JP7448086B2 - 片面サブマージアーク溶接方法および溶接継手の製造方法 - Google Patents

片面サブマージアーク溶接方法および溶接継手の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、サブマージアーク溶接方法を用いて効率的に優れた溶接継手特性を得ることが可能な片面サブマージアーク溶接方法並びにその溶接方法で作製された溶接継手および溶接継手の製造方法に関する。
サブマージアーク溶接(以下、「SAW」ともいう。)は、幅広い分野で利用されている。たとえば、造船分野では巨大な板継ぎ溶接を行うため、溶接後の反転作業が困難であり、反転作業が不要な片面から溶接を終える片面溶接方法が多く用いられている。片面溶接方法ではV開先やY開先が用いられるが、板厚が厚くなるに従って、開先深さおよび開先幅が広くなるため、開先深さの二乗に比例して開先断面積が大きくなる。開先断面積が大きくなると必要な溶着金属も増加し、工数の増加も招来する。
このような課題に対して、たとえば、特許文献1では、多数の電極を用いて片面一層の溶接を行うサブマージアーク溶接方法が開示されている。特許文献1の方法は、第一電極の極性や電極間の距離などの諸条件を特定してワイヤ溶着量を多くしているので、高温割れが発生し難く、表ビードおよび裏ビードの形状が良好であり、さらにスラグ巻込みが低減されるとしている。
特開2017-213569号公報
従来の片面溶接技術では、板厚が増大するとともに開先の断面積が飛躍的に大きくなり、作業工数が大幅に増加することや、作業工数を抑えようとした際に入熱を大きくせざるを得なかった。そのため、過大な入熱によって溶接熱影響部(「HAZ」ともいう。)の低温靭性が著しく低下してしまうという問題があった。
具体的には、片面溶接に適用される開先としては、図2に示すようなY字形の開先が用いられている。その開先形状は、鋼板1a、1bの下面側(裏面側)で板合わせするためのルート面3a、3bと、鋼板の上部(表面側)に所定の開先角度(θ)をつけて加工されたテーパー部2a、2bとから形成されている。このような開先では、ルート面高さ(ルート面の板厚方向長さ)を一定とすると、板厚(t)が大きくなるにしたがって、開先深さ(テーパー部の板厚方向投影長さ)(h)および開先の幅が大きくなる。開先断面積(S)は、開先深さ(h)の二乗に比例して増大する。開先断面積(S)が大きくなるにつれ、ワイヤから供給する溶接材料は多く必要となる。したがって、生産性を維持するために溶接速度を一定に保つことを考えると、ワイヤの供給速度を上げるために溶接電涜を高くするか、電極数を増加する必要があった。
しかしながら、溶接電流を高くするか、電極を増加する方法では、溶接入熱が増大し、冷却速度が低下する。冷却速度が低下すると溶接熱影響部では高温にさらされる時間が長時間化し、その結果、結晶粒が粗大化し、機械特性が著しく劣化するという問題があった。また、設定電流や電極数に応じて、電源装置の増設が必要となることもあり、装置のコストや設置スペースなども問題となっていた。
一方、開先角度(θ)を狭くすることによって開先断面積(S)を小さくする方法もあるが、開先角度(θ)を狭くするとアークが開先内の上部で発生し、ルート面部分の溶け込みが不十分となってしまう。また、開先を浅くするためにルート面を大きくすると、アーク力でルート面を溶かしきることができず、片面溶接で必要な裏波を形成することができない。
前述の特許文献1においても、一層で必要な溶接金属量を溶接用ワイヤから供給するために、電流を高く設定する必要があり、単位溶接長さ当りの入熱量は、非常に大きくなる。多電極溶接で溶接入熱量を増加していくと、溶接後の冷却速度が極度に低下し、溶接熱影響部が長時間高温にさらされることにより、結晶粒が粗大化し、機械特性が劣化するという課題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、特に造船分野や建築分野などで厚鋼板の大入熱溶接に際し機械特性に優れ、高い生産性を備える片面サブマージアーク溶接方法ならびにその溶方法を用いて作製された溶継手およびその製造方法を提供することを目的とする。
発明者らは、上述した目的を達成するために、必要な溶着金属量を減少させるための適正な開先形状を鋭意検討した。その結果、表面側の開先深さを小さくして、開先を小さくした分、ルート面を表面側に移動し、裏面側にも微小な開先を設けることで、溶接準備のための開先合わせが容易で、必要最小限の入熱でルート面を溶かしながら、裏面側にも良好な裏波を形成させることができることを見出した。
本発明はかかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものであり、本発明の要旨は次のとおりである。
[1]2枚の鋼板を突き合わせて溶接する片面サブマージアーク溶方法において、前記鋼板の表面側および裏面側に開先と、前記表面側の開先と前記裏面側の開先との間にルート面とを形成し、表面側から溶接を行う片面サブマージアーク溶接方法。
[2]前記ルート面の高さが2~5mmである[1]に記載の片面サブマージアーク溶接方法。
[3]前記裏面側の開先の開先深さが2~5mmである[1]または[2]に記載の片面サブマージアーク溶接方法。
[4]前記表面側および裏面側の開先角度が20~70°である[1]ないし[3]のいずれか一に記載の片面サブマージアーク溶接方法。
[5]前記鋼板の板厚が9~40mmである[1]ないし[4]のいずれか一に記載の片面サブマージアーク溶接方法。
[6]溶接速度が500~1200mm/minである[1]ないし[5]のいずれか一に記載の片面サブマージアーク溶接方法。
[7]2~4本の電極を用いる[1]ないし[6]のいずれか一に記載の片面サブマージアーク溶接方法。
[8]前記電極における第一電極の電流値が700~1600Aである[7]に記載の片面サブマージアーク溶接方法。
[9]前記電極すべての合計溶接入熱が20000J/mm以下である[7]または[8]に記載の片面サブマージアーク溶接方法。
[10]前記表面側の溶接を、一層以上行う[1]ないし[9]のいずれか一に記載の片面サブマージアーク溶接方法。
[11][1]ないし[10]のいずれか一に記載された溶接方法で作製された溶接継手。
[12][1]ないし[10]のいずれか一に記載された溶接方法で接合して溶接継手を形成する溶接継手の製造方法。
本発明にかかる片面サブマージアーク溶接方法並びに溶接継手およびその製造方法によれば、高強度でかつ低温靭性に優れた溶接金属を高能率で得られる溶接方法を提供することができる。したがって、効率よく溶接継手を製造することができ、特に造船分野や建築分野などで厚鋼板の大入熱溶接に際し機械特性に優れ、高い生産性を備えるので、産業上格段の効果を奏する。
本発明の一実施形態にかかる片面サブマージアーク溶接方法に適した開先形状を示す断面模式図である。 従来技術にかかる片面サブマージアーク溶接方法における開先形状を示す断面模式図である。 片面サブマージアーク溶接方法における鋼板の板厚と溶接入熱量との関係に与える開先形状の影響を示すグラフである。 片面サブマージアーク溶接後にシャルピー衝撃試験用の試験片を採取する位置を示す断面模式図である。
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための設備や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
[開先形状]
まず、本発明の一実施形態にかかる片面サブマージアーク溶接方法に適した開先形状について、図1を参照しながら説明する。
本実施形態にかかる開先形状は、図1に示すようなルート面3a、3bを有するX字形の両面開先である。主として溶接金属が供給される表面側の開先および裏面側の開先ならびに両開先の間にルート面を設けた形状である。
具体的には鋼板1a、1bの上部(表面側)に所定の開先角度(θ)をつけて加工された表面側テーパー部2a、2bが形成されている。その鋼板1a、1bの下部(裏面側)に所定の開先角度(δ)をつけて加工された裏面側テーパー部4a、4bが形成されている。それぞれの鋼板の表裏面側テーパー部の間に板合わせのためのルート面3a、3bが形成されている。
ここで、表面側開先の深さ(開先深さ)hを表面側テーパー部2a、2bの板厚方向投影長さとする。裏面側開先の深さ(開先深さ)kを裏面側テーパー部4a、4bの板厚方向投影長さとする。ルート面の高さ(ルート面高さ)rをルート面3a、3bの板厚方向長さとする。ルート面高さrは2~5mmの範囲が好ましい。rが2mm未満では、開先の加工誤差により溶接準備のための板合わせに支障をきたすおそれがある。一方、rが5mmを超えるとルート面が溶け残り均一な裏波ビードが形成されないおそれがある。より好ましくは、rが3~4mmの範囲である。また、裏面側開先深さkは2~5mmの範囲が好ましい。kが2mm未満では溶着金属を低減する効果が十分に得られないおそれがある。一方、kが5mmを超えると均一な裏波形状が形成されないおそれがある。より好ましくは、kが3~4mmの範囲である。なお、鋼板の板厚tは、9~40mmの範囲が好ましい。tが9mm未満では、従来の単電極によるサブマージアーク溶接で十分溶接可能である。一方、tが40mmを超えると、4電極を用いても1パスで溶接を終えることができないおそれがある。より好ましくは、tが12~25mmの範囲である。
さらに、表面側開先角度θおよび裏面側開先角度δは、それぞれ20~70°の範囲が好ましい。開先角度θ、δがこの範囲を外れると、均一な裏波形状が形成されないおそれがある。より好ましくは、開先角度θ、δが30~45°の範囲である。
上記の開先形状とする加工方法としては、プラズマ切断方法、ガス切断方法の他、レーザ切断方法や機械加工方法などが挙げられる。
なお、片面サブマージアーク溶接される側が表面側である。
[サブマージアーク溶接]
次に、本実施形態にかかる突合せ継手の片面一層サブマージアーク溶接(SAW)方法について説明する。
SAWは、母材上に予め散布した粉粒状のフラックス中に電極ワイヤを連続的に供給し、この電極ワイヤの先端と母材との間でアークを発生させて溶接を連続的に行う溶接方法である。このSAWは、大電流を適用してワイヤの溶着速度を高めることによって、能率よく溶接できるという利点を有している。単電極溶接、または、被溶接部材の板厚や開先形状により2~4電極を直列に配置して溶接効率を向上させる多電極溶接が適用される。また、片面一層で溶接する際の応用技術として裏波形状を適正化するために銅板上に裏当てフラックスを散布し、銅板裏面からエアー圧力によって鋼板裏面に銅板を密着させる施工法、いわゆる「フラックス銅裏当て方式」片面溶接法なども開発されている。
本実施形態では、3電極によるフラックス銅裏当て方式の片面溶接方法をSAWの一実施態様として説明する。
2枚の鋼板1a、1bを突き合わせて、表面側に前述したような開先角度(θ)を有するV開先を形成する。そこに用いる3本の電極として、第一電極に用いる溶接用ワイヤの直径が4.0~4.8mmφの範囲とすることが好ましく、第二電極および第三電極に用いる溶接用ワイヤの直径が4.8~6.4mmφの範囲とすることが好ましい。第一電極より第二、第三電極の直径を大きくすることで溶接の溶け込み幅をより広くすることができる。また、第一電極と第二電極との間隔を30~50mmの範囲に設定することが好ましい。第一電極と第二電極との間隔が下限より近すぎると相互のアークが干渉して不安定になり、ビード形状が揃わないおそれがある。一方、第一電極と第二電極との間隔が上限より離れすぎると溶け込み深さが安定せず、裏波の形成が不良になるおそれがある。第二電極と第三電極との間隔を120~180mmの範囲に設定することが好ましい。第二電極と第三電極との間隔が下限より近すぎると割れが発生しやすくなる。一方、第二電極と第三電極との間隔が上限より離れすぎるとスラグを巻き込みやすくなる。
本実施形態では、次に、表面側および裏面側の開先内に溶接フラックスを散布した後、予熱なしのもと、下向き姿勢で片面一層の溶接を行う。
なお、本実施形態にかかる開先形状を形成して、片面多層溶接を行うこともできる。特に、板厚tが40mmを超える場合には、一層で溶接を終えることが難しい。その場合に、片面多層溶接を行い、一層目に本実施形態にかかる溶接方法を適用することで大幅な施工能率の向上が期待できる。
第一電極の溶接電流(AC)は、700~1600Aの範囲が好ましい。より好ましくは、第一電極の溶接電流が900~1300Aの範囲である。第一電極の溶接電圧は、25~40Vの範囲が好ましい。より好ましくは、第一電極の溶接電圧が28~35Vの範囲である。第二電極の溶接電流(AC)は、800~1500Aの範囲が好ましい。より好ましくは、第二電極の溶接電流が900~1300Aの範囲である。第二電極の溶接電圧は、28~45Vの範囲が好ましい。より好ましくは、第二電極の溶接電圧が30~40Vの範囲である。第三電極の溶接電流(AC)は、600~1300Aの範囲が好ましい。より好ましくは、第三電極の溶接電流が800~1100Aの範囲である。第三電極の溶接電圧は、30~50Vの範囲が好ましい。より好ましくは、第三電極の溶接電圧が35~45Vの範囲である。先行の電極では、電流をより高く、電圧をより低くすることで、ルート面3a、3bを深く安定して溶かすことができる。後続する電極では、電圧をより高く設定することで、ビード幅が広がり、表面に安定したビード形状が得られる。
溶接速度は、500~1200mm/minの範囲が好ましい。溶接速度が500mm/min未満では、生産性が低下するおそれがある。一方、溶接速度が1200mm/minを超えると、開先形状の加工誤差や溶接変形などによる外乱の影響を受けやすくなり、溶接品質が低下するおそれがある。より好ましくは、溶接速度が600~900mm/minの範囲である。
ここで、鋼板(母材)の板厚と溶接入熱量との関係について説明する。
図3に片面サブマージアーク溶接方法における鋼板の板厚tと溶接入熱量との関係に与える開先形状の影響を示す。発明例(記号B)は図1に示すように表面側および裏面側ともに開先を設けている。従来例(記号A)は図2に示すように表面側にのみ開先を設けている。図3の結果から、発明例の方が従来例より同じ板厚であっても溶接入熱量を低減できることがわかる。一般的に同じ板厚の鋼材に対して入熱量を低くすると靭性が向上することが知られている。本実施形態の適用により、過大な入熱を原因とするHAZにおける低温靭性の劣化を抑止できるといえる。また、本実施形態では、このような観点から電極すべての合計溶接入熱は、20000J/mm以下とすることが好ましい。
本実施形態では、上述した溶接条件により、母材となる鋼板を突き合わせ、次に述べる溶接用ワイヤおよび溶接用フラックスを用いて溶接継手を形成する。
[溶接用ワイヤ]
本実施形態で用いる溶接用ワイヤの一実施態様として、低温用鋼用溶接材料であるソリッドワイヤがある。その化学成分は、たとえば、質量基準で、C:0.10%、Si:0.03%、Mn:1.65%、Ni:2.40%、Mo:0.50%、残部Feおよび不可避的不純物である鋼が挙げられる。しかし、本実施形態において、溶接用ワイヤはこれに限定されるものではない。
[溶接用フラックス]
溶接用フラックスとしては、通常公知の溶融フラックスまたはボンドフラックスのいずれも使用することができる。例えば、ボンドフラックスの化学成分の例としては、SiO:10~30%、CaO:10~50%、MgO:20~50%、Al:10~30%、CaF:5~20%、CaCO:2~15%などを含有するフラックスを使用することができる。しかし、本実施形態において、溶接用フラックスはこれに限定されるものではない。なお、ボンドフラックスの場合、従来のSAWと同様に溶接前に乾燥(例えば、200-300℃、1~2時間)することが好ましい。
[溶接条件]
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。ただし、下記の実施例は、本発明を例示してより詳細に説明するためのものにすぎず、本発明の権利範囲を限定するものではない。
溶接方法としては、裏当てフラックスを散布した銅板を鋼板の裏面に押し当てて溶接するフラックス銅裏当て方式片面溶接法を用いた。溶接材料にソリッドワイヤ(直径4.8mmおよび6.4mm)を用いて、予熱なし、下向き姿勢で、2電極または3電極を用いて、表1に示す各種溶接条件により片面一層のサブマージアーク溶接を行った。
Figure 0007448086000001
[溶接継手の機械的特性]
前述のSAWにより得られた突合せ溶接継手部から、JIS Z 3111:2005(溶着金属の引張及び衝撃試験方法)の規定に準拠して、図4に示すようにシャルピー衝撃試験片(Vノッチ)を採取し、衝撃試験を実施した。
図4は、シャルピー衝撃誌験の試験片の採取位置を示す模式図である。鋼板1aと1bを突き合わせて片面一層のSAWを行った結果、表面側の開先に溶接金属5が、裏面側の開先に裏波8が、また溶接金属5と鋼板との間に溶接熱影響部6が形成されている。試験片7(破線)については、JIS Z 2242:2018(金属材料のシャルピー衝撃試験方法)に準じて、鋼板の板厚(t)の1/2tの深さにある溶接熱影響部6の位置からVノッチ7aを形成したシャルピーVノッチ試験片7を採取した。
シャルピー衝撃試験は、上記のように採取した試験片7をそれぞれ3本用意し、試験温度:-60℃における吸収エネルギー(-60)を求め、その平均値を、各溶接継手の溶接熱影響部の低温衝撃靭性の値とした。
また、裏波形状の評価については、裏波8のビード幅5.0mm以上、ビード高さ1.0~2.5mmでアンダーカットの発生がないものを良好な裏波(○)と評価した。それ以外を不良な裏波(×)と評価した。
ビード外観は、表面側のビードの形状を目視にて観察して評価した。ビードの形状は、その高さや幅が均一で良好な状態のものを良好(〇)とし、形状が不均一であったり、アンダーカットが発生したりしたものを不良(×)とした。
得られた結果を表2に示す。
Figure 0007448086000002
表2の備考欄に発明例として記載した溶接継手は、板厚16mmの継手(継手No.A~D)に対し6390J/mmの入熱量で溶接することができた。同様に、板厚25mmの継手(継手No.E~H)に対し9120J/mmの入熱量で溶接できた。
継手No.A~Hは、表面側および裏面側に開先を有する形状であり、いずれも、大入熱のSAW溶接においてもビード外観および裏波形状が良好であった。さらに、試験温度:-60℃におけるシャルピー衝撃試験の吸収エネルギー(-60)が、27J以上と、高強度と優れた低温靭性を兼備する溶接熱影響部を得ることができる溶接継手であることがわかる。
一方、表2の備考欄に比較例として記載した溶接継手(継手No.I~P)は、ビード外観、裏波形状および試験温度:-60℃におけるシャルピー衝撃試験の吸収エネルギー(-60)のいずれかが基準を満足しなかった。そのため、所望の溶接部形状や強度と低温靭性を兼備する溶接熱影響部が得られなかった。以下に個々の比較例について説明する。なお、比較例の開先形状は継手No.I~Pのうち、継手No.Lを除き、図2に示すような裏面側に開先のない、Y字形の開先形状(以下、「Y開先」という。)である。
継手No.Iは、Y開先であって、板厚t:16mmに対して開先深さh:13mmと大きいため、開先断面積が大きくなり、入熱を低減した溶接条件(2電極)に対して供給されるワイヤが不足したことにより、開先を溶接金属で十分に充填することができず、ビード外観が不良であった。
継手No.Jは、Y開先であって、従来の溶接で用いられている3電極による溶接であるため、入熱が過大となり、吸収エネルギー(-60)が15J(<27J)となり、溶接熱影響部の低温靭性が低下している。
継手No.Kは、Y開先であって、従来の溶接で用いられている3電極による溶接であるため、入熱が過大となり、吸収エネルギー(-60)が22J(<27J)となリ、溶接熱影響部の低温靭性が低下している。また、ルート面高さr:6mmと大きく設定したために、ルート面が溶け込み不足となり、裏波を形成することができなかった。
継手No.Lは、本発明例と同じ表裏面側に開先がある形状であるが、裏面側の開先角度δが100°であり、本発明の好ましい範囲を超えており、裏面側のビード形状が不整でアンダーカットがみられた。
継手No.Mは、Y開先であって、板厚t:25mmに対して開先深さh:20mmと太きいため、開先断面積が大きくなり、入熟を低減した溶接条件(2電極)に対して供給されるワイヤが不足したことにより、開先を溶接金属で十分に充填することができず、ビード外観が不良であった。
継手No.Nは、Y開先であって、ルート面高さr:7mmと太きく設定したために、ルート面が溶け込み不足となり、裏波を形成することができなかった。
継手No.Oは、Y開先であって、従来の溶接で用いられている3電極による溶接であるため、入熱が過大となり、吸収エネルギー(-60)が19J(<27J)となり、溶接熱影響部の低温靭性が低下している。また、ルート面高さr:7mmと大きく設定したために、ルート面が溶け込み不足となり、裏波を形成することができなかった。
継手No.Pは、Y開先であって、従来の溶接で用いられている3電極による溶接であるため、入熟が過大となり、吸収エネルギー(-60)が22J(<27J)となり、溶接熱影響部の低温靭性が低下している。
1a、1b 鋼板
2a、2b (表面側)テーパー部
3a、3b ルート面
4a、4b 裏面側テーパー部
5 溶接金属
6 溶接熱影響部(HAZ)
7 試験片
7a Vノッチ(位置)
8 裏波
h (表面側開先の)開先深さ
k (裏面側開先の)開先深さ
r ルート面高さ
S 開先断面積(表面側)
θ (表面側)開先角度
δ (裏面側)開先角度

Claims (7)

  1. 2枚の鋼板を突き合わせて溶接する片面サブマージアーク溶接方法において、前記鋼板の表面側および裏面側に開先と、前記表面側の開先と前記裏面側の開先との間にルート面とを形成し、表面側から溶接を行い、裏面側に所定の形状の裏波を形成するにあたり、
    前記鋼板の板厚を9~40mmの範囲とし、
    前記ルート面の高さを2~5mmの範囲とし、
    前記裏面側の開先の開先深さを2~5mmの範囲とし、
    溶接速度が500~1200mm/minである片面サブマージアーク溶接方法。
  2. 前記表面側および裏面側の開先角度が20~70°である請求項1に記載の片面サブマージアーク溶接方法。
  3. 2~4本の電極を用いる請求項1に記載の片面サブマージアーク溶接方法。
  4. 前記電極における第一電極の電流値が700~1600Aである請求項に記載の片面サブマージアーク溶接方法。
  5. 前記電極すべての合計溶接入熱が20000J/mm以下である請求項に記載の片面サブマージアーク溶接方法。
  6. 前記表面側の溶接を、一層以上行う請求項1に記載の片面サブマージアーク溶接方法。
  7. 請求項1ないしのいずれか一項に記載された溶接方法で接合して溶接継手を形成する溶接継手の製造方法。
JP2023502636A 2022-02-28 2022-11-07 片面サブマージアーク溶接方法および溶接継手の製造方法 Active JP7448086B2 (ja)

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