JP7441161B2 - 可変バルブタイミング機構の制御装置 - Google Patents
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Description
図1は、可変バルブタイミング機構を備えた、車両用の内燃機関の一態様を示す図である。
内燃機関101は、吸気ダクト102に、内燃機関101の吸入空気流量QAを検出する吸入空気量センサ103を備える。
燃料噴射弁106(換言すれば、燃料噴射装置)は、各気筒の吸気ポート102a内に燃料を噴射する。
そして、燃焼圧力がピストン108をクランクシャフト109に向けて押し下げ、クランクシャフト109を回転駆動する。
排気管111は、三元触媒などの触媒を内蔵する触媒コンバータ112を備える。
また、排気バルブ110は、クランクシャフト109によって回転駆動される排気カムシャフト115bの回転に伴って開閉する。
可変バルブタイミング機構114は、例えば、特開2020-128703号公報に開示される公知の構造を有する可変バルブタイミング機構である。
逆に、モータ12が逆転方向の回転トルクを発生し、モータ12の回転速度がタイミングスプロケットの回転速度よりも遅くなると、クランクシャフト109に対する吸気カムシャフト115aの回転位相は進角方向に変化する。
点火モジュール116は、点火コイル及び点火コイルへの通電を制御するパワートランジスタを備える。
ECM201は、マイクロコンピュータ201aを備えた電子制御装置で、電動VTCコントローラ202は、マイクロコンピュータ202aを備えた電子制御装置である。
ECM201と電動VTCコントローラ202とは、CAN(Controller Area Network)などの通信回路211を介して相互に通信可能に構成される。
また、電動VTCコントローラ202は、ECM201が送信する信号や各種センサが出力する信号を取得し、予め不揮発性メモリに格納されたプログラムに従って演算処理を行うことで、可変バルブタイミング機構114の操作量を演算して出力する。
また、カム角センサ204が出力するカム角信号CAMは、気筒間の行程位相差に相当するクランク角毎に出力される。
可変バルブタイミング機構114は、モータ12の出力軸の回転に応じてモータ回転角信号MASを出力するモータ回転角センサ210を備える。
ここで、ECM201は、クランク角センサ203から取得したクランク角信号POS、及び、カム角センサ204から取得したカム角信号CAMを、後述する複製回路で複製し、複製したクランク角信号POS及びカム角信号CAMを、それぞれの専用送信ラインを介して電動VTCコントローラ202に送信する。
但し、電動VTCコントローラ202は、クランク角信号POSとカム角信号CAMとの双方或いはいずれか一方を、センサから直接取得することができる。
ECM201は、目標値演算部201A及び複製回路201Bを備える。
複製回路201Bは、クランク角センサ203が出力するクランク角信号POS、及び、カム角センサ204が出力するカム角信号CAMを取得して複製し、複製したクランク角信号POS及びカム角信号CAMを、専用ラインを介して電動VTCコントローラ202に送信する。
絶対角度演算部202Aは、クランク角信号POS及びカム角信号CAMに基づき、回転位相の絶対角度の検出情報である位相検出値RAPを演算する。
角度変化量演算部202Bは、モータ回転角信号MASに基づき演算したモータ回転速度と、クランク角信号POSに基づき演算したタイミングスプロケットの回転速度との差に基づき、所定の演算周期当たりにおける回転位相の変化量dRAを演算する。
つまり、角度演算部202Cは、位相検出値RAPが更新される間(換言すれば、カム角信号CAMが発生する間)での回転位相の変化を、変化量dRAの積算値に基づき補完する。
モータ駆動回路202Eは、駆動制御部202Dから取得した指令値に応じて、モータ12に印加する電圧を調整する。
モータ回転角センサ210の動作電圧は例えば5Vであり、電源回路301は、モータ回転角センサ210に、係る動作電圧の電圧AVCCを供給する。
また、電圧検出回路302は、電源回路301がモータ回転角センサ210に実際に供給している電圧を検出する回路である。
そして、マイクロコンピュータ202aは、電源回路301による電圧AVCCの出力をオンオフ制御するアナログ電圧信号を出力する。
ここで、分圧回路302aは、電源回路301の出力する電圧AVCCを分圧し、分圧回路302aが分圧した電圧Vout(アナログ電圧信号)は、サージ保護回路302b及びLCローパスフィルタ302cを介してマイクロコンピュータ202aのA/D変換器(図示省略)に取り込まれ、電圧値を示すデジタル信号に変換される。
したがって、電源回路301が出力する電圧AVCCが5Vであるときに、分圧回路302aは、2.5Vの電圧Voutを出力する。
LCローパスフィルタ302cは、入力信号に並列するコンデンサC1と入力信号と直列する抵抗器R3からなる1次ローパスフィルタであり、分圧回路302aの分圧出力の低周波成分を通過させる。
図4-図6は、マイクロコンピュータ202a(診断部202F)による診断処理の手順を示すフローチャートであり、マイクロコンピュータ202aは、図4-図6のフローチャートに示したルーチンを所定時間毎の割り込み処理で実行する。
そして、電圧検出信号AVCC/2が正常範囲内である場合、つまり、電源回路301がモータ回転角センサ210に供給している電圧が正常値である5V近傍である場合、マイクロコンピュータ202aは、ステップS803に進んで、モータ回転角信号MASの入力の有無を確認する。
また、マイクロコンピュータ202aは、ステップS803で、モータ回転角信号MASのレベルが所定時間以上変化しないときに、モータ回転角信号MASが入力されていないと判断する。
そして、モータ回転角信号MASが入力されている場合、詳細には、モータ回転角センサ210に供給されている電圧AVCCが正常で、かつ、モータ回転角信号MASが入力されている場合、マイクロコンピュータ202aは、ステップS805に進む。
マイクロコンピュータ202aは、ステップS805で、モータ回転角信号MASは正常である、換言すれば、モータ回転角センサ210が正常に動作していて、かつ、モータ回転角信号MASが正常にマイクロコンピュータ202aに取り込まれていると判断する。
換言すれば、マイクロコンピュータ202aは、モータ回転角センサ210が正常に動作している場合、モータ回転角信号MASを用いて回転位相を検出し、係る回転位相の検出値に基づきモータ12を制御する。
マイクロコンピュータ202aは、ステップS807で、モータ回転角信号MASの異常を判定する。
詳細には、電動VTCコントローラ202内でのモータ回転角センサ210への電圧供給は正常であるものの、モータ回転角センサ210が正常に動作していないか、電動VTCコントローラ202の外部におけるモータ回転角信号MASの出力ラインに異常があると判定する。
不揮発性メモリに保存された異常判定の履歴(詳細には、マイクロコンピュータ202aが異常と診断した故障箇所の情報)は、車両の整備工場などにおいて読み出され、点検整備における点検箇所、交換部品などを特定するための情報として用いられる。
なお、後述するように、モータ回転角センサ210以外の箇所について異常判定した場合も同様である。
そこで、マイクロコンピュータ202aは、ステップS809に進んで、電源回路301の出力、つまり、電源回路301からモータ回転角センサ210への電圧AVCC(動作電圧)の供給をオフする。
つまり、モータ回転角信号MASに異常が生じたことで、マイクロコンピュータ202aは、クランク角信号POS及びカム角信号CAMに基づき検出した位相検出値RAPを変化量dRAに基づき補完する処理を実行できなくなるが、位相検出値RAPに基づきモータ12の制御を継続する。
マイクロコンピュータ202aは、ステップS811において、ステップS803と同様に、モータ回転角信号MASの入力の有無を確認する。
ここで、マイクロコンピュータ202aは、モータ回転角信号MASが入力されている場合、ステップS813に進み、モータ回転角信号MASが正常であること、換言すれば、モータ回転角センサ210が正常に動作していて、かつ、モータ回転角信号MASが正常にマイクロコンピュータ202aに入力されていると判断する。
つまり、電圧検出信号AVCC/2が正常範囲から外れていて、電源回路301からモータ回転角センサ210に供給されている電圧AVCCに異常であるという検出結果は誤りで、電圧検出回路302の異常に因るものであると見込まれる。
また、実際には電源回路301からモータ回転角センサ210に電圧AVCCが正常に供給されていると推定できるため、マイクロコンピュータ202aは、次のステップS815で、電源回路301の出力、つまり、モータ回転角センサ210への電圧AVCC(動作電圧)の供給を継続させる。
換言すれば、マイクロコンピュータ202aは、電圧検出回路302の異常が発生していると診断したもののモータ回転角信号MASが入力されていることから、モータ回転角信号MASを用いた回転位相の検出を実施する。
マイクロコンピュータ202aは、ステップS817で、モータ回転角信号MASが異常であること、詳細には、モータ回転角センサ210に供給されている電源電圧に異常があり、これによって、モータ回転角信号MASが入力されなくなったことを判定する。
そして、電圧検出信号AVCC/2がハイレベル電圧VHに固着している場合、マイクロコンピュータ202aは、ステップS819に進んで、電源回路301からの電圧AVCCの供給ラインを構成するハーネスにおける天絡の発生を判定し、係る異常判定の履歴を不揮発性メモリに保存する。
次いで、マイクロコンピュータ202aは、ステップS821に進み、ステップS810と同様に、モータ回転角信号MASを用いた回転位相の検出、詳細には、変化量dRAの積算値に基づく補完処理をキャンセルし、クランク角信号POS及びカム角信号CAMに基づき検出した位相検出値RAPをそのまま最終的な位相検出値RAとして、位相検出値RAと目標値TAとの比較に基づきモータ12を制御する。
マイクロコンピュータ202aは、ステップS822で、電圧検出信号AVCC/2が正常範囲よりも低いローレベル電圧VL(例えば、VL=0V)に張り付いているか否か、換言すれば、電圧検出信号AVCC/2=所定のローレベル電圧VLの状態が所定時間以上継続しているか否かを判断することで、モータ回転角センサ210への電圧AVCCの供給ラインを構成するハーネスが地絡(グランドGNDに短絡)しているか否かを判断する。
更に、マイクロコンピュータ202aは、ステップS824で、電源回路301の出力をオフし、また、ステップS825で、モータ回転角信号MASを用いた回転位相の検出をキャンセルし、クランク角信号POS及びカム角信号CAMに基づき検出した位相検出値RAPに基づきモータ12を制御する。
つまり、マイクロコンピュータ202aは、ハーネスの天絡及び地絡が発生していないものの電圧検出信号AVCC/2が正常範囲内でなく、モータ回転角信号MASの入力がないときに、ステップS826に進むことになる。
更に、マイクロコンピュータ202aは、ステップS827で、電源回路301の出力をオフし、また、ステップS828で、モータ回転角信号MASを用いた回転位相の検出をキャンセルし、クランク角信号POS及びカム角信号CAMに基づき検出した位相検出値RAPに基づきモータ12を制御する。
また、マイクロコンピュータ202aは、例えば、電圧検出信号AVCC/2が異常値を示しても、モータ回転角信号MASが正常に入力されている場合は、モータ回転角信号MASに基づく回転位相の検出(換言すれば、通常の回転位相の検出処理)を継続するので、異常発生時における可変バルブタイミング機構114の動作範囲を広げることが可能となる。
また、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
また、電動VTCコントローラ202とECM201とを一体化した電子制御装置によって可変バルブタイミング機構114を制御するシステムとすることができる。
また、電動VTCコントローラ202(マイクロコンピュータ202a)は、電源回路301への入力電圧の供給・遮断をリレーで制御することで、モータ回転角センサ210への電圧AVCCの供給をオンオフ制御することができる。
また、可変バルブタイミング機構114を、クランクシャフト109に対する排気カムシャフト115bの回転位相を変化させる機構として内燃機関101に設けることができる。そして、この場合も、電動VTCコントローラ202は、上記と同様に故障箇所の診断を行える。
Claims (6)
- 内燃機関のクランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相をモータの回転によって可変とする可変バルブタイミング機構を制御するための可変バルブタイミング機構の制御装置であって、
前記モータの回転角を検出するモータ回転角センサに電圧を供給する電源回路と、
前記モータ回転角センサが出力するモータ回転角信号を取得し、前記モータの制御信号を出力する制御部と、
前記電源回路が前記モータ回転角センサに供給する電圧を検出する電圧検出回路と、
前記モータ回転角センサが出力するモータ回転角信号及び前記電圧検出回路による電圧検出信号を取得し、取得した前記モータ回転角信号及び前記電圧検出信号に基づき、故障箇所を診断する診断部と、
を有する、
可変バルブタイミング機構の制御装置。 - 請求項1記載の可変バルブタイミング機構の制御装置であって、
前記診断部は、
前記電圧検出信号が正常範囲内であって前記モータ回転角信号の入力が無いときに、前記モータ回転角センサの故障を判定し、前記電圧検出信号が正常範囲外であって前記モータ回転角信号の入力が有るときに、前記電圧検出回路の故障を判定する、
可変バルブタイミング機構の制御装置。 - 請求項2記載の可変バルブタイミング機構の制御装置であって、
前記診断部は、
前記電圧検出信号が正常範囲外であって前記モータ回転角信号の入力が無く、前記電圧検出信号がハイレベル又はローレベルに固着しているときに、前記モータ回転角センサに前記電源回路からの電圧を供給するためのハーネスの故障を判定する、
可変バルブタイミング機構の制御装置。 - 請求項3記載の可変バルブタイミング機構の制御装置であって、
前記診断部は、
前記電圧検出信号が正常範囲外であって前記モータ回転角信号の入力が無く、前記電圧検出信号が前記ハイレベル,前記ローレベルのいずれにも固着していないときに、前記電源回路の故障を判定する、
可変バルブタイミング機構の制御装置。 - 請求項4記載の可変バルブタイミング機構の制御装置であって、
前記診断部は、
前記モータ回転角センサ、前記ハーネス、前記電源回路のうちのいずれかが故障したときは、前記電源回路の出力をオフする、
可変バルブタイミング機構の制御装置。 - 請求項4記載の可変バルブタイミング機構の制御装置であって、
前記制御部は、
前記モータ回転角信号、前記クランクシャフトの回転角を検出するクランク角センサが出力するクランク角信号、前記カムシャフトの回転角を検出するカム角センサが出力するカム角信号を取得し、
前記モータ回転角センサ、前記ハーネス、前記電源回路の全てが正常であるときは、前記モータ回転角信号、前記クランク角信号、及び前記カム角信号に基づき前記回転位相の検出値を求め、
前記モータ回転角センサ、前記ハーネス、前記電源回路のうちのいずれかが故障したときは、前記クランク角信号及び前記カム角信号に基づき前記回転位相の検出値を求め、
前記回転位相の検出値と目標値とを比較して前記制御信号を設定する、
可変バルブタイミング機構の制御装置。
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