JP7443305B2 - 電力系統システム - Google Patents

Description

ここに開示される技術は、電力系統システムおよび該電力系統システムを用いた電力需給調整方法に関する。

近年、電力会社等が管理する送配電施設における電力需給バランスの調整に一般ユーザーが協力し、その見返りとして一定のインセンティブ（金銭、ポイント等）が付与されるという電力需給調整方法が提案されている。かかる電力需給調整方法では、送配電施設において電力需給バランスが崩れた際に、繰り返し充放電が可能な大型の蓄電池を有しているユーザーに対して電力需給の要請が通知される。かかる要請に応じる場合、ユーザーは、自らが所有する蓄電池を電力需給管理装置等に接続し、当該電力需給管理装置を介して蓄電池と送配電施設との間で電力需給を実施する。そして、かかる電力需給管理装置は、電力需給量に応じてユーザーにインセンティブを付与する。

上述した電力需給管理装置の一例が、特許文献１に開示されている。特許文献１に記載の電力需給管理装置は、蓄電池の現在の状態を示す状態情報を取得する状態電力需給情報取得部と、状態情報から蓄電池の消耗の程度を示す性能指標（蓄電池の劣化度）を算出する性能算出部と、蓄電池を送配電システムの電力需給調整手段として提供する提供者に対し、性能指標の値に応じたインセンティブを付与するインセンティブ付与部とを備えている。かかる電力需給管理装置では、蓄電池の劣化度が高い蓄電池を所有するユーザーに対して、高いインセンティブを付与する。これにより、蓄電池の劣化等を懸念して電力需給調整への参加を躊躇するユーザーに対して、電力需給調整への参加を促すことができる。

また、特許文献２には、充放電スポットと、データセンタと、パワーアグリゲータとを備え、パワーアグリゲータは、電気自動車の現在位置情報、充電状態情報、および充放電スポットの位置情報をもとに各電気自動車の蓄電池に充放電する必要性の程度を順位づけしその順位を表すランキングリストを作成する。そして、パワーアグリゲータは、当該ランキングリストに従って移動中の電気自動車を充放電スポットに誘導することが開示されている。

特開２０２０－４２６８６号公報 特許第５５２９８９４号

しかしながら、特許文献１および２に記載される技術においては、送配電施設の電力需給バランスの崩れが大きいとき、すなわち、電力需給が必要なタイミングにおいて、電力需給調整に積極的に協力するユーザーの確保については検討されていなかった。

本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、電力需給調整が必要とされるタイミングにおいて充放電を実施する電動車両のユーザーを好適に確保する電力系統システムを提供することにある。また他の目的は、かかる電力系統システムを用いた電力需給調整方法を提供することにある。

上記目的を実現するべく、ここに開示される技術によって、以下の電力系統システムが提供される。ここに開示される電力系統システムは、送配電施設から電力需給情報を取得する電力需給情報取得部と、上記電力需給情報に基づいて緊迫度または余剰度を算出し、該緊迫度または余剰度に基づいて第１ランクポイントを算出する第１算出部と、電動車両のユーザーに少なくとも上記算出した第１ランクポイントに関する情報を含む充放電要請通知を送信する通信部と、上記電動車両の充放電量を管理する充放電管理部と、上記充放電管理部が把握するデータに基づいて充放電量を取得し、該充放電量に基づいて第２ランクポイントを算出する第２算出部と、上記第１算出部が算出した第１ランクポイントと、上記第２算出部が算出した第２ランクポイントに基づくランクを設定するランク設定部と、上記ランクに基づいて上記電動車両のユーザーに付与するためのインセンティブを算出するインセンティブ管理部と、を備える。

上述した構成の電力系統システムでは、第１ランクポイントおよび第２ランクポイントが算出され、当該ランクポイントに基づくランクが設定される。そして、該ランクに基づいて電動車両のユーザーに付与するためのインセンティブを算出される。ここで、ランクとは、電力需給調整が必要なタイミングにおいて積極的に電力需給調整に参加する協力的な電動車両またはユーザーを示す指標である。また、第１ランクポイントとは、緊迫度または余剰度に基づいて算出されるポイントである。言い換えれば、電力需給調整が必要なタイミングにおいて電力需給調整に協力するユーザーに対して付与すべきポイントとして第１ランクポイントが算出される。第２ランクポイントとは、充放電量に基づいて算出されるポイントである。言い換えれば、電力需給調整が必要なタイミングにおいて充放電を実施したユーザーに対して付与すべきポイントとして第２ランクポイントが算出される。かかる構成によれば、電動車両のユーザーはランク（すなわち、必要なタイミングで電力需給調整に協力的であるか否か）に応じたインセンティブを獲得することができる。これにより、電力需給調整が必要なタイミングにおいて、充放電を積極的に実施する電動車両のユーザーを好適に確保することができる。

ここに開示される電力系統システムの好適な一態様においては、上記第１算出部は、上記緊迫度または余剰度が高いほど、上記算出される第１ランクポイントが高くなるように設定する。
かかる構成によれば、緊迫度または余剰度が高いときに積極的に協力するユーザーに対してより多くの第１ランクポイントが算出される。これにより、電力需給調整が必要なタイミングにおいて充放電を実施する電動車両のユーザーを好適に確保することができる。

ここに開示される電力系統システムの好適な一態様においては、上記電力需給情報取得部において取得される電力需給情報には、少なくとも電力需要予測量と電力供給予測量とが含まれており、上記第１算出部は、上記電力需要予測量が上記電力供給予測量を上回る場合には上記緊迫度を算出し、上記第１ランクポイントを第１レートに基づいて算出するように構成され、上記電力供給予測量が上記電力需要予測量を上回る場合には上記余剰度を算出し、上記第１ランクポイントを上記第１レートよりも低い第２レートに基づいて算出するように構成される。
かかる構成によれば、緊迫度が高い場合には第１ランクポイントが特に高く算出される。これにより、緊迫度が高いときにより多くの電動車両のユーザーに対して電力需給調整への参加を促すことができる。

ここに開示される電力系統システムの好適な一態様においては、上記充放電要請通知の送信先を選択する選択部をさらに含み、上記選択部は、上記送信先を上記ランクが高い上記電動車両のユーザーから順番に選択するように構成される。
かかる構成によれば、電力需給調整が必要なタイミングにおいて積極的に充放電を実施して協力する電動車両のユーザーに対して、優先的に充放電に関する情報が送信される。これにより、電力需給調整が必要なタイミングにおいて充放電を実施する可能性が高いユーザーを優先的に充放電装置へ誘導することができる。このため、電力需給バランスをより迅速に安定化させることができる。

また、他の側面において、ここに開示される電力需給調整方法を提供する。ここに開示される電力需給調整方法は、電動車両を用いて送配電施設の電力需給バランスを調整する電力需給調整方法であって、上記送配電施設から電力需給情報を取得するステップと、上記電力需給情報に基づいて緊迫度または余剰度を算出するステップと、上記算出した緊迫度または余剰度に基づいて第１ランクポイントを算出するステップと、上記電動車両のユーザーに少なくとも上記第１ランクポイントを含む充放電要請通知を送信するステップと、上記電動車両の充放電状態を充放電管理部によって管理するステップと、上記管理される充放電状態を基に上記電動車両の充放電量を取得するステップと、上記充放電量に基づいて第２ランクポイントを算出するステップと、上記算出した第１ランクポイントおよび第２ランクポイントに基づくランクを設定するステップと、上記ランクに基づいて上記電動車両のユーザーに付与するためのインセンティブを算出するステップと、を包含する。
かかる構成によれば、緊迫度または余剰度に基づいて算出される第１ランクポイントと、充放電量に基づいて算出される第２ランクポイントとに基づいてランクが設定される。そして、かかるランクに基づいて、インセンティブが付与される。すなわち、電力需給調整が必要なタイミングにおいて積極的に電力需給調整に参加する電動車両のユーザーは、ランクに応じたインセンティブを獲得することができる。これにより、電力需給調整が必要なタイミングにおいて、充放電を積極的に実施する電動車両のユーザーを確保することができる。

ここに開示される電力需給調整方法の好適な一態様においては、上記第１ランクポイントを算出するステップは、上記電力需給情報に基づいて算出された緊迫度または余剰度が高いほど、上記第１ランクポイントを高く算出することを特徴とする。
かかる構成によれば、緊迫度または余剰度が高いとき、すなわち、電力需給調整が必要とされるタイミングにおいて充放電を実施したユーザーに対してより高い第１ランクポイントを算出する。これにより、電力需給調整が必要とされるタイミングにおいて、効果的に電力需給調整への参加を促すことができる。

ここに開示される電力需給調整方法の好適な一態様においては、上記電力需給情報を取得するステップにおいて取得される電力需給情報には、少なくとも電力需要予測量と電力供給予測量とが含まれており、上記緊迫度または余剰度を算出するステップでは、上記電力需要予測量が上記電力供給予測量を上回る場合には上記緊迫度を算出し、上記電力供給予測量が上記電力需要予測量を上回る場合には上記余剰度を算出する。また、別の好ましい一態様においては、上記第１ランクポイントを算出するステップは、上記緊迫度が算出された場合には上記第１ランクポイントを第１レートに基づいて算出し、上記余剰度が算出された場合には、上記第１ランクポイントを上記第１レートよりも低い第２レートに基づいて算出することを特徴とする。
かかる構成によれば、緊迫度が高いときに充放電を実施したユーザーに対して特に高い第１ランクポイントを算出することができる。これにより、緊迫度が高いとき、すなわち、電力需要予測量が電力供給予測量を上回り電力不足が予測されるときに送配電施設への電力の供給を特に促すことができる。

ここに開示される電力需給調整方法の好適な一態様においては、上記充放電要請通知の送信先を選択するステップをさらに含み、上記送信先として上記ランクが高い上記電動車両のユーザーから順番に選択することを特徴とする。
かかる構成によれば、電力需給調整が必要なタイミングにおいて積極的な充放電を実施する電動車両のユーザーを優先的に充放電装置へ誘導することができる。これにより、電力需給バランスをより迅速に安定化させることができる。

一実施形態に係る電力系統システムを示す概念図である。 一実施形態に係るリソースアグリゲーター、送配電施設、ユーザー端末、充放電装置を示すブロック図である。 一実施形態に係る電力系統システム緊迫度または余剰度の算出について説明する図である。 記憶部に格納されるデータベースの一例をテーブル形式で表すものである。 一実施形態に係る電力系統システムの処理手順の一例を説明するシーケンス図である。 一実施形態に係る電力系統システムの処理手順の他の一例を説明するシーケンス図である。 一実施形態に係る電力系統システムの処理手順を示すフローチャート図である。

以下、図面を参照しながらここに開示される電力系統システムの一実施形態を説明する。なお、本明細書において言及していない事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。本発明は、特に言及更ない限りにおいて、ここで説明される実施形態に限定されない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略されるものとする。

図１は、ここに開示される電力系統システムを示す概念図である。ここに開示される電力系統システム１００は、送配電施設２００の電力需給バランスの安定化に貢献するために、電動車両１０に対する充電または放電（ここでは、充放電という。）を管理するシステムである。図示は省略するが、電力系統システム１００は、電力が貯蓄される蓄電装置を備えている。電力系統システム１００は、蓄電装置に貯蓄された電力を電動車両１０へ供給（ここでは充電）すること、および、電動車両１０から電力を蓄電装置に供給（ここでは放電）することを管理する。蓄電装置に供給された電力は、特定の電力会社等に売られる。一方で、蓄電装置に貯蓄された電力は、電動車両１０のユーザーが買い取る。電力系統システム１００は、電力を売買する、すなわち、売電および買電をする際に使用されるシステムであり得る。

電力系統システム１００は、例えばクライアントサーバシステムによって実現される。ただし、電力系統システム１００は、クラウドコンピューティングによって実現されてもよい。電力系統システム１００は、図１に示すように、少なくとも電動車両１０と、ユーザー端末１５と、充放電装置２２と、リソースアグリゲーター３０と、から構成されている。

電動車両１０とは、電力をエネルギー源とした車である。電動車両１０は、輸送機器の一種であって、四輪車であってもよく、二輪車であってもよい。電動車両１０は、駆動源として蓄電池を備える電気自動車（ＥＶ）であってもよく、駆動源として蓄電池と内燃機関とを備えたハイブリッド車（ＨＶ）であってもよい。なお、本明細書における「ハイブリッド車」には、定置電源から蓄電池への充電装置を備えた、プラグインハイブリッド車（ＰＨＶ）が含まれる。電動車両１０は、蓄電池のＳＯＣ（state of charge）等を計測可能な電気系統の制御装置（ＥＣＵ：Electronic Control Unit）を備えているとよい。
ＥＣＵは、車両に搭載される蓄電池の各種状態を管理する。ＥＣＵは、蓄電池の状態を管理するために、図示されない電圧センサ、電流センサおよび温度センサ等を備えている。ＥＣＵは、例えば、蓄電池を管理するために必要な信号として、電圧センサからの端子間電圧、電流センサからの充放電電流、温度センサからの電池温度等が入力されて記憶される。ＥＣＵは、入力された信号から、電動車両１０の蓄電池のＳＯＣ状態を計測することができる。

ユーザー端末１５は、リソースアグリゲーター３０と双方向通信可能に構成されていればよい。ユーザー端末１５は、例えば電動車両１０に搭載されたカーナビゲーションシステムであってもよいし、ユーザーが使用するスマートフォン、タブレット端末、デスクトップ型やラップトップ型のパーソナルコンピュータであってもよい。

充放電装置２２とは、電動車両１０と電気的に接続し、充放電を実施可能な装置である。充放電装置２２は、充放電スポット２０に設置されている。１つの充放電スポット２０に設置される充放電装置２２の数は、特に限定されない。すなわち、１つまたは複数の充放電装置２２が１つの充放電スポット２０に設置されている。１つの充放電スポット２０はそれぞれ、図示されない所定の管理装置によって管理されている。すなわち、１つの充放電スポット２０に設置されている１つまたは複数の充放電装置２２は、同一の管理装置によって管理されている。ここで、充放電スポット２０とは、例えば、充放電装置２２が設置された駐車場のことであり得る。駐車場は、特に限定されず、例えば、商品を販売する店舗の駐車場、美容院等のサービスを提供する店舗の駐車場、大型商業施設の駐車場、住宅の駐車場等であり得る。

リソースアグリゲーター３０とは、ここでは、電力系統システム１００を管理するものをいう。リソースアグリゲーター３０は、ユーザー端末１５、送配電施設２００、および充放電装置２２と双方向通信可能に接続されており、ユーザー端末１５、送配電施設２００、および充放電装置２２から得られる情報を一括に管理するものである。リソースアグリゲーター３０は、単一のコンピュータによって実現されていてもよいし、複数のコンピュータが共同して実現されるものであってもよい。

リソースアグリゲーター３０は、送配電施設２００の電力需給バランスを保つように電力の需給量を制御する。リソースアグリゲーター３０は、例えば、送配電施設２００の電力供給要請に応じて電力を調達し供給する。あるいは、リソースアグリゲーター３０は、送配電施設２００の電力需要要請に応じて電力を需要する。例えば、電力系統システム１００には、電動車両１０を使用または所有するユーザーが１つまたは複数登録され、かつ、電動車両１０に充放電を行う充放電装置２２が１つまたは複数登録されている、なお、電力系統システム１００には、電動車両１０自体が登録されていてもよい。電力系統システム１００は、充放電装置２２から電動車両１０へ電力を供給（ここでは充電）したり、電動車両１０から充放電装置２２へ電力を供給（ここでは放電）したりすることで、電力をマネジメントする。

なお、送配電施設２００とは、送配電施設２００に電力を供給可能な発電所から供給された電力を、電力消費施設に供給する施設である。ここで、発電所とは、例えば、火力、風力、水力、原子力、太陽光等の従来公知の発電設備を備える施設であり得る。また、電力消費施設とは、例えば、住宅、商業施設、工場、学校等の施設であり得る。

次に、ここに開示される電力系統システム１００の具体的な構成の一例について説明する。図２は、リソースアグリゲーター３０等を示すブロック図である。図２に示すように、リソースアグリゲーター３０は、制御装置３５を備えている。制御装置３５の構成は、特に限定されない。ここでは、制御装置３５は、例えば、制御を行うためのプログラムを格納したＲＯＭ（read only memory）と、該プログラムを実施可能な中央演算処理装置（central processing unit：ＣＰＵ）と、該プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるＲＡＭ（random access memory）と、上記プログラムや各種データを格納するメモリ等からなる記憶装置と、入出力ポートと、を備えている。

ここに開示される電力系統システム１００の制御装置３５は、電力需給情報取得部５１と、充放電管理部５２と、第１算出部５３と、第２算出部５４と、ランク設定部５５と、インセンティブ管理部５６と、を備えている。また、制御装置３５は、各部５１～５６に加えて、記憶部４０と、第１通信部４１と、第２通信部４２と、第３通信部４３と、車両情報取得部５７と、選択部５８と、ポイント付与部５９と、を備えている。制御装置３５を構成する各部４０～５８は、１つまたは複数のプロセッサによって実現されるものであってもよいし、回路に組み込まれているものであってもよい。

第１通信部４１は、送配電施設２００と通信可能に構成されている。送配電施設２００は、少なくとも第１通信部４１と通信可能な制御部２１０を備えている。ここでは、第１通信部４１は、例えば、送配電施設２００が備え得る制御部２１０と通信可能に接続されている。
制御部２１０には、送配電施設２００の電力需給情報Ｄ１が予め記憶されている。電力需給情報Ｄ１とは、送配電施設２００の電力需給バランスに関する情報である。ここで、電力需給情報Ｄ１は、少なくとも送配電施設２００における電力需要予測量と、電力供給予測量とを含んでいる。なお、電力需要予測量とは送配電施設２００から上述した電力消費施設へ供給される電力量の予測値であり、電力供給予測量とは上述した発電所から送配電施設２００へ供給される電力量の予測値である。

第２通信部４２は、電動車両１０を使用（所有）するユーザーのユーザー端末１５と通信可能に構成されている。第２通信部４２は、ここに開示される電力系統システムの通信部の一例である。図２に示すように、ユーザー端末１５は、画面１６と、タッチパネル、キーボードまたはマウス等のユーザーが操作して入力する入力手段１７と、端末制御部１８とを備えている。端末制御部１８は、画面１６および入力手段１７と通信可能に接続されている。ここでは、第２通信部４２は、ユーザー端末１５の端末制御部１８と通信可能に接続されている。

ユーザー端末１５には、電動車両１０の車両情報Ｄ２が予め記憶されている。ユーザー端末１５は、所定の間隔で車両情報Ｄ２をリソースアグリゲーター３０に送信するよう構成されていてもよい。車両情報Ｄ２とは、ユーザーが使用する電動車両１０に関する情報である。ここで、車両情報Ｄ２は、例えば、電動車両１０の充電状態（ＳＯＣ）や電動車両１０の現在位置情報、電動車両１０の走行予定距離等を含み得る。

第３通信部４３は、充放電スポット２０に設置された充放電装置２２と通信可能に構成されている。充放電装置２２は、ＩＤ情報検知部２３と、充放電量測定部２４と、装置制御部２５と、を備えている。装置制御部２５は、ＩＤ情報検知部２３および充放電量測定部２４と通信可能に接続されている。ここでは、第３通信部４３は、充放電装置２２の装置制御部２５と通信可能に接続されている。

ＩＤ情報検知部２３は、充放電装置２２と電気的に接続して充放電を実施した電動車両１０の車両ＩＤおよび、電動車両１０を使用（所有）するユーザーのユーザーＩＤ（以下、まとめて「ＩＤ情報」ともいう。）を検知する。充放電量測定部２４は、充放電装置２２と電気的に接続した電動車両１０が充電または放電した電力量（充放電量）を測定する。なお、ここでは、電動車両１０が充電した電力量（充電量）とは、送配電施設２００から当該電力量を需要したことを意味する。一方で電動車両１０が放電した電力量（放電量）とは、電動車両１０から送配電施設２００に対して当該電力量を供給したことを意味する。

装置制御部２５には、上記取得したＩＤ情報と充放電量とが紐づけられて充放電情報Ｄ３として記憶されている。充放電情報Ｄ３には、例えば、上記の情報に加えて、充放電を実施した充放電装置２２のＩＤ、該充放電装置２２が設置される充放電スポット２０のＩＤ等の情報が含まれていてもよい。

電力需給情報取得部５１は、上述した電力需給情報Ｄ１を取得する。電力需給情報Ｄ１は、送配電施設２００の制御部２１０において予め記憶されている。そのため、電力需給情報取得部５１は、第１通信部４１を介して電力需給情報Ｄ１を取得する。

車両情報取得部５７は、上述した車両情報Ｄ２を取得する。車両情報Ｄ２は、ユーザー端末１５の端末制御部１８において予め記憶されている。そのため、車両情報取得部５７は、第２通信部４２を介して車両情報Ｄ２を取得する。

充放電管理部５２は、充放電装置２２と電気的に接続して充放電を実施した電動車両１０の充放電量を管理する。例えば、充放電管理部５２は、充放電装置２２と電気的に接続して充放電を開始した時および終了した時に送信される充放電信号を受信するように構成されていてもよい。これにより、リソースアグリゲーター３０は、充放電装置２２と電動車両１０との間で充放電が実施されたことを確認することができ、電動車両１０の充放電量を把握することができる。

第１算出部５３は、電力需給情報取得部５１において取得された電力需給情報Ｄ１に基づいて緊迫度または余剰度を算出し、該緊迫度または余剰度に基づく第１ランクポイントを算出する。ここで、緊迫度および余剰度について説明する。図３に示すように、緊迫度および余剰度は、Ｘ時間後の電力需要予測量Ａと、Ｘ時間後の電力供給予測量Ｂとから算出される。具体的には、次の式：（Ｘ時間後の電力需要予測量－Ｘ時間後の電力供給予測量）／Ｘ；によって算出することができる。ここで、電力需要予測量が電力供給予測量を上回るときは、送配電施設２００において電力が不足することが予測される状態である。一方で、電力供給予測量が電力需要予測量を上回るときは、送配電施設２００において電力の余剰が出ることが予測される状態である。
ここに開示される電力系統システム１００の第１算出部５３は、電力需要予測量が電力供給予測量を上回る場合には緊迫度を算出し、電力供給予測量が電力需要予測量を上回る場合には余剰度を算出するように構成されている。そして、上記緊迫度または余剰度に基づいて第１ランクポイントを算出するように構成されている。かかる第１ランクポイントをより多く獲得したいと考えるユーザーは、充放電が必要とされるタイミングで電力需給調整へ参加することが見込まれる。

第１算出部５３において算出される緊迫度または余剰度が高い場合には、送配電施設２００の電力需給バランスを早急に安定化させることが求められる状況であり得る。したがって、第１算出部５３は、算出される緊迫度または余剰度の高いほど算出される第１ランクポイントが高くなるように構成されているとよい。これにより、電力需給調整が必要とされるタイミングにおいて的確に電動車両１０のユーザーに対して電力需給調整への参加を促進することができる。

また、第１算出部５３は、電力需要予測量が電力供給予測量を上回り緊迫度が算出されたときには第１ランクポイントを第１レートに基づいて算出し、電力供給予測量が電力需要予測量を上回り余剰度が算出されたときには第１ランクポイントを第１レートよりも低い第２レートに基づいて算出するように構成されていることが好ましい。ここで、第１レートおよび第２レートとは、第１ランクポイントの算出に使用される係数である。当該レートが高いほど算出される第１ランクポイントが多くなる。すなわち、上述した構成では、余剰度が算出されている場合よりも緊迫度が算出されている場合のほうが、算出される第１ランクポイントが多くなるように構成されていている。かかる構成によれば、緊迫度が高い場合には、算出される第１ランクポイントが特に多くなる。したがって、緊迫度が特に高いときは、電動車両１０のユーザーに対して電力需給調整への参加をより好適に促進することができる。これにより、緊迫度が特に高いときに電力需給調整に参加するユーザーを好適に確保することができる。

第２通信部４２は、上記算出した第１ランクポイントに関する情報を少なくとも含む充放電要請通知をユーザー端末１５に送信するように構成される。ここで、充放電要請通知とは、電動車両１０のユーザーに対して、充放電装置２２に対する充放電を要請する通知である。電動車両１０のユーザーは、自身のユーザー端末１５に提示される充放電要請通知を確認することで、自身の電動車両１０から充放電装置２２に充放電を実施するか否かを判断することができる。充放電要請通知には、第１ランクポイントに関する情報の他にも、充電または放電のどちらを要請するか、使用可能な充放電スポット２０の位置や、充放電スポット２０までの道路情報、売電または買電価格等の情報が含まれていてもよい。なお、ここで、使用可能な充放電スポット２０とは、充放電スポット２０に設置された充放電装置２２が使用されていない状態のことをいう。

第２算出部５４は、充放電管理部５２において取得された充放電量に基づく第２ランクポイントを算出する。第２ランクポイントは、電動車両１０が充放電装置２２と電気的に接続し、実際に供給（放電）または需要（充電）した電力量に基づいて算出される。すなわち、第２ランクポイントは充放電が必要とされるタイミングでユーザーに対して充放電の実施を促すことができる。

第１および第２ランクポイントとは、後述するランクの設定を構成する要素であって、ユーザー毎に付与されるポイントである。第１ランクポイントは、緊迫度または余剰度に基づいて算出され、第２ランクポイントは、充放電量に基づいて算出される。第１ランクポイントは、緊迫度または余剰度に基づくため、充放電がより必要とされるタイミングにおいて電力需給調整への参加をユーザーに促すことができる。第２ランクポイントは、充放電量に基づくため、実質的な貢献度合いを反映させることができる。このように第１および第２ランクポイントをそれぞれ算出することで、充放電が必要なタイミングで適切な充放電量を得ることができる。

ランク設定部５５は、第１算出部５３において算出された第１ランクポイントと、第２算出部５４において算出された第２ランクポイントとに基づいて、ランクを設定する。ランクは、車両ＩＤまたはユーザーＩＤに紐づいて設定される。ランクとは、電力需給調整が必要なタイミングにおいて積極的に電力需給調整に参加する協力的な電動車両またはユーザーを示す指標である。ランクは、例えば、第１ランクポイントおよび第２ランクポイントの所定の時期から現在までの合計に応じて設定されるとよい。ここでは、ユーザーＩＤに紐づくランク（以下、「ユーザーランク」ともいう。）を例として説明するが、ここに開示される技術を特に限定することを意図したものではない。

ランク設定部５５で設定されたユーザーランクは、データベースＤＢ１で管理される。データベースＤＢ１は、記憶部４０に予め記憶されている。データベースＤＢ１には、充放電管理部５２に充放電信号を送信した電動車両１０のユーザーと、ランク設定部５５において設定されたユーザーランクとが関連付けられている保存されている。図７のステップＳ６０において、ランク設定部５５がユーザーランクを設定したとき、かかるデータベースＤＢ１にユーザーランクが保存される。

図４は、記憶部４０に記憶されるデータベースＤＢ１の一例をテーブル形式で示す。データベースＤＢ１は、例えば、車両ＩＤと、ユーザーＩＤと、第１ランクポイントと、第２ランクポイントと、付与ポイントと、累計ポイントと、ユーザーランクと、を対応付ける。

車両ＩＤには、充放電装置２２に対して充放電を実施した電動車両１０の識別情報が記憶され、ユーザーＩＤには、当該電動車両１０を使用するユーザーの識別情報が記憶される。なお、ユーザーが複数の電動車両１０を使用（所有）し、複数の電動車両１０から充放電を実施した場合には、同一のユーザーＩＤに対して複数の車両ＩＤが登録されていてもよい。第１ランクポイントには、第１算出部５３において緊迫度または余剰度に基づいて算出された第１ランクポイントが記憶される。第２ランクポイントには、第２算出部５４において充放電量に基づいて算出された第２ランクポイントが記憶される。付与ポイントには、ここでは第１および第２ランクポイントの合計が記憶される。累計ポイントには、所定の時期から現在までにユーザーに付与された第１および第２ランクポイントの合計が記憶される。ユーザーランクには、ランク設定部５５が累計ポイントに基づいて設定したランクが記憶される。なお、ここでは、ユーザーが複数の車両を保有し、ユーザーごとにランクが設定をされるケースについて説明したが、車両ごとにランクが設定されてもよい。

インセンティブ管理部５６は、ランク設定部５５において設定されたランクに基づいて、充放電管理部５２に充放電信号を送信したユーザーに付与するインセンティブを算出する。具体的には、データベースＤＢ１を参照して、ランクが高い電動車両１０のユーザーにより多くのインセンティブを設定するように構成されている。

ここで、インセンティブとは、ユーザー毎に調整可能なものであって、ユーザーに電力需給への参加を促進するものであれば、特に限定されない。インセンティブは、例えば、金銭、クーポン、優待券、電気料金の割引等であり得る。例えば、具体的にクーポンとは、電動車両１０から放電する際に得られる料金を割り増しできるクーポンであってもよいし、電動車両１０を充電する際に支払う料金を割り引きできるクーポンであってもよい。ランクに応じたインセンティブが付与されることにより、電動車両１０のユーザーは、ランクをより高くするために緊迫度または余剰度が高いときに積極的に充放電を行うと推察される。

選択部５８は、上述した充放電要請通知の送信先を選択する。第２通信部４２は、選択部５８が選択した送信先に充放電要請通知を送信する。選択部５８は、例えば、車両情報取得部５７が取得する車両情報Ｄ２に基づいて送信先を選択してもよい。あるいは、上記ランクに基づいて送信先を選択してもよい。

上述した構成の電力系統システム１００によれば、緊迫度または余剰度に基づく第１ランクポイントと、実質的な充放電量に基づく第２ランクポイントとが算出され、該第１および第２ランクポイントに基づいてランクが設定される。そして、当該ランクに基づくインセンティブが算出されて付与される。これにより、より多くのインセンティブを獲得することを希望するユーザーは、緊迫度または余剰度がより高いときにより多くの充放電を実施することが推察される。このため、リソースアグリゲーター３０は、電力需給調整が必要なタイミングにおいて電力需給調整への参加に積極的なユーザーを多く確保することができる。したがって、かかる構成の電力系統システム１００によれば、送配電施設２００の電力需給バランスをより好適に調整することができる。

次いで、図１および図２に示す構成において実施される電力需給調整処理について説明する。図５および図６は、電動車両１０を用いて送配電施設２００の電力需給バランスを調整するために実施される電力需給調整処理を示すシーケンス図である。なお、図５は、電力需要予測量が電力供給予測量を上回る場合の処理を示し、図６は、電力供給予測量が電力需要予測量を上回る場合の処理を示す。

図５および図６に示すように、リソースアグリゲーター３０は、送配電施設２００から電力需給情報Ｄ１を受信する（Ｓ１）。リソースアグリゲーター３０は、電力需給情報Ｄ１に基づいて緊迫度または余剰度を算出し、該緊迫度または余剰度に基づいて第１ランクポイントを算出する（Ｓ２）。なお、図６に示すようにステップＳ２において余剰度が算出される場合には、送配電施設２００から電力が供給される。次いで、リソースアグリゲーター３０は、電動車両１０を使用するユーザーのユーザー端末１５に充放電要請通知を送信する（Ｓ３）。充放電要請通知には少なくとも算出した第１ランクポイントに関する情報が含まれる。充放電要請通知を確認し、充放電要請に応じる電動車両１０のユーザーは、自身が使用する電動車両１０を充放電装置２２に電気的に接続する。リソースアグリゲーター３０は、充放電が実施されたことを確認する（Ｓ４）。また、このときの電動車両１０と充放電装置２２との間の充電量または放電量を取得する（Ｓ５）。なお、図５に示すように、放電を確認した場合には、放電量に基づく電力を送配電施設２００に供給する。リソースアグリゲーター３０は、取得した充放電量に基づき、第２ランクポイントを算出する（Ｓ５）。そして、リソースアグリゲーター３０は上記算出した第１ランクポイントおよび第２ランクポイントからランクを設定する（Ｓ６）。最後に、リソースアグリゲーター３０は、ランクに基づいて電動車両１０のユーザーに付与するためのインセンティブを算出する（Ｓ７）。このような処理を行うことによって、電動車両１０を用いた電力需給調整が実現される。

次いで、上述した図５および図６中のＳ１～Ｓ７のステップについて、図７を用いてより詳細に説明する。図７は、ここに開示される電力需給調整のフローチャート図である。ここに開示される電力系統システム１００は、緊迫度または余剰度に応じた電力需給調整を実施するために、図５および図６中のＳ１～Ｓ７のステップを以下のように処理する。

図５および図６のＳ１において、図７のステップＳ１０を実施する。ステップＳ１０では、図２の電力需給情報取得部５１は、送配電施設２００から電力需給情報Ｄ１を取得する。ここで取得される電力需給情報Ｄ１は、上述したように送配電施設２００の電力需給バランスに関する情報であり、少なくとも送配電施設２００における電力需要予測量と、電力供給予測量とを含んでいる。

図５および図６のＳ２において、図７のステップＳ２０～Ｓ２５を実施する。ステップＳ２０～Ｓ２３は、ステップＳ１０で取得した電力需給情報Ｄ１に基づいて、緊迫度または余剰度を算出するステップである。ステップＳ２４およびＳ２５は、算出した緊迫度または余剰度に基づいて第１ランクポイントを算出するステップである。

ステップＳ２０では、図２の第１算出部５３は、電力需給情報取得部５１において取得された電力需要予測量と電力供給予測量とが等しくないか否かを判定する。電力需要予測量と電力供給予測量とが等しくない場合（ステップＳ２０：ＹＥＳ）には、ステップＳ２１に進む。ここで、電力需要予測量と電力供給予測量とが等しい場合には、電力需給バランスの状態が良好であり、緊迫度または余剰度に基づく電力需給調整処理を実施する必要がないため、処理を終了する。

ステップＳ２１では、図２の第１算出部５３は、電力需給情報取得部５１において取得された電力需要予測量が電力供給予測量を上回るか否か判定する。電力需要予測量が電力供給予測量を上回る場合（ステップＳ２１：ＹＥＳ）には、ステップＳ２２に進む。ステップＳ２２では、第１算出部５３は、緊迫度を算出する。次いで、ステップＳ２４では、第１算出部５３は、第１ランクポイントを第１レートに基づいて算出する。第１ランクポイントは、緊迫度の高さに応じて算出されるように構成されているとよい。特に限定されないが、第１ランクポイントは、緊迫度と第１レートとの積から算出されてもよい。

一方、電力需要予測量が電力供給予測量を上回らない場合（ステップＳ２１：ＮＯ）には、ステップＳ２３に進む。ステップＳ２３では、第１算出部５３は、余剰度を算出する。次いで、ステップＳ２５では、第１算出部５３は、第１レートよりも低い第２レートに基づいて第１ランクポイントを算出する。第１ランクポイントは、余剰度の高さに応じて算出されるように構成されているとよい。特に限定されないが、第１ランクポイントは、余剰度と第２レートとの積から算出されてもよい。

ここに開示される電力需給調整方法では、上述するように余剰度が算出されている場合よりも緊迫度が算出されている場合のほうが、算出される第１ランクポイントが多くなるように構成されていている。かかる構成によれば、緊迫度が高い場合には、算出される第１ランクポイントが特に多くなる。したがって、緊迫度が特に高いときにおいて、より的確に電動車両１０のユーザーに対して電力需給調整への参加を促進することができる。

図５および図６のＳ３において、図７のステップＳ３０およびステップＳ３１を実施する。ステップＳ３０では、図２の第２通信部４２は、第１算出部５３の指令に基づいて、充放電要請通知を送信する。ここで送信される充放電要請通知は、少なくとも第１ランクポイントに関する情報を含んでいる。充放電要請通知は、第２通信部４２を介して、ユーザー端末１５に送信される。

送信された充放電要請通知は、ユーザー端末１５の画面１６に表示されるように構成されているとよい。具体的に例えば、少なくとも第１ランクポイントに関する情報を電動車両１０のユーザーに提示できるとよい。このとき、使用可能な充放電スポット２０やユーザーの現在位置からの充放電スポット２０までの距離等の一覧表が表示されるように構成されていてもよい。上記一覧表は、距離順などに並び替える機能を有していてもよい。また、ユーザーが充放電を実施する充放電スポット２０を決定した際には、決定した充放電スポット２０までの道順を示してもよい。ユーザー端末１５は、該充放電スポット２０までの道順を案内する機能を有していてもよい。

ユーザーは、提示された充放電要請通知を確認し充放電要請に応じる場合には、入力手段１７を操作して、電動車両１０の車両情報Ｄ２と自身のユーザーＩＤとをユーザー端末１５からリソースアグリゲーター３０に送信する。このとき、ユーザーが充放電の実施をする充放電スポット２０やユーザーが希望する充放電量等の追加的な情報も、車両情報Ｄ２等と共に関連づけられて送信されてもよい。
ステップＳ３１では、車両情報取得部５７は、第２通信部４２を介してユーザー端末１５から送信された車両情報Ｄ２を受信する。

好適な一態様では、ステップＳ３０において図２の選択部５８は、充放電要請通知の送信先として、ランクが高い電動車両またはユーザーから順番に送信先として選択し、選択した送信先のユーザー端末１５に充放電要請通知を送信するよう第２通信部４２に指示する。このような構成によれば、ランクが高い、すなわち、積極的に電力需給調整に貢献することが見込まれる電動車両のユーザーを優先的に充放電スポット２０に誘導することができる。これにより、より好適に電力需給バランスの安定化させることができる。

また、ステップＳ３０において選択部５８は、車両情報取得部５７が取得する車両情報Ｄ２を参照して充放電要請通知の送信先を選択してもよい。例えば、使用可能な充放電スポット２０の近辺に位置する電動車両１０から順番に、送信先として選択するように構成されていてもよい。また、緊迫度が算出される場合には、充電状態（ＳＯＣ）が高い電動車両１０を送信先として優先的に選択し、余剰度が算出される場合には、充電状態が低い電動車両１０を送信先として優先的に選択するように構成されていてもよい。

図５および図６のＳ４において、図７のステップＳ４０およびＳ４１を実施する。ステップＳ４０では、図２の充放電管理部５２が充放電開始信号を受信したか否か判定する。ユーザーは、上記提示された充放電要請通知を確認して充放電スポット２０まで電動車両１０を運転する。そして、充放電スポット２０に到着したら、充放電装置２２と電気的に接続して、充放電を開始する。ここでは、充放電装置２２と電動車両１０とが電気的に接続され、充放電が開始されると、第３通信部４３を介して充放電装置２２から充放電管理部５２に充放電開始信号が送信される。充放電管理部５２が充放電開始信号を受信することで、充放電が開始されたことを判断することができる。リソースアグリゲーター３０が充放電開始信号を受信した（ステップＳ４０：ＹＥＳ）場合には、ステップＳ４１に進む。所定時間経過後においてもリソースアグリゲーター３０が充放電開始信号を受信しない（ステップＳ４０：ＮＯ）場合には、電力需給処理を終了する。ここで、所定時間とは、特に限定されないが、ステップＳ３０において充放電要請通知を送信後、３０分～１０時間程度の間で適宜設定されればよい。

次いで、充放電が終了すると、第３通信部４３を介して充放電装置２２から充放電管理部５２に充放電終了信号が送信される。ステップＳ４１では、充放電管理部５２が充放電終了信号を受信することで、充放電が終了されたことを判断する。

図５および図６のＳ５において、図７のステップＳ５０～Ｓ５２を実施する。ステップＳ５０では、図２の第２算出部５４は充放電装置２２の充放電量測定部２４が測定した充放電量を取得する。充放電量は、図２の充放電装置２２の装置制御部２５において、ＩＤ情報検知部２３が取得した電動車両１０および該車両のユーザーのＩＤ情報と紐づけられて記憶されている。そのため、第２算出部５４は、第２通信部４２を介してＩＤ情報と紐づけられた充放電量を取得する。

ステップＳ５１では、図２の第２算出部５４は、充放電装置２２と電気的に接続した電動車両１０の充放電量に基づいて第２ランクポイントを算出する。第２ランクポイントは、充放電量の多さに応じて高くなるように構成されているとよい。かかる構成によれば、より多くの電力を充放電して実質的に電力需給調整に貢献したユーザーに対して、第２ランクポイントがより多く算出される。これにより、充放電量が多いユーザーを積極的に電力需給調整に参加することが見込まれ、より迅速に送配電施設２００の電力需給バランスを安定化させることができる。

ステップＳ５２では、図２のポイント付与部５９は、第１算出部５３が算出した第１ランクポイントと、第２算出部５４が算出した第２ランクポイントとをユーザーに付与する。なお、ユーザーに第１および第２ランクポイントを付与するとは、例えば記憶部４０に記憶されたデータベースＤＢ１において、ユーザーＩＤと第１および第２ランクポイントとが紐づけられて、ユーザーに対して第１および第２ランクポイントが登録されることをいう。

図５および図６のＳ６において、図７のステップＳ６０を実施する。ステップＳ６０では、図２のランク設定部５５は、第１算出部５３が算出した第１ランクポイントと、第２算出部５４が算出した第２ランクポイントに基づいてランクを設定する。一例として、ランク設定部５５は、図４に示すような記憶部４０に記憶されるデータベースＤＢ１を参照し、充放電を実施した電動車両１０のユーザーのユーザーＩＤと紐づけられて登録されている、第１および第２ランクポイントの累計ポイントに基づいてユーザーランクを設定する。そして、データベースＤＢ１のユーザーＩＤに紐づくユーザーランクを更新するように構成されているとよい。かかる構成によれば、電力需給調整に対するユーザーの協力度合いと、実質的な貢献度合いと、をそれぞれ加味したユーザーランクを設定することができる。これにより、実質的に充放電できる電力量が少ない電動車両１０のユーザーであっても電力需給調整に参加する動機が得られる。また、リソースアグリゲーター３０は、電力需給調整に参加し得るユーザーをより多く確保することができるため、電力需給バランスをより好適に調整することができる。

図５および図６のＳ７において、図７のステップＳ７０およびＳ７１を実施する。ステップＳ７０では、図２のインセンティブ管理部５６は、ランク設定部５５が設定したランクに基づいて、電動車両１０のユーザーに付与すべきインセンティブを算出する。ここでは、記憶部４０に記憶されるデータベースＤＢ１を参照し、充放電を実施した電動車両１０のユーザーのユーザーＩＤと紐づけられて登録されているランクに基づいて、付与すべきインセンティブを算出する。典型的には、ランクが高いほど、付与すべきインセンティブが多くなるように構成されている。

次いで、ステップＳ７１では、図２のインセンティブ管理部５６は、算出したインセンティブをユーザーに付与する。ここで、インセンティブを付与するとは、例えば記憶部４０に記憶されたデータベースＤＢ１において、ユーザーＩＤとインセンティブとが紐づけられて、ユーザーに対してインセンティブが登録されることをいう。ただし、例えばインセンティブが電子的にやり取り可能であるもの、例えば、電子クーポン等であった場合には、電子クーポンなどをユーザー端末１５に送信することを、インセンティブを付与することとしてもよい。

上述したように、第１算出部５３において緊迫度または余剰度に基づく第１ランクポイントを算出し、第２算出部５４において実際の充放電量に基づく第２ランクポイントを算出することにより、電力需給調整に対するユーザーの協力度合いと、実質的な貢献度合いと、をそれぞれランクポイントとして算出することができる。これにより、実質的に充放電できる電力量が少ない電動車両１０のユーザーであっても電力需給調整に参加する動機が得られる。また、電動車両１０のユーザーは、緊迫度または余剰度が高いときに積極的に電力需給調整に参加することにより、ランクポイントをより多く獲得し自身のランクをランクアップさせることができるため、電力需給調整に積極的に参加するメリットがある。一方、リソースアグリゲーター３０は、かかる構成によれば送配電施設２００が要請する電力の充放電が必要なタイミングにおいて、適切な充放電量を得ることができるためより好適に電力需給バランスを調整することができる。

以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

１０ 電動車両
１５ ユーザー端末
１６ 画面
１７ 入力手段
１８ 端末制御部
２０ 充放電スポット
２２ 充放電装置
２３ ＩＤ情報検知部
２４ 充放電量測定部
２５ 装置制御部
３０ リソースアグリゲーター
３５ 制御装置
４０ 記憶部
４１ 第１通信部
４２ 第２通信部
４３ 第３通信部
５１ 電力需給情報取得部
５２ 充放電管理部
５３ 第１算出部
５４ 第２算出部
５５ ランク設定部
５６ インセンティブ管理部
５７ 車両情報取得部
５８ 選択部
５９ ポイント付与部
１００ 電力系統システム
２００ 送配電施設
２１０ 制御部

Claims (9)

1. 送配電施設から電力需給情報を取得する電力需給情報取得部と、
   前記電力需給情報に基づいて緊迫度または余剰度を算出し、該緊迫度または余剰度に基づいて第１ランクポイントを算出する第１算出部と、
   電動車両のユーザーに少なくとも前記算出した第１ランクポイントに関する情報を含む充放電要請通知を送信する通信部と、
   前記電動車両の充放電量を管理する充放電管理部と、
   前記充放電管理部が把握するデータに基づいて充放電量を取得し、該充放電量に基づいて第２ランクポイントを算出する第２算出部と、
   前記第１算出部が算出した第１ランクポイントと、前記第２算出部が算出した第２ランクポイントに基づくランクを設定するランク設定部と、
   前記ランクに基づいて前記電動車両のユーザーに付与するためのインセンティブを算出するインセンティブ管理部と、
   を備える電力系統システム。
2. 前記第１算出部は、前記緊迫度または余剰度が高いほど、前記算出される第１ランクポイントが高くなるように設定する、請求項１に記載の電力系統システム。
3. 前記電力需給情報取得部において取得される電力需給情報には、少なくとも電力需要予測量と電力供給予測量とが含まれており、
   前記第１算出部は、前記電力需要予測量が前記電力供給予測量を上回る場合には前記緊迫度を算出し、前記第１ランクポイントを第１レートに基づいて算出するように構成され、
   前記電力供給予測量が前記電力需要予測量を上回る場合には前記余剰度を算出し、前記第１ランクポイントを前記第１レートよりも低い第２レートに基づいて算出するように構成される、請求項１または２に記載の電力系統システム。
4. 前記充放電要請通知の送信先を選択する選択部をさらに含み、
   前記選択部は、前記送信先を前記ランクが高い前記電動車両のユーザーから順番に選択するように構成される、請求項１～３のいずれか一項に記載の電力系統システム。
5. 電動車両を用いて送配電施設の電力需給バランスを調整する電力需給調整方法であって、コンピュータのプログラムによって実行される以下のステップ：
   前記送配電施設から電力需給情報を取得するステップと、
   前記電力需給情報に基づいて緊迫度または余剰度を算出するステップと、
   前記算出した緊迫度または余剰度に基づいて第１ランクポイントを算出するステップと、
   前記電動車両のユーザーに少なくとも前記第１ランクポイントを含む充放電要請通知を送信するステップと、
   前記電動車両の充放電状態を充放電管理部によって管理するステップと、
   前記管理される充放電状態を基に前記電動車両の充放電量を取得するステップと、
   前記充放電量に基づいて第２ランクポイントを算出するステップと、
   前記算出した第１ランクポイントおよび第２ランクポイントに基づくランクを設定するステップと、
   前記ランクに基づいて前記電動車両のユーザーに付与するためのインセンティブを算出するステップと、
   を包含する、電力需給調整方法。
6. 前記第１ランクポイントを算出するステップは、前記電力需給情報に基づいて算出された緊迫度または余剰度が高いほど、前記第１ランクポイントを高く算出する、請求項５に記載の電力需給調整方法。
7. 前記電力需給情報を取得するステップにおいて取得される電力需給情報には、少なくとも電力需要予測量と電力供給予測量とが含まれており、
   前記緊迫度または余剰度を算出するステップでは、前記電力需要予測量が前記電力供給予測量を上回る場合には前記緊迫度を算出し、
   前記電力供給予測量が前記電力需要予測量を上回る場合には前記余剰度を算出する、請求項５または６に記載の電力需給調整方法。
8. 前記第１ランクポイントを算出するステップは、前記緊迫度が算出された場合には前記第１ランクポイントを第１レートに基づいて算出し、
   前記余剰度が算出された場合には、前記第１ランクポイントを前記第１レートよりも低い第２レートに基づいて算出する、請求項７に記載の電力需給調整方法。
9. 前記充放電要請通知の送信先を選択するステップをさらに含み、前記送信先として前記ランクが高い前記電動車両のユーザーから順番に選択する、請求項５～８のいずれか一項に記載の電力需給調整方法。
   

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