JP7441133B2 - ロックボルト打設装置およびこれを備えるロックボルト打設作業車並びにロックボルトの打設方法 - Google Patents
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そこで、本発明は、一のロックボルト孔に対してより深い位置にまでロックボルトによる補強を施すことが可能な、ロックボルト打設装置およびこれを備えるロックボルト打設作業車並びにロックボルトの打設方法を提供することを課題とする。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るロックボルトの打設方法は、本発明の一態様に係るロックボルト打設装置を用いて、一のロックボルト孔に対して複数のロックボルトを打設することを特徴とする。
本発明によれば、一のロックボルト孔に対して、複数本のロックボルトを相互に接続してより深い位置にまで打設できる。そのため、より深い位置までロックボルトによる補強を施すことが可能になる。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
図1に示すように、本実施形態のロックボルト打設作業車10は、前後に走行用の車輪7、8およびアウトリガ9を有する走行可能な台車1を備える。
台車1には、車体前側の上部にオペレータキャビン6が設けられ、車体後側の上部に駆動部2が設けられている。オペレータキャビン6は、ロックボルト孔のさく孔およびそのロックボルト孔へのロックボルト打設に必要な作業を行うための操作部(不図示)を有する。
さく孔用のブーム3Bの先端にはガイドシェル5Bが傾動可能に支持されている。ブーム3Bには、ガイドシェル5Bを所定方向に移動可能にするために、同調回路を有する油圧駆動機構が設けられている。また、ブーム3Bには、ガイドシェル5Bを自在に旋回させるための旋回用アクチュエータが設けられ、ブーム3Bの移動とともに、ガイドシェル5Bをトンネル内の所定の空間位置に移動可能になっている。
さく孔装置50は、ガイドシェル5Bの先端側に、フートパット25Bおよびセントラライザ17Bがそれぞれ装着されている。ガイドシェル5Bには、公知の油圧式のドリフタが、さく孔用のドリフタ4Bとして搭載され、穿孔時、ガイドシェル5B上をフィードされる。
一方、本実施形態では、車体の左前側部から前方に張り出すブーム3Aには、ロックボルト打設装置30が装備されている。本実施形態のロックボルト打設装置30は、台車1左側のブーム3A先端にマウントブラケット37が装備され、このマウントブラケット37に、ガイドシェル5A、セントラライザ装置17A、ドリフタ4A等により構成される打設装置本体、および、ロックボルトマガジン40が搭載されている。
また、ブーム3Aには、マウントブラケット37を自在に旋回させるための旋回用アクチュエータが設けられ、ブーム3Aの移動とともに、マウントブラケット37をトンネル内の所定の空間位置に移動可能になっている。
スイングブラケット38には、ガイドシェル5Aが固定され、スイングブラケット38と一体で回動される第一の回動機構が構成されている。ガイドシェル5A上には、ボルトクランプ35が装備された打設用のドリフタ4Aが搭載され、打設時に、ドリフタ4Aがガイドシェル5A上をフィードされる。
本実施形態では、セントラライザブラケット32の基端部は、マウントブラケット37に対してピン31と同軸の支軸まわりで打設位置と退避位置とに回動可能に構成されている。これにより、スイングブラケット38によるガイドシェル5Aの第一の回動機構とは別個の回動機構として、マウントブラケット37に対してセントラライザ装置17Aを支軸まわりで打設位置Dと退避位置Nとに回動可能に支持する第二の回動機構が構成されている。
打設用のドリフタ4Aは、ロックボルトB1、B2を打設するロックボルト打設機構として機能するとともに、ロックボルトB1、B2相互を接続するロックボルト接続機構としても機能する。この点において通常のさく岩機と同様の構成である。
また、ドリフタ4Aの回転機構、送り機構および打撃機構を利用して、ロックボルトB1、B2の打設が可能なロックボルト打設機構が構成される。また、ガイドシェル5A上のドリフタ4Aに装備された可撓型の上記ボルトクランプ35により、第一の回動機構との協働によりロックボルト受渡機構が構成されている。
さらに、本実施形態の打設装置本体は、ロックボルト接続機構により、ドリフタ4Aの回転および送りを利用して、ロックボルトB1、B2のねじ込みが可能であり、特に、二本目のロックボルトB2を、打設途中状態の一本目のロックボルトB1の後端に継ぎ足し可能になっている。
特に、本実施形態のロックボルト打設装置30では、台車1左側のガイドシェル5A先端側に配置されたセントラライザ装置17Aが、ロックボルトB1、B2の先端部を、ロックボルト孔Hの軸線CXと同軸上に位置する基準軸線CBにて、ロックボルトB1、B2の把持およびその開放が可能になっている(図4参照)。
これにより、本実施形態のロックボルト打設作業車10は、岩盤に対して、台車1右側のさく孔装置50によって形成されたロックボルト孔H内に、台車1左側のロックボルト打設装置30によって、複数のロックボルトB1、B2を順に継ぎ足しつつ押し込むことで、複数のロックボルトB1、B2を繋いだジョイント式ロックボルトBJ(図4(f)参照)として打設可能になっている。
複数のロックボルトB1,B2の一連の打設作業を行なって、トンネルTの内周壁WにロックボルトBを打設する際は、まず、打設位置の近傍にロックボルト打設作業車10を移動させ、前後のアウトリガ9を張り出して台車1の安定を確保する。
次いで、台車1右側のさく孔装置50によってロックボルト孔Hを基準軸線CB上で穿孔する。ロックボルト孔Hを穿孔する際は、台車1の右前側部から前方に張り出す穿孔用のブーム3Bを移動させ、同ブーム3Bのガイドシェル5BをトンネルTの内周壁Wに対向させ、ロックボルト孔Hの必要な位置に位置決めする。
これにより、穿孔用ロッド18先端のビットでロックボルト孔Hの穿孔を行なうことができる。ロックボルト孔Hの穿孔が終わると、穿孔用のブーム3Bを短縮してブーム3Bのガイドシェル5Bを下げるとともに、これに替えて、台車1の左前側部から前方に張り出す打設用のブーム3Aを所望位置に伸長し、同ブーム3Aのマウントブラケット37を持ち上げて、ロックボルト打設装置30をロックボルト孔Hの近傍に移動させる。
詳しくは、ロックボルト打設作業車10のオペレータは、図3(a)に示すように、まず、第一の回動機構により、ドリフタ4Aを搭載したガイドシェル5Aを支持しているスイングブラケット38を、ピン31を中心として同図右まわりに回動させて受取位置Uにガイドシェル5Aを位置させる。
さらに、ロックボルト打設作業車10のオペレータは、図3(c)に示すように、第一の回動機構により、スイングブラケット38を、ピン31を支軸としてピン31を中心として同図左まわりに更に回動させ、ドリフタ4Aを搭載したガイドシェル5Aを基準軸線CB上の打設位置Dに位置させる。
そして、ロックボルト打設作業車10のオペレータは、図4(b)に示すように、打設用のドリフタ4Aを基準軸線CB上で前進させて、ドリフタ1の打撃と送りとを利用して、一本目のロックボルトB1をロックボルト孔Hに打設する(第一の打設工程)。この状態で、第一のロックボルトB1の後端が、孔口よりも数センチ程度突出した状態になるまで挿入する。
まず、ロックボルト打設作業車10のオペレータは、図4(c)に示すように、一本目のロックボルトB1の後端を、基準軸線CB上に位置しているセントラライザ装置17Aでクランプし、打設用のドリフタ4Aを基準軸線CB上で後退させてドリフタ4Aから一本目のロックボルトB1の後端を切り離す。
さらに、図3(e)に示すように、ドリフタ4Aを搭載したガイドシェル5Aを支持しているスイングブラケット38を、第一の回動機構により、ピン31を中心として同図右まわりに回動させて受取位置Uにガイドシェル5Aを位置させる。
これにより、受取位置Uに位置しているガイドシェル5A上のボルトクランプ35に第二のロックボルトB2が受け渡されて、第二のロックボルトB2がボルトクランプ35にセットされる。
さらに、オペレータは、図3(g)に示すように、スイングブラケット38を、第一の回動機構により、ピン31を支軸として同図左まわりに更に回動させ、ドリフタ4Aを搭載したガイドシェル5Aを、基準軸線CBがロックボルト孔の軸線CXと同軸上の打設位置Dに位置させる。
これにより、第二のロックボルトB2の軸心が第一のロックボルトB1の軸心と一致した、基準軸線CBがロックボルト孔の軸線CXと同軸上の位置に保持される。この状態で、セントラライザ装置17Aによって第一のロックボルトB1の後端を保持したままで、ロックボルト接続機構によりロックボルトを継ぎ足す。
一本目のロックボルトB1の後端に二本目のロックボルトB2の先端を接続することにより、一体となったジョイント式ロックボルトBJが構成される(ロックボルト接続工程)。
つまり、図4(e)から(f)に示すように、打設用のドリフタ4Aを前進させて、ジョイント式ロックボルトBJをロックボルト孔Hに押し込むことで、ロックボルト孔Hのより深い位置まで、第一のロックボルトB1の先端が位置するように打設する(第二の打設工程)。
これにより、図4(e)~(g)に示すように、ドリフタ4Aを前進させても、ロックプレート63は、退避位置Nのセントラライザ装置17Aに干渉することなく、第一のロックボルトB1とともに第二のロックボルトB2を挿入し、ロックプレート63が孔口に着岩するまで内周壁に押し込むことができる。
ロックボルト孔Hへのジョイント式ロックボルトBJの挿入が終わると、次のロックボルト孔Hの位置までロックボルト打設装置30を移動させる。以下、同様の打設作業を繰り返して、所定数のジョイント式ロックボルトBJの打設を行う。
本実施形態のロックボルト打設装置30を備えるロックボルト打設作業車10によれば、ロックボルト供給装置であるロックボルトマガジン40を有するので、ロックボルトの打設位置付近に人が近づくことなく、複数のロックボルトB1、B2の接ぎ工程を含むジョイント式ロックボルトBJの打設作業を安全に効率良く、且つ確実に施工できる。また、ロックボルト打設装置30自体もコンパクトに構成できるので、省スペース化に寄与する。
つまり、本実施形態のロックボルト打設装置30によれば、ドリフタ4Aを搭載したガイドシェル5Aを単独で回動する第一の回動機構を備えており、第一の回動機構は、ドリフタ4Aを含む打設装置本体を、支軸まわりで打設位置Dとロックボルトマガジン40との受取位置Uとに回動可能なので、複数のロックボルトB1、B2を受け渡し可能とし、複数のロックボルトB1、B2を相互に接続しつつより深い位置にまで打設できる。
そのため、仮に同文献記載の装置の採用をロックボルト打設装置として、一のロックボルト孔に対してより深い位置にまで複数のロックボルトによる補強を施そうとしても、ガイドシェル自体を回動させると、ドリフタと共にセントラライザ装置も回動してしまう。そのため、同文献記載の装置では、打設された一本目のロックボルトの保持状態を維持できない。よって、一本目のロックボルト後端に二本目のロックボルト先端を接続することは不可能である。
さらに、本実施形態のロックボルト打設装置30によれば、セントラライザ装置17Aは、第二の回動機構により退避位置Nに回動可能なので、ロックボルト接続工程からその後の打設工程でのドリフタ4Aやジョイント式ロックボルトBJ(特に、ロックプレート63およびロックナット64)との干渉も防止できる。
なお、本発明に係るロックボルト打設装置並びにこれを備えるロックボルト打設作業車は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
また、本発明に係るロックボルト打設作業車の構成についても、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能なことは勿論である。例えば、作業車は、トンネル工事におけるロックボルトの打設作業を行うための車両であれば、ドリルジャンボ等の種々の作業車に適用できる。
2 駆動部
3A、3B ブーム
4A、4B ドリフタ
5A、5B ガイドシェル
6 オペレータキャビン
7,8 車輪
9 アウトリガ
10 作業車(ロックボルト打設作業車)
17A、17B セントラライザ
18 穿孔用ロッド
21 打設用ロッド
25 フートパット
30 ロックボルト打設装置
40 ロックボルトマガジン
41 マガジン本体
50 さく孔装置
BJ ジョイント式ロックボルト
B1、B2 ロックボルト
CB 基準軸線
CX ロックボルト孔軸線
H ロックボルト孔
S スリーブ
T トンネル
W 内周壁
Claims (5)
- 複数のロックボルトを収容するロックボルトマガジンと、ロックボルトの把持およびその開放が可能に構成されたセントラライザ装置と、該セントラライザ装置とは別個に自身を回動可能な第一の回動機構を有するガイドシェルと、該ガイドシェルに搭載された打設装置本体と、を備え、
前記打設装置本体は、前記第一の回動機構により前記ガイドシェルを回動させることで、前記ロックボルトマガジンに収容されたロックボルトを受け取る受取位置と、該受取位置で受け取ったロックボルトの軸線を前記セントラライザ装置の基準軸線上に位置させる打設位置と、に位置するように設けられたロックボルト受渡機構と、前記打設位置において一のロックボルト孔の軸線に沿ってロックボルトを押し込むことで打設するロックボルト打設機構と、該ロックボルト打設機構で打設された状態の一のロックボルトの後端に他のロックボルトを接続するロックボルト接続機構と、を有することを特徴とするロックボルト打設装置。 - 前記セントラライザ装置は、前記打設位置と、前記ロックボルトマガジンとは反対の側の退避位置と、に回動可能な第二の回動機構を有し、
前記退避位置にあっては、前記打設位置に位置した状態の前記打設装置本体との干渉が防止されるように構成されている請求項1に記載のロックボルト打設装置。 - 請求項1または2に記載のロックボルト打設装置を備えることを特徴とするロックボルト打設作業車。
- 請求項1または2に記載のロックボルト打設装置を用いて、一のロックボルト孔に対して複数のロックボルトを打設することを特徴とするロックボルトの打設方法。
- 前記一のロックボルト孔に第一のロックボルトを打設する第一の打設工程と、
前記第一のロックボルトを打設後に、該第一のロックボルトの後端に第二のロックボルトを接ぎ足すロックボルト接続工程と、
前記ロックボルト接続工程で接続された状態の前記第一のロックボルトおよび前記第二のロックボルトを、前記一のロックボルト孔のより深い位置まで前記第一のロックボルトの先端が位置するように打設する第二の打設工程と、
を含むことを特徴とする請求項4に記載のロックボルトの打設方法。
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