕に示す式によって算出する。
Figure 0006440659
杭頭回転角θは、状態Bの場合、補強筋16の断面強度の決定位置(図10参照)に応じて、以下の〔数2〕に示す式により求めることができる。なお、図12は、〔数2〕中の記号の詳細を示している。〔数2〕では、0.5sfa・ψb・lb及び0.5sfa・ψb・lbが、基礎コンクリート部4の付着により軸部20に作用する抵抗をそれぞれ表している。当該抵抗は、断面強度の決定位置からの距離に比例して増加し、当該抵抗によって、軸部20に作用する引っ張り力が、断面強度の決定位置からの距離に応じて低減又は打ち消される。この結果として、杭頭部12の軸線方向での力の分布は、図13に示したようになり、図13中のハッチングを付した領域の面積を(a・Eb)で除すことにより、伸び量δbを求めることができる。かくして〔数2〕に示した式によれば、補強筋16に対する基礎コンクリート部4の付着を考慮して、補強筋16の伸び量δbを算出することができる。
Figure 0006440659
なお上記〔数2〕中のTyについては、補強筋16の軸部20の引っ張り降伏強さTbyを用いることができる。また、Tyとして、軸部20の引っ張り降伏強さTbyに0〜1の係数を乗じたものを用いてもよい。
そして、発生曲げモーメント演算工程S5では、杭頭部12に軸方向圧縮力が作用していないという条件下(軸力≦0)において、杭頭接合部10の弾性回転剛性Kを考慮して、杭頭部12に対し想定水平力Hが作用したときに、杭頭部12に発生する発生曲げモーメントMθを演算する。そのために、以下の〔数3〕に示す式のように、弾性回転剛性Kを用いて弾性時の固定度αを求める。そして、水平力Hが作用したときに発生する曲げモーメント(剛接合発生曲げモーメント)Mに、固定度αを乗じることによって、発生曲げモーメントMθを求める。
Figure 0006440659
曲げモーメント比較判定工程S6では、発生曲げモーメント演算工程S5にて演算された発生曲げモーメントMθが、許容曲げモーメントsMaよりも小さいか否かを判定する。判定の結果、発生曲げモーメントMθが許容曲げモーメントsMaよりも小さければ(sMa>Mθ)、仕様選択工程S1にて選択された、杭頭部12、接合部材14、補強筋16及び基礎コンクリート部4の仕様が適当であると判定し、発生曲げモーメントMθが許容曲げモーメントsMa以上であれば(sMa≦Mθ)、仕様が不適当であると判定する。つまり、杭頭部12、接合部材14、補強筋16及び基礎コンクリート部4の仕様が適当であると判定される条件の1つは、発生曲げモーメントMθが許容曲げモーメントsMaよりも小さい(sMa>Mθ)ということである。
なお、Lは最外縁の補強筋16から回転中心Oまでの距離(回転半径)であるが、図12に示したように、簡便的に、圧縮側の杭頭部12の端から引張側の補強筋16の中心までの距離と同じ値に設定してもよく、杭径Dpと同じ値に設定されてもよい。回転半径Lは、通常、圧縮側の杭頭部12の端から引張側の補強筋16の中心までの距離や、杭径Dpよりも小さく、回転半径Lを大きめに設定すれば、安全を見込むことができる。勿論、シミュレーション又は実験によって、回転半径Lをより正確に求めてもよい。
従来、補強筋16に基礎コンクリート部4が付着している杭頭接合部10の場合、杭頭部12にて発生する発生曲げモーメントMθは、固定度αが1であるとして算定されていた(Mθ=M)。
この点、本発明者等が検討したところ、補強筋16に基礎コンクリート部4が付着している場合であっても、固定度αを1とせずに発生曲げモーメントMθを算定してもよい場合、即ち、弾性回転剛性Kを考慮して発生曲げモーメントMθを算定してもよい場合が存在することがわかった。具体的には、杭頭部12に軸方向圧縮力が作用していないときには、固定度αを1とせずに算定してもよいことがわかった。
そこで、第1実施形態に係る杭頭接合部の設計方法では、杭頭部12に軸方向圧縮力が作用していないという条件下で、杭頭接合部10の弾性回転剛性Kを考慮して、杭頭部12に対し想定水平力Hが作用したときに杭頭部12に発生する発生曲げモーメントMθを演算している。このように、杭頭接合部10の弾性回転剛性Kを考慮することで、固定度αを1よりも小さくすることができ、発生曲げモーメントMθを小さくすることができる。これにより、杭頭部12に軸方向圧縮力が作用していないという条件下で、発生曲げモーメントMθを小さくすることができ、許容曲げモーメントsMaよりも発生曲げモーメントMθを小さくすることができる。この結果として、本実施形態に係る杭頭接合部の設計方法によれば、杭頭発生曲げモーメントに対して十分な大きさの許容曲げモーメントsMaを有する杭頭接合部10を低コストな仕様で実現可能である。
なお、杭基礎8の設計で用いられる解析手法として、地盤を離散化したバネ要素、杭2を梁要素に置換した多層地盤解析モデルによる手法と半無限一様地盤中の弾性支承梁の解による手法(Changの方法)がある。前者は詳細法、後者は簡易法として位置づけられる。詳細法の場合には、直接、杭頭接合部10に回転バネを設けることで、弾性回転剛性Kを評価することが可能である。一方、簡易法では、杭頭接合部10の弾性回転剛性Kを考慮するためには、固定度αを導入することが必要になる。杭頭固定度αの算定方法にはいくつかの算定方法があるが、上述した実施形態では、〔数3〕に示した式を用いることによって、弾性支承梁の解に関係づける手法によって杭頭固定度αを算出している。
このような事情からすれば、弾性回転剛性Kは、〔数3〕に示した式以外を用いても評価可能であり、他の簡易法のみならず、詳細法によっても評価可能である。
そして、第1実施形態に係る杭頭接合部の設計方法では、補強筋16の軸部20に対する基礎コンクリート部4の付着を考慮して補強筋16の伸び量δbが演算されるので、演算結果において、補強筋16の伸び量δbが過剰に大きくなることはない。このため、杭頭接合部10の弾性回転剛性Kを的確に求めることができ、十分な大きさの許容曲げモーメントsMaを有する杭頭接合部10を低コストな仕様で実現可能である。
また、第1実施形態に係る杭頭接合部の設計方法では、補強筋16の軸部20に対する基礎コンクリート部4の付着を考慮するために、補強筋16の軸部20の周長ψb、基礎コンクリート部4の短期許容付着応力度sfa及び基礎コンクリート部4内の補強筋16の定着長さlb,lbを考慮することにより、補強筋16の軸部20に対する基礎コンクリート部4の付着が的確に考慮される。このため、杭頭接合部10の弾性回転剛性Kを的確に求めることができ、十分な大きさの許容曲げモーメントsMaを有する杭頭接合部10を低コストな仕様で実現可能である。
更に、第1実施形態に係る杭頭接合部の設計方法では、回転半径Lとして、圧縮側の杭頭部12の外縁から引っ張り側に位置する補強筋16の中心までの距離を用いることで、簡単な構成にて、杭頭部12の回転角θ、ひいては弾性回転剛性Kを演算によって求めることができる。
また、第1実施形態に係る杭頭接合部の設計方法では、回転半径Lとして、杭頭部12の外径Dpを用いることで、簡単な構成にて、杭頭部12の回転角θ、ひいては弾性回転剛性Kを演算によって求めることができる。
一方、上述した第1実施形態に係る杭頭接合部の設計方法によれば、基礎コンクリート部4にひび割れ44が生じると仮定した場合、即ち状態Bの場合に、補強筋16の軸部20の引っ張り降伏強さTbyを考慮する一方、接合部材14から基礎コンクリート部4に作用する抵抗を無視して許容曲げモーメントsMaを算定することで、許容曲げモーメントsMaを的確に算定することができる。この結果として、上記した杭頭接合部の設計方法によれば、十分な大きさの許容曲げモーメントsMaを有する杭頭接合部10を低コストな仕様で実現可能である。
以下、図9(a)〜(c)に示した機構I〜IIIについて詳細に説明しておく。
〔機構I〕
機構Iに基づく抵抗は、杭頭部12に生じる圧縮力Cと補強筋16の引張力Tによる抵抗である。ここで、図14に示したように、杭頭接合部10は、杭断面積Acよりも大きな基礎コンクリート部4(パイルキャップ4a)のコンクリートを圧縮する。このため、局部支圧効果により、杭頭接合部10が接するコンクリートの圧縮耐力fcが上昇する。パイルキャップ断面積(支承面積)Aと杭断面積(支圧面積)Acの比は5倍以上であり、純圧縮状態で2倍以上の支圧効果が見込める。なお、支圧効果により、コンクリートの圧縮耐力fcは、(A/Ac)0.5倍となる。
そして、図15に示したように、曲げによる偏心圧縮状態を考慮すると、支圧面積Ac’は杭断面積Acよりも小さくなり、更に支圧効果が大きくなる。
機構Iに基づく抵抗、即ち第1許容曲げモーメント成分sMa1の算出に際し、支圧効果による耐力上昇を、本実施形態では、仮想RC断面径Dを拡大することによって取り入れる。
本実施形態のように、杭頭接合部10の短期許容曲げモーメントsMaの算定の際、補強筋16が引張力Tに抵抗し、仮想のRC断面を有する円柱体が基礎コンクリート部4内に発生する圧縮力Cを負担すると考えることは一般的である。
本実施形態のような主筋定着方式による杭頭接合工法の場合、日本建築学会「建築基礎構造設計指針(1988)」や社団法人 道路協会「杭基礎設計便覧 平成18年度改訂版」に記載のある、杭径に200mmを加えた直径Dを有する仮想RC断面として杭頭接合部の断面照査を行う方法が一般的である。最近では、平成24年3月に改訂された社団法人 道路協会「道路橋示方書・同解説 IV下部構造編」において、仮想RC断面の直径Dを杭径Dpに0.25Dp+100mm(加算径は最大400mm)を加えた径として照査する方法が示されている。社団法人道路協会では仮想RC断面の直径Dの見直し改訂がなされている。そこで、本実施形態において許容曲げモーメントsMaを算出する際にも、仮想RC断面を仮定した杭頭接合部10の断面照査方法を採用することができる。
ここで、図16は、杭頭接合部10の水平加力試験装置50を概略的に示しており、図17は、水平加力の印加パターンを示している。水平加力試験装置50は、アクチュエータ51によって水平力を加えることができ、水平方向変位d1を計測可能である。図17に示されているグラフの縦軸の部材角は、水平方向変位d1を杭頭から加力点までの距離である1600で除した値(d1/1600)である。また、水平加力試験装置50は、杭頭回転角θを実験的に求めるために、鉛直変位d2,d3を測定可能である。
図18〜図21は、水平加力試験装置50を用いた水平加力試験後に杭頭接合部10の基礎コンクリート部4を斫り、基礎コンクリート部4の内部状況を撮影した写真である。そして、図22は、基礎コンクリート部4内のひび割れの発生状況から、仮想RC断面径Dを設定したことを説明するための図である。
なお、図16〜図22において、杭頭接合部10の上下方向は、水平加力試験装置50の構成の関係から反転している。
図18〜図21に示したように、水平加力試験後、基礎コンクリート部4の内部には、下側突起部23から約45度の角度で斜め下方に延びるひび割れ52が発生している。そこで、下側突起部23から上側突起部24の上端までの間で、基礎コンクリート部4が補強筋16の軸部20に付着している長さ(以下、有効付着長さとも称する)をLeとしたときに、仮想RC断面の直径Dの最大値として、杭径Dpに2Leを足した値を設定することとした。つまり、補強筋16が引張力に抵抗し、基礎コンクリート部4内に発生する圧縮力は仮想RC断面径D(ただしD=Dp+2Le)を有する円柱体が負担するものとした。
好ましくは、仮想RC断面の直径Dと杭径Dpとの間において、次式:
Dp+Le≦D≦Dp+2Le
で示される関係が成立するよう、直径Dが選択される。
より好ましくは、仮想RC断面の直径Dと杭径Dpとの間において、次式:
Dp+1.5Le≦D≦Dp+2Le
で示される関係が成立するよう、直径Dが選択される。
なお例えば、有効付着長さLeは、140mm以上200mm以下である。
仮想RC断面の直径Dをこのように選択することで、仮想RC断面径Dの大きさを従来よりも大きく設定可能である。仮想RC断面径Dが大きいほど、基礎コンクリート部4や杭頭部12に作用する応力を小さくすることができ、許容曲げモーメントsMaを大きく算定することができる。この結果として、上記構成によれば、十分な大きさの許容曲げモーメントsMaを有する杭頭接合部を低コストな仕様で実現可能である。
そして、機構Iによる第1短期許容曲げモーメント成分sMa1は、日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説(2010)」を参考にして、以下のようにして算定することができる。
許容軸力Naに対する杭頭接合部10の第1許容曲げモーメント成分sMa1は、以下の〔数4〕に示す式によって求めることができる。そして、仮想RC断面の許容軸力Naは、N〜Nのうちいずれか小さい方による。
Figure 0006440659
なお、仮想RC断面におけるコンクリート部分の断面1次モーメントScnおよび断面2次モーメントIcnは以下の〔数5〕に示す式による。
Figure 0006440659
中立軸に関する断面1次モーメントSnおよび断面2次モーメントInは以下の〔数6〕に示す式による。
Figure 0006440659
なお、式中の記号は、それぞれ以下のものを表しており、図23はこれらの記号の詳細を示している。ひび割れ44が発生している状態Bでは、〔数6〕に示される式中において、補強筋1本の公称断面積aとして、補強筋16の軸部20の公称断面積が用いられる。
:補強筋1本の公称断面積(mm
D :仮想RC断面の直径(mm)
:補強筋の配置直径(mm)
:圧縮縁から圧縮側補強筋の重心までの距離(mm)
:引張縁から引張側補強筋の重心までの距離(mm)
:基礎コンクリート部の許容圧縮応力度(N/mm
:補強筋の許容圧縮応力度または許容引張応力度(N/mm
cn:圧縮コンクリート面が作る中立軸に対する断面2次モーメント(mm
:中立軸に対する断面2次モーメント(mm
sa1:第1短期許容曲げモーメント成分(N・mm)
:ヤング係数比
R :仮想RC断面の半径(mm)
:補強筋の配置半径(mm)
cn:圧縮コンクリート面が作る中立軸に対する断面1次モーメント
:中立軸に対する断面1次モーメント(mm
:仮想RC断面の図心から中立軸までの距離(mm)
θ:円形断面において中立軸位置を定める角度(rad)
θ:補強筋位置の配置角度(rad)
〔機構II〕
機構IIによる第2短期許容曲げモーメント成分sMa2は、基礎コンクリート部4の支圧抵抗によるものであり、以下の〔数7〕に示す式により算出可能である。機構IIの支圧強度σとしては、RC構造の許容圧縮応力度である2/3・Fを用いることができる。
ただし、支圧強度σに対し、杭2が埋め込まれているパイルキャップ4aの拘束効果による圧縮強度の上昇を加味してもよい。
また、許容曲げモーメント算定工程S2においては、第2短期許容曲げモーメント成分sMa2を考慮してもしなくてもよい。
なお、図24は、式中の記号の詳細を示している。
Figure 0006440659
〔機構III〕
機構IIIによる第3短期許容曲げモーメント成分sMa3は、〔数4〕に示した式において、補強筋16の許容引張耐力を接合部材14の凹凸による圧縮強度Cに置き換えて日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説(2010)」を参考にして算出することができる(RCでは、短期許容時にコンクリートの局部的な塑性化を許容している)。接合部材14の凹凸の圧縮反力の強度は、コンクリートの支圧破壊によって決まると考えられる(この場合、接合部材14からの斜めひび割れ44は発生しない。補強筋16の降伏ひずみは、コンクリート圧縮降伏ひずみよりも大きい)。
ただし、第3短期許容曲げモーメント成分sMa3は、杭頭接合部10に斜めひび割れ44が発生していると仮定される場合、許容曲げモーメント算定工程S2において無視される。
また、機構IIIによる抵抗を見込む場合、接合部材14は圧縮力Cに対して降伏しないよう設計される。
〔第2実施形態に係る杭頭接合部の設計方法〕
以下、第2実施形態に係る杭頭接合部の設計方法について説明する。なお、以下の実施形態の説明では、上述した実施形態と異なる点を中心に説明し、同一又は類似の構成については、説明を省略又は簡略化する。
第2実施形態に係る杭頭接合部の設計方法は、許容曲げモーメント算定工程S2において、
・杭頭部12の端面から上方に突出する補強筋16の軸部20の部分を囲む基礎コンクリート部4の上側部分40と、下側突起部23と上側突起部24との間を延びる補強筋16の軸部20の部分を囲む基礎コンクリート部4の下側部分42との間に、ひび割れ44が生じないと仮定し、
・杭頭部12の端部から上方に突出する補強筋16と補強筋16を囲む基礎コンクリート部4の抵抗を算定する際には、補強筋16の螺子部21の引っ張り降伏強さTsyを考慮するとともに、接合部材14から基礎コンクリート部4に作用する抵抗を考慮して許容曲げモーメントsMaを算定し、
・ひび割れ44が発生していないことにより、補強筋断面強度の決定位置が異なることから、伸び量δbの算定式が異なる
という点において、第1実施形態に係る杭頭接合部の設計方法と異なっている。
つまり、第2実施形態では、ひび割れ44が発生していない状態Aであると仮定し、機構Iによる第1’許容曲げモーメント成分sMa1’、機構IIIによる第3許容曲げモーメント成分sMa3が考慮される。つまり、許容曲げモーメントsMaとして、第1’許容曲げモーメント成分sMa1’と第3許容曲げモーメント成分sMa3の和(sMa1’+sMa3)が算定される。
なお、第1’許容曲げモーメント成分sMa1’の算定方法は、〔数6〕に示される式中において、補強筋1本の公称断面積aとして、補強筋16の螺子部21の公称断面積が用いられる点においてのみ、第1許容曲げモーメント成分sMa1の算定方法と異なっている。
また、機構IIによる第2許容曲げモーメント成分sMa2については、第1実施形態の場合と同様、考慮してもしなくてもよい。
一方、図25は、補強筋断面強度の決定位置が第1実施形態の場合(図10参照)と異なることを説明するための図である。ひび割れ44が発生していない状態Aでは、状態Bの場合のように基礎コンクリート部4からの抵抗力Fsbに期待することができない。このため、第1’許容曲げモーメント成分sMa1’の算定に際し、補強筋16の引っ張り降伏強度として、螺子部21の引っ張り降伏強さTsyを考慮する必要があり、そのために、〔数6〕に示す式において、補強筋1本の公称断面積aとして、補強筋16の螺子部21の公称断面積が用いられる。
また、補強筋断面強度の決定位置が第1実施形態の場合と異なることから、杭頭回転角θは、状態Aの場合、補強筋16の断面強度決定位置(図25参照)に応じて、以下の〔数8〕に示す式により求めることができる。〔数8〕では、0.5sfa・ψb・(lb+lb)が、基礎コンクリート部4の付着により軸部20に作用する抵抗を表している。当該抵抗は、断面強度の決定位置からの距離に比例して増加し、当該抵抗によって、軸部20に作用する引っ張り力が、断面強度の決定位置からの距離に応じて低減又は打ち消される。この結果として、杭頭部12の軸線方向での力の分布は、図26に示したようになり、図26中のハッチングを付した領域の面積を(a・Eb)で除すことにより、伸び量δbを求めることができる。
Figure 0006440659
なお上記〔数8〕中のTyについては、補強筋16の螺子部21の引っ張り降伏強さTsyを用いることができる。また、Tyとして、螺子部21の引っ張り降伏強さTsyに0〜1の係数を乗じたものを用いてもよい。
上記した第2実施形態に係る杭頭接合部の設計方法によっても、第1実施形態に係る杭頭接合部の設計方法の場合と同様の作用効果を達成可能である。
すなわち、第2実施形態に係る杭頭接合部の設計方法でも、杭頭部12に軸方向圧縮力が作用していないという条件下で、杭頭接合部10の弾性回転剛性Kを考慮して、杭頭部12に対し想定水平力Hが作用したときに杭頭部12に発生する発生曲げモーメントMθを演算している。このように、杭頭接合部10の弾性回転剛性Kを考慮することで、固定度αを1よりも小さくすることができ、発生曲げモーメントMθを小さくすることができる。これにより、杭頭部12に軸方向圧縮力が作用していないという条件下で、発生曲げモーメントMθを小さくすることができ、許容曲げモーメントsMaよりも発生曲げモーメントMθを小さくすることができる。この結果として、本実施形態に係る杭頭接合部の設計方法によれば、十分な大きさの許容曲げモーメントsMaを有する杭頭接合部10を低コストな仕様で実現可能である。
一方、第2実施形態に係る杭頭接合部の設計方法によれば、基礎コンクリート部4にひび割れ44が生じないと仮定した場合に、即ち状態Aの場合に、補強筋16の螺子部21の引っ張り降伏強さTsyを考慮するとともに、接合部材14から基礎コンクリート部4に作用する抵抗を考慮して許容曲げモーメントsMaを算定することで、許容曲げモーメントsMaを的確に算定することができる。この結果として、第2実施形態に係る杭頭接合部の設計方法によれば、十分な大きさの許容曲げモーメントsMaを有する杭頭接合部10を低コストな仕様で実現可能である。
なお、引っ張り降伏強さTsy及び接合部材14から基礎コンクリート部4に作用する抵抗を考慮して許容曲げモーメントsMaを算定するとは、具体的には、引っ張り降伏強さTsyを変数として直接又は間接的に含む関数、及び、接合部材14から基礎コンクリート部4に作用する抵抗を変数として直接又は間接的に含む関数を用いて、許容曲げモーメントsMaを算定することを意味する。
〔第3実施形態に係る杭頭接合部の設計方法〕
以下、第3実施形態に係る杭頭接合部の設計方法について説明する。
第3実施形態に係る杭頭接合部の設計方法は、許容曲げモーメント算定工程S2において、第1実施形態及び第2実施形態に係る杭頭接合部の設計方法と異なっている。図27は、第3実施形態に係る杭頭接合部の設計方法における許容曲げモーメント算定工程S2の概略的な手順を示すフローチャートである。
図27に示したように、第3実施形態に係る杭頭接合部の設計方法における許容曲げモーメント算定工程S2は、第1許容曲げモーメント算定工程S7、第2許容曲げモーメント算定工程S8及び許容曲げモーメント選択工程S9を有している。
第1許容曲げモーメント算定工程S7では、補強筋16の螺子部21の引っ張り降伏強さTsyを考慮するとともに、接合部材14から基礎コンクリート部4に作用する抵抗を考慮して許容曲げモーメントsMaとしての第1許容曲げモーメントsMaAを算定する。第1許容曲げモーメントsMaAは、上述した第2実施形態の杭頭接合部の設計方法によって算定される許容曲げモーメントsMaである。
第2許容曲げモーメント算定工程S8では、補強筋16の軸部20の引っ張り降伏強さTbyを考慮する一方、接合部材14から基礎コンクリート部4に作用する抵抗を無視して許容曲げモーメントsMaとしての第2許容曲げモーメントsMaBを算定する。第2許容曲げモーメントsMaBは、上述した第1実施形態の杭頭接合部の設計方法によって算定される許容曲げモーメントsMaである。
そして、許容曲げモーメント選択工程S9では、第1許容曲げモーメントsMaAと第2許容曲げモーメントsMaBを比較し、第1許容曲げモーメントsMaAと第2許容曲げモーメントsMaBのうち小さい方を許容曲げモーメントsMaとして選択する。
上記した第3実施形態に係る杭頭接合部の設計方法によれば、第1許容曲げモーメントsMaAと第2許容曲げモーメントsMaBのうち小さい方を許容曲げモーメントsMaとして選択することで、ひび割れ44の発生の有無に係わらずに、安全を見込んで、十分な大きさの許容曲げモーメントを有する杭頭接合部10を低コストな仕様で実現可能である。
好ましくは、機構IIIにより基礎コンクリート部4から接合部材14に作用する圧縮強度Ccは、補強筋16の軸部20の降伏強さTbyと軸部20の降伏強さTsyとの差よりも大きくなるように設定される(Cc≧Tby-Tsy)。図28は、このような場合(Cc≧Tby-Tsy)における、許容曲げモーメント選択工程S9の概略的な手順を示している。
許容曲げモーメント選択工程S9は、降伏判定工程S10と、第1許容曲げモーメント選択工程S11と、第2許容曲げモーメント選択工程S12とを有している。
降伏判定工程S10では、基礎コンクリート部4から上側突起部24に作用する圧縮力Ccによって、上側突起部24が降伏するか否か判定される。
降伏判定工程S10での判定の結果、上側突起部24が降伏すると判定された場合、第1許容曲げモーメント選択工程S11が実行される。第1許容曲げモーメント選択工程S11では、許容曲げモーメントsMaとして、第1許容曲げモーメントsMaAが選択される。
一方、降伏判定工程S10での判定の結果、上側突起部24が降伏しないと判定された場合、第2許容曲げモーメント選択工程S12が実行される。第2許容曲げモーメント選択工程S12では、許容曲げモーメントsMaとして、第2許容曲げモーメントsMaBが選択される。
上記構成によれば、上側突起部24の降伏強さが補強筋16の軸部20の引っ張り降伏強さTbyと螺子部21の引っ張り降伏強さTsyとの差よりも小さい場合、第1許容曲げモーメントsMaAが許容曲げモーメントsMaとして選択される。つまり、上側突起部24の降伏強さが補強筋16の軸部20の引っ張り降伏強さTbyと螺子部21の引っ張り降伏強さTsyとの差よりも小さい場合、上側突起部24が降伏してしまい、第1許容曲げモーメントsMaAの方が小さくなると判断して、第1許容曲げモーメントsMaAを許容曲げモーメントsMaとして選択する。これにより、上記構成によれば、安全を見込んで、許容曲げモーメントsMaを的確に算定することができ、十分な大きさの許容曲げモーメントを有する杭頭接合部10を低コストな仕様で実現可能である。
〔第4実施形態に係る杭頭接合部の設計方法〕
以下、第4実施形態に係る杭頭接合部の設計方法について説明する。第4実施形態に係る杭頭接合部の設計方法は、仕様適否判定工程S3において、第1許容曲げモーメントsMaA及び第2許容曲げモーメントのうち大きい方を用いて弾性回転剛性Kを演算する点において、第3実施形態の杭頭接合部の設計方法と異なっている。
図29は、第4実施形態に係る杭頭接合部の設計方法の概略的な手順を示すフローチャートである。第4実施形態に係る杭頭接合部の設計方法は、第1許容曲げモーメントsMaA及び第2許容曲げモーメントsMaBのうち大きい方(最大許容曲げモーメント:sMah=max(sMaA,sMaB))を選択する工程S13を更に有している。そして、弾性回転剛性演算工程S4’にて、最大許容曲げモーメントsMahを杭頭回転角θで除して、弾性回転剛性Kを演算する。
上記した第4実施形態に係る杭頭接合部の設計方法によれば、第3実施形態の場合と同様、杭頭部12に軸方向圧縮力が作用していないという条件下で、発生曲げモーメントMθを小さくすることができ、許容曲げモーメントsMaよりも発生曲げモーメントMθを小さくすることができる。
一方、弾性回転剛性Kが過小に評価された場合、すなわち、固定度αが過小に評価された場合、演算される発生曲げモーメントMθが過小になってしまう。このような発生曲げモーメントMθと許容曲げモーメントsMaとを比較した場合、比較結果の妥当性に問題が生じる虞がある。
この点、上記した第4実施形態に係る杭頭接合部の設計方法によれば、第1許容曲げモーメントsMaA及び第2許容曲げモーメントsMaBのうち大きい方である最大許容曲げモーメントsMahと杭頭部12の回転角θに基づいて、杭頭接合部10の弾性回転剛性Kを演算するので、弾性回転剛性Kの大きさが過小に評価されることが防止される。この結果として、第5実施形態に係る杭頭接合部の設計方法によれば、発生曲げモーメントMθと許容曲げモーメントsMaとを比較したときの結果の妥当性が担保され、十分な大きさの許容曲げモーメントsMaを有する杭頭接合部10を低コストな仕様で確実に実現可能である。
好ましくは、最大許容曲げモーメントsMahは、機構I、II及びIIIの全てを累加した許容曲げモーメントである。つまり最大許容曲げモーメントsMahは、第1許容曲げモーメント成分sMa1、第2許容曲げモーメント成分sMa2及び第3許容曲げモーメント成分sMa3の和である。
〔第5実施形態に係る杭頭接合部の設計方法〕
以下、第5実施形態に係る杭頭接合部の設計方法について説明する。第5実施形態に係る杭頭接合部の設計方法は、仕様適否判定工程S3において、杭頭回転角θを考慮せずに求められる曲げモーメント(剛接合発生曲げモーメント)Mと許容曲げモーメントsMaとを比較する点において、第3実施形態の杭頭接合部の設計方法と異なっている。
図30は、第5実施形態に係る杭頭接合部の設計方法の概略的な手順を示すフローチャートである。第5実施形態に係る杭頭接合部の設計方法は、剛接合発生曲げモーメント比較判定工程S14を更に備えている。剛接合発生曲げモーメント比較判定工程S14では、杭頭接合部10の弾性回転剛性Kを無視して演算される、杭頭部12に対し想定水平力Hが作用したときに杭頭部12に発生する剛接合発生曲げモーメントMが、許容曲げモーメントsMaよりも大きいか否かを判定する。
そして、杭頭部12、接合部材14、補強筋16及び基礎コンクリート部4の仕様が適当であると判定する条件の1つは、剛接合発生曲げモーメント比較判定工程S14において、剛接合発生曲げモーメントMが、許容曲げモーメントsMaよりも大きいと判定されることである。
上記した第5実施形態に係る杭頭接合部の設計方法によれば、杭頭部12の回転角θを無視して演算した剛接合発生曲げモーメントMが許容曲げモーメントsMaよりも大きいときに、杭頭部12、接合部材14、補強筋16及び基礎コンクリート部4の仕様が適当であると判定されるので、杭頭部12、接合部材14、補強筋16及び基礎コンクリート部4の仕様が過剰になることが防止される。この結果として、第5実施形態に係る杭頭接合部の設計方法によれば、十分な大きさの許容曲げモーメントsMaを有する杭頭接合部10を低コストな仕様で確実に実現可能である。
〔第6実施形態に係る杭頭接合部の設計方法〕
以下、第6実施形態に係る杭頭接合部の設計方法について説明する。第6実施形態に係る杭頭接合部の設計方法は、許容曲げモーメントsMaが発生曲げモーメントMθに近付くように、仕様選択工程S1と、許容曲げモーメント算定工程S2と、仕様適否判定工程S3とを繰り返す点において、第1乃至第5実施形態に係る杭頭接合部の設計方法と異なっている。
好ましくは、図31に示したように、発生曲げモーメントMθが許容曲げモーメントsMaより小さくなるまで、仕様選択工程S1、許容曲げモーメント算定工程S2及び仕様適否判定工程S3が繰り返される。
より好ましくは、剛接合発生曲げモーメントMが許容曲げモーメントsMaより大きくなるまで、仕様選択工程S1、許容曲げモーメント算定工程S2及び仕様適否判定工程S3が繰り返される。
〔第7実施形態に係る杭頭接合部の製造方法〕
以下、第7実施形態に係る杭頭接合部の製造方法について説明する。第7実施形態に係る杭頭接合部の製造方法は、図31に示したように、上述した第1乃至第6実施形態の何れか一つに係る杭頭接合部の設計方法によって適当であると判定された杭頭部12、接合部材14、補強筋16及び基礎コンクリート部4の仕様に基づいて、杭頭接合部10を構築する杭頭接合部構築工程S16を備えている。
杭頭接合部構築工程S16は、少なくとも、地盤へ杭2を建て込み、杭頭部12の外周面に接合部材14を溶接し、接合部材14に補強筋16を結合し、そして、杭頭部12周辺へコンクリートを打設する工程を備えている。
第7実施形態に係る杭頭接合部の製造方法によれば、上述した第1乃至第6実施形態の何れか一つに係る杭頭接合部の設計方法によって適当であると判定された杭頭部12、接合部材14、補強筋16及び基礎コンクリート部4の仕様に基づいて杭頭接合部10が構築されるので、十分な大きさの許容曲げモーメントsMaを有する杭頭接合部10を低コストな仕様で実現可能である。
〔実施例〕
1.許容曲げモーメント及び弾性回転剛性の妥当性の確認
杭頭接合部の曲げ性能の検証と設計方法の妥当性の確認を目的として、繰り返し杭頭水平加力試験を実施した。
1)試験方法と試験体の諸元
試験体の諸元を表1に示し、杭頭接合部10の水平加力試験装置50を図16に示す。試験は、杭径(φ400とφ600)、軸力(0kNと1500kN)、補強筋の径(D35とD41)および補強筋の本数(6本と10本)を検証パラメータにとり、計6体実施した。杭は、外殻鋼管巻きコンクリート杭(SC杭)を模擬したコンクリート充填鋼管とした。鋼管には、同径におけるSC杭の壁厚相当の端板を設けており、鋼管の内部には基礎コンクリート部と同じコンクリートを打設(充填)した。コンクリート充填鋼管は杭頭接合部の破壊より先行して破壊が生じないような仕様となっている。
なお、接合部材内における補強筋の歪み分布を測定するため、各補強筋に複数の歪みゲージを取り付けた。
また、杭頭部の回転角θを測定し、弾性回転剛性Kの実験値eKを求めるため、鉛直変位d2,d3を測定した。
図16に示したように、杭の上部は、基礎コンクリート面から100mm上方の位置より角鋼管を設けて、高力アンカー接合により水平加力試験装置50へと接合した。試験体の製作方法としては、杭を上側、基礎コンクリート部を下側に配置して型枠を組み、杭内の所定の高さまでコンクリートを打設した。コンクリート養生後、角鋼管のフランジ位置で無収縮モルタルを打設した。
そして、各試験体に対し、図17に示した水平加力パターンにて水平加力を行った。
Figure 0006440659
2)試験結果
(1)許容曲げモーメント
試験結果から求められた許容曲げモーメントの実験値Meと、機構I,II,IIIに基づいて求められた許容曲げモーメントsMa(計算値)を表2に示す。
Figure 0006440659
表2に示したように、試験体3は、斜めひび割れの発生よりも補強筋螺子部降伏が先行した試験体である。短期許容曲げモーメントの実験値と計算値の比は、1.12〜1.50(平均1.28)であり、機構I,II,IIIに基づいて短期許容曲げモーメントを的確に算定可能であることがわかる。
なお、計算値は、実験値よりも小さい。これは、機構IIの抵抗力が支圧効果により上昇する影響や、埋め込まれた杭周囲の摩擦抵抗を考慮していない影響であると考えられる。計算値が実験値よりも小さいことは、安全を見込んでいることになり、好ましいことであると考えられる。
(2)弾性回転剛性
表3に、弾性回転剛性Kの計算値cKと実験時の短期許容曲げモーメント(設計値)時の回転剛性eKを比較して示す。表中の固定度αは、杭頭完全固定の場合の杭頭曲げモーメントの理論解と杭頭の回転剛性を考慮した場合の同値の比を定義しており、地盤のN値=1.0として上記〔数3〕に示した式より求めた値である。表3より以下のことがわかる。
(i)実験で得られた短期許容時の回転剛性eKに対する計算で得られた弾性回転剛性cKの比は、1.00〜2.85である。
(ii)実験で得られた固定度αに対する計算で得られた弾性固定度αの比は1.00〜1.16である。
(iii)実験で得られた固定度αに対する計算で得られた弾性固定度αの比が概ね1.0を上回っているため、計算で得られた弾性回転剛性cKを考慮して演算された発生曲げモーメントMθは、設計時に安全側の評価を与えることが確認できる。
Figure 0006440659
2.許容曲げモーメント、仮想RC断面径及び弾性回転剛性の有効性の確認
1)杭応力一体解析
接合部材を用いた杭頭接合部における杭応力一体解析を以下の条件で行った。
(1)建物
上部構造:RC構造12F規模
杭配置:12m×36m(1×6スパン)(図32参照)
(2)設計用軸力
設計用軸力を以下の表4に示す。
Figure 0006440659
(3)設計用外力
上部および基礎部分の水平力:66000×0.15=9900kN
基礎自重の水平力:1862×0.1=186kN
設計用外力10100kN
(4)地盤条件
地盤条件、杭諸元、補強筋諸元を以下の表5〜表7にそれぞれ示す。
なお、地盤条件として、深度0〜8mのN値が1又は3の2つのケースを設定し、それぞれのケース毎に杭諸元及び補強筋諸元を選択した。また、表7には、杭頭変位、杭頭曲げ、及びせん断力も示す。
Figure 0006440659

Figure 0006440659

Figure 0006440659
(5)解析方法
・引抜が生じている箇所は固定度0.9と仮定して弾性回転剛性を算出。それ以外の箇所は、固定度0.999と見なして、弾性回転剛性を算出。
・四隅(Y1−X1等)の短期変動軸力は、パイルキャップ自重を含む長期軸力の130%として設定。中柱は低減。
・表層地盤N値を1.0と3.0で実施。
(6)解析結果
図33は、N値=3.0のときの杭P1のNM曲線を示している。図34は、N値=1.0のときの杭P1のNM曲線を示している。図35は、N値=1.0のときの杭P2のNM曲線を示している。
(i)図33及び図34に示したように、圧縮力が0未満の範囲において、弾性回転剛性を考慮して発生曲げモーメントMθを演算することにより、発生曲げモーメントMθを短期許容曲げモーメントsMaよりも小さくすることができることがわかる。
(ii)図35に示したように、常時圧縮力が作用する杭P2においても、補強筋の仕様(軸部径)を適宜選択することにより、発生曲げモーメントMθを短期許容曲げモーメントsMaよりも小さくすることができることがわかる。
なお、図35では、補強筋の軸部径がD41の場合に、発生曲げモーメントMθが短期許容曲げモーメントsMaよりも小さくなっているが、この前提として、仮想RC断面径Dを考慮したことに留意しなければならない。仮想RC断面径Dを考慮したことにより、機構Iによる第1許容曲げモーメント成分sMa1を大きくすることができ、ひいては許容曲げモーメントsMaを大きくすることができている。この前提の下、補強筋の軸部径がD41の場合に、発生曲げモーメントMθが短期許容曲げモーメントsMaよりも小さくなっている。
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、上述した実施形態に係る杭頭接合部の設計方法によって設計される杭頭接合部10では、補強筋16の先端側に設けられた螺子部21に定着体22が螺合されていたが、図36に示したように、定着体22を省略してもよい。
また、上述した実施形態に係る杭頭接合部の設計方法によって設計される杭頭接合部10では、補強筋16が接合部材14を介して杭頭部12に取り付けられていたが、接合部材14を省略し、補強筋16を杭頭部12に直接取り付けてもよい。この場合、図37に示したように、補強筋16の下端部を杭頭部12の外周面に直接溶接してもよく、あるいは、図38に示したように、補強筋16の下端部を杭頭部12の上端に位置する端板18に対しスタッド溶接や螺合により直接取り付けてもよい。端板18に補強筋16を取り付ける場合には、杭2は、外殻鋼管19や、上端部に鋼製の補強バンドを有していなくてもよい。
なお、図37及び図38に示したように、補強筋16の下端部が杭頭部12に直接取り付けられている場合、伸び量δbの算定にあたって接合部材14中の補強筋16の長さを考慮する必要はなく、杭頭部12の軸線方向にて補強筋16の断面強度決定位置は杭頭部12の上端である。このため、図37及び図38に示したように、補強筋16の下端部が杭頭部12に直接取り付けられている場合、〔数2〕に示す式において、Lb=0として伸び量δbを求めればよい。
最後に、上述した実施形態に係る杭頭接合部の設計方法は、方法に係る発明であったが、本発明によれば、物の発明として、当該方法をコンピュータに実行させるためのプログラムも提供可能であるのは勿論である。
1 構造体
2 杭
4 基礎コンクリート部
4a パイルキャップ
5 梁
6 上部構造
8 杭基礎
10 杭頭接合部
12 杭頭部
14 接合部材(ジョイントカプラ)
16 補強筋
17 コンクリート部
18 端板
19 外殻鋼管
20 軸部
21 螺子部
22 定着体
23 下側突起部
24 上側突起部
26 螺子孔
28 切り欠き
29 フォーク部
30 連結部
32 補強ビーム部
34 補強リブ部
35 湾曲面
36 開先面
38 溶接ビード
40 上側部分
42 下側部分
44 ひび割れ
50 水平加力試験装置
51 アクチュエータ
52 ひび割れ

Claims (9)

  1. 杭頭部と、
    杭頭部に対し固定された複数の補強筋と、
    前記杭頭部及び前記複数の補強筋を囲む、コンクリートによって構成された基礎コンクリート部と、を備え、
    前記補強筋は、表面に凹凸を有する軸部を有し、
    前記軸部の少なくとも一部は、前記杭頭部の軸線方向にて前記杭頭部の端面から上方に突出して延在し、
    前記基礎コンクリート部は前記軸部の少なくとも一部に付着している杭頭接合部の設計方法において、
    前記杭頭部、前記補強筋及び前記基礎コンクリート部の仕様を選択する仕様選択工程と、
    前記仕様選択工程にて選択された仕様に基づいて、前記杭頭接合部の許容曲げモーメントを算定する許容曲げモーメント算定工程と、
    前記許容曲げモーメントに基づいて、前記仕様選択工程にて選択された仕様の適否を判定する仕様適否判定工程と、を備え、
    前記仕様適否判定工程は、
    前記許容曲げモーメントに対応する前記杭頭部の回転角に基づいて、前記杭頭接合部の弾性回転剛性を演算する弾性回転剛性演算工程と、
    前記杭頭部に軸方向圧縮力が作用していないという条件下においてのみ、前記杭頭接合部の弾性回転剛性を考慮して、前記杭頭部に対し想定水平力が作用したときに前記杭頭部に発生する発生曲げモーメントを演算する発生曲げモーメント演算工程と、
    前記発生曲げモーメント演算工程にて演算された発生曲げモーメントが、前記許容曲げモーメントよりも小さいか否かを判定する曲げモーメント比較判定工程と、を含み、
    前記杭頭部、前記補強筋及び前記基礎コンクリート部の仕様が適当であると判定する条件の1つは、前記曲げモーメント比較判定工程において、前記発生曲げモーメントが、前記許容曲げモーメントよりも小さいと判定されることであり、
    前記弾性回転剛性演算工程では、前記許容曲げモーメントを前記杭頭部の回転角で除すことにより、前記杭頭接合部の弾性回転剛性が演算され、
    前記弾性回転剛性演算工程は、前記杭頭部の回転角を求めるために、前記補強筋の軸部に対する前記基礎コンクリート部の付着を考慮して前記補強筋のうち引っ張り側に位置する補強筋の伸び量を算定する伸び量算定工程を含み、
    前記弾性回転剛性演算工程では、前記伸び量算定工程にて算定された前記補強筋の伸び量を、前記引っ張り側に位置する補強筋の回転半径で除すことにより前記杭頭部の回転角が演算される
    ことを特徴とする杭頭接合部の設計方法。
  2. 前記伸び量算定工程において、前記補強筋の軸部に対する前記基礎コンクリート部の付着を考慮するために、前記補強筋の周長、前記基礎コンクリート部の短期許容付着応力度及び前記基礎コンクリート部内の前記補強筋の定着長さを考慮して前記補強筋に作用する力の分布を設定して前記補強筋の伸び量を算定し、
    前記力の分布は、前記補強筋の断面強度決定位置に最大力が作用し、前記断面強度決定位置から離れるにつれて前記補強筋の周長及び前記基礎コンクリート部の短期許容付着応力度に応じて比例的に減少するものである
    ことを特徴とする請求項1に記載の杭頭接合部の設計方法。
  3. 記補強筋の回転半径として、圧縮側の前記杭頭部の外縁から前記引っ張り側に位置する補強筋の中心までの距離を用いる
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の杭頭接合部の設計方法。
  4. 記補強筋の回転半径として、前記杭頭部の外径を用いる
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の杭頭接合部の設計方法。
  5. 前記杭頭接合部の弾性回転剛性を無視して演算される、前記杭頭部に対し前記想定水平力が作用したときに前記杭頭部に発生する剛接合発生曲げモーメントが、前記許容曲げモーメントよりも大きいか否かを判定する剛接合発生曲げモーメント比較判定工程を更に含み、
    前記杭頭部、前記補強筋及び前記基礎コンクリート部の仕様が適当であると判定する条件の1つは、前記剛接合発生曲げモーメント比較判定工程において、前記剛接合発生曲げモーメントが、前記許容曲げモーメントよりも大きいと判定されることである、
    ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の杭頭接合部の設計方法。
  6. 前記許容曲げモーメントが前記発生曲げモーメントに近付くように、前記仕様選択工程と、前記許容曲げモーメント算定工程と、前記仕様適否判定工程とを繰り返すことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の杭頭接合部の設計方法。
  7. 前記杭頭接合部は、前記杭頭部の外周面に固定された複数の接合部材を更に備え、
    前記複数の補強筋は、前記杭頭部に対し前記接合部材を介してそれぞれ取り付けられ、
    前記補強筋は、
    前記軸部の一端側に連なり前記軸部よりも小さい断面積を有する螺子部を更に有し、
    前記接合部材は、
    前記杭頭部の外周面に固定された下側突起部と、
    前記杭頭部の外周面に固定された上側突起部であって、前記杭頭部の軸線方向にて前記下側突起部の上方に配置された上側突起部と、を有し、
    前記補強筋の螺子部は前記下側突起部に結合され、
    前記補強筋の軸部は、前記杭頭部の軸線方向にて前記下側突起部と前記上側突起部との間を延びるとともに、前記杭頭部の端面から上方に突出して延在し、
    前記伸び量算定工程において、前記補強筋の軸部に対する前記基礎コンクリート部の付着を考慮するために、前記補強筋の周長、前記基礎コンクリート部の短期許容付着応力度及び前記基礎コンクリート部内の前記補強筋の定着長さを考慮し、
    前記補強筋の定着長さとして、前記上側突起部から上方に突出する前記軸部の部分に対する前記基礎コンクリート部の定着長さと、前記上側突起部と前記下側突起部との間を延びる前記軸部の部分に対する前記基礎コンクリート部の定着長さとを考慮する
    ことを特徴とする請求項2に記載の杭頭接合部の設計方法。
  8. 前記基礎コンクリート部におけるひび割れの発生に応じて、前記補強筋の断面強度決定位置を前記上側突起部の上端又は前記下側突起部の上端に設定することを特徴とする請求項7に記載の杭頭接合部の設計方法。
  9. 請求項1乃至8の何れか1項に記載の杭頭接合部の設計方法によって適当であると判定された前記杭頭部、前記補強筋及び前記基礎コンクリート部の仕様に基づいて、前記杭頭接合部を構築する杭頭接合部構築工程を備えることを特徴とする杭頭接合部の製造方法。
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