JP7442387B2 - トンネル工事におけるロックボルトの設置方法 - Google Patents
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Description
その後、トンネルの周方向および長手方向に間隔をおいた複数箇所において、硬化状態のコンクリートC1の上から地山内面50に孔52が削孔され、各孔52にモルタルなどの定着材が注入される。
次に、各孔52にロックボルト54が挿入され、コンクリートC1から突出するロックボルト54の基部54Aが、角型プレートや丸型プレートなどからなる鋼板製のベアリングプレート56のロックボルト挿通孔5602に挿通される。
そして、このベアリングプレート56をコンクリートC1の表面に当て付け、ロックボルト54の基部54Aの雄ねじにナット58を螺合し、ナット58を締結してベアリングプレート56をコンクリートC1の表面に押し付けることで各ロックボルト54の設置作業が終了し、岩盤の固定化、安定化が図られる。
その後、図11(B)に示すように、必要に応じて地山の水がトンネル内に侵入しないようにコンクリートC1の表面に防水シートが敷設され、この防水シートに対向させてコンクリート打設型枠が配置され、防水シートとコンクリート打設型枠の型枠面との間にコンクリートC2が打設されて覆工コンクリートが行なわれる。
また、ナット58を回転させる作業であるため時間が掛り、コンクリートC1が吹き付けられた岩盤付近に長時間いなければならないため、危険性を伴う作業となっている。
特に、トンネル断面が大きく、トンネルの長さが大きくなると、ロックボルト54の本数は数千、数万本の単位となり、ナット58の締結作業に多くの時間を要し、危険性も増大し、トンネル工事の施工期間を短縮化し、コストダウンを図る観点から何らかの改善が望まれていた。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、時間の掛かるナットの締結作業を省略し、迅速に簡単に確実にロックボルトを設置でき、危険性を減少する上で有利となり、トンネル工事の施工期間を短縮し、コストダウンを図る上で有利なトンネル工事におけるロックボルトの設置方法を提供することにある。
また、本発明は、前記取り付け部は、前記ロックボルトの前記基部に貫通形成された貫通孔であり、前記ワンタッチ式固定具は、前記貫通孔に挿通され係止される割りピンであることを特徴とする。
また、本発明は、前記取り付け部は、前記ロックボルトの前記基部に貫通形成された貫通孔であり、前記ワンタッチ式固定具は、前記貫通孔に押し込まれて係止するテーパピンであることを特徴とする。
また、本発明は、前記取り付け部は、前記ロックボルトの前記基部の外周部に形成された環状溝であり、前記ワンタッチ式固定具は、前記環状溝に装着されるスナップリングであることを特徴とする。
また、本発明は、前記取り付け部は、前記ロックボルトの前記基部の外周部に形成された環状溝であり、前記ワンタッチ式固定具は、前記環状溝に装着される結束バンドであることを特徴とする。
また、本発明は、前記取り付け部は前記ロックボルトの基部の延在方向に間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記ロックボルトの基部に目印が設けられ、前記孔に前記ロックボルトを挿入する際に、前記目印が前記発泡コンクリートの表面に位置するまで挿入されることを特徴とする。
また、ロックボルトの設置作業を短時間で行なうことができることから、トンネル工事の支保工工事では、コンクリートが吹き付けられた岩盤付近に短時間いれば足り、危険性を減少する上で有利となる。
また、短時間で地山を支保できるため、地山を早期に安定させる上で有利となる。
特に、トンネル断面が大きく、トンネルの長さが大きくなり、ロックボルトの本数が数千、数万本の単位となった場合でも、ロックボルトの設置作業に要する時間を大幅に短縮でき、トンネル工事の施工期間を短縮化し、コストダウンを図る上で有利となる。
また、本発明のワンタッチ式固定具として、割りピン、テーパピン、スナップリング、結束バンドを使用可能であり、それらは簡単に入手できる市販品で安価であるため、トンネル工事のコストダウンを図る上で有利となる。
また、本発明では、発泡して体積が膨張し硬化する発泡材料を用いるので、ベアリングプレートとワンタッチ式固定具との間が離れていても、それらの間に発泡材料を吹き付けることでロックボルトの設置作業を行なえることから、取り付け部をロックボルトの基部の延在方向に間隔をおいて複数設けると、ロックボルトの設置作業を簡単に行なう上で有利となる。
また、取り付け部をロックボルトの基部の長手方向に間隔をおいて複数設けると、1本のロックボルトを、地山に削孔される深さの異なる孔に共通して利用でき、コストダウンを図る上で有利となる。
また、ロックボルトの基部の外周面の箇所に目印を設けると、地山内面に削孔した孔へのロックボルトの挿入を簡単に迅速に行なえ、また、ロックボルトの固定を確実に行なう上で有利となる。
まず、第1の実施の形態から図1~図6を参照して説明する。
なお、従来の箇所、部材と同様な部材、箇所に同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態では、ロックボルト54の基部54Aに取り付け部14を形成すると共に、取り付け部14にワンタッチで取り付け可能で取り付け部14に取り付けられた状態でロックボルト挿通孔5602の周囲のベアリングプレート56の箇所に係止可能なワンタッチ式固定具12を設ける。
取り付け部14は、ロックボルト54の基部54Aに貫通形成された貫通孔14Aである。
なお、本実施の形態では従来のナット58を用いないため、ロックボルト54の基部54Aに雄ねじが形成されている必要はない。言い換えると、従来と同様に雄ねじが形成されているものを用いてもよく、雄ねじが形成されていない鉄筋や鋼棒などを用いてもよく、要するにロックボルト54に取り付け部14を設ければよい。
割りピン12Aは、図2に示すように、頭部1202と2本の脚部1204とを有する市販品であり、図3(A)、(B)に示すように、割りピン12Aを貫通孔14Aに挿通して脚部1204を開くと、ロックボルト54が挿通されたベアリングプレート56のロックボルト挿通孔5602の周囲の箇所に係止可能な寸法のものが用いられる
発泡材料20は1液型であってもよく2液型であってもよい。
発泡材料20の吹き付けは、スプレー缶タイプのものを用いてもよく、専用の吹付けガンを用いてもよい。
硬質の発泡材料20として発泡ウレタンなど従来公知の様々な材料が使用可能である。
発泡材料20の膨張率は、混入する膨張材により調整可能である。
目印16から、貫通孔14Aまでの距離は、コンクリートC1の表面に吹付ける発泡材料20の量に応じて適宜決定される。
図6に示すように、従来と同様に、地山が掘削されることで形成された地山内面50にコンクリートC1が吹き付けられ、トンネルの周方向および長手方向に間隔をおいた複数箇所において、コンクリートC1の上から地山に孔52が削孔され、各孔52にモルタルなどの定着材が注入される。
次に、コンクリートC1の上から各孔52にロックボルト54を挿入する。
この場合、図3(A)に示すように、目印16がコンクリートC1の表面に位置するまで挿入する。
次いで、ロックボルト54の基部54Aの貫通孔14Aに割りピン12Aを挿入し、図3(B)に示すように、一対の脚部1204を開く。
これによりベアリングプレート56のロックボルト挿通孔5602の周囲の箇所が割りピン12Aに係止可能な状態となり、コンクリートC1の表面から離れる方向へのベアリングプレート56の移動が割りピン12Aにより阻止された状態となる。
発泡材料20は発泡して体積が膨張するので、ベアリングプレート56はコンクリートC1の表面から離れる方向に変位しようとするが、コンクリートC1の表面と反対に位置するベアリングプレート56の側面において、ロックボルト挿通孔5602の周囲の箇所が割りピン12Aに係止され、ベアリングプレート56のコンクリートC1の表面から離れる方向への移動が阻止される。
したがって、発泡材料20の硬化後、図5に示すように、ベアリングプレート56は体積が膨張した発泡材料20を介してコンクリートC1の表面に密着し、孔52に注入された定着材と発泡材料20が硬化することで、複数のロックボルト54と複数のベアリングプレート56とによる岩盤の固定化、安定化が図られる。
この場合には、発泡材料20の吹き付け後、ロックボルト54の基部54Aをベアリングプレート56のロックボルト挿通孔5602に挿通し、次いで、ロックボルト54の基部54Aの貫通孔14Aに割りピン12Aを挿入し、一対の脚部1204を開き、コンクリートC1の表面から離れる方向へのベアリングプレート56の移動を割りピン12Aにより阻止する。
すなわち、従来のロックボルト54の雄ねじにナット58を螺合し、ナット58を回転していく手間取る作業に比べ、極めて短時間でロックボルト54の設置作業を終了させることができ、ロックボルト54の設置作業の効率化を図る上で有利となる。
また、ロックボルト54の設置作業を短時間で行なうことができることから、コンクリートC1が吹き付けられた岩盤付近に短時間いれば足り、危険性を減少する上で有利となる。
また、短時間で地山を支保できるため、地山を早期に安定させる上で有利となる。
特に、本実施の形態によれば、トンネル断面が大きく、トンネルの長さが大きくなり、ロックボルト54の本数が数千、数万本の単位となった場合でも、ロックボルト54の設置作業に要する時間を大幅に短縮でき、トンネル工事の施工期間を短縮化し、コストダウンを図る上で有利となる。
また、このように取り付け部14をロックボルト54の基部54Aの延在方向に間隔をおいて複数設けると、1本のロックボルト54を、地山に削孔される深さの異なる孔に共通して利用でき、コストダウンを図る上で有利となる。
なお、取り付け部14が貫通孔14Aで形成され、貫通孔14Aを複数設ける場合、貫通孔14Aの延在方向をロックボルト54の中心軸回りにずらして設けると、ロックボルト54の強度、剛性を確保する上で有利となる。
このように取り付け部14をロックボルト54の基部54Aの延在方向に間隔をおいて複数設けることによる効果は、以下の実施の形態でも同様に奏される。
次に、第2の実施の形態について図8を参照して説明する。
なお、以下の実施の形態では、取り付け部14の構造あるいはワンタッチ式固定具12の構造が第1の実施の形態と異なっており、第1の実施の形態と同様な箇所の説明は省略し、第1の実施の形態と異なった箇所を重点的に説明する。
第2の実施の形態では、取り付け部14は、ロックボルト54の基部54Aに貫通形成された貫通孔14Bであり、ワンタッチ式固定具12は、貫通孔14Bに押し込まれて係止するテーパピン12Bである。
テーパピン12Bは市販品であり、貫通孔14Bに押し込むと貫通孔14Bに係止し、ロックボルト54が挿通されたベアリングプレート56のロックボルト挿通孔5602の周囲の箇所に係止可能な寸法のものが用いられる。
そして、コンクリートC1の表面とベアリングプレート56との間でロックボルト54の基部54Aの周囲に、スプレー缶や吹付けガンを用いて発泡材料20を吹き付け、ロックボルト54の設置作業が終了する。
発泡材料20は発泡して体積が膨張するので、ベアリングプレート56はコンクリートC1の表面から離れる方向に変位しようとするが、ベアリングプレート56のロックボルト挿通孔5602の周囲の箇所がテーパピン12Bに係止され、ベアリングプレート56のコンクリートC1の表面から離れる方向への移動が阻止される。
したがって、発泡材料20の硬化後、ベアリングプレート56は体積が膨張した発泡材料20を介してコンクリートC1の表面に密着し、孔52に注入された定着材と発泡材料20が硬化することで、複数のロックボルト54と複数のベアリングプレート56とによる岩盤の固定化、安定化が図られる。
このような第2の実施の形態によっても第1の実施の形態と同様な効果が奏される。
次に、第3の実施の形態について図9を参照して説明する。
第3の実施の形態では、取り付け部14は、ロックボルト54の基部54Aの外周部に形成された環状溝14Cであり、ワンタッチ式固定具12は、環状溝14Cに装着されるスナップリング12Cである。
スナップリング12Cは市販品であり、環状溝14Cに装着されるとスナップリング12Cはロックボルト54の基部54Aの軸方向に移動不能となり、ロックボルト54が挿通されたベアリングプレート56のロックボルト挿通孔5602の周囲の箇所に係止可能な寸法のものが用いられる。
そして、コンクリートC1の表面とベアリングプレート56との間でロックボルト54の基部54Aの周囲に、スプレー缶や吹付けガンを用いて発泡材料20を吹き付け、ロックボルト54の設置作業が終了する。
発泡材料20は発泡して体積が膨張するので、ベアリングプレート56はコンクリートC1の表面から離れる方向に変位しようとするが、ベアリングプレート56の他方の側面でロックボルト挿通孔5602の周囲の箇所がスナップリング12Cに係止され、ベアリングプレート56のコンクリートC1の表面から離れる方向への移動が阻止される。
したがって、発泡材料20の硬化後、ベアリングプレート56は体積が膨張した発泡材料20を介してコンクリートC1の表面に密着し、孔52に注入された定着材と発泡材料20が硬化することで、複数のロックボルト54と複数のベアリングプレート56とによる岩盤の固定化、安定化が図られる。
このような第3の実施の形態によっても第1の実施の形態と同様な効果が奏される。
次に、第4の実施の形態について図10を参照して説明する。
第4の実施の形態では、取り付け部14は、ロックボルト54の基部54Aの外周部に形成された環状溝14Dであり、ワンタッチ式固定具12は、環状溝14Dに装着される結束バンド12Dである。
結束バンド12Dは市販品であり、歯部が設けられたベルト部と、歯部に噛合可能な締結ヘッドを含んで構成されている。
締結ヘッドにベルト部が挿入されて結束バンド12Dが環状溝14Dに装着されると、結束バンド12Dはロックボルト54の基部54Aの軸方向に移動不能となり、結束バンド12Dはこの状態でアリングプレート56のロックボルト挿通孔5602の周囲の箇所に係止可能な寸法のものが用いられる。
そして、コンクリートC1の表面とベアリングプレート56との間でロックボルト54の基部54Aの周囲に、スプレー缶や吹付けガンを用いて発泡材料20を吹き付け、ロックボルト54の設置作業が終了する。
発泡材料20は発泡して体積が膨張するので、ベアリングプレート56はコンクリートC1の表面から離れる方向に変位しようとするが、ベアリングプレート56の他方の側面でロックボルト挿通孔5602の周囲の箇所が結束バンド12Dに係止され、ベアリングプレート56のコンクリートC1の表面から離れる方向への移動が阻止される。
したがって、発泡材料20の硬化後、ベアリングプレート56は体積が膨張した発泡材料20を介してコンクリートC1の表面に密着し、孔52に注入された定着材と発泡材料20が硬化することで、複数のロックボルト54と複数のベアリングプレート56とによる岩盤の固定化、安定化が図られる。
このような第4の実施の形態によっても第1の実施の形態と同様な効果が奏される。
1202 頭部
1204 脚部
12A 割りピン
12B テーパピン
12C スナップリング
12D 結束バンド
14 取り付け部
14A、14B 貫通孔
14C、14D 環状溝
16 目印
20 発泡材料
C1、C2 コンクリート
50 地山内面
52 孔
54 ロックボルト
54A 基部
56 ベアリングプレート
5602 ロックボルト挿通孔
Claims (7)
- 掘削された地山内面にコンクリートを吹き付け、
前記コンクリートの上から前記地山内面に複数の孔を削孔してそれら孔にモルタルなどの定着材を注入し、
前記各孔にロックボルトを挿入し、前記コンクリートから突出する前記ロックボルトの基部を、ベアリングプレートのロックボルト挿通孔に挿通し、
前記ベアリングプレートを前記ロックボルトを介して前記コンクリートの表面に押し付けるようにしたトンネル工事におけるロックボルトの設置方法であって、
前記ロックボルトの前記基部に取り付け部を形成すると共に、前記取り付け部にワンタッチで取り付け可能で前記取り付け部に取り付けられた状態で前記ロックボルト挿通孔の周囲の前記ベアリングプレートの箇所に係止可能なワンタッチ式固定具を用意し、
前記コンクリートから突出する前記ロックボルトの前記基部の周囲の前記コンクリートの表面に、発泡して体積が膨張し硬化する硬質の発泡材料を吹き付け、
前記ロックボルトの前記取り付け部にワンタッチ式固定具を取り付け、
前記発泡材料の体積膨張に伴い前記コンクリートの表面から離れる方向への前記ベアリングプレートの移動を前記ワンタッチ式固定具により阻止するようにした、
ことを特徴とするトンネル工事におけるロックボルトの設置方法。 - 前記取り付け部は、前記ロックボルトの前記基部に貫通形成された貫通孔であり、
前記ワンタッチ式固定具は、前記貫通孔に挿通され係止される割りピンである、
ことを特徴とする請求項1記載のトンネル工事におけるロックボルトの設置方法。 - 前記取り付け部は、前記ロックボルトの前記基部に貫通形成された貫通孔であり、
前記ワンタッチ式固定具は、前記貫通孔に押し込まれて係止するテーパピンである、
ことを特徴とする請求項1記載のトンネル工事におけるロックボルトの設置方法。 - 前記取り付け部は、前記ロックボルトの前記基部の外周部に形成された環状溝であり、
前記ワンタッチ式固定具は、前記環状溝に装着されるスナップリングである、
ことを特徴とする請求項1記載のトンネル工事におけるロックボルトの設置方法。 - 前記取り付け部は、前記ロックボルトの前記基部の外周部に形成された環状溝であり、
前記ワンタッチ式固定具は、前記環状溝に装着される結束バンドである、
ことを特徴とする請求項1記載のトンネル工事におけるロックボルトの設置方法。 - 前記取り付け部は前記ロックボルトの基部の延在方向に間隔をおいて複数設けられている、
ことを特徴とする請求項1~5の何れか1項記載のトンネル工事におけるロックボルトの設置方法。 - 前記ロックボルトの基部に目印が設けられ、
前記孔に前記ロックボルトを挿入する際に、前記目印が前記コンクリートの表面に位置するまで挿入される、
ことを特徴とする請求項1~5の何れか1項記載のトンネル工事におけるロックボルトの設置方法。
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