JP7442947B2 - ファラデー回転子モジュール及び光アイソレータ - Google Patents

ファラデー回転子モジュール及び光アイソレータ Download PDF

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本発明は、光加工や光計測で用いられる光アイソレータ及びそれに用いられるファラデー回転子モジュールに関する。
光加工機や光計測機に用いられるレーザ光源は、出射したレーザ光が伝送路途中に設けられた部材表面で反射して、その反射光がレーザ光源に戻って入射すると、レーザ発振が不安定になってしまう。このような反射戻り光を遮断するために、偏光面を非相反で回転させるファラデー回転子を用いた光アイソレータが用いられる。
光アイソレータ等の磁気光学素子には、液相エピタキシャル法で基板結晶に成長させたビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶が用いられる。この材料には波長600nm近傍及び波長900nm近傍に鉄イオンに起因する2つの吸収ピークがある。これらのピークの間の770~850nmは2つの吸収ピークの谷間となり、600nmおよび900nmと比較すると材料の吸収損失は小さくなる。本材料をファラデー回転角が45deg(度)のファラデー回転子として用いた場合、600nmや900nmでは5dB以上の損失(透過率30%以下)となるが、790nmでは1.5dBの損失(透過率70%)である。
吸収損失を抑制する手法として、特許文献1には、格子定数の大きな基板を用い育成したガーネット単結晶では格子定数が12.56~12.58Åとなる事で、(1)結晶場遷移に伴う吸収ピークの短波長シフト効果、および(2)ビスマス置換量増大に伴う45deg当りに必要なガーネット膜厚の減少により1030~1090nm域で光透過率向上を計ることができると報告されている。しかし、780nmや790nm域では(1)の効果により鉄イオンの900nmピークは短波長側にシフトし、結果的に単位長当りの光吸収が増加する。このため、780nmや790nm域では、(2)による膜厚減少の減少効果が相殺され有効手段とはならないことが判明した。
近年、780nmや790nmの波長域の光源を用いた計測等では、測定精度向上のために光出力の向上が求められているが、光源に前記の材料を用いた光アイソレータを用いることは、光吸収が大きく不向きである。光アイソレータには1.0dB以下(透過率80%以上)が求められる。
また770~850nmの波長域ではベルデーガラス(Pb含有ガラス)やTbGa12では挿入損失が1.0dB以下(透過率は80%以上)を実現できるが、強い磁場が必要とされる結果、ファラデー回転機能を付与するための磁石が大きくなる。近年、770~850nmの波長域の特性を改善したテルビウム含有希土類酸化物が提案されている(例えば特許文献2を参照)。この場合、前者より小型化することが可能ではあるが45degのファラデー回転角を生じさせるための磁石の形状・寸法は大きくなってしまう。
強い磁場を得るための手法として、磁石を複数用い磁束の反発力により磁石中央部の磁束を高める手法があるが、構造が複雑となる。また、単一円筒磁石を用いると構造は簡単であるが、ファラデー回転子の全長より長い範囲で磁束を高める磁場を与えるために、磁石長を長くすると、円筒軸方向における中心位置が磁束密度のピークとならず、当該中心位置からずれた位置でより磁束が高くなる分布が発生する。このように磁束が分布している状態で光アイソレータに機械的衝撃や振動が加わると、磁束の高い部分に引っ張られるようにファラデー回転子設定御位置にずれが生じ、アイソレータ特性が初期の特性から変動してしまう場合があった。
また、形状を小型化すべく、単純に磁石を小さくすると十分なファラデー回転角度が得られなくなる。ファラデー回転角が45degに満たないファラデー回転子を、光アイソレータに用いて十分なアイソレーション特性を得ようとすると、透過光に対する挿入損失が大きくなるという問題が生じる。
特許4868311号 特許5393271号
本発明は、透過率が高く、小型で、特性が安定したファラデー回転子モジュール及び光アイソレータを提供することを目的とする。
上記の課題を解決すべく、本発明に係るファラデー回転子モジュールは、筐体と、筐体に収容されて固定される円筒形の磁石と、磁石の内部に配置されるファラデー回転子と、を備える。このファラデー回転子モジュールにおいて、ファラデー回転子は少なくとも常磁性ファラデー回転子を含む。常磁性ファラデー回転子の全長FLは3mm以上6mm以下に形成される。筐体は外径10mm以下、かつ長さ10mm以下に形成される。磁石の内径は2.0mm以上に形成される。磁石の中心軸方向における中央部の磁束密度Hz0が3000mTであり、磁束密度が中央部の磁束密度Hz0-20%よりも高い領域が、ファラデー回転子の全長FL以上であり、磁石の中心軸線上における磁束密度の最大値が中央部の磁束密度Hz0+20%を超えないように構成される。
本発明において、ファラデー回転子モジュールは、770nm~850nmの波長範囲の光アイソレータを構成すべく用いられたときの挿入損失が1.0dB以下であるとよい。
本発明において、ファラデー回転子は、第1のファラデー回転角度F1を有する、常磁性材ファラデー回転子と、第2のファラデー回転角度F2を有するビスマス置換希土類鉄ガーネットファラデー回転子とで構成されるとよい。このとき、第1のファラデー回転角度F1および第2のファラデー回転角度F2が、35≦F1+F2≦45、20≦F1≦30、F2≦15(単位:deg)の関係を満たすように構成され、常磁性材ファラデー回転子の全長FLは3mm以上6mm以下とするとよい。
本発明では、常磁性材ファラデー回転子は、(Tb1-x(ただし、Rは、スカンジウム、イットリウム、またはTb以外のランタノイド元素類からの選択される元素である)で表されるテルビウム希土類酸化物とするとよい。
また、本発明の実施形態に係る光アイソレータは、上記何れかのファラデー回転子モジュールと、ファラデー回転子モジュールの両端に配置される2つの偏光子とを備えるとよい。
光アイソレータの基本的な構成を示す図である。 ファラデー回転子モジュールの構成を示す図である。 常磁性体ファラデー回転子のファラデー回転角と挿入損失の関係を示す図である。 ビスマス置換希土類鉄ガーネットファラデー回転子のファラデー回転角と挿入損失の関係を示す図である。 磁石の長さLを9~6mmまで変化させたときの磁束密度分布を示す図である。 中心軸方向における中心(Z=0)の磁束密度を基準(100%)として、図5に示された磁束密度分布を相対比較する図である。 外径φ9.0mm、長さL9.0mmの円筒形状の磁石について内径をφ4.0~2.0mmまで0.2mm刻みで変化させたときの磁束密度分布を示す図である。 中心軸方向における中心(Z=0)の磁束密度を基準(100%)として、図7に示された磁束密度分布を相対比較する図である。 外径φ8.0mm、長さL9.0mmの円筒形状の磁石について内径をφ4.0~2.0mmまで0.2mm刻みで変化させたときの磁束密度分布を示す図である。 中心軸方向における中心(Z=0)の磁束密度を基準(100%)として、図9に示された磁束密度分布を相対比較する図である。
以下、本発明の実施形態について詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。
光アイソレータ1は、一方向に進む光のみを透過し逆方向の光を遮断する光学部品である。本実施形態の光アイソレータ1は、偏光面を非相反で回転させるファラデー回転子102を用いたものである。図1に示すように、光アイソレータ1は、筐体101の内部において、偏光子104および105が、ファラデー回転子102の両端に配置された基本的な構成を有する。偏光子104の偏光振動面と偏光子105の偏光振動面は、相対角度が45degになるよう配置される。また、ファラデー回転子102の周囲には、ファラデー回転子102に磁界を印加するための磁石103が配置されている。
(ファラデー回転子の機能と構造)
ファラデー回転子102と磁石103は、所定の位置関係を維持するよう円筒形の金属製の筐体101に固定され、一体のファラデー回転子モジュール10を構成する。ファラデー回転子102は、磁石103による磁場中に配置され、当該磁場に平行な進行方向に、直線偏光を透過させたときに、偏光面を回転させる。ファラデー回転子102には、テルビウム希土類酸化物等の常磁性材や、ビスマス置換希土類鉄ガーネット等の強磁性材を用いることができる。本実施形態では、常磁性材とビスマス置換希土類鉄ガーネットを組み合わせて、後述する特性上の目標を満足するファラデー回転子を実現する。
磁石103は、ファラデー回転子102に付与される磁場を発生させる。磁石103は、所定の外径および内径(開口径)を有し、所定の軸方向長さを有する円筒形状に形成される。磁石103の内部には、円筒の中心軸方向に沿った磁場が生じるので、磁石103の中心軸はファラデー回転子モジュールの光軸と一致する。このような磁石103の内部にファラデー回転子102が配置される。
図2は、本実施形態のファラデー回転子モジュール10の構造の一例を示す。ファラデー回転子モジュール10は、磁石103の内部に常磁性材ファラデー回転子102Aとビスマス置換希土類鉄ガーネットファラデー回転子102Bが配置された構造となっている。常磁性材102ファラデー回転子Aは、磁石103の中心軸の中央部に配置される。ビスマス置換希土類鉄ガーネットファラデー回転子102Bは、中心軸に沿った方向において常磁性材ファラデー回転子102Aに隣接して配置される。
偏光子104および105はそれぞれ金属製の偏光子ホルダー104Aおよび105Aに保持される。図1に示したように、偏光子ホルダー104Aおよび105Aは、ファラデー回転子モジュール10の筐体101の端部に取り付けられ、光アイソレータを構成する。なおファラデー回転子モジュール10の筐体101は光アイソレータ1の筐体を兼ねてよい。偏光子104および105はそれぞれ偏光子ホルダー104Aおよび105A内で回転可能とされ、偏光子104と偏光子105の相対角度を逆方向の光が遮断されるように調整する。
光アイソレータ100には、所定の波長(例えば770~850nm)のレーザ光が順方向に入射される。順方向に入射した光は偏光子104で直線偏光になり、ファラデー回転子102に入射する。続いて、ファラデー回転子102で光の偏光面が45°回転して、偏光子105に入射する。偏光子104および105の偏光振動面は、相対角度が45°になっているため、光はそのまま出射される。
一方、逆方向から入射した光は、偏光子105を透過できる偏光がファラデー回転子102に入射する。ファラデー回転子102で光の偏光面は、進行方向に対して順方向のときと逆方向に45°回転する。ここで、偏光子104に達した光の偏光面は、偏光子104の偏光振動面に対して90°の角度になるため、逆方向から入射した光は、光アイソレータを通過することができない。このような構成により、光アイソレータ100は、一方向に進む光のみを透過し逆方向の光を遮断することができる。
上記のような基本的な構造を有する本実施形態の光アイソレータ100において、ファラデー回転子モジュール10は、外径φ10mm以下、長さ10mm以下、開口径φ2.0mm以上、挿入損失1.0dB以下を達成することを特性上の目標とする。この目標を達成すべく、常磁性材ファラデー回転子102Aおよびビスマス置換希土類鉄ガーネットファラデー回転子102Bのファラデー回転角度、並びに磁石103の寸法・形状は、下記の通りとされる。
既述の通り、本実施形態のファラデー回転子102は、常磁性材ファラデー回転子102Aであるテルビウム希土類酸化物とビスマス置換希土類鉄ガーネットファラデー回転子102Bを組み合わせて実現される。テルビウム希土類酸化物は、(Tb1-x(ただしRはスカンジウム、イットリウム、およびTb以外のランタノイド元素類から選択される元素である)で表される。なお、常磁性材のファラデー回転角度をF1、ビスマス置換希土類鉄ガーネットのファラデー回転角度をF2とし、希土類鉄ガーネットファラデー回転子102Bのファラデー回転方向は常磁性材ファラデー回転子102Aのファラデー回転方向と同一方向に設定されるものとする。
光アイソレータの形状を小型化するには磁石サイズを小さくすることが有効であるが、単純に小さくすると常磁性材ファラデー回転子102Aについては磁場が弱まることに伴いファラデー回転角度が小さくなる。ファラデー回転角度が小さくなると、アイソレータとして使用する際に十分なアイソレーション特性が得られるよう2つの偏光子の相対角度を調整した場合の挿入損失が大きくなる。図3に示されるように、常磁性材ファラデー回転子102Aを用いて光アイソレータを構成したときの順方向の挿入損失を1.0dB以下に抑えるには、少なくとも33deg以上の回転角度が必要となる。
一方、ビスマス置換希土類鉄ガーネットファラデー回転子102Bでは、挿入損失が非常に大きい。一例として、(Gd1.8Bi1.2)Fe4.5Ga0.512のファラデー回転角度と挿入損失の関係を図4に示す。図4に示されるように、透過率ファラデー回転角度が15deg以下でようやく挿入損失が0.5dB以下となる。
以上を踏まえると、常磁性材ファラデー回転子102Aとビスマス置換希土類鉄ガーネットファラデー回転子102Bを組み合わせて上記の特性上の目標を満足には、常磁性材ファラデー回転子102Aとビスマス置換希土類鉄ガーネットファラデー回転子102Bのファラデー回転角度が、35≦F1+F2≦45、20≦F1≦30、5≦F2≦15(単位:deg)を満たすようにすればよい。
既述の通り、磁石103は、所定の外径および内径(開口径)を有し、所定の軸方向長さを有する円筒形状に形成される。磁石103の内部には、円筒の中心軸方向に沿った磁場が生じる。磁石103は、磁束密度が以下の条件を満たすように寸法が決定される。すなわち、磁石103の円筒の中心軸方向における中央部の磁束密度(Hz0)は3000mT以上とし、磁束密度がHz0-20%(つまりHz0の0.8倍)よりも高い以上の領域が、常磁性材ファラデー回転子102Aの全長(FL)以上となるようにする。また、光が透過する中心軸線上の磁束密度のピーク(最大値)がHz0+20%(つまりHz0の1.2倍)を越えないようにする。磁束密度のピークがHz0の+20%を越えると、ファラデー回転子102を磁石中に接合して固定した後でも、機械的な衝撃や振動で接合部が外れ易くなる。そして、接合部が外れると、ファラデー回転子102の磁石103内における設定位置がずれ、ファラデー回転子102に付与される磁束分布が所望の分布と異なるようになってしまう。その結果、ファラデー回転角度が初期設定値から変化(増加または減少)し、アイソレーション特性が低下したり、挿入損失が増大したりしてしまう。このような特性を実現するための磁石103の構造については後述する。
常磁性材ファラデー回転子102Aの総長FLは3mm以上6mm以下とする。既述の通り、光アイソレータはファラデー回転子102、ファラデー回転子102の両端部に配置される偏光子104および105といった光学素子、およびファラデー回転子102に磁束を付与する磁石103で構成される。各々の部品は、金属製の筐体に固定され、その金属筐体同士を溶接や接着、ネジ止めといった手法で固定する。筐体も含めたファラデー回転子モジュール10の全体の外径をφ10mm以下に抑えるには、例えば磁石103の外周に肉厚t=0.5mmの金属製の筐体を配置する場合、磁石の外径はφ9.0mmとなる。また長さ方向も同様で例としてL=9.0mmとなる。
図5は、磁石103の長さLを9~6mmまで変化させたときの磁束密度分布を示している。なお、このとき用いた磁石は、残留磁束密度が1.35TのNd-Fe-B磁石であり、外径φ9.0mm、内径φ3.0mmの円筒形状のものである。図6は、光軸(中心軸)方向における中心(Z=0)の磁束密度を基準(100%)として、図5に示された磁束密度分布を相対比較したものである。図5によれば、磁石の長さLが短くなると、光軸方向の中心(Z=0)部の磁束密度Hz0は大きくなるが、常磁性材ファラデー回転子102Aの回転角度への寄与が大きい磁束密度がHz0の-20%よりも高い以上の領域の長さが短くなる。また磁石の長さLが長くなると、光軸方向の中心(Z=0)から離れた位置に、中心位置での磁束密度Hz0より磁束密度が高くなる位置が見られる。ファラデー回転子102は磁束密度が高い方向に引かれる傾向があるため、このような磁束密度の高い位置が見られると、常磁性材ファラデー回転子102Aを磁石の中心軸方向の中心部に固定したときに、ファラデー回転子モジュール10に衝撃や振動が加わると、磁石103と常磁性材ファラデー回転子102Aとの位置ズレが発生し易くなる。
図5に磁束密度分布を示した各磁石を用いる場合、常磁性材ファラデー回転子102Aの全長FLが概ね6mm以内であれば、磁束密度が高い位置(Hz0±20%)に常磁性材ファラデー回転子102Aの全体が収まるように配置することが可能である。また常磁性材ファラデー回転子102Aに常磁性テルビウム希土類酸化物((Tb1-x)でx=1のものを用いるとすると、全長FLが3mmのときには、0.6Tの磁束密度分布で30degと非常に高い磁束密度分布が必要である。必要とされる磁束密度を低く抑えるには、常磁性材ファラデー回転子102Aの長さは3mm以上とすることが好ましい。
図7は、磁石103の内径をφ4.0~2.0mmまで0.2mm刻みで変化させたときの磁束密度分布を示している。なお、このとき用いた磁石は、残留磁束密度が1.35TのNd-Fe-B磁石であり、外径φ9.0mm、長さL9.0mmの円筒形状のものである。図7によれば、内径が小さくなると光軸(中心軸)方向における中心(Z=0)における磁束密度は大きくなりφ3.6mm以下で3000mTを越える。さらに内径を小さくしていくとZ=3.25mm近傍の磁束密度がZ=0での磁束密度より大きくなる。図8は、光軸(中心軸)方向における中心(Z=0)の磁束密度を基準(100%)として、図7に示された磁束密度分布を相対比較したものである。内径がより小さくなるとZ=3.25mm近傍での磁束密度の相対値が大きくなる。このように中心軸方向における中心と異なる位置に磁束密度のピークが生じると、このような磁石を用いて組み上げたファラデー回転子の機械的な振動や衝撃に対する耐性が劣ることとなる。
図9は、磁石103の内径をφ4.0~2.0mmまで0.2mm刻みで変化させたときの磁束密度分布を示している。なお、このとき用いた磁石は、残留磁束密度が1.35TのNd-Fe-B磁石であり、外径φ9.0mm、長さL8.0mmの円筒形状のものである。図9によれば、長さLが9.0mmであった場合(図7)と比べ長さが1mm短くなるだけで磁束密度は大きくなり、φ4.0mm以下で3000mTを越える。さらに内径を小さくしていくとZ=2.75mm近傍の磁束密度がZ=0での磁束密度より大きくなる。図10は、光軸(中心軸)方向における中心(Z=0)の磁束密度を基準(100%)として、図9の値を相対比較したものである。内径がより小さくなるとZ=2.75mm近傍での磁束密度の相対値が大きくなる。しかし、φ2.0mmまでの範囲では、磁束密度が光軸(中心軸)方向における中心(Z=0)の磁束密度に対し+20%以上上回ることはなく、ファラデー回転子機械的な振動や衝撃に対する耐性に影響を与えることはない。
内径をφ2.0mmより小さくすると、1)磁石加工が難しくなる、2)ファラデー回転子の円筒加工が難しくなる、3)一般的に光学素子の有効径は外寸の80%程度とされており、有効径がφ1.6mm以下と小さくなる等の不都合が生じるので好ましくない。またファラデー回転子の円筒加工を諦め、四角形状に加工したワーク(チップ)を配置することも考えられるが、この場合にはチップサイズが1.4mm以下となり、得られる有効径がφ1.1mm以下と更に小さくなる点、四角加工時の影響による4回対称の歪が発生し消光性能が劣化する等の問題点が発生し得るため好ましくない。
表1に外径φ9.0mm、開口部(内径)φ3.0mm、長さL8mmの磁石を用い、常磁性材とビスマス置換希土類鉄ガーネットを組合せた図2の構成のファラデー回転子モジュールについて、ファラデー回転角度、アイソレータ構成時の挿入損失の値、および挿入損失の目標値を達成したか否かを示した。
Figure 0007442947000001
また、表2に外径φ9.0mm、開口部(内径)φ2.0mm、長さL8mmの磁石を用いた、常磁性材とビスマス置換希土類鉄ガーネットを組合せた構成のファラデー回転子モジュールについて、ファラデー回転角度とアイソレータ構成時の挿入損失の値、および挿入損失の目標値を達成したか否かを示した。
Figure 0007442947000002
以上の結果より、常磁性テルビウム希土類酸化物((Tb1-x;回転角度F1)と、ビスマス置換希土類鉄ガーネット(回転角度F2)でファラデー回転子を構成し、35≦F1+F2≦45、20≦F1≦30、F2≦15(単位:deg)とするとよいことがわかる。また、常磁性テルビウム希土類酸化物(すなわち常磁性ファラデー回転子)の総長を3mm以上6mm以下とするのが好適であることがわかる。
1 光アイソレータ
10 ファラデー回転子モジュール
101 筐体
102 ファラデー回転子
102A 常磁性材ファラデー回転子
102B ビスマス置換希土類鉄ガーネットファラデー回転子
103 磁石
104 偏光子
105 偏光子

Claims (5)

  1. 筐体と、
    前記筐体に収容されて固定される円筒形の磁石と、
    前記磁石の内部に配置されるファラデー回転子と、
    を備えるファラデー回転子モジュールであって、
    前記ファラデー回転子は常磁性材ファラデー回転子とビスマス置換希土類鉄ガーネットファラデー回転子とで構成され
    前記常磁性材ファラデー回転子の全長FLは3mm以上6mm以下に形成され、
    前記筐体は外径10mm以下、かつ長さ10mm以下に形成され、
    前記磁石の内径は2.0mm以上に形成され、
    前記磁石の中心軸方向における中央部の磁束密度Hz0が3000mT以上であり、磁束密度が前記中央部の磁束密度Hz0-20%よりも高い領域が、前記ファラデー回転子の全長FL以上であり、
    前記磁石の中心軸線上における磁束密度の最大値が前記中央部の磁束密度Hz0+20%を超えない
    ことを特徴とするファラデー回転子モジュール。
  2. 770nm~850nmの波長範囲の光アイソレータを構成すべく用いられたときの挿入損失が1.0dB以下であることを特徴とする請求項1に記載のファラデー回転子モジュール。
  3. 前記常磁性材ファラデー回転子は、第1のファラデー回転角度F1を有し、
    前記ビスマス置換希土類鉄ガーネットファラデー回転子は、第2のファラデー回転角度F2を有
    1のファラデー回転角度F1および第2のファラデー回転角度F2が、35≦F1+F2≦45、20≦F1≦30、F2≦15(単位:deg)の関係を満たし、
    前記常磁性材ファラデー回転子の全長FLが3mm以上6mm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のファラデー回転子モジュール。
  4. 前記常磁性材ファラデー回転子は、(Tb1-x(ただし、Rは、スカンジウム、イットリウム、またはTb以外のランタノイド元素類からの選択される元素である)で表されるテルビウム希土類酸化物であることを特徴とする請求項3に記載のファラデー回転子モジュール。
  5. 請求項1~4の何れか1項に記載のファラデー回転子モジュールと、
    前記ファラデー回転子モジュールの両端に配置される2つの偏光子とを備える光アイソレータ。
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