JP7441094B2 - 防水透気膜とその製造方法、気体供給体、供給体ユニット、及び廃水処理装置 - Google Patents

防水透気膜とその製造方法、気体供給体、供給体ユニット、及び廃水処理装置 Download PDF

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Description

好気性微生物の働きを活用して水中の有機物を分解して廃水を浄化する廃水処理装置に関する。
好気性微生物廃水処理装置は有機性廃水の処理方法として広く利用されている。この中で、気体を透過し液体を透過しない気体供給体に微生物を付着させて廃水処理を行う、廃水処理装置が検討されている(特許文献1)。
特表2005-511303号公報
従来の防水透気膜では、廃水が流動する環境下において、繰り返し膜の揺動があることで膜が破損して漏水を起こし、気体が供給されにくくなる場合があるという課題があった。気体が供給されにくくなると、廃水中に供給される空気量が減少し、処理性能が低下する。
本開示の第1観点の防水透気膜は、廃水が流動する環境下で廃水中に気体を供給する廃水処理用防水透気膜であって、
気体透過性無孔層を含み、
前記気体透過性無孔層の引張弾性率が5MPa以上200MPa以下である。
第2観点の防水透気膜は、第1観点の防水透気膜であって、前記気体透過性無孔層がシリコーン系樹脂を含む。
第3観点の防水透気膜は、第2観点の防水透気膜であって、前記シリコーン系樹脂が、シリコーンゴムを含み、
シリコーンレジンを含まない、または、シリコーンレジンの含有率が55重量%以下である。
第4観点の防水透気膜の製造方法は、樹脂組成物を準備し、
前記樹脂組成物を成形して、前記気体透過性無孔層を成形する、
第1観点~第3観点のいずれか1の防水透気膜の製造方法であって、
前記樹脂組成物は、固形分を含み、
前記固形分は、シリコーンゴムを含み、
シリコーンレジンを含まない、または、シリコーンレジンの含有率が55重量%以下である。
第5観点の気体供給体は、第1観点~第3観点の防水透気膜、または、第4観点に記載の方法で製造された防水透気膜を有する。
第6観点の気体供給体は、第5観点の気体供給体であって、さらに、気体送出層を有する。
第7観点の気体供給体は、第6観点の気体供給体であって、前記気体送出層のエッジ部の形状が面取り形状、もしくはR形状となっている。
第8観点の気体供給体は、第6観点の気体供給体であって、さらに、前記気体送出層のエッジ部と前記防水透気膜との間に中間層を有する。
第9観点の気体供給体ユニットは、第5観点~第8観点の気体供給体を有する。
第10観点の廃水処理装置は、第1観点~第3観点の防水透気膜、
第4観点の方法で製造された防水透気膜、
第5観点~第7観点の気体供給体、または、
第8観点の気体供給体ユニットを含む。
本開示の防水透気膜では、廃水が流動する環境下において、繰り返し膜の揺動があっても膜の破損、漏水が生じにくい。
第1実施形態の廃水処理装置50の鉛直断面図である。 第1実施形態の廃水処理装置50の水平断面図である。 第1実施形態の廃水処理装置50の鉛直断面図である。図1と直交する断面を示す。 第1実施形態の気体供給体10の鉛直断面図である。 図4の気体供給体10を構成する気体送出層12を示す斜視図である。 図1の廃水処理装置50の廃水処理槽51内の廃水中に浸漬された気体供給体10の防水透気膜21の表面に形成される微生物集合体、および微生物による少なくとも1つの有機物質または窒素源の分解について説明する模式図である。 第1実施形態の気体送出層12の斜視図である。 第1実施形態の気体送出層12の水平断面図である。 第1実施形態の図7Bとは別の気体送出層12の水平断面図である。 第1実施形態の気体送出層12のエッジ部121と防水透気膜21との間の中間層30を示す図である。
<第1実施形態>
(廃水処理装置50)
本実施形態の廃水処理装置50は、廃水Wに含まれる好気性微生物の働きを利用して、廃水W中の少なくとも1つの有機物または窒素源を分解して廃水Wの浄化処理を行う。図1~図3に示すように、廃水処理装置50は、廃水処理槽51と、供給体ユニット52と、気体供給源53(図1参照)と、を備えている。
(廃水処理槽51)
図1~図3に示すように、廃水処理槽51は、廃水Wが貯留される有底の容器であって、互いに対向する側面に流入口51aと流出口51bとが設けられている。
本実施形態では、流入口51aと流出口51bとが常時開放されている。廃水Wは、流入口51aから、流入口51aに対向する位置に配置された流出口51bに向かって、連続的、もしくは、断続的に供給される(図3の矢印は、廃水Wの流れを示している)。
廃水処理槽51の容積については、特に限定されないが、例えば、1m以上10,000m以下の容積であればよい。
(廃水が流動する環境)
廃水Wが流動する環境下では、流動により膜が揺動し、それが長期間繰り返されることで膜、特に樹脂組成物層の破損が生じる可能性がある。廃水Wの流動が生じる環境としては例えば、槽内にエアレーションを連続的ないし断続的に実施する場合、槽内を連続的ないし断続的に撹拌している場合、槽内の水位の変動が生じる場合、連続的ないし断続的に流入水の流量の変動が生じる場合、連続的ないし断続的に夾雑物や固形分が流入する場合、複数の流入水の流入口がありそれぞれの流入口からの流量比率が変動する場合、廃水Wの流入水管路の断面積(S[mm2])と流量(Q[L/分])との比が式(1)の関係を満たし管出口の流速が比較的高い場合等が挙げられる。上記の流入水は槽内に流入する廃水だけではなく、各種返流水や希釈水、薬液等が含まれる。
S<Q×10 (1)
(供給体ユニット52)
図1に示すように、供給体ユニット52は、気体供給体10がユニット化されたものであり、廃水処理槽51の内部に配置される。図示例では、供給体ユニット52は、平行に配列された複数の気体供給体10によって構成されている。供給体ユニット52は、使用時において、各気体供給体10の上端部分を除いた部分が廃水W中に浸漬されるように配置される。
(気体供給体10)
供給体ユニット52を構成する各気体供給体10とは、廃水処理槽51の廃水W中に浸漬された状態で、開口21bから供給された気体を、廃水W中に供給する構造体である。気体供給体10を介して廃水W中に供給される気体としては、廃水W中の好気性微生物の活性化を促すために、酸素を含む気体であることが好ましい。具体的には、空気であってもよいし、純酸素であってもよい。図示の例では、気体供給源53からの気体が開口21bに供給されるようになっており、気体供給源53として送気装置等を用いることができる。なお製造コストを安価に抑える観点から、気体供給源53を使用せずに、開口21bから大気中の空気をそのまま気体供給体10に取り入れてもよい。
図2や図3に示すように、各気体供給体10は、平板状の部材であって、上下方向(深さ方向)と横方向(水平方向)とに沿って面が展開されるように配置されている。これにより、廃水Wとの接触面積が効率的に確保される。また、流入口51aと流出口51bとを結ぶ直線に対して、各気体供給体10の側面が平行になるように各気体供給体10が配置されることで、流入口51aから廃水処理槽51内に供給される廃水Wは、流出口51bに向けて円滑に流れる。なお、供給体ユニット52を構成する気体供給体10の数は、必ずしも複数である必要はなく、単数であってもよい。
気体供給体10の間隔を、「気体供給体10の厚みを含まない、隣り合う2つの気体供給体10の外面の間の間隔」と定義すると、気体供給体10の間隔は、5mm以上200mm以下であることが好ましい。気体供給体10の間隔が5mm未満である場合には、防水透気膜21上に増殖する微生物によって目詰まりを起こす虞がある。気体供給体10の間隔が200mmを超える場合には、廃水との接触効率が悪くなり、廃水処理性能が向上しにくくなる可能性がある。なお上記問題を確実に回避するために、気体供給体10の間隔を15mm以上50mm以下とすることがより好ましい。
図4は、気体供給体10の鉛直断面図である。図4に示すように、気体供給体10は、気体送出層12と、防水透気膜21とを備えており、防水透気膜21によって構成される袋の中に気体送出層12が配置される。前記袋は、2枚の防水透気膜21,21を重ね合わせて、これら防水透気膜21,21の3方の端部を接着したものであり、上端部(気体送出層12における気体供給側の端部)に開口21b(図4参照)を有している。そして開口21bから気体送出層12が袋の内部に挿入されることで、気体送出層12の外周は防水透気膜21によって覆われている。なお開口21bの位置あるいは形状は
限定されず、例えば各端部(袋の上辺、底辺、横辺(縦のライン)も含む)の一部が開口とされてもよい。
(気体送出層12)
図5は、気体送出層12を示す斜視図である。気体送出層12は、中空板状部材であり、紙、樹脂、金属のいずれかから形成される。気体送出層12とは、第1端側から供給された気体を第1方向に沿って送出する気体流路Sを有する構造体である。気体供給源53(図1)からの気体、或いは開口21b近傍にある空気は、開口21b(図4)を介して気体送出層12の上端部(気体送出層12における気体供給側の端部)に供給される。気体送出層12は、上端部に供給された気体を第1方向(図5中の2点差線参照)に送出する気体流路Sを有しており、側面の気体通過孔13から気体を放出する。
より具体的には図5に示すように、気体送出層12は、複数の芯材12aと、表ライナ12bと、裏ライナ12cと、を有している。気体送出層12の表裏面は、板状の部材である表ライナ12bや裏ライナ12cによって構成される。
複数の芯材12aは、それぞれ第1方向に延びるものであって、第1方向と直交する方向に所定の間隔をあけて配列される。これら複数の芯材12aが表ライナ12bと裏ライナ12cとの間に挟み込まれることで、表ライナ12bと裏ライナ12cとの間の空間に、芯材12aによって区画された複数の気体流路Sが形成される。
また各芯材12aは、表ライナ12bおよび裏ライナ12c側から押圧された際に、表ライナ12bと裏ライナ12cとの間の空間が縮小しないように支持する支持部として機能する。図1~図3に示すように気体供給体10が廃水W中に浸漬された状態では、芯材12aは、気体流路Sの断面積が水圧によって縮小しないように、表ライナ12bと裏ライナ12cとの間の空間を保持する。これにより、気体送出層12(気体流路S)における気体送出量を十分に確保できる。
表ライナ12bおよび裏ライナ12cには、それぞれ複数の気体通過孔13が形成されている。気体通過孔13は、表ライナ12bおよび裏ライナ12cに形成された貫通孔であり、当該気体通過孔13が気体流路Sと防水透気膜21とを連通させることで、気体流路Sを流れる気体は、防水透気膜21を介して液体中に供給される。
なお例えば、気体通過孔13は、気体送出層12の成形時に形成される。或いは気体送出層12の成形後に表ライナ12bや裏ライナ12cの加工が行われることで、気体通過孔13が形成されてもよい。表ライナや裏ライナには多孔性シートが用いられてもよい。また、十分な気体供給性能が得られれば、気体送出層に多孔性シートを用いてもよい。
気体送出層12を構成する各部材の素材としては、紙、セラミック、アルミニウム、鉄、プラスチック(ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、メチルセルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂及びポリビニルブチラール樹脂)等が挙げられる。
なお強度面が優れることから、気体送出層12の素材は、紙、アルミニウム、鉄、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、塩ビ樹脂、ポリエステル樹脂であることが好ましい。
また材料コストを安価に抑える観点では、気体送出層12の素材として、例えば、紙、ポリオレフィン、ポリスチレン、塩ビ、ポリエステル等の樹脂、アルミニウム等の金属等を使用することが好ましい。また、気体流路Sが第1方向(図5中の2点差線参照)に延びるように形成された段ボールを気体送出層12として使用することでも、気体送出層12の材料コストを安価に抑えることができる。
当該気体送出層12の気体透過孔を形成する孔形状は、円形状、多角形状(ハニカム構造を含む)など様々な形状の孔形状とすることができる。孔形状は特に限定は無いが、多角形状が好ましく、具体的には長方形もしくは正方形が好ましい。
好気性微生物の活性を維持するために、気体送出層12の内部における酸素濃度を維持することが好ましく、この方法として、純酸素を所定量供給することで、酸素濃度を一定に維持することが挙げられる。当該純酸素を供給する方法としては、例えば、動力を用いた送気等が考えられる。
ここで、気体送出層12内に形成される気体流路Sの上下方向(浸漬時の深さ方向)における長さは、例えば、0.2m以上、好ましくは0.8m以上であってよいし、3.7m以上であってもよい。また、当該長さは、例えば、6m以下、好ましくは4m以下であってよい。気体流路Sの上下方向に直交する横方向の長さは、例えば、0.2m以上、好ましくは0.4m以上であってよく、例えば、3.6m以下、好ましくは1.8m以下であってよい。
ここで、気体流路Sの上下方向の長さが上記下限値以上であることは、気体流路Sの維持を容易かつ気体流路Sの換気を容易にして廃水処理能を向上させる点で好ましく、上記上限値以下であることは、気体流路Sの換気による廃水処理能向上効果をより良好に得る点、および設置容易性の点などで好ましい。
また、気体流路Sの横方向の長さが上記下限値以上であることは、廃水Wとの接触面積を効率的に確保して廃水処理効率を向上させる点で好ましく、上記上限値以下であることは、気体供給体10全体の強度維持容易性および供給体ユニット52の設置容易性の点などで好ましい。
気体流路Sの長さLsに対する廃水Wへの接水長さLwの割合は、例えば、80%以上、95%以下であればよい(長さLs,Lwについては図1参照)。上記長さLsに対する接水長さLwの割合が上記下限値以上であることは、気体流路Sから供給される酸素量を良好に確保し廃水処理効率を向上させる点で好ましい。上記長さLsに対する接水長さLwの割合が上記上限値以下であることは、気体流路Sへの廃水Wの侵入を防ぐ点で好ましい。
あるいは、気体流路Sへの廃水Wの侵入を防ぐ点では、廃水Wの水面が気体供給体10(防水透気膜21)の開口21bから2cm以上離間するように接水長さLwが設定されてもよい。
(防水透気膜21)
防水透気膜21は、最外側層が液体(廃水)に接触するように液体中(廃水中)に浸漬された状態で、内側(気体送出層12側)に供給される酸素を外側へ透過させることで、酸素を液体中(廃水中)に供給する。当該防水透気膜21は、気体供給体10が廃水処理槽51内に浸漬された状態において、内側(気体送出層12)から外側(廃水W)へ空気を透過させ、かつ外側(廃水W)から内側(気体送出層12)へ廃水を透過させない特性を有する。これにより、廃水W中の好気性微生物は、図6に示すように、継続的に空気(酸素)が供給される防水透気膜21の表面21aに集まってくる。よって、防水透気膜21の表面21aに微生物が付着して、バイオフィルム214が形成される。そして、廃水Wに含まれるか、もしくは表面21aに保持されている微生物の働きによって、水中に溶解、もしくは分散している微小個体状の有機物、もしくは窒素化合物が分解されて、廃水が浄化される。
防水透気膜21は、少なくとも、気体透過性無孔層212を含んでいる。図4に示すように、防水透気膜21は、基材211と、気体透過性無孔層212と、微生物支持層213とを含んでもよい。図示の例では、防水透気膜21は、基材211、気体透過性無孔層212、微生物支持層213の順に積層されている。微生物支持層213は、廃水Wに接触する最外側層である。なお図示の例とは異なり、防水透気膜21は、気体透過性無孔層212、基材211、微生物支持層213の順に積層されたものであってもよい。
防水透気膜21は単なるシート状(平板形状)であってもよいし、中空糸形状であってもよい。
(基材211)
基材211は、熱可塑性樹脂から形成される微多孔膜である。前記微多孔膜とは、微細な貫通孔を多数設けた膜である。基材211の素材として、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリメチルペンテン、ポリテトラフルオロエチレン、及びポリフッ化ビニリデンを含めたフッ素樹脂、ポリブタジエン、ポリ(ジメチルシロキサン)を含めたシリコーンベースのポリマー、およびこれらの材料のコポリマーから選ばれるポリマー材料を含む等を含んでもよい。
微多孔膜である基材211の製造方法は、特に限定されないが、例えば、相分離法、延伸開孔法、溶解再結晶法、粉末焼結法、発泡法、溶剤抽出のいずれかによって、基材211を製造できる。また基材211は、自己組織化ハニカム微多孔膜であってもよい。
基材211の厚みは、10μm~500μmであることが好ましく、50μm~200μmであることがより好ましい。基材211の厚さは、JIS1913:2010一般不織布試験方法6.1厚さの測定方法で測定される値である。
基材211の細孔径は、気体透過性無孔層の欠陥を防止する観点から、0.01μm~50μmであることが好ましく、高い強度と気体透過性を保持する観点から、0.1μm~30μmであることがより好ましい。前記細孔径は、表面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、その観察像から以下に示す方法により求めた細孔径である。観察倍率は、観察する対象物の細孔径が適切に算出できる倍率であれば、任意の倍率で観察することができる。
(細孔径を求める方法)
SEM観察で得られた像について、2値化処理を行い、画像解析的に、細孔径を算出する。算出の際には、細孔径は楕円近似を行い、楕円の長軸の長さを細孔径として、その平均値を評価する。
或いは、基材211の細孔径は、毛管凝縮法による細孔径分布測定(パームポロシメトリ)から求められる平均細孔径であると定義される。パームポロシメトリでは、試料にかける気体の測定圧力を徐々に増加させていく際に測定される気体の透過流量から、大気圧と測定圧力との差圧と、気体透過流量との関係を求める、細孔径を求めるには、試料を表面張力が既知の湿潤液に浸漬した後の湿潤サンプルにて測定されるウェットカーブと、乾燥した資料で測定されるドライカーブを求める。それぞれ、所定の圧力範囲で徐々に圧力を増加させていくことにより、試料内の貫通細孔径に関する情報を得ることができる。平均細孔径はウェットカーブと、ドライカーブの1/2の傾きの曲線(ハーフドライカーブ)が交わる点Xを求め、これを方程式、d=2860×γ/DPに代入して求める。前記方程式において、dは平均細孔径(mm)、γは湿潤液の表面張力(dynes/cm)、DPは点Xにおける大気圧と気体圧力との差圧(Pa)である。測定は、Porous Materials社製、パームポロメーター(CFP-1500-AEC)を用いることができる。試験条件としては例えば、試験温度は室温(20℃±5℃)、湿潤液はGalwick(表面張力15.7dynes/cm)、加圧気体は圧縮空気、用いる試料の直径は33mm、供給圧力最大値は250psi、差圧の上昇速度は4psi/分で測定することができる。湿潤サンプル作成の際には、サンプルが浸漬されている湿潤液をデシケータに入れ、脱気することでサンプルを十分に湿潤させることができる。
(気体透過性無孔層212)
気体透過性無孔層212とは、前記基材の孔より径の小さい細孔径の孔を有するか、もしくは、孔の径を検出できず、かつ、気体を透過可能な層である。気体透過性無孔層212の細孔径は、基材211の細孔径と同様の方法で測定できる。気体透過性無孔層は1nm~100nm程度の通気孔を有していてもよい。
気体透過性無孔層212を透過する前記気体としては、酸素、二酸化炭素、窒素、水素、メタノール、エタノール等のアルコール類や有機溶剤、もしくはそれらの混合ガスが挙げられる。微生物を効果的に育成、活動させる観点から、前記気体は、酸素か、酸素を含む混合ガスであることが好ましい。気体透過性はJIS K 7126に定めた方法で測定できる。
気体透過性無孔層212は、熱可塑性樹脂でもよく、熱硬化性樹脂でもよい。当該熱硬化性樹脂は、熱硬化する樹脂であってもよく、紫外線の照射で硬化する樹脂であってもよい。また、有機過酸化物架橋、付加反応架橋、縮合架橋により硬化する樹脂であってもよい。
気体透過性無孔層212の素材としては、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂および、これらの材料のコポリマーから選ばれる熱硬化性ポリマーを含んでもよい。また、(Si-O-Si)n(n=整数)のシロキサン骨格を有するポリ(ジメチルシロキサン)などのシリコーンベースのシリコーン樹脂を用いることができる。これらの中でも、特に、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂を用いることが好ましい。
上記のポリウレタン樹脂としては、「アサフレックス825」(旭化成社製)、「ペレセン2363-80A」、「ペレセン2363-80AE」、「ペレセン2363-90A」、「ペレセン2363-90AE」、(以上、ダウ・ケミカル社製)、「ハイムレンY-237NS」(大日精化工業社製)を用いることができる。
シリコーン系樹脂やシリコーンポリマー、またはそれらを得るためのシリコーン系樹脂組成物の配合、組成は特に限定されない。シリコーン系樹脂組成物に用いられるモノマーは1官能基、2官能基、3官能基、4官能基のいずれでもよく、単独で用いても、2種類以上を用いてもよい。モノマーとしてハロゲン化アルキルシラン、不飽和気含有シラン、アミノシラン、メルカプトシラン、エポキシシラン等を用いてもよい。用いられるモノマーとしては、例えば次の化学式で表されるモノマーが挙げられる。HSiCl、SiCl、MeSiHCl、MeSiCl、MeSiCl、MeSiCl、MeHSiCl、PhSiCl、PhSiCl、MePhSiCl、PhMeSiCl、CH=CHSiCl、Me(CH=CH)SiCl、Me(CH=CH)SiCl、(CFCHCH)MeSiCl2、(CFCHCH)SiCl、CH1837SiCl(化学式中で「=」は二重結合を、「Me」はメチル基を、「Ph」はフェニル基を表す)。前記モノマーは単独で用いても、2種類以上を用いてもよい。他の有機基としては、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基等のアラルキル基等を用いてもよい。これらの中でも、メチル基、フェニル基またはこれら両者の組み合わせが好ましい。メチル基、フェニル基またはこれら両者の組み合わせである成分は、合成が容易であり、化学的安定性が良好であるからである。また、特に耐溶剤性が良好なポリオルガノシロキサンを用いようとする場合には、更にメチル基、フェニル基またはこれら両者の組み合わせと3,3,3-トリフルオロプロピル基との組み合わせであることが好ましい。また、前記シリコーン系樹脂組成物には、オルガノアルコキシシランが含まれていてもよい。オルガノアルコキシシランとしては、例えば次の化学式で表される化合物が挙げられ、単独で用いても2種類以上を用いてもよい。MeSiOCH、MeSi(OCH、MeSi(OCH、Si(OCH、Me(C)Si(OCH、CSi(OCH、C1021Si(OCH、PhSi(OCH、PhSi(OCH、MeSiOC、MeSi(OC、Si(OC、CSi(OC、PhSi(OC、PhSi(OC
さらに、前記シリコーン系樹脂組成物には、オルガノシラノールが含まれていてもよい。オルガノシラノールとしては、例えば次の化学式で表される化合物が挙げられ、単独で用いても2種類以上を用いてもよい。MeSiOH、MeSi(OH)、MePhSi(OH)、(CSiOH、PhSi(OH)、PhSiOH。
シリコーン系樹脂に用いられるシリコーンポリマーを得るための反応方法としては例えば、クロロシランの加水分解、環状ジメチルシロキサンオリゴマーの開環重合等の過程を経てもよい。用いるポリマーとしては例えば、ジメチル系ポリマー、メチルビニル系ポリマー、メチルフェニルビニル系ポリマー、メチルフロロアルキル系ポリマー当が挙げられる。
シリコーンポリマーを硬化させる方法、すなわち反応(加硫)させてシリコーン系樹脂を得る方法は特に限定されない。加熱加硫、室温加硫でもよい。反応前の状態として、ミラブル型シリコーン系樹脂組成物、液状ゴム型シリコーン系樹脂組成物のどちらを用いてもよい。ミラブル型シリコーン系樹脂組成物に使用されるポリマーは重合度が4000~10000程度のポリマーが好適に使用される。また、1液型でも2液型でもよい。反応方法としては例えば、シラノール基(Si-OH)間の脱水縮合反応、シラノール基と加水分解性基間の縮合反応、メチルシリル基(Si-CH)、ビニルシリル基(Si-CH=CH)の有機過酸化物による反応、ビニルシリル基とヒドロシリル基(Si-H)との付加反応、紫外線による反応、電子線による反応等を用いてもよい。
(シラノール基間の脱水縮合反応)
触媒としてはオクチル酸亜鉛、オクチル酸鉄、またはコバルト、スズなどの有機酸塩、あるいはアミン系の触媒を使用してもよく、加熱によって反応を進行させてもよい。
(シラノール基と加水分解性基間の縮合反応)
触媒として、酸、アルカリ、有機スズ化合物や有機チタン化合物などを添加してもよい。加水分解性基としては、アルコキシ基、アセトキシ基、オキシム基、アミノキシ基、プロペノキシ基などを用いてもよい。
(メチルシリル基、ビニルシリル基の有機過酸化物による反応)
反応を促進する過酸化物硬化剤として、有機過酸化物やアシル系有機過酸化物、アルキル系有機過酸化物等を添加してもよい。アシル系有機過酸化物としては例えば、p-メチルベンゾイルパーオキサイド等を用いてもよい。アルキル系有機過酸化物としては例えば、2,5ジメチル-2,5ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンやジクミルパーオキサイド等を用いてもよい。反応温度は例えば120℃以上であり、また、2次加硫(ポストキュア)を行ってもよい。添加する過酸化物硬化剤の添加量は樹脂の固形分に対して0.1~10質量%が好適である。
(アルケニル基とヒドロシリル基との付加反応)
アルケニル基は例えばビニル基が好適に用いられる。反応温度は常温でもよく、加温してもよい。また、反応は開放系で実施してもよく、密閉系で実施してもよい。アルケニル基とヒドロシリル基との付加反応に用いる組成物を得る過程では、窒素、リン、硫黄などを含む有機化合物、スズ、鉛などの金属のイオン性化合物、アセチレン等不飽和基を有する化合物、アルコール、水、カルボン酸を除去する添加剤を加えてもよいし、除去する工程を用いてもよい。
アルケニル基とヒドロシリル基との付加反応を用いる場合、ビニル基を有するポリシロキサンやハイドロジェンポリシロキサンが好適に用いられる。
ビニル基を有するポリシロキサンは、粘度が23℃において1~100000mPa・sの直鎖状のポリシロキサンが好適に用いられる。前記ポリシロキサンは1分子中にビニル基を1個以上含む。ビニル基を有するポリシロキサンの具体例としては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらのポリシロキサンは、一種単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
ハイドロジェンポリシロキサンは粘度が23℃において1~100000mPa・sの直鎖状ポリシロキサンが好適に用いられる。ハイドロジェンポリシロキサンは1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を1個以上含む。ハイドロジェンポリシロキサンの具体例としては、23℃における粘度が1~100000mPa・sである限り、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジフェニルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
アルケニル基とヒドロシリル基との付加反応に用いる樹脂組成物は、アルケニル基に対するケイ素原子に結合した水素原子のモル比は0.01~20モルが好適であり1~2モルがさらに好適である。
なお、気体透過性無孔層を基材上で乾燥、硬化させる場合、製膜環境によってはうまく硬化しない場合がある。そのような場合には、適宜、触媒や硬化促進剤を添加し、乾燥、硬化の時間を制御することが好ましい。
(シリコーン系樹脂)
シリコーン系樹脂は、室温でゴム弾性を有するエラストマーであるシリコーンゴムと、その他のシリコーンレジンに分けることができる。またシリコーン系樹脂は、前段落までに記載したような官能基の種類や反応機構の違いとは別に、主骨格のシロキサン単位もしくはモノマーの官能基の数から、主にシリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーンレジンに分類される。シリコーンオイル及びシリコーンゴムの主骨格が2官能シロキサン単位の繰り返しである鎖状ポリジオルガノシルセスキオキサンであるのに対して、シリコーンレジンは3官能シロキサン単位を主成分とする網目構造のオルガノシロキサンを基本骨格としている。
シリコーンゴムとしては公知のものが使用でき、その例としては一般的なシリコーンゴムとして、KE-931-U、KE-951-U、KE-981-U、KE-9511-U、KE-5550-U、KE-541-U、KE-153-U、KE-555-U、KE-347、KE-4895、KE-1056、KE-1820、KE-3427、KE-41、KE-44、KE-103、KE-1204、KE-3423、KE-1842、KE-1886、等が挙げられる。また、フロロシリコーンゴムでもよく例えば、FE-251-U、FE-351-U、X-32-1619、等が挙げられる。さらに、シリコーン変性EPDMでもよく例えば、SEP-1411-U等が挙げられる(以上、信越化学工業社製)。他のシリコーンゴムの例として、エラストマー系シリコーンELASTOSIL N9111 WHITE、ELASTOSIL RT707W、ELASTOSIL 989/1K、ELASTOSIL RT K、SEMICOSIL 924、ELASTOSIL M4440、ELASTOSIL M8641、ELASTOSIL LR3003/05、ELASTOSIL LR3343/40、ELASTOSIL EL1301、ELASTOSIL EL4500等が挙げられる(以上、旭化成ワッカーシリコーン社製)。
シリコーンレジンの具体例としては、炭素数1~20のアルキル基とアルコキシ基を有するシラン化合物の縮合から調製されるアルキル系シリコーン(メチル系シリコーン等)、メチルフェニル等のアルキル・アリール系シリコーン、フェニル等のアリール系シリコーン、メチルハイドロジェン等のハイドロジェン系シリコーンが使用できる。
これらのシリコーンレジンは単独で使用しても2種以上を併用してもよく、これらを任意の比率で混合することにより膜物性を制御できる。
ストレートシリコーンレジンの重量平均分子量は1000~5000000であることが好ましく、2000~3000000であることがより好ましく、2500~3000000であることが特に好ましい。分子量が1000以上であると、製膜性が良好となる。
シリコーンレジンとしては公知のものが使用でき、その例としては例えば、メチル系シリコーンレジンとしてKR-220L、KR-242A、メチルフェニル系シリコーンレジンとしてKR-112、KR-211、KR-300、X-40-2667A、プロピルフェニル系シリコーンレジンとしてKR-216等が挙げられる(以上、信越化学工業社製)。他のシリコーンレジンの 例として、メチル系シリコーンレジンSILRES KX、SILRES MSE100、SILRES K、SILRES HK46、メチルフェニル系シリコーンレジンSILERS REN50、SILRES REN80、SILRES MP50E、SILRES H44、ビニルハイドロジェンフェニルメチル系シリコーンレジンSILRES H62C(以上、旭化成ワッカーシリコーン社製)、SH804、SH805、SH806A、SH840、SR2400、SR2402、SR2405、SR2406、SR2410、SR2411、SR2416、SR2420(以上、東レ・ダウコーニング社製)、YR3187、YR3370、TSR127B(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社制)等が挙げられる。
反応触媒としては例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の白金族金属を用いて、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィン類、ビニルシロキサンまたはアセチレン化合物との配位化合物等の白金化合物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等の白金族金属化合物等を用いることができる。また、シリコーンオイルとの相溶性が必要であることから、塩化白金酸をシリコーン変性した白金化合物が好適に用いられる。触媒を用いる場合、固形分質量から求められる添加量は0.01ppm~10000ppmが好適であり、0.1ppmから1000ppmがさらに好適である。
ヒドロシリル基の合計量は、全シリコーン系樹脂組成物中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モル当たり、通常、0.01~20モルであり、好ましくは0.1~10モルである。該合計量が、前記範囲の下限未満であると、得られるシリコーン系樹脂組成物が十分に硬化しにくくなる傾向があり、前記範囲の上限を超えると、得られるシリコーン系樹脂組成物の硬化物の機械的特性および耐熱特性が低下しやすくなる傾向がある。
反応制御剤はシリコーン系樹脂を調合ないし基材に塗工などの加工を施す際に、硬化前に増粘やゲル化をおこさないようにするために添加するものである。反応制御剤としては、アルケニル基を複数個有する低分子量のポリシロキサンや、アセチレンアルコール系の化合物等が用いられる。
(紫外線による反応)
紫外線硬化型シリコーン系樹脂としては、ラジカル反応タイプ(アクリル型、メルカプト型)、ラジカル反応/縮合反応併用タイプ(メルカプト/イソプロペノキシ型、アクリル/アルコキシ型)、紫外線活性な白金触媒を使用した付加反応タイプを用いてよい。
アクリル型ラジカル反応タイプではシロキサンに気都合したアクリル基を有する有機基を光増感剤の存在下でラジカル重合反応させる。
メルカプト型ラジカル反応タイプでは、シロキサンに結合したメルカプト基を有する有機基とビニル基を有するポリシロキサンを光増感剤の存在下でラジカル付加反応させる。
紫外線活性な白金触媒を使用した付加反応タイプに用いられる触媒としては、(メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体やビスアセチルアセトナト白金(II)錯体等が用いられ、365nmを中心とした光源で硬化させることが好適である。
光硬化反応に用いられる主な官能基として、アクリル基、エポキシ基を用いてもよい。紫外線による反応に用いる組成物には光開始剤を用いてもよい。
(シリコーン系樹脂に粘着性(接着性)を付与する方法)
シリコーン系樹脂に粘着性(接着性)を付与する方法としては例えば、粘着性を付与するシリコーンポリマーを添加する方法が好適に用いられる。粘着性を付与するシリコーンポリマーとしては例えば、MQレジンが好適に用いられる。MQレジンとは1官能基のモノマー(M単位)と4官能基のモノマー(Q単位)から合成された3次元構造をもつポリマーである。前記3次元構造を持つポリマーの分子量は好ましくは10~100000であり、より好ましくは100~10000である。各官能基のモノマーの有機基としては、メチル基を用いるのが好適であるが、付加反応型のシリコーン系樹脂の場合、アルケニル基を用いることが好適である。シリコーン系樹脂に対するMQレジンの含有量はシリコーン系樹脂の強度と粘着性を両立する観点から、好ましくは固形分換算で10~99質量%であり、より好ましくは20~80質量%である。本発明においては、粘着性を付与するシリコーンポリマーを得る際に、適宜、2官能基のモノマー(D単位)、3官能基のモノマー(T単位)を添加してもよく、他の官能基を有するモノマーやオリゴマーを添加してもよい。
MQレジンはQ単位の縮合物の末端をM単位で封止した構造が好適に用いられる。Q単位に対するM単位のモル比は粘着性とシリコーン系樹脂の強度を両立する観点から0.4~1.2が好適であり、0.6~0.9がさらに好適である。
シリコーンモノマーからシリコーンポリマー、シリコーン系樹脂を得る過程で添加剤を加えてもよい。添加剤としては例えば、補強剤(乾式シリカ、湿式シリカ等シリカ充填剤等)、分散剤、接着助剤(シランカップリング剤等)、接着促進剤(有機金属化合物等)、反応制御剤、増量剤(結晶性シリカ、炭酸カルシウム、タルク等)、耐熱向上剤(酸化鉄、参加セリウム、酸化チタン等)、難燃剤(酸化チタン、カーボン等)、熱伝導性充填剤、導電剤、表面処理剤、顔料、染料、または希土類、チタン、ジルコン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル等の金属酸化物、水酸化物、炭酸塩、脂肪酸塩が挙げられる。
シリカ充填剤としては例えば、公知の微粉末シリカを用いることができる。親水性の微粉末シリカであっても疎水性の微粉末シリカであってもよい。親水性の微粉末シリカとしては、例えば、沈降シリカ等の湿式シリカ、シリカキセロゲル、ヒュームドシリカ等の乾式シリカが挙げられる。疎水性の微粉末シリカとしては、例えば、親水性の微粉末シリカの表面を疎水化処理して得られる微粉末シリカが挙げられる。疎水化処理剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン等のオルガノシラザン;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン等のハロゲン化シラン;該ハロゲン化シランのハロゲン原子がメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基で置換されたオルガノアルコキシシラン等が挙げられる。疎水化処理方法としては、例えば、親水性の微粉末シリカを疎水化処理剤により150~200℃、特に150~180℃で2~4時間程度加熱処理する方法が挙げられる。このようにして親水性の微粉末シリカの表面を予め疎水化処理して得た疎水性の微粉末シリカを本発明接着剤に配合してもよいし、また、本発明接着剤中に親水性の微粉末シリカとともに疎水化処理剤を配合することにより、本発明接着剤を調製する段階で該親水性の微粉末シリカの表面が疎水化処理されるようにしてもよい。
シリカ充填剤の具体例としては、アエロジル(登録商標)50、130、200および300(商品名、日本アエロジル社製)、キャボシル(登録商標)MS-5およびMS-7(商品名、キャボット社製)、レオロジルQS-102および103(商品名、トクヤマ社製)、ニプシルLP(商品名、日本シリカ社製)等の親水性の微粉末シリカ;アエロジル(登録商標)R-812,R-812S、R-972およびR-974(商品名、デグッサ社製)、レオロジルMT-10(商品名、トクヤマ社製)、ニプシルSSシリーズ(商品名、日本シリカ社製)等の疎水性の微粉末シリカが挙げられる。
微粉末シリカを用いる場合、配合量は、通常、固形分換算で1~50質量%である。前記配合量が、1質量%未満ではシリカ充填剤による強度付与効果が不充分となりやすく、50質量%を超えると、得られるシリコーン樹脂組成物は、著しく流動性に欠けたものとなりやすく、作業性が劣ったものとなりやすい。
接着促進剤としては例えばチタンの有機酸塩で代表される有機チタン化合物を用いることができる。接着促進剤はシリコーン系樹脂組成物の硬化を更に促進し、その接着性を更に向上させるための触媒として用いることができる。接着促進剤は、一種単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
接着促進剤としては、例えば、チタンキレート化合物、アルコキシチタンまたはこれらの組み合わせが挙げられる。チタンキレート化合物の具体例としては、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセタト)チタン、ジブトキシビス(メチルアセトアセタト)チタン等が挙げられる。アルコキシチタンの具体例としては、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等が挙げられる。アルコキシチタン中のアルコキシ基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
接着促進剤の配合量は、固形分換算で0.01~10質量%が好適であり、0.1~5質量%がさらに好適である。該配合量が、前記範囲の下限未満であると、接着性向上効果が現れにくい場合があり、前記範囲の上限を超えると、得られる接着剤の表面硬化が速すぎる場合がある。
シランカップリング剤は、ケイ素原子に結合したアルコキシ基と、金属や各種合成樹脂などの被着体と化学結合する反応基を1つの分子内に有する化合物であり、前記ケイ素原子に結合したアルコキシ基の代わりにアルケニル基や水素原子を有する化合物を用いてもよい。前記被着体と化学結合する反応基としては、エポキシ基やアクリル基を用いてもよい。
シリコーン系樹脂を塗布する際には、塗布前の被塗布材にプライマーを塗布してもよい。前記プライマーとしては、縮合硬化型、付加硬化型等のシリコーン系樹脂を用いることができる。プライマーの塗工量としては0.1~1.2g/mが好適である。
シリコーン系樹脂としては例えば、「SYLGRAD186」、「DOWSIL3-6512」、「SYLGRAD527」、「DOWSILX3-6211」、「SYLGRAD3-6636」、「DOWSIL SE1880」、「DOWSIL SE960」、「DOWSIL781 Acetoxy Silicone」、「DOW CORNING SE9187」、「DOWSIL Q1-4010」、「SYLGRAD 1-4128」、「DOWSIL 3140 RTV Coating」、「DOWSIL HC2100」、「SIL-OFF Q2-7785」、「シラシール3FW」、「シラシールDC738RTV」、「DC3145」、及び「DC3140」(以上、ダウコーニング社製)、「ELASTOSIL RT707W」、「ELASTOSIL EL4300」「ELASTOSIL M4400」、「ELASTOSIL M8012」、「SILRES BS CREME C」、「SILRES BS 1001」、「SILRES BS 290」、「ELASTSIL 912」、「ELASTSIL E43N」、「ELASTOSIL N9111」、「ELASTOSIL N199」、「SEMICOSIL 987GR」、「ELASTOSIL RT772」、「ELASTOSIL RT745」、「ELASTOSIL LR3003/05」、「ELASTOSIL LR3343/40」、「ELASTOSIL LR3370/40」、「ELASTOSIL LR3374/50BR」、「ELASTOSIL EL1301」、「ELASTOSIL EL 4406」、「ELASTOSIL EL3530」、「ELASTOSIL EL 7152」、「ELASTOSIL R401/10OH」「SILPUREN 21XXシリーズ」(旭化成ワッカーシリコーン社製)、「KE-3423」、「KE-347」、「KE-3479」、「KE―1830」、「KE-1820」、「KE-1056」、「KE-1800T」、「KE-66」、「KE-1031」、「KE-12」、「KE-1300T」、「SD4584PSA」、「KS-847T」、「KF-2005」、「KNS-3002」、「KR-100」、「KR-101-10」、「KR-130」、「KR-3600」、「KR-3704」、「KR-3700」、「KR―3701」、「X-40-3237」、「X-40-3291-1」、「X-40-3240」、「シーラント45」、「シーラントマスター300」、「シーラント72」、「KE-42」、「シーラント70」、「KE-931-U」、「KE-9511-U」、「KE-541-U」、「KE-153-U」、「KE-361-U」、「KE-1950-10」、「KEG-2000-40」、「KE-2019-40」、「KE-2090-50」、「KE-2096-60」(信越化学工業社製)等を用いることができる。シリコーン系樹脂にはさらに、触媒を添加してもよい。触媒としては、オクチル酸亜鉛、オクチル酸鉄、コバルト、錫などの有機酸塩、アミン系の触媒を用いることができる。また、有機錫化合物、有機チタン化合物、白金化合物も用いることができる。触媒としては、例えば、「CAT-PL-50T」(信越化学社製)、「NC-25」(東レ・ダウコーニング社製)を用いることができる。また、塗布の際には、トルエンやキシレン、もしくは、アルコール類等の溶剤を添加してもよい。プライマーとしては「プライマーAQ-1」「プライマーC」、「プライマーMT」、「プライマーT」、「プライマーD」、「プライマーA-10」、「プライマーR-3」、「プライマーA-20」(信越化学工業社製)等を用いることができる。
気体透過性無孔層を形成する方法は、特に限定されず、リバースロールコーター、正回転ロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、ロッドコーター、スロットオリフィスコーター、エアドクタコーター、キスコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スプレーコーター、スピンコーター、押出コーター、ホットメルトコーター等を用いて多孔質基材に積層させることにより、気体透過性無孔層を製造できる。また、粉体コーティング、電着コーティング等の方法でも気体透過性無孔層を製造できる。基材を気体透過性無孔層の原料液に浸漬することでコーティングしてもよい。基材はシート状でも中空糸状でもよい。塗布の前工程において、プライマー塗布、コロナ処理等の前処理を行ってもよい。
気体透過性無孔層212の目付量は、10g/m2以上、500g/m2以下であることが好ましく、20g/m2以上200g/m2以下であることがより好ましい。気体透過性無孔層212の目付量は、気体透過性無孔層212が積層される前の基材の目付量E(g/m2)と、気体透過性無孔層が積層された後の気体透過性無孔層212と基材の目付量F(g/m2)の差、D(g/m2)として以下の関係式(2)により求められる。
D=F-E (2)
気体透過性無孔層212や基材の目付量はJIS1913:2010一般不織布試験方法6.2単位面積当たりの質量で測定される値である。
気体透過性無孔層212の厚みは、10μm以上、500μm以下であることが好ましく、20μm以上200μm以下であることがより好ましい。上記の気体透過性無孔層212の厚さはJIS1913:2010一般不織布試験方法6.1厚さの測定方法で測定される値である。
(微生物支持層213)
微生物支持層213は、その表面もしくは内部に微生物を保持する層であり、内部に微生物が生育可能な空間を有し、水中の有機物が通過可能である。微生物支持層213の素材としては、例えば、メッシュ、織布、不織布、発泡体、又は微多孔膜等の多孔性シートが挙げられる。多孔性シートの素材は、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、メチルセルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、パラ系およびメタ系アラミド、ポリアリレート、炭素繊維、ガラス繊維、アルミニウム繊維、スチール繊維、セラミック等が挙げられる。微生物付着性と加工性を考慮すると、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、炭素繊維が好ましい。
微生物支持層213の目付量は2g/m2以上、500g/m2以下であることが好ましく、10g/m2以上200g/m2以下であることがより好ましい。微生物支持層213の目付量はJIS1913:2010一般不織布試験方法6.2単位面積当たりの質量で測定される値である。微生物支持層213の目付量が2g/m以上であることにより、表面に凹凸が生じるため微生物支持層213に微生物が保持しやすくなるという効果を得ることができる。また、微生物支持層213の目付量が500g/m以下であることにより、微生物支持層213の内部に微生物が育成可能な空間が生じるため微生物が保持しやすくなり、前記空間により酸素を微生物に供給しやすくなるという効果を得ることができる。
(バイオフィルム)
防水透気膜21が廃水処理に供される場合、廃水側の表面にバイオフィルムが付着していてもよい。バイオフィルムは、複数の微生物で構成された微生物の膜のことであり、好気性微生物及びその生産物を含んで構成される。
(気体供給体10、供給体ユニット52及び廃水処理装置50)
さらに本実施形態の防水透気膜21によれば、微生物支持層213が含まれることで、廃水処理装置50の浄化性能を高めることができる。
つまり、防水透気膜21に微生物支持層213が含まれることで、微生物が微生物支持層213に付着する。このため、微生物に対して十分な量の気体を継続的に供給できるので、確実に微生物が継続的に活性化する。このため廃水処理装置50の浄化性能を高めることができる。
さらに本実施形態によれば、防水透気膜21が、微生物支持層213、気体透過性無孔層212、基材211の順に積層されていることで、廃水Wに接触する防水透気膜21の最外側層を、微生物支持層213によって構成できる。このため、確実に微生物支持層213に微生物を付着させることができるので、確実に微生物を活性化できる。したがって確実に廃水処理装置50の浄化性能を高めることができる。特に廃水W中に含まれる微生物が好気性微生物である場合には、気体が防水透気膜21を介して廃水W中に供給されることで、好気性微生物が防水透気膜21に集まる。このため、多くの微生物が微生物支持層213に付着するので、廃水処理装置50の浄化性能が顕著に高まる。
なお防水透気膜21は、下記の(酸素供給試験)に示す方法で得られる酸素供給速度Q(gO2/m2/day)が25g/m/day以上であることが好ましく、26g/m/day以上であることがより好ましく、27g/m/day以上であることがさらに好ましい。酸素供給速度Qの上限値としては、例えば60g/m/dayとすることが好ましい。
(酸素供給性能試験)
一辺の長さが7cmである立方体状を呈し、1つの鉛直側面が膜によって構成されている密閉槽の内部に、イオン交換水を入れた後、23~27℃の環境下で、スターラーの回転子の回転により前記イオン交換水を攪拌しながら、前記密閉槽の内部における酸素濃度を連続的に測定する。イオン交換水は、亜硫酸ナトリウムが100mg/Lの濃度で添加され、塩化コバルトが1.5mg/L以上の濃度で添加されたものである。スターラーとして小池精密機器製作所社製の「HE-20GB」を使用でき、回転数はHIGHレンジにて目盛7に設定される。酸素供給性能の評価は、23℃から27℃の環境下で行い、測定した酸素濃度の時系列データから、時間t(h)に対する酸素不足量の常用対数Y=log10(Cs-C)との相関から近似直線を求め、当該近似直線の時間tに対するYの傾きZを求める。Csは測定温度Tにおける液相の飽和酸素濃度、Cは測定時間tにおける液相の酸素濃度測定値である。傾きZから、酸素供給速度Q(gO2/m2/day)が、下記式(3)に従い算出される。
Q=-2.303×24×0.00884×V×Z×(1.028)(20-T)/S (3)
V:測定に用いた液量(L)
S:測定に用いた膜の有効面積(m
T:測定時の液温の平均値(℃)
なお、気体供給体は単なるシート状(平板形状)であってもよいし、中空糸形状であってもよい。
(エッジ部121、中間層30)
中間層30は、図8に示すように、気体送出層12の防水透気膜21に接するエッジ部121の一部もしくは全部に設けられる部位である。中間層30により、膜の傷つきを防止するための部位である。エッジ部121は気体送出層12が該立方体、直方体の場合にはその辺が該当する。気体送出層12が板状で厚みが十分小さい場合、例えば、厚み10mm以下の板状の場合、厚み方向に平行な面と、その面に属する辺とをあわせてエッジ部121としてもよい。
中間層30の具体例としては緩衝材を取り付ける形態が挙げられる。緩衝材は、緩衝材をエッジ部に取付けることで防水透気膜21の破損を防止するものである。緩衝材に用いる素材の例としては、ゴム弾性を有する素材、例えば、ゴムやエラストマーが好ましい。具体的には、天然ゴム、合成天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレン・プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴムが好適に用いられる。前記素材は発泡体であってもよい。発泡体にする方法は特に限定されず、通常用いられる方法でよい。緩衝材の形状は特に限定されず、例えば円形、多角形断面形状を有する柱状の柱状部材であってもよいし、半円などの円の一部を切り取った形状の断面を有する柱状の柱状部材であってもよいし、前記断面形状を有する柱状であって、内部が中空になっている柱状部材でもよい。中空部は同一断面に複数存在してもよい。また、柱状部材の断面は全長手方向にわたって同一でなくてもよい。さらに、前記柱状部材は補強部材を含んでいてもよい。補強部材とはFRPや鉄、ステンレス、チタン合金等の金属が好適に用いられる。
(エッジ部121の形状)
防水透気膜21の破損を防止するためには、気体送出層12のエッジ部121を特定の形状にすることが好ましい。好適な形状としては、面取り形状(図7B)もしくはR形状(図7C)が挙げられる。面取り形状を形成する方法は特に限定はなく、例えば加工による場合は糸面取りでもよく、防水透気膜21の有効面積を確保し、且つ有効な膜破損防止性能を確保する観点から、例えばC0.05からC10の範囲が好ましく、C0.1からC3の範囲に面取りされることがさらに好ましい。R形状を加工により得る場合も、同様の理由で、R0.05からR10の範囲が好ましく、R0.1からR3の範囲がさらに好ましい。加工の方法は特に限定されず、一般的な方法を用いることができる。気体送出層12が射出成型や押出成型、ブロー成型等の樹脂の賦形により得る場合は、前記の面取り加工やR加工のように二次加工で特定の形状を得る方法のほかに、樹脂の賦形時に面取り形状やR形状を形成してもよい。
次に、防水透気膜21の引張弾性率の測定方法について、防水透気膜21から気体透過性無孔層212を取り出すことが可能な場合(測定方法1)と、防水透気膜21から気体透過性無孔層212を取り出すことが困難な場合(測定方法2)とに分けて説明する。
(引張弾性率の測定方法1)
防水透気膜21サンプルから気体透過性無孔層212を取り出し、サンプルフィルムを得た。次いでこのサンプルフィルムを引張試験機(テンシロン、(株)エー・アンド・デイ社製)を用いて引っ張り、気体透過性無孔層212の引張弾性率を測定できる。測定はチャック間距離20mm、温度23℃、相対湿度55%下で行う。サンプルフィルムは、防水透気膜21がシート状の場合、幅0.5mm以上の矩形状で、チャック間距離20mmとし、防水透気膜21が中空糸状の場合、中空糸の長手方向に切断し、チャック間距離が20mmとなるように引張試験機に取付ける。上記の気体透過性無孔層212の厚さはJIS1913:2010一般不織布試験方法6.1厚さの測定方法で測定される値である。
(引張弾性率の測定方法2)
防水透気膜21から気体透過性無孔層212を取り出すことが困難な場合、樹脂組成物を用いてガラス基板上にキャストフィルムを成型することで、サンプルフィルムを得ることができる。大気圧(1atm)下、窒素雰囲気、もしくは空気中で240℃、60分間のポストベーク処理を行なった後、基板から30mm×5mmのサイズを切り取り、サンプルフィルムを得る。次いでこのサンプルフィルムを引張試験機(テンシロン、(株)エー・アンド・デイ社製)を用いて引張り、気体透過性無孔層212の引張弾性率を測定できる。測定はチャック間距離20mm、温度23℃、相対湿度55%下で行う。
サンプルフィルムの厚みは上記引張試験で用いたサンプルフィルムにおいて、ガラス基板まで貫通する切れ込みを作製し、ガラス表面とキャストフィルムの表面までの距離をOLYMPUS社製レーザー顕微鏡にて測定しサンプルフィルムの厚みとすることができる。もしくは、JIS1913:2010一般不織布試験方法6.1厚さの測定方法で測定することができる。
以下、実施例1~4、比較例1,2の防水透気膜を試作し、引張弾性率を測定した結果、廃水処理運転評価を行った結果について、説明する。
(サンプル調整方法)
(実施例1)
住化積水フィルム社製セルポアNW07Hに含まれる微多孔膜の片面に、NW07Hに含まれる不織布を積層したものを塗布基材211として準備した。処方A1を均一に混合後ただちに、前記塗布基材211の不織布が積層されていない面に塗布し、続いて大気圧の窒素雰囲気中、120℃下に24時間静置して乾燥、硬化させて気体透過性無孔層212を得た。さらに気体透過性無孔層212上に微生物支持層213としてユニチカ社製不織布、エルベスS0203WDOを積層し、防水透気膜21を得た。
(実施例2~4・比較例1,2)
処方A1の替わりに処方A2~A6を用いたこと以外は実施例1と同様に防水透気膜21を作成した。
なお、弾性率が5MPa未満となる気体透過性無孔層は成型することができなかった。
Figure 0007441094000001
※各処方は配合比率(重量%)を示す。
前記各処方に用いた材料は、富士フイルム和光純薬社製キシレン(試薬特級)、信越化学工業社製フェニル系シリコーンゴムKE-167U、信越化学工業社製二液型RTVシリコーンゴムKE-106、信越化学工業社製メチルハイドロジェンシリコーンオイルKF-9901、信越化学工業社製一液性加熱硬化型シリコーンゴムKE-1820、旭化成ワッカー社製フェニル系シリコーンレジンSILRES H62C、信越化学工業社製二液型RTVゴムの硬化触媒CAT-RG、信越化学工業社製硬化触媒CAT-PL-50T、東レ・ダウコーニング社製白金触媒NC-25、信越化学工業社製白金触媒C25Aであった。
(引張弾性率の測定方法)
前記各上記処方の樹脂組成物を用いてガラス基板上にキャストフィルムを成型することで、サンプルフィルムを得た。大気圧(1atm)下、窒素雰囲気中で240℃、60分間のポストベーク処理を行なった後、基板から30mm×5mmのサイズを切り取り、サンプルフィルムを得た。次いでこのサンプルフィルムを引張試験機(テンシロン、(株)エー・アンド・デイ社製)を用いて引張り、気体透過性無孔層の引張弾性率を測定した。測定はチャック間距離20mm、温度23℃、相対湿度55%下で行った。
(サンプルフィルムの厚みの測定)
上記引張試験で用いたサンプルフィルムにおいて、ガラス基板まで貫通する切れ込みを作製し、ガラス表面とキャストフィルムの表面までの距離をOLYMPUS社製レーザー顕微鏡にて測定しサンプルフィルムの厚みとした。
(廃水処理運転による防水透気膜の評価)
(I)廃水処理運転評価装置として、水深27cm、容積2.0Lの評価水槽を用意した。前記評価水槽内に幅24cm、高さ30cm、厚み6mmの気体供給体を設置した。続いて、前記評価槽内を下記組成の有機物含有水で満たした。気体供給体の水面下に位置する鉛直長さは27cmであった。
(II)(上記有機物含有水の組成)溶性でんぷん:0.8g/L、ペプトン:0.084g/L、イーストエキス:0.4g/L、尿素:0.052g/L、CaCl2:0.055g/L、KH2PO4:0.017g/L、MgSO4・7H2O:0.001g/L、KCl:0.07g/L、NaHCO3:0.029g/L。溶媒は水道水であった。
(III)有機物の分解を担う微生物として微生物を含む土壌である水田土壌を5g添加し、評価槽は温度30±2℃、相対湿度90±5%に維持された恒温槽内に配置され、スターラーを用いて連続的に撹拌を行っている条件下で評価を行った。前記評価水槽を静置した状態で3.5日毎に前記評価槽内の液の半量をポンプにて排出し、既定の水深まで上記有機物含有水をポンプにて添加した。運転期間中、気体供給体内部の最下部に1L/分の流量で空気を供給した。
(IV)有機物含有水を入れ替える作業を63日間継続したのちに気体供給体を取出し、防水透気膜の破損の有無を確認した。防水透気膜の破損は目視での気体透過性無孔層の破損、欠損、ひび等の傷、もしくは、気体供給体内部への水漏れにより気体供給体内部に水が溜まり、その水位が気体供給体の水面下の鉛直長さの30%以上になることで確認した。
表1に、実施例1~4、比較例1、2の防水透気膜の処方A1~A6、引張弾性率、評価運転時の膜の破損を示す。引張弾性率が5MPa以上200MPa以下の防水透気膜は、運転時の膜の破損が無かった。
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
10 気体供給体
12 気体送出層
121 気体送出層のエッジ部
21 防水透気膜
212 気体透過性無孔層
30 中間層
50 廃水処理装置
52 供給体ユニット

Claims (8)

  1. 廃水が流動する環境下で廃水中に気体を供給する廃水処理用防水透気膜であって、
    気体透過性無孔層を含み、
    前記気体透過性無孔層の引張弾性率が5MPa以上200MPa以下であり、
    前記気体透過性無孔層がシリコーン系樹脂を含み、
    前記シリコーン系樹脂が、シリコーンゴムを含み、シリコーンレジンを含まない、
    防水透気膜。
  2. 樹脂組成物を準備し、
    前記樹脂組成物を成形して、前記気体透過性無孔層を成形する、
    請求項に記載の防水透気膜の製造方法であって、
    前記樹脂組成物は、固形分を含み、
    前記固形分は、シリコーンゴムを含み、
    シリコーンレジンを含まない、
    防水透気膜の製造方法。
  3. 請求項に記載の防水透気膜、または、
    請求項に記載の方法で製造された防水透気膜
    を有する、
    気体供給体。
  4. さらに、気体送出層を有する、
    請求項に記載の気体供給体。
  5. 前記気体送出層のエッジ部の形状が面取り形状、もしくはR形状となっている、
    請求項に記載の気体供給体。
  6. さらに、前記気体送出層のエッジ部と前記防水透気膜との間に中間層を有する、
    請求項に記載の気体供給体。
  7. 請求項のいずれか1項に記載の気体供給体を有する、
    供給体ユニット。
  8. 請求項に記載の防水透気膜、
    請求項に記載の方法で製造された防水透気膜、
    請求項のいずれか1項に記載の気体供給体、または、
    請求項に記載の気体供給体ユニットを含む、
    廃水処理装置。
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