JP7447357B2 - 天然由来の顔料を含むコーティング組成物を使用して基材をコーティングする方法 - Google Patents

天然由来の顔料を含むコーティング組成物を使用して基材をコーティングする方法 Download PDF

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Description

本発明は、少なくとも1つのバインダーと少なくとも1つの天然由来の顔料とを含む液体コーティング組成物を使用することによって基材上にコーティングを製造するためのポストコーティング、インモールドコーティング及び転写コーティングの方法に関する。本発明はさらに、本発明の方法によって製造されるコーティングに関する。この方法で製造されたコーティングは、高レベルの光学的外観及び優れた触覚品質を有するだけでなく、優れた機械的耐性、柔軟性及び耐候安定性をも有する。したがって、本方法は、基材上に存在するコーティング層の光学的品質、機械的安定性及び柔軟性に同等の要求を課す分野で特に優れた効果を発揮するために使用されることができる。特に好ましくは、本発明の方法は、履物産業への、特に柔軟なフォーム基材で構成された靴底などの靴部品のコーティング、又は革もしくは合成材料に基づく靴のアッパーの製造への適用に適している。
種々の層厚を有する多種多様な異なる基材が、最近では、基材の視覚的向上を提供するため、及び/又は、土、砕石、風化などの環境影響から基材を保護するために、基材の製造後の下流プロセスで、コーティング組成物によってコーティングされている。
このような水性又は溶媒ベースのコーティング組成物は、通常、硬化時にカラーコーティング層を形成するバインダーマトリックス中に顔料及び/又は染料を含有する。現在、このようなコーティング組成物に使用されている顔料及び/又は染料の大部分は、石油芳香族化学又炭素原料から製造されており、したがってその製造は地球温暖化に大きく関与している。さらに、製品化及び使用のために、中間体又は最終製品を精製するのに必要な化学的操作は、多くのエネルギー資源を必要とし、また、望ましくない副産物も生成する。
このような顔料及び/又は染料を使用する場合の環境への悪影響は、業界に、染料植物中もしくは地中に存在する天然由来の顔料などのより持続可能な供給源からの顔料及び/又は染料を使用することを要求する。このことは、コーティング基材が顔料及び/又は染料の製造に使用される石油芳香族化学又は炭素原料に関連するCOの発生を大幅に削減するため、このようなコーティング基材の持続可能性を改善することを可能にする。
しかし、天然由来の顔料及び/又は染料の性能は、コーティング基材の光学的品質がこの点で業界及び顧客の高い要求を達成することを保証するために、石油芳香族化学又は炭素原料を使用することによって調製される顔料及び/又は染料と少なくとも同等でなければならない。このような顔料で達成される視覚効果は、顧客の特定のニーズに適応可能であり、多種多様な異なる基材において得られるべきである。
さらに、コーティング組成物におけるこれらの使用は、既存の業界基準を満たすために、得られるコーティング層の接着性、耐候性、柔軟性などの機械的特性に悪影響を及ぼしてはならない。機械的安定性と柔軟性は、非常に幅広い産業分野で基材のコーティングに不可欠な特性である。機械的安定性(例えば、耐摩耗性及び耐ストーンチッピング)は、このような外的影響を受ける任意の用途分野で非常に関連性が高い。しかし、許容できる柔軟性は、ほとんどすべての基材のコーティングにとって非常に重要である。柔軟性は、このような柔軟で変形可能な基材の適用領域が、基材上に存在するコーティングにも影響を与える変形応力を伴うため、発泡体、織物、皮革などの柔軟な基材のコーティングに特に関連性が高い。しかし、硬質基材、例えば硬質プラスチック、金属、木材などでも同様に、変形応力下でコーティングが損なわれないことは非常に重要である。例えば、本質的に剛性の高い材料で構成される非常に薄い基材も同様に、使用中に大きな変形を受けることがある。さらに、温度差の結果としての材料の変化(膨張係数)も同様に、基材上に存在するコーティングの部分で、相応の柔軟性を必要とする。
したがって、高品質の光学的外観、特に、非持続可能な顔料(すなわち、染料植物から調製されていない又は天然由来の原料から得られていない顔料)で実現される光学的外観に匹敵する光学的外観、ならびに接着性、柔軟性、耐候性、耐摩耗性などの優れた機械的特性を有する持続可能な顔料、すなわち、実際の染料植物から製造されたか、又は天然由来の原料から得られた顔料を含有するコーティング組成物を使用して、コーティングされた基材、例えば自動車内装分野、履物産業及び家具産業で使用される基材を製造する要求がある。コーティングされた基材の光学特性は、所望の光学的外観を有するカラー基材を生成するために適応可能であるべきである。
したがって、本発明の目的は、持続可能な顔料、すなわち天然由来の顔料を含むコーティング組成物を使用して、コーティングを製造する方法を提供することであり、これにより、それぞれの顧客の特定のニーズに合わせてさらに調整可能な高い光学品質を有するコーティングされた基材が得られる。しかし同時に、コーティングは高い機械的耐性、柔軟性、耐候性を有している必要がある。つまり、基材上に製造されるコーティング層は、コーティング方法において、柔軟基材と剛性基材を使用できるようにする高い柔軟性又は弾性を有する必要がある。しかし、同時に、外部の機械的影響に対する安定性、耐摩耗性だけでなく、様々な基材への接着性も優れている必要がある。
上述した目的は、特許請求の範囲に記載された主題によって、また、以下の説明に記載されるその主題の好ましい実施形態によっても達成される。
したがって、本発明の第1の主題は、基材(S)上にコーティング(B)を製造するための方法である。
第1の代替案によれば、前記方法は、
(i) コーティング組成物(C1)を、特に直接に、基材(S)の表面の少なくとも一部に塗布することであって、前記コーティング組成物(C1)は、少なくとも1つのバインダー、少なくとも1つの天然由来の顔料及び少なくとも1つの溶媒を含み、
(ii) コーティング膜を形成するために、任意に、前記塗布されたコーティング組成物(C1)を乾燥させることと、
(iii) 前記塗布されたコーティング組成物(C1)又は前記形成されたコーティング膜を硬化させることと、
によって、基材(S)上にカラーコーティング(BC)を製造するステップを含み、
ここで、前記基材は、プラスチック基材、木材、紙とカード、合成繊維、合成皮革製品、ポリマー材料で作られたフィラメント、及び発泡体から選択される。
第2の代替案によれば、前記方法は、
(A) コーティング組成物(C1)を構造化又は非構造化マトリックス又は型に塗布することであって、前記コーティング組成物(C1)が、少なくとも1つのバインダー、少なくとも1つの天然由来の顔料及び少なくとも1つの溶媒を含む、ことと、
(B-1) 前記塗布されたコーティング組成物(C1)を硬化させ、マトリックス又は型と接触していない前記硬化したコーティング組成物(C1)上に結合層を形成し、硬化したコーティング組成物(C)と接触していない結合層を基材の表面の少なくとも一部に適用すること、又は
(B-2) 前記塗布されたコーティング組成物(C1)を乾燥させ、マトリックス又は型と接触していない乾燥したコーティング組成物(C1)を基板に適用し、乾燥したコーティング組成物(C1)を硬化させることと、
(C) コーティングされた基板から構造化又は非構造化マトリックス又は型を取り外すことと、
を含む。
第3の代替案によれば、前記方法は、
(a) コーティング組成物(C1)を型の少なくとも1つの内面に塗布することであって、前記コーティング組成物(C1)は、少なくとも1つのバインダー、少なくとも1つの天然由来の顔料及び少なくとも1つの溶媒を含む、ことと、
(b) 任意に、前記塗布されたコーティング組成物(C1)を乾燥させることと、
(c) 基材(S)を形成する組成物(C2)を型に塗布することと、
(d) コーティング組成物(C1)を同時に硬化させながら、基材(S)を形成することと、
(e) コーティングされた基材を型から取り出すことと、
を含む。
上記特定された方法は、以下、本発明の方法とも呼ばれ、したがって、本発明の主題である。本発明の方法の好ましい実施形態は、以下の説明及び従属請求項から明らかである。
先行技術に照らすと、本発明の基礎となる目的が、ポストコーティング、転写コーティング、及びインモールドコーティング方法で基材をコーティングするために使用されるコーティング組成物に天然由来の顔料を使用することによって、達成されることは、当業者にとって驚くべきことであり予見できないことであった。天然由来の顔料の使用は、異なる量を使用することによって、又は顔料粉末として使用する代わりに顔料ペーストの形態で顔料を使用することによって、得られるコーティング層の外観を調整することを可能にする。さらに、得られるコーティング層は、基材に関係なく、良好な外観、特に高い隠蔽力及び視覚的欠陥を含まない均一な外観、ならびに良好な機械的特性を有し、したがって、必要な機械的特性を有する審美的に魅力的なコーティングをされた基材を提供することができる。得られたコーティング層は非常に柔軟であり、したがって、柔軟な基材、例えば履物産業で使用される柔軟なフォーム基材などに特に適している。さらに、持続可能な顔料は、水性及び溶媒系のコーティング組成物に組み込むことができ、したがって、コーティング組成物をそれぞれの顧客のニーズ及びコーティングプロセス(すなわち、ポストモールドコーティング、インモールドコーティング又は転写コーティングプロセス)に合わせることができる。
本発明のさらなる主題は、本発明の方法によって製造されたコーティング、及び本発明のコーティングを有する基材である。
詳細な説明
定義
最初に、本発明の文脈で使用される多くの用語について説明する。
本明細書で使用される文法上の冠詞「a」、「an」及び「the」は、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」が特定の場合に明示的に使用されている場合でも、別途示されない限り、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を含むことが意図されている。したがって、これらの冠詞は、文法上の冠詞の対象物の1つ以上(すなわち、「少なくとも1つ」)を指すために本明細書において使用される。例として、限定するものではないが、「1つの構成成分(a component)」とは、1つ以上の構成成分を意味し、したがって、可能性として、1つより多い構成成分が、企図され、記載されている実施形態の実施において利用又は使用されてよい。さらに、使用法の文脈上他に要求されない限り、単数名詞の使用は複数を含み、複数名詞の使用は単数を含む。
明細書で使用される「水性コーティング組成物」という用語は、コーティング組成物の総質量に基づいて、それぞれの場合に、少なくとも20質量%、好ましくは少なくとも25質量%、非常に好ましくは少なくとも50質量%の水画分を含むコーティング組成物を指す。水画分は、コーティング組成物の総質量に基づいて、それぞれの場合に、好ましくは40~60質量%、より具体的には45~70質量%、非常に好ましくは50~80質量%である。対照的に、「溶媒ベースのコーティング組成物」という用語は、コーティング組成物の総質量に基づいて、それぞれの場合に、少なくとも20質量%、好ましくは少なくとも25質量%、非常に好ましくは少なくとも45質量%の有機溶媒の画分を含むコーティング組成物を指す。有機溶媒の画分は、コーティング組成物の総質量に基づいて、それぞれの場合に、好ましくは40~70質量%、より具体的には45~65質量%、非常に好ましくは50~60質量%である。
本明細書で使用される「顔料」という用語は、染料とは対照的に、周囲の媒体に不溶で、特定の視覚的印象を達成するためにコーティング組成物に使用される粉末状又は小板状顔料を指す(DIN 55943:1993-11,DIN EN 971-1:1996-09)。このような顔料は、a)その起源によって、天然由来顔料又は合成顔料に;b)その化学的性質によって、無機顔料及び有機顔料に;c)色彩効果によって、白色顔料、有色顔料、黒色顔料、及び光沢顔料に、分けられることができる。ただし、顔料という用語は、防錆顔料及び磁性顔料のような機能性顔料は含まない。対照的に、本明細書で使用される「フィラー」という用語は、周囲の媒体に不溶であって、特定の物理的特性を達成又は影響を与えるためにコーティング材料に使用される粒状又は粉末状の物質を指す(DIN 55943: 1993-11,DIN EN 971-1: 1996-09を参照)。
本明細書で使用される「顔料ペースト」という用語は、担体材料(媒体)中の顔料調製物又は顔料混合物を指し、担持材料中では、顔料は後で使用するのに適切な濃度よりも高い濃度で存在する。適切な担体材料には、水性又は溶媒ベースのバインダー又はバインダー混合物が含まれ、バインダー又はバインダー混合物には、湿潤剤及び時には他の添加剤が加えられる。担体材料は、顔料ペーストが組み込まれる媒体と同一であるか、少なくともそれと適合している必要がある。
本明細書で使用される「天然由来の顔料」という用語は、染料植物又は土壌などの他の天然資源に由来する顔料を指す。染料植物又は他の天然資源に由来する前記顔料は、精製、乾燥及び粉砕されることができる。しかしながら、「天然由来の顔料」という用語は、天然由来の顔料の修飾によって、例えば、天然由来の顔料の色を修飾するためにさらなる層の塗布によって得られる顔料を包含しない。「染料植物」とは、顔料又は染料として使用されることができる化合物を含む植物を指す。天然由来の顔料は、完全な染料植物から、又はその一部、例えば葉、根、果実などから得ることができる。染料植物又は土壌などの他の天然由来の資源から得られた顔料は、使用前に精製、乾燥及び粉砕されることができる。天然由来の顔料は、粉末の形態で使用されてよく、又は顔料ペーストの形態で使用されてよい。
本明細書で使用される「コーティング組成物を基材に直接塗布する」という用語は、コーティング組成物を基材に直接適塗布すること、すなわち、コーティング組成物から製造されたコーティング層が、製造されたコーティング層と基材との間に他の層が存在しないように、基材に直接接触していることを指す。
本明細書で使用される塗布されたコーティング組成物(C1)の「乾燥」という用語は、塗布されたコーティング組成物(C1)からの溶媒の蒸発を指す。乾燥は、周囲温度で、又は高温の使用によって行われ得る。しかし、乾燥後のコーティング膜はまだ軟らかいか粘着性があるため、乾燥は、すぐに使用できるコーティング膜、すなわち後述の硬化されたコーティング膜をもたらすものではない。したがって、塗布されたコーティング組成物(C1)又は塗布されたコーティング組成物(C1)の乾燥によって得られるコーティング膜の「硬化」は、このような組成物又は膜をすぐに使用できる状態へ変換すること、すなわち、それぞれのコーティング層を与えられた基材を輸送、保管し、意図したように使用できる状態へ変換することを指す。より具体的には、硬化したコーティング層は、もはや軟らかくなく、粘着性がないが、硬化条件にさらに曝されても、硬度又は基材への接着性などの特性がさらに大幅に変化を受けない固体コーティング層として調整されたものである。硬化は、コーティング組成物(C1)の乾燥に使用されるものよりも高い温度及び/又は長い時間で実施されることができる。
本発明の文脈において、また、DIN EN ISO 4618:2007-03に従って、「バインダー」は、顔料及びフィラーを含まない、コーティング組成物の不揮発性成分である。しかし、以下では、この表現は、主として特定の物理的及び/又は化学的に硬化可能なポリマーに関連して使用され、例として、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレア、ポリアクリレート、ポリシロキサン及び/又は述べられたポリマーのコポリマーである。不揮発性画分は、1.0gの開始質量を使用して130℃で60分間、DIN EN ISO 3251:2018-07に従って決定されることができる。
「ポリ(メタ)アクリレート」という用語は、ポリアクリレートとポリメタクリレートの両方を指す。したがって、ポリ(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタクリレートから構成され、例えば、スチレン又はアクリル酸などのさらなるエチレン性不飽和モノマーを含んでよい。
特定の特性変数を決定するための、本発明の文脈で使用される測定方法は、「実施例」のセクションに見出すことができる。特に明記しない限り、これらの測定方法は、それぞれの特性変数を決定するために使用される。本発明の文脈で、公式の有効期間を示すことなく公式の規格を参照する場合、参照は、出願日に有効な規格のバージョン、又はその時点で有効なバージョンがない場合は、最後に有効なバージョンを暗黙のうちに示す。
本発明の文脈で報告されるすべての膜厚は、乾燥膜厚として理解されるべきである。したがって、それはそれぞれの場合において硬化膜の厚さである。したがって、コーティング材料が特定の膜厚で塗布されると報告されている場合、これは、コーティング材料が硬化後に示された膜厚になるように塗布されることを意味する。
本発明の文脈で説明されたすべての温度は、基材又はコーティングされた基材が配置されている部屋の温度として理解されるべきである。したがって、基材自体が当該温度を有することが必要であることを意味するものではない。
基材(S)上にコーティング(B)を製造するための本発明の方法:
本発明の方法の文脈においては、コーティング(B)は、基材(S)上に製造される。コーティングは、3つの代替方法、つまり、コーティング層が既に製造された基材上に製造されるポストコーティング方法、コーティング(B)が基材の製造中に形成されるインモールドコーティング方法、及び、構造化されたコーティング基材が、構造化コーティング層を既に製造された基材に積層することによって、製造される転写コーティング方法によって製造されることができる。
ポストコーティング方法:
本発明の方法の第1実施形態は、
(i) コーティング組成物(C1)を、特に直接に、基材(S)の表面の少なくとも一部に塗布することであって、前記コーティング組成物(C1)は、少なくとも1つのバインダー、少なくとも1つの天然由来の顔料及び少なくとも1つの溶媒を含む、ことと、
(ii) コーティング膜を形成するために、任意に塗布されたコーティング組成物(C1)を乾燥させることと、
(iii) 塗布されたコーティング組成物(C1)又は形成されたコーティング膜を硬化させることと、
によって基材(S)上にカラーコーティング(BC)を製造することを含み、
前記基材は、プラスチック基材、木材、紙とカード、合成繊維、合成皮革製品、ポリマー材料で作られたフィラメント、及び発泡体から選択される。
適切なプラスチック基材には、PVC基材、PU基材、PC基材、PA基材、TPU基材が含まれる。「PVC基材」という用語は、主にPVCを含む基材を指し、すなわちPVCは、基材の総質量に基づいて、少なくとも51質量%で基材に含有している。同じことが、挙げられているすべてのさらなる基材に適用される。好ましくは、基材は挙げられた化合物で構成されており、すなわち、PVC基材はPVCからなる。
フィラメントを作るために使用されるポリマー材料は、好ましくは、TPU、TPA、PAから選択される。このようなフィラメントは、3D印刷プロセスで使用され、3D印刷プロセス中に溶融されて、所望の基材を与えることができる。「フィラメントから選択された基材」という用語は、そのようなフィラメント自体、及び当該フィラメントを用いて作られた基材、例えば、そのようなフィラメントを用いた3D印刷プロセスから得られる基材を含む。
本発明の方法の第1代替案の文脈では、フォーム基材、より具体的には柔軟なフォーム基材を使用することが好ましい。適切なフォーム基材には、当業者にこの文脈で知られているあらゆる種類のフォーム基材が含まれる。したがって、原則的に、熱硬化性物質、熱可塑性物質、エラストマー、又は熱弾性物質から製造されるフォーム、言い換えれば、ポリマーの示された分類からのプラスチックから対応する発泡プロセスによって得られるフォームを使用することが可能である。それらの化学的ベースの観点から、可能なフォームには、例えば、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルアミド、又はポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニルなどのポリオレフィン、及び示されたポリマーのコポリマーが挙げられるが、これらに限られない。フォーム基材は、当然ながら、特定されたポリマー及びコポリマーの様々なものを含むこともできる。
好ましいフォーム基材は、柔軟なフォーム基材であり、特に好ましくは柔軟な熱可塑性ポリウレタンフォーム基材である。後者は、熱可塑性ポリウレタンをそのポリマープラスチックマトリックスとして含むフォーム基材である。このような基材の基本的な品質は、圧縮性と弾性変形性であることである。
フォームの製造では、熱可塑性ポリウレタンは、対応するフォームプロセスによって発泡される(つまり、フォームに変換される)。発泡プロセスは既知であり、そのため、簡単にだけ説明する。それぞれの場合における基本的な原理は、プラスチック中又は対応するプラスチック溶融物中の溶液中にあり、対応するポリマープラスチックの製造における架橋反応において形成される発泡剤及び/又はガスが放出され、その結果、これまでの比較的密度の高いポリマープラスチックの発泡が引き起こされることである。例えば、発泡剤として低沸点炭化水素が使用されている場合、それは高温で気化し、発泡に至る。二酸化炭素又は同様に窒素などのガスは、発泡剤として高圧でポリマー溶融物に導入され、及び/又は溶解されることもできる。後の圧力低下の結果として、溶融物は発泡剤ガスの脱出中に発泡する。
発泡は、例えば、押出又は射出成形の過程で、例えば、対応するプラスチック基材を成形中に、直接行うことができる。加圧され発泡剤を添加されたプラスチック溶融物は、例えば押出機から出るときに、そのときに生じる圧力低下によって発泡することができる。
まず発泡剤を含む熱可塑性物質のペレットを製造し、次にこれらのペレットを型内で続けて発泡し、ペレットが体積を増やし、互いに溶解し、最終的に溶解して膨張したフォームビーズ(熱可塑性ビーズフォームとも呼ばれる)からなる成形体を形成することも可能である。膨張性ペレットは、例えば、押し出し、続いて押出機から出たポリマーストランドをペレット化することにより形成され得る。ペレット化は、例えば、膨張が起こらないような圧力及び温度条件下で動作する適切な切断装置によって達成される。その後の膨張とペレットの溶解は、一般に約100℃の温度の蒸気の助けによって行われる。
熱可塑性ビーズ発泡体を製造する際に、既に予備発泡させたプラスチックペレットから始めることも可能である。これらは、予備発泡されていないペレットと比較して、個々のペレット又はポリマービーズが、対応して低下した密度を有する実質的に増大したビーズサイズを既に示しているペレットである。制御された予備発泡を有するビーズの製造は、例えばWO2013/153190A1に記載されているように、適切なプロセス制御によって実現されることができる。したがって、押出機から出るときに、押し出されたポリマーストランドは、液体の流れとともにペレット化チャンバに通されてよく、該液体は特定の圧力下にあり、特定の温度を有している。操作パラメータの適応により、特定の膨張した又は予備膨張した熱可塑性ペレットを得ることが可能であり、これは、その後の溶解、及び任意のさらなる膨張、特に蒸気によるさらなる膨張によって熱可塑性ビーズフォーム基材に変換されることができる。
熱可塑性ビーズフォームと、そのようなビーズフォームを製造することができる対応する熱熱可塑性、膨張可能な(expandable)及び/又は膨張した(expanded)ペレットは、例えばWO2007/082838A1、WO2013/153190A1、又はその他WO2008/125250A1に記載されている。また、そこには、熱可塑性ポリウレタンの製造のための操作パラメータ及び出発材料、ならびにペレット及びビーズフォームの製造のための操作パラメータも記載されている。
熱可塑性ビーズフォーム、特に熱可塑性ポリウレタンビーズフォームは、非常に経済的な方法で、特に工業規模で製造でき、またその特性プロファイルの点でも特に有利である。したがって、熱可塑性ビーズフォームは、熱可塑性物質、より具体的には膨張可能な又は膨張したポリウレタンから製造され得、フォームは、優れた柔軟性又は弾性及び機械的安定性を示す。一般に、これらは圧縮可能であり、容易に弾性変形可能である。したがって、これらのフォームは特に、履物産業などの分野における用途のためのフォーム基材として特に適している。よって、特に好ましい基材は、ポリマープラスチックマトリックスとして熱可塑性ポリウレタンを含む圧縮可能で弾性変形可能なビーズフォーム基材である。
「熱可塑性ポリウレタンビーズフォーム基材」という用語は、したがって、熱可塑性ポリウレタン粒子、例えば、先に述べたように、膨張した又は膨張可能な熱可塑性ポリウレタン粒子から調製される基材を指す。
基材、好ましくは柔軟なフォーム基材は、本質的に、任意の所望の形状を有してよく、すなわち、それらは、例えば、単純なシート状の基材、又はより複雑な形状、例えば特にミッドソールなどの履物のソールであってよい。
一例では、コーティング組成物(C1)は、塗布装置によって、好ましくは液体コーティング組成物の塗布に適した塗布装置によって塗布される。適切な塗布装置には、浸漬、ナイフコーティング、噴霧、ローリング、パッド印刷又はスクリーン印刷のための塗布装置が含まれる。好ましくは、噴霧塗布装置、例えば、任意に高温噴霧塗布装置、例えば高温空気(高温噴霧塗布装置)、パッド印刷装置又はスクリーン印刷装置と併せて、圧縮空気噴霧装置(空気圧塗布装置)、エアレス噴霧塗布装置、高速回転塗布装置、静電噴霧塗布装置(ESTA装置)を採用する。
パッド印刷プロセス(タンポグラフィー又はタンポ印刷とも呼ばれる)は、3次元基材に2次元画像を印刷することを可能にし、基本的には間接グラビアプロセスである。つまり、このプロセスは、印刷機又は印刷装置でシリコンパッド(又は間接オフセット/グラビア)を用いて、基材に画像(例えば特定の画像のフォーム)を転写することを含む。画像は平坦な印刷版にエッチングされ、次にコーティング組成物(C1)で充填される。耐薬品性を有する滑らかな表面のシリコーンパッド(パッドプリンター)が、次に、プレートからコーティング組成物(C1)を運び、それを基材上に転写するのに使用される。シリコーンは、コーティング組成物をそれ自体に吸収しないため、転写媒体として使用される。シリコーンは不規則な形状の表面に容易に適応できるため、パッド印刷はほとんどの種類の基材に行うことができ、従って画像を複雑なジオメトリに転写することが可能である。ステップ(i)において基材上にコーティング組成物(C1)を塗布するためのパッド印刷塗布装置の使用は、特定の画像が基材上に印刷される場合、又は特定の領域がコーティング組成物(C1)を使用してコーティングされる場合に、好ましい場合がある。
スクリーン印刷法(シルクスクリーン印刷法、又はセリグラフ印刷法とも呼ばれる)は、メッシュを使用して、ブロッキングステンシルによってコーティング組成物(C1)が浸透しない領域を除いて、コーティング組成物(C1)を基材に転写する印刷技術である。スクリーン印刷機の3つの一般的な種類:フラットベッド、シリンダー、ロータリーがある。ブレード又はスキージがスクリーンを横切って移動し、開いたメッシュの開口部をコーティング組成物(C1)で満たし、次に逆ストロークによってスクリーンが接触線に沿って瞬間的に基材に接触する。これにより、コーティング組成物(C1)は基材を濡らし、ブレード通過後のスクリーンがスプリングバックするときに、メッシュ開口部から引き出される。一度に1色ずつ印刷されるため、複数のスクリーンを使って多色の画像又はデザインを作ることができる。スクリーンは、フレームに張られたメッシュでできている。メッシュは、合成ポリマー、例えばナイロンもしくはポリエステルなど、又はステンレスなどでできており、メッシュのより細かく小さな開口部は、より高度でより繊細な詳細の度合いを必要とする設計に利用される。メッシュが効果を発揮するためには、メッシュはフレームに取り付けられ、張力がかかっている必要がある。メッシュを保持するフレームは、機械の精巧さ又は職人の作業に応じて、木材又はアルミニウムなど様々な材料で作られることができる。ブロッキングステンシルは、印刷されるデザインのネガ画像でスクリーンの一部をブロックすることによって形成され、すなわち、オープンスペースは、コーティング組成物(C1)が基材上に現れる場所である。ブロッキングは、メッシュ上に感光性乳剤を塗布し、塗布した乳剤を乾燥させ、必要なデザインを印刷したフィルムを通して、乾燥した乳剤に選択的に紫外線を曝すことによって行われる。これにより、露光された部分の乳剤は硬化し、露光されていない部分は軟かいままである。その後、水スプレーを用いて洗い流し、メッシュに所望の画像と同じ形状のクリーンエリアを残し、コーティング組成物(C1)の通過を可能にさせる。スクリーンとフレームは、コーティング組成物(C1)がスクリーンとフレームの端に到達するのを防ぐためにテープで裏打ちされ、硬化した乳剤の望ましくない「ピンホール」は、基材上にコーティング組成物(C1)の望ましくないマークを残すのを避けるためにブロックされ得る。
非常に特に好ましくは、コーティング組成物(C1)は、空気圧噴霧塗布装置又は静電噴霧塗布装置によって塗布される。前記装置を用いたコーティング組成物(C1)の塗布は、単回塗布あるいは複数回塗布の形態で行ってよく、例として二重塗布が挙げられる。塗布は、手動で、半自動噴霧装置を介して、又は自動噴霧装置を介して行うことができる。このような噴霧装置は、当該技術分野において一般的に知られており、例えば、SATA GmbH&Co.KG又はOERTER GmbH&Co.KGによって販売されている。コーティング組成物(C1)が塗布装置、特に噴霧塗布装置によって塗布される場合、好ましくは、コーティング組成物(C1)を基材に塗布する前に、例えば接着プライマーなどのコーティング材料を使用することによる基材の前処理は行われない。したがって、コーティング組成物(C1)は、好ましくは、基材上に直接塗布され、すなわち、基材と直接接触する。基材の前処理が行われないにもかかわらず、本発明の方法の一部として、顕著な接着が達成され、したがって、得られるコーティングの基材への接着に悪影響を与えることなく、前処理工程を回避することができる。これにより、基材へのコーティングの十分な接着を達成するために、前処理工程を必要とするプロセスよりも、より効率的かつより迅速に本発明の方法を実施することができる。
塗布されたコーティング組成物(C1)は、好ましくは15~60℃、より好ましくは20~30℃の温度で、1~30分、好ましくは3~20分の時間乾燥させて、コーティング膜を形成させる。
乾燥されたコーティング膜、又は(乾燥を行わない場合には)塗布されたコーティング組成物(C1)は、次いで硬化されて、カラーコーティング(BC)、すなわち硬化されたカラーコーティング膜を生成する。硬化は、好ましくは40~120℃、より好ましくは60~100℃の温度で、例えば10~60分、好ましくは15~35分の時間の間行われる。このようにして、好ましい基材、特にフォーム基材の分解又は変形が回避される。
コーティングされた基材は、一般的に知られているベースコート及びクリアコート組成物を使用してコートされることができる。しかし、コーティングされた基材上には、さらなるコーティング層を塗布しないことが好ましい。
転写コーティングプロセス:
本発明の方法の第2の実施形態は、
(A) コーティング組成物(C1)を構造化又は非構造化マトリックス又は型に塗布することであって、前記コーティング組成物(C1)が、少なくとも1つのバインダー、少なくとも1つの天然由来の顔料及び少なくとも1つの溶媒を含む、ことと、
(B-1) 前記塗布されたコーティング組成物(C1)を硬化させ、マトリックス又は型と接触していない前記硬化したコーティング組成物(C1)上に結合層を形成し、硬化したコーティング組成物(C1)と接触していない結合層を基材の表面の少なくとも一部に適用すること、又は
(B-2) 前記塗布されたコーティング組成物(C1)を乾燥させ、マトリックス又は型と接触していない乾燥したコーティング組成物(C1)を基材に適用し、乾燥したコーティング組成物(C1)を硬化させることと、
(C) コーティングされた基材から構造化又は非構造化マトリックス又は型を取り外すことと、
によって、基材(S)上にカラーコーティング(BC)を製造することを含む。
構造マトリックス又は型を調製するための適切な方法は、当該技術分野において一般的に知られており、例えば、公開特許出願US2010/0330333A1に記載されている。
適切な非構造化マトリックスには、乾燥又は硬化したコーティング組成物(C1)及び任意の結合層をより良く扱うための一時的な基材として一般的に使用されるフィルム又は基材であって、基材上にコーティング層(C1)又は結合層を塗布した後に除去されるフィルム又は基材が含まれる。非構造化マトリックスは、基材の表面の少なくとも一部に結合層又は乾燥したコーティング組成物(C1)を塗布した後の、マトリックスの剥離を容易にするために、剥離剤でコーティングされることができる。非構造化マトリックスは、乾燥コーティング組成物(C1)をこのマトリックス上に堆積させることができ、それでもなお、基材表面への最終的な塗布時にこのマトリックスから剥離され得るように、乾燥コーティング組成物(C1)への適切な接着性を有することが必要である。マトリックスへの乾燥コーティング組成物(C1)の接着性をF1、基材表面への結合層の接着性をF2、結合層への硬化コーティング組成物(C1)の接着性をF3と定義すると、接着力は、基材からコーティング層を剥離させることなく、非構造化マトリックスの取り外しを可能にするように、以下の関係:F1<F2、及びF1<F3を満たす必要がある。結合層が存在しない場合、接着力は、コーティング組成物(C1)を硬化させた後の非構造化マトリックスの取り外しを可能にするように、F1<F2の関係を満たす必要がある。
コーティング組成物(C1)は、例えば噴霧塗布装置を用いて、本発明の方法の第1の代替案に関連して先に説明したように、構造化もしくは非構造化マトリックス又は型に塗布されることができる。
塗布されたコーティング組成物(C1)は好ましくは15~60℃、より好ましくは20~30℃の温度で、1~30分、好ましくは3~20分の期間乾燥されてコーティング層を形成する。塗布されたコーティング組成物(C1)の硬化は、60~90℃で1~10分、好ましくは1~5分行うことができる。
結合層は、好ましくは硬化した有機接着剤又は硬化した有機接着剤の連続層の中断された、すなわち不連続層を含む。不連続層は、点、ストライプ、格子、長方形、正方形、ハニカム構造などの形態を有することができる。
一例では、結合層は、例えばポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、又は特にポリウレタンに基づく、好ましくは0℃未満のガラス転移温度を有するポリウレタンに基づく、硬化した有機接着剤の層を含んでよい。有機接着剤は、例えば熱的に、化学線によって、又はエージングによって硬化され得る。別の例では、結合層は、接着ガーゼを含む。結合層は、硬化したコーティング組成物(C1)に結合層を塗布した後に、得られた多層製品の扱いを容易にするために、結合層の片面に剥離ライナーを含んでいてよい。剥離ライナーは、結合層を基材に塗布する前に、除去することができる。一例では、結合層は、結合層を硬化コーティング組成物(C1)に付着させる前に、剥離ライナー上にコーティングされることができる。適切な剥離ライナーとしては、例えば、ポリオレフィンフィルム、コーティングされた紙又はフィルム、及びコーティングされたスーパーカレンダー紙が挙げられる。剥離ライナーに適したコーティング材料の例としては、シリコーンベース及びフッ素ベースの材料、又は所望の剥離特性を有する任意の他の材料、例えば、ワックス、アクリレート、及びカルバメートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
基材の表面の少なくとも一部への結合層又は乾燥コーティング組成物(C1)の塗布は、圧力及び/又は熱を用いて実施され得る。熱を使用しない場合、そのようなプロセスは通常、コールド転写プロセスと呼ばれ、一方、熱を使用する場合、そのようなプロセスはホット転写プロセスと呼ばれる。結合層又は乾燥コーティング組成物(C1)を基材の少なくとも一部に転写する際に使用される熱は、基材表面での十分な接着を保証するのに十分高い必要があり、しかし転写プロセス中の基材又はマトリックスもしくは型の破壊を防ぐのに十分低いことが必要である。適切な温度には、コーティング組成物(C1)の硬化に関連して上記に挙げた温度が挙げられる。乾燥したコーティング組成物(C1)が、熱を用いて基材に塗布される場合、このような熱は、基材表面上の乾燥したコーティング組成物(C1)を硬化させるために同時に使用され得る。
基材は、織布又は不織布などの織物であってもよく、押出ポリマーフィルム又は硬化ポリマーフィルムなどのポリマー材料であってよく、又は発泡体であってもよい。適切なポリマー材料及び発泡体には、本発明の方法の第1の代替案に関連して説明されたプラスチック材料及び発泡体が含まれる。基材は、本質的に任意の所望の形状を有することができ、すなわち、それらは、例えば、単純なシート状基材であってよく、又はより複雑な形状であってよく、好ましくは、それらはシート状基材である。
コーティングされた基材は、一般的に知られているベースコート及びクリアコート組成物を使用してポストコートされることができる。しかし、型からコーティングされた基材を取り出した後に得られたコーティングされた基材上にさらなるコーティング層を塗布しないことが好ましい。
インモールドコーティングプロセス:
本発明の方法の第3の実施形態は、
(a) コーティング組成物(C1)を型の少なくとも1つの内面に塗布することであって、前記コーティング組成物(C1)が、少なくとも1つのバインダー、少なくとも1つの天然由来の顔料、及び少なくとも1つの溶媒を含む、ことと、
(b) 塗布されたコーティング組成物(C1)を任意に乾燥させることと、
(c) 基材(S)を形成する組成物(C2)を型に塗布することと、
(d) コーティング組成物(C1)を同時に硬化させながら、基材(S)を形成することと、
(e) 塗布された基材を型から取り外すことと、
によって、基材(S)上にカラーコーティング(BC)を製造することを含む。
型の内面とは、基材(S)を形成する組成物と接触する面を指す。
コーティング組成物(C1)は、先に述べたように型表面に塗布することができ、基材を形成する組成物を型内に塗布する前に、好ましくは2分未満、より好ましくは1分未満、非常に好ましくは30秒未満乾燥させる。この場合、成形型が20~100℃、より好ましくは30~90℃、非常に好ましくは40~80℃、より具体的には50~70℃の温度を有していることが有利である。
基材(S)を形成するのに適した組成物(C2)には、反応性組成物、すなわち化学的に硬化可能な組成物、例えば架橋性フォーム組成物、又は非架橋性フォーム組成物が挙げられる。「非架橋性フォーム組成物」という用語は、少なくとも1つのポリマーを含み、化学結合を形成して互いに反応することができる成分を含まないフォーム組成物を意味する。組成物は、固体形態、例えば顆粒、粒子の形態など、又は溶融形態で存在することができる。組成物は、組成物の膨張を容易にする少なくとも1つの化学的又は物理的発泡剤を含むことができる。非架橋性ポリマーフォーム組成物の「膨張」は、本明細書では、熱処理前に存在する非膨張非架橋性フォーム組成物と比較して、例えば熱の使用による非架橋性フォーム組成物の体積膨張を意味すると理解される。
好ましい架橋性フォーム組成物(C2)は、外部架橋性フォーム組成物及び/又は内部架橋性フォーム組成物、特に外部架橋性ウレタンフォーム組成物を含み得る。適切な外部架橋性フォーム組成物には、エラストマーフォーム組成物、より詳細には柔軟なフォーム組成物、及び熱硬化性フォーム組成物、より詳細には硬いフォームをもたらすフォーム組成物が含まれる。前記組成物から生じるフォームは、オープンセル、クローズドセル又は混合セルフォームであってよい。特に好ましい架橋性フォーム組成物は、ポリオールと1つ以上のポリイソシアネートとの混合物である。フォームを形成するためにポリオール成分に添加される発泡剤は、通常水であり、水はポリイソシアネートの一部と反応して二酸化炭素を形成するため、この反応は発泡を伴う。軟質フォームから弾性フォーム、特に柔軟なフォームは、長鎖ポリオールを用いて得られる。短鎖ポリオールを使用すると、高度に架橋した構造が形成され、一般に硬いフォームの形成に至る。ポリウレタンフォーム材料の製造に使用されるポリオールは、好ましくは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリエーテルポリオールを含み、したがって、好ましくは前述のポリオールの群から選択される。
繊維も同様に、フォーム組成物に混合することができる。このような組成物を発泡させると、その製品は繊維強化フォームとして知られている。繊維は、硬質フォームを製造する場合に使用されることが好ましい。
好ましい非架橋性フォーム組成物(C2)は、膨張した熱可塑性ポリウレタン粒子、膨張性熱可塑性ポリウレタン粒子、非架橋性熱可塑性ポリウレタン、非架橋性塩化ビニル、非架橋性ポリカーボネート、非架橋性ポリスチレン、非架橋性ポリエチレン、非架橋性ポリプロピレン、非架橋性アクリロニトリルブタジエンスチレン、非架橋性ポリオキシメチレン又は非架橋性ポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。特に好ましくは、組成物(C2)として、膨張した及び膨張可能な熱可塑性ポリウレタン粒子が使用される。
適切な膨張した及び膨張可能な熱可塑性ポリウレタン粒子は、本発明の方法の第1代替案に関して説明された粒子を含む。
フォーム組成物(C2)は、閉じた型に射出してよく、又は開いた型に塗布してもよい。後者の場合、基材(S)を形成する前に型を閉じ、同時にコーティング組成物(C1)を硬化させる。基材を形成する組成物を塗布する前に、さらなる組成物又は材料を型に挿入することができる。これにより、少なくとも2つの異なる材料から調製される基材を製造することができる。
基材(S)の形成及びコーティング組成物(C1)の硬化は、好ましくは、45~75℃、より好ましくは50~70℃の範囲の成形型温度で、1~30分、典型的には5~20分行われる。
コーティングされた基材は、一般的に知られているベースコート及びクリアコート組成物を使用してポストコートされることができる。しかし、型からコーティングされた基材を取り出した後に得られたコーティングされた基材上には、さらなるコーティング層を塗布しないことが好ましい。
本発明の使用のためのコーティング組成物(C1):
本発明の方法において使用されるコーティング組成物(C1)は、少なくとも1つのバインダーと、少なくとも1つの天然由来の顔料及び少なくとも1つの溶媒を含む。コーティング組成物(C1)は、基材上でのコーティング組成物のレベリング、コーティング組成物中の顔料の分散を容易にするために、コーティング組成物のカビを防止するために、天然由来の顔料の劣化を防止するために、後述する少なくとも1つの添加剤をさらに含むことができる。さらに、コーティング組成物(C1)は、硬化時にコーティング組成物の架橋を促進するために、少なくとも1つの架橋剤をさらに含むことができる。
バインダー:
本発明の方法で使用されるコーティング組成物(C1)の第1の必須成分は、少なくとも1つのバインダーである。特に好ましくは、少なくとも1つのバインダーは、「物理的に」又は「化学的に」硬化される。「物理的に硬化する」という用語は、水性コーティング組成物からの溶媒の放出による硬化したコーティング膜の形成を指し、硬化はポリマー鎖の相互ループによって達成される。したがって、このようなバインダーの使用には、架橋剤の存在を不要にする。対照的に、「化学的に硬化する」という用語は、互いに反応可能な官能基を含む化学的架橋反応によって硬化したコーティング膜を形成することを指す。これは、ヒドロキシル基などの官能基を有するバインダーと、イソシアネート基などのバインダーの官能基と反応可能な相補的官能基を有する架橋剤を使用することによって達成され得る。しかしながら、架橋を促進するために別の架橋剤を使用する必要がないように、官能基及び相補的官能基を含むバインダーを使用することも可能である。架橋剤又はバインダーの相補的官能基は、貯蔵安定な一成分コーティング組成物を得ることができるように、キャップされることができる。エンドキャッピングの時に、架橋剤又はバインダーの相補的官能基が、架橋を促進するために解放される。
適切なバインダーは、(i)ポリ(メタ)アクリレート、より具体的にはヒドロキシ官能性及び/又はカルボキシレート官能性及び/又はアミン官能性のポリ(メタ)アクリレート、(ii)ポリウレタン、より具体的にはヒドロキシ官能性及び/又はカルボキシレート官能性及び/又はアミン官能性のポリウレタン、(iii)ポリエステル、より具体的にはポリエステルポリオール、(iv)ポリエーテル、より具体的にはポリエーテルポリオール、(v)述べられたポリマーのコポリマー、(vi)これらの混合物が挙げられる。特に好ましくは、少なくとも1つのバインダーは、ポリウレタンと、ポリウレタン樹脂を含有するポリウレタン樹脂画分を含有する分散液、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリオール及びこれらの混合物から選択される。これらのバインダーを使用すると、履物産業で使用されるフォーム基材などの柔軟な基材に特に適した柔軟なコーティング層が得られる。
ポリウレタン(PU)は一般的な知識であり、市販されており、比較的高分子量のポリヒドロキシ化合物、例えばポリカーボネート、ポリエステル又はポリエーテルのセグメントの軟質相と、低分子量の鎖延長剤及びジ-又はポリイソシアネートから形成されるウレタン硬質相とからなる。ポリウレタン(PU)を調製するためのプロセスは、一般的な知識である。一般に、ポリウレタン(PU)は、
(a) イソシアネート、好ましくはジイソシアネートと、
(b) イソシアネート反応性化合物であって、典型的には、500~10000g/molの範囲、好ましくは500~5000g/molの範囲、より好ましくは800~3000g/molの範囲の分子量(Mw)を有するイソシアネート反応性化合物と、
(c)50~499g/モルの範囲の分子量を有する鎖延長剤との反応を、適切な場合は、
(d) 触媒
(e) 及び/又は慣例の添加剤材料
の存在下で行うことによって、調製される。
以下では、好ましいポリウレタン(PU)を調製するための出発成分及びプロセスを、例として説明する。ポリウレタン(PU)の調製に慣用的に使用される成分(a)、(b)、(c)、及び適切な場合には(d)及び/又は(e)を、例として説明する:
イソシアネート(a)としては、一般に知られている脂肪族、脂環式、芳香脂肪族及び/又は芳香族イソシアネート、例えばトリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチルブチレン1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ブチレン1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-及び/又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル-2,4-及び/又は-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート及び/又は4,4'-、2,4'-及び2,2'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2'-、2,4'及び/又は4.4′-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、2,4-及び/又は2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3'-ジメチルビフェニルジイソシアネート、1,2-ジフェニルエタンジイソシアネート及び/又はフェニレンジイソシアネートが使用され得る。4,4'-MDIを使用することが好ましい。脂肪族ジイソシアネート、特にヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)も好ましい、芳香族ジイソシアネート、例えば2,2'-、2,4'及び/又は4.4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及び前述の異性体の混合物が特に望ましい。
イソシアネート反応性化合物(b)として、一般に知られているイソシアネート反応性化合物、例えば、ポリエステロール、ポリエーテルオール及び/又はポリカーボネートジオールが使用され得、これらは通常、「ポリオール」という用語の分類に属され、500~8000g/molの範囲、好ましくは600~6000g/molの範囲、特に800~3000g/mの範囲の分子量(Mw)を有し、及びイソシアネートに対して好ましくは1.8~2.3、好ましくは1.9~2.2、特に2の平均官能価を有する。好ましくは、ポリエーテルポリオール、例えば、一般に知られている出発物質と、通常のアルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド及び/又は1,2-ブチレンオキシド、好ましくは、ポリオキシテトラメチレン(ポリTHF)、1,2-プロピレンオキシド及びエチレンオキシドとをベースとするポリエーテルオールが使用される。ポリエーテルオールは、ポリエステルオールよりも高い加水分解安定性を有する利点を有し、特に軟質ポリウレタンであるポリウレタン(PU1)を調製するための成分(b)として好ましく使用される。
ポリカーボネートジオールとして、特に脂肪族ポリカーボネートジオール、例えば1,4-ブタンジオールポリカーボネート及び1,6-ヘキサンジオールポリカーボネートが挙げられる。
ポリエステルジオールとして、少なくとも1つの第一級ジオール、好ましくは少なくとも1つの第一級脂肪族ジオール、例えばエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール又はより好ましくは1,4-ジヒドロキシメチルシクロヘキサン(異性体混合物として)又は前述のジオールの少なくとも2つの混合物と、少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つのジカルボン酸又はその無水物との重縮合によって得られ得るものが挙げられる。好ましいジカルボン酸は、脂肪族ジカルボン酸、例えばアジピン酸、グルタル酸、コハク酸、及び芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、特にイソフタル酸などである。
ポリエーテルオールは、好ましくは、アルキレンオキシド、特にエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの混合物を、高活性触媒の存在下で、ジオール、例えばエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオールなどに、又はトリオール、例えばグリセリンなどに、付加することによって調製される。このような高活性触媒は、例えば、水酸化セシウム及び二重金属シアン化物触媒(DMC触媒とも知られる)である。ヘキサシアノコバルト酸亜鉛は、しばしば使用されるDMC触媒である。DMC触媒は、反応後にポリエーテルオール中に残すことができるが、有利には、例えば沈降又は濾過によって除去される。
1つのポリオールの代わりに、種々のポリオールの混合物を使用することができる。
分散性を改善するために、イソシアネート反応性化合物(b)はまた、カルボン酸基又はスルホン酸基(b’)を有する1つ以上のジオール又はジアミン、特に1,1-ジメチロールブタン酸、1,1-ジメチロールプロピオン酸又は
Figure 0007447357000001
のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩の割合を含むことができる。
有用な鎖延長剤(c)には、50~499g/molの範囲の分子量と、少なくとも2個の官能基とを有する一般に知られている脂肪族、芳香脂肪族、芳香族及び/又は脂環式化合物、好ましくは1分子当たり正確に2個の官能基を有する化合物が挙げられ、例えば、ジアミン及び/又はアルキレン基中に2~10個の炭素原子を有するアルカンジオール、特に1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール及び/又は1分子当たり3~8個の炭素原子を有するジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-、オクタ-、ノナ-及び/もしくはデカアルキレングリコール、好ましくは、対応するオリゴ-及び/又はポリプロピレングリコールであり、鎖延長剤(c)の混合物も使用されることができる。
成分(a)~(c)が、二官能性化合物、すなわちジイソシアネート(a)、二官能性ポリオール、好ましくはポリエーテルオール(b)、二官能性鎖延長剤、好ましくはジオールを含むのが特に好ましい。
特にジイソシアネート(a)のNCO基と、ビルディングブロック成分(b)及び(c)のヒドロキシル基との間の反応を促進する有用な触媒(d)は、通常の第三級アミン、例えばトリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N,N’-ジメチルピペラジン、2-(ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン(「DABCO」)及び類似の第三級アミンなど、ならびに特に有機金属化合物、例えばチタン酸エステル、鉄化合物、例えば鉄(III)アセチルアセトネートなど、スズ化合物、例えばスズジアセテート、スズジオクトエート、スズジラウレート又は脂肪族カルボン酸のジアルキルスズ塩、例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレートなど等である。触媒は、典型的に、成分(b)100質量部当たり、0.0001~0.1質量部の量で使用される。
触媒(d)と同様に、助剤及び/又は添加剤(e)を成分(a)~(c)に添加することもできる。例えば発泡剤、ブロッキング防止剤、表面活性物質、フィラー、例えばナノ粒子をベースとするフィラー、特にCaCOをベースとするフィラー、核形成剤、スリップ剤、染料及び顔料、酸化防止剤(例えば加水分解、光、熱もしくは変色に対する)、無機及び/もしくは有機フィラー、補強剤ならびに可塑剤、金属不活性化剤を挙げることができる。好ましい実施形態においては、成分(e)には、加水分解安定剤、例えばポリマー及び低分子量のカルボジイミドなどが含まれる。軟質ポリウレタンは、好ましくは、当該軟質ポリウレタンの総質量に基づいて0.1%~5質量%の量のトリアゾール及び/又はトリアゾール誘導体ならびに酸化防止剤を含む。有用な酸化防止剤は、一般に、保護されるべきプラスチック材料での望ましくない酸化プロセスを抑制又は防止する物質である。一般に、酸化防止剤は市販されている。酸化防止剤の例は、立体障害フェノール、芳香族アミン、チオ相乗剤、三価のリンの有機リン化合物及びヒンダードアミン光安定剤である。フェノール系酸化防止剤が、酸化防止剤混合物中での使用に好ましい。好ましい実施形態において、酸化防止剤、特にフェノール系酸化防止剤は、350g/molを上回り、より好ましくは700g/molを上回るモル質量と、10000g/mol以下、好ましくは3000g/mol以下までの最大モル質量(Mw)を有する。それらはさらに好ましくは、180℃以下の融点を有する。非晶質又は液体である酸化防止剤を使用することがさらに好ましい。2つ以上の酸化防止剤の混合物も同様に成分(e)として使用されることができる。
特定の成分(a)、(b)及び(c)、ならびに場合により(d)及び(e)と同様に、通常、31~3000g/molの分子量を有する連鎖調節剤(連鎖停止剤)も使用されることができる。このような連鎖調節剤は、イソシアネート反応性官能基を1つだけ有する化合物、例えば、単官能アルコール、単官能アミン及び/又は単官能ポリオールなどが挙げられる。このような連鎖調節剤により、特に軟質ポリウレタンの場合、流動挙動を特定の値に調整することができる。連鎖調節剤は、一般に、成分(b)100質量部に基づいて、0~5質量部、好ましくは0.1~1質量部の量、及び成分(c)内の定義により、使用されることができる。
特定の成分(a)、(b)及び(c)、ならびに場合により(d)及び(e)と同様に、ポリウレタン形成反応の終了に向かう2つ以上のイソシアネート反応性基を有する架橋剤、例えばヒドラジン水和物を使用することも可能である。
ポリウレタン(PU)の硬度を調整するために、成分(b)及び(c)は、比較的広いモル比の範囲で選択されることができる。成分(b)と全鎖延長剤(c)のモル比は、10:1~1:10の範囲、特に1:1~1:4の範囲が有用であり、軟質ポリウレタンの硬度は(c)の含量が増大するにつれて上昇する。ポリウレタン(PU)を製造するための反応は、0.8~1.4:1の範囲の指数、好ましくは0.9~1.2:1の範囲の指数、より好ましくは1.05~1.2:1の範囲の指数で行われることができる。指数は、反応に使用される成分(a)の全イソシアネート基と、イソシアネート反応性基、すなわち、成分(b)及び場合により(c)、及び場合により例えば連鎖停止剤として単官能性イソシアネート反応性成分、例えばモノアルコールなどの活性水素との比率によって定義される。
ポリウレタン(PU)は、従来のプロセスによって、例えばワンショット法もしくはプレポリマー法によって連続的に、又は従来のプレポリマー操作によってバッチ式に、調製されることができる。これらの方法においては、反応成分(a)、(b)、(c)、ならびに場合により(d)及び/又は(e)を連続的に又は同時に混合することができ、反応は直ちに起こる。
一実施形態では、2つの異なるポリウレタン(すなわち、ポリウレタン(PU1)及びポリウレタン(PU2))がバインダーとして使用され、ポリウレタン(PU1)は60未満のショア硬度を有する軟質ポリウレタンであり、ポリウレタン(PU2)は60~100のショア硬度を有する硬質ポリウレタンである。ショア硬度は、DIN 53505:2000-08に従って、3秒後に決定されることができる。
軟質ポリウレタン(PU1)は、ポリウレタン(PU)との関連で前述したように調製されることができる。硬質ポリウレタン(PU2)は、原理的には軟質ポリウレタン(PU1)と同様に調製され得るが、他のイソシアネート反応性化合物(b)、イソシアネート反応性化合物(b)の他の混合物、又はポリイソシアネートの他の比率が使用される。そのような化合物(b)の例は、特に1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール及びネオペンチルグリコールであり、互いに混合されているか、又はポリエチレングリコールと混合されている。一例では、(PU1)及び(PU2)はそれぞれ、ジイソシアネートの混合物、例えばHDIとIPDIの混合物を使用して調製されるが、軟質ポリウレタン(PU1)の調製よりもIPDIのより大きな割合が硬質ポリウレタン(PU2)の調製のために選択される。
コーティング組成物(C1)のバインダーとして、軟質ポリウレタン(PU1)と硬質ポリウレタン(PU2)の組み合わせを使用することは、コーティング組成物(C1)が先に述べた本発明の転写コーティングプロセスで使用される場合、特に好ましい。
少なくとも1つのポリウレタン樹脂を含有するポリウレタン樹脂画分を含む適切な分散液(以下、分散液(1)と表記する)は、少なくとも50質量%のポリウレタン樹脂画分のゲル画分、20℃未満のガラス転移温度、100℃未満の温度での融解転移を有するポリウレタン樹脂画分を含有する水性分散液を含む。
好ましくは、ポリウレタン樹脂画分のゲル画分は少なくとも55質量%、特に100質量%まで、例えば98質量%又は99質量%(測定方法については実施例のセクションを参照)であり、すなわちポリウレタン樹脂画分を構成するポリマー粒子は少なくとも部分的に分子内架橋されている。後者は、粒子内に存在するポリマー構造が、3次元ネットワーク構造を有する典型的な巨視的ネットワークと少なくとも部分的に等しいことを意味する。粒子は、部分的に互いに架橋ブリッジを形成することができるが(実際には、調製プロセスから単純に除外することはできない)、システムは、いずれにしても、測定可能な粒子径を有する離散粒子が存在する分散体である。
好ましくは、ポリウレタン樹脂画分は、-100℃~-20℃未満、非常に好ましくは-90~-40℃の温度でそのガラス転移を有し、-20℃~90℃未満、非常に好ましくは-15℃~80℃未満(測定方法については実施例のセクションを参照)の温度でその溶融転移を有し、したがって半晶質性を有する(すなわち、ガラス転移温度を有する非晶質ドメインと溶融転移を示す結晶性ドメインを有する)。したがって、ポリウレタン樹脂画分は、半結晶性であるポリウレタン樹脂を含むことができ、及び/又は、高結晶性ポリウレタン樹脂と非晶性ポリウレタン樹脂の両方を含む。
分散媒体は、好ましくは水であり、すなわち、分散液(1)は水性分散液である。ポリウレタン樹脂粒子の粒径は、好ましくは1~100μmである。粒径は、分散液中に存在する粒度分布(分布曲線、体積密度)を指し、平均粒径を指すものではない。分布曲線(体積密度)は、レーザー回折によって決定されることができ、対応する範囲内のサイズ分布を最適に捉えることができる。本発明の目的のために、Mastersizer 3000粒径測定器(Malvern Instruments社製)を用いて測定が行われた。測定に適した濃度範囲を設定するために、サンプルは、粒子を含まない脱イオン水を分散媒として希釈され(屈折率:1.33)、オブスキュレーションを各サンプルに応じて3%~15%に設定し、Hydro 2000G分散ユニット(Malvern Instruments社製)で測定を行った。測定は、30001/分の撹拌速度で行われ、測定前にこの速度で5分間平衡化した。体積加重サイズ分布は、Malvern Instrumentsのソフトウェア(バージョン5.60)を用いて、フラウンホーファー近似によって算出した。
好ましくは、分散液(1)は、ポリウレタン樹脂画分の総質量に基づいて、1マイクロメートルを超える、好ましくは1~100マイクロメートルの粒径を有するポリウレタン樹脂粒子を少なくとも10質量%、好ましくは少なくとも20質量%、より好ましくは少なくとも30質量%、及び非常に好ましくは少なくとも50質量%含む。分散粒子の形態で存在する少なくとも1つのポリウレタン樹脂からなるポリウレタン樹脂画分は、したがって、このようなサイズを有する粒子を少なくとも10質量%(又は少なくとも20質量%、30質量%、50質量%)含む。
分散液(1)のポリウレタン樹脂画分は、好ましくは、例えばポリイソシアネートなどのイソシアネート基を含む成分によってわずかな効率でのみ熱化学的に硬化する。これは、分散液の対応するポリウレタン樹脂と、イソシアネート基を含有する成分を組み合わせることによって、典型的な熱化学的に硬化したコーティングを形成することが不可能であることを意味する。したがって、ポリウレタン樹脂画分中の少なくとも1つのポリウレタン樹脂は、好ましくは、先に上述したような架橋条件下でイソシアネート基との架橋反応を開始できる官能基を少量だけ有する。
ポリウレタン樹脂画分を構成するポリウレタン樹脂の調製において、調製のための出発生成物の量は、好ましくは、イソシアネート基と架橋反応を開始できる官能基、より具体的にはヒドロキシル基及びアミノ基の合計モル量に対するイソシアネート基の合計モル量の比率が、0.9よりも大きいように、選択される。より好ましくは、記載された比率は0.95より大きく、特に少なくとも1.0、非常に好ましくは正確に1.0である。
ポリウレタン樹脂画分は、好ましくは、潜在的にイオン性の基、例えば潜在的にアニオン性の基、好ましくはカルボン酸基又はスルホン酸基、特にカルボン酸基を含む。このような基は、水性分散液の形成に有利であることが知られている。したがって、ポリウレタン樹脂画分を構成するポリウレタン樹脂の調製においては、ウレタン結合の調製における反応のための基、好ましくはヒドロキシル基及び/又はアミノ基と同様に、カルボン酸基又はスルホン酸基も含むモノマーを使用することが好ましい。このようにして、対象の基がプレポリマーに導入される。この文脈で好ましい化合物の例は、2つのヒドロキシル基又は2つのアミノ基を含有するモノカルボン酸、例えばジヒドロキシプロピオン酸、ジヒドロキシコハク酸、及びジヒドロキシ安息香酸など、ならびにN-(2-アミノエチル)-2-アミノエタンカルボン酸及びN-(2-アミノエチル)-2-アミノエタンスルホン酸を含む。特に好ましいのは、α,α-ジメチロールアルカン酸、例えば2,2-ジメチロール酢酸、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロール酪酸、及び2,2-ジメチロールペンタン酸、特に2,2-ジメチロールプロピオン酸、ならびにN-(2-アミノエチル)-2-アミノエタンカルボン酸である。既に上で特定された中和剤を使用した、記載された基の制御された少なくとも比例的な中和は、当然ながら同様に可能である。
分散液(1)中のポリウレタン樹脂画分の画分は、分散液の総量に基づいて、それぞれの場合に、好ましくは15~60質量%、好ましくは20~50質量%であり、分散液中の水の画分は、分散液の総量に基づいて、それぞれの場合に、好ましくは40~85質量%、好ましくは50~80質量%である。分散液中のポリウレタン樹脂画分と水画分との画分の合計は、好ましくは少なくとも75質量%、好ましくは少なくとも85質量%である。
分散液(1)は、当業者に公知の方法、例えば、ポリウレタン樹脂の調製のための有機溶媒中の対応する出発成分の反応と、その後の水相中への分散と、有機溶媒の除去とによって調製されることができる。対応する分散液(1)は、例えば、商品名Novomatt GG(Stahl B.V.社製)で市販されている。
少なくとも1つのポリウレタン樹脂、特に正確に1つのポリウレタン樹脂を含有するポリウレタン樹脂画分を含有するさらに適切な分散液(以下、分散液(2)と表記し、先に述べた分散液(1)とは異なる)は、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、特に好ましくは少なくとも75質量%のゲル画分を有するポリウレタン樹脂画分を含有する水性分散液である。
分散液(2)のポリウレタン樹脂画分の平均粒径(体積平均)は、好ましくは20~500ナノメートル、より好ましくは40~300ナノメートルである。これは、DIN EN ISO 11357-1に従って、Malvern Nano S90装置(Malvern Instruments社製)を25±1℃で使用した光子相関分光法(PCS)により測定され得、デジタル相関器を使用して、Zetasizer分析ソフトウェアバージョン6.32の支援により評価され得、測定値は50~3000nmの認証粒径を有するポリスチレン標準を使用して検証され得る。
分散液(2)のポリウレタン樹脂画分は、好ましくは、0℃未満の温度でガラス転移を示す。ガラス転移は、好ましくは-100℃~-20℃の範囲、より好ましくは-80℃~-30℃の範囲である。
さらにより好ましくは、分散液(2)のポリウレタン樹脂画分は、100℃未満の範囲に融解転移を示さず、したがって、純粋に非晶質の特徴を有する。
分散液(2)のポリウレタン樹脂画分は、好ましくは、ポリイソシアネートなどのイソシアネート基含有成分で効果的に熱化学的に硬化されない。したがって、分散液(2)のポリウレタン樹脂画分のヒドロキシル基価及びアミン価が、20未満である場合が好ましい。
ポリウレタン樹脂画分を構成する分散液(2)のポリウレタン樹脂の調製において、調製のための出発生成物の量は、好ましくは、イソシアネート基と架橋反応を開始できる官能基、より具体的にはヒドロキシル価及びアミノ価の総モル量に対するイソシアネート基の総モル量の比率が0.9以上を超えるように、選択される。より好ましくは、前述の比率は、0.95を超え、より具体的には少なくとも1.0、非常に好ましくは正確に1.0である。
分散液(2)のポリウレタン樹脂画分は、好ましくは、潜在的にイオン性の基、例えば潜在的にアニオン性の基、好ましくはカルボン酸基又はスルホン酸基を含む。
親ポリウレタン樹脂は、好ましくは以下のように調製される。有機溶液中で、(i)イソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーを調製し、(ii)このプレポリマーを、プレポリマーが水相に分散される前、分散される間、又は分散された後に、2つのアミノ基を含有するモノカルボン酸と反応させる。このようにして、潜在的にアニオン性の基もまたポリマーに組み込まれる。分散の前、間、又は後に、任意に、鎖延長のためにさらなる典型的なジアミンとの反応が行われてよい。2つのアミノ基を含有し、また好ましく使用されるモノカルボン酸は、N-(2-アミノエチル)-2-アミノ-エタンカルボン酸及びN-(2-アミノエチル)-2-アミノ-エタンスルホン酸である。実施例において使用される分散液(3)もまた、このように調製された。
分散液(2)中のポリウレタン樹脂画分の画分は、分散液(3)の総量に基づいて、それぞれの場合に、好ましくは25~55質量%、好ましくは30~50質量%であり、分散液(2)中の水の画分は、分散液の総量に基づいて、それぞれの場合に、好ましくは45~75質量%、好ましくは50~70質量%である。分散液(2)中のポリウレタン樹脂画分と水画分との画分の合計は、好ましくは少なくとも75質量%、好ましくは少なくとも85質量%である。
この種の分散液(2)も、例えば、Bayhydrol UH(Bayer社製)の商品名で市販されている。
分散液(1)及び/又は(2)、特に分散液(1)及び(2)を、コーティング組成物(C1)のバインダーとして使用することは、コーティング組成物(C1)が本発明のポストコーティング方法で使用される場合、特に好ましい。
適切なポリ(メタ)アクリレートには、ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートが含まれる。これらのヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートは、好ましくは65~100mgKOH/g、より好ましくは70~95mgKOH/g、より具体的には75~90mgKOH/g又は80~85mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。本発明の文脈におけるヒドロキシル価は、EN ISO 46292:2016に従って決定されることができ、各場合において固形分に基づく。
ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートは、好ましくは25mgKOH/g未満の酸価、より好ましくは1~20mgKOH/gの酸価、非常に好ましくは4~16mgKOH/gの酸価、より具体的には6~14mgKOH/g又は8~12mgKOH/gの酸価を有する。本発明の目的のための酸価は、DIN EN ISO 2114:200206(方法A)に従って決定されることができ、各場合において固形分に基づく。
数平均分子量Mn及び質量平均分子量Mwは、ポリメチルメタクリレート標準(PMMA標準)(DIN 556721:201603)を用いてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用することによって決定されてよい。ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートの数平均分子量Mnは、好ましくは4000~10000g/mol、より好ましくは5000~9000g/mol、非常に好ましくは5500~8000g/mol、より具体的には6000~7500g/molの範囲である。ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートの質量平均分子量Mwは、好ましくは8000~30000g/mol、より好ましくは10000~25000g/mol、非常に好ましくは12000~22000g/mol、より具体的には14000~20000g/molの範囲である。
ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートの多分散性PD(=Mw/Mn)は、好ましくは2~3、より具体的には2.2~2.8の範囲にある。
ヒドロキシル基官能性ポリ(メタ)アクリレートは、好ましくは5~15、より好ましくは6~14、より具体的には8~12のヒドロキシル官能価を有する。
ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートは、当業者にとって一般的でよく知られている、エチレン性不飽和モノマー、好ましくはモノエチレン性不飽和モノマーからの重合反応により、得ることができる。使用され得る開始剤は、例えばジ-tert-ブチルペルオキシドなどの過酸化物を含む。したがって、好ましくは、ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートは、
(a1) 少なくとも1つのヒドロキシ官能性(メタ)アクリル酸エステル、より具体的には式HC=CRx-COO-Ry-OH(式中、RxはH又はCHであり、Ryは2~6、好ましくは2~4、より好ましくは2又は3の炭素原子を有するアルキレンラジカルである)の(メタ)アクリル酸エステル、
(a2) 少なくとも1つのカルボキシ官能性エチレン性不飽和モノマー、より具体的には(メタ)アクリル酸、及び
(a3) 少なくとも1つの(メタ)アクリル酸のヒドロキシル不含及びカルボキシル不含エステル及び/又は少なくとも1つのヒドロキシル不含及びカルボキシル不含ビニルモノマー、より具体的にはスチレン、
の反応により調製される。
ヒドロキシ官能性(メタ)アクリル酸エステル(a1)の例としては、好ましくはヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、及びヒドロキシプロピルアクリレート、特に好ましくヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレートである。ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートを調製するのに使用されるヒドロキシ官能性(メタ)アクリル酸エステル(a1)の量は、50~120mgKOH/gのヒドロキシル価の目標範囲に基づいて計算される。
ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートは、少量のカルボキシル基を好ましくは含有する。これらの基は、例えばカルボキシ官能性モノマー(a2)、より好ましくはアクリル酸及び/又はメタクリル酸の使用を通じて、重合反応中にポリ(メタ)アクリレートに導入される。これらのモノマー(a2)、特に(メタ)アクリル酸は、ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートの調製に使用されるすべてのモノマーの総質量に基づいて、それぞれの場合に、好ましくは20~45質量%、より好ましくは25~40質量%、より具体的には30~35質量%の総量で存在する。
ヒドロキシ官能性(a1)及びカルボキシ官能性(a2)エチレン性不飽和モノマーの他に、ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートを調整する場合は、エチレン性不飽和モノマー(a3)、より詳細にはモノエチレン性不飽和モノマー(a3)も使用され、これらのモノマーはヒドロキシル及びカルボキシル基の両方を含まない。ビニルモノマー(a3)として特に好ましく使用されるのは、スチレンである。ビニルモノマー(a3)、より詳細にはスチレンは、ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートの調製に使用されるすべてのモノマーの総質量に基づいて、それぞれの場合に、好ましくは30~60質量%、より好ましくは35~55質量%、より具体的には40~50質量%の総量で存在する。
ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートは、有機溶媒、好ましくは非プロトン性溶媒中で使用されてよい。この目的のための典型的な溶媒は、例えば酢酸n-ブチルであり、これは少なくとも1つのヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートを調製する際にも使用され得る。ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートが溶媒中で使用される場合、溶媒は、溶媒Lの一部とみなされる。
適切なポリエステルポリオールは、固形分に基づいて、それぞれの場合に、100~200mgKOH/g、より好ましくは110~180mgKOH/g、非常に好ましくは120~160mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。
ポリエステルポリオールの酸価は、固形分に基づいて、それぞれの場合に、好ましくは0~9mgKOH/g、より具体的には0.2~2mgKOH/gである。ポリエステルポリオールのヒドロキシル価及び酸価は、ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートと関連して、上記のように決定され得る。
ポリエステルポリオールの数平均分子量は、好ましくは800~3000g/mol、より好ましくは1000~2000g/mol、より具体的には1000~1600g/molの範囲である。ここでの決定は、ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートの分子量の決定に関連して行われる。
ポリエステルポリオールは、好ましくは分岐している。
ポリエステルポリオールは、好ましくは2.2~4、より好ましくは2.5~3.5、非常に好ましくは2.7~3.3のヒドロキシル官能価を有している。
コーティング組成物(C1)のバインダーとしてのヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートとポリエステルポリオールの使用は、コーティング組成物(C1)を本発明のインモールドコーティング方法で使用する場合、特に好ましい。
コーティング組成物(C1)は、単一のバインダー又はバインダーの混合物を含むことができる。コーティング組成物がバインダーの混合物を含む場合、バインダーは、同じ化学タイプ(例えば少なくとも2つのポリウレタン)から選択されてよく、又は異なる化学タイプ(例えばポリ(メタ)アクリレート及びポリエステルポリオール)から選択されてもよい。コーティング組成物(C1)が、2つの異なるバインダー、好ましくは2つの異なるポリウレタンP1及びP2、又は2つの異なるポリウレタン樹脂画分、又はヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレート及びポリエステルポリオールを含む場合は、有益であり得る。この点に関して、コーティング組成物が、1:1~1:20、好ましくは1:5~1:15、非常に好ましくは1:8~1:12の軟質ポリウレタン(PU1)と硬質ポリウレタン(PU2)の質量比を有して場合は好ましくあり得る。水水性分散液(1)中の樹脂画分と水性分散液(2)中の第2ポリウレタン樹脂画分との質量比が、5:1~1:5、好ましくは3:1~1:3、非常に好ましくは2:1~5:1である場合はさらに好ましくあり得る。ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートとポリエステルポリオールの質量比が2:1~1:2、好ましくは1.5:1~1:1.5、非常に好ましくは1:1.2~1:1.4である場合はさらに好ましくあり得る。
少なくとも1つのバインダーは、好ましくは、コーティング組成物(C1)の総質量に基づいて、それぞれの場合において、5~50質量%の固形分、好ましくは10~40質量%の固形分、非常に好ましくは20~35質量%の固形分の総量で存在する。
天然由来の顔料:
コーティング組成物(C1)の第2の必須成分は、少なくとも1つの天然由来の顔料である。これらの持続可能な顔料の使用は、使用される顔料が染料植物又は土壌から得られるため、炭素原料又は石油芳香族化学を使用して製造された顔料の使用を不要とし、より環境に配慮してカラーコーティング層を製造することを可能にする。
少なくとも1つの天然由来の顔料は、クルクマ顔料、ヘナ顔料、カマラ顔料、アカネの根(madder root)顔料、緑土顔料及びそれらの混合物から選択されることができる。緑土顔料は、バイエル緑土、ロシア緑土、フランス緑土及び/又はセラドナイトから選択され得る顔料であり得る。少なくとも1つの天然由来の顔料は、黄土色顔料、例えば黄土色顔料及び赤黄土色顔料などから選択され得る。好ましくは、コーティング組成物(C1)は、得られるコーティング層の色に関して高い光学的品質を確保するために、前述の顔料のうちの1つだけを含む。しかしながら、前述の顔料の混合物を使用して、単一の顔料を使用した場合に達成される色とは異なる色を達成することも可能である。
ヘナ顔料は、好ましくは、ヘナレッド顔料である。緑土顔料は、好ましくは、バイエル緑土顔料又はロシア緑土顔料から選択される。
クルクマ顔料は、ショウガ科(Zingiberaceae)の植物ターメリック(turmeric)又はウコン(Curcuma domestica)から得ることができる。この植物には、ジアリーロイルメタン顔料(diaryloylmethane dyes)であるクルクミン、デメトキシクルクミン(demethoxycurcumin)、ビスデメトキシクルクミン(bisdemethoxycurcumin)が含有している。3つの顔料すべてを合わせて、一般的にクルクミンと呼ばれている。これらの着色物質に加えて、ターメリックは精油も含有しており、これは、多くの場合、乾燥し粉砕したターメリックの根茎から水蒸気を用いて抽出される。クルクマ顔料は、油の蒸留後に、残った粉末を溶媒抽出し、結晶化により抽出物を精製し、精製した抽出液を水性媒体中で酸化アルミニウムと反応させ、生成した不溶性顔料をろ過し、ろ過した顔料を洗浄し乾燥することにより得ることができる。
ヘナ顔料は、エジプトの染色低木ローソニアイネルミス(ミソハギ科)(ヘナ低木、キプロス低木とも呼ばれる)の葉から得ることができる。この植物は、ヨーロッパ、アフリカの地中海沿岸諸国、マダガスカル、オーストラリア北部に自生している。インドを中心とした東洋でも栽培されている。ヘナレッド顔料は、当該ヘナ低木の葉を乾燥させ、粉砕することで得られる。ヘナの着色原理はロウソンであり、これは、例えば、ヘナ粉末を温水で攪拌することにより、発酵過程で糖が分裂することによって、グリコシドのヘノシドA、B、及びCから形成される。
カマラ顔料は、モンキーフェイスツリーアカメガシワフィリピネンシス(Monkey face tree Mallotus phillipinensis)(旧ロットレラ ティンクトリア)の果実の腺毛と房毛から得られる赤褐色の粉末である。モンキーフェイスツリーは、トウダイグサ科(トウダイグサ科)に属し、ラテン名が示すように、フィリピン原産である。この木は、アラビア、パキスタン、近東から中国南東部、ニューギニア、オーストラリア北部にも分布している。顔料は、すべての毛が果実からはがれ、カゴの壁を通って下に広げた毛布又は布の上に落ちてくるまでカゴの中で果実を揺すり、その毛を粉砕することによって得られる。カマラ顔料は主に樹脂(カマルレッドとロットレリン)を含んでいる。
アカネの根顔料は、植物アカネ属ティンクトリアの根から得られる。根顔料は、根を乾燥させて粉砕し、得られた粉末を蒸気及び酸で処理し、アルミニウム及び/又はスズを含有する塩でアカネの根顔料を沈殿させることで得ることができる。生成された顔料は、単離された顔料によって、オレンジ色からピンク色、暗赤色までの色調を有する。アカネの根の粉末をまず希硫酸で抽出し、次に濃硫酸で抽出すると、ガランシン(garancine)が得られ、これはアカネの根顔料の出発物質として使用できる。酸で処理した後、抽出物を熱処理する別の抽出プロセスも、いわゆる「コップのプルプリン(Kopp's Purpurin)」を生じる。コップのプルプリンには、主にプルプリンとプソイドプルプリンが含まれており、ミョウバンと沈殿すると美しい赤色顔料が得られる。アカネの根の色素は、根を乾燥させて粉砕することによっても得ることもできる。
バイエル緑土顔料は、バイエル州、例えばミースバッハ及びビヒルの地域に見られる緑色の砂岩から得ることができる。これらの砂岩は主にグラウコナイトからなる。ロシア緑土顔料はヴォルコンスコイトとも呼ばれ、ロシアで採掘される。これは水和クロム-鉄-ケイ酸塩である。
好ましくは、少なくとも1つの天然由来の顔料は、1~150μm、より好ましくは5~35μm、さらに好ましくは10~30μm、非常に好ましくは15~25μmのD50の粒径を有する。粒径は、DIN EN ISO 1524:2020-11に従って決定され得る。前述の粒径を有する天然由来の顔料の使用は、コーティング組成物(C1)中の顔料の均一な分散を可能にし、カラーコーティング層の均一な外観、ならびにコーティング組成物(C1)から得られるカラーコーティング層の高い隠蔽力を確かにする。
少なくとも1つの天然由来の顔料は、コーティング組成物(C1)中に粉末の形態で分散されていてよく、又は顔料ペーストの形態でコーティング組成物(C1)に取り込まれてもよい。顔料ペーストは、天然由来の顔料を、水、分散剤、消泡剤、レベリング剤、及び任意にpH調整剤と混合させ、得られた混合物を粉砕し、粉砕した混合物を濾過することにより調製されることができる。混合物の粉砕は、当該技術分野で一般的に使用される粉砕方法、例えば、撹拌機ミルを使用することによって行うことができる。粉砕された混合物の濾過は、粉砕ビーズを除去し、均一な顔料ペーストを確保するために、120メッシュサイズを有するフィルタなどのフィルタを使用することによって行うことができる。顔料ペーストとバインダーマトリックスとの非相溶性を回避するために、顔料ペーストのpHが6.5~9、好ましくは7.5~8の範囲になるような量で、pH調整剤を使用することが有益であり得る。これにより、バインダーマトリックスとの非相溶性が回避され、顔料ペーストのバインダーマトリックスへの均一な取り込みが保証される。天然由来の顔料がコーティング組成物(C1)において粉末の形態で使用されている場合、得られるコーティング層は、「使用された外観」、すなわち、それぞれの顔料を含む顔料ペーストを使用した場合に達成されるよりも明るい色を有するため、したがって、コーティングされた基材の外観を調整することができる。さらに、得られたコーティング層の色は、より強い色(すなわち、より多い量の顔料を使用する)又はより明るい色(すなわち、より少ない量の顔料を使用する)を得るために、異なる量の顔料を使用することによって調整されることができる。
コーティング組成物中の少なくとも1つの天然由来の顔料の適切な総量は、コーティング組成物の総質量に基づいて、それぞれの場合に、0.1~15質量%、好ましくは0.5~12質量%、より好ましくは1~10質量%、非常に好ましくは3~6質量%の量を含む。
特に好ましい実施形態によれば、コーティング組成物(C1)(少なくとも1つの天然由来の顔料の他に)は、コーティング組成物の総質量に基づいて、0質量%のさらなる顔料及び/又はフィラー及び/又は染料を含む。したがって、特に好ましいコーティング組成物(C1)は、少なくとも1つ、特に正確に1つの天然由来の顔料を単独顔料としてのみ含み、すなわち、着色が完全に持続可能な顔料に基づいていることを確実にするために、コーティング組成物(C1)中にさらなる顔料及び/又はフィラー及び/又は染料は存在しない。
溶媒:
組成物(C1)は、溶媒ベースの組成物、又は水性組成物であってよい。溶媒ベースの組成物の場合、主成分として有機溶媒が含まれる。有機溶媒は、本発明の組成物の揮発性成分を構成し、乾燥又はフラッシング時にそれぞれ完全又は部分的に蒸発する。水性組成物の主成分は水である。
好ましくは、少なくとも1つの溶媒は、有機溶媒、水、及びそれらの混合物から選択され、コーティング組成物(C1)総質量に基づいて、それぞれの場合に、40~90質量%、より好ましくは45~85質量%、及び非常に好ましくは50~80質量%、特に60~70質量%の総量で存在する。
本発明の文脈で好ましい有機溶媒は、非プロトン性である。特に好ましくは、それらは極性非プロトン性有機溶媒である。特に好ましくは、有機溶媒は、組成物の残りの成分に対して化学的に不活性である。本発明の文脈において好ましい有機溶媒は、例えば、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン又はジイソブチルケトンなどのケトン;エステル、例えば酢酸エチル、酢酸n-ブチル、エチレングリコールジアセテート、ブチロラクトン、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、酢酸2-メトキシプロピル(MPA)、及びエトキシプロピオン酸エチルなどのエステル;アミド、例えばN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、及びN-エチルピロリドンなどのアミド;メチラール、ブチラール、1,3-ジオキソラン、グリセロールホルマール;及び、非極性のためやや好ましくないが、炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、n-ヘキサン、シクロヘキサン及び溶媒ナフサなどの炭化水素などである。特に好ましい溶媒は、エステルの部類に属し、その中でも酢酸n-ブチル及び酢酸1-メトキシプロピルが非常に特に好ましい。
架橋剤:
コーティング組成物(C1)は、少なくとも1つの架橋剤を含むことができる。これは、バインダーが、架橋剤中に存在する相補的基と反応することができるヒドロキシ基などの官能基を含む化学硬化性バインダーである場合に好ましくあり得る。
適切な架橋剤は、アミノ樹脂、非ブロックポリイソシアネート(unblocked polyisocyanates)、少なくとも部分的にブロックされたポリイソシアネート、ポリカルボジイミド、紫外線、熱、光開始剤、及びこれらの混合物、特に非ブロックポリイソシアネートとポリカルボジイミドを含む。
適切な非ブロックポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2-イソシアナトプロピルシクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン2,4’-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネート、1,4-又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-又は1,3-又は1,2-ジイソシアナトシクロヘキサン、及び2,4-又は2,6-ジイソシアナト-1-メチルシクロヘキサン、それらの二量体及び三量体、ならびにこれらのポリイソシアネートの混合物も含む。
好ましいポリイソシアネートは、前述のジイソシアネートの既知の二量体及び/又は三量体、すなわち、特に、前述のジイソシアネートのそれ自体公知のウレトジオン、イミノオキサジアジンジオン及びイソシアヌレート、ならびにこれらの二量体及び/又は三量体の混合物である。このようなポリウレタンは、例えばDesmodur(登録商標)N3800(イミノオキサジアジンジオン)又はN3900(イソシアヌレート)の商品名で市販されている。少なくとも1つのイミノオキサジアジンジオン環を含むポリイソシアネート、又は少なくとも1つのイソシアヌレート環を含むポリイソシアネート、又はそのようなポリイソシアネートの混合物の使用は、バインダーが先に述べたポリ(メタ)アクリレートとポリエステルポリオールの混合物を含んでいる場合に、特に好ましい。この場合、得られる硬化コーティング層の硬度は、イミノオキサジアジンジオン構造を含有するポリイソシアネートを使用すると、イソシアヌレート構造を含有するポリイソシアネートを使用して調製される硬化コーティング層と比較して高い硬度を有する硬化コーティング層が得られるため、架橋剤によって調整することができる。
ポリイソシアネートは、好ましくは2.4超~5、好ましくは2.6~4、より好ましくは2.8~3.6のNCO基官能性を有するか、又は9~16%、より好ましくは10~14%のNCO含量を有する。
ポリイソシアネートは、親水的に修飾されてよく、すなわち、それらは、一般的なポリイソシアネートに存在する基及び分子単位と比較して、より親水性の高い基を含む。そのような親水性基には、ポリエーテル基及びポリエステル基が含まれる。したがって、好ましい親水性修飾ポリイソシアネートは、ポリエーテル修飾及び/又はポリエステル修飾ポリイソシアネートである。ポリエーテル修飾ポリイソシアネートが特に好ましい。このようなポリエーテル修飾及び/又はポリエステル修飾ポリイソシアネートの使用は、バインダーが前述の水性分散液(1)及び(2)を含む場合に、組み合わせて使用することが特に好ましい。
親水性修飾を導入するために、例えば、当業者に既知であり、また市販されているアルコキシポリ(オキシアルキレン)アルコールを使用することが可能である。その場合、ポリイソシアネート中のイソシアネート基とポリマー性モノアルコールとの比例的反応が行われ、その結果として、ポリエーテル修飾、すなわち、例えば、ポリ(オキシアルキレン)基がウレタン架橋の形成によりポリイソシアネートに共有結合し、親水性修飾ポリイソシアネートが形成される。ポリエステル修飾ポリイソシアネートに関しても同様の注釈が適用される。好ましいのは、脂肪族直鎖ポリエステル基、特に好ましくはポリラクトン基、より好ましくはポリカプロラクトン基である。ポリカプロラクトン及び、例えばモノアルコールとε-カプロラクトンの反応によるそれらの調製は知られている。それらもまた、一般的な方法により、それらが含有する少なくとも1つのヒドロキシル基とイソシアネート基との反応を介して、ポリイソシアネートに導入されることができる。
ポリエステル及び/又はポリエーテル基で修飾されたイソシアネート基の画分は、幅広く変動し得、及び、例えば1~60モル%、好ましくは2~55モル%、特に好ましくは5~50モル%の範囲にあり得る。述べられたモル画分は、修飾前のポリイソシアネートの遊離イソシアネート基に基づいている。前述の親水性修飾ポリイソシアネートは市販されている。
特に好ましく使用されるポリカルボジイミドは、ポリイソシアネートとポリカルボジイミドとの反応、及びその後のヒドロキシル基及び/又はアミン基を含有する親水性化合物による鎖延長及び/又は停止によって得ることができる。適切な分散液は、例えば、公開明細書EP1644428A2及びEP1981922A2に記載されている。
コーティング組成物は、好ましくは、コーティング組成物(C1)の総質量に基づいて、それぞれの場合に、1質量%~40質量%固形分、好ましくは2~30質量%固形分、より具体的には6~12質量%又は15~25質量%固形分の総量で少なくとも1つの架橋剤を含む。
添加剤:
コーティング組成物(C1)は、少なくとも1つの添加剤をさらに含むことができる。このような添加剤は、コーティング組成物(C1)中の顔料の均一な分散を確保するとともに、基材上に塗布されたコーティング組成物の良好なレベリングを確保し、塗布中の組成物の発泡を回避し、太陽光などの環境条件にさらされたときに天然由来の顔料の劣化を回避することによって、得られるコーティング層の視覚特性及び機械特性を高めるために使用され得る。
適切な添加剤は、分散剤、レベリング剤、pH調整剤、消泡剤、殺生物剤、UV吸収剤、架橋触媒、エトキシル化脂肪アルコール、脂肪酸、ポリエーテル修飾ポリアルキルシロキサン、ヒドロキシ官能性ポリアルキルシロキサン及びこれらの混合物が含まれる。
少なくとも1つの天然由来の顔料を分散させるためにコーティング組成物(C1)中の添加剤として使用され得る分散剤は、例えば、コーティング組成物中の顔料を分散させるために使用される一般的な分散剤である。このような分散剤の例には、(i)ポリカルボキシレートエーテル、(ii)ポリ(メタ)アクリレート、(iii)ポリビニル、(iv)コポリマー、特にポリカルボキシレートエーテル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリビニル、及びそれらの任意の混合物を含むブロックコポリマー、又は(v)前述のポリマー及びコポリマーの混合物が含まれる。特に好ましくは、ポリメタクリレートとポリビニルを含むアニオン性コポリマーが分散剤として使用される。このような分散剤は、「DISPERBYK-190」(BYK-Chemie GmbH社製)、「TEGO Dispers 755W」(Evonik Industries社製)、「TEGO Dispers 765W」(Evonik Industries社製)、「DISPERBYK-2015」(BYK-Chemie社製)、「Floren GW-1500」(共栄社化学株式会社社製)、Dispex(登録商標)Ultra PX 4290(BASF SE)として市販され、類似物が使用され得る。DISPERBYK-190及びTEGO Dispers 755Wは、それぞれ分岐(櫛型)構造を有するポリマーであり、スチレン-マレイン酸の共重合体鎖を有し、該共重合体鎖に直接結合した官能基としてカルボキシル基を有し、該共重合体鎖から分岐した親水性ポリオキシアルキレン鎖を有する。TEGO Dispers 765Wは、分岐(櫛型)構造を有するポリマーであり、ポリマー鎖に直接結合した官能基としてカルボキシル基を有し、顔料親和性官能基を有する高分子ポリマーである。DISPERBYK-2015は、分岐(櫛型)構造を有するポリマーであり、制御重合により得られるアクリル共重合体であり、ポリマー鎖に直接結合した官能基としてカルボキシル基を有している。Floren GW-1500は、分岐型(櫛型)構造を有するポリマーであり、ポリマー鎖に直接結合した官能基としてカルボキシル基を有している。特に好ましい分散剤は、Dispex(登録商標)Ultra PX 4290及びTEGO Dispers 755Wである。
少なくとも1つの分散剤の適切な総量は、コーティング組成物(C1)の総質量に基づいて、それぞれの場合に、0.1~10質量%、好ましくは0.5~6質量%、非常に好ましくは1~3質量%を含む。
基材上に塗布されたコーティング組成物(C1)の良好なレベリングを保証するために、レベリング剤がコーティング組成物に使用されることができる。基材上の良好なレベリングは、基材の形状に関係なく、基材上のコーティングの均一な光学的外観を達成するために必要である。適切なレベリング剤の例には、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤又はそれらの混合物が挙げられる。特に好ましいレベリング剤は、非イオン性アセチレンジオール化合物、例えば式(I)の非イオン性アセチレンジオール化合物である。
Figure 0007447357000002
式(I)において、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、1つ以上のヘテロ原子を含有することができる1~20個の炭素原子を有する炭化水素基を表す。置換基R、R、R、及びRは、互いに同じであってよく、又は異なっていてもよい。
式(I)におけるR、R、R、及びRはそれぞれ、直鎖状又は分枝状の鎖構造を有していてよい。これらのうち、R及びRは、好ましくは、それぞれ2~10個の炭素原子を有するアルキル基のいずれかであり、より好ましくは、4個の炭素原子を有するもの、すなわち、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、及びイソブチル基のいずれかである。置換基R及びRは、好ましくは1~4個の炭素原子を有するアルキル基のいずれかであり、より好ましくは1つ又は2つの炭素原子を有するもの、すなわちメチル基及びエチル基のいずれかである。
式(I)で表されるアセチレンジオール化合物の具体例としては、7,10-ジメチル-8-ヘキサデシン-7,10-ジオール、4,7-ジメチル-5-デシン-4,7-ジオール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール及び3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオールが挙げられる。
式(I)で表されるアセチレンジオール化合物は、市販品であってもよく、例えば、Air Products and Chemicals Incによって供給されているSurfynol 104シリーズ製品(Surfynol 104E、Surfynol 104H、Surfynol 104A、Surfynol 104BC、Surfynol 104DPM、Surfynol 104PA及びSurfynol 104PG-50で例示される)が挙げられる。
少なくとも1つのレベリング剤の適切な総量は、コーティング組成物(C1)の総質量に基づいて、それぞれの場合に、0質量%又は0.02~3質量%含まれる。
少なくとも1つのpH調整剤は、コーティング組成物(C1)のpH又は顔料ペーストのpHを調整するために使用され得る。適切なpH調整剤の例には、無機及び有機塩基、特に有機窒素含有塩基からの有機塩基が挙げられる。特に好ましくは、N,N-ジメチルエタノールアミンがpH調整剤として使用される。
消泡剤は、製造中及び塗布中の発泡を避けるために、コーティング組成物(C1)に使用されることができ、後者は得られるコーティング層の光学的品質に関して好ましくない。適切な消泡剤は、例えば、コーティング組成物において一般的に使用されるすべての発泡剤である。具体例としては、ポリシロキサン、疎水性固体、ポリエーテル修飾シロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマー及びそれらの混合物が挙げられる。適切な市販の消泡剤には、例えば、BYK 022(ポリグリコール中のポリシロキサン及び疎水性固体、BYK Chemie社製)、BYK 342(ポリエーテル修飾シロキサン BYK Chemie社製)及びTEGO(登録商標) Foamex 810(ポリエーテルシロキサンコポリマー及びヒュームドシリカ Evonik Industry社製)が挙げられる。
少なくとも1つの消泡剤の適切な総量は、コーティング組成物(C1)の総質量に基づいて、それぞれの場合に、0.02~1.5質量%含む。
本明細書で使用される「殺生物剤」という用語は、化学的又は生物学的手段によるか否かを問わず、細菌、真菌、ウイルスなどの病原体の影響を抑制することができる物質(化学物質であるか微生物であるかを問わず)を示し、これは、残留活性を改善すると理解される防腐剤を含む。殺生物剤は、特に染料植物の一部が天然由来の顔料として使用される場合に、コーティング組成物(C1)のカビを防止するために使用されることができる。適切な抗菌剤としては、イソチアゾロン及びイソチアゾリノン、例えばメチルイソチアゾロン、ベンズイソチアゾロン、クロロメチルイソチアゾロン、メチルイソチアゾリノン及びこれらの混合物が挙げられる。特に好ましい抗菌剤は、2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン、1,2-ベンズイソチアゾール-3(2H)-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及びこれらの混合物である。このような殺生物剤は、「Acitcide MSB 5050」(THOR Gmbh社製)及び「Kathon(商標)LX-150 Biocide」(Dow社製)として市販されている。
少なくとも1つの殺生物剤の適切な総量は、コーティング組成物(C1)の総質量に基づいて、それぞれの場合に、0.05~0.3質量%含む。
UV吸収剤は、UV照射に対するカラーコーティング層の色の著しい変化を避けるために、天然由来の顔料は、UV劣化を受けやすいコーティング組成物(C1)に好ましくは使用される。適切なUV吸収剤には、「Tinuvin」の商品名で市販されているものが挙げられる。これらのUV吸収剤は、好ましくは、コーティング組成物(C1)の総質量に基づいて、0.1~3質量%の総量で使用される。
適切な架橋触媒、エトキシル化脂肪アルコール、脂肪酸、ポリエーテル修飾ポリアルキルシロキサン、ヒドロキシ官能性ポリアルキルシロキサン及びそれらの量は、例えば、公開特許出願WO2020/104213A1に記載されている。
本発明の使用のためのコーティング組成物の例示的な実施形態:
第1の好ましい実施形態では、本発明のコーティング組成物は、60~70質量%の水性分散液(1)、20~30質量%の水性分散液(2)、3~6質量%バイエル緑土顔料、任意に3~8質量%のポリエーテル修飾ポリイソシアネート、0.5~1.5質量%レベリング剤及び水、を含み又はこれからからなり、質量%はコーティング組成物の総質量に基づいている。
第2の好ましい実施形態では、本発明のコーティング組成物は、5~10質量%のヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレート、10~20質量%のポリエステル、3~6質量%バイエル緑土顔料、20~30質量%の任意に少なくとも1つのイソシアヌレート環を含むポリイソシアネート、2~5質量%のエトキシル化脂肪アルコール及び脂肪酸の混合物、0.3~1質量%のヒドロキシ官能性ポリアルキルシロキサン、任意に0.5~1.5質量%のレベリング剤及び有機溶媒、を含み又はこれからからなり、質量%はコーティング組成物の総質量に基づいている。
第3の好ましい実施形態では、本発明のコーティング組成物は、20~30質量%の質量比1:8~1:10の軟質及び硬質ポリウレタンの混合物、3~6質量%バイエル緑土顔料、任意に1~4質量%の少なくとも1つのイソシアヌレート環を含むポリイソシアネート、任意に0.5~1.5質量%のレベリング剤及び水、を含み又はこれからからなり、質量%はコーティング組成物の総質量に基づいている。
第4の好ましい実施形態では、本発明のコーティング組成物は、60~70質量%の水性分散液(1)、20~30質量%の水性分散液(2)、3~6質量%のロシア緑土顔料、任意に3~8質量%のポリエーテル修飾ポリイソシアネート、0.5~1.5質量%のレベリング剤及び水、を含み又はこれからからなり、質量%はコーティング組成物の総質量に基づいている。
第5の好ましい実施形態では、本発明のコーティング組成物は、5~10質量%のヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレート、10~20質量%のポリエステルポリオール、3~6質量%のロシア緑土顔料、0.5~3質量%のレベリング剤、任意に20~30質量%の少なくとも1つのイソシアヌレート環を含むポリイソシアネート、2~5質量%のエトキシル化脂肪アルコールと脂肪酸の混合物、0.3~1質量%のヒドロキシ官能性ポリアルキルシロキサン、任意に0.5~1.5質量%のレベリング剤、及び有機溶媒、を含み又はこれからからなり、質量%はコーティング組成物の総質量に基づいている。
第6の好ましい実施形態では、本発明のコーティング組成物は、20~30質量%の質量比1:8~1:10の軟質及び硬質ポリウレタンの混合物、3~6質量%のロシア緑土顔料、任意に1~4質量%の少なくとも1つのイソシアヌレート環を含むポリイソシアネート、任意に0.5~1.5質量%のレベリング剤及び水、を含み又はこれからからなり、質量%はコーティング組成物の総質量に基づいている。
第7の好ましい実施形態では、本発明のコーティング組成物は、60~70質量%の水性分散液(1)、20~30質量%の水性分散液(2)、3~6質量%のクルクマ顔料、任意に3~8質量%のポリエーテル修飾ポリイソシアネート、0.5~1.5質量%のレベリング剤、0.5~1.5質量%の光安定剤、0.5~1.5質量%のUV吸収剤、及び水、を含み又はこれからからなり、質量%はコーティング組成物の総質量に基づいている。
第8の好ましい実施形態では、本発明のコーティング組成物は、5~10質量%のヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレート、10~20質量%のポリエステルポリオール、3~6質量%のクルクマ顔料、任意に20~30質量%の少なくとも1つのイソシアヌレート環を含むポリイソシアネート、2~5質量%のエトキシル化脂肪アルコールと脂肪酸の混合物、0.3~1質量%のヒドロキシ官能性ポリアルキルシロキサン、任意に0.5~1.5質量%のレベリング剤、0.5~1.5質量%の光安定剤、0.5~1.5質量%のUV吸収剤及び有機溶媒、を含み又はこれからからなり、質量%はコーティング組成物の総質量に基づいている。
第9の好ましい実施形態では、本発明のコーティング組成物は、20~30質量%の質量比1:8~1:10の軟質及び硬質ポリウレタンの混合物、3~6質量%のクルクマ顔料、任意に1~4質量%の少なくとも1つのイソシアヌレート環を含むポリイソシアネート、任意に0.5~1.5質量%のレベリング剤、0.5~1.5質量%の光安定剤、0.5~1.5質量%のUV吸収剤及び水、を含み又はこれからからなり、質量%はコーティング組成物の総質量に基づいている。
第10の好ましい実施形態では、本発明のコーティング組成物は、60~70質量%の水性分散液(1)、20~30質量%の水性分散液(2)、3~6質量%のヘナレッド顔料、任意に3~8質量%のポリエーテル修飾ポリイソシアネート、0.5~1.5質量%のレベリング剤、0.5~1.5質量%の光安定剤、0.5~1.5質量%のUV吸収剤及び水、を含み又はこれからからなり、質量%はコーティング組成物の総質量に基づいている。
第11の好ましい実施形態では、本発明のコーティング組成物は、5~10質量%のヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレート、10~20質量%のポリエステルポリオール、3~6質量%のヘナレッド顔料、任意に20~30質量%の少なくとも1つのイソシアヌレート環を含むポリイソシアネート、2~5質量%のエトキシル化脂肪アルコールと脂肪酸の混合物、0.3~1質量%のヒドロキシ官能性ポリアルキルシロキサン、任意に0.5~1.5質量%のレベリング剤、0.5~1.5質量%の光安定剤、0.5~1.5質量%のUV吸収剤及び有機溶媒、を含み又はこれからからなり、質量%はコーティング組成物の総質量に基づいている。
第12の好ましい実施形態では、本発明のコーティング組成物は、20~30質量%の質量比1:8~1:10の軟質及び硬質ポリウレタンの混合物、3~6質量%のヘナレッド顔料、任意に1~4質量%の少なくとも1つのイソシアヌレート環を含むポリイソシアネート、任意に0.5~1.5質量%のレベリング剤、0.5~1.5質量%の光安定剤、0.5~1.5質量%のUV吸収剤及び水、を含み又はこれからからなり、質量%はコーティング組成物の総質量に基づいている。
第13の好ましい実施形態では、本発明のコーティング組成物は、60~70質量%の水性分散液(1)、20~30質量%の水性分散液(2)、3~6質量%のカマラ顔料、任意に3~8質量%のポリエーテル修飾ポリイソシアネート、0.5~1.5質量%のレベリング剤、0.5~1.5質量%の光安定剤、0.5~1.5質量%のUV吸収剤及び水、を含み又はこれからからなり、質量%はコーティング組成物の総質量に基づいている。
第14の好ましい実施形態では、本発明のコーティング組成物は、5~10質量%のヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレート、10~20質量%のポリエステルポリオール、3~6質量%のカマラ顔料、任意に20~30質量%の少なくとも1つのイソシアヌレート環を含むポリイソシアネート、2~5質量%のエトキシル化脂肪アルコールと脂肪酸の混合物、0.3~1質量%のヒドロキシ官能性ポリアルキルシロキサン、任意に0.5~1.5質量%のレベリング剤、0.5~1.5質量%の光安定剤、0.5~1.5質量%のUV吸収剤及び有機溶媒、を含み又はこれからからなり、質量%はコーティング組成物の総質量に基づいている。
第15の好ましい実施形態では、本発明のコーティング組成物は、20~30質量%の1:8~1:10の質量比の軟質及び硬質ポリウレタンの混合物、3~6質量%のカマラ顔料、任意に1~4質量%の少なくとも1つのイソシアヌレート環を含むポリイソシアネート、任意に0.5~1.5質量%のレベリング剤、0.5~1.5質量%の光安定剤、0.5~1.5質量%のUV吸収剤及び水、を含み又はこれからからなり、質量%はコーティング組成物の総質量に基づいている。
第16の好ましい実施形態では、本発明のコーティング組成物は、60~70質量%の水性分散液(1)、20~30質量%の水性分散液(2)、3~6質量%のアカネの根顔料、任意に3~8質量%のポリエーテル修飾ポリイソシアネート、0.5~1.5質量%のレベリング剤、0.5~1.5質量%の光安定剤、0.5~1.5質量%のUV吸収剤及び水、を含み又はこれからからなり、質量%はコーティング組成物の総質量に基づいている。
第17の好ましい実施形態では、本発明のコーティング組成物は、5~10質量%のヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレート、10~20質量%のポリエステルポリオール、3~6質量%のアカネの根顔料、任意に20~30質量%の少なくとも1つのイソシアヌレート環を含むポリイソシアネート、2~5質量%のエトキシル化脂肪アルコールと脂肪酸の混合物、0.3~1質量%のヒドロキシ官能性ポリアルキルシロキサン、任意に0.5~1.5質量%のレベリング剤、0.5~1.5質量%の光安定剤、0.5~1.5質量%のUV吸収剤及び有機溶媒、を含み又はこれからからなり、質量%はコーティング組成物の総質量に基づいている。
第18の好ましい実施形態では、本発明のコーティング組成物は、20~30質量%の1:8~1:10の質量比の軟質及び硬質ポリウレタンの混合物、3~6質量%のアカネの根顔料、任意に1~4質量%の少なくとも1つのイソシアヌレート環を含むポリイソシアネート、任意に0.5~1.5質量%のレベリング剤、0.5~1.5質量%の光安定剤、0.5~1.5質量%のUV吸収剤及び水、を含み又はこれからからなり、質量%はコーティング組成物の総質量に基づいている。
前述のいずれの実施形態においても、水性分散体(1)、水性分散体(2)、ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレート及びポリエステルポリオールは、適切なバインダーに関連して先に説明された分散体及び樹脂を指し、及び/又は、分散剤は顔料親和性を有する基を含むコポリマーであり、及び/又は、レベリング剤はポリエーテル修飾シロキサンであり、及び/又は、UV安定剤は、ビス(1、2、2、6、6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケートとメチル1、2、2、6、6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケートの混合物であり、及び/又は、UV吸収剤は、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンの混合物である。
本発明の方法において使用されるコーティング組成物の例示的な実施形態は、柔軟なフォーム材料、硬質プラスチック基材などの多種多様な基材上に、高い光学的品質、特に十分な隠蔽力及び均一な外観を有し、ならびに基材への接着性、柔軟性、耐候性、耐摩耗性などの良好な機械的特性を有する高品質のコーティングをもたらす。本発明の方法において、少なくとも1つの天然由来の顔料を含むコーティング組成物(C1)を使用する場合に達成されるコーティング層の光学的品質は、炭化水素原料又は石油芳香族化学から調製された顔料などの一般的に使用される顔料を含むコーティング組成物で達成される光学的品質に匹敵する。本発明の方法から得られるコーティング層の視覚的印象は、例えば、異なる粒径を有する粉末、顔料ペースト又は異なる量の顔料の形態で天然由来の顔料を使用することによって調整されることができる。少なくとも100μmの平均粒径を有する不均一な粒子分布を有する天然由来の顔料を含むコーティング層は、摩擦などのコーティング層への機械的影響により、その視覚的外観を変え、すなわち、その色がより濃く変化する。
本発明の使用のためのコーティング組成物の特性:
本コーティング組成物(C1)の固形分は、個々の場合の要件に従って変化し得る。固形分は、主に塗布、より具体的にはスプレー塗布に要求される粘度によってガイドされるため、当業者によって、その一般的な技術知識に基づいて、任意にいくつかの探索的テストからの支援を受けて、調整されることができる。コーティング組成物(C1)は、20~60質量%、好ましくは25~45質量%の固形分を有することができる。固形分(不揮発分)とは、130℃、60分などの特定の条件下で蒸発させた後に残る全劉物の質量分率を指す。本明細書において、固形分は、DIN EN ISO 3251:2019-09に従って決定される。
コーティング組成物(C1)は、好ましくは、DIN EN ISO 3219:1994-10に従って決定され、100~1,000mPas、より好ましくは200~600mPasの粘度を有する。
組成物(C1)中に存在する特定のバインダー及び架橋剤に応じて、コーティング組成物(C1)は、一成分系として構成されるか、又は2つ(二成分系)もしくはそれ以上(多成分系)を混合することによって得られ得る。熱化学的に硬化可能な一成分系では、架橋されるべき成分、言い換えればバインダーと架橋剤は、互いに共に存在する、つまり一成分で存在する。このための条件は、架橋される成分は、少なくとも比例的な熱化学的硬化が早まるのを防止するように、100℃を超える比較的高い温度でしか互いに効果的に反応しないことである。このような組み合わせは、ヒドロキシ官能性ポリエステル及び/又はポリウレタンと、架橋剤としてメラミン樹脂及び/又はブロックポリイソシアネートによって例示され得る。
熱化学的に硬化可能な二成分系又は多成分系では、架橋される成分、言い換えればバインダーと架橋剤は、少なくとも2つの成分で互いに別々に存在し、これらは塗布の直前まで組み合わされない。この形態は、架橋される成分が、周囲温度又はわずかに高い温度、例えば40~90℃においてさえも、互いに効率的に反応する場合に選択される。このような組み合わせは、ヒドロキシ官能性ポリエステル及び/又はポリウレタン及び/又はポリ(メタ)アクリレートと、架橋剤としての遊離ポリイソシアネートによって例示され得る。
コーティング組成物(C1)が二成分以上の混合により得られる場合、バインダー含有成分は、架橋剤含有成分と混合される。
本発明の使用のためのコーティング組成物の製造方法:
本発明の方法で使用されるコーティング組成物(C1)は、以下のように製造されることができる:
(i) 少なくとも1つの天然由来の顔料を提供すること、又は少なくとも1つの天然由来の顔料を含む顔料ペーストを提供すること、及び
(ii) ステップ(i)で提供された顔料又は顔料ペーストを、少なくとも1つのバインダー、及び少なくとも1つの溶媒、ならびに任意に少なくとも1つの架橋剤及び/又は少なくとも1つの添加剤に添加すること。
天然由来の顔料を粉末の形態で使用してコーティング組成物(C1)を調製する場合、前記コーティング組成物を使用して得られるコーティング層は、「使用された外観」を有し、すなわち、それらは同じ天然由来の顔料を含む顔料ペーストを使用した場合に得られる色よりも明るい色を有する。顔料ペーストを使用する場合、炭化水素原料又は石油芳香族化学から調製された顔料を含有する顔料ペーストを使用する場合と比較して、比較的な視覚印象が得られる。このことは、少なくとも1つの天然由来の顔料の適切な形態を使用することにより、本発明の方法におけるコーティング組成物(C1)の使用から得られるコーティング層の外観を調整することを可能にする。さらに、製造されたコーティング層の色は、それぞれの顔料の量によって調整されることができ、すなわち、より少ない量の顔料の使用は、より多い量の顔料の使用よりも明るい色となる。
天然由来の顔料は、前述のように、適切な植物から又は緑色砂岩のような天然由来の石から粉末の形で提供されることができる。
顔料ペーストは、前述のように、粉末状の天然由来の顔料を、水、分散剤、消泡剤、レベリング剤、及び任意にpH調整剤と混合し、得られた混合物を粉砕し、粉砕した混合物をろ過することにより提供されることができる。
次いで、粉末形態の顔料又は提供された顔料ペーストは、少なくとも1つのバインダー、少なくとも1つの溶媒、及び任意に少なくとも1つの架橋剤及び/又は少なくとも1つの添加剤を含むバインダーマトリックスに添加される。非ブロックポリイソシアネートが架橋剤として使用される場合、架橋剤は、塗布前の望ましくない架橋を避けるために、コーティング組成物を基材に塗布する直前にのみ添加される。ブロックポリイソシアネートが使用される場合、架橋剤は、バインダーマトリックスに添加されることができる。得られた混合物は、撹拌によって、又は一般的に使用される分散方法の使用によって均一化されることができる。
本発明のコーティング
本発明の方法の後の結果物は、本発明のコーティング(B)である。好ましくは、コーティング(B)は、カラーコーティング(BC)のみからなる。
製造されたコーティングは、高い光学的品質、特に下地基材を隠すのに十分な隠蔽力及び均一な色、ならびに良好な機械的特性、例えば下地基材に対する高い接着性、高い柔軟性、良好な耐候性、高い耐摩耗性などを有する。高い光学的品質と良好な機械的安定性は、基材及びコーティング組成物のキャリア(すなわち水又は有機溶媒)に関係なく達成され、したがって、多種多様な異なる基材を使用することを可能にし、同様にコーティング基材を製造するプロセスの特定のニーズに合わせてコーティング組成物を調整することを可能にする。さらに、製造されるコーティングは、光学的特性に関して調整することができるため、天然由来の顔料を適切な形態、すなわち粉末又は顔料ペーストとして使用することにより、顧客が望む外観を実現することができる。最後に、粉末としての天然由来の顔料が不均一な粒径分布を有する場合、製造されたコーティングは、摩耗などの機械的影響に応じてその外観を変化させ、したがって、機械的影響を使用して所望の光学的効果を作り出すことを可能にする。
基材上にコーティングを製造する本発明の方法について述べたことは、本発明コーティングのさらに好ましい実施形態に関して必要な変更を加えて適用される。
本発明の基材:
本発明の最後の主題は、本発明のコーティングを有する基材である。
基材上のコーティングを製造するための本発明の方法について、及び本発明のコーティングについて述べたことは、本発明の基材のさらに好ましい実施形態に関して必要な変更を加えて適用される。
本発明は、特に以下の実施形態により説明される:
1. 基材(S)上にコーティング(B)を製造する方法であって、
(i) コーティング組成物(C1)を、特に直接に、基材(S)の表面の少なくとも一部に塗布することであって、前記コーティング組成物(C1)は、少なくとも1つのバインダー、少なくとも1つの天然由来の顔料及び少なくとも1つの溶媒を含む、ことと、
(ii) コーティング膜を形成するために、任意に、前記塗布されたコーティング組成物(C1)を乾燥させることと、
(iii) 前記塗布されたコーティング組成物(C1)又は前記形成されたコーティング膜を硬化させることと、
によって、基材(S)上にカラーコーティング(BC)を製造するステップを含み、
前記基材は、プラスチック基材、木材、紙とカード、合成繊維、合成皮革製品、ポリマー材料で作られたフィラメント、及び発泡体から選択される、方法。
2. 前記プラスチック基材は、PVC基材、PU基材、PC基材、PA基材、TPU基材から選択される、実施形態1に記載の方法。
3. 前記ポリマー材料は、TPU、TPA、PA、及びそれらの混合物から選択される、実施形態1又は2に記載の方法。
4. 発泡体基材は、柔軟な基材であり、より好ましくは熱可塑性ポリウレタンビーズフォーム基材である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
5. 前記塗布されたコーティング組成物(C1)を、15~60℃、好ましくは20~30℃の温度で、1~30分、好ましくは3~20分の期間、乾燥させる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
6. 前記コーティング組成物(C1)を、40~120℃、好ましくは60~100℃の温度で、10~60分、好ましくは15~35分の期間、硬化させる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
7. 基材(S)上にコーティング(B)を製造する方法であって、
(A) コーティング組成物(C1)を構造化又は非構造化マトリックス又は型に塗布することであって、前記コーティング組成物(C1)が、少なくとも1つのバインダー、少なくとも1つの天然由来の顔料及び少なくとも1つの溶媒を含む、ことと、
(B-1) 前記塗布されたコーティング組成物(C1)を硬化させ、前記マトリックス又は型と接触していない前記硬化したコーティング組成物(C1)上に結合層を形成し、前記硬化したコーティング組成物(C1)と接触していない前記結合層を基材の表面の少なくとも一部に適用すること、又は
(B-2) 前記塗布されたコーティング組成物(C1)を乾燥させ、前記マトリックス又は型と接触していない前記乾燥したコーティング組成物(C1)を基材上に適用し、前記乾燥コーティング組成物(C1)を硬化させることと、
(C) 前記コーティングされた基材から前記構造化又は非構造化マトリックス又は型を取り外すことと、
を含む、方法。
8. 前記塗布されたコーティング組成物(C1)は、60~90℃の温度で1~10分間、好ましくは1~5分間硬化される、実施形態7に記載の方法。
9. 前記基材(S)は、織物、ポリマー材料、及び発泡体から選択される、実施形態7又は8に記載の方法。
10. 基材(S)上にコーティング(B)を製造する方法であって、
(a) コーティング組成物(C1)を型の少なくとも1つの内面に塗布することであって、前記コーティング組成物(C1)が、少なくとも1つのバインダー、少なくとも1つの天然由来の顔料及び少なくとも1つの溶媒を含む、ことと、
(b) 任意に、前記塗布されたコーティング組成物(C1)を乾燥させることと、
(c) 基材(S)を形成する組成物(C2)を前記型に塗布することと、
(d) 前記コーティング組成物(C1)を同時に硬化させながら、前記基材(S)を形成することと、
(e) 前記コーティングされた基材を型から取り外すことと、
を含む、方法。
11. 前記塗布されたコーティング組成物(C1)を、20~100℃、より好ましくは30~90℃、非常に好ましくは40~80℃、より具体的に50~70℃の温度で、2分未満、より好ましくは1分未満、非常に好ましくは30秒未満の期間、乾燥させる、実施形態10に記載の方法。
12. 前記コーティング組成物(C1)を、45~75℃、より好ましくは50~70℃の温度で、1~30分、典型的には5~20分の期間、硬化させる、実施形態10又は11に記載の方法。
13. 前記組成物(C2)は、架橋性又は非架橋性フォーム組成物である、実施形態10~12のいずれか1つに記載の方法。
14. 前記非架橋性フォーム組成物(C2)は、膨張した熱可塑性ポリウレタン粒子、膨張可能な熱可塑性ポリウレタン粒子、非架橋性熱可塑性ポリウレタン、非架橋性塩化ビニル、非架橋性ポリカーボネート、非架橋性ポリスチレン、非架橋性ポリエチレン、非架橋性ポリプロピレン、非架橋性アクリロニトリルブタジエンスチレン、非架橋性ポリオキシメチレン又は非架橋性ポリテトラフルオロエチレンから、好ましくは、膨張した及び膨張可能な熱可塑性ポリウレタン粒子から選択される、実施形態13に記載の方法。
15. 前記架橋性フォーム組成物は、外部架橋性フォーム組成物及び/又は内部架橋性フォーム組成物から、特に外部架橋性ウレタンフォーム組成物から選択される、実施形態14に記載の方法。
16. カラーコーティング以外にさらなるコーティングが基材上に生成されない、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
17. 前記少なくとも1つのバインダーは、(i)ポリ(メタ)アクリレート、より具体的にはヒドロキシ官能性及び/又はカルボキシレート官能性及び/又はアミン官能性のポリ(メタ)アクリレート、(ii)ポリウレタン、より具体的にはヒドロキシ官能性及び/又はカルボキシレート官能性及び/又はアミン官能性のポリウレタン、(iii)ポリエステル、より具体的にはポリエステルポリオール、(iv)ポリエーテル、より具体的にはポリエーテルポリオール、(v)示されたポリマーにおけるコポリマー、(vi)これらの混合物、からなる群から、好ましくは、ポリウレタンと、ポリウレタン樹脂を含有するポリウレタン樹脂画分を含有する分散液、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリオール及びこれらの混合物からなる群から選択される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
18. 前記コーティング組成物(C1)は、ショア硬度が60未満の軟質ポリウレタン(PU1)と、ショア硬度が60~100の硬質ポリウレタン(PU2)とを含み、ショア硬度はDIN 53505:2000-08に従って、3秒後に決定される、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
19. 軟質ポリウレタン(PU1)と硬質ポリウレタン(PU2)の質量比が1:1~1:20、好ましくは1:5~1:15、非常に好ましくは1:8~1:12である、実施形態18に記載の方法。
20. 前記コーティング組成物(C1)は、水と少なくとも1つのポリウレタン樹脂からなるポリウレタン樹脂画分とを含み、ポリウレタン樹脂画分は、少なくとも50質量%のゲル画分を有し、20℃未満の温度でガラス転移を有し、100℃未満の温度で融解転移を有する、少なくとも1つの水性分散液(1)、及び水と少なくとも1つのポリウレタン樹脂からなるポリウレタン樹脂画分とを含む水性分散液(2)であって、水性分散液(2)のポリウレタン樹脂画分は少なくとも50%のゲル画分を有し、20~500ナノメートルの平均粒径(体積平均)を有する分散粒子の形態で存在する少なくとも1つの水性分散液(2)を含む、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
21. 前記少なくとも1つの水性分散液(1)のポリウレタン樹脂画分が、-100℃~-20℃未満の範囲の温度でそのガラス転移を有し、-20℃~90℃未満の範囲の温度でその溶融転移を有し、1μmを超える粒径を有する粒子を含む、実施形態20に記載の方法。
22. 前記水性分散液(1)中の樹脂分と前記水性分散液(2)中の第2のポリウレタン樹脂画分との質量比が、5:1~1:5、好ましくは3:1~1:3、非常に好ましくは2:1~1.5:1である、実施形態20又は21に記載の方法。
23. 前記コーティング組成物(C1)が、少なくとも1つのヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートと、少なくとも1つのポリエステルポリオール、特に分岐ポリエステルポリオールとを含む、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
24. 前記ヒドロキシ官能性ポリ(メタ)アクリレートと前記ポリエステルポリオールとの質量比が、2:1~1:2、好ましくは1.5:1~1:1.5、非常に好ましくは1:1.2~1:1.4である、実施形態23に記載の方法。
25. 少なくとも1つのバインダーは、前記コーティング組成物(C1)の総質量に基づいて、それぞれの場合に、5~50質量%の固形分、好ましくは10~40質量%の固形分、非常に好ましくは20~35質量%の固形分の総量で存在する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
26. 前記少なくとも1つの天然由来の顔料が、クルクマ顔料、ヘナ顔料、カマラ顔料、アカネの根顔料、緑土顔料及びこれらの混合物から選択される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
27. 前記少なくとも1つの天然由来の顔料は、黄土色顔料及び赤黄土色顔料のような黄土色顔料から選択される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
28. 前記ヘナ顔料はヘナレッド顔料である、実施形態26又は27に記載の方法。
29. 前記緑土顔料は、バイエル緑土顔料又はロシア緑土顔料又はセラドナイト又はフランス緑土顔料から選択される、実施形態26から28のいずれか1つに記載の方法。
30. 前記少なくとも1つの天然由来の顔料は、1~150μm、好ましくは5~35μm、より好ましくは10~30μm、非常に好ましくは15~25μmのD50の粒径を有する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
31. 前記少なくとも1つの天然由来の顔料は、前記コーティング組成物の総質量に基づいて、それぞれの場合に、0.1~15質量%、好ましくは0.5~12質量%、より好ましくは1~10質量%、非常に好ましくは3~6質量%の総量で存在する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
32. 前記コーティング組成物(C1)は、少なくとも1つの天然由来の顔料の他は、前記コーティング組成物の総質量に基づいて、0質量%のさらなる顔料及び/又はフィラー及び/又は染料を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
33. 前記コーティング組成物(C1)が、少なくとも1つの架橋剤をさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
34. 前記架橋剤は、アミノ樹脂、非ブロックポリイソシアネート、少なくとも部分的にブロックされたポリイソシアネート、ポリカルボジイミド、紫外線、熱、光開始剤、及びこれらの混合物、特に非ブロックポリイソシアネートとポリカルボジイミドから選択される、実施形態33に記載の方法。
35. 前記非ブロックポリイソシアネートが、(i)少なくとも1つのイミノオキサジアジンジオン環を含有するポリイソシアネート又は少なくとも1つのイソシアヌレート環を含有するポリイソシアネート又はそのようなポリイソシアネートの混合物、(ii)ポリエーテル修飾ポリイソシアネート、及び(iii)それらの混合物から選択される、実施形態33又は34に記載の方法。
36. 前記架橋剤が、コーティング組成物(C1)の総量に基づいて、それぞれの場合に、1質量%~40質量%の固形分、好ましくは2~30質量%の固形分、より具体的には6~12質量%又は15~25質量%の固形分の総質量で存在する、実施形態33~35いずれか1つに記載の方法。
37. 前記コーティング組成物(C1)は、少なくとも1つの添加剤をさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
38. 前記少なくとも1つの添加剤は、分散剤、レベリング剤、pH調整剤、消泡剤、殺生物剤、UV吸収剤、架橋触媒、エトキシル化脂肪アルコール、脂肪酸、ポリエーテル修飾ポリアルキルシロキサン、ヒドロキシ官能性ポリアルキルシロキサン及びこれらの混合物の群から選択される、実施形態37に記載の方法。
39. 少なくとも1つの分散剤が、(i)ポリカルボキシレートエーテル、(ii)ポリ(メタ)アクリレート、(iii)ポリビニル、(iv)コポリマー、特にポリカルボキシレートエーテル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリビニル、及びそれらの任意の混合物を含むブロックコポリマー、又は(v)前述のポリマー及びコポリマーの混合物から選択される、実施形態38に記載の方法。
40. 前記少なくとも1つの分散剤が、前記コーティング組成物(C1)の総質量に基づいて、それぞれの場合に、0.1~10質量%、好ましくは0.5~6質量%、非常に好ましくは1~3質量%の総量で存在する、実施形態38又は39に記載の方法。
41. 少なくとも1つのレベリング剤が、非イオン性、カチオン性又はアニオン性の界面活性剤から、特に、非イオン性のセチレンジオール化合物から選択される、実施形態38~40のいずれか1つに記載の方法。
42. 前記少なくとも1つのレベリング剤が、コーティング組成物(C1)の総質量に基づいて、それぞれの場合に、0質量%又は0.02~3質量%の総量で存在する、実施形態38~41のいずれか1つに記載の方法。
43. 少なくとも1つのpH調整剤が、無機及び有機塩基から、特に有機窒素含有塩基から、非常に好ましくはN,N-ジメチルエタノールアミンから選択される、実施形態38~42のいずれか1つに記載の方法。
44. 少なくとも1つの消泡剤が、ポリシロキサン、疎水性固体、ポリエーテル修飾シロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマー及びそれらの混合物から選択される、実施形態38~43のいずれか1つに記載の方法。
45. 少なくとも1つの消泡剤が、コーティング組成物(C1)の総質量に基づいて、それぞれの場合に、0.02~1.5質量%の総量で存在する、実施形態38~44のいずれか1つに記載の方法。
46. 少なくとも1つの殺生物剤が、メチルイソチアゾロン、ベンズイソチアゾロン、クロロメチルイソチアゾロン、メチルイソチアゾリノン及びこれらの混合物、特に、2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン、1,2-ベンズイソチアゾール-3(2H)-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及びこれらの混合物から選択される、実施の形態38~45のいずれか1つに記載の方法。
47. 前記少なくとも1つの殺生物剤が、コーティング組成物の総質量に基づき、それぞれの場合に0.05~0.3質量%の総量で存在する、実施形態38~46のいずれか1つに記載の方法。
48. 実施形態1~47のいずれか1つに記載の方法により製造されたコーティング。
49. 実施形態48に記載のコーティングを有する基材。
本発明を以下に実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。さらに、実施例における「部」、「%」及び「比率」とは、別段の記載がない限り、それぞれ「質量部」、「質量%」及び「質量比」を表す。
1.測定方法:
1.1 ゲル画分:
ゲル画分、特に対応する水性分散液のポリウレタン樹脂画分は、本発明の文脈で質量的に決定される。ここでは、まず、水性分散液のサンプル(初期質量1.0g)から、凍結乾燥によってポリマーを単離した。固化温度(温度をさらに下げてもサンプルの電気抵抗がそれ以上変化しない温度)を決定した後、完全に凍結したサンプルは、通常5mbar~0.05mbarの乾燥真空圧の範囲で、固化温度より10℃低い乾燥温度で、本乾燥を行った。ポリマー下の加熱面の温度を25℃まで段階的に上昇させることにより、ポリマーの急速な凍結乾燥が達成され;典型的には12時間の乾燥時間後、単離されたポリマー(凍結乾燥により決定された固形分)の量は一定で、長時間の凍結乾燥においてもはや何の変化も受けなかった。その後、ポリマー下の表面の温度を30℃で、周囲圧力を最大に下げて(典型的には0.05~0.03mbar)乾燥すると、ポリマーの最適な乾燥が得られる。
続いて、単離されたポリマーを強制空気オーブン内で130℃で1分間焼結し、その後、過剰のテトラヒドロフラン(テトラヒドロフラン対固体画分の比=300:1)中で25℃にて24時間抽出した。その後、単離されたポリマーの不溶性画分(ゲル画分)を適切なフリット上で分離し、強制空気オーブン中で50℃で4時間乾燥し、その後、再計量した。
さらに、焼結温度130℃で、1分~20分の間の焼結時間で変化させ、マイクロゲル粒子のために見出されたゲル画分は焼結時間とは無関係であることがさらに確認された。したがって、ポリマー固体の単離に続く架橋反応がゲル画分をさらに増加させることは否定できる。
水性の、使用される市販のポリマー分散液の中には、さらにケイ酸塩などの無機成分をさらに含み、これらの無機成分の画分はもちろん、ゲル画分の決定においても捕捉され、すべての分散液を焼却し(800℃)、残った灰分を検出したゲル画分から差し引いた。
1.2 ガラス転移と融解転移:
ガラス転移は、ガラス転移温度に基づいて決定される。本発明の文脈におけるガラス転移温度は、DIN 51005「熱分析(TA)-用語」及びDIN 53765「熱分析-示差走査熱量測定(DSC)」に基づく方法で実験的に決定される。バインダーのサンプルを、ドクターブレードを用いて、ガラス板上に100μmの湿潤膜厚で塗布し、40℃で1時間最初に乾燥させ、その後110℃で1時間乾燥させた。測定のために、このように乾燥させた膜の一部をガラス板から取り外し、測定スリーブに挿入する。次に、このスリーブは、DSC装置に挿入される。開始温度まで冷却した後、1回目と2回目の測定を10K/分の加熱速度で、50ml/分の不活性ガスフラッシング(N)を行い、測定実行の間に再び開始温度まで冷却する。
ガラス転移は、DSC図で、転移前後でベースラインに対して、量に関してはるかに大きな勾配を有する測定曲線の部分として見られることができる。量に関してより大きな勾配は、温度を上げるために相転移の領域で必要とされるより高い量のエネルギーに起因することが知られている。この種の測定曲線部分は、当然ながら、量に関して大きな傾斜を持つ領域に変曲点を持つ。本発明の目的のために、ガラス転移のガラス転移温度は、2回目の測定実行におけるこの変曲点の温度であるとみなされる。
ポリウレタン樹脂画分がガラス転移する温度は、本発明の文脈では以下のように定義される:ガラス転移に割り当てられる曲線部分の変曲点における温度(ガラス転移温度)である。ガラス転移に割り当てられる多数の曲線部分が存在する可能性がある。その場合、当該システムは、多数のガラス転移とガラス転移温度を有する。そのような場合、ポリウレタン樹脂画分がそのガラス転移を有する温度は、最も高い温度範囲における曲線部分の変曲点の温度である。そのような事象では、実際、対応するポリウレタン樹脂画分にもはやガラス状構造が全く存在しないのは、最後のガラス転移の後のみである。したがって、「そのガラス転移」という表現は、「その完全なガラス転移」又は「最高温度でのガラス転移」という表現と同一視することができる。
溶融遷移も同様に、上記のように測定されたDSC図から決定される。融解遷移は、DSC図のベースラインから乖離した領域とみなされる。この領域では、温度上昇をもたらすために、結晶子の相転移により、より多くのエネルギーが系に供給される必要がある。これらの領域は、知られているように、幅の異なるピークとして見られる。
ポリウレタン樹脂画分が融解転移する温度は、本発明の文脈では次のように定義される:融解転移に割り当て可能なピークの極値点での温度である。融解遷移が割り当て可能な多数のピークが存在する場合、当該極値点は、最も高い温度範囲にあるピークである。このような場合、実際、系は多数の融解遷移を有している。したがって、最後の融解遷移の後にのみ、対応するポリウレタン樹脂画分に存在する結晶構造はもはや存在しない。したがって、「その融解遷移」という表現は、「その完全な融解遷移」又は「最高温度での融解遷移」という表現と同一視することができる。
1.3 粘度
粘度は、DIN EN ISO 3219:1994-10に従って、それぞれのベース成分の調製から1日後に測定した。
2.決定方法:
2.1 移行テスト
移行テストは、DIN EN ISO 15701:2015-07に従って実施される。このテスト方法では、それぞれのコーティング層でコーティングされたサンプルの側を、公式規格に記載されている標準化されたPVC材料に、定義された圧力下で50℃±2℃で16時間接触させる。設定された2時間の冷却期間の後、接触材料のブリードをグレースケール(グレード1~5、グレード1=高移行、グレード5=移行なし)との比較により評価する。これは、コーティング層と接触していたPVC材料の部分と、コーティング層と接触していない同じPVC材料の部分との間のコントラスト値の比較によって達成される。
2.2 疲労曲げテスト
コーティングされた基材を、コーティングされた側を外側にして中央で(60°曲げ)、最低50,000サイクルを曲げた。その後、コーティングされた基材をクラックについて視覚的に検査した。すべての発生したクラックが1mm未満の場合であれば、コーティング基材は「合格」と評価され、そうでない場合は「不合格」と評価された。
2.3 耐光性
耐光性は、コーティングされた基材のコーティング層を部分的に覆い、コーティングされていない石英フィルタを有するAtlas SUNTEST XLS+で6時間屋外条件にさらすことにより決定された。その後、グレースケール(1~5、グレード1=大きなコントラスト、グレード5=コントラストなし)を使用して、コーティング基材のコーティング部分と非コーティング部分のコントラストを比較する。
2.4 摩擦堅牢度
摩擦堅牢度は、サンドペーパー280を25回(往復)、1kgの規定圧力でコーティングされた基材をこすることによってテストされた。その後、コーティング基材を視覚的欠陥について検査した。コーティング層に視覚的欠陥が存在しない場合、コーティング基材は「合格」と評価され、そうでない場合、コーティング基材は「不合格」として評価された。
2.5 隠蔽力
隠蔽力は、コーティングされた基材を検査することによって視覚的に決定された。基材の下地色が見えない場合、コーティング基材は「合格」と評価され、そうでない場合、コーティング基材は「不合格」として評価された。
2.6 コーティング層の色の均一性
コーティング層の色の均一性は、コーティング基材の検査によって視覚的に決定された。コーティング層の色が均一である場合(すなわち、コーティング層に視覚的な色の違いや欠陥がない場合)、コーティングされた基材は「合格」と評価され、そうでない場合、コーティング基材は「不合格」として評価された。
3.コーティング組成物の調製
3.1 ベース成分
様々な本発明コーティング組成物AC1-1~AC1-6のベース成分は、表2aに記載の量で、水性ポリウレタン分散液と、レベリング剤、及び(必要に応じて)光安定剤及びUV吸収剤を10~30分間混合することによって得られるバインダーマトリックス中に、それぞれの天然由来の顔料粉末を分散することによって製造された。ヘナレッド顔料及びアカネの根顔料を含むベース成分は、分散後、DI水を加える前に(必要であれば)、190メッシュのふるいを用いて濾過された。
Figure 0007447357000003
1) 市販分散液(1)は、ゲル画分が61.3%のポリウレタン樹脂画分を含む。ポリウレタン樹脂画分は、温度-47℃でガラス転移を示し、温度50℃で融解転移を示す。ポリウレタン樹脂画分は、1~100μmの粒径を有する粒子を含む。分散液の固形分は、無機成分(ケイ酸塩)の1.8%を含む26.5%である(焼却、800℃により決定)。
2) 第1市販分散液(2)は、91%のゲル画分を有するポリウレタン樹脂画分を含む。平均粒径(体積平均)は、244ナノメートルである。ポリウレタン樹脂画分のガラス転移は-48℃である。100℃未満での溶融転移は観察されない。分散液の固形分は39.0%である。
3) 第2市販分散液(2)は、95%のゲル画分を有するポリウレタン樹脂画分を含む。平均粒径(体積平均)は56ナノメートルである。ポリウレタン樹脂画分のガラス転移は、-60℃である。100℃未満での溶融転移は観察されない。分散液の固形分は37.0%である。
4) Kremer Pigmente GmbH&Co.KGより提供
5) Kremer Pigmente GmbH&Co.KGより提供
6) Kremer Pigmente GmbH&Co.KGより提供
7) Kremer Pigmente GmbH&Co.KGより提供された粗く挽いたアカネの根
8) Kremer Pigmente GmbH&Co.KGより提供
9) Kremer Pigmente GmbH&Co.KGより提供
10) BYK 346(BYK Chemie GmbHより提供)
11) Tinuvin 292(BASF SEより提供)
12) Tinuvin 400(BASF SEより提供)
3.2 硬化剤成分
Figure 0007447357000004
1) ポリエーテル-修飾HDI-イソシアヌレート、NCO含有量=11%、固形分=70%(BASF SEより提供)
3.3 水性コーティング組成物AC1-1~AC1-6の調製
それぞれの水性コーティング組成物AC1-1~AC1-6は、以下に記載するように、コーティング組成物を基材に塗布する直前に、それぞれのベース成分と硬化剤成分とを、100:8の比で均一に混合することによって、得られた。
コーティングされた基板の製造
4.1 基板
厚さ1cmのポリウレタンビーズフォームシートは、対応するポリウレタンペレットを対応する型内で蒸気によって膨張させ、溶解させることによって調製された。
4.2 基材のコーティング
3.3に従って、それぞれの水性コーティング組成物AC1-1~AC1-6を、それぞれ、4.1で調製された基材に1コートシステム(空気圧手動コーティング)で直接塗布し、23℃で4~5分間乾燥した。乾燥したコーティング組成物を80℃の強制空気オーブンで20分間硬化させる。膜厚(硬化)は、各場合において20~25μmであった。
以下のコーティングされた基板が製造された(表3)。
Figure 0007447357000005
5.結果
5.1 移行テスト
基材S1~S6上のカラーコーティング層に存在する物質の移動傾向を、上記2.1に記載されたように決定する。その結果を表4に示す。
Figure 0007447357000006
持続可能な顔料(すなわち、クルクマ顔料、ヘナレッド顔料、カマラ顔料、アカネの根顔料、バイエル緑土顔料又はロシア緑土顔料から選択される天然由来の顔料)を含有する水性コーティング組成物AC1-1~AC1-6から、膨張及び溶解TPUビーズ基材上に直接製造された各コーティング層は、それぞれのコーティング層に接触している基材への移行を全く示さないか、又はわずかに示すだけであり、したがってコーティング層から前記コーティング層と接触する基材への物質の過剰移行を回避している。
5.2 疲労曲げテスト
コーティング基材S1~S6の疲労曲げを、上記2.2に記載されたように決定する。その結果を表5に示す。
Figure 0007447357000007
持続可能な顔料(すなわち、クルクマ顔料、ヘナレッド顔料、カマラ顔料、アカネの根顔料、バイエル緑土顔料又はロシア緑土顔料から選択される天然由来の顔料)を含有する水性コーティング組成物AC1-1~AC1-6から、膨張及び溶解TPUビーズ基材上に製造された各コーティング層は、コーティング基材S1~S6の曲げ時に著しいクラックの形成を防止するのに十分な柔軟性を示し、したがって水性コーティング組成物AC1-1~AC1-6は、靴産業のミッドソールとして使用される柔軟なフォーム材料などの、寿命中に多数曲げられる柔軟な基材のコーティングに特に適したものとなる。
5.3 耐光性
コーティング基材S1~S6の太陽光に対する耐光性を、上記2.3に記載されたように決定する。その結果を表6に示す。
Figure 0007447357000008
持続可能な顔料(すなわち、クルクマ顔料、ヘナレッド顔料、カマラ顔料、アカネの根顔料、バイエル緑土顔料又はロシア緑土顔料から選択される天然由来の顔料)を含有する水性コーティング組成物AC1-3~AC1-6から、膨張及び溶解TPUビーズ基材上に製造された各コーティング層は、十分な耐光性、すなわちコーティング基材に日光を照射しても著しい色変化を示さないことを示す。したがって、本発明の水性コーティング組成物AC1-3~AC1-6は、高い耐候性安定性を有するカラーコーティング層をもたらし、したがって、外で着用される衣類など、日光に当たる基材に適している。水性コーティング組成物にクルクマ顔料及びヘナレッド顔料を使用した場合、得られたコーティング層の色の変化が観察された。水性コーティング組成物AC1-1及びAC1-2から製造されたコーティング層で観察された色の変化は、前記コーティング組成物において少量のさらなる顔料を使用することによって回避され得る。
5.4 摩擦堅牢度
コーティング基材S1~S6の摩擦堅牢度を、上記2.4に記載されたように決定する。その結果を表7に示す。
Figure 0007447357000009
持続可能な顔料(すなわち、クルクマ顔料、ヘナレッド顔料、カマラ顔料、アカネの根顔料、バイエル緑土顔料又はロシア緑土顔料から選択される天然由来の顔料)を含有する水性コーティング組成物AC1-1~AC1-6から、膨張及び溶解TPUビーズ基材上に製造された各コーティング層は、十分な摩擦堅牢性、すなわち、サンドペーパーでコーティング層をこすっても損傷しないことを示す。したがって、本発明の方法における水性コーティング組成物の使用は、高い耐摩耗性を有するカラーコーティング層をもたらし、したがって、履物のような使用中に摩耗を受けるコーティングされた基材の製造に特に適している。
5.5 隠蔽力
基材S1~S6上に存在するコーティング層の隠蔽力を、上記2.5に記載されたように決定する。その結果を表8に示す。
Figure 0007447357000010
持続可能な顔料(すなわち、クルクマ顔料、ヘナレッド顔料、カマラ顔料、アカネの根顔料、バイエル緑土顔料又はロシア緑土顔料から選択される天然由来の顔料)を含有する水性コーティング組成物AC1-1~AC1-3から、膨張及び溶解TPUビーズ基材上に製造された各コーティング層は、高い隠蔽力を示す。したがって、天然由来の顔料の使用は十分な隠蔽力を提供するので、下にある基材の色がカラーコーティング層を通してもはや見えない。
5.6 コーティング層の色の均一性
基材S1~S6上に存在するコーティング層の色の均一性を、上記2.6に記載されたように決定する。その結果を表9に示す。
Figure 0007447357000011
持続可能な顔料(すなわち、クルクマ顔料、ヘナレッド顔料、カマラ顔料、アカネの根顔料、バイエル緑土顔料又はロシア緑土顔料から選択される天然由来の顔料)を含有する水性コーティング組成物AC1-1~AC1-6から、膨張及び溶解TPUビーズ基材上に製造された各コーティング層は、高い色均一性を示し、すなわち、色差だけでなく視覚的陥も観察されなかった。したがって、本発明の方法におけるコーティング組成物の使用は、カラー剤として天然由来の顔料を使用する場合に、高い光学品質を有するコーティング層を製造することを可能にする。
6.結果の考察
実施例は、ポストコーティング法で天然由来の顔料を含有するコーティング組成物の使用が、優れた視覚特性、すなわち十分な隠蔽力及び良好な色の均一性、ならびに優れた機械的特性、すなわち高い耐候性、耐摩耗性、柔軟性及び接着性を有するカラーコーティング層をもたらすことを示している。さらに、天然由来の顔料の使用は、色材又はや他の物質の著しい移行をもたらさない。本発明の方法は、したがって、天然由来の顔料を含むコーティング組成物を使用することにより、基材、特に履物産業で使用される柔軟なフォーム基材を、環境に優しい方法で着色することを可能にする。

Claims (13)

  1. 基材(S)上にコーティング(B)を製造する方法であって、
    (i) コーティング組成物(C1)を、直接に、基材(S)の表面の少なくとも一部に塗布することであって、前記コーティング組成物(C1)が、少なくとも1つのバインダー、D50の粒径が1~150μmである少なくとも1つの天然由来の顔料及び少なくとも1つの溶媒を含むものであって
    (ii) 任意に、コーティング膜を形成するために前記塗布されたコーティング組成物(C1)を乾燥させることと、
    (iii) 前記塗布されたコーティング組成物(C1)又は前記形成されたコーティング膜を硬化させることと、
    によって、基材(S)上にカラーコーティング(BC)を製造するステップを含み、
    前記基材が、熱可塑性ポリウレタンビーズフォーム基材であり、
    前記少なくとも1つの天然由来の顔料が、クルクマ顔料、ヘナ顔料、カマラ顔料、アカネの根顔料、緑土顔料及びこれらの混合物から選択される、
    方法。
  2. 前記塗布されたコーティング組成物(C1)を、15~60℃の温度で、1~30分の期間、乾燥させる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記コーティング組成物(C1)を、40~120℃の温度で、10~60分の期間、硬化させる、請求項1に記載の方法。
  4. 基材(S)上にコーティング(B)を製造する方法であって、
    (A) コーティング組成物(C1)を構造化若しくは非構造化マトリックス又は型に塗布することであって、前記コーティング組成物(C1)が、少なくとも1つのバインダー、少なくとも1つの天然由来の顔料及び少なくとも1つの溶媒を含むものであって
    (B-1) 前記塗布されたコーティング組成物(C1)を硬化させ、前記マトリックス又は型と接触していない前記硬化したコーティング組成物(C1)上に結合層を形成し、前記硬化したコーティング組成物(C1)と接触していない前記結合層を基材の表面の少なくとも一部に塗布すること、又は
    (B-2) 前記塗布されたコーティング組成物(C1)を乾燥させ、前記マトリックス又は型と接触していない前記乾燥したコーティング組成物(C1)を基材上に適用し、前記乾燥コーティング組成物(C1)を硬化させることと、
    (C) 前記コーティングされた基材から前記構造化又は非構造化マトリックス又は型を取り外すことと、
    を含み、
    前記基材が、熱可塑性ポリウレタンビーズフォーム基材であり、
    前記少なくとも1つの天然由来の顔料が、クルクマ顔料、ヘナ顔料、カマラ顔料、アカネの根顔料、緑土顔料及びこれらの混合物から選択される、
    方法。
  5. 基材(S)上にコーティング(B)を製造する方法であって、
    (a) コーティング組成物(C1)を型の少なくとも1つの内面に塗布することであって、前記コーティング組成物(C1)が、少なくとも1つのバインダー、少なくとも1つの天然由来の顔料及び少なくとも1つの溶媒を含むものであって
    (b) 任意に、前記塗布されたコーティング組成物(C1)を乾燥させることと、
    (c) 基材(S)を形成する組成物(C2)を前記型に塗布することと、
    (d) 前記コーティング組成物(C1)を同時に硬化させながら、前記基材(S)を形成することと、
    (e) 前記コーティングされた基材を型から取り外すことと、
    を含み、
    前記基材が、熱可塑性ポリウレタンビーズフォーム基材であり、
    前記少なくとも1つの天然由来の顔料が、クルクマ顔料、ヘナ顔料、カマラ顔料、アカネの根顔料、緑土顔料及びこれらの混合物から選択される、
    方法。
  6. カラーコーティング以外にさらなるコーティングが前記基材上に製造されない、請求項1に記載の方法。
  7. 前記ヘナ顔料はヘナレッド顔料である、請求項1、4及び5のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記緑土顔料は、バイエル緑土顔料又はロシア緑土顔料から選択される、請求項1、4及び5のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記少なくとも1つの天然由来の顔料は、5~35μmのD50の粒径を有する、請求項1に記載の方法。
  10. 前記少なくとも1つの天然由来の顔料は、0.1~15質量%の総量で存在し、上記数値のそれぞれは、コーティング組成物の総質量に基づいている、請求項1に記載の方法。
  11. 前記コーティング組成物(C1)において、さらなる顔料及び/又はフィラー及び/又は染料(但し、少なくとも1つの天然由来の顔料を除く)が、コーティング組成物の総質量に基づいて0質量%である、請求項1に記載の方法。
  12. 請求項1に記載の方法により製造されたコーティング。
  13. 請求項12に記載のコーティングを有する基材。
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