JP7446516B2 - 遠心クラッチ、及びストラドルドビークル - Google Patents

遠心クラッチ、及びストラドルドビークル Download PDF

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Description

本発明は、動力源の回転駆動力をトランスミッションに伝達する、操作可能に構成された遠心クラッチに関する。
例えば、特許文献1には、車両に設けられる遠心クラッチが示されている。特許文献1の遠心クラッチは、動力源であるエンジンの回転駆動力をトランスミッションに伝達する。特許文献1の遠心クラッチは、摩擦板(ドライブプレート及びドリブンプレート)、ウェイト、及び断続機構を有する。各摩擦板は、圧接することで係合する。各摩擦板が係合することによりエンジンの回転駆動力がトランスミッション機構に伝達される。ウェイトが、回転に伴う遠心力によって移動することで、各摩擦板が互いに係合する。これによって回転駆動力が伝達される。断続機構は、例えばプッシュロッドを有する。断続機構の動作により各摩擦板が互いに引き離されると、回転駆動力の伝達が切断され、クラッチがリリース状態になる。
特開平10-176727号公報
各摩擦板を互いに引き離す機構として、例えば、クラッチレバーからの操作力で動作する機構が考えられる。クラッチレバーが操作されるとき、クラッチレバーが変位する途中の位置で動力伝達のリリース状態が接続状態に変わる。
各摩擦板は、遠心クラッチの使用に伴い摩耗する。摩耗によって各摩擦板の厚みが減少すると、各摩擦板が摩耗前における係合位置にあっても係合が完成しない場合がある。また、摩擦板の摩耗は、ウェイトが遠心力によって移動する場合における各摩擦板の係合にも影響する。また、遠心クラッチにおけるウェイトが移動する位置と、クラッチレバーにおける接続位置も互いに関連する。
遠心クラッチでは、摩耗による摩擦板の接続状態への影響を自ら抑えつつ、回転速度による接続位置の変化も自ら抑えることが望まれている。
本発明の目的は、摩耗による摩擦板の接続状態への影響を自ら抑えつつ、回転速度による接続位置の変化も自ら抑えることが可能な遠心クラッチ、及び鞍乗型車両を提供することである。
特許文献1の遠心クラッチは、調整のためのねじを内部に有する。特許文献1の遠心クラッチでは、ねじを調整することで摩耗に伴い増大する各摩擦板の隙間の大きさが調整される。
しかし、特許文献1の遠心クラッチは、摩耗の程度に応じて遠心クラッチ内部のねじを調整することが求められる。
本発明者は、隙間の調整に関して、遠心力によるウェイトの移動に着目した。
例えば、ウェイトは、回転速度の上昇に伴い遠心力を受け外方へ移動することで、各摩擦板を係合させる。ウェイトが接続位置へ移動すると、摩擦板の係合が完成する。
本発明者は、摩擦板が係合する接続位置にあるウェイトが、更に外方へ移動可能な余裕を有するような構成を考えた。この構成の場合、接続位置のウェイトは、更に大きな遠心力を受けることによって接続位置よりも外方へ移動する。各摩擦板に摩耗が生じても、ウェイトが接続位置よりも外方へ移動する途中で、各摩擦板の係合が完成する。これによって、摩耗が生じても、ねじ等の操作でなく遠心力によって各摩擦板の係合が完成する。
しかし、例えば各摩擦板が摩耗していない状態でウェイトが接続位置よりも外方へ移動する場合、ウェイトは、摩擦板を更に押付けることはできない。このため、接続位置よりも外方へ移動するウェイトは、摩擦板を押付ける反力によって第2プレッシャプレートをリリース方向へ移動させる。リリース方向は、押付方向とは逆の方向である。この結果、ウェイトが接続位置よりも外方にある場合、クラッチレバーがリリース位置まで変位する変位量は、ウェイトが接続位置にある場合の変位量と異なる。即ち、クラッチレバーの操作開始からリリース状態になる位置までのクラッチレバーの操作量が、回転速度によって異なることとなる。
なお、遠心クラッチが例えば電動アクチュエータの操作力によって動作する場合、上記の変位量は、電動アクチュエータが所定の接続位置まで動作した場合における摩擦板の係合状態の完成度の変化として表れる。
本発明者は、第2プレッシャプレートがリリース方向へ移動するときに、クラッチレバーの操作力を伝達する操作力伝達部材を第2プレッシャプレートに対し相対的に移動させることを思いついた。具体的には、相対移動機構を設けることが考えられる。相対移動機構は、操作力伝達部材と第2プレッシャプレートの間に生じる隙間を小さく又は無くすように操作力伝達部材を第2プレッシャプレートに対し相対的に移動させる。
これによって遠心クラッチは、ねじ等の調整操作やアクチュエータによる調整機構の追加無しに、摩耗によるクラッチレバーの接続位置の変化を自ら抑えることができる。
以上の知見に基づいて完成した本発明の各観点による遠心クラッチは、次の構成を備える。
(1) 動力源の回転駆動力をトランスミッションに伝達する操作可能な遠心クラッチであって、
前記遠心クラッチは、
前記動力源の回転駆動力を受ける第1回転部材(111)と一体に回転する第1摩擦板(113)と、
第2回転部材と一体に回転する第2摩擦板(114)と、
前記第1摩擦板及び前記第2摩擦板のうち一方の摩擦板を他方の摩擦板に回転軸線と平行な押付方向に押し付け前記第1摩擦板および前記第2摩擦板を相互に係合させる第1プレッシャプレート(115)と、
前記第1プレッシャプレートと前記第1摩擦板及び前記第2摩擦板との間に介在せずに、前記第1プレッシャプレートを前記押付方向とは逆のリリース方向へ付勢するように配置された第1弾性体(119)と、
前記回転軸線上において前記第1プレッシャプレートと互いに相対移動可能に配置された第2プレッシャプレート(117)と、
前記第2プレッシャプレートを前記押付方向へ付勢する第2弾性体(116)と、
前記第2プレッシャプレートの前記押付方向への移動の範囲を規制する移動範囲規制部(118)と、
前記遠心クラッチをリリースするための操作力を受けることにより、前記リリース方向へ前記第2プレッシャプレートを押すことにより、前記第2プレッシャプレートを前記第2弾性体の付勢力に抗して前記リリース方向へ変位させる操作力伝達部材(121)と、
前記回転軸線の方向における前記第2プレッシャプレートと前記第1プレッシャプレートの間に配置され、前記第1回転部材の回転の遠心力を受け前記回転軸線の径方向の外方に移動する第1のウェイト(123)と、
前記第1のウェイトの前記外方への移動に応じて、前記第1プレッシャプレートを前記押付方向に押し付けるように構成された第1プレッシャプレート駆動部(122)と
を備えた遠心クラッチ(10,30)であって、
次のことを特徴とする:
前記第1のウェイト(123)は、前記遠心力を受け前記第1弾性体(119)の付勢力に抗して前記第1プレッシャプレートを前記押付方向に移動させながら前記外方へ移動することで、更に前記外方へ移動可能な余裕を有しつつ前記第1摩擦板および前記第2摩擦板の係合を完了する接続位置へ移動し、更に大きな前記遠心力を受けることによって前記接続位置よりも前記外方へ移動することで前記第2弾性体(116)の付勢力に抗して前記第2プレッシャプレートを前記リリース方向へ移動させ、
前記遠心クラッチは、前記第1のウェイト(123)が前記接続位置よりも前記外方に移動することによって前記第2プレッシャプレート(117)を前記リリース方向へ移動させるときに、前記操作力伝達部材と前記第2プレッシャプレートの間に生じる隙間を小さく又は無くすように前記操作力伝達部材を前記第2プレッシャプレートに対し相対的にアクチュエータによらずに移動させる相対移動機構(130,330)を更に備える、
遠心クラッチ。
遠心クラッチは、回転駆動力の伝達経路における、動力源とトランスミッションの間の位置に配置される。例えば、遠心クラッチは、動力源の出力軸と接続される。例えば、遠心クラッチは、トランスミッションと接続される。
遠心クラッチは、例えば、動力源の出力軸以外の駆動力伝達部品を介して出力軸と接続されてもよい。遠心クラッチは、例えば、トランスミッション以外の駆動力伝達部品を介してトランスミッションと接続されてもよい。
トランスミッションは、例えば、運転者の操作力を受け、変速比を切替えるマニュアルトランスミッションである。トランスミッションは、運転者の足で操作される。トランスミッションは、運転者の足から受ける操作力で変速比を切替える。
(1)の構成において、第2弾性体は、第2プレッシャプレートを押付方向へ付勢するための弾性体である。
しかし、移動範囲規制部によって、第2プレッシャプレートの押付方向への移動の範囲が規制される。また、第1弾性体が、第1プレッシャプレートをリリース方向へ付勢する。このため、第1プレッシャプレートは、第1摩擦板および第2摩擦板を相互に係合する位置まで移動していない。つまり、第1摩擦板および第2摩擦板は係合していない。
第1回転部材が動力源の回転駆動力を受け回転すると、第1のウェイトが第1回転部材と共に回転する。第1のウェイトは、回転の遠心力を受け第1プレッシャプレート駆動部に沿って外方に移動する。外方は、回転軸線から遠ざかる方向である。
第2プレッシャプレートと第1プレッシャプレートの互いに対面する面の一方又は両方には第1プレッシャプレート駆動部が設けられている。第1プレッシャプレート駆動部は、例えば斜面部である。第1プレッシャプレート駆動部は、径方向における外方ほど第2プレッシャプレートおよび第1プレッシャプレートの間隔が小さくなるように形成されている。
第1のウェイトは、第1プレッシャプレート駆動部に沿って外方へ移動することで、第1弾性体の付勢力に抗して、第1プレッシャプレートを押付方向に移動させる。第1プレッシャプレートは、第1摩擦板及び第2摩擦板のうちの一方の摩擦板を他方の摩擦板に押付方向に押し付ける。これによって、第1摩擦板および第2摩擦板が相互に係合する。
第1のウェイトは、遠心力を受け、まず、接続位置へ移動する。接続位置は、第1摩擦板および第2摩擦板の係合を完了する位置である。第1のウェイトが接続位置まで移動すると、遠心クラッチが接続状態となる。接続位置は、また、第1のウェイトが更に外方へ移動可能な余裕を有する位置である。
第1のウェイトは、更に大きな遠心力を受けることによって、次に、接続位置よりも外方へ移動する。これによって、第1のウェイトは、第2弾性体の付勢力に抗して第2プレッシャプレートをリリース方向へ移動させる。
例えば、第1摩擦板および第2摩擦板が摩耗する場合、第1摩擦板および第2摩擦板の軸方向での厚みが減少する。このため、摩耗する前の接続位置に第1のウェイトが移動しても、第1摩擦板および第2摩擦板の係合が完了しない。つまり、接続状態が不完全となる可能性がある。
しかし、(1)の構成によれば、第1のウェイトは、接続位置では、更に外方へ移動可能な余裕を有する。このため、第1摩擦板および第2摩擦板が摩耗した場合、第1のウェイトは、初期の接続位置よりも外方へ移動する。これによって、第1摩擦板および第2摩擦板が係合を完了できる。従って、摩耗が生じても、ねじ等の調整操作無しに、遠心力によって接続状態が実現する。
また、操作力伝達部材は、遠心クラッチをリリースするための操作力を受け、第2プレッシャプレートを変位させる。操作力伝達部材は、操作力を受け、第2プレッシャプレートを第2弾性体の押付力に抗してリリース方向へ変位させる。これによって、遠心クラッチはリリース状態になる。つまり、例えばクラッチレバーの操作によって、遠心クラッチはリリース状態になる。
このようにして、遠心クラッチにおいて、遠心力に起因した接続状態と、操作力によるリリース状態が実現する。
(1)の遠心クラッチでは、第1のウェイトが接続位置よりも外方へ移動する場合、第1のウェイトは、第2弾性体の付勢力に抗して第2プレッシャプレートをリリース方向へ移動させる。この場合に、操作力伝達部材と第2プレッシャプレートの間に隙間が生じたり、または、隙間が大きくなったりすると、例えばクラッチレバーの操作位置において、非操作位置からリリース位置までの操作量が増大する。クラッチレバーの非操作位置からリリース位置までの操作量は、クラッチレバーの遊びに相当する。つまり、第1のウェイトが接続位置にある場合と、接続位置よりも外方にある場合とで、クラッチレバーの遊びが異なる。例えば、電動アクチュエータが操作力を出力する場合も、遊びによる影響が生じる。
(1)の構成によれば、相対移動機構が、第1のウェイトが第2プレッシャプレートをリリース方向へ移動させるときに、操作力伝達部材と第2プレッシャプレートの間に生じる隙間を小さく又は無くすように操作力伝達部材を第2プレッシャプレートに対し相対的に移動させる。相対移動機構は、アクチュエータによらずに操作力伝達部材を第2プレッシャプレートに対し相対的に移動させる。
これによって、遠心クラッチは、ねじ等の調整操作やアクチュエータによる調整機構の追加無しに、摩耗に起因する操作位置の変化を自ら抑えることができる。
このように、(1)の構成によれば、摩耗による摩擦板の接続状態への影響を自ら抑えつつ、回転速度による接続位置の変化も自ら抑えることができる。
(2) (1)の遠心クラッチであって、
前記相対移動機構(130)は、前記第2プレッシャプレート(117)と前記操作力伝達部材(121)の間に介在し、第2のウェイト(131)と、第1カム部(132)とを有し、
前記第2のウェイト(131)は、前記回転軸線(Ax)周りに回転し、回転の遠心力によって前記外方へ移動し、
前記第1カム部(132)は、前記第2のウェイト(131)と接触することで、前記第2のウェイト(131)の前記外方への移動によって、前記操作力伝達部材(121)から前記第2プレッシャプレート(117)までの間の前記相対移動機構(130)の前記回転軸線(Ax)の方向での長さを延長する、
遠心クラッチ。
(2)の構成によれば、相対移動機構は、第2プレッシャプレートと操作力伝達部材の間に介在する。相対移動機構は、第2のウェイトと、第1カム部とを有する。第2のウェイトは、回転軸線周りに回転する。第2のウェイトは、回転の遠心力によって外方へ移動する。第1カム部は、第2のウェイトの移動によって、操作力伝達部材から第2プレッシャプレートまでの間の相対移動機構の回転軸線の方向の長さを延長する。
(2)の構成によれば、第2のウェイトが、回転の遠心力によって外方へ移動すると、第2のウェイトと接触する第1カム部によって、操作力伝達部材から第2プレッシャプレートまでの間の相対移動機構の回転軸線の方向の長さが延長される。
従って、遠心力を受けた第1のウェイトが初期の接続位置よりも外方へ移動することにより生じた第2プレッシャプレートの回転軸線の方向の変位の影響が、遠心力を受ける第2のウェイトとカムとによって吸収されやすい。そのため、走行開始時と走行中とにおける接続位置の変化を、2つのウェイトに共通に作用する遠心力を利用して抑えることができる。従って、例えば走行開始時と走行中とにおける接続位置の変化が、抑えられやすい。
(3) (2)の遠心クラッチであって、
前記相対移動機構(130)は、前記第2プレッシャプレート(117)及び第2のウェイトと共に回転しつつ、前記第2プレッシャプレート(117)に対し前記回転軸線(Ax)の方向に相対的に変位可能な変位部材(134)を有し、
前記第1カム部(132)は、前記第2プレッシャプレート(117)及び前記変位部材(134)の少なくとも何れかに設けられる、
遠心クラッチ。


(3)の構成によれば、相対移動機構は、変位部材を有している。変位部材は、第2プレッシャプレートと共に回転する。また、変位部材は、第2プレッシャプレートに対し回転軸線の方向に相対的に変位可能である。第1カム部は、第2プレッシャプレート及び変位部材の少なくとも何れかに設けられる。第2のウェイトが遠心力により外方へ移動すると、第2のウェイトが、第2プレッシャプレート及び変位部材の少なくとも何れかに設けられた第1カム部に作用する。これにより、操作力伝達部材から第2プレッシャプレートまでの回転軸線方向における長さを延長することができる。このため、走行開始時と走行中とにおける接続位置の変化を、2つのウェイトに共通に作用する遠心力を利用して抑えることができる。従って、例えば走行開始時と走行中とにおける接続位置の変化が、抑えられやすい。
(4) (2)又は(3)の遠心クラッチであって、
前記第2のウェイト(131)が受ける遠心力と前記第2のウェイト(131)の移動を抑える第3弾性体(133)の付勢力が釣り合う前記第2のウェイト(131)の回転速度は、前記第2プレッシャプレート(117)が受ける遠心力と前記第2弾性体(116)の付勢力が釣り合う回転速度よりも小さい、
遠心クラッチ。
(4)の構成によれば、第2プレッシャプレートが受ける遠心力と第2弾性体が釣り合う速度よりも小さい速度で、第2のウェイトが受ける遠心力と第3弾性体の付勢力が釣り合う。従って、速度が上昇する場面で、第1のウェイトの外方への移動によって第2プレッシャプレートがリリース方向へ移動することに遅れることなく、操作力伝達部材から第2プレッシャプレートまでの回転軸線の方向の長さが延長できる。従って、いずれの速度範囲でも、走行開始時と走行中とにおけるクラッチレバーの接続位置の変化を、2つのウェイトに共通に作用する遠心力を利用して抑えることができる。従って、広い速度範囲において、走行開始時と走行中とにおける接続位置の変化が、抑えられやすい。
(5) (1)から(4)の何れか1つの遠心クラッチであって、
前記相対移動機構(330)は、
前記第2プレッシャプレート(117)と前記操作力伝達部材(121)の間に介在し、前記第2プレッシャプレート(117)が前記第1プレッシャプレート(115)に押され前記リリース方向(R)へ移動する場合の伸長が自在であり、前記操作力伝達部材(121)が前記操作力を受け前記リリース方向(R)に移動する場合の収縮が規制される一方向スライド機構(340)を有する、
遠心クラッチ。
(5)の構成によれば、相対移動機構は、第2プレッシャプレートと操作力伝達部材の間に介在する一方向スライド機構を有する。一方向スライド機構は、第2プレッシャプレートが第1プレッシャプレートに押されリリース方向へ移動する場合の伸長が自在である。従って、速度が上昇する場面で、第1のウェイトの外方への移動によって第2プレッシャプレートがリリース方向へ移動するのに遅れることなく、操作力伝達部材から第2プレッシャプレートまでの回転軸線の方向での長さが延長できる。この一方、クラッチレバーが操作される場合に、操作力伝達部材から第2プレッシャプレートまでの回転軸線の方向での長さの収縮が規制される。このため、伸長した長さが維持されたままで、クラッチレバーの操作に応じた第2プレッシャプレートの移動が開始する。
従って、広い動作範囲において、走行開始時と走行中とにおける接続位置の変化が、抑えられやすい。
(6) (2)の遠心クラッチであって、
前記第2のウェイト(131)は、前記第2プレッシャプレート(117)からトルクの伝達を受けて回転を加速及び減速し、
前記第2プレッシャプレート(117)は、前記第2のウェイト(131)に減速のトルクを伝達するとともに前記第2のウェイト(131)を前記径方向の内方に移動させるように形成された第2カム部(141)を有する、
遠心クラッチ。
相対移動機構の第2のウェイトは、第2のウェイトが受ける遠心力により、外方に移動する。外方に移動した第2のウェイトは、第1カム部との間に生じる摩擦力により、遠心力が減少しても外方に移動した状態を維持したまま内方に戻りにくくなる場合がある。(6)の構成によれば、第2プレッシャプレートは、第2カム部を有する。第2カム部は、第2プレッシャプレートの回転が減速する場合に、第2のウェイトを径方向の内方に移動させる。従って、(6)の構成によれば、第2のウェイトは、第1カム部との間に摩擦力が生じていても、回転が減速する場合に径方向の内方に戻りやすくできる。
従って、(6)の構成によれば、遠心力を受けた第2のウェイトが元の位置よりも外方へ移動した後、遠心力が減少することにより元の位置に戻りやすい。従って、遠心力を受けた第1のウェイトが接続位置よりも外方へ移動することにより生じた第2プレッシャプレートの回転軸線の方向の変位に対する調整が、遠心力の減少時に、戻りやすい。そのため、走行開始時と走行中とにおける接続位置の変化を、より精密に抑えることができる。従って、例えば走行開始時と走行中とにおける接続位置の変化が、抑えられやすい。
(7)鞍乗型車両であって、
前記鞍乗型車両は、
動力源と、
トランスミッションと、
前記動力源の回転駆動力を前記トランスミッションに伝達する(1)から(6)のいずれか1つの遠心クラッチと、を備える
鞍乗型車両。
(7)の構成によれば、遠心クラッチの摩耗によるクラッチレバーの接続位置の変化を自らの動作で抑えつつ、走行開始時と走行中とにおけるクラッチレバーの接続位置の変化も遠心クラッチ自体の動作で抑えることができる。
[用語の定義]
鞍乗型車両とは、ライダーがサドルに跨って着座する形式の車両をいう。鞍乗型車両は、ライダーの体重移動によって走行乃至旋回を行うように構成されている。鞍乗型車両は、ライダーにより把持されるハンドルバーを備える。鞍乗型車両は、ライダーが、走行乃至旋回時に、両手でハンドルバーを把持しながら体重移動による姿勢制御を行うように構成されている。鞍乗型車両は、駆動輪を備えている。鞍乗型車両としては、特に限定されず、例えば、モータサイクル(自動二輪車や自動三輪車等)、ATV(All-Terrain Vehicle)が挙げられる。鞍乗型車両は、例えば、旋回時に左右における旋回中心の方向へリーンするように構成されたリーン車両である。
動力源は、例えばエンジンである。エンジンは、空気及び燃料の混合気の燃焼によって生じるパワーを、出力軸であるクランク軸のトルク及び回転速度として出力する。なお、動力源は、特に限定されず、例えば電力によって動作するモータであってもよく、また、エンジン及びモータの組み合わせであってもよい。
トランスミッションは、切替え可能な複数の変速比を有する。変速比の数は、特に限定されず、例えば、ニュートラルポジションに加えて、4~6個の変速比を有する。
操作力伝達部材は、例えば、クラッチレバーの操作力を受けて回転する回転カム部に押されるプッシュロッドである。
クラッチレバーの操作力を操作力伝達部材に伝達する手段は、回転カム部に限定されず、例えば、回転を直線運動に変えるスクリュー、又は、油圧で動作するピストンでもよい。また、操作力伝達部材は、第2プレッシャプレートをリリース方向へ押すプッシュロッドに限定されない。操作力伝達部材は、例えば、第2プレッシャプレートを引っ掛けてリリース方向へ引くプルロッドでもよい。
遠心クラッチは、例えば、複数の第1摩擦板及び複数の第2摩擦板を有し、回転軸線方向に交互に配置される多板式クラッチである。ただし、遠心クラッチは、1つの第1摩擦板及び1つの第2摩擦板を有する単板式クラッチであってもよい。第1プレッシャプレートが、第1摩擦板及び第2摩擦板のうち一方の摩擦板を他方の摩擦板に回転軸線と平行な押付方向に押し付ける場合、第1プレッシャプレートが、第1摩擦板を第2摩擦板に押し付けてもよく、また、第1プレッシャプレートが、第2摩擦板を第1摩擦板に押し付けてもよい。また、多板式クラッチにおける第1プレッシャプレートが、複数の第2摩擦板と複数の第1摩擦板を押し付け合うようにしてもよい。
第2プレッシャプレートは、例えば、1つの部材で形成される。第2プレッシャプレートは、例えば、複数の部材で構成されてもよい。第2プレッシャプレートは、例えば、摩擦板を押し付ける部材と、移動範囲規制部に当たる部材とで構成されてもよい。
第1弾性体は、例えば、ばねで構成される。第1弾性体は、例えば、コイルばねで構成される。第1弾性体は、特に限定されず、例えば皿ばね又はゴムで構成されてもよい。第1弾性体は、第1プレッシャプレートと第1摩擦板及び第2摩擦板との間に介在しない。より詳細には、第1弾性体は、第1プレッシャプレートと第1摩擦板及び第2摩擦板との間に機械的に直列に接続されないように設けられている。より詳細には、第1弾性体は、第1弾性体と、第1摩擦板及び第2摩擦板とが、第1プレッシャプレートに対し機械的に並列に接続されるように設けられている。
第2弾性体は、例えば、ばねで構成されている。第2弾性体は、例えば、皿ばねで構成されている。第2弾性体は、特に限定されず、例えば、コイルばね又はゴムで構成されてもよい。
第3弾性体は、例えば、ばねで構成される。第3弾性体は、例えば、コイルばねで構成される。第3弾性体は、特に限定されず、例えば皿ばね又はゴムで構成されてもよい。
第1プレッシャプレート駆動部は、第2プレッシャプレートに設けられている。第1プレッシャプレート駆動部は、特に限定されず、例えば、第1プレッシャプレートに設けられてもよい。また、第1プレッシャプレート駆動部は、例えば、第2プレッシャプレート及び第1プレッシャプレートの両方に設けられてもよい。
第1プレッシャプレート駆動部は、例えば斜面部である。例えば、第1のウェイトは、第1プレッシャプレート駆動部に沿って外方へ移動する。ただし、第1プレッシャプレート駆動部は、特に限定されず、例えば第1のウェイトに外方へ押されて外方へ移動する、第1のウェイトとは異なる移動部材を有してもよい。
移動範囲規制部は、例えば、段差である。移動範囲規制部は、特に限定されず、例えば、突起又はボルトといった部材の組合せでもよい。
操作可能な遠心クラッチは、例えば、外部から受ける操作力によって動作することが可能な遠心クラッチである。操作可能な遠心クラッチは、回転の遠心力によって接続状態となっている場合でも、操作力によってリリース状態になることができる。操作可能な遠心クラッチは、例えば、ライダーに操作されるクラッチレバーが出力する操作力によって動作するように構成されたマニュアル操作型(MT)遠心クラッチである。即ち、遠心クラッチは、クラッチレバーがライダーから受ける操作力によって動作するように構成されたマニュアル操作型遠心クラッチである。操作可能な遠心クラッチは、機械式ワイヤに限らず、例えば、油圧を介して伝達される操作力によって動作してもよい。また、操作可能な遠心クラッチは、例えば、電動アクチュエータが出力する操作力によって動作してもよい。遠心クラッチは、例えば、クラッチレバー又はシフトペダルの操作状態の検出、あるいは、鞍乗型車両の走行状態に応じて動作する電動アクチュエータが発生する操作力を受けて動作してもよい。
第2プレッシャプレートと第1プレッシャプレートが互いに対面することは、第2プレッシャプレートと第1プレッシャプレートが互いに並行である構成、及び、互いに斜めの関係である状態を含む。
アクチュエータは、電気又は油圧といった種々のエネルギーを機械的な動きに変換する駆動装置である。アクチュエータは、例えば、電気モータ、ソレノイドアクチュエータ、又は油圧シリンダである。例えば、単に機械的な力の向きを変換する機構はアクチュエータに含まれない。
相対移動機構の第2のウェイトは、第2プレッシャプレートの回転力を受けることにより回転軸線周りに回転する。第2のウェイトは、例えば第2プレッシャプレートの回転力を直接受ける。第2のウェイトは、例えば変位部材といった相対移動機構を構成する部品を介して第2プレッシャプレートの回転力を受けてもよい。
相対移動機構が、第2プレッシャプレートと操作力伝達部材の間に介在するとは、相対移動機構を構成する部材の少なくとも一部が、操作力伝達部材から第2プレッシャプレートに伝達される操作力の伝達経路中に配置されることである。
操作力伝達部材と第2プレッシャプレートとの間に生じる隙間とは、操作力伝達部材から第2プレッシャプレートに伝達される操作力の伝達経路中に生じる隙間である。隙間が生じている場合、操作力伝達部材からの操作力は、第2プレッシャプレートに伝達されない。また、操作力伝達部材又は第2プレッシャプレートに接触する部品であっても、操作力の伝達に寄与しない部品(例えばケース)との間に生じる空間は、上記の隙間に該当しない。
本明細書にて使用される専門用語は特定の実施例のみを定義する目的であって発明を制限する意図を有しない。本明細書にて使用される用語「および/または」はひとつの、または複数の関連した列挙された構成物のあらゆるまたはすべての組み合わせを含む。本明細書中で使用される場合、用語「含む、備える(including)」「含む、備える(comprising)」または「有する(having)」およびその変形の使用は、記載された特徴、工程、操作、要素、成分および/またはそれらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、および/またはそれらのグループのうちの1つまたは複数を含むことができる。本明細書中で使用される場合、用語「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」および/またはそれらの等価物は広く使用され、直接的および間接的な取り付け、接続および結合の両方を包含する。さらに、「接続された」および「結合された」は、物理的または機械的な接続または結合に限定されず、直接的または間接的な電気的接続または結合を含むことができる。他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術および本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されることはない。本発明の説明においては、技術および多数の工程が開示されていると理解される。これらの各々は個別の利益を有し、それぞれは、他の開示された技術の1つ以上、または、場合によっては全てと共に使用することもできる。したがって、明確にするために、この説明は、不要に個々のステップの可能な組み合わせをすべて繰り返すことを控える。それにもかかわらず、明細書および特許請求の範囲は、そのような組み合わせがすべて本発明および請求項の範囲内にあることを理解して読まれるべきである。以下の説明では、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細を述べる。しかしながら、当業者には、これらの特定の詳細なしに本発明を実施できることが明らかである。本開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面または説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
本発明によれば、摩耗によるクラッチレバーの接続位置の変化を自らの動作で抑えつつ、走行開始時と走行中でクラッチレバーの接続位置の変化も自らの動作で抑えることができる遠心クラッチ、及び鞍乗型車両を実現することができる。
本発明の第一実施形態に係る遠心クラッチを概略的に示す断面図である。 クランク軸が回転している場合の遠心クラッチの状態を説明する断面図である。 図2の状態よりも大きな速度で回転する遠心クラッチの状態を説明する断面図である。 図2の状態の遠心クラッチがクラッチレバーの操作によってリリース状態になることを説明する図である。 本実施形態に対する比較として、相対移動機構を有さない参考例を示す断面図である。 本発明の第二実施形態に係る遠心クラッチの第1回転部材の回転速度と、第1のウェイトの変位量との関係を示すグラフである。 本発明の第三実施形態に係る遠心クラッチを概略的に示す断面図である。 図7の状態よりも大きな速度で回転する遠心クラッチの状態を説明する断面図である。 本発明の第四実施形態に係る遠心クラッチを概略的に示す断面図である。 (a)~(d)は、図9の遠心クラッチのI-I′における断面図である。 実施形態の遠心クラッチの実施例を示す図であり、(a)は、回転軸線方向の断面図であり、(b)は、(a)における相対移動機構を押付方向に見た図である。 実施形態の遠心クラッチの適用例である鞍乗型車両を示す側面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明される。
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係る遠心クラッチを概略的に示す断面図である。図1には、遠心クラッチの回転軸線Axを含む断面が示されている。図1には、エンジンEGの一部、トランスミッションMTの一部、及びクラッチレバーLVも示されている。図1では、各部の動作を分かりやすくするため、共に一体となって動く複数の部材の境界線の一部は省略され、共通のハッチングが付されている。
図1に示す遠心クラッチ10は、動力源であるエンジンEGの回転駆動力をトランスミッションMTに伝達する部品である。より詳細には、遠心クラッチ10は、エンジンEGの回転駆動力がトランスミッションMTに伝達される接続状態と、回転駆動力の伝達が切断されるリリース状態とを有する。遠心クラッチ10は、接続状態と、リリース状態とを切り替える。
遠心クラッチ10は、エンジンEGの回転駆動力の一部を伝達する、いわゆる半クラッチ状態も有する。但し、本明細書では、分かりやすさのため、特に明示しない限り、摩擦板の係合が完了した状態を「接続状態」として説明する。
遠心クラッチ10は、多板クラッチである。
遠心クラッチ10は、第1回転部材111と、第2回転部材112と、複数の第1摩擦板113と、複数の第2摩擦板114と、第1プレッシャプレート115と、第2弾性体116と、第2プレッシャプレート117とを備える。遠心クラッチ10は、また、移動範囲規制部118と、第1弾性体119と、操作力伝達部材121と、第1プレッシャプレート駆動部122と、第1のウェイト123と、相対移動機構130とを備える。
第1回転部材111は、エンジンEGの回転駆動力を受けて回転する部材である。第1回転部材111は、例えばクラッチハウジングである。第1回転部材111は、エンジンEGの出力軸であるクランク軸CLから回転駆動力を受けて回転するように構成されている。第1回転部材111は、クラッチ入力ギア111aを有する。クラッチ入力ギア111aは、クランク軸CLに設けられたクランクギアGと係合している。第1回転部材111は、エンジンEGのクランク軸CLとともに回転する。第1回転部材111は、クラッチ入力ギア111aとクランクギアGとのギア比によって、クランク軸CLの速度よりも遅い速度で回転する。
第2回転部材112は、第1回転部材111に対し相対回転可能に設けられている。第1回転部材111と第2回転部材112は、共通の回転軸線Axを中心として回転するように構成されている。第2回転部材112は、例えば、クラッチボスである。
第1摩擦板113は、第1回転部材111と一体に回転するように構成されている。第1摩擦板113は、駆動プレートとして機能する。第2摩擦板114は、第2回転部材112と一体に回転する。第2摩擦板114は、被駆動プレートとして機能する。
第1摩擦板113及び第2摩擦板114のそれぞれは、環状のプレートである。第1摩擦板113及び第2摩擦板114は、交互に並んで配置されている。
第1プレッシャプレート115は、第1摩擦板113及び第2摩擦板114のうち一方の摩擦板を他方の摩擦板に回転軸線Axと平行な押付方向Pに押し付ける部材である。第1プレッシャプレート115は、環状のプレートである。第1プレッシャプレート115は、第1回転部材111と一体で回転する。第1プレッシャプレート115は、第1回転部材111に対し、回転軸線Axの方向に移動可能である。
第1プレッシャプレート115は、第1摩擦板113及び第2摩擦板114を押付方向Pに押し付ける。これによって、第1摩擦板113及び第2摩擦板114が相互に押付け合うように接触する。第1摩擦板113と第2摩擦板114の摩擦によって、第1摩擦板113の回転駆動力が第2摩擦板114に伝達される。即ち、第1摩擦板113及び第2摩擦板114が相互に係合する。
第2弾性体116は、第1回転部材111に取り付けられている部材である。第2弾性体116は、例えば、環状の皿ばねで構成されている。第2弾性体116の一部は、第1回転部材111に固定されている。第2弾性体116は、第1回転部材111と一体に回転するように設けられている。第2弾性体116は、第1プレッシャプレート115を押付方向Pへ付勢する。
第2弾性体116と第1プレッシャプレート115の間には第2プレッシャプレート117及び第1のウェイト123が介在している。
第2プレッシャプレート117は、第1回転部材111と一体に回転するように設けられている。但し、第2プレッシャプレート117は、第1回転部材111に対し、押付方向Pまたはリリース方向Rへ相対移動可能に設けられている。
第2プレッシャプレート117は、第2弾性体116に付勢される。第2プレッシャプレート117は、第2弾性体116からの押付方向Pの付勢力を第1プレッシャプレート115へ伝達する。
移動範囲規制部118は、第2プレッシャプレート117の押付方向Pへの移動の範囲を規制するように構成されている。移動範囲規制部118は、例えば、第1回転部材111に設けられた段差である。第2プレッシャプレート117は、押付方向Pへ移動すると移動範囲規制部118に当たる。移動範囲規制部118は、移動範囲規制部118に当たる位置よりも押付方向Pへ移動することができない。
第1弾性体119は、第1プレッシャプレート115をリリース方向Rへ付勢する。リリース方向Rは、押付方向Pとは逆の方向である。第1弾性体119は、第1プレッシャプレート115と第1摩擦板113及び第2摩擦板114との間に介在しない。第1弾性体119と、第1摩擦板113及び第2摩擦板114とは、第1プレッシャプレート115に対し機械的に並列に接続される。
第1弾性体119は、クランク軸CLの回転速度がアイドリング速度といった比較的低い速度範囲にある場合に、遠心クラッチ10をリリース状態にするように構成される。第1弾性体119は、例えば、コイルバネで構成される。
遠心クラッチ10は、クラッチレバーLVの操作に応じて動作する。操作力伝達部材121は、クラッチレバーLVの操作による操作力を受け、第2プレッシャプレート117をリリース方向Rへ変位させるように構成される。操作力伝達部材121は、第2弾性体116の押付力に抗して第2プレッシャプレート117をリリース方向Rへ変位させる。
第1プレッシャプレート駆動部122は、例えば、第2プレッシャプレート117に設けられている。第1プレッシャプレート駆動部122は、第1プレッシャプレート115と対面する面に設けられている。第1プレッシャプレート駆動部122は、カム面として機能するように構成されている。第1プレッシャプレート駆動部122は、径方向における外方ほど第2プレッシャプレート117および第1プレッシャプレート115の間隔が小さくなるように形成されている。外方は、回転軸線Axから遠ざかる方向である。
第1のウェイト123は、第1プレッシャプレート115と第2プレッシャプレート117の間に設けられている。第1のウェイト123は、第1回転部材111及び第1プレッシャプレート115と一体に回転する。より詳細には、第1のウェイト123は、第1プレッシャプレート115及び第2プレッシャプレート117と一体に回転する。第1のウェイト123は、第1回転部材111及び第1プレッシャプレート115に対し、径方向へ移動可能に設けられている。より詳細には、第1のウェイト123は、第1プレッシャプレート115及び第2プレッシャプレート117に対し、径方向へ移動可能に設けられている。
図1は、エンジンEGの停止状態またはアイドリング状態を示している。エンジンEGが停止状態の場合、第1のウェイト123は回転していない。第1のウェイト123には遠心力が生じない。また、エンジンEGがアイドリング状態の場合、第1のウェイト123はアイドリング状態に応じた回転速度で回転する。この場合、第1のウェイト123には遠心力が生じる。しかし、第1弾性体119の力に抗して第1プレッシャプレート115を押付方向Pに移動させる程度の遠心力は生じない。このため、エンジンEGの停止状態またはアイドリング状態において、第1のウェイト123は、図1に示すように、初期位置L1に配置されている。
相対移動機構130は、操作力伝達部材121と第2プレッシャプレート117の間に生じる隙間を小さく又は無くすように操作力伝達部材121を第2プレッシャプレート117に対し相対的に移動させる。
相対移動機構130は、操作力伝達部材121をアクチュエータによらずに移動させる機構である。
相対移動機構130は、操作力伝達部材121と第2プレッシャプレート117の間に介在している。
相対移動機構130は、第1のウェイト123が第2プレッシャプレート117をリリース方向Rへ移動させるときに、操作力伝達部材121を第2プレッシャプレート117に対し相対的に移動させるように構成されている。より詳細には、相対移動機構130は、操作力伝達部材121と第2プレッシャプレート117の間に生じる隙間を小さく又は無くすように操作力伝達部材121を第2プレッシャプレート117に対し相対的に移動させる。図1に示す例において、第1のウェイト123が第2プレッシャプレート117をリリース方向Rへ移動させるときに、相対移動機構130は、操作力伝達部材121を第2プレッシャプレート117に対し相対的に押付方向Pへ移動させる。
より詳細には、相対移動機構130は、第2のウェイト131と、第1カム部132と、を有する。
第2のウェイト131は、第2プレッシャプレート117から回転駆動力を受け、回転軸線Ax周りに、第1回転部材111及び第2プレッシャプレート117と一体に回転する。第2のウェイト131は、第2プレッシャプレート117に対し、径方向へ移動可能に設けられている。第2のウェイト131は、回転の遠心力によって外方へ移動するように構成されている。第1カム部132は、第2のウェイト131と接触することで、第2のウェイト131の外方への移動によって、操作力伝達部材121から第2プレッシャプレート117までの間の相対移動機構130の回転軸線Axの方向での長さを延長する。
また、相対移動機構130は、変位部材134を有する。変位部材134は、第2プレッシャプレート117及び第2のウェイト131と共に回転しつつ、第2プレッシャプレート117に対し回転軸線Axの方向に相対的に変位可能である。相対移動機構130は、第2のウェイト131の外方への移動を抑えるように第2のウェイト131を付勢する第3弾性体133も有する。なお、図の見やすさのため、第3弾性体133は図1のみに示され、残りの図では図示が省略される。
変位部材134は、操作力伝達部材121からの操作力が伝達される軸134aと、軸134aに固定され、軸134aから径方向に延びたワッシャ部134bとを有する。ワッシャ部134bは、操作力伝達部材121から伝達される操作力を軸134aで受け、ワッシャ部134bから第2のウェイト131に操作力を伝達する。第1カム部132は、第2プレッシャプレート117に設けられている。第1カム部132は、斜面である。第1カム部132は、外方ほど操作力伝達部材121までの、回転軸線方向Aにおける距離が小さくなるように形成されている。このため、第2のウェイト131が外方へ移動すると、第2のウェイト131が、第1カム部132に作用する。そうすると、相対移動機構130は、操作力伝達部材121を第2プレッシャプレート117に対し相対的に移動させる。これによって、操作力伝達部材121から第2プレッシャプレート117までの回転軸線方向Aにおける長さが延長される。
[動作]
図1は、エンジンEGが停止状態、又はアイドリング動作状態における遠心クラッチ10の状態を示している。即ち、図1は、車両の停止状態における遠心クラッチ10の状態を示している。図1は、遠心クラッチ10に外部からの力が作用しない場合を示している。
第2弾性体116は、第2プレッシャプレート117を押付方向Pへ付勢する。第2プレッシャプレート117は、第1のウェイト123を押付方向Pへ押す。第1のウェイト123は、第1プレッシャプレート115を押付方向Pへ押す。
第2プレッシャプレート117が押付方向Pへ移動できる範囲は、移動範囲規制部118によって規制される。また、第1のウェイト123に、第1弾性体119及び第2弾性体116の付勢力に抗して外方へ移動する程度の遠心力は、作用していない。この場合、第1のウェイト123は、初期位置L1にある。
また、第1弾性体119が、第1プレッシャプレート115をリリース方向Rへ付勢する。このため、第1プレッシャプレート115は、第1摩擦板113および第2摩擦板114を相互に係合する位置まで移動していない。つまり、遠心クラッチ10に外部からの力が作用しない場合、第1摩擦板113および第2摩擦板114は相互に係合していない。つまり、遠心クラッチ10は、リリース状態である。
移動範囲規制部118は、第1のウェイト123が初期位置L1にある場合に、第2プレッシャプレート117が第1摩擦板113および第2摩擦板114を相互に係合する位置まで移動しないように規制している。
図2は、クランク軸が回転している場合の遠心クラッチの状態を説明する断面図である。
図2における各部は、図1の各部と同じである。従って、ここでは、主に図1と異なる部分が符号を付して説明され、その他の部分については符号が省略される。
第1回転部材111が、エンジンEGの回転駆動力を受け回転すると、第1のウェイト123が、第1回転部材111の回転の遠心力を受け、第1プレッシャプレート駆動部122に沿って外方に移動する。より詳細には、第1のウェイト123が、第1弾性体119の力に抗して外方へ移動する程度の速度で回転すると、第1のウェイト123は外方に移動する。より詳細には、第1のウェイト123が、アイドリング状態の速度よりも大きい速度で回転すると、第1のウェイト123は外方に移動する。
第1のウェイト123は、第1プレッシャプレート駆動部122に沿って外方へ移動することで、第1弾性体119の付勢力に抗して、第1プレッシャプレート115を押付方向Pに移動させる。第1のウェイト123が接続位置L2にある時、第1プレッシャプレート115は、第1摩擦板113、又は第2摩擦板114を押付方向Pに押し付ける。これによって、第1摩擦板113、及び第2摩擦板114が相互に係合する。第1のウェイト123が接続位置L2まで移動することで、遠心クラッチ10が接続状態となる。
接続位置L2は、摩耗していない第1摩擦板113および第2摩擦板114が係合を完了する時の、第1のウェイト123の位置である。接続位置L2にある第1のウェイト123は、更に外方へ移動可能な余裕Mを有する。
図3は、図2の状態よりも大きな速度で回転する遠心クラッチの状態を説明する断面図である。
第1のウェイト123は、接続位置L2(図2参照)に対応する遠心力よりも大きな遠心力を受けることによって、接続位置L2よりも外方へ移動する。第1のウェイト123は、例えば、図3に示す位置L3まで移動する。
第1のウェイト123が接続位置L2よりも外方へ移動する場合、第1プレッシャプレート115は移動できない。このため、第1のウェイト123は、第1プレッシャプレート115を押す反力によって、第2プレッシャプレート117をリリース方向Rへ押す。第1のウェイト123は、第2弾性体116の付勢力に抗して第2プレッシャプレート117をリリース方向Rへ移動させる。第1のウェイト123は、第1プレッシャプレート115を押付方向Pに押し付けつつ、第2プレッシャプレート117をリリース方向Rへ移動させる。従って、遠心クラッチ10の接続状態が維持される。
例えば、遠心クラッチ10の使用期間の経過に伴い第1摩擦板113および第2摩擦板114が摩耗すると、第1摩擦板113および第2摩擦板114の回転軸線方向Aの厚みが減少する。この場合、図2に示す接続位置L2、即ち、摩耗する前に接続が完了した接続位置L2に第1のウェイト123が移動しても、第1摩擦板113および第2摩擦板114の係合が完了しない。つまり、接続が不完全となる。
しかし、遠心クラッチ10の第1のウェイト123は、図2に示す接続位置L2において、更に外方へ移動可能な余裕Mを有する。このため、第1摩擦板113および第2摩擦板114が摩耗した場合、第1のウェイト123は、図2に示す接続位置L2よりも外方へ移動することができる。これによって、摩耗した第1摩擦板113および第2摩擦板114の係合が完了できる。従って、摩耗が生じても、例えば、ねじ等の調整といった手動の操作も、電動装置による複雑な制御も無しに、接続状態が実現する。
図4は、図2の状態の遠心クラッチ10がクラッチレバーLVの操作によってリリース状態になることを説明する図である。
遠心クラッチ10が接続状態の場合、操作力伝達部材121は、クラッチレバーLVからの操作力を受け、第2プレッシャプレート117をリリース方向Rへ変位させる。操作力伝達部材121は、相対移動機構130を介して、第2プレッシャプレート117をリリース方向Rへ押す。第2プレッシャプレート117は、操作力伝達部材121及び相対移動機構130と一体にリリース方向Rへ移動する。但し、相対移動機構130は、操作力伝達部材121に対し相対的に回転する。
操作力伝達部材121は、クラッチレバーLVからの操作力によって、第2プレッシャプレート117を第2弾性体116の押付力に抗して変位させる。これによって、第1プレッシャプレート115は、第1のウェイト123及び第2プレッシャプレート117による押付けから開放される。従って、第1摩擦板113と第2摩擦板114の係合が解除される。従って、遠心クラッチ10はリリース状態になる。つまり、クラッチレバーLVの操作によって、遠心クラッチ10はリリース状態になる。
このようにして、遠心クラッチ10において、遠心力に起因した接続状態と、クラッチレバーLVの操作によるリリース状態が実現する。
相対移動機構130は、第1のウェイト123が接続位置L2よりも外方に移動することによって第2プレッシャプレート117をリリース方向Rへ移動させるときに、操作力伝達部材121を第2プレッシャプレート117に対し相対的に移動させる。相対移動機構130は、操作力伝達部材121と第2プレッシャプレート117の間に生じる隙間を小さく又は無くすように操作力伝達部材121を移動させる。
相対移動機構130の第2のウェイト131は、回転のによって、図3に示すように、外方へ移動する。
第2のウェイト131が第1カム部132に沿って外方へ移動すると、相対移動機構130は、操作力伝達部材121を第2プレッシャプレート117に対し相対的に押付方向Pへ移動させる。より詳細には、相対移動機構130の第2のウェイト131が外方へ移動すると、変位部材134が第2のウェイト131により第2プレッシャプレート117に対し相対的に押付方向Pへ押し出される。これにより、相対移動機構130の変位部材134は、操作力伝達部材121を押付方向Pへ押し出す。これによって、操作力伝達部材121から第2プレッシャプレート117までの回転軸線方向Aにおける長さが延長される。
図5は、本実施形態に対する比較として、相対移動機構を有さない参考例を示す断面図である。図5は、図3の状態と等しい速度で回転している遠心クラッチ90の状態を示す。
図5に示す状態で、第1のウェイト923は、図3の状態と等しい遠心力を受けることによって、位置L3まで移動する。この場合、第2プレッシャプレート917は、第1のウェイト923に押され、リリース方向Rへ移動する。この結果、第2プレッシャプレート917と操作力伝達部材921との間には、隙間Sが生じる。
第1のウェイト923が接続位置(図2のL2参照)にある場合、隙間Sは無いか、又は隙間Sの大きさは、本発明の実施形態の場合と実質的に等しい。図5の参考例の構成において、隙間Sは、第1のウェイト923が接続位置(図2のL2参照)よりも外方へ移動するほど増大する。
隙間Sが生じると、クラッチレバーLVの操作において、図5の実線に示す非操作位置から破線で示すリリース位置までの操作量が増大する。クラッチレバーLVの非操作位置からリリース位置までの操作量は、クラッチレバーLVの遊びに相当する。
図5の参考例の構成において、第1のウェイト923が接続位置(図2のL2参照)にある場合の隙間Sの大きさと、第1のウェイト923が位置L3まで移動した場合の隙間Sの大きさは異なる。
つまり、第1のウェイト923が接続位置(図2のL2参照)にある場合と、位置L3にある場合とで、クラッチレバーLVの遊びの量が異なる。
クラッチレバーLVの遊びは、接続位置L2のみでなく、クラッチレバーLVを操作する場合に、第2弾性体916の付勢力による反発力が生じる位置でもある。つまり、クラッチレバーLVの操作途中で、第2弾性体916による手応えが生じる位置は、第1のウェイト923が接続位置(図2のL2参照)にある場合と、位置L3にある場合とで、異なる。
図1から4に示す本発明の実施形態の相対移動機構130は、第1のウェイト123が第2プレッシャプレート117をリリース方向Rへ移動させるときに、操作力伝達部材121を第2プレッシャプレート117に対し相対的に移動させる。相対移動機構130は、操作力伝達部材121と第2プレッシャプレート117の間に生じる隙間を小さく又は無くすように操作力伝達部材121を相対的に移動させる。
このため、クラッチレバーLVの接続位置の、回転速度による変化を抑えることができる。
また、遠心クラッチ10は、ねじ等の調整操作無しに、クラッチレバーLVの操作位置における、摩耗に起因する変化を抑えることができる。つまり、遠心クラッチ10は、クラッチレバーLVの操作位置における、摩耗に起因する変化を自ら抑えることができる。
遠心クラッチ10は、第1摩擦板113および第2摩擦板114の摩耗による接続状態への影響を自ら抑えつつ、回転速度による接続位置への影響も自ら抑えることができる。
[第二実施形態]
図6は、本発明の第二実施形態に係る遠心クラッチの第1回転部材の回転速度と、第1のウェイトの変位量との関係を示すグラフである。
本実施形態における遠心クラッチ10の構成は、図1から4に示す第一実施形態と同じであり、各弾性体が特定の特性を有する。従って、各部の構成には同一の符号が付され、図1から4を参照して説明される。
グラフの横軸は、第1回転部材111の回転速度を示す。第1回転部材111の回転速度は、クランク軸CLの回転速度に対し、クラッチ入力ギア111aとクランクギアGとのギア比によって決まる。第1のウェイト123は、第1回転部材111と同じ速度で回転する。また、遠心クラッチ10の接続状態で、第2のウェイト131は、第1回転部材111と同じ速度で回転する。
グラフの縦軸は、第1のウェイト123の変位量を示す。縦軸には、図1から3に示す第1のウェイト123の位置L1,L2,L3が示されている。
また、グラフには、操作力伝達部材121から第2プレッシャプレート117までの回転軸線方向Aにおける長さも示されている。この長さは、例えば、回転軸線方向Aにおける、操作力伝達部材121と第2プレッシャプレート117の最短距離で代表される。長さは、例えば、回転軸線方向Aにおける最長距離で代表されることも可能である。
エンジンEGが始動すると、第1回転部材111は、速度N1より小さいか又は等しい速度で回転する。この回転速度は、例えば、エンジンEGのアイドリング状態である。この場合、第1のウェイト123は、図1に示す初期位置L1にある。
速度N1は、第1のウェイト123が受ける遠心力と第1弾性体119の付勢力が釣り合う速度である。
例えば、アクセル操作により、第1回転部材111の回転速度が増大し、速度N1を超えると、第1のウェイト123が第1弾性体119の付勢力に抗して外方へ移動する。第1のウェイト123が接続位置L2(図2も参照)に移動すると、遠心クラッチ10が接続状態になる。車両が走行を開始する。
第1回転部材111の回転速度が増大し、速度N3を超えると、第1のウェイト123が第2弾性体116の付勢力に抗して接続位置L2よりも外方へ移動する。第1のウェイト123は、位置L3(図3も参照)で止まる。
第2のウェイト131が受ける遠心力と第2のウェイト131の移動を抑える第3弾性体133の付勢力が釣り合う第2のウェイト131の速度N2は、第2のウェイト131が受ける遠心力に起因して第2プレッシャプレート117が受ける力と第2弾性体116の付勢力が釣り合う速度N3よりも小さい。
まず、第1回転部材111の回転速度が速度N2を超えると、相対移動機構130の第2のウェイト131が第3弾性体133の付勢力に抗して外方へ移動しようとする。相対移動機構130は、操作力伝達部材121を第2プレッシャプレート117に対し相対的に移動させようとする。しかし、この回転速度で、第2プレッシャプレート117と操作力伝達部材121との間には、隙間が生じていない。従って、操作力伝達部材121は移動せず、押付方向Pへ押付けるだけである。
次に、第1回転部材111の回転速度が速度N3を超えると、第1のウェイト123が接続位置L2よりも外方へ移動する。この時に生じ得る隙間(例えば図5のS)を小さくするか又は無くすように、相対移動機構130は、操作力伝達部材121を第2プレッシャプレート117に対し相対的に移動させる。
上述したように、速度N2は、速度N3よりも小さいので、第1回転部材111の回転速度が速度N3を超える時には、相対移動機構130が操作力伝達部材121を第2プレッシャプレート117に対し相対的に移動させることが可能である。
従って、広い速度範囲において、隙間(例えば図5のS)が生じ難い。
本実施形態によれば、広い速度範囲において、走行開始時と走行中とにおけるクラッチレバーLVの接続位置の変化が抑えられやすい。
[第三実施形態]
図7は、本発明の第三実施形態に係る遠心クラッチを概略的に示す断面図である。
図7の遠心クラッチ30の相対移動機構330は、一方向スライド機構340を有する。相対移動機構330は、軸受350を有する。軸受350は、第2プレッシャプレート117に対し、一方向スライド機構340を回転自在に支持する。
一方向スライド機構340は、第2プレッシャプレート117と操作力伝達部材121の間に介在する。一方向スライド機構340は、第2プレッシャプレート117が第1プレッシャプレート115に押されリリース方向Rへ移動する場合、伸長が自在であるように構成される。また、一方向スライド機構340は、操作力伝達部材121が操作力を受け、リリース方向Rに移動する場合の収縮が規制されるように構成される。
より詳細には、一方向スライド機構340は、スライドハウジング341と、ラチェット342と、ラチェットばね343と、伸長ばね344と、伝達部材延長部345とを備える。また、第2回転部材112には、解除部112aが設けられている。
スライドハウジング341は、軸受350を介して第2プレッシャプレート117に回転自在に支持される。スライドハウジング341は第2プレッシャプレート117と共に回転軸線方向Aに移動する。しかし、第2プレッシャプレート117が回転しても、スライドハウジング341は回転しない。
スライドハウジング341は、有底の筒状である。伝達部材延長部345は、スライドハウジング341に収容されている。伝達部材延長部345は、操作力伝達部材121から延長するように延びる部材である。
スライドハウジング341の内側面と操作力伝達部材121との間には、くさび状のラチェット342が設けられている。ラチェット342は、ラチェットばね343に付勢されることで、スライドハウジング341と操作力伝達部材121との間に押し込まれている。スライドハウジング341に対する操作力伝達部材121の移動が阻止されている。
本実施形態におけるその他の構成は、図1に示す第一実施形態と同一である。従って、共通の要素には第一実施形態と同一の符号が付され、第一実施形態と異なる点を主に説明される。
図8は、図7の状態よりも大きな速度で回転する遠心クラッチの状態を説明する断面図である。
第1のウェイト123は、接続位置L2よりも外方へ移動しながら、第2プレッシャプレート117をリリース方向Rへ移動させる。この時、一方向スライド機構340は、伸長が自在である。従って、一方向スライド機構340は、操作力伝達部材121を第2プレッシャプレート117に対し相対的に移動させる。一方向スライド機構340は、操作力伝達部材121と第2プレッシャプレート117の間に生じる回転軸線方向Aの隙間を小さく又は無くすように操作力伝達部材121を移動させる。より詳細には、伸長ばね344によって押付方向Pに付勢された伝達部材延長部345が操作力伝達部材121に向かって押し出される。
図8に示された状態で、クラッチレバーLVが操作されると、操作力伝達部材121がリリース方向Rへ移動する。この場合、一方向スライド機構340は、くさび状のラチェット342によって収縮が規制される。このため、一方向スライド機構340全体が、操作力伝達部材121と一体で、リリース方向Rへ移動する。この時、軸受350を介して一方向スライド機構340と接続された第2プレッシャプレート117が、リリース方向Rに移動する。つまり、伸長した長さが維持されたままで、クラッチレバーLVの操作に応じた第2プレッシャプレート117の移動が開始する。この結果、遠心クラッチ30はリリース状態になる。広い動作範囲において、走行開始時と走行中とにおけるクラッチレバーLVの接続位置の変化が、抑えられやすい。
なお、クラッチレバーLVが操作から解放されると、操作力伝達部材121が押付方向Pへ移動する。この時、一方向スライド機構340は、ラチェット342によって変形の規制が維持される。このため、一方向スライド機構340全体が、操作力伝達部材121と一体で、押付方向Pへ移動する。遠心クラッチ30は接続状態に戻る。
一方向スライド機構340が押付方向Pへ移動すると、ラチェット342が解除部112aに当たる。ラチェット342が解除部112aに当たることで、ラチェット342による規制が解除される。
[第四実施形態]
図9は、本発明の第四実施形態に係る遠心クラッチを概略的に示す断面図である。
図9の遠心クラッチ10の第2プレッシャプレート117は、第2カム部141を有する。第2のウェイト131は、第2プレッシャプレート117からトルクの伝達を受けて回転を加速及び減速する。第2カム部141は、第2のウェイト131に減速のトルクを伝達するとともに第2のウェイト131を径方向の内方に移動させるように第2プレッシャプレート117に形成される。
より詳細には、本実施形態の第2プレッシャプレート117の第2カム部141は、第2プレッシャプレート117の回転軸線Axを中心とする円周と斜めに交わる法線を有する平面により構成される。第2カム部141が有する平面は、径方向と斜めに交わる。第2プレッシャプレート117の回転が、クランク軸CLからトルクの伝達を受けて減速すると、第2カム部141は、第2のウェイト131に接触して減速のトルクを伝達する。この時、第2カム部141は、第2のウェイト131に内方への力を与える。これにより、第2のウェイト131は、第2カム部141に沿って内方へ移動する。
本実施形態におけるその他の構成は、図1に示す第一実施形態と同一である。従って、共通の要素には第一実施形態と同一の符号が付され、第一実施形態と異なる点を主に説明される。
相対移動機構130の第2のウェイト131は、第2のウェイト131が受ける遠心力により、外方に移動する。この時、第2のウェイト131は、第1カム部132との間に生じる摩擦力により、遠心力が減少しても外方に移動した状態を維持したまま内方に戻りにくくなる場合がある。第2カム部141は、回転の減速時、第2のウェイト131に径方向の内方への力を与える。このため、第2のウェイト131は、第1カム部132との間に摩擦力が生じていても、回転が減速する場合に径方向の内方に戻りやすい。
[動作]
図10(a)~(d)は図9の遠心クラッチのI-I’における断面図である。図10(a)~(d)は、本実施形態における遠心クラッチの動作を説明する図である。
図10(a)は、エンジンEGが停止状態における状態を示している。本実施形態の遠心クラッチ10の第2のウェイト131は、2つのウェイト131a及び131bから構成される。2つのウェイト131a及び131bは、第3弾性体133により結合され、第3弾性体133の付勢力C2により内方向に付勢されている。回転が停止している状態では、第2のウェイト131(131a、131b)には、遠心力は生じていない。この時、第1のウェイト123は、図1に示すように初期位置L1にある。第2プレッシャプレート117には、第2カム部141及び壁142が形成される。
回転が開始すると、第1回転部材111を介して第2プレッシャプレート117も回転する。この時、第2のウェイト131は、第2プレッシャプレート117に形成された壁142により、第2プレッシャプレート117が回転する方向の力F1を受け、第2プレッシャプレート117と同じ方向に回転する。第2のウェイト131(131a、131b)が回転すると、第2のウェイト131には、遠心力C1が生じる。エンジンEGがアイドリング動作状態では、第2のウェイト131に生じる遠心力C1の大きさは、第3弾性体133の付勢力C2に逆らって外方に移動することにより第1カム部132に作動力を与える程度よりも小さい。従って、エンジンEGがアイドリング動作状態において、第2のウェイト131(131a、131b)は、図10(a)に示す位置から移動していない。
図10(b)は、クランク軸CLが回転している場合の遠心クラッチ10の状態を示している。
クランク軸CLの回転速度が増加すると、図10(b)に示すように、第2のウェイト131が受ける遠心力C1が大きくなる。この時、第2のウェイト131を構成する2つのウェイト131a及び131bは、第3弾性体133の付勢力C2に抗してそれぞれ壁142に沿って外方へ移動する。クランク軸CLの回転速度が更に上昇し、例えば、第1のウェイト123が図1に示したように初期位置L1から図3に示したように位置L3まで移動すると、第2のウェイト131が第1カム部132に沿って更に外方へ移動する。そうすると、第2のウェイト131は、変位部材134を介して操作力伝達部材121を第2プレッシャプレート117に対し相対的に押付方向Pへ押し出す(図9参照)。この時、第2のウェイト131と、第1カム部132及び変位部材134との間に摩擦力が生じる。
図10(c)及び(d)は、クランク軸CLが図10(b)の状態よりも減速した遠心クラッチ10の状態を示している。クランク軸CLが減速すると、第2プレッシャプレート117も減速する。この時、図10(c)に示すように、第2カム部141は、第2のウェイト131に接触して減速のトルクを伝達する。この時、第2のウェイト131は、第2プレッシャプレート117の壁142から離れて第2カム部141に接触する。第2のウェイト131が第2カム部141に接触すると、第2のウェイト131は、第2カム部141に回転する方向の力F2を与えるとともに、反力F3を受ける。
クランク軸CLの回転速度が減少すると、2つのウェイト131a及び131bが受ける遠心力は、図10(b)の状態よりも小さくなる。この時、2つのウェイト131a及び131bには、第3弾性体133の付勢力C2により内方への力が働く。しかし、第2のウェイト131は、第1カム部132及び変位部材134との間に生じた摩擦力により、内方に戻りにくくなる場合がある。
本実施形態における第2のウェイト131は、図10(c)に示すように、第2カム部141から反力F3を受ける。これにより、2つのウェイト131a及び131bはそれぞれ第2カム部141に沿って内方に移動する。そうすると、図10(d)に示すように、2つのウェイト131a及び131bは、第1カム部132及び変位部材134との間に生じた摩擦力から解放され、第3弾性体133の付勢力により内方へ移動する。
本実施形態によれば、遠心力を受けた第2のウェイト131が元の位置よりも外方へ移動した後、遠心力が減少する時に元の位置に戻りやすい。従って、遠心力を受けた第1のウェイト123が接続位置よりも外方へ移動することにより生じた第2プレッシャプレート117の回転軸線Axの方向の変位が、遠心力の減少時に戻りやすい。そのため、走行開始時と走行中とにおける接続位置の変化をより精密に抑えることができる。従って、例えば走行開始時と走行中とにおける接続位置の変化が、抑えられやすい。
[実施例]
図11は、上述した実施形態の遠心クラッチの実施例を示す図である。図11(a)は、回転軸線方向の断面図であり、図11(b)は、図11(a)における相対移動機構130を押付方向Pに見た図である。本実施例では、主に相対移動機構130の動作が説明される。図11の遠心クラッチの各要素には、第一実施形態から第4実施形態と共通の符号が付される。
本実施例における第1カム部132は、変位部材134に設けられている。より詳細には、変位部材134のワッシャ部134bの周縁の一部が肉厚に形成されている。第1カム部132は、ワッシャ部134bの肉厚部分の斜面で構成されている。
また、第2カム部141は、第2プレッシャプレート117に設けられている。より詳細には、第2プレッシャプレート117に、回転軸線方向Aに貫通する穴143が設けられている。穴143に、第2カム部141及び壁142が設けられている。
第2のウェイト131は、突出部131cを有する。突出部131cは、第2プレッシャプレート117の穴143に受容されている。突出部131cは、第2カム部141の作用を受けるカムフォロワとして機能する。
クランク軸CLの回転速度の増加に伴い、第1回転部材111とともに第2プレッシャプレート117の回転速度が増加すると、第2のウェイト131が外方に移動する。このため、変位部材134は、第2プレッシャプレート117に対して押付方向Pに相対的に移動する。また、第2のウェイト131が外方に移動する時、突出部131cは壁142に沿って外方に移動する。
図11(b)において、外方に移動した第2のウェイト131(131a,131b)の位置X1が細線で示されている。この状態における突出部131cの位置X2も細線で示される。
クランク軸CLの回転速度が減少すると、第2のウェイト131は、第2プレッシャプレート117に対して相対的に回転した姿勢になる。例えば、2つのウェイト131a,131bの間の基準線Y1が、Y2に示すように回転する。
この時、第2のウェイト131の突出部131cは、第2カム部141に接触して、第2カム部141に沿って内方に移動する。また、第2のウェイト131は、第3弾性体133の付勢力により内方に移動する。第2のウェイト131が第2カム部141の作用を受けることで、内方への移動が促進される。
図11(b)において、内方に移動した第2のウェイト131(131a)の位置X3が二点鎖線で示され、突出部131cの位置X4も二点鎖線で示される。
クランク軸CLの回転速度が再度増加すると、第2のウェイト131は、第2プレッシャプレート117に対して第2プレッシャプレート117が回転する方向と逆の方向に相対的に回転して元の位置に戻る。この時、第2のウェイト131の突出部131cは、壁142に接触する。その後、回転速度がさらに増加すると、第2のウェイト131は、突出部131cが壁142に沿って外方に移動する。
[適用例]
図12は、実施形態の遠心クラッチの適用例である鞍乗型車両を示す側面図である。
図12に示す鞍乗型車両1は、本発明の一実施形態でもある。
図12に示す鞍乗型車両1は、自動二輪車である。
鞍乗型車両1は、エンジンEGと、トランスミッションMTと、遠心クラッチ(10,30)とを備える。
遠心クラッチ(10,30)は、エンジンEGの回転駆動力をトランスミッションMTに伝達する。トランスミッションMTは、鞍乗型車両1の運転者の足に依って操作される。
鞍乗型車両1は、クラッチレバーLV、及び、駆動輪5も備える。クラッチレバーLV、は、鞍乗型車両1の運転者の手によって操作される。遠心クラッチ(10,30)は、クラッチレバーLVの操作に応じて、エンジンEGからトランスミッションMTへの回転駆動力を伝達する接続状態と、伝達がリリースされるリリース状態とを切り替える。遠心クラッチ(10,30)は、また、エンジンEGの回転速度に応じて接続状態と、リリース状態とを切り替える。
トランスミッションMTは、回転駆動力を駆動輪5に伝達する。鞍乗型車両1は、駆動輪5の駆動により、走行する。
1 鞍乗型車両
5 駆動輪
10,30 遠心クラッチ
111 第1回転部材
112 第2回転部材
113 第1摩擦板
114 第2摩擦板
115 第1プレッシャプレート
117 第2プレッシャプレート
118 移動範囲規制部
121 操作力伝達部材
122 第1プレッシャプレート駆動部
123 第1のウェイト
130,330 相対移動機構
131 第2のウェイト
132 第1カム部
133 第3弾性体
134 変位部材
141 第2カム部
340 一方向スライド機構

Claims (7)

  1. 動力源の回転駆動力をトランスミッションに伝達する操作可能な遠心クラッチであって、
    前記遠心クラッチは、
    前記動力源の回転駆動力を受ける第1回転部材と一体に回転する第1摩擦板と、
    第2回転部材と一体に回転する第2摩擦板と、
    前記第1摩擦板及び前記第2摩擦板のうち一方の摩擦板を他方の摩擦板に回転軸線と平行な押付方向に押し付け前記第1摩擦板および前記第2摩擦板を相互に係合させる第1プレッシャプレートと、
    前記第1プレッシャプレートと前記第1摩擦板及び前記第2摩擦板との間に介在せずに、前記第1プレッシャプレートを前記押付方向とは逆のリリース方向へ付勢するように配置された第1弾性体と、
    前記回転軸線上において前記第1プレッシャプレートと互いに相対移動可能に配置された第2プレッシャプレートと、
    前記第2プレッシャプレートを前記押付方向へ付勢する第2弾性体と、
    前記第2プレッシャプレートの前記押付方向への移動の範囲を規制する移動範囲規制部と、
    前記遠心クラッチをリリースするための操作力を受けることにより、前記リリース方向へ前記第2プレッシャプレートを押すことにより、前記第2プレッシャプレートを前記第2弾性体の付勢力に抗して前記リリース方向へ変位させる操作力伝達部材と、
    前記回転軸線の方向における前記第2プレッシャプレートと前記第1プレッシャプレートの間に配置され、前記第1回転部材の回転の遠心力を受け前記回転軸線の径方向の外方に移動する第1のウェイトと、
    前記第1のウェイトの前記外方への移動に応じて、前記第1プレッシャプレートを前記押付方向に押し付けるように構成された第1プレッシャプレート駆動部と
    を備えた遠心クラッチであって、
    次のことを特徴とする:
    前記第1のウェイトは、前記遠心力を受け前記第1弾性体の付勢力に抗して前記第1プレッシャプレートを前記押付方向に移動させながら前記外方へ移動することで、更に前記外方へ移動可能な余裕を有しつつ前記第1摩擦板および前記第2摩擦板の係合を完了する接続位置へ移動し、更に大きな前記遠心力を受けることによって前記接続位置よりも前記外方へ移動することで前記第2弾性体の付勢力に抗して前記第2プレッシャプレートを前記リリース方向へ移動させ、
    前記遠心クラッチは、前記第1のウェイトが前記接続位置よりも前記外方に移動することによって前記第2プレッシャプレートを前記リリース方向へ移動させるときに、前記操作力伝達部材と前記第2プレッシャプレートの間に生じる隙間を小さく又は無くすように前記操作力伝達部材を前記第2プレッシャプレートに対し相対的にアクチュエータによらずに移動させる相対移動機構を更に備える、
    遠心クラッチ。
  2. 請求項1に記載の遠心クラッチであって、
    前記相対移動機構は、前記第2プレッシャプレートと前記操作力伝達部材の間に介在し、第2のウェイトと、第1カム部とを有し、
    前記第2のウェイトは、前記回転軸線周りに回転し、回転の遠心力によって前記外方へ移動し、
    前記第1カム部は、前記第2のウェイトと接触することで、前記第2のウェイトの前記外方への移動によって、前記操作力伝達部材から前記第2プレッシャプレートまでの間の前記相対移動機構の前記回転軸線の方向での長さを延長する、
    遠心クラッチ。
  3. 請求項2に記載の遠心クラッチであって、
    前記相対移動機構は、前記第2プレッシャプレート及び第2のウェイトと共に回転しつつ、前記第2プレッシャプレートに対し前記回転軸線の方向に相対的に変位可能な変位部材を有し、
    前記第1カム部は、前記第2プレッシャプレート及び前記変位部材の少なくとも何れかに設けられる、
    遠心クラッチ。
  4. 請求項2に記載の遠心クラッチであって、
    前記第2のウェイトが受ける遠心力と前記第2のウェイトの移動を抑える第3弾性体の付勢力が釣り合う前記第2のウェイトの回転速度は、前記第2プレッシャプレートが受ける遠心力と前記第2弾性体の付勢力が釣り合う回転速度よりも小さい、
    遠心クラッチ。
  5. 請求項1に記載の遠心クラッチであって、
    前記相対移動機構は、
    前記第2プレッシャプレートと前記操作力伝達部材の間に介在し、前記第2プレッシャプレートが前記第1プレッシャプレートに押され前記リリース方向へ移動する場合の伸長が自在であり、前記操作力伝達部材が前記操作力を受け前記リリース方向に移動する場合の収縮が規制される一方向スライド機構を有する、
    遠心クラッチ。
  6. 請求項2に記載の遠心クラッチであって、
    前記第2のウェイトは、前記第2プレッシャプレートからトルクの伝達を受けて回転を加速及び減速し、
    前記第2プレッシャプレートは、前記第2のウェイトに減速のトルクを伝達するとともに前記第2のウェイトを前記径方向の内方に移動させるように形成された第2カム部を有する、
    遠心クラッチ。
  7. 鞍乗型車両であって、
    前記鞍乗型車両は、
    動力源と、
    トランスミッションと、
    前記動力源の回転駆動力を前記トランスミッションに伝達する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の遠心クラッチと、を備える
    鞍乗型車両。
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